咲子「イブちゃんの一番になりたい」 (41)

◆ひなビタ♪SSです
◆さきいぶちゃん成立前の体でお読み下さい

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まり花「イブーっ!今日は話題のスイーツさん食べに行こっ?」

一舞「また?この前も行ったじゃん」

まり花「それとはまた違うのなんだよっ!『ボンジュールアバンチュール』のシュークリームさんは
    ふんわりとろけるって評判なんだよっ!一緒に行こっ!ねっ!」

一舞「もー、しょうがないなー」

まり花「わあい、イブだいすきー!」ギュー

一舞「こらこら、そんなにぎゅっとしたら暑いしっ!」

キャッキャキャッキャ

咲子「……」

まり花「あ、さきちゃんも行く?とってもあまあまでふわふわさんなシュークリームがあるんだよっ!」

咲子「わ、私はその、お店の手伝いがあるので」

まり花「そっかあ、残念だよう……」

一舞「都合が良い日があったら一緒に行こうねさきこ」

咲子「はい」

まり花「じゃあイブ、学校が終わったらダッシュなんだよっ!急がないと無くなっちゃうんだよっ!」

一舞「ま、また走るの?」

まり花「イブは足速いから大丈夫だよっ!絶対大丈夫だよっ!」

一舞「いやでもメロンパンはいっつもまりかの方が速いじゃんかー」

咲子「……」

嗚呼、カッコよくて可愛いイブちゃん。
私春日咲子は貴方のことを愛しています。
とってもとっても愛しています。
イブちゃんの一番になりたいんです。
ですけど、イブちゃんは私のことなんて見ていなくて。
まりかちゃんばかりを見つめています。
きっとイブちゃんは、私なんかよりもまりかちゃんが好きなんです。
イブちゃんはまりかちゃんが一番なんです。
それなら、私は身を引く所存です。
そう思っているのに、私の思いは消えてくれなくて……。

咲子「……」トボトボ

咲子「……はぁ、イブちゃん……」

?「そこのお嬢さん」

咲子「はい?」

?「そんな暗い顔してどうしたんですか?可愛いお顔が台無しですよ?」

咲子(こんな場所で客引き?珍しい……でもフードのせいで顔は見えないなあ)

?「何かお悩みでもあるのでは?」

咲子「あ、いえ、私、そんなこと」

?「そうやって吃ったのが悩みの証ですよ」

咲子「はぁ……」

?「もしお暇なら、ちょっと私のお店に来ませんか?きっとお悩みを良い方向へと導けると思います」

咲子「……」

咲子(こういうのはいつもは断っちゃうんだけど……今日は)

咲子「じゃ、じゃあちょっとだけ」

?「良い返事を貰えると思っていました、ささ、どうぞこちらへ」

咲子(ああ、今日はお店のお手伝いがあるのに!寄り道したりして私ったらわるいこ)

咲子(……ちょっとドキドキする)

咲子(それにしてもなんか似たような雰囲気をどこかで感じたような……誰だったっけ?)

?「ここです」

咲子「お悩み解決所『FGS』……簡易占い小屋みたいな感じ……?」

?「あんまりおおっぴらにやると怒られちゃうので、どうぞ中へ」

咲子「はぁ」

~お悩み解決所「FGS」~

?「さて、早速始めますが……貴方のお悩みは、恋愛に関することではありませんか?」

咲子「え」

?「更に言うなら……好きになった人は女の子、では?」

咲子「ええっ」

?「どうでしょう?」

咲子「あ、当たりです……」

?「ふふ、私の目もまだまだ曇ってはないようですね」

咲子(とってもとってもすごい!私まだ何にも言ってなかったよね?)

咲子(エスパーさんなのかな……瞬間移動したり電撃びりびりさんを自在に操ったり?)

?「それで、悩んでいる理由……は貴方の口から聞きたいですね」

咲子「え、でも」

?「大丈夫です、守秘義務がありますからね」

咲子「じゃ、じゃあ……私の好きな人はその……他の子が好きみたいで」

?「そのせいで告白する勇気も出ないと?」

咲子「こ、告白なんて……!私はいb……好きな人を近くで眺められばそれでいいんです」

?「その子がその他の子と付き合ってるとかそういう事実はあったりするんですか?」

咲子「いえ、それはないと思います……二人は幼馴染なので……でも私の入る隙間なんてありません」

?「ふむ」

咲子(ちょっとネガティブ過ぎるかな……この人にも呆れられちゃうかも)

?「えっと、貴方は好きな人とお付き合いしたいですか?」

咲子「お付き合い?」

?「恋人になりたいか、ってことです」

咲子「え、ええっ!?こ、恋人さん!?」

咲子(わ、私がイブちゃんの恋人さん……今までにとってもいっぱい妄想したけど……
  実際に言われると……凄くドキドキしちゃう……)

?「その顔だと、なりたいみたいですね」

咲子「うう」

?「大丈夫ですよ、当たって砕けろです、と言っても説得力が無いでしょうから、これを差し上げます」

咲子「なんですかそれ?小瓶?」

?「これは『M・D』というお薬です」

咲子「お薬ですか」

咲子(占い屋さんかと思ったら薬局屋さんだったのかな?)

?「これは私が独自に開発したオリジナルの薬品でして」

咲子「はぁ」

?「専門的なことはともかく、これを飲めば自信が付くんです」

咲子「自信?」

?「したい!と思ったことが出来るようになりますから、貴方の好きな方へ告白が可能になるでしょう」

咲子「あの、私は」

?「大丈夫です、代金は結果が出た後に回収するシステムですから、ささ、早速」

咲子「あの……」

?「あ、もしかして薬の成分を気にしてます?副作用と中毒性が無いのはチェックしましたが」

咲子「いえ、そうではなくて……自信が付いて告白出来たとしても、もし断られたら」

?「じゃあ様子を見るだけでもいいのでは?」

咲子「様子見ですか」

?「取り敢えず飲んで下さいよ」

咲子「わ、分かりました……」

咲子(なんか緑色……飲んで本当に大丈夫なのかな?でも…‥)

咲子「えいっ!」ゴクゴク

?「……」

咲子「ぷあ、と、とってもとっても苦いですっ……」

?「それは成分の関係で……ところで気分はどうです?やる気が湧いてきたでしょう?」

咲子「なんだか……ぽかぽかします」

?「そうでしょうそうでしょう、もっともっと力が漲るはずです」

咲子「……私は何でも出来る、何にだってなれる、そんな気持ちです」

?「あら」

咲子「ちょっとイブちゃんのところへ行ってきます!ありがとうございました!」

?「幸運を祈っていますよ」

咲子「はい!」

……

まり花「はうう、シュークリームさんがもう売り切れてるなんて思わなかったよう……」

一舞「一日に少数しか作ってないみたいだから、食べたかったらもっと早く行かなくちゃ」

まり花「ううう、シュークリームさん……」

一舞「そんなに落ち込まないの!またあs……ん」

まり花「イブ?あ、さきちゃん」

咲子「イブちゃああああん!!」

一舞「なんか呼ばれてる」

咲子「イブちゃん!探しました!」

一舞「ど、どしたのさきこ?なんかあった?」

咲子「イブちゃんイブちゃん!今からデートしましょう!」

一舞「は?デートって」

咲子「いいから早く!」

一舞「あ、ちょっと、引っ張らないでよ、分かったからさ」

ズルズル

まり花「……」

まり花「……さ、さきちゃん、押しが強かったよう……」

一舞「ちょ、ちょっとさきこ」

咲子「なんですか?」

一舞「デートって、どこいくの?」

咲子「チャスコです!」

一舞「なにするの」

咲子「お洋服見たりとか甘いもの食べたりとか、そんなのです」

一舞「どうして急にデートなんて」

咲子「私がイブちゃんとデートしたいからです!」

一舞「わ、わかった」

一舞(どうしたんだろさきこ、なんか変)

一舞(変だけど……)

咲子「うふふ、イブちゃんイブちゃん…‥♪」

一舞「なあに」

咲子「私、イブちゃんとデートとかそういうのがとってもとってもしたかったんです!」

一舞「そっか」

一舞(まぁ、さきこは楽しそうだし、いっか)

~パジャマショップ「寝る」~

咲子「うふふ、イブちゃん、とってもとってもお似合いですよっ」

一舞「そう?ちょっとフリフリし過ぎてない?可愛いけどさこのパジャマ」

咲子「イブちゃんはそういうのも似合うんですっ!」

一舞「あたしはさきこの方が似合うと思うんだけど……あ、そうだ」

咲子「?」

一舞「どうせなら色違いにしようよ、さきこはこのピンクのね」

咲子「え、い、いいんですか?」

一舞「当たり前だしっ!」

咲子(い、イブちゃんと同じパジャマ)

咲子(これって、ペアルックってことじゃ……)

一舞「それにしてもこんなお店があったなんて知らなかったしっ」

咲子「チャスコもチャスコで、色々テコ入れしてるみたいですから」

一舞「まぁほしゆめとかもあるしねー」

咲子「とってもとっても、銀河ノヴァ的新星ですっ」

一舞「最近はあたしらの商店街も大分賑やかだし、肩身が狭いのかも」

咲子「なんだかんだ、あったら便利ですよね」

一舞「まぁうん」

咲子「それよりイブちゃん!次はお茶しましょう!シャノワールにはないケーキ屋さんですっ!」

一舞「詳しいね」

咲子「私、イブちゃんとデートしたくて、ずっと前から計画を立てていましたから♪」

一舞「そうなんだ」

咲子「ですから、早く早くっ!」

一舞「う、うん」

一舞(ずっと前から計画してた?)

一舞(それをたったさっきから実行するなんて、なんか……)

~ケーキ店「Deceive」~

咲子「はい、イブちゃん、あーん♪」

一舞「じ、自分で食べられるってば」

咲子「私から食べさせて貰うのは嫌なんですか?」

一舞「い、嫌じゃないけど!じゃ、じゃあ、あー」

咲子「あーんっ♪どうですか?美味しいですか?」

一舞「まあ、ね、うん」

咲子「うふふ」

一舞「全くもう」

一舞「じゃあこっちからも、さきこ、口開けて」

咲子「はーい」

一舞(躊躇いがないなあ)

一舞「はいさきこ、あーんして」

咲子「あー♪」

一舞「美味しい?」

咲子「はい!とってもとってもおいしいですっ!」

一舞「ふふ、よかった」

咲子(ああ、私とってもとっても幸せ!)

咲子(普段ならこんなことできないのに!)

咲子(お薬のちからってすごいなあ)

咲子(……普段からこうできればいいのにな)

一舞「それにしてもスイーツ食べるんだったらまりかも連れて来れば喜んだだろうなー」

咲子「む……私はイブちゃんと二人で来たかったんですっ!」

一舞「そ、そう」

咲子「あ、ご、ごめんなさい」

一舞「いいよ、別に」

咲子(ああ、私ったら嫌な子!まりかちゃんの名前が出ただけなのに!)

咲子(イブちゃんとしては私よりまりかちゃんを思い浮かべるのは当然のことなのに……)

一舞「ねえ、さきこ」

咲子「あ、はい、なんですか?」

一舞「さきこってさ……あたしのことどう思ってる?」

咲子「え」

一舞「なるべく正直に答えて欲しいなー?」

咲子「は、はい」

一舞「ふふ」

咲子(どう思ってるかって……愛してる、って?)

咲子(今なら言えちゃう気もするけど……それはやっぱり……)

咲子「い、イブちゃんはとってもとっても大事な私のお友達ですよ」

一舞「それだけ?」

咲子「そ、それだけって?」

一舞「もっとなんかあるかなーって思ってたんだけど?」

咲子「え……」

一舞「今のさきこさ、いつものさきこじゃないもん」

咲子「ええっ」

一舞「なんというか押しが強いっていうか……いつもは一歩引いた感じじゃん?」

咲子「そ、そうですか?」

一舞「そうだよー、それが常なら今日あたしがまりかとシュークリーム食べに行くって行った時悲しい顔なんかしなかったでしょ」

咲子「え……知ってたんですか?」

一舞「ふふ、意外とあたしは周りに気が回るんだ」

咲子「うう……」

一舞「なんでそんな押しが強くなってるかは知らないけどさ、なんかあたしに原因があるのかな?どう?」

咲子「…………」

咲子「……イブちゃんが」

一舞「あたしが?」

咲子「まりかちゃんばっかり、見てる、から」

咲子(言っちゃった……私って、なんて)

一舞「ふむ、まぁ危なっかしくてほっとけないよね」

咲子「……」

一舞「確かに遊ぶ頻度も一緒にいる時間も長いけど……それはさ、親友だからだよ?」

咲子「でもそれは……」

一舞「ふふふ、本当に今日のさきこは強情だしっ」

一舞「分かった、もう一回聞くね?さきこはさ、あたしの、何になりたい?」

咲子「え?何、って」

一舞「んー、大分譲歩してるんだけどなー?」

咲子「イブちゃん、もしかして……」

一舞「だってさあ、なーんか怪しいんだもん」

咲子「怪しい、って?」

一舞「最近さきこさ、気がつけばあたし見てるよね?」

咲子「え、そ、それは」

一舞「嘘つかないで」

咲子「……み、見てます」

一舞「でしょー」

咲子「で、でも!イブちゃんはまりかちゃんを……」

一舞「それは知らないからだよ、知ってれば、対応できるし」

咲子「イブちゃん?」

一舞「そっか、さきこ、そんな風に思ってたんだ」ギュ

咲子「あ、あの」

一舞「ふふ、さきこったらちょーやわらかいしっ♪」

咲子「い、イブちゃ」

一舞「ねえさきこ、怖がらないで、はっきり言ってほしいな」

咲子「い……いいんですか?」

一舞「こんなに言ってるじゃんー」

咲子「う……い、イブちゃん、わ、私は、その……」

一舞「うんうん」

咲子「イブちゃんのことが、だ、大好き、です……えっと、お、お付き合い、できませんか……?」

一舞「……」

咲子「……イブちゃん?」

一舞「いやね、その」

咲子「はい」

一舞「よ、予想はしてたんだけどさ、やっぱり、実際に言われると照れちゃうし……///」

咲子(イブちゃん顔赤い)

一舞「あのねさきこ、ちょっと聞いて欲しいんだ」

咲子「はい」

一舞「最近さ……まりかとりんが付き合い始めたのは知ってた?」

咲子「え、そうだったんですか?」

一舞「うん、今日だって『シュークリームさんりんちゃんにもあげるんだー♪』って楽しそうに言ってたからね」

咲子「へえ、初耳です……」

一舞「まりかは言いたかったみたいだけどりんが抑えてたみたい、全く相変わらず照れ屋なんだから」

咲子「でもりんちゃんらしいですね」

一舞「それをまりかから聞いてさあ、思ったんだよね、なんか子供が巣立ってくみたいだなって」

咲子「子供ですか?」

一舞「まぁ昔から甲斐甲斐しくお世話してたし?大きくなってもひっついてたからさ、そういう関係がずっと続くのかなって思ってた」

咲子「イブちゃん」

一舞「でも、そうじゃないんだよね、まりかだってあたしの知らない所で成長してるんだ、
   ずっとあたしの側でひっついてる、っていうのは無理なのかもしれないなって」

咲子「そ、そんなことないと思いますっ!イブちゃんはまりかちゃんの親友さんですっ」

一舞「ふふ、ありがとさきこ、でも、親友と恋人は別だからね」

咲子「はぁ」

咲子「あの……イブちゃんはまりかちゃんの事が好きなんじゃ?」

一舞「好きだよ?親友としてね?でも独占欲もあったし、まりかがあたしよりも仲良くしてると悔しいなって思っちゃうし……」

一舞「それでまりかはりんとくっついちゃって……思ったんだ、あたしもまりか離れしないとなあって」

咲子「そ、そこまでしなくても」

一舞「これからまりかの一番はりんになっていくんだろうな、って思うとちょっと寂しくて、いや、幸せそうなまりかを見るのは嬉しいんだけどさ」

咲子「イブちゃん……」

一舞「だからささきこ、こんなことを言うのは申し訳ないんだけど……」

咲子「はい」

一舞「あたしの……一番になってくれる?」

咲子「……」

一舞「あー……さきこ?」

咲子「え、あ、はい!」

一舞「大丈夫?」

咲子「いえ、その、い、イブちゃん、わ、私でいいんですか?」

一舞「もうさきこ、さっきの自信ありげな態度はどこにいったのー?」

咲子「ええっ」

一舞「もうさきこ、あたしはさきこがいいんだってば」

咲子「あ……」

一舞「……どう、かな?」

咲子「い、イブちゃん!イブちゃんっ!」ギュウ

一舞「わ、っ」

咲子「私、イブちゃんの一番になれるよう努力しますから!だから、だから」

一舞「もー、泣かないでよさきこ」

咲子「な、泣いてなんかないですよっ」グスッ

一舞「そっか」

咲子「うう、イブちゃぁん……」

一舞「よしよし」

~数日後~

咲子「もぐもぐ、えへへイブちゃん、このケバブとってもとっても美味しいですねっ」

一舞「まぁ最近流行りの『超古典的卦罵振』のやつだしね、でもあたしはちょっと油っこさを気にしちゃうかな」

咲子「イブちゃんは細いんですから気にする必要ないですよっ」

一舞「そうかなあ」

咲子「そうですよーふふふっ」

一舞「ニヤニヤしちゃって可愛い」

イチャイチャ

?「……」

?「さきこちゃん、すっかりイブちゃんと仲良くなって……」

?「私が手を貸した甲斐があったというものです」

?「余計なお世話かな、とも思いましたが、さきこちゃんは控えめな人ですから」

?「にしてもあの薬はただの青汁なので……『M・D』はみどりぢるの略なのです」

?「さきこちゃんがああなったのはプラシーボ効果なのですよ」

?「これは秘密です」

?「さて、私はこれにて失礼……」

夏陽「あ、お姉さん、こんなところでフードなんて被って何してるの?」

心菜「イメチェン……?」

?「…………」

おわり

お疲れ様でした
5月2日からコナミスタイルで倉野川音頭の視聴が出来るようになっていますよ

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