月火「お兄ちゃん、私と、もう一度キスしてよ」 (20)

夏休みのある日

月火「お兄ちゃ~ん…起きてる…わけないか」

暦「いや起きてるぞ」

月火「何で起きてるの!?」

妹の阿良々木月火が僕の部屋を訪ねて来たのは深夜1時過ぎだった。
確かに普通は寝てると思われる時間だが、僕は吸血鬼体質のせいで夜は寝付くのに時間がかかる。
そして朝は弱いという何ともし難い体質だ。

暦「どうしたんだ?月火。怖い夢でも見たのか」

月火「…えっと…まぁそんなところかな?」

暦「でもお前ってそんなたまか?」

月火「今日はたまたまそんな日だったんだよ」

暦「はぁん…で、何しに来たんだ」

月火「私もうぶるっちゃって、お兄ちゃんに添い寝してもらわないと収まらないなぁって」

暦「…つまり?」

月火「今晩は一緒に寝てください!いや寝ろ!」

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何で命令されてるんだ…

暦「添い寝なら火憐ちゃんにしてもらえばいいだろ」

月火「いやでも火憐ちゃんぐっすりで起こすのも悪いかなぁって」

暦「僕を起こすのはいいのか!?」

月火「私だってお兄ちゃんが起きてるとは思わなかったよ!だからその時は勝手にベッドに入ってやろうと画策してたんだけど」

だったら火憐のベッドに起こさない様に勝手に入れば良かったのでは。

暦「…はぁ、わかったよ。優しい優しい暦お兄ちゃんが月火ちゃんと添い寝してやるよ」

暦「じゃあこっち来いよ」

月火「もうベッド入ってる」

暦「速っ!?」

そんなこんなで添い寝スタート。

暦「なぁ、怖い夢ってどんなの見たんだよ?」

月火「…えーっと…何か私の上半身が吹っ飛ばされる夢…よく覚えてないけど…」

暦「……そっか」

本当にあったことだから笑えない。
記憶は飛んでるみたいだけど心のどこかに…

月火「あれ?いつものお兄ちゃんならこんな話したら笑ってくると思ったのに」

暦「人の夢の話ほどつまらないものはないからな。見る夢も将来の夢も人に言うもんじゃねぇよ」

月火「プラチナむかつく。お兄ちゃんから聞いたくせに」

少し経って月火がこんなことを聞いてきた。

月火「…ねぇ、お兄ちゃん…彼女出来たんだよね」

暦「ん?あぁ、ちゃんと今度紹介してやるよ」

月火「……うん」

何だ今の間は。

月火「ねぇ、お兄ちゃん」

暦「あん?」

月火「こっち向いて寝てよ。背中向けてたらお兄ちゃんの顔が見えない」

暦「何で僕の顔を見る必要があるんだ。いつも見てるだろ」



月火「……そうだね、いつも見てる。家族だもん」

暦「あぁ」

月火「……」

黙ってしまった。
何か気に障るようなこと言っただろうか。

暦「ひゃう!」

いきなり後ろから腹を撫でられた!
何すんだこしょぐったい!

月火「ふふ…凄い腹筋…」

暦「おい」

月火「ごめんねお兄ちゃん。でも今は誰かに、触れていたい」

なぜそれが腹筋なんだ。


月火「お兄ちゃん知ってる?」

相変わらず僕のお腹に手を当てたままで。

暦「何をだ…」

月火「阿良々木月火が実は重度のブラコンだってこと」

暦「…知ってるよ」

月火「何で知ってるのよ!プラチナむかつく!」

暦「何でそこでいきなりキレるんだよ!?」

一通り腹筋を触り終え満足したのか月火は手を離した。
今は夏なので結構暑苦しかったのだ。
しかし、

暦「…今度は何抱きついてんだ。僕は抱き枕じゃねぇぞ」

月火「お兄ちゃんがこっち向いてくれるまでずっとこうしてやる」

暦「つーかもう寝ろよ!寝付けないからこの部屋来たんじゃないのかよ!」

月火「…さっきから地味にお兄ちゃんにおっぱい当ててるのに何で無反応なのかな?」

暦「妹のおっぱいなんておっぱいとは言わないんだよ」

月火「この前揉んできたくせに」

暦「お前の胸が僕の手を揉んだんだ」

月火「私の初チューも奪った」

暦「妹とのキスなんてカウントに入らない」

月火「ふーん、そんなこと言っちゃうんだ…」

暦「は?」

月火「…じゃあさお兄ちゃん、私と、もう一度キスしてよ」

暦「何言ってんだお前!寝ぼけてんのか!?」

びっくりしたー。
まさかこいつからこんなこと言われるなんて。

月火「兄妹でのキスはカウントに入らないんでしょ?」

暦「……」

月火「ねぇ!」

暦「い、いや…あの時はノリというか…今こうして改めてとかはちょっと…」

月火「ノリで妹の初ちゅーを奪ったの!?」

…言い返せない。
あれ?ひょっとして僕って最低?

月火「カウントしないんだったら一回も二回も同じだよね?」

月火「…それに、ほら…こういう時に練習しておけば、彼女さんとのキスにも役立つかも…」

暦「生憎だが、僕は既に彼女との初ちゅーは済ましてあるんだよ」

月火「は?何それむかつく。私だって蝋燭沢くんとのキスはまだなのに」

暦「蝋燭沢?誰だそいつは」

妹の唇を奪うかもしれない輩だと?
今すぐにでも殺しに行かなければ。

月火「いいから、して、今すぐして」

暦「あのなぁ」

月火「してくれないとおっぱい揉まれたこととか羽川さんに全部言っちゃうから」

…何て酷い条件を出すんだこの妹は…。

暦「わかったわかった。いいからその抱きついてる腕を解けよ。そっち向くから」

月火「うん。よかった…」

月火が腕を解いた。
振り向く。

暦「近っ!?」

月火「ん…」

月火が目を閉じてこっちを向いていた。
少し頬が紅潮していた。
着物もはだけて妙に色っぽい。
あれれ?僕の妹ってこんなに可愛かったっけ?

暦「……」

月火が少し震えていた。
僕はそっと月火の肩に手を置いてやる。

月火「あ…」

そして唇を重ねた。

暦「ほら…これでおしま…」

言い終わる前に月火がもう一度唇を重ねてきた。

暦「お、おい…」

そのまま、舌を…

――――――――――――

実際は数秒にも満たない時間だっただろう。
しかし随分と長い間そうしていた気がする。

月火「ぷはぁ…お兄ちゃんの初ベロチューゲット♪」

暦「ば…馬鹿!兄妹のキスで舌を入れるやつがあるか!!」

月火「ふふーん、どう言われたって、これでお兄ちゃんが妹にベロチューしたって事実は取り消せないんだよ」

月火は楽しそうに。

月火「既成事実ってやつだよね?」

暦「…やっぱりお前馬鹿だろ…」

月火「…今度…彼女さん紹介してくれるんだよね?」

暦「…ベロチューしたとか言わないならな…」

月火「聞きたいこといっぱいあるんだよね。お兄ちゃんのどこがよかったのかとか」

暦「ははっ、きっ即答してくれるよ」

月火「そっか…」

少し切なそうな顔で。

月火「お願いだから、勝手に1人で大人にならないでよね?」

暦「?」

月火「ーーーーよ、お兄ちゃん」

月火が最後に何と言ったのかは、聞き取ることが出来なかった。

終わりです。
何か唐突に月火とのイチャイチャを書きたくなりました。
この時間帯きっと起きていていた忍はやっぱり2人を見ていたんですかね?

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