紺双葉「暗黒卓球少女」 (76)

●「それでも町は廻っている」の『暗黒卓球少女』回冒頭からのSSです

●それでも町は廻っている本編と、実在する「卓球」とは一切関係ありません。
●他の石黒正数作品からもキャラクターが登場します。



「闇の卓球」
それは激しい球のぶつけ合いにより身体を容赦なく傷付ける危険な競技である…
そして「負けた人間は一週間以内に、一度自分を負かした相手に勝たなければ(または同じチームの仲間がその相手に勝たなければ)相手の配下になる」というルールが存在する。





日本―――――


一見、平和に思えるこの国で、闇を蠢くとある組織がいた…

それは全国の「卓球部」を制圧・支配していき…年々勢力を拡大させて行った。


その闇の組織の名は…
『黒卓球会』





この物語は、闇の暗黒卓球会に挑む七人の卓球少女の闘いの記録である。





SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1459513608



『暗黒卓球少女』

第1話
「その名は紺双葉」




南第三中学

カアアアンッ!!

カアアアンッ!!!


少女「ぐはあ!!」

ドサッ


キル崎「ヒャッハアアアアア!!!これでお前を倒せば南第三中学も私達のものよーーー!!!」

デス山「大人しく観念しなさあああい!!!」


少女「くそ…っ、このままでは南第三中学が…奴等の手に堕ちてしまう!!」フラッ


トコトコトコ…


少女「は!待て!そこの通りすがりの二年生!!」


双葉「え…私、ですか?」ビクッ

少女「見ての通り2対1なんだ…卑怯だと思わないかい!?」

双葉「はあ…まあ…」

少女「私と組んで共に戦ってくれ!!」

双葉「でも私、卓球したことないし…」

少女「お前からデケェ卓気を感じるんだ!!いいからラケットを握ってみてくれ!!」

双葉「う、うん…」トコトコ

少女「器具庫のどっかにあるはずだ!」

双葉「えーと、ラケット、ラケット…」オロオロ



双葉「こほっ!こほっ!ないなぁ…どこだろ」ガサガサ



双葉「あっ」



古びたラケット



双葉「あった。ちょっと埃かぶってるけど」パッパッ



ドクンッ!!


双葉「え!?なに…今の感じ…っ」


双葉「…!!」ハッ


卓球選手の幽霊「君…俺の姿が見えるのか!?」

双葉「だ、誰ですか!?」ビクッ

卓球選手の幽霊「かいつまんで説明すると俺は、世界大会に出場するため会場に向かう途中で無念の事故死をとげた卓球選手の霊だ」

双葉「霊…」

卓球選手の幽霊「俺の姿が見えるという事は、君はかなり強い卓気を持っていると見た」

双葉「はあ…」

卓球選手の幽霊「君の名前は?」

双葉「紺双葉です」

卓球選手の幽霊「俺に再び卓球をやらせてくれ、双葉!という訳で君に俺の力を与えよう!」

ピカアッ!!

双葉「え~~~!?」



カアアアンッ!!!


キル崎「ギャヒョ~~~!!お前の相棒も逃げ出しちまったみたいねえええ!!!もう逆らう気も起きないだろう~~!?」

デス山「これにてゲームセットよおおお!!!」

ボゴオッ!!!


バキッ

少女「ぎゃふっ!!!」ドサッ


少女「くそ…ここ、まで…か…」フラリ

ジャリッ



双葉「…」

少女「!!きみ、危ない!!!」


ガッ!!!
ギュルルルルル!!!


少女「う、受け止めた!!?」



双葉「ゲームセット?…いや…」





双葉「もうワンゲームだ!!!」

ドンッ!!

デス山「わ、私のスマッシュを受け止めたですってえええ!!?」

キル崎「た、たまたまよ!!たまたま!!」



双葉「返すっ!!」
カアアアンッッ


ギュウウウゥゥッ!!!


デス山「ひっ!!?」


ボコオオオオオッ!!!



少女「…!!?」



デス山「ひ…ひえ…っ」

ブシュウウウウウ…


キル崎「壁に、穴が………!?」


少女「す、凄いぞ君!期待以上だ!!名前は何と言うんだ!?」


双葉「紺…双葉」

ドンッ



キル崎「聞きなれない名ね………この卓気計測器『タックン』であの子の卓気を測ってやるわ!!」


双葉「…」

ピピピピピ…


『紺双葉』480卓気



キル崎「よ…480卓気ですってぇ!?」

デス山「何デスって!?あの卓球王様で1000卓気なのに…その約半分も!?」


少女(私でも310卓気なのに!?この子…何者!?)

双葉「さあ…まだ、続けるか?」ニヤッ


デス山「この…調子に乗るんじゃないわよ!!」

キル崎「私とデス山ちゃんはそれぞれ350卓気…二人合わせれば700卓気よ!!勝てるわ!!!」

双葉「はっ…単純な足し算で勝てりゃ小学生でも勝てるよ」ククッ


デス山「この…っ!!」ブチッ

キル崎「いつまでも調子こいてんじゃねえわよおおお!!!」


スコオオオオオンッ!!!!!


ギュウウウゥゥッ!!!


少女「キル崎の必殺スマッシュだ!!ヤバイぞ、早く避けろ君!!!」


双葉「大丈夫だよ、下がってな先輩」




双葉「わざわざ球を早くしてくれるなんてありがたい…そのまま打ち返してるよ」


キル崎「や、やってみゃああれゃああおああらあああ!!!」(訳:やってみやがれオラ)


少女「おい、危ないぞ!!」


ギュルルルルルッ!!!



双葉「必殺!!フタバ・シュート!!!」

ギンッ!



キル崎「なに!?」


双葉「はあああああああああ!!!!!!」

ガキイイイイイイイインッ!!!

キル崎「にいっ!!!」

デス山「キル崎ちゃん!避けて!!」

キル崎「だめ、早くて逃げられない!!!」


ギュルルルルル!!!!!!




ボコオオオオオッ!!!!!
デス山「って、当たるの私かい!!!」

キル崎「デス山ちゃあああん!!!」


少女「す、すごい………なんて、シュートだ……」


双葉「今日もつまらぬ球を打ってしまった…」

少女「決め台詞もあるの!?」




デス山「がふっ!はあ……今日のところは見逃してやるわ…!!」


少女「あいつもあいつでバカみたいにしぶといな」


キル崎「また来てやるからね!覚えてらっしゃい!!」


オホホホホ………


ダッダッダッ…



少女「…帰ったか…君、ありがとう…」


双葉「…う…」フラリ

ガクッ!!


少女「おい!大丈夫か!?」


双葉「はあ…はあ、だ、大丈夫です…ただ、すごく…疲れました……」

少女(む、雰囲気が最初の頃に戻った)

少女(先程のは卓球本気モードの姿という訳か…)


双葉「先輩こそ、怪我が酷いじゃないですか…」

少女「問題ない。いつものことだよ」

双葉(普段からどんな卓球をしているんだろう…)


双葉「あ、そう言えばまだ名前を聞いてないですね…」

少女「私はナリコ…ザ・ナリコとも呼ばれる。まあ、気軽にザナリとでも呼んでくれ」

双葉「もう、何がなにやらさっぱりです」

ザナリ「…双葉…君は、凄え卓気を秘めた奴だ…」

ザナリ「頼みがある………私と一緒に、黒卓球会と戦ってくれないか?」

双葉「黒…卓球会?」

ゴゴゴゴゴ…

暗黒卓球会



キル崎「すみません…とんだ失態を…」

デス山「お許しください、卓球王様!!」


ゴゴゴゴゴ…
卓球王「ふむ………480卓気の少女か…まあ、今回は仕方がない。特別に許してやろう」


デス山・キル崎「は、ははあ!!」


卓球王「ふふふ、それに、私も…強力な潜在卓気を秘めた少女を見つけたのだよ…」

デス山「なんですと!?」

キル崎「その少女とは!?」


卓球王「その突如現れた強力な卓気の持ち主にはその少女を向かわせよう」


卓球王「やれるな?岩崎春香…」



春香「…」



ゴゴゴゴゴ…

ゴゴゴゴゴ…

黒卓球会



キル崎「すみません…とんだ失態を…」

デス山「お許しください、卓球王様!!」


ゴゴゴゴゴ…
卓球王「ふむ………480卓気の少女か…まあ、今回は仕方がない。特別に許してやろう」


デス山・キル崎「は、ははあ!!」


卓球王「ふふふ、それに、私も…強力な潜在卓気を秘めた少女を見つけたのだよ…」

デス山「なんですと!?」

キル崎「その少女とは!?」


卓球王「その突如現れた強力な卓気の持ち主にはその少女を向かわせよう」


卓球王「やれるな?岩崎春香…」



春香「…」



ゴゴゴゴゴ…



1話 おわり


第2話 「三人の一年生」





私はある日、「闇の卓球」をしているザナリ先輩と出会った…

そしてそれから黒卓球会への闘いに巻き込まれることになった………



双葉「え、卓球部いま一人しかいないんですか!?」

ザナリ「うん。それがね…」

双葉「そんなに卓球部人気ないんですか!?」

ザナリ「いや、違う違う。普段おとなしい割りに酷いこと言うね君は」

双葉「す、すみません…」

ザナリ「闇の卓球のルールだよ…卓球部の者は私以外みんな黒卓球会の配下になってしまった…そして私までやられればこの学校はもう奴等の支配下になっていた」

双葉「…」

ザナリ「だが、そんなピンチの時に君が現れた!!」ガシッ

双葉「へ!?」

ザナリ「君は我々の救世主だ…黒卓球会を倒すには、君の力が必要なのだよ!!」

双葉「は、はあ……でも、二人だけじゃ心許ないですよね…」

ザナリ「そうなんだよ…と、言うわけで今日は一年から才能あるものを探そうと思う」

一年生の体育の時間


カコオオオンッ!
カコオオオンッ!



ザナリ「おー、やってるやってる」

双葉「こんなに都合よく体育に卓球をしているなんて」

ザナリ「そんなことより才能のありそうな人間を探そう」





「はあああっ!!」カアアアンッ


「ぎゃっ!?ちょ…はやいっての!」


双葉「…!あの子…なかなか凄い球を打ちませんでしたか?」

ザナリ「お、双葉も見ていたようだね…うんうん、あの子いい感じだ。えーと、名前は…」


トシ子「へへへ、私結構強いでしょ?」ニヤッ

ザナリ「辰野トシ子か…」

針原「辰野さん…確かに貴女は強いわ…でもね」

針原「そのナチュラルに自慢すんのやめなさい!!」カアアアンッ


トシ子「おわ!?しまっ…」

針原「おほほほ!油断するからよ、辰野さん!」


双葉「あの針原って子もいい腕をしています…」

ザナリ「うん。あの子は伸びるね」



―――――――



辰野「…え?」

針原「卓球部?」

福沢「わざわざ私達をスカウトしに来たんですか?」


ザナリ「そう。君たちからは一年の中でも強い卓気を感じた。特に辰野と針原」

針原「そんな、照れますねぇ…」

辰野「卓気って何だとツッコミたいけどね」

ザナリ「そしてこの娘が二年の紺双葉だ」

双葉「ども…」ペコ


ザナリ「そして、これが大事な話だ……ちゃんと聞いてくれよ。これを聞いて卓球部に入りたくなければ断ってくれても構わない」

トシ子「なんすか?」

福沢「まさか…黒卓球会と闘うんですか!?」

ザナリ「え!?よくわかったね!!」

福沢「そりゃそうですよ!黒卓球会といえば卓球好きの常識です!!」

双葉(常識なんだ…)


針原「あの…黒卓球会って何ですか?」

ザナリ「君たちは闇の卓球を知っているか?」

トシ子「まあ、それは聞いたことあります…でも都市伝説か何かですよね?」

ザナリ「いや、実在する」

トシ子「へ!?」

双葉「私も見た…ザナリ先輩とオッサンみたいなオカマみたいな選手が戦っていたの」

福沢(オッサンみたいなオカマみたいな選手ってなんだ)


ザナリ「そして、その闇の卓球で日本を少しずつ支配しようとしている組織…それが暗黒卓球会。しかも今、卓球部は私と昨日入った双葉だけ…このままではこの学校が危ういんだ」


ザナリ「出来れば君たちに力になって欲しい…でも、危険だから無理にとは言わない」

福沢「すごい!なんか漫画みたいで面白い!」

双葉「面白いって…」

針原「確かに怖いわ…でも、学校の危機だと言うのなら…」

トシ子「…私は…パスで…」

針原「入りなさい!!辰野さんも入りなさい!!」

トシ子「あーもう、離してよ!!」

針原「辰野さん!お願い!貴女がこの一年生の中で一番強いじゃない!貴女が頼りなの!」

トシ子「うー…仕方ないなぁ、わかったわよ…入ればいいんでしょ」

福沢「これで決定だね」

ザナリ「一気に三人も増えたぞ!やったな、双葉!」

双葉「はい、良かったですね…これで少しは安心です」

―――――――


ザナリ「さて…と、いうわけで…一年諸君。さっそく練習だ」

針原「はい!」
福沢「はい!!」
トシ子「へい」

ザナリ「では、さっそく双葉と打ってみなさい。三人一斉で」

双葉「え、私一人で三人の相手するんすか!!?」

ザナリ「大丈夫、双葉ならやれる」ポンッ

双葉「うー…」


ザナリ「では参考までに…皆の卓気をまず見ておこう」スチャッ

針原「なんすかそれ!?」

ザナリ「卓気を測る機械だよ…つまり卓球の強さを見るんだ」

福沢「すごい!やっぱり卓球部ってすごいですね!」

トシ子「ドラゴンボールのパクりじゃん…」


ピピピ…


ザナリ「まず、力が覚醒してない状態の双葉は卓気290。それでも十分高いね、やはり君は卓球の素質がある」

双葉「いやぁ…」

ザナリ「そして、トシ子が200、針原190、福沢150…うん、一年生なら十分に強いレベルだよ」



ザナリ「さ、双葉と一年生三人で打ってみなさい。怪我はさせちゃダメだよ」

針原「はーい!」

双葉「はい」

ザナリ「始め!」


双葉「そっちから打っていいよ」



トシ子「じゃ、私がやるわ…」ジャリッ

針原「辰野さん!頑張って!」


トシ子「はあああ!!」カアアアンッ

双葉(きた!速い…)

双葉「やあ!」コオオオンッ

針原「えいや!!」カアアアンッ

双葉「く…っ」コオオオンッ


カアアアンッ
コオオオンッ

双葉(辰野さんと針原さんが特に強い…気を抜いたら負ける!)

双葉「はああっ!」カアアアンッ


トシ子「まだまだあ!」コオオオンッ

針原「はあ、はあ、三人がかり相手にあんな素早く無駄のない動きができるなんて…」

双葉「はあ…はあ…」ジャリッ


双葉(……楽しい…)


――――――

ザナリ「うんうん、みんないい動きだったよ」

福沢「疲れた…」

トシ子「はあ、はあ」

双葉「ふう…」

針原「先輩、お疲れ様です」

双葉「みんなもお疲れ」

針原「先輩すごいっすね!今度その動き教えてくださいよ!」

双葉「え、うん…いいいよ」

トシ子「あー…お腹すいた」

ザナリ「そうだ、双葉。ちょっと来てくれ」

双葉「なんですか?」

ザナリ「皆は少し待っておきなよ」

針原「はい!」

辰野「へーい」


福沢「ねえねえ、これなら黒卓球会に勝てるかな!?」

針原「あはは…そんないきなりは無理よ」

トシ子「つーかさ…本当にいんの?黒卓球会なんて。嘘くさいんだけど…」


ジャリッ


トシ子「!」

福沢「あれ…誰か入ってきたよ」

針原「え?」



「…私は…黒卓球会から来た」



トシ子「!!?」

針原「誰!?」





春香「…岩崎春香だ」ジャリッ

福沢「く…黒卓球会!!!」

トシ子「マジかよ…っ」

針原「な…まさか、戦いに来たの!?」

春香「紺双葉とかいう女はいないのか?」

トシ子「別んとこ行きましたけど」

針原「紺先輩に手は出させないわ!」ジャリッ

福沢「針原さん…まさか!?」


春香「…私とやる気か?かったりーな~…」ポリポリ


春香「ま、あんた達も卓球部ならどうせ倒さなきゃいけないし、いいよ…最初はあんたらから相手になっても」


針原「辰野さん…協力して…」

トシ子「えー…まあいいけど」ジャリッ


春香「…お前ら二人、強そうだな。いいよ、お前ら二人から来いよ」

福沢(私はそうでもないのか…)

針原(闇の卓球…初めてだけど、全力でやってみせる!)

トシ子「…」

針原「えやあああ!!!」カアアアンッ

ギュルルルッ!!!

福沢「おお!いきなり本気だ!!」


春香「…」


ガガッ!!ギュルルルッ!!

針原「!!!」


春香「へー……まあ…なかなかだな…」

トシ子「な…針原さんの全力を澄ました顔で受け止めた…!!」

春香「…さっさと終わらさすぞ…私も暇じゃないんだ」


カアアアンッ!!!


針原「!!?」

ギュルルルッ!!!


トシ子「針原さん、避けて!!!」


針原「ぎゃふっ!!!」バキッ


福沢「針原さん!!!」


ドサアッ


針原「う…あ…つ、強…い…」

トシ子「…!!!」

春香「…ほら、来いよ」


トシ子「くっ!やあああ!!」コオオオンッ!


ギュウウウ!!


春香「…」スッ




春香「ふん」カアアアンッ!!



ギュルルルッ!!!


トシ子「ひっ!?」

バカアアアッ!!

トシ子「あああ!?」ドサッ


春香「…終わりだな」ジャリッ

福沢「う…そ、辰野さんと針原さんが…一瞬で、やられた…」


春香「…」



福沢(…ザナリ先輩の持ってた卓気計測機…)スチャッ


ピピピ…



『岩崎春香』 450卓気


福沢「…!!?」


福沢(450卓気!?なに…それ…)



春香「…」



針原「待っ…て」フラッ


春香「なんだよ?まだやんのか?」


針原「違う…ただ、気になる事が……」

春香「あ?」


針原「あなた…卓球を楽しんでいるように見えない…」

春香「…別に好きじゃねえし…興味ねえもん」

針原「じゃあ、なんで!卓球なんかしてるの!?」

春香「…」



春香「お前にゃ関係ねえよ」ザッ


針原「…」





春香(…そう…私は卓球なんて興味ない…私がやりたいのは音楽だ…ミュージシャンになりたいんだ)

春香(でも……変な奴等がいきなり現れて…)


春香(…)



春香(お母さん…お姉ちゃん………お父さん)


春香(必ず助けるからな)ジャリッ



第2話 おわり

第3話 「紺双葉vs岩崎春香」


ザナリと双葉は、卓球部の戦力増強の為、一年生の辰野トシ子、針原、福沢の三人をスカウトする。
そして紺双葉は後輩達と卓球を打ち段々と「楽しさ」が芽生えて来ていたが…

そこへ黒卓球会からの刺客、岩崎春香が現れた。





トシ子「うう…手も足も出なかったなんて…」

針原「紺先輩の役に立とうとしたのに…情けない…」

福沢「…もう仕方ないよ……先輩達に頼るしか、ない…」




ザナリ「付き合わせて悪いね双葉…昨日のデス山キル崎と戦った時に壊れた壁治してなかった」ペタペタ


双葉「いえ……てか、壁壊したの私ですし…」

ザナリ「そーいやそうだな!」ハハハ



「…紺双葉はいるか?」ジャリッ



双葉「!?」バッ


ザナリ「誰だ!!」



春香「…黒卓球会から来た…岩崎春香」


ザナリ「黒卓球会だと!?」ザッ


双葉「さっそく来ましたね…」ジャリッ


春香「…トシ子と針原とかいう奴等は私が倒した。紺双葉はどっちだ?」


ザナリ「なんだと!?トシ子と針原を!?」

双葉「…私の後輩を……よくも!!」ザワッ



双葉「私が紺双葉だ!!」ザッ



春香「…お前か…どうする?二人がかりで来るか?」

双葉「私1人でいい」

ザナリ「…いけるか双葉?あいつからは、すっげぇ卓気を感じるぞ」

双葉「大丈夫です」ザッ


春香「…さて、そっちからこいよ」ポリポリ

双葉「手加減はしないぞ…!」ザワッ


双葉「ゲームスタートだ!!」

ドンッ


ザナリ「出た…!双葉の卓球本気モード!!」

ザナリ「だが…あの刺客からも同じくれぇのデッケェ卓気を感じる…」

ザナリ「…だが…」


ザナリ(…あいつ…何か違うな…)



双葉「はあああああっ!!!」カアアアンッ


春香「!!!」


ギャルルルッ!!!


春香「うっ!?」シャッ


ボコオオオッ!!!


壁「」ブシュー


春香(な、なんだ今の…なんて球打ちやがる…)


ザナリ(また壁に穴開けちゃった…)


双葉「…」ジャリッ


春香「はあ…くそ、とんでもねえ奴の相手を任されちまったな」



春香「でもな、こっちだって負けられないんだよ!!」ザワッ


双葉「!!凄い気迫だ…!」



春香「おらっ!」カアアアンッ


双葉「くっ!」コオオオンッ

カアアアンッ!!コオオオンッ!!


ザナリ(なんて奴だ…本気モードの双葉と渡り合うなんて……卓気はその人間の想いや信念等によっても激しく上昇すると聞く)

ザナリ(あいつ…よっぽど負けられない理由でもあるのか?)



コオオオンッ
双葉(強い…デス山やキル崎よりも段違いに!!)


春香「ふう…っ」


双葉(でも…なんだろう…強いけど)



双葉(楽しそうじゃない)


双葉「…あんた…」

春香「あ?」

双葉「…何で卓球をしているんだ?」

春香「は?なに急に」



双葉「あんたは強い…だが、全然楽しそうではない。デス山やキル崎も見た目や性格はアレだが卓球は楽しんでいるように見えた。私も卓球が楽しい」


双葉「だが…あんたは違う」


春香「…またそれか。針原とかいうやつにも同じ事言われたよ」

双葉「針原にも?」

春香「いちいち他人を詮索するな…理由なんかどうだっていいだろ」スッ


春香「お前らの言う通り…私は卓球なんて全然好きでも無いし興味もない………でも」ザッッ



春香「勝たなきゃダメなんだよ!!!」ズガアアアッ!!


ギュルルルッ!!!


双葉「…っ!!!」


ザナリ「危ない、双葉!」



双葉「くうっ!!!」ガキイイイイイッ


春香「ちっ…ガードされたか」

双葉(くそ、ガードしても衝撃で腕が痛む)ビリビリ


「オーホッホッホ」ジャリッジャリッ


双葉「!!」

ザナリ「その声は!!」



デス山「やってるじゃな~い、いい勝負してるみたいねぇ」

デス山(ちっ、癪に触るけど本当に強いわね、春香とかいう小娘)


春香「…なにしに来たんだよ、助けなんかいらないからな」ギロッ



ザナリ「デス山!戦いに来たなら私が相手になってやるぞ!!」ザッ

デス山「ち~が~う~わ~よ~~~、私は今日は様子見に来ただ~け」

ザナリ「相変わらず腹立つ顔と喋り方だ

春香「何かキモいカマ野郎が来たが気にせず続行するぞ」

デス山(こいつ)ブチッ

双葉「…来い、岩崎春香」



双葉「はああああ!!」コオオオンッ


春香「…」カアアアンッ



コオオオンッ


ザナリ「激しい戦いだ…頑張れ、双葉!!」

デス山「…」

デス山(様子見だけじゃ面白くないわよね~~~…)

デス山(うふふ、い~い事考えちゃった)



双葉「返す!!」コオオオンッ

春香「まだまだ!こんなもんじゃやられるか!」カアアアンッ

双葉「はあ…はあ…」フラッ



デス山「ねーねー双葉ちゃ~ん!」

双葉「!」

ザナリ「!?」バッ


デス山「春香ちゃんが何でこんなに頑張ってるか知ってる~!?」

双葉「え…?」

春香「!!?」

ザナリ「お前…何を言う気だ!?」バッ

デス山「春香ちゃんの家族ね~~~、黒卓球会に人質に取られてるのよ~~~!!」


ザナリ「!!?」

双葉「え……!?」


春香「オラ!!余計な事言ってんじゃねぇデス山あぁ!!」

デス山「双葉ちゃんが勝っちゃったら~~~、春香ちゃんの家族はどーなっちゃうのかな~~~!?」

双葉「…っ!!!」ピタッ

ザナリ「双葉!止まるな!!」

デス山(オーホッホッホ!!動揺してるわあ、ウヒャヒャヒャヒャ!!!)

ザナリ(くそ…人質だと!?なんて卑怯な真似を…!!)ギリッ

双葉(そんな…私が勝っちゃったら……あの人の家族が……)

ザナリ(!!双葉も本気モードが解けてしまった!?)

ザナリ「ダメだ双葉!負けるぞ!!」

双葉「でも……」ヨロッ


春香「…っ」チッ



春香「悪く思わないでよ…紺双葉」ザッッ


春香「はあああああ!!!」ズガアアアッ


ギュルルルッ!!!


ザナリ「避けろー!!!」

双葉「…あ…」


ドゴオッ!!!!!




双葉「あ、か…はっ!!」


ザナリ「…!!」



春香「…直撃か…これでゲームセットだ」



ドサッ


双葉「…」ボロッ



ザナリ「双葉あああ!!」ダダッ



双葉「…う…」

ザナリ「双葉!しっかりしろ、双葉!!」

双葉「…先、輩…すみま…せん…」


ザナリ「いい…仕方ない!私はお前を責めない!!」

双葉「…ごめんなさい…」ボロボロ



春香「………」


デス山「オーホッホッホ!!やったわねぇ、双葉ちゃんを倒したわよおおお春香ちゃ~ん!!オーホッホッホ!!!」

春香「…黙れゲス山」

デス山「ああんっ!?」カチンッ

春香(くそ…なんだよ、この不愉快な感じ…)


ザナリ「…待て」

春香「!」

ザナリ「3日後だ」

春香「…」


ザナリ「3日後に…もう一度勝負を申し込む!!」



春香「…」

デス山「春香ちゃん、断っちゃいなさい!!」

春香「…いいよ…勝負しても、3日後だな」

デス山「えええ!!?」


ザナリ「その時は…必ず私達が勝つ!!」

春香「…私だって負けないからな」


双葉「………」

――――――

双葉「………」


針原「紺先輩!怪我は大丈夫ですか!?」


双葉「…ごめんね…」

針原「え?」

双葉「私…勝てなかった…ごめんね…」ボロボロ

針原「そ、そんな!泣かないでください!!」

トシ子「そうっすよ。私なんか手も足も出なかったんですよ」

福沢「3日後に再戦するんでしょ!?その時もっと頑張りましょう!!」


双葉「…ありがとう…三人とも…」


ザナリ(…だが…このままだと…)


双葉(…また相手の事を気にして負けちゃうかも知れない…)

双葉(勝ってこの学校を守りたい……でも、春香さんの家族も助けたい…)

双葉(どうすれば…)




放課後 商店街


ジャリッ ジャリッ


双葉「…」


双葉(どうすればいいんだろう……皆を、助ける方法…)



双葉「…はあ…」





???「どうされましたかな?お嬢さん」



双葉「!?」


???「何やら悲しそうな困っていそうな顔をしていらっしゃる……悩み事なら私が相談に乗りましょう」



双葉「…君は…?」


???「私は、(自称)女子中学生探偵…」










歩鳥「嵐山歩鳥と申す者だよ」


第3話 おわり


第4話 「中学生探偵・歩鳥とデーモンナイツ」

黒卓球会の刺客、春香と激しい戦いを繰り広げていた双葉。しかし、デス山から春香の家族が人質に取られているという事実を伝えられ、双葉は勝つ事をを躊躇してしまい、敗北してしまう。3日後に再戦をすることになったが…
そして、悩みながら歩く双葉の元に、中学生探偵と名乗る少女が現れた。





ザナリ「………」


ザナリ(家族か…私は、両親がいない…爺ちゃんと二人暮らしだ。お母さんは小さい頃に行方不明になった…)

ザナリ(お母さんの記憶もぼんやりしていてはっきり思い出せない………)

ザナリ(顔に、2つのホクロがあったような気がするけど…)



ザナリ(私のお母さんは今…どこで何をしているのだろう)





商店街


双葉「…中学生…探偵…?」

歩鳥「そう!!まぁまだ何も事件解決したことは無いんだけど…これからバンバン事件を解決しちゃう予定だよ!!」

双葉「へえ…なんか…すごい?…ね?」

歩鳥「何だその微妙な返事は!?」

双葉「ご、ごめん」

「フーン、フーン」

双葉「わ!?」

歩鳥「こいつは探偵犬のジョセフィーヌだよ」

ジョセフィーヌ「フーン」


双葉「へえ…可愛いタヌキだ」

歩鳥「だから犬だっての!!」

双葉「ご、ごめん」


歩鳥「…で、一体何を悩んでおられるのかな?私がババーッと解決しちゃうよ」

双葉「…話だけでも聞いてもらおうかな…」







歩鳥「…なんと!?人質事件!?そんな卑劣な事件が…!?」

双葉「うん…」

歩鳥「その…何だっけ、黒豆研究会とかいう奴等ろくでもないね」

双葉「黒卓球会だよ」

歩鳥「強い力を秘めた高校生の女の子を闘わせるために家族を人質に取り無理やり言うことを聞かせる…なんと非情な手口だ!」

歩鳥「そして、双葉ちんが負け他のメンバーも負ければ中学校は制圧され支配下に置かれてしまう…でも双葉ちんが勝てば岩崎さん御一家が危ない。難事件だね…」

双葉「…どうすればいいのか…わからないんた…」


歩鳥「んー………よし、双葉ちん!!!」

双葉「え、なに!?」ビクッ

歩鳥「明日もう一度ここで会おう…私はさっそく色々調べてみるよ。私に任せておいて、必ず名案を考えてみせるから!!」

双葉「う、うん…ありがとう!」


ゴゴゴゴゴ…

黒卓球会



キル崎「えええ!?春香ちゃん、再戦受け入れちゃったの~!?」

デス山「そうなのよ、せっかく勝ったのにね~!!」

キル崎「アホじゃねえかしらあの娘!!」



春香「誰がアホだコラ」

キル崎「ゲッ!居たのかよ!!」

デス山「何でもな~いわよ~!!」

ダッダッダ………


春香「…はあ…怒る気力も湧かない…」ギシッ


春香「………」



春香「お父さん…」





卓球王「岩崎春香…」ザッザッ


春香「!!」ビクッ

卓球王「…せっかく勝ったというのに…再戦を受け入れたらしいな…」

春香「…文句あんの?」

卓球王「いや、文句などないよ…フフフ。面白い娘だ」

春香「…あんたはなに考えてんのかわかんねぇ……私が勝ったら、本当に家族を解放してくれるのか?」

卓球王「約束は守ろう」

春香「はっ…人質に取って言うことを聞かせようとするような奴が『約束は守る』だって?信じられるわけねぇだろ」

卓球王「フフフフフフ…その通りだな…私は信頼されるような者ではない」

春香「自分で言うなよ」

卓球王「…私は…昔………友人を階段から突き落とした事がある」

卓球王「友人は私を心から信頼していた………それを突き落としたのだ」


春香「…は?」






卓球王「私はもう…人の道には戻れないのだよ」



デス山「…てかさ~~…卓球王様もたまになに考えてるのかわからない時あるわよねえ」

キル崎「そうそう。岩崎一家だってここで直々に監視してればいいのに…」


キル崎「わざわざ下請けのデーモンナイツに監視させるなんてねぇ」




――――――

町外れ
デーモンナイツ隠れ家



デーモンキング「ウハハハハ!一家人質とはまさに悪役っぽい仕事!」

サムライオン「この私がいれば奴等も逃げられますまい…」

ミルダ「ふふ…この不況に久しぶりの仕事で更に悪役っぽい仕事だなんて…はりきっちゃうね」



岩崎母「キャアアア!!」


ミルダ「む?何事か!?」

響子「ゴキブリ!ゴキブリ出た!」

岩崎父「ひいい!こっち来た!」

デーモンキング「なんじゃと!?ゴキブリ!?」

サムライオン「待っておれ岩崎殿!拙者がゴキブリを成敗してくれる!!」ダッダッダ




ミルダ「…ふー…ゴキブリ退治完了」

サムライオン「ゴキブリホイホイを買っておいて良かったですな」

デーモンキング「そろそろ掃除せないかんのぉ」



響子「…」

岩崎父「…」

岩崎母「…」


岩崎父「…お前達…春香は今、無事なんだろうな」


ミルダ「ふん、娘の心配より自分達の心配の方をしたらどうだい?」


響子「でも、あの娘に闇の卓球とかいう危ない事やらせてんでしょ!?」


サムライオン「そうだ…そして今、お主らの為に命懸けで戦っている」

岩崎父「こんなことをしてまで春香に戦わせようとするとは…外道が!!」

サムライオン「ふん、外道か…それがどうかした…」

ミルダ「うっ!」ズキンッ

デーモンキング「おい、そこ!胸を痛めるな!!」


岩崎母「うう…春香……まだ高校生なのに……無事でいて……」ボロボロ


デーモンキング「う、ダメじゃ、ワシも心の痛みが…」ズキンッ


サムライオン「いや、あなた悪の親玉としてそれはいけませんでしょう!!」




嵐山家


パラッ パラッ


歩鳥「…1ヶ月前の新聞の隅っこに…一家行方不明の記事がある……名字は岩崎…これだ!!」

歩鳥「そして、それから後の日の新聞にはそんな記事はない………」パラッ

歩鳥「…何かの圧力で情報を流すのをやめたのか?」


歩鳥「におうぞ…岩崎一家の住所は…ここの近くだ…」

歩鳥「明日は学校休んでこの町で情報収集をしてみよう」



歩鳥「よし、(自称)中学生探偵として…必ず事件を解決に導いてみせるぞ!!」


歩鳥「よし、一応用心棒も誘っておくか」ピッピッピッ


プルルル… プルルル…


歩鳥「お、もしもし、真田ー!ちょっと明日さぁ………」



翌日

南第三中学



コオオオンッ!カアアアンッ!


双葉「はあ!」コオオオンッ

ザナリ「む、いい球だぞ、双葉!」カアアアンッ


針原「紺先輩!おはようございます!!」

双葉「針原さん…おはよう」

針原「先輩なんですから呼び捨てでいいっすよ!!」

双葉「あ、うん…針原」

針原「今日は何だかいつもより気合い入ってますね!」

双葉「うん」

ザナリ「いい気合いだ双葉、その調子だ!」

双葉「はい!」コオオオンッ



双葉(とりあえず、今は信じるしかない…歩鳥を…)


第4話 おわり

第5話 「失踪家族大捜査網」





南第三中学 昼休憩


2年教室


ガヤガヤ ガヤガヤ



双葉「…」

アハハハ キャハハハ

双葉「…」



「ねえ、紺さんいっつも一人だよね…誘ってあげない?」

「えー、やめとこうよ。誘ったって微妙な空気になるだけだよ」


双葉「…」ガタッ


双葉(やっぱ教室は居心地悪いな…屋上行こう)



カッ カッ

屋上

カッカッカッ…


ガチャ


双葉「!」



トシ子「あ、紺先輩だ」

双葉「針原に辰野」

針原「ちわっす!先輩よく屋上来るんですか?」

双葉「うん…たまに」

トシ子「初めて来たけど結構いいね、ここ」

針原「見晴らしいいしね」

双葉「…」

トシ子「なにボーッとしてんすか、先輩も食べに来たんでしょ」

双葉「あ、うん!じゃあここ座る…」

針原「やっぱ岩崎さんの家族が気になるんですか?」

双葉「うん、それもあるけど…」


双葉(…今までずっと1人だったのに…気付いたら喋れる人も結構いるんだな…)

針原「その…岩崎さんの家族、無事に助けたいですけどね…」

双葉「うん。…昨日…別の中学の女の子と会ってさ…その子も協力してくれるって言ってたけど」


トシ子「へえ…協力してくれるなんてお人好しな奴もいるもんですね」

針原「どんな子なんですか?」

双葉「中学生探偵とか言ってたけど…」

針原「中学生探偵!?」

トシ子「うわあ…信用しても大丈夫なんですか?その子…何か変な奴にしか思えないですけど…」

双葉「いや、まあ…でも、悪い子には見えなかったし…」

トシ子「良い子かどうかと信用できるかどうかは別ですよ~…」

針原「まあまあ、協力してくれるって人がいるだけでも気持ちが楽だし心強いじゃないの」

双葉「今日の放課後に会う予定なんだけど…」

プルルル プルルル

双葉「携帯鳴った…あ、その子からだ」

針原「噂の中学生探偵!?」

トシ子「番号交換してたんですか」

双葉「うん、一応……はい、もしもし」


双葉「………え、学校休んで今から聞き込み調査!?」


トシ子「わざわざ学校休んでまで調査とは…」

針原「むう、確かにお人好しだけど変な子だわ」

双葉「……ちょっと待ってて、歩鳥」


双葉「私も学校早退して行くから!うん!じゃあまた!」ガチャ


トシ子「え、先輩も行くんですか!?」

双葉「うん、早退して私も手伝いに行く…それじゃあ、また明日」バッ

針原「待ってください、先輩!私も行きます!」

双葉「ええ!?」

針原「足手まといにはなりませんから!」

トシ子「みんな熱心ねえ……私は行か…」


針原「よし、紺先輩、私、辰野さんの卓球部組で事件を解決するわよ!」

トシ子「なに勝手に私も加えてんのよ!?」






―――――――


ダッダッダッ………


双葉「はあ、はあ」


ザナリ「ん?何してるんだ双葉。廊下は走っちゃダメだぞ」

双葉「急用で早退してきます!また明日!」

ザナリ「急用?」

双葉「探偵の助手に行くんです!!」


ザナリ「…」



ザナリ(なに言ってんだこの子)



その頃 歩鳥


歩鳥「さて、これからこの中学生探偵が天才的捜査で岩崎御一家を助けちゃうよ!」

ジョセフィーヌ「フーン」

真田(嵐山から誘われた…嵐山から誘われた!!これはデートというものではないのだろうか!?)ドキドキ


歩鳥「おい真田、変な顔してないで行くよ」






ジャリッ ジャリッ



歩鳥「…あのー、すみません。この辺りで岩崎さんという方の家はご存知ですか?」

「岩崎さん?ああ…あそこの方かな。家族旅行に行ったって聞いたけど…」

歩鳥「へ?」

「一回新聞にも『岩崎一家失踪』だなんて載ったんだけど…そのすぐに、実は家族旅行に行ってたなんて聞いてねえ」

歩鳥(…誰かが嘘の情報を流したのか)

真田「でも、ちょっと待ってください。新聞に載るまで誰も家族旅行だなんて知らなかったなんてあり得ますかね?」

「さあ…でも、岩崎さんとこの春香ちゃんと実際会ったけどね。春香ちゃんだけ残って他の皆で家族旅行って」

歩鳥(…!!そうか、たぶん春香さんを上手く使ったんだな…いちいちせこい奴等だ、黒豆研究会)

真田「なあ…嵐山。本当に大丈夫なのか?危険な事にでも巻き込まれたりしたら…」

歩鳥「危険な事?私は探偵だよ?探偵に危険はつきものだよ真田くん!」

真田「たはは…」


歩鳥「さて、次は岩崎さんのご近所のお婆ちゃんに聞いてみるよ」ジャリッ


歩鳥「すみませ~ん、そこの岩崎さん旅行に行ってるみたいなんですけど…それまでに何か変わった様子とかはなかったですか?」

「そうねえ…お母さんはしっかりした人で、お父さんは面白くて、お姉さんもいい人だよ~。末っ子の春香ちゃんも、よく喧嘩してるけど良い子でね~、今でもよく挨拶してくれるよ~」

歩鳥「あー、一家の紹介を聞きたいのではなくてですね…」

「それで春香ちゃんったら金髪や変わった服したお兄ちゃんやお姉ちゃん達ともお友達でね~…何だっけ?あのビンビン音鳴るの。ゲター?」

真田「ギターですか?」

「そうそう、それそれ!派手な格好した集団でその…ゲター弾いたり歌ったりしてるのよ~。まあ、私にはよくわからない歌なんだけど、熱中できるものがあるのはいいことだわ~。それにお友達も格好は派手だけどいいこで…」

歩鳥(まずい、なんか話がどんどん逸れてる気が…)

「…でねえ…岩崎さんが旅行に出る1ヶ月くらい前からなんだけど…」

歩鳥「!!」

「その頃から岩崎さん家に変な格好で変な喋り方した人が来るようになって…最初は春香ちゃんのお友達かな?と思ってたんだけど…何だか違う感じでねえ、怖かったし」

歩鳥「…!!」

「で、旅行に出てからその変な人は来なくなったわねぇ」

歩鳥(これだ…!この変な人達は恐らく黒卓球会の一員…!)

歩鳥「その変な人達の特徴って覚えていますか!?」

「そうねえ…筋肉が凄くて図体がでかくて中学生の女の子みたいな体操着を着た女っぽいしゃべり方するオジサン二人組だったわあ…1人はモヒカンだったわ…」


歩鳥「…」

真田「…」



歩鳥・真田(そりゃどんな生き物だ!!?)




歩鳥「……たぶん、さっきのお婆ちゃんから聞いた『変な人』は…双葉ちゃんから聞いた、デス山キル崎とかいう奴等だね」

真田「へー…じゃあ、その二人の居場所をつきとめれば…」

歩鳥「うん、岩崎一家が今どこにいるのかが分かるかも知れない。それが分かれば救出方法も考えられるのだけど…」


真田「…こっから先をどうやって調べたらいいんだろうな…」

歩鳥「うーん…」



歩鳥「デス山とキル崎を知っていそうな変な人でもその辺歩いてないかな~…」



???「あのー…そこの子達、ちょっとごめん」


歩鳥「!」クルッ

真田「なんですか…?」クルッ


歩鳥・真田「!!!」



ミルダ「この辺りにコンビニって無いかな?……電気代を払いたいんだ」



歩鳥・真田(何か凄い変な格好の人きたああああああ!!!)


真田「あ…えっと、コンビニならここからまっすぐのアパートのすぐ近くに…ありました」

ミルダ「そう、ありがとね」

歩鳥「ちょい待ったあ!!」

ミルダ「わ!なんだいこの饅頭みたいに丸い子は!?」

歩鳥「誰が丸で饅頭だ!?」

真田「落ち着け嵐山」

歩鳥「…まあ…もう……聞きたい事は色々あるんすけど……とりあえず…」

歩鳥「何でそんな変な格好で歩いてるんですか」


ミルダ「………」

真田「…」

歩鳥「………」


ミルダ「き…っ」



ミルダ「貴様!変な格好と言ったか!?ええ!?」

歩鳥「ひえ!?怒られた!!」

真田「そりゃ初対面の人にいきなり言ったら失礼だって!とりあえず謝っ…」


ミルダ「聞けえ、小娘!私はデーモンナイツ…!!」



ミルダ「ミルダ参謀だぞ!!!」



「………」



歩鳥・真田(何言ってんだこの人)

ミルダ「ふ…っ、驚きすぎて声も出ないようだね」

歩鳥(どうしよう、真田…変な人に絡まれちゃったよ…)

真田(半分ほど嵐山が怒らせたせいだけどな…)

歩鳥(…!待てよ、変な人………変な人繋がりで何か知っているかも!!)


歩鳥「あの、変………綺麗なお姉さん」

ミルダ「ん?なんだい?」

歩鳥「デス山キル崎とか、黒卓球会とかはご存知ですか?」


ミルダ「…!!」ピクッ





ミルダ「……なぜそれを探しているの?」ジロッ

歩鳥「!!」

真田「まさか…マジで関係者!?」

歩鳥「知ってるんですか!?」バッ

ミルダ「ふっ…あんた饅頭でタヌキみたいだけどなかなか勘が鋭いようだね」

歩鳥「勘が鋭いだなんて誉めないでよー」エヘヘ

ミルダ「その通り…私は黒卓球会と繋がっているよ…」ニヤッ

真田「!!」

ミルダ「……ふんっ!!!」バアンッ!!

歩鳥「ひえ!?」ビクッ

真田「な、なんか…ヤバいんじゃねえか!?」

ミルダ「ククク…私は今ね…凄くご機嫌斜めなんだ…」

歩鳥(ヤバい、聞いちゃいけないこと聞いちゃったか!?)ビクビク


ミルダ「黒卓球会………給料が低いんだよおおお!!」

歩鳥「…へ?」

ミルダ「私達いま黒卓球会の下請けなんだけどね…もう久しぶりに仕事があるのは嬉しいけど不満もたくさんあって……電気代の支払いすら厳しいんだ…」

ミルダ「黒卓球会を知ってる人がいて嬉しい!愚痴を吐かせてくれ!!」

歩鳥「は、はあ……」

真田(変な人に絡まれちゃったなあ…)

歩鳥「待ってください、超絶美人なお姉さん!私は貴女に聞きたいことがありまして…」

ミルダ「ん?なに?」

歩鳥「実は…私、岩崎ご一家を探しているのですが…」

ミルダ「…!!!」


ミルダ「貴様、何者だ!?」バッ

歩鳥「え!?」ビク


ミルダ「ちっ…私とした事が油断していたよ。貴様…まさか…」


ミルダ「ヒーローの手先か!?」


真田(ヒーローの手先!?)


歩鳥「まあ…ヒーローみたいな探偵にはなりたいと思ってるよ」

ミルダ「ふふふ…そうかい、なら私達は残念だけど仲良くなれないね…ヒーローと悪役は戦う宿命(さだめ)にあるのだから」




真田「待て…つまり、あんたは知ってるんだな?岩崎家の居場所を」

ミルダ「あんたらがヒーローの手先とわかった以上馴れ合う気は無いね」

真田「いや、ヒーローの手先ではないけど」

歩鳥「いや、岩崎家の居場所は暴いてやるよ、お姉さん!中学生探偵の名にかけて!」

ミルダ「ふふふ、面白い…でも、今日はあんたらとやり合う暇は無いのさ」

真田「なに!?」


ミルダ「電気代を払わなきゃいけないからね」

真田「ずこーっ!!」


歩鳥「ああ、そうでしたね。どうぞどうぞ行ってらっしゃい」

真田「え!行かせちゃっていいの!?」


ミルダ「では、会えたらまた会いましょう」ファサッ

オーホッホッホ……


真田「おいおい、行かせちゃって良かったのか!?せっかくの手掛かりだぞ!!」

歩鳥「私を甘くみちゃ行かんよ、真田…ここであのお姉さんから無理やり話を聞き出そうとしたらむしろこっちが危なかったかも知れない」

歩鳥「だから、今からあのお姉さんをこっそり尾行し…奴等の本拠地をつきとめようという寸法さ」

真田「おー、なるほど…確かに尾行していきゃ奴等の居場所もわかり、そこに岩崎一家がいる可能性も高い」

歩鳥「よし、今からこっそりついてくぞ~」コソコソコソコソ

真田「こそこそし過ぎて逆に怪しいぞ」

歩鳥「これで私達も誰かに尾行されてたりしたら面白いね~」

ポンポン

歩鳥「ひょわあ!!!」ビクッ


双葉「なにやってんの、歩鳥…」

歩鳥「あ、双葉ちゃんか…ビックリした…」

双葉「…少し前に電話で駅前に待ち合わせって言ったよね?」

歩鳥「あ…ごめん、後で駅前に行こうと思ってたんだけど夢中になって忘れてた…」タハハ

双葉「まあ、いいけど…」フウ

真田「その子が例の?」

歩鳥「そう!双葉ちゃんだよ」

双葉「ども…」


針原「へー、その子が嵐山さん?」

双葉「うん」

トシ子「うーん、何か予想通りの顔だわ」

歩鳥「ちょいそこの君。それはどういう意味の発言かね?」

針原「でもなんか先輩と合いそうっすね、何となく」

双葉「そうかな?」

歩鳥「…え?先輩?」

歩鳥「先輩!?双葉ちゃん何年生なの!?」

双葉「え、二年生だけど…」

歩鳥「マジで!?1つ上!?」

歩鳥「タメだと思ってタメ口+ちゃん付けしてた…」ガクッ



真田「あーあ…失礼だな…」

歩鳥「すみませんでした…」

双葉「い、いや、いいよ別に双葉ちゃんで…気にしてないし」


針原「まあ、とりあえず私達も自己紹介しておこうかしら。私は紺先輩の後輩の針原春江です、よろしく」

歩鳥「うん、よろしくね!眼鏡のちみは?」


トシ子「私は辰野トシ子」

歩鳥「トシ野辰子?」

トシ子「辰野!トシ子!」

歩鳥「んー…紛らわしいからタッツンと名付ける」

トシ子「ちょっとコラ!初対面でいきなり変なアダ名つけんな!!」

ウイーン

ミルダ「…」ザッザッザッ



真田「あ!おい!コンビニから出てきたぞ!」

歩鳥「お、よーし。尾行するよ!」コソコソ

針原「何かものすごく変わった格好をしているわね…」

双葉「あの人がどうしたの?」

歩鳥「あのお姉さん、黒卓球会と繋がりがあるみたいで…岩崎ご一家の事も知っていそうなんだ」

双葉「え!?」

トシ子「だからあの人を尾行して向こうの拠点も発見しちゃおうってわけ?」

歩鳥「その通りだ、タッツン!私の助手にならないかえ?」

トシ子「それだけは遠慮願うわ」

真田「おい皆、あまりデカイ声出すなよ」



歩鳥「よーし、中学生探偵団!行くぞ!」



その後、五人の中学生はデーモンナイツ・ミルダを何度か一瞬見失いながらも何とかバレずに尾行し続け……


そして、ついに



針原「はあ…はあ、まさか山の中まで入るなんて…ちょっと体がしんどくなってきたわ」

双葉「頑張って、針原」

トシ子「つーか、これで全く関係なかったら時間と体力の無駄遣いね…」

双葉「それは怖いな…」

歩鳥「…む、みんな!あれ!」

真田「…あ!」

トシ子「嘘…」

針原「…木の陰から何か怪しい屋敷が見えてきた…」

双葉「…じゃあ、まさか、あれが…」ゴク


歩鳥「行ってみるよ」


ザッザッザッ…

ザッザッザッ


ミルダ「ふー…ただいま」

ガチャ


真田「屋敷の中に入って言ったぞ」

双葉「…ここが…黒卓球会の拠点?」


歩鳥「いや、結論を急いじゃダメだよ。この看板見てみ」


『デーモンナイツ本拠地』

針原「…デーモンナイツ本拠地?」

歩鳥「あのお姉さんは『デーモンナイツ』を黒卓球会の下請けと言っていた…つまり、ここは黒卓球会の拠点ではなく、デーモンナイツの拠点?」

双葉「…岩崎さんの家族は…?」

歩鳥「…あのお姉さんは岩崎さんの話題を出したとたん態度が変わった。だからもしかすると…岩崎さん一家はデーモンナイツに監視・監禁されているのかも知れない」

真田「じゃあ、この屋敷の中に!?」

歩鳥「いる可能性が高い」

双葉「…!!」

針原「どうするの?助けに侵入する?」

双葉「…」

歩鳥「いや、今はとりあえずここまでにしておこう。とりあえず場所はわかったんだ…いったん帰る」

歩鳥「そして次は、岩崎ご一家を救出する方法を考える番だよ」









そして…



再戦当日………



春香「…」

デス山「春香ちゃ~ん、絶対に負けちゃダメだからね~?」

春香「負けるつもりなんかないっつーの。とりあえず、また邪魔したら蹴り飛ばすぞ」

デス山(相変わらず可愛いげのねぇガキだこと)


ザッザッザッザッザッ………





ジョセフィーヌ「フーン」

双葉「………」

双葉「そろそろ…再戦の時間か…」

双葉「…今回は…もう負けない」ザッ


ジョセフィーヌ「フーン、フーン」




ザナリ「………さて、諸君…準備はいいな?私達の使命は、双葉が戦っている間に岩崎一家を助け出すことだ」

針原「はい!!」

福沢「はい!」

トシ子「はい」


歩鳥「作戦は私が考えて来たよ!」

トシ子(大丈夫なのかなぁ…)

ザナリ「期待しているぞ、歩鳥」

真田「あれ?そういやジョセフィーヌは?」

歩鳥「うん、双葉ちゃん1人じゃ心細いかと思ったから、双葉ちゃんのとこに置いてきた。何か妙になついてるし」

ザナリ「…歩鳥。作戦を説明してくれたまえ」

歩鳥「ほいほ~い」






カッカッ…

カッ



春香「………」



双葉「………」ザッ



春香「…この間は…邪魔が入ったせいで悪い。卓球は興味ないけど、あんなのじゃスッキリしなかった…」スッ


双葉「…うん…」



春香「だが、今日も…私が勝たせてもらうからな」


双葉「…岩崎さんも重いものを背負っている…でも…」


双葉「私だって、友達がいるこの学校を守りたいんだ!」ザワッ


春香「…来いよ」ゴオッ


双葉「行くぞ…!」ギンッ



双葉「ゲームスタートだ!!」ドンッ


第5話 おわり



双葉「はあああああ!」
コオオオンッ


ズギュオッ!!!


春香「ふん!!」カアアアンッ


ギュルルルルッ!!!



デス山(双葉ちゃんの顔から迷いが消えているわ…面白くないわね)



カアアアンッ!コオオオンッ!!


双葉「はあ、はあっ」ザザッ

春香「ふう…っ」ジャリッ



双葉(岩崎さんの家族は皆がちゃんと助けてくれるはず…試合に集中だ)


春香(みんな…待ってろよ、もうすぐだ)



デス山(そういえば、他の卓球部の子がいないわねえ…ま、いいわ。ちょうどいい)

デス山(くふふふ…私は私でいい作戦を思い付いちゃってるのよ~~~)

第6話 「再戦」


山の中


ジャリッ ジャリッ…



ザナリ「見えた…あの屋敷か」ガサッ


針原「はい」

歩鳥「あの中に岩崎さんご一家がいると思われます」

ザナリ「…見張りが何人いるな」

トシ子「どうすんの?」

福沢「そりゃ戦うんだよ!」

針原「そんなの無理よ福沢さん」

ザナリ「向こうも卓球で挑んでくれるなら私達も戦えるんだが…」

真田「そんなに上手く行けばいいですけどね」

歩鳥「みんな、私語はそろそろ慎んで」

ザナリ「おう」

歩鳥「…さて…悪のお姉さんとの再戦と行こうかね」




カアアアンッ!!


コオオオンッ!!

双葉「やああっ!!」ズギュオッ


春香「返す!!」ガギンッ


ビュオオッ!!



双葉(速い!でも…落ち着け、球をちゃんと見れば…!!)


双葉「フタバ…!!」ググッ

春香「!!」


双葉「シュウウトッッ!!!」ズガアアアアッ

ギョルルルルルル!!


デス山「ありゃまずいわ!春香ちゃん、避けなさい!!」

春香(いや…たぶん、このままガードしたり避けたりを続けたって勝てねえ……)ギリッ


春香「その球…打ち返してやる」ジャリッ


双葉「!!!」



春香「ピートモス…ッ!!」


春香「スマアアアシュッ!!!」バカアアア!!!



ギュルルルルンッ!!!

双葉「バカな!返された!?」

デス山(出たわね、春香ちゃんの必殺技………喰らえばどんな相手もネムル…)



バカアアアッッ!!!


双葉「かはあっ!!?」

ズザザッ!!



双葉「はあ…はあ…っ」ボロッ



春香「…まだ立てるか、しぶといな」ジャリッ


双葉(くっ…予想外の事に体がついてこれなかった…でもっ!!)



双葉「まだまだ…ゲームはこれからだ!!」

ドンッ



デス山(ちっ、双葉ちゃんもしぶといわねえ)



――――――――



ミルダ「ほれ、飯だ。食いな」カチャ

響子「…」


岩崎母「…」


岩崎父「…いらん」

響子「いや…食べとこうよ、お父さん」

岩崎母「春香にいずれ会うためにもちゃんと栄養は取らないと…」

岩崎父「う、そ、そうだな…」

響子「てかさ…いつもご飯に味噌汁にちょっとしたオカズばっかりじゃ飽きるね…」

岩崎父「屈辱だ…きっと奴等はいいものを食ってるに違いない!!」







ミルダ「さ、デーモンキング様とサムライオンもご飯だよ」

デーモンキング「今日もご飯と味噌汁とスーパーの半額お惣菜か…」

サムライオン「はあ…もっといいものを食いたい…」

ミルダ「贅沢言うんじゃないよ、お金無いんだから!」



サボテン怪人「大変です!!」ザザザッ

デーモンキング「む、どうしたのかね、サボテン怪人」

サボテン怪人「侵入者です!!!」



ミルダ「侵入だと!?」

デーモンキング「ぬぬう…まさか、憎きヒーローめが攻めてきたのか!?」

サムライオン「見つけ次第拙者が成敗してくれるわ…」ジャリッ

ミルダ「いや、ヒーローを倒すのは私だよ、そして大出世…」

サムライオン「いや、拙者が…」

デーモンキング「いいからさっさと行って来いや!!」


サムライオン「…では、二手に別れましょうミルダ参謀」


ミルダ「そうだね、複数で攻めに来てる可能性もある」


デーモンキング「もうデーモンナイツの社員もワシらとサボテン怪人しかおらんから大変じゃのぉ…ああ、巨大組織だったあの頃が懐かしい…」





ザッザッザッ…


サムライオン「…」ザッザッ


ビュオオッ!!


ゴチンッ!!


サムライオン「ぬう!?誰だ!?」クルッ



ザナリ「へっへっへ…」

サムライオン「小娘…侵入者とは貴様か?」

ザナリ「だったらどうする?」

サムライオン「拙者に向かいピンポン球をぶつけるとは良い度胸だ、成敗してくれるわ!!」ジャキンッ

ザナリ「来た、ほらほらこっちだ!!」ダダダッ

サムライオン「ええい、すばしっこい!!」ザッザッザッ


ザナリ(歩鳥…上手く行ってるだろうな?)

―時間は少し戻り



「フーン」


真田「え?今の声は!?」

歩鳥「お、来た来た」


ジョセフィーヌ「フーン」

トシ子「あれ?ジョセフィーヌは紺先輩のところにいたんじゃ…」

歩鳥「ふふふ…実はね、ジョセフィーヌを双葉ちゃんのとこに居させたのはある理由があったのさ」

ザナリ「ほう…なんで?」

歩鳥「岩崎春香さんの匂いを覚えさせるためだよ」

針原「岩崎春香さんの?」


歩鳥「犬の嗅覚で屋敷の中から岩崎家の人を探し出すためだよ。まあ、岩崎家の付近の匂いも覚えさせたけどそれだけじゃ心許なくてね…」

歩鳥「だからずっと一緒に暮らしていた春香さんの匂いも覚えさせたら更に探し出せる確率が上がるのでは?と…思ったのだよ」

ザナリ「なーるほど!」

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