赤魔術士「勇者のパーティーから外された」 (31)

赤魔術士「剣が使えて鎧も着れて、攻撃魔法に回復魔法、見た目もちょっとかっこよさげなナイスガイ!」

赤魔術士「どんなパーティーにも臨機応変に対応するぜ!」

赤魔術士「……って感じだったんだけどなぁ最初は……はぁ……お酒もらえる?」

店主「はいどうぞ」

赤魔術士「ども……ぷはぁ……旅に出たばかりの頃が懐かしいぜ」

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勇者「すごいや!赤魔術士さんってなんでも出来るんだね!」

赤魔術士「まあな」

勇者「じゃあメンバーは僕と赤魔術士さんとーー」


赤魔術士「あの頃はいつもメンバーに入ってたっけな戦士に近い物理攻撃と防御、魔法使いに近い攻撃魔法と僧侶に近い回復魔法、万能感あったもんなぁ……いつ頃だっけかな?」


勇者「うーん……僕と戦士と武闘家と……回復が欲しいけど僧侶じゃ攻撃が……赤魔術士でいいか」

勇者「魔法使いと僧侶……殴れるのが僕だけじゃなぁ……赤魔術士入れとくか」


赤魔術士「段々と皆の地力が上がってくると俺は、戦士には及ばない物理攻撃と魔法使いに劣る攻撃魔法と僧侶の代わりになれない回復魔法、総合力でも勇者に劣る器用貧乏なパーティーの穴埋め要員になってたな……そんで今日ついに」


勇者「遊び人が賢者になれるなんて、すごいな魔法使いと僧侶の魔法を全部使えて物理攻撃もそこそこ出来るのか……よしならメンバーは」


赤魔術士「ほぼ上位互換の賢者ご来たら俺もう出番ないじゃん!」

店主「はいはいそうね」

赤魔術士「ちきしょう!ちきしょう!俺だって……俺だって!もういっぱい!」

店主「あまり飲みすぎちゃダメよ赤魔術士さん」

赤魔術士「魔王倒すまでついて行きたかったよ……くそう……」

商人「なんやのんさっきから、まだええやん自分は、なんだかんだでパーティー入っとったんやから、ウチなんてまだ一度も入ってへんのやで!ここで酒飲んで待つだけのカンタンなお仕事です、てアホかぁ!」

赤魔術士「あっすまん商人」

盗賊「俺もめったに呼ばれないな、この間久しぶりに呼ばれたと思ったらひたすら盗め盗めって、盗めるまで俺じゃどうにもならないような敵と戦わされてよぉ……他にないのかよ俺の存在価値」

赤魔術士「盗賊もいたのか」

商人「もうアレなんやろな、物理攻撃欲しかったら戦士と武闘家、魔法なら魔法使いと僧侶、しかもどっちでもいける賢者でもう大体事足りるゆーことかいな」

盗賊「もうその五人の組み合わせで大抵は組めるもんなぁ、これからは俺達の出番は今まで以上にピンポイントか」

赤魔術士「賢者いたらそのピンポイントすら俺にはないかもしれんのだが?」

商人「その分今までええ思いしとるやん自分は、ウチなんてここから一歩も外出てへんっちゅーの」

赤魔術士「はぁ……愚痴っててもしょうがないか……」

盗賊「まぁ仕方ないだろう、スタメンのメンバーと比べて俺たちは弱かったり癖が強かったりするんだから」

赤魔術士「……ん?それだ!」

商人「急に大声出さんといてや、ビックリするやんか」

赤魔術士「そうだよ弱いなら強くなればいいんじゃないか、癖があるなら直すかむしろもっと尖らせればいいじゃないか」

盗賊「いや言いたい事は分かるが、そんなの簡単に出来る事じゃないだろ?」

赤魔術士「でもやらないままじゃ何も変わらん、俺は決めたぞ、修行でもなんでもしてもう一度勇者のパーティーに入ってやる!」

商人「本気かいな」

盗賊「まあ止める権利はないな俺達には、お前の気がすむまでやってみろよ」

赤魔術士「おう!じゃあちょっと修行の旅に出てきます!勇者によろしく!」

店主「あっ赤魔術士さん?行っちゃった」

商人「ええやんええやん、本人があれだけやる気になっとるんやから……ウチみたいにここで腐っとるよりは建設的やで」

盗賊「仮にも勇者の仲間が腐ってるとか言うなよ」 
商人「仮にもってなんや!その通りで何も言えんわアホが!」

盗賊「荒れるなよ」

勇者「ルイーダさーん」

店主「あら勇者?何かご用?」

勇者「商人いる?」

商人「なんやねんなんやね……ん?今ウチの事呼んだ?」

盗賊「ああそうだな」

勇者「あっ商人、君の力が必要になったんだ、むしろ君にしか出来ない事があるんだ!」

商人「えっほっほんまか!よっしゃあ!まっかせとき!そんで?まずはレベル上げかいな?」

勇者「いやレベルは上げなくていいんだ、とりあえず途中で死ななければ大丈夫」

商人「へ?」

勇者「さあいこうか商人!」

商人「あれー?何か嫌な予感するんやけどもー!」

店主「いってらっしゃい」

盗賊「……一人酒か……」

数ヶ月後

盗賊「……いい加減一人酒も飽きたな……かと言って、向こうは忙しそうだしなぁ」

戦士「武器の手入れが終わらんなぁ」

魔法使い「いつでも出れるようにしとかないとね」

盗賊「……羨ましくなんて……ないさ」

赤魔術士「ふぅーただいまー」

盗賊「ん?赤魔術士……か?ずいぶん雰囲気が変わったが」

赤魔術士改め赤魔導士「いや、今の俺の事は赤魔導士と呼んでくれ」

盗賊「赤魔導士?」

赤魔導士「ああ、俺はあれから修行をしてな、そうこうしてるうちにまぁクリスタルだのカオスだののなんやかんやにちょっと巻き込まれてな、それを解決してたらこんなに強くなったんだ」

盗賊「なんだそれ?なんかそれだけで冒険を一つ終わらせた感じがするが」

赤魔導士「まぁこっちには関係ないし、忘れていいよ、ところで商人は?」

盗賊「いいのかそんな扱いで、……商人なら……帰ってこない」

赤魔導士「ん?どこか行ってるのか?」

盗賊「いや違うな、帰ってこれないんだ」

赤魔導士「……あまり追求はしないでおくよ」

盗賊「ああ……」

勇者「おーい皆ーって赤魔術士?ようやく帰ってたのか」

赤魔導士「勇者、今の俺は赤魔導士と呼んでくれ」

勇者「赤魔導士?まぁいいけど、それで?今まで何やってたんだ?」

赤魔導士「修行をな、おかげでかなり強くなれたよ」

勇者「へーまぁいいけど、とりあえずメンバーは僕と賢者と戦士と魔法使いで」

店主「えっ?ええ……」

盗賊「おいいいのかよ?」

赤魔導士「別に目くじら立てる事でもないさ、俺を必要としてくれればそれに応えるだけだ」

盗賊「そりゃそうだけどさ」

賢者「待って下さい勇者殿」

勇者「ん?どうかしたのか賢者」

賢者「見たところ赤魔導士さんもかなり実力を上げたように思います、ならば一度その実力を見せてもらうべきでは?」

勇者「えー?今のままでよくないか?」

武闘家「でも魔王と戦うなら少しでも戦力が多い方がいいと思うよ勇者」

僧侶「そうですね、賢者さんの言うことにも一理あると思います」

勇者「んー戦士と魔法使いはどう思う?」

戦士「魔王と戦うなら強い奴は多いほどいいしな」

魔法使い「私も異論はなーし」

勇者「んーまぁ皆がそう言うなら、じゃあ赤魔導士ちょっと来てよ」

赤魔導士「分かった」

盗賊「頑張れよ赤魔導士」

赤魔導士「ああ、このチャンスモノにしてくるよ、ありがとうな賢者」

賢者「礼を言われるような事はしてませんよ」

勇者「じゃっとりあえずいこうか」

勇者「じゃあとりあえずこのあたりの魔物で」

武闘家「このあたりって……ここ結構強い奴出るのに?」

勇者「でなきゃ分からないだろ?」

賢者「まぁとりあえずっときましたね」

魔物達「ギャース」

勇者「数が多いな仕方ない僕達も少し」

赤魔導士「あっ大丈夫だよあのくらいなら、ほい」

『ライトブリンガー』キュオーン

魔物達「ギャー!」

勇者「えっ?何今の?」

赤魔導士「この剣を振りかざしたら出るんだあの魔法」

勇者「へ……へぇー」

武闘家「すごいなそれ、あっまた」

魔物「ギャース」

勇者「よ、よし今度は一体だな、物理攻撃で」

赤魔導士「任せてくれ」ズババババ

魔物「ギャー!」

勇者「つよっ!」

赤魔導士「この剣すごく強いんだ、しかも持ってると力が湧いてくるし」

勇者「へ……へぇー」

賢者「ほうこれはすごい、ん?」

魔物「ギャース!」

勇者「あつっ不意打ちで炎吐いてきたか、回復を」

赤魔導士「あっそれも任せてくれ」

『ルーンの杖』パァァ

勇者「回復した?」

赤魔導士「この杖振りかざすと皆回復するんだ」

勇者「これは賢者の石あるからね!おどろかないね!」

武闘家「あれ?そういう話だったっけ?」

勇者「とっとりあえず装備とかはよくわかったよ、今度は赤魔導士自身の強さを」

赤魔導士「それもそうだね、じゃあファイガサンガーブリザガ!」チュドドン

魔物「ギャー!」

赤魔導士「ついでに攻撃」ズババババ

魔物「ギャー!」

勇者「……」

武闘家「赤魔導士すごーい!」

賢者「これは即戦力ですよ勇者殿、ぜひパーティーに!」

勇者「……あーうん……」

赤魔導士「てやぁ!」

魔物「ギャー!」

一月後

赤魔導士(まぁ何とか実力を認めてもらったけど)

賢者「さて今日からいよいよ魔王城攻略ですね皆さん」

赤魔導士(メンバーは四人までしか入れられないから)

魔法使い「準備は万全よ」

赤魔導士(結論としては俺は勇者のパーティーには加われなかった)

店主「じゃあメンバーはこの四人でいいのね?」

勇者「うん……」

赤魔導士(何故なら)

武闘家「よし!頑張ろうね赤魔導士!」

赤魔導士「ああ、じゃあ行ってきます」

赤魔導士
武闘家
賢者
魔法使い

勇者「行ってらっしゃい……」

武闘家「よーしやるぞー」スタスタ

魔法使い「回復は二人に任せていいのね?」スタスタ

賢者「賢者の石は魔法使いさんが持ってても」スタスタ

赤魔導士「武闘家はルーンの杖を、あとこのガントレットとか魔法使いが持っててよ、かざすと魔法発動するから」スタスタ

ヤイノヤイノ

勇者「……」

盗賊「……まぁ飲め……な?」

勇者「うん……」

赤魔導士(俺が勇者の代わりでいいんだろうか?)


終わり

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