モバP「故郷に続く空」 (22)

モバマスSSです。

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おはようございます。
明日は歌姫庭園ですね。参加される方は頑張ってください。

事務所

P「あぁ、いいですねぇ」

ちひろ「ですねぇ」

P「なんて言うか…心が落ち着きます」

ちひろ「さっきまで殺伐としてましたね」

ちひろ「お煎餅どうですか?」

P「あ、いただきます」

ガチャ

奈緒「おつか……って二人共なにしてんだよ」

P「休憩かな」

ちひろ「休憩ですね」

奈緒「まぁ…いっつも仕事してるもんな」

ちひろ「奈緒ちゃんも一緒にどうですか?」

奈緒「ん。ありがとちひろさん」

P「自然の音って結構和むよなぁ」

奈緒「あー、言われてみれば。今は…波の音か」

ちひろ「はい。なんだか眠くなりそうな音ですよね」

奈緒「分かる分かる」

奈緒(なんか二人共結構疲れてるっぽいな…)

奈緒「Pさんさー」

P「どうかしたか?」

奈緒「何か甘い物とか食いたくねぇか?」

P「んー、まぁ煎餅とか食べたあとだしな」

ちひろ「ですねぇ」

奈緒「んじゃ、これやるよ」ヒョイ

P「飴?」

奈緒「そ。杏じゃねぇけどさ」

P「ありがとな。グレープフルーツは疲れに効くもんな」

奈緒「べ、別にそういう訳じゃ…!っていうか、飴にはそんな効力なんてねぇだろうし…」

ちひろ「優しいですね奈緒ちゃんは」

奈緒「~~っ!」カァ

P「ありがとな。少し元気でた」

奈緒「なら、いいけどよ」

ガチャ

詩織「お疲れ様です」

P「あ、おつかれ」

ちひろ「お疲れ様です」

奈緒「おつかれー」

詩織「お疲れ様。あら…テレビ」

ちひろ「そう言えば詩織ちゃん、海好きでしたもんね」

詩織「えぇ」

ちひろ「なんだか落ち着きますよね」

詩織「そうね。ただ、こういうのを見てるとなんだか海風を感じたくなってくるわ」

詩織「晴れた青空の下マリンブルーの海も素敵だけど、夕日に照らされたさざ波も風情があるわね」

P「確かにあるな」

奈緒「久しく海なんて行ってねぇなぁ…今行ってもまだ寒いし」

詩織「別に泳ぐ訳じゃないのなら、季節に縛られることはないと思うわ」

奈緒「ま、確かにな」

詩織「いつかここにいる四人で行けたらいいわね」

ちひろ「ですね。やっぱり沖縄の海とこっちの海は違いますか?」

詩織「えぇ。違うわね。ただ、優劣を付ける気はないわ。ここの海も誰かにとっては故郷の海なのだから。

誰かの思い出の海を貶すほど私は無粋ではないし」

P「確かにな」

奈緒「Pさんはなんか海で思い出とかあんのかよ」

P「海なぁ…砂浜を走ってたなぁ」

奈緒「お、ビーチフラッグ的な奴か?やってみたいんだよなぁ」

P「いや砂浜ダッシュ」

奈緒「一人で?」

P「流石に部活だけどな」

詩織「海の思い出というより砂浜の思い出ね。それ」

P「奈緒はなんかあるのか?」

奈緒「んー?そうだなぁ、友紀さんと柚とか唯さんとかと海行ったなぁ」

ちひろ「賑やかな面子ですね」

奈緒「…まぁ、楽しかったよ」

奈緒(途中でテンションに付いていけなかったけど)

ちひろ「ま、まぁ、確かに楽しそうですね」

詩織「……中々凄そうね」

P「奈緒頑張ったな」

奈緒「べ、別に頑張ってねぇよ!」

奈緒(あ、いや、頑張ったか…?)

事務所

奈緒「それじゃあなー」

P「お疲れ」

ちひろ「おつかれ様でした」

詩織「お疲れ様」

P「詩織はこの後は……」

詩織「レッスンも仕事も今日はないわ」

P「そうなのか」

詩織「何か私に用が?」

P「いや、そういう訳じゃ」

詩織「そう」

ちひろ「テレビ気に入りました?」

詩織「まぁ、久しく故郷に帰ってないもの」

詩織「たまにはノスタルジックな気分になるわ」

P「気が向いたら帰れるって場所じゃないもんなぁ」

ちひろ「ですねぇ。飛行機代もバカになりませんですし」

詩織「あとはスケジュールの都合ね」

P「出来たら、仕事と合わせて帰れたらな」

詩織「……そうね」

ちひろ「プロデューサーさんも一緒にですか?」

P「そりゃ、撮影ならついていかないとな」

ちひろ「ですよねぇ…お土産お願いしますね」

P「残念ながらまだ決まってないですけどね」

P「コーレーグースでも買っていきましょうか?」

ちひろ「辛いのはあんまり……」

P「あら、意外ですね」

ちひろ「それじゃ、お疲れ様です」

P「お疲れ様でした」

詩織「お疲れ様」

ちひろ「しっかり送っていってあげて下さいよ?」

P「任せてください」

詩織「ちひろさんも気をつけて」

ちひろ「はい。ありがとうございます」

P「さて、帰るか」

詩織「…そうね」

P「どうかしたか?」

詩織「Pさんは――」

P「ん?」

詩織「――私が帰りたくないって言ったらどうする?」

P「えっ……」

詩織「Pさんもそんな顔するのね」クスクス

P「あ、いや、ちょっと意外で……」

詩織「Pさんでも分からない私のことがあるのね」

P「そりゃ、そうだ」

詩織「言われてみればそうね」

詩織「ただ、我儘を一つ言っていい?」

P「聞ける範囲なら」

詩織「……海に連れていってほしいの」

P「海?この時間にか?」

詩織「えぇ」

P「夜だけどいいのか?」

詩織「たまには夜も風情がある気がするの」

P「まぁ、それでいいならいいが…」

詩織「えぇ、Pさんとなら何も問題ないわ」

P「それじゃ、行くか」

詩織「えぇ」

車内

P「なんだかこの時間にそっちの方面に行くなんて新鮮だな」

詩織「確かにそうね」

P「道路もやっぱり空いてるな」

詩織「ちょっとしたナイトドライブね」

P「確かにな。なんか音楽でも聞くか?」

詩織「任せます」

P「ラジオでも流しとくな」

P(夜の海って行くの初めてだな…)

P「時期が時期なら花火出来たら良かったのにな」

詩織「線香花火が好きよ」

P「あぁ、いいな」

詩織「パチパチと小さく光るのは風情があるわね」

P「小さい頃やったなぁ」

詩織「大きくなってから中々やる機会もないわね」

P「今度やるか」

詩織「…そうね」

P「唯と柚はロケット花火が好きそうだよな」

詩織「奈緒ちゃんがハラハラしてそうね」

P「…なんだか容易に想像出来るな」

P「お、そろそろだな」

詩織「えぇ。悪いわね」

P「構わないよ」

詩織「人の気配がしないわね」

P「そりゃ、夜の海だもんな」

砂浜

P「街灯の光しか明かりないな」

P「海風が強い」

詩織「そうね。暗いわ」

P「そうだな」

詩織「その分、音が私に波を感じさせてくれるの」

P「見えてない分そうかもな」

詩織「寄せては返す波は私の心と似ているわ」

P「どういう意味だ?」

詩織「心静かに目を閉じれば分かるかもしれないわ」

P「なるほどな」

P「寄せては返す愛の音ってか」

詩織「…さぁ?」

詩織「やっぱり海は良いわね」

P「海自体も久しぶりか?」

詩織「えぇ。仕事が多いのは嬉しいことだけれど……」

P「まぁ、たまには息抜きをしないとな」

詩織「そうね」

詩織「やっぱり、私は海が好きで時たまに海のそばにいたくなることもあるの」

詩織「でも…、アイドルをやっていて不思議なことも分かったわ」

P「なんだ?」

詩織「Pさんの近くだと安心出来るの。海と向き合っている感じに近いかしら」

詩織「理由は分からないけれどね」

詩織「この海も、この空も」

P「ん?」

詩織「私の故郷に繋がっているのよね…」

P「そうだな」

詩織「少し不思議」

P「そうか?」

詩織「海も空も繋がっているのね」

P「そうなるな」

詩織「いつかPさんにも見せてあげたいわ。私の故郷の沖縄を」

P「八重山とかなら行ったことがあるんだけどな」

詩織「観光?それともスカウト?」

P「友人と旅行にな」

詩織「亀でも見たのかしら」

P「どうだったかな」

詩織「少し散歩でもしましょうか」

P「そうだな」

詩織「…今思うと本当に不思議よね」

P「なにがだ?」

詩織「Pさんが私をスカウトしたことよ」

P「そうか?」

詩織「えぇ。自分で言うのは変かもしれないけれど…私はきっと感情がそんなに出せないタイプだから」

詩織「奈緒ちゃんや柚ちゃんに比べてね」

P「まぁな」

詩織「私がこうなりたい。誰かに伝えたいそんな想いがあったのは事実だけれども」

詩織「誰にも気づいて貰えないと思ってた」

詩織「気づかれなくて当然。だって、誰にもそんなこと言う気はなかったもの」

詩織「ただ、貴方は違ったわね」

詩織「私の心の中にある海の奥深くに沈んでいた言葉を引き上げてくれた」

P「ビビッと来たんだよ」

詩織「その慧眼には恐れ入るわ。本当に敵わないわね」クスッ

P「買い被り過ぎだって」

詩織「いいえ。Pさんといるから、私は私でいられる気がするわ」

詩織「だって私の揺らぎを掬い上げてくれるもの」

詩織「ねぇ、Pさん」

P「どうした?」

詩織「私が人魚姫だったらどうする?」

P「人魚姫?」

詩織「えぇ。貴方に想いを拾って貰った私は魔法使いにお願いしてアイドルにして貰った。そんなお話は好きかしら?」

P「嫌いじゃないが。その割には声を奪われてないな」

詩織「えぇ。ファンの方に想いを伝えるには歌を唄わなければならないから」

P「随分と気の利いた魔法使いだな」

詩織「魔法使いは案外貴方みたいな人なのかもしれないわね」

P「どういうことだ?

詩織「気が利いてるって意味よ」クスクス

P「魔法使いかぁ……」

詩織「何か思うことがあるのかしら?」

P「いやな、その話を聞くと俺も魔法が使えたらなぁと」

詩織「使いたい魔法でもあるの?」

P「ほら、なんか便利そうじゃないか」

詩織「時と場合によるわ」

詩織「と言うか、以前も言っていたわね」

P「なにを」

詩織「『シンデレラにすることは出来ないが、そこに行くまでの馬車とガラスの靴は用意してやる』だったかしら?」

P「あー……」

P(今思うと恥ずかしいな…)

詩織「実際事実だったけどもね」

P「そうか?」

詩織「えぇ。まだまだ舞踏会には着きそうにはないけれど」

詩織「Pさんにプロデュースされて、私のことを認めてくれるファンがいて…アイドルにならなきゃきっとこんな気持ちになんてならなかった」

詩織「これからも私を…導いてね」

詩織「優しく柔らかく」

詩織「夜の海もまた風情があるわね」

P「そうだな」

詩織「こうやっている間は声でしかあなたを判断出来ないわね」

P「転ぶなよ?」

詩織「それじゃ…導いて下さいますか?魔法使いさん」クス

P「今度は歌声を貰うぞ」ギュ

詩織「えぇ、貴方の為に歌うわ」

終わりです。

読んで下さった方ありがとうございました。

失礼いたします。

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