きらり「人造人間ウサミンロボ」 (28)





……ピノキオは人間になって
本当に幸せになれたのでしょうか……?




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こんな眠れない夜と雨の日には、忘れかけていたことを思い出す。

昔、私がウサミンロボだったこと。

 昔、私が人間になりたいと思っていたこと。

 昔、私がアイドルたちを守っていたこと。

 昔、私が同族を殺してしまったこと。


池袋晶葉に生み出されたウサちゃんロボは、安部菜々が故郷から持ってきたウサミン科学で改良されてウサミンロボになった。
私は自我を与えられたのだ。

アイドルたちが大好きな私は、アイドルたちのために頑張ろうと思った。
私は頑張った。私の仲間も頑張った。
城ケ崎莉嘉のためにカブトムシ採集に出かけたり、異次元世界まで星輝子を助けに行ったり、宇宙に出かけたり棟方愛海を島流しにしたり、お手紙を配ったりコミケ会場をウロウロしたり。

とても楽しい毎日だった。


それ自体は今も後悔していない。
 アイドルたちと一緒に居るのは楽しかった。
 一緒に踊ったり、団子を作ったり、それはとても楽しい日々だった。

でも、楽しい日々は続かない。
ウサミン科学を私利私欲のために狙うものがいたのだ。
 ウサミン科学は未来科学、超科学。それを己の欲望のために手に入れようとするものがいたのだ。
 私たちは、そして池袋晶葉や安部菜々はウサミン科学を慎重に扱っていた。
 二人は知っていたのだ。心を忘れたウサミン科学には幸せ求める夢がない、地獄の夢しか生まれないことを。
 それでも奴らは、ウサミン科学を狙った。


私が狙われるのは構わなかった。ウサミンロボは絶対無敵で熱血最強元気爆発だ。ウサミン竹槍に敵はない。
すると、アイドルが狙われた。
私は戦った。アイドルたちのために。
敵は執拗に私たちを狙い、ウサミン科学の一部が奪われ、仲間の一部も奪われた。

それでも私たちは戦った。


 敵に奪われたウサちゃんロボ18号と戦い……

うさ!(撃つんだ、17号兄さん!)
 
うさ!(18号……)

うさ!(撃ってくれ、17号兄さん!)

うさ!(グラビトン!)


敵に奪われたきらりんロボと戦い……


にょわ~

うさ!(ウサミンロボ、ソードビッカー!)



敵に奪われウサミンハンターシルバとなったノアロボと戦い……


のあ!(ウサミン粒子反応有り、破壊!)

うさ!(スーパーメーザー・バイオウサミン斬り!)


超獣ピニャコラッターと戦い、マルメターノおじさん二代目、改造ブリッツェンと戦った。



私は戦った。他のロボたちを倒した。だけど、殺せなかった。
仲間を、同族を殺すことは私にはできなかった。
いくら倒してもキリがなかった。敵は誰一人死なないのだから。

激しく続く戦いの中で、誰かが私に囁いた。

「同族を殺せるのは人間だけ」

嘘だ。と私は言った。

私はアイドルたちが、人間たちが大好きだったから。


やがて、敵を殺せない私たちは追い詰められていった。

私は仲間をこれ以上、そしてアイドルたちの誰一人として失いたくなかった。

私は問うた。生まれて初めて神に問うたのだ。

風よ雲よ、心あるならば教えてくれ。
私は何故、生まれてきたのか。
アイドルたちを、仲間を守れない私がどうして生まれてきたのか!

 答えはなかった。


 私は全力を尽くし、アイドルを守りたかった。
 同族を傷つけたくはなかった。
 両立などできるわけがない。それを私は忘れていた。いや、忘れようとしていた。

その私の迷いが、一人のアイドルを傷つけた。

嫌だ。それだけは嫌だ。
それなら私は禁を破る。同族と戦い、勝利し、傷つけ、殺そう。
喜んで同族を屠ろう。一片の慈悲もなく、一瞬の悔恨もなく。


そうだ、私は人間になろう。
奴らが望んだような人間になろう。

私は……

わたしは……

ワタシハ……

ワタシハ、ニンゲンダ



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そこできらりは目を覚ました。

「にゅ?」

 毛布の中からもぞもぞと出ると、周りを見渡す前に大きな欠伸。
 それからゆっくりと、諸星きらりは周りを見渡した。

「……光ちゃん、小梅ちゃん、幸子ちゃんと輝子ちゃん。柑奈さん」

 皆、毛布にくるまって見事に寝こけていた。

「んー?」


 首を傾げてしばらく考えて、ようやくきらりは思い出した。
 まだ多少寝ぼけていて頭がはっきりしていないのだ。

 寝こけている五人ときらりの周りには、DVDプレイヤーのディスプレイが複数。

「にょわ……」

 それぞれが持ち寄った数種類の作品を同時に流して、わいわいきゃいきゃい言いながら見ていたのだ。

 柑奈が映像作品で合法トリップなどと言い出して、興味を持った小梅や輝子が集まり、何故かパジャマパーティー兼毛色の違った映像媒体同時鑑賞大会という話になったのだ。

「なんか違うけど、これはこれで面白いかもね! ラブ&ピース&トリップね!」などと柑奈は言っていたけれど。


 そして、映像鑑賞と聞いて秘蔵の特撮名場面集を持ってきた光。
 当たり前のようにホラー名場面集を持ってきた小梅。
 地下ロックのライブ映像を持ってきた輝子。
 何故か引っ張られてきた幸子。
 環境トリップ映像などという代物を持ってきた柑奈。 

笑ったり、怯えたり、感動したり、ヘドバンしたり、持ち寄ったお菓子を食べたり、キノコを食べたり。

愉快な一晩を過ごしながら一人、また一人と寝落ちしていったのだ。

そして過剰供給された映像の刺激から、おかしな夢を見てしまったと。


うさうさ

「ロボちゃん?」

毛布を担いだロボがいた。
どうやらいつの間にかやってきて、寝ているメンバーの面倒を見てくれていたらしい。

「ありがとにぃ」

うさ~

きらりは、自分のかぶっていた毛布をきれいに畳んでロボに渡しながら考えた。

 なるほど。ロボの気配に気づいて、ロボの夢を見てしまったのだろうか。
 それとも……


「ロボちゃん、こっちに来て来て」

 うさ?

 きゅん、ときらりはロボを抱きしめた。とても優しく、だけどしっかりと。

「ロボちゃんは、人間になりたいと思ったこと、ありゅ?」

 うーさ?

 ロボはきょとんとした目できらりを見上げていた。
 
(何を言っているウサ?)

 そんな声がきらりには聞こえたような気がした。


(人間になれるとか、そういうのはわからないウサ)
(だけど、ロボは皆が大好きウサ)
(だから、お世話するウサ)

「ロボちゃん」

 きらりはもう一度、さらに優しく、ロボを抱きしめた。

 うさうさ

「ロボちゃんは、優しいロボちゃんでいてね」

 うーさ

 そのまま皆が起きてくるまで、きらりはロボを抱きしめていたのだった。



           終


 選挙ではウサちゃんロボをよろ……ロボはノミネートされてない?




 選挙では諸星きらりをよろしく。

 以上、きらりPによる総選挙きらり応援SSでした。後悔はしていない。






……今回、データをタブレットに落とし込んで仕事の合間に書いてたりしたから、文頭がずれたのかね
タブレットでSS書いたの初めてだから、その辺りの案配間違えたかもしんない

ちょいと見づらかったかも知れません、失礼しました

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