探偵「なぜ凶器を知ってるんですか?」男「くっ……!」 (28)


探偵「被害者の頭を鈍器で殴ったのは、あなたではないんですか?」


男「バカいうな、俺はモーニングスターなんて持ってないから犯人じゃない!」


探偵「おや? あなた、なぜ凶器を知ってるんですか?」


探偵「私は“被害者の頭を鈍器で殴った”といっただけです」


探偵「凶器がモーニングスターだとは一言もいってませんよ?」


男「くっ……!」


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男「ま、待て……今のは想像でいったんだ!」


探偵「想像? ずいぶん都合のいい話ですね」


男「だって……鈍器といったらモーニングスターだろ」


探偵「くっ……!」


探偵「しかし、あなたが疑わしい点はまだあります!」


探偵「被害者が亡くなれば、あなたに多額の保険金が入りますからね」


探偵「しかもあなたはお金に困っていたようですし……十分すぎるほどの動機だ」


男「くっ……!」


男「だけどさ……そんだけ分かりやすい動機があったら、逆に犯罪なんてしないだろ」


男「自分がまず疑われるのは間違いないんだからな。いくら金が必要とはいえ、リスクが高すぎる」


探偵「くっ……!」


探偵「じゃあ、凶器であるモーニングスターにべっとりとついてたあなたの指紋は」


探偵「いったいどう説明するというのです?」


男「くっ……!」


男「それは……あれだ!」


男「俺に罪を着せようとした奴が、俺の指紋をでっちあげたんだよ!」


探偵「くっ……!」


探偵「しかし、あなたの犯行を目撃してる人がこんなにいるのですよ?」



目撃者A「この人がモーニングスターで被害者を攻撃するのを見ました」

目撃者B「思いっきり頭を殴りつけてました」

目撃者C「これで保険金が手に入るぜ……と邪悪な笑みを浮かべてました」



男「くっ……!」


男「も、目撃者がウソをついてるんだ! そうに決まってる!」


男「人間ってのは、結構ウソをつく生き物だからな!」


探偵「くっ……!」


探偵「ならば、とっておきの証拠を提示しましょう」


男「とっておきの証拠……!?」


探偵「監視カメラにも映ってましたよ、モーニングスターで被害者を殴るあなたの姿がね」


探偵「人はウソをつくかもしれないが、監視カメラはウソをつかない!」


男「くっ……!」


男「たしかに監視カメラ、つまり機械はウソをつかない……」


男「だけど、その監視カメラが細工されてる可能性だってあるじゃないか!」


男「今はCGとかもすごく発達してるしさ! 本物と区別がつかないくらいに!」


探偵「くっ……!」


探偵「ならば、ここで実は生きていた被害者に登場していただきましょう」


被害者「私、こいつに殴られました! 間違いありません!」ビシッ


男「くっ……!」


男「だけど……だけど! 被害者は頭を殴られている!」


男「記憶が混乱してる可能性が高い!」


男「殴られた張本人とはいえ、この証言を鵜呑みにすることはできない!」


探偵「くっ……!」


探偵「やれやれ、これほど粘り強い犯人は初めてですよ……。さてどうしたものか……」


男「……」


男「あの、ふと思ったんですけど――」


男「もしかして……犯人ってあなたなのでは?」





探偵「!?」


探偵「な、なぜだ!? なぜ分かったのだ!? なぜこうも見事にバレてしまったのだ!?
   あなたが危害を加える動機のある人間の頭をモーニングスターで死なない程度に殴りつけ、
   凶器には、密かに採取しておいたあなたの指紋をべっとりとくっつけ、
   金でニセ目撃者を三人も雇って、
   監視カメラの映像もコンピュータグラフィックスで細工して、
   さらに重傷の被害者の記憶を操作して、あなたが犯人だと証言させることで、
   あなたに殺人未遂犯の汚名を着せるという私の計画がぁぁぁぁぁ!!!」






― 完 ―

男「あの、ふと思ったのですけど――」

男「被害者が生きているのであれば殺人事件にならないのでは?」



探偵「くっ……!」
的な落ちだと思ってた

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