P「765プロ・テロリスト襲撃事件」 (45)

P「……」カタカタ

律子「……」カタカタ

小鳥「お茶入れましたよー」スッ

律子「あぁ、ありがとうございます」

小鳥「いえいえ」


P「……」ズズッ

P「ふー……」




P「事務所に突然テロリストが乱入してこないかなぁ……」

律子「はい?」


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P「いや、だって……そう思わないか?」

律子「突然何言ってるんですか、まったく……」

P「だって律子、お前テロリストだぞ?危険だぞ?」

律子「その思想の方が危険ですね」


小鳥「分かりますよ、その気持ち」

律子「小鳥さん?」

小鳥「暇なときによく妄想するんですよね……テロリスト、来ないかなって」

P「ですよね!」

律子「……」

律子「……まぁ、残業続きで疲れてるっていうのも分かります」

律子「妄想は自由ですけど、仕事に影響出さないで下さいね」

小鳥「はーい」

P「……」



P(律子は、テロリストの恐怖を知らない)

P(まだ19歳、若すぎるのだ……)


P「……」



————

——

——翌日——


雪歩「おはよう、真ちゃん!」

真「おはよう雪歩、どうしたの?やけに嬉しそうだけど」

雪歩「実は……ジャジャーン!」

真「えっと、これは……スコップ?」

雪歩「お父さんに買ってもらったんだ。それも、ただのスコップじゃなくて……」


春香「おっはよー、二人とも!」

真「おはよう、春香」

雪歩「うぅ……話の腰を折られたよぉ……」

春香「って雪歩、どうしたの!?」

ガチなのかドッキリなのか

春香「ごめんね、雪歩……」

真「だからさ、機嫌直してよ……ね?」

雪歩「うん……」


ガチャッ


雪歩「おはようございm」

律子「はぁ!?」

雪歩「!?」ビクッ


律子「はい……はい、分かりました、それじゃ」ガチャン

真「で、電話だったみたいだね……」

春香「ビックリしたぁー……」

真「どうしたの、律子?」

律子「今日……プロデューサーが休みですって」

春香「プロデューサーさんが?」

律子「どうせ、遅くまでテロリスト妄想でもして風邪引いたんでしょ……」

雪歩(なんか、今日の律子さん……怖いですぅ)


小鳥「いえ、律子さん」

律子「?」

小鳥「妄想をいくらしても体調に異変はきたしません……私が証明します」

律子「……」

——765プロ事務所・屋上——


P「……」

P(律子は、テロリストの恐怖を知らない)

P(この問題に対し……俺ができることは……)





P(俺自身が、テロリストになることだ)




似たようなニュアンスをとある激闘王が使ったけどこっちは情けねぇwwww

P(昨日、一晩中駆け回って装備を集め……ここに潜伏した)

P(朝から屋上を使おうとする奴はいないし、仮にいても……フフッ)



P(この黒革のバッグには、様々な道具が入っている)

P(某探偵アニメのように、全身に黒タイツを纏った)

P(これだと前が見えないので、目の辺りに細かく穴を開けた)

P(おっと、ヘリウムガスの吸引も忘れちゃいけないな)

P「……」シュー




P「…………ジカンダ」

春香「テロリスト……って、何のことですか?」

小鳥「プロデューサーさんが、よくテロリストが乱入してくる妄想をしてるのよ」

律子「現実と妄想の区別がついてないみたいだけど」

真「あぁ……でも、ボクもそういう妄想したことありますよ!」

雪歩「そうなの?」

春香「あはは、真ならテロリストにも勝てそうだけどね……」





P「ラッシャアァアアアア!!!!」パリーン



一同「「!?」」

春香「え……え……?」

雪歩「………ぁ……」ブルブル

小鳥「……」ゴクリ

律子「もう、何の音……で……」


P「……」パリッ

P「ウゴクナ……ウゴケバ、キサマラノ、イノチハ、ナイ」


律子「」

春香「……えっと……テロ、リスト……さん?」

P(今日のみんなのスケジュールは、把握している)

P(この時間を選んだのは、人数が多すぎると失敗する可能性があったからだ)

P(……しかし、それでもなおリスクはある)



真「うぉおおおおお!!!」ダッ

春香「真!?」


P(765プロ最強のアイドル、真の存在だ——)

P(が、その対策も済んでいる)


ガキン!

P(俺とて、無駄に全身タイツに身を包んでいる訳ではない)

真「……………え?」

P(真の打撃技対策として、タイツの中には全身を守るアーマーがあるのだ)

P(ちなみにこのアーマー、体格をごまかして俺だとバレないようにする役割もある)


P「ウゴクナ、ト、イッタハズダ」バチィッ

真「うぐっ……」ドサッ

雪歩「真ちゃんっ!」

P「シャベルナ」


P(後で、真には特に謝っておかないとな……)

小鳥「要求は……何です……?」

P「……ソウダナ」

P(テロリストが要求しそうなことは……)


P「カネダ、コノフクロニ、カネヲ、ツメロ」

春香「……」

律子「……」

雪歩「……」ブルブル

P「オイ、ナニシテル、ハヤク——」


ガチャッ


P「!?」

P(この時間……他のアイドルが来るのは有り得ない!)

P(警察にしては早すぎる……一体)


「ウゴクナァ!!」


P「!?」

小鳥「なっ……!?」

黒タイツ「ウゴケバ、イノチハ、ナイ」


P(全身黒タイツに、ヘリウムボイス……)

黒タイツ「……」

P(……ど、同業者……?)

律子「……」

P(律子の表情が、心なしか険しい)

黒タイツ「……」

P(とはいえ、この状況は俺も初めてだ)

黒タイツ「オイ、オマエ。ナニモノダ?」

P「……」

P(ここは、余計なことをするべきじゃないな……)


P「アンシンシロ。オマエノ、テキジャ、ナイ」

黒タイツ「ソウカ」

黒タイツ「オイ、ソコ……ノ、ミドリ」

小鳥「あっ、はい!」

黒タイツ「…………カネヲ、ツメロ」

小鳥「はい……」


黒タイツ「ソレカラ……」チラッ

律子「?」

黒タイツ「ヨケイナ、コトヲ、スルナヨ。サモナクバ、コイツガ……」

P(あっ、律子が人質に)



ドスン

黒タイツ「ァ……ガ……」

P「……!?」

黒タイツ「ドウイウ……コトナノ……」ドサッ

律子「全く……馬鹿らしいな」

P「エ?」

P(何だ……一体……)



ベリベリッ

黒井「下らん……全くもって下らん」



P「ナン……ダト……!?」

春香「く、961プロの……!?」

黒井「さて、と」

黒タイツ「」

黒井「この愚か者の顔を、拝んでやるとするか……」



ベリベリッ

小鳥「」



P「!?」

雪歩「ぇ……こ、小鳥さん……が、二人……?」

黒井「……フン」

春香「え?ど……ど、どうなってるの?」

小鳥「」

小鳥「……仕方ないな」



ベリベリッ

高木「私だよ」



P(もはや驚きがないな)

黒井「高木……貴様のところの事務員は何をしているんだ」

高木「いやはや、すまない……音無君が、こんなことをするとは……」

P「……ドウシテコウナッタ」


P(何故だか知らないが、音無さんもヘリウム全身タイツでやって来ていた)

P(俺が音無さんだと思っていた人は、高木社長だった)

P(そして、律子は黒井社長だった……)


P(恐らく、あの二人は本物のテロリストだ)

P(二人の生足なんて見たくないし……何より、春香と雪歩が危ない)


P(どうする……)

黒井「で……結局、貴様は何者だ?」

高木「落ち着くんだ黒井、剥がせば解る」

P「……」


黒井「なら……やるか」

高木「あぁ」

P「……クソッ!」バシュン


黒井「なに……っ!?」

高木「これは……ゴホッ、煙玉か……」

黒井「ふざけた真似を……!」



雪歩(もう……何がなんだか……)

P「ユキホ」ボソッ

雪歩「ひうっ!?」

P「チョット、コレ、カリルゾ」


雪歩「……え?」

春香「煙が……晴れた」

高木「よく考えれば、窓が割れているんだ。煙はそう長く持たん」

黒井「……いや」

高木「む?」

黒井「どうやら、逃げられたようだ」

高木「これは……穴を掘ったのか」

黒井「追うか?」


雪歩「……や、やめておいた方が……いいと思います」


高木「……何故だね、萩原君」

雪歩「今の人が使ったのは……わ、私のスコップです」

雪歩「『WJQ-308』っていうんですけど……」

雪歩「その辺りは、いつも私が掘ってて柔らかくなってて、それで……」


高木「もう今頃は逃げただろう、ということかね?」

黒井「……フン、床に穴など掘ったところで無駄だ」

黒井「そんなもので、逃げられる訳がないのだからな」

雪歩「……っ」

春香「雪歩……」




黒井「どうせ、奴はこの穴の中で」ヌルッ

高木「!?」

黒井「な、なんだとぉおおおおおおおぉぉぉぉぉ」ヒューン

高木「黒井っ!」


春香「これは……ローション?」

高木「ま……まさか、奴はこれが狙いで」



P「ソウイウ、コトダ」



高木「なっ……」

春香「………えっ?」

雪歩「プロデューサー!?」

P(小回りを利かせた動きをする場合、重い荷物は必要ない)

P(タイツを脱いだことで、俺だとバレてしまったが……仕方ないだろう)


P「ヨッ、ト」

P(雪歩のスコップをアンカー代わりにして、本日二度目の窓から出勤である)


高木「ふむ……キミだったのか」

P「シャチョウ……ハヤク、キガエテクダサイ」

高木「……」ジャキッ



P「…………エ?」

P「シャチョウ……ナンデス、ソノピストル……ジョウダンガ、キツイデスヨ」

高木「冗談だと思うかね?」

P「……」


春香「……えっと」

高木「春香くん、萩原くん。キミたちもだ、余計な真似はしないでくれ」

雪歩「……」


高木「安心したまえ、すぐに終わるさ……」スッ

P「ソレハ……マサカ」

春香「…………ば、爆弾?」

高木「私はね、もう、嫌になったんだ。この世界が」

春香「……」


高木「キミが乱入してきたときは、どうなることかと思ったがね」

P「……」


高木「まぁ、菊地くんを処理してくれたことは感謝するよ」

雪歩「……」



高木「……最期に、女装ができてよかった」

高木「似合っているだろう?物真似も練習したんだよ」

P「……」

高木「この日のために、音無君と律子君には休暇を与えていたんだ」

高木「……まぁ、こんな形で音無君と再会するとは思わなかったがね」

春香「……」


P(これは……まずいな)

P(社長のニーソもさることながら、ピストルと爆弾が厄介だ)

P(対抗できる武器は下に置いてきてしまったし……)

P(……いや、待てよ?)


高木「それでは——お別れだ」



P(武器なら、あるじゃないか)

P「ウォオオオオ!!」ブンッ

高木「むっ!?」


ガキンッ


高木「……今のは、ひやっとしたぞ」パキュン

P「グアッ!」ドサッ

春香「プロデューサーっ!」

高木「しかしだねキミ、スコップというのは投擲武器ではないんだよ」

P「……」

高木「大人しく、私と道連れに——」


P「…………シャチョウ」

高木「なんだね?」

P「シャチョウ……アナタハ、ワカッテイナイ」

P「オレガ、ナゼ、スコップヲナゲタノカ……」

高木「知ったことか。行き当たりばったりのキミとは違うんだ」

P「……シャチョウ、オレハネ」

春香「……」



P「パス、シタンデスヨ」



高木「なに?」

雪歩「…………たぁああああっ!!!」



ザシュッ

高木「がっ…………」


春香「ゆ、雪歩!?」

雪歩「はぁ……はぁ……」


高木「馬鹿な……こんな、ところで……私、は」ドサッ


P「アリガトウユキホ、タスカッタ」

雪歩「プロデューサー、怪我は……」

P「アァ、アシヲウタレタ……ダケダ。…………モンダイナイ」

春香「強がらないで下さい、今救急車呼びますから」

雪歩「え、えっと……それで」

P「ドウシタ?」


ピッ ピッ ピッ ピッ


雪歩「この……爆弾は……」

P「……」

雪歩「……」


春香「大丈夫、任せて」

雪歩「……は、春香ちゃん?」

春香「雪歩、そのスコップ貸して!」

春香「これを……こうして……」ガチャガチャ


雪歩「す、すごい……」

P(スコップを工具代わりにしてるのか……)


春香「……」ガチャガチャ

P(まさか、春香に爆弾解体スキルがあったとはな)

雪歩「……」ゴクリ



春香「今日は……これで決まりっ!」ジャキン

P「……」

雪歩「……」

春香「……」


P「トマッ……タ」


春香「ふぅー……」

雪歩「すごい!すごいよ春香ちゃん!」

春香「イヤー、それほどでも……」


ウウゥー ピーポー ピーポー


P「……オワリ、ダナ」

P「ハルカ、ユキホ」

春香「?」

P「マコトニ、ツタエテクレ……ビックリサセテ、ゴメン、ッテ」

雪歩「……はい」

P「ソレカラ、リツコニ、イットイテクレ」

P「カッテナコトシテ、スマナカッタ……マドハ、ベンショウスル、ッテ」


春香「……大丈夫ですよ、プロデューサー殿」

P「エ?」




ベリベリッ

律子「全部、分かってますから」

—————


雪歩(765プロに、四人もテロリストがやってきた事件は……終わりました)


雪歩(小鳥さんは、突然暇になったからテロリストごっこをしようと思ったとか)

雪歩(律子さんは……突然の休暇に違和感を覚えたらしく、春香ちゃんのフリをして事務所に来ていたんだそうです)

雪歩(当の春香ちゃんは……)


春香「おっはよー、雪歩!」

雪歩「おはよう、春香ちゃん」

春香「ねぇ、聞いた?昨日の事件!テロリストだよ、テロリスト!」

雪歩「うん……当事者だからね……」

春香「いいなぁ……私、気付いたら夜だったんだよ?」


雪歩(何も、覚えていないみたい)

雪歩(社長は逮捕されてしまったけど、プロデューサーと小鳥さんはもうすぐ復帰できるそうです)

雪歩(その辺りは、伊織ちゃんが頑張ってくれたらしいんだけど……)



真「おっはよー、雪歩!」

雪歩「あ、おはよう真ちゃん!」

真「アレ、そのスコップ……なんか汚れてない?」

雪歩「えへへ、なかなか落ちなくて……」

真「それにしても大変だよね、社長が逮捕だなんてさ」

雪歩「うん」

春香「ここで、私たちが踏ん張らなきゃ!」

雪歩「そうだね……」



真「それにしても、悔しいなぁ〜!」

春香「え?」

真「あの時、安易に蹴りにいかずに、転ばせることができたら……」

雪歩「ま、真ちゃん?」

真「いや、あの場合は……金的を……」ブツブツ

雪歩「……」

雪歩「……」


雪歩(あんな事件が、テロリストに襲撃されるなんて事件があったのに)

雪歩(真ちゃんには、まるで危機感がないよぉ……)

雪歩(どうにかしないと………あっ、そうだ)





雪歩「私が、テロリストになればいいんだ……」





真「え?」


おわり

以上です。
高木社長に救いがなくてすいません!


雪歩のスコップ参考動画↓

http://www.youtube.com/watch?v=b60OZhrTB6o

面白かった 乙

やっぱ中国軍の万能スコップだったかーww

乙リスト

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