ちひろ「さーて、今週のアイドルはだれでしょう?」 (25)

アイドルマスターシンデレラガールズ
SSに慣れるまでマイペースで。慣れたとしてもマイペースで。

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事務所

ちひろ「……」カタカタ

ガチャ

モバP「ただいま戻りました」

ちひろ「あ、プロデューサーさんおかえりなさい」

モバP「ふう……やっぱ中は涼しいや」

ちひろ「営業周りお疲れ様です。今冷たいものを用意しますね」

モバP「わざわざすみません。そういや、杏、今日も来てます?」

ちひろ「ええ。あっちのソファーでグッタリしてますよ」

モバP「仕事ない日も事務所来るとはねえ……熱心なのかやる気ないのか、アイツもよくわからんな」

ちひろ「……いい気なもんですね。まあ、そう思っておいて下さい」

ちひろ「それよりも、今日の杏ちゃん、なんだかいつもより元気がないみたいで……」

モバP「なんだろう……夏バテですかね」

杏「……」

モバP「おーい杏、大好きな飴買ってきたぞ。ほれあーん」

杏「あー……やっぱりいい。いらない」

モバP「な、に……」

モバP(杏が飴を拒否するだと……そんなバカな。いや、そんなことよりもだ)

モバP(折角見つけたこの激辛キャンディ、なんとしても杏に食わせねば!)

モバP「とてもおいしい飴だぞ! この、赤くて、艶々しくて、まあるくて……」

杏「いいから。放っておいて」

モバP「ちょっとだけ! せめて一口だけでも! さきっちょだけでいいから!」

杏「しつこいなあ。だか……」ズキン

モバP「……どうした? 本当に大丈夫か?」

杏「いた、いたたたた!」

モバP「……杏?」

杏「……歯が痛い」




モバP「虫歯ね……あれは痛いよ」

杏「そんなのわかってるって。杏のこと見れば分かるでしょ……」ズキンズキン

モバP「いや、お前は分かってないな。そんなの序の口だ。等比級数的に痛みは加速するぞ」

ちひろ「またそうやって杏ちゃんのことからかって……。はい、お飲み物どうぞ。こっちは杏ちゃんの、だけど……」

モバP「ありがとうございます。杏には……冷たいものはちょっと厳しいか」

モバP「よし、杏には本当の歯痛というものを見せてやろう」

杏「そんなの別に見たくないよ」

モバP「まあまあ……ここに、今ちひろさんが持ってきてくれたアイスコーヒーがある」グビリ」

モバP「はああ……アイスコーヒー、冷えててうまいなあ。このシロップたっぷりの……うっ!」

モバP「痛い何だこれ! 虫歯が、歯の奥から痛みが……ズキズキする……」

杏「……」

モバP「あああ痛い……いたいいたいいたいいいたいいいいいあああああ!!!」

モバP「へ、ヘア……アアァ……おおおおおおォォォォオオうおおおおおおお!!!」

モバP「いでえよおおおおおおおおおおおおお!!! あああああああああああ」ゴロゴロゴロ

杏「ヒィッ!」


ちひろ「ちょっとプロデューサーさんやめてください。杏ちゃん怖がってるじゃないですか!」

モバP「……ふむ」ピタッ

モバP「どうだ杏。これで少しは虫歯の恐ろしさが分かっただろう」

杏「プロデューサーの頭がおかしいことはよく分かったよ」

モバP「あっそ! しかし困ったな。この様子だと仕事にも差し支えが出てきそうだし……」

ちひろ「近くに知り合いのいる歯科医院があるので、ちょっと聞いてみますね」

モバP「お前、最近ちゃんと歯を磨いてなかったな? どうせだるい、疲れたとか言ってそのまま寝ちまったんだろ?」

杏「そんな不潔なことしてないよ。これでも杏はアイドルなんだかんね!」

モバP「ほう」

杏「寝る前にウトウトしてると、口がもの寂しくなっちゃって。そしたら飴舐めたくなるでしょ?」

モバP「なるほど」

杏「で、とても幸せな気分じゃん? そうなってくるともう布団から出るのが面倒で、面倒で」

モバP「そりゃ仕方ないよな……って結局同じことじゃねーか! ものぐさにも程があるぞ……」

杏「だったらもうプロデューサーさ、今度から寝る前に杏の歯を磨きにきてよ。なんなら泊まってってもいいよ」

モバP「このたわけが! 軽々しく男を泊めるとか言うんじゃない! だいたいアイドルというのはだな……」クドクド

杏「あーもう、また説教が始まった。歯の痛みがぶり返してきちゃったよ……」

ちひろ「プロデューサーさん、来院してくれれば当日でも大丈夫だそうですよ」

杏「え、ちょっと急すぎない!?」

モバP「お、よかったな。俺もちょうど時間空いたし、杏のこと連れてくよ」

杏「ね、ねえ……やっぱり虫歯の治療って痛いんでしょ?」

モバP「ああ、凄まじく痛いな。おやおや、やっぱり怖くなってきたのかね杏ちゃん? んん?」

杏「いや、そうじゃなくて……このままでもまだ平気だから、そんな無理に今日行かなくても……」

モバP「じゃあ問題ないな! さあ立った、立った!」グイッ

杏「あっ……ちょ」

ガチャ

凛「あ、プロデューサー」

あい「ちょっと覗きにきたんだが、どうも間が悪かったかな」

きらり「Pちゃん杏ちゃん、どこいくんだにぃ?」

杏「……歯医者」

モバP「皆ついてこいよ! むっちゃ面白いもんが見られるぜ!」

ちひろ「いい加減やめんか」ドスッ

モバP「ウッ……」バタン

歯科医院前

モバP「なんかワクワクしてきたな!」

杏「なんでそんなに活き活きしてるの……」

モバP「いやあ、俺も昔は歯医者が大嫌いでねェ……」

モバP「泣く泣く親に連れられてきたもんさ」

杏「じ、じゃあ今日はやめ」

モバP「だが他人のこととなれば別だ。さあ入ろうぜケケケ!」

杏「ま、まってプロデューサーまだ心の準備が」

モバP「はいはいお邪魔しまーす」カチャッ

院内

モバP「スハースハー……このケミカルなにおいたまらんな」

ヒィィィィ
ウワアアアアアア

杏(な、なにこの声……)

杏(奥で何がおきてるんだろう……)ソォ

子供1『うわあああああああ!! 痛いよおおおおおおおお!!!』ガリガリガリ

子供2『ママああああああああああ!! やだあああああああああああ!!』ガガガガガ

杏「……」

杏「ねえプロデューサー、ここまずいって。また今度にし」

モバP「ここに保険証入れて」ストン

杏(終わった……)

待合室

杏「…………」

モバP「ところで、最近はどうだ?」

杏「え?」

モバP「いやさ、ここんとこ二人きりで話す機会がなかったろ」

モバP「折角だし、アイドルとプロデューサー、一つ腹を割って話し合おうぜ」

杏「この空気、このタイミングで本当に話し合おうとか思ってるの?」

モバP「そんなこというなよ。いつも杏に辛くあたっちまってるけど、俺もそれなりに心配してるんだぜ、お前のこと」

母親「頑張ったわね、今日はこれでおしまいよ」

子供1「ま、またくるの!? いたいのいやだあああ!!! もうぎだくないよおお!!!」

杏「……」

モバP「アイドルとプロデューサーの信頼関係、っていうのかな、そういうの大事だよな」

老人「お嬢ちゃん、虫歯の治療かい? ワシもずっと放置してたら、ほれ」クワッ

老人「歯茎が疼いて疼いて、全部ポロポロ抜けて結局なくなってしもうた。痛かったのう……」

杏「…………」

モバP「俺は信じてるぞ。お前がこの仕事と真剣に向き合えば、まだまだ伸びるって。自信を持て!」

隣の人「ハッ……ハッ……アアア……ハアハア……くう……ッ! ア゛ア゛ア゛」

付き添い「もう少しだ……親知らずは抜いちまえば楽になる。それまで頑張って耐えろ」

杏「………………」

杏「プロデューサー、ちょっと用事を思い出した」スッ

モバP「ん? どこへいく。俺の溢れ出る想いはまだまだ伝え切れていないぞ」

受付「ふたばあんずさん」

モバP「よしきたか! さあいこう!」グイグイ

杏「ううう……杏を家に帰らせろおおお!!!」ズズズ

治療室

モバP「それでどうですか? やはり麻酔をグサッと刺して抜歯するとか……やりますかね!?」

杏「ヒィィィ!!」

歯科医「いや、少々進行していますがそこまでは。患部を削って除去するという形になりますねえ」

モバP「なに削る!? こう、歯をゴリゴリやって神経をズルズル引き抜くような!?」

杏「あわわわわわ……」ガタガタ

歯科医「神経は抜きませんよ……」

モバP「なんだ、つまらんな」

歯科医(何言ってんだこの人)

モバP「それじゃ待合室にいるから、頑張るんだぞ杏」

杏「ま、まって!」ガシッ

モバP「うん?」

杏「い、いや……おいていかないでプロデューサー……」




モバP「十七歳にもなって、杏は子供だなあ、ははっ!」

杏「子供でも何でもいいからぜったいに離さないでよ! 手離したら怒るからね!」

モバP「ううむ……あの受付の人、アイドルでも通用しそうだな……後で誘ってみるか」

杏「……」ムカッ

モバP「やはりあのむnアダダダ! 何するんだよ! 俺の手を潰す気か!」

杏「ふん、そんなの知らないよ! まったくもう……」

歯科医「それじゃ治療を始めますね」チュイーーーン

モバP「……」ジィィ

歯科医「……あの、危ないのであまり口に顔を近づけないで下さい」

モバP「ああ……尖ったドリルみたいのが杏の歯に向かってきたぞ」

杏「はひ……はひ……」

モバP「これがガリガリ歯を削るわけか。相当痛いな」

モバP「ああー、歯に触る触る。ゴリゴリが始まるぞお」

杏「ひ、ひ、ひゃだあああああああああ!!!」ジタバタ

歯科医「うわっ! 暴れないで下さい! さっきから何やってんですかアンタ!」

杏「やだやだやだやだ!!! 杏かえる! おうちにかえるんだああああ!!!」ガバッ

モバP「おい杏離れろ! 抱きつくな! この格好はまずい!」

ヤダーヤダー
グゲエエエエエ
ギャーギャー




帰り道

カァーカァー

モバP「嗚呼、日が暮れる……」トボトボ

モバP(あの後、暴れる杏をなだめて無事治療を済ませたはいいが、夕方になってしまった)

モバP(歯科医、無茶苦茶怒ってたよなあ……主に、俺に対して。何かしたっけかな)

杏「うう……尖ったドリルが迫ってくる……」スピィ

モバP(それにしても背中が暑いし痒い。杏といえど背負い続けるのはきついぞ……)

杏「プロデューサー……飴を、飴をおくれ」ムニャムニャ

モバP「……汗とよだれでスーツがドロドロだぜ……へ、へへ」




あくる日の事務所

きらり「うきゃー! きらりケーキ大好き!」

モバP「ああ俺も大好きだぞ! 好きなだけ食べようぜ!」

凛「プロデューサー、本当にいいの? それに、このケーキ結構高かったんじゃ……」

モバP「この前は折角来てくれたのに、すぐ出かけちまったからな。お詫びだと思ってくれ」

きらり「Pちゃんありがとにぃ! そんなPちゃんにきゅんきゅんよー☆」

あい「君はこうやってまたアイドル達を毒牙に……や、失礼だったね。すまない。ありがたく頂くよ」

杏「杏もこの前頑張ったんだからたくさん食べる権利があるよね。さてどれにしようかな、へっへへ」

モバP「おっと待て。杏は少しの間甘いもの禁止だ」

杏「え、なにそれ酷くない!? 理不尽だよ! いじめだよ! 差別! パワハラ!」

モバP「お前まだ治療が完全に済んでないだろ。完治しないと甘いものは食べられないんだぞー」ササッ

杏「ぐぎぎぎ……」

ちひろ「また杏ちゃんをからかってる……嘘を教えないでください」

杏「え、嘘?」

モバP「嘘じゃないぞ。いやはや残念ですなAnzuchangあっはっはムシャm」ゴリッ

ちひろ「ん?」

モバP「……」

杏「どうしたの?」

モバP「……」

モバP「……歯の詰め物が、とれた」

ちひろ「プロデューサーさん、予約取れましたよ」

モバP「え!? なにそのはやさおかしいよ! まってまって詰め物が取れただけだから、まだ」

ちひろ「今からでも問題ないみたいです」

モバP「ほ、ほらこれから外回りが」

ちひろ「さっき帰ってきたばかりじゃないですか」

モバP「そ、そうだ! 凛たちを送っていかないと」

ちひろ「あいさんが送って下さるみたいだから大丈夫ですよ」

モバP「よく考えたらそこの歯科医からもう来るなって言われてたわ!」

ちひろ「早くおいでなさい、ですって。それはもう、嬉々とした声で」

モバP「ころされるッ! た、たすけてあんず……ッ!」

杏「あー、飴くれないと身体が動かないや。でも甘いものは暫く禁止だったよね。ざんねんざんねん」

きらり「それじゃPちゃん、歯医者さんいこうにぃ!」ガシッ

モバP「な、なにをするきらり! やめるんだ!」

杏「きらりが一緒に行ってくれるってさ。がんばってね」ヒラヒラ

モバP「あ、あんずうううううううううう!!!」

モバP「はっ! り、凛! あいさん!」

凛「頑張ってね。辛いだろうけど、これもプロデューサーの為だから」

モバP「あいさ「グッドラック」ん……」

きらり「Pちゃん、きらり気付いちゃった……もしかしてこれ、でぇと!?」ズルッズルッ

モバP「んなわけあ……や、やめろやめろやめろヤメロオオオオオォオォォ!!!」

イヤダアアアアアアア 
ハイシャイヤヤアアアアアア
ニョワーーーー







おわり

適当に安価で
>>22
キャラとジャンル
ex.あんず ギャグ レスなければ、気が向いたときに好き勝手書いてきまふ。


時期が違うが予防接種、つまり注射の話

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