一方通行「車に轢かれたァ」フィアンマ「また入院した……」 (124)


一方通行「車に轢かれたァ」
一方通行「車に轢かれたァ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1439728069/)

一方通行「車に轢かれたァ」 垣根「退院してぇ」
一方通行「車に轢かれたァ」 垣根「退院してぇ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1448758894/)


これの続きになります。

亀進行かもしれないです。

このスレは割とシリアス寄りになる予定です。

ゆるゆると進めていきますが、おかしなカップリングになるかもしれません。

ご注意ください。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1459911385

とりあえず最近出番のないインちゃんの短編を一つ。


………とある病院・上条の病室………

ガラララララッ

インデックス「おはよう、とうまー!」ダンッ

上条「えぐっ!!」グハッ

インデックス「今日も遊びに来たんだよって、とうま!?」

上条「は、はは……おはようございます。インデックスさん……」ガクガク

インデックス「どうしたの、とうま?」アセアセ

インデックス「大丈夫?」オロオロ

上条(こんなに純粋に心配されると、お前のせいだろ、とは言えないな)ハァ

上条「大丈夫大丈夫。おはよう」

インデックス「ほ、よかった……」


インデックス「ねえ、とうまー」

上条「なんでせうか?」

インデックス「今日は寄り道しようと思って、あくせられーたとかてーとく達の部屋の前通って来たんだけどね」

上条「おん」

インデックス「もとはるが番人のように構えていたんだよ、部屋の前で」

上条「ああー、いたな」

上条「っていうか、今もいるのかよ!」

インデックス「うん、少し怖かったから
、ゆーたーんしてきたけど」

上条「まあ、積極的に通りたいとは思わないよな」ハハ…


上条「そういや、てーとくっていつそんなにあいつと親密になったんだ?」

インデックス「むむ、ヤキモチ焼いてるの?」

上条「なわけ無いだろ」ピシャリ

インデックス「つまんないなー」

インデックス「てーとくは私に手料理を振舞ってくれたんだよ」ニコニコ

上条「手料理!? あいつが!」

上条「……意外と女子力あるのかよ……というか、上条さんの立場が……」ボソボソ

上条「インデックス」ガシ

インデックス「と、とうま?」

上条「……治ったら飽きるくらい手料理作ってやるから待っててくれ」

インデックス「も、もちろんなんだよ!!」


インデックス「ねえ、とうまー」

上条「ん?」

インデックス「今日はね、いいもの持ってきたんだよ!」

上条「へぇ、いいものってなんだ?」

インデックス「じゃーん! スコーンだよ!」パカッ

上条「もしや……インデックスが?」

インデックス「へへん、今回はあいさに手伝ってもらったのです」

上条「おお……手伝ってもらったとはいえ手作りか……」

上条「た、食べてもいいのか?」

インデックス「もちろんなんだよ!!」

インデックス「とうまと私のために作ったんだから!」エヘン

上条「んじゃあ、いただきまーすっと」ヒョイッ


上条「……」モグモグ

インデックス「どう? どう?」

上条「うん、美味しい」モグモグ

上条「お茶のともに良さそうな感じ」

インデックス「うーん、紅茶は持ってきてないんだよ……」

上条「だろうな」ハハッ

上条「緑茶ならあるけど、いいか?」

インデックス「おおっ、ファインプレーだよ、とうま!」

上条「じゃあジャパニーズティーでティータイムといくか!」


インデックス「あ、本当に美味しいんだよ」ガツガツ

上条(……俺のためと言いつつ十個中八個食べるってどういうことだよ)モグモグ

インデックス「やっととうまが私の料理の実力を認める時が来たみたいだね」モグモグ

上条「はいはい、そんなに急がなくてもいいから」

上条「口の中のものを飲み込んでから話せー」

上条「あ、でも喉につまらないよう気をつけて」

インデックス「っん……よし、飲み込んだよ」ゴクゴク

上条「報告はいりません」

インデックス「いい加減強がらないで認めたらどうかな。私の実力を!」

上条「……つまみ食いせずに持ってきたのが奇跡だと思いました、はい」

インデックス「むー!!! とうまあああぁぁぁ!!」ガブッ

上条「ふ、不幸だー!!!」


上条「いてて……」サスサス

インデックス「ちゃんと反省して欲しいんだよ」ムゥ

上条「はいはい、分かりました」

インデックス「むぅ……」

ここまでです。
このスレで完結させるつもりなのでよろしくお願いします。

■■「確か三十個包んで持たせたはず…」


上条「なぁ、インデックス」

インデックス「どうしたのー? とうま」

上条「こうして毎日来てくれるのはありがたいんだけどさ、もう少し別のことしてもいいんだぞ?」

インデックス「え?」

インデックス「なになに、もしかしてとうまは私が一日中とうまの病室にいるとか思ってるの?」

上条「いや、ご飯の時間以外いるだろ、実際?」

インデックス「うーん、確かにそうかも」ムムム

インデックス「でも具体的に何をしたらいいのか良く分からないんだよ」

上条(今まで記憶を消されてたせいで、趣味ってやつがなかった弊害か……)グッ


インデックス「とうま、そんな怖い顔してどうしたの?」

上条「いや、何でもない」

インデックス「……」

上条「そうだ、何をしたらいいのか良く分からないなら俺の部屋にある漫画でも読んでみれば?」

上条「破いたり、汚したりしたら許さないけど」

インデックス「まんが……とうまがよく読んでる絵がついた本のことだよね」

上条「そうそう」

インデックス「うん、分かった。読んでみるね」


~~~翌日~~~

ドサッ

インデックス「今日はこれを読むんだよ」

インデックス「……」パラパラ

上条「あ、あのー、インデックスさん?」

インデックス「ん、どうしたの?」

インデックス「集中したいから手短にね」

上条「なぜここで読んでるんでせうか……?」

インデックス「んー、一人で読んでも面白くないもん」

インデックス「ダメならまんがは家に戻してくるけど」

上条「いや……」

上条(……ま、インデックスがそれでいいなら……)

上条「それじゃあ俺も読もうかな」

インデックス「分かった、六巻からね」スッ

上条「う、嘘だろ!」


上条「はぁ、六巻からとかネタバレはなはだしいな」パタン

上条「インデックスー、もう一巻読み終わっ……」

インデックス「……」コクコク

上条「……インデックスさーん?」コソ

上条「……そんなところで寝てたら風邪ひきますよー?」バサ

インデックス「……とうまー」ムニャムニャ

上条「……幸せそうな寝顔してんなぁ」ポンポン

上条「……さてと」

上条「上条さんは、インデックスが寝てる間に読破しちゃいましょうかね」パラパラ


………………………

上条「うーん、今日はインデックス来ないのか?」

上条「ま、いいか。たまにはこういうこともある」

上条「うーん……」

上条「……ヒマだし、お菓子でも買いに行くとするか」カッツ

上条「はぁ、いいかげん松葉杖から離れたいもんだ」

上条「……って、独り言激しすぎだろ……」

ガラララ  カッツカッツ


カッツカツッ

上条「ええと、プリンプリンっと……」キョロキョロ

上条「あったあった……」スッ

上条(……ポテチも買いたいな……だけど金欠だな)グッ

上条「やっぱりプリンやめて、ポテチにする……」ハッ

『プリンが食べたいからなんだよ!!』

上条「はぁ……最近は放置しちまってるしな」

上条「たまには好きな物食べてもらうとしますか」

上条「よし……プリン、二つっと」コトッ コトッ

上条(まあ、もううんざりされて、二人で食べようだなんて言ってくれないかもな)

上条(いや、放置した俺が悪いか)アハハ…


ピッピッ

店員「プリン二点で458円になりまーす」

上条「はい」スッ

ピッ

店員「残高はレシートに記されているのでご確認ください」

店員「スプーンはお付けしますか?」スッ

上条「お願いします」

上条「……あ、二つ付けてもらえますか?」

店員「かしこまりました」スッスッ

店員「どうぞ」

上条「ありがとうございます」カッツ

カッツカッツ


カッツカッツ ガララ

上条「……ふう」カッツ

インデックス「あ、いた!」

上条「えぁ? インデックス?」

インデックス「とうまとうま!」ダダダッ

上条「い、インデックスさん、少し待ってくだっ」

ドーン!

インデックス「とうまー!!」バタン

上条「があぁ、頭、後頭部がくらくらする……」グワングワン

インデックス「ああっ、ご、ごめんね、とうま……」

上条「……いや、多分体は大丈夫だ」ムク

上条「ただ……」


インデックス「何を買ってきたの?」ガサゴソ

上条「……中を確認しながら聞くか?」

インデックス「あ、プリンだ!」

上条「やっぱり、崩れちゃったか」アチャ-

インデックス「……どうしてプリン?」

上条「……ほら、この前俺が帰ってくるまでプリン待っててくれただろ?」

上条「それのお返しとでも考えてくれればいいよ」

インデックス「ああ、とうまも覚えてたんだね」

上条「インデックスが食べ物を我慢するなんて珍しかったからな」

上条「崩れちゃってるけど、やるよ」

インデックス「ふわー」キラキラ

上条「結構高かったんだから味わってくれよ?」スッ


インデックス「ありがとう!」

インデックス「とりあえず、このかなり崩れてる方がとうまのね」スッ

上条「え?」パシ

インデックス「で、あまり崩れてない方が私の」カパッ

インデックス「いただきまーす……ってとうまは食べないの?」

上条「え、これはインデックスにあげたものなんだけど」

インデックス「もしかしてとうまは私が二つ食べちゃうと思ってたのかな」

上条「……いや、ありがとな」カパ

インデックス「うん、美味しいものはやっぱり誰かと食べた方がいいんだよ!」

上条(まあ、崩れてるんだけどな)

今日はここまで!
乙ありです!
>>13
のこりの20個は何処へ……


インデックス「とうまー!」ガラ…


上条「というか、前も言ったけど、上条さん的には不器用な手作りクッキーの方がポイント高いんですよね」

美琴「人のお土産に文句をつけるのはどうかと思うけど?」ビリッ

上条「ここは精密機械が多いからやめて下さい!!」

美琴「そんなの分かってるわよ」ケッ

上条「でもありがとうな。ダイヤノイドで売ってるクッキーとか食べる機会ないし」

美琴「ふん、味わって食べなさいよ。一時間……」

上条「一時間?」

美琴「ななっ、なんでもないから!」ワタワタ

上条「そっか」


インデックス「……短髪だ。帰るまで待ってるしかないんだよ」シュン


………とある病院・受付………


インデックス「はあ、短髪のせいで暇人になっちゃったんだよ……」

インデックス「せっかくとうまが読みたがってたまんが持ってきてあげたのにな」

インデックス「はあ、つまらないんだよ……」

「そんなところでため息ついて、どうしたの?」

インデックス「む、その声はあいさ!!」クルッ

姫神「うん、少し上条くんのお見舞いでもしようと思って来たんだけど」

インデックス「いや、それは無理だね。今は天敵の短髪がいるから」

姫神「短髪?」

インデックス「舞夏いわく、ときわだいのエースことれーるがんらしいんだよ」

姫神「そっか」スタスタ

インデックス「だから! 短髪がいるんだよ?」

姫神「ふっ、年下ならば、怖くない」

インデックス「おお!!」

姫神「いざ、ゆかん」


~~~数分後~~~


姫神「無理だ、諦めよう」

インデックス「どうして戻って来ちゃったの?」

姫神「……あれを邪魔するのは、無粋」

インデックス「そんなことやってたらとうまが取られちゃうよ!!」

姫神「大丈夫、布石は打ってある」

インデックス「え? 何?」

姫神「スコーン、いっぱい持って行かせたはず」

インデックス「ああ! あれが布石だったんだね」

姫神「私は学校で行けなかったけど、反応はどうだった?」

インデックス「と、とっても喜んでくれてたんだよ」


姫神「そっか、私はてっきりどこかの大食いシスターに全部食べられたかと思ってたけど、杞憂だったみたい」

インデックス(……ず、図星過ぎて何も言えない)

インデックス「え、えーと、今日は学校なかったの?」

姫神「突然すぎる話題転換が怪しすぎるけど、今日のところは勘弁してあげる」

インデックス「空気の読める人に悪い人はいないんだよ」

姫神「空気……」

インデックス「そ、そういう意味じゃないんだよ!!」

姫神「今日は振替休日だから学校はないの」

インデックス「そっか! じゃあ、短髪が帰るのを見届けたら一緒にとうまのところ行こうよ」

姫神「それはできない、小萌先生に掃除の手伝いを頼まれてるから」

インデックス「うーん、じゃあ私から言っておくね」

姫神「よろしく」


インデックス「……あいさも帰っちゃった」

インデックス「すごく暇なんだよ」

「おやー? そこにいるのはインデックスかにゃー?」

インデックス「もとはる?」

土御門「どうしてこんなところにいるんだにゃー?」

土御門「だいたいカミやんのとこに入り浸ってるはずなのに」

インデックス「入り浸ってるとは失礼極まりないんだよ」

土御門「何が失礼か分からねぇがごめんだぜい」

インデックス「うん、許してあげる」


土御門「で、本当に何があったんだにゃー?」

土御門「もしかして喧嘩とか」

インデックス「短髪が先に来てた」

土御門「え? 超電磁砲のことか?」

インデックス「うん。私と短髪ととうまが同じ空間にいたらとうまはリラックスできないでしょ?」

土御門「あ、ああ。そうかもな」

インデックス「だから、私は短髪が帰るまで待ってるの」

土御門「なるほどにゃー、カミやんに気を使ってたってことか」

土御門「でも、御坂美琴はもう帰ったぜい?」

インデックス「えっ!?」


上条「またインデックス来ないのか?」

上条「ま、御坂が久々に来てくれたし、寂しいわけじゃないけど」ファア

上条「んん、突然眠気がひどくなってきたな」

上条「……」ウトウト

上条「少し昼寝でもするか……」

上条「……」スースー


インデックス「本当に帰ったのかな?」ガラ…

インデックス「……いないね」キョロキョロ

ガラララ

インデックス「とうまー!!」トテトテ

上条「……」モゾ

インデックス「とうま?」トテトテ

上条「……」クークー

インデックス「ね、寝るのが早すぎなんだよ!!」

インデックス(でも起こしたら可哀そうだから、うるさくしないようにしなきゃ)

インデックス「……あれは……」


………………………


上条「ん……そろそろ昼飯の時間か」ゴシゴシ

インデックス「……むにゃ」

上条「また寝てるし。いつの間に来たのやら」フッ

上条「時計時計っと……あ、まだ昼まで時間あるな」

上条「御坂からもらったクッキーでも……」

上条「ねー!!!」カラッポ

ここまででーす。
次からはインちゃんじゃなくて続きに戻る予定。


細かいけど非女神さんは「、」を「。」にして喋るんよ

■■「最新巻でも。台詞なかった。ふふふ」

>>36
忘れていた……指摘ありがとうございます


~~~一方通行達が歩いている頃・病室~~~


垣根「ちっ、連絡なんて取れる訳ねぇよな……」

垣根「考えが甘かったってことか、はぁ」ノビー

垣根「一からやり直しとか本当にやる気でねぇんだけど……」ウウ

垣根「いや、オッレルスとかいう野郎と連絡がつかないことが分かったってのも収穫か」

垣根「ポジティブシンキングだ、俺! ネガティブになってちゃ話が進まねぇ」

垣根「とりあえず現状を書き出してみるか」

垣根「オッレルス、トール、浜面仕上は科学か魔術かは定かではないが、何らかの影響下に居る」カリカリ

垣根「んで、俺の目的は浜面仕上に接触して、ゴーグルのやつのことについて聞き出すこと」グルグルッ

垣根「だが、奴らとは連絡すらできない、と」バツ

垣根「うーん……」

垣根「……万事休すか」ハァ


垣根「……俺一人じゃどうにもできないだなんて、本当に笑えるな」

垣根「くそっ!!」ガツッ

垣根「ん?……待てよ?」

垣根「……」ポチポチ

『ensyu-kihara@sacrifice.co.jp』

垣根「木原円周のメールアドレス……か」

垣根「ちっ、もしかしたら手がかりがあるかもしれねぇな」

垣根(だが、ガキとはいえ、木原に自分から連絡を取ってもいいのか?)

垣根「いや、この際なりふり構ってられねぇ……木原でもどうにでもなれ」ポチポチ


ゴドッ…ゴドッ…

垣根「……何の音だ?」

垣根(こんなタイミングで……ビビるじゃねぇか)

スタッ

垣根「おい、土御門ー。何やってんだ?」

垣根「……」

垣根「おーい、返事しろよ」

ガラガラッ!!

垣根「っ!?」


???「こんにちは」

垣根「なるほど……呼んでもいねぇのに勝手に別の木原が登場か」

???「……」クスリ

垣根「木原唯一」

唯一「お久しぶりですね」カツッ

垣根「……は? 久しぶりだと……?」

唯一「……あ、ああ、なるほど」

唯一「失礼。間違えました」

垣根「だよな。多分初対面だったはずだ」

唯一「……ええ、確認するまでもないことでしたか」

唯一「だけど、あなたのデータとは長い間向き合っていたので、初対面だということをすっかり忘れていたというわけです」

垣根「データ、ね。まあ、そんなことはどうでもいいや」


垣根「わざわざ外の二人をやってきたのか?」

唯一「うーん、やったというほどのことはしてないんじゃないですかね」チャリ

唯一「少し私のお見舞いが邪魔されそうだったんで、黙らせたってとこです」

垣根「普通の見舞いを邪魔するような連中じゃなかった気がするがな」

唯一「特殊なお見舞いなので邪魔が入るのは阻止したかったんです」

垣根「ふーん」

唯一「……危害は加えてないので、ご安心を」

垣根「それは別にどうでもいいんだがな」

垣根(警護とか言ってたくせにこのざまか)

今日はここまで。
乙ありですー

久々に読み直してみたら矛盾だらけだった件……


垣根「だが、見舞いねぇ……」

垣根「それなら、俺としてはお前より木原円周の方を指名したいところだったんだが?」

唯一「えー、あの子も根っこの部分じゃ私と大差ありませんよ」

唯一「どうせ同じ木原なんですから」

垣根「あんなガキがお前みたいな本性出したら怖いなんてもんじゃねぇよ」

唯一「そうですか? 木原なんですから何の不思議もないでしょう」

垣根「……で? 何しに来たんだ?」

垣根「平和にお見舞いに来ましたーっていうのは通用しねぇからな」

垣根「特殊な、邪魔されたくないお見舞いって何だよ」


唯一「あまりピリピリしているのは精神衛生上良くないんですけどね」

唯一「まあ、私の建前の為にもう少し我慢してもらうとしましょうか」

唯一「あなたも手がかりになるかもしれない私にむやみに手出しは出来ないでしょうし」

垣根(やっぱりこいつも何か知ってるってことか)

垣根「建前ってなんだよ」

唯一「ふむ、おとなしく我慢してくれるようで安心安心……」

唯一「あなたのお見舞いに来たという建前ですよ」

垣根「ちっ、何を企んでるのやら」

唯一「さあ、何でしょうね?」


唯一「それよりお土産持ってきたんですけど、どうです?」スッ

垣根「お土産……?」

垣根「ああ、見舞いって建前は大事にしねぇとならねぇもんな」

唯一「ええ、出来れば乗ってもらえるとありがたいんですが」

垣根「…………たいやき?」チラ

唯一「ええ、まあ袋に書いてありますし」TAIYAKI

垣根「敬語なのに相手をいらだたせることができるって一種の才能だな」


唯一「褒め言葉として受け取るには少しトゲが大きすぎますね」

唯一「それとも素直になれない感じですか?」

垣根「全く褒めてねぇだけだ」

垣根「素直になれない感じって何だよ、需要ねぇし」

唯一「分かってますから。はいはい」

垣根(コイツ……ウザすぎんだろ)

垣根「お前敬語なのに敬意が感じられねぇって言われたことないか?」

唯一「そうですね……」

唯一「まあ、うん、ない事もないですかね」

垣根「やっぱり俺の感性は間違ってなかったか」ハァ


唯一「で、これはいかがです?」ススッ

垣根「何個あるんだ?」

唯一「…ひ、ふ、み…………大体七個くらいですね」ゴソ

垣根「ふーん……」

垣根(上条とかにもおすそ分けしたらいい感じか)

垣根(心理定規は甘いもん好きだったっけ?)

垣根「まあいいや……とりあえず袋ごともらっとく」

唯一「ですよね、そういうと思ってましたよ」ハァ

唯一「本当に欲張りですね」

垣根「うるせぇ。いいんだよ、細かいコトは」

唯一「それは私が言う台詞では?」

垣根「そんなことどうでもいいから、さっさと寄こせばいいんだよ」

唯一「はいはい」スッ


唯一「でも、そんなに貰ってどうするんです?」

垣根「……一人で食うに決まってんだろ」

唯一「ふふっ、一人でですか」

唯一「見かけによらず甘党だったんですね」クスクス

唯一(誰と食べる? と聞いたわけじゃないのに一人で食べるという回答ですか……)

垣根「悪いか?」

唯一「……いえいえ、私も嫌いじゃありませんからね、甘味」

垣根「嘘くせぇな……」

唯一「いいじゃないですか。私が甘味好きでも」

垣根「はっ、人の隙を探すために好みを合わせようとしてくる態度が気に入らねぇって言ってんだよ」

唯一「なるほど、そういう意味ですか」ナットク

今回はここまでです。
円周ちゃんはどうなんだろう?

だいぶ間開いてしまった……

円周は裏の顔や本性とか多分無いだろ
目的のために手段は選ばないというか、善悪関係なく最善の方法を取れるというだけ
お見舞いするつもりなら本当にお見舞いをするんじゃないかな


垣根「そういう意味じゃねぇよ」

唯一「薬品類ならすべて基準値以内なのでご安心を。噂によると特別な製法とかで作ったらしいですよ」

垣根「そうか。なら今一個だけ食べる」ゴソ

唯一「どうぞ」

唯一「しかし、私からの物を無警戒に食べるとは少し意外ですね」

垣根「その辺の薬なら味で分かるし、分解も出来るんだよ」

垣根「つーことで、心配無用だ」

唯一「そうですか……それは失礼しましたね」クス


垣根「……んで、てめぇがただの見舞いとか言って来るわけもねぇだろうから聞くが」モグモグ

垣根「何しに来た?」モグモグ

垣根「土御門と絹旗をボコして入ってきたってことはそれなりに非合法的な取引でも持ちかけに来たってことだろ?」

唯一「先に逃げ道を封じるなんてずるいですよー」

垣根「ごまかすな」モグモグ

唯一「落ち着いてくださいよ」ユビサシ

垣根「口?」

唯一「口に物を入れて話す癖、直さないと恥かきますよ」

垣根「ちっ、いちいち話を逸らしやがって」ゴクン


唯一「フィアンマ、でしたか? 彼の様子を聞こうと思いましてね」ニコ

唯一「魔術とやらに関係があるらしいので」

唯一「いえ、関係あるどころの話じゃありませんね」

唯一「ローマ正教の実質トップである彼の様子を聞きたくてですね」

垣根「あ? なるほど……そのために俺しかいない時にってわけか」

唯一「まあ、そうですね」

垣根「おいおい、それは体調不良の俺に聞くことじゃねぇだろ」

垣根「医者、あのカエル野郎に聞いた方が手っ取り早いと思うぜ?」

垣根「俺は医者じゃねぇから詳しい事は全く分からねぇし」



唯一「……彼が答えると思います?」

垣根「思わねぇな。思わねぇからオススメしてるんだって気付けねぇの?」

今回はここまでー。
>>52
なるほど!
そう言えば円周ちゃんは善悪を習ってない木原だって書いてあったような……


唯一「ええ、あなたが何を考えているかくらい分かってますよ」

唯一「だからこそ聞いてるんですよ」

垣根「だよな? 俺のことをデータ上であってもしばらく研究してたんなら分かるはずだ」

垣根「なら返答も聞くまでもねぇよな?」

唯一「もちろん」

唯一「依頼として頼めばイエス、と答えるでしょう?」

垣根「かもしれねぇな。条件にもよるが」

垣根「だが、あいにく今の俺は暗部稼業休止中なんだよ」

垣根「つまり、悪いがお前の仕事は受けられないってこった」

唯一「……そんなことも予想済みの唯一さんはある提案を持ちかけるんです」

垣根「提案だって?」

唯一「そうです。あくまで提案なので乗るも乗らないものあなた次第ですがね」


唯一「あなたが必死になって探している不可解な現象の正体」

垣根「……」ピク

唯一「学園都市の第二位の頭脳をもってしても解明できないものの正体を私が知っているとしたらどうします?」

垣根「……そんなのあり得ねぇよ」

唯一「やはり食いつきますか。大事な彼女さんと仲間に関することですもんね」

垣根「……本当に俺のことを調べてきてるらしいな」

唯一「もちろんですよ。弱点を探しておくのは交渉におけるもっとも重要なことですからね」

唯一「どうします?」

垣根「もしお前が本当にそれを解明できているとして、その証拠がねぇだろうが」


唯一「証拠……証拠ですか」クスクス

唯一「ここに来た時に証拠のようなものは示させてもらったはずですが?」

垣根「んだって……?」

唯一「お久しぶりですね、と私は言ったはずです」

垣根「それがどうしたんだ。お前みたいな研究者が言うことなんておかしなことばかりじゃねぇか」

唯一「それは否定しませんが、あのセリフは本当にお久しぶりですね、と思っての言葉なんですよ」

垣根「馬鹿言ってんじゃねぇよ。初対面だろうが」

唯一「そこが違うんですよ。私とあなたは初対面ではない」

垣根「は?」


唯一「第三次世界大戦の後くらいですかね……しばらくあなたのことを研究していたんですよ」

唯一「その証拠にあなたの能力の可能性を示すことができますよ」クス

垣根「……つまり俺に会ったことをお前は覚えているが、俺は覚えていないことが、お前があの謎を解明できていることの証拠だって言いたいわけか?」

唯一「そうなりますね」

唯一「先に言っておきますが、完全に解明できているわけではないのでそこはご了承くださいね」

垣根「……いいエサ持ってんじゃねぇか」

垣根「正直、喉から手が出るほど欲しいもんだ」

唯一「でしょう? お気に召したようで幸いです」

垣根「だが、断らせてもらう」


唯一「……それは何故です?」

垣根「すっかり忘れてたが、俺はあいつのファンだからな」

垣根「ファンがあいつを売るわけねぇだろ?」

唯一「……ファンですか。確かにそんなことを右方のフィアンマと初めて接触した時に言ってましたね」

垣根「そんな前から監視されてたのかよ……」

唯一「あなたは私の研究対象でしたから」

垣根「ま、本音を言えば、お前らみてぇな奴からの褒美が欲しいがために、へこへこと頭を下げんのは勘弁なだけなんだがな」

唯一「なるほど、そちらの理由の方が実に垣根帝督らしい」

垣根「どーも。だが俺はストーカー気質の女は嫌いだぜ」

唯一「私も素直じゃない男は嫌いですね」

ここまででせう。
乙ありです!!


垣根「……にしてもだ」

唯一「唐突になんですか?」

垣根「なんで俺にあんな提案まで持ちかけてフィアンマの情報を知ろうとするんだ?」

垣根「アイツのことをお前が知っても得なんてねぇと思うんだけど?」

唯一「そんなの簡単な話ですよ。能力発現後の経過を調べたいからです」

垣根「能力発現……だと?」

垣根(何故それを知っている?)

垣根(いや、そもそも滞空回線を使えばフィアンマの状況程度……)

垣根(まさか滞空回線の存在を知らないってことか……?)

垣根(そりゃねぇな、こいつは木原の中でもトップクラスの野郎だって聞いた事がある)


垣根「そのことを知ってどうするっていうんだ」

垣根「つーか、十何年か前に同じようなことを調べたんじゃなかったか?」

唯一「確かにそんな報告がありますが、数値などが曖昧過ぎて参考にならないんですよ」

唯一「ただ、どのような現象が起こるかってことしかわからないんですよ。昔の結果を見ても」

唯一「どの程度の能力が発現するかもバラバラですし」

垣根「だから、正確な数値を調べたいってことか?」

唯一「ええ、とても重要な実験ですよ」

唯一「その結果によっては私たち学園都市は対魔術師戦用の切り札を手に入れることができるのですから」

唯一「それも相手を死に至らしめるレベルの」


垣根「対魔術師、ねぇ」

垣根「よく知らねぇが確かフィアンマを抑えられるくらいの技術はあるんじゃなかったのか?」

垣根「木原数多と戦っていた時も能力使用時と同じような症状が出ていたし」

唯一「あれはまたまだ未完成ですからね」

唯一「コストが高い上に死の危険までは付加できなかったみたいです」 

唯一「しかも、起動中していないと意味が無いのですよ」

唯一「それに対し、こっちは死の危険はまあまあありますし、もう既に一人サンプルがいます」

唯一「コストもかかりませんし、ほぼ技術としては完成しているんですよ」

唯一「あとは強い能力が発現しないようにすれば完璧なんです」


垣根「ははーん、つまりフィアンマがあの時倒れた原因はてめえだったってわけか」

垣根「アレルギーでも何でもなく、能力が発現してるってのに、魔術を行使してしまったせいだった」

唯一「まあ、正しくは私が紛れ込ませた薬のせいですけどね」

唯一「思ったより強めの能力が発現したのでかなり驚きましたよ」

垣根(やっぱりある程度は把握してるってことか)

唯一「身体測定なんてしてませんでしたから予想も出来ませんでした」

唯一「その辺は要研究ということでしょうね」

唯一「さぁ、答えてくれますか?」

垣根「……ますます答えるわけにはいかなくなった」


垣根(俺の告げ口のせいで何かあったら花女に顔向けできねぇもんなぁ)

垣根(ただの風紀委員の女から二度も奪うってのはさすがに気が引けるし)

唯一「いいんですか?」

垣根「ああ、構わねぇ」

垣根「だが、このたいやきは貰っちまった」

垣根「一応たいやきに関してはありがてぇと思っているからここは穏便に済ませてやる」

垣根「だから、さっさと失せろ」ギロ

唯一「はあ、穏便に済ませてあげようと思ってたのはこっちなんですが……」

垣根「んだって?」グラッ

唯一「手を組まないないのなら、詳細を聞いてしまったあなたがいても邪魔なだけなんで」

ここまでです!
いつも乙ありでーす!


垣根「くそっ……」

垣根「睡眠薬、か……?」ドサ

唯一「特定の感情が強く表れると効果を発揮するタイプです。面白いでしょう?」

垣根「俺が、味で……気づかねぇと……は」

唯一「頑張って作りましたからね」

唯一「味で気づかれるような睡眠薬なんて使い物になりませんよ」

唯一「というかそんなのは数世代前の代物ですよ」ニコ-

垣根「……はっ、忘れたのか? 俺はこの世に…ねぇモノを……作れるんだぜ?」

唯一「厄介ですよね。でも薬の成分を解析している間に眠りに落ちるって構図ですよ」

唯一「ということでま、解析の邪魔を兼ねた会話でもしましょうか」

垣根「……くそ……」


唯一「どうです? 今話してくれても全然構わないんですけど」

垣根「ちっ、さすが木原ってか……油断した馬鹿な俺を……責めたい気分だ」

唯一「油断してることくらい分かってるんで。読んでのことですよ」

垣根「ともかく……俺は話す気はねぇよ」

垣根「……あとそのたいやきは持ち帰れ」

唯一「あ、大丈夫ですよ。他のたいやきは薬入ってない市販のものなんで」

垣根「……そうか」

垣根(俺が食べるたいやきまで読んだのかよ……ヌけてやがる)

垣根「だが……レベル5を舐めてもらっちゃ困る」バサッ

垣根「いくら眠くたって……俺が寝る前に……お前を潰せばノープロブレムだ」

唯一「……なるほど、自分の都合で皆を巻き込むのですか?」

唯一「いろいろ経て変わったと思ってましたが、そうではないみたいですね」


垣根「……ちっ」

垣根「……他の奴には手を出すんじゃねぇぞ」

唯一「わぁ、随分と柄にも無いことを……」

垣根「心配するな、自覚はある」

唯一「手を出さないことは約束しましょう。ですがフィアンマは別ですねー」

唯一「なにせ実験対象ですし」

垣根(どうすればいい?)

垣根(手を出すなとは言ったが今まで聞いた噂的に上条辺りに俺が失踪したと気づかれたら勝手に首つっこみそうじゃねぇか)

垣根(一方通行、フィアンマは危うきには近寄らず、を徹底するだろうが)

唯一「ふんふーん」カリカリ

垣根「てめぇ、何してんだ?」


唯一「まあ、失踪したことに違和感を持たれないような理由を書いてるんですけどね」

垣根「なんて……書いたんだ……」

唯一「実験協力」

垣根「そんなんじゃ……一方通行辺りに気づかれる」カリカリ

唯一「別に彼なら気づいても何もしないと思いますけどね」

唯一「そういう人間でしょう?」

垣根「万が一も潰さねぇと……おちおち寝てもいられねぇ……」

垣根(睡眠薬の解析が進まねぇ……)グラ

唯一「そろそろ本格的に眠くなってきた頃ですか」


垣根「なら……最後に一個食うか……」ゴソゴソ

唯一「どうぞー? 暫く動けなくさせてもらいますからね」

垣根「……」ゴソゴソ

垣根(気付けよ……)

唯一「オススメは抹茶カスタードですよ」

垣根「いや……俺はあえて……チーズクリームにする」サッ

唯一「そうですか?」

垣根「珍しい味もたまには……いいだろ?」スッ

唯一「それは同感です。そういうことありますもんね」

垣根「……」バタッ

唯一「ああ、回収しないとですね」ハァ

ここまでです。
乙ありです!


………………………


黒子「ジャスト一時間、終了ですの」カチッ

一方通行「よォやく終わりかァ。面倒なモンだァ」

美琴「んじゃ、今日の仕事はおしまいってことね」

佐天「んー、歩いた歩いたー」ノビ-

初春「ふー、一時はどうなることかと思いましたよー」

一方通行「ンなことねェだろ。もう少しガツンとやっても悪くねェ」

初春「いや、風紀委員がいる前でそのようなことを許すはずがないですから!」

黒子「ええ、同感ですの」

フィアンマ「お前に言う資格はないからな? ですの女」

黒子「……蹴り飛ばしてしまった手前、反論できませんの……」


佐天「白井さんがこんなに反省してるって珍しいですね」

初春「そうですよねー。大概いつも私が叱られる立場なんで」

美琴「えー? そう? 黒子もそういうこと多いよ?」

美琴「誰に叱られたってわけでもないけど、日々反省は怠ってないと思うよ」

佐天「ですって、白井さん」

黒子「お、ね、え、さ、まー!!」ダキッ

美琴「このっ、離れろ!!」ビリビリ

黒子「ふがぁっ!」

フィアンマ「いつものように今日の件もきちんと反省してくれよ?」

初春「フィアンマさんもですからね!」

フィアンマ「む……まあ考えておくとしよう」


一方通行「一時間っつったクセに歩いたあとにまた歩いて病院に戻る……」

一方通行「結局一時間以上歩いてンじゃねェか」

フィアンマ「全く、そのとおりだ」

一方通行「という改善を求める言葉も後ろで談笑している奴らには届かねェ」

佐天「あ、そうだ、初春ー」

初春「なんですか?」ポチポチ

佐天「帰りセブンスミスト行きたいんだけどいいかな?」

初春「んー、さっさと決めてくださいね?」

初春「予定ありますから」ポチ

佐天「了解了解、分かってるよー」


ピロリン

フィアンマ「ふむ……」ポチポチ

一方通行「……」

黒子「……さて、病院到着ですの」

美琴「じゃ、私たちは帰るかな」

美琴「みんな、お疲れさまー」

美琴「黒子、帰るわよ」

黒子「あうう、今日は風紀委員ですの……」ズーン

美琴「そ、そう」

佐天「じゃ、私たちも行こっか!」

初春「はい」

初春「それではさようなら、フィアンマさん、一方通行さん」タタッ

フィアンマ「ああ。また」

一方通行「……」

いつの間にか週一に……申し訳ないです
乙ありです!


………とある病室前………


フィアンマ「ん? 土御門と絹旗がいないな」

一方通行「……これで外出しやすくなったってモンだァ」

一方通行「気にすることじゃねェだろ」

フィアンマ「……まあ、そうか」

フィアンマ「気になるなら垣根のやつに聞けばいいだけだからな」

一方通行「だな」

一方通行「あ、そォだ……」

一方通行「俺様が帰ったぞー、は言うなよ?」ガラガラ

フィアンマ「フリか? それには乗らないのが俺様クオリティだ」ガラガラ


一方通行「言わねェンなら何でもいいけどなァ」

フィアンマ「それはそれは……あれ、垣根はどうした?」

一方通行「トイレでも行ってるンだろ」

フィアンマ「……いや、違うみたいだ」ピラ

一方通行「何だァ? 仕事へ行く、しばらく帰らない、だって?」

フィアンマ「仕事へ行くって暗部のか」

一方通行「しばらく帰らないって書いてあるしそうだろォな」

一方通行「だからわざわざあの二人を潰してったのか」

フィアンマ「そうか……納得だな」

フィアンマ「ところて俺様も少し出かけたいんだがいいか?」

一方通行「あァ、勝手にしろ」

フィアンマ「すまないな」ガラガ

一方通行「ちょっと待て」


フィアンマ「なんだ?」

一方通行「たいやきらしきモンが置いてあンぞ」

フィアンマ「……だからどうしたんだ? 垣根のじゃないのか?」

一方通行「こっちも紙が付いてンだ……」ピラ

一方通行「あまり甘いもンは好みじゃねェから、二人で食べてくれて構わねェだとよ」

フィアンマ「そうか。だが俺様は割と急いでいるから後で」

一方通行「持ってけばいい」

フィアンマ「は?」

一方通行「アレだろ? 初春とかいうガキのところ行くンだろォ?」

フィアンマ「っな、なんでそれを!」

一方通行「さっきメールしてたじゃねェか」

一方通行「基本的に女は甘い物好きだと聞くし、喜ぶンじゃねェの?」

フィアンマ「はぁ……お前はいいのか?」

一方通行「俺も甘いものはあまり好きじゃねェ」

フィアンマ「そうか。それならお言葉に甘えて」ガサ

ちょびっと……
乙ありー


………風紀委員詰所 一七七支部………


フィアンマ「ということなんだ」ジャン

初春「おお! ありがとうございます」

フィアンマ「礼なら垣根に言え」

初春「垣根?」

フィアンマ「あー、俺様と一方通行と同じ病室にいる男だ」

初春「へぇ、今度お礼に行かなきゃですね」ニコニコ

フィアンマ「それはいい。今は留守にしてるからな」

初春「病院を留守にすることなんてあるんですか?」

フィアンマ「現に俺様は留守にしてるしな」

初春「そ、そうですけど」


フィアンマ「そんなことより、食べないのか?」スッ

初春「じゃあ……無難にカスタード貰いますね」ガサ

フィアンマ「ああ、俺様は……あんこ、日本っぽいものを体験してみようか」ガサ

フィアンマ「……ふむ、美味いな」パク

初春「……本当だ! 美味しいですね」モグモグ

フィアンマ「ただ少し冷めてしまっているのがもったいなかったな」

初春「いえいえ、冷めててもおいしいのが学園都市製法ですよ!」

フィアンマ「そうなのか?」パクパク

初春「ええ!」モグモグ


フィアンマ「……なぁ」チラッチラッ

初春「なんでしょうか?」モグモグ

フィアンマ「カスタードも気になるんだが」

初春「へ? じゃあ食べます?」チギ

フィアンマ「いや、ちぎる必要はない」

フィアンマ「代わりに俺様のあんこもやるから一口だけ交換しないか?」

初春「えええ? えーえーえー? えええ?」

フィアンマ「モールス信号か?」

初春「ここっ、交換するんですか!?」

フィアンマ「そう言っている。一口だけだから良いだろう?」

初春「は、はわわ」

フィアンマ(なんでこんなに顔を赤くしているんだ? 風邪かなにかか?)


初春「かかっ、間接キスじゃないですか!!」

フィアンマ「間接キス? 良く分からないんだが……」コンワク

初春「え」

フィアンマ「そこまで嫌なら強要はしないが……」シュン

初春「いえいえいえいえ! 全然大丈夫ですよー? バッチコイです」

フィアンマ「おお! 良かった」スッ

初春「は、はいっ!」スッ

フィアンマ「もぐ……ふむ、あんことは違った甘さだな」パクパク

初春「……はわわ」フルフル

初春(い、勢いでバッチコイとか言っちゃったけどどうしよう……)

初春(間接キスだなんて……恥ずかしいです!!)


フィアンマ「……食べないのか?」

初春「い、いえ、食べますよぉ」

フィアンマ「大丈夫か? 声の調子がおかしいぞ?」

初春「い、いただきます!!」パクッ

初春(か、関節キスしてしまった!!!)カアアアア

フィアンマ「どうだ、どうだ?」ワクワク

初春「あ……美味しい」モグモグ

フィアンマ「だろうな。俺様の目に狂いはない!」

初春「……ありがとうございます」スッ

初春(す、すごく緊張しました……)

フィアンマ「そうだ、ですの女とかにやるか……」チラ

初春「え、白井さん!?」


黒子「んにゃ! なっ、なんでバレてるんですの!!」

固法「邪魔しちゃダメよ。いい雰囲気なんだから」

固法「私たちは空気に徹するの」

黒子「いや、何故かバレてるんですの!」

佐天「初春、私はまだまだみたい」

ここまでー
乙ありですー!


初春「い、いつから!!」

フィアンマ「初めからこのたいやきを狙っていたのか知らないが、そこでじっと見てたぞ?」

初春「~~~!! どおりでみんな静かだったわけですね!」

固法「ってあれ? 気づかれちゃったか」

黒子「ごっ、ごめんなさいですの」

黒子「邪魔するつもりはなかったんですけど」

佐天「……こりゃ追いつけないよ」

佐天「もうなんでもおごっちゃる!」


初春「佐天さああああああああああああん!!!!!!」カァァァァァ

黒子「とりあえず私たちは」

固法「たいやきだけもらって」ゴソ

佐天「空気に戻るので」

黒子「引き続きどうぞ、ですの」

固法「こっちは気にしないでいいからね」


初春「はわわわわ……」

フィアンマ「さてと、腹ごしらえもしたし、そろそろ講座をってお前、大丈夫か?」

初春「大丈夫です!!」ビシ

フィアンマ「そうか……ってもう空っぽじゃな――」ガサ

初春「どうしたんですか?」

フィアンマ「いや……何でもない」

フィアンマ(垣根の筆跡か……?)

フィアンマ(クリームで、はんにんはゆいいつ……だと?)

フィアンマ(どういうことだ……?)

初春「……? 大丈夫ですか?」

フィアンマ「ああ。さっきは俺様が聞いたのに今度は逆に言われるとはな」

初春「あ、そうですね。でもなんだか顔色が悪かったんで」

フィアンマ「そうか? いつも通りだと思うんだが……?」

フィアンマ(とりあえず、花女にはばれないように気を付けないとならないな)ゴソ

フィアンマ(何となくまずい臭いがする)


初春「……でここはこうなるんです。まあこの程度じゃやりごたえ無いと思いますけど……」

フィアンマ「……」

初春「フィアンマさん?」

フィアンマ「あ、ああ、悪かった……」

初春「考え事、ですか?」

フィアンマ「まあ、そんなところだ」

初春「……」

初春(さっきからフィアンマさんどうしたんだろう?)

フィアンマ「ちょっと今日は気持ちが乱れて集中できないから今度でいいか?」


初春「え、ええ。私はいいですけど……」

初春「病院まで送りましょうか?」

フィアンマ「……ああ、じゃない!! その必要はない!!」

初春「いやいや、学区内の見回りも兼ねて、ですから」

初春「それに皆さんに安全を提供するのもお仕事ですから」

フィアンマ「でもな……俺様は大丈b

黒子「行ってらっしゃいですの!」

佐天「いってらー、初春、しくじるなよー」

固法「頑張れ!」

初春「……皆さんも大丈夫だって言ってもますし」ウウ

フィアンマ「そうか、それならお言葉に甘えて……」

ここまで。
乙ありです!


……………………

唯一「お疲れ様です」

部下「ここに放り込めばいいんですよね」ズルッ

唯一「ええ。ですが、後で女の子も追加するので、あまり汚さないでください」

部下「まあ、寝てるから大丈夫……かと」

唯一「あと……ジャマーの出力は最大にしておいてください」

唯一「超能力者ですから」

部下「了解です」

唯一「それでは任せます」

唯一「あ……あと、それを逃がしたら、始末書では済まないので。そのあたりは覚えておいてください」

部下「は、はい」


唯一「さて……」

唯一(垣根帝督はきちんと監禁した……)

唯一(フィアンマの能力稼動状況も良好)

唯一(そして、感情的に動きやすくなっていることも確認)

唯一(後は、フィアンマの心の柔らかい部分をつついてやれば……)

唯一(そのための材料も十分)

唯一(人質で揺すって『魔術』について、能力との関連……)

唯一(そして、第二位も調べていた世界の違和感の正体を浮き彫りにしてみせましょう)


………………………

一方通行「っ……寝ちまってたか」

一方通行「あー、悪い夢見たみてェだな……気分まで悪ィ」ハァ

一方通行「はあ、コーヒーでも飲ンで頭冷やすか」ムク

一方通行「……」スック

一方通行(今何か見えなかったかァ?)チラ

木原「……」

一方通行「て、テメェ……」

一方通行「いつの間に起きたンだ……」

木原「いつって? いつかねぇ」

木原「まぁ、テメェがすやすや寝てる間ってのは確かだわな」

一方通行「……このタイミングで起きるなンて、木原くンも不幸だなァ」

一方通行「幸い誰もいねェし……」コキコキ

一方通行「思いっきり暴れられるぜェ!!」


木原「っるせーな、ガキが」

木原「俺たち大人ってのはテメェらみてぇに暴れてぇから暴れるなんてことはしねぇんだよ」

木原「まあ、ぶち殺したくて仕方がねぇが」

一方通行「あ? 寝言は寝て言え」

一方通行「前の襲撃は何だったンだァ?」

一方通行「あれはどう考えてもテメェのために暴れてンだろォが」

木原「まあ、あれはそう思っても仕方がねぇか」

木原「実験動物でしかねぇテメェらガキにはそんな裏事情まで汲み取る能力はねぇわな」

一方通行「はァ? 煽ってンのか?」

木原「えーと、今は計画のどの段階だ?」

一方通行「あ?」


木原「あー、悪いなぁ。知ってるわけねぇわ」

木原「なら、まあ、俺も話すわけにはいかねぇわ」

木原「気になるだろ」

一方通行「別に」

木原「あっそう」

木原「だが、面白くするために独り言でもさせてもらうぜ?」

木原「右方のフィアンマは木原唯一に狙われてるってな」ニヤ

一方通行「だからどォした」

一方通行「俺がヤツのために動くとでも思ってンのか?」

木原「さぁ? その情報をきちんと使えるか、そこはテメェ次第ってわけだ」

ここまでー!
乙ありです!


………………………

フィアンマ「……」スタスタ

初春(……フィアンマさん、やっぱりおかしいです)

初春(大丈夫なのかな……)

初春「あー、そういえばなんだかんだ言って、お見舞い行くのって初めてですね」

フィアンマ「そういえばそうだったな……ん? 見回りじゃないのか?」

初春「う、お見舞いしてから見回りしますから」

初春「……えっと、一方通行さんとかも居るんですか?」

フィアンマ「ああ、いるはずだ」

フィアンマ「俺様と一方通行、と、今は……留守にしている垣根、今は昏睡状態の木原数多の四人だ」

初春「……今は何とかって人が多いんですね」

フィアンマ「あー、確かにそうだな」

フィアンマ「結構濃いやつばっかりだから、そうなってしまうのは仕方がないんだろうな」

初春「ははは……会うのが楽しみですね」

フィアンマ「うむむ、会話ができるのは一方通行だけだがな」


フィアンマ「ところで」

初春「なんでしょうか?」

フィアンマ「風紀委員ってどんな仕事をしているんだ?」

初春「え? 唐突ですね」

初春「でもジャッジメントに興味があるんですね! ならば紹介しましょう!」

フィアンマ「あ、ああ」ヒキ

初春「基本は落し物の管理や迷子のお世話とかで、暴走能力者の捕縛……はあまりないですね」

初春「事件発生時の避難誘導とか事件捜査の協力とかはたまにありますけど」

フィアンマ「結構多岐にわたるって感じだな」

初春「ええ。特に迷子は多いですね」

フィアンマ「……自分の居場所がわからなくなることはないのか?」

初春「それは携帯のGPSを使えば大丈夫です……または支部に連絡とって居場所を確認してもらうとか?」クビカシゲ

初春「まあ、基本的に道は暗記してますけど」


フィアンマ「そうか……それは風紀委員として必須能力なのか?」

初春「ええ。試験にもあった気がしますよ」

フィアンマ「おお……そんな面倒な試験よく受けようと思ったな」

初春「面倒ですか? 実際筆記試験よりも実技試験の方が大変ですよー」

フィアンマ「……だな。運動できなそうだしな」

初春「なっ、フィアンマさんも人のこと言えませんよ!!」

フィアンマ「う、確かに鍛えてはないけどな?」

フィアンマ「俺様はこれでも成人男性だ。平均的な体力はあるはずだ」

初春「そうですかー? 少し疑っちゃいますね」

フィアンマ「……いいだろう……そこまで言うなら俺様の実力を見て驚くといい」ドヤ


初春「……はぁ、良かった」

フィアンマ「ん? 何か言ったか?」

初春「いえ、フィアンマさんがいつも通りになったからよかったなーって」

フィアンマ「……それは心配をかけてしまったみたいだな」フム…

初春「いやいや、確かに心配しましたけど、またテンション下がられたら困りますよ」

フィアンマ「……大丈夫だ。これでも俺様は大人だからな。その辺りは心得ている」フン

初春「そうですかー? 若干テンション下がってたような気がしますけど」

フィアンマ「……下がってないぞ」

初春「ならよかったです」

初春「……先生は心配でしたから」


フィアンマ「先生?」

初春「はい。だって私はフィアンマさんのパソコンの先生ですからね!」フフン

フィアンマ(ふむ……なるほどな)

フィアンマ(たまには付き合ってやるのも悪くないか)フフ

フィアンマ「そうか。先生に心配をかけてしまうとは俺様としたことが、ダメダメだな」

初春「そうですよ」

初春「だから困ったことがあったら私に相談してください」

初春「ちゃんとした答えが出せなかったりするかもしれませんけど、私はフィアンマさんの味方ですから」

フィアンマ「…………」

フィアンマ「ふふっ、俺様の……味方か」

フィアンマ「それはいいな。味方……味方なぁ」クツクツ

初春「どうしましたか?」

フィアンマ「そんなことを言う奴は今までいなかったよ」

初春「今からはいますよ。先生は生徒の味方なんですから」

おつ、ほしゅありがとうございます。

とりあえず、最後まで流れはできているので完結させられるよう頑張りたいです。

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