男「変な奴に好かれた」女「ははは」 (62)

男「バタフライエフェクトって知ってるだろうか」

男「その語源は、あれだ、どっかの国のちょうちょの羽根のはばたきが」

男「また別の国では、それがスゲー嵐を生む、みたいなヤツ」

男「つまり過去に起こった些細な出来事が、年数を重ねるに連れとんでもない事態を引き起こす」

男「時間跳躍もののドラマでよく聞く、まぁ実際は時間なんて巻き戻せないんだから」

男「何が原因でこうなったか、分からないんだけど」

女「開けてぇええええええええええ!!!!!!」ドンドンドン!!!!

男「開けねぇっつってんだ!死ね!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1461598275

男「いや、原因は分からなくもないな」

男「1度目は誰だこいつってなった、2度目はまたかよってなった」

男「3度目で思い出した」

男「昔俺が、女の子を助けてあげたことがあったじゃん、5歳くらいの頃」

男「多分そいつだ」

男「さっきの言葉に当てはめるなら、ちょうちょの羽根のはばたきがそれ…嵐がこれ」

ドンドンドン!!!!

男「…」

妹「それが今起こってる事態の原因だって言うの?」

男「…分からん…すまん」

妹「…ねぇ、警察に言った方が良くない?」

男「そうだな、いや、それがいいんだけどさ」

妹「何?」

男「俺あいつに何もされてねーんだよ」

妹「はぁ!?されてないって何!?今現にこうして私の睡眠を妨害してるじゃん!!」

男「…まぁ、そうだけど」

妹「これで私のお肌が荒れたらお兄ちゃん、もといちょうちょの羽根のはばたきのせいだからね!」

男「…」

妹「…ねぇ!聞いてるの!?」

男「…あー、うん」

妹「もういい!お兄ちゃんが連絡しないなら私が連絡する!」

男「だぁぁ!待て待て!」

妹「何を待つのよ!毎晩毎晩うるさくて仕方ないよ!」

男「何か理由があるかも知れないだろ!」

妹「じゃあそれを今すぐ聞いてきてよ!ちょうちょの羽根のはばたきさん!」

男「誰がちょうちょの羽根のはばたきだ!」

妹「自分で言ったんでしょ!」

男「…ぐぬぬ…」

ガチャッ

男「…あのー…」

女「死ねええええええええええ!!!!」

バタァン!!

男「話の通じる相手じゃない」

妹「通じるどころか命を狙われてたけど」

男「何でなんだろうな、助けてやったんだから感謝はあれども命を狙われる理由はないはずだ」

妹「悠長に言ってる場合じゃないよ」

男「うん」

妹(お兄ちゃんってほんとお人好しだよね)

男「…」

妹(あんな人、さっさと通報しちゃえばいいのに)

男「そうもいかないだろ、あの人だって一応未来があるんだ」

妹「…ねぇ」

男「…ん?」

妹「それが原因じゃないの?」

男「…」

男「…かなぁ」

妹「一回目に出会った時にさ、自分の考えを読まれて」

妹「そして、こう…怖くなっちゃって…不安定になった…とか?」

男「…いやぁ、どうだろ?」

男(物心ついた頃から、人の考えが読めるようになった)

男(別に大したことじゃない、その力で俺になにか変化が起こったわけじゃないし)

男「それはねーんじゃねーかな」

男「…あの女の考え…読めなかったし」

妹「へ?」

男「…」

妹「読めなかった?お兄ちゃんが?」

男「そうなんだよ、だから尚更不気味でなー」

妹「…ふーん」

男「お前生理か?」

妹「は、はぁぁ!?」

男「やっぱりな、やっぱこの力がなくなったわけじゃない、弱くなったわけでもない」

妹「さ、最低!死ね!」

男(…んー、じゃあ何でだ?あいつ何で俺に付きまとうんだ?)

男(…今はまだ、通報はしたくない、けど…)

妹「…もー、ほんっとにうるさいなぁ…」

男(…まー、これ以上続くようなら、考えないとな)

56 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/23(土) 00:06:17.33 ID:2vN2clFz0
メモで書いてるから55までレスきてるとは思ってもみなかったwwwww
はえーよw

提督「ほら、間宮券だ」

陽炎「しーれーいーかーん?」

提督「何だよ、高価なもんだろ?」

陽炎「確かに高価だけどさぁ~……あーもういいや、今日は疲れちゃったから間宮さんのところで甘味食べて寝るよ」

提督「おうそうしろ……ところで陽炎?」

陽炎「なに?」

提督「来週にはたくさん間宮が手に入るかもしれんぞ?」

陽炎「……はぁ?それってどゆこと?」

提督「明日には説明するよ。ほら、今日はお疲れさんってことだ」

陽炎「全く意味わかんないけど……はーい」



提督「……あいつなら、あの3人を止められるかもしれないな」

提督「……人間性を捧げよ……か、あいつらは果たして救えるのか……」

提督「大丈夫だろうな、さてと、執務を終わらせるその前に磯風のところに見舞いに行くかな……」

57 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/23(土) 00:08:58.72 ID:2vN2clFz0
みなさまお疲れ様でした。



よろしかったらこちらも書いてますのでぜひ参加してください

陽炎「ダークソウル3?」提督「陽炎型は強制参加な」
陽炎「ダークソウル3?」提督「陽炎型は強制参加な」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1460706468/)

html出してきます

101 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/23(土) 01:07:00.08 ID:2vN2clFz0
陽炎

102 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/23(土) 01:08:12.71 ID:2vN2clFz0
ksk

131 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします sage 2016/04/23(土) 01:45:52.94 ID:2vN2clFz0
荒らし止めなよ
迷惑じゃないの?

201 ◆bcl3OxnGHI sage 2016/04/23(土) 21:40:51.18 ID:2vN2clFz0
今日の更新はお休みさせていただきます


荒らされてるから気の毒だと思ってたらこいつ自演作者じゃねえか
これは荒らされて当然だし荒らしはもっと荒らせよ

大学


友「よう、今日も男前だな」

男「なんかいい事あったのか?」

友「俺がお前を褒めただけでそこまで言うのか」

友「今日飯どうする?」

男「ん?昼?だったらお前んちで食うわ」

友「了解ー、姉ちゃんに連絡入れとくわ」

男「羨ましいよなぁ、お前の家族は料理できて」

友「妹ちゃん、まだ飯マズなの?」

男「いや、あれはもう直らねーよ」

友「…ふーん」






友「でさぁ、あれ何よ?」

女「死ね死ね死ね死ね死ね死ね…」

男「目ェあわすな、殺されるぞ」

友「…うわ…何か氷袋持ってんだけど…」

男「…そんなもんで殺るつもりか…」

友「おいあれやべーって、目がギラギラしてる」

男「あいつはな、俺を絶対殺すウーマンだ」

友「…は?」

男「ちょっと前から俺を付け回してる、昨日初めて口を聞いたがその時には俺に死ねって言ってきた」

友「いやいや、何してんだよお前…警察に言えよ」

男「まぁまだ殺された訳じゃないしな」

友「馬鹿かお前、お前が言わないなら俺が…」

男「まぁ待て待て!」

友「…」

男「まだ何もしてないのに警察に連絡っていうのもかわいそうだろ」

友「何もしてなくねーだろ…」

男「ほれ、次の授業は外だろ、行くぞ」

友「…あー、くそ」

友「…お前のせいで俺まで被害被ったらマジ許さんからな!」

男「おう、任せろ」

友「バカタレが!」





女「…」

女「…」

女「…かっこいいなぁ、やっぱり」

女「あー、かっこいいよぉ…男くん」

女「かっこいいかっこいいかっこいい、好き好き好き」

女「かっこいいかっこいい、大好き大好き」

女「…あんな人と、一緒になれたら、うれしいな」

女「…男くんの、笑った顔が見たいなぁ」

女「…男くん…男くん…男くん」





女「…よし、殺そう」

男「…」

男「…だでぃーま」

男「…ん?」

男「…おい?どうした?」

妹「…あ、お兄ちゃん」

妹「…大学はどうだったの?」

男「?いつも通りだけど…」

妹「…そ、そう」

男「…?何だよ?何かあったのか?」

妹「…ううん、大したこと、無い」

男「…まさか、あの女が…?」

妹「…」

妹「…違うよ…あの女の人は、関係ない」

男「…?」

妹「…お昼にね、何人かの人が訪ねてきたんだ」

男「?」

妹「…お兄ちゃんについて聞いてきた」

男「…は?俺?」

妹「…最初は私もよく分からなかったんだけど…冷静になって考えてみると」

妹「…取材、ぽい奴」

男「…」

男「…へっ?」

妹「多分、あれって、マスコミみたいな感じじゃないかな…」

男「…えー?俺なにかしたの?」

妹「…お兄ちゃんは居ませんって言ったら、帰っていったから…」

妹「て、てっきり私、お兄ちゃんが犯罪でもしたのかと思って…」

男「お兄ちゃんはそんな事しないぞ」

妹「そ、そだよね…ご、ごめん」

男「…しかしなんだ、ここ最近の騒がしさは」

男「隣町でもあっただろ」

男「脳科学研究所爆破事件、だっけ」

妹「…それは、関係ないんじゃない?」

男「いや、そうなんだろうけど…」

男「あの女も、ずっと付き纏ってくるし…」

妹「き、今日も?」

男「ずっと俺の後つけてきた、やばいなアイツ」

妹「や、ヤバイね…」

ドンドンドンドンドンドン!!!!!



妹「…ひあぁ…」

男「うるせぇなぁ」

妹「ねぇ…ほんとにどうにかしてよ…」カタカタ

男「…分かった分かった、ドア越しに話しかけてくる」




男「…おい」

女「…っ!」

男「あのさぁ、マジで眠れないからやめてくれないかな」

男「…?」

男「…おい?」

女「…死んで…死んで…」

男「だからさ、死ね死ね言ってたんじゃ分かんないんだよ」

男「何で俺が死ぬんだよ?」

女「…嫌なの?」

男「当たり前だろ」

女「だったら…私を通報すればいい」

男「…んぁ?」

女「殺せばいいじゃない、私を」

男「…自殺だったら勝手にしてくんない」

男(…ダメだな、声聞くだけでも普通なら考え読めるのに)

男(マジで何なんだよ、この女)

女「だって」

男「…はい?」





女「あなたが死んだら意味無いじゃない」

男「…」

男「…」

男「あんた言ってること無茶苦茶じゃねーか」

男「俺に死んで欲しいの?マジで通報するよ?」

女「出来ない」

男「は?」

女「あなたは、出来ない」

男(…舐められてんのかなぁ、俺)

女「っ…」

女「…なら…」

女「死ぬなら今すぐ死ね!」

女「生き延びようと考えるな!今すぐ!今すぐ…!!」

女「…今すぐ…死ね…」

男「…」





妹「…どうだった?」

男「ありゃ頭イカレてるな、話にならないわ」

妹「…それで、どうしたの?」

男「あー、ほっといた」

妹「…っ…お兄ちゃん…」

妹「…お兄ちゃんおかしいよ…?何だってあんな人ほっておくの…?」

男「別におかしくないだろ」

妹「おかしいよ!今すぐ通報すればいいじゃない!なんであんな知らない人の肩もつの?!」

男「…あー、友も言ってたなー」

妹「…おかしいよ…お兄ちゃん…」

男「…うるさいな」

妹「…」

男「別にいいだろ、お前はつけ回されてないじゃん」

妹「…っ」

男「んじゃー、寝るわ、ははは」

大学


男「よー」

友「…ん?あ、おう」

男「次どうする?」

友「んー、面倒臭いな、カードだけつけてサボるか」

男「…なあ、まだ居る?」

友「居るなー」

男「…はあ」

友「お前さ、あれマジでどうにかした方がいいって」

男「…」

友「おまえなんでそんな悠長なの?」

男「んなことねーよ」

友「お前がしないなら俺がするからな」

男「…余計な事しなくていいって」

友「…」

友「あの女の事知ってんの?」

男「いいや」

友「お前さぁ…なんで知らない奴の肩もつんだ?」

友「あんな奴どうだっていいじゃん、馬鹿なの?お前」

男「だって…俺が一人きりの時も俺あいつになにかされたってわけじゃねーし」

友「機を伺ってるだけかも知れねーじゃん!」

男「…」

友「お前さ、どっかおかしいよ、マジで」

男「ははは」

男「焦ってないのは、本当だわ」

男「気にすんなよ、お前に迷惑かかってるわけじゃないんだし」

友「…」

友「…そうかよ」





男「たでぃーま」

パシャパシャパシャパシャ

男「うおっ?」

「やー、君が……!」

「あぁ、ごめんごめん、君が男くん?」

男「…」

男「ですけど」

「ごめんねー、こんな夜遅くに」

男「いいですけど、何すか?」

男(これ、昨日来たって言ってたマスコミか)

「いや、今度ね、我々のテレビ番組で特殊能力を扱う事になっていてね」

男「…」

男「…は?」

男「特殊能力?」

「そうそう、それで君の噂を聞いてねー」

男(マスコミじゃねーじゃん、特番放送的な奴?)

男「…誰から聞いたんですか?」

「まぁまぁ、そんなこと言いじゃん!ね、それで本当なのかな!その、心が読めるって奴!」

男「まー、嘘じゃないですけど」

「…良かったら、俺の考えてること、当ててみてよ!」

男「はぁ?」

「いいからいいから」

男(んなもん、既にダダ漏れてる訳だが)







男「俺って、気持ち悪いですか?」

「え?」

「そ、そんなこと無いよ…」

男(はい嘘ー)

男「冗談ですよ、えーと、あんたの心を読めばいいんですか?」

男「何か考えてくださいよ」

「あ…ええっとね…」

男「…」

男「…あぁ、今五千円しか入ってません」

「…!」

男「いや、俺アルバイト嫌いなんで、両親からの仕送りですね」

「…ほ、本当に、読めるのかい?」

男「読んだでしょ、今」

男「す、凄い…!これが本物なら、俺出世できるんじゃ…!」

「…ちょ…」

男「俺みたいな奴捕まえたところで出世できないんじゃないすかね、というかあんたんところの出世ってそういうシステムじゃないと思うんですけど…」

「…」

男「まず第一、俺TVとか出れないでしょ?」

「…いや、そんな事無いと思うけど」

男「一ついいですか?」

「…?」

男「考えなんか読めなくても、顔に出てますよ」

男「俺分かるんすよ、こういう顔してる時は俺のこと悪く思ってんだなー、とか」

「…」

男「どう思われようと、いいすけどね、じゃ」

男「ははは」バタン

「…何だ、あのクソガキ…!」

ドンドンドンドンドンドン!!!!!



妹「…もう…いやぁ…」

男「おーい、飯できたぞ」

妹「…要らない」

男「おいおい、兄ちゃんが心を込めて作ったご飯が食えないってのか」

妹「…」

男「ん?」

妹「…こんな…」

妹「…こんな…!夜遅くに帰ってきて…!今更ご飯なんて…!」

男「食わないの?」

妹「茶化さないでよ…おかしいよ…どうして私を一人にするの?」

男「おいおい、お前もうそんな年じゃないだろ」

妹「…普通の日だったらね!でも違う!!」

妹「…私は…怖いよ」

男「…」

妹「おかしいよ!あの女の人も!何にも感じてないお兄ちゃんも!」

妹「明日になったら…!お兄ちゃんも私も殺されてるかも…!」

男「大丈夫だって」

妹「…どうして?」

男「んー、だってほら、犯罪犯す奴ってもっと計画的じゃね」

妹「…そうとは限らないじゃない…!馬鹿ぁ!!」

妹「…もういいよ…!そんなに悠長なら…」

妹「お兄ちゃん1人でこの家に居ればいい!!」

男「…」






男「本当はずっと出ていきたかった癖に」

妹「…っ!」

男「今更もっともらしく理由なんてつけるなよ」

男「俺が嫌だったんだろ」

妹「…ち、ちが…」

男「ちがくないだろ、俺に嘘つくな」

妹「…うぅ」

男「不気味なんだろ?俺が気持ち悪いんだろ?」

妹「で、でも…私は…!」

男「いや、いいよ、別に気にしてないから」

男「出て行きたいなら勝手にすればいいじゃん、俺に宣言する事じゃない」

妹「…」

男「気にしてないように振る舞っても本音は変わらない」

妹「…お兄ちゃん」

男「顔見れば分かるよ、こんなもん無くてもね」


バァン!!




男「…」

男「…あ、これじゃあの女と妹鉢合わせじゃん」

男「ま、大丈夫でしょ」

ドンドンドンドンドンドン!!!!!

ドンドンドンドンドンドン!!!!!

ドンドンドンドンドンドン!!!!!




ガチャッ

女「…死んで」

男「…そう言えば、まともに話すのは二回目かな」

女「…っ…」

男「入れば?飯あるよ」

女「…」

男「妹見逃してくれたっぽいね、ありがとう」

女「…」

男「…」モグモグ

女「…」

男「でさ、なんで俺に死んで欲しいの?」

女「…」

男「あんたの考えは読めないからさ、口にして欲しいんだけど」

女「…あなたは、死ぬべきなのよ」

男「そういうさぁ、何か他に隠し事があるみたいな言い方しないでよ」

男「なんで俺に死んで欲しいの?それって5歳くらいの頃あんたを助けたことに関係してる?」

女「…」

女「…私は…」

女「…私は、あなたに死んで欲しくないっ!!」

男「…」

男(また出たよ、無茶苦茶発言)

女「…でも、あなたが死なないと…」

女「…あなたは、もっと…」

女「死ぬよりももっと…ひどい目に遭うことになる」

男「…付き合ってられないや」

男「って、言いたいんだけどさ、そんな感じでもないよね」

男「あんた、なんか知ってるの?」

男「死ぬよりも酷いことって何?」

女「…」

女「…あなたの身の回りの人が死ぬ」

男「…」

男「すっごいイカレてるね、あんた」

男「それって君が殺すってこと?」

女「違うっ!」

男「でも君は俺を殺そうとしてたよね」

女「…してたよ」

女「…してたけど、やっぱり…殺せない」  

女「…」

男「?」

女「…私は、あなたが好きだから」

男「…」

男「…嘘ばっかり」

女「…」

男「実の妹でさえ、俺のことを内心よく思っちゃいなかった」

男「なんであれ以来全く関わりのないあんたがそんな事言えるの?」

男「…ははは、どの面下げて言えるの?」  

女「…」

男「なぁ、俺って気持ち悪いだろ?」

女「っ、そ、そんなこと無い…!」

男「そんなことない訳ないじゃん」
 
女「…そんな、事…」

男「ないわけないだろ」






友姉「はぁ、それで出てきちゃったってわけ?」

妹「…」

友「…あいつ」

友姉「…その女の子のことは置いとくとして」

友姉「妹ちゃん、どうしたいの?」

妹「…」

妹「仲直り、したい」

友姉「でもさー、自分の事どころか、身の回りの人の事もどーでもいいと思ってる人だよ?」

友姉「なんで?」 

友「…おいねーちゃん、そんな言い方…!」

妹「…」

妹「…お兄ちゃん、だから」

妹「私はもう、何も思ってないよって、伝えたいから」

妹「初めて見た時は…とっても失礼なこと思っちゃった、お兄ちゃんはそれを今でも引きずってる…」

妹「だけどっ!私が間違ってたって…!お兄ちゃんに…言いたいから…」

友姉「そっか」







男「見ろよ、これ」

女「…っ」

男「五歳の子供が、車に引かれて無事ですんだら奇跡だよな、それ」

男「無事だったよ、俺は」

男「だけどそれは命に別状がなかったってだけで」

男「傷を負わなかったってわけじゃない」

女「…ごめん」

男「ん?怒ってないよ、ただ、嘘をついて欲しくないだけ」

男「やばくね?この傷」

男「皮膚持っていかれてんだぞ、これ」

男「ははは」

男「まるっきり、バケもんだろ、この顔」

女「…っ!」

男「鏡で見て、毎日思うよ、気持ちわりぃって」

女「…やめて」

男「でも治ればいいとは思ってない」

男「事故から回復して初めて妹と顔を合わせて」

男「考えを読んで、知ったから」

男「あー、俺って気持ち悪いんだって」

女「やめてっ!!!」

男「…」

男「それって、単なる事実でさ」

男「今は、この力あって良かったって思えるよ」  

女「…やめて…」

女「…そんなに、自分を…粗末に扱わないで…」  

男「あんたが俺のどこを好きなのか知らないけど」

男「一つだけ言うなら」

男「止めとけば?」

女「っ…」

男「あんたイカレてるって思われるよ」

女「…あなたも、おかしくなってるよ」

男「それはどうも」





男「…」

男「…帰ったか」

男「…俺がおかしいね」

男「そりゃおかしいだろ、こんな顔してんだから」

男「よし、妹を迎えに行くか、多分友んちだろ」





ドンドン

男「…」

男「…ん?」

男「…妹いないのか?いや、友は居るだろ?」

男「…おーい」カチャッ

男「…?」

男「…」

男「…」ピチャッ

男「…なんだ、これ…?」

男「…血?」

男「…」

男(いやいやいや、おかしいだろ、血って)

男「おい!友…!!居るのか!?」





友姉「…う…ひっく」

友「…うぐ…うぇえ…」

男「…」

男「…何だ?これ?」

男「何だ、これ?」

男(生暖かい、それでいて仄かに甘く香る)

男(どっかで、嗅いだことのあるような)

男(それこそ、今日、嗅いだことがある…)

男「…肉の、匂い?」





男(真っ赤は、犇めき蠢く、躙り寄る色)

男(そう書かれた大きな紙の上に)

男(妹は、綺麗に並べられていた)

男「…」

友「…うぐ、おええええ…!!」

友「な、んだよ…これぇ!!」

友「…お前、どこに行ってたんだ!?何してたんだよ!?」

男「…なぁ、あれって」

友「あぁ!?」

男「妹だよな?」

友「…ああああ!!」

友「お前が悠長にしてるから!お前が何もしないから…!!」

友「巻き込まれちまったんだろうがぁ!!!」




男「気持ち悪」

友「…」

友「…は?」

男「やばいな、これ」

男「おい友、大丈夫か?立てるか?」

友「…お、まえ…」

男「おいおい、あんまり見るなよ、俺ってそんなに男前か?」

友「ふざけんな!!!!!」

友「お前…何考えてんだよ…?」

友「殺されちまったんだよ!!俺の目の前で…!妹ちゃんが…!!」 

男「…」

男「でもそれって、事実だろ?」

友「…あ?…は?」

男「妹が殺されて、こんななっちゃったって…」

男「ただの事実じゃん、妹だって心では俺の事を気持ち悪いと思ってた」
 
男「何がいけないんだよ?」

ドゴォ!!!

友「…クズが…!クズがクズがクズが!!!」

友「妹ちゃんは…!お前に、謝りたくて…!!」

男「?」

男「謝ったら、事実は消えるのか?」

友「…ぅ…あ」

友(…ダメだコイツ、イカレてる)

男「お前もそういうこと言うのか」

男「だったら、俺はイカレてるのかもね」




男「ははは」






「昨夜、〇〇県〇〇市で、殺人事件がおこりました」

「被害に遭ったのは近くの学校へ通う中学三年生の…」

「死因は、まだ分かってはおりません」 

「怨恨の可能性もあると見て…」

「警察は、付近に怪しい人物化いなかったかどうか、また目撃者である2人から協力を仰ぎ全力で操作に望むとの事です」

「どうですか?この事件」

「明確な殺意が認められる以上、そして未来ある若者のこれからを奪い、今なお逃げ続けている事から、極刑は免れないかも知れませんね」   





男「報道規制ってやつか?」

男「死因くらい分かるだろ」プツッ

男「…」

男「…広いな、この部屋」

ドンドンドンドンドンドン!!!!!

男「…」

ガチャッ

「△△報道のものだけれども!男くん!心当たりはないのかな!」

「男くん、何でもいいからコメントを…!」

男「…」

男「こういう時親がいないって不便だな」

(すげぇ、醜い顔だ)

(案外コイツがやったんじゃないのか?)

(こいつ、〇〇さんが言ってた考えが読めるとかいうホラ吹き野郎じゃ…) 

男「…」

男「…うぅ…」

男「…妹は…とても…優しいヤツでした…!」

パシャパシャパシャパシャ

男「う…うあぁぁああああ…!!!」




男(妹が居ないから野菜は要らないな、久しぶりに肉でも食べようかな)

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