47レスのリレーSS(65)


基本的なルール

・このリレーSSの話は47レス目で完結です

・話の47レス目の最後の一行は完です。それでこのリレーSSは終わりです

・名前欄に話の番号を入れて下さい

・話を進めるレスは一人一日一回まで(感想評価はいくらでもOK)(日付けが変われば連投OK)

・話が分岐してしまった場合は先に投稿した方で話を進める(遅かった方は諦めて下さい)

・ルール違反は無視で(このスレに参加するならルールを守って下さい)

以上、宜しくお願いします


大石内蔵助「殿! 姫が無事にお生まれになりました!」

奥「ほら殿、貴方の娘ですよ」

殿「おおっ! これは目出度い!」

赤魔法使い・緑魔法使い・青魔法使い「「「どうもー魔法の祝福を贈りに来ました!」」」

殿「これは重畳!」

赤魔法使い「先ず私は生まれたばかりのこの姫に魔法の祝福の贈り物として“美”を。この姫は美しくなりますよ」パァー

緑魔法使い「では私が贈る魔法の祝福は凄い“知”を。頭が良くなりますよ」パァー

太刀番小性(姫で美人で頭が良いと凄い高飛車な性格に成りそうだな……)

魔女「ハーハッハッハッ!」

殿「貴様はこの国から追放した魔女! 何しに来た!?」

魔女「私もその生まれたばかりの姫に贈り物しに来たのさ! 真の美人は薄命、よってこの姫は15歳の誕生日に松の廊下で死ぬ! ではさらば!」ドロンッ

殿・奥「「そんな、15歳で死ぬなんて......」」ガクリ

太刀番小性「あ、殿、奥様、お気を確かに」

大石内蔵助「おのれ魔女めっ! 姫を呪ってすぐに消えおって!」

青魔法使い「それでは私がこの姫に贈る祝福は“15歳の誕生日に松の廊下で死ぬけどそれは物理的生物的な本当の真の死ではないです」

大石内蔵助「それは・・・」

青魔法使い「私から申し上げられるのはここまでです」

赤魔法使い・緑魔法使い・青魔法使い「「「我らはここで失礼を!」」」ドロンッ

大石内蔵助「くっ、さすがに教えてはくれぬか。ならば自力でなんとかするのみ!」

大石内蔵助「残りの時間で魔女の理を破って見せる!!」

大石内蔵助「『本当の真の死ではない』という保険はあるが死ぬに違いはないからな」

太刀番小性「微力ながら私もお力となります!」

大石内蔵助「おお、そうか!共に行こうぞ!!」

そして、運命の日、約束の場所へ…


姫「本当に運命は変えられるの?」

??「うん、君が願うならどんな奇跡だって起こせるよ」

姫「じゃあ、私は助かるのね…」

??「それじゃあ、改めて聞くよ。君の願いはなんだい?」

姫『私が死ぬ運命を変えたい』

QB 「契約は完了した、さあこれからが君の新しい運命だ」


太刀番小性「で、筆頭家老、何処へ行くんでしょうか?」

大石内蔵助「うむ、手っ取り早く忍頭や若党や小者とか人数集めて姫に呪いをかけた魔女の居場所を探し出して倒そうかと」

太刀番小性「成程、確かに」

殿「そうか、行くのだな内蔵助よ」

大石内蔵助「あ、殿! 気が付かれましたか!」

殿「うむ、私も姫の為に自分に出来る事をしよう。この国から松という松を一本残らず根こそぎ灰にしよう!」

大石内蔵助「殿!?」

太刀番小性「成程、確かに。姫は15歳の誕生日に松の廊下で死ぬそうですからね」

殿「なのでこの国から松を根絶してくれるわ! あと絵や家の建材に使われている松も焼却だっ!」

大石内蔵助「殿! お止め下さい! この国には防風林としてクロマツなどが道の脇に結構植えられてたりするのですぞ!」

奥「貴方」

太刀番小性「あ、奥様も気が付かれましたか」

殿「おうどうした?」

奥「国に迷惑をかけない様にこの子を松が全く無い場所に閉じ込めて15歳の誕生日が過ぎるまで育てるというのはどうでしょう?」

大石内蔵助「そんな事せずとも済む様にこの筆頭家老が何とかしましょう! 行くぞ小性! 先ずは大広間で姫の誕生を祝ってる宴会へ!」

小保方「スタップ細胞はぁ、ありまぁす!」

彡(゚)(゚)「」

彡(^)(^)「」

大広間

ガヤガヤ・・・・

家臣A「これはめでたい!」

家臣B「嫡子ではないが、めでたい事に変わりないでな」

家臣C「盛り上がってきたところで、かくし芸でも・・・」

「皆の衆!盛り上がっているところすまぬが火急の要件だ!!」バァン!

説明中・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

なんと・・・  御いたわしい・・・・  あの魔女か  くそ!

大石内蔵助「という事情なのだ。そこで皆の意見を聞きたい!」

シーン・・・・・・・・・

大石内蔵助「くっ、誰でm」 「ボクならできるよ」 「!?」

QB「ボクと契約して魔法少女になればどんな願いだってかなうよ!ただし君らはダメだ。少女限定だ」

なんだ・・・あれは  面妖な  物の怪のたぐいか? 

OB「キミらにできることは3つ。姫が成長してから契約するか年頃の娘たちを僕に差し出すか(まあ、姫とも契約するけど)
   このまま決まらない評定を続けるか(まあ、姫とは契約するけど)のどれかだね」

大石内蔵助「この物の怪の流言を信じるべきか?それとも我らだけで解決すべきか>>次の人」

家臣A「致し方ないかと…!だがっ…!姫ではないっ…!そこらの娘っ…!代替でいいならっ…!契約っ…!契約っ…!」

立木文彦『そう、”契約”…!得体の知れぬ物の怪と、得体の知れぬ契約っ…!』

立木文彦『とてもではないが、一国の姫をそんなぞんざいには扱えないっ…!』

立木文彦『ならば当然っ…!差し出すのはどうでもいいものっ…!失っても構わないものっ…!』

大石「うむむぅっ…!ちと心が痛むが…」

家臣B「何を言っているざんすっ…!なら姫を差し出すざんすかっ…殿っ…!」

家臣B「そんな良心の呵責などっ…数秒後には消えているっ…!吹けば飛ぶっ…!ならっ…!」

家臣B「スパッ…!スパッ…!ざんすよっ……!」

大石「そうだな…うむっ…!」

立木文彦『大石、決断っ…!姫可愛さに見知らぬ他人を生贄に捧げる事をっ…!』

大石(それに契約しても死ぬとか…借金だとか…何も言われてない…)
大石(そう、ひょっとしたら、何も、)

立木『そんなワケはない。だが大石はそんな己の心の何処かから出たその声を抑え込むっ…!』

大石「ではっ…適当な娘を連れてくる役目を…カイジ!お前に任すっ…!」

カイジ「は、ははぁ!」

立木文彦『ここにきて、まさかのカイジ抜擢っ…!』


大石内蔵助「…カイジ! 姫は魔法の祝福で“美”と“知”を授かった…! 将来は頭の良い美人になるぞ…!」

カイジ「……!!」

家臣A(筆頭家老…! カイジのやる気を引き出そうと…!)

荒子「姫で美人で頭良いって、育て方間違うと凄い高飛車な性格になりそうですね」

カイジ「……!!」

家臣C(カイジのやる気が…!)

太刀番小性「おいおい、そういう事は心の中では思っていても声に出しちゃ駄目じゃないか」

大石内蔵助「という事はお前も心の中ではそう思っていたのか?」

太刀番小性「あ、えっと……」

小者「筆頭家老殿、今夜は無礼講ですよ」

家臣B(もう空気はお通夜ざんすよっ…!)

大石内蔵助「ではカイジにこの小性とそこの荒子と小者を仲間に加えよう」

小者「巻き込まれた!? く、やっぱ無礼講といっても武士階級が集まっている宴会に武士の家来階級が参加するのは不味かったか…!」

太刀番小性「あの、というか『人数集めて姫に呪いをかけた魔女の居場所を探し出して倒す』って話は…?」

大石内蔵助「あの魔女を探し出す良い方法が出なかったではないか。それとも今はあの魔女を探し出す冴えたやり方を思い付いたのか?」


太刀番小性「魔女を探し出す方法……あの物の怪達に質問すればすぐに分かるのでは?」

QB「え~、君らに教えても僕ら、何も得が無いじゃないか。それじゃ教えられないよ」

OB「そうそう」

荒子「契約して魔法少女になればどんな願いだって叶うんだろ?」

QB「契約して魔法少女になる条件はエントロピーを凌駕する程の願いが必要だよ」

OB「そんな願いでエントロピーを凌駕出来ると思っているのかい?」

小者「エントロピーの凌駕……ならば俺らはダメで少女限定なのに魔法少女になろうというのは立派にエントロピーを凌駕してんじゃね?」

大石内蔵助「成程、ならば私が契約して魔法少女になろう! 願いは姫に呪いをかけた魔女の居場所だ! どうだ!?」

OB「えぇ……」

家臣A「筆頭家老…! 少女限定なのに…! これは立派にエントロピーを凌駕している…! …筈!」

QB「わけがわからないよ」

小者「……男の娘の素養がある者の方がいけるんじゃね?」チラッ

大石内蔵助「成程…!」チラッ

カイジ「……!」チラッ

太刀番小性「え…!?」キョロキョロ


太刀番小性「まさか…! 私が契約して魔法少女になれと…!?」

大石内蔵助「うむ…!」

太刀番小性「無茶ですよ…!」

荒子「面白い…狂気の沙汰ほど面白い…!」

太刀番小性「え…?」

荒子「さあ…漕ぎ出そう…! いわゆる『まとも』から放たれた人生に…! 無論…気持ちは分かる…!」

荒子「誰だって成功したい…! 分かり易い意味での成功…世間的な成功…! 金や地位や名声…権力 称賛……」

荒子「そういうものに憧れる…欲する…! けどよ…ちょっと顧みれば分かる…! それは『人生そのもの』じゃない…!」

荒子「そういうものは全部…飾り…! 人生の飾りに過ぎない…! ただ…やる事…その熱…行為そのものが…生きるって言う事…!」

荒子「実ってヤツだ…! 分かるか…? 成功を目指すな…と言ってるんじゃない…!」

荒子「その成否に囚われ…思い煩い…止まってしまう事…熱を失ってしまう事…これが不味い…! こっちの方が問題だ…!」

荒子「いいじゃないか…! 男なのに魔法少女で…! 熱いなら上等よ…!」

荒子「まるで構わない…! 構わない話だ…! だから…恐れるなっ…! 繰り返す…! 失敗を恐れるなっ…!」

太刀番小性「……私、魔法少女になります…!」

QB「そんな…!? あり得ない…! 魔法少女の素質を示す魔法係数の反応がある…!?」


大石内蔵助「魔法係数?」

OB「魔法係数は魔法少女の素質を示し、その少女が抱える因果の大きさによって決まる」

QB「……その願いは君にとって、魂を差し出すに足る物かい?」

太刀番小性「はい…! 私は魔法少女になり、生まれたばかりの姫に呪いをかけた魔女の居場所を知る事が私の願いです…!」

荒子「倍プッシュだ…!」

太刀番小性「そうですね、追加でえ~と、」

OB「倍プッシュ禁止のカジノとか普通にあるよ」

QB「僕らも倍プッシュは禁止だね」

太刀番小性「そうですか。それじゃ私の願いはさっきので以上です」

QB「分かった、じゃあ契約は成立だね」パァー

QB「はい、これソウルジェム」

OB「姫に呪いをかけた魔女はグンマー帝国のレッドキャッスルマウンテンの山頂に居を構えているよ」

大石内蔵助「何…! グンマー帝国のレッドキャッスルマウンテンの山頂だと…! 厄介な場所に住みおって…!」

太刀番小性「グンマー帝国のレッドキャッスルマウンテンって…?」

家臣A「グンマー帝国の守護霊山だ。グンマー人はグンマーに大規模自然災害が発生しないのはレッドキャッスルマウンテンのおかげだと信仰している、つまりグンマーの聖域だ」


太刀番小性「グンマーの聖域…!」

家臣C「魔女め…! この国から追放された後、グンマー帝国に身を寄せていたのか…!」

太刀番小性「そういえば何で魔女はこの国から追放されたんですか?」

家臣A「…それはな昔、何処からか柿の種を拾って埋めた蟹が居ったのだ」

太刀番小性「え…! 蟹が柿の種を…!?」

家臣A「うむ、そしてその蟹は一生懸命その柿を世話し、芽を出させ、立派に育て、ついに柿の実が成ったのだ」

太刀番小性「はぁ…」

家臣A「そこへ魔女がやって来て… …蟹が育てた柿の木に特大の雷を落として消し飛ばしたのだ」

太刀番小性「な…!」

大石内蔵助「あの時の魔女め…! 奴は、無くなった柿の木の在った場所を見ている蟹を見てゲラゲラゲラと笑っておった…!」

家臣A「更にその蟹を鍋に放り込み火をかけ蟹しゃぶにして食いおったのだ…!」

太刀番小性「非道い…!」

家臣B「……ところでどうするざんす…? 外国に討伐軍を送るのは不味いざんすよ…?」

大石内蔵助「う~む、ここはグンマー帝国に気付かれない様に少数精鋭で行くか…? いや、怪しまれ無さそうな一般人風な者を送り込むか…?」チラッ

カイジ「……!!」


立木『指名…!これは最早名指し…!社会でよくある、上司からの無言の圧力…っ!』

立木『だが、カイジは断る事もできた…!そう、あの大天才、神域の男の口調の、あのアカギっぽい奴に押し付けて逃げてしまう事も出来た…!』

立木『だが…!』

カイジ「いいぜ…!わかった…!俺が、行ってやるよっ…!」

大石「おお、本当かね?助かるよ…!」

立木『カイジ、まさかの快諾…!』

カイジ「ただ、報酬は欲しいっ…!それも前払いだっ…!」

カイジ「命を、重責を担うんだっ…!それくらい、どうって事ねぇだろっ…!」

大石「むう、最もな言い分だが…何を望むっ…?」

カイジ「決まってらぁっ…!俺の、今ある借金っ…!3000両…!俺が払わなきゃいけない金を全額っ…!肩代わりしてくれっ…!」

大石「…いいだろう。但し、前払いは額の半分だけだっ…!逃げられては困るからなっ…!」

カイジ「ありがてぇ…!これでまたギャンブル出来るっ…!」

家臣B(こ、コイツ、クズざんすっ…!大丈夫ざんすか…?コイツで…?)

立木『何はともあれ、カイジ出立…!』

.


立木『そして…! カイジが出立して…! 14年の歳月が経った…!』

大石「奴から何か連絡は来たか…!?」

家臣A「いえ…! 全く来ておりません…! ですが借金取りから奴が6000両の借金を拵えたと連絡が…!」

大石「奴はこの14年間何をやっているのだ…!?」

立木『カイジ…! まさかの借金倍プッシュで音信不通…! 姫が15歳を迎えるのは残りあとわずか…!』

殿「ここはあの計画を実行に移す時だな…!」

家老一同「「「「殿…!?」」」」

殿「この国から松という松を根こそぎにするのだ…! 絵も許さん…! 松の木が使われている建物もだ…! 全て燃やせ…!」

立木『姫を想う殿様…! 非情の決断…! こうしてこの国は全ての松を焼き払う…! 一方その頃グンマー帝国のレッドキャッスルマウンテンの山頂に居を構える魔女は…!』

魔女「お前達! 未だ姫の所在は掴めないのか!?」

黒猫「ニャーニャーニャー」

鴉「カーカーカー」

魔女「何故私が姫を探すのかは、姫を監視し15歳の誕生日に松の廊下で姫が物理的生物的な本当の真に死ぬ現場に居る為さ。分かったらさっさと姫を探しにお行き!」

立木『自分の飼っている小動物達もとい部下達に見付からない姫の捜索にあたらせていた…!』

魔女「フッフッフッ、他人が大切にしているものを奪い取って地面に叩き付けて土足でぐしゃぐしゃに踏み躙るのはとっても楽しい事さ。フッフッフッ、ハーハッハッハッ!」


立木『そして…!』

少女A「あーぁ、防風林のクロマツが無くなっちゃった……」

QB「そうだね」

少女A「? あなた達は誰?」

OB「僕の名前はOB!」

QB「ねぇ、君は防風林が無くなってそこそこ困ってないかい?」

少女A「うん」

OB「あった方が良いなぁと思わない?」

少女A「うん」

QB「どんな願いでも一つだけ叶えてあげるよ」

少女A「ほんと?」

OB「松は駄目だろうけどね」

少女A「それじゃ…」

QB・OB「「……」」


バボボボンッ

立木『突然響き渡る銃声…!』

QB・OB「「――」」グシャッ

立木『肉片と化すQBとOB…!』

少女A「え…?」

立木『呆然とする少女A…!』

「あなた…、エイリアンに関わっては駄目よ」

立木『少女Aに声をかけるごつい銃を持った謎の女性…!』

少女A「貴女は…?」

「……」カチッ ゴオオオオ……

立木『火炎放射機でQBとOBの死体を焼却する謎の女性…!』

少女A「あの…?」

「…私は、通りすがりのシガニー・ウィーバーよ」


立木『その頃、音信不通のカイジは…!』

カイジ「ここは、この地図でいうと何処ですか…?」

グンマー人A「グンマーで一番高い建物があそこにあんな風に見えているから多分この辺」

カイジ「またか…! また大雑把な場所の説明…!」

立木『グンマーあるある…! グンマー人はグンマーで一番高い建物が見えているとそれを目印に移動し、そして道に迷う…!』

カイジ「何故…! 何故迷う…! 地元住民の説明でグンマーで一番高い建物を目印移動してるのに…!」

立木『そりゃそうだ…! 地元住民でさえ道に迷うというのに…!』

カイジ「はぁ…、俺はこのまま一生グンマーで道に迷ったままなのかな…」

オッドボール「ウ~ウォンウォンウォンウォンッ!」

カイジ「…! オッドボールさん…!」

オッドボール「ま~た悲観論か!? 悲観論は聞き飽きたぜ!」

カイジ「でもオッドボールさん…! この状況…! どうしたら…!」

操縦士「他にもこいつの燃料も補給したいですぜ」

カイジ「そうだ…! そいつの燃料費も…!」

オッドボール「また悲観論かよ!?」


オッドボール「悲観論は止めろ! こいつの燃料費だが…、お前が払わなきゃいけない借金全額を国が肩代わりしてくれるんだろ?」

カイジ「ああ…! 出立する時に、俺が払わなきゃいけない金を全額っ…!肩代わりしてくれっ…! と約束した…!」

オッドボール「だったら気にせず楽観的に借金しちまおうぜ」

カイジ(うう…! この人達を仲間にしたのは間違いだったのかもしれない…! この兵器がこんなに燃料費が掛かるなんて…!)

砲手「でも魔女を討伐しないと金もらえないんだろ?」

オッドボール「だから悲観論は止めろ! こいつは2,000mで80mmを撃ち貫ける能力を持っているんだぜ? レッドキャッスルマウンテンに辿り着きゃ1発で魔女を倒せるさ!」

操縦士「だがよ、こいつは燃料食い過ぎなうえ結構な頻度で故障するぜ」

カイジ「うう…! 借金が…!」

オッドボール「だ~か~ら~っ! 悲観論は止めろって!」

立木『カイジは仲間にしたオッドボール達と共にグンマーの路頭を迷っていた…! 一方その頃、国元では…!』

殿「さて、松を焼き払ったから隠して育てていた姫を表に出すとする」

大石内蔵助「殿、それでは…!」

殿「うむ。姫を婚姻させる」

家臣A「確かにこの世界、女性は齢12や13で婚姻するのが当たり前ですからな」

家臣B「20歳近くは行き遅れざんすからね」


大石内蔵助「それで殿、姫のお相手は…?」

殿「それなのだが、姫は魔法の祝福で“美”と“知”を授かった。その姫と釣り合う相手となると並大抵の者では駄目だ」

大石内蔵助「はい…」

殿「そこで、知力・体力・時の運、三拍子揃った者だけが優勝出来る“亜米利加横断宇流虎苦伊図”をやろうと思う」

家臣A「まさか…!? あの伝説の…!?」

家臣B「“亜米利加横断宇流虎苦伊図”ざますか…!?」

殿「そうだ…!」

立木『“亜米利加横断宇流虎苦伊図”とは…! 日本全国から集まった挑戦者達が亜米利加を横断しながら千以上に及ぶ苦伊図に挑戦し優勝を目指すのである…!』

家臣C「成程…! それならば必ずや姫に相応しい者を見い出す事が出来ましょう…!」

殿「うむ…! むっ!?」

大石内蔵助「曲者っ!」バッ

子猫「ウニャッ」

殿「何だ、子猫か……」

―――グンマー帝国レッドキャッスルマウンテン山頂魔女宅―――

魔女「フフフッ、いい情報が入って来たわ…。お前達! “亜米利加横断宇流虎苦伊図”に参加優勝し姫に会って15歳の誕生日に松をプレゼントし呪いを成就させるのよ!」


立木『そして…! “亜米利加横断宇流虎苦伊図”開催の日がやって来た…!』

「これに優勝すれば美人の姫と結婚出来るんだな…!」「オウフwwwいわゆるストレートな状況確認キタコレですねwww」
「俺には夢がある!」「これで姫と結婚出来れば一国一城の主だな」「こ、こんな俺でもゆ、優勝すればび、美人とけ、結婚」
「ブヒヒ、まさか合法的に姫とヤレるチャンスが来るとはな」「ニャーニャーニャー」「カーカーカー」「ウニャッ」「……」

殿「一癖も二癖もありそうな奴らが集まったな…!」

大石内蔵助「殿…! それでは…!」

殿「うむ…! 始めてくれ…!」

大石内蔵助「では…! お前らぁーっ! 姫と結婚したいかあぁーっ!!」

参加者一同『おおーー!!!』

家臣A「それでは早速ルール説明をする。苦伊図で勝ち抜き戦を行い、勝ち抜いた者から次の中間地点に向い、そこでも苦伊図で勝ち抜き戦を行う」

家臣B「ちなみに負けた者はその場でさよならざますよ」

家臣C「そして最終地点に辿り着いた者達で最後の苦伊図を行い、そこでの勝者が優勝者だ」

殿「あと、苦伊図に間違った答えを出した者には…! 厳しい罰芸夢が待っている…!」

ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ…

大石内蔵助「ここ出発地点での苦伊図には罰芸夢はない。次の中間地点から厳しい罰芸夢があるのでそのつもりで」

大石内蔵助「では最初の苦伊図、○×苦伊図を始める…!」


大石内蔵助「では第一問…! “雄弁は銀、沈黙は金”という言葉は、何も語らず黙っているのは、雄弁よりも大切であるという意味である。○か×か…!」

家臣A「この苦伊図の答えが合っていると思ったら地面に○が書かれている方へ、違っていると思ったら×が書かれているの方へ行くのだ…!」

ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ…

「…確かこれ、×だった様な気がする…!」

一同『…!』 ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ…

「沈黙は死を意味してるんだっけカー」

「確かに。外国行って遺体となって帰って来るのを無言の帰国と言うし、返事が無いのはただのしかばね…!」

一同『…!』 ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ…

「そういえば何処かの国では砂金や金塊を国の許可無く取引すると死罪だった。と聞いた様な気がする…!」

一同『…!』 ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ…

「何処かの国といえば、ある昔話で善人のふりした悪党が化けの皮が剥がれたあと言った言葉が“俺は何も語りたくない”でこれが最後の言葉になってたな…!」

「昔話といえば、大きい葛篭と小さい葛篭を選ぶ話だと大きい葛篭を選ぶと死で小さい葛篭を選ぶと幸せになる…!」

一同『…!』 ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ…

「…俺は×へ行っちゃおうかな…!」

一同『…!』 ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ…


「…俺も×へ行くか…!」

一同『…!』 ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ…

(馬鹿め…! この苦伊図の正解は○だ…!)

(みんな他人を騙そうと必死だな…! そして騙された奴も出て来たな…!)

(銀が金より高価になった事は空前にして絶後…! 金の価値は絶対…!)

「……」

(待てよ…? この苦伊図は正解は○だが沈黙こそが真の正解なのでは…?)

(…考えてみれば“雄弁は銀、沈黙は金”で何も語らず黙っているのは雄弁よりも大切が正しいならば苦伊図に答えないのが最も正しいのでは…?)

(…答えは『沈黙』…!)

ゾロ… ゾロ… ゾロ… ゾロ… ゾロ… ゾロ…

大石内蔵助「ふむ…、皆の者、その答えで良いか?」

一同『……』ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ…

大石内蔵助「では発表する……答えは…、○だ」

一同『え…!』ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ… ザワ…

殿「全員、不正解だな」


―――グンマー帝国レッドキャッスルマウンテン山頂魔女宅―――

魔女「人の♪ 心ーから、光をうーばーえー♪ 悪ーどく♪ 悪ーどく♪ どーくーをー撒け~♪」

魔女「この世に呪いをかーけて♪ 地獄とそっくりに~♪ それーがー♪ 生きー甲斐♪ 魔女の生きる道~♪」

トゥルルルル……

魔女「まったく誰かしら? カラオケ楽しんでるところなのに……はい、もしもし魔女です」

魔女「お前達か、首尾はどう? …え? “亜米利加横断宇流虎苦伊図”第一問目で全員不正解? 情けないわね」

魔女「はぁ、とりあえずそうなると姫の居場所を探る手を他に考えなければ……」

トゥルルルル……

魔女「今度は誰かしら? …はい、もしもし魔女です。…え!? 姫を見つけたですって!?」

―――姫の隠れ家―――

奥「貴女ももうすぐ15歳。どうしてここで貴女を育てなければならなかったのか、今までの真実を話し、これからの事を伝えます」

姫「はい、お母様」

侍女「む! 曲者!?」

雁「カリ~」

侍女「なんだ、雁か」


奥「さて、貴女が何故ここで隠されて育てられたかというと、人の幸せを嫌い、人の不幸を楽しむ魔女に呪いをかけられたからです」

姫「呪い、ですか…?」

奥「その呪いは貴女が15歳の誕生日に松の廊下で死ぬというものです。なので国中から松を処分した今、貴女は表へ出る事が出来るのです」

姫「私のために国中から松を…!」

侍女「姫様、悪いのは魔女です」

―――グンマー帝国レッドキャッスルマウンテン山頂魔女宅―――

魔女「良いかお前達、この松をそれぞれ持って姫の誕生日にこっそりと姫に近づくのよ」

黒猫「ニャーニャーニャー」

鴉「カーカーカー」

子猫「ウニャッウニャッウニャッ?」

魔女「確かに姫への呪いは松の廊下で死ぬというもの… …廊下というものは部屋と部屋を繋ぐもので建物と建物を繋ぐものは渡り廊下と呼ばれる」

魔女「建物や庭をぐるりと囲む廊下は回廊と呼ばれる廊下……つまり! この世に部屋や建物が存在する限り全ての空間は廊下と言えなくもない!」

魔女「そこへ松が存在すれば松の廊下と言えなくもなり、呪いの条件が揃い、姫は15歳の若さで死ぬのよ!」

子猫「ウニャ...」

魔女「屁理屈じゃないわ、理屈よ。…ついでにツリーフォークVer.松でも召喚しましょうか。変装させて人っぽく見せれば潜入出来るでしょう」


立木『そして運命の日がやって来た…!』

侍女「姫、あそこに見えるのが目的地の城で御座います」

姫「そう、あれが…!」

立木『姫は隠れ家から城へと向かう…! しかし…!』

雁「カリー」

深編笠の女「あれが姫か…! 美人で頭良さそうね…! さて、…お前達、松は持ったね…!」

黒猫「ニャーニャーニャー」

鴉「カーカーカー」

子猫「ウニャッウニャッウニャッ」

虚無僧?『ツリーフォークマツッ』

深編笠の女「お前達が近づいていればそのうち呪いが発動して姫は死ぬだろうね…! フフフ…!」

立木『その姫の一行を陰に隠れながら覗う怪しい一団…! 一方その頃城では…!』

殿「姫の婚姻相手が決まらない…! もうすぐ姫が帰って来るというのに…! あと松は全てちゃんと処分してあるか…!?」

大石内蔵助「殿、松はしっかりと処分してあります…! それに万が一に備えて見回りもして御座います…!」

殿「…何も起こらなければ良いのだが…!」


立木『一方その頃カイジ達は…!』

オッドボール「ワンワン! お嬢ちゃん達、ちょいとお尋ねするがここは何処なんだ?」

チルノ「ん? 見ない顔ね!」

大妖精「外の世界から来た人達かな? おじさん達何者ですか?」

オッドボール「俺かい? 俺はな、シャーマン戦車1両と十数人の歩兵でタイガー戦車3両と数十人のドイツ兵の部隊と戦い…」

オッドボール「見事シャーマン戦車でタイガー戦車2両を撃破してのけた知る人ぞ知る戦車乗りさ!」

ルーミア「そーなのかー」

操縦士「まぁだけど最近じゃ“シャーマン戦車1両でタイガー戦車に勝つのはあり得ない”とか言われてるけどな」

オッドボール「確かにそうだな…、連合軍戦車900両を犠牲にしてドイツ軍戦車200両撃破して勝利するのが普通だもんな…」

ミスティア「それでおじさん達が乗っているのがそのシャーマン戦車なんですか?」

オッドボール「いや、この戦車はタイガー戦車だ! 距離2,000mで厚さ80mmを撃ち貫ける能力を持った主砲を備えているんだぜ!」

カイジ「で、ここはいったい何処なんだ…!」

リグル「ここは幻想郷だよ」

立木『カイジ達、まさかの幻想入り…!』

大妖精「とりあえず… 外の世界から来たのなら、霊夢さんのところへ行きましょうか」


立木『カイジ達が幻想入りしてる間に城では、ついに姫が入城を果たした…!』

深編笠の女「よし、姫が城に入った。私達も城に潜入するよ。城の中なら廊下だらけだろうからね…!」

見回り「おい、そこの怪しい者達! 何者だ!?」

深編笠の女「…! 私達は怪しい者ではありませんよ? ただの通りすがりの旅の者です」

見回り「そうか、怪しくないならちょっと笠を取って顔を見せてくれるか?」

深編笠の女「……はぁ、こうなったらもう強行突入よ!」バッ

見回り「!! 貴様は指名手配中の魔女っ! スゥ」ピリピリピリピリッ!!!!ピリピリピリピリッ!!!!

深編笠の女改め魔女「今日は姫の15歳の誕生日! 廊下で松があれば呪いで姫は死ぬ! 行くよお前達!」

黒猫「ニャーッ!」
鴉「カーッ!」
子猫「ウニャッ!」
雁「カリーッ!」
虚無僧?改めツリーフォークVer.松「ツリーフォークマツッ!」

見回り「?! 松の木が動いている!?」

―――大石内蔵助side―――

ピリピリピリピリッ!!!!ピリピリピリピリッ!!!!

大石内蔵助「む…! 見回りの呼子笛の音、しかも2度…!」


大石内蔵助「指名手配中の者を見付けたのか…!」

殿「あっちから聞こえてきたな… …!っあれは、松の木!? それが暴れているだと…!?」

大石内蔵助「…! 大至急あの松を叩切って薪にして燃やしてやりますっ! 者ども出会え出会えっ!」

ドタバタドタバタドタバタドタバタ……

―――姫side―――

姫「急に慌ただしくなりましたね…」

侍女「はい… …呼子笛の音が2度聞こえましたからおそらくは」

雁「カリーッ!」バサバサッ!

鴉「カーカーッ!」バサバサッ!

侍女「おや、あれは…? 雁と鴉が共に飛んでいる…」

黒猫「ニャーニャー」

子猫「ウニャウニャ」

奥「あら、かわいい猫達ね。うん? 持っているのは…」

侍女「それは… …いちいの木の枝ですかね? 確か別名をあららぎと言うんでしたっけ」

姫「へぇこれが…! 生まれて初めて見たわ…! 実物はおろか絵でさえ見たことが無かったから…!」


立木『ついに姫は城の廊下で魔女の部下達と出会う…! 呪いは実現してしまうのか…!?』

奥「キェェェェェェアァァァァァァコノネコガァァァァァァ!!!」スシャァッ
黒猫「ニャァッ!!!」サッ
子猫「ウニャッ!!!」サッ
姫「お母様!?」
侍女「奥さま!? いったい…!?」

立木『奇声とともに懐の短刀を抜き放ち猫達に斬りかかる奥さん! その斬撃を躱す猫達…!』

奥「おのれっ! 今日この日にこの場所でぇっ! 娘の前に紫松をぉっ!」シャシャシャシャ……
黒猫「ニャニャニャニャッ」サッサッサッサッ……
子猫「ウニャニャウニャッ」サッサッサッサッ……

姫・侍女「「紫松?」」

立木『イチイは別名アララギ。またの名を紫松という…! 猫達と奥さんの攻防は激しさを増す…! そして…!』

奥「松と名がつくものは実物はおろか絵でさえも処分した! いちい持っている聖徳太子の絵も処分したというのにこの猫がっ!」シュッ
黒猫「ニャアッ!」バッ
奥「! いちいの枝で残撃防ぐとは物の怪の類の猫かっ! このっ!」シャッ
バシッ ヒュッ

立木『黒猫の振ったイチイの枝と奥さんの振った短刀が激突…! その時っ! イチイの枝に付いていたイチイの実が飛ぶっ!』

姫「あ…」パクッ ゴクンッ ウッ バタッ
侍女「姫っ!?」

立木『飛んだイチイの実は姫の口に入り、姫はイチイまたの名を紫松の実を飲み込んでしまい、倒れてしまった…!』


立木『決着はついた…!』

大石内蔵助「うおりゃっ!」ドシュッ

ツリーフォークVer.松「ツリ…フォ…ク…マ…ツ…」バターンッ

殿「良しっ! 暴れ松の木を倒したっ! すぐにこの死体に火をかけ木片一欠片も残さず処分するのだ!」

家臣一同『ハッ!』

魔女『……フッフッフッ…ハーハッハッハハッイーヒッヒッヒヒゲラゲラゲラ…!』

殿「…! あの笑い声は、魔女…!」

魔女『呪いは成就したっ! 姫は死んだっ!』

一同『なっ…!?』

魔女『ハハwww せっかく全ての松を国中から根こそぎ処分し、15年も頑張って育てたのになwww ヒヒwww その努力は全て水泡に帰したっ! あまりにも惨めだなwww』

殿「貴様っ、がっ…! くっ…! そもそも、何故、こんな事、を…!?」

魔女『フフwww 今更www 私は面白くない、楽しくないと思う事はやらないよwww 自分が愉快で楽しくって幸せを感じる事なら労力惜しまず喜んでやるwww 私はね…』

魔女『他人が一生懸命に積み重ねて来たものを破壊し踏み躙って惨めにするのがと~っても楽しいwww そうっ! それが私の生き甲斐っ! だから行動するのさっ!』

殿「ヤロウブッコロシテヤルッ!」シャッ

魔女『呪いの成就を見届けたのでこれにて私はお暇しますwww ではではさらば!』ドロンッ


立木『魔女は去った…!』

殿「おのれぇっ! おのれ魔女めぇ…!」

大石内蔵助「殿! 冷静に! 先ずは姫の安否を確認しましょう!」

侍女「殿様! それに筆頭家老様! 姫が、いちいの実を飲み込んだ後お倒れに!」

一同『なにぃっ!?』

立木『…そして…! 一同は倒れた姫の元へ駆け付け、姫を部屋で寝かせて典医に診せた…!』

殿「典医殿… 姫は…?」

典医「うむ… 死んだ様に見えるがおそらく… 物理的生物的な本当の真の死ではないのではないのではないかと」

大石内蔵助「おお…! それはきっと青魔法使い様の祝福が効いたのだな…! …で、姫は目覚めるのか…?」

典医「それは分かりません」

殿「そうか… ならば軍を起こして魔女がいるグンマー帝国の守護霊山レッドキャッスルマウンテンに攻め込んでやる! そして魔女をぶっ殺してやる…!」

大石内蔵助「殿…! 確かに呪いをかけた張本人を倒せば…!」

立木『一方その頃…!』

カイジ「ここは…!? 俺の国元だ…! 俺は、何も出来ずに帰ってきちまったのか…! 切腹っ…! 切腹ものだぁ…!」

オッドボール「悲観論は辞めろって。せっかく迷子の状態からお前の地元に帰ってこれたんだから。悲観論言ってると本当になっちまうかもよ?」


立木『カイジ達、グンマー帝国から幻想郷を経て帰還…!』

チルノ「へぇ、ここがカイジの故郷なのね!」

大妖精「良いのかな? 私達幻想郷から出てきちゃって…」

リグル「う~ん、ちょっと位だったら平気じゃない…?」

ルーミア「そーなのかー」

操縦士「まったく勝手に付いてきて… お前らは気楽でいいな… こっちは大事な使命を果たせてない、報酬も定かでない、お先真っ暗だぜ」

ミスティア「なら焼きヤツメウナギでも食べます? 目に良いですよ♪」

カイジ「俺は…! 何て言えば…!」

オッドボール「もう素直にありのままを正直に言っちまえば?」

見回り「おや? 凄い戦車がやって来たな… あ、そこに居るのはカイジじゃないかっ! お前今まで何やってた!?」

カイジ「…あ、え、と…! …筆頭家老殿に、申し上げたき儀があるっ…! 筆頭家老殿に会わせてくれ…! そこで報告する…!」

見回り「あ、ああ…! 分かった…!」

立木『そしてカイジ、大石内蔵助達に面会する…!』

大石内蔵助「カイジ…! この15年間…! お前は何をしていた…!?」

カイジ「はっ…! 筆頭家老殿に命じられた通り、魔女を打倒すべくグンマー帝国の守護霊山レッドキャッスルマウンテン山頂魔女の家を目指しグンマー帝国を旅しましたが…! グンマー人は地図があるのに見ない、進んだ農業技術があるのに普通に2年に一回しか麦を育てないなどグンマーはかなりの未開でレッドキャッスルマウンテンへの道は地元民でも迷うほどで…!」


殿「それで? 15年の歳月をかけてグンマー帝国の守護霊山レッドキャッスルマウンテンに辿り着けなかったと…?」

カイジ「はっ…! その通りです…! グンマー帝国の守護霊山レッドキャッスルマウンテンへは地上から行くのは困難だと15年の歳月で深くそう思いました…!」

大石内蔵助「地上から行くのは困難か…!」

チルノ「なら空から魔女を倒しに行くしかないわね!」

大妖精「ちょっと、チルノちゃん」

操縦士「空挺作戦なんて無理だろ」

大石内蔵助「そうか…! その手があるか…! 空挺作戦…! 出来るぞ…!」

オッドボール・操縦士・砲手「「「出来んの!?」」」

大石内蔵助「うむ…! その昔、平安の武士達が、人々を脅かす鬼共が都に対し木造飛行戦艦にて空挺作戦を実行した…!」

殿「確かに…! その鬼の都は巨大な鬼共と合体変形するマサカリとドリルと伸びる腕を振るうカラクリ仕掛けの巨大な鬼が戦う凄まじい戦場と化していたが、平安の武士達は臆する事無く降下し鬼共と戦い、鬼の都を滅ぼしたと聞く…!」

オッドボール・操縦士・砲手「「「really!?」」」

大石内蔵助「というわけで…! 平安の武士達が出来た事なら今の我々もきっと出来る…! 魔女討伐の為、空挺作戦の準備をする…! 諸君らも力を貸して欲しい…!」

オッドボール「…分かった…! というか元から魔女討伐に協力してたしな…! 俺達とタイガー戦車の力を見せてやるぜ…!」

操縦士「いや、そうは言うがタイガー戦車は重いぞ? 空挺出来ないんじゃないか?」

オッドボール「悲観論は止めろ。タイガー戦車より重いキングタイガーだって空輸出来るそうじゃねぇか。ならやれるさ…! きっと…!」


立木『そして…! 筆頭家老・大石内蔵助の指揮の元、グンマー帝国中心の守護霊山・レッドキャッスルマウンテンへの空挺作戦の準備が進められる…!』

大石内蔵助「よし、保有する航空戦力は問題無く稼働出来そうだな…!」

砲手「本当に航空機が有るんだな…」

操縦士「だが… これらのスペック見る限りじゃ… …キングタイガーの空輸になるぜ」

ミスティア「? あの戦車はタイガー戦車でしょ? キングタイガーじゃないんじゃないの?」

操縦士「あのタイガー戦車をこの輸送機で空輸しようと思ったら、牽引機と空中給油機を用意しないと駄目だ」

小者「どういう事だ?」

操縦士「先ずタイガー戦車を乗っけた輸送機は離陸する分の燃料だけ積んで燃料タンクは空に近くする」

ミスティア「それだと離陸した後すぐに燃料切れで墜落しちゃうんじゃ…」

操縦士「先ずは離陸だ。その輸送機を他の航空機で牽引しながら離陸。で、ここで空中給油機の出番、給油する。その後、目的地へ向かうという寸法さ」

オッドボール「成程、そりゃキングタイガーの空輸方法の応用だな」

小者「だがうちの国に空中給油機なんてないぞ」

大石内蔵助「う~む… その空中給油機は今ある輸送機を改造して作るのは簡単なのか?」

操縦士「燃料タンクと給油ホースがあれば簡単に出来る」

砲手「いや、そんな急ごしらえの空中給油機が出来ても空中給油の難易度は高くて出来ないんじゃないかな…?」


オッドボール「悲観論は止めろって。そんなもんは根性で何とか成るだろ」

砲手「根性で何とかって…」

操縦士「いや、実をいうと根性が必要だ」

砲手「え?」

操縦士「空中給油機からぶらぶらぶら下げた給油ホースをだな… 輸送機の上部で上半身曝した作業員が手でキャッチして燃料タンクに接続して給油する方法を今回やろう」

砲手「えっ!? 飛んでいる航空機の上で生身で手で!?」

操縦士「そうだよ。これが根性があれば簡単に出来る難易度の低い空中給油法だ」

砲手「いやいや、むしろ高いんじゃ…」

チルノ「それ、あたい知ってるよ! TB-3がやった空中給油法でしょ!」

大妖精「あれ? チルノちゃん、この空中給油法は確かショートスターリングだったかな? がやった方法じゃなかったっけ?」

リグル「いや、92式重爆がやった事じゃなかったっけ?」

ルーミア「キングタイガーを空輸した輸送機がやったんじゃないのかー?」

ミスティア「……何でみんなちょっと詳しい感じなの? 私全く知らないんだけど…?」

荒子「でもまぁ… 勇気と根性があればやってのける事が出来る空中給油法だという事だな…!」

大石内蔵助「うむ…! さっそく準備しよう…! これでグンマー帝国の中心の守護霊山・レッドキャッスルマウンテンへの空挺作戦にタイガー戦車を参加させる目途がつきそうだな…!」


オッドボール「そういや、航空機が有るなら無線機は有るのか?」

大石内蔵助「うむ、有るぞ。戦闘中もこれで連絡を取り合える」

砲手「もうこの世界の技術レベル分かんねーな…」

オッドボール「そうか、有って活用出来るのか。なら、戦車の搭乗員ポジションチェンジだ。モリアーティが無線手兼前方機銃手な」

カイジ「え…?」

操縦士→無線手「急にどうした?」

オッドボール「役割の重要度が変わったんだ。当たり前だろ? 無線の重要度が上がったんだからな。無線を頼むぞ」

砲手「で、次は誰が操縦するんだ?」

カイジ「俺も無線手席から何処に…?」

オッドボール「…ターク、お前は操縦は…」

砲手「俺は操縦出来ないよ。前は装填手やってたし」

オッドボール「……この中で戦車動かせるのはモリアーティだけか…人員配置どうしよ…取り合えずモリアーティは操縦士のままで」

無線手→操縦士「だよな」

カイジ「…俺って信頼されていない…?」

荒子「15年間国元に連絡無しをやった前科があるからな。連絡の要の無線手をやらせようとは思えないんじゃないかな?」


オッドボール「…よし、悲観論は止めよう。カイジは引き続き無線手兼前方機銃手を頼む」

カイジ「…! ああ、任せてくれ…!」

小者「しかしまぁ、この凄い戦車をカイジが加わる前は3人で動かしていたのか?」

オッドボール「前は5人居たんだけどな… ちなみにこの戦車は定員5名だ」

大石内蔵助「人が居なくて困っているならこちらから人を出そうか?」

オッドボール「それは助かる」

大石内蔵助「それじゃ… この小者をつけよう…!」

小者「あ…! よろしくお願いします…!」

オッドボール「おう、よろしくな! …装填手の席が空いているから装填手をやってくれ」

小者「任せて下さい! 自分は武士の荷物持ちが基本業務ですからそれくらいお安いご用です!」

立木『―――こうして、魔女討伐の為の空挺作戦の準備が進められ… 決行の時が来た…!―――』

大石内蔵助「皆の者…! 準備は整った…! 姫の仇の魔女を討伐する…! 用意出来た航空戦力、輸送機の都合上、47人でレッドキャッスルマウンテンに攻め込む事になるが…!」

47士『……』

大石内蔵助「グンマー帝国中心の守護霊山・レッドキャッスルマウンテンの魔女の住処…! そこに辿り着き事を成した後、無事に国に帰ってこられるかは分からない…!」

オッドボール「大石さん…! 悲観論は止めようぜ…!」


大石内蔵助「うむ、そうだな…! 先ずは魔女を討伐する事のみに集中しよう…! それ以外は事が成った後に考えよう…! それでは皆の者、行くぞ!」

47士『おおー!』

大石内蔵助「エンジン回せ!」

立木『―――輸送機、即席空中給油機のエンジンに差し込まれたハンドルを男達が手に回し、そしてエンジンが始動する…! そして輸送機を牽引する機体の方は―――』

大妖精「向こうは無事エンジンかかったみたいですね」

ミスティア「それにしてもそれ、散弾銃の薬包みたい…」

操縦士「その散弾銃の薬包の様な物でこの機体のエンジンを起動してやらなくちゃならないんだ。それにしてもこの機体があるとはな…」

元太刀番小性「え~と、この散弾銃の薬包の様な物をちゃんと装填して、…点火と」
ヒュバン
操縦士「ちょっ、ま、これでエンジンが起動しなかったらこの機体の空気取り入れ口が燃えるトンネルになるって言っただろうがっ!」

元太刀番小性「あ!? そうだった! 消火器を手元に準備してないと駄目でしたっけ!?」
ブロ゙ロ゙ロ゙ロ゙ロ゙ロ゙……
ミスティア「凄い胴間声…」

操縦士「よーしお嬢ちゃん、エンジンが胴間声を上げた。これで空気取り入れ口が燃えるトンネルになる心配はなくった」

元太刀番小性「ふー、そうですか…」

操縦士「あとはエンジンの出力をそのマニュアルに従って上げたり下げたりで15分程かな? で完全に離陸準備完了だ。それじゃお嬢ちゃん、俺は輸送機の方へ行く。気を付けてな…!」

元太刀番小性「はい、分かりました…!」


チルノ「それにしてもこの機体、アゴが特徴的ね!」

大妖精「そうだね、なんかかわいい感じがするね」

元太刀番小性「地上に居る間はパイロットにとって邪魔だけど… でもまぁ空飛んでいる時は邪魔にならないけどね…!」

ミスティア「取り合えず、焼きヤツメウナギでもどうですか? 目に良いですよ♪」

元太刀番小性「じゃあ、頂こうかな」

リグル「ところで… その鳥の紋章の脇に書かれてる字、何て意味なんですか?」

元太刀番小性「何て発音するのかはちょっと分からなかったけど、意味は“猛き風に気をつけよ”っていう感じらしいよ。な? 相棒?」

キア「キアッ!」

ルーミア「そーなのかー」

立木『―――輸送機を牽引する機体の準備が終わりつつある一方、輸送機の方では…!―――』

家臣A「本作戦に参加する者は全員搭乗しました…!」

オッドボール「こっちのタイガー戦車もOKだぜ…!」

荒子「こっちの輸送機自体も問題無い…! 暫らくすれば離陸準備完了だ…!」

大石内蔵助「うむ、了解した…!」

操縦士「牽引機の方も問題無く起動したぜ。あと15分程でOKだ」


オッドボール「持ち前の悲観論でめったに起きないトラブルを大げさに言ったりしてあのお嬢ちゃんを不安にさせてないだろうな?」

操縦士「いや、めったに起きなくても致命的なトラブルってあるし…」

オッドボール「だから悲観論は止めようぜ?」

カイジ「それにしてもあの機体でこの輸送機をちゃんと牽引出来るのか…?」

操縦士「それは大丈夫だと思うぜ? あの機体のエンジンは液冷V型12気筒エンジンを、上下に二つ合体させた液冷H型24気筒エンジンで、ヘタな双発機の合計馬力より馬力があるエンジンだ」

オッドボール「クランクシャフトのかみ合わせがどうなっているのか見てみたいエンジンだな…」

カイジ「成程…! だからあの機体はアゴがでかいんだな…!」

立木『―――そうこうしている内に、出発の時が来た…!―――』

空中給油機搭乗員『こちら空中給油機、先に離陸します…!』

荒子「こちら輸送機、了解した…!」

立木『―――滑走路から即席空中給油機が無事に離陸していく…! そして…!―――』

殿(筆頭家老・大石内蔵助よ…! 頼んだぞ…!)

立木『―――殿と地上要員達が見守る中、47士を乗せた牽引機と輸送機が滑走路を進み…! 加速し…! そして飛び立つ…!―――』

大石内蔵助(殿、必ずや姫の仇、魔女を討伐して参ります…!)

荒子「無事に離陸完了…! 次は空中給油だ…! 離陸の為に燃料タンクはほぼ空だからな…! 手早くやってくれよ…!」


砲手「あの根性あれば出来るという、難易度が低いんだか高いんだが分からない空中給油か…!」

家臣C「では…! 私が手筈通りに…!」

大石内蔵助「うむ…! ところで知っているか…? 時速60kmの風圧はCカップのオッパイの感触で、時速80kmの風圧はDカップの感触らしいぞ…!」

家臣C「……!!」

家臣A(筆頭家老…! 部下のやる気を引き出そうと…!)

荒子「ただいまの本機の時速は」

大石内蔵助「言わんでよろしい。沈黙は金だ」

家臣C「…行って参ります……」

―――輸送機内上部―――

家臣C「さて… 給油手順は先ず、上部扉を開けて上半身を機外に出し、空中給油機から伸びている給油ホースを手で捕まえてそれを空中給油用に機内に設けた給油口に差し込む…! よし…! やるぞ…!」ガチャッ

チルノ「はい給油ホースどうぞ!」

家臣C「あ、ありがとう… …えーと、これを給油口に差し込んで… 給油ホース給油口に差し込めました…!」

荒子『了解…! 意外と早かったな』

家臣C「親切な妖精のおかげですよ…」

チルノ「この風圧! 私は今! 全身でオッパイを感じてるよー!」


家臣B『給油が始まったざんす…! 給油口に差し込まれている給油ホースに異常が出ないか見守るざんすよ…!』
ルーミア「わはー! 全身でオッパイ感じるという事は、Zカップ超えているのかー!」
家臣C「…了解……」

―――輸送機内操縦席―――

家臣B「給油完了ざんす…! これでグンマー帝国中心の守護霊山・レッドキャッスルマウンテンまで飛べるざんす…!」

空中給油機搭乗員『こちら空中給油機、先に帰還します! 御武運を…!』

大石内蔵助「応…!」

立木『―――こうして、輸送機とそれを牽引する機体は地図・方位・自機の速度・時間経過を確認し、星の位置を調べ、焼きヤツメウナギ・お菓子を食べ、カラオケをし、一路グンマー帝国中心の守護霊山・レッドキャッスルマウンテンへ向かったのである…! そして…!―――』

荒子「…見えたぞ…! あれがレッドキャッスルマウンテンだ…!」

オッドボール「あの山、でかく見えるな…!」

立木『目的地に無事到着…! 一方…!』

―――グンマー帝国レッドキャッスルマウンテン・見張り塔―――

グンマーヤクザA「うん? こっちに向かって飛んでくる航空機がいやがるな」

グンマーヤクザB「あ、ほんとだ。兄貴、どうしやすか?」

グンマーヤクザA「先ずはクニサダ親分に連絡だ!」

グンマーヤクザC「へい合点でさぁ!」


―――グンマー帝国レッドキャッスルマウンテン・グンマーヤクザアジト―――

グンマーヤクザC「親分てぇへんだてぇへんだっ親分てぇへんだっ!」

チュージ・クニサダ「なんでぃこんな夜中に騒がしい。で、いったい何がてぇへんなんだ?」

グンマーヤクザC「へいっ! 何者かが航空機でここに接近中でさぁっ!」

チュージ・クニサダ「なら…! 対空砲火の用意だ…! 総員起こせ…! ここは俺らの縄張りだからな…! その上を挨拶も無く飛ぼうとする奴ぁ叩き落とさないとな…! あ、あとご近所の魔女さんにも知らせてあげな…!」

立木『―――グンマーヤクザが対空砲火を用意して待ち構える…! そして…! 輸送機が…!―――』

大石内蔵助「いよいよだな…! 皆の者っ…! 姫の仇の魔女の討伐戦の用意は良いか…!?」
ズドンッ
家臣B「!? 何ざますか!?」
ズドンッズドズドンッ……
荒子「対空砲火だっ!」
元太刀番小性『あっ!?』
キア『キアッ!?』
家臣A「対空砲火なら超低空飛行で躱せる筈っ!」
家臣B「牽引機とのワイヤーが切れたざますっ!」
家臣C「牽引機が蹴飛ばされた様に飛んで行きやがったっ!」
荒子「被弾したっ! 速度、高度が落ちるっ!」
カイジ『えっまさか、墜落…!?』
大石内蔵助「総員備えろっ!」

立木『―――レッドキャッスルマウンテンのグンマーヤクザ達の対空砲火に輸送機は晒され、機内は動揺…! 被弾し損傷、牽引機とも別れ、速度低下に高度低下…! そして、不時着した…!―――』

グンマーヤクザD「あっさり落ちたな…! しかしエンジン音がうるせぇな…! おめーら、あの落ちた機体に弾丸ぶち込んで黙らせるぞ…!」


『―――不時着した輸送機にグンマーヤクザ達の火点から弾丸が叩き込まれ、黒煙が上がる…! 輸送機の機首貨物扉が半壊…! そこへ更に弾丸が叩き込まれる…!―――』

グンマーヤクザD「何者か知らんがこれで終わりだな…!」
‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐
オッドボール「装填弾種榴弾…! 砲撃目標は前方の火点…!」

小者・砲手「「了解…!」」

『―――狭い空間内で小者が榴弾を主砲へ装填…! 砲手が主砲の照準を今し方攻撃してきたグンマーヤクザ達の火点に合わせる…! 準備が整ったらその旨を戦車長に報告…! そして戦車長が一言…!―――』

オッドボール「ファイアッ…!」

『―――辺りにグンマーヤクザ達の砲とは違う砲声が轟き、不時着した輸送機前方の火点に土砂と黒煙が立ち昇る…! その火点に居た人間は、ミンチ…!―――』

グンマーヤクザE「何…だと…!?」

『―――近くの別の火点や対空砲座に居たグンマーヤクザ達に衝撃が走る…!―――』

オッドボール「次弾装填、弾種は同じく榴弾…! ゴーアヘッドッ…!」

『―――戦車長の言葉により、半壊した輸送機の機首貨物扉をぶち破り、エンジン音を響かせ、56口径8.8cmの主砲を搭載し、重量57tの鋼鉄の塊の戦車、ティーガーⅠまたの名をⅥ号戦車ティーガーE型、通称“タイガー戦車”が姿を現す…!―――』

グンマーヤクザE「こ、攻撃だ…! あ、あれを撃破するんだ…!」

『―――タイガー戦車を撃破すべく、グンマーヤクザ達の火点や対空砲座からタイガー戦車に向けて砲撃が飛ぶ…! が…駄目っ…! 火点・対空砲座にある砲はタイガー戦車を撃破出来る砲じゃなかった…!―――』

オッドボール「敵火点及び対空砲座を順繰り潰して行くぜ…!」

大石内蔵助「我々も行くぞ…!」


オッドボール「…ここらでいっちょ陽気な音楽でも掛けようか…!」

操縦士「スピーカーは有っても音源が無いぞ。ラジオかレコードまたはオープンリールが音源の選択肢な訳だがラジオは放送してないしレコードとオープンリールはいつの間にか無くなった」

「それじゃ私が歌いまーす ~♪ ~♪」 「おうそれじゃ頼むぜ!」 ~♪ ~♪ ~♪ ~♪ ~♪
「ふっ…タイガー戦車の恐ろしさを」「武士の恐ろしさを」 「「たっぷり味あわせてやるぜ…!」」 ヤミニフカクウゴメク♪
「次弾装填完了!」「総員抜刀!」「怒れる剣、我が身を持って鬼となれ! 生きるは地獄! 正宗!」 ウエタケモノノサケビ♪
「慈悲あれば、許したもうは、剣の心 悪を裁くは無心の剣! 清盛!」 「照準良し!」 ジャアクナケハイサトッテモ♪
「ファイアッ!」 「大地の怒りがこの腕を伝う! 防御あたわず! 疾風、地裂斬!」 ヤツラオソレズ♪ タチムカウ~♪
「次も榴弾!目標は左火点!回頭!」「三界六道貫く秘剣、仏の道許さずも共に地獄の火とならん!菊一文字!」サケラレナイ♪ サダメノウズノナカ♪
「装填完了!」 「身の盾なるは心の盾とならざるなり! 油断大敵! 強甲破点突き!」 「照準良いぞ!」 キズヲオッテモ♪ サガシツヅケル♪
「ファイアッ!」 「鬼神の居りて乱るる心、されば人 かくも小さな者なり! 乱命割殺打!」 ダレガタメニ♪ ナニヲスルノカー♪
「次っ榴弾! 微速前進!」 「突撃ぃっ!」 「刀に宿りし幾千の、亡霊の呼びて いざ抜かん! 村正!」 ホエロリュウノセンシヨ♪
「装填良し!」「ストップ! 前方対空砲座!」「命脈は無常にして惜しむるべからず…葬る! 不動無明剣!」イノチノヒヲモヤシツクセ!♪
「照準合わせたぞ!」「ファイアッ!」「風無くば、刃の音こそ風とならん! 風に散る某の命とせん! 村雨!」イソゲタケキユウシャヨ♪
「もいっちょっ榴弾! 前進! 砲塔右へ回せ!」 「突撃っ! 真っ直ぐ山頂の魔女の住処へ向かうぞっ!」 トキノメイロヲハシリヌケロ~♪
「大石さん! こっちは57tの重戦車が通れそうなルートで行く!」 「了解した! 武運を!」 Until the dying day!♪
~♪ ~♪ ~♪ ~♪ ~♪
「我に合見えし不幸を呪うがよい 星よ降れ! 星天爆撃打!」 センノカミノイノリモ♪
「向こうの方が敵を倒すペース速くないか…!?」 「装填!」 セイギノイミモシラズ♪
「そこに付いてる前方機銃使って良いぞ。敵が見えたら撃て」 アラソイノレキシノナカニ♪
「死兆の星の七つの影の経路を断つ!北斗骨砕打!」 ヤツラワガミヲ♪ ウツシダス~♪
「照準良し、ファイア!」 「て、敵に機銃撃ちます…!」 ムネニツノル♪ シメイカンハナンダ!♪
「大気満たす力震え、我が腕をして閃光とならん! 無双稲妻突き!」ジゴクノヨウナ♪ ホノオノウミニ♪
「あ!? あそこにある高射砲は大口径か!? 回頭!榴弾急げっ!」 ソノワケヲ♪ モトメタタカウ~♪
「猛き風に気をつけよ! イスパノ20mm機関砲×4!」 「キアッ!」 イカレリュウノセンシヨ♪
「お!? あれは嬢ちゃんの機体! 無事だったか!」(無線で確認するの忘れてた…!)アクノヤボウタタキツブセ!♪
「良っしゃ! 航空支援には嫌な思い出があるが今回は良いぜ! 侍達に遅れない様急ぐぞ!」 イソゲワカキユウシャヨ♪
「「「「「闇祓い世界に光を~♪ Until the dying day!♪」」」」」 ~♪ ~♪ ~♪ ~♪ ~♪


『―――タイガー戦車の砲撃が、侍達の技が、グンマーヤクザ達を屠り、47士は進む…! そしてオッドボール達タイガー戦車一行は57tの重戦車が通れる道を進撃、レッドキャッスルマウンテンのグンマーヤクザ達のアジト前に辿り着く…!―――』

オッドボール「榴弾装填! 目標、前方の建物! 一旦停止!」

小者「いや、榴弾もう無いぞ? さっきのが最後の一発だと言ったんだけど…」

オッドボール「榴弾ならこっち側にある。…こんな事ならそっち側の砲弾全部榴弾にすりゃ良かったな。 よいしょっと… …装填完了…!」

砲手「照準はあの建物のちょっと開いている門の隙間で良いか?」

オッドボール「OK…! ファ」

『―――轟砲一発…! グンマーヤクザアジトの半開きの門が衝撃で吹き飛び、 タイガー戦車の傍の地面が爆発…! 衝撃がタイガー戦車に走る…!―――』

「うわっ!?」「わはっ!?」「キャッ」「アウッ」「くっ!?」「な…!? 何だ…!?」「今、敵弾が当たったのか…!?」「いえ、直撃してません!」「じゃ、あの衝撃は」「あ、JSU-152!」「え?」「女子小学生アンダー152?」
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グンマーヤクザA「親分、弾外しちまいやした」

チュージ・クニサダ「しょうがあるめぇ 門の所為でちょっと間接照準になっちまったし、こいつは反動がでかいからな」
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オッドボール「あアニマだ弾種 徹甲弾込めろ! 全速力で門の前から移動! ハリーハリー!!」
小者「砲には榴弾が」
オッドボール「ファイア! そんでもって次弾 徹甲弾装填しろ! 全速前進急げ! 真っ正面避けろ!」
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グンマーヤクザB「親分! 兄貴! 奴ら、こちらの見えないところに移動しようとしてやす! はっきり言ってアジトの壁が邪魔っす!」

チュージ・クニサダ「ならアジトから出撃、直接照準でぶっ飛ばす…! かわいい子分達の仇だ…! ふっ… 今宵の我が愛車アニマルキラーは血に飢えているぞ…!」

『―――オッドボール達のタイガー戦車の行進間射撃…! 放った榴弾はグンマーヤクザアジトの壊れた門の前に着弾…! 土煙を上げる…! そして、門から、土煙を潜り、それが姿を現す…! 獣の名を冠する戦車群を葬る事が可能な突撃重砲“アニマルキラー”ことJSU-152が…!―――』


「弾頭装填っす!」
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「JSU-152が居るなんて聞いてないぞ!?」「だって今見付けたんだもん」「アニマルキラーはやばい! 奴は距離2,500mで厚さ約100mmを撃ち貫ける!」「死ぬ…!」
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「装薬装填! 砲撃準備整いやした!」
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「悲観論は止めろ!奴はキングタイガーやヤクトタイガーの正面装甲を貫けてない!奴に対して車体を斜めにして傾斜装甲すりゃ防御出来る筈!」「でも装甲は大丈夫でも直撃の衝撃で中の人は」「死んじまう…!」
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「親分、敵との距離がかなりあって、移動してやす。命中させんのは…」「衝撃でダメージを与えれば足回りが故障するだろうからな、至近弾でも行けるだろう」「へい」

『―――JSU-152から重砲弾が放たれ、辺りに轟音が撒き散らされる…! 重砲弾はオッドボール達のタイガー戦車から離れた所に着弾、地面が爆ぜる…!―――』

「かなり外れたわね」「外れたか!そういや徹甲弾は!?」「装填済みだ!」「でもこの距離とこの主砲だとあの装甲は撃ち貫けないんじゃない?」「そうだ、なら」「接近したら奴の命中率が上がるぞ!?」
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「く、外した…!」「気にするな。反動もあるしこの距離だしな」「次弾 弾頭装填しやす! ほいっ!」
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「一発でも食らえば」「悲観論は止めだ!奴にも弱点がある!航空支援要請しろ!」「…! 了解! こちらタイガー戦車!至急航空支援を…!」『ごめん!今そっちに助けに行けない!』『キアッ!』「そんな…!?」
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「おうっ! 装薬装填! 砲撃いつでもっ!」

『――― 一方、大石内蔵助達はレッドキャッスルマウンテン山頂・魔女の家に辿り着いていた…!―――』

大石内蔵助「魔女、覚悟!」

家臣A「……この部屋には魔女は居ない様です! あ、これは魔女の寝間か! どれ… …まだ温かい…!」

荒子「女の寝具に手を突っ込んでまだ温かいとか言うのは」

大石内蔵助「言わんでよろしい。…魔女め、まだ近くに居るのは分かったが、いったい何処へ…!?」

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