五月雨「こたつまだ片付けないんですか?」提督「まだだろ」 (81)

五月雨「もう四月も終わりですよ?」

提督「いやむしろ片付けなかったことを幸いとすべきだろ。外すっげえ寒いぞ」スッスッ

吹雪「…」

五月雨「そうですけど~…」

陽炎「ほんとよね。まさかこの時期にこんなに冷えるなんて思わないもん」

提督「軍を動かす司令官に必要なものは不測の事態も予測する先見性…」

提督「そう、俺は暖かくなった矢先に急激に冷え込むであろうこの時を予測してあえてこたつを仕舞わずに」

五月雨「嘘ですよね」

提督「ご名答」サラサラ

吹雪「…」

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陽炎「ま、今回はこの司令官のズボラさは責めないであげましょう」

提督「待て、誰がズボラだ。仕事はキッチリする上官に対して失礼だぞ」スッスッ

陽炎「仕事はね。確かにちゃんとするけどプライベートは出不精丸出しじゃない」

陽炎「実際この部屋汚いし」

五月雨「駄目ですよ提督、物は出したら元の場所に戻さないと。お仕事でも私たちに教えてくれたじゃないですか」

吹雪「食べ物の包装が床に落ちてるのは駄目ですよ。足の踏み場には気を遣わないと」

提督「仕事中でないとなんかおっくうになるんだよなぁ。ほら吹雪じっとしてろ」クイクイ

吹雪「は~い」

提督「…よし、ほらできたぞ吹雪」

吹雪「わぁー、ありがとうございます!」

陽炎「へぇー、その髪の長さでも三つ編みってできるもんなのね」

五月雨「器用にやりますねぇ」

吹雪「えへへ、どう?似合う?」クルッ

陽炎「磯波じゃない。いつの間に来たの?」

五月雨「いらっしゃい、磯波ちゃん」

提督「おお、なんだお前磯波だったのか」

吹雪「言うと思いましたよもう!」

提督「冗談だって、磯波の三つ編みはもっと長いだろ」

吹雪「フォローになってませんよもう」

五月雨「提督ってほんとに女の子の髪の扱いうまいですよねぇ」

陽炎「髪フェチの変態司令官だしね」

提督「誰がだ。俺は変態じゃねぇ」

吹雪「髪フェチの方は否定しないんですね」

提督「今更それを否定したって誰も信じちゃくれないだろ」

陽炎「まあね。私の妹たちも髪触られてない子はもういないんじゃないかしら」

吹雪「あ、私の妹たちもです」

五月雨「姉さんたちも妹たちからも話を聞いたことはありますね」

「「「…」」」

「変態」「浮気性」「えっと…え、えっち!」

提督「やめろや」

陽炎「ま、みんな嫌がってない分にはいいけどね。触られて喜ぶ子もいるし」

提督「見境なく女性の髪に触れるほど無神経な男じゃないぞ俺は。ちゃんと人は選んでる」

吹雪「こないだ話してくれたんですけど初雪ちゃんが司令官に頭撫でられるのが好きって言ってましたよ」

提督「ほう」

吹雪「こういうことは滅多に言わない娘なのでびっくりしちゃいました。あと深雪ちゃんは帰った時にわしゃわしゃってされるのが好きだって」

提督「深雪は着任時から人懐こい娘だったからな。ついああやりたくなるんだ」

五月雨「夕立姉さんにもそうやってますよね」

提督「夕立は本当にうれしそうに撫でられてくれるからな」

陽炎「あれ?私の妹たちにはそういう事してるって聞いたことないけど」

提督「陽炎型にはこれで喜んでくれる娘は少なそうだしなぁ。」

提督「仮にわしゃって喜んでる不知火を想像してみろ」

「「「…」」」

陽炎「想像しがたいわね…」「「うん…」」

提督「だろ?」

五月雨「提督、お茶淹れてきましょうか?」

提督「ああ、頼む」

五月雨「みんなの分も入れてくるね」

陽炎「あら、ありがとう」

吹雪「何か手伝おうか?」

五月雨「ううん、大丈夫」

五月雨「~♪」テクテク

提督「…いい娘だなぁ」

吹雪「今更ですよ」

陽炎「ほんと、司令官の秘書にはもったいない娘ね」

提督「一言多いぞ陽炎。良い娘なんだが、仕事中にこけて書類にお茶ぶちまけるのはなぁ」

吹雪「それも最近は少なくなったじゃないですか」

提督「そりゃ昔と比べればだが、ドジっ娘体質は相変わらずで今でも油断してはたまにやらかしてる」

陽炎「今淹れに行ってるのは大丈夫よね?」

提督「はは、五月雨も気を付けることを覚えてきたから今に限って」

吹雪「油断。」

「「「…」」」

提督「信じよう。五月雨は大事な仲間だ。そうだろう?」

吹雪「でも」

提督「信じよう」

吹雪「はい……」

五月雨「お待たせしました、みんな何の話してたんですか?」コトッ

提督「お茶がこたつに置かれたぞ。もう大丈夫だ」

「「ふぅー…」」

五月雨「? どうしたんですか?」

提督「あ、いや、五月雨は良い娘だなぁって話をしてたんだ」

五月雨「ふえっ!? そ、そんなことないですよぅ!」

吹雪「そんなことあるよ!五月雨ちゃんは良い娘だよ!」

五月雨「ふ、吹雪ちゃん、そんな、恥ずかしいよぅ…」

吹雪「みんなのために美味しいお茶の入れ方練習したり、司令官の執務がやりやすいように書類整理してること、私は知ってるからね!」

五月雨「えへへ…」テレテレ

陽炎「そのお茶の練習で割った急須や湯飲みの数二桁行ってなかったっけ?」

提督「書類の順番が左右逆にファイリングされてて余計な時間食ったこともあったな」

五月雨「ふぇぇぇぇん! ごめんなさいぃぃぃぃ!」

吹雪「二人ともそれは今言うことじゃないでしょう!」

提督「ごめんごめん、五月雨が人のために頑張ってくれてること、俺は感謝してるから」

五月雨「提督…」

陽炎「ごめんね、確かにドジは多いけど、私も五月雨の気配りに助けられてるところもあるから」

五月雨「陽炎ちゃん…」

吹雪「ほら座って五月雨ちゃん、みんなで五月雨ちゃんのお茶、おいしく飲ませてもらうから」

五月雨「吹雪ちゃん…うんっ!」スッ

提督「五月雨は失敗も多いが、ちゃんと言って詫びることができるからな。そこが五月雨の偉いところだ」

五月雨「そんな…私失敗しちゃうから謝ることに慣れちゃっただけで」

提督「正直に言う娘は、俺は好きだぞ」

五月雨「ふえっ!? すすす好きって…」///

陽炎「うわ」

吹雪「惚気見せつけないでくださいよ」

提督「余計な茶々入れんな。そういうことだ五月雨。俺も五月雨の良い所知ってるからさ」

五月雨「……」

五月雨「…ごめんなさい提督。五月雨は正直な娘じゃないです」

提督「なに?」

五月雨「実はひとつ、隠してる失敗があるんです」

提督「言ってみろ。今なら多少のことは許してやれるからさ」

五月雨「ほんとですか?」

陽炎「大丈夫よ五月雨、今ならね」

吹雪「さすがにこの流れで罰なんて与えようとは思わないよ」

五月雨「…うん、わかった。五月雨、言います!」

提督「ああ」

五月雨「っ!」



五月雨「実は大本営に送るみんなの官給品申請書類、廊下でぶちまけて窓から飛んで行っちゃいましたあ!」

陽炎「極刑不可避」

吹雪「異議なし」

提督「よし、ケツ百叩きののち、髪を一本にまとめて海風にしてやる」

五月雨「うえええええええええん!!」

五月雨(髪型海風)「お尻痛いです…」

提督「大事な申請書類を。あれ艦娘の新しい制服の申請も含まれてるんだぞ」

吹雪「まあ少し面倒だけどまた書けば済むことだし」

陽炎「むしろ飛んで行ったのがこれ以上に重要な書類じゃなかったのが幸いだったと思いましょう」

五月雨「うう……」グスッ

提督「ほらほらもう泣くな。罰は受けたし、後日みんなに謝ってもう一度書いてもらおう。きっと許してくれるさ」

五月雨「はい……」

陽炎「しかし色は違うけどほんと海風っぽくなったわね」

吹雪「五月雨ちゃんの姉妹は特に髪が長いから特徴が大きく出てるんですね。私も今三つ編みですけど」

提督「とても似合ってるぞ五月雨。たまにはいつもと違うのも悪くない」

五月雨「そうですか…?えへへ…」

提督「五月雨の姉妹といえば、そろそろあいつが帰ってくる頃か」

吹雪「そうですね。もう時間もいい頃ですし」

……ダダダダダダダダダダダ

陽炎「噂をすれば、よ」

バァーーーーン



白露「たっだいまーーーー! こたつに直行いっちばーーーーん!!」

白露「あれ?」

五月雨「お帰りなさい白露姉さん」

陽炎「おっそーい」

吹雪「おっそーい」

提督「あなたって、遅いのね」

白露「島風ちゃんのセリフでなじらないでよ!ちょっと提督!」

提督「なんだ」

白露「なんだじゃないよ!なんでこの娘ら任務行かずにここにいるの!?」

陽炎「私午前中は近海の哨戒。もう終わった」

吹雪「私も陽炎ちゃんと同じ任務だったから……」

五月雨「私は秘書艦で提督と一緒に執務を切り上げたから…」

白露「ずるーい!あたしはこの寒さの中遠方まで行ってきたっていうのにー!」

提督「運が悪かったんだよ。この中で「一番」な」

白露「そんな一番いらないもんー!」

五月雨「まあまあ白露姉さん、外寒かったでしょ? お茶淹れるからこたつに入ってて?」

白露「おっ、ありがとうマイシスター! ところでさ」

五月雨「はい?」

白露「海風がなんでここにいるの?今日秘書艦だっけ?磯波もいるって珍しいじゃん」

五月雨(海風)「」

吹雪(磯波)「」

陽炎「ぶふっ……!」

提督「アカン、こんなのに……」クククッ

白露「なーんだ、五月雨と吹雪だったんだ。まぁ薄々分かってたけどね!」

陽炎「思いっきり素で間違えてたのモロバレよ」

五月雨「ひっどーい!」

吹雪「ひっどーい!」

提督「あなたって、ひどいのね!」

白露「ごめんごめんって。あと提督に言われる筋合い無いから」

白露「ねね、それよりも面白いことやってるじゃん。あたしも混ぜてよ」

提督「うーん、もともとは吹雪の頼みで三つ編みにして、五月雨には罰でやっただけだしな」

提督「髪型いじりメインの談話じゃなかったんだが」

吹雪「そもそも五月雨ちゃんの三つ編みって罰なんですか?」

提督「いや、これは俺が単純にやりたかっただけ」

陽炎「やっぱり…」

五月雨「ええっ!? じゃあ私お尻百叩きだけでよかったじゃないですかぁ!」

吹雪「五月雨ちゃんはお尻百叩きは妥当だって受け入れちゃってるんだ……」

白露「ねー提督、あたしの髪にも何かしてよ。できればいっちばん可愛くね!」

提督「そうは言っても白露は短いほうだからな。バリエーションは少ないだろうし何かアクセサリでもあればな」

白露「アクセかぁ…あっ」

陽炎「え?」

白露「陽炎!それ今だけ貸してくれない?」

陽炎「ゴムとリボン? どうするの?」

白露「提督にあたしに付けてもらう!」

陽炎「良いけど、白露は束ねられるほど髪長くないじゃない」

白露「それは提督の腕の見せどころ!ね?」

提督「あまり過信されても困るんだが…」

陽炎「まあ良いわ。ちょっと待って」

シュルッ パチン

陽炎「はい、…あら? どうしたの?」

白露「ほー…」

五月雨「わー…」

吹雪「おー…」

提督「陽炎は髪を下した姿をこいつらに見せた事無かったんだろ。見とれてるんだよ」

陽炎「そ、そう?なんか恥ずかしいわね…」///

吹雪「司令官は陽炎ちゃんの髪を下したところを見たことあるんですか?」

提督「何度かな。さっきお前の髪を三つ編みにしてたみたいに、陽炎にも似たようなことをしてやったことがあったんだ」

吹雪「えーずっるーい!」

五月雨「え、あっ、ずっるーい!」

白露「あなたって、ずるいのね!」

提督「仕返しかコラ」

白露「はい提督、好きにしていーよ」

提督「うーん、とりあえずカチューシャを取るぞ」

白露「うん」

提督「…」

キュッ スポッ

白露「うん? なんで戻したの?」

陽炎「あー、ぽいわね」

吹雪「ぽいですね」

提督「だろ?」

五月雨「え? 夕立姉さんですか?」

陽炎「知らない人には分からないかもね」

吹雪「黄色いリボンが付いたカチューシャといえばね」

白露「なになに? あたしどうなってんの? 鏡鏡…」

白露「…なるほど、ぽいねー」

五月雨「え?え? 何がどうなんですか? 夕立姉さんじゃないんですか?」

吹雪「初雪ちゃんが全巻持ってるから今度借りてきてあげるね」

陽炎「アニメは秋雲が持ってるからそっちも貸してあげるわ」

シュル キュッ

提督「どうだ? とりあえず陽炎と同じ位置に結んでみたが」

白露「わーい、ね、どう?」

陽炎「あら、かわいいわねぇ」

吹雪「かわいいねぇ白露ちゃん」

五月雨「わぁー、かわいいですよ姉さん」

白露「…なんか素直に嬉しくないんだけど。なにその伸び気味な声」

提督「ほら鏡」

白露「うーん、かわいいけどなんか違う」

陽炎「どちらかといえば幼さが出る印象かしら?」

吹雪「陽炎ちゃんのツインテールとちょっと違う、ツーサイドアップですね」

五月雨「ぴょこんとしててかわいいですよ?」

白露「むぅー、提督もっとちゃんとしてよー」

提督「ちゃんとやったじゃないか。短い髪は束ねるのが難しいんだぞ」

白露「とりあえず陽炎みたいにやったんでしょ? 次は提督のセンスでやってみてよ! いっちばんのね!」

提督「ふむ…」

提督「よし、できたぞ」

陽炎「あら、なかなか良いじゃない」

吹雪「おしゃれな感じになりましたね」

白露「どれどれ… おー、いいじゃん!」フリフリ

提督「片側だけアップにして、リボンは結び輪を作らずに長めに垂らしてみたんだ」

五月雨「かわいい! 女の子っぽいですよ姉さん!」

白露「むっ、五月雨はいつものあたしが女の子っぽくないって言いたいわけ?」

五月雨「ふえっ!? そんなことないですよぉ! 私が言いたいのはそんなことじゃなくて…」

白露「ふふっ、冗談だってば。五月雨はかわいいねぇー」

五月雨「あんまり怖い冗談はやめてくださいよぉ…」

提督「髪型の形だけなら春雨に近いかな」

陽炎「このまま白露の髪が伸びても春雨にはならなそうだけどね」

吹雪「姉妹なのにね」

提督「まったく違うタイプだからなぁ。大人しくて礼儀正しい春雨とはイメージが真逆だし」

白露「ちょっと、その真逆のあたしはやかましくて不作法ってこと?」

陽炎「あんた自覚ないの?」

提督「せめて上官への報告くらいは敬語使って伝えろよ」

白露「むぅー、言い返せない…」

提督「そういえば4月が終わるってことは、世間はゴールデンウィークに入るんだよな」

吹雪「私たちは関係なく任務です…」

陽炎「ちゃんと代替の休暇用意しといてよね司令官」

提督「分かってるよ。それが終われば次に来るのは…」

五月雨「梅雨入りの季節ですね」

提督「そうか、梅雨か…」

白露「梅雨かぁ…」

吹雪「梅雨かぁ…」

陽炎「梅雨ねぇ…」

五月雨「良い季節ですよね」


提督「ん?」

吹雪「え?」

白露「へ?」

陽炎「は?」

五月雨「えっ」

五月雨「えっ? 良いですよね? 梅雨」

陽炎「ああ、ほら、この娘白露型だから」

吹雪「そっか、じゃあ仕方ないね」

提督「そうだな、それじゃしょうがないか」

白露「うん、そうだねー」

五月雨「人の事見て諦めた感じで納得しないでくださいよ! それに白露姉さんは私達のネームシップでしょう!?」

五月雨「白露姉さんは梅雨の季節良いと思いますよね!?」

白露「え? 嫌だけど」

五月雨「」

白露「初夏に入って暑くなる中、何日も雨が降り続けるんだよ? それだけで参っちゃうよ」

陽炎「蒸し暑くて汗で体がベトベトするし」

吹雪「癖毛の深雪ちゃんは髪がまとまらなくてすごいことになってましたよ」

提督「高温多湿は不快指数が高くなるしな」

五月雨「そんなぁ、提督は去年梅雨は良い季節だって言ってたじゃないですかぁ」

提督「そうだったかな…」

五月雨「忘れちゃったんですか?」ウルウル

提督「…」

提督「…ああ、あの時かな…」

五月雨「覚えててくれましたかっ?」パァッ

吹雪「何かあったんですか?」

提督「去年の梅雨の季節に、朝から雨が降り続けて昼になっても建物の中が薄暗い日があったんだ」

提督「鎮守府の中庭に出れるがあるだろ? そこの屋根の下で五月雨が座ってるのを見つけたんだ」

提督「何をしてるのかと聞いたら雨を眺めてたっていうんだ」

提督「俺も時間に余裕はあったし、せっかくだから一緒に横で雨を見てた」

陽炎「それ面白いの?」

五月雨「良いものですよ? ねっ提督?」

提督「いや、雨だけ見てて何が面白いかは理解できんかったけどな」

五月雨「ええっ!?」ガーン

白露「雨だけって? 何かあったから面白くなったの?」

提督「ああ。ふと、横にいる五月雨を見たんだ」

提督「そしたら、近くに植えた花壇の紫陽花もいっしょに目に入ってな。静かに降り続ける雨と紫陽花を背景に五月雨が居る画が出来たんだ」

提督「そしたら口から出てた。『五月雨と見る雨も悪くないな』って」

吹雪「わぁー…なんかロマンチックですね」

五月雨「えへへ…」

陽炎「あんたそんなセリフ吐いて恥ずかしくなかったわけ?」

提督「うるせえ、あの時は雰囲気に酔ってたんだよ。というか白露型はこういう雰囲気を出す艦娘が多いんだ」

白露「ほんと?」

提督「ああ、特に雨の日は時雨も村雨も夕立も、改白露型の娘も不思議な空気にこちらが流されることがある」

白露「あたしは?」

提督「お前は…秘密だ」

白露「むぅー、今度みんなのことも一緒に聞かせてもらうからね!」

提督「機会があればな」

陽炎「梅雨の季節の雨だから、五月雨と一緒に五月雨を見てたってことよね」

五月雨「そういえばそうだね。えへへ…」

吹雪「いいなぁ、五月雨ちゃんだけ素敵な事言ってもらって」

白露「そうだ! あたしと一緒に白露見ようよ!」

提督「白露は草に朝露が付き始める秋の時期を指す言葉だ。目に見えるものじゃない」

吹雪「司令官、次の冬は私と一緒に吹雪見ましょうよ!」

提督「それロマンチックか?」

陽炎「じゃあ夏に私と陽炎見る?」

提督「熱中症になるわ」


白露の意味は複数あり、草花に付いた露そのものを指すこともあります

提督「とりあえず白露は妹たちに雨の日は傘も差さずに外に出るなって言っとけよ」

白露「言うことは言うけど多分聞かないと思うよ? 時雨は雨が好きだし、夕立は雨の日にはしゃぐし」

白露「まー時雨は賢い娘だし風邪引かない引き際は分かってるから大丈夫だと思うよ? 夕立には気を付けとくからさ」

提督「頼んだぞ」

白露「あ、ヤバい」ゴロン

五月雨「どうしたんですか?」

白露「こたつ入って温まったらどっと疲れが出てきた」

提督「寝るなら自分の部屋行けよ。こたつで寝るのは身体に悪いぞ」

白露「いや、眠くはないんだよね。ただ身体がすごいだるいだけで」

陽炎「なにそれ、変な疲れ方すんのねあんた」

白露「ん~」モゾモゾ

提督「おい何してる。こたつに潜り込むんじゃない」

陽炎「ちょっと変なとこ触んないでよ」

吹雪「え、ちょっと陽炎ちゃん?」

陽炎「おりゃー!」ボフッ

吹雪「ひゃあっ!?」

提督「とりあえず白露は妹たちに雨の日は傘も差さずに外に出るなって言っとけよ」

白露「言うことは言うけど多分聞かないと思うよ? 時雨は雨が好きだし、夕立は雨の日にはしゃぐし」

白露「まー時雨は賢い娘だし風邪引かない引き際は分かってるから大丈夫だと思うよ? 夕立には気を付けとくからさ」

提督「頼んだぞ」

白露「あ、ヤバい」ゴロン

五月雨「どうしたんですか?」

白露「こたつ入って温まったらどっと疲れが出てきた」

提督「寝るなら自分の部屋行けよ。こたつで寝るのは身体に悪いぞ」

白露「いや、眠くはないんだよね。ただ身体がすごいだるいだけで」

陽炎「なにそれ、変な疲れ方すんのねあんた」

白露「ん~」モゾモゾ

提督「おい何してる。こたつに潜り込むんじゃない」

陽炎「ちょっと変なとこ触んないでよ」

吹雪「え、ちょっと白露ちゃん?」

白露「おりゃー!」ボフッ

吹雪「ひゃあっ!?」

白露「ん~吹雪の膝枕やわらか~い」

吹雪「もう、白露ちゃん急に出てくるからびっくりしたよぉ」

五月雨「駄目ですよ姉さん、膝なら私の貸してあげるから」

白露「良い機会だし、吹雪の膝枕も堪能してみたくなっちゃったんだよね」

五月雨「もう…ごめんね吹雪ちゃん」

吹雪「ううん、私なら大丈夫だよ。どう?白露ちゃん」

白露「五月雨は柔らかくて気持ちいいけど、吹雪のも違う感じで気持ちいい~」

吹雪「くすっ、なにそれ」

陽炎「普段からやってるの?膝枕」

五月雨「普段からっていうわけじゃないけど、たまにやってって言われることがあるの」

提督「ほうそんなにいいのか。俺にもやってくれるか?五月雨」

五月雨「ふぇっ!?えと、えと…」ワタワタ

白露「駄目っ、五月雨の膝はあたしのだから!」

提督「えー、良いだろ五月雨?」

五月雨「あぅあぅあぅ」

陽炎「呆れた。あんたただの髪フェチじゃなくて本物の変態になるわよ。五月雨も嫌なら嫌ってちゃんと言いなさい」

五月雨「えっ、えと…嫌ってわけじゃ…」

提督「何を言う。俺と五月雨は執務室に机すら無いダンボールで仕事してた頃からの付き合いだぞ。今更膝枕で嫌がられるほど俺たちの絆は浅くない!なあ五月雨!」

五月雨「提督…はっ、はい!」

提督「どうだ陽炎、お前の知らない時代の鎮守府を支えた絆が俺たちにあるんだ!」

陽炎「知ってるけど」

提督「え?」

吹雪「あ、私も」

提督「え?」

陽炎「忘れたの?私この鎮守府の初建造でここに着任したのよ」

吹雪「私は初ドロップでここに着任しました」

提督「あ、そうか。お前らが来たのはその時期か」

陽炎「執務室にダンボール一個しか置いてないんだもん。あの時は先が思いやられたわね」

吹雪「挨拶の時にまさか上官がダンボールで執務してるとは思わなくてびっくりしましたよ」

提督「あの頃はなぁ…戦力が五月雨だけなのが不安で自分の仕事環境は気にしてなかったんだよな」

五月雨「私何度も言いましたよ。ちゃんとした机で仕事しましょうって」

白露「…ねえ」

提督「ん?」

白露「あたし知らないんだけど、そのこと」

陽炎「あーそっか」

吹雪「たしか白露ちゃんは…」

提督「二度目の建造、うちでは四番目に来た艦娘だったな」

五月雨「それまでしばらく建造は控えてましたよね?」

提督「ある程度は資材の備蓄が必要だったからな。常時カツカツの自転車操業は危険だから」

吹雪「その間に机を購入したんですよ。私覚えてます」

白露「え~、あたしだけ仲間外れ~?」

陽炎「そういうこと言わないの。ただこの中ではあんたの着任が…」

「「「…」」」

陽炎「おっそーい」

吹雪「おっそーい」

五月雨「えっ、あ、あの…」

「「「…」」」



五月雨「あ、あなたっていっちばん遅いのね!」

白露「うわああああああああああああああああん!てーとくうううううううううううう!」

吹雪「うわぁ…」

陽炎「ちょっと白露らしさのアレンジ加えてるあたりエグいわね」

五月雨「そ、そんなぁ!」ガーン

今日はここまで

ミスの訂正
>>26
提督「鎮守府の中庭に出れるがあるだろ? そこの屋根の下で五月雨が座ってるのを見つけたんだ」

提督「鎮守府の中庭に出れる昇降口があるだろ? そこの屋根の下で五月雨が座ってるのを見つけたんだ」

白露「ていとくー! あいつらひどいよ鬼だよいじめるよー!」エーン

提督「おーよしよし。まったくひどい奴らだよなー」ギュッ

吹雪「あっ、汚い」

陽炎「自分だけ悪くないみたいな立場に行ったわね卑怯者」

五月雨「ごごごごめんなさい姉さん! まさかそこまでショックだとは思わなくて!」

白露「うぅ~、提督もっと~。あと撫でて~」ギュー

提督「はいはい、これでいいか?」ナデナデ ギュー

白露「んふー…」

吹雪「気に病む必要無いよ五月雨ちゃん。あれもう気にしてないみたいだし」

陽炎「ちょっと司令官、少し甘やかせすぎじゃないの?」イライラ

提督「白露はもともと甘え上手なんだよな。ついつい乗ってやってしまうんだ」

吹雪「だからって女の子をそんな小さい子供をあやすみたいに抱くのは…」

提督「これで機嫌良くなってくれるならいいだろ。こいつだって自分から寄ってくるんだし」

五月雨「姉さんは色んな意味で自分に嘘つきませんから。そこが良いところでもあるんですけどね」

白露「んふふー。提督に泣き付いて慰めてもらうのは白露のとっけーん♪」

陽炎「あんたも少しは考えなさいよ。子供みたいにあやしてもらって恥ずかしくないわけ?」

白露「お? どしたの陽炎ちゅあん? 自分はこんな風に提督にくっつけないからちょっとジェラシー?」

陽炎「なっ、そんなことっ…」

白露「ねぇねぇどんな気持ち? 提督に自分以外の女の子が抱きしめられてるのを見るってどんな気持ち?」

陽炎「」イラァ

吹雪「」ムッ

五月雨「」ムッ

陽炎「吹雪、五月雨」

五月雨「うん」スッ

吹雪「了解だよ」スッ

白露「え、どしたのみんな、なんであたしら囲んでんの」

提督「白露、どうやらお楽しみはここまでのようだぞ」

白露「え? なにどゆこと?」

陽炎「五月雨、司令官」

五月雨「提督、肩を失礼します」ガシッ

提督「お手柔らかにな」

陽炎「吹雪、白露」

吹雪「白露ちゃん覚悟はいいね?」ガシッ

白露「えっ、なんなの!? やだやだ怖い! 助けて提督!」ガシッ

提督「調子に乗った者は相応の報いを受けるってことだ」パッ

陽炎「分断作戦、開始!」

「「やああああ!!」」

白露「あー!」ベリッ

陽炎「っ!」

ババッ ガシッ 

陽炎「おらあああああああああああ!!」

白露「いだだだだだ! 腕がぁー! 腕がぁあいだだだだだだだ!」ジタバタ

提督「おー、見事な腕挫十字固めだ」

白露「うぅ~、腕痺れた… ていと」

陽炎「まだ懲りないかしら?」

吹雪「次は全身極めるやつがいいかもね」

白露「調子に乗ってすんませんっしたー!」

提督「お前らは仲良いなぁ」

陽炎「あんたはなにを他人事のように言ってんのよ」

五月雨「そうですよ。もともとは提督が変に甘やかしたせいなんですからね?」

提督「おお…」

五月雨「甘やかすのは良いですけど、ほどほどにしないと駄目ですよ」

提督「すまん、善処しよう」

白露「とか言って、羨ましかったことには変わりないんじゃなーい?」

陽炎「…」

白露「退避ー!」ササッ

五月雨「もう、白露姉さんはちゃんと反省してください!」

吹雪「…うん」

「「「え?」」」

吹雪「ちょっとだけ、羨ましかったかな」

白露「ほらほら! そうだったじゃん!」

陽炎「あんたの調子に乗る癖は沈むまで治らないみたいね」

五月雨「吹雪ちゃん?」

吹雪「私、いっぱいいる姉妹艦の中の一番艦だから、甘えられることはあっても誰かに甘えることって無いんだよね」

吹雪「長女だからちゃんとしないとって思っちゃって、だから白露ちゃんは同じ一番艦なのに簡単に人に甘えられて、良いなって」

陽炎「…」

白露「なーんだ、じゃ良い機会だし今この場で提督に思いっきり甘えちゃおうよ!」

吹雪「ええっ! そんな恥ずかしい…」

白露「そんな事を気にする間柄かー! あたしより着任歴長いくせに!」

吹雪「根に持たれてる!?」

白露「ねっ! いいでしょ提督! 吹雪もあたしみたいにぎゅってしてやっちゃって!」

提督「…」

吹雪「あぅぅ…」カァァァ

提督「吹雪が自分で頼むならな」

吹雪「っ…!」

五月雨「えっ…」

白露「えー? なにそれいじわるだよー」

白露「女の子ぎゅってできるんだよ? むしろ提督のほうからお願いして土下座してもいいくらいだと思うけどなー」

提督「俺をなんだと思ってやがる。上官への頼みなら相応の言葉で示す。軍属なら当然だ」

五月雨「提督…」

白露「なんでそこでお堅くなっちゃうかなー。こうなったら吹雪! がんばれ!」

吹雪「あの…うぅ…」

白露「どうしたの! ただ言うだけだよ!? 私を抱いてくださいって!」

五月雨「姉さんその言い方は誤解を招くからやめてください!」

吹雪「抱…あぅぅ…」カァァ

提督「…」


提督「駆逐艦吹雪ぃ!!」

吹雪「! はっ!」バッ

白露「うわびっくりしたっ!」

提督「私に言うべきことがあるなら髪を整え頭を撫でられる準備をしろ!」

吹雪「!」ササッ

吹雪「できました!」ビシッ

提督「吹雪! 貴艦の望みはなんだ! 言え!」

吹雪「はっ! 司令官に抱っこしてなでなでしてもらいたいです!」

提督「よかろう! 準備はいいか!」

吹雪「はいっ!」

提督「よしこい!」

吹雪「吹雪、行きます!」



吹雪「…はっ」チョコーン

提督「ちゃんと自分で言えたな。偉いぞ吹雪」ギュッ ナデナデ

吹雪「わわわ私なんてこと…」プシュー

五月雨「なんというかその…」

白露「吹雪の扱い方に手馴れてるねー…」

提督「吹雪は真面目で自分の立場をちゃんと弁えてるからな」

提督「軍務に入った時の上官への敬意とそれを裏付ける態度、これをできる奴がうちには少ないことよ」

提督「このスイッチを入れてやれば、吹雪も恥ずかしがらずに応えられると思ってな」

白露「それ吹雪の真面目さを利用しただけじゃん、きったな」

提督「うるせぇ、それよりお前は上官に敬意を払うことを覚えろ。吹雪を見習え」

白露「まいいや、吹雪どう? 提督に甘えてる気分は」

吹雪「恥ずかしいのと緊張するのとでよく分かんないよぅ…」

吹雪「でも…あったかい…」

白露「それでいーよ。人にくっついてるのって心が満たされるでしょ?」

吹雪「…うん」ギュ

白露「うんうん、提督、存分に可愛がってあげてね?」

提督「ああ」ナデナデ

五月雨「いいなぁ。なんだか私もしてもらいたくなっちゃいました」

五月雨「提督、私もしてほしいです」

提督「おう、でも今はここに吹雪がいるから右手だけで勘弁な」ナデナデ

五月雨「はい、ん…」ホッコリ

白露「さすが私の妹、自然に甘えて貰いに行ったねー」

白露「さて… さっきから黙って見てる、そこの一番艦さん?」



陽炎「…」

今日はここまで
レス少なくて寂しいのん…

陽炎「…なによ」

白露「言いたいことがあるならさ、言っちゃったほうがいいよ」

陽炎「…別に」

白露「吹雪が言った長女だからしっかりしないとって所、思うとこがあったんじゃない?」

陽炎「…あたしはあんなにべったり甘えたいなんて思わないわよ」

五月雨「陽炎ちゃんはいつも頑張ってるの知ってるよ。普段からみんなを気遣って、訓練でもみんなを指導して」

五月雨「だからみんな陽炎ちゃんを信頼してるし、甘えちゃう娘もたくさんいる」

五月雨「でも陽炎ちゃんが誰かに甘えてるところ、私は見たことないよ」

陽炎「…」

吹雪「私、みんなを引っ張って、ちゃんと叱って、しっかり褒めて、私にはそういう事ができないからすごいなって、陽炎ちゃんは憧れだったんだ」

吹雪「でも、いつもしっかり者の陽炎ちゃんを見てて、ちょっと心配になることもあったんだよ」

吹雪「いつもあれじゃ、疲れちゃうんじゃないかって」

陽炎「…」

提督「陽炎はうちじゃしっかり者のリーダーだ。言うことを聞かない娘をよくまとめてくれている」

提督「数多くいる陽炎型の妹達だけでなく、他の駆逐艦の娘の面倒も見てくれる、長女の名に恥じないみんなのお姉ちゃんだ」

提督「俺もいつもお前に助けられていることに、感謝しているよ」

陽炎「そ、そう? 照れるわね…」

提督「でもな陽炎、お前は長女という名を重く捉えすぎていないか? 長女だからしっかりしないと、お姉ちゃんだからみっともないところは見せられないと」

陽炎「…」

提督「陽炎、たまにはいいんじゃないか? 長女だからって気を張ることから開放されても。俺は構わないぞ」

陽炎「…」

白露「だー!もう!」

陽炎「なっ、なによ」ビクッ

白露「何も言い返さないってことはみんなに図星付かれたか実際思う所があったってことでしょ!?」

白露「そんなもやもやしてる陽炎はあたしは見たくないよ! 悩み事はババっと解決しちゃう、それが陽炎じゃん!」

白露「提督ならあそこにいる! 解決手段は目に見えてる! そうでしょ!?」

陽炎「…そんなのあたしのガラじゃ」

五月雨「あ、じゃあ私達部屋に戻ろうか?」

吹雪「恥ずかしいのに無理やりやらせてもかわいそうだし…」

陽炎「ま、待って! いい! ここにいて!」

陽炎「…」スッ

吹雪「はい陽炎ちゃん」スクッ

五月雨「提督、お願いしますね」スクッ

提督「ああ」

白露「おっと陽炎、提督言ったよね、お願いする時はって」

吹雪「えー? そこは妥協してあげようよ」

白露「部下への不公平は軍を乱す! そうだよね?」

提督「間違っちゃいないが、お前はお願いする以前に勝手にやるだろうが」

陽炎「…」クシクシ

陽炎「…司令官」


陽炎「な、撫でてもらっても、いいですか…?」カァァァ////

白露「」キュン

吹雪「」キュン

五月雨「」キュン

提督「いいだろう!」ヒョイ

陽炎「ひゃっ」ストン

白露「はーヤバい、これが乙女ってやつなんだって実感しちゃったよ」

吹雪「普段しっかり者の陽炎ちゃんだから余計に…」

五月雨「至近弾が落ちた時よりもドキドキしちゃった…」

陽炎「だ、抱っこしてなんて誰も…」

提督「俺がやりたくなった。嫌だったか?」

陽炎「…嫌じゃない」

提督「なら良かった」ナデ

陽炎「ん…」

五月雨「陽炎ちゃん、どう?」

陽炎「…気持ちいい」ギュ

提督「そうか、じゃあもっとしてやらないとな」ナデナデ

五月雨「そういえば陽炎ちゃんが撫でられてるところってあまり見たことないかも」

提督「確かに他の娘と比べて少ないかもなぁ」

吹雪「駄目ですよ、女の子のことはちゃんと見ててあげないと」

提督「陽炎はこういう方法で褒めて喜ぶ娘じゃないと思ってたからな…」

白露「そこはしっかり者の陽炎だよ? 他の娘が見てる前で撫でられてるところなんて見せるわけないじゃん」

提督「そうだったな…、俺にも落ち度があったかもしれん。すまなかったな陽炎」

陽炎「いいよ…それより…」

提督「おう」ナデナデ

吹雪「撫でられてるだけなのに気持ちいいって感じちゃうんだよね。髪フェチの司令官だからかな」

白露「今までに何人もの少女をその手で鳴かせた男…恐ろしや…」

提督「そんなこと言うお前はもう甘えさせてやらんが」

白露「やだ! ごめんなさい!」

五月雨「うわぁ…」

吹雪「虜って感じだね」

陽炎「…私ね」

提督「ん?」ナデナデ

陽炎「周りの娘がちょっと羨ましかった。自分から撫でてって言える娘や、抱きつきに行ける娘が」

吹雪「深雪さまを撫でろーって、あの娘よく言うんだよ」クス

五月雨「夕立を撫でるっぽい! なんてね」

白露「雪風や時津風なんて甘えたいときは誰彼かまわず飛びかかっていくよ」

陽炎「私はそういうことできないから、だから秘書艦になった時を見計らって、司令官に適当な理由つけて髪を結ってもらったりしてた」

陽炎「そんな風にするしか、触ってもらえないから…」

吹雪「その時に司令官の前で髪を下してたんだね」

提督「そうだったのか。わけもわからずあの髪型にしろなんて言うからどうしたんだと思ってたが」ナデナデ

陽炎「みんなの言うとおり、私、長女っていうのを気負いすぎてたかもしれない」

陽炎「ありがとう司令官、これ、すごい安心する」ギュッ

白露「あらら、素直になっちゃって」

五月雨「落ち着くんだよね。提督に頭触られてると」

吹雪「みんな司令官が大好きってことだよ」

提督「なんだか俺の方が恥ずかしくなってきたな…」

白露「これだけのかわいい女の子に好かれてるんだから幸せ者だよ提督は!これ以上望んだらバチ当たるからね!」

提督「はは、それもそうだ」

提督「よし陽炎、良い機会だ。今はせっかく髪も下してることだし、あれをやってみるか」

陽炎「…え?」

わしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃ

陽炎「ひゃあっ!? ちょ、ちょっと司令っ!?」

五月雨「提督!?」

白露「おお、もみくちゃ…」

吹雪「司令官!?なにしてるんですか!?」

提督「陽炎は普段髪をまとめてるからな。下さないとこういうことはできないから」

提督「陽炎には前々から任務帰りなんかにこうしてみたかったんだが、髪を崩すことはしたくなかったんだよなぁ」ワシャワシャ

陽炎「ええっ!? じゃあ…」

五月雨「陽炎ちゃんを撫でるのが少なかったのは…」

白露「普段陽炎がツインテだったからってこと!?」

吹雪「そういえばわしゃわしゃされてるのはみんな髪を下してる娘ばかり…」

提督「いや、髪に特に気を遣ってそうな娘にはやらないし、陽炎は撫でられて喜ぶ娘じゃないって思ってたからってのもある」

提督「でも俺、髪好きだし」

提督「陽炎みたいなタイプが普段から下してたら、関係なくやってたかもしれん」ワシャワシャ

陽炎「はああ!? じゃあもし私がツインテじゃなかったら、私は触ってほしいなんて悩む必要なかったってこと!?」

提督「そうなるかな」

陽炎「ふざっけんじゃないわよ!!」

五月雨「ひっどーい!」

白露「ひっどーい!」

吹雪「ひっどーい!」

陽炎「アンタってマジでひどいのね!!!」

提督「いやそれは不条理だろ…。ていうかこんな時でもちゃんと乗るんだな陽炎」

陽炎「もう! 今までやらなかった分ちゃんとやってくれなきゃ許さないんだから!」

提督「ああ、望むところだ」ナデナデ ワシャワシャ

陽炎「手を止めちゃ駄目なんだからね!」

白露「…見た目は乱暴なんだけど、なんだか…」

吹雪「ちょっと…やって欲し」

五月雨「海風ちゃんスタイルになってる場合じゃないです!」シュルル バサァ

白露 吹雪「!?」

五月雨「提督! 私にもそれやってください!」ササッ

提督「えっ、お前の長さでこれやるとすごいことに…」

吹雪「私も磯波ちゃんになってる場合じゃない。司令官私の長さなら大丈夫ですよね!」パチン シュルッ

白露「あたしも! リボンでおしゃれになってる場合じゃねえ!」シュルパチン ポイ

陽炎「私のゴムとリボン投げんなー!」

「お願いします提督!」「提督早くー!」「司令官!」「司令!今は私の番なんだからね!」

提督「…俺の手、もつかな…」



「おはよー」「おはよーぴょーん」

陽炎「おはよ、訓練頑張んなさいよー?」

「今日はボクは負けないよー!」「うーちゃんだって負けないぴょ~ん」

陽炎(あれから、司令官はよく撫でてくれるようになった)

陽炎(でもやっぱり妹達の前で撫でられてるのを見られるのは嫌だし、仕事中に撫でられる時は司令官の他にあの3人の前だけだ)

陽炎(司令官は甘えるようになった私を見て安心すると言っていたが、半分は自分の楽しみが増えたことを喜んでいるようにも見える)

陽炎(もともと髪フェチの変態司令官だしね)クス


陽炎(私はたまにだけど、部屋に行っては司令官に甘えるようになった)

陽炎(あの時司令官に抱きしめられて撫でられた時、今まで何を悩んでいたんだろうって、詰まっていたものが下りたような気分だった)

陽炎(この鎮守府初期からの付き合いである、あの娘たちのおかげだ)

陽炎(吹雪と五月雨はともかく、あのお調子者も、なんだかんだで良い友達だってことが改めて分かった)クスッ

陽炎(私はこうなれたけど、もしかしたら私と同じ悩みを抱えている娘がいるかもしれない)

陽炎(私達長女にではなく、司令官に甘えたいけど甘えられない娘が)

陽炎(もしそうなら、ちょっとだけでも司令官に甘えられるように、手伝ってあげたいと思う)

陽炎(思い当たる娘といえば、不知火、時雨、白雪。私たちの2番目の妹達だ)

陽炎(みんな真面目、しっかり者という言葉が似合う良い娘だが、それゆえ3人とも自分一人で悩んでしまう癖がある)

陽炎(次女ではあるが、下に妹がたくさんいるという立場は私達長女と同じだ)

陽炎(甘えたい願望が私の思い過ごしなら良い)

陽炎(特に不知火は何事においても頑張りすぎてしまう娘だから、もしそうなら解決してあげたい)

陽炎(とりあえず今日が終わったら、不知火にさりげなく聞いてみようかな?)

陽炎(あのわしゃわしゃまではいかなくとも、それとなく甘えられるくらいにはしてやれるかも)

コンコン

陽炎「失礼します。司令官、工廠の資材は」

不知火(髪下し)「ぬいっ! ぬいっ!」ワフワフパタパタ

時雨(髪下し)「提督っ、早く! 次は僕だよ!」

白雪(髪下し)「駄目です私ですよ司令官!」

吹雪「し、白雪ちゃんどうしちゃったの!?」

五月雨「時雨姉さんお願い落ち着いて…」

提督「…白露、お前一体何を言ったんだ」ナデナデ

白露「こないだのこと、司令官が撫でてくれたことを教えてあげたんだよ」

白露「それこそじーっくり、ねーっとりどれだけ気持ち良かったかを、ね♪」

提督「どんな洗脳すればこいつらがこんなになるんだよ…」ナデナデ

白雪「左手が空いてるじゃないですか! こっち使ってください!」

時雨「ああっ! ずるいよ白雪! 不知火そろそろ僕に代わってよ!」

不知火「不知火に…落ち度でも…」ホッコリ

提督「分かった分かったから、ちゃんとみんな撫でるから落ち着け」ナデナデ

吹雪「白雪ちゃん!そんなナデナデに必死になってる白雪ちゃん見たくないよ!」

五月雨「時雨姉さんやめてよぉ…」

陽炎「…」

白露「おっ、陽炎お帰り! どう? みんな抵抗なく甘えられるようになったよ!」



陽炎「なにしてくれてんのよアンタはぁーーー!!」

白露「てへ♪」

終わり
書いてて楽しかった。見てくれてありがとう。またどこかで。

ちなみに>>1の初期艦は電ちゃんです。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年10月20日 (金) 02:49:59   ID: rBTjZss8

なんじゃこのssはー…ちょーーほっこりするんじゃ~(*´ω`*

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