妹「百合に染める」姉「染まらないから」 (332)

姉妹百合
思いつくままに


姉「今日は燃えるゴミの日なのだが」

妹「知ってるよ」

姉「雑誌が挟まっていた」

妹「雑誌?」

姉「ほら」

ピラッ

妹「ほんぬ?!」

姉「ほんぬ? 中、見せてもらったけど、こういうのが好きなのか?」

妹「こ、こういうのってどういうのさ」

姉「言って欲しいの?」

妹「や、やめてください」

姉「私も言いたくはない。母さん達にバレたら何を言われるか。時に、妹は女の子が好きなの?」

妹「女の子が好きというか、女の子がじゃれあってるのが好きなの」

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きたい

姉「……?」

妹「何を言ってるのか分からないって顔をされるのが一番傷つくなあ」

姉「別に、人の嗜好をどうこう言うつもりはない」

妹「ないなら、どうして藪に手を突っ込んでわざわざヘビを出そうとするのさ」

姉「自分の妹だから悩んでる。これ」

ピラ

妹「そ、それは……ア○雪の」

姉「姉妹愛?」

妹「そ、そうそう」

姉「女なら誰でもいいの?」

妹「違うよ! 私は」

姉「あ、その先は言わなくていいから」

妹「なんで!?」

姉「だいたい察しがつくから」

妹「言わせてくれてもいいじゃん!」

姉「ノーセンキュー」

これは期待

妹「というか、ちゃんと中身見た? 見てもないのに、良し悪しつけないでよ」

姉「良し悪しも何も、興味ない」

妹「分かった、じゃあ一緒に見よう」

姉「どうしてそうなるのか」

妹「いいから、ちょっと部屋に来て」

グイ

姉「犯される」

妹「そう言うんじゃないから! お姉ちゃんは、百合を勘違いしちゃってるよ」

姉「勘違い?」

妹「そうだよ。だから、ちゃんと教えてあげるから」

グイッ

姉「これから、友達と約束が」

妹「まだ時間あるでしょ」

姉「どうして、私の予定把握してるの」

妹「き、昨日電話の内容が聞こえただけだよ」

姉「友達には手を出さないで」

妹「そ、ん、な、こ、と! し、ま、せ、ん!」

姉「ほ、ん、と、で、す、か?」

妹「そ、こ、ま、で、う、え、て、ま、せ、ん!」

姉「さ、よ、う、で」

妹「疲れる」

姉「うん」

妹「それに、直接手を触れないの。百合は妄想。現実にない儚さとかもどかしさを楽しむの」

姉「……」

妹「興味湧いてきた顔?」

姉「妹に呆れた顔」

妹の部屋

姉「すぐに終わる?」

妹「終わらない」

姉「帰る」

ガシッ

妹「ま、待ってじゃあ厳選するから」

姉「はあ」

妹「えっと、何かいい教本は……。あ、これ、いいよ。都会から田舎町に夏休みだけ遊びに来た子どもと、からくり人形の話」

姉「それはどういう部分で百合なの?」

妹「それは、読んでからのお楽しみ」

姉「読ませる気?」

妹「うん」

姉「分かった。それだけね。それ以外は読まないから」

妹「えー」

姉「じゃ、借りてくわ」

妹「どうして?」

姉「友達と一緒に見る」

妹「私の趣味晒さないでよ?!」

姉「友達の方が、たぶんこういうのに理解がある」

妹「ほんと? ちょ、ちょっと読み終わったら呼んでよ」

姉「なんで」

妹「その友達と語り合いたい」

眠すぎるんでここまで

おつ
きたい

きたい

>>7
に出てくる元ネタってなーんだ?

姉のキャラが最高にいい

百合に染まる姉期待

>>11
『なつゆらぎ』という漫画です

くっ…電子化されてないのか…

姉「一応、友達にさりげなく伝えてみよう」

妹「やったあ! うほほほほ!」

クルクルクル

姉「嬉しそうだね」

妹「だって、周りに分かってくれる人いないんだもん」

姉「そもそもなんでそうなった?」

妹「始まりは、確か……お姉ちゃんと家の倉庫の掃除してた時だったかな」

姉「ふんふむ」

妹「何かの拍子で、扉がしまってさ、出れなくなったよね」

姉「うん」

妹「冬の寒い時だったから、倉庫の中も冷えて暗くて怖かったんだ。でも、お姉ちゃんが後ろからこうぎゅっと……」

ぎゅ

姉「苦しい」

妹「ぎゅっとしてくれて、『大丈夫、大丈夫』って言ってくれてさ……もう、ね、これ、惚れざるおえないよね?! ね!?」

姉「妹」

妹「お姉ちゃん!」

姉「全く覚えてない。ごめん」

妹「ですよね!」

>>15
古い本だからね
売ってしまったから手元にないけど
探せば、感想サイトあるよ

なんだ妄想かと思った

姉「あと聞きたいことがあるんだけど」

妹「なに?! なんでも聞いて」

姉「さっきから、百合って言ってるけど、百合って、なに。私と百合と何が関係するの?」

妹「ああ?! そこからか! お姉ちゃん、基本的にノーマルだもんね!」

姉「ノーマル? 妹、分かりやすく言って」

妹「だから、広義の意味だけど男の人が好きってことだよ。逆に同性が好きならアブノーマル。ま、こんなの些細なことだけどね。愛に性別は関係ないし。今、言ったことは忘れてくれてもいいよ!」

姉「私は、そういう恋愛とか疎いから誰が好きとかって言うのはよく分からない」

妹「え、そうなの? 真っ白いキャンバス状態?」

姉「?」

妹「美味しいなあ」

姉「それで、百合って」

妹「あ、うーん、女の子と女の子がそこに二人以上いれば、百合なんだよ」

姉「じゃあ、私と妹のこの状況は」

妹「間違いなく、百合認定降ります」

姉「それは誰がどういう基準で下すの?」

妹「別に誰ってこともないけど。しいて言うなら、その関係にときめくものを感じた周りの人達かな」

姉「つまり、当事者の意思とは無関係ということ?」

妹「うーん、難しいけど、当事者の意思とは無関係に成立してしまう百合もあるよ」

姉「はた迷惑な話だ」

妹「お姉ちゃん、でもね、これだけは知っておいて欲しいの。愛がない所に百合は生まれないんだよ」

ギュ

姉「鼻息荒い」

妹「おっと」

姉「別に妹のことは嫌いではないけど、かと言って周りからときめいて見える関係かと言うと、それは疑問」

妹「じゃあ、お姉ちゃんの友達に聞いてみようよ」

姉「何を言わせる気か」

妹「姉妹百合に見えますかって」

姉「もし見えた場合、今後の友達との付き合い方を要検討しなくてはいけないな……」

妹「もお、固く考えないでよ」

ピンポーン!

姉「ん、来たかな」

トタタタタ

姉「はい」

ガチャ

友達「こんにちは」ペコ

姉「ああ、どうぞ」

友達「これ、良ろしければご家族の方で食べてください」

ヒョイ

妹「あ、これ京都の有名な抹茶プリン……」

姉「こら」

妹「えへへ、ごめんなさい」

友達「妹さんですね。いつもお話聞いてますよ」

妹「え、そうなの」ドキ

友達「いかがわしい本を読んでるとか」ニコ

妹「お姉ちゃん、何ぶっちゃけてるの!」

姉「しー」

友達「あ、ごめんなさい。ふふふ」

姉「これから気をつけてくれればいいよ」

友達「はい」

妹「もう手遅れだから!」

友達「確かに、妹さんはもう手遅れかもしれませんね」

妹「さらっと、酷い!」

友達「あ、ごめんなさい」

姉「悪気はないんだ」

妹「それは分かるよ。嫌いじゃないもん」

友達「まあ、口癖がそっくり」

妹「?」

友達「嫌いじゃない、ってお姉さんもよく言うんですよ。『妹が、いかがわしい本を読んでいるんだが……まあ、嫌いじゃない』」

姉「待って。今、色んな会話を全部すっ飛ばして結論に飛んだな?」

妹「お姉ちゃんの友達、めっちゃキャラ濃い」

姉「私の周りにはまともな人間がいないようだ」

妹「そんなことより、本題に入ろうよ。ほら、これ」チラ

グイグイ

姉「そもそも、二人で勉強をするというのが本題だったんだが」

友達「それは?」

姉「いかがわしい本」

妹「違うもん! 健全!」

姉「妹が、どうしても読んで欲しいと言うんだ。一人で読むのは少しためらいがあるから、友も一緒に読んで欲しい」

友達「かまいませんよ」

妹「読み終わったら感想聞かせてね!」

トタタタ

姉「ごめん」

友達「いいえ。私、小さい子ならなんでもいけるので」ニコ

姉「そうなのか」

友達「はい」ニコ

姉「私は、世間を知らなすぎるのか……」

友達「そうですね。人は一辺の線ではないので、多角的視点は必要かと思いますよ」

姉「ふむ」

友達「それは、姉さんにも言えることなのでしょうね」

姉「固定観念と言うのが邪魔してしまって、妹の言いたいことがいまいち理解できないんだ」

友達「では、答えはその本にあるかもしれないのですね」

姉「うん」

友達「では思惑通りにしてあげましょう」

姉「友はほんと人間できてるよね」

友達「そんなことありませんよ」ニコ

姉の部屋

ペラ

姉「……」

友達「……」

ペラ
ペラ
ペラ

姉「読むのはや」

友達「あ、ごめんなさい」

姉「二人で一つの本を見るのはさすがに大変だな」

友達「初めてするので面白いですけどね」

姉「そうか?」

ペラ

友達「そう言えば、この主人公の子誰かに似てませんか?」

姉「誰に?」

友達「……勉強ばかりで、趣味も無くて、あまり笑わない」

姉「そんな人、クラスにいた?」

友達「いた、ような気がします」

姉「そのうち思い出すかもな」

ペラ

友達「あら」

姉「人にしか見えないな」

友達「そうですね」

姉「こういうのが好きなんだっけ」

友達「ええ。こういうジャンルもいけます」

姉「色々あるんだ」

友達「一番好きなのは、お利口そうなのにメンタルの弱い子ですけどね」

姉「あ、うん」

30分後――


姉「肩凝った」

コキ

友達「読後感の爽やかな良いお話でしたね」

姉「それでだ、そこで扉の隙間からずっと見ていた私の妹に」

ガタタッ

姉「……」

友達「……」

姉「これが百合だと言われたんだ。友になら分かるかと」

友達「分かりますよ」

ガチャ!
バン!

妹「嬉しいです!」

友達「女の子が女の子の心を動かせば、もうそこに愛が生まれ、百合になるのだと思います」

姉「はあ」

友達「この漫画の女の子は、自然や人と触れあうことに最初こそ魅力を見出せませんでしたが、もう一人のヒロインである人形の純真な行動を通して心が動き出していったのです。それが、この漫画の百合になります」

妹「はい! はい! そうです!」

友達「言葉で語ると薄っぺらく感じてしまいますね。こういうのは、フィーリングの方がむしろ大切なのでしょうね」

妹「友さん、友さん!」

友達「どうされましたか?」

妹「もしかして、百合好きさん?」

友達「ああ、いえ。私はショタ、ロリ専門です」

妹「残念です!」

友達「ふふ、なのでお姉さんをとったりしないので安心してくださいね」

妹「え、あ、そのその……」コク

姉「確かに、この女の子が田舎の生活を通して心を成長させていったのは分かった。道徳や情操教育のようなものじゃないのか。子どもの頃に大切にしないといけないものや、大人になってから忘れちゃいけないものを思い出させてくれるんだろう」

妹「そういう視点で見るってことは、やっぱりお姉ちゃんはまだこっちの世界の入り口にすら辿り着いていないみたい」

友達「お勉強ばかりですから、この際何か趣味を見つけてみては?」

姉「私は別に今のままでもいいけど」

妹「でもさ、日曜日にやることが勉強で、学校から帰っても勉強で、お母さんの言うこと聞く良い子で、そんなのつまらないでしょ!?」

姉「妹はよく母さんと喧嘩するよね」

妹「私は色んなことをしてみたいんだもん。お母さんの言われた通りになんてできない」

姉「知らず反面教師になっていたのか……」

友達「私も、姉さんはとても真面目なのでどこかでパンクしてしまわないかと思っていましたから、良いガス抜きになるのでは」

姉「そんな風に見られていたとは」

妹「この際ぱーっとさ」

姉「うん」

妹「ぱーっと……思いつかないけどさ」

姉「思いつかないのか」

友達「ぱーっと、妹さんともっと仲良くなればいいじゃないですか。きっと新しい世界が見れて楽しいと思いますよ」

姉「他人事だと思って」

友達「もっと姉さんに笑って欲しいだけですよ」

妹「だよね。お姉ちゃん全然笑わないもん」

姉「コメディ番組見て笑ってるけど」

妹「そういう意味とちゃいます!」

姉「はあ」

妹「ね、お姉ちゃん、私ともっと仲良くなろうよ!」

友達「こう聞くと、すごく危ない人に聞こえますね」

姉「ああ」

妹「ちょっと!」

姉「……一つひっかかってることがあるんだ」

妹「なに」

姉「友、この本を見て欲しい」

ペラ

友達「あら」

ペラ

友達「あらあら」

ペラ

友達「あらあらあら」

姉「ということだ」

友達「妹が姉の秘所に太いナスを出し入れするといのはさすがに難易度が高いですね」

妹「うわあああ?!」

姉「これは、先週の燃えるゴミの日に見つけたんだ」

妹「やめて! 返して!」

ピョンピョン

姉「こんなのどこで買ったんだ」

妹「絶対言わない!」

ピョンピョン

友達「妹さんは妹さんで、変なお友達とお付き合いしてないか心配になりますね」

姉「こんな願望のある妹と仲良くなるのは相当勇気がいるんだが」

友達「自分を捨てる覚悟が要りそうですね」

姉「いや、そこまでする必要があるのか、これ」

妹「お願いだから、返してええ!?」

姉「はい」

ポス

妹「ふううッ」

友達「あら、大変。もうこんな時間」

姉「え」

友達「実は、ちょっと早めに帰らなくてはいけなくなってしまって」

姉「え、この状況で行くのか」

友達「はい」

妹「ええ、友さん待って」

友達「ごめんなさいね」ニコ

ゴソゴソ

友達「では、さようなら」

ガチャ
バタン


姉「ねえ、その本」

妹「ごめんなさい!」

姉「うん」

妹「捨てるから許して!」

姉「そういう問題じゃないんだけど」

クルッ

妹「う」

タジ

姉「何かの間違いかと思って黙って持ってたけど。今日、確信度合いがMAXになってしまった」

妹「嫌いになった?」

姉「嫌いではないよ」

妹「……」

姉「でも、この本は好きになれないかも」

妹「お、お姉ちゃんが怒ってる」

姉「怒ってるんじゃないけど」

妹「いいの、遠慮しないでよ。言いたいことあるならちゃんと言ってくれた方がマシ」

姉「うん、分かった」

妹「うッ」

姉「妹、そういうのは無理」

妹「……うん」ジワ

姉「姉妹とか女だからとかって言うのもあるけど、そういうのは分からない」

妹「だよね……」ジワ

姉「普通に普通の姉として見て欲しい」

妹「……」

姉「妹、返事は」

妹「……は、」

姉「……」

妹「は、はい……」

姉「……」

妹「……じゃないよ!! どうして、私の気持ちをお姉ちゃんに左右されないといけないのさ! なに、今の! まるでお母さんみたいだよ! ムカムカしてきた! プンプン丸だよ!」

姉「あー、妹?」

妹「こうなったら、もう徹底的に百合に染めてやるもん」

姉「染まらないから」

妹「それで、私におねだりさせてやるんだからッ。姉の中に入れて欲しいとかって台詞を言わせてやるんだから!」

姉「何それ、怖い。落ち着いて」

妹「落ち着いてられないから! 興奮状態だから! ふんがあ!」

姉「私の気持ちはどうなる」

妹「私が変えてやる! お姉ちゃんを! 変えてやるもん! 覚悟しろ!」プン

姉「困った」

妹「困れ! 困れ!」

姉「妹」

妹「なにさ!」

姉「フフ……言ってることは意味不明なのに、なんだか可愛いなと思って」

妹「……はうん」キュン

姉(……そんな風に妹を見たことはなかったな。これが、もしかして妹の言う百合? なのかもしれないな)

姉(そう考えると、すでに少しづつ染められてしまっているのか)

妹「お姉ちゃん」

姉「なに」

妹「手始めに、今晩は久しぶりに一緒に寝ようよ」

姉「私を攻略するのは難しいよ?」

妹「望む所だもん」

姉「ナスはいれさせないよ」

妹「うあわああ!?」

姉「妹は、意外と驚き方がアクティブだね」

妹「今日は、やたら疲れたよ……」

姉「紅茶でも淹れようか」

妹「わーい」

姉「ソファで待っていて」

妹「うん!」

―――
――


姉「はい」

カチャッ

妹「ありがとう、お姉ちゃん」

姉「どういたしまして」

妹「隣に座って欲しいなあ」

姉「ん?」

妹「わ、つい願望が口に」

姉「何もしないなら」

妹「何もしないよ!」

姉「しょうがない」

トサッ

面白い

ズズッ

妹「……」チラ

姉「こっち、見ないで」

妹「み、見てないし」

姉「……」ゴク

カチャ

妹「……美味し」ウトッ

姉(洗濯物入れないとな)チラ

妹「……」ウトッ

姉(お母さんにバレないようにしないと)

妹「……」

トッ

姉「妹?」

妹「すー……」

姉「……寝るんかい」

夜――

妹の部屋

パチッ

妹「……ふがッ」

ガバッ

妹「げ、もうこんな時間!? あのまま寝ちゃってたんだッ! せっかくお姉ちゃんの隣に座れたのに、貴重な時間を無駄にした!」

ゴソゴソ
グイッ

妹「え」

姉「……スー」

妹「……」パチパチ

姉「……スー」

妹「え」

妹(お姉ちゃんが、私の腕の裾を引っ張りつつ愛らしい寝息を立てて寝ているんだけどどういうことなのかなどういうことなのかな)

妹「ひえッ」

妹(えええええええええ!?)

妹(あ、そうか! 私が提案したんだ!)

妹(いや、でも今じゃない! 今じゃない! ちゃんとお風呂入って、体を綺麗にしてそれから! 心の準備、それからなのに!)

妹(子どもっぽいって思われた! 確実に!)

姉「ん」

ごろ

妹(お姉ちゃんの顔が、すぐそこに!?)

妹(めっちゃ可愛い! ありがとう! ありがとうお母さん! お姉ちゃんを産んでくれてありがとう! ありがとうお父さん!)

今日はここまで
また夜に


最高だ

支援せざるをえない

あくしろ~

ポジティブな妹だな

あくしろ~

妹「お、お姉ちゃん」

フー

姉「ッ……ん」

ごろ

妹「あ、反対側剥いちゃった」

姉「……スー」

妹「こっち向いてよ」ボソ

姉「……スー」

妹「寝てるよね……寝てるなら、何してもいいよね?!」

ガバッ

姉「そんなわけがない」

ガシッ

妹「ふぶッ?!」

姉「盛りの付いた猫とは言わないが、そんなに節操なしだと一緒に寝るというのも考えものだ」

妹「起きてたのお姉ちゃん」

姉「ああ」

妹「酷いよ! 私を試すようなことして」

姉「じゃ聞くが、あのまま寝てたならどうするつもりだったんだ」

妹「え、それ言わないといけない?」

姉「……」

妹「……」

姉「怒らないから」

妹「分かった。あのまま耳の中を舐め回そうと思った」

姉「確かこの辺りに、キンチョールがあったね」

妹「止めてお姉ちゃん!」

姉「やだ」

妹「怒らないって言ったじゃんか!? だから言ったのに」

姉「ほっぺにチューするくらいだと思ってた」

妹「え? ほっぺにチューならいいの?」

姉「そうは言ってない」

妹「紛らわしい言い方しないでよ、もう! 期待しちゃうじゃんか」

姉「怒らないとは言ったけど、許すとは言ってないよ?」

妹「あー、待って待って! ナシ! そんなこと考えてません! 許されないなら、無理やりってシチュも美味しいとか思ってません」

姉「無理やり?」

妹「あ」

姉「……身の危険すら感じた」

ゴソゴソ

妹「行かないで! 一人にしないで!」

姉「二人でいたくない」

妹「そんなこと言わないでよ。私達、たった二人だけの姉妹じゃない!」

姉「実は、もう一人妹がいるんだ」

妹「ええええええ!?」

姉「というのは冗談だ」

妹「なんじゃそりゃ!」

姉「それより夕飯食べよう」

スタスタ

妹「あー、もうマイペース人間なんだから」

キッチン

ガラン

姉「……なに」

妹「あれ、誰もいない」

姉「メモが」

『急用ができたので、ご飯代置いていきます』

姉「ということらしい」

ピラ

姉「2000円」

妹「一人1000円? リッチだね」

姉「何かデリバリーする?」

妹「私ピザ……お姉ちゃんは?」

姉「私もピザでいいよ」

妹「あ、せっかくだし近くにオープンしたイタリア料理屋さんに食べに行こうよ」

姉「いいけど」

妹「やった! 着替えてくるね!」

眠いのでここまでです

街中

姉「どこだっけ」

妹「こっちこっち」

デデン

姉「こんな所にあったか」

妹「お姉ちゃん、あんまり外食とかしないしね」

姉「家にお米があればどうとでもなるからね」

妹「お米って」

カランカラン

店員「いらっしゃいませー」

妹「二人です」

店員「こちらにどうぞー」

妹「はい」ニコ

姉「……」

妹「レトロでいい」

姉「そうだね」

妹「あ、この絵本すごーい。前から見てみて」

姉「?」

妹「一番後ろの桜の木の絵の前に、色んな人が立ってる。すごい仕掛け」

姉「奥行きが立体的に見えるのか……へえ」

妹「こっちの、街並みのもすごい!」

キャッキャ

オーダー後

カチャカチャ

姉「妹って」モグモグ

妹「うん」モグモグ

姉「外では割と普通だよね」

妹「ごふッ」

姉「大丈夫?」

スッ

妹「ありが、とッ」

フキフキ

妹「外で、『お姉ちゃん、一緒に寝て! 耳舐めさせてー!』とかって、言えないよ普通は!」

姉「なんで、それが家の中ではできない?」

妹「別に、言うつもりとかなかったけど……ばれたし、もういいやって」

姉「じゃあ、私が突っ込まなければ一生黙ってるつもりだったんだ」

妹「そうだよ……。お姉ちゃんこそ、いつから知ってたの」

姉「知ってたというか、勘付いたのは去年くらいだけど」

妹「去年!? ち、ちなみに何がきっかけで?」

姉「部屋から、私の名前を呼ぶ声がしたから」

妹「ひいいいい?!」

姉「静かにしろ」

妹「そ、そ、そ、その後部屋を見に行ったの?」

姉「うん」

妹「……」白目

姉「私の写真見て、ニヤニヤしてた」

妹「あ、なーんだ。そんなことか」

姉「その後、服脱ぎ始めて一人エッチし始めた」

妹「うわああ?!」

姉「正直、ドン引きだった」

妹「ごめんなさいッ、ごめんなさいッ、ごめんなさいッ」

姉「静かにしろ」

妹「はい……」

姉「その時は、何かの間違いで、思春期の少女によくある気の迷いかなと思ったんだ」

妹「う……あの、本当に、申し訳ございません」

姉「そっと、扉を閉めて、一人で頭を抱えたよ」

妹「その光景想像して、萌えた」

姉「もう、同じ空気を吸いたくないって」

妹「き、嫌いにならないでぇ」

姉「嫌いじゃないよ?」

妹「あー、なんだか別の意味に聞こえるよおお……」

コツコツ

店員「デザート、お持ちしましょうか?」

姉「はい」

妹「お願いします」

姉「……それがあったから気になってた。なかったら、知らなかったし、たぶん気に留めてはなかった」

妹「あの日の自分に、腹パンしたい」

姉「妹、女子高だから……誰かに、悪い影響でも受けたのかなと」

妹「あの、誤解して欲しくないから言うんだけど」

姉「うん」

妹「私は、百合が好きだよ。でも、お姉ちゃんは、お姉ちゃんだから好きなの」

姉「……よくもまあ、照れもなくそんなことが言える」

妹「あ」カアア

姉「あれ」

いったんここまで
また夜にでも

乙ー

乙乙

ZZ

妹「あそこの店員さんがめっちゃこっち見てる! 恥ずかしいッ」

姉「あ、そっち」

妹「聞こえたのかな今の会話」

姉「この狭い店内で、聞こえない方がおかしいけど」

妹「お姉ちゃんの前だと、喋るの止まらないから困る」

姉「私のせいか」

妹「半分ね」

姉「家を出た方がいいのだろうか」

妹「え……や、やだ、それ、やだ!」

姉「冗談だか……妹?」

妹「……やだ」ポロポロ

姉「冗談だって」

妹「でも、やだ……」ポロポロ

姉「……泣くな」

妹「うん……」

姉「出よっか」

妹「デザートだべるッ……ぐず」

姉「はいはい…‥」


――――
―――
――

カランカラン

店員「ありがとうございましたー」

姉「ちょっと、風に当たる?」

妹「ご、ごめん、大丈夫ッ」

姉「鼻、赤い」

チョン

妹「や、やめてよ」

姉「……」

ツン

妹「ば、ばかばか!」

バシバシ!

姉「あいた」

妹「もう、帰る!」

スタスタ

姉「妹、前! 自転車!」

グイッ
ギュッ

妹「え?」

キキィッ!!

おっさん「あぶねえだろうが!! 急に飛び出すんじゃねえ!!」

ガシャンッ

姉「すいません」

おっさん「たくッ……」ブツブツ

カラカラッ

妹「……ッ」

姉「大丈夫?」

妹「く、苦しい」

姉「あ」

スッ

妹「は、離さないで!」

姉「え、いや」

スッ

妹「ああ」

スカッ

姉「ほら、帰る」

スタスタ

妹「……うー」

テクテク

姉「……」

スタスタ

妹「……がうがう」

姉「お手」

妹「わん」

ギュ

姉「手繋いで帰るか」

妹「うん!」

姉「妹の手、冷たい」

妹「お姉ちゃんの手は、温かいね」

姉「心が冷たいからね」

妹「もお、そんなわけないじゃん」

姉「ほんとだよ」

妹「うーん、じゃあ、私が暖めてあげる」

姉「……へえ」

妹「今、どうやってって思ったでしょ」

姉「うん」

妹「こうやって」ニコ

姉「?」

妹「笑顔で」ニコ

姉「効かぬ」

妹「むう…」シュン

眠すぎるのでここまで
姉の壁は高い

乙でした

乙ガンダム

姉「妹の笑顔で、心が温まる姉はそんなにいないと思う」

妹「ひどいッ」

ブンブン!

姉「腕引っ張らないで」

妹「お姉ちゃんは、何かにときめいたりすることないの?」

姉「ときめく?」

妹「私のことを想像して、声を聞いて、きゅんッみたいな」

姉「うーん」

妹「お」

姉「ない」

妹「だよねー」

姉「妹こそ、他の姉妹からそんなこと聞いたことある?」

妹「あ、あるよ!」

姉「珍しいな」

妹「私のクラスメイトの子なんか、妹が可愛い! って、携帯の待ち受けにして見せてくるんだよ? 羨ましくてしょうがないんだから!」

姉「そういう人もいるんだ」

妹「妹っていうのは、可愛いものなんだよ?」

姉「妹、黙っていたことが一つあるんだ」

妹「うん?」

姉「実は、私が妹だったんだ」

妹「……そ、そんな」

姉「今まで、うそついてごめん、お姉ちゃん」

妹「おね……い、妹ちゃん」

姉「うん」

妹「それは無理がある」

姉「だよね」

帰宅――


妹「ただいまー! あ、そう言えば明日紙ごみの日じゃん。新聞まとめないと」

姉「そうだね。私がやっておくから先にお風呂の準備してきて」

妹「はーい」

姉「残りの姉妹ものの本も処分しておいといてあげる」

妹「待って?! それだけはやめて!?」

姉「けど、天井裏の本さすがにもう入りきらないよね」

妹「どうして知ってるのさ!?」

姉「姉だから」

妹「見たの!? 勝手に部屋に入ったの!?」

姉「先月、妹の部屋からすごい音がしたから見に行ったら、天井から本が落ちてたっていう」

妹「恥ずかしすぎるッ……いっそ、死にたい」

姉「今さらだな」

姉「姉を縛って、添い寝プレイという題名の本があったんだが」

妹「あうっ?!」

姉「それはただのカモフラージュの表紙で、下には姉の肉というカニバリズムの本が」

妹「ちがッ、そういうことをしたいわけじゃないんだよ?!」

姉「……」じッ

妹「ほんとなの! 信じて!」

姉「私を食べても美味しくないと思う」

妹「うえーんッ……違うのおお! 私も興味本位で買って、グロすぎて読めなかったのおおお!」

姉「けど、仮に私が、妹を食べたいなんて言ったらびっくりするよね?」

妹「え、えっと」

姉「ん?」

妹「喜んじゃ……かもッ……ごめんなさいッ!!」

姉「デンジャラス……」

妹「指チュパとか、甘噛みとか……でも、本気でしたら死んじゃうからやっぱりダメ! 絶対ダメ!」

姉「ほんとにね」

妹「と、とにかく私の部屋は危険がいっぱいだからあんまり入らないようにしてよね」

姉「じゃあ、姉が急に妹の部屋に入って甘えるっていう展開もなくていいかな」

妹「そ、それは」

姉「いいかな」

妹「それは、必要だよッ……ていうか、お姉ちゃんその展開どこで見たの……ッ」

姉「ベッドの下の薄い本にあった」

妹「どうしてそんなところ覗いたのさああ……ッ」

姉「洗濯もの部屋に置いて出ようとしたら床で滑って、地べたを這いつくばった時に見えたのでつい」

妹「いいよ! もう、自分で洗濯物持っていくよ!」

姉「じゃあ、お願い」

妹「というか、私の部屋でお姉ちゃん転んだんだ。ふふッ」

姉「おでこ打って、痛かった。ここ」

チラ

妹「あー、ちょっと赤くなってる可愛いー……えへへ」

姉「色々勝手に見て悪かった。ごめん」

妹「い、いいよ。だって、こうでもしないと私絶対言えなかったから。そういう選択肢しかないって思ってたから、だから、今が奇跡みたいだもん」

姉「奇跡?」

妹「秘密がバレても魔法はとけてない。お姉ちゃんは目の前にちゃんといてくれてる。これ以上ない幸せだね」

姉「ロマンチストだね」

妹「お姉ちゃんがちゃんと前を見てくれてるから、私きっと安心してよそ見してられるんだよ」

姉「自分で前向け」

妹「ちょっとくらいいーじゃん、けちー」

姉「それで、脇道にそれて怪我しても知らないよ」

妹「いやー……もう、すでに、大きな火傷を負ったかな」

姉「?」

妹「恋と言う名の」

姉「したっけ」

ススス――

妹「心に響く名言残しながら行かないでッ」

ガシッ

エレン先生×咲の妄想をツイートするのに忙しいので今日はここまでです

あくしろ~

天井裏にまで隠すほどなのか…

いいよいいよ~

姉「妹……」

妹「なに」

姉「その魔法はいつ解けるの」

妹「……そんなのわからないよ」

姉「おとぎ話とかでは、魔法をかけた人が死んでしまうと解ける、とかあるじゃない」

妹「あとは、キスとかね。ていうか普通キスでしょ。キス! 絶対キス。ていうかキスしてお姉ちゃん!」

ガバッ

姉「ストップ」

ガシッ

姉「それ、魔法解けるんじゃないの」

妹「現実に魔法とかないから関係ないよ」

姉「身もふたもないな」

妹「いいから、キスさせろ!」

姉「本性を現したな」

妹「がるるるッ」

姉「お前は狼か何かか」

妹「へっへっへ、姉ちゃん身ぐるみ置いてってーな」

グググッ

姉「ちょ……」

ガタガタッ

妹「い……がいと…ッ……ッ力強いねッ」

グググッ

姉「負けない」

妹「もう気持ちとか両思いとかどうでもいいから、お姉ちゃんの体が欲しい」

姉「ぶっちゃけたな」

妹「そのツンツンの鉄面皮を快楽で歪ませたい! 胸揉ませろ!」

姉「あのさあ」

妹「なにさ!」

寝ます

ここで!?

あくしろ~

おあずけとは!

姉「そんなことしても、好きにならないよ?」

妹「う……」

姉「嫌いになってしまうと思う。それでいいの?」

妹「……良くない。ごめんなさい、我がまま言って」シュン

姉(さすがに、強く言い過ぎたか)

妹「お風呂、沸かしてくる」

トタトタトタ――

姉「うん……」

妹「……」チラ

姉「?」

妹「……」チラチラ

姉(同情を引く作戦なのかもしれない)

1時間後――

お風呂

チヤプン

姉「ふー……」

チャプ

姉「……」

姉「妹」

ガタガタッ(脱衣所)

姉「一緒に入りたいの?」

『う、うん』

姉「別にいいよ」

『え、でも気持ち悪くないの』

姉「小さい頃から見てるから、今さら見られてそんな気持ちになるわけがない。むしろ、脱衣所でひっそりと聞き耳立てらてる方がよっぽど怖い」

ガラッ!

姉「はや」

妹「実は、全裸で待機してたの」

姉「うわあ」

妹「だ、だってホントに一緒に入ってくれるなんて思わなかったから」

姉「お風呂くらいかまわないから」

妹「わーい、良かった」

姉「今から出るし」

ザバッ

妹「ちょゥっとお!」

姉「あとはごゆっくり。あ、窓、開けといて」

妹「もうちょっと、いてよ」

姉「えー」

妹「いいじゃんいいじゃん」

姉「熱いの苦手だから」

妹「お願い」

姉「……ちょっとだけなら」

チャポン――


妹「……でね、担任の先生がちょっとカッコいいんだよね」

姉「へえ」

妹「私、七三分けの人が好きで、もうどんぴしゃなの」

姉「妹って、女じゃないとダメってわけじゃないんだ」

妹「カッコいい人をカッコいいと思うのとはまた別だもん」

姉「ふーん」

姉(ややこしい)

妹「ところでお姉ちゃん」

姉「うん」

妹「どうして後ろから私目隠しされてるのかな。でも、後ろに全裸のお姉ちゃんがいると思うと、すっごくドキドキする」

姉「だからだよ」

次の日――


妹の学校


妹「……」

「おはよー」

「おはよう」

「はやいねー」

妹「?」

妹(何だか、見られてるような気がする。気のせいかな)

バイト「ねえ」

ポンッ

妹「はい?」クル

バイト「覚えてる?」

妹「あ、昨日の店員さん」

バイト「そうそう」

ねむすぎるのでねます

あくしろ~

妹「同じ学校だったんだ……」

バイト「棟が違うから、あんまり見かけないかも」

妹「だね。何か用? もしかして、私カフェに何か忘れた?」

バイト「ううん、そういうんじゃないんだ。君らの会話が聞こえちゃったから気になって」

妹「あ……」カア

バイト「……?」

妹「そ、そのことはみんなには内密に……して欲しいんですが」

バイト「あれだけ、おおっぴらに話してたのに?」

妹「あの、私、興奮すると……あんまり考えずに口走っちゃうの」

バイト「へえ」

妹「お願い……」

バイト「友達には言ってないんだ」

妹「言えないよ。変だもん」

バイト「……そうだね」

バイト「じゃあ、言わない代わりにちょっと協力して欲しいことがあるんだけど」

妹「協力? あの、私、人様の役に立てるような器量は……」

バイト「器量とかいらないよ。ここだと、周りの人に聞かれるから、放課後に校舎裏に来てよ」

妹「校舎裏……?」

バイト「うん」

妹「あの、村八分的なのは勘弁して欲しいです」

バイト「なんで会って間もないのにいきなりそんなことになるの」

妹「いじめとかじゃない?」

バイト「ないない」

妹「……」

バイト「……大きな声で言えないけど、私も女の子が好きなの」

妹「え」

バイト「それのそーだん」

妹「……な、なるほど」

妹(普通に彼氏いそうだと思ったのに……見た目では分からないなあ)

休み時間


茶髪「さっき、2棟の子と一緒にいたけど仲良かったんだ」

妹「ああ。昨日カフェ行ったらいたの。ほら、前言ってたあのオシャレなやつ。あそこでバイトしてるんだって」

茶髪「へえ。てか、もう行ったの? いいな。誰と行った? 彼氏か?」

妹「ううん。お姉ちゃんと行ったの」

茶髪「お姉ちゃんかい」

妹「そうだよ」

茶髪「誘ってよー」

妹「ごめんごめん」

妹「ねえ、茶髪の妹ってさ」

茶髪「うん」

妹「茶髪のことどう思ってるの」

茶髪「何その質問。いきなりだな」

妹「だって、茶髪は妹待ち受けにしちゃうくらい好きでしょ? 妹もそんな感じのかなって」

茶髪「妹は、別に普通だけど。まあ、仲は良い方かな」

妹「じゃあ、姉妹の一線を越えたりとかは」

茶髪「姉妹の一線って何? 姉妹が逆になる感じ?」

妹「あ、ううん……なんでもない」

茶髪「?」

妹「あの、仮に妹に彼氏とかできたらどうする?」

茶髪「気に食わないなら、追い払うけど。良い人なら応援しないとね」

妹「そう……だよね」

茶髪「もしかして、お姉ちゃんに彼氏でもできたか? あんたのお姉ちゃん、スタイルいいもんね」

妹「そういうんじゃないよ」

茶髪「いつまでもシスコンだと呆れられるよ」

妹「あ……そうだね」

茶髪「それより、今度合コンに誘われてるんだけど、妹も行かない? 人数足りないんだって」

妹「ご、合コン?」

茶髪「前に行きたいって言ってなかった?」

妹「言ったけど」

妹(あれは、興味本位でつい言っただけだったんだよね…)

茶髪「じゃ、決定!」

ポン!

妹「うっそ!」

茶髪「実は、もう昨日返事しちゃった! てへ」

妹「もう!」

茶髪「なんか悩み事あるんでしょ? 飲食は全部あっち持ちだしいいじゃん」

妹「そういう問題じゃないもんッ」

茶髪「ちっさいことでうだうだすんなって」

妹「ば、ばかああ!」

放課後――


ザッ

バイト「あ、こっちこっち」

妹「あの、話しって」

バイト「言い難いんだけど……実はね」

妹「はい」

バイト「君の友達の茶髪いるでしょ」

妹「茶髪ですか? あの子が何か」

バイト「私さ、彼女のこと好きなんだ」

妹「……え」

妹「……ええ」

妹「……ええええ?!」

バイト「ボリューム落としてッ」

妹「あ、あんなのがいいの?」

バイト「可愛いじゃん」

妹「ほ、他には?」

バイト「言わせないでよ。……面白いし、引っ張ってくれるし、退屈しなさそう」

妹(そう言えば、茶髪もこの人が二棟だって知ってたっけ)

妹「前から知ってたんだ」

バイト「一度、委員会が同じになった時があってね。それから、気になってる」

妹(……でも、週末に合コン行くような女だよおお?)

妹「あの、でもあの子……たぶん、恋愛対象が」

バイト「知ってる。でも、気にしない」

妹「……そっか」

バイト「うん。だから、今度カフェに一緒に連れてきて欲しいんだ。ダメなら……無理にとは言わないけど」

妹「あのカフェは……茶髪とも行く予定だったからそれはいいんだけど」

バイト「18時以降にいつもシフト入れてるから、昼間だと会えないんだ。上手く、誘導してもらえるとありがたい」

妹「なるほど…」

バイト「そこまでしてくれたら、あとはこっちで上手いことするから」

妹「……あの、茶髪ああ見えて人見知りするの」

バイト「え、そうなの? 意外」

妹「うん。積極的なのはそれの裏返しなの。だから、いきなり本題話すとびっくりするかもしれないから……外堀から固めて」

バイト「分かった。アドバイスありがと」

妹「上手くいくといいね」

バイト「それは、相手しだいだけどね」

妹「そんなことないよ。バイトさんが茶髪を想ってるのは悪いことじゃないもん。だから、その気持ちはきっと嬉しいと思う。少なくとも、私はそう思うよ」

バイト「君に言われると、心強いね」

妹「むう? それ、どういう意味ですか?」

バイト「おっと、失礼」

妹「どうせ、シスコン片想いですよ」

バイト「悪い悪い」

帰宅――


妹「うー、夕方はまだ冷える……」ブルブル

妹「ただいまー」

ドサッ

妹「誰もいないの?」

妹「……」

妹「お姉ちゃん?」

プルルル―

妹「あ、茶髪だ」

ピッ

妹「もしもし?」

茶髪『あ、合コンなんだけど」

妹「合コンの詳細、今日聞いたよ?」

茶髪『あれ、そうだっけ?』

妹「もう、しっかりしてよ」

茶髪『えへへ。当日は、男を落とすやる気とパワーを持ってきてくださいって』

妹「合コン行くのにそんなのいらないでしょッ」

茶髪『せっかく行くなら、楽しんだ方がいいっしょ?』

妹「それはそうだけど」

茶髪『あと、言い忘れてたけど体は綺麗にしてこいよ』

妹「いいよそういうのはさあ……極力地味に目立たないように息だけしてるよ」

茶髪『まったく、狩猟本能がないのかあんたには』

妹「お腹の中に忘れてきたんだよ……」

ガチャ

姉「妹」

妹「あ、お姉ちゃん帰って来たから切るね!」

ピッ

姉「どうしたの?」

妹「な、なんでもないよ」

姉「隠し事なんて珍しい」

妹「そういうのじゃないよ?」

姉「まあ、いいけど」

妹(合コンの話、バレてないよね? 何も聞いてこないってことは、聞かれてなかったってことだよね)

姉「今日さ、帰りに雑貨屋に行ったら妹に似あいそうな帽子あったから買ってみた」

ポフッ

妹「え」

姉「それを私だと思って、健全な精神で日々を過ごすこと」

妹「や、やだ、お姉ちゃん……」

姉「これ以上、変な方向に妄想しないようにね」

妹「わ、分かってるよ……」

姉「私が好きなのは分かったけど、行き過ぎは注意して」

妹「は……い」ジワッ

姉「泣いてるの? 別に怒って言ってるわけじゃないよ」

妹「ちが……嬉し泣き」ニコ

姉「そう……」

夜――

姉の部屋

コンコン
ガチャ

妹「お姉ちゃん」

姉「……」

カキカキ

妹(ヘッドホンつけて勉強してる)

姉「……」

妹(邪魔しちゃ悪いかな)

姉「妹」

妹「あ」

姉「ベッド座っていいよ」

妹「わーい!」

ボフンッ

妹「お姉ちゃんの匂いッ」クンクン

姉「こら」

妹「ごめーん」

姉「ねえ、明日合コン行くの?」

妹「……ッ?!」

姉「妹、電話の声大きいよね」

妹「か、隠すつもりは……」

姉「なかった? でも、あまりうかつだと、聞かれたくないことまで聞かれるよ」

妹「私が、行きたいって言ったわけじゃないのッ」

姉「うん、それは分かった」

妹「私は、お姉ちゃんだけだもん」

姉「良い機会だ。友達に見習ってくればいい」

妹「お姉ちゃん、私ホントに」

姉「お母さんには内緒にしておくから」

妹「……どうして、そんな酷いこと言うの。私、合コンなんて行きたくない。友達が勝手に人数合わせで申し込んじゃったから……行かざるおえないの」

姉「それは、友達に感謝しないと。それが普通なんだから」

妹「普通?」

姉「……妹、ホントに行きたくないならいくらでも断れたと思う。違う? 興味があったから行くんじゃないの? その気持ちをごまかす必要なんてないよ」

妹「……ッ」ズキ

姉「……私が好きだから、何かしてはいけないこともないし、罪悪感を感じる必要もない。色々なことに興味を持つ年なだけ。だから、普通のことだ」

妹「お姉ちゃん、私、明日合コン行くよ」

姉「いっておいで」

妹「……」ズキ

妹「おやすみなさい」

姉「おやすみ」



――――
―――
――

次の日――

姉の部屋

ピピピピッ
ガチャッ

姉「……ん」

モゾ

姉「……妹、朝だ」

スカッ

姉「む?」

姉(ああ、昨日は、自分の部屋に戻ったのか)

姉(さすがにへこんだかもしれないな)

姉(……私も、らしくない。あそこまで言う必要なんてなかったのに)

姉(なんで、あんなこと言ったんだ)

姉「意地悪な女だな」

いったんここまで

おつん

いかざるをえない(小声)

>>123
うおおッ、ありがと!

キッチン


姉「おはよう」

妹「おはよー」

姉(こっちを向いてくれない。怒ってるな)

妹「ごちそうさま……」

ガタッ

姉「妹」

妹「なに?」

姉「いや、なんでもない」

妹「……変なお姉ちゃん」

トタトタ

姉「……」パクッ

モグモグ

姉の学校

友「姉さん、今日はちょっと元気ないですね」

姉「ちょっと、妹と喧嘩して」

友「そうなんですか。妹さんに、お付き合いはできないと伝えたとか?」

姉「いや、そうじゃないんだ。合コンに行くって言うから、行って来いって言ったら……機嫌を損ねた」

友「姉さん、そんなことで悩んでいるんですか」

姉「傷つくのが分かっていたのに、言ったんだ。酷いだろ」

友「お互いに傷つくのを覚悟で言ったわけではないんですね」

姉「……ああ」

友「……機嫌が悪いのは、妹さんよりむしろ姉さんなのでは?」

姉「私?」

友「苛立ってるようにも見えます」

姉「……」

友「余計なこと言ってすみません」

姉「いや……」

友「思い通りにならないなら、困ってしまえ」

姉「急に何?」

友「昔、そんなことを想ったことがあります」

ポンポン

姉「なぜ、頭を撫でる」

友「そういうのって普通なんですよ。人を好きになったら」

姉「ばか、何言ってるんだ。私は別に」

友「別に妹さんのことだとは言ってないですよ」

姉「……」

友「ま、怖い顔しないでください」

姉「そんな顔してない」

友「はいはい」

放課後――

友「姉さん、帰りましょう」

姉「ごめん。今日は先に帰ってて」

ガタッ

友「やっぱり気になるものですよね。分かります」

姉「……」

友「打てば響く人ですね、姉さんは」

姉「妹が悪い男にひっかからないようにとは思ってるよ。それに、場所も知らないから」

友「ふふ」ニコ

姉「闇雲に探すなんて馬鹿のやることだ」

友「でも行かれるんですね」

姉「……馬鹿なんだろ」

友「そうですね」

妹の学校

正門前


妹「まだ?」

茶髪「もうすぐ、迎えにきてくれるよ」

妹「まさか、大学生とだったなんて……」

茶髪「そんなに歳変わらないって」

妹「なんか怖いじゃんか」

茶髪「同級生の子らと同じだって。心配し過ぎ」

バンバンッ

妹「いたッ、もー」

茶髪「妹はさ、考えすぎな。ハゲるよ」

妹「茶髪が、考えなさすぎなの!」

茶髪「あ、車来たよ」

妹「もー」

茶髪「おーい!」

ピョンピョン

妹「……」

とある居酒屋


角刈りの男「可愛い子たくさんで嬉しいなあ」

眼鏡の男「……」

金髪の男「今日、一人風邪でさこれなくないってさ、わりーね」

黒髪ロング「こっちこそ、一人ドタキャンしたんですよねぇ。人数もちょうどよくなったし、私はこれくらいでいいと思いますよぉ」

茶髪「あんまり多いと、なかなか喋りにくいので私もこれくらいがありですー」

妹「……」

妹(……人少ないって、もともと少ないじゃん……はめられた)

角刈り「ちょっと、自己紹介しようよ。黒髪ちゃんから」

黒髪「はーい。黒髪って言いますぅ。趣味は、お裁縫ですぅ」

金髪「すげ、めちゃ女の子らしいじゃん」

角刈り「そういうの得意な人っていいよね」

茶髪「て、あんた裁縫してる所なんて一度も見たことふが」

モゴモゴッ

黒髪「もおぉ、やだぁ、何言ってるの」

妹(こわい)

今日はここまでです

あくしろ~

金髪「まあまあ、次、妹ちゃん」

妹「あ、妹です。今日は人数あわふが」

モゴモゴッ

茶髪「どうしても来たいって言うから連れてきちゃいましたー」

妹(なんだとうッ?!)

フガフガッ

茶髪(場の空気壊すようなこと言わないでッ)

妹(わ、分かった)

金髪「君ら仲良いねー」

妹「あはッ……えっと、私は趣味というか、お姉ちゃんと出かけるのが好きです」

黒髪「シスコン?」

角刈り「可愛いねー」

黒髪「!?」キッ

妹(なんか、めっちゃ睨まれてる)

茶髪「茶髪ですー。金髪君とは小学校からの幼馴染でーす」

眼鏡「幼馴染み……?」

角刈り「なにそれ、すでに一抜け?」

金髪「そういうんじゃねーって」

茶髪「そうそう。それに、私スポーツマンっぽい人の方が好みだし」

角刈り「あ、俺のこと?」

茶髪「それは、今後の展開しだいかな?」

黒髪「ちょっとちょっと、勝手に盛り上がらないでよ」

妹(もはや、帰りたい)

金髪「てか、みんな何飲む?」

黒髪「オススメでいいですよぉ」ニコ

角刈り「お、飲める口? 飲みほだから遠慮しなくていいよ」

妹(……あの、茶髪さん、私飲めないんですが)

茶髪(それっぽいの頼んで、雰囲気合わせてよ)

妹(それっぽいのって……)チラ

妹(いいのか未成年……)

妹(ううッ、お姉ちゃん助けて……)

―――
――


黒髪「えー、筋肉見たーいですぅ!」

角刈り「いいぞー」

ムキッ

金髪「飲みのたんびに見せるよなお前……」

妹「あ、あの」

金髪「なに?」

妹「手、肩に……その」

金髪「あ、ごめんごめん。妹ちゃん可愛いからつい」

ヒョイッ

妹(……お姉ちゃあああんッ)ビク

茶髪「ちょっと、相手見て絡んでってば」

金髪「だよッ、お前は早く眼鏡を落としてこいって」

茶髪「誰が眼鏡がいいなんて言ったよ」

金髪「ばかッ、聞こえるだろ」

眼鏡「……なに」ヒック

茶髪「い、いやその、あ、酔ってる?」

眼鏡「眼鏡外した方がいい?」ヒック

妹(えええ、誰もそんなこと言ってませんよッ?)

スチャ

眼鏡「……」

妹(わ、綺麗な顔。なんというダークホース)

黒髪「……めっちゃ美形」ぼそ

茶髪「……でしょ」

角刈り「眼鏡がまた持っていきやがった」

―――
――

茶髪「私、ちょっとトイレ」

スクッ

角刈り「あ、俺も」

スクッ

金髪「何か頼んでおく?」

茶髪「さっきのも一杯」

金髪「角刈りは?」

角刈り「俺も俺も」

金髪「オッケ」

黒髪「金髪さんて、見た目と中身ギャップあるって言われません?」

金髪「言われるよ」

妹(どうでもいい。お姉ちゃんに会いたい。あー、でも、帰っても顔合わせずらいなあ)

黒髪「どうして、金髪にしたんですかぁ? あ、スゴく似合ってるんですけどぉ」

金髪「親が小さい頃から、オシャレに気を遣うもんでさ、昔っから何かの色には染まってた。子役デビューさせたかったらしいけど」

黒髪「えー、うそぉ! すごーい」

―――
――


眼鏡「……」ヒック

妹「あの」

眼鏡「うん……眼鏡、外そうか」ヒック

チャキッ

妹(言ってないのにッ)

眼鏡「君さ」

妹「は、はい」

眼鏡「彼氏欲しいの?」ヒック

妹「え」

妹(……)

眼鏡「……欲しく無さそうだね」

妹「……えっと、あの、その……と、トイレ行ってきます。ごめんなさいッ」

スクッ
タタタタタッ

トイレ

妹(そう言えば、茶髪遅いなあ)

タタタタッ

「ちょ、ダメだってッ」

妹「?」

ピタッ

「俺、君が一番好みなんだよね」

妹(こ、この声は……)

サササッ

茶髪「……きょ、今日は黒髪の付き添いできたんですッ」

角刈り「偶然から始まるものもあると思うけどさ」

グイッ

茶髪「今は、いいですからッ」

妹(……バイトさん、これ見たらショックだろうな)

妹(もしお姉ちゃんだったら……)

妹(あー、考えたくもないやッ)

妹「あ、あの」

茶髪「妹ッ」

角刈り「あ」

妹「遅いから心配してて」

茶髪「ごめんごめん。いこッ」

妹「うん……」

角刈り「……ちょっと、たばこ吸ってくるわ」

妹「はい」

茶髪「ごめん、助かった」

妹「ううん」

茶髪「トイレ?」

妹「うん、先帰ってて」

茶髪「わかった」

タタタッ

妹「……」

妹(めんどくさいなあ)

妹「みんな女の子だったら、危なくないのに」

角刈り「面白いこと言うね」

妹「え……あれ、外に行ったんじゃ」

角刈り「やっぱり止めた。妹ちゃんと話したいなって思ってさ。ちょっと、店の外でない?」

妹「え、でも」

角刈り「君、そのままだと家に帰れないでしょ? 顔、冷やした方がいいよ」

妹「……」

ピトッ

妹(確かに、お姉ちゃんに絶対ばれる)

外――


角刈り「警戒しなくても、何もしないって」

妹「は、はい」

角刈り「俺も酔ってたから、ちょっと思考が飛んでたみたい」ポリポリ

妹「茶髪、可愛いですからね」

角刈り「それに、良い子そうじゃん? 来た時から、この子にしようって思ったんだけど」

妹「黒髪は?」

角刈り「いや、確かにあの媚びうる感じも可愛いんだけど」

妹(あれ、可愛いんだ……。今度、お姉ちゃんに使ってみよう)

角刈り「上手くいかないわー……」

妹(年上の男の人の愚痴聞いたことないからなんか新鮮だ……)

角刈り「でさ、君、さっきみんな女の子だったらって言ってたけど」

妹「え、えっと」

角刈り「もしかして、そっちの気あり? なんか、雰囲気違うなって思ってたけど」

妹(ここで……嘘ついても、ずっとつかないといけないんだよね。だったら……)

妹「そうです……」

角刈り「へえ……マジか」

妹(引かれたかな……別にいいけど)

角刈り「やっぱり、男とか触られるのも嫌?」

妹「そんなことないです。普通ですよ……野蛮なのは苦手ですけど」

妹(でも、家宝の百合エロ同人に比べたら……どっちが野蛮か分かんないな)

角刈り「俺みたいな?」

妹「角刈りさんみたいな」

角刈り「はっはっはッ! ちなみに、もしかして茶髪が本命?」

妹(あ、そうとるのか……)

妹「違いますよ、茶髪は全然そういうのじゃないです」

妹(私、今日出会ったばかりの人に何話してるんだろう……でも、一度限りだから逆に口が軽くなっちゃうのかな)

角刈り「じゃあ、誰?」

妹(好奇心で聞いてるんだろうなあ……)

妹「お姉……」

妹(なんか……言うの辛い……)

角刈り「ん? ごめん聞こえなかった」

ズイッ

妹「ち、近いですッ」

角刈り「ごめんごめん」

ザッ

姉「妹!」

妹「え」

角刈り「誰?」

妹「お、お姉ちゃんなんで?」

角刈り「お姉さん?」

姉「……」チラ

角刈り「どうも」

姉「妹がご迷惑おかけしました」ペコ

妹「あ、あの」

姉「帰るよ」

角刈り「妹ちゃん、呼んだの?」

妹「ううん」フルフル

姉「世話、焼かせないで」

グイッ

妹「や、やだ」

パシッ

姉「どうして? 行きたくなかったんじゃないのか?」

妹「そうだけど……」

角刈り「お姉さん、妹さん嫌がってるよ?」

ポンッ

姉「そうなんだ」

妹(違うの。お姉ちゃんが来てくれたことは凄く嬉しいのッ。でも……茶髪のこととかもあるし)

妹(しぶしぶ迎えに来てくれたんだよね……私、もうちょっとここで色々吐き出してから帰りたい)

妹「ごめん、私が我がまま言ったから」

姉「妹の我がままに付き合うのが姉だから」

妹「ありがと……でも、茶髪とかいるから、まだ……もう少しいる」

姉「……?」

妹「せっかく来てくれたのに、ごめん」

姉「あのさ……いや、わかった」

フキッ

妹(あれ、お姉ちゃん汗だくだ……)

姉「……早く、帰ること」

妹「う、ん」

姉「……」クルッ

テクテク

角刈り「妹ちゃん」

妹「は、はい」

角刈り「お姉さん、走り回って探してくれたんじゃない?」

妹(そうだと思う。嬉しい、嬉しいけど、一緒に帰っても……お姉ちゃんが、私を求めてくれるわけじゃ……)

角刈り「何があったかしんないけどさ、今、迷ってるなら帰った方がいいって」

妹(でも、どうせ……角刈りさんみたいに、嫌がられるだけなんだよ……そんなのホントは辛い)

妹(いつも、こんなにネガティブじゃないのに、お酒のせいかな……)

角刈り「友達は責任もって家に送るから」

妹「全然信用できないですけど」

角刈り「誓うって。きみのお姉さんみたいに、家族の人に心配かけさせたくないしさ」

妹「……角刈りさん、もう酔ってないんですか」

角刈り「うん、醒めた」

妹「……私、ホントはお姉ちゃんが迎えにきてくれて嬉しいんです」

角刈り「声、ちっさいよ」

妹「すー……お姉ちゃんが、迎えに来てくれてホントは嬉しい!!!」

角刈り「うっせえッ……近所迷惑ッあははッ!!」

妹「はあッ……はあッ」





姉「……」

ピタッ

姉「……」クルッ

妹「……お姉ちゃん」

角刈り「めっちゃこっち睨んでる」

妹「私、行きます……」

角刈り「グッドラック」

妹「……茶髪に何かしたら、後ろから刺しますから」

角刈り「はいはい」

妹「……」クルッ

タタタタッ

―――
――


商店街――

ガヤガヤ

姉「良かったの?」

妹「うん。お姉ちゃんこそ、どうして来てくれたの」

姉「自棄になって遊ばれても困るから」

妹「……」ギクッ

姉「妹、お酒飲んだ?」

妹「う、ううん」

姉「嘘つけ。母さん、今日は帰ってるから」

妹「え、ええ、えええッ」

姉「確実にばれる」

妹「ど、ど、ど…お姉ちゃあんッ」

ガシッ

姉「どうして後先考えない」

妹「ごめんなさい……お姉ちゃんのことしか考えてなかった」

姉「……ちょっと、そこ入るか」

クイッ

妹「え」

姉「そこに泊まるしかない」

【ピンキー・キャッスル】

妹「こ、これっていわゆるラブホだよねッ!?」

姉「うん」

妹「いやいやいや、さすがにダメだよッ!?」

姉「どうして」

妹「だって、私達恋人でもないのに、そんな……いきなり体の関係を持つなんて」

姉「泊まるだけだから」

妹「え」

姉「当たり前」

―――
――

姉「ここに、お金を入れるのか」

ウイーン

妹「受け付けとかいないんだ……」

姉「いなくて良かった」

妹「お母さんに連絡しないと」

姉「さっきした。友の家に二人泊まるって」

妹「はや」

妹(友さん、ありがとう)

ガチャッ

姉「ふー……」

トタトタ

妹「……」ドキドキドキ

妹(エッチなベッドがあるッ、うわッ、お風呂が部屋から丸見えッ、照明もなんかいやらしいッ)

妹「……」ボケッ

姉「妹、早く入って」

妹「あ、うん」

バタンッ

姉「お風呂、入れてくる」

妹「……うん」ドキドキドキ

妹(心臓が痛いよう……何もしないって分かってるのに)

妹(期待しちゃう。期待したって何も返ってこないのも分かってるのに)

妹(……テレビ、テレビ見よ)

カチッ
ブン――

妹「……あ」

『ッヤ……いたッ……だめぇッ』

ギシギシッ

『ひぐッ……』

妹「……」ドドドドッ

妹(AV初めて見た……)クラッ

フラフラ
ドサッ

妹(く、くらくらする……)

妹「……お姉ちゃん」

姉「どうした、エロガキ」

妹「こ、これはつけたらたまたまやってたの」

姉「消すよ」

妹「ど、どうぞ」

姉「……見たいの?」

妹「興味がないわけじゃないよ!」

姉「まあ、切るけど」

プツッ

妹「あう……」

今日はここまで

おつーん


妹カワイイ

おっつん

妹「お姉ちゃん、よく平然と対応できるね?」

姉「意識するから慌てるんだ」

妹「普通、意識すると思うんだけど」

姉「妹の裸に興味はない」

妹「私はお姉ちゃんの体に興味ありまくりだもん!」

ガシッ

姉「よせ、やめろ」

妹「キスくらいいいじゃんか」

ギュウッ

姉「酔ってるんだ。普段ならそんなに強引にしない」

妹「じゃあ、私ずっと酔っていたいッ……お姉ちゃんに私の気持ちたくさんぶつけてやりたいッ」

ドンッ

姉「ッぅ」

妹(壁際に追いつめられたお姉ちゃ色っぽい)

ここまでねます

おつー

ここでか?ここでなのか?

姉「……これが、おまえの言う百合か?」

妹「え」

姉「自分の妄想を押し付けるだけか」

妹「貫いたら、いつか現実に追いつくよ……」

姉「押し付けて、何も残らなかったら?」

妹「残るもん」

姉「ここで、私とエッチして、体だけが手に入ればいいんだな」

妹「……そう、だよ。それでもいいもん。何回も言ってる。何回も妄想した。そうやって、何回も何回もいやらしいことばっかり考えて、自分のこと嫌いになって、でも、お姉ちゃんと一緒になる道、それしか残ってなかったんだもん!! どんなに好きになっても、時間は解決してくれない。お姉ちゃんは……私を好きになってっくれない。そんなこと、二次元の中だけだ!」

姉「そうだ」

妹「分かってるッ、お姉ちゃんが迷惑してるって分かってるよ! でも、じゃあ、なんで今日迎えに来てくれたの? なんで、こんな所入るの? 叶わないって分かってるのに、辛いよ……優しくしてくれるの、辛いよぉっ……っぅく」ポロ

フラっ
ストンっ

姉「妹……」

妹「ぅ……ひっ……ごめんっ、泣いてごめんっ……困らせてばっかりでごめんっ……っ」ゴシゴシ

姉「……」

妹「優しいから……好きなのっ……優しくして欲しいっ」

姉「どっちなんだ、それは……」

妹「わかんっ……ないっ、わかんないっ」ゴシゴシ


姉「今日……おまえが強がりで合コンに行くって分かってた。私に止めて欲しかったのも分かってた。嫌味な態度を取ってしまったのは、悪い。……妹にとって何がいいのか考えたら、やっぱり迎えに行くしかなかった」

妹「……」ゴシ

姉「それは、好きとかの前に私がおまえの姉だからなんだと……思う」

妹「どういう……」

姉「無条件に、妹を守らないといけないって気持ちになる」

妹「また、そんなこと……言って」

姉「私のこと求める前に、それは理解して置いて欲しい」

妹「私たちの間には……好きとか関係ないんだね」

姉「うん」

妹「……なんだよ、こんちくしょう」

姉「急にどうした」

妹「お姉ちゃんの方が、よっぽど百合だよ」

姉「よく、わからんが」

妹「ちょっと、自分が……」ポタポタっ

姉「お、おい」

妹「情けなくて……子どもっぽくて……嫌になったよ」ポタポタっ

浴室


チャポっ
ぶくぶくっ

妹「……」

姉「ふう」

妹「今日、ありがと。汗だくになるまで走り回ってくれて」

姉「いや」

妹「そう言えば、なんで昨日意地悪なこと言ったの」

姉「ん……んん」

妹「え、何か言い難い理由なのっ?」

姉「私も、子どもだった。あの時、私のことが好きなのに、合コン行くのかと思ったら、つい、困ればいいのに……と」

妹「ええ!? ひどい!」

バシャっ

姉「ごめん」

妹「なんでそんなこと言った!」

パシャパシャっ

姉「やめ」ビチャッ

妹「吐け! 吐け!」ニヤニヤ

姉「なんで嬉しそうなんだ」

妹「別に、そんなことないもん!」ヘニャ

バシャシャッ

姉「そんな風に……想ってもらえるような人間じゃないよ」ボソッ

妹「え、何か言った?」

姉「いや」

妹「動いたら、のぼせてきたあ……」

姉「出ようか」

ザバッ

妹「うん……お姉ちゃん、裸見せないでッ」

姉「無理言うな」

翌朝――

タタタタッ

姉「急いで……母さんに怒られる」

妹「わ、分かってる。私、走るの遅いんだもんッ」

姉「荷物貸して」

グイッ

妹「ありがとッ」

家の玄関――

ガチャ

姉「ただいま……」

妹「ただいま」

コトンッ

姉「……」

妹「お腹空いたぁ」

ゴソゴソッ
ヌギヌギッ

トタットタットタッ

母「お帰り」

妹「ただいまー」

母「妹ちゃん、机の上にご飯があるから食べてね」

妹「はーい」

母「お姉ちゃん、ちょっとこっち来て」

ギュッ

姉「はい……」

妹「……え、待ってよ。お母さん」

母「どうしたの? ご飯冷めちゃうよ」

妹「どうして、お姉ちゃんだけなの。叱るんなら、私も同罪じゃん」

姉「妹、いいんだ」

母「違うよ。お母さんね、叱るわけじゃないの。ちょっと聞きたいことがあるだけだから、心配しないで」

妹「ホントに?」

母「ええ」ニコ

妹「お姉ちゃん」

姉「大丈夫、母さんも、すぐに終わるよね」

母「うん。ごめんね、妹ちゃん」

妹「う、うー、ならいいけど」

母「お味噌汁、少し冷めてるかもしれないから温め直してね」

妹「はーい」

姉「……」

母「おいで、お姉ちゃん」

キイッ

姉「はい」

トタトタ
バタンッ

父親の部屋


母「ベッド、座って」

姉「……」

母「……」

スッ
ギュ

母「昨日は帰らないって言うから、心配したよ」

姉「ごめん、次の旅行のことで話してたら遅くなった」

母「お姉ちゃん、優しいから……妹ちゃんの我がまま聞いてたんじゃないの?」

姉「いや、違うよ」

母「優しいね、お姉ちゃん」

ナデナデ

姉「……」

母「お姉ちゃんの匂い……落ち着くなあ」

姉「また、会社で何かあったの」

母「……うん」

ギュ

姉「そっか……」

母「昨日、お姉ちゃんがいないから……寂しかったよ」

グリグリ

姉「爪、大丈夫? 噛まなかった?」

母「うん」

姉「良かった……。妹の部屋も、荒らさなかった?」

母「うん……褒めて、お姉ちゃん」

姉「えらいよ、お母さん」

ヨシヨシ

母「ふふ……」

ポンポン

姉「落ち着いた?」

母「まだー……」

姉「そろそろ戻らないと、妹に怪しまれる」

母「……最近、お姉ちゃん妹ちゃんのことばかりね」

姉「そんなことないよ……普通」

母「だって、最近夜に部屋に来てくれない」

姉「勉強とか、忙しかったから」

母「寂しいと、私、あの人のこと思い出して……妹ちゃんの部屋荒らしちゃう」

姉「だめ。妹は傷つけないで。お母さんの子どもでしょ」

母「分かってる。好き。二人のこと好き。困らせてしまうのも愛情の裏返し」

姉「……そうだね」

クンクン

母「すー……朝ごはんにしようか」

姉「うん」

カタンッ
ガチャッ


――バタン

妹の学校――


妹「ふわあ」

茶髪「おはー」

妹「おはー」

茶髪「昨日、どしたの? 具合でも悪かった?」

妹「そ、そうなの」

茶髪「急にいなくなるから、心配したってーの」

ポコポコ

妹「あいてッ、ごめんごめん」

茶髪「黒髪のやつがゲロゲロで大変だったんだから」

妹「ええッ……いなくて良かった」

茶髪「ああん? 今、なんと?」

妹「ご、ごめんなんでもないよー」

茶髪「帰ったら、妹に『臭い』って言われたんだぞ? まるで、お父さんだ」

妹「ほんとッ……ははッ」

茶髪「ところで、角刈り君とはどこまで?」

妹「何にもなかったよ。そもそも対象外」

茶髪「なーんだ、結局行き損か……」

妹「やっぱり、出会いは求めるものじゃないのかも。もうすでに、そこにあるんだよね」

茶髪「なに、悟り開いちゃって」

妹「ううん……あ、茶髪、今日あのカフェ行こうよ。新作ケーキでたらしくてさ」

茶髪「お、いいね。憂さ晴らしに行こう」

放課後――


バイトのいるカフェ


カランコロン

バイト「いらっしゃいませ……あ」

妹「こんにちはー」

茶髪「どもー……わ、ほんとにいた。制服、かっこいいですね」

バイト「あ、えっと、ありがとッ……」

妹(照れてる)

茶髪「席、どこ空いてますか」

バイト「ご、ご案内します」

妹(……新鮮な反応)

いったんここまで
また夕方くらいに

乙ー

母親がヤバい…

三角関係ってやつか?しかも女性だけの
乙です

予想とかあまりしたくないけど、多分夫と何かしら疎遠になってぽっかり空いた穴を姉に埋めてもらってるんでしょ
部屋荒らした経験からして、妹が関係してる可能性

バイト「……あのさ」

茶髪「うーん」

バイト「見過ぎだよ」

茶髪「や、この制服妹に着せたい」

妹「私のこと?」

茶髪「あんたじゃなくて」

バイト「もう一着持ってるけど……持って帰る?」

茶髪「え、いいの!?」

妹「いやいや、さすがに冗談でしょ」

バイト「いいよ」

妹「いいんだ!?」

バイト「なんか、前に委員会でシスコンって聞いてたから」

妹「委員会公認なんだ」

茶髪「いやー、お恥ずかしながら世界で一番可愛いのはマイシスターだと自負してます」

妹「茶髪の妹、可愛さは普通だと思う」

茶髪「妹には妹の可愛さはわからんよ」

バイト「明日、持っていくのでいいかな」

茶髪「えー悪いよ。お店上がるまでその辺でぶらぶらしてるから」

妹「私は先に帰るよ」

茶髪「え、なんでや」

妹「世界で一番かっこいいマイシスターが家で待ってますので」

茶髪「悔しいけど、あんたの姉さんの顔はカッコいい」

妹「もっと、褒めて褒めて」

茶髪「調子に乗るなよ?」

グニッ

妹「ふがッ」

バイト「ぷッ……」

妹「あ」

茶髪「あ」

バイト「?」

妹・茶髪「「えくぼ」」

バイト「?!」

バッ

とある公園――


クルッポー
クルッポ―


母「……私の指は5本あります。1本、2本、3本、5本、6本……」

近所の男の子「ねえ、それ変だよ」

母「どうしたの?」

男の子「だって、5本なのに6本って言った」

母「いいの。だって5本しかないもの」

男の子「?」

母「4本目はないもの」

男の子「でも、おばちゃんの指ちゃんと5本だよ」


ざッ

男の子の母「カズ君? だめよ、迷惑かけちゃ」

男の子「ええ、でもさ」

母「大丈夫ですよ」ニコ

男の子の母「失礼します」ペコ

母「……」ペコ

男の子「でも、数え方、おかしいもん」ブツブツ

男の子の母「しー」


母「……」

クルッポー
クルッポー

母「私の指は、5本あります」

母「私の指は……」

母「夕飯作らないと……」

ジャリッ

――――
―――
――

妹の部屋

妹「……おっかしいな」

妹「あれ?」

妹「確か、押入れの上に入れといたのに」

ガサガサッ
グラッ

妹「ふえ?」

ズデンッ

妹「いったあ?!」

妹「おしりがああッ」

妹「どんくさいなー……」

ガサッ
ゴチャッ

妹「うわ、ゴミ溜まってる……ああッ、本がゴミ袋にッ」

パンパンッ

妹「うー……汚いー、そういや、明日また燃えるゴミか……」

妹「そう言えば、なんで私の本燃えるゴミに入ってたんだろ……こうやって間違えて入ったのかな」

妹「?」

妹「ていうか、私何探してたっけ」

妹「あ、そうそう確か」

母「これ?」

妹「そう! それそれ……あ」

母「だめじゃない、こんなの買って」

妹「お、お母さんッ……あ、あのね、それは……友達が、無理やり貸してきてね?」

妹(やばいやばいッ)

母「そうなの?」

妹「そうなのッ」

母「お姉ちゃんのアナル拡張事件簿なんて、卑猥なタイトル」

妹「いいッ?!」

妹(さらっと言ってのけたことに驚きを隠せない!?)

母「明日、一緒に可燃ごみで出しておくから」

妹「だ、だめ!」

母「どうして」

妹「友達の本だから……」

母「そう、そう。じゃあ、ナスを使う話もお友達の?」

妹「あ……え」

妹(………え?)

母「お友達の? 質問に答えて妹ちゃん」

妹「……あの、私の本ゴミ袋に入れたのお母さん?」

母「あれも危ないから捨てておいたわ」

妹「ど、どうして」

母「おかしいでしょ? 姉妹同士であんなこと」

妹「そ、れは」

母「おかしいじゃない!!」

バンッ

妹「……!?」ビクッ

母「お姉ちゃんは、みんなのお姉ちゃんなんだよ」

妹「う、うん」

母「お姉ちゃんを産んだお母さんのお姉ちゃん、妹ちゃんよりも先に生まれた妹ちゃんのお姉ちゃん」

妹「……」ゴクッ

母「順番的にはね、私の方が早いんだけど、私、妹ちゃんも好きだよ。でも、お父さんに似て、私にあんまり興味ないよね」

ええ...なんやこの母親...

妹「なに、お母さん、何言ってるの」

母「妹ちゃん、私のこといなくてもいいって思ってるでしょ」

妹「そんなこと思ったこと一度もないよ……? お母さん?」

母「私がいなければ……ペットのインコだってお父さんと一緒に行かずに済んだもんね」

妹「べ、別にもう気にしてないよ?」

母「お姉ちゃんがいるから、この家にいてくれるんだよね」

妹「それは、女3人でなんとかしようって」

母「嘘だもん。私のこといつか捨てて、二人で遠くへ行こうとしてる」

妹「そ、そりゃ、大学とか就職したら……いつかは出て行くかもしれないけど」

母「やっぱり……やっぱりそうなんだ」

妹「でも、それ仕方ないことだよ。いつまでも親に甘えていられないよ」

母「お姉ちゃんを連れていかないでッ!!!!!」

ガシャンッ!

妹「きゃあ?!」

母「私の指は……5本あります」ブツ

妹(え、なになになになに―――小指から指を折り曲げて、何してるの?)

母「1本、2本、3本、5本、6本―――」

妹(薬指だけ立てて、何してるの……)

母「ッ」

ガリッ

妹「お、お、母さん!? 爪、噛んだらダメだって」

母「びっくりしたの……妹ちゃんが、あんな本持ってるから」

ガリッ

妹「ごめんごめんなさいッ」

母「お父さんも持ってた……ッ普通なのよね。普通のことよね」

ガリッ

母「二人のことは私が守るって決めたのに……」

スッ
ギュッ

妹「いたッ……?! お母さんッ、腕、痛い!? イタタタタッ!?」

バシッ

母「きゃッ」

ドサッ

妹「はッ……ハァ……」

ガタタタッ
ドタッ
トタタッ

妹「いや……ッ」

ヨロッ

母「やっぱり、大事に育ててもハエの子はうじ虫なんだ」

ガリッ

妹「やだ、そんなこと言わないでよッ。そんなことッ……言わないでえ」ポロッ

母「ぶんぶんお姉ちゃんの周りを飛び回って……」

妹「なんでそんなこと言うのッ……っく……ッ……なんで」

母「だって、妹ちゃん私の子どもじゃないもの」

妹「……へ」


ピロリロリン!
ピロリロリン!

母「……メール」

妹「……」

母「お姉ちゃんからだわ」

妹「……」

母「お家の鍵開けてって」

―――
――


玄関の外


姉「……母さんも妹も、もう帰ってきてるはずなのに」

姉「寝てるのか」

ガチャンッ

姉「ん」

ガチャッ
バンッ

姉「わ!?」

妹「……」

姉「妹?」

妹「……」

スッ
タタタタタ!

姉「あれ、どうした? おい、どこ行く? おい!」

姉「変なやつ」

ガサッ

母「おかえり、お姉ちゃん」

姉「ただいま。燃えるゴミ出すの? 貸して」

母「あ、いいの、自分でするから」

姉「仕事で疲れてるんだろ。遠いし、自転車で行くからいいよ」

母「でも」

姉「お母さんのためだよ。大丈夫、任せて」

母「うん、お願いね」

ぎゅうッ

姉「うん……」

姉(妹の話題に触れない方がいいような気がする)

姉「行ってくる」

ガシャンッ

姉(あいつ、どこに)

母「妹ちゃんね、お友達の所に用があるんだって」

姉(エスパー?)

姉「そうなんだ」

母「だから、すぐ戻ってきてね」

姉「わかった」

カシャンッ
カラカラカラ――

今日はここまで


母怖い

おつー

乙乙~
やっと追いついた
これまでのほのぼのが...

ゴミ捨て場――


ガサガサ

姉「よいしょ」

ドサッ

友達「あら、姉さんじゃないですか」

ガサッ

姉「友、偶然だね」

友達「それ……」チラ

姉「うん?」

友達「いいんですか?」

姉「何のこと」

友達「気づかれてないんですか、ここの」

ツンツン

姉「え、何か変なゴミ入ってる? 埋め立てゴミとか?」チラ

友達「いえ、これ妹さんのじゃないかなって……」

姉「……」

ガサッ

姉(破ってある……)

ガサガサッ

姉(あれ、この間見せてくれた本もある)

ガサガサッ

友達「脱、お姉ちゃんですか?」

姉「そうなのかな」

友達「でも、こんな風に破って捨てるなんてこと普通は考えられませんよ。私たちの界隈で」

姉「……さっき、家に帰ったら妹が出て行く所だった。何も言わずに、走ってどっか行った」

友達「姉さんに抱き着くこともなく?」

姉「ああ」

友達「手分けして探しましょう」

姉「すまない。頼む」

姉(母さん……)

姉(妹に、何をしたんだ……)

―――
――

線路下のトンネル

妹「……ごほッ」

妹(びっくりした)

妹(びっくりした……びっくりし過ぎた)

妹(自分の性癖よりも驚くことが世の中にはあるんだ……)

妹(あ、でもお姉ちゃんと異母姉妹ってことだよね)

妹(美味しい展開なんだけどな……実際、起こると)

妹「……はあッ」

妹(こんなに悲しいんだ……)

妹(お母さんの……あの人の言い方も悪いよ)

妹(まるで、私が泥棒猫みたいな……)

妹(なんなの……ほんと、酷いよ)

妹(ねえ、ほんと……)

妹「ちくしょー……」

ぐぎゅるる

妹「お腹空いた……」

妹「お腹のばか」

妹(……)

妹(お金ない……)

妹(変だな……)

妹(私、誰に対して悲しんでるんだろう……)

妹(わかんない……)

妹(やっぱり、まともじゃないのかも……)

妹(変なんだ。分かってたけど。狂ってる。お父さんもどこかおかしかった。私のお母さんのせいなのかな……)

妹(私がこんなにお姉ちゃんが好きなのも、女の子が好きなのも、私が生まれた時から狂ってるからなのかな)

妹(そんなの、私にどうしようもないよ……)

妹(どうしようもないよ)

妹(帰れない……)

妹(帰ったら、どうなるんだろう)

妹(何事もないような顔で、接してくるんじゃないのかな)

妹(今まで、私、あの人にちゃんと自分の話とかしたことあったっけ……)

妹(ないかもしれない)

妹(いつも、相談に乗ってくれるのは……お姉ちゃんだった)

妹(いつも、お姉ちゃんにしか……期待をかけるような言葉を言わなかった)

妹(私が反抗的だったんじゃないんだ……最初から邪魔者だったんだ)

妹(だから、何も言ってこなかったんだ……)

妹(お姉ちゃんがいれば、それで良かったんだ)

妹(私は、おまけみたいなものだったんだよ……)

妹(お菓子のおまけに、ご飯を食べさせてあげたり、服も用意してくれたりして……それ、凄いことじゃん)

妹(悪いのは、やっぱり、私だよ……)

妹(あの家族を狂わせたのは……私だ)

妹「……ッぅ……あッ……あああああ――!」



カランッ

友達「……妹さん?」

妹「うあああ――ッ」

友達「どうしたんですかッ?」

妹「あッ…ぅッ…来ないでッ」

友達「そういう訳にも」

妹「なんでもない、なんでもないですッ!」

友達「姉さん、すぐ近くまで来てくれてますよ?」

妹「会いたくないんですッ」

友達「……」

妹「会いたくないッ、私を見ないでくださいッ……どっか行ってくださいッ」

友達「そんなことを言われても……とにかくもう暗いしいったんお家に」

ジリッ

妹「帰りますッ……すぐに帰りますから……こっちに来ないでください」

クルッ
ドンッ

妹「きゃッ?!」

ガシッ

妹「いやッ、離してッ」

姉「妹……」

妹「おね……やめて、触らないでッ」

バタバタッ

妹「いやよお……ッ」

姉「一緒に来い」

妹「いやって言ってるのにッ……家には帰りたくないッ」

友達「……姉さん、私の家の前に空き家があるので、使ってください。もともと、お祖母様が住んでいたのですが今は私が勉強するのに使っているだけなので」

姉「ありがと。お言葉に甘える」

妹「私は、行くなんて一言もッ」

姉「妹、ここにずっといる訳にも行かないだろ」

妹「大丈夫だもんッ……私、体丈夫だから、平気、平気……一人になりたいの、一人にさせて」

姉「友達、タクシー呼んでくれる?」

友達「先ほど呼びました」

姉「さすが」

ここまで

乙乙~

どうしてこうなった

期待

期待

妹「いいのにッ……そんなことより、お母さんの所に行ってあげてよ」

姉「妹、母さんに何か言われたのか」

妹「べつに、ちょっと喧嘩しただけ……」

姉「ちょっとって、それであんな風に叫んだりしないだろう」

妹「私だって、叫びたくなる時もあるもんッ」

姉「じゃあ、一人で悩まないで。私に言って欲しい」

妹「お姉ちゃんに言うことなんて……何もない。手、離してよッ」

姉「妹……」

友達「タクシー来ました」

姉「ああ」

妹「ダメだよ、お姉ちゃん。お姉ちゃんが、怒られるよ」

姉「……」

グイッ

妹「ダメだってば……お姉ちゃんッ」

ガチャ

姉「……」

妹「ホントに、大丈夫だから……ねえ。お母さん、ちょっと疲れてたみたいだから、帰ってあげてよ……」

姉「妹」

妹「……なに」

姉「今、妹の方が大事」

妹「……ありがと。気持ちだけもらっておくから」

姉「何言ってるの」

友達「姉さん」

姉「うん、分かってる」

グイッ

妹「きゃッ」

ドサッ
バンッ

妹「ちょ、お姉ちゃん!?」

姉「発車してください」

友達「駅前の方面にお願いします」

運転手「は、はあ」

妹「人さらい! バカ! 離せ!」

姉「……静かにしろ」

妹「バカ! お姉ちゃんのバカ!」

ガタガタッ

運転手「お、お客さん?」

姉「妹、じっとしてろ」

妹「犯される! レイプ魔!」

姉・友達「「……」」

姉「……はあ。あのさ、いい加減に口閉じないと、ホントにするよ」

妹「え」

姉「いいの?」

妹「……う、うええ……あ、あう」ワタワタ

姉「やっと、黙った」

友達「姉さん、時々恐ろしいですよね」

姉「え?」

妹「……ッ」シュー

友達「いいえ」ニコ

姉「いや、しないよ」

友達「ええ」

ここまで

乙乙~

乙ー

妹「お姉ちゃんなんか……嫌いだもん」

姉「……」

妹「嫌い……嫌い……みんな嫌い」

姉「……」

妹「……嫌い…………でも好き」グスッ

姉「……」ホッ

姉(……なんでホッとしたんだ?)

友達の家


友達「後で何か持っていきますね」

姉「いや、かまわないで」

友達「夕飯まだですよね? 軽く食べれるものみつくろってきます」

トタトタ

姉「すまない……ありがとう」ペコ

妹「……お姉ちゃん、もう逃げないから離して」

姉「ああ」

パッ

妹「……友さん、優しいね。お姉ちゃんとお似合いだよ」

姉「私と友はそういうのじゃない」

妹「あ、うん……そうだね」

姉「座ったら?」

妹「お姉ちゃんこそ」

姉「……」

ストンッ

妹「……」

ストンッ

姉「何があった?」

妹「言わない」

姉「……どうしたら言ってくれる」

妹「じゃあ、キスして」

姉「わかった」

妹「ふえ?」

姉「じっとしてろ」

ガシッ

妹「あッ……んぅ?!」

姉「ん……」

ちゅ――

妹「やッ」

ドンッ

姉「ッ……どうした。して欲しかったんだろ」

妹「同情のキスなんていらないもんッ……」

姉「同情?」

妹「好きでもないのに、よくできるねッ」

姉「好きじゃないと、してはいけない?」

妹「そうだよッ……何言ってるのさ」

姉「お前の気持ちはよく分からない……結局、本当はして欲しいのかして欲しくないのかどっちなんだ」

妹「そんなの、答えなんて分かってるじゃんか」

姉「なら……」

妹「でも、そんなので、お姉ちゃんは私のものになんかならない」

姉「私は、最初から誰ものでもない」

妹「うそッうそッ……うそだよ」

姉「ほんとだよ。誰の隣にいていいのかも……もうよく分からない」

妹「……」

姉「でも私がいると、お前が困る……それは、嫌なんだ」

妹「お姉ちゃんのせいなんかじゃ……」

姉「いや、現に今こうなってしまっているから。私が、早く家を出ていたら」

妹「やだよ……そういうことじゃないって」

姉「何の解決にもならないのかもしれないけど」

妹「だったら、出て行くのは私の方でしょ? 私は、私は……お母さんの子どもじゃないんだから」

姉「……母さんから聞いたのか」

妹「……」コク

姉「……」

妹「だから」

姉「それは、そんなに大事なことか」

妹「え」

姉「お母さんの子どもかどうかなんて、大事か?」

妹「……そりゃ」

姉「私は、お前がどこの子どもだろうが構わない。妹は、妹だ」

妹「そんなの、お姉ちゃんがあの家の本当の子だから言えるんだよ」

姉「違う、関係ない」

妹「あるよッ。一人じゃないもん。望まれて生まれてきたんだもんッ。だから、言えるんだよッ」

姉「妹だって望まれて生まれてきたんだよ」

妹「ははッ……もう、そういうのいいよ。いいの……何もかも薄っぺらく聞こえる」

ここまで

おつ

姉「……妹」

妹「……誰かの作り話なら、良かったんだけどさ。それでも、ひどいジョーダンだけどね」

姉「……」

妹「……」


コンコン

友達「紅茶飲まれますか?」

姉「ありがとう……」

妹「……」

友達「姉さん、これ」

姉「?」

友達「ここの合い鍵です。差し上げます」

姉「どうして」

友達「暫く、妹さんをこちらでお預かりします。好きな時にいらしてください」

姉「それは、悪い……」

友達「お母様が要らぬ不安を抱くかもしれませんし、冷静に話せる状況でもないと思ったので、お節介かもしれませんが……受け取ってください」

チャリッ

姉「友、何から何まですまない」

友達「いいんですよ」

コトン
カチャッ

妹「……」

友達「どうぞ」ニコ

妹「……」

姉「妹、私はいったん帰るから」

妹「か、帰るの?」

姉「ああ……」

妹「そ、そう」

姉「……」

トタトタ

妹「お……」

グッ

友達「……」


トタトタトタトタ――

―――
――



姉妹の家


姉「ただいま」

タタタッ

母「もう、お姉ちゃんどこに行ってたの?」

姉「ちょっとそこまで」

母「ゴミ捨てに行っただけなのに遅いから心配しちゃった。ご飯できてるから手を洗ってきてね」

姉「……うん」

母「ねえ、お姉ちゃん」

姉「なに」

母「これ、また燃えるゴミ出たから、明後日も捨てに行ってくれるかな」

ガサッ
ドサッ

姉「……ッ」

姉(妹の本を切り刻んだのか……ッ)

母「お願いね」

姉「……あ、ああ」

母「こんあ汚らわしいもの、たくさん部屋に隠してあったの」

ジョキジョキッ
パラパラッ

姉「母さん、もう切る必要は……」

母「これは、妹ちゃんのためよ。ご近所の人に、何を捨てたのか分からないように細断してあげてるの」

姉「やっておくよ」

母「いいのよ。お姉ちゃんの手が、汚れちゃうから。あ、妹ちゃんのお部屋も入らないようにしてね。汚染物質でいっぱいだから。ね」ニコ

姉「……ッ」ゾク

母「……いつも、妹ちゃんには手を焼かされる。でも、お姉ちゃんは違う。私がどうしたら喜ぶのか、哀しむのかちゃんと分かってる。優しい子に育って、お母さん嬉しいんだよ……だから」

ぎゅッ

姉「……母さん」

母「お母さんを哀しませないでね」

―――
――

妹の部屋の前

キイッ

姉「……」

ゴチャッ

姉(ひどいな、これは)

姉(妹がここに戻ってきても、悲しむだけだ)

姉(かと言って、私が出て行けば……母さんが狂ってしまう)

姉(もう、手遅れか……私は、何をしてきたんだろう)

姉(母さんと妹に仲良くして欲しかっただけなのに……どこで間違った)

―――
――



『どうして、私の気持ちをお姉ちゃんに左右されないといけないのさ! なに、今の! まるでお母さんみたいだよ! ムカムカしてきた! プンプン丸だよ!」

『あー、妹?』

『私が変えてやる! お姉ちゃんを! 変えてやるもん! 覚悟しろ!』


―――
――


姉(変だな……こんなこと思い出して)

姉(どこかで妹ならって思ってた。あいつなら、立ち直れるって……私と違って、母さんに左右されずに生きていけるって)

姉(妹……)

姉(こんな私を……好きになってくれたのに)

姉(変えてくれ……妹)

姉(私を……私たちを)

友達の家――


妹「……」

グデッ

妹「……はあ」

友達「打ち上げられたマンボウみたいですね」

妹「わ?!」

ガバッ

友達「夜分にすみません。お風呂のこと説明してませんでしたね」

妹「あ、おかまいなく」

友達「でも、匂いますよ」

妹「ええ?!」

クンクン

友達「うそぴょーん」

妹「……」イラ

友達「怒りました?」

妹「放っておいてください!」

友達「そんなこと言ってると、お家から放り出しちゃいますよ」

妹「別に、どこでのたれ死んでもいいです」

友達「あなたはいいかもしれませんが、私はよくありません」

妹「……」

友達「姉さんに怒られます」

妹「お姉ちゃんなんか知らない……」

友達「子どもみたいなことを」

妹「子どもだもんッ」

友達「……それに、せっかく知り合えた同志ですから」

妹「ジャンル違うもん」

友達「ロリ百合もいけるんですよ」

妹「え、そうなの」

友達「はい」

妹「ちょ、ちょっと詳しく……」

友達「……」

妹「あ、ご、ごほッ」

友達の家のお風呂

カポン――

妹「まさか、小学生の百合で……あそこまで見せちゃうなんて」

友達「奥深いですよね」

妹「はい」

友達「探せば光る百合はたくさんあると思いますよ」

妹「……でも、それで私失敗しちゃったんですよ? 家族まで巻き込んで……家族、家族かどうかも怪しいけど」

友達「じゃあ、もう一度やり直せばいいじゃないですか」

妹「もう、無理ですよ。だって、お母さんはきっとあの家にもう上げてくれない」

友達「まあ、仮にそうなると色々と問題なのですが……」

妹「私が、もっと普通の子だったらきっと何も起こらなかったのに……」

友達「なら、ずっとここで暮らしますか?」

妹「それも……いいかも」

友達「妹さん、私にも選ぶ権利があります」

妹「う……ひどい」

友達「妹さんにもありますよ……。ここで、何もせずに諦めるか、それとも何か行動をして自分の手で終わりにするか」

妹「なにそれ、カッコいいですね」

   /::::::::::::::::::::::::::\~プーン              
  /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\~プーン   ←ジャプカス
  |:::::::::::::;;;;;;|_|_|_|_|~プーン
  |;;;;;;;;;;ノ∪  \,) ,,/ ヽ~
  |::( 6∪ ー─◎─◎ )~        / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  |ノ  (∵∴ ( o o)∴)~      <日本は至高だお。在日差別は正義だお。日本万歳!!
  | ∪< ∵∵   3 ∵> ムッキー!    \_____________________
  \        ⌒ ノ_____
    \_____/ |  | ̄ ̄\ \

___/      \   |  |    | ̄ ̄|
|:::::::/  \___ | \|  |    |__|
|:::::::| \____|つ⊂|__|__/ /
|:::::/        | ̄ ̄ ̄ ̄|  〔 ̄ ̄〕

友達「どうせ終わりなら……もっと色々と調べて、自分でしめませんか?」

妹「……復讐と言うことですか」

友達「まあ、そういうことですね」

妹「復讐か……面白そうかも」

友達「何か思い浮かびました?」

妹「はい……でも、やっぱ無理みたいです」

友達「そうですか」

妹「……お母さん、今までずっと私とお姉ちゃんを育ててくれたから。お父さんは家に全然帰って来ないし、私より憎みたい気持ちとかあって……それで、私がお母さんを独りにしてお姉ちゃんをとっちゃうなんてなったら、寂しくてしょうがないだろうなって。何のために頑張ってきたのかって……」

友達「……お母様と仲直りすると?」

妹「それもしません。でも、諦めるわけじゃないです。お母さんもお姉ちゃんも……こんなことになっちゃったけど、憎めない……お姉ちゃんが言ってた、姉妹だから……家族だから」

友達「では、どうするんですか」

妹「……私は」

ここまで
また明日以降に

乙乙~

おつー

妹(憎めない……そうだよね)

妹(あの家に私の居場所がなくなって、お姉ちゃんをとられても……)

妹(私を好きじゃないとしても……)モヤモヤ

友達「凄く負のオーラが見えますが」

妹「はっ」

友達「妹さんは我慢すると、あとあと爆発してしまいそうに見えますが、大丈夫ですか?」

妹「平気へっちゃらです! こ、こんなの同人誌ではよくある展開ですもん!! むしろ貴重な経験だと思いますし……思いますし……」

妹「……」ジワ

友達「そういう展開だと最後はどうなるんですか?」

妹「恋敵を仇討ちして、心中とか、見投げとか、ですね……しやしませんよ」

友達「警察には先に伝えておきますね」

妹「やりませんて!」

友達「そういえば……実はね、姉さんからさっきメールもらったの」

妹「え、なんて!?」

友達「覚悟して聞いて」

妹「は、はい」ドキ

兄OR弟

イケメン金髪美男子須賀京太郎様【空気】

出番早よ安価無!?

友達「明日、朝に迎えに行くとのことです」

妹「……え、でも」

友達「駆け落ちしよう、と続いていました」

妹「……かけ」パクパク

友達「私も少し驚いています」

妹「……」コクコク

友達「姉さん、いったいどういうつもりなんでしょうか?」

妹「お姉ちゃん、そんなこと言わない人なのに……罠?」

友達「誰のですか?」

妹「お母さんかな……ねずみをおびき寄せるための」

友達「ねずみですか」

妹「人様の食べ物を横取りするね……友さん、私のお母さん、もうまともじゃない……知ってると思うけど」

友達「姉さんからたまに相談は受けていましたよ」

妹「もともと仲良かったわけじゃないですけど……こうなったら一戦交えるつもりで」

友達「復讐はしないのでは?」

妹「あっちからくるなら話は別ですもん!」

シュッ
シュッ

友達「へい、ここに当ててみなよ、ジャップ!」

ザバッ
パンパン!

妹「よかろう!」

ザバッ
シュッ
パシンッ




ーーー
ーー

友達「はあ、はあッ……もう、出ましょうか?」

妹「は……はい」ふらふら

次の日ーー


チュンチュン

友達「妹さん、起きてください」

妹「は……い、お姉ちゃん」

ぎゅう

友達「まあ、可愛らしい」

姉「よく寝てるな」

妹「お姉ちゃんの声!?」

ガバッ

姉「うあっと」

友達「凄い愛ですね」

妹「ガルルルッ」

姉「どうどう」

妹「お姉ちゃん!?」

ガバッ
ぎゅう!

姉「苦しい」

妹「なんで、お母さんは?」

姉「お母さんには、学校に行くと言ってある。だが、もしかしたらここに様子を見に来るかもしれない」

友達「お二人とも、これ、少しですが朝ごはんに」

ガサガサ

妹「おにぎりだー!」パアッ

姉「ほんとおまえってやつは」

友達「いい女房役ですか?」クスクス

妹「え、まさか」ビクッ

姉「いや、いいばあちゃんだ」

友達「まあ」

妹「私……」

妹(友さんみたいなお母さんが良かったな……)



乙乙~
愛の逃避行やな~

とあるバス停ーー

プシュー

姉「……これに乗るよ」

妹「う、うん」

姉「どうした」

妹「どこに行くの? 当ては……」

姉「あるよ。父さんの所に行く」

妹「お父さん……でも」

姉「頼るわけじゃない。お前の本当のお母さんの居場所を教えてもらいたい」

妹「え……やだ」

姉「なに?」

妹「駆け落ちとか言うから! ワクワクを返して!」

姉「そんなこと言ってない」

妹「え……あ、友さん……やられた」

姉「何のことかわからないが、このままなにもできないよりはいいかと思ったんだ……お前が行く道が広がるなら」

プー!

運転手「お客さん、乗るのかい? 乗らないのかい?」

姉「乗ります」

グイ

妹「あ」

トントンッ

プシュー
バタン!


ブロロローーー

ーーー
ーー

姉「妹、藤の花が綺麗だぞ」

妹「ふん」

プイ

姉「……」

妹(勝手だよ……みんな勝手……あれ、この道前に来た気がする)

妹(あの、茶畑も、寂れた工場も……)

姉「思い出したか?」

妹「……私、あれ?」

姉「父さんが、まだお前のこと隠してた時に、お前と父さんはよく家から離れてここに来てた……」

いったんここまで

妹「誰に聞いたの……それ」

姉「父さんだ。父さんが話してくれた。妹、お前はここで生まれたんだ」

妹「……」

ガタンッ

妹(街から離れて……コンビニも電車もなくて……緑ばかりだ)

妹「ここが私のふるさと」

妹(何も思い出せない。少しの既視感くらい)

姉「そうだ」

妹「お姉ちゃんと、私は、やっぱり……違うんだね」

姉「いいんだよ。私は、それでよかったと思う。母さんの血が入ってるのは私だけで十分だ。縛られて抜け出せないんだ……私も母さんも。でも、きっと父さんやお前は違ったんだよ」

妹「……お姉ちゃんだって、自由だよ?」

姉「……うん」

妹「お姉ちゃん……」

ガタンッ

姉「っと……」ヨロ

トサッ

姉「ごめん」

妹「ううん」

ぎゅ

姉「妹?」

妹「大丈夫、大丈夫」

ポンポン

姉「……ッ」ドキ

妹「おまじないね、万国共通だから」ニコ

姉「あ、ありがとう」

トクン――

姉「……?」

トクン――

モゾッ

妹「どうしたのお姉ちゃん、胸なんか抑えて。あ、苦しいの? 揉んであげようぐあ?!」

姉「けっこうだ」



妹「冗談だよ!」プクー

姉「そうなのか」

妹「それに、け、ケッスだってしてくれたのに」

姉「ケッス? ああ、キス? あれは仕方なくしたんだ」

妹「ええ、そうなの!? じゃ、じゃあ口直しにもう一回」

ちゅー

姉「ばか」

バシッ

妹「あいたッ」

姉「……ぷッ」

妹「この、ツンデレめえ……」

姉「……そかもな」ボソ

妹「え」

姉「いや」

妹「今、なんて」

姉「ううん、なんでもない」

妹「そうかもな……」ボソ

姉「……ッ」カア

妹「なーに、かっこつけてるのさあ……って、お姉ちゃん」

姉「悪いか……」プイッ

妹「どうしたの、熱でもあるの? なに、その可愛い反応? ねえ? ねえ?」

ズイズイ

姉「近い」

妹「いつも私とお姉ちゃんの間には布二枚くらいの距離しかなかったじゃん」

姉「そんなわけあるか」

妹「うんうん。その反応だよ」

姉「なんだ」

妹「いやあ……あ」

妹(今なら、言える? この雰囲気、この流れなら)

妹「もお、お姉ちゃん……だから、大好きだよ。お姉ちゃんは、私のこと好き?」

姉「……それなりに」

妹(それなりてどないやねん)

妹「もっと具体的に」

姉「そう言われても」

妹「包み隠しても無駄だよ。お姉ちゃんから、妹大好きオーラが溢れてるよ」

姉「……」

バッ

妹「いや……冗談だよ」

姉「……」

妹「……」

妹「お姉ちゃん、あのね……私、重大な誤解をしてたことに気がついた」

姉「なんだ」

妹「お姉ちゃんが、受けだった」

姉「……?」

妹「あ、うん、知らなくてもいいの」

姉「そうか」

妹(で、でも、私お姉ちゃんにいっぱいいじめて欲しかったのに……)

妹(大誤算だよぅ)

プシュー
ドアガヒラキマス

姉「ここだ、行くぞ」

妹「あ、待って!」

タタタッ

―――
――


ドンッ

妹「あ、すいません」

おばさん「いいえ……あら」

妹「え」

おばさん「あ、ごめんなさい」

ソソクサ

妹「?」

姉「……」

妹「近所の人かな」

姉(あれは、私の顔を見て……逃げたように見えた)

姉(狭い村だしな……誰かに見られていたのかも)

姉(母さんと一緒に、妹を迎えに行ったのが昨日の事のようだ)

妹「あー、ねこだー!」

トテトテッ

姉(母さんがあの時かなり騒いでしまったし……)

妹「デブ猫ー」

ゴロゴロッ

猫「ふぎゃー」

ゴロゴロッ

姉(居心地が良い所とは……言えないか)

妹「わしゃしゃしゃッ」

猫「ふなー」

姉「遊んでないで、行くぞ」

妹「はーい……じゃあね、ネコー」

姉「気に入った?」

妹「ここ? 自然に囲まれてて落ち着くし、ネコも可愛いし、良いところそうだね」

姉「ここに住むとか」

妹「え、やだよ」

姉「まあ、そうだよね」

妹「お姉ちゃんも一緒に暮すなら考えるけど」

姉「……」

妹「そんな困った顔しないでってば。無理だよ分かってる。お姉ちゃんは家に帰るの。そうじゃないと」

ここまで
また明日以降

乙乙

乙乙~

乙乙乙乙~

姉「……そうじゃないと?」

妹「お母さんが寂しがるでしょ?」

姉「そうだな……」

妹「やー、もう辛気臭い!」

バシッ

姉「つッ」

妹「どっち? お父さん家、こっち?」

ズンズン!

姉「ま、待て、こっちだ」

妹「はいはーい」

クルッ
ズンズン!

父の実家――


姉「ここだ」

妹「普通の家だ」

姉「そりゃまあ」

妹「別に期待してたわけじゃないんだけど、その辺の家庭と変わらないんだなって思って」

姉「?」

妹「ううん」

姉「インターホンは……」

妹「これ?」

ピンポーン!

ピンポーン!

ピンポーン!

妹「いないのかな」

ヒョイ

妹「小窓が空いてる」

姉「いるはずだ」

妹「なんで?」

姉「仕事は夕方からだった」

妹「ふーん、私あんまり覚えてないんだよね」

ガチャ

妹「あ」

ガチャガチャ
ガラ――

父「どちらさま……あ」

姉「父さん」

妹「おひさ」

父「ひッ……」

ガタッ
ドタンッ

妹「……なんでそんな驚くの」

姉「あの」

父「あ……れ?」

姉「前にも、家に帰って来た時……驚いてたっけ」

父「なんだ、お前たちか」

妹「なんだとはなんだ」

父「てっきり、母さん達かと……似るもんだな、やっぱ姉妹か」

妹「そりゃあ、娘なんだから嫌でも似てくるでしょ」

姉「……単刀直入に聞くけど、叔母さんどこにいるか教えて」

妹「……ん? 叔母さん?」

父「珍しく来たと思ったら、あいつのことか。もう、その話題は出さないってことじゃなかったのか」

姉「事情が変った。母さんが、妹にばらしてしまった」

父「そーかい……結局、許されちゃいなかったわけだ」

妹「ちょ、ちょっと、叔母さんってどういうこと」

父「なんだ、そこまでは知らないのか」

姉「父さん、それはまだ」

父「どのみち知ることだ」

妹「なになに、なんのこと」

姉「父さん、それは私が後で伝えるから。居場所だけ教えて」

ここまで

乙乙~

父「いーじゃないか。いいか、妹。お前の母親はな、お前の今の母親の実の妹だよ」

妹「……いも、うと」

姉「父さんッ」

父「はいはい」

姉「どこなの? 叔母さんはどこにいるの」

父「あー……」

姉「なに」

父「もういない」

姉「え?」

父「一昨年の暮れに、ガンで亡くなったって聞いてる。墓の場所も知らん」

姉「……そんな」

父「用は済んだか? あいつに見つかったらなにされるか分かったもんじゃないんだ。早く帰れ」

妹「お父さんはどうして……」

父「なんだ?」

妹「ううん、なんでもないや」

姉「行こう」

妹「うん」

 


|  |
|  | ∧_∧
|_|´・ω・`)

|梅|   o
| ̄|―u'
""""""""""

|  |
|  | ∧_∧
|_|´・ω・`)<マッテル...

|桜|   o
| ̄|―u'
""""""""""


|  |
|  |
|_|

|松|ミサッ
| ̄|
""""""""""

ごめん
ねおちした
またよるに

身体大事にな
そっとROMってるよ

乙乙~

ありがとう
泣いた

―――
――


近くの浜辺


ザザー

姉「……」

妹「さむ」

サスサス

姉「……ごめん」

妹「や、上着忘れたの私だから」

姉「ごめん」

妹「なんで謝るのさ」

姉「……」

妹「謝るくらいなら、連れてくんな!」

姉「……ッ」ビク

妹「私が、傷ついてると思ってるでしょ」

姉「ああ……」

妹「全然記憶にない人が死のうが生きようが、そんなのよくわかんないよ。私、お姉ちゃんが考えてるよりひどい人間だよ」

姉「私だって、そうだ。お前より、ひどい」

妹「いや、でもさ、一番くずなのはお父さんでしょ」

姉「そうだな」

妹「妻の妹に手を出すとか、もうどうしようもないよ。しかも、亡くなったのにお葬式すら出てないって」

姉「最低だ」

妹「で、私達二人ともそのくずの娘でしょ」

姉「つまり、私らもくずだ」

妹・姉「「……ぷッ」」

妹「あっはは……ッと」

パシャン!
パシャパシャ

姉「靴、濡れるぞ」

妹「一回さ、靴のまま海入ってみたかったんだ」

パシャッ

姉「ばか」

妹「ばかだよ…っおわ」

グラ――ドボン!

姉「……ばか」

妹「つめたーい!?」

ビチョビチョ

姉「そらね」

妹「お姉ちゃんも、濡れちゃえ!」

パシャ!

姉「こっちにかけるな」

妹「濡れてスケスケのお姉ちゃんが見たい!」

姉「変態」

妹「変態だもん!」

姉「風邪引くぞ」

妹「バカは引かないよ」

姉「じゃあ、先に帰る」

ザクザクッ

妹「ちょっと待ってよお!」

バシャッ

姉「ははッ……は」ビクッ

ザッ

妹「……あ」

ザッ

母「……」

妹「お母さん」

姉「どうして、ここに?」

母「お姉ちゃんの後をつけてきたの」

怖い

ヒエッ...

ここまで
またよるに

お父さんころされてそう......


ひえっ

母「妹ちゃん、あなたを引き取った時にね分かってた……いつか、私の大切なものをまた奪っていくんだろうって」

妹「私も気づいたよ。私にはお姉ちゃんしかいないって。でも、そうさせたのは私だけのせいじゃない……」

母「そうだね。妹ちゃんが悪いわけじゃない……よ……悪い、のは……妹……私の妹。お母さん、ちょっと冷静じゃなかったね」

ガジガジ

姉「母さん、爪が」

母「ありがとう。お姉ちゃん。お姉ちゃんがいたから、私ね妹ちゃんを引き取ろうって思えたの。私のことをいつも愛してくれているお姉ちゃんがいたから。私の妹は体が弱くてね。いつも、私がお世話してたの。でも、昔から子どもが欲しいって言ってて……誰でもね良かったの。あの子ね、子どもを産んだら、悪化するって分かってたのにね」

姉「ねえ、母さん。私も母さんがいたからここまで生きていけたよ。母さんが妹を引き取ろうって決意してくれたから、私は……私は、こんなにも妹のことを想うことができたんだ」

母「……妹をとるの?」

姉「そういうことじゃ」

母「私の人生の半分は、妹だった。残りの人生は自分のために生きようと思ったのに。お姉ちゃんがいないなら……生きてる意味ないよぉ」ポロポロ

姉「母さん……」







妹「お母さんは……お姉ちゃんが大切なんかじゃない」

母「なに……」

妹「お姉ちゃんを可愛がることで、自分を愛してるだけでしょッ……一生懸命に妹のお世話をした自分を誰かに褒めて欲しいだけなんだよ」

母「そうだよ……それの何がいけないのかな」

妹「お姉ちゃんは、お母さんのために生きてるわけじゃないじゃん……お姉ちゃんを縛らないで!」

母「じゃあ、妹ちゃんが……お姉ちゃんの代わりになってくれる?」

妹「……」

母「できないよね? でも、お姉ちゃんにはそれができるの」

妹「ふざけんな!」

バシッ

姉「妹?!」

母「ッ……なにするの!」

バシッ

妹「……ッい!?」

ドサッ

妹「私は、私だって……お母さんの娘なんだよ!? 頼ってよ! お母さんの妹が病弱だったかなんだったか知らないけどさ、私は……お母さんに幸せになって欲しいよ。お母さんがいくら私のこと嫌いでも、お母さんは私を頼っていいんだよッ」

母「なんで、そんなこと言うの……」

妹「私のお母さんはお母さんだけだもん……そうでしょ?」

母「……なんで」

妹「理由いるの……?」

母「……ッう」

姉「母さん……冷えるし、いったん家に戻ろうよ」

スッ

母「来ないでッ」

パシッ

姉「え」

妹「ちょ」

母「二人で、口裏合わせたつもりかな」

ザッザッ――ザブンッ

姉「なにを……」

母「家に帰っても、私の居場所はない」

姉「ううん、あの家は母さんが守ってきたんだ。だから、母さんがいないと私たち……帰れない」

母「……綺麗ごとばかり」

ザブザブッ

妹「死ぬ気なの?」

母「これ以上、大切な人が奪われるのを見たくない」

姉「母さんッ」

ザブンッ

母「来ないでって言ってるの!!」

姉「行かないで……母さん」

ザブザブッ――ガシッ

母「お姉ちゃん……離して」

バシャッ

姉「もし、このまま行くっていうなら……一人になんてしない」

母「……妹を……」

姉「うん?」

母「妹を殺したのが私だったとしても……許してくれる? それでも一緒にいてくれる?」

姉「……」

母「……ほら」

姉「いるよ。一緒だ」

ギュッ



姉「……私だけじゃないよ」

母「……」チラッ

妹(……今のがきっと嘘でも本当でも、お母さんは……同じ言葉を求めてるんだね)

妹「仕方ないなあ……」

ザブッ

妹「どうせ濡れてるしね、どこまで濡れたって同じだもん」

ザブザブッ――ギュッ

妹「……私、お母さんのこと初めて抱きしめたかも」

母「……ッ」

妹「あったかい……」

母「お姉ちゃん」

姉「はい」

母「妹ちゃん」

妹「はーい」

母「……で」

姉・妹「「?」」

母「独りにしないでぇ……ッ……ぅあああ―――」ポロ

姉・妹「「うん」」

――――
―――



数週間後



妹「お母さん、お供え物お花とお菓子でいいの?」

母「ええ」

姉「祖父ちゃんも祖母ちゃんも先に乗ってるよ」

母「行こうか」

妹「あ、ケータイ忘れた。取ってくる!」

姉「最後、鍵閉めといて」

妹「あーい」

ドタタタッ
ギイッ

妹(色々捨てたからどこに何置いたか……あ)

ヒョイッ

妹「あった」

妹(もうすぐこの家ともお別れか……)

妹(でも、お祖父ちゃん家に引っ越すのが今はお母さんのためになるよね……)

妹「あー……でもなあ、できるなら、人生やり直せないかなあ」ボソッ

妹「なーんて」

トタッ

姉「やり直して、どうするんだ」

妹「げ、お姉ちゃん」

姉「げってなんだ」

妹「えへへ」

姉「変な笑い方」

妹「悪かったね! ……あのねえ、私ちょっと怖いこと思いついた」

姉「ん?」

妹「もしかしたら、死んだ私のお母さんがさ、私に乗り移ってたんじゃないかなって。だから、私、こんなにお姉ちゃんのこと大好きなのかも」

姉「罪滅ぼし?」

妹「そうそう」

姉「私にされてもな」

妹「そうだね……」

姉「で、人生やり直すのか」

妹「今はまだ、ね。田舎でのんびり暮らしてさ、お母さんが落ち着いた頃に……再婚相手もついでに探してみようかな。それからでも遅くないかな」

姉「お前は、すごいな」

妹「お姉ちゃんもだよ」

姉「私?」

妹「置いていったりしないよ」

姉「……」

妹「みんなが幸せってすごく難しいけど、でもそれに近い何かはあるはずだよ。ホントの幸せじゃないかもしれないけど、探していけばきっと見つかるから。一緒に見つけていこうね」

姉「……妹」

妹「どうしたの?」

姉「私は……もう、お前がいるだけで十分だよ」

ぎゅッ

姉「ありがとう」

妹「お、お母さんに見られたら」ワタワタ

姉「うん」

妹「い、色々大変なことに」ワタワタ

姉「うん……」

妹「まずいよぉ」ワタワタ

姉「うん……」

姉「弱音、吐いてもいいか」

妹「……ど、どうぞ」

姉「……母さんがずっとあのままだったら、どうしようか。私も妹も、母さんのそばを離れられない状態になって、それが永遠と続く。不安だ。不安でしょうがない。祖父ちゃんも祖母ちゃんもずっといてくれるわけじゃない……私は、耐えれるだろうか。逃げ出してしまわないだろうか。お前に……依存してしまいそうだ」

妹「……」

姉「そうして、お前に寄りかかって生きてく自分が見えるんだ……でも、お前がそばにいないと壊れてしまいそうで……何もかもばらばらになりそうで……でも、あの人のそばにいれるのは私しかいない……」

ギュゥ

妹「……」

姉「私がやるしかないんだ」

妹「……」

姉「……ッ」グッ

妹「……独りにしないでって、卑怯な言葉だよね」

姉「ああ……」

妹「でも、思い込みなんだよ。本当は、独りじゃないのに……でも、それに気付けるまで何度も誤解してそれを解いて……それの繰り返しなんだね」

姉「妹が、いないとダメだって考えも?」

妹「嬉しいけど、それも誤解」

姉「ひどいな……お前が言ったんじゃないか」

妹「ごめんね。でも、本当に独りじゃないって気付けるまでは……」

スッ――

妹「何度でも言うね……お姉ちゃんが、好きだよ」

姉「うん……」

――チュ







終わり

読んでくれてありがとう

おつかれ

ありがとう

乙乙~

乙乙乙

乙ー

ほかのさくひんはーないんですかーー
なんでこんなのと結婚したんだろとか言われちゃうかわいそうなお父さんのやつだけ?
他のもあったら見てみたいです

>>307

ありがとうございます。
いくつかありますが、オリジナルと二次創作のどちらかと、ギャグ、シリアス、ホラー、エロ、ほのぼの、どれを重視されてるのか
教えてもらえたらそれっぽいのを抜粋してお伝えできます

よかったら
トリップなしで書いているもので
全部お願いします

>>309

覚えてる範囲で探してみます
ちょっとお待ちを

注意書きをあえて書いていないのもあるので注意してください。
いくつかないのもあるかもです。

【オリジナル】

姉「妹って、いつもにこにこして気持ち悪い」妹「……」ニコ
姉「妹って、いつもにこにこして気持ち悪い」妹「……」ニコ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1449586840/)

チカン電車 百合ver
チカン電車 百合ver - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1384092580/)

イメージプレイ 百合ver
イメージプレイ 百合ver - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1408833909/)

昼下がりの女子中学生 百合ver  
昼下がりの女子中学生 百合ver - SSまとめ速報
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妹「お姉ちゃんが怖い」姉「妹、邪魔」 - SSまとめ速報
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出張えろえろマッサージ (女子高生と女技士編) - SSまとめ速報
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妹「お姉ちゃんが帰って来た」姉「何か飲みものちょーだい」 - SSまとめ速報
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【安価】家庭教師の虎井【百合】 - SSまとめ速報
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【安価】ノンケを落としたい【百合】 - SSまとめ速報
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【二次創作】

【ごちうさ】

指先の熱
【ごちうさ】指先の熱 - SSまとめ速報
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【ラブライブ】

絵里「青春の影」
絵里「青春の影」 - SSまとめ速報
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希「青春の影」
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にこ「少女の影」
にこ「少女の影」 - SSまとめ速報
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穂乃果「絵里ちゃん、希ちゃん、あのね」
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希「昨日、絢瀬さんの誕生日だったん?」絵里「そうだけど、何か?」
希「昨日、絢瀬さんの誕生日だったん?」絵里「そうだけど、何か?」 - SSまとめ速報
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絵里「暗い、狭い、怖い」花陽「こういうじめっとして狭い所、落ち着きます……」
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【ゆゆゆ】

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友奈「なんで、変身の途中なの!?」東郷「やりたくてこうなったわけでは…」 - SSまとめ速報
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東郷「言い訳」
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【なにゃゆか】

奈々子「縁さんにうざがられる?」縁「奈々子ちゃんを罵倒する?」
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【ユミクリ】

ユミル「雪山訓練の後」クリスタ「ちょっと仲を深めました」
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【がっこうぐらし】

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【がっこうぐらし】ゆき「くすんッ……う……あ……うあああ――っん」 - SSまとめ速報
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【まほみほ】

まほ「みほが公式試合で私が好きだと言ったらしいのだが・・・」
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まほ「まほみほ大作戦だと?」 沙織「はい!」
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【うづりん(うづりんssbot名義)】

凛「え、キットカッ〇を口移しするCMですか?」卯月「私はいいよ」

凛「お孫さんを私にください」卯月「凛ちゃん、何言ってるんですかっ」

凛「……抱きしめるタイミング?」未央「うん」

凛「何の音……?」卯月「何でしょうか……」

凛「UZUKI?」

【デレマス】凛「卯月崩壊」

【デレマス】凛「卯月覚醒」

うづりんびより


【凛セイバー】

セイバー「……凛に魔術で少女にされてしまった」
セイバー「……凛に魔術で少女にされてしまった」 - SSまとめ速報
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【伊奈ユキ】

伊奈帆「姉の腕」
伊奈帆「姉の腕」 - SSまとめ速報
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伊奈帆「姉の腕」2
伊奈帆「姉の腕」2 - SSまとめ速報
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【みこイン】

美琴「白いのに慰められた」インデックス「白いの言うな!」

美琴「白いのと沖縄行った」インデックス「短髪、パンツ見えてるよ」

美琴「白いのがメイドになった」インデックス「お茶入れてみたんだよ」

美琴「白いのが、お、おっぱいを吸ってくる」インデックス「記憶にないんだよ?」

美琴「白いのが出て行った」インデックス「短髪のバカバカバカ……」

美琴「インデックス、ダメ堪えて」インデックス「で、でも、もう無理かも……」

以上です。
伊奈帆とユキ姉の以外は全部百合です。

もう読んで下さった方で、トラウマ植え付けられたなどありましたら、ここに書き込んでもらったら返答したりしなかったりします

ごちうさの指先の熱もそうだったのか、書きなれているというか上手いと思ったけど、なるほど…

思い出した

穂乃果「ねむいんだもん」雪穂「誰か起こして」
穂乃果「ねむいんだもん」雪穂「誰か起こして」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429796617/)

希「穴」

やったーーーーありがとう
トリップつきのは今よんでます
これでまたしばらくひきこもれるぜうへへ
ありがとうございましたー

>>316
ありがとう
チノに押されるとココアが弱気になるのが見たかったss

>>318
ありがとう
同じ姿勢が1時間以上続くようなら立ち上がったりして体動かしてね

ほとんど読んだことある
てかうづりんbotの人だったのか
俺も見てないの読んでくるぞ~

>>321
エロからギャグから混在してるのでお気を付けて
自分で言うのもだけど、オススメは凛とセイバーのやつがほのぼのして好き

>>322
どっちでもいけるよ。シリアス好きだけど
fateはわからんのよね、すまん
>>1には是非咲-Saki-の咲照を知って欲しい。みほまほと被るかもしれんが

>>323
しぶの方で照怜ssは載せてて、その中に咲照鬱要素なら書いた
咲照は、和と董のことを考えると、どうしても昼ドラ的な展開しか思いつかないから書きあぐねいてる

乙、病んでる女の子カップルものは大体>>1のなんだな。半分くらいは読んだ
穴って途中でどうなったんだ?なんか放棄された記憶があるんだけど

>>325
病んだ後それなりにハッピーにするのが好きなもんで
穴は、ネタバレになるから、未読の人は回れ右↓





花陽以外みんな穴を覗いてしまったので、出てくるばあさんの母親の怨霊のお供え物になります。

>>324
主要カプを意識して他カプ書けなくなる気持ちすごくわかる
よく最後に他キャラとくっつけてしまう...
書いてくれるカプがだいたい自分が好きなカプで嬉しい

>>327
良い酒が飲めそう
主要カプをやっぱり応援したくなる
寝取られとかでもとさやに戻らんかったら可哀相過ぎて死ぬ

>>328
でもそういう場合は特定の二人以外出さない形で書いてる
デレステしかしたことないけどうづりんSS挑戦しようと思うので、コツあったら何かお願いします

スレ汚し失礼しました

コツというか、書くときは、感情を表現する際、簡単簡潔部分と、長めに書く部分を作ってメリハリを意識してる。あと、映画・アニメとかでいいと思った演出、映像を文章化したり、実在女性との会話を引用して現実感を出したりしてる

うづりんに関しては、卯月を好きだけどなかなか報われない凛に、たくさん試練を与えてそれを乗り越えてもらってます

主人公はいじめてなんぼの精神で書いてます

あなたでしたか
あっちもたのしみにしてます
おつ

お疲れ様です。面白く読ませていただきました。
というかあなたでしたか
次回も期待してます

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