女「見たわね、私の下着姿!決闘よ!」男「えぇ…」(32)

この話の舞台になるこの学校は、国の軍隊に派遣するための人材を育成するために作られた。簡単に言うと、軍人育成学校ってところだ。
「戦闘総合」という科目が存在し、それが必須科目となっている学校はここと、その兄弟校だけで、俺はその中でも卒業生たちが多くの結果を残した学校…所謂「エリート校」というやつに入学することができた。

…できたんだけど…



女「…え……」

女「みっ…見たわね…!?」



10分前。俺は入学して最初の戦闘の授業に胸を躍らせていた。
さすがに最初の授業で忘れものなんかして出遅れるわけにもいかないから、戦闘服や武器などの必要なものは前日の夜に準備できていたんだけど、一つ問題があった。
 
入学したばかりで、更衣室の場所がわからなかったんだ。同級生についていくという手もあったのに、トイレに行ってる間にみんな先に行ってしまった。
トイレでの更衣は原則として禁止らしいから、俺は急いで更衣室を探して校内を走り回り、片っ端からそれらしい部屋のドアを開けて回った。
俺がその部屋のドアを開けてしまったのはなぜだろうか。電気が消えていたから?急いでいて確認することを怠ったから?それとも、なにか運命的なものでもあったのか?


――いずれにせよ、この事実は変わらない。


俺がその女子生徒が着替えている途中にドアを開けてしまったという事実は。

女「みっ…見たわね…!?」

男「えっ、あ…!?あ、ごめん!もしかしてここ女子更衣室だった!?ちょっと男子更衣室探してて、急いでて…あ、男子更衣室ってど

女「閉めてよ!!!!」

男「ごっ、ごめん!!」バタンッ

入学早々やらかした。盛大にな。
流石に謝るべきだと思って、俺はその女の子が着替え終わって出てくるまでドアのそばで待っていることにした。

遅刻確定、そしてその理由は女の子の着替えを覗いて謝ってたから。
…もしかしなくても、学校生活のスタートダッシュ、失敗したかな。

そんなことを考えていると、ゆっくりと開いたドアからさっきの女の子が口元をきゅっと引き締めて、目に涙を浮かべながら俺を睨んでいた。

とりあえず謝ろう。噂にでもなったらやばいから、なるべく誠実に。

男「さっきはその…ごめん。急いでて、部屋確認するの忘れてたんだ。」

俺が頭を下げると、彼女は謝ったからなんだとでも言いたげな顔でムッとした。
少しの沈黙が続いた後、彼女は黙って廊下の方に目をやった。

女「…男子更衣室、そこの角のとこだから」

そう言って彼女が指さした先には、もうみんな着替え終わって人気の無くなった
部屋があった。鍵は開いたままのようだったから、これで着替えることができる。

男「あ、ありがとう…ほんと、ごめん。それじゃ」

女「待って」

男「えっ」ビクッ

女「…授業終わったら中庭に来なさい」

なんでデュエルディスクを構えないんだ・・・?

授業には当然間に合わなかった。
先生には「更衣室を探していて遅れた」と理由を説明した。…嘘はついていない。

授業の内容としては最初の授業ということもあって、今後の授業の進め方の説明と、
体術の基礎の確認といった感じだった。

殆どの人はすでに形成されつつある仲の良いグループのメンバーと楽しんでいたけど、
俺はこの授業の後のことを考えるとそういうわけにもいかなかった。

ーーーー

女「…来たわね」

授業が終わって中庭に向かうと、そこにはすでに着替え終わって制服姿になった
先ほどの彼女が立っていた。

腕を組み、目をつり上げていかにも怒っている様子だった。…まあそれは当然なんだけど。
なんてったって着替え覗いたから。

何を言われるのだろうか。やっぱり、覗きのことに関してだろう。

一応もう一回謝っておくか?などと考えていると、先に彼女が口を開いた。

期待

女「さっきのことだけど…、わざとやったわけじゃないのはわかってる。急いでたってこともね。
…でもね、やっぱり無かったことにするっていうのは納得いかない。」

「着替え見られてるしね。」

ごもっとも。
彼女を怒らせたままにしてこのことを言いふらされでもしたら、俺は間違いなく社会的に終わる。
これから彼女に何を言われても、何を要求されても、俺はそれに従わざるを得ないのだ。

女「この学校が『自治からなる平和』を校訓にしているのは知ってる?」

男「え、うん」コクリ

女「その『自治』の部分の象徴であり、戦闘総合がある学校にのみ設けられている、
生徒同士のトラブルを生徒自身の手で解決させるためのシステムがあるの。」

男「…もしかして、決闘?」

女「そう。あなたが勝ったら私はこのことに関する話を誰にも一切しないし、蒸し返さない。
私が勝ったらあなたは私の怒りがおさまるまで、私の言うことを全て聞く。受けるわよね?」

「ハァーッ!?たった一回覗きしたくらいで何て理不尽な!俺の負うリスクとそっちの負うリスクが
まるで釣り合ってないじゃねえか!ふざけんなッ!!」

などと叫んで学校生活を思いっきり棒に振るわけにはいかない。俺はまだトレーニングだけで
実戦の経験が殆どないから勝てる見込みもあるわけじゃないんだけど…

「はい…」

今は、言うことを聞くしかない。

「それじゃあ放課後に、闘技場で。」

そう言い残して、彼女は教室へ向かった。

男「…ぅぉおおおおお…」

なんで地図を確認できなかった!!
先に地図を確認することさえしていれば、遅刻もしない、覗きもしない、決闘も
申し込まれない…!!普通にスタートダッシュ切れてたはずだったのに!!

男「…あの子、自分から決闘申し込んできたってことは腕に相当自信があるんだよな。」

男「……」

男「謝ったら、許してくれないかな…」

その後の授業は全然集中できなくて、気が付くともう7限目が終わろうとしていた。

HRが終わって、みんなが荷物をまとめ始める。
入学したばかりってこともあってみんな部活にはまだ入っていないから、殆どがこのまま
帰るのだろう。

闘技場には観客席がある。
最初は決闘用のステージだけだったが、他の生徒の決闘を見て戦い方を参考にしたりすることが
できるようにと生徒会が設置したらしい。

決闘を見る目的でなら観客席に行くのは誰でも自由だから、今荷物をまとめている人の中には
このまま家に行くのではなく俺と彼女の決闘を見に来る人もいるかもしれないのだ。
…いないことを祈っておこう。

男「俺もそろそろ荷物まとめて、更衣室行って着替えなきゃな…」

授業中もなんとかして決闘を逃れる方法を考えていたけど、ようやく戦う覚悟を
決めることが出来た俺は、そう呟いて教室を後にした。

女「…来たわね。」

男「まあ不戦敗で君の奴隷ってのもあれだし、一方的に殴り掛からないでちゃんと
決闘を申し込んでくれたのにそれから逃げるのは失礼だと思ってね。」

無論、後から言ったことは全く俺の本心ではない。なんとなくこういうこと言っとけば
好感度が上がって決闘を取りやめてくれるのではないかと思ったのだ。
戦う覚悟をしたとは言ったが、戦いたいとは言ってない。ただ不戦敗で奴隷のような扱いを
受けるのは嫌だというのは本心である。

女「そんなことよりも人の着替えを覗いたことを失礼だと思ってほしかったわね。それに別に
奴隷になってほしいわけじゃないわ。怒りのはけ口になってほしいだけよ。他に当たりたくないから。」

サンドバッグになれと?

女「試合はあと10分で始まるわ。今のうちに準備体操でもしておいたら?体がうまく動かなくて
攻撃を避けられなかったとき、痛い目を見るのはあなただからね。」

男「…覗き魔なんかにご忠告ありがとう。それじゃ10分後に、ステージで。」


男(とりあえず、お茶でも飲むか…)

おもしろい、期待してる
もう少し地の文が簡潔にできそう

>>4,>>6,>>11
米ありがとうございます
文の方はまだまだ練習中なので、上手くなるまで大目に見ていただけると幸いです

あと、女が試合はあと10分で~とか言ってますが、試合じゃなくて決闘に脳内変換しておいてください。
誤字(?)すみません

うわ、まとめ糞かよ書き込まなきゃ良かった

男「…そろそろかな」

ピーン ポーン パーン ・・・

男「……行くか…」ガチャッ


ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!


男「!?」ビクッ

女「準備はちゃんとできたかしら」

男「ちょっと待って」

女「え?」

男「この観客の数はなんなんだよ」

女「私に聞かないでよ…」

放送委員「さあ今日も始まりました!今日は非常に注目されている生徒が決闘をする
ということで、闘技場をより盛り上げるためにやって参りました!実況担当の放送委員です!」

戦闘教師「解説担当の戦闘教師です」

放送「決闘を行う生徒の紹介です!では、まずみなさんが気になっているであろう彼女から!」

放送「幼少の頃に発現した『精霊使い』としての才能を買われ、推薦で入学した期待の新一年生!
『ウンディーネ』の異名を持つ、女さんです!」

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

男(え、あの子そんなすごいの?)

女「ウンディーネってなによ…」

男(知らなかったんだ…)

放送「対するは同じく一年生、今のところまだ実力を見せていない!
実力はまさに未知数!男くんです!」

男(これ…ほんとに大丈夫かな…)

女「…未知数だかなんだか知らないけど、手加減してあげるつもりはないからね」

男「えぇ…」

放送「二人とも、準備はいいですか?」


「---それでは、始めてください!」


ビーーーーーーーーーーッ


カッ


男「!?」


ドゴオオオオオオオオオオンッ!!!!

ブザーと同時に、何かが光った。…それしかわからなかった。一瞬の出来事で、
何が起こったのか殆ど分からなかった。

男「な、なん…」

放送「おおーー!?なんといきなり爆発が起きました!!これは一体何が起こっているのでしょうか!」

教師「水素爆発ですね」

教師「精霊使いは自身の属性の精霊が持つ記憶を魔力を消費することによって再現できます。
彼女の場合は水の属性なので、水に関する事象はだいたい再現できます」

男「は、はぁ…!?」

女「別に無制限ってわけじゃないわよ。再現する事象の規模によって消費魔力の量も
変わってくるからニュースになるような大規模なのは無理。」

男「…小規模でも爆発って喰らったら痛くない?」ダラダラ

女「よくわかってるじゃない。」

男「はは、なんだよそれ… っ!?」

男(…なんだ、眩暈が…)

男「!! うっ!!」バッ

ドゴオオオオオオオオオオン

女「避けるのがうまいわね。でも別に喰らっても踏みとどまって場外に行かない
ようにするくらいはできる程度の威力だから、安心して喰らっていいわよ。」

男「…生憎痛いのは嫌いでね、遠慮しとくよ」グラグラ

男(何でこんな時に眩暈なんか…!!)

女「遠慮しないで、次のはもっと痛いから」スッ

女(巨大なウォータージェット…。次も躱すつもりだろうから今度は水を高水圧で射出して、
ステージを分断することで水素爆発の回避を困難にする。)

女「当たったら死んじゃうわよ」ニコッ

男「そりゃ怖い…」フラッ

女「ー-精霊よ!」

ドギュアッッ!!

男「あ、」フラ

女「えっ」




ドシュアッ

男「……ゴフッ」ボタボタ

男(腹に…穴?)

女「…え、あっ…」

ドサッ

「え…」「血?あれ胴体に穴空いてる?」「え、これ大丈夫なの?」ザワザワ

放送「…い」

放送「いりょ「急いで医務室に運べッ!!!!」


ドタドタ・・・

女「…そん、な、わたし…」

教師「女!」

女「は、はいっ…!」

教師「…お前は、控室で待機してろ…!!」

女「え、あ、は、い…」

数時間後

ーーーーー

女「……」

ガチャ

女「!!」

教師「…。」

女「か、彼は…!?」

教師「……ッ」



「…助からなかった」



女「え…」

教師「出血量が尋常じゃなかったんだ……くそっ…!!」ボロボロ

女「そん、な…」

ほう…面白い

アナウンサー「次のニュースです」

アナ「戦闘総合のある学校に存在する『決闘』というシステムで、この春入学したばかりの
男子生徒1名が死亡しました。」

教師『ーー生徒の管理が行き届いていなかったことでこのような事態を招いてしまい、
深く反省しております』

『決闘というシステムにボクシングで言うグローブのような命の危機につながることを
回避するためのものは無いのなら、決闘というシステムは生徒の自治というより、
生徒同士の殺し合いなのではないですか?』

『今まではどのようにして生徒の管理を行っていたのですか?』

『今後は「決闘」をどうするおつもりなのか聞いてもよろしいでしょうか』

教師「…だから、今後は決闘においては学校が用意した武器以外の使用は禁止。
さらに審判を設けて、審判が必要と判断した場合は戦闘を中断させることになる。」

教師「他にも教員に決闘の許可を申請際に書く書類に記入する項目が増えたなども
あるが、そこは各自で確認するように」

教師「…解散。」



ーーーーーーー

女「…」フラ

女「……」

女「…覗きと」

女「殺人」

女「……っ…うぅぅっ…」ポロ

女母「お、女ちゃん…?」コンコン

女「っ…!」ビクッ

女母「ご飯…ここに置いておくわね。」

女母「…何度も言うようだけど」ツー・・・

女母「お母さんは、何があっても女ちゃんの味方だからね」ポロポロ

女「…ぅん……」フルフル


女「……ごめん、なさい…」ボロボロ

女「ごめんなさいぃ…うぁあっ…ぁ”っ…」ボタボタ

二週間後。

彼の葬式が終わって、私は彼のご両親に謝罪をしに彼の家に行った。
ご両親は私を責めようとしなかった。それでも、赤くなった目と感情が涸れきった
ように色を失った顔を見るたびに、私は胸の中が言葉にできないような気持で
いっぱいになった。

学校では、あの日から私に話しかけようとする人はいなくなった。
今までは3日に1回は行われていたという決闘も、今では誰もしようとしない。

日常は突然には変わらない。それでも私が入れてしまったヒビから、日常はゆっくりと
崩れていく。

私も、みんなも…

ーー私は、なんてことをしてしまったのだろう。

女「…」

女「……精霊よ」

女「ーーーーウォータージェッ」


『ちょっと待った』

>>25

申請際 ✕
申請する際 〇

女「っ!!?」

『何しようとしてんの』

女「だ、だれ…」

『とりあえず、その超凶悪な水鉄砲みたいなの自分に撃つのはやめといた方が良いよ。
女さん』

女「え……  お、」


「男君…?」



『久しぶり、なのかな?』

女「ど、どういうこと…なの…」

男『俺もまだよくわかってないんだけどね。ついさっき気が付いたし』

女「ついさっき、気が付いた…?」

男『うん。気が付いたら、俺の腹ぶち抜いたようなものを自分に向けてる女さんが見えた』

男『で、喋りかけたら声が届いたんだよね。俺死んでるはずなのに』

女「ゆ、幽霊ってこと…?でもこんなこと今まで一度も…」

男『うーん、よくわかんないや。とりあえずここで話してても他の人には
女さんが独り言言ってるようにしか見えないだろうし』

『一人になれるとこ、行こうか』

見テルヨー待ッテルヨー

ありがちな展開を踏襲したギャグssかと思ったらわりと真面目っぽいssだったでござる
期待

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