セーラ「うんコマ劇場④やで!」爽「マジで」 (210)



その37.~イソップ寓話「北風と太陽と便器」の巻~


昔々、ある所にそれはそれはドエロな神様が二人おりました。

一人は、風を操る風神「北風」であり、もう一人は光を操る天空の神「太陽」でした。

二人の趣味は共通していて、女子高生の服を脱がすことでしたが、そのやり方については少し考えが違いました。


北風(爽)「ククク・・・ なんといっても、嫌がる女の子の身ぐるみをムリヤリ引っぺがす… あの時の興奮といったらそりゃもう… 我を忘れるほどだぜっ!」ゲスススススゥ・・・

太陽(久)「あら、あなた分かってないわね。 いい? 恥ずかしがりながらも、自発的に服を脱いでいく女の子をゆっくり鑑賞する… それこそがエロスの極みってものよ?」フフン


お互いのフェティシズムについて議論を交わす二人の前に、一人の少女が現れました。


宥「クロちゃんの便秘が全然治らないよぉ… 早くイチジク浣腸買ってこないと…」トコトコ



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・爽「獅子原爽のトイレ探訪記!」ユキ「行ってらっしゃい」(千里山~鹿老渡編)  
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 の番外編

・1作目→セーラ「うんコマ漫画やで」爽「いいね!」
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・2作目→セーラ「うんコマ漫画②やで」爽「なるほど」
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・3作目→セーラ「うんコマ漫画③やで」爽「よっしゃ!」
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・意見、文句、支援、非難、叩き、荒らし、乗っ取りetc.なんでも歓迎、だけど批判多き場合は途中で閉じます。

・今回は四コマ漫画というよりは、童話や昔話、神話などをパロったトイレ・うんこ話を劇場風にお届けします。 いままで通りちんたらちんたらテキトーに続きます。



久「あら、あのコかわいいわね。 どう?北風さん? こうして議論してるだけじゃラチがあかないから… どちらが先にあのコの服を脱がすことができるか、勝負しない?」

爽「おう、おもしろいじゃねーか。 その勝負・・・ノッたぜ!」カッ

久「あなたが先攻でいいわよ」

爽「よっしゃ! 一瞬でフルヌードにしてやるぜ… オッラアアアアァァッ!!」ビュッゴオオオォ―――ッ!

宥「!?」


 ヒュゴオオォォ―――――ッッ!!


北風はその口から猛烈な突風を吹き起こし、少女の服を脱がしにかかりました。

しかし・・・


宥「う、は、はわわわわ… すごい風だよぅ… でも、クロちゃんのために、早く浣腸買いにいかないと…!」ググググ・・・


その少女は両手でしっかりと上衣をおさえ、両足を踏みしめて前進し、どんなに風が強く吹いても全くひるむ様子もありません。


爽「ふ、ふぅ、ふうううぅ~~~・・・! ち、ちくしょう! あのコ意外とガードかてぇな… やっべ、息吹き過ぎて酸欠で頭クラクラしてきた…」フラフラ

久「フフ… じゃ、私の番ね」ニタリ


久「さぁ、いいコだから、私にあなたのキレイな肌を見せてちょうだい・・・!」ピカアァァ―――ッ!


太陽がMAXまでその輝きを増し、灼熱光線が大地をギラギラと照りつけ、みるみるうちに気温が上がっていきます…!

ところが、


宥「・・・あ、なんだか、ちょっとあったかくなってきた… ふぅ、これぐらいならちょうどいいかも♪」テクテクテク


熱帯の如き強烈な太陽光が降り注いでいるといるというのに、なんとその少女はマフラーすら脱がずに、元気に歩き始めてしまいました。


久「え? はれ? どうなってんのこれ・・・ もう真夏の暑さだっていうのに、あのコどうして何も脱がないの?」


爽「結局両方ダメだったな… 今回は引き分けだな」

久「そうね。 あーあ、あのコのストリップ、見たかったんだけどな…」


二人の神様があきらめて、その場を立ち去ろうとした、その時・・・!

道の脇から、妖しげな声が少女に向かってかけられたのです。


?「もし、そこのお若い方・・・ ちょっと待ってくれんかのう?」

宥「え?」


少女に向かって声をかけたのは、最新式ウォシュレットを備えた洋式便器でした。


便器(いちご)「どうやら先を急いでいるようじゃが… 急がば回れとはよう言うたもんじゃ。 ここらで一発、スカッとうんこしていったらどうかのう?」

宥「……」


天使のような笑顔で少女に微笑みかける洋式便器(いちご)・・・

確かに、少女は、自らの下腹部に不穏な圧力をかけて迫り来るモノを感じていました。


宥(薬屋さんまではまだ遠い… 確かに、ここでうんこをしておいた方が、いいかも…)

いちご「どうじゃ? ちゃちゃのんの便座はポカポカあったかくて気持ちよいんじゃぞ~?」ニコニコ

宥「あ、そうなんですか? それじゃ、お世話になりますね♪」ヌギッ!


久「!? ちょっと! あのコ、いきなりパンツを脱いだわよ…?」

爽「な、何をォ…? 一体何が起きてるんだ?」


宥「ふぅ―― っむぅ・・・」ブリブリブリィ・・・


爽「お、おいおいマジでどうなってんだよ…? 私たちがいくらやっても何も脱がなかったあのコが、尻を丸出しにして自分からアイツに密着させてる…!」

久「く…! なんて羨ましい…! こ、これは、一体、どんなトリック…?」


さらに・・・


いちご「さぁ、仕上げじゃぞぉ~~…♪ww」プシャアアアアアァァ・・・・!

宥「あ、あ、はあぁん! キモチイイヨォ・・・///」


久「うぇ? ちょ、アイツ、あのコのお尻の穴を洗い出したわ…?!」

爽「ま、マジか…? クソォ! なんて極悪非道なプレイを…!」ギリッ


 ジャッバアァァ~~~・・・・・


宥「ありがとうございます便器さん! おかげでとってもスッキリしました♪」ペコリン

いちご「気をつけてなぁ~」テカテカ


少女がその場を去ると、すぐさま北風と太陽は便器のもとへと走りよりました。


爽「お、おいおいお前! さっきのはどういうワケだよっ! なんであんなに簡単にあのコはパンツを脱いだんだよっ?」

久「しかも、自分からお尻を突きつけてくるなんて・・・ 一体、どんな魔法を使ったのよ?」

いちご「フフフ… ええか? 人間は誰しも、“うんこ”というものをするんじゃ… そこにつけこめば、パンツを脱がすくらい造作もないことなんじゃぞぉ…」クックック・・・

爽「うんこ…? そ、そうか、その手があったか…!」

いちご「デュフフフフ… ちゃちゃのんにかかれば、どんな麗しいガードのカタいお嬢さんも、イチコロじゃ…! ちゃちゃのんは今まで、何千人ものすばらなお尻を堪能してきたんじゃぞ…!」グフォフォフォフォォ・・・

久「くっ! いいわね… は~あ~… 私、なんで太陽なんかに生まれてきたのかしら… 私も便器に生まれてくれば良かったわ…」

爽「チキショウ…! 私も… 次生まれ変わるときは、絶対便器になってやるっっ!!」


二人の神は自らの運命を呪い… 便器に弟子入りして脱がしのテクを磨こうとしましたが、結局無駄な努力となり、いかに便器が他を超越したレジェンドであるかを思い知りましたとさ。



(カン)


その38.~「もらせメロス」(前編)の巻~



 ザワザワ・・・  ガヤガヤガヤ・・・  ザワザワザワァ・・・・


校内にあるイチョウ並木が黄色く色づき始めた10月のある日のこと、有珠山高校では、全校をあげての文化祭が催されていた。

そして、多くの観客が集まっている講堂の壇上に、麻雀部部長、桧森誓子が立った…


誓子『皆様、大変長らくお待たせいたしました。 これより、各文化部による演劇大会を始めさせて頂きます。』

誓子『トップバッターを務めますのは、この夏、インターハイでベスト8にもなった、麻雀部メンバーによる劇です。 実は、インハイで知り合った全国の高校生たちにも、助っ人に来て頂いてます』

誓子『みんなで部活の合い間を縫って、一生懸命練習しました。 どうぞ楽しんでいって下さいね♪』

誓子『では、始めます。 あの太宰オシャムの名作・・・ 「もらせメロス」です。 どうぞ!』


 パチパチパチパチパチパチ・・・


大して多くもない拍手の中… その、恐るべき幕は、ゆっくりと開いていった…








メロスは激怒した。 必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。


それは、メロスが妹の結婚式のために、花嫁衣装やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる山を越えてウスザーン村から王のお膝元である都サッポロへとやって来た日のことであった。

まず、食料を買い集めたメロスは、都の大路をぶらぶらと歩いた。
メロスには竹馬の友があった。 ユアーンティウスである。
今はこの都サッポロで、服飾デザイナーとして働いていた。
メロスは、オーダーメイドで作ってもらった花嫁衣装を譲り受けに、その友をこれから訪ねに行くところであった。

しかし、その途中で、メロスは鬼太郎のような髪型をした少女が道端でサメザメと泣いているのを見つけ、声をかけた。


爽(メロス)「ヘイ彼女ォ! どったの? ほら笑って笑って! こんなにかわいいホッペちゃんが困ってるぜ?」ナデナデ

女好きのメロスは馴れ馴れしくその少女の頬をなぜてあげたが、彼女は泣き止むことなく、こう言った。

ナルカ「王様が、美少女のうんこを集めているのです」

爽「え、なんで?」

ナルカ「お金になるからだそうです。 実は私も今夜、城へ行って、多くの観衆の前で排便をしなくてはいけないのです」

爽「ナンダトォ…? たくさんのうんこを集めているのか?」

ナルカ「はい、このホッカイドー国の美少女は皆、城に連れてかれました。 そこで毎晩開かれるうんこオークションに出演させられているのです。 この国一番の美少女と噂される琴似栄のヨシダさんも連れていかれました」

爽「なんと、驚いた。 国王はスカトロマニアか?」

ナルカ「いいえ、国王自身はそういった趣味はないそうですが、美少女のうんこを他国へと売りさばいて国の収益としているそうです。 しかし、うんこ要員としてかり出される私たちは、人前でうんこしたり、自分のうんこを徴収されたりするのが嫌でたまりません」


聞いて、メロスは激怒した。


爽「なんてうらやまけしからん王だ! この国中の美少女うんこを集めてウハウハ言ってるとは…!」

爽「しかも、この国の美少女といったら、まずは私に声をかけねーとおかしいだろ! 愚かな王はこの私が成敗してやるぜ…!」

ナルカ「え、いえ、だから王自身がスカトリアンなわけでは・・・」


メロスは人の話を聞かない女であった。
まだ話している少女の言葉を無視し、スタスタと王城に入っていった。

たちまち彼女は兵士たちに捕えられ、懐から短剣が出てきたので、騒ぎが大きくなってしまった。


メロスは王の前に引き出された。


チカ「この短剣で何をするつもりだったのか・・・ 正直に言いなさい」

暴君チカニスは静かに、けれども威厳をもって問いつめた。

爽「決まってるだろーが。 民のうんこを暴君の手から守るんだよ」

と、メロスは悪びれずに答えた。

チカ「あなたがですか?」

王は、メロスを憐れむかのように嘲け笑った。

チカ「仕方がない人ですね。 私だって、このようなことをしたくてしているわけではないんですよ?」

爽「なん…だとぉ…?」


チカ「良いですか。 わが国ホッカイドーは、今、存亡の危機に瀕しているのです。 下賤の者よ、あなたはTPPを知っていますか?」

爽「は? てぃーぴーぴー? なだそれ」

チカ「環太平洋経済連携協定・・・ 要は海外の物資が非常に安くニッポンに入ってきてしまうのです」

チカ「私が治めるここホッカイドーの資源といえば、畜産と農業ですが、海外の安い食品がドンドン入ってくるようになったため、わが民の作る物は全く売れなくなってしまったのです」

チカ「そこで私は新たな外貨獲得の手段として、美少女のうんこに目をつけたのです」


爽「詭弁だっ!」

両腕を後ろ手に縛られながらも、立ち上がって叫んだメロスの声は城中に響き渡った。

爽「人にうんこを強制し、その神聖なるうんこの自由を奪うなどというのは、最も醜悪なる人権の蹂躙だ」

爽「このホッカイドーという国は、熱きフロンティア魂によって開拓された自由と民主主義の国だろう? 人の分身と言えるうんこに対するその扱い・・・ これは重大なる排泄侵害じゃねーか!」


チカ「・・・あなたのような無知蒙昧なる者が、政治を語ってはいけません」

いきり立つメロスに対しても、チカニスはやはり静かに、そして冷徹に言い放った。

チカ「あなたのうんこ哲学など、多くの民にとっては取るに足らないどうでもよいことです。 もうあなたと話すことなどありません。 私に対する暗殺未遂罪と王室侮辱罪の罪により、ハリツケの刑に処します」

爽「マ、マジで?」=3


爽「 た ぁ す けぇ てくぅ れえぇぇぇ――――っ!! チガウッテ! このナイフはただのリンゴ皮むき用のナイフだっつーの!」=3=3


醜く暴れ回るメロス。
しかしいかんせん多勢に無勢、すぐに兵士たちにより取り押さえられ、グルグルのスマキのように縛り上げられてしまった。


カナ「うるさい奴だなっ! もう観念しろし!」

爽「うううぅぅ・・・・!!」=3


床に顔面を押しつけられながらも、メロスは必死にほとんどない頭を回転させ… 一つの悪だくみを思いついた。


爽「お、王様! ご、後生だっ! ハ、ハリツケの前に、どうか一つだけ願いを聞いてくれ!」

チカ「・・・話してみなさい」

爽「じ、実は、私の16になる妹が、明後日、村で結婚式を挙げるんです! 私たち姉妹は、幼い頃に両親を亡くし… 二人でずっと支え合って生きてきたんだ。 唯一の家族である妹に亭主をもたせてあげたいんだよっ! どうか、三日間だけ猶予をくれ!」

チカ「…つまり、3日間だけ解放しろと…? きちんと3日後に戻ってくると言うのですか」

爽「そ、そうです! 3日のうちに、私は村で結婚式を挙げさせ、必ず、ここへ帰ってくる!」


チカ「…とても信じられませんね。 助かりたいだけでウソを言っていますと、顔に書いてありますよ」

爽「ウ、ウ、ウソじゃねえぇ・・・!  !! そ、そうだ! そんなに私を信じられないなら、身代わりを立てます!」

チカ「身代わり…?」

爽「はい、この都に、ユアーンティウスといういけすかない服飾デザイナーの女がいるんです。 私の無二の親友だ。 そいつを、人質としてここに置いていきます!」

チカ「…もし3日たっても、あなたが戻ってこなかった場合は…?」

爽「そ、その時は、その私の友人を絞め殺してくれ。 たのむ、そうしてくれ!」


暴君だが寛大な王でもあるチカニスは、メロスの願いを聞き入れ、王城にユアーンティウスが連れてこられた。


ユアン「おうメロス、なんか知んねーけど城で待ってるっつーから、妹さんの衣装持ってきてやったぞ… って、なんでお前スマキにされてんの?」

爽「ふ、ふ・・・ 久しぶりだなユアン… 助かったぜ!」ニタァッ

ユアン「!?」


メロスが醜い笑みを浮かべると同時に、周りの兵士たちが一斉にユアーンティウスに飛び掛かり、アッという間に取り押さえてしまった。


ユアン「な、な、何すんだテメーら! お、おいメロス! これはどういうワケだよ!」=3

爽「むふふふ…ww いや、実はカクカクシカジカってワケでさw」

ユアン「は、はあぁ・・・?? 身代わり? ざっけんじゃねーよ! そんなの、お前一人で勝手に死ねばいーじゃねーか! 人を巻き込むんじゃねーよクソがっ!!」ジタバタ

カナ「暴れるなっ! 大人しくしろしっ!」


ユアーンティウスの必死の抵抗もむなしく、あわれ彼女は無実でありながら縄を打たれ、牢屋へと連行されていった。

そして、代わりにメロスの縄が解かれた。
彼女は、ユアーンティウスが持ってきた衣装を手に取ると、ニタニタ笑いながら王の前に立った。

爽「んじゃ、そーゆーワケで。 3日後の日没までには戻ってくるからさ」ニヤニヤ

チカ「…メロス、遅れたらあの身代わりの女を本当に殺しますからね。 まあ、ちょっと遅れてくるといいですよ。 そうすれば、あなたの罪は永遠に許してあげましょう」

意地の悪い冷徹な笑みを浮かべて皮肉を言うチカニス・・・

爽「なに? 何をおっしゃる! 私を侮辱するのか?(当たりめーだ!勿論そのつもりだぜっ!ww)」

チカ「ふふふ、命が大事だったら遅れてきなさい。 あなたの心は、分かっていますよ」

爽「バーロー、バカにすんな! 私は戻ってくるぞ! 3日後にまた会えるのを楽しみにしてろよなっ!(こいつマジちょれえw もうアンタとは一生会わねーよ、ブハハハハハハハハwww)」


メロスは心の中で秘かにほクソ笑みながら、城を出ると矢のようにウスザーン村へと駆けていった。



翌日、村に帰り着いたメロスは、早速妹に衣装を試し着させて喜んでいた。


爽「うおほほほほほほほほ/// うーむさすがはユアン、いい仕事するぜ! ドレスなのにフリフリでスリットまで入ってて… 最高にすばらだっ!」グヒヒヒヒ・・・

ユキ「そうですか? メロスお姉さま、一晩中歩いて戻ってきたのでしょう。 少し休まれてはどうですか?」

爽「いやー、ユキのこんな姿見たらもう眠気もフッとぶよっ!ww ナチュラルハイってやつ?」

ユキ「今度またユアーンティウスさまにお会いしたら、私からのお礼も伝えておいて下さいね」

爽「…ん? いやー… アイツにはもう会えねーかもな…」

ユキ「は? え、それはどういう…」

爽「え? あ、いや、なんでもないよ! うんうん、ちゃんとユキが喜んでたって伝えとくからさ!」

ユキ「……?」


そしてメロスが村に戻ってきた次の日、ウスザーン村ではユキと、新郎であるチャチャノーンの結婚式が盛大に行われていた。


 オメデトーッ!  オシアワセニ――!  ユキチャンカワイイヨオォ――!


イチゴ「ぐっふふふふふぅ・・・w 今日のユキちゃんは一段とかわええのぅ…! んんんこのスリットがタマらん…!」スリッ

ユキ「そ、そうですか? 恥ずかしいです、イチゴさん…///」

イチゴ「な、なあ、ユキちゃん、今夜はええじゃろ? 婦婦になったんじゃから、アッチの方も、今夜は最後まで…」グフォフォフォフォフォ・・・

ユキ「は、はい・・・///」


爽「……」


新郎から初夜の営みを求められて頬を赤らめるユキ…
そんな姿を見て、姉であるメロスの心は、喜び以外に嫉妬の炎にも焼かれているのかと、思いきや…

爽(ひひひ… これで超絶かわいい妹が二人になったぜ…! ぐひひ…! さてさて、どうやってあのチャチャノーンちゃんを言いくるめて、夜の営みに乱入するか…)デュフフフフ・・・

嫉妬や妹たちの幸せよりも、二人との夢の3Pを想像してダラしなくニヤけているだけであった。
勿論、自分の身代わりになって幽閉されているユアーンティウスのことなど、欠片も頭にはない・・・


セーラ(メロスの奴、妹の結婚式やっちゅーのに、また気持ち悪い笑み浮かべよって… 何考えとるんや?)

キラメ(あの妖しげな笑い… うーむ、すばらくないですね…)

アコ(何あのキモい顔…? メロスったら、新婦の姉のくせに、だらしないったらありゃしない…)

スミレ(まったく、ここの姉妹は、妹はしっかりしてるのに、姉の方は頼りないことこの上ないな…)


結婚を祝いに来た村人たちも、メロスのそんな様子をタメ息まじりに眺めていた。

そう、この時はまだ、誰も、メロスが明日、友のために自分の人生をかけた凄絶な大爆走をすることになるなどとは、夢にも思っていなかったのである・・・



(続く)


乙ありがトイレ。
中・後編イキます。


その39.~「もらせメロス」(中編)の巻~



 イチゴ『ハァ、ハァ、ハアァン…/// メ、メロスさまっ! そこっ! そこじゃぁっ! あぁ、もっとぉ…ん!///』ハアハア

 爽『ぐっふぉふぉふぉふぉぉ…w なんだ、ここか? こっちもええんじゃないか~…?ww』クチュクチュ

 イチゴ『アハァッ! そ、そんな、いきなりそんなとこまで…/// そんなん考慮しとらんよ…///』 

 ユキ『ちょ、ちょっと、お姉様! イチゴさんばかりそんな… 私の方も、お願いします!』クイッ

 爽『ひひ…w ユキ、大丈夫だよ。 ちゃんと二人とも満足させてあげるからさ!』モニュッ!

 ユキ『あはぁんっ!』=3



爽「・・・・zzzzzzz・・・」グゴーグゴー…


ユキとチャチャノーンの結婚式が終わったその夜…

メロスは、今までの疲れからか倒れこむように眠ってしまい、二人の妹とのめくるめく秘め事を、夢の中で楽しんでいた…


 イチゴ『あっ、あ、あ、 うぅ…あかん! チャチャノンもうイキそうじゃあ…!///』=3

 ユキ『う、あ、お、お姉様…! ユ、ユキはもう… ダ、ダメですぅっ!///』=3

 爽『うおほほほほほほほほほほほほほwwwww』


爽「…zzzzz……」ニタニタニタ


しかし・・・ そんなメロスの枕元に、なにやら怪しげなカタチをした・・・ 何か異様なモノが立ったのである・・・


?『メロス… メロスよ…! 起きるのだ!』

爽「… ん…?」


?『これ、メロスよ…! いつまで寝ているのだ、起きろっ!』

爽「…な、なんだ…? 誰だよ? 悪いけどさすがにもう手一杯だから… 4Pとかは無理だぜ?」ムニャムニャ

?『何を寝ぼけておる… 私を忘れたのか?!』カッ

爽「…ん、へっ? んなぁっ?! あ、あなたは・・・!!」ギョッ

?『ふ、ふ、ふ、ふ・・・・』ピカァー・・・!


やっと目を覚ましたメロスの目の前にいたモノ・・・


爽「あ、あなたは・・・  “ウンコカムイ”様!!」

ウンコカムイ『ふふ、エロス、じゃない、メロスよ、久しぶりだな・・・!』ククククク・・・


そう、そこには、光り輝く巨大なMAKIGUSO・・・ アイヌの大地の最高神、ウンコカムイが鎮座していたのである・・・!

メロスはかつて、魔人カイノーとの死闘の際に、ウンコカムイにその窮地を救ってもらったことがあった・・・(※本編大阪編)


爽「ウ、ウンコカムイ様! ご、ごブサタしてまし」


 ボッゴォッ!!


爽「 ごふぅじぃやぁっ っ?!! 」=3


メロスのあいさつの言葉が終わらぬうちに、ウンコカムイの強烈な剛拳が、メロスの体を部屋の壁までフッ飛ばしていた。


爽「・・・ウ、ウンコカムイ、さま・・? い、一体、な、何を・・・??」ヒリヒリ

ウンコカムイ『タワケが! キサマ、この私に命を助けてもらいながら… 友の命を見捨てるというのかッ!?』

爽「?!」

ウンコカムイ『私はすべて知っておるぞ… お前が自らの罪を友に負わせ、のうのうと生き延びようとしていることを…!』

爽「…うっ、し、しかし! この世界は、だましだまされつの弱肉強食の世界… 生き延びるためには、友人を犠牲にしなきゃいけない時だってありますっ!」


ウンコカムイ『 バ ッ カ モ ォ ――――― ン ッ ッ !!! 』ドカァーン=3


爽「っひぃ…?!」

ウンコカムイ『貴様はそれでもうんこを信奉するクソの子か? かつてお前自身が見出した“うんこの本質”を忘れたのか!!』

爽「う、うんこの、本質・・・!」


ウンコカムイ『そうだ、メロスよ… うんこというモノは、一体ナニでできているモノだ?』

爽「ん…? え、えーっと、うんこの約半分は水分で、あと、食べ物の残りカスと…」

ウンコカムイ『タワケェ! 食べ物の残滓など、うんこの約5%程度にしか過ぎぬ…!』

ウンコカムイ『うんこの成分で水分の次に多いのは、細胞や腸内細菌、赤血球など、おのれの体の中で働いていた者たちの亡き骸じゃっ!』

爽「……」

ウンコカムイ『うんこには、人の体を必死に守り、ボロボロになるまで働いて息絶えた・・・ そんな勇者のような小さきモノたちの遺骸が数千億個はつまっておる・・・ つまり、うんことは、「自己犠牲のかたまり」に他ならないのだ・・・』

ウンコカムイ『さらにうんこは、あらゆる老廃物、邪悪なるモノ、悲しみ、苦しみ、しがらみ、妄執・・・ そういった人の中の“負”なるモノを全て取り込んで外に出てきてくれるモノ・・・!』

ウンコカムイ『人が健康に、美しく、清らかに、幸せに生きることができるのは、常にうんこが全ての不浄なるモノをその身に引き受けてきたからだっ!』

爽「…!」


ウンコカムイ『そしてうんこは、どんなにその宿主である人から蔑まれ、嫌われ、コケにされようとも、黙って全てを受け入れ、人の役に立ち続ける・・・ それがうんこの美学だからだ』

ウンコカムイ『つまり、自己犠牲こそがうんこの本質なのだ。 そして、この世は、そんなうんこの力によって成り立っている…』

ウンコカムイ『メロスよ…! お前はそのような真に気高いうんこを信奉している身でありながら… 友を犠牲として自分だけのうのうと生きるつもりか?』

爽「う・・・!」

ウンコカムイ『良いかメロス! この世界が美しいのは、献身的な愛の力によって満ちているからだ。 そして人の心とは、愛の醸成のためにあるもの…!』

ウンコカムイ『お前に“心”があるのなら… 友のために立つのだメロス! お前が、母のクソと共に生まれてきた真のクソの子ならば、できるはずだっ!』

ウンコカムイ『立てメロス! そしてゆけっ! クソの子よっ!!』カッ


爽「ウ、ウンコカムイ様・・・!!」






爽「…はっ!」パチッ


 チュンチュンチュン、  ピチチチチチチィ・・・


メロスが、自分の寝床の中で目を覚ました時・・・ 外はうっすらと明るくなり始めていて、小鳥のさえずる音が聞こえていた。


爽「…!!」ガバッ


爽(…そうだ、今日は、王に処刑を言い渡されてから、もう3日目だ…)

爽(今日の日没までに城に戻らなければ、私の代わりに、ユアンが処刑される…)

爽(いけない! わ、私は、今まで、一体、何を考えていたんだ…?)

爽(友を身代わりとして、生き永らえた命などに、一体どれほどの価値があるというんだ…)

爽(ウンコカムイ様の言う通りだ…! 排泄道を邁進してきた者として、友を裏切ることなど、できるはずがないっ!)バッ!


メロスはハネ起きると、妹たちの寝室に行き、義妹のチャチャノーンだけをこっそり起こした。


イチゴ「なんじゃ、義姉さん… こんな朝早うから…」ムニャムニャ

爽「うん、ごめんな、ちょっと、ユキに聞かれたくなくてさ…」


メロスは、チャチャノーンに、城であったことを全て話し、自分はこれから殺されに行くこと、自分亡きあと、妹のことをどうか頼む、ということを伝えた。


イチゴ「なんと、そんなことが…! そうか、それは淋しくなるが、仕方のないことじゃ… 分かった。 ユキちゃんはチャチャノンが幸せにしてみせるけぇ… 安心して行ってくるんじゃ!」

メロス「すまない… 頼んだぞっ!」


ユキ「……」モゾッ


この時、メロスは… ユキが寝たふりをしながら聞き耳を立てていたことに気づかなかった…




メロスは朝粥を胃袋に入れると、ユアンへの衣装代金の支払いをまだ済ませていなかったからと、ウスザーン村を出発した。


爽「じゃあな、行ってくるよ。 明日には戻ってくるからさ!」

イチゴ「…おう、気ぃつけてな…」

ユキ「…行ってらっしゃい、お姉様」


まだ、日の出を過ぎたばかり… 日没までにはまる一日ある。 十分、間に合うはずだ…

メロスは落ち着いていた。 
ウンコカムイに叱咤されたことにより、もうハラもすわっていた。

ウスザーン村から都サッポロまでは、直線距離にして約70kmある。
途中には川や山もある。
しかし、韋駄天の如き脚力を誇るメロスは、余裕をもって城に到着する自信があった。


爽「… ハッ ハッ ハッ ハッ…!」タタタタタタ・・・


メロスは走った。

高台に上ったメロスは、フッと後ろを振り返った。
生まれ育ったウスザーン村の家々の屋根がよく見えた。


爽(さらば、わがふるさと・・・ そして、愛すべき人たちよ・・・!)


後ろ髪引かれる思いを振り切るように、メロスは、森の中へと消えていった。



(続く)



その40.~「もらせメロス」(後編)の巻~  ※ちょっと長いです



爽「… ハッ ハァッ フッ ハァッ ハァハァハァ…」タッタッタッタッタ・・・


メロスは走りに走った。
森をくぐり抜け、野を横切り、荒れ狂う川を泳いで渡った。
そして、道中における最大の難所であるシコツトウヤ山系へと足を踏み入れた。

生い茂る草をかきわけ、一気にサッポロ岳の山頂まで駆け上がったメロスは、山の北側を見下ろした。
遠くに、都サッポロの街並みが見て取れた。
あそこで、竹馬の友、ユアーンティウスが待っているのである。

太陽は、ちょうど一番高く昇った様子だった。 おそらく今が大体正午であろう。


爽「ふぅー… やれやれ、さっすが私、よゆーよゆー…」ハアハア


この山を下れば、都までそれほど距離はない。
この調子なら日没までには余裕で間に合う・・・

よし、ここまで来れば大丈夫、もはや故郷への未練はない。
あとはまっすぐ王城に行って、ハリツケにされればそれでよいのだ。


爽「…さてと、じゃあちょっと一休み… 最期のメシを頂いとこうかね…」ウンコラショット


メロスは山頂でユキの作ってくれた弁当を食べ、水筒の水でのどを潤した。


爽「・・・う・・ うめぇなぁ・・・」ポロポロ


メロスの目から涙がこぼれ、食べていたオニギリの塩味が濃くなった。

いくら決意したとはいえ、やはりメロスのような凡人が、そうそう自分の生への執着を捨てきれるものではない。

何より、妹たちとの3Pを実現できなかったのは心残りだった。


爽「いや、いいんだ。 私はキレイに死んでみせる… それが私の生きた証だ」スッ


弁当を食べ終わったメロスは、山を下り始めた。

もうそんなに急ぐ必要もないだろう。 少し歩くか。

メロスは持ち前のいい加減でのん気な性格を取り戻し、鼻歌を歌って歩き始めた。


しかし、その時突然、目の前に一隊の山賊が躍り出たのである。


?「おう! そこのねーちゃん、ちょい待てや!」

爽「!?」


ヒロエ「ちょい待てって言うとるんや! こらぁ…」

爽「? なんだおめーら」

キョウコ「うちらは、この山を根城としている山賊団・・・ “ブラッディ・ヒメマツ”や!」

爽「は? うぷぷっ! なんだよその中二病全開の名前ww」

スズ「バカにするなっ! とっとと持ってるモン全部差し出せや!」クイッ


ロリ巨乳の女がなぜか鉄板焼きで使うコテをメロスに突きつけてすごんだ。


爽「悪いけど私、なんも持ってないんだよね」

キヌエ「適当なこと言うなや… 殺されたいんか?」ギラッ

爽「命をやるワケにはいかねーな。 この命はこれから王にくれてやるんだからさ」

ノヨー「ツベコベうるさいのよー! とっととヤッてしまおうなのよーっ!!」バッ


五人の山賊が、棍棒を振り上げて一斉にメロスに襲い掛かった。


爽「ナメんなっ! 出でよぉっ! フリ! ホヤウッ!! アッコロォ―――ッッ!!!」ババッ!


ヒロエ「?!」


 ブワアアアアアアアアァァァッッ・・・・!!!


キョウコ「な、なんや、こいつら?」


メロスの掛け声と同時に、彼女の背中から、巨大な怪鳥、蛇、タコが現れたのだ。

そう、メロスはアイヌの守り神である様々なカムイを呼び出す能力があったのである…


しかし、

ヒロエ「なんやお前はっ! 羽むしって唐揚げにしたんぞごるぅあっ!」ボッゴォッ!

フリ「 プゲェッ 」

キヌエ「ううっ、なんやこのくっさい蛇はっ! ちょっと、近づかんといてや!!」ベッシイィッ!

ホヤウ「 ボゲェァッ 」

スズ「おおおでっかいタコやな! こらしばらくタコ焼きの材料には困らんでっ!!」グッシャァッ!

アッコロ「 モルスァッ 」


五人の山賊たちは意外や意外、凄まじく強く、アッという間にカムイたちを叩きのめしてしまった。


爽「…えっ? はれっ? ちょ、ちょっとちょっと… なんだよこれ?」

ノヨー「次はアンタの番なのよーっ!」ドッゴオォッ!

爽「 うぉ びぃじ ゃあぁっ!! 」=3


あわれメロスは五人の山賊たちによってタコ殴りにされ、身ぐるみはがされて山道の脇にボロ雑巾のように捨てられた。


ヒロエ「ふん、女の情けや… パンツだけは残しといたるわ」

爽「うぅ・・・」グッタリ


山賊たちはパンツ一丁でのびているメロスを尻目に、衣服や靴、実は持っていた財布などを奪って去っていった…


爽「くっそ・・・ うぅ、いってぇ・・・!」ググッ


なんとか立ち上がったメロスだったが、景色がグラグラと揺れ、ガックリと膝をついてしまった。


爽「・・・ドチキショウ・・! こ、この程度で、ヘコたれっかよ・・・!!」


再び立ち上がったメロスは、ヨロめきながらも、山を一歩一歩下っていった。

体はボロボロだったが、心の方は今までにないほどに熱く燃えたぎっていた。


しかし、山をなんとか下りきったメロスに、さらなる試練が待ち受けていた・・・


 “ゴッギュルロロルロロロロロロロロロオォ~~~~~ッ!!”


爽「はぅあっっ!??」=3=3


突然、猛烈な腹痛と共に、津波の如き便意が襲い掛かってきたのである・・・!


爽「うぐおおおぉぉ・・・・??」グギュルルルルルルルウゥ~~・・・・!


普通ではない痛みであった。 一体、何が起こったというのだ・・・?


爽(な、なんだこれ、食中毒…?)ウムムム・・・

爽(…さっきの弁当の中に、何か入ってたかな…?)

爽(! いや、もしかして… ユキがわざと弁当に薬を仕込んだのか…?)

爽(ユキの奴… 私とチャチャノーンの話を、こっそり聞いてたのかも…)

爽(そして、私が城に到着しては殺されてしまうと思い… 私を助けるために、下剤を仕込んだんじゃあ…)

爽(クッソ! ユキの奴… 余計なことを…!)ヨロヨロ


メロスの推測は、ほぼ当たっていた…
あの時ユキは、メロスとチャチャノーンの会話を全て盗み聞きしていたのだが… 口で引き止めても無駄と悟り、姉の命を救うため、弁当にある薬を仕込んだのだ。

仕込もうとしたのは、睡眠導入剤… しかし、生来のおっちょこちょいであるユキは、間違えて睡眠薬ではなく強力な下剤を仕込んでしまっていたのである。


爽(うぐっぐ…! し、しかし、もう野グソしてるヒマなんかねぇ・・・!)ヨタヨタ


腹をかかえて歩き続けるメロス・・・  しかし、


 ブッバァッ! ブリッ ブリョリョリョリョリョリョリョリョリョオォ・・・・!!


爽「ぐはっ!」=3


メロスはついに、立ったままクソをもらし始めた。
そして、よろよろと二、三歩あるいて、ついに、がっくりと膝を折り、そのまま道端に倒れ込んでしまった。


爽(うむむむむむむむむむうぅ・・・・!!)


立ち上がることができない。
しかしそれもその筈・・・ ユキは薬の量も間違えて、規定量の10倍もの下剤を弁当に仕込んでいたのである。


爽「ごふっ! がっ、ぐあぁ・・・!!」ブリブリブリイィ・・・・


大量のクソと共に、全身から汗が噴き出し、横倒しのメロスの体を流れていく。

もはやメロスは、下半身の感覚がほとんどなかった。
芋虫のように身をよじりながら、自分の尻からひり出ていくその茶色いクソを見つめた。


爽「う、ううぅ・・・!」


臭い。
凄まじく臭い。
それに、なんというおぞましい光景であろうか…
私の体の中に、こんなにも恐ろしく醜いモノが入っていたのか。


爽「あぁ、もお・・・!」ゴロッ


メロスはあお向けになり、天を仰いだ。、

確かに私は、今までクソを愛し、クソを崇拝し、クソを信じて生きてきた。
しかしだ、あのクソの恐ろしくおぞましい姿はなんだ・・・!
これほど人に不快感を与えるモノが他にあるだろうか。


爽「はぁ、う・・・」


どうかしていた。
何が「うんこは自己犠牲のかたまり」だ。
こんな臭くて汚らしいモノを崇拝するなんて… キチガイ以外の何だというのだ。


…考えてみれば、愛だの、友情だの、正義だの、全てどうでもいい下らないものだ。
あの山賊たちを見ろ。
人から物を奪い、幸せを蹂躙し、踏みにじって、その上で自分たちの幸せを実現しているではないか。

やはりしょせん世界は弱肉強食… 強い者が勝ち、弱い者が負けるのだ。 それがこの世の摂理ではないか。

この世で生き続けるのに必要なことは、貪欲さ、残酷さ、卑劣さといった、競争に打ち勝つためのものだ。
いたわり、優しさ、正直な心など、ただバカを見て自分を不幸にするだけだ・・・!


爽(ああ、もう、何もかも、バカバカしい・・・!)ブリュリュリュリュリュ・・・


クソをもらしながら、メロスはゴロリと寝返りを打った。 

しかし、その時、ふと、メロスの脳裏に、一人の女の顔が思い浮かんだ。


 “「うわっ! くっせぇっ!!」”


爽「…?」


“ユアン「メロス! なんなんだお前の屁は…! こりゃスカンクも裸足で逃げ出すぜ?ww」”

“ユアン「おいメロス! お前クソしたらちゃんとファブリーズしとけよ! 私がトイレに入れねーじゃねーか!ww」”

“ユアン「メロス、お前なぁ… いっつもうんことか、気持ち悪いエロ話ばっかしてっから、友達が寄ってこねーんだぞ?w」”


爽「………」


『自らのクソや屁や性癖を、笑いながらけなしてくれる友人がいれば、その人生は上々である』という、古来より伝わる諺がある。

その友人は、上っ面ではなく、自分の醜くも本質的なところを認め、本当の意味で愛してくれているからである。

もし、このまま立ち上がれずにいれば、その無二の親友、ユアーンティウスがメロスの代わりに殺されるのである。


爽「あぁ、でも、もう・・・ 本当に立てねーんだよ・・・ ユアン・・・ すまない、許してくれ・・・!」


段々と目が霞んできた。
さきほど山賊たちに打ちすえられた時、頭も殴られたから、脳出血を起こしているのかもしれない。


爽(私は・・・ どうせ醜い裏切り者だ。 もう、どうとでも、勝手にするがいいさ・・・!)


メロスは、何もかもをあきらめ、四肢を投げ出して、うとうと、まどろんでしまった。







 「… もし…  大丈夫ですか?」


爽(………)


 「こんな所で裸で寝ていては… 風邪をひきますよ?」ユサユサ


爽(……ん?)


 「あぁ、ケガをしているのですね… さあ、私と一緒に、病院に行きましょう!」ユサユサユサ


爽「・・・!!」パチッ


目を覚ました時… メロスは、一人の少女に体を揺さぶられていた。


爽「!?!?」ギョッ


メロスは心底驚き、目を丸くした。

その少女が、とてもこの世のものとは思われないほどに、美しい少女だったからである。


ミホコ「あぁ、良かった… あなた、山賊に襲われたのですね。 かわいそうに…」

爽「…!!」ググッ


メロスはハネ起きようとしたが、やはり体が動かない。


ミホコ「あぁ、無理に動かないほうがいいですよ…! 私が背負っていってあげればいいんだけど… さすがに無理かしら…?」

爽「…! …!、!」モゴモゴ


しゃべろうとするが、声が出てこない。 のどがカラカラで口すらも言うことを聞かないのである。


ミホコ「ちょっと待っていて下さいね。 どこか、一番近くの村に、助けを呼びに行ってきますから…」スッ


立ち上がったその女神のような少女に、メロスは、必死で、一言だけ、声を出した。


爽「・・み、 水 ・・・!」

ミホコ「え?」


爽「…み、水を、くだ、さい…!」

ミホコ「あぁ、お水ですか? えーっと…」ゴソゴソ


少女は、持っていた革袋から、何やら四角い物を取り出した。


ミホコ「ごめんなさいね、今、お水は持ってないわ。 私の手作りのお弁当ならあるんだけど… これじゃダメかしら?」

爽「そ、それなら…」ググッ


メロスは上半身だけ体を起こし、真剣な目で少女を見つめた。


爽「・・・あなたのオシッコを、私に、飲ませて下さい」


ミホコ「えっ? オ、オシッコですか…??///」カァーッ・・・

爽「そ、そうです! 私、もう、ノドがかわいて死にそうなんです。 水がないのなら… あなたのオシッコを飲ませて下さいっ!」クワッ

ミホコ「そ、そんな、オシッコだなんて…/// ちょ、ちょっと待っていて下さい。 近くの村でお水をもらってきますから…///」モジモジ

爽「ダメですっ! 今すぐ何か飲まないと私は死んでしまいますっ! いや、むしろ、あなたのオシッコが飲めないなら自殺してやるっっ!!」=3=3


メロスは必死だった。 まさに、命の最後の灯を燃やしての、人生の全てをかけた訴えだった。


ミホコ「… そこまで言うのでしたら… 仕方ありませんね…」スッ

爽「!!」

ミホコ「でも… 恥ずかしいので、目をつぶっていて下さいよ?」

爽「は、は、はいはいはいはいはいはいはいはいっっ!!!」


メロスは、目をつぶり、少女に向かってあんぐりと口を開けた。


ミホコ「ん・・・///」スス…


少女はスカートをたくしあげてショーツをおろし、メロスの顔にまたがるような体勢をとった。

メロスは、当然・・・ 目をつぶったフリをしながら、薄目を開けて少女の股間を凝視していた。


爽(うおほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほおおおおおおおおおぉぉぉっっっ!!!wwwww)=3=3


その、薄い恥毛に包まれた美しいスリットを見ただけでメロスは頭が沸騰しそうになったが、なんとかこらえ、飲尿姿勢を維持していた。


そして・・・


ミホコ「…あっ、はぁ…///」プシィッ!  ショッワアアアアアアアアアァァァ・・・・・

爽「!!」


スリットのすき間から、ついに黄金色に輝く聖水がほとばしり出て、メロスのノドへと飛び込んできた。


爽(あ、あ、あ、ああああぁぁ・・・・・!!)ゴキュゴキュゴキュ・・・


聖なる黄金水はパシャパシャとメロスの舌をやさしく打ち、少しだけしょっぱい味と共に、なんとも言えない豊穣な芳香が鼻をついた。

そして、深い背徳的で官能的な味わいを脳裏に刻み、しっとりとしたなめらかな感触を残してメロスのノドを通り過ぎていった。



爽「あ、あ、あ、あ、あああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァ・・・・・・・・・・!!!!!」ビキビキビキビキビキビキビキビキビキイィ・・・・!!


 ショロロロロォ・・・  ピ、ピチョンッ! …


最後の一滴をメロスの口に落とすと、少女はあわただしくショーツをはき、頬を赤らめて、言った。


ミホコ「こ、これで、全部です… あの、だ、大丈夫ですか?」


爽「………」ゴクゴクゴク・・・

爽「うむあああああああああああああああああぁぁぁ・・・・・!!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴオオォ・・・・・


爽「いいいやあああああぁぁぁっっっっっっFOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO――――――――――――――――――ッッッッッッッ!!!!!!!」バッ


雄叫びをあげると共に、一気に3mほども跳躍したメロスの体からは、とんでもない量のオーラが噴出し、バリバリと電流のような光がその全身を駆け巡っていた。


爽「うおおおおおおおぉぉっ!! ありがとうございましたあぁっっ!!!」

ミホコ「えっ、は、はい…///」


少女に一言お礼を言うと、メロスはしゃがみ込んでクラウチング・スタートの姿勢をとった。

そして・・・




 ド ゥ ッ パ ア ア アァァ ―――――――― ン ッッッ !!!!!



ミホコ「ヒッ?!」


まるで爆弾が炸裂したかのような凄まじいスタートダッシュで走り出し、地面をえぐりながらロケットのような勢いでフッ飛んでいた。




爽「うおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉっっっ!!!!」ズダダダダダダダダダダダダ・・・・ッッ!!


風を切り、クソを飛ばし、音速を超えて駆けるメロスには、生気が漲っていた。

もう、この世になんの未練もなく、何も怖くなかった。

そして、もう、砂粒ほどの小さな迷いもなかった。

“友を助ける…!” ただ、その一心しか、メロスにはなかった。


爽「…………!」ズダダダダダダダダ・・・!


メロスは走りながら空を見上げ、太陽の位置を確かめた。

もう大分西に傾いている。

斜陽が、樹々の葉も枝も燃えるばかりに紅く染め上げていた。

もう夕方である。

おそらく2・3時間ほど眠ってしまっていたのだろう。

しかし、日没までには、まだ間がある。

この勢いで走れば、間に合うはずだ・・・!


メロスは走った。

唯一身に着けていたパンツすらも引きちぎれ、完全に全裸だった。

そして、その尻からは、まだボタボタとクソが垂れ落ちていた。

しかしもうそんなことはどうでもよかった。

走る。 全力で走る。 ただそれだけだった。



爽「う・・・っ!」


メロスは突然、苦痛で顔を歪ませた。

裸足で走っていた足の裏の皮がズルむけて、地面に点々と血の跡をつけていた。


爽「がっ! ふぅ…!?」ビキッ  ビチビチビチィ…!


さらに、四肢から、何かが引きちぎれるような音がした。 筋肉の筋が何本か切れたようであった。

人間の体力の限界を大きく越えて走っていたため、体が悲鳴をあげ始めたのである。


爽「あ、ガッ! ゲッフゥッ!!」ブッ


メロスの口から鮮血が噴き出した。 肺の中の血管が破れたのだ。


爽「うぅ、ぐおっおぉ…!!」ズダダダダダダ・・・!


さらに目や鼻や指先からも血が噴き出してきた。 そして、あいかわらず尻からはクソがひり出ていた。


それでも、メロスは走った。

黒い風のように走った。

もう、頭の中はカラッポであった。

何か得体の知れない大きな存在に引っ張られるかのように、メロスは走った。


ついに、都サッポロの街の中へとメロスは走り込んだ。

全裸で、体中から血を噴き出し、クソをたれて走るメロスを、人々は物の怪を見るかのような目で見た。


メロスは、口から五臓六腑を吐き出してしまいそうなほどに苦しかった。

太陽が、もう地平線にかかりかけていた。

たのむ、止まってくれ。

そんな願いを嘲笑うかのように、ゆらゆらとゆらめきながら日が沈んでいく。

ロケットのように走り出した時の生気漲る姿はもうなく、地獄から現世に迷い込んでしまった亡者が、ヨロヨロとよろめいているようだった。

それでもメロスは走った。


しかし、そんなメロスの耳に、けたたましい悲鳴が聞こえた。



 「キャ――――ッ!  幼女ちゃ―――――んっ!!」



目だけをその悲鳴の方に向けると、そこには恐ろしい光景があった。

道の真ん中で転んでしまった幼女と・・・ そこに猛烈な勢いで突っ込んでいく馬車の姿があったのだ。


爽「!!」


メロスには一瞬の迷いもなかった。

即座に方向を変え、幼女に向かって突進した。

そして・・・


母「アッ?!」


さきほどの金切り声をあげた母の前でメロスは跳躍し、幼女を抱きかかえ、ゴロゴロと地面を転がった。

しかし、


 ドッゴオォォンッ!


爽「 がっ!! 」


馬の前脚がメロスの脇腹を蹴り上げ、数mフッ飛ばされたあげくにしたたかに背中を打ちつけた。


幼女「う、うぅ・・・ ウワアァァ―――ン!!」


メロスの腕の中で泣き叫ぶ幼女…


爽「…だ、大丈夫かい? 幼女ちゃ…」

幼女「?! ひっ! ホワッチャアアアアアアァァ―――――ッッ!!!」ドゴムッ!

爽「ぶぉはぁっ?!」=3


ケガがないか確かめようとしてくれたメロスの顔面を、幼女は凄まじい正拳突きでブッ叩いた。

メロスが、血とクソにまみれたあまりにもおぞましい姿をしていたからである。


母「ちょ、ちょっと幼女ちゃん、助けてくれた人を叩いたりしちゃいけま… ゲッ?!」ギョッ

爽「あ、いや、ケガがなかったみたいで、良かったっすね…」ヌボアァーッ…

母「! いやあぁっ! アチョワアアアアアアアアァァァ―――――――ッッッ!!!!」ボッゴオォッ!!

爽「うぁじゃぱぁっ?!」=3=3


母の稲妻の如きハイキックはメロスの顔面に炸裂。

メロスはバク転をするかのように後ろにフッ飛び、一回転して地面に叩きつけられた。


この母と娘を責めてはならない。
これは人の反射というものなのである。


母「さ、さあ、帰るわよ、幼女ちゃん…」ソソクサ

幼女「う、うん…」


メロスを尻目にソソクサと立ち去る親子…


爽「う… むぅ…!」ググッ!


なんとか立ち上がったメロスは、チラリと親子の背中を見た。

その、 目 は・・・・・



聖母マリアのように澄んでいた。


爽(幼女ちゃん・・・ どうか、私の分まで、生きてくれよ・・・!)ダッ


メロスは再び走り出した。

馬に蹴られた脇腹がズキズキとひどく痛む。 肋骨が折れたのかもしれない。

いやむしろ体中が痛く、痛くないところなど無いくらいだった。

しかし時間がないのだ。

陽は、まさに最後の一片の残光すらも消えようとしていた。

そのわずかな日の光が、メロスの顔を優しく照らした。


爽(・・・ あぁ・・・!)


間に合うか、間に合わないか、その瀬戸際に立たされていながらも、メロスは、不思議な気分に包まれていた。

意外にも、非常に落ち着いた、穏やかな気持ちだったのである。


爽(あぁ、私・・・  生まれてきて、良かった・・・!)

爽(苦しい… 本当に苦しいけど… 私は、今まで、こんなに激しく、命の火を燃やしたことはなかった…)

爽(そうだ… 私は、きっと、この瞬間のために、生まれてきたんだ……!)サアアアァァ――ッ


急に、心も、体も軽くなったメロスは、爽やかな春風のようになり、ついに刑場へと走り込んだ。

日はまだ沈んでいない。


間に合ったのだっ!


爽「待て! その人を殺してはならぬ! 私だ! 約束通り、メロスが帰ってきたのだっ!!」


と、潰れたのどから必死に大きな声を張り上げて、刑場の群衆に・・・




あれ?


ぐんしゅ・・・


え?


ぐん・・・


は?



・・・ ?  ?   ?  ・・・・・






その刑場には、人っ子一人いなかった。

刑吏も、国王チカニスも、ユアーンティウスもいない。


爽「………???」


だだっ広い刑場の真ん中で、メロスはポツンと一人でたたずんでいた。


爽「・・・な、なんだこれ・・・ え? どゆこと??」

爽「ま、まさか、もう、刑が執行されてしまったんじゃあ・・・」ガタガタ


?「あれ? メロスじゃん、なんだお前、全裸で何やってんの?」モグモグ

爽「は?」


メロスが振り返ると、そこには、焼き鳥をモグモグと頬張っているユアーンティウスが立っていた。


爽「・・・ ユ、ユアン・・・! お、お前… ブ、無事だったのか…? えっ? ハリツケの刑はどうなったの?」

ユアン「ん? あぁー… そうそう、そう言えばお前、今日戻ってくるとかなんとかって、そんな話してたんだっけな」ムグムグ

爽「……??」

ユアン「いや、あのあとさ、国王が本国から来た警吏隊に逮捕されて、なんか、島流しにされたんだってさ」モギュモギュ

ユアン「どうもあのチカニスって王、うんこ売買という目的は建て前で、実際には美少女集めてただ単に酒池肉林を楽しんでただけらしーぜ?」クチャクチャ

ユアン「いやーあんなおカタい顔して聖人君子ぶってたクセに、やっぱヤル事はヤッてたってワケだよなww」ハグハグ

ユアン「そんで国王が、トーキョーから来たテルニウスⅢ世っていう人と替わってさ、ドーナツを献上すれば釈放してあげるよ、て言うから、すぐにワイロで出してもらっちゃったんよ」マグマグ

ユアン「いやー今度の国王はなかなか最高だぜ? 『“わが民はすべてわが妹のようなもの…! 妹たちのためなら、このテルニウス、身を粉にして働こう…!”ギュルルルルルーン!』って、右腕を回転させて穴掘り始めたと思ったら、ダイヤモンドの鉱脈掘り当てちゃってさww」ゴックン

ユアン「てわけで、このホッカイドーにも新しい資源ができたんだよ。 だからしばらくは安泰、私らもけっこう贅沢できそうだぜ? ・・・って、そういやお前、衣装の代金払ってなかったよな。 はよ金よこせよ」スッ


爽「・・・・・・・ ユアン ・・・」

ユアン「ん?」


爽「すまん、とりあえず殴らせてくれ」



その、ほかに誰もいない刑場で… メロスとユアーンティウスは、あさましく醜い殴り合いを、お互いがブッ倒れるまで続けたのだった・・・











誓子『はい、皆様、第一演目「もらせメロス」でした。 如何でしたか?』


 ブンッ  ベッチャアァッ!!


誓子『ヒッ!?』


幕が閉まり、壇上に挨拶に上がった誓子の顔面に、ソフトクリームが飛んできた。


 ヒッコメー!  コノバカヤロォ――ッ!  カネカエセエェ――ッ!  ヘタクソォーッ!!


凄まじいシュプレヒコールと共に、さらにポップコーン、コーラ、ポテトチップス、納豆などが壇上に飛んできた。


誓子『わっ! ちょ、ちょっと、皆さん! も、物を投げないで下さいっ!』=3=3

爽「おうおうなんだよお前らっ! 私たちの劇にケチつけんじゃねーよ!」バッ

誓子『ちょ、爽! あんた出てくるとややこしくなるから出てこないでぇっ!』



・・・この「もらせメロス」があまりにも不評だったため、文化祭の演劇大会は中止となり… 麻雀部は、他の文化部からひどく恨まれることとなったのだった…




(あカン)



その41.~「マッチ売りのマホ」の巻~



それは、大変寒い日でした。

あたりはもう暗くなり始めており、雪が降っていました。
それはまた、一年の中で最も聖なる夜・・・ つまりクリスマス・イブの晩でした。

この寒い、そして暗いなかを、一人のみすぼらしい身なりの年のいかない少女が、帽子もかぶらず、おまけにはだしで、冷たい石畳の上を歩いていました。
その小さな頭には、ふらふらと、大きな赤いリボンが不安げに揺れていました。

彼女の名前は、夢乃マホ――― 幼いときに両親を亡くし、毎日わずかばかりのマッチを売って歩くことで、なんとかその命をつないでいる浮浪児でした。


マホ「あ、あのぅ… お兄さん、マッチを買ってくれませんか?」

純「あ? 俺は男じゃねー! マッチなんかいらねーよ、とっとと失せな」

マホ「あ、あの、そこのお姉さん・・・ どうかマホのマッチを買ってください…」

玄「おもちをおもちでない人のマッチなど買えません。 出直して来なさいですのだ」

マホ「す、すみません、そこの眼鏡のお兄さん・・・! お願いです、マッチを買ってくださいっ!」

内木「ん? マッチ? ああ、いくらでも買ってあげるよ! 僕と一緒にそこのホテルに付き合ってくれるならね…ww」ガシィッ!

マホ「?! な、何をするです? 放すのです! ええいチィエエェストォ――ッ!!」キンテキィーッ!!

内木「おぅふ!///」=3


このように… ときどきロリコンを撃退したりしながら、地道に声をかけ続けますが、どういうわけか今日は一本もマッチが売れません。

朝から何も食べずに歩き続けている彼女はもうフラフラ、小さいはだしの足と手はもう真っ赤、寒さに震えながら歩いている様子はいかにも痛々しく、本当に憐れでした。


マホ「… うぅ、寒いですぅ…」ハァー…


寒さでかじかむ両手に白い息を吹きかけるマホ。 ハラハラと舞い落ちる雪が、彼女の美しい紫色の髪や赤いリボンの上に降りつもります。


マホ「・・・あぁ・・ もう、マホ、歩けないです…」ストンッ


レンガ造りの家と家の間… 細い路地で、ついに腰をおろしてかがみこんでしまったマホ…

しかしそんな彼女の鼻の穴を、なんとも言えぬ美味しそうな芳しい香りがくすぐりました。


マホ「ん…? この匂いは…!」クンクン
 


家々の窓という窓から、明かりが外へさしてきて、ガチョウの焼き肉のいい匂いが往来までプンプンと漂っていました。
それもそのはず、今日はクリスマス・イブですもの! 豪華なご馳走の匂いと一緒に、楽しそうにはしゃぐ幼い子どもたちの声も聞こえてきます。


マホ「う… マホもクリスマスのご馳走、食べたいですぅ…」ジュルリ


マホはこみあげるヨダレをぬぐい、明かりのもれる窓の一つを覗いてみました。


 ドタバタドタバタッ  キャーッキャーッww  ドタンバタンコケコッコォ――ッ!


池田「コラーッ! お前たち! いつまで遊んでるんだ! ガチョウの丸焼きができたぞっ! 早く席につけ!」

緋菜「ガチョウ? そんなモノいらないし! ゴージャスセレブプリンが食べたいし!」

池田「ゴージャスセレブプリンは3時間くらい並ばないと買えないんだよっ! こんな寒い中そんなに待ってられるか!」

菜沙「ゼイタク言うなし! ゴージャスセレブプリンのないクリスマスなんてありえないし! 早く今から買ってくるし!」

城菜「お姉ちゃんは… 本当に、使えないコだし…」

池田「うるさぁ――いっ! ワガママばかり言ってる子どもにはサンタさんが来てくれないぞっ! ツベコベ言わずに私が作ったモノを食べるし!」=3


姉に急かされて、シブシブ食卓についた三つ子たち・・・ そのテーブルの上には、ガチョウの丸焼きのほか、ホクホクのフライドポテトや、トロリとしたチーズがたっぷりのったピザ、チョコでできたツリーの飾られたショートケーキなど、豪華なクリスマスのご馳走が所狭しと並んでいました。


マホ(…バカなこと言ってます。 サンタさんなんか、この世にはいないのに… マホは一度もクリスマスプレゼントなんかもらったことありません)スッ


ため息をついて、再び冷たい石畳に腰をおろしたマホ・・・
彼女の小さな手は、寒さのためにもうほとんど感覚がありませんでした。

ああ! 一本の小さなマッチでも、こんな時はどんなに役に立つかしれません。

マホは、かじかむ手でマッチのたばから一本引き抜き、壁にこすって火をつけました。


 シュッ  ボオォ・・・!


マホ「あぁ・・・」


なんという火花でしょう。 なんとよく燃えること!

あたたかい明るい炎は、まるで小さいロウソクの火のようでした。

マホは、そのまわりに手をかざしました。

すると、その時・・・ 本当に不思議なことが起こったのです!


マホ「え? あれ? ふわああぁ・・・??」


目をまるくするマホの前で… マッチの火の光の中に、ポッカリと穴があき… その穴はどんどん大きくなって、中に輝くばかりに白い布をかけたテーブルが現れたのです。

そして、そのテーブルのかたわらには、エプロンをしたまるで女神のように美しい少女が、何やらホカホカと湯気をたてている料理を持って立っていました。


美穂子「あら、いらっしゃい夢乃さん。 ちょうどローストビーフが焼けたところよ♪」ニッコリ


その女神のような少女が持っている大皿の上では、大きなローストビーフのかたまりがジュージューと美味しそうな音をたてていました。


マホ「か、風越の・・・ キャプテンさん? ど、どうして、こんな所に…?」

美穂子「夢乃さんとクリスマスのお祝いをしたくて、料理を作って待っていたのよ」

マホ「え、ほ、本当ですか…? マ、マホのために…?」

美穂子「もちろんよ♪ さあ、そんな寒いところにいないで、早くあがってらっしゃい?」


こんなに素晴らしいことがあるでしょうか。

マホは、喜びのあまりヨダレをぬぐうのも忘れて、ローストビーフへと手を伸ばしました。

ところが・・・


 フッ  スウゥ――――ッ・・・・・


マホ「あれ?」


マッチに一粒の雪が落ちて、火が消えてしまい… それと同時に、美味しそうなローストビーフも、女神のような少女も、スーッと透明になり、陽炎のように消えてしまったのです。


 シュッ! ボオオォ・・・ッ!


マホはあわてて新しいマッチをすりました。 あの女神様にもう一度現れてもらうためです。

しかし、火の光の中に、現れたのは・・・


?「ん? あらあら、マーマー…」

マホ「へ?」


今回現れたのは、どこぞの痛々しいアイドル(28)とどこか面影の似ている、なかなかのおもちをおもちの若い女の人でした。


美月「あら、道に迷ったの? ここはお菓子のお店よ?」


その女の人は、両手に大きなデコレーションケーキののった大皿を持っていました。


マホ「あ、あなたは・・・  だ、誰、ですか?」

美月「私はここのお店の店主、瑞原美月よ♪ おじょーさん、お腹がすいているのかな?」


マホは、お腹がすいているどころではありませんでした。 今にもお腹の皮と背中がくっついて目が回りそうなほどに空腹でした。


マホ「は、はい…///」グウゥ~~・・・

美月「しょーがないなぁ。 じゃあ、こっちにいらっしゃい? 試食用のチョコレート、チョコッと食べさせてあげるから♪」

マホ「え、ほ、本当ですか? ありがとうございますぅ! おばさん!!」


美月「・・・ お・ば・さ・ん??」ゴゴゴォ・・・


美月「しっつれーしちゃうね! みつつ、よく中学生に間違えられるのに、おばさんですって…?」

マホ「は?」

美月「躾のなってないコにあげるお菓子なんてないよ! とっとと帰りなさい!」バタンッ


その店主は、ワケの分からないことを言いながら奥へと引っ込んでしまい… それと同時にマッチの火は消え、あとはただ、厚い冷たいレンガの壁が見えるばかりでした。


マホ「うぅ…! 風越のキャプテンさん… もう一度出てきてください!」シュッ!


マホは祈りをこめて三本目のマッチをすりました。 

すると、そこへ、現れたのは・・・


トシ「…ん?」ズルルルルルウゥ~~・・・


テレビを見ながらカップラーメンをすすっているおばあさんでした。


トシ「ん、なんだいアンタ、汚い子だね。 どっから入ってきたんだい?」

マホ「え、えと、その、お腹がすいてて・・・ あ、あの、マホにも、そのカップラーメン・・・一つもらえませんか?」

トシ「そりゃあできない相談だねぇ。 カップラーメンは今これ1個しかないんだよ。 あ、でも…」ゴソゴソ

マホ「?」


そのおばあさんは、何やら茶色いオハギのようなものがドッサリとのったお盆を取り出しました。


トシ「ちょうどもらい物のマンジュウがあったよ。 ちょっと多すぎて困ってたところなんだ。 これならお前さんにあげてもいいよ」

マホ「・・・???」


マホはマジマジとその茶色い物体を観察しました。

どう見てもお饅頭ではありません。

確かに形はお饅頭のようですし、色もそれっぽいのですが、どうもおかしいのです。

ピンピンとワラのような繊維がいくつかはみ出しているのが見えます。

それに・・・ なんともいえない妖しげな香りを、ほんのりと漂わせていたのです。


マホ「・・・! こ、これ・・・!!」

トシ「ん?」


マホ「うんこ! うんこじゃないですかっ!!」


マホ「おばあさん! これおマンジュウじゃないです! うんこですよおぉっっ!!」=3

トシ「え? おやまあ、ホントだね。 こりゃ馬糞だったね。 すまんね、色や形が似てるからマンジュウと間違えちまったよw」

マホ「・・・・ふざけるなこのモウロクババアアアアァァッ!!」ガシィッ!

トシ「ぶげっ!!」=3


マホはあまりの空腹と怒りで我を忘れ、両手でおばあさんの首をつかんで渾身の力で締め上げ始めました。


トシ「… ぁぐっ、ふぅ…! し、死ぬ…!」ジタバタ

マホ「死ぬです! 今すぐ死ぬですっ!! 死んで詫びるですうぅっっ!!!」ギリギリギリ


夜叉のように恐ろしい顔で首を絞めるマホ・・・

しかし… おばあさんがブクブクと泡を吹き始めたその時… その女は現れたのでした。


?「おい待てよあんた、うんこをナメちゃあいけないぜ?」ユラリ


そこに立っていたのは… なんともザンネンなおもちをおもちの、赤毛のうすらぺったんこな女でした。


マホ「ふぇ?!」ビクッ

爽「まあ許してやれよ。 馬糞と饅頭は本当にそっくりなんだ。 今でも日本中の土産物屋に『馬糞饅頭』の名前で売ってる馬糞を模した饅頭があるくらいだからな。 そのばあさんが間違えるのも無理はねーよ」

マホ「…? あ、あなたは… い、一体、誰ですか?」

爽「フフッ、まあ名乗るほどの女じゃございませんよw ただの通りすがりのトイレマスターさ」ニヤ

マホ「といれますたぁ・・・??」


爽「いいかいお嬢さん。 馬糞は非常に利用価値の高いスバラな物なんだぜ? 古来から、肥料、燃料、時には医療や美容にも利用されてきたんだ」

マホ「? び、美容…? うんこをですか?」

爽「そうだ。 フンの中の酵素が垢や脂肪を溶かし、肌をいためずに美白効果を期待できる… ウグイスのフンなんかは今でも美容用に売られてて、メチャクチャ高価なんだぞ?」

マホ「… そ、そんなこといったって… マホは、あったかい物か食べ物が欲しいんです…」

爽「う~ん… 確かに馬糞を食べることはできねーけど… 暖をとることはできるぞ? その馬糞の中に手を突っ込んでみなよ。 あったけーから」

マホ「へ?! そんな、マホ、うんこなんかさわりたくないです!」

爽「だいじょぶだって、牛や馬の糞はそんなに汚くねーから。 臭いもあまりしないだろ? 土と大して変わんないよ。 昔の貧しい農家の子どもはみんな家畜の糞に手を突っ込んで暖をとったんだぜ?」

爽「それに、馬糞療法っていう言葉があるくらい、馬糞は外傷治療薬として使われてきたんだ。 その手の甲のあかぎれにも効くからさ、だまされたと思って入れてみなって」

マホ「・・・じゃ、じゃあ・・ 少しだけ・・・」ソッ


恐る恐る、馬糞の中に手を入れてみると… ほんわりとした心地よいぬくもりが、マホの冷えきった両手をやさしく包みこみました。


マホ「… あ… あったかいですぅ…///」

爽「だろ?w」

マホ「まるで人肌みたいです…  ん、あれ?」

爽「? どうした?」

マホ「いえ、あの… うんこの中に、何か、カタい物が…」

爽「ナンダトォッ!? おい、見せてみろっ!」

マホ「? は、はい…」モゾモゾ


その赤毛の女に促されて、マホが馬糞から引っ張り出した物は・・・ リンゴほどの大きさの、灰色で表面がボコボコとしている軽石のようなものでした。


爽「お・・・ おい! お前すごいなっ! これは・・・」

マホ「??」


爽「“馬糞石”だぞっ!!」


マホ「バ、バフンセキ・・・??」

爽「そうだ! 馬の腸内で、極稀にできることがある結石・・・ 数千頭に一つ出るか出ないかっていうメチャクチャ貴重なモノなんだぞ!」

マホ「?? …こ、こんな石が… 一体、なんの役に立つんですか?」

爽「べらんめえっ! 馬糞石は昔から漢方の特効薬として重宝されてきた奇跡の石だっ! 『開運! なんでも鑑定団』にも出品されたことがあって、そん時は300万円もの鑑定額がついたんだぞ!!」

マホ「・・・さ、さ、さんびゃくまんえん・・・???」アワワワワ

爽「おうよ! ウハハハッ!w こいつがあれば私たちは大金持ちだぜっ!!ww」


・・・そのあと、二人は馬糞石を製薬会社に持ち込んで大金を手にし… それを元手に馬糞を販売する会社を興し、マッチ売りではなく馬糞売りとなったマホは、億万長者になって末永く幸せに暮らしたそうです。

めでたしめでたし



(カン)


その42.~「しらつき姫と七人のうんコロボックルたち」(前編)の巻~



寒い寒い冬のことでした。

平原一面に白い雪が降り積もり、さらに粉雪がひらひら、まるで羽のように空から舞い降りていました。

お城では、おきさき様が黒檀の枠のついた窓のそばに座って、縫い物をしながら、そんな外の様子を眺めていました。

そこで、お后様は思いました。


ナナ「雪のように白くて、この窓枠みたいに黒い子が、授かりますように…」


やがて、お后に女の子が生まれました。

雪のように白い肌、そして黒檀のように黒く美しい髪をした子どもでした。


ナナ「ふふ、あなたの名前はシノ・・・ ‟白築慕”よ♪」

慕「……」ニコニコニコ


その子どもは太陽のように明るい笑顔で、城の者たちみんなから愛され、いつしか「しらつき姫」と呼ばれるようになっていました。


しらつき姫はスクスクと大きくなり、とてもかわいらしい少女へと成長していきました。

ところが、しらつき姫が9歳になった時、突然、お后様がどこかへ雲隠れしてしまったのです。


慕「ねえ叔父さん、おかーさんはいったい、どこへ行っちゃったの…?」ウルウル

耕介「…心配すんな、慕。 何か俺たちに言えない事情があるんだろうけど… きっとすぐ戻ってくるさ」


しかし、お后様は一年たっても二年たっても戻ってこず… 王様は、ついに新しいお后を迎えることにしました。

ところが・・・・


はやり(28)「こにゃにゃちわーっ!☆ えへへっ、はやりをお后として選ぶなんて、ここの王様はお目が高いゾ!☆」ハヤヤッ


新しいお后様はアラサーにもかかわらずそれはそれは壊滅的なブリブリブリッコで、お城にその姿が現れた時、そのあまりの痛々しさにその場にいた者たちはみな凍りついてしまったほどでした。

そして、このお后はとても不思議な鏡を持っていました。

お后は鏡の前に立つと、いつも鏡をのぞきこみながらこうたずねました。


はやり「むふふふw 鏡よ鏡よ鏡さん!☆ 咲-saki-界で一番カワイイ女のコは、だーれっカナ?」

鏡(爽)「あん? そんなの聞くまでもねーだろ。 咲-saki-で一番の美少女っつったら… もちろん風越女子の女神・福路美穂子サンだよ!」

はやり「……」


はやり「もー! 鏡ちゃんったら冗談キッツイゾ!☆ 本当に一番カワイイコは誰かなぁー?」ゴゴゴォ・・・

鏡(爽)「だから美穂子サンだって言ってんだろ。 二番目はやっぱユキか鹿児島の神代… 清澄の原村も淫ピとか言われてるけど、やっぱかなりレベルたけーよな」


 パリィーンッ!!


鏡(爽)「はまじぃっ?!?」=3=3


お世辞を言うことを知らないその鏡は、かわいそうに、粉々に砕かれてしまいました。


はやり「ダメだこの鏡。 新しいの買ってこよぉーっと☆」テコテコ


お后が新しく買ってきた鏡は、おべっかのうまい空気を読める鏡でした。


はやり「鏡よ鏡よ鏡さん!☆ 咲-saki-界で一番カワイイ女のコは、だーれっ?」

鏡(漫)「は、はい… それは、お后様、あなたです。 いや、むしろ 咲-saki- じゃなくて はやり-hayari- に改名した方がええんじゃないっすか、この漫画」ヨイショヨイショ

はやり「だよね!☆ はやりこそが宇宙一カワイイ永遠不滅の美少女クイーンだもんね!」ハヤヤ


お后様はこれでやっと満足し、自信満々でフリフリのアイドル衣装を着こんで舞踏会へと出かけていくのでした。


ところが、ある日のこと・・・ それは、しらつき姫が12歳の誕生日を迎えた日のことでした。

いつものように、お后様が鏡に向かってあの質問をすると… 驚いたことに、鏡はこう答えたのです。


鏡(漫)「…お后様、アラサー女子の範囲内なら、確かにあなたが一番美しいかもしれません。 でも、咲-saki-キャラ全てで言うんなら、一番の美少女は間違いなくしらつき姫です」

はやり「は?やぁ?!」


驚いたお后様は、鏡を脅したりすかしたりしてみましたが、今度ばかりは鏡は頑として言うことを曲げません。


鏡(漫)「咲-saki-で一番の美少女はシノチヤー・・・! それはこの世の真理で、どんな権力も捻じ曲げることのできん事実なんや…! うちはもう、ウソを言い続けるのは嫌なんや!!」カッ

はやり「…!!」


それからというもの、お后は姫を見るたびにはらわたが煮えくり返るようでした。

プライドの高いそのお后は、自分よりカワイイキャラが咲-saki-の中にいる・・・ということがどうしてもガマンならなかったのです。


そこでお后は、ある日、ガチレズの狩人を呼び寄せて言いました。


はやり「しらつき姫を森の中へつれてって、ピーしてピーしてピーしてきちゃってよ!☆ もうはやり、あのコの顔は二度と見たくない!」

恭子「・・・分かりました」


狩人は言いつけどおり、しらつき姫を森につれていきました。

そして、山を一つ越えたところで、おもむろにしらつき姫の前に膝をつき、こう言ったのです。


恭子「姫様。 実は私はお后様に、姫様をピーするように言われてきたのです」

慕「え?! ピー??」

恭子「あの新しく来たお后は、あなたの美しさに嫉妬しとるんや。 このまま城に戻っても、いつかは殺されてしまうでしょう…」

慕「そ、そんな…」


その狩人は、確かにガチレズでしたが、非常に高貴な精神の持ち主だったので、なんとかしらつき姫を助けたいと思っていました。


恭子「生き延びるには、別の国で暮らすしかありません。 あと山を二つ越えた所まで行けば、隣国の国境があります」

恭子「本当は国境を越えるところまでお送りしたいんやけど… あまり帰りが遅いと怪しまれてしまいます。 ここからは、どうか一人で行ってください」

慕「…分かりました。 ありがとう狩人さん。私、ガンバります!」フンス!

恭子「どうかご無事で…」


しらつき姫は健気にも一人で、岩を踏み越え、いばらをかきわけて森の中を進んでいきました。

しかし、三つ目の山を登っている最中に、とうとう日が暮れてしまったのです。


しらつき姫は、真っ暗な中で途方にくれてしまいました。

小さな体はもうヘトヘト… 足も棒のようでした。


慕「どうしよう… こんな所で、朝になるのを待つなんて、無理だよ…」


遠くから、 ワオーン という狼が吠える声が響いてきました。


慕「う、うぅ… オオカミに食べられちゃうのは嫌だな… おかーさん、おじさん、助けてよぉ…」シクシク


しらつき姫は、木の根元にしゃがみこむと、かわいそうにハラハラと涙を流し始めました。

無理もありません。 まだしらつき姫は12歳になったばかりの子どもなんですから…

しかし、その時でした。


?「おい、そんな所で何してるし?」

慕「え?!」


顔を上げたしらつき姫は、驚きのあまり、口をポカンと開けて目を丸くしていました。

目の前で、右手にランプを持ってこちらをのぞきこんでいるのは… 頭になぜかネコ耳の生えたマキグソ型の小人だったのです。


背の高さは30cmくらい・・・

そして美しくハリがあり、ほのかにうんこ臭い茶色いそのボディー・・・!

さらに、あのソフトクリームを連想させるピラミッド型のたいへん立派なフォルム・・・!!

どこからどう見ても、その小人は健康的なマキグソそのものでした。


イケダ(ウンコ)「迷子か? こんな所でしゃがみ込んでたら風邪をひくし」

慕「え? あの、あなたは… だ、誰、ですか?」

イケダ(ウンコ)「私はうんこの妖精、“うんコロボックル”のカナだし。 迷子なら、私たちの家に来ればいいし」

慕「……」


果たしてうんこについていっていいものか、しらつき姫は迷いましたが、ここに一人でいても無事でいられる保証はありません。

いぶかしがりながらもついていくと、そのうんコロボックルは小さなレンガ造りの家に入っていきました。


イケダ「おーい、ただ今帰ったし!」

スミレ(ウンコ)「ああ、おかえりカナ。 …ん? その娘さんは、誰だい?」

イケダ「道に迷ってたみたいだから、連れてきてあげたし」

トヨネ(ビッグウンコ)「わーっ! ちょーカワイイ女の子だよー!」

ハツミ(ウンコ)「ん? 何事ですかー?」

マイル(ウンコ)「カナが人間の女の子ばつれてきたと」

サトハ(ウンコ)「ちょうどいい、今から夕食を摂るところだ。 キミも一緒に食べていくといい」

ハル(ヤッパリウンコ)「………」ポリポリ


慕「・・・・ え、えぇ・・・??」


その家の中は、家具が小さめなこと以外は、普通の家と特に変わりはなかったのですが…

中でくつろいでいるのは、やはり人間ではなく6つの同じようなマキグソたちでした。


マイル「一体どうしてこがん山ん中ば一人で歩いとったと?」


なぜか体中に鎖を巻きつけているうんこが佐賀弁で尋ねてきました。

そこでしらつき姫は、そのうんこたちにこれまでのことをすっかり打ち明けました。


スミレ「なんと… 国の王女様だったのか」

イケダ「義理の母親に殺されそうになった、だって…?」

トヨネ「ちょーひどいお母さんだよー!」=3

ハツミ「そこを狩人さんが助けてくれたわけですかー」

ハル「……」ポリポリ


すっかり聞き終わると、リーダーらしいメガネをかけたうんこが言いました。


サトハ「それなら、私たちのために家の仕事をしてくれないか? 料理に洗濯、掃除に縫い物など… 家事をこなしてくれるなら、ずっとここにいてくれてもかまわないぞ」

慕「………」


しらつき姫は小さい頃から、怠け者のお母様にかわって料理や洗濯をこなしていたので、家事には自信がありました。

ですが、うんこたちのお世話をするお姫様なんて、今まで聞いたこともありません。


トヨネ「・・・あ、別に、嫌ならやらなくてもいーよ? ただいてくれるだけでも…」

慕「あ、いえ… 別に嫌じゃありません。 家事なら一応できるので、やらせて下さい」


こうしてしらつき姫は、七人のうんコロボックルたちと一緒に暮らすことになったのです。






イケダ「じゃあしらつき姫、行ってくるし!」

トヨネ「ちゃんとイイコで待ってるんだよー!」

スミレ「もしかすると、その悪いお后がここまで来るかもしれない。 誰か訪ねてきても、絶対に中に入れてはいけないよ」

慕「分かりました。 みなさん、行ってらっしゃい♪」


七人のうんコロボックルたちは、毎朝、山へ出かけていって、畑を耕して野菜作りに精を出します。

そしてしらつき姫は夕方彼らが戻ってくるまでに、掃除、洗濯、縫い物などの家事をこなし、お風呂と夕食の支度をして待っているのです。


サトハ「お、今日の夕食は生姜焼きにグラタンにおでんか」

トヨネ「統一感ない食卓だけどちょーおいしいよー!」モッグモッグ

イケダ「すごい… その年で私よりも料理がうまいなんて、大したもんだし」ムッグムッグ

慕「そんなことないですよ/// あ、そういえばイケダさん、靴下に穴があいてたのでつくろっておきましたよ♪」

イケダ「あ、ありがとう///」


 ワハハハハハハハ  ワイワイガヤガヤ  キャッキャッキャッ♪


しらつき姫はとてもよく働いたので、うんコロボックルたちは皆、大喜びでした。

しらつき姫も、初めはうんこと一緒に暮らすことに不安を感じていましたが、皆明るくて優しいうんこたちなので、見た目や多少のにほひなどは気にならなくなりました。

そして、しばらく過ごすうちに、ずっとこのうんこさんたちのお世話をして暮らすのも悪くないかな、とさえ思うようになっていたのです。




一方、お城では・・・ あの腹黒くて痛々しいお后様はどうしていたでしょう。

お后は、狩人がしらつき姫を亡き者にしてくれたものとばかり、思い込んでいました。

ですから、これでもう自分より美しい女のコはいないと信じて、鏡の前に立ちました。


はやり「鏡よ鏡よ鏡さーん!☆ 咲-saki-界で一番カワイイ女のコは、だーれっカナ?」

お后が聞くと、その鏡は答えました。

鏡(漫)「お后様、アラサーの間でなら、あなたは確かに一番美しいかもしれません… けれど、山の向こうでうんこたちと一緒に暮らすしらつき姫は、あなたの千倍はカワイイです」

はやり「What?!☆」


お后はビックリ仰天、怒りのあまり、ワナワナと震え始めました。

あのにっくきしらつき姫は、まだ生きているのです。

一体どうしたら、姫を亡き者にできるのでしょう・・・?


はやり「うむむむむむmm・・・!☆」


お后はうんうん唸って考えました。

お后は、咲-saki-界の中で自分が一番美しくない限り、悔しくて一時も気が休まらなかったのです。


はやり「・・・よぉーし、もうこうなったら・・・ 手段は選ばないっ!」カッ



お后は黒魔術の心得がありました。

誰も知らない城の地下の秘密の部屋にこもって、その禍々しい魔法で恐ろしい毒リンゴを作ったのです。


はやり「ムフフフ…☆ これを一口かじったら最後、絶対に助からないゾッ!」グフォフォフォ・・・


お后はリンゴができあがると、顔に色を塗ってボロを着込み、百姓のおばあさんに化けました。

そして、山を越えて七人のうんコロボックルたちの家へと急いだのです。



(続く)

止まります。
後編はまた来週書きます。


その43.~「しらつき姫と七人のうんコロボックルたち」(後編)の巻~


 トン、トントントン・・・

山を越えてうんコロボックルたちの家までやって来た、おばあさんに化けたお后様・・・

トントンと戸を叩くと、しらつき姫が窓から顔を出して言いました。


慕「はい、こんにちはおばあさん。何のご用ですか?」

はやり「こんちゃかわぁーッ☆ おじょーさん、はやりの作ったディリシャ~スなリンゴはいかがかな?」キャピリンコ


そのおばあさんの差し出したリンゴは、実に気持ちの悪い紫がかったドドメ色をしていました。


慕「・・・いえ、リンゴは間に合ってますので… 今日はけっこうです」

はやり「そんなこと言わないで食べてみてYO! 毒なんか入ってないからさ!☆」ハヤヤ

慕「……」


はやり「何? はやりのりんごが食べられないってゆーの?☆」

慕「…いえ、その、そういうわけでは…」


怪しさMAXのリンゴ売りのおばあさんですが、心優しいしらつき姫はなかなか断ることができません。

そこへ…


イケダ「ん? なんだアンタ、何してるんだし?」

はやり「はや?」


現れたのは、トイレに戻ってきたネコ耳の生えたうんコロボックル、イケダでした。


はやり「・・・・にゃぱぱぱぱぱぱッ!www=3 アンタ畜生な上にうんこだなんて・・・はやりこんなみじめな生き物見たことないYO~~!☆」ケラケラ

イケダ「な、なんだと…?!」


イケダ「う、うんこをバカにするなし! お前だってトイレに行ったらうんこくらいするだろう?」

はやり「ザーンネンでした☆ はやりみたいな天使すぎる女の子はうんこなんかしないんだよん♪ はやりのお尻から出てくるのは、お砂糖とスパイスの入った甘い甘~いお菓子だよ?」ハヤヤン

イケダ「はぁ? 何言ってるんだし! ヨボヨボのBBAのくせに…」

はやり「ム? これは変装だよ! 本当のはやりは… このとーり、ピッチピッチの女のコなんだぞッ!☆」バッ

慕「え?!」


化粧を拭き取ってボロを脱ぎ、ついにその痛々しき正体を現したお后様・・・!


慕「あ、あなたは… お義母さん?」

はやり「ありゃ、バレちゃったか☆」テヘッ

イケダ「お、お前… しらつき姫を殺そうとした女王だな? とっとと城に戻れし! しらつき姫にはこの私が指一本ふれさへぶしっ!!?」=3=3


うんコロボックルのイケダは、セリフを言い終える前にお后の投げつけた毒リンゴに叩き潰されていました。


慕「イ、イケダさん…!」

はやり「ウプププププ…www☆ さぁ、次はあなたの番だよ?しらつき姫ちゃん・・・w」ユラリ

慕「っく…!」バッ!


あわてて窓を閉め、部屋の奥へと逃げ込んだしらつき姫・・・

しかし、


 ドッゴオォォ―――ンッ!!=3=3


慕「ひっ?!」


ドアを一発で蹴り飛ばし、中に入ってきたそのお后は、まるでアイドル衣装を身にまとったターミネーターのようでした。


はやり「プシシシシ…w☆ もう逃げられないゾ!しらつき姫ちゃん…w 黙ってはやりの毒リンゴを食べなさい!!」クワッ

慕「う、うぅ…!」


悪魔と化したアラサ―アイド・・・、否、お后様がジリジリと迫り、しらつき姫を壁際まで追い詰めました。

絶体絶命です・・・!

しかし、賢いしらつき姫はここで一計を案じ、お后様にこう言ったのです。


慕「・・・お、お義母様、分かりました。 言われた通りそのリンゴを食べるので… お願いです、最後に神様へのお祈りだけさせてください」

はやり「お祈り?☆ …ふぅ~ん…… 別にいいケド? じゃあサッサと済ませちゃってよ」

慕「あの、この家は、神棚がトイレにあるので… 一度トイレに行かせてください」

はやり「トイレ? そんなこと言って、窓から逃げる気なんじゃないのー?」

慕「そ、そんなこと、しませんよぉ…」フルフル

はやり「……」


お后は少し迷いましたが、しらつき姫を縛りつけ、逃げられないようにその縄の先を持ってトイレへと行かせてあげました。


<「トイレにまします父なる神様… 願わくば御名を…」

はやり「……」


トイレの中から、しらつき姫のお祈りの声が聞こえてきます。


<「…南無阿弥陀仏ナムミョウホーレンソウですよー」

はやり「………」

<「アーメン・ザーメン・ザーサイメンいっちょうですよー!」

はやり「……?」

<「ブリブリブリブリブリブリッ! ブリュリュリュリュリュリュッチョス!ドゥッパァッシィッ!! ですよーっ!!」

はやり「・・・・は?」


 ガラァッ!


はやり「ちょっと! アンタ真面目にお祈りしてんの? フザケるなら早く出・・・ ふぁっ?!」ギョッ

ハツミ「おや? ノックしないでトイレに入ってくるのはマナー違反ですよー?」


そう… そこにいたのはしらつき姫ではなく、巫女服をアバンギャルドに着こなしたうんこだったのです。

トイレに潜んでいたハツミが、しらつき姫の縄をほどいて窓から逃がしてあげていたのでした。


ハツミ「ザンネンでしたねーw 私たちうんコロボックルがいる限り、しらつき姫には指一本ふれあばじゃあぁっ?!」ジャアァーッ・・・


お后様は無言でそのうんこを便器の中に叩き落とすと、排水レバーをひねって流してしまいました。


はやり「しらつき姫ェ! このHAYARI様から逃げられると思ったら・・・大間違いだゾ!!」バッ

はやり「さあぁ魅せろはやりのTSUBURAな瞳よ・・・! 必殺!“アラサ―・テレスコオオォ―――プ”!!☆」ババッ


家から飛び出したお后様は、その能力の一つである千里眼を発動… 森の木々を透視し、アッという間に走って逃げるしらつき姫を見つけてしまいました。


はやり「むふぉふぉふぉふぉ…!ww そこだッ! うなれはやりの大根足・・・じゃなくてセクシー・レッグ…! “アラサ―・ミラクルラアアァ――――ッシュ”!!☆」ドゥッパァ――ンッ!!


爆発的なスタートダッシュで駆け出したお后様は、一瞬にして時速200kmに到達・・・ みるみるうちにしらつき姫に迫っていきます・・・!


慕「えっ! お義母さん?!」ギョッ

はやり「うひゃひゃひゃカクゴしろしらつき姫ェ!!☆」バッ


お后様の振り上げた右手から、まるで山んばのように爪が伸び始め… しらつき姫の華奢な体を引き裂こうとした、その、刹那・・・!


 ギャリイィ――ンッ!!


はやり「えっ?!」


突然、どこからともなく飛んできたネビュラチェーンが、お后のその邪悪な右手にガッチリとからみついていたのです。


マイル「なんばしとる?! こんあやしか女め…!」ギリギリギリ・・・

トヨネ「こらっ!そこの変なオバサン! しらつき姫ちゃんに近づくんじゃないよぉ!!」バッ

ハル「……」ポリポリ


はやり「… はぁ……??」


現れたのは、長い鎖を聖闘士のようにかまえたうんこ、ひときわ長身のヴァンパイアのような目をしたうんこ、そしてのんきに黒糖をポリポリとかじっているうんこでした。


慕「み、皆さん…!」パアァ・・・

マイル「しらつき姫、間に合って良かったと… さぁ、少し離れてなさい」ザッ

トヨネ「あなたが姫が言ってた悪いおかーさんだねー? もぉー許さないよっ!」カッ

ハル「………  潰す」ポリポリ


・・・ああ、なんとたのもしいうんこたちでしょう…!

三人のうんコロボックルたちは、ヘタリこんでいたしらつき姫の前に立つと、キッとお后をにらみつけました。

しかし・・・


はやり「… なぁーに?☆ まさかマキグソさんたちがはやりの相手をしてくれるの? ちゃんちゃらちゃらちゃらおかしいYO~~ww」ヘラヘラ

トヨネ「うんこだからってナメるんじゃないよぉ! そしてちゃらが一つ多いよっ!!」

ハル「いや、二つ多い…」

マイル「そがんことはどうでもよか! さあイクぞ!!」

トヨネ・ハル「「おう!!」」ババッ!!


トヨネ「えぇいコレでもクラエエェッッ!!」ブンブンブン!!

マイル「リザベーション・・・セエェブゥ――ンッ!!」バババッ!

ハル「ポン、チー、ポン、そしてポォン!!」ブンブン

はやり「ん?!☆」


トヨネが自分のうんこボディをちぎって投げ、マイルがさらに鎖を放ち、ハルが自慢の喜界島原産の黒糖を投げつける…!


うんこ「 ミチミチミチミチイィッ!! 」
鎖「 ビュゴオオォォ――ッ!! 」
黒糖「 ヒョワアアアァァ――ッ!! 」


はやり「む…!☆」


うんこ「 ビチビチビチビチイイィッ!! 」
鎖「 ギュイイイィィ―――ンッ!! 」
黒糖「 ヒュンヒュンヒュンヒュウゥ――ンッ!! 」


はやり「これは・・・!!☆」


一斉にお后様を襲ううんこ、鎖、そして黒糖・・・!

お后は右手をマイルのネビュラチェーンに縛られたままであり、動くことができません。

化物のようなお后様も、さすがにこれは打つ手なし… もはやこれまでか? と思われた、次の瞬間でした。


はやり「ナメるなッ!☆ 今こそ萌えろはやりのコスモよ・・・! 超絶必殺ぅ! “アラサ―・ハイパーディメンショオオオォォ―――ン”!!!」ブワアアアァーッ!!


マイル「っげえ えぇ っっ !?!」=3


 スポポポポポポポポオォ―――ン…!


トヨネ「えぇっ?!」

ハル「…は?」


驚愕の表情を浮かべるうんコロボックルたち…

なんと、お后様が一声吼えると同時に、突然空間に真っ黒い“穴”があき…

うんこ、鎖、黒糖、その全てが穴の中へと吸い込まれてしまったのです。


マイル「な・・・何をしたんや! きさん!!」

はやり「うぴぴぴぴぴぴぴ…ww☆ これは“萌え”をとことん極めし者だけが使うことを許される萌えキャラ限定の究極奥義・・・!!」ゴゴゴォ・・・

はやり「どんなモノも異次元へフッ飛ばしてしまう“アラサ―・ディメンション”・・・! うんこごときが束になってかかったって、はやりに勝てるわけないんだYO!☆」ハヤッ!

トヨネ「そ、そんな、バカな…? 萌え度なら、アンタみたいなBBAよりもエイスリンさんの方がはるかに上のはずだよぉ?!」ワナワナ

はやり「そんなこわっぱが“萌え”を極められるワケないでしょー?☆ はやりは小二の時から本気で萌えを追及してきたんだよ… 全然年季が違うんだYO!!」カッ

はやり「さあぁカクゴしろうんこドモォ! くらえっ! “アラサ―・ディメンション・マァッ―――クスゥッ”!!☆」ブワアァァッ!

ハル「うっぐうぅっ?!」=3


 ドヒュオオオオオォォ――――ンッ!!


お后の放った究極の萌え技は猛烈な竜巻を発生させ… バキュームカーのように三人のうんコロボックルたちを一気に吸い込んでしまいました。


はやり「うぽぽぽぽぽww☆ これでカンネンしたかな? しらつき姫ちゃ・・・ん?」

(慕)「」ドロン


うんこたちの背後に隠れていたはずのしらつき姫の姿は、すでにそこにはありませんでした。

形勢が不利と見るや、一目散に逃げ出していたのです。


はやり「・・・ふぅん。 まぁいいや☆ あわてなくても、あんなヒヨワなウサギちゃんがはやりから逃げられるワケないんだから・・・w」ニタアァ・・・






慕「はぁ、はぁ、はぁはぁはぁはぁ・・・!」ヨロヨロ


森の中へ逃げ込んだしらつき姫は、落ち葉やつたに足を取られながらも、必死になって少しでも遠くへ離れようと頑張っていました。

そして、気がつくと、見晴らしの良い山のてっぺんまで来ていました。


慕「う…、こ、ここまで来れば、もう、大丈夫、かな…?」ハアハアハア・・・


疲れ切ってしまったしらつき姫は、大きな岩の陰に腰をおろしました。

と、その時、


 ガサッ


慕「?!」ビクッ


慕「な、何? さっきの音… ま、まさか、お義母さん…?」キョロキョロ


・・・ シィーン・・・・


慕「…こ、小鳥か、何かだよね…? こんな遠くまで来たんだから、もう、いるわけ…」


・・・ トキニハハヤリニナガサレテェー♪  リボンデオメカシシチャウノヨォー♪☆・・・


慕「…」ガタガタガタ


突然響き渡った痛々しいファンシーソング…

恐る恐る後ろを振り返ると、そこには…


はやり「ヤッホー♪ もぉー遅いゾ! はやりヒマ過ぎて一人コンサート開いちゃうとこだったじゃん!☆」ハヤヤ


岩の反対側から現れたのは、まぎれもなくあのアイドルの皮をかぶった悪魔、地の底までも追ってくる鬼神の如きお后様でした。


慕「あ、あぁ・・・」ガタガタ


かわいそうにしらつき姫はもう蛇ににらまれたカエルのように・・・ カタカタと震えるだけで、動くこともできません・・・


はやり「ふふw☆ 恨むんならはやりじゃなくて、カワイクなりすぎた自分自身を恨むんだねッ!!」バッ


まるでアームズのようにメキメキと巨大化した右手が振り上げられ… しらつき姫は、思わず目をカタくつぶっていました。


しかし、まさにその時でした。


 ビシィッ!! ビイイィ――ン・・・ッ!


はやり「はやっ?!」

慕「えっ?!」


目を見張る二人…

お后の背後から飛んできた一本の矢が、その頬をかすめ…

岩に突き刺さり、ビリビリとその矢羽を震わせていたのです。

そして…


スミレ「今のはわざと外した。 次は心臓を刺し貫くぞ」ザッ

サトハ「そこまでだ。 もうお前に逃げ場はないぞ!」スチャッ

はやり「…何ィ?」

慕「ス、スミレさん! サトハさん!!」


窮地に現れたのは、方やアーチェリーの弓を背負ったうんこ… そして方や長ドスをかまえたうんこ…!

そう… ついに、七人のうんコロボックルの中でも最強の二人… 超武闘派のうんこがその姿を現したのです!


スミレ「すぐに城へ戻れ。 そしてしらつき姫にはもう二度と近づくな…!」スチャ・・・

サトハ「今撤退すれば、命だけは助けてやるぞ…」ジリッ・・・

はやり「………」


一触即発のお后とうんこたち・・・!

しかし、


はやり「・・・・ ぶぉふぁふぁふぁふぁふぁふぁっっ!!wwww☆」=3=3

スミレ・サトハ「「!?」」ビクッ

はやり「ううぅおナカ痛いよぉ~…!☆w アンタたち、はやりの腹筋を崩壊させるつもり?ww」=3

はやり「うんこ如きが! はやりの相手に!! なるワケないでしょオオォッ!!!」カッ!


 バババァッ!!!


スミレ「なっ?!」
サトハ「うっ!?」
慕「えっ!?」


一瞬、稲光が閃いた・・・ と、思った次の瞬間には、スミレとサトハのかまえていた弓と長ドスは消えていました。


はやり「まったくもぉ… そんなノロマさんのくせに、よくもはやりに挑戦する気になったねぇ~?」カチャカチャ

スミレ「なぁ…? あ、あの一瞬で、私とサトハのエモノを奪い取った、だと…??」

サトハ「…!」


いえ、驚いてはいけません…! 「瑞原はやり」の一番のストロングポイントといえば、なんと言っても“和了速度”…! その神速と言われるスピードはまさに日本SAISOKU…! ことスピードにおいて、彼女に勝るモノなど存在しなかったのです。


はやり「さあさあどーするの? 5秒以内にはやりの視界から消えれば、見逃してあげなくもないケドォ~?☆」ニタニタ

スミレ「っく…!」

サトハ「……」


もはや打つ手なし… やはりたかがうんこが群れたところで、悪魔の力を得たアラサ―にはかなわないのでしょうか…?


慕「ス、スミレさん、サトハさん…!」カタカタ

サトハ「… 何、怖がることはないさ、しらつき姫… うんこは、得物を取られたくらいで負けるようなヤワな存在ではない」

はやり「はぁ?!☆ あのねぇ・・・臭くて穢らわしい汚物風情が、ミエをはるのもいい加減にしろってんだよっ!!」カッ!


ザワザワと髪を逆立て、真っ赤なオーラを身にまとい、ついにその本当の姿を現し始めたお后・・・

しかし、その恐ろしい姿にも少しも動じることなく、うんコロボックルのリーダー・サトハはこう言ったのです。


サトハ「ふん… どうやらお前は“うんこのなんたるか”を全く分かっていないみたいだな…」ズモモモモォ・・・

サトハ「いい機会だ。 教えてやろうじゃないか… “うんこの真の力”というものをな!!」カッ


はやり「うんこの、真の力ぁ…? いったい、何を言って・・・・んっ?!」ギョッ


 ブウウウウウウゥゥ――ン・・・  ザワザワザワザザザザザザアアァ―――・・・・!  モゾモゾ、モゾゾゾゾゾゾゾオオオォ~~・・・・!!


はやり「え、コレは・・・??」


 ドドドドドドドドドドオオオォ―――・・・!!  ブーブーブゥー!  ワン、ワンワンワン!  キーキーキィー!  ドッドドドドドオォ――・・・・!!


最初にやって来たのは、ハエやアリ、スカラベといった昆虫たちでした。

しかし、その昆虫たちに続いて… イノシシ、野犬、サル、カメ、ウサギ、ネズミ、パンダ、ミミズ等々・・・

森の中のあらゆる生き物たちの大群がやって来て、お后の前に立ち塞がったのです!


はやり「な、何? なんなのこのコたち…??」

サトハ「ふふ… こいつらはみんな、普段うんこをゴチソウとして食べている生き物たちだ。 私たちが発する匂いにつられてやって来たんだよ…」

はやり「はぁ?! もぉキモチワルイなぁ…!☆ うんこを食べるなんてサイテーだYO!」=3

サトハ「気持ち悪い…? 勘違いしてもらっては困るな。 人間だって、調味料や添加物、漢方の生薬などとして、哺乳類や鳥類のうんこから抽出された成分を食べているんだぞ?」

はやり「え、えぇ・・・??」

サトハ「それに、お前はうんこの匂いを臭いと言うが… うんこの匂いというものは極めて神秘的で高貴なモノなのだ。 その証拠に…」

サトハ「お前が体中に振りまいている香水… その香水にも、うんこの匂いが使われているんだぞ?」

はやり「はぁ?! まさかぁ!?」


サトハ「そんなに驚くこともないだろう… うんこの匂いは、主に腸内でタンパク質を分解することで作られたインドールやスカトールといった成分が元になっている」

サトハ「この成分は量が多いと人にとって不快な臭いになることもあるが、濃度が低ければ、オレンジやジャスミンの花などと似た非常に芳しい匂いを発するモノなのだ」

はやり「う、うんこが、花の香り…?? ウソでしょ…?」

サトハ「うんこはウソなどつかん! 事実、多くの香水やタバコの香料などに、哺乳類のうんこから抽出したインドールやスカトールが使われているんだからな。
それだけ、うんこというものは人に親近感や安心感を与える匂いをもっているモノなのだ」

はやり「……」


 ワンワンワン、ブーブーキーキー…  ワラワラワラモゾモゾモゾ・・・


集まった動物や昆虫たちが、まるでサトハを守るかのように寄り集まってきた…


サトハ「自然界におけるうんこは、こういった生き物たちに食べられたり、キノコなどの菌類やバクテリアに分解されることで、やがて大地に還っていく…」

サトハ「そしてその分解されたうんこが糧となり、森の中のあらゆる植物たちを育てていく…」

サトハ「いいか? “うんこや生物の遺骸がなければ、この世に新しい命は一切生まれてこない”・・・ これは科学的にも証明されている自然界の摂理… 神の真理というものなのだっ!」

サトハ「つまり、“万物の生命の源”・・・ それこそが“うんこの真の姿”なんだ」

サトハ「ふふ… つまり、うんこを敵にするということは、自然界における生き物全てを敵に回すということなんだぞ…? たかが人間一人が、勝てると思っているのか?」

はやり「………」


ザザザザザアァ・・・!  ワンワンワン!  ブーブー  キーキィー  ゾロゾロモゾモゾ・・・

 ブウウウウゥゥゥ―――ン・・・・!  ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオオオォォ――――・・・・・!!


はやり「・・・!」


もはや、動物や昆虫たちだけでなく、木々や草花や風など、森の中のあらゆるものがお后様に立ち向かっているかのようでした。

いくら悪魔のような力をもっているお后といえど、周りの全てが敵では、もう手の打ちようがありません…

ところが、


はやり「… ふぅ~ん…? ああそう。 じゃあはやりも、一つ教えてあげよーかぁ?」ハヤヤ

サトハ「何?」

はやり「グダグダグダグダ下らないことくっちゃべってんじゃあねぇーよ…☆ そういうのをねぇ・・・」ゴゴゴォ・・・

はやり「屁理屈って言うんだYO!!」バッ!

スミレ「なっ?!」

慕「えっ!?」


それは本当に一瞬のことでした。

神速で間合いを一気につめたお后様が… 自分のおもちの谷間からあのドドメ色の毒リンゴの切り身を取り出して、しらつき姫の口の中に押し込んだのです!


サトハ「!? しまった!!」


はやり「にゃ――っぱぱぱぱぱぱぱぱぱっっ!!www はやりはうんこなんか相手にしてるヒマないからねっ! ほにゃさいならー♪」ドヒューン・・・


お后が風のように立ち去ってしまったあとには、気を失って死んだように倒れているしらつき姫がいました。


サトハ「く… まずい! 息をしてないぞ!!」バッ

スミレ「脈もないな…」

ハツミ「どうしたんですかー?」


しらつき姫の元に、ワラワラと他のうんコロボックルたちも集まってきました。

うんこは基本不死身ですので、つぶされたり流されたり異次元に飛ばされるくらいのことはなんでもないのです。


うんコロボックルたちはしらつき姫を抱き起こして声をかけたり揺さぶったりしてみましたが、姫はカタく目を閉じたままピクリともしません…


トヨネ「ど、どうしよー? しらつき姫ちゃんが死んじゃうよー!」

ハル「…人工呼吸してみれば?」

マイル「いや、ばってん、うんこが人工呼吸ばするワケには…」

ハツミ「こういう時は、王子様のキッスで目を覚ますって、何かで読んだことがありますよー」

イケダ「それなら… どっかから王子様をつれてくるしかないし!」


その時でした。


耕介「・・・ん?」パッカパッカパッカパッカ・・・


そこへちょうど、白馬に乗った王家の人間らしきイケメンが現れたのです。


耕介「な、なんだ? うんこたちが集まって・・・ ん? し、慕か?!」

ハツミ「あ、いい所に王子様が来てくれましたよー!」

イケダ「おいお前! ちょっと待つし! しらつき姫をキスで目覚めさせてくれないか?」

耕介「はぁ??」


近くまで寄ってみると、そこに寝ているのは、まぎれもなく行方不明になっていた姪のしらつき姫でした。


耕介(慕…! こ、これは…? 眠ってるんじゃなくて… 仮死状態?)

耕介(うまく状況がのみこめないけど… これって…)チラリ

慕「…」グッタリ


耕介の腕の中でピクリともしないしらつき姫… そして、12歳の姪の、うっすらと濡れた唇が、目に飛び込んできたのです…!


耕介「…!」ゴクリ


 キーッス!  キーッス!  キーッス!  キーッス!  キーッス!


周りを取り囲んで、まるで小学生のようにはやしたてるうんコロボックルたち…


耕介(… い、いや、これは、キスじゃなくて… じ、人工呼吸だ!)

耕介(そう、不可抗力ってヤツなんだ… このまま処置をしないでいたら、慕の命が危ないんだから、仕方ないんだ!)

耕介(け、決して、俺は姪の唇に興味があったりとか、そんなヨコシマな気持ちがあるわけでは、ない…!)ハアハアハア

耕介(…え、えーっと、確か、、まずこうやって、アゴを持ち上げて・・・///)クイッ  ハアハアハアハア・・・!


耕介が、しらつき姫のアゴ先を持ち上げ、唇を合わせようと、顔を近づけ…


 「ちょっと、何やってんのあんた」

耕介「ヴォふぁっ?!?」=3=3


突然そこへ現れたのは・・・ なんと、3年前に行方不明になっていた前のお后様… つまり、しらつき姫の本当のお母様でした。

魔女ニーマンコに捕われていた彼女でしたが、自力で魔法を解いて脱出し、城へ戻る途中だったのです。


ナナ「? 耕介? あんた慕にナニを…」ゴゴゴォ・・・

耕介「あ、姉貴…? いや、これは、えと、その… いや! オレは何もやましい気持ちは…!」カタカタ

ナナ「・・・ちょっとどきなさいよアンタ」グイッ

耕介「え?」


耕介を押しのけたお后様は、しらつき姫を抱き起こして前かがみにさせると、その背中をポォーンと勢いよく叩きました。

すると…


慕「あ゛ぅっ?!」=3=3


しらつき姫の口から、あの毒リンゴが飛び出してきたのです。


慕「・・・あれ、え、ここは・・・ え? おかーさん?!」

ナナ「ふふ、慕、久しぶりね… ずいぶん大きくなったわね♪」

トヨネ「わあぁやったーっ! しらつき姫が生き返ったよー!!」

スミレ「のどにリンゴがつっかえてただけだったんだな」ホッ

ハツミ「キッスの必要なんかなかったですねー!」


 ヨカッタヨカッタ  イッケンラクチャクダナ!  ワイワイ、ガヤガヤガヤ・・・


こうして・・・ 一緒にお城に戻ったしらつき姫とお后様は、玉の輿に乗っていたあの悪いお后様を追い出し、無事、平和な生活を取り戻したのでした。

そして… 七人のうんコロボックルたちは皆、しらつき姫の命を救ったその功績を認められ、お城直属の家来に重用されることになりました。

このうんコロボックルたちは、幸ウンを呼ぶ聖なる妖精として人々からたいへん尊敬され… いつまでもいつまでも大切にされ、後世まで末永く語り継がれたそうです。



(カン)

爽「もいっかいテスト」

爽「テスト」>>113


その44.~アンデルセン童話「うんこ姫の恋」(前編)の巻~  ※シリアス



“「うんこ姫の恋」・・・”

“それは、美しくもそこはかとなくうんこ臭い、一つの愛の物語・・・・・”




海のはるか沖、水がまるで紺碧の絵の具で塗りつぶしたように青く、透き通ったサファイヤより澄んでいる南の海・・・

そんな天国のように美しい所に、うんコロボックルたちの住む島、“永遠のうんこ島”(エターナル・エクスクレメント・アイランド)はありました。

そこには、この世で一番不思議で美しい木や草花が生えています。

花と花の間を、極彩色の蝶たちがひらひらと妖精のように舞い、カワセミよりも綺麗な小鳥たちが歌を歌い、おだやかで心地良い南風が優しく吹き抜ける・・・

そんな楽園のように美しい島の中央に、うんコロボックルの王様・うんこ王の宮殿がありました。

その王城の壁はサンゴでできていて、窓は琥珀、屋根はホタテ貝でふいてあり、風によってカタカタと貝が揺れて心地よい音楽を奏でていました。


ただし、その素敵な宮殿に住んでいるのは、すべてマキグソ型のうんこの妖精、うんコロボックルたちでした。



モモ「はあ… 今日もこの島は平和っすね…」ボーッ・・・


宮殿の窓から、うんコロボックルのお姫様が顔を出して、道行くうんこの民たちを眺めていました。


カオリ「モモちゃん? 何をたそがれているの?」スッ


http://lohas.nicoseiga.jp/thumb/1430567i?



モモ「あ、かおりんお姉さま」


現れたメガネをかけたうんこ・・・ 彼女は、うんコロボックル四姉妹の三女、カオリでした。

名前の通り、彼女は実に芳しくほんわかとした素敵な香りのうんこのお姫様でした。


カオリ「今日は下で舞踏会を開いているのに… モモちゃんの姿が見えないから、探しに来たんだよ」

モモ「・・・よく存在感の無い私を見つけられたっすね…」

カオリ「だって、私、モモちゃんのおねーちゃんだもの。 ほら、素敵なうんこさんたちがたくさん集まってるよ? モモちゃんも参加しようよ?」スッ

モモ「私は遠慮しとくっす。 大広間にあんなにうんこばっかり集まって踊り狂ってるのを見ると、気分が悪くなってくるんっす」

カオリ「え、そんな…」

サトミ「やれやれ、困ったもんだなー、モモは」ワハハ


モモ「蒲原お姉さま…」


次に現れたのは、口がカマボコのような形をしたマキグソ、うんコロボックル四姉妹の長女サトミでした。

彼女はボディーが茶色一色ではなく、ところどころオレンジ色だったり、緑だったり、青かったりしていて、さらにエノキやトウモロコシがはみ出しているのが見えました。

俗に言うグラディエーションうんこです。


サトミ「お前はただでさえ影が薄いんだから、もっとこう、なんて言うんだ… 社交的にならないとダメだぞ?」

モモ「ほっといて下さいっす。 私はうんこなんか嫌いなんっす。 うんこなんか下劣で汚らわしい下等な生き物っす」


うんコロボックル四姉妹の末っ子モモは、うんこでありながらうんこを嫌っていました。

そう、人間にも人間嫌いな人がいるように、やはりうんこにはうんこ嫌いのうんこもいるのです。


サトミ「そんなことはないぞモモ? うんこは見た目はちょっとアレかもしれないが、この世で最も気高い生き物なんだぞ」ワハハ

サトミ「何しろうんこはこの世界の全ての生き物の母のような存在なんだからな… うんこが無くてはこの世は成り立たないんだぞ?」

ムツキ「うむ」


いつの間にか現れたもう一人のうんこがサトミの言葉に相槌を打ちました。

彼女はうんコロボックル四姉妹の三女で、そのボディーはまるで墨汁を流したように真っ黒でした。

医学用語でいうタール便… 恐らく彼女の生産者の胃か食道に潰瘍があったのでしょう。


モモ「そんな屁理屈はどうでもいいっす。 私は醜い生き物は嫌いなんっす」

カオリ「そんな… 私悲しいな… モモちゃんがうんこの美しさやかわいらしさを分からないなんて…」


三人の姉たちは、いかにうんこが誇り高き聖なる存在であるかを説いて聞かせましたが、モモはもう耳を貸しませんでした。


モモ(・・・私のお姉さまたちは、自分がうんこであることを恥ずかしくないんっすかね…? 私には考えられないっす)

モモ(どうして、私はうんこなんかに生まれてきちゃったんっすかね… どうせ生まれてくるなら、小鳥とかイルカとか猫とか人間とか、もっと見た目がいい生き物に生まれたかったっす…)


自分自身に自信を持てないうんこ姫モモは、時々こうして自分の運命を呪いながら、ため息をつくのでした。






そんなある日、島に嵐がやってきて、海は一晩中強者の集う雀卓のように荒れ狂っていました。

うんコロボックルたちは強い風や水が苦手ですので、皆お城の中で震えていました。

そして、あくる日… 浜辺には、沢山の流木やら海藻やら空き缶やらレジ袋やらが流れ着いていました。


モモ「随分いろんな物が落ちてるっすね…」テクテク


好奇心旺盛で冒険心のあるモモは、早朝、誰よりも早く起きて、そんな浜辺を散歩していました。

そして、一隻の大きな船が座礁しているのを発見したのです。


モモ「まるで物語に出てくる海賊船みたいな立派な船っす。 中にお宝があるかもしれないっす!」


モモは、その船に乗り込んでみました。 ところが、中はボロボロに壊れており、乗組員の遺骸があちこちに転がっていて、まるで地獄のような有様でした。


モモ「うわぁ~… お気の毒っす…」ナンマンダブナンマンダブ


と、その時、


 ウ、ウウゥ・・・


モモ「!?」


うめき声が聞こえ、振り返ると… そこには、身分の高い高貴な衣服に身を包んだ人間の少女が、ぐったりと甲板の壁にもたれかかっていたのです。


ゆみ「ぐ、うぅ・・・」


モモ「! こ、この人… まだ生きてるっす!」


モモは急いで城に助けを呼びに戻り、三人の姉を連れてきました。


サトミ「ひえぇ… こりゃ本当にヒドいな…」ワハハ

カオリ「昨日の嵐で遭難したんだね…」

ムツキ「うむ」


モモ「お姉さま! こっちっす!!」タタタ・・・


ゆみの元へ三人を案内したモモ…


ゆみ「……」グッタリ

サトミ「あー… こりゃもう助からないな」

カオリ「ひどく衰弱して… ケガもしてるね」

ムツキ「うむ」

モモ「そ、そんな… そんなこと言わないでなんとかして助けてあげて下さいっす!」

サトミ「・・・何を言ってるんだ? モモ?」

モモ「え?」


サトミ「人間はこの世で最も邪悪な生き物なんだぞ? そんな奴を助けてどうするんだ?」

モモ「え、だって、か、かわいそうっす…」

カオリ「モモちゃん… 人間はね、海や空気を汚し、自分たちのことしか考えずに他の生き物たちを殺したり弄んだりしてる、すごく悪い人たちなんだよ?」

サトミ「それに人間たちは私たちをいつもコケにし、バカにする… つまり私たちの敵なんだ」

サトミ「どうして敵をわざわざ助けなくちゃいけないんだ?」

ムツキ「うむ」

モモ「……」


モモ「そんなこと今は関係ないっす! 目の前に死にそうな人がいるのに、それを助けないなんて・・・おかしいっす!!」=3

サトミ「な、なんだ、モモ? どうしてそんなにこの人間にこだわるんだ?」

モモ「そ、それは・・・///」


モモは、少しキマリ悪そうに顔を赤らめて、うつむきました。

というのも、モモは、その人間の見た目・・・ 眉目麗しく美しいその姿に魅かれていたのです。


サトミ「とにかく私たちは協力しないからな」

カオリ「モモちゃんもあきらめて、早く戻っておいでよ?」

ムツキ「うむ…」


三人の姉たちは、モモを置いてお城へと帰ってしまいました。


モモ「・・・も、もう、お姉さまたちなんかいなくても、私だけで助けてみせるっす! せーっの、うんこらしょっと・・・!!」ウンショ…


モモは、必死で、自分のボディーの何倍もあるその人間の体を背負い、島で唯一の病院へと運んでいきました。






~荒川病院~


ケイ「え? 困りますねぇ~、うちは人間の治療なんかやってませんよーぅ?」


そのナースキャップをかぶったうんコロボックルは冷たく言い放ちました。


モモ「そ、そこを、なんとか・・・」ゼーゼー・・・

ケイ「そうは言っても… 仮に治療して治ったとしても、人間はうんこを嫌っとるからねぇ… 多分ビックリしてお金も払わずに逃げてくで」

モモ「お、お金なら私が払うっすから! お願いです! この人を助けてあげて下さいっす!!」


モモの必死の嘆願により、やっと、一番粗末な病室を使っても良いことになりました。

しかし、これといった治療をしてもらえるわけではなく、与えられたのは点滴のセット一つだけでした。


モモ「…みんな冷たすぎるっす… でも、私はあきらめないっす! 絶対この人の命を救ってみせるっす!!」


モモは、その病室に泊まり込んで、つきっきりでゆみの看病をするようになりました。

毎日点滴の交換をし、傷の包帯を替え、体を拭いてやり、下の世話までかいがいしくしてあげました。

三人の姉たちはそんな妹をあきれ顔で見ていました。

彼女たちは、きっと、モモはまだ子どもだから、ママゴトをする人形を手に入れたような気分なんだろう、と考えていたのです。


しかし、モモはそんな遊び気分でゆみの世話をしているわけではありませんでした。

そう・・・ 彼女は、人間の少女に恋をしてしまっていたのです。


ゆみは初めこそ生死の境を彷徨うほどの重症でしたが、モモの必死の看病のかいあって、徐々に体は回復していきました。

しかし、それでもなかなか目を覚ましませんでした。

スース―と、毎日ただ静かに眠り続けていました。

モモは、そんな風に眠っているゆみの顔を、うっとりとして見つめました。


モモ「綺麗な人っす… 長いまつ毛… 白いきめ細かな肌… しなやかな髪… つんと伸びた鼻筋…」

モモ「そして、真珠みたいになめらかな、朱い唇・・・///」ゴクリ


モモは、思わずその美しいゆみの唇に自分の口を合わせようとしましたが、ハッと思いとどまり、病室の鏡の前に立ちました。

その鏡の中では、もっさりとした茶色いうんこボディーが憎々しげにモモの方を見ていました。


モモ「・・・ああ… 私も人間の体だったら、良かったのになぁ…」ハア


モモは小さくため息をつきましたが、無言でゆみの点滴の空袋を外し、また新しいものと替えてやるのでした。


そして、ついにゆみが目を覚ます時がやってきました。

その時、モモはいつものようにゆみの傷の包帯を替えてやっていたのですが、ゆみが一瞬痛そうに顔をしかめ、次の瞬間に、パッと目を開いたのです。


ゆみ「・・・ん? ここは・・・」

モモ「!?」バッ!

ゆみ「え?」


モモは、咄嗟にそこにあったサロンパスでゆみの目を塞ぎました。

自分のうんこボディーをこの愛しい人間に見られたくなかったからです。


ゆみ「な、なんだ? ここは、一体…」

モモ「シッ! 静かにして下さいっす。 ここは病院です」

ゆみ「・・・ああ、そうか、船が難破して… 私は死んだものと思っていたが、助かったのか。 他の仲間たちは…?」

モモ「お仲間さんたちは皆お亡くなりになったっす。 助かったのはあなた一人っす」

ゆみ「そうか… 君が私を助けてくれたんだな? どうして目を塞ぐんだ?」

モモ「・・・それは聞かないで欲しいっす。 あなたに見られたくないモノがあるんっす…」

ゆみ「… 分かった。 私はツルガ国王妃、加治木ゆみだ。 せめて… 君の名前を教えてくれないか?」

モモ「・・・ モモっす。 それ以外のことは教えられないっす…」

ゆみ「モモ… そうか、美しい名前だな。 助けてくれてありがとう」ニコッ

モモ「…!///」


ゆみの口角がゆっくりと上がりました。

モモは、愛しの君が自分を褒めてくれたと思うだけで、まるで天にも昇るような気分でした。


それから、ゆみは目隠しをされたままですが、モモに色んな話をしてくれました。

彼女は一国の王妃でありながら、船で世界中のいろんな所を回っている冒険家なのでした。

北の海に浮かぶ野球場のように大きい氷の山のこと、ここよりもっと南の国の密林に潜む恐ろしい猛獣のこと、雲より高くそびえる山の頂上で咲く花のこと、そしてニホンという国に潜む悪鬼羅刹のような雀鬼たちの火花散る闘いのこと・・・・

モモは、ゆみのそういった未知の世界の話を、瞳を輝かせて熱心に聞きました。 

どこへ行っても鼻つまみものにされるうんコロボックルであるモモは、自分の島以外の世界にはほとんど行ったことがなかったのです。


モモ「すごいっす。 私もそのニホンに行って… 大魔王のコークスクリューや迫りくる怒涛の魔乳っていうのを見てみたいっす!」

ゆみ「ハハ… 君は本当に世間知らずなんだな。 どこかの辺境の国の箱入り娘なのかな?」

モモ「…そんなところっす」

ゆみ「それにしても君は、本当に美しい声をしているな。 世界中を回ってきた私でも、君のように美しい声で話す人を私は知らない」

モモ「・・・そ、そんなこと、ないっす///」

ゆみ「きっと君は、私が見たこともないような美しい姿をしているんだろうな…」

モモ「…//////」

ゆみ「ひと目でいい。 この目のサロンパスをはずして、君の姿を見せてくれないか?」

モモ「・・・・それは、できないっす・・・」

ゆみ「… そうか。 分かった、無理にとは言わないよ」


モモも、本当は目隠しをはずしてあげたいのです。

この美しい人間の瞳を見ながら、あ互いに微笑み合うことができたら、どんなに良いでしょう。

しかし、もしゆみが、モモがうんこであることを知ったら、どうするでしょうか。

もう、口などきいてくれるはずはありません。

それどころか、怒り狂って病室を飛び出して行ってしまうかもしれません。


モモ「はあ… どうして私は人間に生まれてこなかったんっすかね…」


それを思うと、モモはまたうんことして生まれてきた自分の運命を呪い、ため息をつくのでした。


目を覚ましてからのゆみは、ぐんぐんと元気になり、自力で歩けるまでに回復しました。

そして… やはり、自分の国に帰りたいということを口にするようになりました。


ゆみ「命を助けてもらったうえに、これ以上頼みごとをするのは気が引けるのだが…」

ゆみ「私を開放してもらえないだろうか。 国にいる部下や仲間たちが私のことを心配していると思う」

モモ「……」


モモは、ゆみが一人で動いたり目隠しをはずしたりできないように、彼女の手足を拘束していました。


モモ(開放して国に帰してしまったら、もう二度と私はこの人と話をすることはできないっすよね…)

モモ(何しろ私はうんこなんですから、会いに行っても追い返されるに決まってるっす)

モモ(こうなったら… この人の脚でも折ってしまおうっすかね…?)


モモ(そうして不具にしてしまえば、私は、一生この人のそばにいることができるっす…)スッ


目隠しをしてベッドに拘束されているゆみの前で、無言で立ち上がったモモは、そこにあったバールのような物を手にしました。


モモ(・・・これで、ひとおもいに、この人の脚を・・・)ギラッ


横たわるゆみの前で、バールを振り上げたモモ・・・・


ゆみ「… どうしたんだ、モモ? なぜ黙っている?」

モモ「…!」ハッ


ゆみの声で目が覚めたモモは、静かにバールをおろし、ハーハーと肩で息をしました。


モモ(な、何をしてるんっすか、私は… この人を傷つけようとするなんて…!)

モモ(・・・やっぱり、あきらめるしかないっす… 私は、この人を不幸にはしたくないっす…)


モモは、ゆみに気づかれないように一人涙を流しながら、ゆみを国に帰す決心をしました。






それから3日後の満月の晩、モモはゆみを小舟に乗せ、オールを漕いで静かな海を進んでいました。


モモ「ツルガ国までお送りすることはできないっすけど…」キーコキーコ

モモ「他に人のいる島まで送ってあげるっす。 そこからは、自力でツルガまで戻って下さい」キーコキーコ…

ゆみ「ああ、それで十分だよ。 恩に着る」


小舟は、静かに島の浜にへさきを着けました。

この島は、うんこではなく人間が住んでいる島です。


モモ「・・・着いたっす。 私は引き上げるっすから、水音がしなくなったら、その目隠しをはずしてもいいっすよ…」

ゆみ「ありがとう… これだけ世話になった人に、なんのお礼もすることができないのは心残りだが…」

ゆみ「私は一生、君のことを忘れないよ。 君のその美しい声… いつかまた、聞かせてくれないか?」

モモ「・・・・・」キーコキーコ・・・


ゆみの言葉に応えず、無言でオールを漕ぎ始めたモモ…

そして静かに岩の裏に回ると、漕ぐのをやめ、そっとゆみの方に向き直りました。

ゆみは砂の上に腰をおろしてしばらくジッとしていましたが、おもむろに顔に手をやると、ペリペリと目隠しのサロンパスをはずし、まぶしそうに満月を見上げました。

その姿を見て、モモはハッと息を呑みました。 

初めて見るゆみの瞳が、まるでエメラルドのように澄んだ、凛々しく美しい光彩を放っていたからです。


モモ(あ、あぁ… キレイっす…/// あんな瞳で見つめられたら、私もう、死んでも悔いはないっす…!///)


ゆみは少しだけきょろきょろと辺りを見回していましたが、スッと立ち上がると、浜辺の上の方へと歩いていきました。


そこには、大きな白い教会が建っていました。

ゆみがトントンと入り口をノックすると、中から、小柄ですがとてつもなくボリューミーなおもちをおもちの美少女が現れました。


ユキ「…どうされました?」

ゆみ「夜分にすまない。 実は道に迷ってしまったのだが…」

ユキ「まあ、それはお困りでしょう。 どうぞ中に入って休んで下さい」スッ

ゆみ「ああ、ありがとう」ニコッ


ゆみはそのシスターの少女に微笑みかけると、中に入っていきました。

モモは、その様子を、歯ぎしりしながら眺めていました。

あの優しい微笑みは、本当は自分に向けられるべきだと思ったからです。


モモは、ズキズキと痛む心を抱えながら、また小舟を漕ぎ、自分の島へと帰っていきました。






モモはもともと、うんこ嫌いで周りとコミュニケーションをとることを避けながら生きてきました。

しかし、あの麗しい王妃様と別れてからというもの、モモはいっそう、自分の殻に閉じこもるようになりました。

四六時中、お城の窓際に座って、ボーッと外を眺めているようになりました。

彼女の三人の姉たちはそんな妹を心配し、漫画やら美味しいケーキやらプロ麻雀せんべいカードやらを持ってきて気を引こうとしましたが、モモはもう、そんな姉たちに目もくれませんでした。


モモ(…今頃あの人は、何をしてるんっすかね…)ボー…

モモ(あの綺麗で優しい微笑みを、他の女たちに振りまいてるんっすかね…)

モモ(・・・一度でもいい。 あの人と目を見つめ合いながら、微笑みをかわしながら、おしゃべりをしてみたいっす…)


モモは、ゆみを帰してあげる時は、もうゆみのことを忘れるつもりでいました。

しかし、そう思えば思うほど、モモの頭の中には、ゆみの優しい声とあの素敵な笑顔が浮かんでくるのでした。


モモ(・・・もう我慢できないっす…! 私は… 悪魔に心を売ってでも、あの人を自分のモノにしたいっす!!)


…それは、お城でまたうんこたちのダンスパーティーが開かれている夜のことでした。

モモは、一人こっそり城を抜け出し、島のはずれの暗い森の中へと入っていきました。

その森の奥に棲まう、恐ろしい魔女に会うためでした。


モモ「あの人なら… もしかすると、私を人間にしてくれるかもしれないっす…」ハアハア


モモは一人ランプをかかげ、つたに足を取られたり、オオカミの吠え声におびえたり、コウモリの群れを必死で振り払ったりしながら、暗い森の中を進んでいきました。

その魔女は、何百年も生きていると言われる老婆で、モモは子どもの頃から、あの魔女にだけは会ってはいけないと何度も大人たちから言い聞かされていました。

魔女には5人の部下たち… マヨヒガ、座敷童子、ボンバーマン、大天使、ちょーおっきぃヒト、という恐るべき妖怪たちがいて、来る者を取っては食ってしまっていたのです。

しかし、幸いなことに妖怪たちは皆その時麻雀に興じており、モモは警護をすり抜けて、その魔女の屋敷に入ることができました。

まさに、モモの必死な思い… どうしてももう一度ゆみに会いたいという強い思いがあったからこそ成せる業でした。


トシ「ん…? なんだいあんた、ナニしに来たんだい」ズルルルゥ~・・・


その魔女は屋敷の居間で、カップラーメンをすすりながらテレビを見ていました。


モモ「…あなたにどうしてもお願いしたいことがあって、やって来たんす…」

モモ「お願いっす! この私を・・・ 人間にして欲しいっす!!」カッ

トシ「ほお…?」ニタリ


その魔女は、モノクルを妖しく光らせながら、顔中の皺を不気味に蠢かせて嗤いました。



(続く)

止まるっす
またたぶん日曜に後編書いていくっす


>>123一部訂正

× 彼女はうんコロボックル四姉妹の三女で、そのボディーはまるで墨汁を流したように真っ黒でした。

○ 彼女はうんコロボックル四姉妹の次女で、そのボディーはまるで墨汁を流したように真っ黒でした。


>>131>>132>>137一部訂正

× 王妃

○ 王女


その45.~アンデルセン童話「うんこ姫の恋」(後編)の巻~



トシ「ほお…?」ニタリ

トシ「ククク…w お嬢さん、しかしどうして人間なんかになりたいんだお?」

モモ「ヘ? だお?」

トシ「あ、すまんね/// ちょっと、口の中に、麺が… かんじまったよ///」モグモグ

モモ「……」

トシ「そ、それで、どうして人間なんかになりたいんだい?」


モモはその魔女に、今までのことを話して聞かせました。

難破した船から一人の人間の少女を救い出したこと…

看病のかいあって、彼女は元気になったが、人間の世界に戻っていってしまったこと…

そして、モモはその少女に恋をしてしまっていること・・・


モモ「どうしても… どうしても私はあの人を自分のモノにしたいんっす!」

トシ「それならコクりゃあいいじゃないかい。 お前はその子の命の恩人なんだろう? 無下にはしないだろうさ」

モモ「え、でも… 私は、その、うんこっすから…」モジモジ

トシ「私はカワイイと思うけどねぇ… あんたのその引き締まったハリのあるマキグソボディは…」

モモ「そ、それでも私は人間がいいっす! うんこなんかじゃ… あの人の心を射止めることはできないっすよ!!」


トシ「人間なんかになっちまったら、あんたの親や姉妹たちが泣くことになるよ。 それでもいいのかい?」

モモ「いいっす… 私は、自分の恋に生きたいんっす!」

トシ「そこまで言うなら、願いを聞いてやらなくもないが・・・」

トシ「お代として、あんたのその綺麗な声をもらうことになるけど、かまわないね?」

モモ「え?!」


モモ「こ、声…? 声はちょっと… 勘弁して欲しいっすけど…」


モモは、ゆみが自分の声を美しいと褒めてくれたことを思い出しました。

それに、声を奪われてしまっては、もう二度とうっすうっす言うことはできないわけです。


トシ「あんたはこの島の中で一番イイ声をしている… 誰もが聞き惚れるほどのね…」

トシ「あたしゃね、お前が持ってる一番いいものが欲しいんだよ。 それが無理なら、この話は白紙だね」フン

モモ「・・・わ、わかったっすよ! 私の声をあげるっすから・・・人間にして下さい!!」


トシ「ふふ…w それなら、人間になれる煎じ薬を作ってやろうかね…w」ヌギヌギ


魔女は、何故かおもむろに服を脱ぎ始めました。


モモ「え? は? な、何をしてるっすか?」

トシ「いいかい、煎じ薬には、このあたしの体の貴重なエキスを入れなきゃいけないんだよ」ヌギヌギ…

モモ「・・・???」


魔女はさっさと全裸になると、部下のボンバーマンに沸かせたお風呂に入っていきました。

そして、しばらくすると…


トシ「ふぅ… いい湯だったよ…」ポカポカ

モモ「… あ、あの… 魔女さん、煎じ薬は…?」

トシ「ああ、それならコレだよ」トン

モモ「は?!」


魔女が机の上に置いた物・・・ それは、コップに入った一杯の濁った汚らしいお湯でした。


お湯「…」ムワァ~ン…


モモ「こ、これは…?」

トシ「これは私が入浴した風呂の残り湯を煮詰めたものさね。 俗に言う“還暦汁”ってヤツさ」ニタリ

モモ「は、はあ・・・??」

トシ「この湯には神秘の還暦エキスがタップリと入っている… その薬効は折り紙つきさw」ニヤニヤ

モモ「……」ジリッ


モモは、思わずニ、三歩ほど後じさりをしました。

血色の良い健康的なその茶色いボディは、青白く変色し、カタカタと震えていました。

嗚呼、なんということでしょう…

人間になるには、これほどまでに恐ろしい液体を飲まなくてはいけないのでしょうか!


トシ「どうしたんだい? 飲まないのかい?」

モモ「・・・ほ、本当に、これを飲めば、人間になれるっすか?」

トシ「ああ、なれるともさ。 ただし、それと同時に、あんたはオシのようにしゃべれなくなるがね」

トシ「それと… この薬の効力はきっかり24時間だ。 24時間経ったら、またあんたはうんこに戻っちまうからね」

モモ「は、はあっ!? そ、そんなの聞いてないっすよ?!?」

トシ「そりゃ今初めて話したからねぇ。 ・・・ただ、一つだけ、あんたが一生、人間でい続けられる方法があるさね」ニヤ

モモ「え、えぇ…? それは…?」

トシ「それは… あんたが、その意中の王女とやらと、結婚することさ」

モモ「…!///」


トシ「もし、その王女がお前のことを抱き、お前を妻として、一生お前と一緒にいる… と誓ったならば、お前は完全に人間になり変わることができるのさ」

トシ「ただし… もしそれができなければ、お前は24時間後にうんこに戻ってしまう…」

トシ「そして、もし仮に他の女がその王女と結婚してしまったら、お前はその翌朝には、体がバラバラに砕けて死ぬことになるのさ」

モモ「そ、そんな…」カタカタ

トシ「いいかい、超常なる魔女の力を借りたいんなら… それくらいのリスクは必ずついて回るもんなんだよ」

トシ「お前が命を賭してその王女を手に入れる・・・という覚悟がないのなら、大人しく今まで通りの安穏とした生活を送った方がいいだろうさ」

モモ「………」


モモは、病院で過ごしたゆみとの日々を思い出していました。

そして、月の下で見たゆみの美しい瞳を思い出していました。

あの瞳に見つめられ、そして見つめ返しながら、ゆみと愛を語り合う自分を想像しました。

たとえ、命をかけても… モモの選択は一つしか有り得ませんでした。


モモ「・・・分かったっす。 それでもいいっす! 私は… 人間になって、必ず24時間以内にあの人と結婚してみせるっす!!」カッ!


トシ「ふふ…w そこまで言うなら止めないよ。 私の還暦汁を飲むがいいさ」

モモ「の、望むところっす!」バッ


モモは、還暦汁を手に取ると、ゴクゴクと喉を鳴らしながら飲み始めました。

胸がムカムカするほど気持ちの悪い液体でしたが、モモは一度も止まることなく、一気に飲み干しました。

そして、最後の一滴が口の中に落ちるのと同時に、モモは気を失い、その場に倒れてしまったのでした…






モモ「…!」パチッ

トシ「・・・おや? 目が覚めたっすね。 気分はどうだいっすか?」

モモ「・・・!??」モゴモゴ

トシ「ふん、無駄だっすよ。 あんたの声はもう私がもらっちまったっすからねw」


目を覚ましたモモの前には、うっすうっす口調で話す老婆がいました。

そして、モモはどんなにしゃべろうとしても、もう声は一言も出なくなっていました。


トシ「さあ、とりあえず鏡を見てごらんっす」スッ

モモ「!?!?」


魔女が向けてくれた等身大の鏡を覗き込んだモモは目を見張りました。

そこには… 黒髪の、とてつもなくすばらなおもちをおもちの、大変可愛らしい人間の少女が立っていたのです。


モモ(・・・や、やったっす! ついに、本当に人間の女の子に・・・なれたっすぅ!!)


トシ「さあ、ヌードは刺激が強すぎるっすからね。 これを着ていくといいさっすよ」スッ


モモは、魔女がくれたブレザーの制服を着こむと、急いで小舟に乗り、ツルガ国へと向かいました。


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ーーーーーーーー
ーーーー


ゆみ「私は、君が欲しい!」

いちご「え、お、王女様…? そんな、ちゃちゃのん、恥ずかしいんじゃ…///」


ツルガ国王女ゆみは、城下の街でナンパをしていました。

彼女は実は国王も頭を抱えてしまうほどの女たらしで、よく城下に出かけては、目につく美しい少女をそのイケメンスマイルでたらしこめているのでした。


ゆみ「瑞々しいストロベリーのようにかわいらしい少女よ… どうだね? 私と王室の豪奢なベッドの上でワルツを踊らないか?」キリッ

いちご「ん~…/// そこまで言うのなら…///」


ゆみがいちごをエスコートし、城へと歩き始めた、その時でした。


モモ「……」ニコニコ


ゆみ「ん? 君は・・・?」


ゆみといちごを通せんぼするようにして立っているその少女を見た途端、ゆみは雷に打たれたほどの衝撃を受けました。

黒く艶やかでしなやかな髪…

まだあどけない幼さの残る整った顔立ち…

ふっくらと妖艶に膨らんだとてつもなくすばらな巨乳おもち…!

そして、何よりもほんのりと緑色がかった潤んだ瞳と目が合った時… ゆみは、自分の運命というものを感じずにはいられませんでした。


ゆみ「き、君は・・・? 一体・・・??」

モモ「……」カキカキ、 バッ!

ゆみ「!?」


モモは、魔女の部下の大天使が餞別に渡してくれたホワイトボードに何かを書き込み、ゆみに見せました。

そこには、小さく「モモ」と書かれていました。


ゆみ「モモ…? ま、まさか、君は、私の命を救ってくれた・・・あの時の少女なのか?」

モモ「…」コクリ

ゆみ「そ、そうか…! ずっと探していたんだが… こんな所で会えるとは!」ギュッ


ゆみが手を握ると、モモは軽く小首をかしげながらニコリと微笑みました。

その微笑み一つで、ゆみの心は完全にモモの魅力にとりつかれていました。


いちご「な、なんじゃ? あんた一体誰なんじゃ!」


ゆみ「き、君、すまないが… 私はこの少女と大切な約束をしていたんだ。 今日はここで帰ってくれ」

いちご「は!?」

ゆみ「さあ、城へ案内するよ、モモ!」ギュッ


ゆみはモモの肩を抱くと、いちごを無視して歩き始めてしまいました。


いちご「・・・な、なんなんじゃ…? そんなん考慮しとらんよ!」=3


城へ着くまでに、モモは今までのことをホワイトボードに書いてゆみに伝えました。

もちろん、自分がうんこであったことは伏せましたし、口がきけないことは、悪い魔女に騙されて声を奪われてしまったからだと、少し脚色はしましたが…


ゆみ「そうか、そんなことがあったのか…」

ゆみ「君の声が聞けないのは残念だが、私は君の瞳を見れば、思っていることはすべて分かるような気がするよ」

モモ「…///」ニコニコ


モモは幸せで幸せで、幸せ過ぎて、まるでずっと夢を見ているような気分でした。

たとえしゃべることができなくても、こうしてゆみと目を見つめ合い、微笑みを交わすことができるだけで十分でした。


しかし・・・ この時モモは、大事なことを忘れていたのです。

そう、「24時間経ったら、元のうんこに戻ってしまう」というあの魔女の言葉・・・

ツルガ国に到着するまでにかなりの時間を使ってしまっていたので、そのタイムリミットは、今まさに、刻一刻と迫っていたのでした。

止まります
また明日書いていきます






ゆみ「さあ着いたぞ。 ここが私の部屋だ!」バッ

モモ「…!」


ゆみが案内したその部屋は… 教室ほどの広さがあり、贅を凝らした絹のカーテンやタペストリーがかかっていて、壁全体が美しい花々の絵で埋め尽くされていました。

そして、部屋の中央には、上に宝石が散りばめられている素晴らしい天幕で覆われた、円形の大きなベッドがありました。


モモ(す、すごいっす…! あんな大きなベッド、見たことないっす…///)


ベッドに目を奪われた、その次の瞬間でした。

モモは、ゆみに抱き寄せられ、唇を合わせられていたのです。


モモ「……!?///」

ゆみ「ん…」ニュルッ、 チュパァ・・・


モモの口の中にゆみの舌が入ってきました。

唇の裏、歯茎、舌、ほっぺの裏・・・と、ゆみの舌がモモの柔らかい口内をすべっていきます。

エンドルフィン、ドーパミン、セロトミン、エンケファリン・・・ モモの頭の中では、様々な脳内麻薬物質と性腺を刺激するホルモンが滝のように溢れ始めました。

モモは、されるがままに口内を侵されながら、ジィーンと体が熱くなってくるのを感じました。


ゆみ「・・・ぷはっ」チュポンッ

モモ「……//////」ボー・・・

ゆみ「ふふ、かわいいよ、モモ…」チュッ


蕩けるような表情のモモの額にもう一度キスをしたゆみは、ひょいとモモをお姫様抱っこし、ベッドの上にやさしくおろしました。


ゆみ「・・・いいね? モモ…」

モモ「…///」コクン


 スススス・・・


ゆみの手がモモのブラウスの下に滑り込み、その掌におさまりきらないほど大きなおもちをわっしとワシヅカミにしました。


モモ(あ、あぁ・・・/// きもちいぃっす・・・!!//////)

モモ(体が溶けてしまいそうなくらい気持ちいいっす… やっと… この人と一つになれるんっすね…!)

モモ(幸せっす… 本当に幸せっす…! 私…やっぱり人間になって、良かったっす・・・!!)ポロポロポロ


モモの瞳からは涙が流れてきました。 そう… あまりにもたくさんの幸せが、モモの体の中では収まりきらず、幸せの水となって溢れてきたのでした。


ゆみ「モモ・・・」ペロペロ


モモの頬を流れる涙を、ゆみが舌ですくい取りました。

二人は体だけでなく、心までもが今まさに、一つになろうとしていました。





しかし・・・

世にも恐ろしい出来事が起こったのは、その時でした。



 メコッ  メキメキメキメキ・・・・


ゆみ「ん!?」


 グニャアッ  ミチミチミチミチミチィ・・・・!


ゆみ「は? へっ?!」


  バプンッ!  ビチビチビチビチビチビチイィ・・・・!!


ゆみ「お、う、うおおおっ! ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォッッッ!?!?!?」=3



あの冷静沈着なる王女ゆみが、断末魔の悲鳴をあげていました。

人間がこんなに恐ろしい悲鳴をあげることができるのか、というほど、それは凄まじい悲鳴でした。

そう・・・ ゆみがベッドに押し付けていた絶世の美少女モモは、メキメキとその姿を変形させ、アッという間に大きなマキグソへと変貌を遂げていたのです。


モモ(っし・・・ シマッタっす! 時間のことを忘れていたっす・・・!!)


ゆみ「んな・・・ なんなんだコレはァッ! お前は一体なんなんだァァッ!!?」=3


ああ・・・

この時モモは、動揺せず、魔女の呪いでうんこに変えられてしまったふりでもすれば良かったのです。

しかし慌てた彼女は、元通りに回るようになった口で、墓穴を掘ってしまっていたのです。


モモ「・・・ご、ごめんなさいっす! 王女様! 私は本当は・・・うんこなんっす!!」

ゆみ「は? へ? モモ?」

モモ「ま、魔女にお願いして・・・うんこから人間へと姿を変えてもらっていたんす…」

ゆみ「な、なに…??」

モモ「お、お願いっす王女様! 私と結婚して下さいっす!!」

ゆみ「え? ほ…??」

モモ「王女様と結婚すれば、私は人間の姿のままでいれたんっす! 王女様がここで私に永遠の愛を誓ってくれれば・・・ きっと私は人間に戻れるっす!!」

ゆみ「……」

モモ「お願いっすぅ!! 私と結婚して下さい!! 今ここでっ!!!」






















ゆみ「いや、無理だ」




その時、ゆみは、人間がトイレに入った時、便器に他人のうんこが堂々と残っていた時の、あの不快感極まりない時の顔・・・ ソレとまったく同じ表情をしていました。






モモは、王女を侮辱した罪でひっとらえられ、城の地下の牢屋に入れられてしまいました。

モモは、冷たい鉄格子の向こうで、茫然として、ゆみと出会った時のことや、病院での日々を思い出していました。


 “ゆみ『モモ… そうか、美しい名前だな。 助けてくれてありがとう』ニコッ”

 “ゆみ『きっと君は、私が見たこともないような美しい姿をしているんだろうな…』”

 “ゆみ『私は一生、君のことを忘れないよ。 君のその美しい声… いつかまた、聞かせてくれないか?』”


モモ「・・・・・・・」ボロボロボロボロボロボロボロボロ


モモは泣きました。

うんこの約75%は水分なのですが、その水分が全て抜け切って、カラカラの干しうんこになってしまうくらい泣きました。

あれだけ、一生懸命に世話をして、命を助けてあげたゆみが・・・ 自分がうんこだからということで態度を豹変させ、ニベもなく裏切り、切り捨てたのです。


モモ「う、うううぅ、ううううううううううううううううぅぅぅぅぅ・・・・・!!!」ボロボロボロ・・・


モモの涙は、悲しみの涙から、徐々に怒りの涙へと変わっていきました。

そう・・・ モモの、ゆみに対する病的なまでの愛情と憧れは、まるで裏返るように、憎しみへと変わり始めたのです。


モモ「こらぁ! 出せっすぅ! 私をここから出せっすぅっ!!」=3


モモは鉄格子を両手でつかんで外のネコ耳の生えた門番を怒鳴りつけました。


池田「うるさいなっ! 大人しくしてろし!!」

モモ「この畜生がああああぁぁっ!! お前の血が何色か見せろおおおおオオオオオオオォォォッッ!!!」

池田「黙ってろ! うんこ如きが何を言ってるんだし! うんこの門番をさせられている私の身にもなれっ!!」


しばらく牢の中で暴れていたモモでしたが、すぐに疲れて、バッタリと牢の冷たい床に身を投げ出すと、グーグーと眠ってしまいました。






 エ、ソレホントカシ?  ハイ、マジデス  ヘー、アノオウジョサマガネェ・・・


モモ「・・・?」パチッ


モモは、外の門番たちがひそひそと話す声で目が覚めました。


池田「文堂、でもそれは確かな情報なのか?」

文堂「はい、王女様のお付きのメイドから聞いたことなので、間違いないですよ」

池田「ふぅん… あの女たらしの王女様が、ついに、結婚ねぇ…」


モモ「!?」ガバッ


“結婚”という言葉を聞いて、モモはハネ起きました。


文堂「相手は、なんでもウスザン国の王女さまらしいです」

文堂「子どもの頃から修道院で教育を受け、最近、王家に戻ってきた姫なんだそうです」

池田「ははあなるほどね、政略結婚か」

文堂「いや、わりとそうでもないらしいですよ? ゆみ王女が、そのウスザンの王女の写真を見て、是非にと結婚を申し込んだらしいです」

池田「ふーん… ゆみ王女は面食いだからな、相当の美少女なんだろうな…」


モモ「………」


モモは、あの魔女の言葉を思い出していました。


 “トシ『もし仮に他の女がその王女と結婚してしまったら、お前はその翌朝には、体がバラバラに砕けて死ぬことになるのさ』”


外の門番たちは、結婚式は明日開かれると話していました。

つまり… モモは、明後日の朝には、この牢の中で砕け散って朽ち果てるということなのです。


モモ(ああ・・・ 私は・・・ 一体、なんのために、この世に生まれてきたんっすかね・・・?)


モモは、悲しくて悲しくて、悲し過ぎて、もう涙を流すことすらできませんでした。






翌日は一日中、牢の上の方から、たくさんの人々の笑い声やら賑やかな音楽やらが聞こえていました。

ゆみの結婚式・・・二つの国の王女同士の結婚式ですから、盛大に宴会を開いているようでした。

体中の水分が抜け落ちてカスカスになってしまったモモは、横たわる枯れ木のように、一日中、牢の床の上で放心したように寝転がっていました。


しかし… それは、宴会も終わり、すっかり静かになった真夜中のことでした。


 「モモ… おい、モモ!」

モモ「……」

 「モモちゃん、起きて!」

モモ「…?」

 「うむ、モモ、起きろ!」

モモ「・・・!?」パチッ


懐かしい声を聞き、目を覚ましたモモが鉄格子の向こうに見たもの・・・

それは、モモの姉たち、サトミ、カオリ、ムツキの姿だったのです。


モモ「お、お姉さま…?! ど、どうして、ここに…??」

サトミ「ああ、良かった… モモ、急にいなくなったから、心配してたんだぞ?」ワハハ

カオリ「モモちゃんが魔女の森に入っていくのを見てた人がいてね… 魔女たちを問い詰めて、この場所を聞いて来たんだよ」

ムツキ「うむ」

モモ「…!!」


サトミたちの後ろに、失神して倒れている池田と文堂の姿が見えました。

この三人のうんこたちは… かわいい妹のために、危険を冒してモモのことを救いに来てくれたのです!



カオリ「ああ、モモちゃん、こんなに干からびちゃって、かわいそうに・・・」ポロポロ

モモ「か、かおりんお姉さま…///」


牢の鍵を開け、モモを抱きしめたカオリは、さめざめと涙を流しました。

モモは、それを見て… 自分が家族のことを省みず、自分勝手な行動を取ったことを、恥じていました。

「うんこなんか嫌い」と言って、姉たちを困らせたことを、激しく後悔していました。


サトミ「さあモモ、夜のうちにこの城を脱出するぞ!」

モモ「・・・蒲原お姉さま、せっかく、助けに来てくれて、嬉しいっすけど・・・」

モモ「私は、たとえ逃げても、明日の朝には体が砕けて死んでしまうんっす…」

カオリ「大丈夫だよモモちゃん、そのことも魔女から聞いてるから!」

モモ「え?」

サトミ「その呪いを解く方法も脅して聞き出してきたのさ。 モモ、お前は助かるんだ!」

ムツキ「うむ」

モモ「え、それは・・・ ど、どうやるんっすか?」

サトミ「うん、それはな… コレだよ」スッ

モモ「!?」


サトミが取り出したもの・・・ それは、薄暗い中、妖しく光り輝く銀色のナイフでした。


サトミ「この銀のナイフをな、あの人間の王女の心臓に突き立てるんだ。 そうして、噴き出した血を浴びれば・・・お前にかけられている呪いは解け、命を失わずに済むんだ!」

モモ「え…?」

サトミ「お前はあの王女と結婚するつもりだったんだろう? しかし、裏切られた… お前に残されている道はもう、あの人間を殺すことしかないんだ」

モモ「………」

カオリ「モモちゃん、私が言った通りだったでしょ? 人間なんてみんな、ロクな存在じゃないんだよ… あの女を殺して、もう人間のことなんか忘れて、私たちと島に戻ろう!」

ムツキ「うむ」

モモ「……………」





モモ「・・・分かったっす」ギュッ


モモは、その銀色のナイフをギュッと握りこみました。






ゆみ「zzzzzz……」グーグー・・・

ユキ「… zzzz…」スースー・・・


王女の部屋へ行くと、ゆみはあの丸い大きなベッドの上で、気持ちよさそうに寝息をたてていました。

そして… あの、満月の夜に教会にいた女が、ゆみの胸に頭をもたせて眠っていました。


サトミ「さあモモ、ひとおもいにやってしまえ」

カオリ「寝てる今がチャンスだよ…!」

ムツキ「うむ…!」

モモ「……」


外を見ると、はるか地平線の彼方が、ぼんやりと明るくなってきているのが見えました。

あと数分で、太陽が昇り、その日の光がこの部屋に届いた瞬間、モモの体は砕け散ってしまうことでしょう。

それを防ぐには・・・ 今目の前にいるゆみを殺すしかないのです。


モモは、手の中の鋭いナイフをじっと見ました。

そして、再び眠っているゆみに目をとめました。

この時・・・ ゆみが、夢の中で、花嫁の名を呼びました。

その名は、もちろん、“モモ”ではなく、“ユキ”という名でした。

モモの手の中で、銀色のナイフが震えました。


モモ「・・・・・・・」スゥ・・・


モモは、震えをおさえながら、ナイフを振り上げました。

そして・・・



 ヒュンッ


 グサァッ!!


サトミ「え?」

カオリ「は!?」

ムツキ「うむ…?」


三人の姉たちは自らの目を疑いました。

モモの振り下ろしたナイフは・・・ モモ自身のうんこボディに突き刺さっていたのです。


カオリ「も、モモちゃん…? 一体、何を…!!」

モモ「……」ニコオ・・・


モモは、死が近づき、霞んできた目で愛する姉を見ました。

その目からは、透き通った天の水が溢れてきました。


モモ「お姉さま・・・ ありがとう・・・・ そして・・・・・」


モモ「さようならっ!!」バッ!


モモは、体にナイフが刺さったまま、突然駆け出し、部屋の窓から外へと飛び出しました。

そして、海の方に向かって猛然とダッシュを始めたのです。


サトミ「ど、どこへ行くんだっ! モモ!!」バッ


三人の姉たちも、慌ててモモの後を追いました。

しかし、一体どこからあのようなパワーが出てくるのか・・・ モモはまるで風のように走り、ぐんぐん姉たちをつき放していきます・・・


そして、下が海になっている断崖絶壁のふちまで来たモモはそこで振り返り、姉たちに向かってニッコリと微笑むと、後ろへ、その身を投げたのでした。


落下してゆくモモの体を、ちょうど、昇ってきた太陽の光が照らし、その瞬間、モモの体はバラバラに砕け散りました。

そして、海に落ちるとたくさんの魚たちが集まり、そのモモの体の切れ端を食べていきました。


その様子を、モモの魂が、上から眺めていました。


モモ(・・・これで・・・ これで、良かったんっす・・・)スウゥー・・・


モモの魂は一筋の光となって、天へと昇っていきました。



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長野・鶴賀学園麻雀部部室


桃子「ねえ、先輩…」

ゆみ「ん、なんだ? モモ?」スッスッ

桃子「私たち… 付き合い始めて、もう二か月になるんっすね…」

ゆみ「あ、ああ、そうだな…/// モモ、蒲原たちがいないからって、そういう話は学校ではするな」

桃子「へへ、ごめんなさいっす♪」ペロッ


早朝・・・ 牌譜をめくっているゆみの横で、東横桃子はヒマそうに雀卓の牌をいじっていた。

朝練と称して、部室でゆみと二人きりになれるこの時間が彼女は好きだった。


桃子「・・・先輩、私、時々思うことがあるんっす」ジャラジャラ

ゆみ「うん、何を?」

桃子「私と先輩って、どこか・・・ 別の世界・・・ 前世でも会ってたんじゃないかなって・・・」

ゆみ「…輪廻転生か。 モモ、お前はたまに思いついたようにロマンチストになるな」

桃子「だって、感じるんっす。 私は、ずっと前から、先輩のことを知っていたって・・・」

ゆみ「………」

桃子「先輩」

ゆみ「うん、なんだ…」



桃子「今度こそ、私のことを幸せにして下さいね♪」ニッコリ




(カン)

番外編完結したので貼っときます

咲「京ちゃん、どうして頭にうんこのっけてるの?」京太郎「おう、これはな…」
咲「京ちゃん、どうして頭にうんこのっけてるの?」京太郎「おう、これはな…」 - SSまとめ速報
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爽「テスト」


その46.~月曜時代劇「水戸肛門」~ 



時は江戸中期・・・

とある大きな屋敷の奥まった一室から、二人の女が酒を酌み交わしながら談笑する声が漏れていた・・・

日はとっぷりと暮れ、時刻はとうに亥の刻(午後10時頃)を回っていた。


久「フフ…w それにしても池田よ、あなたも悪よねぇ…」ククク…

池田「にしししッ!ww いえいえ、お代官様ほどじゃないし!w」ムホホホ


 ワハハハハハハハ・・・w  クックックックック・・・・ww


蝋燭で照らされたぼんやりとした明かりの中に、二人の女の醜悪な笑みが浮かぶ…

金の扇子を片手に、豪奢な羽織袴に身を包んだ女の名は竹井久… ここ信濃の街で、自らの権力をタテに一部の商人を優遇することで暴利をむさぼっている悪代官である。

そして向かいのネコ耳の生えた女は、久が御贔屓にしている悪徳商人の一人であった。


池田「お代官様、今日は手土産を二つ用意してきたんだし」ニッ


黒い三角耳をぴこぴこと動かしながら、媚びへつらうように嫌らしい笑みを浮かべる池田…


久「いつも悪いわねぇ。 何かしら?」

池田「おいっ、入ってこいっ!」パンパン!


 シツレイイタシマス…


池田が手を叩くと、か細い声と共にススッと障子が開く…

そこには、赤紫の簪で髪を結わえた小柄な少女が、うやうやしく頭を垂れ、両手をついてかしこまっている姿があった。


ユキ「・・・お代官様、ユキと申します。 今宵は私が御相伴のお相手を務めさせて頂きます…」

久「あらっ! これは上玉ねぇ…w」ニタァ…


代官はペロリと蛇のように舌を出して自分の上唇を舐めた。


池田「借金のカタに取引先の料亭の娘をさらってきたんだし。 家業の取り潰しがかかってるからなんでも言う事聞くし!」ヒソヒソ

久「ふぅん…」ジロジロ


ユキの、その華奢でありながら非常に豊満な乳房を併せ持つ身体を、上から下まで万遍なく睨め回す久…

池田は久の好色ぶりをよく識っており、時折こうして若い町娘を都合してきては袖の下の一つとして差し出していたのである。


ユキ「……」

久「ふふっ、そんなに緊張しなくていいのよ? ほら、こっちに来て酌をしてくれるかしら?」

ユキ「は、はい」ススッ


ぎこちない手で徳利を持ち、久のお猪口に燗酒を注ぐユキ…

と、久の猪口とは逆の手が、ユキのハリのある尻をするりと撫でた。


ユキ「キャッ?!/// お、お代官様?!///」

久「あらごめんなさい? あんまり綺麗な形のお尻してるもんだから、つい、手がねw」

ユキ「…///」カアァーッ…


生娘のように頬を赤らめるユキ…


久(・・・間違いないわ。 この娘… 処女ね)ニタリ…


あらゆる美少女を抱いてきた悪代官久も、ユキの着物の下を想像すると、期待で心臓の鼓動が高まるのを抑えることが出来なかった。


池田「お代官様、そしてこちらが二つ目の土産の品だし…」ススゥ…


池田が、今度は脇から黒い漆塗りの重箱を取り出した…


久「…これは?」

池田「にしし…w “山吹色の菓子”に御座いますし!w」


“山吹色の菓子”・・・!

勿論中身は菓子などではない。 久が特別に便宜を図ることで、池田が一人占めした利益の一部… つまり小判である。


久「ふふっw 分かってるじゃない♪ ちょっと確認させてもらうわよ?」スッ

池田「どうぞだし!」ニシシ



しかしそれは・・・

久がその、重箱の蓋を持ち上げた瞬間に起こった。



 “ムワワワワワ~ン”


久「ひっ?!」=3

池田「げぇっ!?」=3

ユキ「たわらばッ?!?」=3



三人の悲鳴と同時に、得も言われぬ異臭が部屋全体に充満する・・・!


 ピカアアアァァァ―――ッッ・・・!!


久「なっ、なっ! なあぁ・・・何よコレッ!!」


代官が怒りとも驚きともつかない声で叫ぶ。

しかしそれも当然、何しろ重箱の中から現れたのは、黄金色の小判…などではなく、むしろ黄金そのもの・・・

そう、猫のフンがごっそりと入っていたのである。


重箱「… ドヤァ…」ムワワワ-ン・・・


池田「ど、どっ、どういうことだしこれは…!?」ワナワナ


猫のうんこというものは格別に臭い。

その臭気は人間や犬の数倍はあると言われている。

猫はうんこの臭いの元である動物性タンパク質を多く摂取し、尚且つ体を舐めることで体臭そのものを飲み込んでいるので、それが全てうんこの臭気となって還元されるからなのだ。

大型のネコ科動物である獅子の糞はさらにその上をいく… 其れが獅子が“百臭の王”として怖れられる所以である。


と、その時、


?「ククク…w どうじゃ? 儂からの贈り物は…?」ココココ…

久「! 何奴?!」ギョッ


妖しげな声と共に障子が開けられ、現れたのは… 


ユキ「こ、肛門様…!」

爽「ほっほっほっw ユキさん、それがしが助けにまいりましたぞw」ユラリ


そこに現れたのは、大きな杖をつき、顎に立派な白ヒゲをたくわえた老爺…!

彼こそは越後のちりめん問屋の名を借りながら世直しの旅をしている、通称水戸の肛門様として知られるクソジ・・・否、天下の副将軍であった…!


爽「むふぉふぉふぉ…w どうやら年貢の納め時のようですな、悪代官!」

揺杏「おめーらの悪行の数々… 捨ておけねー!」ザッ

成香「大人しく縛につくのです!」ザッ!


肛門様に続いて、揺杏之助、成香進のお供二人も現れた。


久「な、何よあんたたち…? 何処から入ってきたの?」

爽「ほほ…w なに、雪隠の窓から、ちょちょいとね…w」ククク…

久「っく…! 使えない警備ね! ええい出会え! 出会えぇーっ!!」バッ


 ドヤドヤドヤ・・・  ナンダナンダ  ワラワラガヤガヤガヤ・・・・


久の号令で、数人の護衛の者たちがめんどくさそうに集まってきた…


爽「クク…w いよいよクライマックスですな! さあ助さん、格さん! 性的にヤッておしまいなさいッ!!」クワッ


揺杏「いや、その必要はねーだろ」

爽「へ?」ズルッ

成香「ここで大立ち回りとかナンセンスです」

爽「い、いや、でもさ… ここで悪党どもをとっちめるのがいつもの流れだろ?」

揺杏「そんなシーンはキンクリでいいんだよ。 めんどくせーからさっさとアレ出して終わらそうぜ?」

爽「……」


 ナンダコイツラ  ナニイッテンダ?  ガヤガヤガヤ・・・


揺杏之助の言うアレとは… 勿論、爽が天下の副将軍であることを示す葵の印籠のことである…!


揺杏「さてとそんじゃ… 控えいッ! 控えいぃッ!! このお方をどなたと心得る! 畏れ多くも先の副将軍、水…戸・・・あれ?」ピタッ


啖呵を切りながら懐に手を突っ込んだ揺杏之助の動きが止まる…


爽「ん? どーした助さんや」

揺杏「い、いや、それが・・・印籠がねえっ!!」

爽「何ぃ…?」ザワ…


印籠が無い・・・!

水戸肛門にとって、葵の印籠は絶対の必須アイテム… それが無くては物語を終わらすことが出来ないッ!


揺杏「く…! ど、どうして…? どっかで落としたかな?」オロオロ

久「何やってんのよあんたたち… ほら者共ォ! さっさとこの賊を取り押さえなさいッ!!」


護衛の者たちが三人を取り囲み、じりじりと距離をつめてくる…!


成香「あ、ああ… もうおしまいですぅ…!」ガタガタ

爽「あきらめてはならん格さん! 印籠などなくとも、儂にはコレがある!!」ズバッ!

成香「ご、御老公!?」


目を見張る成香進…

なんと、水戸肛門は突然自分の袴をずり下げたのであるッ!


爽「目に入らぬかッ! この陰毛が!!」クワッ!

久「げぇっ?!」=3

池田「何やってんだしコイツww」


袴の下から現れたのは… 当然印籠などではなく、実に立派な、黒々とその威容を示す剛陰毛であった…


久「うっ、汚らわしい…! なんてモノ見せるのよアンタァ!!」


顔をしかめる悪代官…

しかしそれも当然、咲-Saki-キャラといえば、“履いていない”と共に“生えていない”のがデフォ… 好色の久と言えども、このような股間のジャングルを目にするのは初めてのことだったのだ。


爽「汚らわしい…? 何を勘違いしてるのだおぬし?」

久「は?」

爽「人は何故股間に毛が生えてるのか… その謎は、古来より有識者たちの議論の的となり、多くの学者たちによって盛んに研究がなされてきたのじゃ…」

池田「突然語り出したし」

爽「しかし! 現代では陰毛は陰部から発せられるフェロモンの香りをそこに停滞させ、異性をおびき寄せるためにあるのだという事が分かっている!」

爽「つまり… 忌むべきは“パイパン絶対主義”なのだ! 無毛の陰部崇拝など邪教! 陰毛を賞賛し愛でることこそが正義なのだっ!!」クワッ


 “ざわ・・・!”


一同に不穏なる空気が流れる…!

言わずもがな、咲-Saki-界ではパイパン原理主義こそが世の趨勢というもの… よって陰毛礼賛など言語道断、愚の骨頂…!


久「・・・あなた、分かってるの? 自分が何を言っているのか…」ユラァ…

池田「パイパンを侮辱するのは大罪… 手討ちだぞ!」

爽「ふん… ならばこれならどうだっ!!」ズバアァッ!

副会長「あふぅん!?///」


続いて、なんと水戸肛門は警護に駆け付けた家来の一人に飛びつき、アッという間にその袴をずり下ろした…


久「っひぃ・・・!」


代官の目の前で、立派なお稲荷さんが二つ、ぶらぶらと揺れていた。



爽「目に入らぬかッ! この陰嚢がッ!!」クワッ






その後… 水戸肛門一味は家宅不法侵入及び猥褻物陳列、パイパン侮辱の罪により牢に入れられた…

しかしその直後、密かに久たちの悪行の証拠を掴んでいた桧森奉行が遣わした同心たちによって久と池田は捕縛… 無事にユキと御老公たちは解放されたのだった…


爽「ほっほw 儂の最臭兵器を使うまでもなかったの! これにて一件落着!!」

爽「では助さん、格さん、行きましょうかな!」

成香「もう帰りたいですぅ…」

揺杏「やってらんねーよチキショー…」

爽「ふぉっふぉっふぉっふぉっふぉっwww」



(カン)

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