少年「じゃんけんしよう」(14)

じゃんけんネタで短いの書く

「「じゃんけんぽん!」」

「「あいこでしょっ!」」

どんな人でもやったことがあるだろう。
子供の遊びの1つであるじゃんけん。

おにごっこの『おに』を決める、給食のデザートを掛けた闘い、その他色々な場面で用いられてきたじゃんけん。

そのじゃんけんが今、2人の少年の間にて行われていた。

「「あいこでしょっ!!」」

またしてもあいこ。
これで67回連続であいこである。
確率が物凄い事になっている。

「はぁはぁ…。 ひ、久しぶりだぜ…!こんなに歯ごたえがある奴とやり合うのは。」

片方の少年が言う。

もう片方も応える。

「ふっ、光栄だね。僕も本気を出したのは久しい。周りに落ちている有象無象の様にさっさっと片付けてしまえと思っていたが。」

見ると彼等の周りには十数名程の戦士達が倒れていた。
この2人の強者の闘いについて行く事ができなかった者達だ。

「ううっ…。畜生。」

「ば、バケモンだ…。」

事の発端は卒業式後クラスで集まった時の事である。


クラスメイト、仲の良かった者同士各々何処の中学校に行くだの、ずっと友達だのと和気藹々と話していた。
抱擁し合う者達もいた。

そこで誰かが言ったのである。

「今こそ『さやかちゃん』に告白する権利者を決めようではないか。」と。

さやかちゃんとはクラスのアイドル的存在である女の子の事である。

兵(つわもの)達は立ち上がった。

威風堂々と。

かくして、この闘いの火蓋が切って落とされたのである。

様子見

>>7

ありがとう
かなり短いからちょっとずつ投稿する

1人、2人と脱落して行く者達。

負けまいとなんとか食らいついて行く者達。
だが結局最後まで立っていられた者は2人。

かくして今に至る。

「そろそろ決着を着けようか。」

心なしか少年の背中にオーラの様なものが見えた。

もう片方からも感じられた。

「そうだな…!」

この時この場に居た者であれば分かっただろう。
次の一撃で勝負が着くと。
少年は言った。

「…俺、次はパーだすぜ。」

相手を動揺させたりするのに有効な一手だ。
対する答えは…。

「そうかい?なら僕はチョキを出そう。」

『僕の考えが正しければ奴はグーを出す。
奴はそういう浅はかな奴だ。』

『…とかあいつ思ってんだろうな。甘いんだよ!俺は更に上を行くぜ? パーを出す!』

…。

…?

…!

互いの読み合いが終わったようだ。

「「じゃんけんぽん!!」」



「やっどぉぁぁぁあああああああ!!!!!」
少年は歓喜した。
あれだけあいこが続いたのだ。
勝利がより一層嬉しいだろう。

「そんな馬鹿な…。お前はチョキをだすんじゃ…?」
敗れた少年はグーを出した。

「あぁ、最初はチョキの積もりだったんだけどな。お前と心理戦やったって勝てないから宣言どおりパーを出したんだ。」

敗れた方の少年は頭を垂れた。

「…ふっ。策士策に溺れるとはこの事か。お前の勝利だ。権利はお前にある。」

勝利した少年は言った。

「ありがとな。…じゃ、行ってくる。」

「さやかちゃん!」

さやかと呼ばれた少女は友達と話すのを止め、少年に近づいた。

「どうしたの?」

緊張からだろう。
震えて上手く喋れなくなっているようだ。

「あ、あのさっ」

「あっ!! ちょっとごめんね! お兄ちゃぁん!」

さやかは兄に抱きついた。

「今日は立派だったな、さやか。」

「うんっ! お兄ちゃん来るって言ってたからぴしってしたの!」

少年は悟った。
この少女には好きな人が居る。

「そうか、偉いなさやかは。」

頭を撫でられトロンとした顔になる少女。
もう既に少年の事など頭に無かった。

「ねぇ、お家帰ったら遊ぼ?」

「うーん、宿題少しやらないといけないしなぁ。」

「やだ!お兄ちゃんと遊ぶ~!」

「しょうがないやつだ。」
歩き去って行く2人。
それを見つめる少年。
更にそれを終始見ていた十数名。

なんともやりきれない結末であった。

かくしてとある小学生達の卒業式は終了した。

これで終わりです。

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