モバP「恋をするたび歳を重ねて」 (154)

P「……」

P「(今この状況が日菜子の妄想か、晶葉の発明か…)」

P「(志希の薬によるものなのか…)」

P「(原因はわからない)」

P「(だけど、はっきりとわかることが一つだけある)」

先生「プロ デューサーくーん!」

P「……」

先生「…デューサーくーん?返事しなさーい?」

P「……」

P「…はい!げんきですっ!」

P「(今の俺が…)」

P「(小学生だということだ…)」

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薫「あははーっ♪でゅーさーくん、おこられたー!」

先生「こらっ。薫ちゃん、茶化さないの!」

薫「うぅ…かおるもおこられちった…」

P「……」

P「(学校の教室…)」

P「(隣の席に座っている薫…)」

P「(俺と薫はクラスメイトってわけだな)」

P「(そして、その事実が教えてくれる現実…)」

P(9歳)「(…今の俺の肉体年齢が9歳だということだ)」

P「……」

P「(えっ?マジでどういうことだこれ?)」

P「(本当に日菜子の妄想オチなのか?)」

P「(過去に戻った…っていうのは違うよな…)」

P「(俺が9歳の時には薫はまだ生まれていないんだから)」

P「(じゃあ現在の話かと言われるとまた矛盾が発生する)」

P「(何故なら薫が俺のことを同級生として認識してるからだ)」

P「(…ダメだ。全くわからん…)」

薫「…つんつん」

P「…むぉ?」

P「(あれこれ考え事してたら薫にほっぺたをつつかれたぞ…)」

P「…薫?」

薫「わっ!?」

P「…えっ?」

P「な、なんで驚いてるんだ?」

薫「んと…だってね~」

薫「でゅーさーくんに、かおるのことかおるって呼ばれるのはじめてなんだもんっ」

薫「だから、びっくり!」

P「あぁ…」

P「(そうか…今の俺は薫のことを薫って呼んでいない設定になってるのか…)」

P「(となると、なんだ?龍崎さん?)」

P「(…違和感が凄いな)」

薫「でも、うれしいなー」

薫「かおる、かおるって呼んでもらうの好きーっ!」

P「そ、そっか」

P「(良かった…薫って呼んでも大丈夫みたいだ)」

先生「こらー。そこの二人、ちゃんと話を聞きなさーい」

薫「しゅん…またおこられちった…」

P「あはは…ごめんなさい…」

薫「…でゅーさーくん、またあとでお話しよーねー☆」

P「……」

P「…うんっ!」

P「(考えてもわからないんだ)」

P「(だったら今俺が取るべき行動は一つ)」

P「(9歳として薫との小学生ライフを満喫しよう!)」

―――――――
―――――
―――

キンコーンカーンコーン…!

P「(放課後だ!)」

P「……」

P「(困ったぞ…)」

P「(俺はどこに帰れば良いんだ…!?)」

薫「でゅーさーくーん!」

P「薫…」

薫「ねっ!一緒にかえろー!!」

P「あ、うん…帰ろうか」

薫「やたー!!」

P「…ねぇ、薫?」

薫「なぁに?」

P「薫は俺の家って知ってるっけ?」

薫「…?」

薫「かおるたちのおうちは、おとなりさんだよ?」

P「……」

P「…そっか!そうだよなー!!」

薫「うんっ!!」

P「(そうか…俺と薫は幼馴染なのか…)」

P「(しかし、なんだな…)」

P「(幼馴染なのに、今日初めて薫のことを薫って呼んだなんて…)」

P「(この世界の俺はとんだシャイボーイだな…)」

薫「…でゅーさーくん、でゅーさーくんっ!」

P「ん?どうしたの?」

薫「えへ~…」

薫「かおる、ひさしぶりにでゅーさーくんと手をつないで帰りたいなー…☆」

P「……」

P「(か、かわいい…!)」

P「…うんっ。そうしようか!」ぎゅっ…

薫「あっ…」

薫「…えっへへー♪」ぎゅっ…!

P「(…俺、もうずっと9歳のままでも良いかもしれない)」

薫「―――らんらら~♪」

薫「ふたりで帰るの楽しいなーっ!」

P「うん。楽しいね」

薫「ねーっ♪」

薫「そうだ!どっかよりみちしてこー!」

P「寄り道?いいのかな?」

薫「へいきだよー!まだお外もあかるいもん!」

P「んー…じゃあお夕飯の時間まで遊ぼうか!」

薫「…!」

薫「うんっ!たっくさんあそぼー!!」

P「どこに行くの?」

薫「んとー…公園がいいなっ!」

P「おっけー!」

薫「―――ばーん!ばーん!!」

P「うおっ!?な、なんだなんだ!?」

薫「けいさつだー!たいほするー!ばーん!」

P「ええっ!?」

薫「けいさつごっこだよー!ばーん!ってされたら、たおれてよー!!」

P「ジャングルジムの上で倒れるのはイヤだな…」

薫「そかー…あぶないもんねー…」

P「うん…あぶないあぶない…」

P「(…けいさつごっこか)」

P「(前に薫に一日署長の仕事をやってもらったことがあるけど…)」

P「(…まぁ、偶然か)」

P「次はなにして遊ぼうか?」

薫「つぎはねー…」

薫「んー…おままごとっ!!」

P「お、おままごと…」

P「(まぁ、9歳ならやっててもおかしく…ないのか…?)」

薫「―――はいっ!たくさんめしあがれー!!」

P「いただきまーす!」

P「んくんく…」

P「…ぷはーっ!」

薫「むーん…おじさんくさーい…」

P「そ、そうかな…?」

P「(ちょっとショックだ…)」

P「んく…ごちそうさまでした!」

薫「おそまつさまでー!」

P「次はどうすればいいのかな?」

薫「ごはんのあとはー…」

薫「…お風呂にしますかー?」

P「なるほど。じゃあお風呂に…」

薫「それともー…」

P「ん?」

薫「…かおるにしますかー?」

P「…ぬおっ!?」

P「か、薫…そんな新婚の定番をどこで覚えたんだ…?」

薫「てーばん?」

P「あ、いやその…」

薫「…どっちー?」

P「……」

P「(9歳とはいえ、薫も女の子だ…)」

P「(恥をかかすわけには…)」

P「(ていうか…)」

P「(俺も9歳だし別に良いよなっ!)」

P「か、薫でおねがいします…」

P「(なにをかしこまってるんだ俺は…)」

薫「……」

薫「…わかった!かおるだねーっ!!」

薫「じゃあ…でゅーさーくん…」

薫「めを、とじてね?」

P「目?」

薫「はやくー」

P「う、うん…」ぱちっ…




薫「…んっ!」ちゅっ…

P「…!」


P「か、薫…」

薫「ふふー…」

薫「ちゅっ!てしちゃったー…♪」

薫「…あのね、でゅーさーくん」

薫「薫ね、でゅーさーくんのことだーいすきっ!」

薫「いっしょにかえろって言ったり…手をつなごって言ったり…」

薫「よりみちしてこって言ったのも、でゅーさーくんがだいすきでいっしょにいたかったから!」

P「薫…」

P「(9歳の大好きなんて子供の愛情表現としか思ってなかったけど…)」

P「(真剣なんだよな…薫にとっては…)

P「(きっと、大人の俺がいつも一緒にいた薫も…)」

P「(俺は…)」

P「ありがとう、薫…」

P「俺も、薫のことが…」

薫「…だけど」

薫「今日はこれで、おしまいっ」

P「…えっ?」

薫「…『またね』でゅーさーくんっ!」

P「ど、どういう意味…」

P「…うっ!?」ズキッ…!

P「(な、なんだ…?頭が割れるように痛っ…)」

P「(意識が…)」

P「か、おる…」

薫「……」

薫「これからもずーっと…」

薫「いっしょにいられたらよかったのになぁ…」

P「―――」

P「…っ!」ガバッ…!

P「……」

P「(ここは…)」

P「(学校の教室…?)」

P「(さっきのは…なんだったんだ…?)」

P「(この世界で見た夢だったのか?)」

P「(だとすれば、俺の隣の席には薫が…)」

雪美「……」

P「……」

雪美「デューサー……起きた…?」

P「(今、俺の身に何が起こっているのかはまるでわからない)」

P「(ただ一つだけわかることがある)」

雪美「先生…もう……来る……起きて…?」

P「(今の俺は雪美と同級生…)」

P(10歳)「(つまり10歳の俺であるということだ…)」

一旦ここまで

週に1回か2回かのスローペースで投下していこうかと思います
気が向いた時に読んでもらえたら嬉しいでごぜーます

雪美「デューサー……昨日…あまり……眠れなかった……?」

P「えっ?」

P「…そうだなぁ」

P「(ぐっすり寝すぎて9歳から10歳に成長してしまったって感じなんだが…)」

P「(10歳の俺がいる、この世界はどうなってるんだろうか?)」

P「(9歳の俺がいた世界線と同じものなのか?)」

P「(だとすれば、幼馴染の薫も存在しているはずなんだが…)」

P「(少なくともこのクラスにはいないよな…)」

雪美「眠れない……よくない……」

雪美「今日は……いっしょに……寝よう……?」

雪美「だっこ…すると……よく…眠れる……」

P「うーん…」

P「俺が雪美をだっこするのか、雪美に俺がだっこされるのか…」

P「そこのところはどう…」

P「……」

P「…えっ?」

P「ゆ、雪美…?」

雪美「……?」

P「いっしょに寝ようって…どこで…?」

雪美「寝室……」

P「その寝室ってどこの…?」

雪美「……」

雪美「…私たちの…家…?」

P「……」

P「(なんてこった…)」

P「(この世界での俺と雪美は10歳にして同棲してるのか…!)」

P「……」

P「(いやいや、そんなわけないだろう)」

P「(大方おままごとをしてて、新婚さんの設定ってオチだろう…)」

ガラッ…!

先生「みんな、おはよう!」

先生「出席をとりまーす!!」

P「(おっ、先生が来たか…)」

雪美「……」

先生「黒川 デューサーくん!」

P「……」

雪美「……」

P「(黒川…かぁ)」

P「(千秋ともいずれは巡り合えるのかな…?)」

先生「…デューサーくーん?返事は?」

雪美「デューサー……呼ばれてる……」

P「……」

P「えっ?俺、黒川?」

先生「寝ぼけているの?まぁ、いいわ…」

P「(そう言われても…俺の本名はプロ デューサーだし…)」

P「(黒川って言ったらそれこそ千秋の顔が…)」

先生「次は…黒川雪美ちゃーん!」

雪美「…元気……です…」

先生「うん、それは良かった!」

P「(そう言えばいつだったか、雪美と千秋が姉妹に見えるなんてこともあったよな…)」

P「(メイドのお仕事の時だったかな?)」

P「……」

P「えっ?雪美も、黒川?」

雪美「……?」

P「俺も黒川…?」

雪美「黒川……デューサー……」

P「雪美は…?」

雪美「……黒川…雪美…」

P「……」

雪美「私…デューサー……魂…繋がってる…」

P「…血縁的な意味で?」

雪美「いとこは…やっぱり……血縁…関係?」

P「血縁関係ではあると思うが…難しいよな…」

P「いとこ同士なら結婚も出来るし」

雪美「…私…デューサーの……お嫁さん……?」

P「うーん…将来のことはまだわからないな…」

雪美「……そっか」

P「ていうか…」

P「(いとこだったのか…)」

P「(てっきり双子の姉か妹かと…)」

―――――――
―――――
―――

キンコーンカーンコーン…!

P「(放課後だ!)」

P「(意外と小学生の算数って覚えてないものだな!)」

P「……」

P「(…元の姿に戻れたら勉強しようかな)」

P「(さて、俺は家に帰らなきゃいけないわけだが…)」

P「(自分の家がどこにあるのか知らん!)」

雪美「……」

P「雪美」

雪美「…?」

P「一緒に帰ろう?」

雪美「……うん」

P「(恐らく一緒に住んでいるって設定だよな?)」

雪美「……」ぎゅっ…

P「……」

P「(そでをぎゅって握ってきたよこの子…)」

P「(なんて可愛らしいんだ、雪美…)」

P「(しかし、名字が黒川ってことはだ…)」

P「(家に帰れば、千秋が待っているってことでほぼ間違いなさそうだ)」

P「……」

P「(千秋と雪美が血の繋がった姉妹ってことで良いのか?)」

P「(そうなると、俺は黒川家に居候している、いとこってなるわけで…)」

P「(『佐城雪美』という女の子はこの世界では存在していないってことになる)」

P「(…だけど)」

雪美「……?」

P「(たとえ『黒川』でも『佐城』でも、雪美は雪美だ)」

P「(これが作られた世界の設定だとしても、それは変わらないだろう)」

P「(未だに、今俺がいる世界がどんな原因で作られたものかはわからないが…)」

P「(雪美のことが大切なのは変わらない)」

P「(だから…俺はこの世界でも彼女の笑顔を…)」

くいっくいっ…

P「ん?」

雪美「……」

雪美「…デューサー……難しい……顔……」

雪美「…私と…いっしょ……つまらない……?」

P「あ…」

P「ご、ごめん雪美…ちょっと考え事しちゃって…」

P「いっしょにいて、つまらないとかそんなこと思ってないよ?」

雪美「…でも」

雪美「私……言葉…苦手……だから…」

P「雪美…」

P「…確かに雪美は喋るのが得意じゃないかもしれないね」

雪美「……うん…ごめん…なさい…」

P「それでも雪美はいつも一生懸命自分の気持ちを伝えようとしてくれている」

P「雪美の優しい気持ちが伝わってとても嬉しいよ」

雪美「…デューサー…」

P「ね?」

雪美「……」

雪美「うん……」

雪美「伝わってるの………わかる…」

雪美「…私も…嬉しい……♪」

雪美「―――お家…着いた……」

P「おぉ…」

P「(流石は黒川家…10歳の姿で見ると豪邸そのものだな…)」

雪美「千秋おねえさん……まだ…帰ってないかも……」

P「……」

P「そうだよな、大学生だし」

P「(やっぱり黒川といえば千秋だったか…)」

P「(千秋は10歳の俺に対して、どんな態度で接してくれるんだろう…)」

「…あら?」

雪美「……あっ…」

P「えっ?」

千秋「二人も今、帰りだったのね」

千秋「待ってて。今、鍵を開けてあげるから」

P「千秋…」

千秋「…あら?」

千秋「デューサー、貴方はいつから姉のことを呼び捨てするようになったのかしら?」

千秋「実の姉弟とはいえ…あまり気分の良いものじゃないわよ?」

P「……」

P「ごめんなさい、お姉ちゃん…」

千秋「はい。許します」

雪美「おねえさん……デューサー…叱らないで…あげて…?」

千秋「雪美さんは優しいわね」

千秋「でもね、親しき仲にも礼儀ありと言って…」

雪美「……なるほど…」

千秋「…ここで立ち話をするのも何ね」

千秋「さぁ、家の中に入りましょう?」

雪美「…うん」

P「……」

P「(俺が千秋と実の姉弟で…)」

P「(いとこの雪美が居候だったのか…)」

千秋「二人とも学校は今日も楽しかった?」

雪美「……うん」

P「う、うん…」

P「(お姉ちゃんっていうか、完全に母親だな…)」

千秋「ふふっ、それはなによりね」

千秋「雪美さんがうちに来てからデューサーも真面目に勉強するようになったみたいだし…」

雪美「…でも……デューサー…朝、寝てた……」

P「え、それは…先生が来る前で…」

千秋「…デューサー?まさか昨日は夜更かしをしていたの?」

P「(夜更かしどころか、夕方の公園からそのまま10歳まで成長してしまったんだが…)」

千秋「それとも夜、眠れないの?」

千秋「それなら今日は私が一緒に寝てあげてもいいわよ?」

P「いや…そういうわけじゃ…」

P「(まぁ、千秋と一緒に寝れるなんて役得でしかないんだけど…)」

雪美「……」ぷくーっ…

P「……」

P「(雪美が見てわかるほど、不機嫌に…)」

雪美「デューサー……一緒に…寝る…約束、してた…」むすっ…

P「え、えーっと…」

P「確かに誘われてたかな…?」

千秋「デューサー…約束を破るのは感心しないわね…」

千秋「女の子にここまで言わせるのは罪深いわよ?」

P「(罪深いって言われても、俺まだ10歳だし…)」

P「(でも、雪美がせっかく好意で誘ってくれてたわけだし…)」

P「…うん。今日は一緒に寝ようか、雪美」

雪美「……!」

雪美「…うんっ」ニコッ

P「(…かわいい)」

千秋「ふふっ、二人とも仲良しね」

雪美「…おねえさんとも……仲良し……」

千秋「あら、嬉しいわね」

雪美「でも……今日は…デューサーと……いっしょ…」

千秋「大丈夫よ、邪魔したりしないわ」

雪美「…安心……」

雪美「……デューサー…」

P「うん?」

雪美「ぎゅって…だっこして……ね?」

雪美「あったかくて……安心……眠れる…」

P「う、うん…」

P「(俺がだっこする側か…)」

千秋「おませさんね…なんだか今度は私が妬いてしまうわ…」

P「(普段なら嬉しい台詞だけど、10歳違いの実の姉弟だからなぁ…)」

雪美「……♪」

千秋「―――さてと、もうこんな時間ね…」

千秋「二人ともそろそろ部屋で休みなさい」

千秋「明日も朝から学校があるんだから」

P「うん、そうするよ」

雪美「……わかった」

P「(しかし驚いたな)」

P「(俺の父親と母親はどんな感じになってるのかと思ったら…)」

P「(まさか千秋と俺と雪美の3人暮らしだったとは…)」

P「(まぁ、千秋はしっかりしてるし任せても平気と言えば平気なんだろうか?)」

P「(とは言っても、千秋の弟になってるって時点で自分の家庭環境にツッコミを入れるのも野暮な話だが…)」

千秋「あ…デューサー、ちょっと良いかしら?」

P「ん?なに、お姉ちゃん」

千秋「…ちょっとね」

P「(…千秋にしては歯切れが悪いな)」

P「雪美、ごめん。先に部屋に行ってて?」

雪美「…うん」とてとて…

千秋「…呼び止めてごめんなさいね」

P「ううん。大丈夫だよ」

千秋「……」

P「…お姉ちゃん?」

千秋「…貴方は、本当にデューサーなの?」

P「…えっ?」

千秋「この家に帰ってきてからの僅かな時間…」

千秋「私の弟であるはずの貴方には何故か大人びた印象を感じた…」

千秋「背伸びしたい年頃だから?」

千秋「だけど何の前触れなく私のことを「千秋」って呼び捨てにしたりするかしら?」

P「…!」

P「そ、それは…」

千秋「……」

千秋「…なんて、困っちゃうわよね」

P「え…?」

千秋「ごめんなさい。私、少し疲れているのかもしれないわ」

千秋「なんだか貴方が遠くなってしまった気がして…」

千秋「それで変な勘ぐりを…」

P「……」

千秋「だけど、これだけは言わせて」

千秋「たとえ貴方が私の知らないデューサーだったとしても…」

千秋「私には大切な弟であり…家族だから…」

P「千秋…お姉ちゃん…」

千秋「…さぁ、もう寝なさい?」

千秋「『また』明日ね…」スタスタ…

P「……」

P「(千秋…)」

P「(朝起きて、目が覚めたら…)」

P「(俺の姉である君と『また』会えるんだろうか…?)」

雪美「……デューサー」

P「…!」

P「雪美…」

P「…迎えにきてくれたのか?」

P「俺も今から部屋に行くところだよ」

雪美「……」

P「…雪美?」

雪美「…やっぱり……大人の…おねえさんの方が……いい…?」

P「えっ?」

雪美「おねえさん……部屋に戻って…」

雪美「デューサー…悲しい顔……してた…」

P「……」

P「(悲しい…か…)」

P「(幼馴染の薫がいたように…)」

P「(いとこの雪美…姉の千秋…)」

P「(二人がいなくなったら…俺は…)」

P「(…いや)」

P「(俺がいなくなったあとの二人は…)」

雪美「……」

雪美「…デューサー」すっ…

P「え?」




雪美「……」ちゅっ…

P「あ…」



P「…雪美」

雪美「おねえさんとは…結婚……できない…」

雪美「でも…いとこは……結婚…できる、から…」

雪美「だから……」

雪美「もっと…私、見て……?」

P「……」

P「(何故なんだろう)」

P「(9歳の俺は薫に対して恋心を抱いたはずなのに)」

P「(10歳になった今、目の前の少女が愛おしくてたまらない)」

P「(だったら今の俺が出来ることは…)」

P「……ぐっ!?」ズキッ…!

P「(ま、また…あの時と同じ痛み…?)」

P「(視界が…ぼやけ…て…)」

雪美「……」

雪美「……安心…して…」

雪美「私たち…繋がってる……」

雪美「『また』……巡り合える、から…」

P「―――」

P「…っ、うぅ」むくっ…

P「……」

P「(学校の教室…)」

P「(…まさかな)」

P「(そうなると今の俺は…)」

P「(じゃあ、もう雪美も千秋も…?)」

P「(…なんなんだよ、これは)」

P「(夢の中で、また違う夢を見せられている感覚だ…)」

P「(…そうだ、隣の席)」

P「……」

P「(誰もいない…?)」

先生「遊佐さーん?…お休みかしら?」

先生「連絡は何も来てないけど…」

P「(遊佐ってことは……今度はこずえか…)」

P「……」

P(11歳)「(…いないってどうすればいいんだ!?)」

一旦ここまで

宣言通りの週1ペースで申し訳ない
とりあえず何歳まで書くかは未定ですがエタらないように頑張るでごぜーます

P「(こずえが学校を休んでいるってなると、これからどう行動して良いかもわからないぞ…)」

P「……」

P「(…いや)」

P「(逆に知った顔が今ここにいないっていうのは良い機会かもしれないな…)」

P「(…今までの出来事や、今現在の状況について冷静に分析をしてみよう)」

P「(まず、俺はふと気がついたら9歳の小学生になっていた)」

P「(考えられる原因はなにか?)」

P「(敏腕プロデューサー、プロ デューサーは黄緑の組織にスタドリを飲まされ小さくされてしまった?)」

P「(見た目は子ども、課金額は大人…)」

P「(迷探偵困難くん!)」

P「……」

P「(小さくなってしまった原因は後々考えよう…)」

P「(さて、今の時系列はどうなっているのだろうか?)」

P「(薫や雪美の時には確認はしなかったが…)」

P「(カレンダー…この席から見えるか…?)」

P「……」

P「(2016年…)」

P「(本来の俺がいた世界と同じ時系列…)」

P「(これで今の俺が過去に戻っているという線が無くなったわけだが…)」

P「(薫や雪美の時も2016年だったのか?)」

P「(まぁ、これに関しては12歳になればわかることだが…)」

P「(同じ時系列だとして、何故薫は俺のことを同級生と認識していた?)」

P「(雪美と俺は何故いとこという関係だったのか?)」

P「(そもそも…)」

P「(俺はどうやって歳を重ねているんだ?)」

P「(歳を重ねる条件…)」

P「(今までの2回…俺は頭痛に襲われ意識を失って…)」

P「(そして気がつくと歳を重ねていた…)」

P「(頭痛に襲われる直前の俺…)」

P「(女の子からキスをされて…)」

P「(それからすぐ…)」

P「……」

P「(つまり俺が11歳から12歳へと成長する為には)」

P「(こずえにキスをしてもらわなきゃならない…)」

P「(そういうことになるのだろうか?)」

P「(キスをされたら歳を重ねるという仕組みは全く理解出来ないが…)」

P「(この世界が作り出された原因を突き止めることは現状は不可能に近い)」

P「(ならば、歳を重ね続けていくしかない)」

P「(元の年齢に戻ったと同時に、この世界からも抜け出せるかもしれない)」

P「(俺の知らない信頼関係が出来上がった世界じゃなく…)」

P「(アイドルとプロデューサーとして…)」

P「(仲間としての信頼関係を築きあげていたあの世界に戻るために…)」

P「(さて、そうなると俺はこずえにキスをしてもらう為に行動をしなきゃいけないのだが…)」

先生「遊佐さんの家には、後で連絡をしなくちゃね…」

P「(肝心のこずえがいない)」

P「(学校を休んでいるとかだったら後で家の住所を担任に聞いて、お見舞いに行くという手もあるが…)」

P「(けど、親御さんから連絡が入っていないっていうのは少し引っかかるな…)」

P「(この世界でのこずえの家庭環境がどうなっているのかは知らないが…)」

P「(案外家を出てから、どっかで道草をくってるっていうのも無きにしも非ずじゃないか?)」

P「(こずえは…ふわふわしてるからな…)」

P「(とはいえ、道草をくっていたとしても居場所の検討なんてつかないんだが…)」

P「……」

P「(待てよ?)」

P「(朝一番ってことは、こずえはまだおねむの状態じゃないのか?)」

P「(それを考えると、今の俺でも行ける場所が一つだけあるな…)」

P「…あの、先生?」

先生「ん?どうしたの、デューサーくん?」

P「その…」

P「…僕、ちょっと気分が悪くて」

P「―――しつれいしまーす…」ガラッ…

P「……」

P「(…誰もいないのかな?)」

P「(しかし…)」

P「(保健室っていうのは、いつの時代でも1階にあるもんだな)」

P「(まぁ、怪我した足で階段を上がれっていうのも酷な話だが)」

P「(さて…もしかしたらとは思ったんだが…)」

P「(そう上手いこと物事は進んだりは…)」

こずえ「……」

P「……」

こずえ「………すぅ…」

P「(こずえが保健室のベッドで気持ちよさそうに寝ている…)」

P「(…とりあえず、頭を撫でておくか)」ナデナデ…

こずえ「…んぅ…?」

こずえ「……ふわぁ?」

P「(あ…起こしちゃったか…)」

こずえ「……あなたは、だぁれぇー?」

P「えっと…起こしてごめん」

P「俺は、君と同じクラスのプロ デューサーだよ」

こずえ「でゅーさー?」

こずえ「…おんなじ、くらすなのー?」

P「おんなじクラスで、席はお隣さんだよ」

こずえ「…ふぅん」

P「……」

P「(…クラスメイトである以上、知った仲ではあるはずなんだが)」

P「(こずえの反応だけだと、今現在どれぐらいの信頼関係があるのか把握出来ないな…)」

こずえ「んー…」

こずえ「でゅーさー…」

P「ん?どうした?」

こずえ「あのねー…こずえ、おねむーで…えっとぉー」

こずえ「きょうしつ、いかないのぉー…」

P「…行かないのかー」

こずえ「でゅーさーも…こずえと…おねんね…するぅ…?」

P「悪いお誘いでは無いんだけどなー」

P「俺はおねんねする前に、こずえと仲良くなりたいな」

こずえ「なかよくー…?」

こずえ「こずえ…でゅーさー…おともだち…なのー?」

P「お友達になりに、こうしてこずえに会いに来たんだよ」

こずえ「……」

P「……」

P「(…なんだこの沈黙)」

P「(実はすでに友達以上の関係でしたってオチはないよな…?)」

P「(いくらなんでも11歳で…いや、薫や雪美とキスしたっけ俺…)」

こずえ「……」

こずえ「えへー…」

P「…!」

P「(笑った…!)」

こずえ「こずえ…でゅーさー…すきー…」

P「…!!」

P「(ということは…)」

P「(やっぱり俺とこずえは恋人同士だったのか…!?)」

P「(それならそれで目標のキスをしてもらうことは難しいことではなさそうだが…)」

P「(どういう経緯で恋人同士になったのかというのも重要な気が…)」

こずえ「でゅーさーのおてて…やさしくて…ふわぁー…」

こずえ「すきー…えへー…」

P「……」

こずえ「また…なでてー?なでろー」

P「(さっき頭を撫でた時のことね…)」

P「…こんな風だったかな?」ナデナデ…

こずえ「…んー」

こずえ「……えへ」

P「(…少しはにかんでるのがかわいいな)」

こずえ「あのねー…?」

P「うん?」

こずえ「こずえ…おねむに、なってー…」

こずえ「ふかふかの…ほけんしつ、きて…んー…」

こずえ「おねんね…してたのー…」

P「うん、そうじゃないかなって思ったよ」

こずえ「…しってたのー?」

P「……」

P「…知ってたよ」

P「こずえのことを、ずっと見てきたから」

こずえ「…そうなのぉー?」

P「(とらえどころのない、ふわふわした不思議な子だけど…)」

P「(こずえは子供らしい素直さと可愛らしさを兼ねた最高のアイドルだ)」

P「(俺は元の世界に戻って、この子をもっと輝かせないといけないんだ)」

P「(だから…)」

P「こずえ」

こずえ「なぁーにー?」

P「俺にキスしてくれないか?」

こずえ「…きすぅ?」

P「うん」

P「こういうことってお願いすることじゃないと思うんだけどさ…」

P「でも…きっと俺にはそれが必要で…」

こずえ「……」

P「……」

P「(う…だ、ダメか…?)」

こずえ「…きすってぇー」

こずえ「ちゅー?」

P「そ、そう!ちゅーのことだな!」

こずえ「こずえ…ちゅーするよー…」

P「…!」

P「い、良いのか?」

こずえ「こずえ…でゅーさーと…おともだち…えへー…」

P「…こずえ」

P「ありがとう…」

こずえ「こずえもー…」スッ…



こずえ「なでなでしてくれて…ありがとぉー…」ちゅっ…

P「(こずえ…)」






こずえ「…ふわぁ」

こずえ「…でゅーさー?」

P「ん、どうした?」

こずえ「こんどは…こずえと…たくさんあそぼ?」

こずえ「こずえ…でゅーさー…すきー…」

こずえ「ずっと…いっしょ…だよぉ?」

P「……」

P「あぁ、ずっといっしょだ」

P「だって、俺もこずえのことが…」

P「……っ!!」ズキッ…!

P「(ここでタイムリミットか…)」

P「(伝えたいことは、元の世界に帰ってから…)」

P「(しっかり…伝えろ…って、こと…か…)」

こずえ「……」

こずえ「すきー…すきなのー…」

こずえ「だからー…」

こずえ「こずえのものだよー…?」

P「―――」

P「…う、ぐ…」むくっ…

P「……」

P「(さて…)」

P「(またまた小学校の教室なわけだが…)」

P「(この景色も今回が最後だろう…)」

P「……」

P「(その先が中学、高校って考えるとまだまだ仮初の学生生活は終わりそうもないけどな…)」

晴「よぉ、デューサー。朝から気持ちよさそうに寝てんなー」

晴「早くに来て、寝てるぐらいだったらサッカーにでも付き合えっての」

P「晴…」

P「なるほど…お前が小学生編のラスボスか…」

晴「…わりとマジでなに言ってんだお前」

P「(晴…確かに今までの3人と比べるとキスするのは骨が折れそうだが…)」

P「…あれ?」

晴「今度はなんだよ?」

P「お前、なんで俺の前の席なんだ?」

晴「…ダメだコイツ、完全に寝ぼけてやがる」

P「(じゃあ、俺の隣の席は…?)」

ありす「……」

P「……」

P「(なるほど、ありすか)」

P「(俺との関係性が出会った頃そのままだったら確かにラスボス級だな…)」

P「……」

P「(まさかこれって…)」

P(12歳)「(二人同時にキスしてもらえってことか!?)」

一旦ここまで

酉が変わっていますが>>1です
今回も1週間の間隔でしたが次回は月曜更新を夢見て頑張ります

P「(もしも二人から同時にキスしてもらうっていうのが条件となると…)」

P「(まず晴とありすがその状況を認めるという土台を作らなきゃいけないわけだが…)」

P「(…そもそもだ)」

P「(この世界での俺に対しての晴とありすの親愛度はいかほどなものなのか?)」

晴「朝飯は食ったのか、デューサー?」

晴「朝飯食わねえと、頭の回転が鈍るってオヤジがよく言ってるけど……それか?」

P「(…晴からは、わりと友好的な印象を受けるな)」

P「(元々が男子とサッカーしているのが楽しいって子だからな)」

P「(少なくとも、さっきサッカーに付き合え的なこと言われたことを考えると嫌われてはいなさそうだ)」

P「(問題は…)」

ありす「……」

P「(この子だ…)」

P「(俺がこうして見てても、全くの無関心だよ…)」

P「(ありすか…)」

P「(初めて出会った時は、大人びていて…)」

P「(同時に冷たさを感じる子だったな…)」

P「(だけど、それは本来のありすの姿では無く…)」

P「(自身の名前に悩んで、苦しんでしまった結果に生み出された偽りの姿だった)」

P「(今では歳相応に、物事に対して一喜一憂して…)」

P「(小学生としてもアイドルとしても、可愛らしい自然な表情を見せるようになった)」

ありす「……」

P「(…今、俺の目の前にいるありすが)」

P「(少しでも自分らしさを取り戻したありすだったら良いんだが…)」

P「……」

P「(…まぁ)」

P「(初めて出会った頃のありすならありすで…)」

P「(この世界でも俺が導いてやらないとな)」

P「(とにもかくにも、まずは会話を試みてみないことには何もわからない)」

P「(とりあえず…名字で呼んでおくか?)」

P「…なぁ、橘?」

ありす「…!?」

晴「えっ」

P「…えっ?」

P「な、なんで二人ともそんなに驚いてるんだ…?」

ありす「……」ガタッ…!

ありす「…っ!」ダッ…!

P「お、おい!?」

P「……」

P「(なんだ…?)」

P「(もしかして俺、滅茶苦茶ありすに嫌われてるのか…?)」

P「(だとすると、ちょっと死にたくなってくるぞ…)」

晴「…おい、デューサー?」

P「晴…」

P「はは…やっぱ俺寝ぼけてるみたいだ…」

晴「なんだよ?お前ら、ケンカでもしたのか?」

P「…は?」

P「ケンカって…?」

晴「…コホン」

晴「一応オレはな、お前のことも橘のことも友達だと思ってんだ」

晴「その二人がケンカしてるってなると、やっぱ気分よくねーんだよ」

晴「どっちが悪いとか抜きにしてよ、早いとこ謝れよ」

P「……」

P「あのさ、晴…」

晴「なんだよ?」

P「俺と橘って…もしかして凄い仲が良かったりする?」

晴「ほら、それだよ」

P「え?」

晴「オレの前でまで、つまんねー意地張ってんなよな」

晴「いつも通り『ありす』って呼べばいいじゃねーか」

P「……」

P「ええっ!?」

P「え、なに?俺と…ありすって同級生でもそんな仲なの?」

晴「同級生でもって…なんか日本語変じゃね?」

晴「…一応特別な仲、って言っていいんじゃねーの?」

晴「デューサーだけだろ、橘のこと『ありす』って呼んでんの」

晴「他の奴に『ありす』って呼ばれるの、アイツ嫌がるじゃん」

晴「オレは、まぁ…呼んでも良いと言われたことあるけど、ずっと名字で呼んできたしな…」

P「……」

晴「さっきの橘の顔、見たか?」

晴「お前に『橘』って呼ばれた瞬間、すげー悲しそうな顔してたぞ?」

P「……」

晴「オレはな、別に怒ってるわけじゃねーんだ」

晴「けどよ、カッコわりーぜ。今のデューサー」

晴「それが言いたいわけだ」

P「……」

晴「…オイ?聞いてんのか?」

P「…ありすうぅぅぅぅぅぅぅっ!!!」ダッ…!!

晴「うおっ!?お、おい!?」

晴「……」

晴「…やっぱ寝ぼけてんだな、アイツ」

ありす「―――っ、はぁ…はぁっ…!」

ありす「……」

ありす「…バカ」

P「…ありすっ!!」

ありす「…!!」

P「…良かった」

P「真面目なお前のことだから、学校の敷地からは出ていないと思ったよ…」

ありす「…デューサーくん」

ありす「……」

ありす「何しに、来たの…?」

ありす「晴さんと楽しくお喋りしてたんじゃなかったの…?」

P「何しにって…そんなの決まってるだろ」

P「ありすに謝りに来たんだよ」

ありす「…!」

ありす「…なんで」

P「えっ?」

ありす「今は『ありす』って呼んでくれてるのに…」

ありす「さっきは『橘』って…」

P「…あー」

P「その…ごめん…」

ありす「ごめん、じゃわからない…!」

ありす「…私の名前」

ありす「デューサーくんが呼んでくれるから好きになれたのに…」

ありす「あなたが呼ぶ『ありす』は他の人が呼ぶ時と違うから…」

ありす「なのに…」

P「……」

P「(この世界の俺、優秀過ぎるだろ…!)」

P「(そして、本当にごめんありす…!)」

P「その…信じてもらえないと思うんだけどさ…」

P「俺、ちょっと寝ぼけててさ…」

P「(本当はこの世界のありすとの距離感がわからなかっただけだけど…)」

ありす「…寝ぼけていた?」

ありす「結城さんのことは『晴』って呼んでいたのに…」

P「それはまぁ…晴は晴だし…」

P「ていうか、ちゃっかり聞いてたんだな?」

P「なんか無関心って感じだったけど…」

ありす「……」

ありす「…だって」

ありす「私のことそっちのけで、二人で仲良くしてるんだもん…」

P「……」

P「(ジェラシーで不機嫌だったってことか…?)」

P「……」

P「(か、かわいいぞ、ありす…!!)」

P「そっちのけって言っても、晴とも仲良いんだし普通に会話に入ってくれば…」

ありす「…バカっ」

P「え?」

ありす「……」

ありす「…隣の席同士で」

ありす「ふたりっきりが良かったんだもん…」

P「あ、ありす…!」

P「(俺はなんて馬鹿なんだ…)」

P「(この世界のありすはこんなにも俺のことを想っていてくれていたというのに…)」

P「(同級生の男子という立場で、どうやってここまで親愛度を上げたのかというのは気になるところだが…)」

P「(確信した)」

P「(俺とありすはこの世界では、恋人同士ということなんだ!)」

P「(となれば、キスをしてもらうのも難しいことでは…)」

P「……」

P「(さて…)」

P「(この状態から、どうやって晴をもってくればいいのか…)」

ありす「……」

ありす「…デューサーくん」

P「ど、どうした?」

ありす「その…ごめんなさい…」

ありす「私、ワガママ言ってしまって…」

P「え?な、なにが?」

ありす「だって…あなただって私以外の人との付き合いも大事にしたいはずなのに…」

ありす「それなのに私は、勝手にヤキモチ妬いて、不機嫌になって…」

ありす「バカなのは…たぶん私の方…」

P「……」

P「ありす」

ありす「……」

P「ごめんな」

ありす「…え?」

P「まずは『橘』って呼んたことを謝らせてくれ」

P「ありすが俺のことを信頼してくれているから…」

P「俺はありすのことを『ありす』って呼べていたのに…」

P「その信頼を裏切るような真似をして、本当にごめん」

ありす「それは…私も訳を聞かないままにその場から離れちゃったし…」

P「それと同時に」

P「ありすに色々考えさせちゃって、ごめんな」

P「俺のせいで不快な気分になって、自分を責めたり…」

P「男の子が女の子に、そんなこと思いをさせちゃいけないのにな…」

ありす「デューサーくん…」

ありす「……」

ありす「…私は」

ありす「あなたがそう思ってくれるだけで…うれしいの」

ありす「他の同級生の男の子とは違う…」

ありす「あなたは、私にとっては特別なの…」スッ…




ありす「…大好き」チュッ…

P「っ…!」



ありす「あ、ご、ごめんなさい…!」

ありす「…イヤ、だった?」

P「あ、ち、違う違うっ!」

P「…嬉しかったよ」

ありす「…本当?」

P「もちろん」

ありす「……」

ありす「…良かった」

P「……」

P「(ありすにキスされたのは良いんだが…)」

P「(これは…どうなるんだ…?)」

P「(晴の方はまだ…)」

P「(…いや、よく考えてみよう)」

P「(雪美の時は、雪美以外に千秋がいたのにも関わらず千秋とはキスをせずに歳をとった…)」

P「(つまりその世界のメインの子とだけキスをすれば、次に進めるというシステム…)」

P「(だから今回の12歳の世界でのメインはありすで、晴はただクラスメイトの友人というポジションってだけで…)」

P「(キスしてもらう必要は全く無いんじゃないか?)」

P「(そうだよ。そう考えるのが普通だよ)」

P「(二人が同時に出てきた時は混乱して、二人から同時にキスしてもらうなんて発想が出てきたけど…)」

P「(いくらなんでもそれは無茶苦茶だよなぁ、うん)」

P「……うぐっ!?」ズキッ…!

P「(そんなこと、考えてるうちに…いつもの頭痛が…!)」

P「(やっぱり、これで…良かった、んだな…)」

P「(次に、目が…覚めた、ら…)」

P「(中学生…か…)」

ありす「……」

ありす「人付き合いって…」

ありす「思い通りには…」

ありす「いかないもの、ですよ?」

P「―――」

P「…ん、むぅ」むくっ…

P「……」

P「(学校の教室…)」

P「(つまり…)」

P「(俺も今日から中学生だ!)」

P「(だが、何かがおかしい…)」

P「(俺は制服じゃなくて、私服を着ている…)」

P「(俺だけじゃなく周りのみんなもだ…)」

P「(さらに…)」

ありす「……」

P「(俺の前の席にはありすがいる…)」

晴「よお、デューサー。朝からグッスリだな、お前は」

P「(隣の席には、晴…)」

P「(二人とも、もちろん制服じゃなく私服だ)」

P「……」

P(12歳)「(…これ、ループしてないか!?)」

一旦ここまで

遅くなって申し訳ない
スローペースでも完結はさせる気あるので気長にお付き合い願います

次回が小学生編最後の予定です
一応高校生編までは続けようかと思っています

晴「ったく…」

晴「朝早くから来て寝てるぐらいなら、サッカー付き合えっていつも言ってんだろ?」

P「……」

P「(間違いない…)」

P「(ここは小学校の教室…)」

P「(完全に12歳をループしている…)」

P「(ってことは、やっぱり次に進むための条件が揃って無かったからか…?)」

P「……」

P「(…いや)」

P「(前回までの景色とは少し違う…)」

晴「…?」

晴「んだよ、ボケっとして…」

晴「まだ頭は夢の中か?」

P「(前回は隣の席がありすだったのに…)」

P「(今回は晴になってる)」

P「(席が入れ替わったっていうことはだ)」

P「(二人から同時にキスしてもらう必要があるってわけじゃなくて…)」

P「(一人ずつで良いから二人にキスしてもらえってわけか!)」

P「(なるほど、それなら話は早い)」

P「(早いんだが…)」

晴「寝るならよー、家でグッスリ寝てこいよな」

晴「時間がもったいねーぜ」

晴「まぁ、オレも授業中は寝てたりすっから人のこと言えねーけど…」

P「(晴からキスをしてもらうのって、相当難しい気がする)」

P「(ありすの時は既にありすが俺のこと好きだったからスムーズにキス出来たけど…)」

P「(…そうだ、ありす)」

P「(晴がメインになった今の世界で、ありすの俺に対しての親愛度はどれぐらいのものなんだ?)」

ありす「……」

P「……」

P「(わからん…)」

P「…なぁ、晴」

晴「な、なんだよ…急に小声で…」

晴「オレまで釣られて小声になっちまったじゃねーか…」

P「俺と…ありすのことなんだけどさ」

晴「橘?」

P「俺とありすの仲って、お前の目から見てどうだ?」

晴「どうだって…」

晴「お前らって付き合ってんじゃねーの?」

晴「ま、何をもって付き合うっていうのかオレにはわかんねーけど…」

P「…そうか」

P「(つまり晴がメインの世界でも俺とありすは恋人同然ってわけだ…)」

晴「それがどうしたんだよ?ノロケか?」

P「……」

P「(それってやばくないか!?)」

P「(俺は恋人同然のありすって子がいながら…)」

P「(晴からキスをしてもらおうとしている…)」

P「(小学6年生ってわけだ…)」

P「(しかも晴も、俺とありすが恋人同然っていう認識でいる…)」

P「(ここからどうやって晴からキスしてもらうってシチュエーションにもっていけば良いんだ…?)」

晴「実際どーなんだ、橘?」

ありす「…え、えっ!?」

晴「澄ました顔してたけど、聞き耳立ててたのバレバレだぞお前」

ありす「あ、あぅ…」

晴「はぁー…別に橘からデューサーのこと取ったりしねーって」

晴「だからオレとデューサーが話してるだけで不機嫌になったりすんなよな」

晴「オレはお前もデューサーのことも友達だって思ってんだからさ」

ありす「そ、そんなんじゃ…」

晴「ホントは?」

ありす「…ごめんなさい」

晴「よし、許す」

P「(晴からは友人宣言、ありすはジェラシーを認める…)」

P「(…これ、無理だろ!?)」

P「(どうする…?もう俺が無理矢理晴の唇を奪いにいくか…?)」

P「(キスさえ出来れば、次の世界へと進むことが出来るわけだし…)」

P「……」

P「(それ無理!)」

P「(俺の方からキスをして条件が満たされるのかわからないうえに…)」

P「(何よりも二人に対する罪悪感が凄いことになりそうだ…!)」

P「(もう諦めて、ありすが恋人のこの世界に留まるか…?)」

P「(そうだよ、友人に晴…恋人にありす…)」

P「(何の不満も無いじゃないか!)」

P「……」

P「(ってわけにもいかねぇ!!)」

P「(俺は薫や雪美…)」

P「(千秋とこずえにまた会わなきゃいけないんだ…!)」

P「(晴やありすだってそうだ)」

P「(俺はみんなをトップアイドルにする為に元の世界に戻らないと…!)」

?「…なーんて、キミは思ってそうだねー」

P「…えっ?」

?「にゃふふっ♪」

?「あたし、運命に抗おうとするキミの諦めの悪さってイイと思うよー♪」

P「……」

P「(だ、誰…?)」

P「(同級生なんだろうけど…)」

P「(初めて会う子だよな…?)」

P「(でも、見た目といい話し方といい…誰かを思い出させる…)」

晴「よお、志希。めずらしーな、お前が朝から学校にいるの」

ありす「一ノ瀬さん…おはようございます」

?「おお、はるちんにありすちゃん!おはよ~♪」

晴「誰がはるちんだ」

ありす「橘って呼んでください」

P「(一ノ瀬志希ちゃんか…この子もすぐにでもアイドルになれそうな可愛さだな…)」

P「……」

P「…志希!?」

志希(12歳)「にゃはっ♪」

晴「うおっ!?なんだよ、いきなり大声出して…」

P「志希って…あの一ノ瀬志希…?」

志希「そーそー」

志希「希望を志して、志希ってゆーアノしきにゃん♪」

P「……」

ありす「…デューサーくん?どうしたの?」

ありす「まるで昔の知り合いと突然再会したような反応だけど…」

晴「まー普段、朝から学校来ねーもんな志希って」

晴「仮に来たとしても、すぐどっか行っちまうし」

晴「これで勉強は出来るんだから、ずりーよな」

志希「んー♪はるちん、そんなに褒められると志希ちゃんだって照れちゃうぞ♪」

晴「別に褒めて……まぁ、褒めてるっちゃ褒めてるか…」

志希「素直になれないはるちん…かっわいい~♪」

晴「だからはるちん言うんじゃねーよ!」

P「(どういうことだ、これは…)」

P「(今の世界は12歳の晴とありすがいる世界…)」

P「(それに合わせて俺も12歳になっている…)」

P「(そういう世界のはずなのに…)」

志希「クンカクンカ…いちごの匂い…」

ありす「お弁当箱の匂いを嗅がないでください…」

P「(なんで本来18歳のはずの志希が小学生の姿でここにいるんだ…?)」

志希「…ん~?」

志希「ふふー♪」

志希「キミキミ、色々と聞きたそうな顔してるぞー?」

P「…!」

P「…もしかしてわかってるのか?」

志希「わかってる、か…面白い質問だねー」

晴「…なんの話してんだ、コイツら?」

P「悪いけど、付き合ってもらうぞ?」

志希「りょーかーい♪」

ありす「…!!」ガタッ…!

晴「落ち着け橘、多分そういう意味じゃねーだろ」

P「晴、悪いけど先生には保健室に行ってるって代返しててくれ」

晴「仕方ねーな。あとでジュース奢れよ」

ありす「二人でどこに…!?」

晴「だから落ち着けっての」

志希「―――保健室と見せかけて理科室か~」

志希「キミってば、志希ちゃんの好みがわかってるねー!」

志希「でも、保健室は保健室で結構好きだよ~?」

P「志希の好みはどうだっていい」

志希「あん♪つれないんだからー♪」

P「率直に聞くぞ?」

P「お前は俺が知っている18歳の一ノ瀬志希でいいのか?」

志希「……」

志希「その答えはYES、かなー」

P「…!」

志希「今はワケあって12歳の姿だけど…」

志希「あたしは確かに、キミの知ってる一ノ瀬志希で合ってるよん♪」

P「…そうか」

P「なら次の質問に移らせてもらうぞ」

P「この世界を含めて、俺が今まで体験してきた世界は…」

P「全部お前が作り出したものなのか?」

志希「……」

志希「その質問の答えはねー」

志希「YES…そしてNO、かにゃ♪」

P「…?」

P「どういう意味だ…?」

志希「そのまんまー」

志希「あたしは、キミが体験してる世界の原因の一部でしかないってゆー」

志希「あたし以外にも、本来の記憶をそのままにタイムトラベルしてる子がいるってわけで♪」

P「…!!」

P「一体誰が…いや、知る必要もないか…」

P「志希も原因の一部なんだよな?」

P「なら、今ここで元の世界に戻してもらうぞ」

志希「……」

志希「…それは叶わない願いだね~」

P「どうしてだ?」

P「一体どういう理由があって、俺を小学生まで戻したんだ?」

P「お前の目的は一体なんなんだ…?」

志希「目的?」

志希「それは志希ちゃんも、同級生のキミとちゅっちゅっしてシゲキとときめきを体感したいわけで~♪」

P「…おい、おちょくるなよ」

志希「おちょくってなんか、ナイナイ」

志希「ま、全てが知りたいのなら18歳まで成長してきてよ?」

志希「そこで本来の18歳JKの一ノ瀬志希ちゃんがお相手してア・ゲ・ル♪」

志希「それとも今ここで志希ちゃんがゆーこと聞くように乱暴でもするー?」

志希「できないよねー♪キミってやさしーんだもんっ♪」

P「……」

P「わかったよ…」

P「志希の気まぐれは今に始まったことじゃないからな…」

P「最後まで、付き合ってやるよ」

志希「ふふっ、さっすがー☆」

P「けど、これだけは教えてほしいんだ」

志希「ん~?」

P「俺は元の世界に戻ることは出来るのか?」

志希「……」

志希「戻れるよ」

志希「全てを成し遂げたら…ねっ♪」

P「そうか…」

志希「とりあえずまずは、はるちんとちゅっちゅっしないことには始まらないけどね~♪」

P「んぐ…やっぱりそこは避けて通れないか…」

志希「そんな深刻そうなひょーじょーしなくても、ドントウォーリー!」

志希「こうしてあたしが、キミの前に現れたっていうのは…」

志希「キミの手助けを…しにきたってわけでー♪」

一旦ここまで

今回の投下が小学生編最後だと言ったがあれは嘘だ
次回の投下がまた間が空きそうなんで前編と後編にわけます
しばしお待ちくだせー

誰かロリ志希にゃんの画像ください

P「手助け?」

P「それって…志希が俺と晴の仲を取り持ってくれるって解釈で良いのか?」

志希「ん!そーゆーことなのだー!」

P「…そうなのか」

P「(俺の手助けをするぐらいなら、最初から元の世界に戻してほしいものだが…)」

P「(まぁ、そういうわけにもいかないのか…)」

P「けど、取り持つって言ったって…」

P「俺は、この世界じゃありすと恋人同然で…」

P「晴も…それを認めているんだぞ?」

P「こんな状態から晴が俺にキスをするなんて状況を作れるのか?」

志希「…ふふんっ♪」

志希「やりようはいくらでもあるよー?」

志希「手段さえ…選ばなければねー!」

P「手段を選ばないってお前…」

P「まさか晴を脅迫したりするんじゃ…」

志希「んにゃー…あたしがそんなことするわけないでしょー?」

志希「志希ちゃんはもっとスマートなオンナノコなのだ!」

P「それじゃあ、どうやって…」

志希「つまりねー」

志希「愛ってゆーのは、作り出せるってコト!」

P「…?」

志希「ん~、まだピンとこないみたいだね~」

志希「あたし、これでもケミカルがウリのアイドルなんだけどなぁ~」

P「ケミカル…?」

P「(ケミカルに作られた愛…)」

P「…!」

P「…惚れ薬?」

志希「おっ♪」

志希「ふっふ~♪ご名答~!」

P「それを晴に飲ませて…ってことか」

志希「あとはありすちゃんが見えないとこで、はるちんとちゅっちゅっしちゃえば…」

志希「後腐れもなく、次のステージへ!」

志希「どう?完璧でしょー?」

P「……」

P「(惚れ薬の効果は…いや、これに関しては志希のことだから信用出来るだろう…)」

P「(だけど…)」

P「結局は晴を騙して、ありすの信頼を裏切ることになるんだよな…」

志希「……」

志希「そんなこと考えちゃうわけ?」

P「…!」

P「そんなことって…!」

志希「キミは今までの世界で、違うオンナノコ3人とキスしてきたわけだよ?」

志希「そんなご身分で、裏切りや信頼なんて言葉をよく吐けちゃうねー?」

P「うっ…」

志希「前回はありすちゃんともキスをしたわけだけどさ…」

志希「その時にも以前の3人に悪いって思いながらキスをしたのかなー?」

P「…それは」

P「(確かにありすにキスをされた時には、薫たちのことは頭に無かった…)」

P「(だけど、それは違う世界のことで…)」

P「(この世界での俺はまた違う俺であるから以前の3人に悪いだなんて感情も…)」

志希「……」

志希「どれだけ自分を正当化しようとしたってダメだよ~?」

P「そういうつもりは…」

志希「…もういっこだけ教えてあげるねー」

P「えっ?」

志希「この世界、今までの世界…」

志希「そんな表現をしてきたけどー…」

志希「キミがここまで歩んできた世界は、元の世界を含めて全部同じ世界なんだよ?」

P「なっ…!?」

P「そ、そんなわけがあるか…!」

P「元の世界の俺は、アイドルのプロデューサーで…」

P「9歳の時の俺は薫と幼馴染のプロ デューサーだったし…」

P「10歳の時は千秋の妹の黒川デューサーだったんだぞ!?」

P「今までの世界の俺は全部違う俺だったはずだっ!」

志希「ホントーにそー言い切れる?」

P「…どういう意味だ?」

志希「キミは小学生に戻ってからカレンダーを見てないのかにゃ?」

P「カレンダー…?」

P「(カレンダー…こずえがいた世界で一回だけ確認したことがあるけど…)」

P「…そういえば」

P「この世界の西暦は…今、何年なんだ…?」

志希「……」

志希「キミが薫ちゃんと過ごした9歳の時から…」

志希「ずーっと2016年のままだよ~♪」

P「…!?」

P「それじゃあ…」

P「今のこの世界の西暦も…?」

志希「そう!2016年!!」

志希「キミやあたしは肉体だけタイムトラベルしてるってことー♪」

P「……」

P「(全部…同じ世界だっただと…?)」

P「(じゃあ、12歳になったこの世界でも…)」

P「(俺と過ごした薫たちがいるってことなのか…?)」

P「か、薫たちは…どこにいるんだ…?」

P「それに…元の世界と同じ世界なら…」

P「薫たちは、どうして俺のことを同級生だって認識していたんだ…?」

志希「…それ以上は答えられないにゃー」

志希「とりあえず12歳のキミが出来ることはもう二つに一つ」

志希「はるちんに惚れ薬を飲ませて、そしてキスをしてもらって次に進むか…」

志希「12歳のまま、生きていくか…」

志希「好きな方を選んでいいよー♪」

P「……」

P「俺は…」

P「俺は、元の姿の俺に戻らないといけない」

P「アイドルのプロデューサーである俺に戻って、またあの子たちをプロデュースしないといけないんだ」

P「もちろん志希、お前のこともだ」

P「だから…今は晴のことだけを考えるよ」

志希「……」

志希「ふふー、そっかー♪」

志希「さすがキミは、あたしをなかなか飽きさせないねー!」

志希「ますます18歳に戻った時が楽しみー!」

P「惚れ薬、使わせてもらうぞ」

志希「あい♪」ごそごそ…

P「!?」

P「(い、いきなりスカートの中をまさぐりはじめた…!?)」

志希「はい!コレがお望みのアレだよー!って…」

志希「なんで、お顔が真っ赤なのー?」

志希「アドレナリン絶賛分泌ちゅー?」

P「なんでってお前…」

志希「…あー」

志希「ごめーん!こーゆーときのオンナノコの反応は…」

志希「やんっ!えっちー☆」

志希「…の方が良かったかなー?」

P「まぁ…うん…」

P「恥じらいは持とうな…?志希も女の子なんだし…」

志希「善処しますっ!」

P「まったく…」

P「で、その小瓶に入ってるのが惚れ薬なのか?」

志希「んーん、コレは志希ちゃんの検尿~♪」

P「……」

志希「あん♪ウソウソ~!そんな怖いお顔しないでー!」

P「…惚れ薬で良いんだな?」

志希「うんうん!」

P「(スカートまさぐって検尿とか言われたら信じちゃうだろ…)」

志希「コレの中身をはるちんに飲ませてー…」

志希「キミと目と目が逢う瞬間…はるちんはキミが好きだと気付くのだー!」

P「ふむ…」

P「惚れ薬って早い話が、飲んでから一番最初に見た人を好きになるわけだよな?」

志希「ん。そーなるかなー」

P「それってつまり、俺と晴以外はいないって状況を作った方がスムーズにいくわけだ?」

志希「まーその方がより確実かにゃー」

P「……」

志希「どしたの?」

P「二人っきりの状況を作ったとして、こんな怪しい小瓶の中身なんて飲んでもらえるのだろうか…」

志希「ジュースの中にでも混ぜればいいんじゃない?」

P「……」

志希「……」

P「さすが志希。天才か」

志希「にゃははっ、誰でも思いつくと思うけどなー」

P「となると、あとは場所と時間帯だが…」

P「俺と晴が二人きりになれて、尚且つジュースを飲んでもらえる状況ってどんな時だ…?」

P「最低限ありすの目からは離れないと…」

志希「うーんまー、ありすちゃんはあたしが上手いこと引き離しておいてもいいよー?」

志希「ありすちゃんも、あたしがキミと逢引してるもんだからいろいろと聞きたいことあるだろうしねー」

P「逢引って…まぁ、傍から見ればそう見えるか…」

P「もう授業も始まってる頃だし…」

P「それじゃあ、ありすの方は任せてもいいか?」

志希「んにゃん♪」

志希「あと、時間は放課後の方がいーんじゃない?」

志希「休み時間は校内も人多いし、なかなか二人っきりってのはムズカシーよ?」

P「それもそうか」

P「なら、惚れ薬作戦は放課後に決行だ!」

志希「おー!」

志希「で、放課後までどーする?」

P「どうするっていうのは?」

志希「いやーあたしは教室戻ったら戻ったで、ありすちゃんに質問攻めされそうだしー…」

志希「その状況になるのは放課後まで取っておいた方が、より自然に連れ出せそうだからさー」

P「つまり志希は放課後まで失踪か?」

志希「そーしよーかなー♪」

志希「良かったら付き合う?」

P「…そうだな、それも悪くないな」

志希「おっ!ノリいいねー」

P「本音を言うと授業を受けたくない」

志希「あー、今更小学校の授業を受けてもつまんないよねー」

P「つまんないっていうか、ついていけないんだ…」

志希「…それは大人として、どーなの?」

P「…今は12歳だし」

志希「けど、放課後まで時間あるな~」

志希「志希ちゃん、ありすちゃん惹きつけ作戦忘れてネムネムしちゃいそー…」

P「放課後まで寝るのは構わないけど、作戦に興味は無くさないでくれよ…」

志希「んー…」

志希「こーなったら仕方ない!」

志希「保健室に行って、キミの匂いをベッドの上でハスハスしながら放課後を待つのだー!!」

P「その間、俺はずっと志希にハスハスされてなきゃいけないのか…」

志希「キミもあたしのことずっとハスハスしてていーよ?」

P「……」

志希「……」

志希「…えっち☆」

P「…否定しないよ」

P「(とはいえ、ずっと保健室にいるってわけにもいかないよな…?)」

P「(ありす達や教師に見つからないように上手いこと放課後まで逃げ回るか…)」

P「―――さて」

P「(なんだかんだで放課後を迎えたけど…)」

志希「はふあぁー…♪」

P「(志希が俺の匂いを嗅ぎすぎてラリーン状態だ…)」

P「(ていうか、結局放課後になっても俺と志希以外、保健室に誰も来なかったな…)」

P「(そもそも保健室の先生らしき人もいなかったし…)」

P「(そういう風に設定されてるのか?)」

P「(よくよく考えたら、こずえの時も俺とこずえ以外は誰もいなかったもんな…)」

志希「あふぅーん…♪」

P「……」

P「こら、起きろ志希」ペシペシ…

志希「んみゅ…?」

志希「…おはよ~」

P「おはよう」

P「さぁ、仕事にいくぞ」

志希「ふぇ?」

P「小さな恋愛ドラマのクライマックスだ」

一旦ここまで

今回は中編でってことで…
次回で小学生編は完結させるでごぜーますすいません…

次回は日曜夜か月曜朝にでも

晴「―――おっ?」

ありす「あっ…!」

P「おう、お疲れ」

志希「おっつにゃーん♪」

晴「ランドセルおきっぱだし帰ってはねーと思ったけど…」

晴「まさか1日丸々サボるとは思ってなかったぜ」

P「俺たちが帰ってくるのを待っててくれたのか?」

晴「オレは別にさっさと帰ってもよかったんだが…」

ありす「…今まで二人で何をしていたのか、説明してくれますよね!?」

志希「おおう!ありすちゃん激薬ぷんすか丸だー!」

ありす「橘です!!」

晴「志希はこんなだし、デューサーはなんか頼りねーし…」

晴「一応橘のストッパー役でいた方が良いかなって」

P「…なるほど」

P「まぁでも、志希はあんなノリだけど結構頭も良いし…」

P「最終的には上手いこと、ありすのことをなだめてくれると思うんだが…」

晴「まー、頭が良いのは確かだろうけどよ…」

志希「じゃーありすちゃん!ちょっと志希ちゃんと二人きりで密会しよー!!」

ありす「だから、橘だと…!」

ありす「…まぁ、良いでしょう」

ありす「洗いざらい話してもらいますからね…?」

志希「んじゃ、あとはよろしくねー!」

ありす「デューサーくんからも、あとで色々と聞かせてもらうから…」

ありす「あ、晴さん。また明日」

晴「おー…」

晴「……」

晴「二人で帰っちゃったな、アイツら…」

P「そうだな…」

P「(…流石は志希。それっぽい連れ出し方だ)」

晴「そんじゃ、オレらはオレらで一緒に帰るか?」

P「晴は、まっすぐ帰るのか?」

晴「あん?デューサーはどっか寄るとこあるのか?」

P「いや、たまにはサッカーの練習にでも付き合おうかなって思ってさ」

晴「おっ…」

晴「珍しいじゃん!お前の方から誘ってくれるなんてよ!」

晴「そういう誘いなら断るわけにもいかねーな!」

P「なら決まりだな」

P「どこでやろうか?」

晴「グラウンドでいいだろ?今日はクラブで使ってるとこもねーし」

P「そっか。なら、そうするか」

晴「おうよ!お前とサッカーなんて久々だから楽しみだぜ!」

P「(よし、ここまでは予定通りだ…!)」

P「―――ぜぇ…はぁっ…!」

晴「おいおい、もうバテてきたのか?」

晴「ったく、いつも寝てばっかだから運動不足になるんだよ」

P「こ、こんなはずでは…」

晴「けど、たまにはこうして1対1ってのもイイもんだなー」

晴「なんつーか、熱くなれるっていうか…」

晴「オレもさすがにイイ汗かいてきたぜ…」

P「…!」

P「(仕掛けるなら今か…!)」

P「そ、そういえばさ…」

晴「ん?どした?」

P「晴に後でジュース奢るって約束してたよな、俺」

晴「…あー」

晴「先生への代返のお駄賃か」

晴「よく律儀に覚えてるなーデューサー」

晴「オレが忘れてたぐらいなのに」

P「まぁ、覚えてる覚えてないはいいとしてさ」

P「少しは喉も渇いただろ?ジュースの1本ぐらいは奢るよ」

晴「おお、そうか?なんか悪いなー」

P「なにが良い?」

晴「んー…あんまこだわりはねーけど、スポドリがいーな」

P「スポドリな。じゃあ、買ってくるからちょっと待っててくれよ」

P「(そのスポドリに惚れ薬を入れて飲ませれば…だな)」

晴「ん?自販機まで行くんだろ?オレもついてくよ」

P「……」

P「えっ…?」

P「(は、晴についてこられたら、惚れ薬を仕込みづらくなるんだが…)」

晴「えっ?って…さみしーじゃんか、広いグラウンドで一人ぼっちにさせられんのも」

P「でも、すぐそこだぞ?」

晴「すぐそこでも」

晴「…ていうか、一応オレも女だ」

晴「女を1人すんな!ばーか!」

P「……」

P「(口は悪いのになんかキュンとくるな…)」

晴「ったくよー…」

晴「デモクラシーがねぇって言うのか?」

晴「橘も苦労してるだろうな…」

P「……」

P「(デモクラシーじゃなくて、デリカシーか…?)」

P「(しかし晴がついてくるとなると、商品を取り出すタイミングで仕込むってことになるのか…?)」

P「(いや、いくらなんでも不自然過ぎるな…)」

P「(というより、絶対バレるだろ…)」

晴「……」

晴「なんだよ…オレが一緒だとなんか不都合でもあんのか?」

P「あ、い、いや…!そういうわけじゃ…!」

晴「それとも…」

P「(うっ…勘付かれたか…?)」

晴「ホントはオレとあんまり一緒にいたくねーのか…?」

P「え…?」

晴「やっぱオレと二人きりだと橘に悪いって思っちまうのか?」

晴「橘と付き合ってるならさ、そう思うのが普通かもしれねーけど…」

晴「それで今後オレとお前の友達関係がギクシャクしちゃうのなら…」

晴「オレはその…なんかイヤだな…」

P「晴…」

P「……」

P「ごめんな、晴」

晴「…なんで、あやまるんだよ」

P「晴がそういうに考えたりしてるだなんて、俺ちっとも気がつかなかった」

P「お前のプロデューサー失格だな、俺」

P「だけど、お前のことはいつだって大切に想って…」

晴「…プロデューサーってなんだよ?」

P「…あっ」

P「い、今のはその…うん…友達って意味の方言なんだ…」

晴「…ふーん」

P「…ってことにしておいてくれると嬉しいんだけど」

晴「…ま、オレとお前の関係性じゃ隠し事の1つや2つも出てくるか」

P「ち、違う!そういうつもりじゃ…!」

晴「……」

晴「とは言っても、大切にって部分にウソは無さそうだったな…」

晴「それは、素直に嬉しいよ」

晴「だから…」

晴「オレの隠し事、教えてやるよ…」スッ…

P「…えっ?」




晴「んっ…」ちゅっ…

P「…!!」


晴「…驚いたか?」

P「驚いたかって、お前…」

晴「これが、オレの隠し事だ」

晴「愛だの恋だのなんてオレにはよくわかんねーし…」

晴「お前と橘が付き合ってるならそれでいい」

晴「お前と志希が二人きりでサボってようがどーでもいい」

晴「…とは言ってるもののな」

晴「お前がオレ以外の女子と仲良さそうに喋ってるの見ると、やっぱさみしかったんだ…」

晴「橘と、なんにもかわんねーなオレも…」

P「晴…」

P「(なんてこった…)」

P「(まさか晴が、異性として俺のことが好きで…)」

P「(いつも寂しい思いをしていただなんて考えもしなかった…)」

P「(俺は晴のこと…本当になんにもわかっていないじゃないか…!)」

P「(記憶は違っても…)」

P「(俺が知ってる…晴なのにな…)」

P「…晴、これだけは言わせてくれ」

晴「…なんだよ?」

P「さっきも言ったけど…」

P「俺は、お前のことはいつだって大切に想っていたよ」

晴「……」

晴「そんなこと…今更言われてもな…」

P「それでも、伝えたかった」

晴「そうかよ…」

P「…俺のそばに、来てくれないか?」

晴「ん…?」スッ…

P「…ごめんな」ぎゅっ…

晴「…!!」

晴「……」

晴「ふんっ…」

晴「なにを謝られてるのか、わかんねーよ…」

P「『また』必ず、晴のところに戻ってくるから」

晴「……」

晴「『また』か…」

晴「その時には、オレはもう…」

P「え…?」

晴「デューサー」

晴「勝手なこと言うけど、嬉しかったよ」

晴「惚れ薬なんかに頼らず、お前とキス出来たこと」

P「…!?」

P「は、晴…なんでお前惚れ薬のこと…!?」

P「……うぐっ!?」ズキッ…!

P「ここで…時間…か…!」

志希「ん、タイムオーバー」

P「…!!」

P「志希っ…!!」

志希「たのしいたのしい小学校時代も、ここでおしまいっ」

志希「次に目が覚めたら、中学時代だよー♪」

P「…っ!」

P「志希っ…」

志希「ん~?」

P「お前…惚れ薬のこと…晴に…?」

志希「あー、そのことねー」

志希「まー結論から言っちゃうとねー」

志希「作られた世界の内容なんて、誰しもが確認出来ちゃうってことなんだよー♪」

P「ど、どういう…意味………だ…?」

P「(だ、駄目だ…もう意識が…)」

ありす「……」

P「(あ、ありす…)」




ありす「――さようなら、プロデューサー」

P「…!?」


ありす「……」

晴「…ま、これで一区切りついたわけだ」

志希「そういうことだねー」

志希「演じきった役者はカーテンコールまで消え去るのみだよー☆」

志希「ま、あたしはまだまだ終演まで出番を残してるけどね~」

晴「まぁ、せいぜい頑張れよ」

晴「それじゃあオレらも行くか、橘?」

ありす「……」

晴「橘?」

ありす「『また』…」

ありす「会いたい…」

晴「……」

晴「…そーだな」

晴「いなくなると、さみしいもんだ」

P「―――」

P「…っ、うぅ」むくっ…

P「……」

P「(学生服、か…)」

P「(ということは、中学生になったってことで良いんだな…)」

P「……」

P「(ありす、晴…)」

P「(いや、二人だけじゃない…)」

P「(今まで俺が会ってきたアイドルの子たちは…)」

P「(志希と同じように、みんな俺のことをわかっていたのか…?)」

P「(俺のことを同級生だと認識していたのも演技だったのか…?)」

P「(そうじゃなきゃ、ありすの最後の言葉…)」

『―――さようなら、プロデューサー』

P「……」

P「なんで、『さようなら』なんだよ…」

「なんでだと…思いますか?」

P「えっ…?」

P「――キミは」

ここで中断

次回から中学生編ですが、次の更新出来るのがまたいつになるのかわからないので区切りよく一度完結にします
中学生編を始める時はまた改めてスレを立てるつもりなのでよろしくおねがいします

新スレ立てました
お願いします

モバP「恋をするたび歳を重ねていく」
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