僧侶「このパンツどうしよう」 (40)

勇者「装備品買ってきたぞー。はい重騎士、新しい盾だ」

重騎士「サンキュ!」

勇者「で賢者に軽装鎧な。これなら装備できるだろ?」

賢者「ありがとう。性能もかなり良いわね」

勇者「で、僧侶には装飾品な」

僧侶「…ありがとうございます」


僧侶(それで、剣士君は……)チラ

勇者「重騎士、賢者、僧侶。今まで使っていた装備を剣士にあげてくれ」

剣士「よっしゃあ、装備品が一気に3つグレードアップしたぞ!!」

重騎士「良かったな剣士!」

僧侶(また、皆のお古なんだ…)



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勇者「旅をスムーズにする為、装備品や消耗品にかける費用は惜しみたくない。その代わり、節約できるところは節約していこうと思う」

僧侶(…というのが、旅を始めた当初に勇者様が言っていた方針)



剣士「自由時間だ~」フンフーン

僧侶「あ、あの、剣士君」

剣士「僧侶ちゃん? どうしたの?」

僧侶「あのぅ…。わ、私から勇者様に言う前に…剣士君と話しておかないと駄目かな、って」モジモジ

剣士「ん? 何を?」

僧侶「その…剣士君は新しい防具買って貰えてないから……」

剣士「………」

僧侶「勇者様が費用を惜しまないと言うなら、剣士君にも新しい防具を……」

剣士「あーあー、それこそ金の無駄だから」アハハ

僧侶「…っ」

剣士「戦力の要である勇者、皆を守る重騎士、防御力の低い賢者、回復担当の僧侶ちゃん……この4人は防御をしっかり固めないといけないから、装備品に金を惜しまないのは当然だよ」

僧侶「でも剣士君だって」

剣士「俺は皆のお下がりで十分かな。小さい頃から兄貴や姉貴のお下がり着て育ってるから、慣れっこよ」

僧侶「だけど使い古した防具は、機能が落ちていますし……」

剣士「大丈夫、俺って防御よりもスピード重視だし。それに俺って4人に比べると、欠けても支障ないしね!」

僧侶「そんな欠けるなんて……剣士君だってパーティーに必要な方ですよ……」

剣士「そんな顔しないでよ僧侶ちゃ~ん、冗談だから! それに俺の防具を新品で買ってたら、その代わりに飯のグレードがダウンしちまう。そっちのが俺にとって致命的~」

僧侶「……」

剣士「ま、ありがとな僧侶ちゃん! こんなチビで目つき悪いバカ男に気を使ってくれるなんて、僧侶ちゃんは世界一、俺に優しい女の子だわ」

僧侶「そんなこと……」

剣士「そうだ僧侶ちゃん、結婚しよう!」

僧侶「!!!!」ボッ

剣士「うそうそ、喪男ジョーク! 忘れて! それじゃっ!」ダッ

僧侶(剣士君………)

僧侶(このパーティーは私以外は皆、幼馴染の仲。だから私は最初の頃、皆に溶け込めるか不安だった)

僧侶(だけど……)


剣士『僧侶ちゃんってお淑やかだよな! いて下さるだけで俺のメンタルポイントがグングン回復します!』グッ

僧侶『そ、そんなこと……』

剣士『メンタルポイントMAXになったから、道中ムーンウォークするわ!』カサカサ

勇者『無駄な動きしてんじゃねーよ』

賢者『しかも、できてないしー』

剣士『あー疲れた…僧侶ちゃん、膝枕しt』

重騎士『だからお前はモテないんだよ!』ゴンッ

剣士『あだーっ!!』

アハハハ…

僧侶『……くすっ』


僧侶(ムードメーカーの剣士君は私の緊張を取り払ってくれた。お陰で私は、皆に溶け込むことができた)

剣士『僧侶ちゃんは世界で1番、俺に優しくしてくれる女の子だよ。そうだ、結婚しよう!』


僧侶(剣士君……)ポー

僧侶(剣士君はムードメーカーなんだけど、道化を演じているせいか、何だか軽んじられている気がする)

僧侶(いつも皆を元気にしてくれる剣士君に、もっと元気になってもらえるお礼がしたいなぁ)

僧侶(だけど私なんて特技もないし性格も暗いし……)ハァ

僧侶(そうだ、賢者さんに相談してみよう。剣士君の幼馴染の1人だもんね)

>宿屋


僧侶「賢者さーん…」ガチャ

僧侶(あら、いない。お風呂かな?)

僧侶(隣の男性部屋に行ってみよう。勇者様と重騎士さん、いるかな?)

<おおおぉぉ~
<ヒヒヒヒ

僧侶(うん? 何か盛り上がってるなぁ)

僧侶「あのー」

と、ドアをノックしようとした時だった。

勇者「良かったなぁ重騎士! 本当に良かったなぁ!」

重騎士「あぁ! 忍び込んだ時はマジで生きた心地しなかったけど、遂に手に入れたぞ!」


僧侶(何かいいものが手に入ったのかな?)


重騎士「遂に手に入れたぞ……賢者のパンツを!!」


僧侶「」

重騎士「羨ましかったんです! 姫様のパンツをオカズにしている勇者が、ずっと羨ましかったんです!!」

勇者「フフフ。何せ、城の警備をかいくぐって手に入れたパンツだ。これは俺の勲章と言ってもいい!!」

重騎士「いくら頭を地面に擦りつけても貸してくれなかったもんなぁ~…。だが、そんな悔しい日々も今日で終わりです!」

勇者「そうだな、お前ずっと賢者のこと好きだったもんな! 惚れた女のパンツなんて、最高じゃないか!!」

重騎士「ありがとう、本当にありがとう! パンツは元気の源です!!」

勇者「さて重騎士…パンツを手に入れてすることと言えば…?」

重騎士「決まっている……!!」

勇者&重騎士「「シコるしかない!!」」


シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ


僧侶(う、うわぁ)

僧侶(見てない聞いてない、私は何も知らない)ソソクサ

<はぁ、ハァハァ姫様ぁ~姫様ぁ~
<賢者ぁ……好きだぁ、フヒッフヒッ

僧侶(隣の部屋にいても聞こえてくる…とてもここにいられないよぅ)シクシク

僧侶(そ、そうだ。この街の教会に行ってこよう!)ダッ


>教会

僧侶「神よ、我らを導きたまえ…」

僧侶(魔王討伐の旅も終盤。魔王を倒して、皆で生きて戻りたい)

僧侶(だからお願いします……貴方の加護を)


「いつも御苦労」

僧侶「えっ?」

ふと上の方を見ると…

天使「やぁ」

僧侶「そのお姿は……まさか、て、天使様!?」

天使「その通り」

天使「世界を平和に導く為に、日夜戦いを続ける信心深き僧侶よ」

僧侶「は、はい!」

天使「神様はいつでも君達を見守っている。恐れるな…君達は神に愛されている人間なのだから」

僧侶「あ、ありがとうございます! 私も信仰の民とは未熟ゆえに、そのようなお言葉は身に余る感激でして…」

天使「まぁ、そんなに固くならずとも良い。私が降りてきたのは、君に用があってだ」

僧侶「用…ですか? 私に?」

天使「そう。神の力を使う信仰深き者に、ささやかな贈り物を届けにきた」

僧侶「贈り物…とは?」

天使「我々天使の加護を受けた装備品だ。魔王との決戦で、きっと役に立つことだろう」

僧侶「まぁ…。感謝致します、天使様」

天使「良い。それよりも、どうか魔王との戦いで命を落とさぬようにな」

僧侶「天使様……」

天使「では、時間だ」

僧侶「あっ!」


そして光と共に天使は姿を消した。

僧侶(まさか天使様とお会いできるなんて…夢みたいだった……)

だが、それが夢でなかったと証明するように――

僧侶 パサッ「!」

僧侶の足元に落ちてきたそれは――

僧侶「………」


天使の羽が装飾された、純白のパンツだった。

僧侶(て、天使様の贈り物って、下着!?)

僧侶(ん…聖なる力を感じる。ということは…天使様のご加護を受けた下着?)

僧侶「………」


>宿屋

僧侶(装備したけど…うぅ、下半身にご加護の力を感じて何だかムズムズする)モゾモゾ

僧侶(とりあえず新しく、この下着を装備するとして……)

僧侶(前に使ってた下着も、防御力が高くて結構いいものなのなんだけど…装備品グレードアップしたら必要なくなるしなぁ)

僧侶(でも売るのも恥ずかしいし、捨てるしかないのかな……)

賢者「僧侶ぉー!」バァン

僧侶「きゃっ! け、賢者さん、どうしました?」

賢者「私の下着が1枚無くなったと思ってたら、重騎士の奴がオカズにしてたのよ! 勇者も一緒に誰かの下着で致してたから、2人ともきっちりシメてやったわ!」

僧侶「わ、わぁー」

賢者「全く……そんなことする位だったら、ちゃんと好きって言ってくれればいいのに。バカなんだから……」

僧侶「どうしてそんなことしたんでしょうねぇ……」

賢者「うちの男どもはバカ揃いだから。パンツを与えておけば24時間戦えるようなバカなのよ」

僧侶「そ、そうなんですか!?」

賢者「あー…そういえば子供の頃とか、3人で近所のお姉さんのパンツとか盗んでこっぴどく叱られてたわねー…。あの頃と変わってないわね」

僧侶「………」

僧侶(これだ!!)

>翌日

剣士「ふわ~ぁ……早起きしたから体操でもしよう。はー、どっこいどっこい」

僧侶「け、剣士君! おはようございます!」

剣士「あ、おはよう僧侶ちゃん。互いに起きるの早いなー」

僧侶「剣士君…そ、その……」

剣士「どうした?」

僧侶「これっ! 受け取って下さい!」

剣士「ん? 何が入ってるのかな?」

僧侶「そ、それは……」カアアァ

剣士「??」

僧侶「ひ、1人でいる時に見て下さいっ!!」ダッ

剣士「僧侶ちゃん?」


剣士(何だろう…)ガサガサ

剣士「………」

剣士(これは……パンツ?)

僧侶「んにゃああああぁぁぁ!!」ジタバタジタバタ

僧侶(あげちゃったー!! 剣士君、今中身見てるかなあぁ!! 喜んでくれてるかなあぁ!!)

僧侶(『あんな地味女のパンツじゃあなー…』ってガッカリされてるかなぁ……)

僧侶(でも剣士君もパンツが好きって言ってたし……)


~妄想~

剣士『はぁ、僧侶ちゃんのパンツ……この純白が女の子のお尻を守っていたのか……』ハァハァ

シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ

~妄想終了~


僧侶(きゃーっ、剣士君たらもーっ!! もっと元気になってぇ、遠慮しないでシコシコしてぇーっ!!)ジタバタ

賢者「ふわぁ~…僧侶どうしたのぉ~? 何か、せわしないわねぇ~?」

僧侶「な、なな何でもないんです!! おはようございます!!」




剣士「今倒したモンスターの真似しまーす。うぉーん、うぉーん」ピョンピョン

重騎士「ぎゃははは、めっちゃ似てるわ! 剣士、お前モンスターになれるわ!!」ベシベシ

勇者「よっ、魔物男!」

剣士「うぉーん、うぉーん」ピョンピョン


僧侶(剣士君はいつも通りか……)

賢者「どうしたの僧侶? そんな神妙な顔して」

僧侶「え、あ、別に」

重騎士「お前が寒いからだよ剣士!」ベシベシ

剣士「イヤァーン、尻はやめてー! 気持ちよくなっちゃう~!」

勇者「気持ち悪いっつーの!」ハハハ

賢者「パンツ泥棒が何を言う」

重騎士「ごめんなさい」

勇者「ごめんなさい」

僧侶「……」チラッ

剣士「あはは、2人ともバカだな~。僧侶ちゃんも気をつけなよ?」ニコ

僧侶(剣士君……えぇ、私の下着は剣士君だけのものだから)ポッ

>数日後


勇者「明日は魔王城に乗り込もうと思う。皆、決戦前夜を悔いの残らないように過ごしてくれ!」


僧侶(と言われて教会でお祈りも捧げたし…。何かするより、体を休めていようかなぁ)

僧侶(……うん? あれは重騎士さんと賢者さん)


重騎士「賢者、その……」

賢者「…何よ。呼び出したんだから、さっさと言いなさいよ」

重騎士「俺…昔からずっと、賢者のこと……」

賢者「……」

重騎士「……賢者ぁ!」

賢者「な、何?」

重騎士「お前と一生一緒にいたい! だから絶対に、最終決戦生き残ろう!」

賢者「重騎士……うん」コクリ


僧侶(わぁー、ちゃんと進展していたんですね、あの2人)

僧侶(……いいなぁ)

僧侶(剣士君……どこにいるのかなぁ)

>池


剣士「ほれほれ、餌だぞ~」ポイポイッ

アヒル「がーがー」

僧侶「こちらにいらっしゃったんですね」

剣士「お、僧侶ちゃん! いやー、決戦前日って実感がなくてさぁ~」アハハ

僧侶「私は緊張しています。でも、剣士君といたらリラックスできるかな、って思って」

剣士「そう? じゃあ一緒にアヒルに餌やろうぜ! 可愛いぞ~アヒル」

アヒル「がーがー」

僧侶「ふふ、可愛い」

剣士「がーがー、餌くれー。がーがー」

僧侶「あははっ、もう、剣士君ったら」

剣士「お、僧侶ちゃん。その笑顔、緊張ほぐれてきたね!」

僧侶「ふふ、そうですね。剣士君のお陰です」

剣士「なーに。……俺も僧侶ちゃんに元気貰ったからさ」

僧侶「!!」キュン

僧侶(やっぱり剣士君…私の下着でシコシコと……)ドキドキ

剣士「明日、頑張ろうな!」ニッ

僧侶「はい!!」

>翌日、魔王城


剣士「でりゃああぁぁ」ザザザッ

魔物「グアアアァァッ」

勇者「絶好調だな剣士」

剣士「俺は素早い動きで複数を相手にするのが得意だからな。敵がウジャウジャいる魔王城だと、いい運動になるわ!」

僧侶(剣士君……素敵)ポッ

重騎士「やけに元気だな剣士」

剣士「まぁね~♪」

僧侶(剣士君……)


~妄想~

剣士『明日は最終決戦だ! 後悔のないように…出し切るぞおぉッ!!』

シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ

~妄想終了~


僧侶(あぁ剣士君っ、一杯出して気持ちよくなってぇっ!!)

賢者「ん…こっちから凄い魔力を感じるわ」

勇者「魔王か?」

賢者「わからない…けど、その可能性は大きいと思う」

勇者「よし、行ってみるか!」

僧侶(そうだった、真面目な局面だったわ…ヨダレ拭こう)キュッ

>そんでもって


魔王「よくぞここまでたどり着いたな、勇者一行よ。こうなれば我の手で直接、貴様らを葬ってやろう!」

勇者「お前を直接葬る為に来たんだ! 俺たちは負けやしない!」

重騎士「行くぞォーっ!!」


僧侶(基本戦略は男性陣3人が前衛。重騎士さんは防衛担当、剣士君と勇者様で攻撃を叩き込む)

僧侶(私と賢者さんは後衛で魔法によるサポート。魔王とは距離があり、なおかつシールドを張っているので、ポジションとしては安全)


賢者「3人とも…死なないでね、絶対に……!」ギュッ

僧侶(安全とはいえ、3人が戦っている様子を遠くから見ているのは心中穏やかじゃない)


剣士「ハァ~…おっさん、しぶといね!」

僧侶(小柄な剣士君は敵の攻撃を『受ける』よりも『避ける』ことに特化した素早さタイプで、ダメージを受けることが少ない)

僧侶(だけど……大きな一擊を喰らったら、それが致命傷に繋がる!!)


魔王「えぇい、チョロチョロと!」ブンッ

剣士「よっと! はい、俺はすばしっこいネズミで~す」ヒョイヒョイッ

僧侶(剣士君……!)

剣士「!! 僧侶ちゃん、後ろ!!」

僧侶「え……っ!?」

賢者「はあぁっ、炎魔法っ!!」ゴオオォ

僧侶「!!」

僧侶(魔物が接近していた…気付かなかった)ドキドキ

魔王「全力で貴様らを葬るつもりだ……我が魔王軍の総力をもってな!」

勇者「ちっ、敵はお前1人じゃないか」

重騎士「しかし挟まれるとはな…これはヤベェなオイ」


僧侶(そう、魔王と魔物達に挟まれることによって、後衛の安全は崩される)

勇者「……」

僧侶(戦局は、勇者様の判断にかかっている!)


勇者「…重騎士、剣士!」

重騎士「おう!」

剣士「どうした!」

勇者「俺が魔王をやる! お前達は賢者と僧侶を魔物達から守れ!」

重騎士&剣士「「了解!」」

僧侶「……!」

僧侶(陣形としては、男性陣が二手に分かれることで、後衛の安全を守る形になった)

僧侶(だけど分かれたことで、男性陣の負担は増えたと思うのだけれど……)


勇者「せやあぁっ!!」

僧侶(流石は勇者様。魔王相手にひけをとっていない)


重騎士「魔王に比べると手応えがねぇな。ハァ~、魔王を相手にしてる勇者がやっぱ1番のヒーローになるんだなぁ」

僧侶(守りの要である重騎士さんのおかげで、私達の安全は守られている)


剣士「ま、いいんじゃねぇのー! 1番頑張ってる勇者に華を持たせてやろーぜ!」ズバァッ

僧侶(剣士君…素早い動きで、敵の数を確実に減らしてくれている!)


賢者「この陣形が崩れないようにサポートするわよ、僧侶!」

僧侶「はい!!」

僧侶(皆を信じられる…これなら、魔王に勝てる!!)




魔王「…ハァ、ハァ……」

剣士「へへっ……魔物は全員倒したぜ」ゼーゼー

重騎士「あとはお前だけだ、魔王」ゼーゼー

勇者「…覚悟するんだな」

魔王「くっ…貴様ら……!!」


僧侶(私も大分魔力を消費してしまったけれど、こちらの戦力損失はゼロ…そして魔王は満身創痍。行ける!)


魔王「ク、ククク……」

勇者「何がおかしい」

魔王「褒めてやろう…我にこの技を使わせるのは、貴様らが初めてだ」

勇者「何っ」

魔王「ハアアァァ……」ゴゴゴ


賢者「!!」

僧侶「魔王の力がみなぎっている……?」

賢者「それだけじゃないわ……魔王の奴、生命力を削っている!」

勇者「何だって!」

賢者「皆、警戒して! 僧侶、シールドを強化するわよ!」

僧侶「は、はい!」


魔王「破壊神よ我に力を……"殺戮の旋風"」


僧侶「!!!」

旋風が巻き起こったと同時、"不吉"を感じた。
旋風は空気を切り刻み、シールドを突き抜け、まるで触れるものに"死"を与えるような――

僧侶「――」

僧侶は感じていた。
旋風が自分の肉体を切り刻もうと迫っている。

だけど防ぐことも、回避することもできない。

すなわち待つのは、"死"――



剣士「僧侶ちゃん、危ないっ!!」

僧侶「――えっ?」


ドサアァッ

勇者「な、何て凶悪な技だ……」ゴホッ

重騎士「賢者……大丈夫か?」

賢者「重騎士、アンタ私を庇うなんて無茶して!」

重騎士「俺のでかい図体はその為にあるんだよ。お前が無事で良かっ」

僧侶「剣士君が、剣士君があぁ!!」

勇者「えっ?」

剣士は僧侶を庇って、彼女に覆いかぶさる形で倒れていた。
全身は旋風に刻まれ、立ち上がる様子を見せない。

勇者「け、剣士! くっ魔王、許さないぞ!」バッ

魔王「フ…今ので貴様らも大きなダメージを喰らったはずだ。そんな体で我に勝てるのか?」

勇者「やってみせる……絶対にお前を倒す!」


僧侶「け、剣士君……!!」

先ほどから回復魔法をかけているのだが、剣士は目を覚まさない。

僧侶「剣士君……」ジワァ

魔王「覇ああぁっ!」ビュンッ

勇者「くっ!」

重騎士「がっ!!」

賢者「重騎士、勇者!!」

魔王「クク…形勢逆転だな。1人1人、確実に命を貰おうか!」


僧侶(皆もボロボロ…だけど私の魔力はもうわずか……)

僧侶(もう駄目……っ!!)


ここで皆死んでしまうのだ。
勇者は前夜、悔いのないようにと言っていた。だけど僧侶はひとつ、悔いを残していた。


僧侶(せめて死ぬ前に――)


――剣士君に、気持ちを伝えておけば良かったなぁ。



「絶望するにはまだ早いぞ」

僧侶「……えっ!?」

天使「僧侶よ…私の姿が見えるか」

僧侶「て、天使様! な、何故!」

天使「先日、贈り物をしただろう。それを通じて私は、君の想いを受け取ったのだ」

僧侶「天使様……どうか私達をお救い下さい!」

天使「私は君たちを救うことはできぬ……が、贈り物を通して、君の手助けならできる」

僧侶「どうすれば良いのでしょうか……?」

天使「ひたすら強く想うのだ。嘘偽りない気持ちを、強く念じるのだ」

僧侶「は、はい!」

僧侶(私の想い。世界平和、皆の無事、そして――)


魔王「な、何だ!?」

賢者「僧侶の"聖なる力"が、高まっている……?」


僧侶(剣士君……私は貴方のことが――)


天使「良いぞ…下半身に強い気持ちが集まっている! もっともっと、強く想うのだ!」

僧侶(剣士君剣士君剣士君剣士君剣士君剣士君剣士君剣士君剣士君剣士君剣士君剣士君剣士君)

天使「今だ!! その高めた力を、一気に放出するぞ!!」

僧侶「はいっ!!」



カアアァァ――ッ


勇者「!!!」

勇者「傷がふさがった…それに体も軽い」

魔王「そ、そんな馬鹿な!?」

勇者「今なら魔王…お前を倒せる!」

魔王「クッ…ならばもう1度……」

勇者「させるかあぁ!!」ズバアァ

魔王「!!!」

勇者「今度は確実に仕留める……魔王、覚悟ォっ!」ダッ

魔王「う、うわああぁぁ――っ!!」

重騎士「やった! 魔王を倒したぞ!」

賢者「剣士は……」クルッ


剣士「フゥ、フゥ……」

僧侶「息を吹き返しました…! 良かった、良かったぁ……」グスグス

賢者「そう……」ホッ

重騎士「あぁヒヤヒヤしたぜ…剣士は俺や勇者と違って、筋肉が発達していないから」

僧侶「傷を見たのですが、頭への直撃は免れていたようで」

勇者「けど服がズタズタだな。内蔵がやられて即死でもおかしくなかったぞ」


剣士「う、うーん……?」

賢者「あっ! 目を覚ました!!」

僧侶「剣士君……大丈夫ですか?」

剣士「あぁ、皆生きてるんだな……安心した」

重騎士「1番心配かけた奴がよく言うぜ!」

勇者「剣士、立てるか? 肩貸すか?」

剣士「大丈夫、大丈夫! 全然立てますよっと」スッ

賢者「あっ、服の切れ端が……」

ボロボロッ


勇者「………」

重騎士「………」

賢者「………」

僧侶「………………………………………」

剣士「イヤン、はずかちー」

勇者「………なぁ剣士」

剣士「ん?」

勇者「何で…女物のパンツ履いてるの?」

僧侶「わ、わわわわ私があげた下着いいぃぃぃ!?」

賢者「………はぁ!?」

賢者「僧侶、あんた剣士にパンツあげ……はぁっ!?」

重騎士「何それ羨ま…じゃなくて剣士お前、僧侶からパンツなんて貰ってたのかあぁ!!」

勇者「それはいいとして、お前シコり会に1度も参加してないよな!? 1人でシコってたのか、あぁん!?」

賢者「いや論点そこじゃないでしょ。何で履いてるのよ」

剣士「えっ? これお下がりじゃないの?」

僧侶「えっ」

剣士「俺が履いてたパンツより防御力スゲェ高かったからさ。てっきりいつものお下がりかと……」

賢者「いやいやいやいやその発想はおかしい」

勇者「……あ、でも」

賢者「ん?」

勇者「そのパンツを履いていたから……剣士の急所が魔王の技から守られて、即死を免れたんじゃないか?」

重騎士「………」

賢者「………」

剣士「僧侶ちゃんは俺の女神だ! ありがとう僧侶ちゃん、ありがとう!」

僧侶「剣士君……」ウルッ

賢者「待て」

賢者「僧侶……あんた、そもそも何で剣士にパンツなんてあげたの?」

僧侶「そ、それは……」

勇者「剣士は小柄だから、僧侶のパンツも入ると思ったから?」

重騎士「シコってもらう為?」

賢者「黙ってろシコメン共。僧侶がそんなこと考えるわけ……」

僧侶「………そうです」

賢者「は?」

僧侶「オカズにして欲しかったんです………剣士君に」ポッ

剣士「僧侶ちゃん……」

賢者「………は?」

僧侶「私、ずっと剣士君のこと――」

剣士「……僧侶ちゃん!」ギュッ

僧侶「!!!」カアァッ

剣士「お願い、俺から言わせて! ……こういうのは、男の口から言うもんだからさ」

僧侶「……」コクリ

剣士「……好きだよ、僧侶ちゃん。いつも俺に優しくしてくれた君のこと、大好きだ」

僧侶「私も…いつも明るくて私に元気をくれる剣士君のこと、大好きです」

剣士「生きてて良かったあああぁぁ!!」

僧侶「ふふっ……私もです」


勇者「良かった、良かった」ウルウル

重騎士「本当だなぁ」グスグス

賢者「おい。ssだからわかりにくいけど、剣士は今パンモロ中だからね? しかも女物のパンツね?」

ワーワー


天使「……ふっ、一件落着だな」

天使「神様から僧侶に下着を贈れと命じられた時は『ハァ、何故下着なんだよ馬鹿じゃねぇのエロジジイ』と思ったものだが……」

天使「結果、勇者一行の命を救い、彼らを勝利に導く結果となった。やはり神様は侮れないお方だ」

天使「最後に天界の者として祝福を贈ろう……」

天使「どうか、神に愛されし、信心深き少女に、永遠の幸せを……」

>そして


剣士「僧侶ちゃん、ごめんごめーん!」

僧侶「もう、遅いですーっ。初デートに遅刻なんて、御法度ですよ」プクー

剣士「ほんと、ごめんって! 今日は僧侶ちゃんの行きたい場所に行こう、ね!」

僧侶「それじゃあ服屋さんに行きましょう」

剣士「服屋? いいね、欲しいのプレゼントするから遠慮しないでね!」

僧侶「違います。メンズ服屋さんです」

剣士「メンズ?」

僧侶「今日は剣士君の服を見たいんです」

剣士「えっと……いいの?」

僧侶「はい。お古じゃない新しい服、買いましょうよ。ね?」ニコ

剣士「……うん。俺センスないから、僧侶ちゃんに見立ててほしいな~♪」

僧侶「わ、私がですか」アワワ

剣士「いいでしょ~、僧侶ちゃん好みの男になりた~い♪」ギュッ

僧侶「も、もー、剣士君ったら!」


旅が終わっても、私と彼は一緒です。これからも毎日、彼と一緒に幸せを感じていけることでしょう。


剣士「けどパンツは女物の方がいいかな~。何かあれからクセになっちゃって」

僧侶「!!?!?」


……ちょっと受難もありそうです。


Fin

ご読了ありがとうございました。

今やってるゲームで下着装備の使い回しをやってるので思いつきました。
最初は変態なネタにするつもりが変態ssが思いつかず、普通にラブコメになってしまいました。


こちら過去作ですhttp://ponpon2323gongon.seesaa.net/


下着泥棒を愛せるなんてこの賢者頭おかしいんじゃないの

>>35

五人パーティって珍しい

世界樹が五人パーティだな
最近少人数PTのゲームが増えてるけど戦略の幅が無くてつまらん
やっぱり四人以上、出来れば六人欲しい

>>38
そんなあなたにざくざくあくたーず

賢者ちゃんの突然のメタ攻撃ww
一歩まちがえばアウトなのに、ほのぼのしててよかった

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