幼女「鬼さんこちら、手の鳴るほうへ♪」白鬼「話を聞けって」 (246)


幼女「おにーさーーんっ!こっちだよー!!」パンパン


白鬼「いやだからさ‥‥俺、本物の鬼なんだって」タッタッ


幼女「きゃーーっっ!!」ニゲッ


白鬼「人の話を‥‥じゃなくて、鬼の話を聞いてくれよっ‥‥と。」ガシッ!


幼女「つかまったーー!!」キャッキャ


白鬼「よーし、じゃあ俺の話をきいt」


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幼女「ねぇお兄さん!今度は何して遊ぶ!?」ワクワク


白鬼「お兄さんじゃないの。お・に・さんなんだって」


幼女「陰鬼する!?隠れ鬼する!?」


白鬼「んー2人だからなー。てか、俺もなんで遊んでんだ‥‥」ハァ


幼女「たのしーね!!」


白鬼「‥‥あぁ。そうだな。」


幼女「ねー明日もここにいる?」


白鬼「まぁ‥‥居るけど…」


幼女「なら明日も遊ぼっ!ね!」


白鬼「はぁ‥‥。いいか?俺は鬼なの。分かるか?」


幼女「auのCMでよく見る‥‥」


白鬼「あれは鬼ちゃん。俺は本物なんだよ」


幼女「??」


白鬼「いや、もういいや。とにかくお前は怖くないのか、俺のこと。」


幼女「なんで?ぜんっぜん怖くないよ!」ニコニコ


白鬼「そっか。ならまぁ‥‥別にいっか?」


幼女「あ、‥‥。お日様が沈んできちゃった‥‥」


白鬼「夕方だしなぁ」


幼女「もう今日が終わっちゃうね‥‥」


白鬼「おう。お子ちゃまの時間はここまでだな。こっからは大人の時間だ。」


幼女「お兄さんの時間?」


白鬼「あぁ、そうだよ。あと鬼な。」


幼女「じゃーまた明日ね!!」バイバーイ!!


白鬼「お、おぉ‥‥。」


ーーーーー


幼女「おーー!!にーー!!さーーんんん!!」トテトテ


白鬼「まーた来たよ。」ハァ


幼女「今日はなにして遊ぶ!?」ワクワク


白鬼「まずお前に、昨日言えなかったことを言っておく。」


幼女「うん?」


白鬼「境界線ギリギリとは言え、ここは鬼の住処だ。」


幼女「ぬ?」


白鬼「他の鬼に出会ったら、すぐに食べられるぞお前。何かあっても知らないからな?」


幼女「よーわからん!そんなことより今日は色鬼で遊ぼっ!!」


白鬼「‥‥おいおい。」


幼女「よー‥‥、赤!」


白鬼「お前が鬼かよ。俺に赤の部分なんてないぞ?」キョロキョロ


幼女「‥‥これ持って。」つトマト


白鬼「え?あ、おう」パシ


幼女「はい、ターチ!」ポン!


白鬼「そんなルールだっけ!?ハメ技じゃねぇか!!」


幼女「お兄さんの負けー!!」クスクス


白鬼「しかも1発勝負かよ!」ガブッ!


幼女「あー!私のお昼ご飯食べた!!」


白鬼「あ、これお前の昼メシなのか。すまねぇ。」パクパク


幼女「あっあっ!全部食べちゃうの!?」アウアウ


白鬼「‥‥ふぅ。このトマトうまかったよ。ありがとな。」


幼女「そりゃ、ばっちゃの畑で作ってるからね!!」エッヘン


白鬼「婆ちゃんに感謝だな」


幼女「あぁーあ!お兄さんのせいでお昼に帰らなきゃいけなくなっちゃった!」プンプン


白鬼「俺のせいか?色鬼でズルするお前が悪くねぇか??」


幼女「あーあーきこえなーい」ブンブン


白鬼「まったく‥‥子どもはこれだこら。」ヤレヤレ


幼女「色鬼で負けた罰として、お昼ご飯ちょーだい!!」


白鬼「‥‥まぁ、別にいいけどよ。野菜しかねーぞ?」


幼女「かまわんよ」


白鬼「何様だお前」


今日はここまで。
説話や伝承文学は小さい頃から好きです。

では、またこのぐらいの時間帯に。


ーーーーー


幼女「ごちそうさまでした!!」プハァ


白鬼「お、おう。なかなか‥‥食べるんだな」


幼女「だってお兄さんがドンドン出すんだもん!残しちゃ悪いと思って!!」


白鬼「俺は、お前がドンドン食べるから出してたんだが‥‥。あと、いい加減に覚えろ。鬼だ。」


幼女「お兄さんって、うーん。なかなか野生的な家に住んでるんだね!」キョロキョロ


白鬼「ここら一帯は鬼の住処っつたろ。洞穴がいっぱいあるんだよ。」


幼女「じゃあ今度はお兄さんが私ん家に来る番だね!!」


白鬼「じゃあの意味がわからん。おい、さっきから会話が噛み合ってないぞ。」


幼女「いつ来る!?いつ来るの!?」ピョンピョン


白鬼「はねんな。行かねーよ。」ガシ


幼女「えぇ!?なんでー!来てよー!!」ググッ


白鬼「人の住む場所に俺が行くわけには行かねーからな」


幼女「どーして??」


白鬼「みんな鬼は怖がるんだよ。」


幼女「へんなの。私は怖くないのに」ウーン


白鬼「変なの。」


幼女「へんなの??」


白鬼「変なの」


幼女「あははっ!へんなの!」クスクス


白鬼「変なの?」


幼女「へんなのー!」アハハッ!


白鬼「‥‥変なヤツ」ポリポリ


ーーーーー

幼女「じゃーねー!」トテトテ


白鬼「‥‥はぁ。」


??「かっかっかっ!幼子に好き勝手されとるのぉ!!」ケラケラ


白鬼「‥‥天狗の旦那ぁ。見てたんですか。」ミアゲ


天狗「鬼のお前が幼子と遊んでるだけで200年は笑えるわっ!さらに昼食を共にしたなどと!笑い[ピーーー]気かっ!!」ケラケラッ!!


白鬼「旦那も一緒にどーです?アイツくらい若く変化することくらいお手の物でしょう?」


天狗「お前と幼子と一緒にか?たわけ!ガキだけで充分だわ!」


白鬼「でしょうね。」


天狗「それにお前の飯は不味い。草ばかりで食えたものじゃない」


白鬼「草じゃなくて野菜ですよ。俺は肉食わないんで‥‥」


天狗「なんだお前。まだ肉を食わぬなどと腑抜けたことを言っとるのか。さては死にたいのだな?」


白鬼「野菜だけってのもいいものですよ。」


天狗「くだらん。‥‥さて、雑談はこのくらいにしておこうか」


白鬼「あ、やっぱり何か目的があってきたんですね」


天狗「爪を貰いに来た。薬を作るのに必要でな。」


白鬼「あ‥‥すいません。手の爪は最近、切ってしまって‥‥」


天狗「なっ!お前、鬼だろう!なぜ爪など切りおるか!」


白鬼「‥‥えぇっと。幼子に当たってはいけないと‥‥思って。」


天狗「阿呆!鬼が爪を切りそろえるなど!笑い話にもならん!恥ぞ!」


白鬼「そんな怒らなくても‥‥。他の鬼に貰ってはどーです? この辺にはたくさんいますよ。」


天狗「奴等は好かん。話が通じんし、ガサツだ。その奴等と一線を画してるからこそ、お前なんだ」


白鬼「はぁ‥‥。足の爪ならありますけど‥‥」


天狗「我に足の爪を削らせる気か。無礼な奴め。」ケッ!


白鬼「どーしろと‥‥」


天狗「伸ばせ。1週間で手の爪をだ。出来なければ剥ぐ。」


白鬼「む、無理ですよ!鬼の爪が長い年月をかけて伸びることは知っているでしょう!!」


天狗「返事は御意以外許した覚えはないぞ小童」ゴゴゴゴ


白鬼「‥‥御意」


今日はここまで。
ピー音が入ってしまいましたね。
sagaじゃないといけないみたいですね。

殺す気 です。
脳内補完おなしゃす。

では、また、このくらいの時間帯に。


ーーーーー


白鬼「はぁ‥‥天狗の旦那も無茶をおっしゃるな」ストン


稲荷狐「えらく沈んでるね、坊や。」スタスタ


白鬼「‥‥なんだ、この山の奴等は盗み見るのが流行ってんのか」


稲荷狐「そりゃ違うさ。私ん中の流行りよ」ケタケタ


白鬼「困った狐だな」ハァ


稲荷狐「こら白鬼。稲荷を付けんか。付ける付けないで、格が変わってくる。」プンプン


白鬼「狐には変わりねぇだろ」


稲荷狐「神の使いに向かって達者な口を聞くなよ。ここら一帯の草を枯らすぞ?」


白鬼「神様は一々、脅しの規模が大きいんだよな‥‥くそ‥‥」


稲荷狐「なんせ神だからね。白鬼はどうして浮かない顔をしてる?」


白鬼「いやー天狗の旦那が無茶を言ってきてさ。」


稲荷狐「あぁ、あ奴か。仕方なかろうて。あ奴も、この山の神だ。それに天狗の奴等は得てして傲慢な奴が多い。」


白鬼「1週間で指の爪を伸ばせだと‥‥」


稲荷狐「ぶふっ!1週間!?こりゃすごい!私も鬼の爪が短期間で伸びる様は見てみたいよ!」ワクワク


白鬼「伸びるか!不可能だから落ち込んでんだよ!これじゃあ1週間後には手の爪、全部剥がされる!」ガクブル


稲荷狐「こわや、こわや」クスクス


白鬼「なぁ、あんた神様の使いだろ。なんか出来ねぇの?」


稲荷狐「爪を伸ばす‥‥ねぇ。人間でもそんな願いをする輩は見たことないが‥‥」ウーン


白鬼「人間はすぐ伸びるんだろ?」


稲荷狐「あぁ、成長が馬鹿みたいに早いからね。そのぶん、老いるのも早いがね。」


白鬼「今は羨ましいぜ‥‥」ポリポリ


稲荷狐「お、そういえば助煮草と言う野草があるぞ。」


白鬼「なんだそりゃ」


稲荷狐「食べると爪が異様に早く伸びる野草だよ。私は力になれんが、この草は力になろう」


白鬼「それだ!この辺りに生えてるのか!?」


稲荷狐「いんや、人里だ」


白鬼「ここには!?」


稲荷狐「なーーい」テヘッ


白鬼「なっっっんでだ!!!」バン!


稲荷狐「ちょっと前に食い散らかしてった奴が居たからなぁ」クスクス


白鬼「誰だソイツ。俺は知らんぞ」


稲荷狐「無理もあるまい。ほら、覚えとらんか。前にバクが来たことあったろ」


白鬼「バクぅ?ってアイツか。なんか人間の悪夢ばっか食べる偏食の‥‥」


稲荷狐「そう、そやつだ。助煮草は酷く不味いから、この山の者は誰1人手を付けてなかったんだが‥‥」


白鬼「ま、まさか?」


稲荷狐「バクがえらく気に入ってな。全部食べていきよった。私らも、まぁ誰も食べん草だし良いかと放ってほいたんだよ」ケタケタ


白鬼「くっっっそ!!あの偏食め!今度会ったら、凄く美味いもの食わせてやる!!」


稲荷狐「はっはっはっ!その時は呼んでね!!」


ーーーーー
翌日


幼女「じょにぃーそう?」ハテ?


白鬼「知らないか?凄く不味いらしいんだが‥‥」ポリポリ


幼女「うーん‥‥、ばっちゃなら知ってるかもー」


白鬼「婆ちゃんか‥‥。年の功にかけてみるか。」ガタッ


幼女「え?」キョトン


白鬼「何してんだ。行くぞ。」グイッ


幼女「え、あ、‥‥え!?」


白鬼「前に私ん家きてー!とか言ってたろうが。それが今日だ!」


幼女「マジで?!」ガタッ


白鬼「マジで!!」


今日はここまで。
狂暴な人や、怖い人を"鬼のようだ"と言いますが
もしかしたら鬼は、優しさ溢れる者かもしれませんね。

ではでは、またこのくらいの時間帯に。


ーーーーー
散歩中


幼女「ねー!はやくーー!歩くのおそーーい!!」トテトテ


白鬼「だーかーらー、村人とかに、お前と一緒に歩いてるとこ見られたら、イケないんだって!」スタスタ


幼女「またそれー?!意味わかんないっ!日が暮れちゃうよ!」グイグイ


白鬼「あーもーやめてー」ヨイショ


幼女「うえっ!?わわわわ!!」バタバタ


白鬼「おいこら暴れんなって。背中から落ちるぞ」


幼女「う、うぅ〜‥‥。うん。」ピタ


白鬼「傍から見たら幼子が鬼の背中で遊んでるってとこか。誰かが見たらきっと、お前も物の怪の類だと思われるだろうな」


幼女「オンブ恥ずかしいよ‥‥///」


白鬼「阿呆、なんの話をしてるんだ。」グッグッ


幼女「な、なにしてるの??」


白鬼「準備運動だ。体を動かすのは久しくてな。よし、しっかり捕まってろよ?」


幼女「う、うんっ!」ギュー


白鬼「ぐぇっ!ちょ、まてまて!首に捕まる奴がいるか!服とか掴んどけ!!」パンパン


幼女「ここ?」ツカミ


白鬼「まぁそこでいい。離すなよー‥‥」ダンッ!!


ビューーー‥‥ンッ!!!


幼女「うひゃっ!!た、高かね!」




白鬼「このまま一気に森を抜けるぞ!!目、閉じとけ!枝が目に入るかもだぞ!!」ビュン!


幼女「うん!!」キラキラ


白鬼「だから閉じろって‥‥ったく!」ビュンビュン!!



ーーーーー

天狗「かっ!鬼が飛んどる」クスクス


天狗「背中に幼子を乗せるとは‥‥なぁ。堕ちたもんだまったく。」


小天狗「父様ぁ!もう僕には登れません!!」ブルブル


天狗「たわけ!まだ10にもならん幼子が、この大木より高く飛んどるんだ!!はよ、登らんか!」


小天狗「またご冗談を!」ププッ


天狗「‥‥冗談だと?ならお前も飛んでみるか。」ガシッ!


小天狗「お、お待ちください!!僕にはまd」


天狗「黙って飛んでけぇぇえ!」ブン!


小天狗「ま、やめ、おい!バカ天狗ぅぅぐぅぅ‥‥!!」ヒューー…キランッ!


天狗「はっ!飛べるじゃないか!それにしても白鬼め。」チラッ




天狗「‥‥腑抜けた顔をしよって。顔が笑っとるぞ」ニヤニヤ





ーーーーー

ズズザアァァァアァン!!!


白鬼「っとっと‥‥っ!」ピタ


幼女「んんーー!!はやいはやい!!あっという間に私ん家だね!!」ピョン


白鬼「ま、俺にかかればこんなもんよ。」エッヘン


幼女「お兄さん、足、速いんだね!!」


白鬼「鬼だからな。んなことより、お前の婆ちゃんはどこだ」キョロキョロ


幼女「ばっちゃなら、多分、縁側にいると思うよ!!行ってみて!」トテトテ


白鬼「あ、おい!お前はどこ行くんだ!」


幼女「畑みてくるぅー!!」タッタッ


白鬼「ばか!お前が居ないと婆ちゃんが怖がr‥‥、…足、速いな。」ハァ


ーーーーー

白鬼「おーい、婆ちゃーん!どこだー」スタスタ


<アイヨー コッチダー


白鬼「あっちか‥‥」スタスタ


白鬼「にしても、この家はチビとバアしか居ないのか?」キョロキョロ


婆「おぉ、お前が呼んだのかえ?」


白鬼「お、婆ちゃん。縁側に座って日向ぼっこか」


婆「ふぇっふぇっふぇっ!ココが落ち着くんじゃて。お前さんはー‥‥、村のもんか」


白鬼「いや、違う。婆ちゃんに聞きたいことがあってきたんだ」


婆「老いた婆に聞きたいこととな?何なりと。何なりと。」


白鬼「助煮草って野草を探してるんだ。知らないか?」


婆「なんだお前さん。声が若いと思ったが年食いか。」


白鬼「‥‥おい婆ちゃん。もしかして目が見えないのか。」チラッ


婆「‥‥?あぁ、見えないとも。だが、もうじき迎えが来る身。不便じゃが不自由ではないさ」


白鬼「‥‥そうか。」


婆「それで助煮草じゃったな。あの草は年寄りが使うものじゃて。聞いた限りお前さんみたいな若いのが使うものじゃないんじゃがな‥‥」


白鬼「すまない。どーしても欲しいんだ。生えてる場所を教えてくれ」


婆「別にたくさん生えとるからいいんじゃが‥‥。恐ろしく不味いぞ?食えたもんじゃない」


白鬼「や、やっぱり‥‥。」


婆「名前の通り、煮て出た汁を飲むんじゃ。お茶のようなものと言えば、聞こえはいいが‥‥。まぁ、欲するなら良かろて。」


白鬼「あぁ、助かるよ。」


幼女「おにーーさーーん!!」トテトテ


婆「およ?幼女かえ。もう帰ってきたのかい?」


幼女「あ、ばっちゃ!ただいま!」


白鬼「チビに婆ちゃんなら知ってるって教えてもらったんだ。」ポンポン


婆「おおそうかい。そうかい。」


幼女「じょにぃ草ってのは分かった??」


白鬼「おう。なんとかなりそうだぜ」


幼女「よかったね!!」


婆「幼女や。裏の土蔵のあたりに真っ赤な花が咲いとらんかえ?」


幼女「おぉあるある!」


婆「あれが助煮草じゃて。欲しいだけ摘んできんさい。幼女や、連れてってあげな」


白鬼「本当か!そんな近くにあるとは思わなかったぞ!」


幼女「こっちだよ!いこ!」グイッ


白鬼「お、おう!」





婆「ずいぶん大きな友だねぇ…」




今日はここまで。
では、またこのくらいの時間帯に会いましょ。


昔話っぽい雰囲気だけど、舞台は現代なのかな


ーーーーー
土蔵


幼女「えー‥‥と?」キョロキョロ


白鬼「赤い、花だったな」キョロキョロ


幼女・白鬼『あ』ピタッ


幼女「たぶん‥‥この花がそうかな‥‥」ジー


白鬼「‥‥、試しにチビ。食ってみろよ」ジー


幼女「やだべ。じょにぃ草はびっくりするくらい不味いんでしょ?」


白鬼「そうだけど、そうじゃないかも知れないだろ。」ポキッ!


幼女「う、うーん‥‥。そう‥‥なの?」


白鬼「そうなの。」つ花


幼女「こんなにキレイな花が不味いなんて思えないけど‥‥」マジマジ


白鬼「まぁ食ってみろって。ほれ。ほーーれ。」ツイツイ


幼女「うぅー!えいっ!」パクッ!


白鬼「お‥‥。どうよ‥‥」


幼女「‥‥??」ムシャムシャ


白鬼「‥‥??」


幼女「‥‥うん。花だね。」ゴクン


白鬼「ぷはぁ!なんだよ!これじゃなかったのかよ!」ガブッ!


幼女「あ、茎も食べるの?」


白鬼「ったりめーだろ。摘んだからには全部食べてきっt」ガクガク


幼女「‥‥え」


白鬼「ーーーー!!!!!」バタバタ


幼女「ど、どうしたの‥‥?」


白鬼「あっ‥‥!か‥‥、!」パンパン


幼女「え?え?」


白鬼「うっ‥‥!ぐふ‥‥、みっ!」


幼女「み?あ、水?水ね!」トテトテ


ーーーーー

婆「ふぇっふぇっふぇ!生で食ったのかえ!」


白鬼「ババア!笑い話じゃねーよ!!死ぬ所だったんだぞ!」ゴクゴク!


婆「煮て飲んでも不味いのに、生で食らうとはなぁ。生きてて良かったねぇ。」


幼女「死にそうだったけどね」クスクス


白鬼「おいチビ。何笑ってんだ。」


婆「ほんに、ほんになぁ。よう生きた。芯の強いやつよ」クスクス


白鬼「とにかく、あの花は全部もらってくぜ。煮て飲めばいいんだよな」ガタッ


婆「あぁ、そうさ。鍋に水を張って花の茎を入れて煮るのさ。変なことに、緑の茎から赤の煮汁が出る。」


白鬼「赤いのか。そりゃ変だな」


婆「あぁ、変さ。血のように赤くドロっとなるまで煮込め。」


幼女「血‥‥。なんやら気味が悪か花やね‥‥」


婆「そうじゃろ。これを飲む奴は、そうまでして生きたい老体と相場が決まっとる。」


白鬼「婆ちゃんも飲むか。こんだけ花があれば多分だが、婆ちゃんの分もあるぞ」チラッ


婆「爺さまが死ぬ時に、私も作ったがね。爺さまは飲まんかった。だから私も飲まんさ。」


幼女「ばっちゃ…」


婆「‥‥死ぬほどの思いをしてまで生きようとは思わん。大丈夫じゃ。幼女が大きくなるまで生きるよ。」ナデナデ


白鬼「‥‥じゃあな婆ちゃん。長生きしろよ」スタスタ


婆「任せんしゃいや。」


幼女「お、お兄さん!また明日ね!!」


白鬼「おーう。」


ーーーーー


コトコト‥‥コトコト‥‥


白鬼「なんだこりゃ。全く煮汁が出やしない‥‥」ハァ


白鬼「‥‥徹夜で煮るのか」チッ


??「‥‥ねぇ」


白鬼「!?」キョロキョロ


??「‥‥なにしてるの?」


白鬼「‥‥誰だ」キョロキョロ


??「‥‥壁みて」


白鬼「あ、影女」


影女「やっぱり誰も気づいてくれないの‥‥」シクシク


白鬼「なんせ影だからな‥‥」チラッ


影女「‥‥う、」


白鬼「う?」


影女「うぇぇぇえんっっ!!」グスグス


白鬼「ちょ、待って!泣くなよ!響くだろうが!!外で泣けよ!」


影女「だって影なんだもん!!ひっぐっ!夜になったら見ることすらで‥‥うぐっ!できないもん!」ダバー


白鬼「なんで家に来たんだよ!!」
影女「火の光があったからぁ!光がないと私、誰にも‥‥き‥‥」ウルウル


白鬼「お、おい待て‥‥。響くから‥‥洞穴は馬鹿みたいに響くんだt」


影女「気づいてもらえなくてぇぇぇぇえ!!ふぇえぇぇええっ!!!!ひっくっ‥‥、誰かとっ、しゅ、喋りたくてぇぇぇえ!!!」ポロポロ


白鬼「〜〜!!!」キーーン!!!


ーーーーー

影女「で、なにしてるの?」ケロッ


白鬼「‥‥煮込んでるんだよ」ゲッソリ


影女「ふぅ〜ん。丑三つ時なのに火の光があると思ったら、そんなことしてたんだ。」


白鬼「お前は何しにきたんだ。本当に‥‥」


影女「私?私はほら、光あるところに私ありみたいな?そーゆー感じ的な?」


白鬼「‥‥火、消そうかな」ウーン


影女「やめてよ!私、消えちゃうじゃん!もっと喋ろうよ!楽しい夜を過ごさせてよ!!」スルスル


白鬼「あーおいこら。うろちょろすんな。影だけ動くのは変な気分になる。」


影女「仕方ないじゃん!影なんだもん!なに?!また泣くよ!?」


白鬼「‥‥ほっんと、傍迷惑な奴だな」


影女「それが私なんです。はい。どーせ徹夜するんでしょ?なら話し相手になってよ!!」


白鬼「あぁ!もう!っしゃおらぁ!腹は決まった!なってやんよ!!」ドカッ!


影女「そうこなくっちゃ!!」ワクワク


今日はここまで。
またこのくらいの時間帯に会いましょ。


>>52
すいません、一応、舞台はむかしむかしのお話です。
auネタやりたくって時間軸壊しちゃいました。
でも、昔です。大切なことなので二度言いました。


ーーーーー
次の日


幼女「それでそんなに眠そうなの?」


白鬼「‥‥お、おう」ウツラウツラ


幼女「大丈夫??」


白鬼「任せろ‥‥て。助煮草の煮汁もできたし‥‥乾杯といこうか」


幼女「あ、じゃあ私はお水もらうー」トテトテ


白鬼「おぉ‥‥う。飲め飲め。」


幼女「‥‥よっいしよっと。」コトン


白鬼「さーて‥‥。じゃあ行くぞー」


幼女「うんっ」


白鬼・幼女『かんぱーい!』カチャン!


ゴクッゴクッ!!


白鬼・幼女『〜〜!!』


白鬼「うぅー!ぺっぺっ!なんだこりゃ!!まっっっっず!!」


白鬼「こんなん飲むやつは正気じゃねーーな!!」ザワザワ


白鬼「いい眠気覚ましに‥‥お?」ザワザワ


白鬼「おお!?毛が逆立ちやがる!体が熱いぞ!?爪も心なしか伸びてる気がする!!」ザワザワ


白鬼「こりゃマジに効果ありそうだな!!全部飲むか!!」ゴクゴク!


白鬼「ーーーーー!!!!」


白鬼「お、おい!おえっ‥‥チビ!水、水くれ!!」ペッペッ


幼女「あ、あい〜」フラフラつ杯


白鬼「どうしたチビ」パシッゴクッ


白鬼「!?」


幼女「ふぅ‥‥」コテン


白鬼「おい!?チビ!?これ水じゃねーよ!酒だ!」


幼女「‥‥」スゥスゥ


白鬼「おいチビ?」ユサユサ


幼女「‥‥」スヤァ


白鬼「やばいって。人間が鬼の酒を呑んだらやばいだろ‥‥」ガシッ!


白鬼「おい、起きろ。起きろって。絶対に起こしてやるぞチビ」オンブ


幼女「‥‥すー‥‥。ふぅ‥‥」スヤスヤ


白鬼「くそっ!」ダッ!


ーーーーー
鳥居前


白鬼「バカ狐ーーーー!!!!」キョロキョロ


稲荷狐「こら白鬼。大きゅう声でバカとはなんだ。草を枯らしたこと、まだ根にもっとるな」ヒュタッ!


白鬼「ったりめーだ!本当に枯らしやがって!んなことよりチビを見てくれ!!」スッ


稲荷狐「ぶふっ!鬼が幼子を抱いてるよ!なんだ、お前が子を食うのを見てろと言うのかっ!」クスクス


白鬼「違うわ!様子がおかしいんだよ!!この山で人間に縁があるのはアンタくらいだ!頼むよ!」


稲荷狐「…あぁ、そういうこと。他の妖怪共は人を喰らうからなぁ。そこに置け。」


白鬼「あ、あぁ‥‥」ストン


稲荷狐「どれどれ‥‥。おぉ、酔っとるね。酔っとる。酔っとる。」クスクス


白鬼「だ、大丈夫なのか‥‥?」


稲荷狐「ま、案ずることじゃないよ。安らかに死ぬさ」スタッ


白鬼「は!?死ぬ?!」


稲荷狐「そりゃそうさ。鬼の酒を呑んだんだろ。もう起きることはないよ。」


白鬼「助かんねーのか!」ガシッ!


稲荷狐「こら!掴むな!おい!離せ!!」バタバタ


白鬼「助からないのかっ!!」


稲荷狐「だからそう言ってるだろ!やめてよ!尻尾が千切れちゃうだろっ!!」


白鬼「んな馬鹿な‥‥」パッ


稲荷狐「きっさま‥‥!よくも無礼な‥‥」シュタッ!


稲荷狐「‥‥白鬼?」


白鬼「‥‥」スクッ!


稲荷狐「これ、どこへ行く。待ちなさい。こら待て」


白鬼「‥‥天狗の旦那んとこに行くよ。もしかしたら起こしてくれるかもしれない。」スタスタ


稲荷狐「待て待て。その幼子は置いてけ。喰われるぞ。」


白鬼「‥‥嫌だ」ダッ!


稲荷狐「あ!こら待てと言ってっ‥‥!‥‥まったく。」


今日はここまで。
では、またこのくらいの時間帯に会いましょ。

やっと見つけた‥‥
なぜかスレタイ検索ができなくて、このスレを見失ってしまい、更新が滞ってしまいました。

スレ乱立も相まって、だいぶ遡りました。自分で自分を褒めたいです。

では始まります!!


ーーーーー
大木


天狗(アレは仕方なかろうて。悪いことはしとらんわ)←昨日、空の彼方へ吹っ飛ばした子天狗が帰ってこないことを後悔中


天狗「‥‥はぁ」


<ダンナーー!!!


天狗「‥ん。儂のことを旦那と呼ぶか。」


白鬼「‥‥」チラッ


天狗「おぉ、白鬼。何しに来た。」


白鬼「この子を助けてください!!」


幼女「‥‥」スゥスゥ


天狗「…なんだ。爪を寄越しに来たんじゃないのか。」ハァ


白鬼「お願いです!この子を!」ミアゲ


天狗「いい加減にしろ。鬼のお前が幼子を助けるなどと。さっさと食ったらどうだ」ケッ!


白鬼「そん…な‥‥。」


天狗「‥はぁ、そんな顔をするな‥なんだ。どーしたんだその幼子は。」チラッ


白鬼「お、鬼の酒を飲んでしまって!」


天狗「かっかっか!幼子がか!鬼の酒を喉に通したのか!笑いの宝庫だなお前は!!」ケラケラ


白鬼「それから起きないんですっ!」


天狗「かっかっ!そりゃそうだろうて!鬼の酒が全身に回ったら誰しもそうなる!!」


白鬼「なんとかなりませんか!」


天狗「はぁ‥はぁ‥。ならん‥‥こともないが。諦めろ。はよ喰らえ。」フゥ


白鬼「た、助かるんですか!?」


天狗「さてな。お前、もう久しく人を食っとらんだろう。その手に抱えとるモノを食わんと、もうじき死ぬぞ。」チラッ


白鬼「そんなことは知ってます。でも助けたいんです。教えてください」ペコッ


天狗「‥‥たわけが。本当に愚かな鬼ぞ。そこまでして幼子を生かしたいか。」


白鬼「はい。なんとしても。」


天狗「‥‥はぁ。なら爪と引換に教えt」


ぶちっ!!ぶちぶち‥‥


白鬼「どうぞ。」


天狗「‥‥大した鬼だ。」パシッ


白鬼「それでどうすれば‥‥」


天狗「手から出る血を飲ませろ。さすれば起きるぞ」


白鬼「そんなことで?」


天狗「あぁ。だがな。それ即ち、幼子が鬼になることになる。分かるか?」


白鬼「そんな!」


天狗「体の中に入った酒は抜くことができん。ならば、己が鬼になればいいことだ。簡単だろう。」


白鬼「‥‥できるわけがないっ‥‥!」


天狗「なぜだ?その幼子が鬼になれば、もう物の怪と人間なんて隔たりは無くなるぞ。それを望んでおったのだろう?」


白鬼「ち、違う‥‥、俺はチビに…人間として幸せに生きてもらいたいっ‥‥!!」


天狗「‥‥勝手にしろ。爪は確かに受け取った。」ビュンッ!


白鬼「だ、旦那っ!」


シーーン‥‥


白鬼「‥‥無理だよ。」ハァ


天狗「ならワシが食らってやろうか」


白鬼「!?」バッ!


天狗「ほれ、はよ幼子を渡さんか。」


白鬼「旦那ぁ。いつの間に木から降りて、俺の後ろなんかとったんですか」ジリジリ


天狗「お前らの創る酒は美味いからな。それが染み込んだ肉は大層うまかろう」スタスタ


白鬼「‥いくら旦那でも、それ以上こっちに来ないでもらえますか。」ジリジリ


天狗「さっきの問いに答えてやろう」ビュンッ!


白鬼「!!」キョロキョロ


天狗「こりゃ、どこを見とる」ドカッ!


白鬼「うぐっ!?」ドサッ


天狗「軟弱な‥‥。儂の動きは見えずとも、打撃くらいは堪えてみせんか」ビュンッ!


白鬼「旦那ァァァアッ!待ってくださいッッ!!!」


天狗「死にとうなかったら手にある子を食え。食わねば死ぬぞ」ビュンビュン!


白鬼 (くそ!旦那に殺される!俺が[ピーーー]ばチビも死ぬぞ!俺が[ピーーー]ばチビが泣くぞ!)


天狗「せめて両手を空けんか。片手で儂と渡り合う気か?傲慢な!」バキッ!


白鬼「ぐぁはッ!」


天狗「昔のお前は、もっと覇気があったぞ。それを今は子を抱き、地に跪く鬼とは‥‥無様な」ポリポリ


白鬼「ははは。それは申し訳ない‥ですッ!」ブン!


天狗「はぁ‥‥物を投げるだけか‥。猿を相手にしてるようだぞ」パシッ!


白鬼「それ差し上げますよ」


天狗「ん?‥‥なんだこの赤い小瓶は。」


白鬼「1晩中、煮込んだ自信作ですよ」


天狗「ほう?‥‥それは旨かろうな」ジー


白鬼「それでは」スタスタ


天狗「じゃあの‥‥って、待たんかたわけ!」


白鬼「…嫌です!」ダッ!


天狗「儂から逃げきれると思っとるのか!」ビュンッ!


白鬼「くっそ!!」ニゲッ!


天狗「ほぅら、幼子にこうも容易く手が届く」ツンツン


白鬼「くッ!!」ピタッ


天狗「…本気を出さんか。ほれ、[ピーーー]気で来い。」


白鬼「そんなこと‥‥」


天狗「もう永らく生きすぎて忘れたか。お前らの鬼は、人の憎悪・嫌忌を溜め込む器。殺意こそ力の源であろうが。」


白鬼「‥‥」キョロキョロ


天狗「まだ逃げる算段でもしとるのか。呆れたヤツぞ!」ダッ!


白鬼「!!」


<クソテングーーー!!!!


天狗「子天狗か!?」


子天狗「何やってんだ!!白鬼さん[ピーーー]気か!!!」


天狗「阿呆!これは稽古だ!そこをどかんか!!」シッシッ


子天狗「父様の稽古は死への直行便だわ!!死にかけたんですよ!僕!!」


白鬼「‥‥」ソローット


天狗「今は生きとろう!あ!こら待て白鬼!どこへいく!」


白鬼「やっべ」


子天狗「いいですよ!早く逃げてください!白鬼さん!」


白鬼「あ、ありがとう!」ダッ!


天狗「待たんか!!!!白鬼ィィ!!」


ピー音が‥‥

死ぬぞ
死ぬぞ

殺す気か
殺す気か

です。
脳内変換よろです

今日はここまで!
ちょっと長くなってしまいました。

ではまたこのくらいの時間帯に会いましょ。

何故頭文字が大文字になるんだ

>>103
すいません、癖で‥‥
直していきます、ありがとうございます。


ーーーーー

白鬼「はぁ‥‥」トボトボ


幼女「すぅ‥‥すぅ‥‥」


白鬼「なぁに寝てんだアホチビ」ペシッ


幼女「うっ‥‥、すぅ‥‥」スヤァ


白鬼「‥‥どーすっかな…」チッ


白鬼「キツネのとこはもう行ったし、天狗の旦那はガチギレしてるしなぁ」
ハァ


<クスクス


白鬼「‥‥なに笑ってんだ」


<クスクス…クスクス


白鬼「この山のヤツらは、本当に根性が歪んでやがんでるな‥‥」


木霊甲「なにしてるの?」クスクス


木霊乙「こんなところでなにしてるの?」クスクス


白鬼「うるせぇよ」


木霊甲「その子食べるの?」クスクス


木霊乙「ようやく食べるの?」クスクス


白鬼「食わねぇって。あぁ、もう気が散るからどっか行けよ」シッシッ


木霊甲「どうする?」チラッ


木霊乙「どうしよっか?」チラッ


木霊甲「付いてく?」クスクス


木霊乙「付いてこっか!」クスクス


白鬼「あぁ!来んな!邪魔なんだよ!ほら、あっち行けよ!」


木霊甲「その子どうしたの?」ヨジヨジ


木霊乙「一体全体どうしたの?」ヨジヨジ


白鬼「おいこら、登ってくるな。」


木霊甲「寝てるね」ツンツン


木霊乙「ホントだね」ツンツン


白鬼「‥‥起きないんだよ」


木霊甲「憎悪の酒を飲んだの?」


木霊乙「鬼のお酒は憎悪のお酒?」


白鬼「はぁ‥‥人の不幸は蜜の味って言うだろ?鬼は、それを込めながら酒を創るんだよ。ほら、分かったら、あっち行けよ」


木霊甲「なら幸せは何の味?」


木霊乙「きっと不味いよ」


白鬼「不味くはないだろ。人間は幸福を求めて生きてるんだから。」


木霊甲「幸福ってなに?」


木霊乙「幸せってなに?」


白鬼「‥‥鬼の俺が知るわけないだろ。お前らはどーなんだよ」


木霊甲・乙『なにが?』


白鬼「だからさ、こー嬉しい!とか楽しい!みたいな気持ちってあんの?」


木霊甲「嬉しい?」


木霊乙「楽しい?」


木霊甲・乙『あぁ、あるよ!』


白鬼「へぇ。それっていつよ?」


木霊甲「お母様と居る時だよ。ね。」チラッ


木霊乙「お母様と居る時だね。うん。」チラッ


白鬼「親‥‥か。親‥‥ね。よしっ!」バン!


木霊甲・乙『うわぁっ!』ヨロヨロ


白鬼「婆ちゃんとこに行くか!」スタスタ


木霊甲「お出かけ!?」


木霊乙「お出かけ!!」


木霊甲・乙『いく!』ピョン!


ーーーーー
野道


木霊甲「ねぇどこにいくの?」チョコン


木霊乙「ねぇどこに向かってるの?」チョコン


白鬼「お前ら‥‥なに肩に座ってんだ。降りなさい!」スタスタ


木霊甲「えーやーだー」


木霊乙「やだよねー」


白鬼「ち、チビが増えた‥‥」ハァ


木霊甲「それでどこに行くの?」


木霊乙「きっと楽しいとこだよ」


白鬼「楽しかねーよ。人間の家だ」


木霊甲・乙『家!?』


木霊甲「聞いた!?聞いた!?家だって!」キャッキャ


木霊乙「聞いた!!聞いた!!家だって!」キャッキャ


白鬼「あーもー!鬼の肩で騒ぐな!!なにがそんなに楽しいんだ!」


木霊甲「家ってなにかなー!?」


木霊乙「なにかな、なにかなー!」


白鬼「‥‥まったく」グッタリ


今日はここまで。
またこのくらいの時間帯に会いましょ。


ーーーーー

白鬼「‥‥あれ」キョロキョロ


木霊甲「ここ?」


木霊乙「ここが家?」


白鬼「っかしなー。ここら辺にあった気がするんだけど‥‥」


木霊甲「人間は土の中に住んでるの?」


木霊乙「だからここだけ土が新しいの?」


白鬼「いや、そんなことはないけど‥‥」


婆『おぉ、おぉ。聞き覚えのある声だわや』


白鬼「婆さん!」


木霊甲「婆さん?」チラッ


木霊乙「婆さんだって」チラッ


婆『やはりそうかい。お前さんがこないだ幼女と一緒に来たお方だね』


白鬼「あ、あぁ、そうだが‥‥、婆s」


木霊甲「ねぇ」ツンツン


木霊乙「ねぇねぇ」ツンツン


白鬼「‥‥あんだよ。邪魔しないって約束だろ」


木霊甲「あっちに行っていい?」ユビサシ


木霊乙「あっちで遊んでいい?」ユビサシ


白鬼「あ、おう。あんま遠くに行くなよ。俺が見えるとこまでだからな」


木霊甲「わかったー?」クスクス


木霊乙「わかったー!」クスクス


白鬼「本当に分かってんだろうな。‥‥ったく」ポリポリ


婆『あれは木霊様かえ。なんとも童子なお姿だねぇ』


白鬼「!…やっぱり婆さん、死んでるな」


婆『まぁの。幼女との約束をはじめて破ってしまったわ』


白鬼「そう…か。そのチビのことなんだがよ。」


婆『ふぇっふぇっふぇ。気持ちよさそうに眠っとるわい』


白鬼「悪い。チビはもう起きない」


婆『…はて?トンと話が飲み込めなんだ』


白鬼「鬼の酒を飲んじまったんだ。もう起きることはない」


婆『‥‥』


白鬼「すまない」


婆『‥‥そうかい。これも運命かもしれんのぉ』


白鬼「あ?運命だと?」ピキッ


婆『あぁ、運命だとも。幼女の親は鬼に喰い殺されたんじゃよ。だから村では鬼憑きと忌み嫌われておった。』


白鬼「…おいおい」


婆『その子は、鬼のあんさんに懐き、友として家に招き、眠るように死するとはねぇ。』


白鬼「待て、待ってくれ」


婆『うちの家系は、鬼が憑く運命なんだわい』


白鬼「待て、待てって言ってんだよ!」バン!


婆『おお、どうなさった?』


白鬼「いつの話だ。チビの親が死んだのは何年前だ、どの時期だ」


婆『4年前の梅雨の時期さ。』


白鬼「あぁ、くそ。嘘だろ‥‥俺だ。」


婆『喰らったのかい?』


白鬼「奴らが望んだんだよ」


婆『…幼女が懐くわけだねぇ。あんさんの体には親が宿っているのだから』


白鬼「‥‥」


婆『それにしても。なんと無念や』


白鬼「なにが」


婆『幼女の親は、肉体朽ちても…あんさんの中で娘を見守っているというのに。この老いぼれは、それすら出来ん』


白鬼「そういやー婆さんの体はどこだ。家もねぇし。」


婆『燃え尽き、この世にはあらんよ。』


白鬼「どーゆーこったよ?」


婆『こないだ家に来たろう。それを村の者に見られたようでな。焼き討ちにあったんじゃよ』


白鬼「ッ!!まさか!」


婆『元々、鬼憑きの家系。これも運命かもしれん。』スタスタ


白鬼「ば、婆さん?」


婆『無念‥‥無念‥‥。あぁ、無念』ズズッ


婆『孫の行く末を、見ずに死する老体も‥‥、村の者共に、この世に、弾かれるこの命にも。』ゴゴ...


白鬼「まて婆さん!」


婆『世の中におこりて、人々を呪い殺すまでは行かずとも、やがて止むる類にならんことを願おうぞ!』ゴゴゴッ


白鬼「おい、落ち着けって!逝けなくなるぞ!」


婆『やぁら無念やらッ!!かくなる上は、この世に留まるこの魂を!奴らを呪う礎に差し出さん!』ヒュン!!


白鬼「くっそ!!木霊共!付いてこい!」キョロキョロ






白鬼「居ねえじゃねぇーか!!!どこ行ったクソガキどもーー!!!」





ーーーーー


木霊甲「人間どこだろーね?」


木霊乙「あっちじゃない?」


木霊甲「そっちかな?」クスクス


木霊乙「どっちかな?」クスクス


木霊甲・乙『じゃあこっち!』トテトテ


木霊甲「ねぇねぇ」


木霊乙「なぁに?」


木霊甲「白鬼はどこ?」


木霊乙「うーんどこかな?」


木霊甲「迷子かな?」クスクス


木霊乙「迷子だね」クスクス


木霊甲「まったくもー」


木霊乙「ほんとにもー」


木霊甲・乙『白鬼が迷子になっちゃった』クスクス



<ザワザワ


木霊乙「あ、なんか聞こえるね」


木霊甲「人間の声かな聞こえるね」


木霊乙「こっちじゃない?」


木霊甲「そっちかな?」クスクス


木霊乙「どっちかな?」クスクス


木霊甲・乙『じゃあ〜あっち!』ユビサシ


今日はここまで。
終わりまでもう少しです。お付き合い頂ければ幸いです。

ではまた、このくらいの時間帯に会いましょ


ーーーーー


村人「おぉ、とうとう離れの鬼憑き共を討ちとったか!」


村長「あぁ!人に化けた妖怪を討ち取ったぞォォ!」


わぁぁぁぁぁ!!!!



木霊甲「うるさいね」


木霊乙「人間はとってもうるさいね」



村長「これで鬼に怯えることなく日々を過ごせるぞ!!今日は祝いだ!」


木霊甲「なんだかとっても嬉しそう」


木霊乙「なんでかとっても楽しそう」


木霊甲「そういえば乙」


木霊乙「なぁに甲」


木霊甲「人間の家はどれかな?」キョロキョロ


木霊乙「どれかな?どれかな?」キョロキョロ




村人「よし!祝いの準備を家に帰ってするか!!」スタスタ



木霊甲「家っていった!?」チラッ


木霊乙「家っていった!!」チラッ


木霊甲・乙『行く!!』


ーーーーー


木霊甲「これが家?」


木霊乙「ここが家?」


木霊甲・乙『なんて惨い』


木霊甲「これってお母様?」


木霊乙「お母様の一部分?」


木霊甲「それを切って打って」


木霊乙「それを砕いて折って」


木霊甲・乙『なんて酷い』シクシク


木霊甲「‥‥痛い痛い」シクシク


木霊乙「痛い痛いね‥‥」シクシク



村人「おおーい、帰ったぞ!今日は祝いだ!!」ガラガラ



木霊甲「なんてなんて嬉しそう」


木霊乙「とてもとても楽しそう」


木霊甲「痛みを知らない顔だよね」チラッ


木霊乙「苦しみを知らない顔だね」チラッ


木霊甲・乙『みんなまとめて教えてあげる』ゴゴゴッ


ヒュン!!


木霊甲「なにか通った?」


木霊乙「なにか通ったね」


木霊甲「見にいっt」ビュン!


木霊乙「あれ甲が消えt」ビュン!


ーーーーー
村はずれ


白鬼「なぁーにやってんだお前らァ‥‥」ガシッ!


木霊甲「いてて」プラーン


木霊乙「いててのて」プラーン


白鬼「ずいぶん探したんだぞ?あ?それなのにお前らときたら‥‥」ミシッ


木霊甲「乙の頭、ミシッて言った」クスクス


木霊乙「甲の頭もミシッて言った」クスクス


白鬼「お前らの頭を砕いてやろうか。」ストン


木霊甲「どうしたの?」ヨジヨジ


木霊乙「元気ないの?」ヨジヨジ


白鬼「はぁ‥‥。お前らを捕まえるので精一杯で、婆さんを止められなかった。」ポリポリ


木霊甲「さっき通ったのかな?」


木霊乙「きっとそうだよ」


白鬼「あぁー‥‥どーすっかな。」


木霊甲「どうする気?」


木霊乙「婆さんはどうする気?」


白鬼「‥‥婆さんはきっと、村の人間を呪いまくるだろうな。」ハァ


木霊甲「どうする気?」


木霊乙「白鬼はどうする気?」


白鬼「‥‥婆さんはああなっちまったしな。チビも助からない。打つ手無しだ。」チッ


木霊甲「じゃあ遊ぼ?」


木霊乙「一緒に遊ぼ!」


白鬼「んな気分じゃねぇんだよ。せめてチビを安らかに逝かせなきゃなんねぇ」ポリポリ


木霊甲「この子?」ツンツン


木霊乙「死んじゃうの?」ツンツン


幼女「‥‥ぅぅ、すぅ‥‥」


白鬼「おいこら。つつくな。」シッシッ


木霊甲「ならもう食べちゃえば?」


木霊乙「まると食べちゃえば?」


白鬼「だーら、俺はもう喰わねぇんだっt」ヒュン!!


ビーーーーン!


白鬼「‥‥えぇっと」チラッ


村人《鬼だーー!!!鬼が出たぞー!!!!!》ギリギリッ!


木霊甲「またアイツ」


木霊乙「嫌なヤツ」


白鬼「弓持って矢を放つとはなぁ。同じ人間でも、チビや婆さんのようにはいかねぇか」スタッ


村人《討て!!討ち取れ!!》ビュン!


白鬼「逃げるが勝ちっぽいな。」ヒョイ


木霊甲「逃げるの?」


木霊乙「倒さないの?」


白鬼「‥‥倒す理由なんてねぇよ。俺にはな。」


木霊甲「婆さんの敵なのに?」


木霊乙「婆さんの仇なのに?」


白鬼「っ、うるせーよ。ほら、行くぜ。早く肩に乗れよ」



村人《おい!鬼の腕にいる幼子は!鬼憑き共の1人じゃないか!?》


村人《よもや、鬼さえも手懐けているか!殺せ!射殺せ!!》ビュン!ビュン!


木霊甲「殺す気だよ。」チラッ


木霊乙「その子を殺す気なんだよ?」チラッ


白鬼「‥‥いい加減に口閉じて、肩に乗らねぇと置いてくぞ」チッ


木霊甲「鬼なのに変なの」クスクス


木霊乙「ねー鬼なのにね」クスクス


白鬼「あーもう置いてくからな!知らねぇかんな!」スタスタ


木霊甲・乙『待ってー!!』トテトテ


今日はここまで。
最後をハッピーかバットかで悩んでおります今日この頃。

とりあえず、またこのくらいの時間帯に会いましょ。


ーーーーー
鬼の住処

木霊甲「じゃーね白鬼ー」バイバイ


木霊乙「またねー白鬼ー」バイバイ


白鬼「"また"はねーよ。じゃあな。」




白鬼「‥‥結局、どうすることも出来なかったな。」ハァ


幼女「‥‥すぅ。すぅ‥‥」


白鬼「あぁぁあ!くそが!やっぱり人間と鬼は相容れないてか!」ボリボリ


白鬼「ちっ、なぁチビ‥‥。婆さん死んだぞ。‥‥お前の親も俺が喰っちまった。」ガシッ!


白鬼「はぁ‥‥チビは生きたいか?それとも‥‥親に会いたいか」ゴクッ


白鬼「俺はっ、俺はなクソチビ‥‥お兄さんじゃねーんだって‥‥鬼なんだよッ‥‥!」


白鬼「親に会わせるなんて良さげなこと考えてもな‥‥。つまりは、お前を喰いたくて仕方ないんだ」


白鬼「‥‥だから俺はチb」


天狗「おい白鬼。表に出ろ」グイッ


白鬼「びっ!?だ、旦那ァ!声くらい掛けてくださいよ!」


天狗「じゃかあしい!!洞穴で叫ぶな阿呆!!」


白鬼「〜〜!」キーーン


天狗「いいから来い!」グイッ


白鬼「あ、あい‥‥」ズルズル


ーーーーー
大木

天狗「ほれアレを見んか」チラッ


白鬼「旦那ァ。俺は旦那みたいにヒョイヒョイ飛べないです。待ってくださいよ」ヨジヨジ


天狗「えぇい!愚鈍な鬼め。はよ来んか」グイッ


白鬼「うわっと!」


天狗「‥‥ほれ。人間共が境界線の近くで火を灯し始めとる」チラッ


白鬼「…ホントですね」


天狗「どうする気だ?人間共が山を燃やし始めたら、儂等は零落しかねん。」


白鬼「‥‥」


天狗「お前が人間共に姿を晒したからだぞ」


白鬼「まぁ、そう‥‥でしょうね。そうだと思います」


天狗「なんとかしろ。儂も山が苦しむような事は避けたい。」


白鬼「‥‥ほっといたらマズいですもんね。きっと他の鬼達は暴れるだろうし…」


天狗「鬼だけではないわ。他の奴等も騒ぎ出すぞ。血肉と祭りは、物の怪が好む。山が荒れるぞッ‥‥!」ギリッ!


白鬼「そりゃ大変だ。」ハハハ


天狗「事の大きさを分かっとらんようだな。」


白鬼「旦那ァ。俺は鬼なんですよ?‥‥詰まるところ、暴れて壊すのが好きなんですよ。」ポリポリ


天狗「ならば暴れてこい。奴等を蹴散らせ。山に踏み入らせるでない。」


白鬼「‥‥御意」ダッ!




天狗「死ぬより辛き事は、己を偽ることだぞ白鬼や。」ハァ…



ーーーーー

白鬼「‥‥」ダダダッ!


影女「おぉ〜と!何をそんなに急いでるの〜!?」スルスル


白鬼「‥‥うるさいな」ダダッ!


影女「もうすぐ陽が落ちるよ?暗くなったら、私暇だからお喋りしよ!」スルスル


白鬼「俺は忙しいんだ。悪いな」ダンッ!


影女「あっちょっと!‥‥空中はいけないって‥‥」ショボーン


ーーーーー
境界線あたり


白鬼「‥‥」コッソリ


<ザワザワ ザワザワ


白鬼(本気で攻めこむつもりか人間。どう考えても勝ち目は無いのに)


白鬼 (旦那に言った手前、攻めこむ兆しがあったら、なんとかして止めなくちゃなんねぇ)ハァ



<イイカー!!! ワレラノー!!!



白鬼 (なんだ、なにを言ってんだ?)


影女「何言ってんだろうね」スルリ


白鬼「んー‥‥さぁな」


影女「ふぅ〜ん」


白鬼「‥‥」


影女「‥‥」


白鬼「は!?」バッ!


影女「てへっ♪」


白鬼「‥‥」サッ


影女「待って待って!たんま!光を遮らないでよ!」スルスル


白鬼「今日は忙しいって言ったろ!お前に構ってる暇はねぇんだよ!」サッサッ


影女「それはさ〜アレが原因だったりするのかな?」チラッ


<ウォォオーー!!!


白鬼「まぁな」


影女「手伝おうじゃないか!猫の手でも借りたい感じでしょ!?」エッヘン!!


白鬼「猫にも及ばねぇよ。帰って自分の影と喋ってろ。」シッシッ


影女「‥‥ほほぅ?みてろよ。」スルスル


白鬼「あ、おい!何すんだよ!?余計なこと‥‥、くそ!どこ行きやがったッ‥‥!」チッ!

今日はここまで。

皆さんのおかげで何となく方針が決まりました。
最後まで楽しんで書きますので、頑張って読んで頂ければ幸いです。

ではでは、またこのくらいの時間帯に会いましょ。


ーーーーー



村人1「今日でこんな暮らしも終わりだー!!」スタスタ


村人2「なー!やっとだぜー。上手くいってくれればいいんだけどなー」スタスタ


村人1「きっと上手くいくさ!俺達は、ここで知らせを待てばいいだけのことよ!」ワッハッハ


村人2「それもそうだな!じゃあまた明日な!」


村人1「おう!またな!」



村人1「‥‥ふぅ。やっと、やっと終わるんだ」


『ふふふ、本当におしまい?』


村人「!?」バッ!


『今から始まるんだよ?』


村人「だ、誰だ!」キョロキョロ


『ねぇ、一体なにをしようとしてるの?』


村人「い、言うわけないだろ!」キョロキョロ


『ねぇ、一体なにを終えようとしてるの?』


村人(くそ!ここは暗いな!火!火を付けなければ!)つ松明


『火は危ないよ。ふふふ、気をつけて』


村人「黙れ!この!物の怪の類か!?」ボゥ


『火は危ないよ。ふふふ、本当に気をつけて』


村人「黙れ!黙れ!」ボゥ…ボゥ


『あちこち火を付けてくれてありがとう。これで‥‥私が分かるよね?』スルスル


村人「ひっ!影が勝手に動いてるぞっ!?」


影女「ひっ!だって。傷つくなぁ。」スルスル


村人「く、来るな!うゎぁぁあ!!」ポイポイ


影女「‥‥だから気をつけてって言ったのに。ふふふ。」


ボゥ…ゴゴゴゥ‥‥


村人「火が!火事だ!火事だァ!」ニゲッ


影女「なんておバカさん」


ーーーーー
境界線あたり


影女「うぃ〜す」スルスル


白鬼「おいこら、何してたんだよ。村の方で火が上がってんぞ」


影女「知らないよー勝手に驚いて、勝手に家に火を付け出したんだもん!」プンプン


白鬼「‥‥そりゃ誰だって影が喋れば驚くだろ」


影女「え!?なに!?私が悪いの!?あぁ!?」イライラ


白鬼「お、おい!んな怒んなって!居場所がバレたらどーすんだよ」シー!


影女「べっつにー?私影だからー?バレるとかの問題じゃないしー?」フンッ!


白鬼「‥‥でもまぁ、ありがとうな。これで多分、境界線近くにいる奴等も、火を消すために村に帰るだろ」


影女「ふ、ふん!今更お礼言われても何も思わないよ!影だもん!皆が思ってるように影には意思なんてないもん!」


白鬼「‥‥そっか。今晩、暇だから喋って欲しかったんだけど‥‥。影なら仕方ないな」クルッ スタスタ


影女「ごめん!やっぱ嘘!嘘です!意思めっちゃあるよ!踏まれるとなんか悲しいし!!」アセアセ


白鬼「ははっ。月が照らすお前は、俺なんかよりよっぽど影が濃くて、生きてるなって感じがするぜ」


影女「??」


白鬼「さっ!帰ろうぜ!」スタスタ


影女「ういっす!」


ーーーーー



村人1「‥‥」ガクガク


村長「おい!何があった!」バーン!


村人1「か、影がッ‥‥影が俺に向かって‥‥」ガクガク


村長「‥‥影?」チラッ


女房「へぇ‥さっきからこんな調子で‥。ご迷惑をば」ペコ


村長「ん、いやいいんだ。燃えた場所も村はずれの古びた倉庫。いつか壊そうと思っとった」ポリポリ


女房「でしたら、その‥‥」




村長「‥‥あぁ、事は問題なく進んどる。」



ーーーーー
鬼の住処


白鬼「な、」


影女「わーお」



ゴチャゴチャ グチャグチャ



白鬼「なんでこんな荒れてんだ‥‥」


影女「野生的な感じがして、こーゆー家も好きだよ私」


白鬼「馬鹿。んなこと言ってる暇あったら手伝えよ。猫以下でもなんか出来んだろ」ガチャガチャ


影女「ちぇ〜。‥‥つっても、物とか動かせないし。盗まれたモノが無いか探しますか」スルスル


白鬼「盗まれた物って。ここら辺の奴等に物欲なんざねぇよ」ゴソゴソ


影女「あ」


白鬼「…あ?んだよ、そーゆー冗談は嫌いだぜ?」ピタッ


影女「いや、冗談じゃなくて‥‥さ。盗まれたモノあった‥‥」


白鬼「はぁぁ?まっさか。‥‥どんな物だよ?」


影女「…いや、盗まれた"者"だよ。白鬼。」


白鬼「?」





影女「女の子が居ない」






今日はここまで!
ではでは、またこのくらいの時間帯に会いましょ

ーーーーー

白鬼「‥‥はぁ、は、はぁッ‥‥」


影女「まっ、てよ‥‥白鬼ぃ‥‥」


白鬼「ーんなこと言って‥‥んじゃねーよ。もっと声出せって!」スゥ‥


影女「‥‥だ、っからさ‥‥」ハァハァ





白鬼「クソチビーー!!!」ダダダッ!


影女「ちょっと!ちょっと!だからさー!闇雲に探しても無理だって!!」スルスル


白鬼「うるせーー!!俺が甘かった!!絶対に見つけ出してやる!!」


影女「だから待ちなって!!どんだけこの山広いと思ってんの!!」


白鬼「んなことは分かってんだよ!だから走ってんだろ!」ダダッ!


影女「それに人を喰う妖怪もいっぱい居るし!誰が連れ去ったか検討なんてつかないよ!」スルスル


白鬼「くそが!!だったら全員に会って回るぞ!」ダダッ!


影女「もう!時間かかるって!話を聞いてよ!」スルスル


白鬼「あぁあ!!んだよ!!何が言いたいんだ!!」ピタッ


影女「誰が連れ去ったか1発で分かるかもしれない方法があるの」


白鬼「!!それを先に言えよ!何だそりゃ!」


影女「正直、賭けなんだけど‥さ‥」


白鬼「なんでもいい!教えてくれ!」


影女「‥‥よし、じゃあ行こうか。」


白鬼「おう!!」


影女「美しいあのお方のもとへ。」


ーーーーー
老樹


白鬼「‥‥このあたりか?」ボソ


影女「‥‥うん。」ヒョコ


白鬼「おい。なに俺の影に隠れてんだ。出てこいよ」


影女「いやだって、私付き添いだし。トバッチリ嫌だし‥‥」


白鬼「‥‥確かにな。隠れてろ。今から呼ぶぞ」スゥ…


影女「りょ」コソッ



白鬼「木霊ぁぁぁあ!!!どもーーーー!!!!!!」


影女「ーー!!!」キーーン


白鬼「‥‥スゥ、こーだーまーd」


木霊乙「‥‥うるさい」ヒョコ


木霊甲「‥‥うるさいね」ヒョコ


白鬼「よう」


木霊乙「こんな夜更けに何の用?」


木霊甲「一体全体、何の用?」


白鬼「お前らの親に聞きたいことがあんだよ。会わせてくれ」


木霊乙「無理だよ」プイッ


木霊甲「うん無理だね」プイッ


影女「‥‥か、帰ろ白鬼。これ以上はまずいよ」ボソ


白鬼「無理なことは分かってんだ。そこをなんとかして会わせてくれ」


木霊乙「お母様は今、深い眠りに入ってる」


木霊甲「朝日が出るまで待てないの?」


白鬼「待てねぇな。眠ってるなら起こせばいいだろッ‥‥!」ガシッ!


木霊乙「できないよ」プラーン


木霊甲「できないね」プラーン


影女「やばいって‥!神の使いだよ、その子達‥!」ボソボソ


白鬼「‥‥なぁ、たった1つ聞きたいだけなんだよッ!それを聞いたらすぐに消える!頼むよッ‥‥!」


木霊乙・甲『おこがましいよ白鬼』ゴゴゴ


影女「に、逃げなっー」


白鬼「っ!」ブン!ブン!


木霊乙「うわー」ピュー


木霊甲「うひゃー」ピュー


影女「‥‥神の使いを投げるって。なんて罰当たりな」ハァ


樹神『まったくです』パシッ


木霊甲・乙『あ、お母様』


白鬼「!!」


影女「‥‥」コソッ


樹神『こんな夜更けに私の下で騒がれてはかないません。』チラッ


白鬼「申し訳ありません」ペコ


樹神『あなたが私に用があると騒いでた鬼ですね。まったく‥‥これだから鬼は粗暴で困ります』


木霊乙「おはようお母様!」


木霊甲「お母様おはよう!」


樹神『えぇ、甲に乙。おはよう。そしてなんて無礼な鬼でしょう。私の眠りを妨げるなんて』


白鬼「‥‥申し訳ありません」


樹神『して聞きたいこととは?私を起こしてまで聞きたいことがあるのでしょう』


白鬼「…はい。実は人間の幼子を探してます。ご存知でしょうか。」


樹神『おぉ、あの子ですか。最近、毎日のように私の中に入ってきてるあの子。』


白鬼「ソイツの居場所が分からないんです‥‥。あなたはこの森の神。居場所をお教え頂ければと思い、来ました」


木霊乙「ソイツ?」チラッ


木霊甲「あの幼子だよきっと」チラッ


樹神『はぁ‥‥その様な雑用で私の眠りを‥‥』ゴゴゴッッ!!!


白鬼「‥‥」


木霊乙「うわうわっ!」キャッキャッ


木霊甲「あわあわっ!」キャッキャッ


影女「ま、まずいよ白鬼!逃げよって!」スルスル


白鬼「‥‥聞くまでは下がらねぇよ」


樹神『‥‥と、いきたいところですが。』ピタ


樹神『あの幼子、私の下を通る時は、いつもお辞儀をして花やら綺麗な石やらを置いていくほどの子でした』


白鬼「‥‥アイツ」


樹神『知っての通り、神としてそのような信仰は嬉しいものです。‥‥いいでしょう。あの子の友が憂う事態のようです。』ハァー…


木霊甲「離れた方がいいよ」クイッ


木霊乙「離れた方がいいね」クイクイ


白鬼「‥‥おおそうなのか」バッ!


樹神『ーーーーー』ビリッビリリッ!!!!


木霊甲「しびれるぅー!」クスクス


木霊乙「あこがれるぅ!」クスクス


白鬼「‥‥アレで分かんのか」シュタ


影女「うん。なんせ森の神様だからね。木の下に居るモノなら何だってわかるよ。影の私すら見つけられるし。」


白鬼「‥お前もか。なんだ見つかったことあんのか」


影女「樹神様の影をペロペロしてた時にね。」


白鬼「何してんだお前」


樹神『ーー‥‥‥‥。分かりましたよ。』シュウゥゥゥ


白鬼「ほ、ホントですか!?」バッ!


樹神『えぇ、本当ですよ。そこの影女が言ってることもです。』


木霊甲「ペロペロ」クスクス


木霊乙「お母様ペロペロ」クスクス


白鬼「」


影女「‥‥‥引いてんじゃねーよ」


白鬼「‥そ、それでチビの場所って!?」


樹神『そのことですが、安心なさい。鬼の出る幕ではありません』フワァ…


影女「それって、どーゆーk」


樹神『変態は黙っててください』ペッ!


影女「」


白鬼「お、俺の出る幕はないって‥‥いったい」


樹神『ですから、人間が担いでいるのです。歩いてる場所からして、村に戻るんでしょう。』


白鬼「人間が!?妖怪ではなく人間なのですか!?」ガタッ!


樹神『そう言ってます。幼子を取り戻しに来たのでしょう。夜中に忍び込むのは不愉快ですが、元ある場所に戻ることは喜ばしいことです』


白鬼「そん‥‥なはずは‥‥」


樹神『なんと見苦しい鬼でしょう。人間が人間の子を、物の怪から取り戻すのは至極当たり前でしょう。友なら、この事を喜びなさい。』スタスタ


木霊甲「おねむ?」チラッ


木霊乙「お母様おねむなの?」チラッ


樹神『目を閉じるだけです』ストン


白鬼「で、でも!アイツらはチビに矢を放った奴らですッ‥‥!」


影女「それにさっきまで攻め込む勢いだったよね」ヒョコ


樹神『‥やはり影には知恵が‥無いのですね‥。そのおかげで白鬼。あなたは‥‥家を空け確認に向かいました‥‥』スゥスゥ


影女「」


白鬼「!!」


樹神『それに他の妖怪も野次馬‥で見に行き‥‥森は夜にも関わらず‥‥もぬけの殻‥‥』スヤァ


木霊甲「寝てる?」ツンツン


木霊乙「寝てるね」ツンツン


樹神『起きてます』


影女「妖怪を陽動とは、ププッ!いやはや恐れ入ったよ」アハハ


白鬼「笑ってる場合かくそ!!」ダッ!


木霊甲「ばいばいー白鬼」


木霊乙「またねー白鬼」


影女「あーじゃあ‥‥私も行きますね」スルスル


木霊甲「ばいばいー影女」


木霊乙「またねー影女」


樹神『‥‥』スゥスゥ


木霊甲「ねぇお母様ー。寝ちゃうのー?」ユサユサ


木霊乙「ねぇお母様ー。遊ばないのー?」ユサユサ


樹神『‥‥甲に乙。』ムクリ


木霊甲・乙『なぁに?』


樹神『あの鬼に着いて行き、ことの成り行きを見てきなさい』


木霊甲「いいの!?」ピョーン


木霊乙「やったー!」ピョンピョン


樹神『えぇ、えぇ。早くお行きなさい。ほら、位置についてー‥‥』


木霊甲「ズルはダメだよ乙!」シュタ


木霊乙「ズルはダメだね甲!」シュタ


樹神『よーーーい』


木霊甲「ドキドキしてきたねー!」クスクス


木霊乙「わくわくしてきたねー!」
クスクス


樹神『どーーーーん』


木霊甲・乙『わぁーーい!』トタタ!





樹神『‥‥やれやれ。やっと二度寝ができますね』スヤァ


今日はここまで。

最近、忙しくて更新遅れてすいません。
ではでは、また会いましょ。


ーーーーー

大男1「えっほ、えっほ。」ザッザ


大男2「えっほ、ほっほっ」ザッザ


大男1「夜の森は、やはり恐ろしいな」ザッザ


大男2「なんで俺達が、こんな仕事を‥‥」チラッ ザッザ


幼女「すぅ‥‥ん、‥‥すぅ‥」


大男1「コイツまったく 起きな、いな」ザッザ


大男2「あぁ。バカみ、たいに寝て、るな」ザッザ


大男2「‥なぁ、おい、あ。と、どれほどで村、かいな‥?」ザッザ


大男1「‥‥ん。あと、少し。あと、少しだぞ」ザッ


大男2「その言 葉、も、う。4度 目だ」ザッ


大男1「いい、から。走れ 。コイツを村へ、持ってく ぞ」


大男2「‥なぁ、 お ぃ」


大男1「こ、ん ど は、なん 、だ」ピタッ バタン!


大男2「お ま」ピタッ バタン!






獏「‥‥」シュタ


獏「よ~やく寝たか。もう。」スタスタ


獏「‥‥美味しい夢をちょうだいよ」ジュルリ


幼女「‥‥すぅ、すぅ。」


獏「‥‥不味そうな子だね」オェ


獏「う~ん、でも。」チラッ


大男2・1「‥‥」スャァ


獏「まだ男どもは夢見てないし‥‥。暇つぶしに見てやるか~?」


獏「!!」ギュルルル


獏「ま、まぁお腹も減ってるし。見るだけ見てやるよ。」ピト…


幼女「‥‥う、」


獏「まっずそ‥‥」グバッ!!!


獏「あーーーん」バクッ!!


ーーーーー
ーーー
ーー



幼女「うわぁぁぁぁんんっ!!」


婆「お~よしよし、良い子だから泣き止んでおくれ。」ナデナデ


幼女「だっで、ばっちゃ!お母ちっうぐっ!」


婆「‥少し遠くへ行っただけだろうさ。大丈夫、ヒョッコリ戻ってくるよ」ナデナデ


幼女「ひ、ひっぐ‥‥お父ちゃ‥‥っ!」


婆「父ちゃんもきっと‥‥大丈夫さ。」


婆「‥はぁ‥こんな幼い子を残して逝きおって‥。」ギュー


幼女「う、うぐ、ううぅぅうっ!!」


婆「おお、おお、なんて可哀想な子よ。」ナデナデ


幼女「っ!!」バッ!


婆「おっと。どうしたんじゃえ」


幼女「‥‥」ダッ!!


婆「‥?幼女?‥、これ、幼女!?」キョロキョロ


婆「‥‥。‥行ったのかえ。」


バタン!!


幼女「うっ、うっぐっ! 」タッタッタッ


幼女( 鬼め!鬼め!!母ちゃんとお父ちゃんを返せ!返してよ!!)


幼女(なんで私だけ置いてっ!私だけっ!)



幼女「なんで!!!!」


幼女「なんでなんでなんで!!!」


パン


幼女「お母ちゃ!お父ちゃ!!!帰ってきてよ!!今よりもっ!ずっと、ずっっっと良い子に、うぅ‥ひっ、良い子にするからぁぁ‥‥っ!」


パンパン


幼女「‥‥あぁぁ」


パン…パン


幼女「‥‥?なんの、音‥? 手の叩く‥‥」


パン…パン


幼女「‥お母ちゃん? お父ちゃ‥‥ん?」


パンパン


幼女「!!」

幼女「お母ちゃ!お父ちゃ!」ダッ!!


パン‥‥パン‥‥


幼女「ま、待って!!行かないで!!置いてかないで!!!!」タッタッ!!


パン‥


幼女「っ!お願い!もう、嫌なの!こんなっ思いは、」ピタッ


白鬼「‥ん?」チラッ


幼女「お母ちゃ‥お父ちゃ‥‥?」キョロキョロ


白鬼「なんだ、迷子か。」スタスタ


幼女 「あ、鬼‥‥」ハッ!


白鬼「おう。」


幼女「‥‥さん?」


白鬼「おう?」


幼女「おに‥さん。おにーさん‥‥」ブツブツ


白鬼「おーい」


幼女「お兄さん!!」ニコッ


白鬼「は?」


幼女「遊ぼ!」グイッ!


白鬼「は!?」



ーー
ーーー
ーーーーー



獏「~~ペッ!!」


幼女「うぐっ!‥‥すぅ‥‥」ベシャッ!


獏「‥‥へぇ。思ったより美味しそうな夢みてんじゃん。」


獏「なんだコイツ。最初は鬼に食われて死にたかったのか。」ストン


幼女「‥‥」スヤスヤ


獏「くふふ。悪いな。意外に美味そうだ。その夢、食べさせてもらうよ」


大男2・1「‥う‥‥っ、」


獏「ん。忘れてたや。こんな夜に森に入ってくる輩だから、よっぽど美味しい夢を見ると思ったんだが‥‥」チラッ


獏「‥‥うん、ちっこいコイツの夢を食べるとするか」ピト…


獏「いただきまーー」グバッ!!!


獏「すっ!!」バクッ!!

今日はここまで。
またこのくらいの時間帯に会いましょ


ーーーーー

大男1「‥‥~~ッ、はっ!」ガバッ!


大男2「うぅ‥‥」スヤァ


大男1「‥‥おい、起きろ。ッ!起きろ!!」ユサユサ


大男2「う!?‥‥な、なんだお前か。もう朝なのか‥‥?」


大男1「バカ野郎!仕事の途中だ!どうやら俺達、寝ちまったらしい!」


大男2「寝ちまうって‥‥。そんなミスするはず‥‥」ハッ!


大男1「?」


大男2「ガキは!?」キョロキョロ


大男1「!!」


幼女「‥‥すぅ‥‥すぅ‥‥」


大男1「‥‥居るな。」


大男2「はぁ‥‥良かったぜ。」


大男1「にしてもコイツ‥前より‥」チラッ


大男2「‥‥あぁ、確かに前よりも。」チラッ





大男1・2『なんて幸せそうな寝顔なんだ』



ーーーーー


獏「ふ~ふん♪ふふっふふ~ん♪」トテトテ


獏「今日は~♪いい天気~♪お腹もっ!いっぱい!美味し~いご飯も!食べれて~満足ぅ♪力も~みなぎるぅ♪」ピョーンピョーン


獏「なんだかとってもいい気分♪」ルンルン


獏「あぁあ!ここはなんて素晴らしい森なんだ!美味しいものがいっぱいだ!」キョロキョロ


ビュンッ!


獏「‥‥ん?なにか通っt」ガシッ!


白鬼「よ~ぅ。」ギロッ!


獏 (げ~。鬼じゃん。今日中に帰れっかな)チラッ


白鬼「てめー、ずいぶんとご機嫌じゃねぇか。」ギュー


獏 (なーんでコイツは怒ってんだよ‥‥完全なトバッチリじゃん?)パンパン


白鬼「‥‥暴れんなよ」スッ


獏「プハッ‥‥!もう、なんだって言うんだよいったい。」


白鬼「お前、偏食の獏だな?」


獏「偏食ってーのは心外だなぁ。真の旨みを追求してるだけなんだけど」


白鬼「おおそうか。じゃあ聞くぜ。ここら辺に美味そうな幼子がいたろ?どこに行った。」


獏「?美味そうな幼子?‥‥、つまり人の子ってことかい?」


白鬼「あぁ、そうだ。」


獏「ふはっ!なんだ!冗談を言いに来たのか!うん!いいよ!笑っちゃったよ!」ケラケラ


白鬼「何笑ってんだお前」イラッ


獏「いや、だってこんな夜更けにさ!人の子が森に入ってきたりなんかしないだろ?なのに!君ときたら、ふふふ。必死な顔して言うんだもん!」


白鬼「あーめんどくせー!つまり居たのか!居ねーのかどっちだ!!」


獏「なに怒ってんのさ。居なかったよそんな奴」ハァ…


白鬼「とぼけんなよ?樹神に聞いた場所はここなんだよ。なのにどうだ?居たのはチビじゃなくて、バカみたいにご機嫌な獏ときた。」ギリィ


獏「お、おいおい!待ってくれ!獏は人を喰わないんだよ!あんな不味いもの食えたもんじゃない!!」


白鬼「じゃあチビはどこだ‥‥ッ!」


獏「な、んなこと‥‥知るわけないだろ。美味そうな幼子なんて居なかったんだよ。本当だ。」


白鬼「‥‥くそッ!!」ドン!


獏「も、もういいかい?帰りたいんだけど‥‥」チラッ


白鬼「‥‥勝手にしろ」


獏 (なんだよもー!だから鬼は嫌いなんだ!せっかくの食事の余韻が台無し‥‥だ‥‥?)


獏「‥ねぇ、幼子って言った?」


白鬼「‥‥あぁ。」


獏「美味そうな幼子は居なかったけどさ。すっっごい不味そうな幼子だったら‥‥居たよ」ハァ‥


白鬼「‥‥は?」


獏「あぁ‥‥!そうか。‥‥うん、ソイツの夢の中で確かにアンタを見たよ。」


白鬼「俺を?」


獏「あぁ、親を喰われ、祖母に可哀想だと言われ、死にたい死にたいと嘆き鬼に喰われようとする。最高に美味しい夢だったなぁ」ウットリ


白鬼「ど、どこだ!今、チビはどこにいる!?」ガシッ!


獏「くふふ。大きな男2人に担がれて行ったよ。今頃、山のふもとじゃないかなぁ」


白鬼「!!」ダッ!


獏「行くのかい?」


白鬼「当たり前だ!!そのために俺は今!動いてんだ!!」


獏「くふふっ。やめておいた方がいいよ。人間が死ぬ前に見る夢ほど美味しいものはないんだ。」


獏「君が助けたところでどーせs」


白鬼「黙ってろ!!!さっさと消えな!」ビュン!!


獏「‥‥まったく。これだから鬼は。少しは話を聞いたらどーなんだ」ヤレヤレ


獏「鬼の君が行ったところで、助けたところで。幼子は死ぬよ。あんなに美味しい夢を見てたんだ。これは変わらない。」


獏「それでも‥‥行くなら、勝手にしなよ。君も一緒に死ぬことになるだけだ。」


獏「‥‥‥‥鬼も死ぬ前に見る夢は美味しいのかな。」ウットリ


獏「ま!居ない鬼に言っても仕方ないか!美味しそうなものを見つける旅に、また出ようかなっと!」ピョーン

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