穂乃果「変態」【ラブライブ!】 (82)



ーーー放課後の3年教室ーーー


絵里「穂乃果」

穂乃果「はいっ」キリッ

絵里「お手」

穂乃果「はいっ」ポン

絵里「おかわり」

穂乃果「はいっ」ポン

絵里「おすわり」

穂乃果「はいっ」セイザ

絵里「よく出来たわね」ナデナデ

穂乃果「くぅ~ん」ウットリ

絵里「立って」

穂乃果「はいっ」シュタッ

絵里「穂乃果の忠誠心は素晴らしいわ」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1460041573


穂乃果「えへへっ」

絵里「でもね、とてもショッキングなモノを見てしまったのよ」

穂乃果「ん?」

絵里「・・・・・・ことりにも尻尾を振ったわね」

優しい眼差しだった絵里が、急に厳しい目つきになる。

穂乃果「んーんーんーっ!」

ブンブンと首を左右に振って否定する。

絵里「私の見間違いだったのかしら」

穂乃果「うんうんうんっ!」

今度は首を縦に振って肯定する。

絵里「はぁ、穂乃果とはお別れね」

今度は寂しい目になる。

穂乃果「えっ」

絵里「ご主人様に嘘をつくのは、あれほどダメと教えたはずなのに」

絵里は、アイドル活動で使っているビデオカメラを取り出した。


ーーー再生中ーーー

ことり「穂乃果ちゃ~ん、おやつの時間だよぉ」

穂乃果「わぁーいっ!」タッタッタッ

ことり「じゃあ、お手!」

穂乃果「はいっ」ポン

ことり「おかわり!」

穂乃果「はいっ」ポン

ことり「よく出来ましたぁ」ニコニコ
ことり「はい、ことり特製のマカロンだよぉ」

ことり「ゆっくり食べてねぇ」

穂乃果「おいしーっ!」モグモグ

ことり「うふふっ」

ことりは終始、恍惚とした表情をしていた。

ーーー停止中ーーー


絵里「ここに映ってるのは誰かしら?」

穂乃果「・・・・・・こ、ことりちゃん、です」

穂乃果は絵里から視線を外して答える。

絵里「ことり、と?誰かしら?」

穂乃果「穂乃果、です」シュン

絵里「そうよね」
絵里「なぜ嘘をついたの?」

穂乃果「絵里ちゃんからお菓子が貰えなくなると思ったから・・・・・・」

絵里「ご主人様に嘘をつくのは?」

穂乃果「イケない事です」シュン

絵里「イケない事をしてしまったら?」

穂乃果「謝ります。ごめんなさいっ」ペコリ

絵里「謝ってもご主人様の気が収まらない場合は、どうすればいいのかしら?」

穂乃果「ば、罰を受けます」ビクビク

穂乃果の体が僅かに震えだす。

絵里「じゃあ、はい」

絵里は右足の靴と靴下を脱いで、穂乃果の前に突き出す。


穂乃果「・・・・・・」

穂乃果は壊れ物のように両手でそっと絵里の右足を持ち、親指の先端からペロペロと舐め始めた。

絵里「ふふっ」

ビデオカメラに映っていたことりのように、恍惚とした表情を浮かべる絵里。
そんな至福の時を満喫していると、教室の扉が勢いよく開かれた。

ガラッ

希「大事なプリントを忘れるところやったわ」

絵里「あっ」
穂乃果「ペロペロ」

希「・・・・・・えりち、何やってるん?」

絵里と跪く穂乃果を交互に見る。

絵里「こ、これは、その・・・・・・」

穂乃果「絵里ちゃんが無理やり・・・・・・」

絵里「穂乃果っ?!」

希「ちょっと先生呼んでくるね」

絵里「ちょっと待って!待ちなさいっ!待ってくださいっ!」


ーーー

希「えりち、いくら恋人同士やからって、やって良い事と悪い事があると思うんよ」

絵里「はい」セイザ

希「穂乃果ちゃんも、えりちが悦ぶからってなんでもしたらあかんよ?」

穂乃果「はい」シュン

希「お菓子が欲しいなら、ウチに余ってるから取りにおいで」

穂乃果「お、お菓子が余ってるっ?!」

穂乃果の口の端から、少しだけ涎が垂れる。

絵里「コラッ!希にも尻尾を振るつもりっ?!」

穂乃果「だってーっ!」フクフキ



ーーー別の日の放課後、3年教室ーーー


絵里「穂乃果ちゃん、お口あけてね」

穂乃果「あ~んっ」

絵里「どう?美味しい?」

穂乃果「おいしーっ」ニマニマ
穂乃果「あ~んっ」

絵里「あら、まだ欲しいの?」

穂乃果「あ~んっ」

絵里「もう、あと1個だけよ」

穂乃果「おいしーっ」ニマニマ

絵里「うふふっ」

穂乃果「おちゃー」

絵里「はいはい」
絵里「ペットボトルだけど、上手に飲めるかな?」

穂乃果「ゴクゴクゴク」
穂乃果「はーっ」ニコニコ


絵里「上手に飲めたねー」

絵里はあの日と同じ表情をしていた。

穂乃果「うーん、抱っこぉー」

絵里「穂乃果ちゃん、抱っこされたいの?」

穂乃果「抱っこ!抱っこっ!」

絵里「穂乃果ちゃん大きいのに、抱っこなんて恥ずかしいわよ?」

穂乃果「やだーっ!抱っこ~」

絵里「あまりワガママばかり言ってると、明日からお菓子は無しよ?」

穂乃果「うーっ」

穂乃果は俯き、涙目になっていく。

絵里「一緒に歩いて帰りましょ」

穂乃果「お手てー」

絵里「はい、偉いわねー」ナデナデ
絵里「お手て繋いで、車に気を付けて帰りましょうねー」

帰ろうと教室の扉を開けると

にこ「あっ」
にこ「・・・・・・にっこにこにーっ!」

訓練された決めポーズも、笑顔は引きつっていた。



ーーー別の日の夕方、絵里の部屋ーーー


絵里「穂乃果、聞きたい事があるわ」

穂乃果「う、うん」

絵里「ことりに続いて、真姫からもお菓子を貰っているらしいじゃない」

穂乃果「えっ、知らないよー」

絵里「真姫の家はお金持ちだし、高級なお菓子で虜にされたのかしら」ハァ

穂乃果「だから知らないってば!」
穂乃果「それよりも、この目隠し取ってよ!」

絵里「ダメよ」

穂乃果「じゃあこの手錠だけでいいから取ってー」

絵里「外しちゃったら、目隠しが取れるじゃない」
絵里「正直に言えば、コレを食べさせてあげるわ」コトッ

穂乃果の目の前のテーブルに皿を置く。

穂乃果「・・・・・・イチゴの匂いがする」

絵里「ええ、穂乃果が大好きなイチゴがたっぷり乗った、ショートケーキよ」


穂乃果「うーん、でも・・・・・・」

ケーキを目の前に揺れる穂乃果。

穂乃果「真姫ちゃんは毎日美味しいケーキくれるから・・・・・・あっ」

絵里「残念ね」

穂乃果「うそうそっ!今のは嘘ですっ!」ジタバタ

絵里「でも私は優しいわ」
絵里「10秒以内に本当の事を教えてくれれば、穂乃果にあげるわ」

穂乃果「イチゴのショートケーキ・・・・・・」

穂乃果の口内に涎が溜まっていく。

絵里「10」

穂乃果「真姫ちゃんがくれるっていうから、ちょっと!ちょっとだけケーキを貰いました!」

絵里「ちょっと?」

穂乃果「・・・・・・」

絵里「9」

穂乃果「ちょ、ちょっとだけのケーキを毎日貰いました!」

絵里「・・・・・・そう」
絵里「毎日ケーキを食べている穂乃果に、このケーキは要らないわね」

穂乃果「えっ」

アイマスクをしていても、絶望の表情がはっきりと見てとれる。


穂乃果「ほ、穂乃果は正直に答えたよ?」

絵里「そうね」モグモグ

穂乃果「あれ、もしかして食べてるっ?!」

絵里「ええ、とっても美味しいわ」

穂乃果「うぅー」ウルウル

絵里「でも可哀想だから、1口だけ食べさせてあげるわ」

穂乃果「ほ、本当っ?!」パアァ

絵里「でも、今度からは真姫のケーキを食べてはダメよ?」

穂乃果「うんうんっ!食べないっ!」

穂乃果は大口を開けて、お菓子を待つ。

絵里「ふふっ、そんなに焦らないの」
絵里「ゆっくりと味わって食べるのよ」

穂乃果「わぁ~いっ!」モグ

穂乃果の咀嚼が1回目で止まる。

穂乃果「絵里ちゃん、これ」

絵里「どうしたの?」


穂乃果「もしかしてだけど、大福だよね」

絵里「ええ、あんこたっぷりのね」

穂乃果「・・・・・・絵里ちゃんが食べてるのは?」

絵里「ショートケーキよ」

穂乃果「・・・・・・うわああああっ!!」

絵里「ほっ、穂乃果っ?!」

大声で叫びながら、泣き喚き始めてしまった。

穂乃果「絵里ちゃんのばかあああっ!」

絵里「穂乃果!落ち着きなさいっ!」
絵里「今、手錠を外してあげるから」

穂乃果が暴れるので、鍵穴になかなか鍵が入らない。

ガチャ

亜里沙「お姉ちゃん、うるさいよー」

絵里「あっ」

穂乃果「絵里ちゃんの変態っ!もういやだよおおおっ!」

亜里沙「・・・・・・」



ーーーしばらくしてーーー


穂乃果「ひっぐ、えっぐ」

希「えりち、これは警察沙汰やで?」

絵里「はい」セイザ

亜里沙「お騒がせして、すみませんでした」

希「亜里沙ちゃんは悪くないやん」

にこ「もう少しで110番するところだったわよ」

絵里「はい、すみませんでした」ドゲザ

希「穂乃果ちゃんも、前になんでもしたらあかんよって言ったやん?」

穂乃果「ほ、穂乃果は、絵里ちゃんに呼ばれてお家に来たら、ぐすっ」
穂乃果「急に目隠しされて・・・・・・ひっぐ」

亜里沙「うわぁ・・・・・・」

にこ「やっぱり警察に・・・・・・」

希「えりち、付き添うから自首しよ?」

絵里「もうしない!もうしないからっ!」ドゲザ

にこ「穂乃果はそれでいいの?」

穂乃果「お菓子くれる?」

まだ僅かに鼻声の穂乃果が絵里に聞く。

絵里「たくさん買ってあげるわ!」

穂乃果「ことりちゃんと真姫ちゃんからお菓子貰っても怒らない?」

絵里「そ、それは・・・・・・」

穂乃果の視線が絵里に突き刺さる。

にこ「最近のこういう事件は婦警さんが対応してくれるらしいし、女性も相談しやすいみたいね」

穂乃果「そうなんだ・・・・・・」

絵里「怒らないっ!怒りませんっ!」ドゲザ

穂乃果「じゃあ、次からは絶対にやめてね?」

絵里「はい」グスン



ーーー別の日の夕方、穂乃果の部屋ーーー


穂乃果「あの・・・・・・絵里ちゃん?」

絵里「どうしたの?」

穂乃果「なに、これ?」

絵里「・・・・・・首輪よ」

穂乃果「そういう意味じゃなくて・・・・・・」
穂乃果「なんで穂乃果が首輪を付けられてるの?」

穂乃果「この前に、こういう事はやめてって約束したよね?」

絵里「でも、付けられてるのに気付かない穂乃果も悪いと思うわ」

穂乃果「今はそんな事はどうでも良いんだよっ!」
穂乃果「なんで穂乃果が首輪を付けられているかって事だよっ!」

絵里「そうね、ちゃんと説明しないといけないわね」
絵里「穂乃果、最近お菓子を食べ過ぎじゃないかしら?」

穂乃果「そ、そうかな?」アセアセ

絵里「私はプニプニしていて好きだけれど」
絵里「アイドルとしてはダイエットが必要だと思うのよ」

穂乃果「で、でも!それとこの首輪と何が関係あるのっ!」

絵里「散歩よ」ボソッ

穂乃果「えっ」


絵里「私が穂乃果を散歩してあげるわっ!」

穂乃果「絵里ちゃん、頭おかしくなっちゃった?」ナデナデ

穂乃果は可哀想なモノを見る目をしながら、絵里の頭を撫でる。

穂乃果「絵里ちゃん?本気でこの格好で外に出るつもり?」

絵里「散歩ですもの、当たり前でしょ」

穂乃果「誰もいない場所とかお家なら、穂乃果も頑張るけど」
穂乃果「外だと本当に逮捕されちゃうよ?」

絵里「よ、夜に行けば大丈夫よ」

穂乃果「私、絵里ちゃんが逮捕されて離れ離れになるなんて嫌っ!」

絵里「でも、穂乃果が1人でランニングしてもサボるでしょ?」

穂乃果「そ、そんなことは・・・・・・」

絵里「ね?だから・・・・・・」

穂乃果「でも逮捕されちゃう・・・・・・」ガクガク

絵里「夜遅くなら大丈夫よ」
絵里「ご飯を食べた後に、ちょっと夜風に当たるぐらいだから問題ないわ」

穂乃果「そうかなー」

絵里「そうよ」

穂乃果「じゃあ、今日はお泊まりしていく?」

絵里「急だけど、いいのかしら?」

穂乃果「大歓迎だよ!」
穂乃果「でも、夜まで首輪は外してね」ジャラ

絵里「分かったわ」



ーーー夜の穂乃果の部屋ーーー


穂乃果「ふぁーあ、お腹いっぱい」ウットリ

絵里「ほら、眠くならないうちに散歩に行くわよ」

絵里は大型犬用の首輪を持ち、穂乃果を呼ぶ。

穂乃果「う、うん」ドキドキ


ーーー散歩中ーーー


穂乃果「い、家の周りをちょっと歩くだけだよっ!絶対だからねっ!」

絵里「ええ、分かってるわよ」

絵里はウキウキしながら、リードを持った。

穂乃果「ところで、そのスコップとビニール袋ってまさか・・・・・・」

絵里「マナーはしっかりと守らないといけないわ」

穂乃果「なに考えてるのっ?!」

絵里「さっ、軽くジョギングしましょう」

穂乃果「えっ、家の周りを歩くだけじゃ・・・・・・」

絵里「本来の目的は穂乃果のダイエットでしょう?」
絵里「歩くだけじゃ痩せられないわ」

穂乃果「話が違うよっ!」

絵里「いくわよー!」

穂乃果「いやだー!放してー!」


ーーー

絵里「ホッホッホッ」

穂乃果「ハァハァハァ」

絵里「抵抗しなくなったのね」

穂乃果「よく見たら首輪に鍵が付いてるし、もう諦めたよ・・・・・・」

絵里「ふぅ、そこ公園で少し休憩しましょう」

穂乃果「えー、まだやるのー?」

絵里「ここで折り返しだから、あと半分よ」
絵里「頑張りましょう」

穂乃果「もう・・・・・・」
穂乃果「あっ、絵里ちゃんちょっと・・・・・・」

絵里「どうしたの?」

穂乃果「トイレに行きたいから、ちょっとだけ首輪を外して?」

絵里「えっ、ダメよ」

穂乃果「・・・・・・えっ」
穂乃果「絵里ちゃんも一緒に来るの?」

絵里「・・・・・・穂乃果、ワンちゃんは便器で用を足さないのよ」

穂乃果「なに言ってるの、絵里ちゃん」ジー

穂乃果は絵里を蔑視する。

絵里「ここは公園よ」

穂乃果「だからそこの公衆トイレに・・・・・・」

絵里「緑が多くて綺麗ね」

穂乃果「穂乃果に草むらでしろって言ってるのっ?!」
穂乃果「もういいよ!家まで我慢するよっ!」


ーーー

ことり「付き合ってもらってごめんねぇ」

海未「私もちょうど夜風に当たりたかったものですから」
海未「でも、明日でも良かったのではないですか?」

ことり「そうなんだけど、気になっちゃったら眠れなくなっちゃってぇ」

海未「ことりの衣装に対する熱意は凄まじいですね」

ことり「そんなことないよぉ」

海未「謙遜しないでください」
海未「それにしても、街灯があってもこの時間はちょっと怖いですね」

ことり「そうだねぇ」

>コラコラッ

闇の中から、怒っている女性の声が聞こえてくる。

「っ?!」

海未「ことりっ!私の後ろに隠れてください!」

ことり「う、うんっ!」


「コラッ!首輪を外そうとしないっ!」
「逃げちゃダメよっ!」

ことり「あっ、犬の散歩みたいだね」ホッ

海未「そうですね」ホッ
海未「最近は物騒ですからね。ことりは特に注意してくださいね」

ことり「海未ちゃんもだよぉ」

「コラッ!引っ張っちゃダメでしょ!」
「もう帰ろうよ!限界だよー」

海未「なにかあったのでしょうか、行ってみましょう」

ことり「この声って・・・・・・」

海未「大丈夫ですか?」

2人が声の方に近づくと、そこにはリードを持つ絵里と、首輪をしている涙目の穂乃果が居た。

絵里「あっ」
穂乃果「漏れちゃうよーっ!」

ことり「お、おまわりさ~んっ!」

海未「え、絵里・・・・・・あなたって人は・・・・・・」ワナワナ

ことりは叫びながらどこかへ走り去り、海未は怒りに震えていた。

絵里「う、海未!これは違うのよ!」
絵里「スキンシップなのっ!愛情を深める儀式なの!」

穂乃果「うぅ~、もうやだーっ!」

ファンファンファン


ーーー穂乃果の部屋ーーー

穂乃果「だから穂乃果は嫌だって言ったんだよ!」

海未「よく口頭注意だけで済みましたね」

ことり「穂乃果ちゃん、被害届けって知ってる?」

絵里「申し訳ありません」ドゲザ

海未「とにかく、今日はもう遅いですから帰りましょう」

ことり「そうだね」

絵里「また明日ね」

海未「絵里も帰るんですよ?」

絵里「えっ?でも今日は・・・・・・」

絵里は穂乃果を一瞥する。

穂乃果「・・・・・・帰って」

絵里「で、でも!もう真っ暗よ?女性の1人歩きは危ないわ」ガクガク
絵里「それに穂乃果の家に泊まるって言っちゃったから、家の鍵も開いてないかもしれないわ」ガクガク

海未「私が持ってきた懐中電灯を貸してあげます」
海未「あと亜里沙に連絡しておきましたので、家には入れるはずです」

絵里「亜里沙に?」

絵里の血の気が引いていく。

海未「ええ」
海未「事情を話したら、待ってると言ってましたよ」

絵里「」



ーーー昼休みの穂乃果ーーー


ことり「穂乃果ちゃん、本当に大丈夫?」

穂乃果「ふぇっ、なにがー?」モグモグ

ことり「絵里ちゃんの事だよぉ」

穂乃果「あー・・・・・・うん」
穂乃果「あれからは普通だし、何もしてこないから大丈夫だよ!」

ことり「そ、それならいいんだけどぉ」
ことり「絵里ちゃんの事を嫌いになったりは・・・・・・」

穂乃果「散歩の時は、ちょっとだけ嫌いになっちゃったけど」
穂乃果「今はいつも通りの絵里ちゃんだし、大好きだよっ!」ニコニコ

ことり「・・・・・・そっかぁ」

海未「でも、また何かあったらすぐに言ってくださいね?」

穂乃果「分かってるよー」モグモグ

ことり「絵里ちゃんに失礼だから、渡そうか迷ったんだけど」

穂乃果「ん?」

ことり「防犯ブザー買ってきたの」
ことり「首から下げれるからお守り代わりに・・・・・・」

穂乃果「あ、ありがとう」

穂乃果は苦笑いを浮かべながらも、受け取った。

海未「恋は盲目って言いますが、本当のようですね」モグモグ



ーーー昼休みの絵里ーーー


絵里「海未のせいで、あの日は帰っても正座させられたわ」

希「自業自得やん」

にこ「本当に警察沙汰とかやめてよねっ!」
にこ「スキャンダルで引退に追い込まれたアイドルなんて、いっぱい居るんだから」

絵里「昔は、お姉ちゃんお姉ちゃんって呼んでくれたのに」
絵里「今は名前さえ碌に呼んでもらえなくなってしまったわ」

絵里「これが反抗期ってやつかしら」

希「亜里沙ちゃんも大変やね」

にこ「私だったらとっくにグレてるわ」

希「なんで穂乃果ちゃんは、変態的な要求を断らないんやろ」

にこ「弱みを握られてるとか?」

絵里「愛し合ってるからよ」ウットリ

希「えりちのは歪んでるけどね」



ーーー下校中ーーー


穂乃果「絵里ちゃん」

絵里「どうしたの?」

穂乃果「とっても言いにくいんだけど、穂乃果の事を犬だと思ってるよね?」

絵里「えっ」

穂乃果「みんなは犬っぽいって言うけど、穂乃果は人間だからね?」

絵里「分かってるわよ」

穂乃果「そ、そうだよね」アセアセ

絵里「急にどうしたの?」

穂乃果「散歩の時もそうだったけど、絵里ちゃんは穂乃果を恋人として見てくれてるのかなって」

絵里「当然じゃない」
絵里「穂乃果は私の大事な恋人よ!」

穂乃果の手を握る力が少しだけ強くなる。

穂乃果「じゃあ今度は、穂乃果の言う事を聞いてくれる?」

絵里「もちろんよ」



ーーー休日の穂乃果の部屋ーーー


絵里「言われた物は全部持ってきたけれど」

穂乃果「ありがとう!重かったでしょ?」

絵里「これぐらいなんともないわ」
絵里「それで、今日は何をするのかしら」

穂乃果「全部だよ!」

絵里「えっ」

鞄の中には、今まで絵里が穂乃果に使用した道具が入っていた。

ーーー

絵里「あ、あの、穂乃果、これはさすがにやりすぎなんじゃ」

穂乃果「・・・・・・穂乃果に同じ事をしてたんだよ?」

絵里「それは、そうだけど一度にやるのは・・・・・・」

穂乃果「一気にやっちゃうよ!」

ガチャン

穂乃果「これで完成だね」

顔にはアイマスク、手には手錠がかかり、首輪のリードの先はベッドの足に括りつけられている。
リードの長さから、絵里は座っているのが限界で立つ事は出来ない。

穂乃果「気分はどう?」

絵里「なぜかしら、涙が出そうだわ」

穂乃果「さて、そろそろお昼だね」

絵里「そうね、良い感じにお腹が空いてきたわ」

穂乃果「解くのは面倒だから、今日は穂乃果が食べさせてあげるね」

絵里「初めてかしら?こんな状態じゃなければ楽しそうね」

穂乃果「初めてのあ~んだね」
穂乃果「じゃあ、準備してくるから大人しく待っててね!」

絵里「・・・・・・ええ」



ーーー


穂乃果「ふぅ、やっと捕まえられたよ」

絵里「あれ?お昼ご飯を作ってたんじゃないの?」

穂乃果「そうだよ!」

絵里「・・・・・・えっ」

穂乃果「絵里ちゃんの好きそうな、活きの良いのがなかなか居なくて探し回っちゃったよー」

絵里「あ、あの、穂乃果?」

穂乃果「どうしたの?」

絵里「お、お昼の献立はなにかしら?」

穂乃果「絵里ちゃんは食べた事ないかもしれないけど、とっても美味しいんだよ!」

絵里「い、いいからっ!そういうのはいいから!材料を教えなさいっ!」

絵里の声がだんだんと大きくなる。

穂乃果「どうしたの、すごい汗だよ?」フキフキ

絵里「そんなのいいから!私に何を食べさせるつもりなのっ!」


穂乃果「そんなに大声出さなくても、ちゃんと食べさせてあげるよ」

絵里「教えなさいっ!」

穂乃果「もう、うるさいなー」
穂乃果「それに誰に口を利いてるの?」

話すトーンが急に低くなる。

絵里「えっ」

穂乃果「今の状態だと、絵里ちゃんは何も出来ないんだよ?」
穂乃果「命令されると意地悪したくなっちゃうなー」ニヤニヤ

絵里「ご、ごめんなさい」
絵里「私に何を食べさせてくれるのか、教えてください」ペコリ

穂乃果「うんっ!ナイショッ!」

絵里「えっ」

穂乃果「食べてからのお楽しみだね!」
穂乃果「あっ、逃げちゃう・・・・・・」ボソッ

絵里「いやあああああっ!なんで食べ物が逃げるのよおおおっ!」

>穂乃果っ!近所迷惑よ!

穂乃果「やばっ、ちょっとお母さんに言い訳してくるね」

穂乃果は小走りで部屋を出て、階段を降りて行った。


絵里「はぁはぁ」

絵里の息は荒く、体中は冷や汗でベッタリとしていた。

絵里「い、今のうちに逃げないと・・・・・・」

リードの存在を忘れるほど焦り、立とうとして転んでしまう。

穂乃果「いやー、お母さんの事なんてすっかり忘れてたよー」アハハ
穂乃果「あれ、どうして転んでるの?」

絵里「ひっ?!そ、それは・・・・・・」

穂乃果「まさか、逃げようとしたの?」

絵里「そ、そんな事はないわ!」

穂乃果「そうだよねっ!」
穂乃果「さっ、起こしてあげるね」

絵里「あ、ありがとう」
絵里「穂乃果?せっかく作ってもらったのに悪いのだけれど、お昼は遠慮させていただくわ」

穂乃果「え、どうして?」


絵里「その、食欲があまりなくて・・・・・・」

穂乃果「えー」
穂乃果「あっ!嫌いな物が入ってるとか思ってるんでしょ!」

穂乃果「絵里ちゃんの嫌いな物は入ってないから安心してね!」

絵里「そ、そういうわけじゃなくて・・・・・・」

穂乃果「はい、あ~んして」

絵里は歯を食いしばり、首を左右に振って拒否する。

穂乃果「好き嫌いしちゃダメだよ!」
穂乃果「はい、開けて」

動かせないように絵里の顎を掴む。

絵里「んーんー」

穂乃果「足を舐めさせられた事とか、亜里沙ちゃんに言っちゃおうかなー」ニコニコ
穂乃果「なんてね」チラッ

絵里「・・・・・・」ガクガク

絵里の口が震えながらも開かれる。

穂乃果「えらいえらい」ニコニコ
穂乃果「飲んじゃダメだよ?よく噛んでね!」

汗なのか涙なのか、はたまた鼻水なのか分からないが、顔中の穴から体液が滲み出ていた。
絵里は天を仰ぎ、これは自分への罰なのだと、今まで穂乃果にしてきた事を後悔しながら1度だけ噛んだあと

吐いてしまい、気を失ってしまった。



ーーー


穂乃果「おーい、絵里ちゃん?大丈夫?」ナデナデ

絵里「・・・・・・こ、ここは?」

穂乃果「穂乃果のベッドだよ」

絵里は全ての道具を外されて、ベッドの上で膝枕をされていた。

絵里「私どうして・・・・・・」

さっきの穂乃果のイタズラを思い出し、また気分が悪くなった。

絵里「うっ!?」

穂乃果「まだ出そう?」ナデナデ

絵里の前にビニール袋を開け、背中をさする。

絵里「い、いえ、もう大丈夫よ・・・・・・」
絵里「ありがとう・・・・・・」

穂乃果「どういたしまして」ニコニコ

絵里「って違うわよっ!」

穂乃果「うわっ?!どうしたの急に大声出して」


絵里「私がこうなってるのは、あなたのせいでしょっ!!」

穂乃果「う、うん」

絵里「どうしてくれるのよっ!?」

激昂している絵里に、穂乃果が冷静に答える。

穂乃果「・・・・・・今まで私がされた事を、絵里ちゃんにしただけだよ?」

絵里「そ、それは・・・・・・」
絵里「それにしても虫は酷いわよっ!」

穂乃果「虫?」キョトン

絵里「そうよっ!虫を食べさせようとするなんて、悪魔の所業だわっ!」

穂乃果「穂乃果は、ジャムパンを持ってきただけだよ」ニヤニヤ

絵里「・・・・・・えっ」

穂乃果「穂乃果は虫なんて持ってきてないよ!」ニヤニヤ

絵里「でも口の中でブニュってしたわよっ!あれは幼虫の類だったわ!」

穂乃果「ちぎった食パンにジャムを塗っただけだよ?」ニヤニヤ
穂乃果「食べやすいように、丸めたりはしたけど」

いくつか丸められた食パンを絵里に見える。

絵里「そっ、それが芋虫っぽいのよっ!」
絵里「それにっ!食パンは逃げ出さないでしょっ?!」

穂乃果「お皿から転がっちゃったんだよ」
穂乃果「絵里ちゃんの勝手な妄想を穂乃果にせいにされても困るよー」ニヤニヤ

絵里「いいからそのニヤケ顔をやめなさいっ!エリチカお家に帰るっ!」

穂乃果「えー、帰っちゃうのー」シュン

絵里「そ、そんな顔をしたってダメよっ!」プイッ

絵里は勢いよく扉を開けると、帰ってしまった。

穂乃果「ちょっとやりすぎちゃったかな・・・・・・」



ーーー後日のバーガー屋ーーー


にこ「今日も忙しいから帰っていいわよね」

希「ウチも買い物いきたいんやけど」

絵里「今日きてもらったのは、他でもないわ」

にこ「それじゃ、また学校で」

希「えりち、また今度聞くから」

にこと希は、席を立とうとする。

絵里「まあまあ、座って」
絵里「好きな物を頼みなさい」

絵里「ここは私の奢りだから」キリッ

にこ「・・・・・・ハンバーガーしかないんだけど」

絵里「それは仕方ないわ」

希「どうせなら、ドトールとかスタバとかが良かったんやけど」

にこ「にこは要らないから、帰りのスーパーで奢ってくれる?」

絵里「・・・・・・」
絵里「それで相談なのだけれど」

希「聞かんと帰らせん気やで」

にこ「はあー」

2人は渋々と席に座る。


希「それで?とうとう穂乃果ちゃんに振られたん?」

にこ「前科持ちって進学できるの?」

絵里「ちょっと喧嘩しただけよ!」

希「そんなん、えりちが土下座したらええだけやない?」

にこ「じゃあにこは帰るわね」ガタッ

絵里「こ、今回の私は悪くないのよ!」

希「そんなこと言うてるから、喧嘩になるんやろ?」

にこ「そうね」

希「じゃあ、えりちが土下座して謝る。ってことで」ガタッ

にこ「解散ね」ガタッ

2人は再び席を立とうとする。

絵里「私の話を聞きなさいよっ!」

絵里は強引に、先日の穂乃果のイタズラを話し始めた。


ーーー

希「うーん」

にこ「・・・・・・」

絵里「ねっ?酷いでしょ?私は悪くないでしょ!?」

希「すごい言いにくいんやけど」

絵里「遠慮せずに言って」

希「じゃあ言うけど、今まで穂乃果ちゃんに強要してきたことに対する仕返しやと思うんよ」

にこ「にこも同感ね」

希「仕返しの時にえりちが嫌やと思った気持ちって、穂乃果ちゃんが目隠し拘束とか散歩事件で感じてた気持ちと一緒やない?」

にこ「そうね」
にこ「結局は虫ではなかったんだし、仕返しの中でも穂乃果なりの愛情が垣間みえるわね」

希「土下座はせんでもええけど、えりちから謝ってあげるのがええんちゃうかな」
希「穂乃果ちゃんも悪いと思ってるはずやし」

絵里「なんで私から謝らないといけないのよっ!」

にこ「発端は絵里なわけだし、大事な後輩に謝るきっかけを作ってあげるのも先輩の役目よ」

絵里「・・・・・・」

にこ「私たちに奢らなくていいから、そのお金でケーキでも買ってあげなさい」

絵里「・・・・・・はい」グスン



ーーー同日のスタバーーー


穂乃果「って事があって・・・・・・」

海未「そんなことがあったのですね」

ことり「だから練習中も、お話してなかったんだねぇ」

穂乃果「うん・・・・・・やっぱりやり過ぎだよね」シュン

穂乃果は当時の絵里の顔を思い出して、気分が落ち込む。

ことり「げ、元気だして!」

海未「大丈夫ですよ」
海未「そのうち、絵里が根負けして謝ってきますから」

穂乃果「うーん」

ことり「他にも何か困ってる?」

俯く穂乃果の顔を、ことりが覗き込む。

穂乃果「ううん」
穂乃果「やっぱり穂乃果から謝った方が・・・・・・」

海未「穂乃果がそうしたいなら、そうするのがいいんじゃないでしょうか」」
海未「あなたはいつでも、そうやって進んできたんですから」

ことり「そうだよぉ、穂乃果ちゃんらしくないよ!」

穂乃果「・・・・・・そうだよねっ!」
穂乃果「さっそく謝ってくる!」

穂乃果は急ぎ足でお店を出て行った。

海未「絵里がどこに居るか知っているのでしょうか?」

ことり「穂乃果ちゃんになら、きっと見つけられるよ」ニコニコ

海未「そうですね」



ーーーケーキ屋ーーー


穂乃果は、絵里が美味しいと言っていたケーキ屋に来ていた。
絵里の好きなチョコレートケーキで機嫌を良くする作戦だ。

あえて、簡単に手に入る和菓子にはしなかった。

穂乃果「絵里ちゃん、喜んでくれるかな」ボソッ

お店のショーケースをボーっと眺めながら呟く。

「すみません、このショートケーキを2つください」

穂乃果「ん?」

聞き覚えがある声が、隣から聞こえた。

穂乃果「絵里ちゃんっ?!」

絵里「穂乃果っ?!」



ーーー道中ーーー


絵里「ぐ、偶然ね」

穂乃果「・・・・・・うん」

お互いにぎこちなく、微妙な距離での会話が続く。

穂乃果「絵里ちゃん、実はこのケーキ・・・・・・」

絵里「ちょっと待ったっ!」

穂乃果「えっ」

絵里「私から言わせてちょうだい」

絵里は足を止め、穂乃果の前に立つ。

絵里「この前に穂乃果の部屋で意地悪をされた事」
絵里「思い出すだけで悲しい気持ちになるわ」

穂乃果「そ、それは穂乃果もやり過ぎちゃったから・・・・・・」シュン

絵里「もういいのよ」
絵里「穂乃果も、目隠しされたり首輪を付けられた時は、こんな気持ちだったのね」

絵里「穂乃果は悪くないわ」

穂乃果「ううん、穂乃果も悪いって気付いたから・・・・・・」
穂乃果「前に絵里ちゃんが美味しいって言ってたから、その・・・・・・」

絵里「覚えててくれたのね、嬉しいわ」ニコニコ
絵里「私たち、似た者同士なのね」

絵里は、袋の中身を見せながら笑顔を向けた。

絵里「ここからなら、私の家の方が近いわね」
絵里「・・・・・・一緒に食べましょう?」

穂乃果「うんっ!」



ーーー絵里の部屋ーーー


絵里「お待たせ、紅茶を淹れたわ」

穂乃果「あ、ありがとう」

絵里「穂乃果がくれたのは、チョコレートケーキね」
絵里「このケーキ大好きなのよ、ありがとう」ニコニコ

穂乃果「あっ、このショートケーキって・・・・・・」

絵里「そうよ」
絵里「前に穂乃果の目の前で食べてしまった、ショートケーキよ」

絵里「あの時も、本当にごめんなさい」ペコリ

穂乃果「ううん、もう気にしないで!

絵里「それじゃあ、せっかくだから食べさせ合いっこをしましょうか」

穂乃果「・・・・・・そうだね!」

絵里「じゃあ私からいくわね」
絵里「あーん」

穂乃果「あーん」モグモグ

絵里「美味しい?」

穂乃果「うんっ!」

満面の笑顔で答える。

穂乃果「じゃあ、次は絵里ちゃんだねっ!」
穂乃果「あーん」

絵里「あーん」モグモグ

穂乃果「どう?」

絵里「・・・・・・いつもの100倍おいしいわ」ニコニコ
絵里「いいわね」ボソッ

穂乃果「ん?」

絵里「もう一口、いただけるかしら?」

穂乃果「うんっ!」



ーーーある日の絵里の部屋ーーー


絵里ちゃんの家族が出かけている、お昼すぎ。
おウチに2人っきりって、そういう事だよね。

穂乃果「そ、そうなんだ」ドキドキ

絵里「そんなに緊張しないで」アセアセ
絵里「もう穂乃果には酷い事なんてしないから」

穂乃果「う、うん」ドキドキ
穂乃果「約束してくれたもんねっ!」

絵里「じゃあ、さっそく準備するわね」

穂乃果「じゅ、準備?!」ドキドキ

こういうのって雰囲気が大切らしいけど、どんな準備があるんだろ。

絵里「さっ、準備できたわよ」

こっちに振り向いた絵里ちゃんは、ピンクの可愛らしい涎掛けをしていた。

穂乃果「・・・・・・えっ?」

絵里「もう穂乃果に変な事をさせたり、恥ずかしい事はさせないわっ!」

また新しい扉を開けちゃったみたい。


ーーー

絵里「ねえねえ、穂乃果お姉ちゃん」

穂乃果「ど、どうしたの?え、絵里」

絵里「一緒にあそぼ?」ニコニコ

なんで絵里ちゃんと積み木で遊んでるんだろう。

穂乃果「う、うん」
穂乃果「それもいいけど、絵里の好きなチョコレート持ってきたんだー」

バッグから小さな包みを取り出す。

絵里「チョコッ!」

絵里ちゃんの目がキラキラと、純粋みたいに光る。

絵里「食べさせてっ!早く食べたいチカッ!」

穂乃果「絵里は1人で食べられるでしょ?」

絵里は何歳の設定なのかな。

絵里「食べられるけど・・・・・・」
絵里「穂乃果お姉ちゃんに食べさせてほしいチカ・・・・・・ダメー?」ウルウル

絵里ちゃんの上目遣いって、涎掛けしてるけどすごく可愛い!
ちょっと楽しくなってきちゃった。


穂乃果「しょ、しょうがないなー」
穂乃果「はい、あーん」

絵里「あーん」

穂乃果「おいしい?」

絵里「うんっ!」

穂乃果「絵里は甘えん坊だねー」ニヤニヤ

絵里「穂乃果お姉ちゃんにだけ甘えたくなるチカ、えへへ」ギュッ

絵里ちゃんは赤くなった顔を隠すように、座っている穂乃果の腰に抱きついてくる。

穂乃果「どうしたの?恥ずかしいの?」ニヤニヤ

少しだけ頭を縦に動かして意思表示をする。
お腹のあたりが少しだけくすぐったい。

穂乃果「よしよし」ナデナデ
穂乃果「チョコもう1個食べる?」

撫でている頭が縦に少しだけ動いた。

穂乃果「じゃあ、お口だして?」

今度は横に動く。


穂乃果「ん?そのままじゃ食べられないよ?」
穂乃果「お腹痛くなっちゃった?」

フルフルと、また横に動く。

穂乃果「どうしちゃったの?」

だんだん心配になってきちゃった。

絵里「・・・・・・飲みたい」

穂乃果「ん?ジュースが飲みたいの?」

喉が渇いていただけみたい。

穂乃果「えーっと、ジュースは持ってきてたっけ」

バッグの中を探していると、絵里ちゃんの大きな声が聞こえた。

絵里「穂乃果お姉ちゃんのおっぱいが飲みたいっ!」

穂乃果「・・・・・・ん?」

穂乃果の耳がおかしくなったんだよね、うん。

穂乃果「ジュースは持ってきてないみたい、ごめんね」

絵里「おっぱい!おっぱいが飲みたいチカッ!」


穂乃果「ぎゅ、牛乳なら冷蔵庫に入ってるよね!」
穂乃果「取ってくるから、ちょっと離れてね」

穂乃果「んーっ!」

絵里ちゃんを無理やり離れさせようとするけど、力が強くて無理だった。
設定では子どもでも、穂乃果のおっぱいを飲みたいっていうのは演技じゃないって事かな?

穂乃果「絵里ちゃん、本気?」

絵里「ダメー?」ウルウル

穂乃果「うっ・・・・・・」

上目遣いは反則だよー。

穂乃果「でも、穂乃果はその、母乳なんて出ないよっ!」///

絵里「うーっ」ウルウル

唸りながら涙目になっていた。

穂乃果「・・・・・・そんなに飲みたいの?」

絵里「うん・・・・・・」グスン

穂乃果「しょうがないなー」
穂乃果「服の上からならいいよ」

絵里「えっ」
絵里「ちょ、直接の方が・・・・・・」アセアセ

穂乃果「絵里っ!」

絵里ちゃんは大声にビックリして、涙も引っ込んだみたい。


穂乃果「ワガママばかり言ってちゃダメッ!」

絵里「チカァ」ショボン

ションボリしてる絵里ちゃんも可愛いけど!
ここで心を鬼にしないと、絵里ちゃんの為にならないよねっ!

穂乃果「はい、お尻出してねー」

絵里「えっ」

穂乃果「ほらっ!早くっ!」

絵里「ほ、穂乃果?もうそろそろ、帰る時間じゃないかしら?」アセアセ

穂乃果「逃げちゃダメだよっ!」

絵里ちゃんの手首を掴んで、机の前に立たせる。

穂乃果「はい、ちょっとだけ足を開いてね」

絵里「ほ、穂乃果、本気っ?!」

穂乃果「はい、危ないからちゃんとお尻を突き出してね」

机に手をつかせて、お尻を穂乃果の方に向けさせる。
絵里ちゃんはビクビクして、目をギュッと閉じていた。

振りかぶって、お尻をめがけて思いっきり振り下ろす。

パーン

絵里「っ!!」

穂乃果「10回だけだから我慢してね」

パーンパーン

絵里「・・・・・・」

穂乃果「・・・・・・」

最初は怖がってたけど、全然痛そうじゃない・・・・・・。
服の上からじゃあまり効果ない気がするし、穂乃果の手の方も痛い。

・・・・・・ちょっとだけなら、大丈夫だよね。

穂乃果「絵里!ごめんっ!」

絵里「えっ」

チェック柄のミニスカートを捲ると、大人っぽいヒラヒラの付いた黒い下着が見えた。

穂乃果「どんどんいくよー!」

パーン!

絵里「ひぃっ?!」

良い感じに絵里ちゃんのお尻は赤くなっていった。


ーーー

穂乃果「ごめんなさいっ!」ドゲザ

絵里「ひどい・・・・・・」グスン

穂乃果「でも絵里ちゃん、抵抗しなかったよね?」

絵里「そ、それは・・・・・・」

穂乃果「絵里ちゃんも本当は・・・・・・」ジー

絵里「穂乃果の気迫に押されたのよっ!」アセアセ
絵里「それにスカートを捲られるなんて、思ってもみなかったわっ!」フンッ

穂乃果「それなら穂乃果だって、おっぱい飲みたいなんて言われると思わなかったよ!」

絵里「・・・・・・あの時は子どもだったから、仕方ないのよ」

穂乃果「あんなにハキハキ喋れる子どもは、母乳なんて飲まないと思うけど」ジー

絵里「そんなの知らないわよっ!」

穂乃果「・・・・・・お互いさまだね」

絵里「・・・・・・そうね」
絵里「そろそろ亜里沙が帰ってくるわ」

穂乃果「こんな会話聞かれたら大変だもんね」

絵里「ええ」
絵里「そろそろ、姉としての立場が危ういわ」

穂乃果「・・・・・・」



ーーー昼休みの部室ーーーここまで推敲済み


海未「絵里から昼食のお誘いとは、珍しいですね」

ことり「そうだねぇ」

絵里「・・・・・・」

海未「・・・・・・穂乃果の事ですか?」

絵里「・・・・・・ええ」

ことり「でもぉ、相談なら希ちゃんとか、にこちゃんの方が・・・・・・」

絵里「忙しいみたいで、ちゃんと話を聞いてくれないのよ」グスン

海未「・・・・・・」
ことり「・・・・・・」

海未「ま、まあ、3年生は何かと忙しいですからね」アセアセ

ことり「そ、そうだよぉ。気にしない方がいいよ」アセアセ

絵里「ありがとう」グスン

ことり「それで、相談って?」


絵里「・・・・・・穂乃果って、どんなパンツを穿いてるのかしら」

海未「」

ことり「・・・・・・へっ?」

海未「ことり、教室に戻りましょうか」ガタッ

ことり「そ、そうだねぇ」ガタッ

絵里「まっ、待って!」

海未「絵里の悩みは、残念ながら私たちには解決できません」

ことり「ごめんねぇ」

海未「純粋なことりに、絵里の話は毒です」

絵里「失礼ね!私は真面目に相談してるのよ!」

海未「破廉恥ですっ!」

ことり「でもぉ、恋人同士なら下着を見る機会もあるよね?」

海未「ことりっ?!」///

絵里「それがまだないのよ」ハァ

海未「破廉恥ですっ!」///


ことり「直接聞いたら、穂乃果ちゃんなら教えてくれると思うけどぉ」

絵里「ええ、私もそう思っていたんだけど」
絵里「つい間が差してしまって、聞く前にタンスを漁ってる所を見られてしまったのよ」

海未「」

絵里「穂乃果のパンツは見つからず、それから色々と警戒されてしまったわ」

ことり「部室で着替える時に見えると思うけど」

絵里「もっとじっくり見たいのっ!」
絵里「そう思って凝視していたら、穂乃果は私に背を向けて着替えるようになってしまったわ」

ことり「・・・・・・それじゃあスカート捲り、とか?」

絵里「何度か試みたけれど、捲るまでには至らなかったわ」

ことり「それじゃあ、ことりが穂乃果ちゃんとお話してるから、その隙に・・・・・・」

海未「駄目ですっ!私はそんな破廉恥な事には、絶対に加担しませんからねっ!」

ことり「海未ちゃんは顔に出ちゃうからね」

絵里「とても魅力的な提案だけれど、本当にいいのかしら?」

ことり「実はことりもぉ、穂乃果ちゃんの下着って見たことなくて」

絵里「それなら、さっそく次の時間にお願いするわ」

海未「」



ーーー休み時間の教室ーーー


穂乃果「2人ともどこでお昼食べてたの?」

海未「そ、それは・・・・・・」モジモジ

穂乃果「海未ちゃん?」キョトン

ことり「私が海未ちゃんに相談したい事があったのぉ」

穂乃果「ええー!穂乃果にも相談してほしいよー!」

ことり「ご、ごめんねぇ」

穂乃果「私って頼りないかなー」シュン

ことり「そ、そんな事ないよぉ」アセアセ
ことり「あっ!穂乃果ちゃんの制服、汚れてるよ!」

穂乃果「えっ?どこどこ?」キョロキョロ

ことり「ことりのハンカチで取ってあげるから、動かないでね」

穂乃果の後ろから、ソロリソロリと魔の手が忍び寄る。

バサーッ

穂乃果「っ?!」

純白の生地に、オレンジ色のシンプルなサイドリボンが付いた可愛らしい下着が露になってしまった。
穂乃果は必死にスカートを押さえたが、既に絵里の目には焼きついていた。


絵里「ハラショーッ!」

穂乃果「・・・・・・絵里ちゃん」

穂乃果の顔だけが後ろを向く。

絵里「ハラショーな下着だったわっ!」

穂乃果「絵里ちゃんのバカあああああっ!!」パシーン

穂乃果の平手打ちが、絵里の頬にクリーンヒットする。

絵里「っ!!」
絵里「こ、このぐらい覚悟の上よ!」キリッ

穂乃果「反省してよっ!最低っ!馬鹿っ!変態っ!大嫌いっ!」

知っている限りの罵倒を絵里にぶつけ、穂乃果は教室を飛び出した。

ことり「絵里ちゃん、追わないと!」

絵里「え、ええ」アセアセ


ーーー屋上ーーー


絵里「あれ?」
絵里「ここだと思ったんだけど・・・・・・」



ーーー保健室ーーー


穂乃果「・・・・・・」グスン

真姫「そんな事があったのね」

穂乃果「うん」

真姫「でも、それでどうして私のところに来るのよ」クルクル

穂乃果「もう絵里ちゃんなんて嫌い」グスン

真姫「なんだかんだ言って、結局は仲直りするんでしょ」
真姫「私は教室に戻るわね」

真姫が保健室から出ようとすると、穂乃果が後ろから抱きついてきた。

真姫「ヴェェェ?!」

真姫の顔は一気に、トマトのように真っ赤になっていく。

穂乃果「真姫ちゃんは、穂乃果のことは嫌い?」

真姫の耳元で囁く。

真姫「そそそ、そんなこと急に言われても困るわ!」

真姫の背筋はゾクゾクしていた。

穂乃果「ねぇ、どっち?」ボソッ

真姫「囁かないでっ!」///
真姫「ほ、穂乃果の事は嫌い・・・・・・」

真姫「じゃないけど、これって浮気になるわよ?」


穂乃果「絵里ちゃんと別れれば浮気じゃない、よね?」

真姫「だ、ダメよっ!」

真姫は穂乃果の腕を解いて向き直る。

真姫「私は、笑顔でケーキを頬張っている笑顔の穂乃果が、す、すす好きなのよ!」

真姫の顔が更に赤くなる。

穂乃果「笑ってる時だけ?」ウルウル

穂乃果の目は潤み、今度は正面から抱きしめられる。

真姫「ヴェェェッ?!」///

穂乃果「今の保健室、誰もいないね」

真姫「そそ、そうね」

穂乃果「授業が始まったら、誰も来ないね」

真姫「そそ、そうかもしれないわね」

抱きつく腕の力が、更に強くなる。

穂乃果「穂乃果は真姫ちゃんのこと、好きだよ」

真姫「穂乃果・・・・・・」

穂乃果「真姫ちゃん・・・・・・」

お互いの唇が、どちらからともなく徐々に近づいていく。


ガラッ

絵里「穂乃果ーって、こんな所には居な・・・・・・」

真姫「っ!!」

穂乃果「・・・・・・絵里ちゃん」

真姫「こ、これは違うのよ!穂乃果のまつげにゴミが付いていて、それで!」アセアセ

真姫は必死に誤魔化そうとしているが、穂乃果は冷静に絵里と真姫を交互に見やる。

真姫「だ、だからこれは決してキスとかしようとしていたんじゃなくて」アセアセ

穂乃果「違うよ」ボソッ

真姫「えっ」

穂乃果は真姫の両頬に手を添えて、顔を近づける。

真姫「ちょっと、まっ」

ただただ触れ合うだけのキスが、絵里の目の前で繰り広げられる。

穂乃果「んっ」

真姫「・・・・・・なっ、なっ何するのよっ!」パシーン

真姫は力の限り、穂乃果の頬に平手打ちをした。

真姫「あっ、ごめんなさい」アタフタ
真姫「で、でも、自分のしたことをちゃんと考えて」

真姫はそう言って保健室を後にした。
絵里の姿はいつの間にか消えていた。

穂乃果「・・・・・・最低」ボソッ



ーーー放課後の部室ーーー


海未「これはいったい・・・・・・」

ことり「えーっとぉ」

にこ「絵里と穂乃果はどこに行ったのよ!」

希「真姫ちゃんもおらんなー」

凛「音楽室にも居なかったにゃー」

花陽「ど、どうしたんでしょうか」アセアセ

海未「たるんでいますっ!」

ことり「また何かあったんじゃぁ」アセアセ

海未「はぁ、またですか」

にこ「今までもいろいろあったけど、練習に来なかった時はなかったじゃない」

凛「いろいろ?」

希「あれ?凛ちゃんは知らんの?」

花陽「わ、私もその、何がなんだか・・・・・・」

ことり「穂乃果ちゃん達がいないけど、いいのかなぁ」

にこ「もういいんじゃない?」

希「3人も休まれたら練習にならんしね」

海未「実は穂乃果と絵里は・・・・・・」


ーーー

海未「という事があったのです」

花陽「そうだったんですね」

凛「知らなかったにゃー」

花陽「でも真姫ちゃんは?」

希「そこなんよね」

にこ「もう連れて来て、全員で話し合うのが早いんじゃない?」

ことり「でもぉ、私たちが話に入ってもいいのかなぁ」

にこ「このまま練習に来なかったら、みんなに迷惑がかかるのよ!」
にこ「ちょっと話を聞くぐらい大丈夫よ」

海未「そうですね」
海未「それじゃあ、穂乃果は私たちが連れて来ます」

希「えりちは任せてな」

凛「じゃあ凛たちは真姫ちゃんを連れてくればいいの?」

海未「お願いします」
海未「明日の放課後、場所は部室でいいですよね?」

海未「互いが来ることが分かれば逃げるかもしれません」
海未「感づかれないように、気を付けてください」



ーーー翌日の放課後ーーー


ガチャ

穂乃果「海未ちゃーん、話なら教室でも・・・・・・」

穂乃果が部室の扉を開けると、真姫と絵里が椅子に座って項垂れていた。

穂乃果「あっ、えっと、その、よ用事があったんだった・・・・・・」

部室から離れようとすると、後ろにはいつの間にか海未が居た。

海未「さあ、入ってください」ニッコリ

穂乃果「え、えーっと・・・・・・はい」シュン

渋々、椅子に座る。

バタン

海未「さて、私たちが何を言いたいのか分かりますね?」

3人とも目線は下げたままだった。

にこ「あんた達がいつまでもしょぼくれてると、私たちも困るのよ!」

希「勝手に休むのはあかんよ」

ことり「なにがあったのぉ?」

花陽「話せる事だけでも・・・・・・」

凛「話せば楽になるにゃー!」

親友たちの問いかけにも、口を堅く閉ざす。


海未「はぁ」
海未「お節介なのは重々承知していますが、この問題はあなた達だけで解決できますか?」

また長い沈黙が流れる。

海未「今もメンバーに迷惑がかかっているんですよ?」
海未「自覚しているんですかっ!」バンッ

海未は苛立ちを机にぶつける。

ことり「う、海未ちゃん、落ち着いてぇ」

穂乃果「・・・・・・したの」

ことり「えっ?」

穂乃果「穂乃果が真姫ちゃんとチュウしたの」

海未「・・・・・・は?」

凛「あれ?でも穂乃果ちゃんは絵里ちゃんと・・・・・・」キョトン

ことり「えっと、それはどういう事?」

穂乃果「穂乃果は、絵里ちゃんより真姫ちゃんが好きになっちゃったのっ!」

真姫「ほ、穂乃果っ?!」

穂乃果「もういいでしょ・・・・・・」ガタッ
穂乃果「真姫ちゃん、一緒に帰ろ」

真姫「ちょ、ちょっと!」

穂乃果は真姫の腕を引きながら、席を立って部室を出ようとする。

絵里「待ちなさい・・・・・・」ワナワナ

穂乃果「なに?・・・・・・絢瀬さん」

穂乃果は振り向き、絵里を睨みつけた。

絵里「なによ、なによっ!」
絵里「そんなの認められるわけないでしょっ!」ウルウル

穂乃果「真姫ちゃん、行こ」

真姫「え、絵里・・・・・・」

穂乃果は真姫の腕を引いて、部室をあとにした。

絵里「ほのかあああっ!」

部室には、絵里のすすり泣く声だけが響いていた。



ーーー翌日の部室ーーー


ガチャ

海未「やはり真姫も来ていないのですね」

希「まあ、あんなことがあったらね」

凛「授業が終わったら、すぐに帰っちゃった」

花陽「今日も穂乃果ちゃんと帰ったのかな」

絵里「穂乃果、穂乃果、穂乃果、私のほのかあああ!!」ウルウル

希「えりちの前では禁句やね」

にこ「絵里、もうそろそろ泣きやみなさいよ」

ことり「これはもう放っておくわけには・・・・・・」

海未「そうですね。絵里もあの様子ですし」

絵里「ほのかあああっ!!」

希「1日中こんなんやん」

にこ「でもどうしようもないんじゃない?」

花陽「あれだけハッキリ言われたら・・・・・・」

海未「穂乃果は、いつもの意固地になってるだけだと思いますが」

にこ「でも、キスしたんでしょ?」

ことり「そ、それはぁ・・・・・・」

凛「ちょっといいかにゃ?」

海未「どうしたんですか?」

凛「絵里ちゃんが、穂乃果ちゃんのスカートを捲ったから怒っちゃったんだよね?」

ことり「それまでにも、いろいろとぉ・・・・・・」

凛「どう考えても絵里ちゃんの自業自得だと思うにゃ!」

希「それを言ったら元も子もないやん」


にこ「普通はスカート捲りだけで、別れ話になんてならないわよ」

海未「やはり元の鞘に戻るのが、一番なんじゃないでしょうか」

ことり「でも真姫ちゃんの気持ちはどうなるのかなぁ」
ことり「本気で穂乃果ちゃんを愛してるなら、私たちが口を出すのは・・・・・・」

海未「うーん、難しいですね」

ガチャ

真姫「よかった、まだみんな残ってたわね」

希「あれ?穂乃果ちゃんと帰ったんじゃ」

真姫「穂乃果なら学校を出て、すぐに走って行っちゃったわよ」
真姫「泣きながらね」

海未「そうですか」

ことり「真姫ちゃんは、穂乃果ちゃんの事をどう思ってるの?」

真姫「どうって・・・・・・穂乃果は絵里と恋人同士なんでしょ?」クルクル
真姫「私がどう思っていようと、穂乃果の中には絵里しかいないみたいだし」

にこ「好きか、嫌いかって聞いてるのよ」

真姫「そ、そんなのみんなには関係ないでしょ」クルクル

希「穂乃果ちゃんとえりちに何か手助けできへんかなって、いま話してたんよ」
希「でも、真姫ちゃんが穂乃果ちゃんを本気で好きなら、やめた方がいいんやないって」

真姫「・・・・・・そう」

絵里は俯きながらソワソワしていた。


真姫「確かに穂乃果の事は、その、す好きよ」クルクル

絵里「っ!」

真姫「でも、き、キスのことは、なんていうか」
真姫「穂乃果に無理やりされただけなのよ」

絵里「キスの後、真姫が穂乃果に平手打ちしてた、気がするわ」

真姫「そうよ」
真姫「たしかに嬉しかったけど、それ以上に悲しかった」

真姫「こういう形で穂乃果と恋人同士になっても、全く嬉しくないわ」

絵里「ほ、本当に?」

真姫「当たり前じゃない」クルクル
真姫「私は穂乃果の笑顔に惹かれたのよ」

真姫「今日みたいに、元気のない穂乃果なんて穂乃果じゃないわ」

希「美味しい物とか食べてる穂乃果ちゃんは、ええ笑顔やもんなー」

真姫「・・・・・・そうね」



ーーー少ししてーーー


海未「作戦はこうです」
海未「穂乃果と絵里を2人っきりにしただけでは、解決はしないでしょう」

海未「そこで、穂乃果にも絵里と同じ気持ちになってもらいます!」
海未「穂乃果の目の前で、メンバーの誰かが絵里とキスをするフリをしてもらいます」

にこ「・・・・・・それって本当に大丈夫なの?」
にこ「穂乃果がヤケになって、真姫ちゃんと本気で付き合う事になるじゃ」

海未「そうなったら、それまでですね」

絵里「えっ」

海未「そんな事で冷めてしまうのなら、絵里への愛はそれまでだったという事でしょう」

絵里「あの、そ、それはあんまり・・・・・・」

海未「はぁ、いいですか?」

海未「穂乃果が真姫とキスした原因は、絵里の変態的な行動に嫌気がさしたものと思われます」

絵里「・・・・・・」

海未「足舐めに始まり、拘束の強要、散歩事件・・・・・・」
海未「自業自得の極みです!」

海未「このまま穂乃果との関係を終わらせますか?」

絵里「そ、それは・・・・・・」

海未「そこで、キスの振りをする相手ですが」

凛「凛とかよちんには荷が重すぎるにゃー」

花陽「す、すみません」ペコリ

にこ「にこも無理よ」

希「ウチも無理やん」

海未「にこか希が適役だと思うのですが、なぜ無理なのですか?」

にこ「にこの恋人はファンのみんななのよっ!」
にこ「フリだとしても、そういうことは出来ないわ」

海未「・・・・・・希は?」

希「ウチは恋人がおるしなー」
希「嫉妬深い子やし、疑いを持たれることはしたくないんよ」

海未「・・・・・・え?」

「ええええええっ?!」



ーーー


海未「相手役はことりにお願いします」

ことり「はぁ~い」

海未「決行は明日のお昼休みです!」


ーーー翌日の昼休みーーー


穂乃果がお昼ご飯も出さずに窓の外を眺めているのを見て、ことりと海未は廊下でヒソヒソ話を始める。

海未「絵里は屋上でスタンバイしています」
海未「ことりも早く向かってください」

ことり「うんっ!」


ーーー

海未「穂乃果、いつまでボーっとしているのですか」

穂乃果「あっ、海未ちゃん・・・・・・」

海未「早く食べないとお昼休みが終わってしまいますよ」

穂乃果「う、うん」

穂乃果は鞄からパンを取り出した。

穂乃果「あれ?ことりちゃんは?」

海未「あっ!」
海未「気分転換も兼ねて、屋上で食べようと約束していたんでした!」

海未「穂乃果も一緒にどうですか?」

穂乃果「・・・・・・ううん、穂乃果は教室でいいや」

海未「気分が落ち込んでいる時は、日光を浴びると元気になるらしいですよ?」

穂乃果「別に落ち込んでないよ・・・・・・」

海未「まあまあ、そう言わずに」
海未「私のワガママだと思って、一緒に屋上で食べましょう」

海未「ことりも屋上で待ってますよ」

穂乃果「海未ちゃんがワガママって珍しいね」

海未「そ、そうですか?」ドキッ

穂乃果「まあいいや、行こっか」

海未「そうですね」ホッ

ピンポンパーン

「2年の園田海未さん、職員室まで来てください」
「繰り返します」

穂乃果「・・・・・・海未ちゃん、何かしたの?」

海未「悪いことは何もしていません!」
海未「きっと弓道部の事とかでしょうし、すぐに終わりますよ」

海未「穂乃果は先に屋上に行ってください」

穂乃果「はーい」



ーーー屋上入口の前ーーー


「うーん、でもぉ」

穂乃果「あれ、この声ってことりちゃん?」

「うん、うん」

穂乃果「誰と話してるんだろう」

ガチャ

穂乃果「ことりちゃーん、待たせちゃってごめん・・・・・・ね」

屋上の扉を開けると、そこには絵里とことりが抱き合いながらキスをしている姿があった。

穂乃果「絵里、ちゃん?」

ことり「穂乃果ちゃん・・・・・・」

絵里「あら、ほほ、ほ穂乃果も屋上でお昼かしら?」ビクビク

穂乃果「なにしてるの・・・・・・」ウルウル

穂乃果は俯きながら、泣くのを堪えて震えている。

絵里「ほほ、穂乃果が浮気をしたから、私も浮気をしたまでよ!」
絵里「穂乃果には、何も言われたくないわね」フンッ

穂乃果「そ、それは・・・・・・」


穂乃果の両手には、握りこぶしが作られていた。

絵里「それじゃあ、私はことりと付き合うことにしたから」
絵里「真姫とお幸せにね・・・・・・高坂さん」

ことり「絵里ちゃん!言い過ぎだよっ!」

穂乃果「うわああああっ!!」

穂乃果は、その場に泣き崩れた。

穂乃果「絵里ちゃんのばかあああっ!」

ことり「穂乃果ちゃん!お、落ち着いてぇ」

ことりが穂乃果に駆け寄って宥める。

穂乃果「嫌だよっ!絵里ちゃんを取られて、ことりちゃんまで居なくなっちゃったら、えぐっ」
穂乃果「生きていけないよおおおっ!!」

穂乃果「絵里ちゃんより真姫ちゃんの方が好きなはずないよっ!」
穂乃果「ごめんなさいー!ごめんなさああいっ!」

穂乃果は地べたにおでこを擦りつけて、絵里に向って泣きながら土下座をした。

絵里「ほ、穂乃果っ?!」アセアセ

絵里も穂乃果に駆け寄る。

穂乃果「真姫ちゃんより絵里ちゃんが好きなのおおおっ!」
穂乃果「どんなに変態でも、絵里ちゃんが好きなのっ!」

絵里「穂乃果の気持ちは十分に分かったわ!だから顔を上げなさいっ!」

穂乃果の肩を持ち、上体を起こさせる。


ことり「穂乃果ちゃん、ごめんね!絵里ちゃんとのキスは演技だったの!」
ことり「ことりは、絵里ちゃんの事なんてこれっぽちも好きじゃないよっ!本当だよ!」

絵里「えっ、あ、あの、そこまで言われると傷つくんだけど・・・・・・」

穂乃果「え、えんぎ?」グスン

ことり「うんっ!」
ことり「穂乃果ちゃんの本音を聞き出す為に、みんなで考えた作戦だよっ!」

穂乃果「ほ、ほんと?」ゴシゴシ

穂乃果は涙を拭いながら、ことりと絵里を交互に見上げる。

絵里「私もごめんなさい」
絵里「穂乃果が浮気したのは、私のせいよね」

穂乃果「ううん」グスン
穂乃果「穂乃果の方が、最低なこと、しちゃったし」ゴシゴシ

ことり「それじゃあ、仲直りの証に、キスしちゃおっかぁ」ニヤニヤ

絵里「えっ」

穂乃果「絵里ちゃん・・・・・・」

穂乃果はスッと目を閉じて、絵里を待つ。

ことり「キース!キース!キース!」

絵里「ちょ、ちょっと待ちなさいっ!」アセアセ

希「キース!キース!キース!」

絵里「希っ?!いつの間に居たのよ!」

にこ「早くしないと、穂乃果が恥をかくだけよ」

絵里「・・・・・・」

絵里は穂乃果の肩に手を置いて、顔を近付けていく。

穂乃果「んっ」



ーーー


海未「こ、校内でキスなんて・・・・・・破廉恥ですっ!」

絵里「いや、私に言われても困るんだけど」

希「まあまあ、仲直りできたんやし」

穂乃果「えへへ」

穂乃果は照れ臭そうに頭を掻く。

海未「それで、穂乃果は絵里の変態要求にこれからも応えていくのですか?」

絵里「も、もうしないわよっ!」

穂乃果「うーん」

にこ「もう口約束は辞めた方がいいわね」

ことり「それじゃあ、誓約書とかどうかなぁ?」

絵里「そ、そこまでする必要はないんじゃないかしら?」アセアセ

穂乃果「せいやくしょ?」


ことり「うんっ!約束事を書面にして、相手がとぼけられないようにするの」

絵里「さっきからあなた達、ちょっと失礼すぎるんじゃないかしら!」

凛「自業自得にゃー」

花陽「り、凛ちゃん!思ってても言っちゃダメだよ」

穂乃果「絵里ちゃんは、それで普通になってくれる?」

ことり「・・・・・・たぶん」チラッ

ことりは絵里を一瞥する。

海未「それじゃあ、文面を考えましょうか」
海未「明日、私が清書してきます」

海未「そして、全員の目の前で署名と捺印をしましょう」

絵里「ちょちょっと、大袈裟じゃないかしら?」

穂乃果「これで絵里ちゃんが普通に戻ってくれるなら・・・・・・」

海未「決まりですね」
海未「それじゃあ、絵里は帰ってください」

絵里「・・・・・・えっ?」

海未「絵里が傍にいると、穂乃果が遠慮してしまいます」
海未「緩い誓約では意味がありませんから」



ーーー翌日ーーー


海未「全員いますね?」

「はーい」

海未「それでは、読み上げてください」

絵里「・・・・・・はい」シュン
絵里「絢瀬絵里は、恋人である高坂穂乃果に対して、今後一切の変態的要求や嫌がる言動をしない事を」

絵里「誓約いたします」

海未「穂乃果も、これで良いですね?」

穂乃果「う、うん」

海未「ちなみに誓約書にサイン出来ない場合は、絵里と別れるそうです」

絵里「えっ」

穂乃果「残念だけど・・・・・・」シュン

海未「絵里、これは本当のラストチャンスですよ?」
海未「しっかりと改心してくださいね」ニッコリ

絵里「・・・・・・はい」カキカキ

署名する絵里に、ことりが静かに近づいて耳打ちをする。

ことり「これ以上穂乃果ちゃんを泣かせるような事があったら」
ことり「ことりと海未ちゃんが黙ってないからね?」

絵里「は、はいっ!」ビクビク



ーーーある日の絵里の部屋ーーー


穂乃果「お、お邪魔します」
穂乃果「今日は恋人らしい事をするって言ってたけど・・・・・・」キョロキョロ

絵里「・・・・・・警戒しているのかしら?」

穂乃果「そ、そんなことないよっ!」

絵里「家族は誰も居ないけど、以前のような事はしないわよ」

穂乃果「そ、そうだよねっ!」ホッ
穂乃果「安心してお泊まりが出来るね!」

絵里「ええ、誰も居ないから少しぐらい騒いでも大丈夫よ」ニコニコ

穂乃果「でも夜まで騒がしいと迷惑になっちゃうんじゃ・・・・・・」

絵里「??」
絵里「家族はロシアに少し間だけ帰ってるから、しばらくは誰もいないわよ?」

穂乃果「えっ・・・・・・夜も?」

絵里「明日もいないわ」

穂乃果「・・・・・・はっ!」

穂乃果は慌てながら、首から下げている紐を引っ張った。

ビイイイイイイイイイイッ

絵里「っ?!」


ーーー

穂乃果「ご、ごめん」アセアセ

絵里「もう、心臓が止まるかと思ったわよ」

穂乃果「で、でも、絵里ちゃんに襲われると思って・・・・・・」

穂乃果の頬が、ほんのり赤くなる。

絵里「穂乃果はその、そういう事は、まだ、嫌かしら?」

穂乃果「えっ」

無意識にブザーの紐に手が伸びる。

絵里「す、ストップッ!」アセアセ
絵里「穂乃果が嫌だというなら、無理強いはしない!絶対よっ!」

穂乃果「ほ、穂乃果も、そういう事に興味がない訳じゃないけど」///
穂乃果「そ、その・・・・・・優しくしてね?」

絵里「・・・・・・はぁはぁ」

穂乃果の潤んだ瞳の上目遣いに、絵里の鼻息は荒くなっていく。

絵里「え、ええ!当たり前よっ!」ハァハァ
絵里「ほのかーっ!」

ベッドに腰かけていた穂乃果は、そのまま押し倒されてしまった。


絵里「はぁはぁ、穂乃果、穂乃果っ!」

穂乃果「え、絵里ちゃん?!」

絵里「大丈夫よ!私も初めてだし、一緒に大人の階段を登りましょう」ハァハァ

穂乃果「んっ」
絵里「んっ♥ちゅぱっ♥」

穂乃果「んーっ?!」

いつものキスとは違い、絵里の舌が穂乃果の口内に侵入する。

絵里「はぁ・・・・・・んっ♥」

穂乃果「やっ♥んっ・・・・・・あっ♥」
穂乃果「絵里ちゃ・・・・・・ダメぇ♥」

絵里「んっ♥何がダメなのかしら?」

絵里の手が穂乃果の胸に伸びる。

穂乃果「あっ!いやーっ」

絵里「あっ、ごめんなさい」シュン

絵里は急いで手を引っ込める。

穂乃果「あっ、ううん」
穂乃果「嫌じゃないんだけど、その、まだお風呂とか入ってないから汗臭い、かも・・・・・・」///

絵里「・・・・・・」


穂乃果「絵里ちゃん?」キョトン

絵里「それぐらい些細な問題よっ!むしろその方が興奮するわっ!」ハァハァ

穂乃果は再び押し倒され、濃厚なキスの続きが始まる。

穂乃果「んーっ♥」

絵里の唇は、穂乃果の唇から離れて首筋へと移動していった。

穂乃果「いやっ♥あっ♥」

首筋から鎖骨へ、そして穂乃果の胸元にまで及んだ。

穂乃果「ま、待って!」

絵里「どうしたの?」

穂乃果「その、穂乃果の胸って絵里ちゃんに比べたらぺったんこだし」シュン
穂乃果「スタイルもよくないし・・・・・・恥ずかしいよ」

絵里「穂乃果の体はとっても魅力的なはずよ!」
絵里「もっと自信を持ちなさい」ニコニコ

穂乃果「ほんと?」

絵里「え、ええ」

穂乃果「じゃ、じゃあ・・・・・・や、優しくしてください」///



ーーー数時間後ーーー


穂乃果「え、絵里ちゃん?」

絵里「ごめん、なさい」グスン

穂乃果「ほ、穂乃果も、その、気持ちよかったよ?」///

絵里「お世辞なんていらないわ」イジイジ

絵里は穂乃果の隣で背を向けて、いじけていた。

穂乃果「初めてなんだから、全部うまく出来るはずないよー」アセアセ
穂乃果「絵里ちゃんのキスは、穂乃果より上手だったよ?」///

絵里「無理にフォローしてくれなくてもいいのよ?」グスン
絵里「穂乃果をイかせられなかったのは、私が下手だから・・・・・・」イジイジ

穂乃果「もうっ!それならもう1回しようよっ!」

絵里「えっ」

穂乃果「下手なら上手くなるまで練習あるのみだよっ!」

今度は穂乃果が絵里に覆いかぶさる。

穂乃果「さあ、今度は穂乃果からシてあげるね♥」





おわり

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom