堀裕子「さいきっく・ステルスマーケティング!」 (25)

書きためているので、ささっと投稿します。

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モバP「346プロに入社して、はや3年」


モバP「高垣楓に憧れ、三船美優に浮気して、
鷺沢文香の担当になった同期には不幸の手紙をつづり、
ついに渋谷凛という原石に巡り合った」


モバP「そう、俺はCool属性を愛している。
淡麗な容姿、取っ付きにくい距離感、かと思えば、気を許したときに垣間見せる別の表情」


モバP「Cute、Passionと満遍なく50人以上を担当する今でも、小さい声でハッキリと言える。
俺はCoolプロデューサーだと」



モバP「だから、いくら可愛かろうが、Passion属性のアイドルに入れ込む事などない」



モバP「ましてや、日野茜と双璧を成すパッション・オブ・パッション。

堀裕子に、心を揺らされる事などありえないのである」



モバP(堀裕子は俺を土手に連れ出した。

ちまちま動いたり、
俺の顔をじっと見たり、
恥ずかしそうに目を逸らしたりしていたが、
やがて話を始めた)


堀裕子「プロデューサー、特訓といえば、やはり土手ですよね!

夕日に染まる町並み!光を照らす水面!まるで輝きの海!」


モバP(裕子が何か言っているが、俺には知った事ではない。

見えているのは夕日に染まる頬と、輝きを映す大きな瞳だ。

断じて見とれているわけではない。不思議な生き物だなあと思って見ているだけだ)


裕子「あの光の先には、なにが待っているんでしょうか。

素敵なところだといいなあ」


モバP(風になびく髪と、意外にも女の子らしい良い匂い。

……なんか目を逸らせないぞ。なんだこれは。

あぁそうか、俺は疲れているんだ。視線を動かすのも億劫なだけなのだ)


裕子「……ってそうじゃない!そんな話じゃなくて!」


裕子「無理やりこんなところに連れて来ちゃって、すみません。

事務所は落ち着いた話をするには向かないから、つい……」


モバP(普段の振る舞いからは想像も付かない、しおらしい姿。
小動物のようにもじもじしている。
愛くるし……

……早く本題に入れ、俺は忙しいんだ)


裕子「それと、こんなアイテムまで用意しちゃって、すみません」


モバP(ん?なんだ?)


裕子「あの、糸電話です。見たまま、そのまんまですけどね!」


モバP(ハッ、おいでなすった。
糸電話ときたぜ。何をする気か知らんが、こんなオモチャ、クールアイドルは決して持ち出さないぞ。

こういう子供っぽいところが放っておけないというか、何というか)


裕子「これはですね、直接お伝えするのが難しい言葉でも、伝えてくれるスペシャルアイテムなんです。

サイキックアイテムじゃないですよ!」


モバP(表情がコロコロ変わる。感情丸出しじゃないか。

アイドルたるもの一度ステージに立てば、感情などコントロールし尽くして見せねばならない。

全く、プロ意識の無さがそういう所に滲み出るのだ。


焦った顔も可愛いなあ。


……いや違うよ何言ってんの!?
今の可愛いは客観的な意味だから!
アイドルであれば可愛いのは当たり前だから!)


裕子「そんなわけで、今日は特別に、聞いてください。
普通の言葉じゃないですよ」


モバP(特別……普通じゃない……俺だけのための言葉……だと?
た、試しに聞いてやろうじゃないか。どうせ大した事は言わんだろうけど)


裕子「これは特別に、心の声を伝えますから」


モバP(心の声!?
ふだんから開けっ広げに見せておいてお前……
別の表情を隠しているとでも言うのか!

あと特別って2回言ったな、そういうちょっと抜けてる所がまた魅力だな!)


裕子「えーと、あの、聞こえますか?」


モバP(聞こえるよ、そんな近くに寄ったら糸電話関係なく聞こえるよ!アホ!うわなんだこの美少女!初めて見たよスカウトしないと)


裕子「これは一度しか言いませんよ」


モバP(よせ、何を言う気だ、よせっ!
心の扉ノックされちゃう!ノックアウトされちゃうぅぅぅ!)






裕子『いつも、ありがとうございます!』にこ








モバP(グゥオオオオォォォォォォォォ!!)




モバP(思いのほか普通の言葉なのに、なんだ!この威力は!

熱い!溶ける……っ!俺のCoolが溶ける……っ!)


モバP(こ、これが……Passion……)


モバP(ぐ……ぐふ……っ)









モバP(ふ……ふっふっふ……)



モバP(た、耐えた……

耐えたぞぉ!

俺のCoolは守られた!やはりCoolこそ正義!Passionに遅れは取らん!)


モバP(しかし危なかった……

もう一言あったら完全に溶けていた事だろう。詰めが甘いぞユッコ!)



モバP(……ん、んん!?)


モバP(糸電話を下ろして……何か、何か言うつもりじゃないだろうな!)


モバP(あ……ああ……
やめろ!これ以上はやめろォォォ!)








裕子「……と、届きました?」ぱあっ








モバP(ぎゃあああぁぁぁぁぁぁーーーーー)

ボシュシュシュウゥゥゥゥン





モバP(サ、サー……ファイア……パッ、ション……)



ジュッ……





モバP「俺はCool、Coolプロデューサー」


モバP「Coolプロデューサーの日常はCool。
目の前には渋谷凛をはべらせ、左手には高級腕時計を巻き、額にはアイスノンを貼っている」


モバP「そう、昨日土手に行ってから風邪を引いているのだ」


凛「大丈夫?プロデューサー」


モバP「大丈夫だ、少し熱っぽいだけだ」


凛「ふだんは体調管理を厳しく言うくせに」スッ

ペリ

ぴとっ

モバP「いっ!?りりり凛、おでこを合わせるな。人前だぞ」


凛「おでこ、冷たいね。アイスノンを貼ってたからかな。

……!?」スン


モバP「ど、どうした?」


スンスン
「りっ」
スンスンスン
「凛、ちょっと」
スンスンスンスンスンスンスンスンスン
「だめぇ」


モバP「めー!めーでしょ!?」


凛「ふーん」


モバP「あ、あの……?」


凛「ううん、なんでもないよ」


モバP「ドッキンドッキン」


凛「そうだ、プロデューサー、食欲ある?ちゃんとご飯食べてる?」


モバP「いや、あんまり食べてない」


凛「ゼリー買ってきたんだ。食べさせてあげる」


モバP「あ、じゃあこのスプーンで」


凛「プロデューサー」


モバP「どうした?」


凛「なんでスプーンなんか持ってるの?」


モバP「……」


凛「……」


モバP「サイキック・ステルスマーケティングッ!」


おわり



ユッコのテキストは全て、
【さいきっく☆ボイス】
のエピソード(後編)から引用したものです。

ユッコが一番輝くのはエピソード(後編)なので、コロコロ変わる表情と美少女っぷりをぜひ見ていただきたい。
【サイキックマジシャン】が手頃でオススメですよ。


しかるのち、投票所に行きましょう。


では依頼を出してきます。

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