八幡「死ねばいいのに」 (1000)

平塚「比企谷、この舐めた作文は何だ?」

八幡「いや、高校生活を振り返ってのテーマに沿って書いたつもりですが?」

平塚「アニメと読書のことしか書いてないじゃないか!」

八幡「はぁ」

平塚「それにスレイヤーズや爆れつハンターが入ってないぞ!!」

八幡「流石にそれは世代じゃないので」

平塚「うっ。……いや、しかし名前を知ってるだけでもましか……」

八幡「それで作文は書き直せばいいんですか?」

平塚「当たり前だ。それと君は友達はいるか?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1460731513

八幡「多分いたと思うんですけどエピソード記憶を失ってるもんで不明なんですよ」

平塚「ということは君の家にはニートシスターが居候しているということだな。よし今から家庭訪問をしよう」

八幡「すみません嘘です」

平塚「嘘はよくないぞ、比企谷」

八幡「はぁ」

平塚「嘘をついた罰として君に奉仕を命じる」

八幡「奉仕って。……俺DTなんですけど」

平塚「その奉仕じゃない!! 奉仕活動だ!!」

八幡「あー、そっちっすか。てっきり先生に俺のDT捨テルのかと……」

平塚「卒業したら手伝ってやろうか?」

八幡「いや結構です。多分、俺に気がある女子が一人いるみたいなんで」

平塚「なに!?」

八幡「なんか一年の時から凄い見られてるんですよね。本人は気づいてないみたいなんですけど」

平塚「ストーカーか?」

八幡「どうですかね。まあ危害はないので安心していいかと」

平塚「そうか。確かに君は目が腐ってる以外は顔が整っているからな」

八幡「あざっす。それで奉仕活動って腕章つけて風紀委員すればいいんですか?」

平塚「うちはそこまで荒れていないから大丈夫だよ」

八幡「そうっすか? うちのクラスに優等生のくせに金髪野郎がいるんですけど」

平塚「…………ついてきたまえ」

八幡(逃げたな)

奉仕部


平塚「失礼する」

雪乃「平塚先生。入る時にはノックを、とお願いしていたはずですが」

八幡(……ん?)

平塚「すまんすまん。つい忘れてしまってな」

雪乃「それでそのぬぼーっとした人は?」

平塚「彼は比企谷。入部希望者だ」

八幡「…………は?」

平塚「君にはペナルティとしてここでの奉仕活動を命じる」

八幡「嫌です」

平塚「比企谷。ここはセクシーコマンドー部。略してひげ部だ」

八幡「入部します」

雪乃「……っ!?」

平塚「君ならそう言ってくれると思っていたよ。雪ノ下、彼のことを頼んだぞ」

雪乃「え? あの?」

平塚「彼は面白い性格をしているが友達がいなくてな。人との付き合い方を学ばせてやってくれ」

雪乃「それは先生がすればいいのでは? それにここはそんな如何わしい名前の部では……」

平塚「おっと、千葉テレビでガンダムXの再放送が始まってしまう。失礼する」

雪乃「あっ」

八幡「……」

雪乃「とりあえず座ったら?」

八幡「……ああ」

雪乃「初めまして、比企谷君。わたしの名前は雪ノ下雪乃。ここの部の部長をしているわ」

八幡「あれ初めましてだっけか? 確か俺を轢いた車に乗っていたような……」

雪乃「」

八幡「何か凄い心配そうに俺のことを見てただろ。急に飛び出して悪かったな」

雪乃「あ、えっと……」

八幡「こっちが悪いのに沢山慰謝料も貰ってしまったしな。あれで氷菓のBD-BOXが買えたんだ。感謝している」

雪乃「ど、どうも……」

八幡「それで雪ノ下はセクシーコマンドー歴は何年なんだ?」

雪乃「……そのセクシーコマンドーというのは何かしら?」

八幡「知らないのか?」

雪乃「ええ」

八幡「……くそ、平塚先生に騙されたのか……。セクシーコマンドーについては今度漫画を貸すから読んで自分で確認してくれ」

雪乃「あ、ありがとう」

八幡「それでここは何部なんだ?」

雪乃「……っ。そ、そうね。それじゃゲームをしましょう」

八幡「おう。ポケモンバトルでもするか?」

雪乃「しないわ!」

八幡「でも今持ってるゲームってポケモンくらいしかないんだが……」

雪乃「そのゲームではなくこの部を当てるゲームをしようと言ったつもりなのだけれど……」

八幡「それなら早く言ってくれ。言葉足らずはよくないぞ」

雪乃「くっ。ご、ごめんなさい……」

八幡「そうだな。読書をする儚げな少女」

雪乃「誰が儚げなのかしら。それとなぜ急に前髪を弄っているのかしら?」

八幡「神原駿河の部屋並に本が積み立てられてる汚い部室」

雪乃「別に汚くないわ。それに本は後で片づけるつもりだもの」

八幡「なるほど。ここは奉仕部だな」

雪乃「せ、正解よ。さっきの推理関係ないじゃない……」

八幡「一応省エネさんの真似をしてみたんだが」

雪乃「誰かしら? それでなぜ奉仕部だとわかったの?」

八幡「平塚先生に奉仕活動を命じられたからそのまま言ってみただけだが?」

雪乃「」

八幡「生徒たちに奉仕活動をする部活でいいのか?」

雪乃「そ、そうね。と言ってもただ手助けするわけではないわ」

八幡「つまり?」

雪乃「釣った魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えると言った方がわかりやすいかしら」

八幡「なるほど。あくまで補助的な感じか」

雪乃「そうね。こほん、奉仕部へようこそ比企谷くん。歓迎するわ」

八幡「おう。生まれて初めて歓迎されたわ」

雪乃「これが人生最後の歓迎にならないといいわね」

八幡「ああ。心配してくれてありがとな」

雪乃「…………へ?」

八幡「今の話だと依頼方式なのか?」

雪乃「そうね」

八幡「依頼がない時は何をしているんだ?」

雪乃「読書ね」

八幡「あんま依頼は来ないのか?」

雪乃「月に一回あるかないかくらいしかしら」

八幡「暇なんだな。まあ、俺も読書好きだからいいけどよ」

雪乃「そう。……それより比企谷くん」

八幡「ん?」

雪乃「今更で大変申し訳ないのだけれどあの時はごめんなさい」

八幡「何を謝ってるんだ?」

雪乃「だから去年あなたを轢いてしまったことよ」

八幡「いや、お前が運転してたわけじゃないし。それに急に飛び出したのは俺だからな」

雪乃「そうだけれど……」

八幡『だから君は悪くない』

雪乃「何故か今イラっとしてしまったわ」

八幡「それは正しい感情だ」

雪乃「それより不思議ね」

八幡「何がだ?」

雪乃「特にコミュニケーション能力が低いわけでもないのになぜ友人が出来ないのかしら?」

八幡「まあ、この目が腐ってるのと、思ったことをずばっと言ってしまうからだろうな」

雪乃「そうなの?」

八幡「後はこの学校で友人になりたいと思う奴に巡り合えてない」

雪乃「……そう。それはわたしも同じね」

八幡「特にうちのクラスはうるさい奴が多いし。死ねばいいのに」

雪乃「さすがにそれは言い過ぎだと思うのだけれど……」

八幡「まあ、とりあえずこれからよろしく頼むわ」

雪乃「ええ」

今回はここまで
また明日

こっちもよろしくです
八幡「ソードアート・オンライン?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1457623182/)

職員室


平塚「比企谷、なぜ調理実習をさぼった?」

八幡「そりゃあんな下手くそ達と一緒に料理をしたら俺の腕が下がるからですよ」

平塚「なに?」

八幡「俺に調理実習をさせるなら第一席でも連れてくることですね」

平塚「比企谷、君は料理が出来るのか?」

八幡「はい。毎日手作り弁当持ってきてますし」

平塚「な、なんだと……」

八幡「今度よかったら先生の分も作ってきましょうか?」

平塚「いいのか!?」

八幡「はい。一人分増えたところであまり変わらないですし」

平塚「そうか。ではよろしく頼むとしよう」

八幡「うす。それじゃ」

平塚「ああ。部活はさぼるなよ」

奉仕部


八幡「雪ノ下、昨日言ってた漫画だ」

雪乃「あ、ありがとう」

八幡「それと少し相談があるんだが」

雪乃「なにかしら?」

八幡「事故の時に散歩してた女子がいただろ?」

雪乃「ええ。確か由比ヶ浜結衣さんだったかしら」

八幡「そうだ。その由比ヶ浜なんだが一年の時から俺のことをずっと見てくるんだ」

雪乃「ずっと?」

八幡「ああ。視線を感じるたびに振り返ると由比ヶ浜が隠れてるんだよ」

雪乃「隠れるのが苦手なのね」

八幡「たまに男子トイレまでついてきたこともある。由比ヶ浜は俺のストーカーなのだろうか?」

雪乃「ちなみに彼女と話したことは?」

八幡「ない。病院に見舞いに来たことがあったようだがちょうど検査中でな」

雪乃「そう。つまり直接お礼を言われてないのね」

八幡「自宅にも来たみたいでお菓子を貰ってたぞ」

雪乃「なるほど。あなたにお礼を言いたくて様子を伺っていた……。違うわね。さすがに一年も様子を伺うはずないもの」

八幡「だな。となると由比ヶ浜がチョロインで俺に気があるんじゃないかと思うんだ」

雪乃「チョロイン?」

八幡「ラノベでよく出てくる簡単に男に惚れる女のことだ。ISのヒロインたちがまさにそうだな」

雪乃「惚れやすい女子ってことね」

八幡「そういうことだ。ただ俺が勘違いしやすいところもあるから客観的な意見を聞きたかった」

雪乃「そういうこと。そうね。断言は出来ないけれど由比ヶ浜さんはあなたに何かしらの好意を抱いていると思うわ」

八幡「そうか」

雪乃「それにしても一年間も見続けてるなんて怖い子ね」

八幡「そういうのってストーカー気質もあるのか?」

雪乃「そうね。積極性がない分、一度境界線を越えてしまうと何をしでかすかわからないかもしれないわ」

八幡「怖いな……」

雪乃「わたしの小学生の時にクラスメイトの内気な男子にストーカーされたことがあるの」

八幡「確かに由比ヶ浜は所属しているグループはうるさくて死ねと思うが、個人としてはうるさくはないな」

雪乃「一応、気を付けたほうがいいと思うわ」

八幡「ヤンデレ系じゃないことを祈るわ」


結衣「し、失礼しまーす」


雪乃「あら。噂をすれば影とやらね」

八幡「ああ」

結衣「あれ? なんでヒッキーがここにいるの!?」

八幡「ヒッキーとは俺のことか?」

結衣「そうだよ。……やだ、偶然出くわすなんてやっぱあたしとヒッキーって運命的?」

八幡「……ん?」

雪乃「ヒッキー。比企谷くんにぴったりのあだ名じゃない」

八幡「確かに俺は引きこもりだが、学校に来てる時点でレベルが低い引きこもりだ。なのでヒッキーと呼ばれるほどじゃない」

結衣「別に引きこもりだからヒッキーじゃないんだけど……」

雪乃「由比ヶ浜結衣さんだったかしら?」

結衣「うん。なんであたしの名前知ってるの?」

雪乃「ちょうどあなたの話をしてたのよ」

結衣「あたしの?」

八幡「ああ。俺が助けた犬の飼い主が由比ヶ浜だろ?」

雪乃「ついでに比企谷くんを轢いた車に乗っていたのがわたしよ」

結衣「」

八幡「まさかこの三人が同じ空間にいるとは」

雪乃「不思議なものね」

結衣「そんな……」

雪乃「どうしたのかしら?」

結衣「なんでヒッキーから言っちゃうの!?」

八幡「え」

結衣「劇的にあたしが飼い主であることを告白して、そのままお互いに意識する関係を作ろうと思ってたのに!!」

八幡「」

雪乃「」

結衣「酷いよ! せっかく一年もヒッキーのこと監視して様子を伺ってたのに!!」

雪乃(本当に様子を伺ってたのね……)

八幡「なんで俺が怒られてるんだ?」

雪乃「わたしに聞かれても困るわ。由比ヶ浜さん、なぜ一年も比企谷くんに話掛けなかったの?」

結衣「えっと、少女漫画みたいに隠し事をして時間が経ってから打ち明けたほうが燃えるかなと思って」

雪乃「…………はい?」

結衣「だから二年でヒッキーと同じクラスになった時も凄い嬉しかったよ。アオハライドも二年で一緒になったもんね?」

八幡「知らんがな」

結衣「少し計画狂っちゃったけど告白するね。あたしがヒッキーが助けてくれた犬の飼い主です!!」

八幡「お、おう……」

結衣「あの時はありがとね。おかげでサブレは今も元気に暮らしてるよ!」

八幡「サブレって犬の名前か?」

結衣「そうだよ。ヒッキーが助けてくれなかったらサブレはミンチになってたと思うんだ。本当ありがと」

雪乃「……」

八幡「まあ、散歩中はリード離さないように気をつけろよ」

結衣「うん。もう絶対離さないし!!」

八幡「それで由比ヶ浜は奉仕部に何しに来たんだ?」

結衣「あ、本題忘れてた。ヒッキーの告白ついでにクッキーを渡そうと思ったんだ」

八幡「クッキー?」

結衣「うん。でもあたし料理苦手だから。平塚先生に相談したら奉仕部を紹介されて」

八幡「なぜ平塚先生に相談した? あの人見るからに料理出来なさそうだろ」

雪乃「そうね。それに煙草臭い時もあるわ」

結衣「えっと、アニメ見て暇そうにしてたから!」

八幡「あの人は職員室で何してんだよ……」

結衣「それで奉仕部でクッキー作りを教わろうと思ったんだけど。もう打ち明けちゃったしいいかな」

雪乃「そ、そう……」

結衣「確か雪ノ下雪乃さんだよね。あの時は迷惑掛けてごめんね」

雪乃「別に気にしてないわ」

結衣「ありがと。それでヒッキーも奉仕部の部員なの?」

八幡「ああ。副部長だ」

雪乃「あなたを副部長に任命した覚えはないのだけれど」

八幡「雪ノ下が部長だから必然的に俺が副部長になるだろ」

雪乃「……まあ、いいわ。それでは由比ヶ浜さんの依頼はなしということでいいのね?」


結衣「うん。それとあたしも奉仕部に入っていいかな?」

雪乃「理由は? 比企谷くんのことが好きで傍にいたいからじゃないでしょうね?」

結衣「え? なんでわかったの!?」

雪乃「あなたが比企谷くんのストーカーをしてたという話を聞いたからだけれど」

結衣「あたし、ヒッキーのストーカーなんてしてないよ。ずっと見てただけだもん!」

八幡「それもストーキング行為のうちに入るよ」

結衣「でも少女漫画の主人公とか結構相手のこと見てるし! 隣町まで相手の男子を追いかけたりする子もいるみたいだよ?」

八幡「それは少女漫画のキャラじゃないから。……ていうか俺のこと好きなのかよ」

結衣「うん。でもまだ告白はしないし」

八幡「…………へ?」

結衣「夏休みにお祭りがあるでしょ? その時に浴衣姿で告白するつもりなんだけど」

八幡「予告してきたよこの子……」

結衣「それであたしの入部認めてくれる?」

雪乃「駄目よ。そのような理由では入部は認められないわ」

結衣「えー、そんなー……」

八幡「諦めろ。それに俺たちがオッケーしても平塚先生が認めてくれないだろ?」

雪乃「そうね」

結衣「それじゃ平塚先生が認めてくれたらいいの?」

雪乃「え、ええ」

結衣「わかった。聞いてくる!!」

10分後


結衣「平塚先生、認めてくれるって」

雪乃「え」

八幡「マジか……」

結衣「うん。なんかあたしの頭が少しおかしいから奉仕部で更生した方がいいって。酷くない?」

雪乃「頭が少しおかしいのは否定出来ないわ」

八幡「そうだな」

結衣「二人とも酷いし! ていうかヒッキーって結構Sな感じなんだ。ということはあたしは黒王子とオオカミ少女のような……」

八幡「なにぶつぶつ言ってんだ?」

雪乃「さあ?」

結衣「……うん。ヒッキー、あたしのこと苛めてもいいけど暴力はやめてね?」

八幡「安心しろ。男女平等パンチは一級フラグ建築士さんの特権だ」

雪乃「比企谷くんより更正する必要があるようね……」

結衣「それと教室でも話しかけてもいい?」

八幡「それはやめた方がいいんじゃないか」

結衣「なんで?」

八幡「俺って嫌われてるだろ。お前に迷惑を掛けてしまうかもしれない」

結衣「ヒッキー、あたしのこと気遣って。……やばい、超惚れ直したし///」

八幡「え」

結衣「でも大丈夫だよ。少女漫画に障害はつきものだから!」

八幡「お、おう……。ていうかクラスと大分キャラが違うんだが」

結衣「あたし、相手に合わせるのが得意な設定だから」

八幡「設定なのかよ」

結衣「うん。それにヒッキーも優美子みたいな女王様よりあたしみたいなおどおどしてる方がいいでしょ?」

八幡「もうそのキャラは完全に崩れ去ったんだが」

結衣「えー。じゃー教室でもこんな感じでいこうかなー」

八幡「そうなるとお前の周りが困惑するんじゃないか。どうでもいいけど」

結衣「ヒッキー、隼人くん達のこと本当嫌いだよねー」

八幡「まあな」

雪乃「葉山隼人くんのことよね?」

八幡「ああ。笑顔がうさん臭くてな。後は金髪が気に入らない。金髪にするならブレザーの中にアロハシャツ着やがれ」

結衣「隼人くんはみんな仲良しがモットーみたいだから」

雪乃「そう。彼も変わらないのね」

八幡「知り合いなのか?」

雪乃「一応幼馴染よ」

結衣「そうなんだー。ゆきのんも隼人くんのこと好きじゃなさそうだね」

雪乃「ええ。……ゆきのん?」

結衣「うん。雪ノ下さんのあだ名なんだけど」

雪乃「由比ヶ浜さんはあだ名をつけるセンスが皆無なのね」

結衣「そんなことないし。ゆきのん、可愛くない?」

雪乃「…………もういいわ」

八幡「それで葉山と昔なにかあったの?」

雪乃「簡単に言えば彼がわたしへの苛めを止めようとして悪化したことかしら」

結衣「ゆきのんも苛められてたんだ?」

雪乃「ええ。わたし、可愛い「あたしも苛められてたんだー!」

八幡「由比ヶ浜もか?」

結衣「うん。あたしって結構可愛い方だから」

雪乃「」

八幡「そうだな。雪ノ下も由比ヶ浜も嫉妬されてきたのか」

結衣「やった。ヒッキーに可愛いって言ってもらったし///」

八幡「お、もう17時か。そろそろ帰るか」

結衣「うん。ヒッキー、ニケツしてー」

八幡「帰る方向一緒なのか?」

結衣「違うけど?」

八幡「じゃあ駄目じゃねえか」

結衣「バス停まででいから!」

八幡「……わかった」

結衣「ありがと。よし、背中に胸を押し付けてあたしのこと意識させるからよろしくねー」

八幡「よろしくお願いします。……雪ノ下、帰らないのか?」

雪乃「あ、そうね。帰りましょう」

結衣「ゆきのん、またねー」

八幡「じゃーな」

雪乃「……はぁ……」

また明日か明後日
ゆきのんは苦労人になるかも

教室


三浦「あんさー、今日サーティーワン行かない?」

葉山「いや、今日は無理そうかな。部活があるし」

三浦「別に一日くらいよくない?」

葉山「さぼったら先輩に怒られるよ」

三浦「えぇー。でもあーし、超チョコ食べたいしさー」

葉山「悪いけど今日はパスな」

戸部「そうそう。俺らマジ国立狙ってっから」


八幡(だったら駄弁ってないで昼休みも練習しろよ)


結衣「あれ? 国立って改修工事中で使用出来ないんじゃなかったっけ?」

葉山「あ、ああ。今は埼玉スタジアムかな」

戸部「」

結衣「だったら国立目指せないねー。戸部っち、残念!」

葉山「はは、結衣は突っ込みが厳しいな」

三浦「それあるかも。仕方ないから三人で行かない?」

海老名「うん」

結衣「あー、あたしは予定があるから難しいかも……」

三浦「え? なんの用事?」

結衣「実はあたし部活に入ったんだよねー。だからこれからは放課後あまり付き合えないかもなんだー」

三浦「部活? あーし、聞いてないんだけど」

結衣「だって昨日入ったばかりだし?」

葉山「何部に入ったんだ?」

結衣「それは内緒。だからごめんね」

三浦「……あんさー、あーし達、友達なんだから相談くらいしてもよくない?」

結衣「え」

三浦「それに内緒って隠し事とかよくなくない?」


八幡(うげ、面倒くさい人間だな……)


結衣「ご、ごめん……」

三浦「だからさー、ごめんじゃなくて。教えてよ」

結衣「うん……」


八幡(さてそろそろお昼に行くか)


三浦「だからうんじゃなくてさー」

結衣「ちょっとヒッキー、どこに行くの!?」

八幡「」ビクッ

三浦「ひっ」

結衣「あたし困ってんじゃん? ここはあたしを助けるところでしょ!!」

八幡「いや、特に助けは必要ないかと……」

結衣「超必要だし。ここはクラスメイトに理不尽な理由で責められるあたしを助ける少し重要なイベントじゃん!」

八幡「いやどっちだよ」

結衣「もう少しで涙目になってヒッキーに助けを求めようとしたのに!!」

三浦「ゆ、結衣……?」

結衣「うっさい。優美子は少し黙ってて!!」

三浦「ひっ。ご、ごめん……」

八幡「お、落ち着け。お前らのグループ全員フリーズしてるぞ?」

結衣「あっ」

葉山「え、えっと……」

八幡「とりあえずいったん教室から出たほうがいいんじゃないか?」

結衣「う、うん。えっと、ちょっと行ってくるね?」

ベストプレイス


結衣「やっちゃったー……」

八幡「ああ。やらかしたな」

結衣「ヒッキーのせいだし」

八幡「なんでだよ……。これからどうすんの?」

結衣「うーん、謝るしかないよね?」

八幡「これからも付き合うつもりなら謝るしかないんじゃね?」

結衣「だよね。まあ、優美子と姫菜なら大丈夫かな」

八幡「男子共はどうすんだ?」

結衣「男子? あー、隼人くん以外はあたしの胸ばかり見てくるからアレかなー」

八幡「そ、そうなのか?」

結衣「うん。特に大岡くんは超見てくるし。昨日、あたしの胸柔らかった?」

八幡「超柔らかかった」

結衣「やった。ヒッキーに褒められたし!!」

八幡「俺のアルマギアが硬くなるまである」

結衣「アルマギア? それと今日もバス停まで乗せてくれる? ていうか毎日乗せてほしいんだけど」

八幡「無論死ぬまで」

結衣「ありがと、ヒッキー。それじゃ優美子達に謝ってくる」

八幡「おう。三浦のやつ、だいぶ怯えてたけど大丈夫か?」

結衣「うん。優美子って外見はアレだけど結構びびりだからさー」

八幡「そうなのか?」

結衣「そうだよ。あの金髪が虚勢張ってる証拠みたいなもんだし」

八幡「ということは葉山も虚勢張ってるのか?」

結衣「隼人くんはどうだろう? チャームポイント狙いとか?」

八幡「それはないだろ」

結衣「あはは、だよね。それじゃまたね」

八幡「おう」

放課後


八幡「んで仲直りは出来たのか?」

結衣「うん。少し優美子が怯えてたけどそのうち治ると思うし」

八幡「そ、そうか……」


雪乃「……」


結衣「ゆきのんだ。やっはろー!」

雪乃「ゆ、由比ヶ浜。それに比企谷くんも」

八幡「うす。部室の前でなにしてんだ?」

雪乃「部室に不審人物がいるの」

八幡「不審人物?」

雪乃「ええ」

八幡「んじゃ中に入って様子見てみるか」

結衣「やば、ヒッキー男らしい///」

八幡「いや普通だろ」


材木座「クククッ、まさかこんなところで出会うとは驚いたな。待ちわびたぞ、比企谷八幡!!」


八幡「なんだ材木座じゃねえか」

結衣「ヒッキー、知り合い?」

八幡「隣のクラスの奴だ。体育で一緒に組むことが多いんだ」

結衣「ふーん」

八幡「見た目はアレだが、声だけならイケメンだぞ」

結衣「ホントに?」

八幡「ああ。材木座、アレやってくれ」

材木座「ふむ。いいだろ。……邪王炎殺黒龍波ぁぁぁぁぁぁ!!」

結衣「ホントだ。声だけなら超カッコいい!!」

雪乃「確かにそうね」

八幡「なんか声だけ幽白の飛影にそっくりなんだよな」

材木座「っ///」

八幡「照れんな。気持ち悪い。それで何の用だ?」

材木座「ふむ。またラノベを書いたので読んで感想をくれ」

5分後 部室


雪乃「そう。比企谷くんは時々彼の自作小説を読んでいたのね」

八幡「ああ。くそつまらないけどな」

材木座「ぶひっ!」

結衣「でも小説書けるなんて凄いじゃん。中二病って作家さんになりたいの?」

材木座「うむ。ラノベ作家になってアイドル声優と結婚するのが目標である!!」

結衣「その容姿じゃ無理じゃないかな?」

材木座「げふぅっ!!」

八幡「んじゃ毎回俺だけの感想もあれだし、雪ノ下と由比ヶ浜も読んで感想を言ってやってくれないか?」

雪乃「別に構わないけれど」

結衣「あたし、漫画じゃないとちょっと……」

八幡「だよな。読み終わったら連絡するからその時に部室に来てくれるか?」

材木座「構わぬ」

八幡「てか毎回俺に酷評されてるのに懲りないなお前は」

材木座「酷評はされても、自分が好きで書いたものを誰かに読んでもらえて、感想を言ってもらうのはいいものだからな。……読んでもらえるとやっぱり嬉しいよ」

八幡「……そうか。ま、今回もこき下ろしてやるから覚悟しとけ」

材木座「無論だ」

結衣「ていうかアイドル声優と結婚したいなら、声優さん目指した方がよくない?」

材木座「え」

結衣「中二病って声だけなら凄いカッコいいじゃん。ならラノベ作家より声優さんの方が可能性あるんじゃん?」

材木座「……小説書くのもうやめようかな……」

八幡「おい」

材木座「だって可能性感じたんだ。そうだ、ススメ!!」

八幡「雪ノ下、職員室のシュレッダー借りようぜ」

材木座「ごめんなさい!!」

おまけ


戸部「マジかー。国立目指せねーじゃん。やばいっしょ?」

葉山「埼玉スタジアムを目指せばいいだろ」

戸部「確かにそうだけどさー。なんかテンションあがんなくない?」

葉山「気持ちは少しわかるよ」

戸部「だべ? てか主将が目指せ国立とか言ってたけど、改修工事中のこと知らないんじゃね?」

葉山「戸部じゃあるまいしそれはないだろ」

戸部「隼人くん、ひどいわー。ナチュラルに俺の傷を抉ってくるわー」

ここまで
また今度

1巻のゆきのんのヤンキー座りはなんだったんだ

昼休み


八幡「今日も飯が美味い」

結衣「ヒッキーのお弁当っていつも美味しそうだよねー」

八幡「美味しそうじゃなくて美味しいんだ。由比ヶ浜は自分で作らないのか?」

結衣「うん。それに少女漫画の主人公って料理出来ない子が多いじゃん?」

八幡「いや、俺は君に届けくらいしか知らないから」

結衣「そっかー。他にも結構面白いのあるから見てみてよ」

八幡「時間があればな。それより三浦達と一緒に食べないのか?」

結衣「うん。ヒッキーと一緒に食べたいし」

八幡「まあ、あまりないがしろにするなよ」

結衣「大丈夫だよ。週末は一緒に遊びに行く約束してるから」

八幡「ほーん」

結衣「あれ? さいちゃんだ。おーい!!」


戸塚「あ、由比ヶ浜さん。それに比企谷くんも」


結衣「よっす。練習?」

戸塚「うん。うちの部活は弱いから。前から昼休みにも練習させて下さいってお願いしててやっとOKが出たんだ」

結衣「さいちゃん、真面目だねー」

戸塚「そんなことないよ。弱いから練習するのは当たり前だし。そういえば比企谷くんもテニス上手いよね?」

八幡「見られてたのか?」

戸塚「うん。フォームも綺麗だしもしかして経験者?」

八幡「いや、ベイビーステップを見てるだけだ」

戸塚「漫画見ただけであれだけ出来るんだ……」

八幡「俺は運動神経いいからな」

結衣「ヒッキー、中学の時に表彰されてたもんね?」

八幡「おう。…………なんで知ってんの?」

結衣「あたしの同中の子がヒッキーと同中の子と友達なんだって。その子から色々聞いたんだよ」

八幡「そ、そうか。……よくない話ばっかりだっただろ?」

結衣「うん。でもこんなの少女漫画なら当たり前だし」

八幡「さよですか」

戸塚「二人とも仲良いよね。最近は教室でも話してるみたいだし」

結衣「うん。てかヒッキーはさいちゃんのこと知ってたの?」

八幡「一応クラスメイトだし。それに有名人だろ?」

戸塚「そんなことないよ」

結衣「そんなことあるし。さいちゃん、女子の中で人気抜群だし」

戸塚「そ、そうなの?」

結衣「うん。女の子にしか見えないとか!」

戸塚「そ、そうなんだ……」

八幡「男ならそう言われても嬉しくないよな」

結衣「そうなの?」

八幡「ああ。由比ヶ浜だって男前とか言われても嬉しくないだろ?」

結衣「うん。嬉しくない」

八幡「男も可愛いって言われても嬉しくないんだ」

戸塚「比企谷くんも可愛いとか言われてたの?」

八幡「いや全く。漫画でそういう話を見ただけだ」

戸塚「漫画好きなんだね。今度、体育の授業でペア組まない?」

八幡「いいけど足引っ張るかもしれないぞ」

戸塚「大丈夫だよ。僕の見た感じは男子の中で一番上手いと思うし」

八幡「高評価だな。まあ、よろしく頼む」

戸塚「うん!」

翌日 奉仕部


雪乃「比企谷くん、漫画ありがとう。面白かったわ」

八幡「おう。楽しんでもらえてよかった」

雪乃「特にめそというキャラが可愛かったわ」

八幡「外見はな。そういえば由比ヶ浜は漫画好きだが雪ノ下はどうなんだ?」

雪乃「めったに見ないわね。……その、もしよかったらでいいのだけれど……」

八幡「ん?」

雪乃「また面白い漫画を貸してくれないかしら?」

八幡「いいぞ。今度はどういうのがいいんだ?」

雪乃「ありがとう。そうね、スポーツものにしようかしら」

八幡「スポーツものか。わかった、また明日持ってくる」

雪乃「よろしくお願いするわ。そういえば、由比ヶ浜さんは?」

八幡「そういえば教室にもいなかったな」


結衣「やっはろー!」


雪乃「こんにちは、由比ヶ浜さん」

八幡「遅かったな」

結衣「うん。今日は依頼人を連れてきたんだー」

雪乃「依頼人?」


戸塚「し、失礼しまーす……」


八幡「戸塚か」

戸塚「比企谷くん? ここで何してるの?」

八幡「俺は部活だ」

戸塚「比企谷くん、部活やってたんだ。ここが奉仕部でいいんだよね?」

八幡「ああ。名前がアレだが如何わしい部活じゃないぞ」

雪乃「当たり前でしょ。奉仕部へようこそ、戸塚彩加くん」

戸塚「僕のこと知ってるんだ」

雪乃「ええ。わたしは部長の雪ノ下雪乃よ。とりあえず座ったら?」

戸塚「あ、はい。失礼します」

5分後


雪乃「そう。つまりあなたのテニスの技術向上を助ければいいのね?」

戸塚「うん。僕が上手くなればみんなももう少しやる気出してくれるのかなって」

八幡「上手くなりたいならスクールに通った方がいいじゃないか?」

戸塚「そうだね。でもなるべくみんなが見えるところでやった方がいいかなと思って」

八幡「なるほど。確かに一理あるな」

戸塚「それにスクールはお金も掛かるから。……それで受けてくれるかな?」

雪乃「いいでしょう。あなたの依頼を受けるわ」

八幡「依頼を受けるのはいいけど。雪ノ下はテニス経験者なのか?」

雪乃「ええ。アメリカに留学していた時も趣味で行っていたわ」

結衣「ゆきのん、アメリカに行ってたの!?」

雪乃「中学の時にね」

結衣「それじゃ英語話せるの?」

雪乃「もちろんよ」

戸塚「本場アメリカにプレイしてたんだ。凄いや!!」

雪乃「そ、そんな大したことないわ。週六でスクールに通ってただけだもの」

八幡「がっつりやってるじゃねえか」

雪乃「こほん。放課後は部活があるのよね? では早朝と昼休みに練習しましょう」

戸塚「早朝はさすがに悪いんじゃ……」

雪乃「大丈夫よ。ねえ、二人とも?」

八幡「おう。いつもランニングしてるから問題ないぞ」

結衣「あたしもサブレの散歩で早起きしてるから大丈夫!」

雪乃「それじゃ明日からさっそく始めましょう」

翌朝


雪乃「まずは体作りね。わたしがスクールで行っていたメニューよ」

戸塚「うっ。筋トレが沢山ある……」

雪乃「戸塚くんのスポーツテストの結果を見て、最適のメニューを用意したつもりなのだけれど」

戸塚「……うん。やっぱりある程度筋トレはしないと駄目だよね」

雪乃「そうね。基礎体力は問題ないのだけれど、筋力がなさすぎるわ」

戸塚「うっ」

八幡「見るからに細いもんな」

雪乃「比企谷くんはどうなの?」

八幡「戸塚よりマシだが俺もある方じゃねえな」

雪乃「そう。それじゃ今日から頑張りましょう」

結衣「おー!!」

一週間後


八幡「よう」

戸塚「あ、比企谷くん。おはよう」

八幡「意外と元気そうだな」

戸塚「うん。昨日の午後はずっと休んでたから」

八幡「そうか。俺もずっと引きこもってた」

戸塚「同じだね。そういえばなんで今日は朝練ないんだろ?」

八幡「戸塚の疲れを考慮してじゃないか?」

戸塚「そっか」


材木座「は、八幡……。その、御仁は……?」


八幡「材木座か。クラスメイトの戸塚だ」

戸塚「初めまして。戸塚彩加です。比企谷くんのお友達だよね?」

材木座「ふむ。ソウルメイトである」

八幡「いや、そこまでじゃないから」

戸塚「比企谷くんのお友達なら、僕ともお友達になれる、かな。そうだと、嬉しいけど」

材木座「……まあ、そこまで言われたら仕方があるまい。貴公のお友達になってやろう」

戸塚「ありがとー。これからよろしくね!」

材木座「はふんっ!!」

八幡「材木座、戸塚は男子だからな?」

材木座「ふぁっつ!?」

昼休み


雪乃「それじゃ今日からはボールを使った練習をしましょう」

戸塚「うん!」

雪乃「……と言いたいのだけれど、少し体調が悪くて……」

結衣「ゆきのん、大丈夫?」

雪乃「え、ええ。比企谷くん、戸塚くんに球出しをしてくれないかしら?」

八幡「ああ。なんか辛そうだな」

戸塚「雪ノ下さん、保健室に行った方がいいんじゃ?」

雪乃「そうね……。少し行ってくるわ。ごめんなさい……」

戸塚「気にしないで」

雪乃「それじゃ……」

八幡「あんな顔色悪い雪ノ下は初めて見たな」

結衣「下腹部押さえてたし生理痛かもね」

八幡「」

戸塚「」

結衣「あたしはそこまで痛くないんだけど、そんな痛いのかな?」

八幡「いや、俺たちに聞くなよ……」

戸塚「そ、そうだね……」

結衣「あたし、ゆきのんに付き添ってくるね」

八幡「おう。それじゃ始めるか」

戸塚「うん!」

10分後


戸塚「ふぅ。やっぱり9分割も難しいや」

八幡「そうだな。ただ身体能力に優れない戸塚が強くなるためには……」

戸塚「コントロールの向上が絶対不可欠だよね」

八幡「ああ」


三浦「あ、テニスしてんじゃん。テニステニス!」


八幡「げっ」

戸塚「あ、三浦さん達だ」

三浦「ね、戸塚ー。あーしらもここで遊んでていい?」

戸塚「僕らは遊んで「駄目に決まってんだろ」

三浦「……は?」

八幡「俺たちは遊んでるわけじゃねえんだよ。練習してるんだ。それにこのコートは戸塚がお願いして使わせてもらってるから他の奴は無理だ」

三浦「は? だから? あんた部外者なのに使ってるじゃん」

八幡「俺は戸塚の依頼を受けて練習の手伝いをしてるんだ。アウトソーシングってやつだ」

三浦「はぁ? 何意味わかんないこと言ってんの? キモいんだけど」

八幡「アウトソーシングも知らないのかよ。よくそんなんでこの学校に入れたな」

三浦「……あーしのこと馬鹿にしてんの?」


葉山「まぁまぁ、あんまケンカ腰になんないでさ」


八幡「ちっ」

葉山「ほら、みんなでやった方が楽しいしさ。そういうことでいいじゃないか?」

八幡「みんなでやった方が楽しいねえ。……わかった。それじゃお前らも戸塚の練習に付き合ってくれるってことでいいんだよな?」

葉山「そういうことになるね」

八幡「そっか。それじゃこれから毎日よろしく頼むわ」

葉山「え」

八幡「俺たちは早朝と昼休みに戸塚の練習に学校がある日は毎日付き合ってるんだ」

葉山「いや、流石に毎日は……」

八幡「そうだよな。お前だってサッカー部の練習があるもんな。なら戸塚の気持ちわかるよな?」

葉山「戸塚の気持ち?」

八幡「ああ。確かお前ら埼玉スタジアム目指してるんだっけ?」

戸部「っべー。ヒキタニくん、掘り起こさないで欲しいわー」

八幡「俺はヒキタニじゃなくて比企谷だ。次間違えたらぶっ殺すぞ?」

戸部「わ、ワリィ!!」

葉山「あ、ああ。一応全国を目指してるよ」

八幡「ならお前らが真剣に練習してる時に部外者が楽しそうだから仲間に入れてくれ、と言ってきたらどう思う?」

葉山「……そうだな。俺たちが悪かった。みんな、行こう」

三浦「ちょっ、隼人!?」

八幡「あ、思い出した。三浦はコート使ってもいいぞ?」

三浦「はぁ? 急に何言ってんの?」

八幡「由比ヶ浜から聞いたんだが中学でテニスしてたんだろ。それなら戸塚のいい練習相手になりそうだしな」

三浦「ざけんな。あんたの言うことなんて絶対聞かないし」

八幡「それじゃ俺がコートから出ろって言ったらテニスしてくれんの?」

三浦「……っ!!」

葉山「比企谷くん。もうその辺で許してくれないか?」

八幡「……ああ。葉山、自分の彼女の手綱くらいしっかり握ってろよ」

三浦「か、彼女ってっ///」

葉山「比企谷くん、何を言ってるんだ?」

八幡「戸塚、練習再開するか」

戸塚「う、うん……」

三浦「あーしが隼人の彼女///」

葉山「優美子!?」

放課後


雪乃「そう。そんなことがあったのね」

八幡「ああ。それより由比ヶ浜、確認したいことがあるんだが」

結衣「なに?」

八幡「三浦は中学でテニスしてたって言ってただろ?」

結衣「うん。県選抜にも選ばれたって聞いたし」

八幡「それって硬式と軟式どっちだ?」

結衣「確か硬式だったと思う。部活じゃなくてスクール行ってたみたいだし」

八幡「そうか。なら本当に戸塚のいい練習相手になりそうだな」

雪乃「比企谷くん、何を考えているの?」

八幡「ちょっと利用させてもらおうと思ってな」

翌日 放課後


結衣「隼人くん、今日も部活?」

葉山「ああ。戸塚を見習って朝練もするようになったんだ」

結衣「そうなんだー。やっぱ部活で頑張ってる人っていいよねー」

葉山「そうだな」

三浦「……」

結衣「女子でもそう思う?」

葉山「え?」

結衣「ぐうたらしてる子より部活を頑張ってる子の方がいいと思う?」

葉山「そうだな。俺は部活で汗を流して頑張ってる子はいいと思うよ」

三浦「……っ!?」

結衣「だよねー。あたしもバスケ続ければよかったかも」

葉山「今からでも遅くないんじゃないか?」

結衣「うーん、でも違う部活に入ってるし。それじゃまたね!」

葉山「ああ」

三浦「……」

葉山「優美子、俺も部活に行ってくるよ。また明日な」

三浦「あ、うん……」

週明け 奉仕部


結衣「ヒッキー、優美子がテニス部に入部したみたい」

八幡「そうか」

雪乃「あなたの計算通りってことかしら?」

八幡「どうだろうな。まあ、三浦目当ての男子部員が出来れば今よりマシになるんじゃねえの」

結衣「確かに優美子は外見は可愛いからねー」

雪乃「あなた結構容赦ないこと言うのね」

八幡「それに戸塚の技術向上にもつながるだろ」

雪乃「そうね。そういえば貸してもらった黒子のバスケ、全部読み終えたわ」

八幡「そうか。どうだった?」

雪乃「これも面白かったわ。それに……」

八幡「ん?」

雪乃「何でもないわ。次は何がいいかしらね?」

結衣「ゆきのん、あたしの漫画も貸そうか?」

雪乃「少女漫画を読んだら頭が由比ヶ浜さんみたいになりそうだから遠慮しておくわ」

結衣「どういう意味だし!?」

また今度
次はチェーンメールかな

屋上


八幡(屋上は誰もいなくていいな)

八幡(たまにこうして一人で風を感じるのもいいもんだ)

八幡「……今日は風が騒がしいな」


川崎「馬鹿じゃないの」


八幡「……っ!?」

川崎「どこ見てんの?」

八幡「誰だ何処にいる!?」

川崎「上だけど」

八幡「……ん? ……っ!!」

八幡(黒のレースだと!?)

川崎「これあんたの?」

八幡「あ、ああ。俺の紙だ。すまん」

川崎「別に」

八幡(あれ聞かれてたのか。だったら風が泣いてるとか言ってくれよ)

職員室


平塚「由比ヶ浜、なぜ呼び出されたかわかるか?」

結衣「あたし、ヒッキーと学校でエッチなことしてないですよ?」

平塚「違う! この職場見学希望票のことだ!!」

結衣「なにか問題でもあったんですか?」

平塚「ありまくりだ。なぜ比企谷の自宅を希望しているんだ君は!?」

結衣「だって将来ヒッキーのお嫁さんになりますし。専業主婦にとって家庭が職場みたいなものだってママが言ってました」

平塚「専業主婦だと!?」

結衣「はい。なのでヒッキーの自宅があたしの将来の職場です!」

平塚「……」

結衣「あ、でも実家に暮らすと決まったわけじゃないし?」

平塚「いいから企業の中から選んで書き直しをしてこい」

結衣「はーい」

放課後 奉仕部


八幡「由比ヶ浜。なんで俺んちを職場見学希望に出したんだよ?」

結衣「だって将来ヒッキーのお嫁さんになるし?」

八幡「まだわからないだろ」

結衣「大丈夫だよ。少女漫画って高校卒業したらすぐに結婚式のシーンに飛ぶし」

八幡「大学生活はカットされるのかよ……」

雪乃「あなた達、早く付き合ったら?」

結衣「だから付き合うのは夏祭りの日なんだってば」

八幡「ていうか俺がオッケーすると思ってるのか?」

結衣「え? してくれないの?」

八幡「するけど?」

結衣「ヒッキーならそう言ってくれると思った!」

雪乃「はぁ……」

結衣「あ、メールだ。……またこれかぁ……」

八幡「どうしたんだ?」

結衣「ううん。嫌なメールが来ただけ」

八幡「そうか。俺もたまに迷惑メールが来るな」

結衣「迷惑メールよりたちが悪いかも。あ、ヒッキーと連絡先交換してなかった!!」

八幡「そういえばそうだな」

結衣「ヒッキー、教えて!」

八幡「おう」

雪乃「まだ連絡先を交換してなかったのね」

結衣「うん。うっかり忘れてたよ。ゆきのんとはすぐに交換したのにね」

八幡「そうなのか」

結衣「ゆきのんもヒッキーと連絡先交換したら?」

雪乃「……いいの?」

八幡「ああ。登録したらメールを送っておいてくれ」

雪乃「ええ。比企谷くんはラインもしているのかしら?」

八幡「ああ。相手は妹しかいないがな」

結衣「今日からはあたしも相手してあげるからね?」

八幡「おう」

30分後


結衣「今日も暇だね」

八幡「ああ。勉強し放題だな」

雪乃「そうね」

結衣「二人とも勉強好きだよねー」

雪乃「そこまで好きではないけれど。学生の本分だからしているだけよ」

八幡「中間も近いんだから由比ヶ浜もした方がいいじゃないか?」

結衣「あたしは赤点取らなければいいし。どうせ短大進学志望だから」

雪乃「四年制ではないの?」

結衣「うん。ヒッキーは四年制でしょ?」

八幡「ああ」

結衣「だからあたしはヒッキーより早く就職して結婚資金でも貯めておこうかなって」

雪乃「意外と考えているのね」

結衣「意外とか失礼だし。高卒はアレだから短大くらい出ておこうかなって」

雪乃「だそうよ?」

八幡「お、おう……。由比ヶ浜の未来設計図に俺は完全に組み込まれてるんだな」

結衣「当たり前じゃん。今は暇な時に高校卒業したら同棲するアパートを探してるし」

八幡「探すの早すぎるから……」

結衣「善は急げだし!」

翌日 教室


戸塚「八幡、おはよ」

八幡「おはようさん」

戸塚「えっと、名前で呼んじゃったけどいいかな?」

八幡「いいぞ。家族以外で名前で呼ばれたのは初めてだ」

戸塚「そっか」

八幡「それで部活の方はどうだ?」

戸塚「うん。三浦さんが入部してくれたおかげでだいぶ活気づいたよ」

八幡「そうか。噂だと戸塚が三浦を泣かせたと聞いたんだが?」

戸塚「あれは試合で僕が勝ったら三浦さんが悔し泣きしちゃって……」

八幡「そういうことか」

戸塚「それより八幡は職場見学の場所決めた?」

八幡「うーん、アニメイトだな」

戸塚「楽しそうな場所だね。実は僕一緒に行く人がいないんだけど組まない?」

八幡「もちろんだ。後一人はどうする?」

戸塚「適当に余った人を入れればいいんじゃないかな」

八幡「そうだな」

戸塚「それじゃまた後でね」

八幡「おう」

放課後 部室


八幡「もう17時か」

雪乃「そろそろ帰りましょうか」

結衣「うん」


葉山「お邪魔します」


八幡「うげっ」

結衣「あ、隼人くんだ」

雪乃「……」

葉山「こんな時間に悪い。ちょっとお願いしたいことがあってさ」

雪乃「それは奉仕部への依頼ということでいいのかしら?」

葉山「ああ。雪乃ちゃんは話が早くて助かる……あっ」

雪乃「……」

結衣「雪乃ちゃん? 隼人くんってゆきのんの知り合いだったの?」

葉山「あ、いや……」

雪乃「ええ。彼とは幼馴染なのよ」

結衣「えー!?」

八幡「幼馴染。負けフラグか」

雪乃「比企谷くんは何を言ってるのかしら。次にちゃん付けをしたら額に肉と書くわよ」

葉山「す、すまない。気を付けるよ」

雪乃「それで依頼の内容は?」

葉山「ああ。これを見てくれないか?」

雪乃「『お楽しみ頂いた有料サイトの料金が未納の為本日連絡無ければ民事裁判での請求となります』?」

結衣「隼人くん……」

八幡「早く払えよ」

葉山「ち、違うんだ。これは架空請求で! それとメールはこっちの間違いだ!!」


『戸部は千葉市中央区のカラーギャングの仲間でゲーセンで他人の掌にボールペンを刺していた』

『大和は二股をかけている最低の誠野郎』

『大岡は練習試合で相手校のエースを潰すために一塁カバーに入った相手エースの足を踏んだ』


八幡「お、おう……」

結衣「これが昨日言ってたやつだよ」

雪乃「なるほど。由比ヶ浜さんが言っていたのはチェーンメールだったのね」

葉山「これが出回ってから、なんかクラスの雰囲気が悪くてさ」

八幡「いや、雰囲気が悪くなってるのはお前らのグループだけだろ」

葉山「え」

八幡「お前ら結構嫌われてるから内心ざまぁみろだと思われてるぞ」

葉山「」

八幡「まあトップカーストだから直接言う奴は俺以外いないがな」

結衣「え? あたしらも?」

八幡「女子で嫌われてるのは三浦くらいか。特に戸部と三浦はうるさいし。騒音と言っても過言ではないまである」

結衣「よかったー。戸部っちと優美子はわかるけど隼人くんも?」

八幡「葉山の場合は妬みがほとんどだろうな。金髪の不良のくせにモテるから」

葉山「俺は不良じゃないんだけどな……」

八幡「なら髪を黒髪か茶髪にしろ」

葉山「これは俺のチャームポイントなんだ。見逃してくれないか?」

八幡「本当にチャームポイントだったのかよ……」

結衣「あたしの言ったの当たったし」

雪乃「本題に戻りましょう。それで犯人を見つければいいのかしら?」

葉山「いや、犯人捜しはしなくていい。丸く収まる方法を知りたいんだ」

雪乃「そんなの犯人を見つけるしかないでしょう」

葉山「……やっぱりそうだよね……」

雪乃「止めるなら大本を根絶やしにしないと効果がないわ。ソースはわたし」

八幡「経験者か。それは心強いな」

雪乃「任せなさい。それでメールが出回ったのはいつ頃からかしら?」

葉山「確か先週だったかな?」

結衣「うん」

雪乃「何かクラスで変わったことあった?」

葉山「うーん、結衣と比企谷くんが教室でいちゃついてるくらいかな?」

結衣「隼人くんやめてよー///」

八幡「見てんじゃねえよ。ていうかいちゃついてないし」

雪乃「他に何かないの?」

八幡「あれだ。職場見学のグループ分けがあった」

結衣「……うわー、それだ。グループ分けのせいだ」

葉山「え? そんなことでか?」

結衣「いやー。こういうイベントごとのグループ分けはその後の関係性に関わるからね」

八幡「葉山のグループは決まってるのか?」

葉山「いや、まだだけど……」

雪乃「ということは犯人はだいぶ絞れたわね」

八幡「ああ」

葉山「まさか戸部達の中に犯人がいるってことか?」

八幡「だろうな」

葉山「でも三人それぞれを悪く言う内容なんだぜ?」

結衣「そんなの自分に疑いが掛からないようにするために決まってるし」

葉山「……」

雪乃「とりあえず三人の特徴を教えてくれるかしら?」

葉山「あ、ああ。戸部はノリだけで生きていて、先のことを考えないお馬鹿さんだ」

雪乃「」

葉山「大和はいつも相槌をうつばかりで自分の意見を言わない。正直何を考えているかわからないよ」

雪乃「そ、そう……」

葉山「大岡はお調子者で臆病かな。前にゲーセンで不良に絡まれた俺を置いて逃げてったことがあったよ」

八幡「お前、よく友達やってられんな……」

結衣「大岡くん、最低だし……」

雪乃「全員が犯人に思えてきたわね」

葉山「でも戸部は違うと思う。あいつが犯人なら自分のことは悪く言う内容は書かないはずだ」

雪乃「なぜ言い切れるのかしら?」

葉山「戸部は馬鹿だから」

八幡「お、おう……」

葉山「大和も違うかな。あいつは下ネタが苦手な童貞だから。顔がゴリラだし三股が出来るわけがない」

結衣「ご、ゴリラって……」

雪乃「と言うことは大岡くんが犯人ということかしら?」

葉山「それは……」

八幡「葉山、大岡ってアニメ好きか?」

葉山「え? なんでそんなことを聞くんだい?」

八幡「いいから」

葉山「そうだね。アニメは詳しいみたいだけど」

八幡「なら犯人は大岡で決まりだな」

雪乃「どういうこと?」

八幡「チェーンメールの内容が全部アニメネタが入ってるんだよ」

雪乃「な、なるほど。大岡くんは馬鹿なのかしら?」

八幡「だろうな。それでどうするんだ?」

葉山「そんな大岡が……」

結衣「ちょっとあたし明日からどう接していいかわからないかも」

八幡「わからないかもって大岡のこと嫌いって言ってたし何も変わらないだろ」

結衣「あ、そっか」

葉山「え? 結衣は大岡のこと嫌いだったのか?」

結衣「うん。だって胸ばっか見てくるし。絶対夏になったら透けブラ狙ってくるよ」

葉山「そ、そうか……」

八幡「んでどうすんだよ?」

葉山「そうだな。……甘いと思うけど大岡を排除する以外に解決する方法はないかな?」

八幡「いや、誰も排除しろとは言ってないんだけど……」

雪乃「そうね。葉山くんは彼らにどうなって欲しいの?」

葉山「どうなってほしい?」

雪乃「ええ。今の話を聞くと葉山くんが関わらなければお互いに友達とは思ってないじゃない」

結衣「……あ、確かにそうかも。隼人くんがいないときは三人全く喋ってないし」

葉山「そうだったのか……。俺は三人が本当の友達になってくれればいいと思う……」

八幡「本当の友達ねえ。まあ、スタートラインは最悪だが方法がないわけじゃない」

葉山「本当か!?」

八幡「ああ。お前がグループから抜ければいい」

葉山「え? 俺が?」

八幡「そうだ。トラブルの原因はお前だからな。お前が違う奴らと組むと言えばあいつらも三人で組むしかなくなるだろ。他の奴らから嫌われてるし」

葉山「……そうか。そうだな。やってみるよ」

雪乃「大岡くんを許すのね?」

葉山「ああ。俺は大岡を許す。あいつら三人が仲良くなった方が絶対面白くなると思うんだ」

八幡「……っ」

葉山「それに例えば友達を見捨てるチキン野郎でも仲間外れにして、自分は楽しくして学校生活を過ごすなんて俺には無理だ」

八幡「ふはっ」

葉山「な、なんだい?」

八幡「いや、結構お前も面白いと思ってな。なら俺と戸塚と組むか?」

葉山「いいのか?」

八幡「ああ。ちょうど余り者を探してたからな」

葉山「はは、酷いな。でも助かるよ」

結衣「これで解決でいいのかな?」

雪乃「本人が言ってるならいいんじゃないかしら」

八幡「ちなみにアニメイトに行くからな」

葉山「」

ここまで
八幡が葉山を少し見直した感じですた

ファミレス


結衣「えへへー、ファミレスで勉強会ってなんか青春って感じだよねー」

八幡「そうか?」

雪乃「わたしはファミレスより自宅で一人でしたいのだけれど」

結衣「一人じゃ絶対勉強しないし!」

八幡「いや、するだろ」

雪乃「するわね」

結衣「でも自宅って誘惑多いじゃん?」

八幡「誘惑に負けないかどうかは自分の心次第だ」

雪乃「そうね」

結衣「うー、ヒッキーがゆきのんの味方になってるし」

八幡「いいから勉強するぞ」

30分後


結衣「そういえばヒッキーって成績いいの?」

八幡「一応学年2位だな」

結衣「凄いじゃん。もしかしてゆきのんが1位?」

雪乃「ええ。比企谷くん、中々やるじゃない」

八幡「1位に言われてもな……」


小町「あ、お兄ちゃんだ」


八幡「おう。お前、なにしてんの?」

小町「や、大志くんから相談を受けてて」

大志「川崎大志っす。よろしくお願いします!」

八幡「……小町の彼氏?」

小町「まさかー。ただの友達だよー。お互い四月から塾に通い始めたんだよねー」

大志「……」

小町「それより……。やー、どうも。比企谷小町です。兄がいつもお世話になってます」

雪乃「比企谷くんの妹さん? わたしは雪ノ下雪乃。奉仕部の部長をしているわ」

結衣「あたしはヒッキーのクラスメイトの由比ヶ浜結衣だよ。小町ちゃん、やっはろー!」

小町「や、やっはろー?」

結衣「てか久しぶりだよねー」

小町「……面識ありましたっけ?」

結衣「」

八幡「俺が助けた犬の飼い主だ」

小町「あー! お菓子を持ってきてくれた人ですね!」

結衣「お、お菓子の人……」

小町「てかお兄ちゃん、いつのまにハーレム作ってたの?」

八幡「いや、ハーレムじゃないから」

結衣「そ、そうだよ。ヒッキーはあたしの彼氏になる予定なんだから!」

小町「」

結衣「ね? ヒッキー! ね?」

八幡「お、おう……」

小町「お、お兄ちゃんに彼女が……」

結衣「付き合ったら報告するからよろしくねー」

小町「は、はい……」

大志「あの、比企谷さん。俺どうしたら?」


5分後


雪乃「なるほど。お姉さんが不良化ね」

大志「はい」

結衣「川崎沙希ってあたしとヒッキーのクラスメイトだし」

八幡「由比ヶ浜は喋ったことあるか?」

結衣「挨拶くらいかな? やっはろーって言ったら凄い睨まれたし……」

雪乃「それは当たり前の反応だと思うのだけれど」

結衣「えー」

雪乃「それでいつから様子が変わったのかしら?」

大志「二年生になってからっすね」

雪乃「ということは由比ヶ浜さんと同じクラスになってからおかしくなったのね」

結衣「ちょっとゆきのん!?」

八幡「由比ヶ浜の馬鹿が移ったのか」

結衣「ヒッキーまで酷い。あたし以外にも戸部っちとかさがみんとか馬鹿多いし!」

小町「それで帰りが遅いって何時くらいなの?」

大志「5時っす」

八幡「朝じゃねえか……」

大志「そうなんすよ。両親は共働きで下に弟と妹がいるんで姉ちゃんにはうるさく言わないんす……」

八幡「そうか。とりあえずお前は川崎が変わった理由を知りたいんだな?」

大志「はい」

八幡「雪ノ下、どうする?」

雪乃「そうね。大志くんのお姉さんが本校の生徒なら依頼を受けましょう」

大志「ありがとうございます!」

翌日 奉仕部


雪乃「それでは作戦会議を始めましょう」

結衣「とりあえず本人に聞いてみるとか?」

八幡「却下。家族にも言わないんだから他人の俺たちに言うわけがないだろ」

結衣「だよねー」

雪乃「目上の人から言われたらどうかしら?」

八幡「目上の人ねえ。平塚先生か?」

雪乃「ええ。平塚先生は中身はアレだけれど生活指導も行っているし」

八幡「そうだな。んじゃお願いしてみるか」

雪乃「さっそく職員室に行きましょう」

10分後


平塚「川崎、待ちたまえ」

川崎「……なんか用ですか?」

平塚「川崎、君は最近家に帰るのが遅いらしいな。朝方になるまで帰らないらしいじゃないか」

川崎「誰から聞いたんですか?」

平塚「風が街によくない噂を運んできてね」

川崎「…………は?」

平塚「それより答えたまえ」

川崎「別に。どこでもいいじゃないですか。誰かに迷惑掛けたわけじゃないし」

平塚「これからかけることになるかもしれないだろ」

川崎「……」

平塚「君は親の気持ちを考えたことがあるか?」

川崎「……そういうの結婚して自分が親になってから言えば?」

平塚「ぐはっ!」

川崎「先生、あたしの心配より自分の将来を心配した方がいいって。それに煙草臭いですし」

平塚「ごっがぁぁぁぁぁぁあああ!!」

川崎「それじゃ失礼します」

平塚「うっ。ぐすっ」


八幡「あ、あの先生……」


平塚「……もう帰る……」

八幡「お、お疲れさまです……」

奉仕部


雪乃「駄目だったわね」

八幡「平塚先生のメンタルを完全に破壊しやがった」

結衣「はいはい!」

雪乃「どうしたの?」

結衣「あたしにいい考えがあるから今度はあたしに試させて」

八幡「いい考え?」

結衣「うん。川崎さんが変わった理由もわかっちゃったかも」

八幡「マジか」

結衣「うん。マジだ」

雪乃「それでどんな考えなのかしら?」

結衣「ふふふ♪」

翌日 放課後


八幡「なんで葉山がいんの?」

葉山「いや、俺も結衣に呼ばれただけでよくわからないんだ」

結衣「えっとね、川崎さんは最近失恋とかしたんじゃないかと思うんだよね」

雪乃「失恋?」

結衣「うん。女の子が変わる原因って恋愛が多いじゃん?」

八幡「そうなのか?」

葉山「いや、俺に聞かれても……」

雪乃「わたしもわからないわ」

結衣「もーう。ゆきのん、女子力低すぎだから」

雪乃「なぜかしら。由比ヶ浜さんの口をホチキスで閉じたくなってきたわ」

八幡「おいやめろ。ただでさえ口調が似てるんだ」

結衣「というわけで隼人くん、川崎さんにナイスな言葉を掛けてあげて!」

葉山「そんな急に言われても……」

八幡「仕方ない。葉山、俺が伝授するからそのまま言うんだ」

葉山「嫌な予感がするんだけどな」

八幡「お前は俺たちに貸しがあるだろ。ならお願いごとの一つは聞いてくれるよな?」

結衣「聞いてくれるよね?」

葉山「うっ」

雪乃「あなた達……」

10分後


川崎「……」

葉山「やあ」

川崎「……なにか用?」

葉山「風が…………冷たいね……」

川崎「……?」

葉山「寒波が来る……」

川崎「え?」

葉山「シベリアから……この冬最大のやつが、ね……」

川崎「……あのさ」

葉山「今日は……風が煌めいてやがるね……」

川崎「煌めいてるのはあんたの頭の中でしょ。馬鹿じゃないの」

葉山「うぐっ」

八幡「ぷっ、ぷぷっ」

結衣「な、なにあの台詞。酷すぎるしっ。ぷぷっ」

雪乃「ふふっ」

葉山「みんな酷いじゃないか……」

八幡「いや、お前はよくやりきったよ。ぶふぅ」

結衣「隼人くん、面白かったよ!」

雪乃「いいものを見せてもらったわ」

葉山「もう帰るよ……」

翌日


八幡「大志から追加情報が入った」

結衣「なになに?」

八幡「『エンジェルなんとか』ってお店から自宅に電話があったみたいだ」

雪乃「もしかして川崎さんのバイト先ということかしら?」

八幡「だろうな。千葉市で検索したら二件出てきた。メイドカフェとバーだな」

結衣「なんか極端だし」

雪乃「比企谷くん、そのお店のホームページ見せてもらえる?」

八幡「ああ」

雪乃「……そう。恐らくメイドカフェは違うわね」

結衣「なんで?」

雪乃「営業時間が23時までだもの。5時に帰宅するのにバイトが終わるのが早すぎるわ」

結衣「そっか。でも掛け持ちしてる可能性もあるんじゃない?」

雪乃「ええ。なのでバーの方に行ってみましょう」

バー


八幡「なんか緊張するな……」

結衣「うん。ドレスとか初めて着たし」

雪乃「二人とも堂々としなさい」

八幡「おう」

結衣「う、うん」

雪乃「行くわよ」

八幡(人数とか聞かないんだな)

結衣(制服もいいけどドレスで初体験もありかも)

雪乃「見つけたわ、川崎沙希さん」


川崎「……確か雪ノ下だっけ?」


雪乃「ええ」

結衣「やっはろー?」

川崎「由比ヶ浜も。となりのは?」

八幡「比企谷だ。プリント拾ってくれたろ?」

川崎「……そっか。ばれちゃったか。何か飲む?」

雪乃「ペリエを」

結衣「あたしはカルピス!」

川崎「ないから」

雪乃「この二人にも同じものを……」

川崎「ん。それで何しに来たの?」

雪乃「元々あなたが朝帰りするようになった理由を調べていたのだけれど」

川崎「―――ああ。最近周りがやけに小うるさいと思ったらあんた達が原因か」

八幡「弟が心配してたぞ」

川崎「大志から相談受けたんだ。どういう繋がりかわからないけど大志にはあたしか言っておくから気にしないでいいよ。だから大志にもう関わらないでね」

八幡「いや、大志が俺の妹に気があるからこれからも関わることになると思うんだけど」

川崎「」

結衣「あー、小町ちゃん可愛いもんね」

八幡「だろう。それで川崎がお金が必要な理由は何だ?」

川崎「別に。遊ぶ金欲しさに稼いでるわけじゃないとだけ言っておく」

結衣「もしかして妊娠しちゃったとか!?」

川崎「ち、違う! あたしは処女だから!」

結衣「そうなんだー」

川崎「……っ!」

雪乃「由比ヶ浜さん、下品よ……」

八幡「悪いな。こいつは黙らせておくから。それより多分川崎がお金が必要になった理由がわかった」

雪乃「また前髪弄るのね」

川崎「……」

八幡「川崎は一年生までは真面目に学校に来ていた。このバイトをし始めたのは四月からであってるよな?」

川崎「そうだけど」

八幡「大志が塾に通いだしたのも小町と同じ四月から。つまり川崎がバイトを始めた時期と同じだ」

結衣「つまり学費の為?」

八幡「違う。大志が塾に通いだしてる時点で学費は目途がついてるだろう。逆に言えば大志の学費だけが解決しているということだ」

雪乃「ということは川崎さん自身の学費の為に?」

八幡「それもあるが受験までの予備校代だろう。それに大学に合格すれば奨学金があるしな」

川崎「……正解。よくわかったね」

八幡「俺は氷菓のBD-BOXを持ってるからな」

川崎「なに言ってるか意味がわからないんだけど」

結衣「でもバイトしてたら自分の勉強する時間がなくなっちゃうんじゃないの?」

八幡「学校が終わるのは15時半。夜からのバイトなら空き時間に勉強が出来るだろ?」

川崎「へえ。そこまでわかったんだ」

八幡「ああ。……なあ、川崎。予備校にも特待生制度があるのは知ってるか?」

川崎「え?」

八幡「知らなかったのか。無知は罪なり、だな。簡単に言えばスカラシップを取れば無料で予備校に通えるんだよ」

川崎「」

八幡「よかったら夏期講習まで俺と雪ノ下が勉強を教えるぞ。いいよな?」

雪乃「そうね。依頼だもの」

川崎「……」

八幡「それに朝までバイトとか肌に良くないぞ。大志は肌荒れを相当気にしていた」

川崎「」

八幡「弟の為に綺麗なお姉ちゃんでいてやれよ」

ここまで
また明日か明後日に

次はあねのん登場

相模ディスっている箇所ってどこかな?気づかなかったww

>>231

八幡「由比ヶ浜の馬鹿が移ったのか」

結衣「ヒッキーまで酷い。あたし以外にも戸部っちとかさがみんとか馬鹿多いし!」

教室


葉山「今日は結衣がいないから少し静かだな」

戸部「だべ。でも法事で学校休めるとか羨ましいっしょ!」

大和「だな」

葉山「優美子は少し寂しいのかな?」

三浦「え? そんな子供じゃあるまいし!」

海老名(逆におどおどしなくてすんで少し安心してたりして)

三浦「それより今日部活休みなんだけどどっかいかない?」

葉山「テニス部も休みなのか?」

三浦「うん。昨日、練習試合だったから部長が今日は休みにするって言ってたし」

葉山「そっか。うちもちょうど休みだからカラオケでも行くか」

三浦「行く行く!」

戸部「カラオケとか超久しぶりじゃね?」

大和「だな」

大岡「俺は部活あるけどサボっていくよ」

葉山「いや、サボりはよくないぞ」

戸部「そうそう。よくないっしょ。先輩にばれたら大変そうじゃね?」

大岡「……だよな」

大和「残念だったな」

八幡(今日は由比ヶ浜がいないから静かに読書出来るな)

八幡(最近は部活動でも由比ヶ浜が絡んできて読書する時間が減ってるからな)


相模「ねえ、また比企谷がよくわかんない本読んでるんだけど」

女子「ホントだ」

女子「キモっ」


八幡(よくわかんない本とは失礼な。十年以上続いてる人気ラノベ作品だぞ)


相模「さっき通った時に絵が見えたんだけど冴えない男の絵でさー」

女子「うわー」


八幡(あん? 上条さんのこと馬鹿にしたな。あの女いつかぶっ殺してやる。第一位がな)


葉山「何の本読んでるんだい?」


八幡「とある魔術の禁書目録」

葉山「ああ。本屋で見かけたことあるよ。好きなのか?」

八幡「好きじゃなかったら読まないだろ」

葉山「確かに。面白いのか?」

八幡「俺にとってはな」

葉山「そうか。俺も今度読んでみようかな」

八幡「……葉山がラノベ? 似合わないな」


相模「なになに? 葉山くんも読書するの?」


葉山「え? まあ、少しは」

相模「そうなんだー。うちも本に興味あるんだー」

八幡「」

葉山「そ、そうなんだ……」

相模「今度お勧めの本を教えてよ?」

八幡(なんだこのクソビッチ。うざすぎる。ウザク!)

葉山「いや、俺も詳しくないから比企谷に教えてもらおうと思ってたんだけど……」

相模「そっか。……比企谷くん、葉山くんと一緒にうちにも教えてね?」

八幡「嫌だ」

相模「」

八幡「そろそろ昼休み終わるぞ。席に戻ったらどうだ?」

葉山「あ、ああ。また後でな」

相模「ご、ごめんねー。またねー」

八幡「……」

女子トイレ


相模「比企谷のやつ、マジムカつくんだど!!」

女子「ね? ありえないよねー!」

女子「さがみん、可哀相~」

相模「ぼっちのくせに生意気じゃない?」

女子「でも結衣ちゃんと付き合ってるみたいだし、戸塚くんと葉山くんと最近仲良くない?」

女子「確かに」

女子「前までぼっちだったのに」

相模「……」

女子「あ、でも口が悪いのは変わらないし!」

女子「そうそう。さがみん、もう絡まない方がいいよ~」

相模「……うん」

奉仕部


雪乃「今日は由比ヶ浜さんがいないから平和ね」

八幡「そうだな」

雪乃「今度は何を読んでるの?」

八幡「ラノベだ」

雪乃「ああ、材木座くんが書いていた小説のことね」

八幡「あんなごみと一緒にするな。これは超面白いんだぞ」

雪乃「そうなの。今度貸してもらってもいいかしら?」

八幡「ああ。でも30冊以上あるけどいいのか?」

雪乃「ええ。本は好きだから。面白いのならジャンルは関係ないわ」

八幡「そうだな。この前貸した漫画は読み終わったのか?」

雪乃「この巻で終わりね。これのおかげで書道の授業が少しは楽しくなりそうだわ」

八幡「来月からスピンオフのアニメも始まるぞ」


雪乃「人気があるのね。それより比企谷くんに相談があるのだけれど」

八幡「何だ?」

雪乃「来週に由比ヶ浜さんの誕生日があるじゃない?」

八幡「ああ」

雪乃「一応、同じ部活の仲間としてプレゼントを渡したいと思うのだけれど……」

八幡「プレゼントの相談か?」

雪乃「ええ。もしよかったら土曜に買い物に付き合ってくれないかしら?」

八幡「いいぞ。ちょうど俺もその日に買う予定だったからな」

雪乃「ありがとう。ちなみに買うものは決まっているの?」

八幡「皮肉を込めて首輪とリードかな」

雪乃「なるほど。……でも本人は気づかなさそうね」

八幡「それあるー」

雪乃「なにかしら。今イラっとしてしまったわ」

土曜 ショッピングモール


雪乃「お待たせ。待たせてしまったかしら?」

八幡「ああ。20分くらいな」

雪乃「あなたは本当に正直に言うのね」

八幡「仲間に嘘はつきたくないからな」

雪乃「……っ。そ、そう。確かに嘘はよくないわね」

八幡「ああ。今日はツインテールなんだな」

雪乃「ええ。似合わないかしら?」

八幡「いや、可愛いと思うけど。昔の俺なら一目惚れしているまである」

雪乃「あ、ありがとう。……今の由比ヶ浜さんに聞かれていたらわたしの身の危険を感じていたかもしれないわね」

八幡「ヤンデレ要素はないと思うんだけどな。それより行こうぜ」

雪乃「ええ」

雑貨屋


八幡「それで目星はついてるのか?」

雪乃「由比ヶ浜さんの趣味に合わせたものにしようと思うのだけれど」

八幡「なるほど」

雪乃「彼女の趣味が少女漫画と比企谷くんへのストーキング以外思いつかないのよね」

八幡「え? 俺へのストーキングってまだ続いてたの?」

雪乃「失礼。盗撮の間違いだったわ」

八幡「それもストーキング行為に入るからね?」

雪乃「比企谷くん、今の二つ以外に彼女の趣味ってわかる?」

八幡「うーん、最近花嫁修業をしていると言ってたが」

雪乃「花嫁授業。……料理かしら?」

八幡「恐らくな。この前指に絆創膏張ってアピールしてたから」

雪乃「なるほど。それじゃエプロンにしようかしら」

八幡「いいんじゃないか。多分馬鹿っぽいぽわっとしたデザインがあいつに似合うと思うぞ」

雪乃「わたしもそう思うわ」

30分後


八幡「俺の買い物も済んだしスムーズにプレゼント選びは終わったな」

雪乃「そうね」

八幡「まだ11時だけどお昼にするか?」

雪乃「その前に寄りたいところがあるのだけれど」

八幡「何処だ?」

雪乃「ペットショップ」

八幡「動物好きなのか?」

雪乃「猫が好きなのよ」

八幡「へえ。うち、猫飼ってるぞ」

雪乃「……っ!?」

八幡「小町が雪ノ下と由比ヶ浜と一緒に遊びたいって言ってたし、今度うち来るか?」

雪乃「ぜひ!!」

八幡「お、おう……」

ペットショップ


雪乃「にゃー、にゃー」

八幡「……」

雪乃「なんて可愛いのかしら。まるで天使だわ」

八幡「本当に好きなんだな」

雪乃「大好きよ」

八幡「ちなみに犬は?」

雪乃「犬は苦手なの」

八幡「そうなのか?」

雪乃「ええ。だから事故の時も車から降りられなかったのよ」

八幡「小型犬でも駄目なのか」

雪乃「駄目なの」

八幡「…………だめのん」

雪乃「やめなさい」

フードコート


雪乃「今日は有意義な一日を過ごしたわ」

八幡「まだ半分残ってるけどな」


陽乃「あれー? 雪乃ちゃん? あ、やっぱり雪乃ちゃんだ」


雪乃「姉さん?」

八幡「あねのんか」

雪乃「だからそれはやめなさい」

陽乃「こんなところでどうしたの? あ! デートか。デートだな! このこの!」

雪乃「違うわ。それに彼には彼女がいるもの」

八幡「まだ彼女じゃないけどな」

陽乃「ふーん。雪乃ちゃんの姉の陽乃です。雪乃ちゃんと仲良くしてあげてね」

八幡「うす。比企谷です」

陽乃「比企谷……。へぇ……」

八幡「事故の時はそちらの運転手さんにご迷惑お掛けしました」

陽乃「」

雪乃「比企谷くん、別に姉さんにまで謝ることはないわ。そもそも、あなたが謝る必要もないと思うのだけれど」

陽乃「なーんだ。事故の件はお互い知ってるんだー」

八幡「はい。初対面の時に。な?」

雪乃「ええ。あの時はさすがのわたしもフリーズしてしまったわ」

八幡「こういうのは先に言っておかないと後々面倒なことになるからな」

雪乃「そうね」

陽乃「随分、仲良いんだねー」

雪乃「そうね。比企谷くんのおかげで趣味が広がったわ」

八幡「マジか。禁書も期待していいぞ」

雪乃「ええ。楽しみにしているわ」

陽乃「」

雪乃「姉さん、どうしたのかしら?」

陽乃「う、ううん。比企谷くん、今度お姉さんとお茶でも一緒に行かない?」

八幡「奢ってくれるならお願いします」

陽乃「奢る奢るー。雪乃ちゃんのこと色々聞かせてもらおうかなー」

八幡「言っていいの?」

雪乃「どうぞ。別に言われても困るようなことしていないもの」

八幡「そうだな。てかおっぱいが腕に当たってますよ」

陽乃「あ、ごめんごめん。ドキドキしちゃった?」

八幡「いい感触でした。雪ノ下さんも気持ちよかったですか?」

陽乃「…………へ?」

雪乃「比企谷くん、姉さんに何を言っているのかしら?」

八幡「いや、上下に動かしてくるから乳首が擦れて気持ちいいのか思って」

陽乃「」

雪乃「比企谷くん、セクハラよ」

八幡「いや、これは雪ノ下さんが当ててきてるんだぞ。俺は何もしていない」

雪乃「そ、それもそうね」

八幡「もしかして雪ノ下さんって痴女なんですか?」

陽乃「し、初対面の女性に痴女とか比企谷くん失礼すぎじゃないかなー?」

八幡「初対面でおっぱいを当ててくるなんてラノベしか見たことがなかったので。すみません」

陽乃「……あはっ。比企谷くん、すっごいおもしろーい♪」

八幡「ありがとうございます。陽乃さんも面白いですよ」

陽乃「ありがとね。それじゃまたねー」

八幡「うす」

雪乃「ええ」

八幡「……お前の姉ちゃん、凄かったな」

雪乃「姉にあった人は皆そう言うわね」

八幡「え? 初対面の人全員におっぱい当ててくるのかよ?」

雪乃「違うわ! あの外面のことよ!」

八幡「外面? なんか途中で崩れてたけど」

雪乃「……あの人は完璧なのよ」

八幡「あ、今のは無視するのか」

雪乃「わたしはあの人に憧れていた。だからあの人の真似ばかりしていたわ」

八幡「ほーん。過去形なのか?」

雪乃「ええ。憧れるのはやめにしたの。憧れていたらその人を追い越せないもの」

八幡「おい今のは……」

雪乃「ふふ、あなたの漫画がきっかけよ」

八幡「完全無欠の模倣とか取得しないでくれよ」

6月18日 奉仕部


雪乃「由比ヶ浜さん、お誕生日おめでとう」

八幡「おめでとさん」

結衣「二人とも、ありがとー!」

雪乃「はい。誕生日プレゼントよ」

結衣「ゆきのんがあたしに!?」

雪乃「ええ。一応仲間だから」

結衣「一応ってなに!?」

八幡「いいから開けろよ」

結衣「うん。……あ、エプロンだ。超可愛いし!」

雪乃「気に入って貰えてよかったわ。実はケーキも用意しているのだけれど」

結衣「ケーキまで!?」

雪乃「ええ。調理室の冷蔵庫に入れているのを取ってくるから待っててくれる?」

八幡「ああ。悪いな」

雪乃「あの間に比企谷くんもプレゼント渡しなさい」

八幡「おう」

結衣「ヒッキーも用意してくれたんだー」

八幡「まあな。ほら」

結衣「これって……」

八幡「首輪とリードだ」

結衣「……」

八幡(反応が薄いな。もしかして新しいの買ってたのか?)

結衣「ヒッキーのエッチ///」

八幡「え、エッチ!?」

結衣「これ。あたしにペットになれってことでしょ?」

八幡「」

結衣「リードまでついてるし。付き合う前からこんなのハードすぎるから!」

八幡「ち、ちがっ」

結衣「でもいいよ。ヒッキーが望むならあたし頑張るから!!」

八幡「」

結衣「ヒッキーも少女漫画に影響されすぎだよー」

ここまで
一応、八幡が葉山と話すようになったのも上条さんに関係があるとかないとか

最初に貸したのは「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」

書道の方は、たぶん「ばらかもん」だと思う
スピンオフ作品の「はんだくん」がアニメ化するのも一致するし

七月 奉仕部


結衣「やー、明日から夏休みだねー」

雪乃「そうね。赤点はなかった?」

結衣「うん。無事全教科30点以上だったよ!」

八幡「頑張ったな」

結衣「うん。あたし、超頑張ったし!」

八幡「雪ノ下はどうだった?」

雪乃「全教科満点だったわ」

八幡「すげぇな……」

結衣「化物……」

雪乃「化物じゃないわ。最近、集中力が凄いのよ」

八幡「集中力?」

雪乃「ええ。勉強に限った話ではないのだけれど、すぐに集中力を高めることが出来るの」

結衣「例えば?」

雪乃「音楽を聴きながら勉強をするとすぐに音楽が聞こえなくなったりね」

八幡「目から変なのが出てたりしないよね?」

雪乃「鏡で見たけれど大丈夫だったわ」

八幡「確認したのかよ」

結衣「ゆきのん、凄いじゃん。それより夏休み、みんなで遊ぼうよ?」

雪乃「構わないけれど」

八幡「予備校がない日なら大丈夫だ」

雪乃「比企谷くんも予備校に通うのね」

八幡「ああ。川崎と一緒のな」

結衣「ヒッキー、浮気は駄目だかんね?」

八幡「まだ付き合ってないでしょ……」

雪乃「それじゃ今度わたしの家に来る?」

結衣「いいの?」

雪乃「ええ。汚さないと約束してくれれば大丈夫よ」

結衣「汚さないし! ゆきのん、あたしのこと子供扱いしすぎだから!」

一週間後 雪乃宅


八幡「大きいテレビでアニメ見るのはいいものだな」

雪乃「そう。この主人公が比企谷くんが考え事をする時に真似をする人ね」

八幡「ああ」

雪乃「意外と面白いわね」

八幡「それはなによりだ」

雪乃「そういえば終業式に借りた漫画読み終わったわ」

八幡「早いな」

雪乃「ええ。農業高校に進学する女子が増えたのも納得ね」

八幡「俺には無理だがな」

雪乃「あなた、重労働苦手そうだものね。それより由比ヶ浜さんは起こした方がいいのかしら?」

八幡「どうせ夜更かしでもしてたんだろ。そのままでいいんじゃないか?」

結衣「ぐぅ、ぐぅ」

雪乃「枕に涎が垂れないか心配なのだけれど。……平塚先生からメール?」

八幡「平塚先生?」

雪乃「ええ。……比企谷くん、奉仕部でボランティアに参加するみたいよ」

当日 千葉駅前


小町「結衣さん、やっはろー!」

結衣「小町ちゃん、やっはろー!」

小町「雪乃さんもやっはろー!」

雪乃「こんにちは、小町さん」

小町「小町も呼んでもらえてうれしいです」

八幡「部外者が参加しても大丈夫なんすか?」

平塚「問題ない。童顔な高校生でも通用するだろう」

小町「童顔!?」


戸塚「すみません。遅れました」


八幡「戸塚?」

戸塚「八幡。終業式ぶりだね」

八幡「ああ。戸塚もボランティアに参加するのか?」

戸塚「うん。テニスコートの改修工事で部活が三日間お休みなんだ」

八幡「そっか。三日も練習出来ないのはきついな」

戸塚「仕方ないよ。皆もこんにちは」

結衣「さいちゃん、やっはろー!」

雪乃「戸塚くん、お久しぶりね」

小町「……お兄ちゃん、この可愛い人誰?」

八幡「クラスメイトの戸塚。ちなみに男だからな」

小町「……嘘?」

八幡「本当だ」

戸塚「あはは、僕は男だよ。八幡の妹さんの小町ちゃんだよね。よろしくね」

小町「は、はい。よろしくお願いします」

平塚「うむ。全員揃ったことだし出発しようじゃないか」

八幡「ちなみに材木座は?」

平塚「彼はコミケの準備で忙しいようだ」

八幡「そうっすか」

平塚「寂しいのかね?」

八幡「まさか」

千葉村


八幡「やっと着いたか」

雪乃「肩が痛いわ」

結衣「ゆきのん、ごめーん!」


葉山「や、比企谷くん」


八幡「……なんで葉山がここにいんの?」

葉山「俺たちも平塚先生に誘われたんだ」

八幡「埼玉スタジアムはどうした? 埼玉スタジアムは」

葉山「そ、それは戸部が言ってるだけで。……弱小校が全国に行けるわけないじゃないか」

八幡「そりゃそうだ」

葉山「俺だって強豪校に行けばよくて二軍だよ」

八幡「お、おう……」

平塚「よし。それじゃ説明するから全員聞いてくれ」

集いの広場


八幡「小学生が沢山いるな」

戸塚「みんな、可愛いね」

八幡「外見はな。どうせ中身は生意気だったり陰湿ないじめを行っている奴らだろ」

雪乃「そうね。高学年になってくると苛めも悪質になるわ。ソースはわたし」

葉山「……」

雪乃「なにかしら?」

葉山「いや、昔のこと結構話してるんだね」

雪乃「ええ。別に隠す必要ないもの」

八幡「葉山。お前の出番だぞ」

葉山「え? ああ、挨拶か」

八幡「金髪が代表して挨拶もどうかと思うけどな」

葉山「」

戸部「っべー。今日も比企谷くんの毒舌が冴えわたってるわー」

10分後


雪乃「まずはオリエンテーリングね」

三浦「戸塚、あーし負けないから」

戸塚「三浦さん、僕たちが競技するわけじゃないからね?」

葉山「移動しながら小学生のサポートをしないとな」

小町「それじゃお兄ちゃんは話しかけないようにしないとだね」

八幡「そうだな。俺に話しかけられたら子供達が泣いてしまう。……おい」

結衣「大丈夫だよ。顔を見られただけで子供に泣かれるヒッキーをあたしは応援してるよ!」

八幡「一応、まだ泣かれたことはないからね?」

雪乃「そろそろ行くわよ」

結衣「はーい」

チェックポイント


女子「くすくす」

女子「鶴見、ついてきてるし」

留美「……」

葉山「あの子は……」

雪乃「はぁ」

八幡「……」

葉山「よし」

八幡「やめとけ」

葉山「なんでだ?」

八幡「今声を掛けるのはあまりいいやり方じゃない」

雪乃「そうね」

葉山「……わかった」

八幡「もう少し様子見だな」

戸塚「八幡が言ってたこと本当にあるんだね」

八幡「まだ苛めかは判断出来ないけどな」

ゴール地点


小町「キャンプでカレーとかテンション上がりますねー」

結衣「だよねー。よーし、頑張って作ろっかー!」

雪乃「由比ヶ浜さん、あなたは頑張らなくていいわ」

八幡「ああ。ここは俺と雪ノ下に任せろ」

結衣「なんで!?」

雪乃「だって料理下手じゃない」

八幡「そうだな」

結衣「花嫁修業中だから多少は上手くなったし!」

雪乃「……ならあっちのグループに行きなさい。人手が足りないでしょうから」

結衣「うん。わかった!」

八幡「……」

雪乃「なに?」

八幡「いや、他人を平気で犠牲にするんだなと思って」

雪乃「流石の由比ヶ浜さんも食べれないほどのカレーは作らないでしょう」

小町「お兄ちゃん、結衣さんって料理下手なの?」

八幡「ああ。雪ノ下んちで遊んだ時に昼飯を作ってもらったんだがまずかった」

雪乃「まずかったわね」

小町「二人とも、結衣さんに厳しい……」

30分後


雪乃「またあの子一人ね」

八幡「ああ」

小町「やっぱり苛められてるのかな?」

八幡「そうかもしれないな」

戸塚「見てて気持ちいいものじゃないね」

雪乃「そうね。……昔のわたしを見てるようだわ。可愛すぎて浮いてしまうところが」

八幡「お、おう……」

戸塚「う、うん……」

小町「ゆ、雪乃さん凄い可愛い小学生だったんでしょうねー」

雪乃「ええ。容姿に優れていると妬みが多いのよね」

小町「そ、そうですかー。小町、お手洗い行ってきますねー」

戸塚「僕もちょっと」

八幡(逃げたな)


葉山「隠し味! 何か入れたいものがある人ー?」

結衣「はい! あたし、フルーツがいいと思う! 桃とか!」


八幡「あいつ、馬鹿か……」

留美「ホント、馬鹿ばっか」

八幡「まあ、世の中大概がそうだ。早めに気づけてよかったな」

雪乃「そうね」

留美「……」

八幡「ん?」

留美「名前、教えて」

八幡「比企谷八幡。そしてこっちが雪ノ下雪乃だ」

雪乃「あなたの名前は?」

留美「鶴見留美」

八幡「それで俺たちに何か用か?」

留美「なんか二人は違う感じがしたから。あっちの人達と?」

雪乃「当たり前じゃない。特に由比ヶ浜さんと一緒にされたら遺憾よ」

八幡「そ、そうだな……」

留美「私も違うの。あのへんと?」

留美「私も違うの。あのへんと」

雪乃「そうね。確かにあなたの方が可愛いわね」

留美「あ、ありがと。でも私が言いたいのは違うんだけど……」

八幡「何が違うんだ?」

留美「みんなガキなんだもん。私、結構上手く立ち回ってたと思うんだけど。なんかそういうのくだらないからやめた。一人の方が楽かなって」

八幡「一人が気楽なのは否定出来ないな」

留美「それに友達が欲しくなったら中学入れば、余所から来た人たちとなればいいし」

雪乃「……残念だけどそうはならないわ」

留美「え?」

雪乃「あなたが通っている小学校の生徒たちも同じ中学に進学するのでしょう? なら余所の人達も一緒になって同じことが起きるだけよ」


留美「……」

雪乃「それくらいわかっているのでしょう?」

留美「やっぱり、そうなんだ……」

雪乃「何か容姿以外に原因でもあったの?」

八幡「原因に容姿を入れたがるなおい」

留美「誰かがハブにされるのがブームになってて。それで仲良かった子がハブにされてね。私も少し距離を置いたけど……。けど気づいたら私がそうなってた。特に何もしてないのに」

八幡「……そうか」

留美「中学でもこうなっちゃうのかなぁ」

八幡「なあ、今の状況は嫌か?」

留美「……うん。惨めっぽい。シカトされると自分が一番下なんだって感じる」

八幡「そうか」

留美「嫌だけどしょうがないよ。私、一度見捨てちゃったし……」

八幡「友達を見捨てた自分は助かる資格がないと思ってるのか?」

留美「……うん」

八幡「でも嫌なんだろ?」

留美「嫌だけど……」

八幡「なら俺たちに手助けをさせろ」

留美「え?」

八幡「元通り仲良しになるのは無理だと思う。けど今の状況を変えることは出来るかもしれない」

留美「なんで私を助けてくれるの?」

雪乃「それはあなたが助けてほしい目をしてたからじゃないかしら」

留美「……そっか。私、無意識に助けを求めてたんだ」

八幡「雪ノ下、いいよな?」

雪乃「ええ。これも奉仕部の一環だもの」

20時頃


雪乃「先生、ご相談があるのですが」

平塚「なんだね?」

雪乃「苛めにあっている子を助けたいので許可を下さい」

平塚「ふむ。いいだろう。何かあったら私が責任を取ろうじゃないか」

雪乃「ありがとうございます」

八幡「先生、男前っすね」

平塚「褒めても何も出ないぞ。それでは君たちでまずは話し合いたまえ」

八幡「うす」

小町「お兄ちゃんが自分から面倒事に関わるなんてどしたの?」

八幡「今にも泣きだしそうな女の子を守る側に立てれば男なら本望だからな」

結衣「やだ、ヒッキー超カッコいい///」

葉山「比企谷くん」

戸塚「八幡、カッコいいよ!」

戸部「比企谷くん、男前だわー」

雪乃「その台詞パクリじゃない」

八幡「うぐっ!」

ルミルミ編は長いので2回に分けます
禁書3期いつやるのかなぁ

雪乃「それじゃ話し合いましょうか」

葉山「雪ノ下さん、俺たちは奉仕部じゃないけど参加していいのかな?」

雪乃「ええ。一応、比企谷くんが方法は考えたのだけれどみんなの意見も聞いた方がいいと比企谷くんが言うから」

八幡「もしかしたら俺たちよりいい方法が出るかもしれないからな」

戸塚「確かに自分だけで考えちゃうと視野を狭めることもあるもんね」

八幡「その通りだ」

雪乃「それと意見を出す前に言っておきたいことがあるの」

小町「なんですか?」

雪乃「苛めを無くす=孤立させない、ということではないことを理解して欲しいの」

結衣「どういうこと?」

葉山「一人でいること自体は嫌じゃないってことかな?」

八幡「ああ。鶴見から色々聞いたが誰かをハブにするのが流行ってたようでな。自分が被害を受ける前から嫌気はさしてたみたいだ」

戸部「やっべー。そんなのが流行るとか小学生怖すぎっしょ」

三浦「ふーん。可愛い子達でつるめば大丈夫だと思うんだけど」

結衣「優美子、女子はそんな単純じゃないよ」

三浦「でもあーし苛められてないし」

結衣「それは隼人くんがいるからだよ」

三浦「え」

結衣「優美子は鈍感だから気づいてないかもだけど、女子から結構嫌われてるからね?」

三浦「」

八幡「つまり葉山が安全地帯ってわけか」

葉山「安全地帯?」

海老名「そうそう。他の子達は優美子が隼人くんと親しいから手を出してこないんだよ」

三浦「あ、あーし、そんな嫌われてたんだ……。まさかテニス部の後輩たちにも?」

戸塚「テニス部の人達は大丈夫だと思うよ。みんな、三浦さんが根は真面目だって知ってるし」

三浦「ほ、ホント?」

戸塚「うん。それに何かあったら僕が何とかするから大丈夫だよ。一応、部長だし」

三浦「戸塚……」

雪乃「青春をするのは後にしてもらえるかしら?」

戸塚「ご、ごめん!」

雪乃「それで誰か意見はないかしら?」

海老名「趣味で仲間が出来ればいいんじゃないかな? そうすれば心に余裕も持てると思うし」

八幡「それも一つの手だな」

葉山「みんなで話し合いじゃ解決しないよな?」

雪乃「そうね。あなたが一番わかってるでしょう?」

葉山「……そうだね」

結衣「担任の先生に相談するのは後が怖いよね」

雪乃「そうね。余計に被害が増す場合もあるわ」

戸塚「被害が増すってシカト以外もされてたりするの?」

雪乃「物を隠されたり、ノートに落書きされたりしてるそうよ」

戸塚「そっか……」

小町「うーん、小町じゃ解決案は出せそうにないですね」

戸部「俺も俺も」

八幡「んじゃ俺の意見を言うから聞いてくれ。一応、鶴見にも相談はしている」

説明後


結衣「それでうまくいくのかな?」

八幡「断言は出来ない。ただ小学校の同級生にそういった奴がいてな」

葉山「その子も苛められてたのか?」

八幡「最初はな。ただそれがばれてからはなくなった。関わろうとするやつもいなくなったがな」

小町「雪乃さんはお兄ちゃんの意見に賛成なんですか?」

雪乃「現状それが最適かと思うわ。私たちはずっと彼女の傍にいられるわけではないもの」

海老名「そうだよね」

八幡「この方法は鶴見にも負担は掛かるし理想の方法じゃないのかもしれない」

雪乃「そうね」

八幡「けど俺にはこれが限界だ。反対がなければ肝試しの時に行おうと思うんだが」

葉山「俺は案を出せなかったから。比企谷くんの意見に従うよ」

三浦「隼人が言うならあーしも」

海老名「私も賛成かな」


戸塚「僕もだよ」

小町「小町だよ」

戸部「俺も文句ないっしょ」

八幡「悪いな。それと戸部に協力してもらいたいんだがいいか?」

戸部「俺?」

八幡「ああ。お前が適任だと思う。嫌な役を押し付けてしまうことになるが……」

戸部「そんなの全然いいっしょ。比企谷くんが言ってたべ? 女の子が泣きそうになってるんなら助けなくちゃでしょ!」

八幡「助かる」

戸部「比企谷くん、そこは助かるじゃなくてありがとうだべ?」

八幡「あ、ありがとう」

戸部「おう!」

翌日 水場


八幡「というわけで肝試しの時に実行することになった」

留美「うん」

八幡「本当にいいのか? 中学に上がっても苦労するかもしれん」

留美「いい。後は自分で頑張ってみる」

八幡「そうか。……上手くいくといいんだがな」

留美「いかなくてもいいよ」

八幡「何でだ?」

留美「八幡が助けを差し伸べてくれた時点で私は結構救われたと思うし」

八幡「鶴見は子供なんだからもっと欲張ってもいいと思うぞ?」

留美「子供じゃない。それに留美でいい」

八幡「お、おう。それじゃ留美。頑張ろうな」

留美「うん」

肝試し


戸部「っべー。少し緊張してきたー」

八幡「やっぱり俺が変わるか?」

戸部「だいじょーぶ、だいじょーぶ。比企谷くん、上手くいったら後で祝杯あげんべ!」

八幡「お、おう……。来たぞ」


女子「あ、お兄さんたちだー」

女子「片方普通の格好してるー」


八幡(俺も普通の格好してるんだが)

戸部「いやー、衣装が足りくなくてさー。君らの小学校貧乏すぎっしょ!」

女子「えー」

女子「確かに体育館ぼろいし」

女子「私たち、貧乏小学校だったんだー」

八幡(さすがコミュ力高いだけあるな)

留美「……」

戸部「それより鶴見留美ちゃんだっけ?」

留美「……うん」

戸部「もしかして鶴見組のお嬢さんだったりー?」

留美「そうだよ」

戸部「マジかー。前に見たことあったと思ったんだわー」

女子「え?」

女子「お兄さん、鶴見と知り合いなの?」

戸部「おう。俺の親父ってヤクザの組員なんだわー」

女子「」

戸部「んで親父の上司が留美ちゃんのおじいちゃんってわけよ!」

女子「……え? 鶴見のおじいちゃんが……?」

女子「嘘……?」

戸部「嘘じゃねーし。あれ? 学校の皆には黙ってたん?」

留美「別に自分から言うことじゃないし」

戸部「そっかー」

八幡「戸部、お前の親父さんヤクザだったのか……」

戸部「おう。あんれー? 比企谷くんに言ってなかったっけ?」

八幡「初耳だな」

戸部「そっか。別にビビんなくていいから」

八幡「いや、普通ビビるだろ。なあ?」

女子「う、うん……」

戸部「別に何もしねーから。あ、でも……」

八幡「なんだ?」

戸部「実は俺小学生の時苛められっ子だったんよ」

八幡「マジか」

戸部「マジマジ。それで親父が切れて相手の家に殴り込みにいったことがあったわー」

女子「……」

戸部「まー、何もなければ怒ることもねーし。留美ちゃんはみんなと仲良くやってるんだべ?」

留美「……」

女子「……」

留美「まあね」

戸部「そっか。よかったわー。留美ちゃんのおじいちゃん、マジ怖いから」

八幡「そうなのか?」

戸部「組長さんなんだから当たり前だべ」

女子「わ、わたし達そろそろ……」

八幡「おう。気を付けてな」

女子「い、いこ!」

女子「う、うん!」

留美「……」

女子「鶴見も行こう?」

留美「わかった」

八幡「ふぅ。お疲れさん」

戸部「おう。いやー、演技って結構疲れるわー」

八幡「マッカンでも奢ってやるよ」

戸部「なにそれ?」

一時間後


留美「八幡」

八幡「おう」

留美「ありがと。みんなにも伝えておいて」

八幡「ああ」

留美「さっきあの子達に謝られた」

八幡「そうか。それでどう返したんだ?」

留美「何もしないから私に関わらないようにお願いした」

八幡「それでよかったのか?」

留美「うん。結構ぼっちには慣れたし」

八幡「また困ったことあったら連絡しろよ。ほれ、俺の連絡先だ」

留美「ナンパ?」

八幡「ち、違わい!」

留美「ふふ、冗談」

八幡「大人をからかうな」

留美「ごめん。……二学期から大丈夫かな?」

八幡「不安か?」

留美「少し」

八幡「大丈夫とは断言は出来ない。けど今度は一人じゃない。世界だって違って見えるだろ」


雪乃「また台詞をパクって……」


八幡「……聞いてたのかよ」

雪乃「ええ。鶴見さん、わたしの連絡先よ」

留美「ありがと」

雪乃「お互い美少女だし、何かあったら連絡しなさい」

留美「う、うん……」

翌日 車中


平塚「よくやったな、雪ノ下」

雪乃「わたしは特に何も。比企谷くん、戸部くん、鶴見さんの頑張りです」

平塚「わたしは全員頑張ったと思うがね」

雪乃「そうですか」

平塚「それより助手席でよかったのか?」

雪乃「はい。由比ヶ浜さんの隣だと肩が痛くなるので。彼に任せます」

平塚「なるほど。あの二人は付き合ってないのか?」

雪乃「夏祭りの日に付き合うそうですが」

平塚「なんだと!? クソ、リア充め!!」

雪乃「お、落ち着いて下さい……」

平塚「すまない。取り乱してしまった。そういえばこの前陽乃から連絡が来たよ」

雪乃「姉さんから?」

平塚「ああ。雪ノ下の様子がだいぶ変わって驚いてたぞ」

雪乃「そうですか。……そんなに変わりましたか?」

平塚「ああ。表情が柔らかくなったし、何より楽しそうに見えるよ」

雪乃「楽しそうに」

平塚「比企谷と由比ヶ浜を奉仕部に入れたのは正解だったかな」

雪乃「そうですね。趣味も広がりましたし」

平塚「ああ、漫画に凝ってると比企谷から聞いたよ」

雪乃「はい。今度、レンタルで沢山借りようかと思うんですが」

平塚「なら帰りにゲオでも寄るかね?」

雪乃「お願いします」

ここまで
次回は八幡と結衣が付き合います

八月上旬 雪ノ下宅


八幡「なんか三日に一回は雪ノ下んちに遊びに来てる気がする」

雪乃「気がするじゃなくて事実よ」

結衣「ゆきのんち、広いしねー」

八幡「しかも俺の誕生日会まで開かせて悪いな」

雪乃「別にそれはいいけれど」

結衣「ううん、ゆきのんには本当に感謝してるんだよ」

雪乃「そ、そう?」

結衣「うん。だから今日は日頃の感謝を込めてゆきのんにプレゼントを持ってきたんだー」

雪乃「あら、気が利くのね」

結衣「つまらないものだけどどうぞ!」

雪乃「ありがとう。お菓子かしら?」

結衣「ううん。貝殻の詰め合わせだよ!」

雪乃「」

八幡「」

結衣「あたしが小学生の時に集めてた宝物なんだー」

雪乃「本当につまらないものね」

結衣「ゆきのん、ひどーい!」

八幡「それよりもうすぐお盆だが雪ノ下は実家に帰るのか?」

雪乃「ええ。母親の相手をするのは疲れるから帰りたくないのだけれど」

八幡「疲れるって仲悪いのか?」

雪乃「過保護なのよ。いい加減子離れしなさいと説教したら泣いてしまったわ」

八幡「そ、そうか……」

結衣「ゆきのん、家族とは仲良くしないと駄目だよ?」

雪乃「仲良くするために本音を言ったのだけれど。それよりこのごみ捨てておいてくれる?」

結衣「それあたしの宝物だってば!」


帰り道


結衣「ヒッキーにお願いがあるんだけど」

八幡「なんだ?」

結衣「明日から家族旅行に行くって言ったじゃん?」

八幡「ああ」

結衣「その間にサブレを預かってて欲しいんだ」

八幡「親戚の人に預かってもらうんじゃなかったのか?」

結衣「その予定だったんだけど、上腕二頭筋を痛めちゃったみたいでさー」

八幡「そうか。うち猫いるけど大丈夫か?」

結衣「大丈夫だよ。犬と猫が仲良くしてる動画見たことあるし」

八幡「お、おう……」

結衣「いい?」

八幡「……仕方ねえな」

結衣「やったー。ありがとう、ヒッキー! 大好き!!」

八幡「恥ずかしいから外ではやめて……」

結衣「あ、ごめん。ヒッキーは明日予定あるの?」

八幡「明日は戸塚と材木座と遊ぶ予定だな」

結衣「そっかー。旅行から帰ってきたら夏祭りだね」

八幡「そうだな。人混みは嫌だな」

結衣「それじゃ人気のないところで告白するね」

八幡「場所まで予告されちゃったよ」

結衣「浴衣でいくから押し倒すなら帰宅してからにしてね? 浴衣汚れちゃうし」

八幡「付き合った初日から押し倒さないから」

結衣「それ以外なら押し倒してくれるの?」

八幡「……ノーコメントで」

結衣「首輪した方がいい?」

八幡「やめろ」


祭り当日 駅前


結衣「あ、ヒッキー。ちょっとバタバタしちゃって……、遅れちゃった……」

八幡「まだ一分過ぎただけだから問題ないだろ」

結衣「そっか。浴衣どうかな?」

八幡「興奮した」

結衣「ホントに? よかったー」

八幡「うなじもいいな」

結衣「ヒッキー、うなじ好きなの?」

八幡「普段見ないからな」

結衣「そっか。服や髪型変えると新鮮に見えるのかな?」

八幡「そうじゃないか」

結衣「なるほど。それじゃいこっか」

八幡「ああ」

車中


結衣「やっぱ人多いね」

八幡「だな。小町から色々もの買うの頼まれたから付き合ってもらっていいか?」

結衣「うん。もちろんだし」

八幡「悪いな」

結衣「あたし、りんご飴食べたい!」

八幡「俺はじゃがバターだな」

結衣「それも鉄板だよねー」

八幡「飲み物はコンビニで買ってこうぜ。出店は高いから」

結衣「確かに。缶ジュースで200円するもんね」

八幡「ぼったくりにもほどがあるよな」

結衣「うんうん。そういえば優美子もテニス部の人達と祭り行くみたいだから会うかもね」

八幡「会うのは戸塚だけでいいな」

結衣「ヒッキー、優美子に冷たいし」

八幡「お前には言われたくないんだけど」

お祭り会場


結衣「なんか去年より人多いかも」

八幡「そうなのか?」

結衣「うん。はぐれないように手繋いでいい?」

八幡「別にいいけど」

結衣「ホントは腕組みたいんだけど胸当たってヒッキー興奮しちゃうし」

八幡「べ、別に興奮しねーし?」

結衣「しないの?」

八幡「します。ニケツの時いつも興奮してます」

結衣「よかったー」

八幡「……行こうぜ」

結衣「うん」

30分後


結衣「りんご飴美味しい~♪」

八幡「そんなに好きなのか」

結衣「うん。大好物だし」


相模「あ、結衣ちゃんだー」


結衣「お、さがみーん」

八幡「げっ」

相模「あっ」

結衣「さがみんもお祭り来てたんだー」

相模「うん。結衣ちゃんは比企谷くんとデート?」

結衣「うん、そうだよ」

相模「そっかー。うちなんて女だらけの花火大会だよー。いいなー、青春したいなー」

結衣「青春の前にさがみんは趣味見つけたら?」

相模「え」

結衣「無趣味とか寂しすぎじゃん?」

相模「」

八幡(こいつ無趣味なのか。なんか可哀相だな。まあ、あの件は許さないけど)

結衣「そういえば優美子見かけなかった?」

相模「え? 三浦さんも来てるの?」

結衣「うん。テニス部の人達と来てるようなんだけど全然見かけなくてさー」

相模「そ、そうなんだ。うちも見てないかな」

結衣「そっか。それじゃまた学校でね?」

相模「うん。またねー」

結衣「ばいばーい。ヒッキー、いこ?」

八幡「おう」

相模「……」

女子「南ちゃん、どうしたの?」

女子「今の由比ヶ浜さんと比企谷だよね~。やっぱ付き合ってたんだ~」

相模「むかつく!!」

女子「え?」

女子「比企谷にまたなんか言われたの~?」

相模「違う! 結衣ちゃんの方!」

女子「由比ヶ浜さん?」

相模「そう! なんか皮肉通じないし、うちのこと馬鹿にしたし!!」

女子「そ、そうなんだ。酷いねー」

女子「ね~。お互い赤点ギリギリのお馬鹿さん同士なのにね~」

相模「」

5分後


結衣「はぁ」

八幡「どうした?」

結衣「さがみんにはがっかりだよ」

八幡「なんでだ?」

結衣「あそこは少女漫画ならお互いデート中に遭遇するところじゃん?」

八幡「いや知らないけど」

結衣「それで相手の男がヒッキーに突っかかってきたりしてさ。さがみんには本当がっかり」

八幡「勝手に期待して勝手に失望するなよ。てか由比ヶ浜って相模と普通に話すんだな」

結衣「うん。一年の時は同じグループだったし」

八幡「ほーん」

結衣「ちやほやされたい願望が強い子でね。相手するの正直疲れるんだ。ほら、一年の時はあたしっておどおど設定だったから」

八幡「お、おう……」

19時半ごろ


結衣「とりあえず人込みの少ないところに来たけど……」

八幡「ここは有料エリアだな」

結衣「もう少し探してみよっか?」

八幡「そうだな。花火は見たいだろ?」

結衣「うん。花火見ながら告白するのが理想だし」

八幡「理想ねえ。もう少し歩くか」


陽乃「あれー? 比企谷くんじゃん」


八幡「あ、ども」

結衣「だれ?」

八幡「雪ノ下のお姉さんだ」

結衣「あねのんさん!?」

陽乃「あねのん?」

八幡「気しないで下さい。お久しぶりです」

陽乃「うん。お久しぶりー。よかったらこっち来る?」

貴賓席


陽乃「父親の名代でね、ご挨拶ばっかりで退屈してたんだ。比企谷君が来てくれたよかったー」

八幡「こっちも招いてもらって助かりました」

陽乃「それでこの子が比企谷君の彼女さん?」

八幡「正確には後30分後くらいに彼女になる子です」

陽乃「…………へ?」

結衣「30分後にヒッキーの彼女になる由比ヶ浜結衣です。あねのんさん、よろしくです!」

陽乃「なんであねのん?」

結衣「ゆきのんのお姉さんだからあねのんさんです。はるのんさんの方がいいですか?」

陽乃「えっと……」


八幡「すいません。諦めてください」

陽乃「はるのんの方がいいかな?」

結衣「わかりました! それでゆきのんは来てないんですか?」

陽乃「雪乃ちゃんなら自宅でくつろいでるんじゃないかな。こういう外向きのはわたしがやることだし」

八幡「大変っすね」

陽乃「もう慣れたよ。それより雪乃ちゃんのおかげでうち大パニックなんだよねー」

八幡「お母さん泣かせた件ですか?」

陽乃「雪乃ちゃんから聞いたんだ」

八幡「はい。過保護な母親の相手は疲れるって言ってました」

陽乃「ぷふっ、あははっ!!」

結衣「どうしたんですか?」

陽乃「ううん。雪乃ちゃんが凄い面白くなったから。……雪乃ちゃんが変わったのは君たちが原因なのかな?」

八幡「変わったかどうかはわからないすけど、漫画に影響受けてるんじゃないんすかね」

陽乃「…………漫画?」

八幡「はい。それに最近凄いんすよね」

結衣「あ、確かに。最近のゆきのん凄すぎだよねー」

陽乃「何が凄いの?」

八幡「全部ですよ。勉強に家事に遊びに。なんか簡単に究極の集中状態に入れるっていうか」

結衣「期末テストもオール満点だったもんね。それに全部10分でテスト終えたらしいよ?」

八幡「マジかよ。化物じゃねえか……。雪ノ下さん、気を付けて下さいね」

陽乃「え? 気をつける?」

八幡「はい。なんか雪ノ下さんを追い越すとか言ってたんで」

陽乃「」

30分後


結衣「はるのんさん、ゆきのんのお姉ちゃんなのに胸大きかったね?」

八幡「それ雪ノ下には言うなよ」

結衣「言わないし。それより花火見ながら告白できなかったし……」

八幡「仕方ないだろ。特等席で花火見れたんだから我慢しろ」

結衣「うん。それじゃヒッキー、告白するね?」

八幡「お、おう……」

結衣「大好きです。あたしと付き合ってください」

八幡「よろしくお願いします」

結衣「返事早すぎだし!?」

八幡「え」

結衣「ここはもうちょっと二人の出会いとか語ったりさー」

八幡「告白を予告してくる女に文句言われたくねえな」

結衣「むー! ま、付き合えたんだしいっか」

八幡「軽いなおい」

結衣「それじゃヒッキー。これからよろしくね?」

八幡「おう」

結衣「……」

八幡「どうした?」

結衣「押し倒さないの?」

八幡「」

今回はここまで
次は二学期です

二学期初日


戸塚「八幡、おはよう」

八幡「おう」

戸塚「それとおめでとう」

八幡「え? なにが?」

戸塚「彼女が出来たことに」

八幡「……あー、由比ヶ浜から聞いたのか?」

戸塚「うん。付き合った日に報告あったよ」

八幡「そうか。俺が直接言おうとしたんだけどな」


戸塚「よっぽど嬉しかったんだね。……彼女か。いいなー」

八幡「戸塚も彼女欲しいのか?」

戸塚「まあね。でも今は部活で忙しいし部活引退するまではいいかな」

八幡「部活引退しても受験があるぞ?」

戸塚「そうだったね……。当分いらないってことになるのかなぁ」

八幡「まあ、戸塚なら俺と違って選び放題だろ」

戸塚「そんなことないよ」

八幡「そうか? 今でもドアから何人もお前のこと見てるぞ?」

戸塚「……」

結衣「ヒッキー、さいちゃん、やっはろー!」


戸塚「あ、由比ヶ浜さん。やっはろー」

八幡「おう」

結衣「今日風強くなーい?」

八幡「そうだな。向かい風でチャリきつかったわ」

戸塚「僕も朝練大変だったよ」

結衣「朝練って優美子も参加してるの?」

戸塚「うん。入部してから毎回参加してるよ」

結衣「そっかー。朝弱いのに偉いよねー」

八幡「いや、三浦が朝弱いとか知らないから」

奉仕部


八幡「うす」

雪乃「こんにちは、比企谷くん」

八幡「ほいこの前貸した本の続きだ」

雪乃「ありがとう。主人公が最後両目潰されて終わったから驚いたわ」

八幡「だから俺にラインしてきたのか」

雪乃「ええ。続編があるか気になったものだから」

八幡「雪ノ下はグロいのも平気なんだな」

雪乃「一応。江戸川乱歩の小説もグロいの多いし」

八幡「そうなのか。……俺も今度読んでみるか」

雪乃「文庫なら何冊か持っているから貸しましょうか?」

八幡「ああ」

雪乃「それより由比ヶ浜さんは?」

八幡「三浦に捕まってたな。多分俺と付き合うことで色々聞かれてるんじゃないか」

雪乃「そう。今日は授業もないし部活も終わりにしましょうか」

八幡「いいのか?」

雪乃「ええ。どうせ依頼も来ないでしょうし」

八幡「そうだな」

教室


八幡「由比ヶ浜」

結衣「あ、ヒッキー。どうしたの?」

八幡「部活なしになったからもう帰っていいぞ」

結衣「そうなんだ。んじゃ一緒に帰ろ?」

八幡「三浦はいいのか?」


三浦「別に。話は終わったし」


結衣「そういうこと。それじゃ部活頑張ってね」

三浦「うん。ヒキオ」

八幡「……」

三浦「ねえ、聞いてんの?」

八幡「は? 俺に言ってんの?」

三浦「当たり前じゃん。アンタ以外に誰がいると思ってんの?」

八幡「いや、俺ヒキオじゃないし。八幡だし」

三浦「あーしの中でアンタはヒキオなの!」

八幡「由比ヶ浜」

結衣「なに?」

八幡「お前らのグループってあだ名つけるセンスないんだな」

三浦「なっ!?」

結衣「えー? 優美子はともかくあたしはセンスあるよー!」

三浦「……っ!?」

八幡「いや。センスないから。それで何か用か?」

三浦「……ゆ、結衣のこと……、泣かせたら承知しないから……」

八幡「お前が泣きそうになってるじゃねえか」

三浦「な、泣きそうになってないし! あーし、部活行くから!」

結衣「うん」

八幡「戸塚に慰めてもらえよ」

三浦「うっさい!」

八幡宅


結衣「そういえばさー」

八幡「ん?」

結衣「来月文化祭あるじゃん?」

八幡「ああ」

結衣「二人で実行委員やろうよ」

八幡「嫌だ」

結衣「ほら、少女漫画でもあるじゃん。イベントの実行委員で二人の距離が縮まるとか!」

八幡「縮まるも何ももう付き合ってますしおすし」

結衣「そうだけどー……」

八幡「それに実行委員になったら一緒に回る時間も減るぞ?」

結衣「そっか。だよね……」

八幡「というわけで却下な」

結衣「うん」

八幡「それよりそろそろ離れてくれない?」

結衣「なんで?」

八幡「後ろから抱き付かれるのは背中におっぱいが当たって非常に嬉しいんだが、読書し辛い」

結衣「大丈夫。ヒッキーはあたしの胸の感触に負けずに読書に集中できるって信じてるし!」

八幡「……」

結衣「あ、でも読書よりあたしの胸が魅力ないってのもあれかも……」

八幡「と、とりあえず隣の部屋に小町がいるから離れてくれ!」

結衣「つまりあたしの胸に負けそうってこと?」

八幡「ああ。むしろ小町がいなかったら押し倒しているまである」

結衣「わかった。それならいいよー」

八幡「ほっ」

結衣「それじゃ今度は小町ちゃんが塾の日に遊びに来るね?」

八幡「よし。小町に塾がある日を聞いてくる」

一週間後


八幡「なぜ俺が実行委員に……」

戸塚「八幡、金曜日に由比ヶ浜さんと一緒に学校休んだでしょ?」

八幡「ああ」

戸塚「その日に文化祭の出し物と役割分担が決まったんだ」

八幡「……」

戸塚「演劇の主役と実行委員は男子は誰もやりたがらなくて……」

八幡「学校に来ればよかった……」

戸塚「僕と葉山くんも演劇の主役やることになったんだ」

八幡「演劇? 確か黒執事だったか?」

戸塚「うん。海老名さんが監督・脚本・演出で」

八幡「貞操は大丈夫か?」

戸塚「学校の出し物だしそれは大丈夫じゃないかな?」

八幡「だよな。戸塚がシエルか」

戸塚「そうだね。それで葉山くんは文化祭当日だけ黒髪に戻すみたい」

八幡「黒髪? あいつ、金髪がチャームポイントじゃなかったか?」


葉山「そうなんだよ……」


戸塚「葉山くん、おはよう」

葉山「おはよう、戸塚、比企谷くん」

八幡「おう。元気ねえな」

葉山「まぁね」

戸塚「そんなに嫌だったの?」

葉山「演劇は決まったことだから諦めたよ。実は先輩に二年でもバンドやるように言われてね……」

八幡「バンドねぇ」

葉山「メンバー探しをしなくちゃいけなくてね」

戸塚「大変だね。葉山くんは楽器演奏出来るの?」

葉山「ギターが趣味なんだ」

戸塚「凄いね。僕は楽器全然駄目でね……」

八幡「でも戸塚は歌上手いだろ」

葉山「……っ!?」

戸塚「そんなことないよ」

葉山「戸塚!」

戸塚「な、なに?」

葉山「ヴォーカルになってくれ!」

戸塚「………………え?」

八幡「確かにヴォーカルには華が必要だしいいかもしれないな」

葉山「比企谷くんもそう思うだろ? 戸塚、頼む」

戸塚「でも僕、人前で歌うなんて……」

八幡「緊張するか?」

戸塚「うん。特に大人数の前で何かするのは苦手なんだ」

八幡「でもテニスでも上にいけばいくほど大人数の前でプレイすることになるんだぞ」

戸塚「……」

八幡「その練習ってことで引き受けてみたらどうだ?」

戸塚「そっか。なるほど。……うん、いいよ」

葉山「すまない。助かる」

戸塚「それで誰のカバーするの?」

葉山「まだ決めてないんだ。でも戸塚がヴォーカルで黒執事でシエル役だし。……そうだ、ラルクにしよう」

八幡「安易だな」

葉山「それじゃ俺はベースとドラムを探すとするよ」

戸塚「うん」

葉山「それじゃまた後で」

八幡「大変なことになったな」

戸塚「まあね。……もしかして八幡に上手く乗せられちゃったかな?」

八幡「さあな」

戸塚「それより八幡も頑張ってね」

八幡「適当にな。ちなみに実行委員って俺一人か?」

戸塚「ううん。相模さんと二人だよ」

八幡「」

ここまで!

昼休み 部室


八幡「うす」

雪乃「あら。昼休みに部室に来るなんて珍しいわね」

八幡「雪ノ下に報告があってな」

雪乃「なにかしら?」

八幡「文化祭の実行委員になったら集まりがある日は部活に参加出来なくなった」

雪乃「比企谷くんが実行委員?」

八幡「ああ。休んだ日に決められてな……」

雪乃「そう。わかったわ」

八幡「雪ノ下は実行委員にならなかったのか?」

雪乃「ええ。わたしが実行委員になったら他の人が困るでしょう?」

八幡「何でだ?」

雪乃「わたしのスペックが高すぎてついてこれないと思うの」

八幡「……ああ。そういうことか」

雪乃「ええ。クラスの子達ならある程度はわかっているからいいけれど」

八幡「確かに」

雪乃「だからクラスの出し物に集中することにしたわ」

八幡「J組は何をするんだ?」

雪乃「コスプレ喫茶よ」

八幡「へぇ。コスプレねぇ。楽しみだ」

雪乃「わたしがするとは決まってないわよ?」

八幡「どうせお願いされるだろ」

雪乃「そうね。わたし、可愛いから」

八幡「そうだな。……とこんなこと言ってたら由比ヶ浜に怒られるな……」

雪乃「気をつけなさい」

八幡「ああ。ただでさえ機嫌悪いしな」

雪乃「なぜ?」

八幡「俺が実行委員になって文化祭で一緒に回る時間が減るからだ」

雪乃「なるほど。けれど雑務担当になれば特に問題ないんじゃないかしら?」

八幡「そうなのか?」

雪乃「去年実行委員をしたのだけれど、本番ではセレモニー以外はアルバム用に写真を撮って回るだけだったもの」

八幡「なるほど。それじゃそれ狙うかな」

放課後


相模「ていうか、ゆっこも一緒でよかったよー」

ゆっこ「あたしも。じゃんけんで負けちゃってさ」

相模「そうなんだ。うちは誰もやりたがらなかったから仕方なくなって感じ」

ゆっこ「南ちゃん、偉いじゃーん」

相模「そんなことないよ。あ、遥ちゃんはゆっこと同じバスケ部なんだっけ?」

遥「うん。南ちゃんって呼んでいい? わたしのことは呼び捨てでいいよ」

相模「もちろん。遥もよろしくねー」

遥「南ちゃんって葉山くんと同じクラスだよね?」

相模「うん。さっき実行委員頑張ってって言われちゃったよ」

遥「よかったじゃん。うちのクラス男子いいのいなくてさー」

ゆっこ「あたしも。戸塚くんも一緒でしょ?」

相模「うん。マジ綺麗すぎて笑うしかないよ」

ゆっこ「だよねー」


八幡(やっぱり戸塚は他のクラスでも人気あるんだな)

本牧「あれ? 比企谷じゃないか」

八幡「……おう」

本牧「比企谷も実行委員だったんだ。あ、俺のこと覚えてる?」

八幡「ああ。本牧だろ」

本牧「うん。知り合いがいてよかったよ」

八幡「俺のこと覚えてたんだな」

本牧「そりゃ出席番号も近かったしね」

八幡「なるほどな」


城廻「それでは、文化祭実行委員会をはじめまーす!」


八幡(なんかふんわりとした人だな)

城廻「えっと、生徒会長の城廻めぐりです。みんな、一緒に頑張ろうねー!」

「おーう!」

城廻「それじゃさっそく実行委員長を決めたいと思いまーす。誰か立候補いますか?」

八幡「本牧、やったらどうだ? 去年クラス委員長だったろ」

本牧「嫌だよ。やるとしても副委員長がいい」

八幡「なぜ副委員長?」

本牧「責任がある仕事はしたいけど、自分より責任が重い人がいないとやりたくないんだ」

八幡「お、おう……」


城廻「だ、誰もいないかなー?」


相模「あの、みんなやりたがらないならうちやってもいいですけど?」

城廻「本当? 嬉しいなー。じゃあ、自己紹介してもらっていい?」


相模「はい。二年F組の相模南です。こういうの、少し興味あったし……。うちもこの文化祭を通して成長したいっていうか。とりあえずスキルアップのチャンスだと思うんで頑張ります」

八幡(なんでこっちがお前の成長を手伝わないとあかんのじゃ)

本牧「F組って比企谷のクラスメイトだろ?」

八幡「ああ。あいつはクズだ」

本牧「そうなんだ。確かにビッチっぽいよな」

八幡(こいつも中々酷いこと言うな)

本牧「F組ってビッチっぽい人多いよね」

八幡「否定は出来ない」

城廻「さ、じゃああとは副委員長と役割を決めまーす」

30分後


相模「本牧くん、よろしくねー」

本牧「ああ。よろしく」

相模「それじゃーねー」

本牧「……」

八幡「どうしたんだ?」

本牧「あの子が実行委員長で大丈夫かと心配になってきた」

八幡「まあ、こういうのは慣れてなさそうだったな」

本牧「まあ、生徒会長もいるし大丈夫だよね」

八幡「どうだろうな」

本牧「……俺も記録雑務にすればよかったかな」

八幡「変わらないからな」

本牧「別にお願いしてないよ。それじゃまた」

八幡「おう」

一週間後 教室


葉山「比企谷くん」

八幡「おん?」

葉山「文実に行くんだろ。俺も行くよ」

八幡「海老名さんの魔の手から逃れたいのか?」

葉山「それもあるけど……。有志団体の申し込みの書類を取りに行くんだ」

八幡「ああ、バンドか」

葉山「うん。戸塚とカラオケ行ったんだけど本当に歌上手いんだな」

八幡「だから言っただろ」

葉山「化粧ばえしそうな顔だしヴォーカルとしては文句ないな」

八幡「メイクすんのか?」

葉山「演劇でね。俺と戸塚はそのままの衣装で演奏することになったんだ」

八幡「衣装か。確か川崎が担当だったな」

葉山「……俺、川崎さんに頭おかしい人だと思われてるんだけど」

八幡「そりゃあんなこと言ってたらそう思われても仕方ないだろ」

葉山「君が言わせたんじゃないか!」

文実


陽乃「あれ? 比企谷くんに隼人じゃん」

葉山「陽乃さん?」

八幡「うす。なんではるのんがここに?」

陽乃「はるのんはやめてね? 有志団体募集のお知らせを受けたから来たんだ。管弦楽部のOGとしてね」

城廻「私が呼んだんだ。有志団体足りないからどうかなって思って。ていうか比企谷くんとはるさん知り合いだったんだ?」

陽乃「まあね」

城廻「となりの人は?」

八幡「同じクラスの小山です」

葉山「葉山だよ!」

陽乃「二人とも文実なの?」

葉山「俺は違うよ。有志団体の申し込みの書類を受け取りに来たんだ」

陽乃「ふーん。二人って仲良いんだ?」

葉山「どうなのかな?」

八幡「俺に聞くなよ。……普通じゃないの」

葉山「だそうです」

陽乃「比企谷くんの普通ってよくわからないなー。……雪乃ちゃんはいないの?」

八幡「はい。クラスのコスプレ喫茶を頑張るみたいですよ」

陽乃「そ、そっか」

八幡「今ホッとしました?」

陽乃「してないよ!? そ、そういえば彼が委員長?」


本牧「え?」


八幡「違います。本牧は副委員長です」

陽乃「そうなんだ。てっきり仕切ってるから彼だと。それじゃ比企谷くん?」


相模「ごめんなさーい。クラスのほう顔出してて遅れちゃいましたー」


城廻「はるさん、この子が委員長ですよ」

相模「……あ、相模南です」

陽乃「ふぅん。文化祭実行委員長が遅刻? それもクラスに顔出してて?」

相模「あ、その……」

陽乃「やっぱり委員会はそうでなきゃねー。文化祭を最大限に楽しめる人こそ委員長に相応しいってねー」

相模「あ、ありがとうございます……」

20分後


八幡「ふぅ。……PC用眼鏡でも買うかな」

陽乃「ならわたしがプレゼントしてあげようか?」

八幡「お願いします」

陽乃「比企谷くんは遠慮しないなー。それで由比ヶ浜ちゃんとは上手くいってるの?」

八幡「はい。無事DT卒業しました」

陽乃「DT?」

八幡「童貞ですけど?」

陽乃「」

八幡「雪ノ下さん?」


陽乃「あ、ううん。そっか、そっか。上手くいってるようで何よりだね」

八幡「うす。それより雪ノ下さんに聞きたいことがあるんですけど」

陽乃「なにかな?」

八幡「セックスは週に何回すればいいんすかね?」

陽乃「」


相模「みなさん、ちょっといいですかー?」


八幡(よくねえよ。大事なこと聞いてんだ。黙ってろクズが)

相模「文化祭を楽しむにはクラスのほうも大事だと思います。予定も順調にクリアしてるし、少し仕事のペースを落とすってのはどうですか?」

本牧「相模さん、それはやめた方がいい。バッファをもたせるために……」

相模「でも雪ノ下さんだってクラスのほうも楽しんだ方が良いって言ってたじゃん。そうですよね?」

陽乃「え? あ、うん。そうだねー」

相模「それに文実は優秀な人が多いし大丈夫だよ」

八幡(もしかしてその優秀な人に自分を含めたりしてるのん?)

相模「本牧くんも少しはクラスに顔出したら?」

本牧「……わかった。委員長がそう言うなら従うよ。責任はしっかり取ってね」

相模「うん。本牧くんは心配性だってー」

本牧「……」

八幡「……」

10分後


本牧「はぁ」

八幡「お疲れさん」

本牧「やっぱり嫌な予感が当たった。それじゃ俺は帰るよ」

八幡「ああ。……んで雪ノ下さんは何が狙いなんすか?」

陽乃「え?」

八幡「いや。ちょっと待ってください」

陽乃「比企谷くん? 急に前髪弄ってどうしたの?」

八幡「なるほど。わかりました」

陽乃「言ってみて?」

八幡「まず雪ノ下さんは相模のことを気に入っていない」

陽乃「うんうん」

八幡「なので相模に文実をおろそかにするよう巧みに吹き込み、文化祭を破たんさせるつもりですね?」

陽乃「えっと、そこまでは……」

八幡「そして委員長である相模を追い詰めて追い詰めて自殺させる気ですね?」

陽乃「違うよ!?」

八幡「これは一期で見た某情報屋のやり取りに似ている。そういえばあいつも母校に来て後輩をたぶらかせてたな」

陽乃「比企谷くん、聞いてる?」

八幡「やっぱり雪ノ下の姉か。恐ろしいですね……」

陽乃「ねえ、比企谷くん。わたしの話聞いて?」

今回はここまで
副会長は原作とアニメだと大分印象が違いますね

白石さん可愛い

八幡「同じクラスの小山です」

葉山「葉山だよ!」

ワロタww

五日後 文実


八幡「うす」

本牧「お疲れ」

八幡「……なんかまた人減ってないか?」

本牧「そうだね。相模さんも来てないし」

八幡「全体の進捗は?」

本牧「今のところ予定通り。……だいぶ余裕持たしてたんだけど」

八幡「そうか」


城廻「あ、お疲れさまー」


八幡「お疲れさまです。先輩は毎日出てますね」

城廻「うん。最後の文化祭だからねー」

八幡「ですよね」

城廻「休み明けから増えるだろうし、頑張ろう?」

八幡「うす」

藤沢「あの、比企谷先輩」

八幡「ん?」

藤沢「書類でわからないところがあるので聞いてもいいですか?」

八幡「ああ。お前も毎日出てて偉いな」

藤沢「そんなことないですよ。実行委員なので当たり前ですよ」

八幡「当たり前か」

八幡(当たり前のことを出来ない奴らがどれだけいるのやら)

30分後


八幡「ふぅ」

八幡(とりあえず残っている連中は優秀なやつが多いようで思ったより遅れてなさそうだな)

本牧「申請のまとめどう?」

八幡「今のところ多くないから問題ない。後でエクセルで表作って提出する」

本牧「助かるよ」

八幡「んで相模のクズはまだ来ないわけ?」

城廻「あ、相模さんならお腹痛くて帰ったみたいだよー」

八幡「……死ねばいいのに」

本牧「そうですか……。決裁印どうしようか?」

八幡「俺に聞くなよ。……いや、お前がもうやっちゃえよ」

本牧「え?」

八幡「大丈夫だ。相模が文句言ってきたら俺がぶち殺す」

城廻「殺しちゃ駄目だよ!?」

本牧「……そうだな。使えないビッチを待っててもどうしようもないし」

城廻「君も酷いね!?」

八幡「仕方ないですよ。自分の成長の為にとか言ってたくせにこの体たらくですから」

城廻「……うーん、もう少し考えて委員長を決めたほうがよかったかなー……」

八幡「そうかもしれないですね。まあ、今更ですし残った精鋭たちで頑張りましょう」

城廻「うん。精鋭かぁ。なんかカッコいいねー?」

八幡(なんか癒されるなぁ)

18時半


城廻「今日はそろそろ終わりにしようか」

本牧「そうですね」

八幡「もう18時半か。今日も働いたなぁ」

城廻「わたしが上司なら飲みに連れていくべきなのかなー?」

八幡「いや、飲めないですし」

城廻「あ、そうだ。明日は休みだしみんなでファミレスでも行かない?」

藤沢「ファミレスですか?」

城廻「うん。もちろん強制じゃないから行きたい人だけ。どうかな?」

本牧「そうですね。今更ですけど親睦を深めることにも繋がりますし」

城廻「うんうん。駅前のサイゼでいいよね?」

八幡「絶対行きます」

藤沢「それじゃ私も」

19時 サイゼ


城廻「藤沢さんは帰り大丈夫?」

藤沢「はい。両親が共働きで帰っても誰もいないですし」

八幡「ほーん。俺と同じだな」

本牧「うちもだよ。城廻先輩のうちはどうなんです?」

城廻「うちはお母さんが専業主婦だよー」

八幡「いいですね。城廻先輩も専業主婦が似合いそうです」

城廻「そうかなー? ありがとう」

本牧「口説いてるのか?」

八幡「なんでそうなるんだよ」

八幡(でも今の由比ヶ浜に聞かれてたら怒られるだろうな)

20時


城廻「とりあえず知ってる子には声掛けする方向でいいかな?」

八幡「そうですね。俺誰も知らないので役に立たないですけど」

本牧「相模さんのクラスメイトだろ?」

八幡「アイツには話しかけたくない」

藤沢「相当嫌いなんですね」

八幡「むしろあいつが好きな実行委員がいるの?」

藤沢「……ですね」

城廻「でも相模さんも月曜から頑張るかもしれないし」

八幡「そうだといいんですけどね。…………ん?」


相模「あっ」

ゆっこ「南ちゃん、どうしたの?」


相模(やばっ。なんでこんなところに城廻先輩達が……)

城廻「あれ? 相模さん、体調不良じゃなかったの?」

相模「え、えっと……。実はよくなったので夕食を食べに来たんですよー」

城廻「そうなんだー。治ってよかったねー」

八幡(なに信じちゃってるのこの人!?)

本牧「城廻先輩、さすがにそれは……」


藤沢「……」

城廻「え? どうかした?」

相模「そ、それじゃお疲れさまでーす」

八幡「……別にお前は疲れてねえだろ」

相模「なんか言った?」

八幡「聞こえてないならいいよ。早く帰ったらどうだ?」

相模「言われなくても帰るし」

ゆっこ「え、えっと、失礼しまーす……」

八幡「……」

城廻「ひ、比企谷くん? 怖い顔しちゃってどうしたの?」

本牧「城廻先輩。比企谷は相模さんが仮病でさぼってたので怒ってるんですよ?」

城廻「え? サボり?」

本牧「はい」

藤沢「服屋の袋持ってましたし決定的ですよね」

城廻「そうなんだ……。期待してたんだけどなー……」

八幡「仕方ないですよ。それより城廻先輩」

城廻「なに?」

八幡「今から委員長を変えることって可能ですか?」

城廻「え?」

三日後 月曜


八幡「今日も金曜と人数は変わらずか」

城廻「一応、声掛けしたんだけどみんな忙しいみたいで……」

八幡「クラスに顔出すのに忙しいんですね。わかります」

藤沢「あの、城廻先輩はクラスの方に顔出さなくていいんですか?」

城廻「大丈夫だよー。それにわたし、生徒会長だから」

八幡「……」


雪乃「失礼します」

結衣「失礼しまーす!」


八幡「由比ヶ浜に雪ノ下? どうしたんだ?」

結衣「あたしはヒッキーの様子見に来たの!」

雪乃「わたしはクラスの子に文実を手伝うように頼まれて」

八幡「そうなのか」

雪乃「随分人が少ないのね」

八幡「ああ。少数精鋭だ。いいだろ?」

雪乃「ふふ、そうね」

女子「あ、雪ノ下さん。本当に来てくれたんだー」

雪乃「ええ。クラスの方はわたしがやることはないもの」

八幡「そうなのか?」

雪乃「後は仕入れと衣装の仕上げくらいかしら」

八幡「まだ一週間以上あるのに……。早いな……」

雪乃「当然よ。わたしが指揮しているのだから」

結衣「よかったらあたしも手伝おっか? クラスでやることもだいぶ少なくなったし」

八幡「助かる。由比ヶ浜はいらないけど」

結衣「ひどーい! 彼女にいらないとか酷すぎだし!」

雪乃「それで委員長の相模さんは?」

八幡「……あいつはもう委員長じゃない」

雪乃「え?」

八幡「本牧が委員長になった。んで俺が副委員長」

結衣「え? どういうこと?」

本牧「えっと……」

八幡「相模は委員長クビってことだ」

雪乃「そう。使えないトップが下されるのはよくあることね」

女子「雪ノ下さん、相変わらず毒舌だねー」

雪乃「あなたが相模さんは使えないとわたしに言ってたじゃない」

本牧「そうなの?」

女子「うん。だってサボってばかりだし、いても役に立たないし」

結衣「さがみんにそういうの期待しちゃ駄目だよ? あたしと同じで赤点ギリギリなんだから」

「」

城廻「相模さんって成績よくなかったんだねー」

藤沢「そうですね」

八幡「あいつ何もいいところがねえな」

結衣「とりあえず本牧くんの指示に従えばいいの?」

八幡「あ、ああ。そうだな。雪ノ下もいいか?」

雪乃「ええ。それではわたしにも指示を」

本牧「あ、うん。それじゃ……」

八幡「んじゃ俺は教室に行ってくる」

結衣「なにしに?」

八幡「相模に引導を渡しに」

教室


葉山「相模さん、文実は大丈夫なのかい?」

相模「うん。順調に進んでるよー」

葉山「いや、そういうことじゃなくて……」

相模「それより葉山くんと戸塚くんの黒執事楽しみだなー」

葉山(この子馬鹿なんだろうか?)

海老名「相模さん、こっちは人手足りてるから文実に行ってきてもいいよ?」

相模「え? 本当に大丈夫?」

海老名「うん。大丈夫」

海老名(だってお喋りしかしてないよね)

川崎(なんか海老名から黒いオーラを感じる)

相模「それじゃうち、そろそろ委員会に行ってこようかなー」


八幡「来なくていいぞ。お前の席もうねえから」


相模「…………は?」

海老名「比企谷くん、どういうこと?」

八幡「相模は委員長クビってことだ」

相模「」

葉山「クビ?」

八幡「ああ。当たり前だろ? 文実にいつも遅れてくるし、クラスで仕事してると思えばお喋りしてるだけ」

相模「う、うち、ちゃんと仕事してるし!」

八幡「は? 毎回城廻先輩と本牧にフォローされてるじゃねえか。いつになったら独り立ち出来んだよ?」

相模「……っ」

八幡「まあ、仕事が出来なくてもやる気があればいい。でもやる気もないだろ?」

相模「はー? なんでそんなことアンタに言われないといけないわけ!?」

八幡「先週の金曜に仮病で文実サボってたじゃねえか」

相模「」

戸部「え? マジ?」

三浦「でもクラスにいなかった?」

葉山「確かいたと思うけど。俺と会話してたし……」

八幡「ファミレスで遭遇したもんな。服屋の袋を持ってよ」

相模「……ッ!」

戸部「マジで? 相模さん、サボりはよくないっしょー」


八幡「こっちは少人数で頑張ってたのに。委員長は楽しく買い物ですかー?」

相模「……」

八幡「まあこれでお前もよくわかっただろ。自分は人の上に立つ器じゃないってことが」

葉山「比企谷くん、少し言いすぎじゃないか?」

八幡「言い過ぎじゃないだろ。相模含めサボってる奴らのせいで文実で真面目にやってる奴らが被害を被ってるんだよ」

葉山「……」

八幡「生徒会長の城廻先輩だって最後の文化祭なのにクラスに顔出さずに文実につきっきりだ」

葉山「そ、そうか……」

戸部「それは生徒会長さん、可哀相すぎだべ」

八幡「というわけで文実にはもう来なくていいからな」

相模「……」

廊下


八幡(うーん、言い足りなかったかもしれない)

川崎「ちょっと」

八幡「ん? どうした?」

川崎「いや、あんたが女子にあそこまで言うの初めて見たから……」

八幡「そうか?」

川崎「うん。あたしみたいに見捨てずに助けてあげたりしないんだ?」

八幡「なんで俺が相模みたいなゴミ救わないといけないんだ?」

川崎「あ、いや……」

八幡「っと、悪い。川崎は弟思いのいいやつだからな。弟の大志もいい奴だったし」

川崎「そ、そう。……なんだか照れるんだけど」

八幡「クラスの雰囲気悪くしてすまないな。海老名さんにも謝っておいてくれ」

海老名「別に謝る必要ないよ」


八幡「海老名さん?」

海老名「むしろ比企谷くんには感謝してるかなー」

八幡「感謝?」

海老名「うん。別に相模さんのことは嫌いじゃないけどね。葉山くんと戸塚くんに話しかけてばかりで練習の邪魔だったから」

八幡「なるほど」

海老名「比企谷くんが心へし折ってくれて助かったよ。これで大人しくしてくれるでしょ」

八幡「だろうな。……海老名さんも結構黒いな」

海老名「比企谷くん程じゃないよ」

八幡「俺なんか甘ちゃんだぞ?」

海老名「そうなの?」

八幡「ああ。雪ノ下の姉なんか相模を自殺まで追い込もうとしてたからな」

海老名「」

川崎「」

10分後 文実


結衣「どうだったの?」

八幡「しっかり引導を渡してきた」

城廻「相模さん、大丈夫だった?」

八幡「どうですかね。まあ、これも自分の成長を高めるチャンスだと思ってくれれば幸いです」

雪乃「心にもないことを」

本牧「なあ、比企谷」

八幡「ん?」

本牧「もうこの人数で何とかなりそうだし、もう声掛けするのはやめようと思うんだ」

藤沢「え? 大丈夫なんですか?」

本牧「うん。雪ノ下さんが来てからみんなの作業効率も上がってるし」

雪乃「当然ね」

本牧「それにやる気がある人なら声掛けしなくても自分から来てくれると思うんだ」

八幡「そうか。俺は委員長に従うまでだ」

本牧「城廻先輩もいいですか?」

城廻「うん。わたしも委員長に従うよー」

女子「だねー。私たちで頑張ろうー」

藤沢「先輩たちがそう言うなら」

結衣「うん。みんなでがんばろー!」

10分後


雪乃「……」

女子「雪ノ下さん、凄い集中してるね?」

藤沢「ですね。タイピングも早すぎます」

八幡「ゾーンに入ったな」

本牧「あれが噂のゾーンか」

結衣「本牧くん、次は何やればいい?」

本牧「えっと」

八幡「由比ヶ浜、お前に大切な仕事を任せる」

結衣「え? なになに?」

八幡「みんなの飲み物買ってきてくれ」

結衣「うん。わかったー。……ってそれパシリじゃん!?」

今回はここまで
文化祭は次で終わりだと思います

文化祭一日目 開会式後


八幡「挨拶お疲れさん」

本牧「凄い緊張したよ」

雪乃「そうね。二か所噛んでたわね」

本牧「うっ」

結衣「ゆきのん、厳しすぎだよー」

城廻「うんうん。いい挨拶だったよー」

本牧「あ、ありがとうございます」

八幡「それじゃ藤沢は昼まで見回りよろしくな」

藤沢「はい。それじゃ本牧先輩、行きますよ」

本牧「うん」

教室


葉山「比企谷くん、お疲れさま」

八幡「……ああ、葉山か。黒髪だからわからなかった」

葉山「やはり俺のチャームポイントがないから……」

結衣「本当だー。黒髪だと無個性のイケメンって感じだねー」

葉山「結衣も酷いな……」

海老名「結衣、本番前に主役のやる気をそぎ落とさないでよー」

結衣「あ、ごめん!」

戸塚「二人とも、お疲れさま」

八幡「おぉ、凄いな。シエルそっくりじゃないか」

結衣「ヒッキーがこの前見せてくれた画像の子だよね? 凄い似てるよ、さいちゃん!」

戸塚「そ、そうかな? なんだか恥ずかしいや」

八幡「実写は戸塚が出るべきだな」

結衣「え? 実写化されてなかったけ?」

八幡・海老名「あれはなかったことだから」

結衣「なんでハモってるし!?」

戸塚「メイクもだけど衣装も漫画通りなんだ」

海老名「サキサキの才能を見抜いたわたしの目に狂いはなかったね」

八幡「よく裁縫が得意だとわかったな」

海老名「わたし、他者の才能を見出す能力に優れてるんだよね」

八幡「どこぞの世代の主将さんだよ」

結衣「姫菜、あたしとヒッキーって今日やることある?」

海老名「受付くらいかなー。実行委員は大丈夫なの?」

八幡「今日は特にやることないな。呼び出しはくらうかもしれないが」

海老名「そっか。それじゃ公演前の受付お願いしていい?」

結衣「うん!」

八幡「あいよ」

一時間後


結衣「次の公演は30分後だねー。ここで座って待ってようか?」

八幡「そうだな」

結衣「それよりお客さん凄かったねー」

八幡「戸塚と葉山だからな。あれくらいは入るだろ」

結衣「でも戸部っちのおかま言葉はキモかったかも」

八幡「あれは仕方ない」

結衣「そういえばゆきのんのコスプレ喫茶行くでしょ?」

八幡「ああ。受付交代したら行ってみるか」

結衣「うん! ゆきのんのコスプレ楽しみだね」

八幡「そうだな。なんのコスプレをするのか」

結衣「……ヒッキー」

八幡「ん?」

結衣「あたしにもコスプレして欲しいと思う?」

八幡「…………は?」

結衣「ヒッキー、ゆきのんのコスプレ凄い楽しみそうにしてるし……」

八幡「いや、真面目な雪ノ下がコスプレをするというのが楽しみなだけであってだな……」

結衣「本当に?」

八幡「本当だ。それにコスプレなら由比ヶ浜の方が見たいまである」

結衣「そっかー。なんのコスプレして欲しいの?」

八幡「マッ○の店員や魔法使いとか?」

結衣「なんでそれ!?」

30分後


海老名「二人とも、お疲れさま」

結衣「もういいの?」

海老名「うん。今の公演終わったらお昼だし二人で回ってくれば?」

結衣「ヒッキー」

八幡「んじゃ行くか」

結衣「うん。お昼食べてからコスプレ喫茶行く?」

八幡「そうだな」

海老名「お昼なら三年B組のが美味しいみたいだよ」

結衣「そうなんだ。それじゃいこ?」

八幡「ああ」

海老名「いってらっしゃーい」

一時間後 二年J組


結衣「ゆきのーん、遊びに来たよー」

雪乃「あら? 本当に来たのね」

八幡「ああ。その格好は……」

結衣「凄い奇抜な格好だし。……なんのコスプレ?」

雪乃「童女の怪異のコスプレのようだけれど。比企谷くんは知っているんじゃない?」

八幡「そうだな。とりあえずコーヒーとココア頼む」

雪乃「コーヒーとココアね。了解したわ、と僕はキメ顔でそう言った」

結衣「…………は? ゆきのん、頭大丈夫?」

雪乃「くっ! 由比ヶ浜さんに心配されるなんて屈辱だわ……」

八幡「気にするな。どうせコスプレ仕切ってる奴からそう言えって言われたんだろ?」

雪乃「ええ。もう一つふざけた台詞を頼まれたけどそっちは断ったわ」

八幡「ゆきのん、いえ~い」

雪乃「殺すわよ?」

八幡「ごめんなさいでした」


16時半 文実


城廻「一日目は無事終わったねー」

本牧「はい。でも明日が本番ですよね」

八幡「だな。一般客が多い分トラブルも多いだろうな」

雪乃「そうね。けれど文実フルメンバーにわたしがいるのだから問題はないわ」

藤沢「雪ノ下先輩の自信を少し分けて欲しいです」

結衣「明日のこと考えると戻ってきた人たちがいてよかったよねー」

女子「だよねー。十人も戻ってくるとは思わなかったけど」

城廻「……明日、本当に手伝わなくてもいいの?」

本牧「はい。城廻先輩は最後の文化祭ですし楽しんで下さい」

藤沢「私たちに任せて下さい!」

城廻「うん。それじゃお任せするねー」

翌日


小町「おにいちゃーん」

八幡「おう。一人で来たのか」

小町「うん。受験前のナーバスな時期に誘えないよー」

八幡「なるほどな」

小町「お兄ちゃんも一人なの?」

八幡「ああ。文実の仕事で見回り中だ」

小町「一日ずっと?」

八幡「そうだな。由比ヶ浜とは昨日回ったし」

小町「そっか。てか中学と全然違うね」

八幡「まあな。中学はそもそも文化祭なかったしな」

小町「うん。あるのは合唱コンクールだけ」

八幡「懐かしいな」

小町「小町いろいろ見てくから」

八幡「ああ。15時から戸塚のバンドのライブがあるからな」

小町「うん。それじゃまたねお兄ちゃん」

体育館


雪乃「あら、姉さん」

陽乃「げっ、雪乃ちゃん」

雪乃「妹の顔を見て嫌そうな顔するなんて酷い姉ね」

陽乃「そんなことないよー。こほん、雪乃ちゃん。けっきょく文実やってるんだって?」

雪乃「ええ。姉さんが余計なことをしたせいでね」

陽乃「なんのことかなー?」

雪乃「比企谷くんから聞いたわ。相模さんを自殺に追い込もうとしていたと」

陽乃「ち、違うから! 姉さん、そこまで酷いことしないからね!?」

雪乃「わかってるわ。比企谷くんが勘違いをしているだけだって」

陽乃「ほっ」

雪乃「それでも姉さんのせいで比企谷くん達の負担が増えたことには変わりないわ」

陽乃「……あれ? 雪乃ちゃん、怒ってる?」

雪乃「怒ってないわ。怒るのは疲れるもの。ただ……」

陽乃「ただ?」

雪乃「次に余計なまねをしたら殺すからよろしくお願いするわ」

陽乃「ひっ」

雪乃「……なんてね。冗談よ、姉さん」

陽乃「も、もう……、冗談がきついよ、雪乃ちゃん」

雪乃「ふふふ、ごめんなさい。それじゃ演奏頑張ってね、姉さん」

陽乃「うん。……怖かったぁ……」

14時半 舞台袖


戸塚「なんか緊張してきたよ……」

葉山「そうだな。お客さんもだいぶ入ってるみたいだ」

戸塚「歌詞間違えたらどうしよう……」

三浦「戸塚、しっかりしなって。たくさん練習したんだから大丈夫だし」

戸塚「三浦さん……」

三浦「ほら、テニスの部長がそんな情けない顔しない!」


八幡「三浦、面倒見いいんだな」

結衣「うん。泣き虫でビビりだけど面倒見は超いいし」

雪乃「由比ヶ浜さん、最近のあなた言葉がきついわよ」

藤沢「凄い綺麗な顔してますね」

本牧「うん」

藤沢「本当にシエルに見えてきました」

八幡「お、藤沢は黒執事知ってるのか」

藤沢「はい。……あ、別に腐女子じゃないですよ?」

八幡「そこまで偏見してないから大丈夫だ」


男子「うぐっ!」

葉山「どうした?」

男子「俺の胃腸が……」

戸塚「え?」

葉山「くっ。男子の胃腸の弱さがこんな時に……」

男子「す、すまない……」

戸塚「演奏難しいの?」

男子「あ、ああ……」

葉山「まずいな」

三浦「え? どうすんの? ベースなしでやるわけ?」

葉山「……」


本牧「どうかしたの?」

葉山「ベースが急に体調が悪くなって……」

本牧「そうなのか。藤沢、彼を保健室に連れてってくれないか?」

藤沢「は、はい。大丈夫ですか?」

男子「す、すまねぇ……」

葉山「まいったな」

八幡「いや、胃腸弱い奴をベースに迎えるなよ……」

葉山「彼以外出来る人がいなかったんだ」

戸塚「……どうしよっか……」

雪乃「……仕方ないわね」

結衣「ゆきのん?」

雪乃「わたしがベースをやるわ」

「」

雪乃「確かラルクよね。曲目とTAB譜を」

葉山「……え?」

雪乃「早くしなさい」

葉山「あ、ああ!」

三浦「え? 雪ノ下さん、ベース出来んの?」

雪乃「一応ね。集中するから話しかけても聞こえなくなるわよ」

結衣「ゆきのん、楽器も出来るんだ。凄すぎだし」

八幡「葉山は雪ノ下がベース出来ること知ってたのか?」

葉山「いや、俺も知らなかったよ」

15分後


雪乃「お待たせ。もう大丈夫よ」

葉山「今ので覚えたのかい!?」

雪乃「ええ。本番まであと五分。あなた達こそ大丈夫なの?」

葉山「……ああ。戸塚は?」

戸塚「大丈夫。ドラム君は?」

男子「大丈夫だ!」

雪乃「……というわけでエンディングセレモニーは任せたわ」

八幡「お、おう。……お前、本当に化物だな」

雪乃「美少女に向かって化物なんて酷いわね」

八幡「本当にそう思ってるんだから仕方ないだろ」

5分後


葉山「それじゃ行こうか」

戸塚「うん」

雪乃「ええ」

男子「よっしゃ!」

三浦「なんかあーしが緊張してきた……」

結衣「優美子、さっきさいちゃん励ましてたじゃん?」

三浦「そ、そうだけど……」

結衣「ゆきのんもいるんだし大丈夫だよ!」

三浦「……うん。なんかそんな気がしてきたし」

本牧「結局、最後まで雪ノ下さんに頼りっぱなしだったな」

八幡「そうか?」

本牧「うん。文実も雪ノ下さんがいなかったらどうなっていたか」

八幡「まあ、そうかもしれないが元々の委員長が戦力外だったんだし仕方ないだろ」

藤沢「そ、そうですよ。本牧先輩はちゃんと委員長してましたよ」

結衣「うん。本牧くんはさがみんの尻拭いしたんだし誇ってもいいよ!」

八幡「それは誇りたくないな」

本牧「そうだな」

結衣「あれっ!?」

閉会式後


八幡「はぁ。後片付けが一番面倒だな」

結衣「だよねー。でもライブ凄かったよね?」

雪乃「当たり前じゃない」

八幡「お、おう……。てか戸塚達は文実じゃないんだし後片付けしなくていいんだぞ?」

戸塚「ううん。手伝うよ。クラスに戻ってもやることないし」

葉山「そうだな。それに雪ノ下さんに大きな借りた出来たし」

雪乃「あら? それじゃまたこの貸しを利用させてもらおうかしら」

葉山「ほ、ほどほどに……」

結衣「優美子は戻んないの?」

三浦「あーしも手伝う。教室に戻る前に二人のメイク落としもしないとだし」

戸塚「あ、そっか。それがあったんだ」

葉山「悪いな、優美子」

三浦「別に。てか打ち明けどうすんの?」

葉山「それなら駅前のライブハウスを取ってあるんだ」

戸塚「え? もしかしてまた演奏するの?」

葉山「あれ? 言ってなかったか?」

戸塚「言ってないよ……」

結衣「てことはゆきのんも参加するの?」

雪乃「いえ。そもそも打ち明けに誘われてもいないもの」

葉山「雪ノ下さん、打ち上げも参加して手伝ってくれないか?」

雪乃「どうしようかしら?」

八幡「とりあえず参加してまた貸しを作ってやればいいんじゃないか?」

葉山「うっ」

雪乃「そうね。これから依頼がある時に葉山くんは使えそうだし」

葉山「……」

三浦「雪ノ下さん、あんま隼人を苛めないでほしいんだけど」

雪乃「大丈夫よ。あなたの男をとるつもりはないから」

三浦「あ、あーしの男って!?」

雪乃「あら? 違うのかしら。もしかして戸塚くん?」

戸塚「え」

三浦「と、戸塚も違うし!?」

結衣「優美子、まさかの二人狙いなの?」

八幡「やるな三浦」

本牧「やっぱり比企谷のクラスってビッチが多いんだな」

藤沢「そうなんですね」

三浦「もうやだ……」

ここまで
わたりんの世代的にラルクやGLAYが流行ってたはず

雪乃「あら、姉さん」

陽乃「げっ、雪乃ちゃん」


逆、逆ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!

10月上旬 奉仕部


雪乃「比企谷くん、これ読み終わったわ」

八幡「おう。相変わらず読むの早いな」

雪乃「休日は勉強以外やることないもの。ぬらりひょんの認識が変わったわ」

八幡「そうだな。俺もそれ読むまでただ食いするイメージしかなかったな」

結衣「ゆきのん、今度はあたしの漫画も貸すよ!」

雪乃「由比ヶ浜さんの好きな漫画は信用出来ないから結構よ」

結衣「酷い!?」


葉山「失礼するよ」


結衣「あれ? 隼人くんだ」

雪乃「何か用かしら?」

葉山「ああ。また依頼に来たんだけど」

結衣「え? また大岡くんがやらかしたの?」

八幡「そういうのはお前が管理しろよ」

葉山「違う違う。今回は戸部と姫菜の件で来たんだ」

結衣「姫菜と戸部っち?」

5分後


雪乃「なるほど。戸部くんが海老名さんに恋心を抱いていて修学旅行に想いを告げるのね」

葉山「ああ。けど姫菜は……」

八幡「戸部と付き合うつもりはない」

葉山「そういうことだ。それに告白を断ってグループの関係にひびが入ることを危惧していてね……」

結衣「戸部っちに相談を受けてて、姫菜には戸部っちが告白しないようお願いをされてるんだね」

葉山「その通りだよ。板挟み状態でね……」

雪乃「それでうちに来たというわけね」

葉山「一応、戸部に姫菜に脈がないことを言って告白を諦めるよう言ってるんだけど決意が固くてね」

雪乃「ようは戸部くんの告白を辞めさせればいいのかしら?」

葉山「ああ。そうすれば誰も傷つかなくなると思うんだ」

八幡「……」

葉山「何とかお願い出来ないかな?」

結衣「隼人くん、それは違うと思うよ」

葉山「え?」

結衣「恋愛で誰も傷つかないなんてないよ」

雪乃「少女漫画にそう書いてあったのね」

結衣「うん!」

雪乃「はぁ」

八幡「少女漫画は置いといて、由比ヶ浜の言う通りだと思う」

葉山「……」

八幡「葉山、具体的に戸部にどんな相談を受けているんだ? 告白が上手くいくよう何かお願いをされているのか?」

葉山「いや、そこまでは言われてないよ。修学旅行で告白することくらいしか」

八幡「そうか。なら他人の俺たちがどうこうする権利はないと思う」

結衣「うん。それに今回告白を止められたからって姫菜のお願いは叶えられないと思うよ?」

葉山「なんでだ?」

結衣「だって戸部っちの決意固いんでしょ? 今回は見送っても修学旅行後にすぐ告白するかもしれないじゃん」

八幡「そうだな。クラス替えをするまで戸部が告白を見送り続けるとは限らないからな」

結衣「うん。それに人を好きな気持ちって他人に言われたからって変わるもんじゃないし」

葉山「そうなのか……」

雪乃「そうなのね……」

結衣「二人とも、人を好きになったことないの?」

雪乃「ないわ。パンさんくらいしか」

葉山「……ないんだろうな。本当に人を好きになったことが」

結衣「そっか。ならこれから出来るといいね!」

葉山「……そうだな」

結衣「てか戸部っちって姫菜のこと好きだったのかー」

八幡「気づかなかったのか?」

結衣「うん。だってあたしの胸ばっか見てるし?」

八幡「……」

結衣「ね?」

葉山「俺に聞かれても……」

結衣「あ、そうだ。隼人くん、明日姫菜をここに連れてきてよ」

葉山「いいけど。なんでだい?」

結衣「本人から直接聞きたいから。……それと姫菜に対して少し怒ってるし」

葉山「わ、わかった。喧嘩はやめてくれよ?」

結衣「大丈夫」

雪乃「今回は由比ヶ浜さんに任せた方が良さそうね」

八幡「そうだな」

帰り道


八幡「由比ヶ浜が本当に怒るなんて珍しいな」

結衣「そう?」

八幡「ああ」

結衣「だって他人にお願いして告白を止めさせようなんて卑怯じゃん?」

八幡「……そうかもな」

結衣「それに男女のグループなんて恋愛は付き物だし」

八幡「そうなんだろうな」

結衣「それと姫菜はグループに対して考えすぎだと思うんだよね」

八幡「考えすぎ?」

結衣「うん。姫菜は告白を断って今のグループがおかしくなるのが嫌なんでしょ?」

八幡「そうだな。海老名さんは今のグループを大事にしたいんだろう」

結衣「でもあたし達のグループって元々おかしいじゃん?」

八幡「」

結衣「他人を陥れようとしてチェーンメールを送る人はいるし、好きなのバレバレなのに本人に気づかれてないと思ってる優美子もいるし」

八幡「名前言っちゃってるぞ?」

結衣「それと戸部っちの告白を断っても大丈夫だと思うんだよねー」

八幡「根拠は?」

結衣「あたしも大岡くんの告白断ってるから」

八幡「」

結衣「夏休み前に告白されてね。あたしにはヒッキーがいるからもちろん断ったけど」

八幡「初耳だわ」

結衣「だって初めて言ったし。あたし達って付き合う前からイチャイチャしてたじゃん?」

八幡「それはお前が一方的に……」

結衣「それなのに告白してきたからね。凄いびっくりしたし」

八幡「お、おう……」

結衣「だから姫菜も好きになられたなら、面と向かって断るべきだと思うんだよね」

八幡「……そうか。確かにそうかもしれない」

結衣「ヒッキー?」

八幡「俺も中学時代に何度か告白したが全員答えはくれたからな」

結衣「四人とも全員ちゃんと断ってくれたの?」

八幡「ああ。……なんで四人と知ってるんだ?」

結衣「前に言ったじゃん。同中の子がヒッキーの元同級生だって」

八幡「その人から聞いたのか」

結衣「うん。ヒッキーの中学時代の話は色々聞いてるよー」

八幡「怒らないのか?」

結衣「なんで?」

八幡「彼氏が色んな女に告白をしていて」

結衣「でもあたしと出会う前の話だし。それにそんな経験があったから今のヒッキーがあるわけでしょ?」

八幡「……」

結衣「ならいいじゃん。ちなみにあたしは告白したのヒッキーだけだからね?」

八幡「……おう」

結衣「それに少女漫画で相手役に過去に女の影があるのは常識だし」

八幡「やっぱりそれか……」

今回はここまで
斉木アニメ化ひゃっほう

翌日 奉仕部


葉山「失礼します」

海老名「はろはろー」

雪乃「いらっしゃい」

結衣「二人とも、やっはろー!」

八幡「……」

葉山「言われた通りに姫菜を連れてきたけど……」

結衣「うん。隼人くん、ありがとー」

海老名「結衣から呼び出しなんて珍しいよね」

結衣「だよね。初めてかも」

海老名「そっか。わたし、結衣の初めてなんだ」

結衣「え? あたしの初めてはヒッキーだよ?」

「」

八幡「お、おい!?」

結衣「ん?」

海老名「……そっか、そっか。結衣は大人の階段上ってるんだねぇ」

葉山「比企谷くん。本当なのかい?」

八幡「なんで葉山が興奮してるんだよ」

雪乃「こほん。由比ヶ浜さん、本題を」

結衣「うん」

海老名「戸部っちのことだよね?」

結衣「そうだよ。単刀直入に言うね。他人を使って告白を諦めさせるのはずるいと思う」

海老名「……」

結衣「今のグループを大事にしたいのはわかるけど、これは姫菜自身がやらないといけないことだと思う」

海老名「……うん。そうだね。結衣の言う通りだと思うよ」

結衣「なら」

海老名「けど私は卑怯な人間だから」

結衣「……」

海老名「今の自分とか、周りの人達をなくしたくないから。その為なら友達も利用しちゃうんだよね」

葉山「姫菜……」

結衣「戸部っちは振られてもいなくならないと思うんだけど」

海老名「うん。私もそう思う。……けどいなくなるかもしれない」

八幡「……」

海老名「戸部っちが私から遠ざかったら、隼人くん達も私たちから遠ざかると思うんだ」

葉山「そんなことは」

海老名「ないとは言い切れないでしょ?」

葉山「……っ」

海老名「隼人くん、戸部っちのこと気遣うでしょ? 戸部っちを放っておいて私たちと一緒にいれないでしょ?」

葉山「……」

海老名「私ね、今の自分とか、自分の周りとかも好きなんだよ。こういうの久しぶりだったから」

八幡「海老名さんも昔はぼっちだったのか?」

海老名「そうだよ。多分、優美子に声掛けてもらえなかったらぼっちのままだったんじゃないかな」

八幡「そうか。今のグループをなくすのは惜しいか」

海老名「うん。今いる場所が、一緒にいてくれる人たちが好き」

八幡「クラス替えがあっても一緒にいれると思うか?」

海老名「今みたいに一緒にいられるのは難しいと思う。でもそんな薄っぺらい関係でも崩したくないの」

八幡「意外だな。海老名さんはもっと冷めてると思ってた」

海老名「私もそう思ってたよ。でも一緒にいるのが一度でも楽しいと感じちゃえば忘れることは出来ないんだよね」

結衣「……そっか。姫菜はあたし達のことそんな大切に思ってくれてたんだ」

海老名「うん。重たいでしょ?」

結衣「うん。重たい」

海老名「結衣ははっきり言うね」

結衣「でもあたしのヒッキーへの愛の方が重たいし。だから重たい同士でいいんじゃないかな?」

海老名「うん」

結衣「えへへ」

八幡「おい、海老名さんを説得するんじゃなかったのか!?」

結衣「あっ」

雪乃「由比ヶ浜さん、あなたね……」

葉山「ははは……」

八幡「結局、友情を確かめあってるだけじゃねえか」

結衣「ご、ごめん……」

八幡「海老名さんの気持ちはわかったけど、戸部を止めるのは難しいと思う」

海老名「……だよね」

八幡「俺が言うのは何だが戸部は馬鹿だがいい奴だと思う」

海老名「うん。私もそう思う。けど今の私が誰かと付き合ってもうまくいきっこないもん」

八幡「今の私が、か」

海老名「うん。私、腐ってるから」

八幡「ならしょうがないな」

海老名「うん。しょうがないよ」

八幡「……けど先の自分ならどうだ?」

海老名「先のことはわからないよ。もしかしたら誰かを好きになるかもしれない。……例えば結衣から比企谷くんを奪ったりね」

結衣「だめだめー! ヒッキーはあたしのものだし!!」

海老名「冗談だってば。結衣、焦りすぎ」

結衣「うぅぅ」

八幡「てことは戸部にも可能性はあるってことか」

海老名「そうなるかな。友達としては好きだからね」

八幡「……だとよ。もう入っていいぞ」

海老名「え?」


戸部「し、失礼しゃーす……」


葉山「戸部!?」

結衣「戸部っち!?」

海老名「……」

雪乃「いつからいたのかしら?」

戸部「いやー、海老名さん達が部室に入った直後からっつーか」

海老名「これって比企谷くんの仕業だよね?」

八幡「ああ。俺が戸部を呼んだ」

海老名「どういうつもりなの?」

八幡「どうもなにも海老名さんの素直な気持ちを戸部に聞かせただけだが?」

海老名「……」

八幡「海老名さんに聞きたいことがあるんだが」

海老名「なに?」

八幡「葉山に今回の件を相談したら、葉山が奉仕部に依頼に来ることも見込んでたよな?」

葉山「え?」

海老名「うん。……葉山くんが無理だったらきっと奉仕部に相談すると思ってた」

八幡「悪いけど奉仕部でも出来ることと出来ないことがあるんだよ。俺たちじゃ戸部の告白を止めるのは無理だ」

海老名「だから戸部っちを呼び出したんだ」

八幡「ああ。戸部に海老名さんの気持ちを聞いてもらうことにした」

海老名「そっか」

八幡「葉山の依頼を遂行してもよくて問題がとりあえず解消するだけだ。解決するわけじゃない」

海老名「その解決をするために戸部っち呼び出したわけだ」

八幡「解決出来るかは二人の問題だけどな」

海老名「……」

八幡「それじゃ邪魔者は去るとするか」

結衣「ヒッキー、行っちゃうの?」

八幡「お前も行くんだよ。後は当人たちの問題だろうが」

雪乃「そうね」

葉山「わかった」

八幡「じゃーな」

戸部「おう。比企谷くん、サンキューな!」

八幡「……おう」

海老名「……」

戸部「いんやー、海老名さんが俺たちのことそこまで思ってるとは思わなかったわー。マジごめん!」

海老名「なんで戸部っちが謝るの?」

戸部「いやいや、相手の気持ち考えずに突っ走ってた俺が悪いっしょ?」

海老名「戸部っちは悪くないよ。悪いのは卑怯な私」

戸部「それな! 海老名さん、意外と黒い部分があってびっくりしたわー」

海老名「否定しないんだ」

戸部「そこも含めて海老名さんの魅力っしょ?」

海老名「……」

戸部「まあ、でも海老名さんの気持ちは聞けたし。なんつーの? 好きな子を困らせてまで自分の気持ち押し通すのもアレっしょ?」

海老名「好きな子って告白してるようなものだと思うけど?」

戸部「それは見逃してほしいっつーか。とりあえず告白は先延ばしでお願いしゃす!」

海老名「戸部っちって本当にポジティブだよね」

戸部「あれ? もしかして好印象的な?」

海老名「うん。友達としてね」

戸部「マジかー。んじゃこれからも友達でよろしくお願いしゃす!」

海老名「うん」

教室


葉山「今頃上手くいってるだろうか?」

八幡「そこは戸部の人間性に賭けるしかないな。まあ、問題ないだろ」

雪乃「随分と戸部くんを買っているのね」

八幡「人間性だけな」

葉山「そうか」

八幡「なんでお前が嬉しそうな顔してんだよ」

結衣「ていうか今回はあたしに任せてくれるんじゃなかったの?」

八幡「任せてただろ。由比ヶ浜が海老名さんを説得出来たら戸部は帰らせていた」

結衣「うっ」

雪乃「いつ戸部くんに接触したのかしら?」

八幡「昨日だ。それに戸部が海老名さんのことを好きなのは知ってたからな」

結衣「そうなの?」

八幡「ああ。夏休みのボランティアの時に聞いた」

葉山「あー、あの時か。懐かしいな」

八幡「それにこういうのは後回しにしても悪化するだけだからな」

雪乃「そうね」

八幡「これで海老名さんも少しはましな気分で修学旅行に参加出来るだろ」

葉山「そうだな。……今回も助けられたよ」

八幡「俺たちは何もやってない。戸部を呼び出しただけだ」

雪乃「私と由比ヶ浜さんは本当に何もしてないわね……」

結衣「うん……」

葉山「俺も何も出来なかったな」

八幡「いや、俺たちに相談してきただろ? それで十分だろ」

葉山「え?」

八幡「かの偉大な先生の名言だ。人には出来ないことが多い。そのくせ人はそれを忘れやすい」

葉山「……」

八幡「自分に出来ることはする、出来ないことは他人を頼る。簡単なようで意外に出来ないことだぞ」

葉山「……そうか」

八幡「まあ、俺たちも戸部の呼び出ししか出来なかったんだが」

葉山「比企谷は凄いな」

八幡「俺は凄くない。凄いのは愛読書のキャラクター達だ」

雪乃「そうね」

葉山「…………え?」

ここまで!
今は再放送が熱い
ビルドファイターズ、夏目、ちはやふる、AW

修学旅行初日 東京駅


結衣「ヒッキーは京都初めて?」

八幡「二回目だ。中学の時も京都と奈良だった」

結衣「そっか。それじゃ新鮮味ないね」

八幡「いや、前回は適当にぶらついてただけだったからな。今回はお寺とかしっかり見るつもりだ」

結衣「ヒッキー、お寺に興味あるの?」

八幡「少しな。それに京都は陰陽師でも有名だし」

結衣「安倍晴明だっけ?」

八幡「ああ。……知ってるか? 安倍晴明は日本を滅ぼそうとした大悪人なんだぜ?」

結衣「そうなの!?」

八幡「妖怪の子供でもあるしな」

結衣「そうなんだー。ヒッキー、詳しいじゃん」

八幡「まあな」


雪乃「比企谷くん、嘘はよくないわよ」


結衣「あ、ゆきのん。やっはろー!」

雪乃「おはよう、由比ヶ浜さん」

結衣「さっきのって嘘だったの?」

雪乃「ええ。とある漫画でそういう設定はあったけれど

八幡「なんだよ。ばらすなよ」

雪乃「これ以上由比ヶ浜さんが馬鹿になったらどうするのかしら?」

八幡「……確かに」

結衣「心配されてるのに全然嬉しくない!?」

八幡「雪ノ下も電車で来たのか?」

雪乃「ええ。東京駅の千葉に対する待遇が酷すぎるわ」

八幡「そうだな」

雪乃「千葉に対してコンプレックスでもあるのかしら?」

八幡「……」

新幹線


戸塚「八幡、京都までよろしくね」

八幡「おう」

葉山「よろしく頼むよ」

八幡「……おう」

結衣「てかさいちゃんの制服姿マジ新鮮だよねー」

戸塚「そうかな?」

海老名「確かに。戸塚くんの制服姿見たの始業式以来かも」

戸塚「いつもジャージだからね」

三浦「なんでいつもジャージなん?」

戸塚「ジャージの方が動きやすいからね。先生にも注意されないからジャージがデフォになっちゃった」

八幡「うちはそういうの緩いからな」

葉山「そうだな」

八幡「お前も注意されないのか?」

葉山「特に。優美子もだろ?」

三浦「うん。テニス部に入った時に顧問に注意されるかと思ったけど大丈夫だったし」

結衣「……」

八幡「由比ヶ浜、眠いのか?」

結衣「少し。昨日あんま眠れなくて」

八幡「小学生かよ」

戸塚「由比ヶ浜さん、よかったら席変わろうか?」

結衣「え?」

戸塚「キャンプの時みたいに八幡に肩枕してもらえば?」

結衣「いいの?」

戸塚「うん」

八幡「おい、俺がいいとは言ってないぞ」

結衣「ヒッキー、駄目?」

八幡「仕方ねえな」

葉山「チョロいな」

海老名「比企谷くん、結衣に甘いよねー」

八幡「俺は自分にも他人にも甘くするのがモットーだから」

海老名「相模さんには超厳しかったのに?」

八幡「あれは人としてカウントしてない」

三浦「アンタ、相模のこと嫌いすぎだし……」

30分後


結衣「すぅすぅ」

八幡「……」

葉山「熟睡してるな」

海老名「だね。こっちも熟睡してるよ」

三浦「すぅー、すぅー」

戸塚「三浦さんも眠れなかったのかな?」

海老名「そうかもね。戸塚くん、肩大丈夫?」

戸塚「うん。大丈夫だよ」

葉山「俺も少し寝ようかな」

海老名「比企谷くん、隼人くんも肩枕してあげて!」

八幡「しないから」

京都駅


結衣「いやー、あっという間についたねー」

八幡「そりゃ着くまで寝てたらあっという間に感じるだろうよ」

結衣「うっ」

三浦「結衣、寝すぎだし」

海老名「優美子も起きたのは駅に着く10分前だけどね」

三浦「うぐっ」

海老名「戸塚くんの肩枕気持ちよかった?」

三浦「うん。……ってなに言わせてんの!?」

八幡「戸塚、肩痛くないか?」

戸塚「大丈夫だよ。八幡は?」

八幡「痛くはないが制服に涎が……」

結衣「ごめーん……」

清水寺


結衣「うわ、すご……」

戸塚「凄い景色だね」

葉山「紅葉に色づいた街並みは千年前も同じだったんだろうな」

八幡「だろうな」

海老名「ここに来ると腐女子力上がるよね」

八幡「ちょっと何言ってるかわからない」

三浦「ねえ、写真撮らない?」

海老名「うん。戸塚くんとツーショット? それとも隼人君と?」

三浦「違うし! みんなで撮るって言ってんの!」

八幡「んじゃ俺が撮るか」

結衣「えー? ヒッキーも一緒に撮ろうよ」

八幡「誰か一人撮らないといけないだろ」

三浦「そんなのテキトーに誰かにお願いすればいいし。大岡、撮ってくんない?」


大岡「お、おお」


八幡(こいついたのか。全然気づかなかった)

葉山「俺のもお願いしていいか?」

海老名「あ、私も」

戸塚「僕もいいかな?」

八幡「そんな沢山渡しても大岡が大変だろ。三浦のをラインやSNSでアップしてもらえばいいんじゃないか?」

葉山「それもそうだな」

結衣「ヒッキー、頭いい!」

大岡「比企谷くん、俺のこと気遣って……」

八幡「え」

戸部「な? 比企谷くん、マジでいい奴だって言ったの本当だべ?」

大和「だな」

大岡「おお!」

八幡「お前ら単純すぎだろ」

旅館


八幡「いい湯だった」

戸塚「今日一日の疲れが飛んじゃったよ」

八幡「たまに大浴場もいいもんだな」

戸塚「うん」


材木座「はちまーん、戸塚氏ー」


八幡「おう、材木座」

戸塚「こんばんは、材木座くん」

材木座「ふむ。二人は大浴場に行ってきたのか?」

戸塚「うん。材木座くんはこれから?」

材木座「我は裸を見られるのが恥ずかしいから部屋のユニットバスで体を清めてきた」

八幡「さすがのお前もわがままボディを見られるのは恥ずかしいか」

材木座「あふん! それはそうと明日はどこへ行くのだ?」

八幡「映画村と龍安寺だったか?」

戸塚「そうだね。後は金閣寺も」

材木座「ふむぅ。我の班と一緒だな。遭遇した時はよろしく頼む」

八幡「ああ。……んでお前はここで何してんの?」

材木座「部屋に居場所がないから出てきた!」

八幡「お、おう。戸塚、悪いが材木座の相手しててくれないか?」

戸塚「うん。八幡、どこか行くの?」

八幡「由比ヶ浜に呼び出し受けてな」

ロビー


結衣「ヒッキー」

八幡「おう。由比ヶ浜も風呂入ってきたのか?」

結衣「うん。はい、ここ座って」

八幡「あいよ。んで何か用か?」

結衣「風呂上がりのあたしいい匂いするかなって」

八幡「しまくりだ」

結衣「やった。ヒッキーもいい匂いするよ」

八幡「そうか? 戸塚のシャンプー借りたからかもな」

結衣「シャンプー変えるだけで違うもんねー」

八幡「感想言ったことだし部屋に帰っていいか?」

結衣「駄目だし。消灯時間まで二人っきりでいるの!」

八幡「少女漫画はそんなもんなの?」

結衣「そうだよー。ラノベは違うの?」

八幡「ラノベは女子の部屋に行ってタイミング悪く見回りの先生が来て一緒の布団に隠れたりだな」

結衣「なにそれやってみたいし」

八幡「勘弁してくれ。ていうか三浦もいるし無理だろ」

結衣「大丈夫だよ。さいちゃんと隼人くんを呼び出してたし」

八幡「そうなのか」

八幡(てことは材木座はぼっちか。仕方ないな)

結衣「優美子も部屋じゃなくてロビーとか使われない部屋に連れ込めばよかったのにね」

八幡「最後のおかしいぞ」

結衣「冗談だし。優美子にそんな度胸ないの知ってるから」

八幡「お前本当に三浦のこと友達だと思ってる?」

結衣「超思ってるから。……ねえ、ヒッキー」

八幡「ん?」

結衣「非常階段のところ行かない?」

八幡「行ってなにするんだ?」

結衣「いやー、少しいちゃいちゃしたいなーって」


八幡「……少しだけだぞ」

結衣「うん!」


平塚「ほう、非常階段でか」


八幡・結衣「」

平塚「比企谷、由比ヶ浜。修学旅行中に不純異性交遊はいかんなー」

結衣「あ、あたし達、不純なことなんてするつもりないです!」

平塚「本当かね?」

結衣「はい。ちょっとアレやアレを二人でするだけだし。ね、ヒッキー?」

八幡「おい」

平塚「君たちを二人きりにするのは危険のようだ。今からラーメン屋に行くのでついてきたまえ」

結衣「そんなー……」

八幡「紛らわしいことを言うからだ」

コンビニ


川崎(けーちゃん、大志のいうことちゃんと聞いてるかな?)

雪乃「あら、川崎さん」

川崎「雪ノ下?」

雪乃「こんばんは」

川崎「うん。雪ノ下も何か買いにきたの?」

雪乃「ええ。それより一つ聞きたいことがあるのだけれど」

川崎「なに?」

雪乃「道に迷ったので旅館まで連れて行って欲しいのだけれど」

川崎「」

ここまで
次で修学旅行は終わりです

>八幡「俺は自分にも他人にも甘くするのがモットーだから」
>海老名「相模さんには超厳しかったのに?」
>八幡「あれは人としてカウントしてない」

ツボった

修学旅行二日目


戸部「バス混み過ぎでしょこれ!」

葉山「観光客も多いからな」

海老名「次で降りるんだよね?」

戸塚「そうだね。三浦さん、大丈夫?」

三浦「うん。大丈夫だし」

結衣「ヒッキー、大丈夫?」

八幡「ああ。ていうか抱き付きすぎ……」

結衣「だってこんなぎゅうぎゅうじゃ仕方ないし」

八幡「いや、人見てるから」

結衣「誰も見てないから大丈夫だし」

海老名「いや見てるからね?」

三浦「結衣、ヒキオ。バスで変なことすんな」

結衣「変なことしてないよ。ヒッキーに抱き付いてるだけだもん」

戸部「比企谷くん、マジ羨ましいわー」

川崎「馬鹿じゃないの」

葉山「もう着くから降りる準備しておいてくれよ」

映画村


結衣「ここってお化け屋敷有名なんでしょ?」

海老名「そうみたいだね」

川崎「お化け屋敷……」

三浦「あれ? 川崎さん、苦手なん?」

川崎「べ、別に苦手じゃないし……」

三浦「ふーん」

戸塚「三浦さんは怖いの苦手なんだよね?」

三浦「は、はー!? 別に苦手じゃないし!?」

戸塚「え? でも合宿の肝試しで泣いて……」

三浦「戸塚、少し黙れ」

戸塚「ふぐぐ!」

川崎「アンタ、苦手なんだ」

三浦「うっ」

結衣「ヒッキー、あたし苦手だから守ってね?」

八幡「襲われるわけじゃないんだから大丈夫だろ」

結衣「もうそういうことじゃなくて!」

葉山「二人一組で入るか?」

戸部「だべ!」

海老名「それじゃサキサキ、一緒に行こう?」

川崎「う、うん……」

海老名「大丈夫。私は怖いの平気だから」

川崎「そうなんだ」

戸部「んじゃ隼人くん、一緒に行くべ!」

葉山「そうだな」

三浦「え」

海老名「久しぶりのはやとべ!!」

戸塚「それじゃ一緒に行こうか?」

三浦「あ、うん」

結衣「ふーん」

八幡「どうした?」

結衣「三角関係の予感がしてきたよ」

10分後


戸塚「役者さんがやってるだけあって迫力あったね」

海老名「うん。そこらへんのお化け屋敷とは違うかも」

戸塚「川崎さん、大丈夫だった?」

海老名「うん。半べそかいてたから今頃メイク直してるんじゃないかな?」

戸塚「それじゃ三浦さんと一緒だね」

海老名「あー、その袖がしわしわになってるのって」

戸塚「まあ、そういうことだね」

結衣「ヒッキー、全然驚いてなかったね?」

八幡「お前のおっぱいの感触でそれどころじゃなかったからな」

結衣「そっか。あたしの胸のおかげだね!」

八幡「そうだ。お前のおっぱいのおかげだな」

結衣「二人の力で乗り切ったようなもんだよね?」

八幡「そういうことだ」

海老名「この二人は放っておこうね」

戸塚「う、うん」

仁和寺


雪乃「あら、奇遇ね」

八幡「お前もこっち来てたのか」

雪乃「ええ。川崎さん、昨日はありがとう」

川崎「別に」

結衣「なんかあったの?」

川崎「迷子になった雪ノ下をホテルまで案内しただけ」

雪乃「……京都は初めてなのよ」

八幡「そんな遠出してたのか?」

川崎「すぐ近くのコンビニで会ったんだけど」

結衣「ゆきのんって方向音痴?」

雪乃「距離は問題じゃないわ。初めて来た場所と言うのが問題なのよ」

八幡「お、おう……」

雪乃「それじゃ失礼するわ」

結衣「うん。またねー」

八幡「……」

結衣「ゆきのんにも弱点あったんだねー」

八幡「そうだな」

夜 コンビニ


八幡(あ、水曜なのにサンデーが置いてねえ。でも紐で縛られてるしあっても見れなかったか)

三浦「ヒキオじゃん」

八幡「三浦か。ていうかそのあだ名やめろよ」

三浦「別にいいじゃん。ちょうどよかった。アンタに話があったんだよね」

八幡「なんだよ。……ていうか紐解いて立ち読みしてんのか? うわぁ」

三浦「うっ。べ、別にいいっしょ!」

八幡「いや、よくないだろ。戸塚にチクっちゃおうかな」

三浦「なんでそこで戸塚が出てくるし!」

八幡「いや、テニス部の部長だろ?」

三浦「あ、そういう意味……」

八幡「どういう意味で名前出したと思ったんだ?」

三浦「べ、別に。……それより海老名と戸部のことなんだけど」

八幡「なんだ、お前も知ってたのか?」

三浦「うん。二人から聞いた。……ありがと」

八幡「俺は何もしてねえよ。海老名さんに戸部の本音を聞かせただけだ」

三浦「それで十分だし。海老名ってそういう奥まで突っ込まれるの嫌がってたからさ」

八幡「みたいだな。ていうかいい加減グループの揉め事はグループ内で解決しろよ」

三浦「うっ。だからお礼言ってんじゃん……」

八幡「まあ、お前も部活で忙しいと思うが頑張れよ」

三浦「別にアンタに言われなくても。……それより結衣とは上手くいってるん?」

八幡「由比ヶ浜から聞いてないのか?」

三浦「聞いてるけど。相手側からも聞いておきたいっていうか」

八幡「女子と付き合うのが初めてだからよくわからんが上手くいってるんじゃないか」

三浦「そっか。ならいいんだけど」

八幡「ちなみに由比ヶ浜はどう答えてんだ?」

三浦「そ、それは、その……」

八幡「……?」

三浦「普段は優しくしてくれるけどベッドの上だと乱暴にされるとか……///」

八幡「」

三日目


結衣「今日は二人っきりだねー」

八幡「ああ。雪ノ下は本当に来ないのか?」

結衣「うん。あたし達と一緒にいたら糖尿病になっちゃうって」

八幡「……」

結衣「ゆきのん、あたし達の顔見ると甘いもの取りたくなっちゃうのかな?」

八幡「そ、そうだな……」

結衣「まずは伏見稲荷大社だっけ?」

八幡「ああ。それと京アニショップも」

結衣「うん。なんか中二病と遭遇しそうだよね」

八幡「あいつは風邪引いてダウンしてるそうだ」

結衣「そうなんだ。可哀相」

八幡「俺たちが心配しても仕方ない。材木座の分まで楽しんでやろうぜ」

結衣「だよね」

伏見稲荷大社


結衣「ここテレビで見たことあるよ」

八幡「だろうな」

結衣「てっぺんまで行くの?」

八幡「いや、時間がないから途中で下りようぜ」

結衣「うん。うちの学校の人達結構いるね」

八幡「有名どころだからな」


相模「あ」


八幡「……」

結衣「あ、さがみんだ。やっはろー」

相模「……うん。それじゃ……」

結衣「さがみん、ヒッキーの顔見たから元気ないねー」

八幡「おう。俺の顔見てかなりテンション下がっただろうな」

結衣「ま、いっか。そういえば小町ちゃんの合格祈願するんじゃなかったっけ?」

八幡「それは違うところでだ」

結衣「京アニショップ?」

八幡「グッズで祈願してどうすんだよ」

嵐山


結衣「コロッケ、美味しい♪」

八幡「そんな食べたら夕食食べれなくなるぞ」

結衣「大丈夫だし。ヒッキーもあーん」

八幡「……美味しいな」

結衣「でしょ?」

八幡「ていうか口にソースついてんぞ」

結衣「え? 嘘?」

八幡「ほら拭いてやるから」

結衣「あ、待って!」

八幡「ん?」

結衣「その、口で拭いて欲しいかも?」

八幡「」

結衣「今なら誰もいないし。ね?」

八幡「……し、仕方ねえな……」

結衣「えへへ」

八幡(やだ俺ってちょろ過ぎ)


三浦「二人とも、何やってるし……」


結衣「あ、優美子だ」

八幡「お、おう……」

三浦「結衣、そういうのは場所を考えてやるべきっしょ?」

結衣「考えたよ。さっきまで誰もいなかったし。ね?」

八幡「ま、そうだな……」

三浦「だから人がいなくても外でそういうのやるもんじゃないって言ってんの!」

結衣「えー。でも優美子だってさいちゃんか隼人くんと一緒にいたらしたくなるでしょ?」

三浦「な、なんないし!?」

結衣「嘘だ。むっつりの優美子がしないわけないもん」

三浦「あーしはむっつりじゃないし!」

結衣「でもこの前過激で有名な少女漫画買ってたじゃん」

三浦「」

八幡「過激な少女漫画?」

結衣「うん。沢山エッチシーンがあるやつ」

八幡「そ、そうなのか……」

結衣「コンビニでも立ち読みしてるの知ってるんだかんねー?」

三浦「あ、あぅ……」

八幡「由比ヶ浜、もうその辺でやめてやれよ。三浦は誰と一緒に来てんだ?」

三浦「海老名と戸塚と川崎さんだけど」

結衣「隼人くんは一緒じゃないの?」

三浦「隼人は男子四人で行動してるし」

結衣「そっか。それじゃあたし達そろそろいこっか」

八幡「ああ。じゃーな」

三浦「……うん」

結衣「またホテルだねー」

三浦「ぐすっ」

夜 ホテル


戸塚「うーん」

八幡「戸塚、どうしたんだ?」

戸塚「今日、三浦さん達と行動してたんだけどね」

八幡「ああ」

戸塚「途中から三浦さんの様子がおかしくてね」

八幡「……」

戸塚「元気がないわけじゃないんだけど」

八幡(それは由比ヶ浜が原因だ。すまん)


葉山「それは生理じゃないか?」


八幡「」

戸塚「そうなの?」

葉山「ああ。生理が来ると体調を崩す人もいるからね」

戸塚「そっか。それで男子の僕に言えなったのかな?」

葉山「そうかもしれないな」

戸塚「そういうことか。なんかすっきりしたよ」

葉山「優美子達と一緒にいてくれてすまないな」

戸塚「ううん」

葉山「ジュース買ってくるけど何か飲むか?」

戸塚「僕も一緒に行くよ。八幡は何がいい?」

八幡「カルピスで」

戸塚「わかった。いってくるね」

5分後


八幡「眠いな……」

戸部「お、比企谷くん、一人?」

八幡「ああ。戸塚と葉山は飲み物買いに行った」

戸部「マジかー」

八幡「夕食まで寝るから時間になったら起こしてくんね?」

戸部「おう。それとありがとな!」

八幡「あん?」

戸部「比企谷くんのおかげで修学旅行マジ楽しめたわー」

八幡「海老名さんのことか?」

戸部「そうそう。海老名さんもマジ楽しそうにしてたし」

八幡「だから俺は何もしてないって言っただろ。頑張ったのはお前と海老名さんだろ」

戸部「比企谷くん、マジ謙虚すぎっしょ」

八幡「……眠いから寝るぞ……」

戸部「おう!」

5分後


葉山「ただいま……っと」

戸塚「どうしたの?」

葉山「比企谷と戸部」

戸塚「あー、熟睡してるね」

葉山「夕食まで寝かしておいてやるか」

戸塚「そうだね。そういえば大岡くんと大和くんは?」

葉山「大岡は邪魔者と思われてるとは知らずに女子部屋に居ついてるんじゃないかな」

戸塚「あ、うん……」

葉山「大和はよくわからないな。いまだに何を考えてるかわからないんだ」

戸塚「……」

女子部屋


大岡「いやー、マジで京都最高だったよな」

海老名「……」

三浦「……」

結衣(今日こそヒッキーと二人で!)

大岡「嵐山も人凄くてさー」

川崎(歩き疲れて眠くなってきた)

結衣「川崎さん、眠いの?」

川崎「少し」

大岡「結衣は比企谷くんとどこまでいってきたんだ?」

川崎「……あのさ」

大岡「ん?」

川崎「うっさいんだけど。部屋から出てってくんない?」

大岡「」

ここまで
次回はいろはすです

奉仕部


結衣「文化祭も修学旅行も終わってしばらくイベントないね」

雪乃「そうね」

結衣「依頼も全然来ないし」

八幡「それだけ平和ってことだろ」

結衣「そうだけど暇じゃん!」

雪乃「暇な時間を趣味に費やせばいいじゃない」

八幡「そうだな。携帯ばっか弄ってないで読書でもしたらどうだ?」

結衣「携帯弄るというよりヒッキーの隠し撮りした写メ見てるんだよ」

八幡「お、おう……」

雪乃「彼女なのだから隠し撮りする必要ないと思うのだけれど」

結衣「違うし。付き合う前に撮ってた写真だよ?」

雪乃「そ、そう……」


平塚「邪魔するぞ」


結衣「あ、平塚先生だー」

八幡「どうしたんすか?」

平塚「うむ。少し頼みたいことがあるんだが……」

雪乃「依頼ですか?」

平塚「そうだ」

雪乃「わかりました」

平塚「よし、入ってきていいぞ」


城廻「失礼しまーす」


八幡「城廻先輩ですか」

城廻「三人とも久しぶりだねー」

結衣「城廻先輩が依頼主?」

城廻「私じゃないんだー」


いろは「失礼します。ちょっと相談したいことがあって」


結衣「あ、いろはちゃん」

いろは「結衣先輩、こんにちはー」

結衣「やっはろー」

城廻「一色さんと面識はあるんだね。じゃあ紹介しなくても大丈夫かな」

雪乃「それで依頼内容は?」

城廻「うん。実はね……」

説明後


雪乃「なるほど。本人の意思と関係なく勝手に立候補されてしまったと」

いろは「はい。そうなんですよー」

八幡「……いじめられてんのか?」

いろは「そういうのじゃなくて悪ノリってやつですかねー。クラスの友達が何人か集まって、いじりっていうんですかねー」

八幡「そんな奴ら友達じゃないだろ」

いろは「え」

雪乃「そうね。まったくうちの学校は進学校だというのに下らない人種が多いようね」

結衣「うーん、つまりいろはちゃんはいじめられてないけど嫌われてるってことだね!」

いろは「」

八幡「そういうことだな。さすがJK。やることが陰湿だな」

雪乃「それで一色さんを陥れた人たちを潰せばいいんでしょうか?」

城廻「違うよー!!」

雪乃「そうなんですか。てっきり相模さんのように潰してほしいのかと」

いろは「」

城廻「あれは私がお願いしたわけじゃないよー!!」

いろは「え? 相模って文実の実行委員長を途中でやめた相模先輩のことですか?」

結衣「そうだよ」

いろは「あの、その潰したっていうのは?」

八幡「仕事出来ないし、サボるから俺たちで委員長をやめさせた」

いろは「」

雪乃「本題に戻りましょう。それで私たちにどうしてほしいのですか?」

城廻「うん。一色さんを当選しないようにしてほしいんだ」

雪乃「なるほど」

結衣「ていうか勝手に立候補させることって出来るんですか?」

平塚「立候補の書類提出時に、本人確認はされていなかったんだ」

城廻「ううっ……、私たち、選管がもうちょっとちゃんとしていれば……」

雪乃「推薦人名簿の確認は?」

城廻「それはちゃんと確認したよー」

雪乃「そうですか。確か推薦人は三十人は必要だったはず」

八幡「お前、だいぶ嫌われてるんだな」

いろは「はぐっ!」

平塚「無論、しでかした子らはこちらで指導する」

八幡「監獄行きですか」

平塚「比企谷。うちには監獄はないよ」

結衣「あの、担任の先生に相談して立候補やめさせたり出来ないんですか?」

平塚「もちろん話し合いをしたんだが、人の話を聞かないタイプでな」

八幡「ああ、なるほど」

平塚「どうもクラスの生徒達が感動の物語を作っていると思い込んでいてね」

雪乃「立候補の取り下げは難しいということですね」

八幡「つまり選挙で落選するしかないってことか」

城廻「うん。……ただ、立候補者が一色さんだけだから……」

雪乃「……となると信任投票ですね」

城廻「そう。だからほぼ決定的……」

いろは「ていうか信任投票で落選って超カッコ悪いじゃないですかー。信任投票って時点でショボいですし、超恥ずかしいですし!」

平塚「……どうだね。頼めるか?」

雪乃「わかりました。平塚先生と城廻先輩が駄目な以上、私たちでやるしかないでしょうし」

平塚「うっ」

城廻「うぅ……」

翌日 奉仕部


雪乃「とりあえず他に立候補者を探すしかないわね」

八幡「だな」

いろは「でも誰か立候補してくれる人っているんですかねー?」

雪乃「それを今から探すのよ」

結衣「うーん、隼人くんでいいんじゃないかな?」

八幡「葉山か。確かに葉山が相手の落選なら一色のダメージも少なさそうだな」

いろは「え? 葉山先輩ですか?」

結衣「うん」

いろは「葉山先輩は駄目です!」

雪乃「なぜ?」

いろは「私のことで迷惑掛けたくないじゃないですかー」

八幡「知らねえよ。あいつは奉仕部に貸しばかり作ってるからいいんだよ」

いろは「それでも駄目なんですー」

雪乃「我儘な子ね」

いろは「ていうか三人とも、わたしに酷くないですかー?」

結衣「そう?」

いろは「そうですよー。結衣先輩も前と違う感じですし……」

結衣「あー、おどおど設定してた時だったからかな?」

いろは「おどおど設定? つまり演じてたってことですかー?」

結衣「そうなるかなー」

八幡「今じゃ三浦をよく泣かすしな」

いろは「」

結衣「泣かしてないし! 泣かしたのはヒッキーじゃん!」

雪乃「あなた達いい加減にしなさい。それより葉山くん以外に立候補してくれる人っているかしら?」

八幡「うーん、優秀なやつで知名度がある奴がいいよな」

雪乃「そうね」

結衣「さいちゃんは部活で忙しいだろうし駄目だよね」

八幡「ああ。さすがに部活をしてる奴は可哀相だしな」

いろは「葉山先輩も部活してるんですけど。部長なんですけど」

八幡「なあ、副会長、書記、会計の立候補者ってわかるか?」

いろは「えっと、城廻先輩にもらった書類に書いてあったような。これです」

八幡「見させてもらうぞ。……あ、こいつがいたか」

放課後 ドーナツ屋


結衣「ヒッキー、引き受けてくれると思う?」

八幡「駄目元で頼んでみるさ」

結衣「一応実績と知名度はある方だよね?」

八幡「そうだな」


折本「あれ? 比企谷?」


八幡「折本か」

折本「うわ超ナツいんだけど! レアキャラじゃない?」

八幡「レアキャラか。なら俺に会えたことに感謝しやがれ」

折本「感謝しやがれって。マジウケる!」

結衣「ヒッキー、お友達?」

八幡「友達じゃない。中学の同級生だ」

折本「折本かおりです。比企谷の彼女さん?」

結衣「うん。そうだよー」

折本「……マジ?」

八幡「ああ。彼女の由比ヶ浜結衣だ」

結衣「折本さん、やっはろー!」

折本「や、やっはろ?」

八幡「由比ヶ浜流の挨拶だ。気にするな」

折本「あ、うん。……そっか、比企谷に彼女かねえ。そうなんだー」

結衣「ヒッキー、もしかして折本さんってヒッキーが前に告白した子?」

八幡「」

折本「」

結衣「名字同じだし。そうなの?」

八幡「あ、ああ。そこまで知ってるのね……」

結衣「うん!」

折本「えっと、由比ヶ浜さんってそういうのあまり気にしない感じ?」

結衣「気にするけどこういう展開望んでたから!!」

折本「」

結衣「ほら、前カノと今カノが対面とかよくあるじゃん?」

八幡「少女漫画でだろ」

結衣「うん!」

八幡「俺と折本は付き合ってないから」

結衣「でも因縁がある感じでいいじゃん。ね?」

折本「あ、うん。……いい感じ?」

八幡(折本がきょどってるの初めてみたな)

折本「……なんか凄い彼女だね」

八幡「そうだな。……折本は海浜総合なのか?」

折本「うん。比企谷は総武なんだ。頭良かったんだ」

結衣「頭良いだけじゃなくて悪知恵も働くんだよー」

八幡「おい」

折本「悪知恵って。由比ヶ浜さんも超ウケるんだけど。……てか葉山くんって知ってる?」

八幡「葉山? 同じクラスだけど」

折本「マジ? 紹介して欲しいって子沢山いるんだよー。この子とかさ!」

八幡「紹介ねえ」

折本「あ、この子同じ高校の友達ね。仲町千佳」

八幡「……」

折本「ほら、千佳。葉山くん紹介してもらえるかもよ」

仲町「えー。わたしはいいよー」

八幡「いや、あいつの連絡先知らないし」

折本「だよねー」

結衣「そうなの? 隼人くんに本とか貸してたじゃん?」

八幡「本貸すだけなら教室で渡せばいいしな」

折本「え? 比企谷って葉山くんと仲良いのに連絡先知らないの?」

八幡「仲良くはない」

折本「それで仲良くないとかマジウケる!」

八幡「いや、ウケねーから」

20分後


折本「それじゃまたねー」

結衣「うん。ばいばーい」

八幡「おう」

結衣「……」

八幡「どうしたんだ?」

結衣「ううん。もう少し修羅場になるかなって思ったんだけど」

八幡「いや、ならないだろ」

結衣「だよね。ていうか隼人くんの連絡先知ってるの言ってあげたほうがよかったかな?」

八幡「言わなくて正解だろ。葉山も迷惑だろうし」

結衣「そっか。そうかも」

八幡「それより俺たちも帰るか」

結衣「うん。……あのね、ヒッキー」

八幡「ん?」

結衣「今日、パパとママ、結婚記念日で家に帰ってこないんだ」

八幡「旅行でも行ったのか?」

結衣「うん。だから、ね?」

八幡「小町にお泊りメールしてくる」

ここまで

翌日 奉仕部


八幡「二人とも、よく来てくれたな」

本牧「ああ」

藤沢「ここが奉仕部ですか」

雪乃「そうよ」

結衣「あれ? 二人とも部室来るの初めてだっけ?」

本牧「うん。それで俺たちに用件があるって言ってたけど……」

八幡「ああ。本牧は副会長、藤沢は書記に立候補してるんだよな?」

藤沢「はい。よく知ってますね」

八幡「一色から書類見せてもらったからな」

本牧「一色さんて比企谷の隣にいる子?」

いろは「はい。一色いろはです。よろしくお願いしますね~」

本牧(うわ、またビッチっぽい子だ)

結衣「藤沢さんは同じ一年だけどいろはちゃんと面識ある?」

藤沢「いえ。体育の授業が同じくらいですかね」

いろは「ですねー。藤沢さんもよろしくねー」

藤沢「う、うん……」

八幡「それじゃ今回呼び出した理由を説明する」

説明後


藤沢「そんなことがあったんですね」

八幡「ああ。このままじゃ一色が生徒会長になっちまう」

本牧(そんな。またビッチの下につかないといけないのか……)

八幡「それで解決策として会長に立候補してくれる人材を探してるんだ」

本牧「……もしかして……」

八幡「ああ。本牧、生徒会長に立候補してみないか?」

本牧「それは嫌だ」

八幡「お前ならそう言うと思ってたよ。責任がある仕事はしたいが、自分より責任が重い人がいないと嫌なんだもんな」

本牧「その通りだ」

藤沢「え? 本牧先輩、そんなこと言ってたんですか?」

本牧「うん」

八幡「でも文実の実行委員長代理にはしっかりこなしてただろ?」

本牧「それは短期間だからだよ。文実も優秀な人が多かったし」

八幡「それもあるがお前が優秀だからだ。雪ノ下だって自分が認めた奴以外の指示は従わない。だろ?」

雪乃「そうね。わたしを従わせた実績があれば生徒会長なんて楽勝よ」

本牧「そ、それはどうも……」

八幡「雪ノ下、葉山が無理な以上、お前しか生徒会長になれる奴がいないんだ」

本牧「雪ノ下さんは生徒会に興味ないの?」

雪乃「ええ。わたしには奉仕部があるもの」

本牧「そっか……」

八幡「それによく思い出してみろ。文実で無能な相模の下で働くより、自分がトップに立った方が楽だっただろ?」

本牧「それはそうかもしれないけど……」

八幡「このまま一色が生徒会会長になってみろ。副会長のお前が一番苦労するんだぞ」

いろは「むっ。わたしのこと馬鹿にしてますかー?」

八幡「馬鹿にしてしてない。ただ仕事は出来なさそうだと思ってるだけだ」

いろは「それを馬鹿にしてるって言うんですよ!」

八幡「でも葉山も優秀なマネージャーというわけではないと言ってたしな」

いろは「え」

八幡「容姿以外は可もなく不可もなくだそうだ」

いろは「」

結衣「うわー。隼人くん、ばっさりだー」

雪乃「酷い男ね」

藤沢「本当に二年で他に人いないんですか?」

八幡「いないな。うちの学年は谷間の世代だからな」

藤沢「黄金世代あったんですか!?」

結衣「ねえ、ヒッキー」

八幡「ん?」

結衣「藤沢さんが会長はどうかな?」

藤沢「」

結衣「仕事出来るし、可愛いし、眼鏡似合うし!」

藤沢「そ、そんな。私が会長なんて無理ですよ!!」

八幡「確かに藤沢も優秀だ。文実で十分わかってる。けど知名度が一色と本牧がないのが難点だ」

結衣「うーん、でも可愛いから男子とか投票してくれないかな?」

藤沢「いや、私なんて……」

八幡「確かに藤沢は可愛い部類だ」

藤沢「」

八幡「だが藤沢は海老名さんと同じで自分だけ知ってる地味可愛い子なんだ。一色や三浦のビッチ系とは違う」

いろは「だれがビッチ系ですか!」

結衣「……」

雪乃「由比ヶ浜さん、どうしたの?」

結衣「ヒッキー。姫菜と藤沢さんのこと可愛いと思ってたんだ……」

八幡「うっ。……確かに可愛いと思ってるが好きなのは由比ヶ浜だけですしおすし……」

結衣「……っ。やだ、ヒッキーったら///」

雪乃「そういうのは二人きりの時にしなさい」

本牧「もう帰っていいかな?」

結衣「あ、待って! そしたら藤沢さんを地味可愛いじゃなくて超可愛くすればいろはちゃんに選挙で勝てるかもだよね!?」

藤沢「え?」

八幡「あ、ああ。その可能性があると思うが……」

結衣「藤沢さん、ちょっと来て!」

藤沢「え? 由比ヶ浜先輩?」

八幡「おい。どこ行くんだ?」

結衣「四人は指相撲でもして待ってて!」

いろは「なんで指相撲なんですか!?」

20分後


結衣「お待たせー」

八幡「随分遅かったな」

雪乃「彼女に何をしていたのかしら?」

結衣「ふふーん。それは見てからのお楽しみだよー」

本牧「見てからの?」

結衣「うん。藤沢さん、入って来ていいよー」


藤沢「うぅぅ。恥ずかしいです……」


本牧「あっ」

八幡「おっ」

雪乃「あら」

いろは「え? 誰ですか?」

結衣「藤沢さんだよー。全然違うでしょ?」

雪乃「そうね。眼鏡をとったらそんな顔してたのね」

結衣「ナチュラルメイクもしてるけどね。髪は三つ編みをほどいただけ」

本牧「……」

結衣「本牧くん、見惚れたでしょ?」

本牧「あ、いやっ」

藤沢「な、なんだか落ち着かないです……」

結衣「ヒッキー、どう? これならいろはちゃんと同じくらいかそれ以上に可愛いでしょ?」

八幡「そうだな。後はいちごパンツをはいていれば完璧だな」

本牧「確かに」

藤沢「え?」

雪乃「二人とも何を言ってるのかしら?」

八幡・本牧「す、すみませんっ!」

いろは「……」

結衣「藤沢さん、生徒会長やってみない?」

藤沢「で、でも……」

八幡「そうだな。本牧も一色より藤沢の会長の方がいいだろ?」

本牧「確かに。藤沢が会長なら安心出来そうだし」

いろは「……」

結衣「うんうん。それに会長と副会長が恋人とか最高だし」

本牧「」

藤沢「ゆ、由比ヶ浜先輩。何を言ってるんですか!?」

結衣「え? 二人って付き合ってるんじゃないの?」

藤沢「まだ付き合ってませんよ!」

結衣「でもこの前パルコで二人で買い物してたよね?」

本牧「え? なんでそれを知って?」

結衣「あたしとヒッキーもパルコで買い物してたんだよねー」

八幡「邪魔したら悪いと思って声掛けなかったんだ」

本牧「」

藤沢「」

雪乃「二人とも、いい加減にしなさい。それより本題に戻りましょう」

八幡「そうだな。藤沢、どうだ?」

藤沢「……」

いろは「……待ってください!」

八幡「ん?」

雪乃「一色さん、どうしたの?」

いろは「わたし、生徒会長やります」

「」

いろは「だから依頼は取り消しでお願いします」

八幡「お、おい。急にどうしたんだ?」

いろは「どうしたもこうしたもないですよ! みんな、わたしのこと馬鹿にするじゃないですか!」

八幡「……」

いろは「それでわたしをはめた子達もわたしのこと馬鹿にしてるんだと思ったらムカついてきて……」

雪乃「見返したくなったのね?」

いろは「はい。だから生徒会長になって結果を出して見返してやろうと思ってですね」

本牧「えっと、一時の感情に流されるのはよくないじゃないかな?」

いろは「大丈夫です」

本牧「そ、それにサッカー部のマネージャーもあるんだろ? 掛け持ちは厳しいと思うんだ」

いろは「マネージャーは辞めます」

本牧「で、でも一年で生徒会長は凄い大変だろうし」

いろは「藤沢さんだって同じ一年で生徒会長にさせようとしてたじゃないですか」

本牧「うぐっ」

いろは「本牧先輩は相当わたしが生徒会長になることが嫌なんですねー」

本牧「そ、それは……」

いろは「安心して下さい。立派に生徒会長の業務をこなして副会長としてこき使ってあげますから♪」

本牧「」

藤沢「一色さん、本当に生徒会長になってくれるの?」

いろは「うん」

藤沢「よかったぁ。私が生徒会長なんて荷が重たかったんだ」

いろは「藤沢さんもこれからよろしくねー」

藤沢「うん。こちらこそ」

雪乃「解決ということでいいのかしら?」

八幡「だな」

翌日 教室


葉山「そうか。いろはが生徒会長に」

八幡「ああ。マネージャー辞めるみたいだぞ」

葉山「兼任は厳しいから仕方ないな」

八幡「それと本当に言ってよかったのか? お前の一色に対する評価を」

葉山「問題ないよ。正直、ビッチ系女子は苦手なんだ」

八幡「……」

葉山「それにいろはは俺に好意を持ってたようだけど、俺の恋人というステータスが欲しかったんだと思う」

八幡「ステータスねぇ」

葉山「これでいろはの俺が好きだと言うふざけた幻想はぶち殺せたんじゃないかな?」

八幡「お、おう……」

葉山「比企谷から借りた本、面白かったよ。新約も借りていいかな?」

八幡「いいけど。……ビッチ系女子が苦手って三浦とよく一緒にいれるな」

葉山「優美子はただの友達だから」

八幡「」

ここまで
また今度


次は海浜総合戦です

八幡厨テンプレ

Q.八幡厨って何?

A.八幡に自己投影して(八幡=自分)を神としている人達の事。葉山アンチ、渋のキッズ(精神年齢的な意味でキッズ)とも呼ばれる。
 主な生息地は渋で大量発生しよくSS速報にも来て暴れだす困った人達。
 渋とはピクシブの事。

Q.この人達毎回話題になるけど何をしたの?

A.NTRや葉雪要素がある作品にて作者へ[ピーーー]などの暴言
 八幡age他のキャラsageが大好きで葉山が出てない作品や葉山が出てるだけで過度の葉山叩きコメント
 コピペ連投荒らしをしてスレを落とす(禁止行為)
 勝手に作品を乗っ取り自分の妄言を垂れ流す(禁止行為)


Q.自分も葉山嫌いなんだけど…

A.好き嫌いは人それぞれなので嫌いでおk。過度の叩きや荒らしをしなけりゃ問題無いよ。


Q.ここは葉山信者が多いって聞いたけど?

A.勝手に八幡厨が決めつけてるだけ。
 八幡厨は自分達が嫌われてる自覚が無く自分達が叩かれると叩いてくる人達全員が敵で葉山信者に見える病気なのでスルーが安定。
 むしろ葉山信者が多いなら何故ここに来るのだろうか?


Q.他のスレ、例えば原作の本スレとかでの反応はどうなの?

A.嫌われてます。八幡厨だけではなく他のキャラのアンチ、厨でさえスレが荒れやすくなるので嫌われてる。
 

Q.最近よく聞く量産型アンチ作品って何?

A.修学旅行の告白から八幡と陽乃が協力して雪乃結衣葉山グループを潰して(八幡=自分)を神にする作品の事。
 八幡厨の大好物。とりあえず葉山を叩けば彼らの精神は安定する。
 量産型アンチ作品の見分け方としては出だしが
 結衣「人の気持ち、もっと考えてよ……」
 雪乃「あなたのやり方嫌いだわ…」
 この場合は量産型アンチ作品の可能性が高い。
 ピクシブにてこの作品を投稿すると無名の書き手でもブクマ50とか入る為、大量に増えた。
 八幡厨以外の読者達にはほとんど飽きられている。
 ちなみにブクマ数=作品のおもしろさではないので注意。
 元ネタは量産型いろはから。


Q.八幡厨の見分け方とかってあるの?

A.八幡厨のキーワード「屑山」「制裁」の言葉を好んでよく使う。
 後は葉雪とか言ってると簡単に釣れ暴れまわる。(煽り目的で言うと荒れやすく他のスレ住民が迷惑するので注意。)


Q.NTR要素や葉雪要素がある作品を書きたいんだけど…、または書いたら葉雪はありえないとか暴言言われたんだけど…

A.二次創作なんだから好きに書け。
 実際ありえない内容の量産型アンチ作品があるのだからどんどん書くべし。
 ただ、煽り目的で書くと荒れる要素になるのでそこだけは注意。
 暴言は渋なら通報安定。ここならスルー安定。
 ここでのコピペ連投、乗っ取りは通報対象なのでしっかり通報する事。

12月某日 奉仕部


雪乃「由比ヶ浜さんはお休み?」

八幡「ああ。法事で学校も休んでた」

雪乃「そう。実はわたしも今日、明日と用事があって早めに切り上げたいのだけれどいいかしら?」

八幡「いいぞ。というより今日は部活なしでいいんじゃないか?」

雪乃「そうね。イベントもないし依頼も来なさそうだし」


いろは「すみませーん」


八幡(この声は……)」

雪乃「どうぞ」


いろは「せんぱーい……」


八幡「……」

いろは「せんぱーい、やばいですやばいです……」

八幡「あざとい。出直してこい」

いろは「なっ!?」

雪乃「そうね」

いろは「雪ノ下先輩まで? あざいとってなんですかー!」

八幡「そのままの意味だよ。何か用か?」

いろは「むぅ。まぁいいです。実は依頼があるんですけどー」

雪乃「生徒会関連かしら?」

いろは「はい。実は先週から生徒会の初仕事が始まったわけなんですけど……」

八幡「海浜総合の合同クリスマスイベントか?」

いろは「あれ? なんで知ってるんですかー?」

八幡「本牧から聞いた」

いろは「なら話が早いですね。で、その仕事が超やばいんですよー……」

雪乃「どうやばいのかしら?」

いろは「今回のイベントは向こうが企画したんですけどー」

八幡「だろうな。お前が企画するとは思えん」

いろは「ですよねー。それで始めてみたものの、うまくまとまらないんですよねー」

雪乃「つまり海浜総合の生徒会長が無能ということかしら?」

いろは「無能というかなんというか。……とりあえず人手も足りないですし手伝ってほしいんですよー」

八幡「手伝いねえ。……どうする?」

雪乃「そうね。この前の依頼も有耶無耶になってしまったしいいんじゃないかしら?」

八幡「そうだな。いきなり本牧と藤沢だけに一色の御守させるのも大変だろうからな」

いろは「先輩はわたしのこと馬鹿にしすぎじゃないですかねー」

雪乃「それでいつから手伝えばいいのかしら?」

いろは「今日からお願いしたいんですけど」

八幡「今日からかよ!?」

いろは「あまり時間がないんです……」

雪乃「そう。なら今日は比企谷くんだけ行ってくれるかしら?」

いろは「雪ノ下先輩は用事でもあるんですか?」

雪乃「ええ。久しぶりに実家に帰らないといけないのよ」

八幡「お母さんと仲良くな」

雪乃「もちろんよ。明後日からはわたしも参加するから安心しなさい」

いろは「はい」

八幡「んじゃ行くか」

コミュニティセンター


八幡「ここでイベントやるのか?」

いろは「はい。三階に大きいホールがあってそこで行う予定です」

八幡「ほーん」

いろは「ここが講習室です。失礼しまーす♪」


玉縄「はーい、どうぞー」


いろは「おつかれさまでーす」

玉縄「いろはちゃん、お疲れさま。……誰?」

いろは「ああ、うちのヘルプ要員です!」

玉縄「へー。僕は玉縄。海浜総合の生徒会長なんだ。よろしく!」

八幡「……ああ、どうも」

玉縄「よかったよ。総武高と一緒に企画ができて。お互いにリスペクトできるパートナーシップを築いてシナジー効果を生んでいけないかなと思っててさー」

八幡(なに言ってんだコイツ?)


折本「あれ? 比企谷じゃん」


八幡「……おお。折本か」

折本「比企谷って生徒会なの?」

八幡「違う。ヘルプ要員だ」

折本「じゃ、あたしと同じだ。由比ヶ浜さんは一緒じゃないの?」

八幡「あいつは用事があってな。明日からは来るんじゃねえの」

折本「そっか。てかそっち人少なくない?」

八幡「うちは少数精鋭だからな」

折本「少数精鋭って。なにそれマジウケる!」

八幡「いやウケねーから」

折本「んじゃまたねー」

八幡「おお」


いろは「先輩、お知り合いいたんですか?」


八幡「中学の同級生だ」

いろは「へぇ。もしかして元カノだったりします?」

八幡「俺は由比ヶ浜が初カノだ」

いろは「ちっ。つまんないの」

八幡「今舌打ちした? したよね?」

いろは「それよりそろそろ座りましょー」

八幡「ああ」


本牧「比企谷。本当に来てくれたんだ」

藤沢「お疲れさまです」


八幡「おう。なんか大変みたいだな」

本牧「まあね。大変だけならいいんだけど……」

藤沢「相手の会長さんがなに言ってるのかわからないんです」

八幡「お、おう……」

いろは「あ、会計の稲村先輩です」

稲村「よろしく」

八幡「おう」

いろは「そろそろ始まりますよー」


玉縄「えー、じゃー会議始めます。よろしくお願いしまーす」


「よろしくお願いしまーす」

玉縄「前回と同じくブレインストーミングからやっていこうか」

本牧「はぁ」

八幡「溜息ついてどうした?」

本牧「もう五回目なんだ。ブレスト……」

八幡「……」

玉縄「議題は前回に引き続いて、イベントのコンセプトと内容面でのアイデア出しを……」

男子1「俺たち高校生への需要を考えると、やっぱり若いマインド的な部分でのイノベーションを起こしていかないと」

八幡(ふむ。なるほど)

男子2「そうなると、当然俺たちとコミュニティ側とのWIN-WINの関係を築くことを前提に考えなきゃいけないよね」

八幡(確かにそうだな)

男子3「そうなると戦略的思考でコストパフォーマンスを考える必要があるんじゃないかな? それでコンセンスをとって……」

藤沢「なに言ってるかよくわかりませんね」

八幡「そ、そうだな……」

いろは「とりあえず向こうが中身ないこと色々提案してくるんですよー」

八幡「ほ、ほーん……」

玉縄「みんな、もっとロジカルシンキングで論理的に考えるべきだよ」

八幡「……」

玉縄「お客様目線でカスタマーサイドに立つっていうかさ」

本牧「相手の生徒会長、英語が苦手みたいなんだ」

八幡「そのようだな」

10分後


いろは「先輩、だいたいどんな感じがわかりました?」

八幡「相手の意見が中身がないことだけはわかった」

藤沢「これを毎回議事録しないといけないんです」

八幡「……大変だな。てかこれって合同の意味あるのか?」

本牧「うーん、向こうの生徒会は男だけだから女っ気が欲しかったんじゃないか?」

藤沢「え」

いろは「そうなんですか?」

本牧「いや、俺の予想だけど」

八幡「……お前、たまに変なこと言うような」

本牧「え」


玉縄「いろはちゃん、これお願いしていいかな?」


いろは「あ、はーい」

玉縄「よろしくね。わからないことがあったら何でも言って。ちゃんと教えるから」

いろは「わかりましたー」

5分後


藤沢「こんな中身がない議事録って意味あるんでしょうか?」

稲村「ないと思う」

いろは「字を書く練習だと思えばいいんじゃないかな?」

八幡「この調子だとイベントは破たんしそうだな」

本牧「だろうね」

八幡「これなら一色が仕切った方がいいじゃないか?」

いろは「うーん、でも企画したのが向こうですからねー……」

八幡「そうだな。……それで俺は文実みたいに好きなことしていいわけ?」

いろは「本牧先輩、どうしましょ?」

本牧「俺はそれでいいけど。アフターケアは会長がすることになるけどいい?」

いろは「それは嫌です!」

八幡「おい」

本牧「でも明後日からは雪ノ下さんが来るんだろう? 雪ノ下さんが玉縄を論破してる姿が想像つくんだけど」

藤沢「そうですね。なら傷が浅くなるよう比企谷先輩にお願いした方がいいんですかね?」

八幡「ちなみに本牧は?」

本牧「俺は副会長だから。会長の許可なしに好き勝手出来ないんだ」

藤沢「けれど比企谷先輩は生徒会ではないので」

八幡「なるほど。……一色、いいか?」

いろは「そんなに雪ノ下先輩ってやばいんですか?」

八幡「ああ。なにせ雪ノ下の姉はある生徒を自殺まで追い込もうとしてたからな……」

いろは「うわっ、マジですかそれ……」

稲村「噂で聞いたことがある。相模さんだよな?」

八幡「ああ。もちろん雪ノ下はそこまで追い込まないと思うが相手が再起不能になってしまうかもしれない」

本牧「そういえば雪ノ下さんって帝王学も学んでるとって聞いたことがある」

八幡「え? それどこの主将さん?」

翌日


結衣「今日からあたしも手伝うからよろしくねー」

藤沢「由比ヶ浜先輩、よろしくお願いします」

本牧「よろしく」

いろは「結衣先輩、よろしくお願いしまーす」

八幡「あれ? 会計の稲村は?」

いろは「上腕二頭筋を痛めたそうです」

八幡「なら仕方ないか」

結衣「なんか文実思いだすねー」

藤沢「そうですね」


玉縄「じゃあ、始めようか。よろしくお願いしまーす」


「しゃす!」

玉縄「うーん、まだちょっと固まりきってないから昨日のブレストの続きからやってこう」

結衣「ブタペスト?」

いろは「は?」

八幡「一色、由比ヶ浜は無視していいぞ」

結衣「むぅー!」

男子1「せっかくだし、派手なことしたいよね」

折本「それ! あるある。やっぱり大きいことっていうか」

玉縄「……確かに小さくまとまりすぎてたかもしれないな」

結衣「けっきょく、何やるの?」

藤沢「まだ何も決まってません」

結衣「え。会議六回目なのに?」

藤沢「はい」

玉縄「というわけで、ちょっと規模感を上げようと思うんだけど、どうかな?」

いろは「んー。そうですねー」

八幡「あの「はーい!」

玉縄「はい。由比ヶ浜さんだっけ?」

結衣「なんで六回も会議してるのに何も決まってないの?」

玉縄「」

八幡「」

結衣「文化祭でクラスの出し物決める時は一回で決まってたよ?」

八幡「ぶふっ!」

玉縄「そ、それは沢山の意見を聞いてグループシナジーを生んで、大きなイベントを……」

結衣「六回も会議してるなら沢山意見出てると思うんだけど。それをまとめるのが会長さんの役目じゃないの?」

藤沢「ゆ、由比ヶ浜先輩!」

結衣「え? あたし、何か変なこと言った?」

八幡「……いや、変なことは言ってない」

結衣「ホントに?」

八幡「ああ。……とりあえず由比ヶ浜の言う通りブレストに時間を掛け過ぎだと思う。今日で出し物決めようぜ」

男子1「で、でもまだ二週間近くあるしね?」

八幡「二週間しかないだろ。バッファを持たせることも考えないといけないだろ?」

結衣「バッハ?」

男子2「なにそれ美味しいの?」

八幡「」

玉縄「ちょっと君!」

男子2「え?」

本牧(ビジネス用語あれだけ使ってたのにバッファは知らないのか)

結衣「本牧くん、あたしバッハくらい知ってるし!」

藤沢「由比ヶ浜先輩、作曲家のバッハじゃないですよ?」

結衣「え?」

いろは「うーん、確かにいつまで会議ばかりしてても仕方ないですからねー。今日で決めちゃいましょう!」

玉縄「え? でも……」

いろは「駄目ですか?」

玉縄「……うん。そうしようか」

八幡(チョロいなコイツ!?)

今回はここまで
12巻いつ出るのかな……

お久しぶりです
明日投下します

翌日 奉仕部


雪乃「そう。総武と海浜総合に分かれて行うことにしたのね」

八幡「ああ。二部構成だな」

雪乃「演劇はご年配の方々に受けそうね」

結衣「だよねー。孫がいない人も孫が出来たような感じ味わえるし!」

雪乃「……」

八幡「……」

結衣「なに?」

八幡「……何でもない。雪ノ下は今日から参加出来るんだよな?」

雪乃「ええ。わたしが参加したからには勝利が約束されたようなものよ」

八幡「いや、勝負してないから」

講習室


玉縄「僕は玉縄。海浜総合の生徒会長なんだ。よろしく!」

雪乃「奉仕部主将の雪ノ下雪乃よ。よろしくお願いするわ」

玉縄「っ!」

玉縄(なんだこの威圧感は! 本当に同学年なのか!?)


本牧「雪ノ下さんが参加してくれたからだいぶ楽になるな」

藤沢「そうですね」

いろは「でもなんかわたしに対するプレッシャーも凄そうなんですけど……」

八幡「雪ノ下は自分が認めた人間以外の下につくのは嫌がるからな」

いろは「えー……」

結衣「いろはちゃん、大丈夫だよ! ゆきのん、容姿だけは褒めてたから!」

いろは「つまり中身はポンのコツだと……」

10分後


いろは「えっと、演劇にしたのはいいんですけど稽古時間どうしましょうか?」

藤沢「時間足りないですよね?」

本牧「そうだね」

雪乃「声優を入れるのはどうかしら?」

八幡「なるほど。確かにそれなら小学生への負担も少なくなるな」

結衣「あたし、声優やってみたい!」

雪乃「声優も小学生にやってもらうに決まってるでしょう?」

結衣「うっ」

いろは「それでは声優を付けるということで。……それとですねー、実は玉縄さんからお願いされたことがありまして……」

本牧「嫌な予感がする……」

いろは「何か小学校以外に保育園にも協力をお願いしちゃったみたいでですねー」

八幡「内容も決まってないのにお願いしてたのか?」

いろは「そうみたいなんですよー」

結衣「あっちの生徒会長さん、ポンコツなんだねー」


玉縄(聞こえてるよ……)


いろは「保育園児を活かしたいい案ありませんかー?」

藤沢「いるだけで癒しになりそうですよね」

八幡「そうだな。俺たちの汚れた心を浄化してくれそうだ」

本牧「比企谷は心だけじゃなくて目も汚れてるよね」

八幡「おい」

結衣「保育園児、クリスマス。うーん……あっ!」

藤沢「由比ヶ浜先輩、何か思いついたんですか?」

結衣「うん。クリスマスケーキを用意して、保育園児たちにご年配の人達に運んで渡してもらうってのはどう?」

いろは「……なるほど。それいいですよ、結衣先輩!」

結衣「えへへー」

雪乃「さすが由比ヶ浜さんね」

結衣「ゆきのんにも褒められちゃったー」

雪乃「精神年齢が近いからいい案が思い浮かぶのね」

結衣「どういう意味だし!?」

雪乃「そのままの意味よ」

結衣「むぅ。ゆきのんだって胸とか小学生並じゃん。あっ」

「あっ」

雪乃「……由比ヶ浜さん」

結衣「ひぃっ!」

雪乃「わたしの胸のことを言う人は親でも殺すわよ?」

結衣「ごめんなさい!!」

ロビー


結衣「あー、怖かったー」

折本「由比ヶ浜さん、お疲れさまー」

結衣「あ、かおりんだ。やっはろー」

折本「かおりん!?」

結衣「うん。かおりだからかおりん!」

折本「いきなりあだ名つけられるとか。マジウケる!」

結衣「あたしのことも好きに呼んでいいよ」

折本「んじゃ結衣ちゃんでいい?」

結衣「うん。今から帰り?」

折本「そう。今日用事があって途中で抜けないといけないんだよねー」

結衣「そっか。そっちはどう?」

折本「ぼちぼちかなー。結局、プロじゃなくてうちの吹奏楽部にお願いするみたい」

結衣「無難だね」

折本「まあね。それよりあの黒髪の美人さんだれ?」

結衣「ゆきのん。奉仕部の部長だよー」

折本「奉仕部? なにそれ?」

結衣「あたしとヒッキーが所属してる部活だよー」

折本「どんな部なの? 名前の通りに比企谷に奉仕してるとか? なんちゃって!」

結衣「ヒッキーに奉仕してるのはあたしだけだよ」

折本「」

結衣「この前もヒッキーったら。……あ、ちなみに奉仕部は助っ人部みたいな感じだから」

折本「あ、うん」

折本(比企谷もやることやってるんだ)

結衣「そういえばかおりんに聞きたいことがあるんだけどいい?」

折本「いいよー」

結衣「彼氏がいた時って週に何回エッチしてた?」

折本「」

結衣「あたしの周りって見た目リア充なのに恋人いない人しかいないからさー」

折本「」

結衣「かおりん、聞いてる?」

講習室


いろは「それじゃ次回から小学生が参加するのでわたしから説明しておきますね」

本牧「うん。初日から演劇の役割分担も決めたほうがいいかな?」

藤沢「初日はいきなりすぎじゃないですかね?」

雪乃「そうね。初日は避けた方がいいと思うわ」

八幡「だな」

雪乃「あと、主役の子はもう決めているのよ」

いろは「え? 雪ノ下先輩に言いましたっけ?」

雪乃「いいえ。参加する子が知り合いなのよ」

八幡「知り合い?」

雪乃「比企谷くんも知ってる子よ。鶴見留美さん」

八幡「ルミルミか!」

雪乃「ええ。昨日メールが来たのよ」

いろは「知り合いってことは親戚ではないんですよね?」

雪乃「ええ」

本牧「小学生と知り合いって……」

藤沢「もしかして比企谷先輩ってロリコンですか?」

八幡「なぜそうなる」

雪乃「わたしの次に可愛い子だから主役に相応しいと思うの」

いろは「はぁ。そこら辺は雪ノ下先輩に任せていいですかね?」

雪乃「もちろんよ」

藤沢「あの自信を少し分けて欲しいです」

本牧「そうだね」

総武高


戸塚(帰ったらお風呂入って夕食食べて早く寝よう)

葉山「戸塚、お疲れさま」

戸塚「あ、葉山くんだ。お疲れさま」

葉山「今から帰りかい?」

戸塚「うん。葉山くんも?」

葉山「ああ。……優美子はどうだい?」

戸塚「だいぶ中学時代の感覚取り戻したみたいだよ。次の大会は期待出来るんじゃないかな?」

葉山「そっちじゃなくて戸塚と優美子の仲だよ」

戸塚「え」

葉山「もう付き合ってるようにしか見えないな。うん、実は付き合ってるんじゃないか?」

戸塚「な、なにを言ってるの?」

葉山「銀髪の戸塚と金髪の優美子でバランスもいいしね。俺とだと金髪同士になっちゃうからさ」

戸塚「だから何を言ってるのさ!?」

葉山「つまり優美子を戸塚に押し付け――――ごほん、二人とも上手くいってほしいんだ」

戸塚「今押し付けるとか言ったよね!?」

ここまで
8月に12巻出るみたいですな

お久しぶりです
今週中に投下します

翌日


留美「八幡、雪乃。久しぶり」

八幡「おう」

雪乃「元気にしていた?」

留美「うん。それよりわたしが主役で大丈夫なの?」

雪乃「ええ。自信を持ちなさい。あなたは私の次に可愛いのだから」

留美「う、うん……」


いろは「へえ。あの子が例の……。可愛いですねー」

本牧「うん」

藤沢「雰囲気が雪ノ下先輩に似てますね」


結衣「あ、留美ちゃんだ。やっはろー!」

留美「……」

結衣「あれ?」

留美「誰だっけ?」

結衣「由比ヶ浜結衣だよ! ヒッキーの彼女の!」

留美「そうなの?」

八幡「あの後付き合うことになったんだ」

留美「そうなんだ。八幡なら雪乃の方がお似合いだと思うけど」

結衣「」

留美「冗談だよ」

八幡(とうとう小学生にまでいじめられるようになったか)

30分後


いろは「それじゃ明日は先輩と一緒に保育園に行ってきますね」

雪乃「ええ」

結衣「ゆきのん、あたしじゃ駄目なの?」

雪乃「駄目ね。こういうのはトップが行くものよ」

結衣「そっか。将来の為に見学しておきたかったんだけどなー」

八幡「……」

いろは「将来って何年後の話してるんですか……」

結衣「それはわからないけど急に出来ちゃう場合もあるもんね?」

八幡「知らねえよ」

本牧「避妊はしっかりしないと」

八幡「してるよ」

雪乃「あなた達、いい加減にしなさい」

翌日 保育園


いろは「それじゃ先輩はここで待ってて下さいね」

八幡「おう」


京華「」ジー


八幡「……なに、どした?」

京華「あのねぇ、さーちゃんがまだなの」

八幡「おお、そうか。もう少しで来るだろうから戻って遊んでような?」

京華「うん。あ、さーちゃんだ!」

八幡「お?」


川崎「……なんであんたがここにいんの?」

八幡「生徒会の手伝い。川崎の妹か?」

川崎「うん。妹の京華。……ほら、けーちゃん、お名前」

京華「かわさきけーかっ!」

八幡「俺は八幡だ」

京華「はちまん。変な名前!」

川崎「こ、こら、けーちゃん!」

八幡「いや、自覚してるからいいよ」

川崎「そ、そう。。生徒会の手伝いって海浜総合の合同イベントの件?」

八幡「そうだ。保育園の子達も参加するよう交渉しに来たんだ」

川崎「そうなんだ」

京華「イベント? けーちゃん、イベントに出るの?」

八幡「そうだぞ。美味しいケーキも食べれるぞ?」

京華「やったー!」

川崎「それじゃあたし達帰るから」

八幡「おう。気を付けてな」

京華「ばいばい、はーちゃん!」

八幡「じゃーな、けーちゃん」


いろは「先輩、お待たせしましたー」


八幡「お疲れさん」

いろは「今のは?」

八幡「クラスメイトの川崎と妹のけーちゃんだ」

いろは「けーちゃん?」

八幡「俺ははーちゃん。一色はいーちゃんってところか」

いろは「………………はい?」

一週間後 教室


戸塚「そっか。順調にいってるんだ」

八幡「ああ。戸塚は当日来れそうか?」

戸塚「うん。テニス部のみんなで行くつもりだよ」

八幡「そりゃ助かるな」

葉山「俺は練習試合があるから行けそうにないな」

戸塚「それは残念だね」

葉山「ああ。だから俺たちの分まで優美子とクリスマスを楽しんできてくれ」

戸塚「三浦さんと二人で行くわけじゃないんだけど……」

葉山「当日は指輪用意しとけよ」

戸塚「なんで!?」

葉山「多分押し倒せば言うこと聞いてくれると思うぞ」

戸塚「葉山くんのせいで僕のキャラが崩壊しそうだよ」

八幡「戸塚、ガンプラでもして落ち着けよ。葉山はいい加減にしろ」

結衣「優美子と姫菜、イベント来てくれるんだ?」

海老名「うん。なんの予定もないしね」

三浦「あーしはテニス部の皆とだけど。海老名も合流するっしょ?」

海老名「うーん、私はまきはちでも堪能してるから大丈夫だよ」

結衣「新しいカップリング作ってる!? てか人の彼氏で変な妄想しないでよ!」

海老名「妄想くらいいいじゃん。とつはち妄想しても優美子怒らないし。ね?」

三浦「な、なんでそこであーしに聞くしっ!?」

海老名「あれ? はやはちの方だった?」

三浦「なっ! い、言ってる意味がよくわからないのだけれど」

結衣「優美子。口調がゆきのんみたいになってるよ」

合同イベント当日


雪乃「それじゃ由比ヶ浜さんはクッキーの袋詰めだけお願いね」

結衣「うん! 任せて!」

雪乃「いい? 袋詰めだけよ? あなたはクッキーを袋に詰めることだけに集中すればいいの。わかった?」

結衣「わかってるよ! あたしのこと信用しなさすぎだし!」

雪乃「材木座くんは学校の冷蔵庫に生地を寝かせてあるから取ってきてもらっていいかしら」

材木座「了解した!」

小町「雪乃さん、ジンジャークッキー出来ましたー」

雪乃「ありがとう。小町さんは頼りになるわね」

小町「えへへ。雪乃さんに褒められて小町感激です!」

八幡「俺は戸塚と一緒にガンプラ飾っておけばいいか?」

雪乃「比企谷くん?」

八幡「じ、冗談でしゅ……」

戸塚「あはは……」

1時間後


いろは「ふぅ」

八幡「お疲れさん。今のところ順調にいってるな」

いろは「ですかねー?」

八幡「ああ。本牧もそう思うだろ?」

本牧「そうだね。段取りは問題ないから後は子供たちに任せよう」

いろは「はい。……けっこう、みんなで何かするのもいいもんですね」

本牧「うん。今回は文化祭と違ってストレスを感じなかったよ」

八幡「そりゃゴミがいないからな」

いろは「本当に相模先輩に対して酷いですねー」

本牧「彼女の下についたので唯一の汚点かな」

いろは「そこまでですか……。あ、ケーキを出すタイミング。二人で確認しといて下さいね?」

八幡「了解だ、会長」

30分後 調理室


八幡「ケーキ全部出来たか?」

雪乃「余裕で間に合ったわ。舞台は?」

八幡「問題なしだ」

結衣「あたしも舞台見たかったなー」

雪乃「平塚先生が録画してるからそれで我慢しなさい」

結衣「そうなんだ。よかったー」


本牧「比企谷。そろそろ」


八幡「おう。んじゃ幼児たちを見て心をぴょんぴょんしてもらうか」

本牧「何か如何わしく聞こえるな……」

奉仕部部室


いろは「今回はご協力頂き本当にありがとうございました」

本牧「ありがとう。助かったよ」

藤沢「ご迷惑お掛けしました」

稲村「ありがたや、ありがたや」

雪乃「どういたしまして。あなた達も初仕事お疲れさま」

八幡「だな。今日はもう動けない」

結衣「えー? この後あたしん家でパーティーするの忘れてないよね?」

八幡「忘れてないけど疲れたんだよ」

結衣「むぅ。……それじゃ疲れが飛ぶようなことしてあげるからあたしん家来てくれるよね?」

八幡「……仕方ねえな」

いろは「この二人はいずれ停学になりそうな気がします」

雪乃「そうね。私がいない時の部活が怖くて想像出来ないわ」

結衣「それは大丈夫だよ。あたしだってTKO弁えてるんだから」

八幡「それを言うならTPOな」

いろは「藤沢さんも生徒会の一員なんだから気を付けてね?」

藤沢「なっ///」

本牧「」

また今度

三学期初日


八幡「なんだかんだでもう三学期か」

結衣「早いよねー」

雪乃「そうね。来年の今頃は受験なのね」

結衣「二人とも頑張ってね!」

八幡「お前も一応短大受けるんだろ?」

結衣「そうだけど偏差値低いところだし落ちることなんてないじゃん?」

雪乃「油断大敵よ」

八幡「そうだぞ」

結衣「う~。あ、そういえば今日依頼人が来るんだけど……」

雪乃「そういうのは早めに言って欲しいわね。早めに切り上げて映画見に行こうと思ったのに……」

八幡「『 聲の形』か?」

雪乃「ええ。CMで見たのだけれどヒロインの声が素晴らしいわね。さすがトップ声優だと思ったわ」

八幡「お、おう……」

10分後


三浦「し、失礼しまーす……」

結衣「あ、来た来た」

三浦「遅くなってごめん。部活のミーティングがあって」

雪乃「遅くなることも聞いてあるから構わないわ」

三浦「うん」

雪乃「それじゃ早速依頼内容を教えてくれるかしら?」

三浦「えっと、恋愛相談なんだけど……」

八幡「……俺は席外した方がいいか?」

三浦「別にいてもいいし。てか男子の意見も聞きたいし」

雪乃「恋愛相談ねえ。戸塚くんか葉山くんのどちらを好きなのか迷ってるということかしら?」

三浦「な、なんで!?」

結衣「そりゃ見てれば普通わかるよ。ねえ?」

八幡「そうだな」

三浦「……あーしってそんなわかりやすいんだ……」

雪乃「それで私達に何をして欲しいの? 恋愛相談だと軽いアドバイス位しか出来ないのだけれど」

三浦「それで十分だし。あーし、恋愛相談出来る友達いないから」

八幡「三浦も友達少ないんだな?」

結衣「うん。あたしと姫菜しかいないから。姫菜は腐ってるからまともに相談受けられるのあたしだけだしね」

八幡「誰も相談出来る人がいないのか」

結衣「あたしがいるって言ってるじゃん!?」

八幡「またまた」

雪乃「由比ヶ浜さん。寝言は寝てから言ってちょうだい」

結衣「うわーん! 優美子ー!」

三浦「雪ノ下さんから見てあーしはどっちが好きだと見える?」

結衣「優美子にスルーされた!?」

八幡「普段苛めてるから仕方ないな」

雪乃「そこまでは見てるだけじゃわからないわ」

三浦「そっか。ヒキオはどう思う?」

八幡「どう思うって言われてもな。最近は戸塚といる時間の方が多いだろ? だから戸塚でいいんじゃないか?」

結衣「ヒッキー、適当すぎだし!」

八幡「仕方ないだろ。それに戸塚も三浦の話が多くなってるし」

三浦「あ、あーしの!?」

八幡「ああ。主にテニス関連だが」

三浦「そ、そうなんだ。戸塚があーしの……」

八幡「ねえ、もうこれ本人もわかってんじゃねえの?」

雪乃「そうね」

結衣「……あれ? あたしには聞かないの?」

三浦「でもあーしは隼人のことが好きだったわけだし」

結衣「おーい」

三浦「そんな好きな人がころころ変わるなんてありえないし」

八幡「独り言か?」

雪乃「みたいね」

八幡「ふむ。三浦、自分の気持ちを確かめたいなら一ついい方法があるぞ」

三浦「なに?」

八幡「葉山に告白しろ」

三浦「」

雪乃「比企谷くん。何を言ってるの?」

結衣「そうだよ。ヒッキー、何言ってるし!」

三浦「結衣は黙ってて。アンタのことだからなんか狙いあるんしょ?」

結衣「」

八幡「簡単なことだ。葉山は恐らく三浦のことを振るだろう。振られた時の気持ちで自分がどっちを好きなのかわかるんじゃねえの?」

雪乃「比企谷くん。女子にそんな簡単に告白させる方法はあまりよくないと思うわ」

八幡「あくまで提案だ。後は三浦の判断に任せるさ」

雪乃「まったくあなたって人は」

三浦「……わかった。検討してみる」

八幡「ああ。また会ったらここに来い」

三浦「ありがと。雪ノ下さんも」

雪乃「部活動だしお礼を言われる筋合いはないわ」

三浦「はいはい。雪ノ下さんはそういうところ直した方がいいんじゃん?」

雪乃「ご忠告どうもありがとう」

三浦「それじゃ」

結衣「あたしの扱いが酷い件について」

翌日


いろは「せんぱーい、大変ですよー」

八幡「今度はお前かよ」

結衣「いろはちゃん、やっはろー!」

いろは「結衣先輩、どうもです。雪ノ下先輩も」

雪乃「こんにちは。また生徒会で問題でも発生したの?」

いろは「はい。奉仕部というより雪ノ下先輩にお願いがあるんですけど」

雪乃「なにかしら?」

いろは「今月に進路相談会があるじゃないですかー」

雪乃「ええ。確か講師としてOBを呼ぶのよね」

いろは「はい。それで雪ノ下先輩のお姉さんに平塚先生がお願いしてたんですけど来てくれないみたいなんですよー」

雪乃「姉さんが?」

いろは「はい。こういうイベント事は大好きだから必ず来るはずだって平塚先生も思ってたようなんですけどー」

雪乃「そうね。文化祭も参加してたし」

いろは「参加してくれるOBが少なくて。それにお姉さんは生徒会長だっていうじゃないですか。ぜひ参加して欲しいんですよねー」

雪乃「それで私から直接お願いをして欲しいということね?」

いろは「はい」

八幡「どうせ変なスキンシップでもして痛い目でもあったんじゃねえの?」

いろは「変なスキンシップですか?」

八幡「ああ。あの人初対面の人に胸を押し付けてくるんだぜ?」

いろは「……胸をですか?」

八幡「それに腕に擦り付けてくる」

結衣「あー、それ前に言ってたね。乳首が擦れて気持ちいいんだっけ?」

いろは「変態さんじゃないですか!?」

八幡「みたいだな」

いろは「あ、雪ノ下先輩。違う人を何とかして呼ぶので大丈夫です」

雪乃「そう? ならいいけれど。ま、私も姉さんとは連絡取りづらい状況だから助かったわ」

結衣「取りづらいって?」

雪乃「着信拒否にラインはブロックされているのよね」

八幡「喧嘩でもしたのか?」

雪乃「いいえ。ただ文化祭の時に冗談で殺すとか言っただけなのだけれど」

結衣「喧嘩じゃなくて脅迫してるし!?」

雪乃「冗談だって言ってるじゃない。それと実家に帰ると母がいつも不在なのよね」

八幡(家族に嫌われてるのか?)

雪乃「そういえば文化祭以降に姉さんと一度も会ってないわね」

八幡「お前恐れられてんじゃねえの?」

雪乃「そうかしら? なら私は姉さんを追い越したと思っていいかもしれないわね。ふふふ」

八幡「……」

下駄箱


八幡「何か三学期になってから毎日依頼来てるな」

結衣「毎日ってまだ二日じゃん」

八幡「そうだけどな。そういえば正月に雪ノ下の誕生日プレゼントと一緒に買ったPC用眼鏡は使ってんのか?」

結衣「全然。あたしってパソコン使わないんだよねー」

八幡「パソコンだけじゃなくてスマホにも使った方がいいみたいだぞ」

結衣「そうなの?」

八幡「スマホもブルーライト出てるからな。カット出来るフィルム張ってれば別だが」

結衣「そうなんだ。それじゃ常時眼鏡つけたほうがいいのかな。でも……」

八幡「でもなんだ?」

結衣「普段つけてるとエッチする時につけた時のギャップがなくなっちゃう」

八幡「」

結衣「……あれ? ヒッキー、あれ見て!!」

八幡「おん?」

結衣「優美子と隼人くんだ。きっと告白するんだよ!」

八幡「もう実行するのか。早いな」

結衣「ほらいこ! ヒッキーが提案したんだから見守らないと!」

八幡「……」

結衣「今度中学の時の部活のユニフォーム着てあげるから!」

八幡「行くか」

体育館裏


葉山「俺に話って何だい?」

三浦「隼人のことが好きです。あーしと付き合ってください」

葉山「」

三浦「……」


結衣「本当に告白しちゃった」

八幡(さて葉山はどう断るんだ?)


葉山(優美子に告白されてしまった。まさか三学期早々告白してくるなんて……)

三浦「隼人?」

葉山(なんでわかってくれないんだ。俺がオッケーするわけないじゃないか。これだからビッチは!!)

三浦「あの返事聞かせて欲しいんだけど」

葉山「……あ、ああ。すまない」

葉山(でも断ったら泣いちゃうよな。さすがに女の子の泣いてる顔は見たくないな。泣かせたら上条さんに殴られそうだな)

三浦「ううん。あーしの方こそいきなりごめん」

葉山(比企谷から借りた本面白かったな。でもヒロインがターンオーバー制で可哀相だったな)

三浦「でもこういうのってはっきりさせておきたいっていうか」

葉山(おっと、危うく現実逃避するところだったな。よし、優美子を泣かさないように上手く断らないと! 弁護士の息子の見せ所だ!)

葉山「優美子は俺のことが本当に好きなのかい?」

三浦「……どういう意味?」

葉山「優美子が好きな人は俺じゃないんじゃないか?」

三浦「……っ!」

葉山「こんな心がこもってない告白するなんて意味がないと思うぞ」

葉山(よしこれでいける!)

三浦「なんで心がこもってないってわかったん?」

葉山「え?」

三浦「隼人の言う通りだし。あーしは自分の気持ちを確かめるために隼人に告白した」

葉山「」

三浦「……そっか。隼人もあーしのこと結構見てくれてたんだ。そうじゃないとわからないもんね」

葉山(あれ? 適当に切り抜けようとしたけどなんか上手くいってるのか?)

三浦「隼人、ありがと」

葉山「あ、いや……」

葉山(しまった。今ので俺の好感度が上がってしまったか?)

三浦「隼人の言う通りだし。あーしは隼人のことが好きじゃないみたい」

葉山(よぉぉぉぉぉぉぉおおおし!!)

三浦「自分の気持ち確かめるために隼人を利用するなんて。あーし、最低だし」

葉山「何を言ってるんだ。優美子は最低なんかじゃない。最高じゃないか」

三浦「さ、最高?」

葉山「ああ。優美子、戸塚に告白するんだ」

三浦「え? いきなり何言ってるし!?」

葉山「善は急げだ。戸塚は超優良物件だ。優美子以外に何十人の女子が戸塚を狙っている。
   偽告白とはいえ告白を実行させた今なら行けるはずだ。今の優美子はノリに乗っている!
   ずっと待ってたんだろ? 自分の気持ちがわかる瞬間を!
   俺のことは気にしなくていい。戸塚に自分の熱い思いをぶつけてやるんだ!
   大丈夫だ。戸塚も絶対優美子のことが好きなはずだ! ごほっ、げふん!
   だって戸塚は優美子のこと可愛いと言ってたからな。好きじゃない女にこんなこと言うはずがない!」

三浦「と、戸塚があーしのことを可愛いって?」

葉山「ああ。可愛すぎて病んじゃいそうだとも言ってた」

三浦「そ、そこまであーしのことを///」


結衣「さいちゃん、そんなこと言ってたの?」

八幡「俺は初耳だな」


葉山「行ってくるんだ、優美子。ここは俺に任せろ」

三浦「う、うん? い、行ってくる!」

葉山(計画通り)


結衣「なんか隼人くんがデスノート所持者みたいな顔してるんだけど?」

八幡「……」

テニスコート


戸塚「そろそろ帰ろうかな」

三浦「戸塚!!」

戸塚「三浦さん? 帰ったんじゃなかったの?」

三浦「戸塚、好きです! あーしを彼女にして下さい!!」

戸塚「………………………………はい?」

三浦「っ! やった。初めて告白して成功したし!」

戸塚「……………………え?」

三浦「んじゃこれであーしと戸塚は恋人同士っしょ?」

戸塚(え? 僕は返事なんてしたつもりがないんだけど……。あれ? もしかして……)

三浦「ちょっと間があったから怖かったけど、『はい』って言ってくれた時は超嬉しかったし」

戸塚(やっぱり!! あれは返事じゃないのに!!)

三浦「えっと、あーしもね。戸部のこと病んじゃうくらい好きだし」

戸塚「…………病む? あーしも…………?」

三浦「そう。実は隼人から戸塚もあーしのこと好きだって聞いて」

戸塚「」

三浦「告白する前にお互い好きだってわかるのはちょっと卑怯だと思ったけど。別にいっしょ!」

戸塚「」

三浦「噂になると嫌だから先に言っとくけど、さっき隼人に偽告白してきた」

戸塚「に、偽告白?」

三浦「うん。ヒキオにアドバイスされてね。自分の気持ちを確かめるなら隼人に告白しろって」

>>929訂正

戸塚(やっぱり!! あれは返事じゃないのに!!)

三浦「えっと、あーしもね。戸塚のこと病んじゃうくらい好きだし」

戸塚「…………病む? あーしも…………?」

三浦「そう。実は隼人から戸塚もあーしのこと好きだって聞いて」

戸塚「」

三浦「告白する前にお互い好きだってわかるのはちょっと卑怯だと思ったけど。別にいっしょ!」

戸塚「」

三浦「噂になると嫌だから先に言っとくけど、さっき隼人に偽告白してきた」

戸塚「に、偽告白?」

三浦「うん。ヒキオにアドバイスされてね。自分の気持ちを確かめるなら隼人に告白しろって」

戸塚(八幡は三浦さんに何を言ってるのさ!!)

三浦「それで隼人に告白したんだけど。隼人にあーしが好きなのは自分じゃないって言われて。それであーしは戸塚が好きだって自覚出来たし」

戸塚(明日、八幡と葉山くんを殴ろう。キャラが変わってもいいから絶対殴ってやる)

三浦「……戸塚?」

戸塚「……な、なに?」

三浦「もしかして迷惑だった?」

戸塚「え?」

三浦「戸塚があーしのこと好きでも部活あるし。だからあーしのこと好きなのに部活に集中出来るように我慢してたんかなって……」

戸塚(凄いポジティブだ)

三浦「あーし、勢いで告白しちゃったけど。もし迷惑なら部活終わるまで待ってるし」

戸塚「うっ」

戸塚(そんな健気なこと言われたら断れないよ……)

三浦「あーしのこと迷惑じゃない?」

戸塚「め、迷惑じゃないよ。か、彼女が出来て嬉しいな?」

三浦「何で疑問形だし。……でもあーしも超嬉しいし」

戸塚(まあ僕も三浦さんのことは嫌いじゃないし。形はどうであれ彼女が出来たのはよかったのかな)

三浦「戸塚、スマホ貸して」

戸塚「え?」

三浦「あーし以外の女の連絡先全部消すし。彼女出来たんだから必要ないっしょ?」

戸塚「」

三浦「それとペアリングも買いたいし今週末デートするから」

戸塚「こ、今週末はスクールがあるんだけど」

三浦「大丈夫。スクールが終わるのあーし待ってるし。あーし、これからの時間全部戸塚の為に使うし」

戸塚(重たい……)

翌朝


八幡「おっす、戸塚」

戸塚「おはよう、八幡!」ドスッ

八幡「うげぇっ! い、いきなり何を……」ガクッ

戸塚「八幡と葉山くんのおかげで彼女が出来たよ?」

八幡「そ、そうか。なら何で殴るんだ……?」

戸塚「一発殴らないと僕が僕じゃなくなっちゃう気がしてね。でももう大丈夫だよ」

八幡「お、おう。……その葉山は?」

戸塚「あそこで気絶してるけど?」


葉山「」


八幡「……」

結衣「さいちゃん、やっはろー!」

三浦「結衣。なに戸塚に挨拶してんの?」

次回のバレンティンイベントで終わりです

次は八幡が臨也みたいなクズな性格か前言ってたニセコイのクロスやらかそうと思うんですけどどっちがいいですかね?

何度読んでも分からないや

>>949
はちまんが葉山に告白すればって言ったから三浦が葉山に告白。そうしたら葉山が戸塚に告白しようって言った
すべての原因ははちまんにあるってことを理解した上で

三浦「噂になると嫌だから先に言っとくけど、さっき隼人に偽告白してきた」

戸塚「に、偽告白?」

三浦「うん。ヒキオにアドバイスされてね。自分の気持ちを確かめるなら隼人に告白しろって」

戸塚(八幡は三浦さんに何を言ってるのさ!!)

三浦「それで隼人に告白したんだけど。隼人にあーしが好きなのは自分じゃないって言われて。それであーしは戸塚が好きだって自覚出来たし」

戸塚(明日、八幡と葉山くんを殴ろう。キャラが変わってもいいから絶対殴ってやる)
の流れを読めば流石にわかるだろ?荒らしじゃないなら流石にアスペを疑ったほうがいい

八幡が葉山に告白しろって焚き付けたのがそもそもの原因だからだろアスペ

ここまでの性格改変で戸塚がすげー性格悪くなってて早とちりする馬鹿で八つ当たりするような戸塚になってる描写あるなら分かるよ
それなら「ちくしょう三浦みたいなズベタに絡まれるのは八幡がきっかけ作ったせいだより殴ろう」とか言ってもクスっとなるだろうよ
なんでここまでのこのスレの戸塚がこの流れでよし殴ろうとなって誰も「?」ってならないのか
俺の方が言いたいよ

お前らの方が「ちゃんと読んでないだけだろ」

>>957
あえて煽らせてもらうけど、あんた本当に「国語の成績低そう」

まあちょっとでもケチ付けるようなことならその内容に関わらずよってたかってフルボッコにしようとするのが俺ガイルスレだから仕方ないんだろうな
俺もお前らが気持ち悪いよ

俺には君たちに意思疎通の意志があるようにはとても見えないけどね

2月上旬


八幡「また海浜総合と合同でやんの?」

いろは「はい。今度はチョコ作りなんですよー」

雪乃「それで奉仕部にイベントの手伝いをして欲しいということですね?」

いろは「はい。お礼に副会長が叙々苑奢りますから」

八幡「お前が勝手に言ってるだけだろ……」

結衣「奇妙な冒険?」

雪乃「それはジョジョよ。一色さんが言っているのは焼肉店のことよ」

結衣「本牧くんが焼肉奢ってくれるの?」

雪乃「はぁ。……お礼はいらないけれどその依頼は受けるわ」

いろは「ありがとうございますー」

当日


玉縄「やあ。今回も合同で行えてハッピーで嬉しいよ」

いろは「はぁ」

八幡「相変わらずだな」

結衣「そうだねー」

雪乃「参加するのはこれで全員かしら?」

本牧「えっと、戸塚と三浦さんが来てないね」

八幡「由比ヶ浜、三浦から連絡来てるか?」

結衣「ううん。部室で一発ヤってるんじゃないの?」

「」

結衣「まったく優美子は困っちゃう子だよねー」

雪乃「あなたが一番困る子なのだけれど」

結衣「ふぇっ!?」

30分後


八幡(やることねえな)

戸塚「八幡」

八幡「おす。遅かったな」

戸塚「部活が長引いちゃってね。八幡は暇そうだね」

八幡「俺は食べるだけだからな」

戸塚「そっか。僕はチョコ作りしてくるよ」

八幡「ああ。頑張ってくれ」

戸塚「出来たら八幡にもチョコあげるね。友チョコってやつ」

八幡「戸塚からチョコ貰ったら三浦に怒られそうなんだが……」

戸塚「その時は僕が三浦さんを注意するから大丈夫だよ」

八幡「そっか」

八幡(戸塚が三浦を注意か。成長したなぁ)

1時間後


結衣「ヒッキー、チョコ出来たよ!」

八幡「おう。ちゃんと雪ノ下に手伝ってもらったか?」

結衣「うん!」

雪乃「安心して。由比ヶ浜さんはチョコを溶かしただけだから」

八幡「ほとんど雪ノ下の手作りチョコってことじゃねえか」

結衣「はい、ヒッキー! ハッピーバレンタイン!」

八幡「お前はそれでいいのか……。まあ、ありがとな」

結衣「どういたしまして。食べて食べて!」

八幡「ああ。…………美味い。さすが雪ノ下だな」

雪乃「当たり前じゃない」

結衣「ヒッキー、あたしも褒めてよ!」

八幡「どこに褒める要素があるんですかね」

三浦「戸塚、チョコ出来たから食べて」

戸塚「うん。ありがと」

葉山「やっぱり二人はお似合いだな」

戸塚「……」

葉山「これは卒業したら孕まされた婚かな?」

三浦「け、結婚とか早すぎるし///」

葉山「式には呼んでくれよ」

三浦「も、もちろんだし! 海老名と戸部も絶対呼ぶし」

海老名「あ、うん……」

戸部「お、おう。期待しとくわ……」

戸塚(あの戸部くんまで引いてるじゃないか)

三浦「てか海老名」

海老名「なに?」

三浦「戸塚に近いし。もう少し離れな」

海老名「……」

1時間後


いろは「みなさーん、これでチョコ作り教室は終了でーす。お疲れさまでしたー」

「お疲れさまー」

いろは「気を付けて帰って下さいねー」

八幡「後片付けも手伝った方がいいのか?」

副会長「ああ。悪いけどお願いできるかな? 男が俺しかいないんだ」

八幡「会計の奴は?」

副会長「箪笥の角に足の小指をぶつけて痛くて気分悪くなったから休みだよ」

八幡「そ、そうか……」

藤沢「すみません。ご迷惑お掛けします」

結衣「全然だよー。藤沢さんも本牧くんにチョコ食べてもらった?」

藤沢「……はい///」

結衣「やっぱ彼氏に食べてもらうと凄い嬉しいよねー」

藤沢「そうですね」

結衣「いろはちゃんも彼氏出来るといいね!」

いろは「凄い上から目線ですねー……」

八幡「すまんな」

帰り道


結衣「いやー、楽しかったねー」

八幡「そうだな。しかし寒いな」

結衣「つまり手を繋いでるだけじゃ物足りないから引っ付けってこと?」

八幡「違うから。気温の問題だから」

結衣「そっか。あたしは引っ付きたいけどなー」

八幡「場所を考えろ」

結衣「それじゃ家に着いたらいいってことだよね?」

八幡「家に着いたら引っ付く以上のことをするつもりなんだろうが」

結衣「え? 今日は親がいるからアレなんだけど」

八幡「」

結衣「……その、ヒッキーが良いなら、ママにばれないようにするってのもいいかもだけど……」

八幡「いや、しないから。そんなスリル満点なことしたくないから」

結衣「だ、だよねー。ま、それはもう少し経ってから挑戦するってことで!」

八幡「しねえよ」

結衣「大丈夫。ヒッキーはあたしに甘々だから上目遣いでお願いすればオッケーしてくれること知ってるよ?」

八幡「うわ、俺チョロすぎ……」

八幡(由比ヶ浜の言う通り俺はこれからも彼女の願いを受け入れてくるのだろう。だがそれも悪くない)

結衣「ヒッキー?」

八幡(俺と由比ヶ浜の恋人生活はこれからだ!!)

おわりです
チャンパカーナ!

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年04月19日 (火) 17:08:14   ID: vSyBH0Ms

なにこれ面白い

2 :  SS好きの774さん   2016年04月19日 (火) 23:04:12   ID: pssnw6MN

なにこれ面白い 2

3 :  SS好きの774さん   2016年04月23日 (土) 01:55:29   ID: eMpZ58S3

所々に散りばめられてるパロネタが最高にさむい

4 :  SS好きの774さん   2016年04月25日 (月) 00:05:37   ID: vQzqaJFn

続いてくれるとうれしいな..頑張って欲しい

5 :  SS好きの774さん   2016年05月04日 (水) 04:56:44   ID: NTwCDJiC

ゆきのん、ゾーンに入るとかすげーなwww
相模はどこでもクズだな~

6 :  SS好きの774さん   2016年05月10日 (火) 06:49:45   ID: 3iSNha_W

この展開のスピーディさが好きだな

7 :  SS好きの774さん   2016年05月10日 (火) 22:24:39   ID: sP6ksnt7

(´・ω・`)なにこれ・・・そして誰?

8 :  SS好きの774さん   2016年05月10日 (火) 22:47:32   ID: 5rR_YzLG

つまらない

9 :  SS好きの774さん   2016年05月10日 (火) 23:14:00   ID: cDM9LowK

ゆきのんいきいき。

10 :  SS好きの774さん   2016年05月10日 (火) 23:58:10   ID: 5ES4_Xyy

感動した、こりゃ原作より好きやで。ポンコツ型一途エロヒロインとか最高やんか…。葉山もいいキャラだし、何よりテンポがいいよね

11 :  SS好きの774さん   2016年05月11日 (水) 00:33:56   ID: KP8FytUX

続きはよ、おなしゃす!

12 :  SS好きの774さん   2016年05月11日 (水) 04:42:19   ID: IPXH3pEl

中の人ネタやめろwwww

13 :  SS好きの774さん   2016年05月11日 (水) 10:22:26   ID: DHQUyq89

八幡「来なくていいぞ。お前の席もうねえから」

クッソワロタww

14 :  SS好きの774さん   2016年05月17日 (火) 15:38:14   ID: vLnYfCan

全員ギャグテイストになってるなか、一人だけ原作通りのキャラで追放される相模ワロタ
葉山もこのssのように最初からありのまま相談してればな

15 :  SS好きの774さん   2016年05月17日 (火) 20:13:56   ID: KBsmSJBx

作者の相模への無慈悲な悪意に草を禁じ得ないな。いや、良いんだけどさ。大抵嫌われるキャラだろうし俺も好きじゃないしさ(笑)

16 :  SS好きの774さん   2016年05月21日 (土) 12:17:53   ID: G5L-PzFw

パロネタの年齢層が低すぎてさむい

17 :  SS好きの774さん   2016年05月21日 (土) 19:35:09   ID: hPGB3JfY


構って貰えないからって2回も同じコメントしなくていいぞ

18 :  SS好きの774さん   2016年05月26日 (木) 19:07:19   ID: -tN4mCPG

大岡wwww

19 :  SS好きの774さん   2016年06月01日 (水) 04:08:36   ID: Y2SD2reI

葉山もいい感じに砕けてきたな

20 :  SS好きの774さん   2016年06月06日 (月) 05:00:16   ID: yJPQw2Eq

どっちにしてもいろはすとあーしさんに望みが無くて草。戸塚?いやいや、ビッチはお断りやろ。この葉山は多分材木座とマブダチになれる

21 :  SS好きの774さん   2016年07月09日 (土) 11:31:53   ID: 9XYoZVlG

葉山ぁぁぁwww.

22 :  SS好きの774さん   2016年07月10日 (日) 20:23:22   ID: aTMUGQFy

こいつはイイ葉山だ、素直に生きるってイイね

23 :  SS好きの774さん   2016年08月12日 (金) 00:21:46   ID: 6ZYRE_Bf

ここの葉山結構好きだわw小山君だっけなぁw
とりあえず頑張って

24 :  SS好きの774さん   2016年08月18日 (木) 23:24:17   ID: 35t9FG1R

タイトルで損してる

25 :  SS好きの774さん   2016年10月01日 (土) 23:27:09   ID: e-TTo2vE

ID: rSlpo0FXo

すんげー天然モノのアスペが居るな

26 :  SS好きの774さん   2016年10月06日 (木) 02:24:54   ID: WAm8SOoF

個人的に確かに
葉雪だから、だめとかいうのは正直やるせないけど
荒らすのも正直よろしくないけど
そういう系が嫌いなせいか
見ているだけで吐き気を催すせいか
NTRだけは許せない

このスビード感とか結構好きです(`・ω・´)ゞ
これからもがんばってください٩(*´︶`*)۶

27 :  SS好きの774さん   2016年10月12日 (水) 01:14:18   ID: _XULq3OK

たんたんサクサクあっさりでスピーディー
でも味はしっかりしてて好き

28 :  SS好きの774さん   2016年10月22日 (土) 19:18:34   ID: ihzuqZj7

面白かった

29 :  SS好きの774さん   2016年10月27日 (木) 04:13:39   ID: Edvp-oNW

普通の話にすると、こうもつまらなくなってしまうんだな
原作の良さを再確認してしまった

30 :  SS好きの774さん   2017年02月08日 (水) 19:15:22   ID: U9ZW0Yhc

漫画ネタが面白かった。

31 :  SS好きの774さん   2017年04月19日 (水) 02:22:38   ID: r2-7IS-k

八幡と葉山がそこそこ仲がいいSS少ないから見てて安心した

32 :  SS好きの774さん   2018年10月24日 (水) 16:33:12   ID: LpAPug8X

面白いけど己の無知故に、パロネタが半分くらいしか分からん。
パロなくても面白いから良いけどね。

33 :  SS好きの774さん   2021年07月22日 (木) 22:44:27   ID: S:pXFXS-

この作品唯一の汚点ID: rSlpo0FXo

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