雪乃「比企谷くんを救うことになった。」(比企谷八幡の場合) (107)

雪乃「比企谷くんを救うことになった。」
雪乃「比企谷くんを救うことになった。」 - SSまとめ速報
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雪乃「比企谷くんを救うことになった。」 after
雪乃「比企谷くんを救うことになった。」 after - SSまとめ速報
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このssは↑のssの八幡の視点で描くお話です。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1459323087



<1日目>


『ヒキタニが…また…』


『あいつ…戸部の告白を邪魔したらしい…』


『本当?何考えてんの?』


『文化祭で相模さん泣かせたばっかじゃん!』


『やっぱあいつ最低だわ。』


修学旅行から既に数日が経過している。

クラスでは俺が海老名さんに嘘告白した噂で持切りだ。

あのぼっちのヒキタニくんが噂の渦中にあるんだからある意味光栄だ。

ハチマン悲しくない。むしろクラスの話題になれたと自慢したいくらいだ。



八幡「ハァ…部活行きたくねえな…」


放課後、授業も終わり部活の時間だが…

正直俺は奉仕部へ行く気になれなかった。

修学旅行以来、俺は雪ノ下と由比ヶ浜の二人とは話をしていない。

何故なら俺の嘘告白にあの二人が不満を抱いたからだ。

俺自身、あんなことやりたくはなかった。

けど仕方なかった。

海老名さんは戸部からの告白を受ける気なんてなかったんだからな。

あの日、由比ヶ浜はこう言った。

『もっと人の気持ち…考えてよ…』

だがな由比ヶ浜、お前は海老名さんの気持ちを考えてやったか?

好きでもない人間に告白されてそれで無理やり付き合わされたら嫌だろ…

まあ、今更こんなことを言っても始まらんがな。



八幡「結局付いちまったか…」


俺は部室の前にたどり着いた。

この数日、いつもここまでは来られるんだが…

だがこの先に入っていく勇気は今の俺にはない。

本当ならこの扉を開けて『ウス』とか言って中にいる二人に挨拶したい。

けどそれができない。

そんな時、俺の耳に中にいるであろう雪ノ下雪乃と由比ヶ浜結衣の声が聞こえてきた。


『ヒッキーは今日も部活に来ないね。』


『あんな男、もう来ない方がいいわ…』


あいつらの声だ。

あぁ…懐かしい…

たった数日前なのにもう何年も聞いてないような気がしてきた。

だが…



『でもあんな嘘告白は…ないよね…』


『そうね、結局彼のやり方は何の解決にもならないわ。』


『もっとも私は彼のことなんてどうでもいいのだけど…』


『…そうだよね…ヒッキーのことなんて全然気にしてないし!』


それはあいつらが俺を否定する言葉だった。

咄嗟に吐き気を催した俺は必死に口を抑えて息を殺した。

正直…聞きたくなかった…

いや…これは仕方ないんだ…

あいつらに今回の件の事情を説明することなんてできない。

由比ヶ浜は葉山のグループだ。

もしこの件を知れば海老名さんを叱責するだろうしそれに雪ノ下だって…

あいつも由比ヶ浜に推し進められたとはいえこの件に乗り気だった。

だからこの件の真相を二人に伝えることはできない。

全部俺の胸の中に閉まっておくしかないんだ。



八幡「帰るか…」


そうぼそりと呟くと俺はすぐに階段を下りた。

途中部室の扉が開くような音がしたが気にしていられなかった。

雪ノ下と由比ヶ浜に聞いていたことをバレないように必死に駆け下りていたからな。


八幡「ハハ…惨めだな…」


階段を駆け下りた俺は今の自分の状況を振り返っていた。

ろくでもない葉山と海老名さんの依頼を引き受けてこのざまだ。

もう嫌だ…これ以上面倒事はゴメンだ…


八幡「部活…辞めちまおうかな…」


そう思った。

まあ俺は平塚先生に強制入部させられたんで恐らく退部は認められないだろうが…

そんな時だ。



八幡「あれは…平塚先生…?」


俺は部室へ向かう平塚先生を目撃した。

それにもう一人、誰かを連れている。

一体誰だ…?

見たところ女生徒みたいだが…

そういえば以前見たことがあるな。

あれは確か…

思い出した。文実の作業の時だ!



『ハァ…しんどい…もう仕事なんかしたくねぇ…』


文実の作業中、俺は雑務担当として書類と格闘していた。

だが俺の作業は雑務以上の業務を請け負っていた。

何故なら有志の受付にやってきた雪ノ下の姉である雪ノ下陽乃が、

『文実委員も文化祭を楽しまなきゃダメ!』などと戯言を抜かしたせいで、

残った文実委員にその皺寄せを被ったからだ。

その意見に委員長である相模も賛同してしまったから、さあ大変。

それに本来この暴走を止める立場である、

副委員長である雪ノ下や生徒会長の城廻先輩も強く逆らうことも出来ず結局これだ。

俺…?

ぼっちごときがみんなの前で意見できるはずがないじゃん。



『あぁ…もう…どうしよう…間に合わない…』


俺が心の中で愚痴っていた時だった。

俺の隣にいた一人の女生徒が何かを呟いていた。

確か俺と同じ2年でC組の文実委員だ。

あの相模のサボり発言があってもまだ文実の作業に参加してくれる貴重な戦力だが…

時計を見て時間を気にしているみたいだ。

誰かと待ち合わせでもしているのか…?

それからその子は意を決して副委員長である雪ノ下にこう頼み込んだ。



『あの、用事があるので今日の作業を中断して教室へ戻りたいんですけど…』


『用事とは何かしら?』


『あ、はい。その…友達にクラスの方の手伝いをお願いされていて…』


『悪いけどこっちを優先させてほしいのだけど。
あなたも委員なら今の状況がわかるでしょ。このままでは文化祭そのものが開催出来ないのよ。』


『それはわかってます。けど本来の仕事は終えたので…』


『でも他の仕事はまだ残っているはずでしょ。
それならクラスの方は後回しにしてこっちの作業を優先させなさい。わかったわね。』


雪ノ下は彼女の意見なんて聞く耳を持たずに自らの意見を押し通した。

他の連中も雪ノ下が正しいと思ったのだろうか誰もこの子を助けようとはしない。

確かに普通なら雪ノ下の意見は正論だろう。

だが雪ノ下さんや、今回に限ってお前は間違っているぞ。

何故なら彼女は俺と同じく本来の担当以上の業務を請け負っている。

そうなった原因は何だ…?

お前が相模や姉ちゃんの意見を真っ向から否定しなかったからだろ。



『いいよ、行っちまえ。残りの分は俺がやっておいてやる。』


『え…いいんですか…?』


『構わねーよ。相模が言ってたろ。文実委員も楽しまなきゃダメだってな。』


『待ちなさい比企谷くん。これは彼女の仕事のはずよ。あなたは出しゃばらないで!』


『何言ってんだ。
元々こっちが無理言って頼んでやってもらってんだ。これ以上の無理強いは酷だろ。』


俺は雪ノ下を抑えつつ目配りでその彼女に『さっさと行け』と促した。

それから彼女は…

『比企谷くんありがとう』

俺に一言礼を言ってその場から出て行ってくれた。

残った俺は雪ノ下からガミガミ文句言われた挙句、

他の委員が帰った後も一人作業を続けて彼女の分も終わらせた。

その後、雪ノ下は過労で倒れて俺はスローガンの会議で相模に暴言を吐いた。

それでサボッていた文化祭委員は戻ってきて作業は順調に再開される。

文化祭ではエンディングセレモニー間近で逃げ出した相模を泣かせて、

俺があいつの非難を一身に背負って一応の成功に漕ぎ着けた。



八幡「あの時の子が何で奉仕部に…?」


そう、もう文実は終わったはずだ。

なら彼女が奉仕部を訪ねる理由はないはずなのに…?

疑問に思いつつも俺は玄関の方へと歩いた。

今の俺が気にしたところでどうしようもないからな。

さてと、家に帰るか。

でも…今は家にすら居場所がないんだよな…

小町に嫌わてるし…



<2日目>


八幡「何だ…?」


翌日、いつものごとく教室で寝たふりをしながら俺はある微妙な変化に気づいた。


結衣「…」


由比ヶ浜が俺の方をジッと見ている。

おいおいそんなに見つめるなよ。勘違いしちゃうだろ。

まあそんな冗談はさておいて、急にどうしたんだ。

もしかして部活に来なくなった俺を心配してるとか…?

まさか…そんなはずはないよな…


それから授業は終了して放課後になった。



八幡「ハァ…どうすっか…」


正直俺は迷っていた。

いつものように部室へ行って扉に入ろうとするところで止めるか?

ていうかこの行動に何の意味がある?

単に踏ん切りがつかないだけだろ。

だが家に帰るのもなぁ…

機嫌の悪い小町と鉢合わせするのも嫌だしどうしたもんだか…

だがそんなことを思っていた時、ある事態が起きた。



「…!」


「……!?」


「………!!」


八幡「何だ…?」


突然部室で騒ぎ声が聞こえてきた。

それから誰かが部室から勢いよく出て行き何処かへ向かった。

その後を追うように雪ノ下と由比ヶ浜も駆け出していった。

俺はというと突然の事態に何が何やらさっぱりだ。

どうすべきか、面倒だが俺も一緒に追いかけようとしたのだが…



めぐり「あれぇ?雪ノ下さんたちいないんだねぇ。」


八幡「城廻先輩…どうしてここに…?」


さらに文実以来の城廻先輩が現れた。

たぶんだけど…この人は今の事態とは無関係だよな…?


八幡「それで何か用でもあるんすか?雪ノ下たちは留守みたいっすけど…」


めぐり「うん、そうみたいだね。
それなら比企谷くんにお願いしたいんだけど。明日でいいから時間作ってくれるかな?」


八幡「はぁ…依頼っすか…」


正直、返答に迷った。

そりゃそうだ。

昨日、俺は雪ノ下たちから拒絶の言葉を吐かれたんだ。

そんな見捨てられた俺の独断で奉仕部への依頼を受けていいのか判断に困るわけだが。



八幡「ならこの依頼は奉仕部ではなく俺個人が受ける。それでいいなら引き受けますよ。」


めぐり「そうだね…
さっき見たけど雪ノ下さんたち忙しそうだし…ここは比企谷くんにお願いするよ!」


こうして俺個人への依頼ということでこの件を引き受けた。

正直今になって何で引き受けたのだろうかと疑問に思う。

まあ理由があるとするなら単に暇だから…やることが何もないから…だろうな…

それだけだ。それ以外に特別なことは何もない。

それともあれか。

この件が無事に解決すれば雪ノ下たちも俺を見直して元通りの仲に戻れるとか…

そんな期待するわけねーだろ。

プロぼっち舐めんな!



<3日目>


八幡「やべぇっ!寝過ごした!?」


今、俺は全速力で教室に向かっている。

寝坊した。小町が起こしてくれないんだもん。

うん、ハチマン悪くない。

だってどうせ今日も何事もなく変わらない一日だし、

俺が遅刻したところで何の問題もないはずだと思っていた…



相模「ヒグッ…グスッ…」


八幡「相模…?」


なんとクラスに着くなりあの相模が泣いていた。

何で…一体どうして…?

それにクラスの雰囲気も何処となくおかしい。

俺がいない間に何があった…?


戸塚「あれ…八幡…もしかして今学校に来たの…?」


八幡「よぅ戸塚。ちょっと寝坊してな。ところで一体何があったんだ…?」


戸塚「何がって…それは…」


何やら戸塚は困った顔でどう話すべきか迷っているようだ。

俺が遅刻したことと相模が泣いていることに何か関係でもあるのか…?

そんなことを思っている時だ。

相模が俺の方へとやってきた。



相模「アンタ…何で…遅刻したの…?」


八幡「いや、妹が起こしてくれなかったからで…」


相模「ふざけないで!
まさか…あの女とグルだったの…?それでうちを嵌めたんでしょ!そうなんでしょ!?」


あの女とグル…?相模を嵌めた…?

何だ?相模は一体何のことを言っているんだ?

今来たばかりの俺には何のことやらさっぱりわからない。

だがそんな俺たちの前に相模の取り巻きが…

おいおい勘弁してくれ。これ以上俺を責めてもどうにもならんぞ。



相模「ゆっこ!遥!聞いてよこれは…」


ゆっこ「何言ってんの。さがみんが全部悪いんでしょ。」


遥「全部みんなの前で自白したじゃん。
ていうか最低だよね。嫌なこと全部ヒキタニに押し付けてさ!見損なったよ!」


相模「ちがうの…これは…!?」


相模は取り巻き二人に見離されている。

それでもなんとか誤解だと必死に説得しているみたいだ。

つーか本当に何があった…?



戸塚「僕もよくわからないんだけど…、
相模さんがクラスのみんなの前で文実委員の仕事をサボッていたことを打ち明けたんだ。」


八幡「え…何でそんなことを…?」


戸塚「わかんない。
でも昨日相模さんが誰かと喧嘩になったみたいでそれが原因じゃないかと思うんだ。」


相模が…喧嘩…?

相模はあれでもこのクラスのカースト上位の方だぞ。

そんな相模に喧嘩を売ったとか誰だよそいつ?



戸塚「それで相模さんなんだけど…」


八幡「おいおいどうした?何で俺を見つめているんだ戸塚よ…」


急に見つめられてもまだ…俺は心の準備が…

え…そうじゃない…?

まあそれはともかく戸塚曰く、

「これは僕じゃなくて相模さんが直接八幡に謝るべきことだから。」

と言ってそれ以上のことは話してはくれなかった。

何でこうなったのか未だに理解できんが…

さてどう解釈すべきか。

みんなの前で自分の失態を明かしたということはこれが相模の成長として受け取るべきか。

俺は相模の謝罪の場にいなかったし、そんな俺が兎や角言ったところで説得力はないだろ。

それに俺もこれから城廻先輩の依頼があるから、

相模には悪いが何かしてやれることは今のところ何もない。

まあ状況が悪化したら動かなきゃいけないだろうが暫くは静観を決め込むしかないか。



サイゼ―――


八幡「待ち合わせの場所、ここでいいはずだよな。」


放課後になり俺は学校近隣のサイゼにいた。

ここを城廻先輩との待ち合わせの場所にしてもらったからだ。

何で学校内じゃないのかって…?

放課後過ぎてまで学校に居たくないし、何より雪ノ下たちに感づかれたくないからな。

そんなことを考えているうちに城廻先輩が現れた。


めぐり「比企谷くんお待たせ~!」


オォ、相変わらずの癒しオーラ満開のめぐりッシュ!

…と思ったら…



陽乃「ひゃっはろ~比企谷くん!」


八幡「何で雪ノ下さんがここに…?」


陽乃「そりゃ可愛い後輩に頼まれたら断れれないからね~♪」


めぐり「陽さんにもOGとして意見を聞いてもらおうと思って呼んだの~」


なるほど、俺一人じゃ心細いってわけか。

こんなぽわぽわしててもさすがは生徒会長、人の扱いに長けてやがる。

さて、俺たちが話し込んでいる最中に無視されがちな一人の少女が目の前に現れた。

茶髪で見るからにあざとそうなビッチ系女子、2年では見かけないヤツだな。

どうやらこいつが今回の件に関係あるようだ。



いろは「初めまして先輩方、1年の一色いろはで~す!以後よろしくお願いしま~す♪」


八幡「あざとい…それで城廻先輩。どういった依頼なんですか?」


めぐり「それが…実はね…」


それから城廻先輩が今回の依頼について語ってくれた。

どうやらこの一色いろは、クラスでは男子に人気はあるが女子の間では…

このあざとさが原因で相当妬まれているとのことだ。

そんな時にクラスで生徒会選挙の話が出て、

それを知った一色を妬む女子連中がなんと一色を生徒会長に推薦してしまった。

このことを知った一色もなんとかしようと担任に掛け合ったらしいが、

担任も自分のクラスから生徒会長が立候補するのは喜ばしいことだとか言って、

聞く耳すら持ってくれなかったらしい。

何だそりゃ…?



いろは「1年生で生徒会長やれなんて無茶ぶりですよー!勘弁です!」


八幡「なるほど、それをどうにかしてくれと…?」


めぐり「そうなの。お願いできるかな?」


八幡「確かうちの生徒会って30人以上の推薦人がいないと立候補できないはずだ。
一色とか言ったな。つまりお前は30人以上の女子から妬まれてるわけか。
何をやらかしたらそんな大勢から反感買うんだよ?」


いろは「向こうからの一方的な妬みですから!いい迷惑です!」


一色を茶化しながら今のセリフがブーメランになっていることに俺は気づいた。

そういえば俺だって文化祭で色々とやらかしてるよな。

俺も人のこと言えないか。



陽乃「それで比企谷くん。何か策はあるわけ?」


八幡「まず正攻法は無理ですね。
担任が協力してくれないのが痛い。ていうかこの問題は生徒だけで解決するの無理でしょ。」


めぐり「そうだよね。私も最初平塚先生に相談したけど奉仕部に丸投げされちゃったし…」


陽乃「あらあら、静ちゃんたら仕事放棄はよくないぞ!」


珍しく雪ノ下さんの意見は正しい。

あの独神ちゃんと仕事しろってんだ。

さて、そんな本人の前で言えない文句はさておいて正攻法が無理ならどうすればいい?

なら別の手を考えればいいだけだ。



八幡「それなら一色をわざと落選するように仕組むしかないですね。」


めぐり「でもどうやって?下手なことをしたら一色さんが傷ついちゃうよ。」


いろは「そうですよ、女の子はデリケートなんですから取り扱い注意なんです!」


デリケートで取り扱い注意だ?

このあざとビッチめ。どう見てもお前この状況に全然ヘコたれてねーじゃん。

むしろこの強化外骨格並みの図太い神経をしてそうなんだがな…



八幡「まあ要するにだ。その役目を第三者にやってもらえばいいんだよ。」


いろは「第三者ってどういうことですか?」


八幡「簡単に説明するぞ。
生徒会選挙には応援演説があるはずだよな。それをヘマすればいい。
そしたら一色が咎められることもなく応援演説を行ったヤツに非難の目が向けられる。
これでキレイに解決だろ。」


まあ文化祭や修学旅行で俺が使った汚れ役だ。

これで誰もが笑顔でいられる優しい世界の完成…だと思ったんだが…



いろは「あの…先輩…」


めぐり「それは…ダメだよ…」


八幡「これなら一色は傷つかないと思ったままでだが…」


こんな汚れ役やりたがるヤツはまずいないだろ。

それなら俺がやるしかない。

幸いにも俺は噂の渦中にいる。

そんな俺ならどれだけバッシングを受けようとも問題はないはずだ。



陽乃「………な~んて考えてるんじゃないの?」


八幡「え…何で自然に俺の心読んでるんですか…?」


陽乃「まあ比企谷くんの意見は却下ね。
そんなことしたらどの道いろはちゃんの信頼はガタ落ちだからね。」


八幡「あ、やっぱし…」


まあ当然だよな。

だがそうなると他に方法を考えなきゃならんが…



陽乃「それにキミも傷ついちゃうよ…」


八幡「何か言いましたか?」


陽乃「ううん、なんでもないよ。
それよりもお姉さんのアイデアを聞いてくれるかな。
誰か他の人に立候補してもらってその人に生徒会長をやってもらうの!」


いろは「でもその誰かって…誰なんですか…?」


めぐり「そんな人がいてくれたらそもそもこんな話し合いはしてないですよぉ。」


雪ノ下さんの意見も俺と同じく批判されている。

ちなみにだが生徒会なんて聞こえはいいがやることは教師の雑用係みたいなもんだ。

だからやりたがるヤツは誰もいないわけで…



陽乃「比企谷くん。キミが生徒会長になればいいの!」


八幡「俺が…生徒会長…それ…何の冗談ですか…?」


陽乃「だって私は卒業生だしめぐりもまもなく引退するし、
いろはちゃんは1年生でまだ生徒会長をやるのに自信がないんだよ。
この場ではキミしか適役がいないじゃん!」


確かに一色を除けば俺が生徒会長という案は妥当なわけだが…

だが俺が生徒会に立候補するには無理がある。



八幡「無理です。自慢じゃないが俺には推薦人を集めるほどの人望がない…」


陽乃「そこは現役の生徒会長の出番かな。そうだよねめぐり!」


めぐり「そうですね。私なら30人の推薦人くらい集めることはできるけど…」


八幡「けど待ってください。俺ですよ俺?
文化祭じゃ最後は委員長泣かせた俺が生徒会長じゃ示しがつかないでしょ!?」


俺は文化祭での出来事を語った。

そう、俺は文化祭や修学旅行で悪評を広めてしまった悪者だ。

そんな俺が生徒会長になってみろ。

恐らく他に立候補するだろう生徒会メンバーは辞退して俺一人のぼっち生徒会の誕生だ。

何それ…自分で言ってて悲しくなってきた…



八幡「それにこんなのは奉仕部のやり方じゃない。
奉仕部は飢えたヤツに魚の取り方を教えるのを理念にしている。
直接魚を与えるようなやり方じゃその理念に反します…」


陽乃「理念ねぇ。でもその理念って文化祭じゃ間違っていたよね。」


めぐり「そういえば…
文実では雪ノ下さんが相模さんの仕事を全部やっていたような気がするけど…?」


八幡「それは…」


雪ノ下さんの指摘は手厳しい。

確かにあの文化祭での雪ノ下は俺の目から見ても判断を誤って暴走気味だった。

まあそれは恐らく俺たち奉仕部員のある因縁が原因だ。

1年前の入学式に起きた車の事故。

それに俺の目の前にいるこの魔王雪ノ下陽乃の存在。

こんなのは他人からしてみれば雪ノ下の身勝手な都合でしかない。

そんなモンに巻き込まれた他の文実委員はたまったものじゃないだろ。

それにこの件を放置した奉仕部の部員である俺にもある程度の責任はある。

だから俺がスローガン決めで暴言を吐いたのはある意味その時の修正と帳尻合わせだ。

そのことを誰かに気にしてもらう必要もないんだが…



陽乃「ごめんね。」


八幡「いきなりどうしたんですか…?俺は謝られる理由なんて…」


陽乃「文実の時に私がみんなを煽らなければ…
比企谷くんが汚れ役になることはなかったからね。これはその時の謝罪だよ。」


めぐり「それを言うなら私も…キミ一人に泥を被せて何も出来なかった…ごめんなさい。」


八幡「そんな…謝らないでください…」


陽乃「うん、今更謝っても遅いよね。
だから文実での埋め合わせをするために奉仕部の理念に則り比企谷くんを助けるの。
つまり比企谷くんに魚を与えず魚の取り方を教える。奉仕部のやり方でね!」


なるほど、俺自身に生徒会長へなるための助言や協力は惜しまないがやるのは俺自身か。

確かに奉仕部のやり方だ。

言われてみれば最近の俺たちは確かに餌を与えていただけだ。

文化祭や修学旅行、

俺が良かれと思ってやった行動がいつの間にか奉仕部の理念に反していたとか皮肉だろ…



陽乃「それじゃあさっそく打ち合わせを始めましょうか。」


めぐり「まずは比企谷くんの推薦人集めからですね。私のクラスでは…」


いろは「え~と…私はドリンクバーで飲み物汲んできますね!」


八幡「なんか俺の意思を無視して話を進めんのやめてほしいんだけど…」


いきなり乗り気になる雪ノ下さんとめぐりん。それとついでに一色。

そんな時、俺はふと窓際を見た。

するとそこには…



八幡「雪ノ下…それに由比ヶ浜…!?」


陽乃「本当だ、雪乃ちゃんだ!お~い!」


雪ノ下さんは二人を呼ぼうとしている。

冗談じゃない。

今の俺にはあいつらと向かう合うことなんてできない。

俺は用事を思い出したと言って席を立ち雪ノ下たちにバレないようすぐにサイゼを出た。



八幡「ハァ…やばかった…打ち合わせについては明日でいいだろ…」


八幡「けど…あいつら…」


八幡「いや、これは俺の気のせいだろ。」


俺はそんなことを呟きながら帰路についた。

ちなみに俺が何に気づいたかというと…

あの二人の目だ。

一瞬しか見えなかったがあいつらの目…

どこか濁りがあったのは…やっぱり俺の気のせいだよな…?



<4日目>


いろは「もうっ!先輩何で昨日は急に帰っちゃったんですか!?」


八幡「だから悪いって言ってるだろ。ほら、無駄口叩いてないでさっさと手を動かせよ!」


めぐり「4人もいれば今日中に終わるからね~」


陽乃「う~ん!こうしてるとなんだか高校時代を思い出しちゃうなぁ~♪」


翌日、俺は放課後を利用して生徒会室にいた。

その理由は昨日の雪ノ下さんの提案を実行するため、俺の生徒会入りの準備を進めている。

既に一色には生徒会に入る意思はないらしい。

元々サッカー部のマネージャーをやっているようだから、

さすがに生徒会との兼業は難しいとのことだ。



八幡「それじゃあお前って葉山のこと知ってるんだな。」


いろは「勿論ですよ。葉山先輩に憧れてサッカー部のマネージャーやってますからね!」


陽乃「へぇ、隼人ってやっぱり女子に人気あるんだ。」


葉山の話題になり俺は今朝のことを思い出していた。

そういえば今朝、葉山が俺のことを睨みつけていたっけな。

ここ数日由比ヶ浜は勿論だが何故急に葉山まで…?

まさかはや×はちの展開じゃないよね?

うぅ…後ろに注意しなきゃ…ハチマン貞操が危ない…海老名さんが喜びそう…



いろは「あれ?携帯から着信が?これ葉山先輩からですよ!」


八幡「何でこのタイミングで葉山から連絡が来るんだよ?」


めぐり「連絡って…葉山くんってサッカー部だよね。この時間部活じゃないの?」


いろは「それが…葉山先輩今日は用事があるとかで部活休むらしいんですよ。
葉山先輩がいない部活なんて出たってしょうがないじゃないですか。
だから私も今日はお休みしてここに来てるんです。」


あの真面目な葉山が用事とはいえ部活を休むとはな。

珍しいこともあるもんだ。

そういえば…

今日ここに来る前に葉山のグループ連中が集まって何処かへ行こうとしてたな?

あいつらのことだからカラオケにでも行くんだろ。

気にすることないわな。



八幡「とにかく作業の邪魔にならないようにしてくれよ。
葉山からの連絡なんて虫唾が走ってしょうがねえや…」


いろは「うわ、それモテない男の僻みですよ。
まあいいです。とにかく出ますね。あ、もしもし葉山先輩ですか?いろはですけど…」


一色は作業の邪魔にならないように廊下に出て葉山からの連絡に出た。

だが一色は1分もしないうちに部屋に戻ってきた。

それから何故か自分の携帯を俺に取るように促してきた。


八幡「あん?何で俺に携帯を…?」


いろは「それが…葉山先輩が先輩を出してくれって言うんで…
せっかくの葉山先輩からの呼び出しなのに私の方が事情聞きたいですよ!?
私はパシリじゃないんですよ!!」


いや…俺に逆ギレされても困るんだが…

だがこのままでは一色の怒りの矛先が俺に向けられてしまう。

葉山と話なんかしたくもないがこの際だから仕方がない。

しょうがないから出てやるかと一色の携帯を取ろうとしたら…



陽乃「もしもし隼人。どうかした?」


八幡「雪ノ下さん…何で…?」


本来俺への連絡を何故か雪ノ下さんが出てしまった。

またこの人の悪ふざけなんだろうなと思ったが…



『自分がやらかした後始末にこれ以上他人を頼るな。』



それは何故か寒気がするほど冷酷な一言だった。

それを言い終えると、

雪ノ下さんは何事もなかったかのように連絡を一方的に切ってしまった。



八幡「あの…どうしたんすか…?」


いろは「ていうか今の葉山先輩からの連絡ですよ!何で…勝手に切っちゃうんですか!?」


陽乃「だってぇ隼人の頼み事なんて面倒なだけだよ。
今、私たちはお仕事中だから隼人の用事に関われるわけないじゃん!
さぁみんな、お仕事に集中しよ~♪」


それから幾度となく一色の携帯に葉山からの連絡が掛かってきた。

だが雪ノ下さんは面倒だから絶対取るなと俺たちに命じてきた。

俺も葉山からの連絡なんてどうでもいいし城廻先輩も雪ノ下さんの意見に従ってるしな。

唯一人、一色だけが心配しているがどうでもいいか。

別に連絡出なかったからって何か大事になるわけでもないし…



それから1時間後―――


陽乃「これで作業終了~お疲れさまでした~!」


めぐり「もうこんな時間、帰りに何処かのお店に寄っていこうか?」


いろは「いいですね!最近オープンしたお洒落なお店知ってるんですよ!」


八幡「まったく盛り上がってんな。俺は生徒会室の鍵を返しに行きますんで…」


盛り上がっている三人を無視して俺はその足で職員室へと向かった。

だがその途中のことだ。








「 「ヒキタニィィィィィィィィィ!!!!」 」








八幡「は…葉山…?」


葉山「どうして俺の連絡に出てくれなかったんだ!何度も掛けたのに!?」


八幡「待て落ち着け!何があったんだよ!」


葉山は恐ろしい形相で俺に迫ってきた。

それは今まさに射殺さんとするほどだ。

まさかマジで緊急の呼び出しだったとは…

つーか待て。

こいつが俺みたいなぼっちを呼び出すほどの緊急の要件って一体何だ…?



八幡「何があったか知らんが、
俺みたいなぼっちじゃなくてもお前のグループの誰かを頼ればいいだけだろ。
一々俺を頼る必要がどこにある!?」


葉山「あの件を他のメンバーに頼れるわけいかないだろ!大体あれはキミが勝手に…!?」


何だこいつ…何を言ってるんだ…?

葉山は冷静さを失って俺も何で葉山がこうなったのかわけがわからない。

それどころか…


葉山「お前のせいで…俺は…俺は…」


八幡「とにかく落ち着けって!何があったのか話してくれなきゃわけがわからん!」


葉山「今更何を…もう手遅れなんだよ!?」


それから葉山は感情のままに俺に襲いかかった。

俺はというと腕力では叶わずヤツに…

このままじゃやばい。

そう思った時だ。



「葉山くん!あなた何をやっているの!?」


八幡「だ…誰だ…雪ノ下…由比ヶ浜…?」


それは一瞬の出来事だった。

顔は見えなかったが女生徒らしき誰かが俺と葉山の前に駆け寄ってきた。

けど俺は…さっき襲われた衝撃で意識を失ってしまった…



――――――


――――


――



「…」


「……」


「………」


「それじゃあ比企谷くん。お大事に。」


八幡「う…うぅ…ここは…?」


陽乃「あら、気がついたのね。」


めぐり「よかった、心配したよ。」


いろは「もうっ!心配させないでくださいよ!」


目を覚ますと俺は保健室のベッドで寝てた。

何故俺は保健室に…?



いろは「え~とですねぇ…
先輩は事故で葉山先輩と一緒に倒れ込んじゃったらしいんですよ。」


めぐり「そこを偶然通りかかった2年の女子がキミを保健室まで運んでくれたの。」


八幡「事故か…ハハ…」


葉山のヤツはどうやらうまい言い訳をして誤魔化したらしい。

まあ捻くれぼっちの俺とイケメン葉山とじゃさすがに教師からの信頼度がちがうか。

それにしてもこんな悪評高い俺をよく助けてくれるヤツがいたな。

自慢じゃないが今の俺はこの学校で一番の悪役で葉山は学校のヒーローだ。

それなのにその女子は葉山じゃなくて俺を助けた。

しかも俺のことを『ヒキタニ』じゃなくちゃんと『比企谷』と呼んでいた。

俺のことを知っている…だがどうして…?



八幡「それでその女子は誰なんですか?一応礼くらい言っておきたいんですけど…」


いろは「誰と言われましたも…名乗らずにいなくなっちゃいましたからね…」


めぐり「でもどこかで見覚えが、思い出した!文実の委員だった子だよ!」


陽乃「それじゃあ比企谷くんとは顔見知りだったわけだね。」


顔見知り…それだけで俺のことを助けてくれたのか…?

だが文化祭といえば俺がやらかしたイベントだぞ。

あのスローガン決めの後から俺は殆どの文実委員から敵視されていた。

それなのに何で俺を助けた…?

その後、俺は身体に異常がないとわかりすぐに帰ることになった。

だが俺は帰り道も思考を辿らせた。

何でその女子は俺を助けたのかと?

けれど何度考えても正解にたどり着くことはできなかった。



<5日目>


八幡「おかしい…これは絶対におかしいだろ…」


翌日、俺はクラスに来るなりすぐさまある異常に気づいた。

その異常とは葉山たちグループだ。

あいつら…いつもなら鬱陶しいくらいワイワイガヤガヤ騒いでいるのに…

今日に限ってはちがった。



葉山「なぁ…戸部…大岡…大和…」


結衣「ねぇ…優美子…姫菜…みんな…話そうよ…」


葉山と由比ヶ浜が必死になってグループの連中を呼びかけている。

だが他の連中はそれに応じようとしない。

これはどういうことだ。

昨日あいつらに何があった…?



葉山「このっ…!」


結衣「あ…」


思わず葉山と由比ヶ浜の二人と視線が合ってしまった。

そして葉山は俺を睨みつけ由比ヶ浜は不安そうな目で見つめている。

何だよ…俺が一体何をしたっていうんだ…?

悪いが俺は本当に何も知らんぞ。

お前らのグループに何があったかなんてむしろこっちが聞きたいくらい…

いや…やっぱりどうでもいい。

お前らのグループと絡むとろくなことがないので永遠に関わらないでください。

それからステルスヒッキーをフル活用して連中のことは一切無視した。

そして放課後になり誰にも気づかれずに教室を飛び出して俺は生徒会室へと向かった。




「 「 「比企谷くん!生徒会長就任おめでとうー!!」 」 」



めぐり「おめでと~!頑張ったね~!」


いろは「…と言っても私の代わりですけどね。」


陽乃「もういろはちゃんたら!それは言わない約束だぞ!」


雪ノ下さん、一色、それに城廻先輩が俺の生徒会長就任を祝ってくれた。

だが…



八幡「あの…祝ってくれるのはありがたいんですけど…今はやめてもらえますか…」


いろは「そうですね…このありさまじゃ…」


めぐり「比企谷くん以外誰も集まらなかったからね…」


陽乃「予想はしてたけどまさかこうまで誰も来ないと見事だと思えちゃうよ。」


やはり俺の予想は的中した。

ここにいる三人以外、俺の生徒会長就任を誰も喜ばなかった。

勿論他にも役員に立候補したヤツらはいた。

だがそいつらは悪評高い俺が生徒会長になったと知ると続々と辞退してしまった。

そしてご覧のありさまだ。

でも負けない。ハチマンこんなことでめげないもん!



いろは「えっと…可哀想だから私が入ってあげましょうか…?」


八幡「やめろ。同情はゴメンだ。
それに一色は元々生徒会役員になりたくないから俺に依頼してきたんだろ?
お前が役員になったら俺が会長になった意味がないだろうが。」


めぐり「けど…本当にどうするの…?
生徒会はキミ一人で運営することは無理だよ。誰か探さないと…」


八幡「探すって誰をですか?
こんな俺と一緒に生徒会やりたがるヤツなんてこの学校にはいませんよ。
むしろやり甲斐がありますね。ぼっち生徒会上等じゃないっすか!」


俺は精一杯の虚勢を張った。

情けないがこれがせめてもの抵抗だ。

それに辞めることもできない。

このまま辞めてしまえば自動的に一色が繰り上げ当選して生徒会長になるだろう。

そうなればこの依頼は失敗という形になる。

だから俺が生徒会長になるしかないわけだ。



陽乃「でもこれは本当に困ったね。そうだ!今から雪乃ちゃんたちを呼んでくるね!」


めぐり「雪ノ下さんたちなら比企谷くんと一緒に生徒会してくれますからね~!」


八幡「雪ノ下たちが…ですか…?」


俺を見捨てた雪ノ下と由比ヶ浜が生徒会に入るだと?

それこそ無理だ。

あいつらは俺を否定して追い出したんだぞ。

見捨てた俺と一緒に生徒会をやってくれるなんて絶対にありえない話だ。



陽乃「なんだか嫌そうな顔をしてるね。雪乃ちゃんたちとじゃ嫌なの?」


八幡「むしろ嫌なのはあいつらの方でしょ。
言ってませんでしたが俺はあいつらに見捨てられたんです。
そんな俺が今更あいつらと生徒会なんて出来るはずがありませんよ…」


八幡「だから俺はこのままでいいんです。」


そうだ、これでいい。

これこそ誰も傷つくことのない優しい世界なんだ。



陽乃「いつまでも強がりを張るのはやめた方がいいと思うよ。」


八幡「強がりなんて…これがいつもの俺です…」


陽乃「そんな強がりは見てる方が見苦しくなるからやめておきなよ。
それにキミの味方は私たちや雪乃ちゃんたちだけじゃないからね。」


八幡「それって…どういうことですか…?」


陽乃「さぁ、それはあとのお楽しみかな♪」


それだけ言い残すとみんな生徒会室から出て行った。

正直助かった。

あれ以上誰かと一緒にいたらボロが出そうだったからな。



八幡「それにしても…本当に一人なんだな…」


八幡「今日からここが俺の居場所になるのか…」


八幡「俺以外誰もいない…まさにお似合いだ…」


誰もいない生徒会室で一人そう呟いた。

そうだ。こんなの慣れっこだ。

今までだってそうだったしこれからもそれは変わらない。



八幡「あれ…涙が…」


八幡「おい…何だよこれ…」


八幡「どうして止まらないんだよ…?」


俺の腐った目から涙がこぼれ落ちた。

一滴二滴の小粒の涙がポタポタと…

雪ノ下さんたちがいなくて本当によかった。

こんなところを誰かに見られたくなかったからな。

でも俺…何で泣いてるんだ…?

あ、そうか…俺は…



『あら、ヒキガエルくん。来ていたのね。』


『やっはろー!ヒッキー!』


ふと何処からともなく懐かしい声が聞こえてきた。

奉仕部にいた頃、いつも聞いていた雪ノ下と由比ヶ浜の声だ。

そうか…俺は奉仕部が…あいつらのいた奉仕部が…好きだったんだ…

俺にとってあそこは大切な居場所だった。

けどもう奉仕部へは戻れない。

俺の誤った選択があいつらを失望させてしまったんだ。

これは誰のせいでもない俺の責任だ。

でも嫌だ…こんなところに居たくない…

誰もいない今ならはっきり言える。




『奉仕部に戻りたい』



俺は心の底からそう願った。


………

……





八幡「ここ…だよな…」


今、俺は屋上に来ている。

何でこんな場所にいるのかだって?

それは雪ノ下さんからの頼みだ。

なんでもある女子が俺に話があるんだとか…

まったく俺には落ち込んでいる暇すらないのかよ?

そういえばこの場所からな奉仕部の部室が見えるよな。

ちょっと覗いてみるか。別にハチマン覗き魔じゃないよ。ちょっと興味があるだけ…



「…」


「……!」


「………!!」


八幡「何だ…ありゃ…?」


それは奇妙な光景だった。

なんと雪ノ下と由比ヶ浜が誰かと口論していた。

それから雪ノ下が…その相手を…思い切りビンタしてるじゃねーか!?

おいおい…何だこの修羅場は…?

雪ノ下にビンタされたヤツはそれから二人に何かを言って部室から出て行った。

恐ろしいものを見てしまった。

このことは俺の胸の内に閉まっておくか。



八幡「雪ノ下さんに言われて来たんだが…アンタが俺を呼び出したのか…?」


少女A「はい。初めまして…じゃないですけど…私のことを知っていますか…?』


それから暫くして俺は待ち合わせをしている一人の少女と対面している。

この女子は…確か文実委員だったよな…

名前は知らんが顔見知りって程度の関係だ。

けどこの子…頬が赤く腫れている。

まさかさっき部室で雪ノ下たちと口論してたのはこの女子なのか…?

これって聞くべきか…いや…聞かない方がいいだろ。

あの雪ノ下がイジメを行ったとは思いにくいし、

それに男の俺がとやかく言って問題をこじらせるわけにもいかんだろ。

とりあえずその件は置いといて俺はこの女子に何で呼び出したのか用件を聞いてみた。

恐らく俺がやらかしたであろう、

文化祭か修学旅行の件を問い質そうとしているのだと予想したが…



少女A「そんなことは聞く気もありません。
それにしても比企谷くんって被害妄想が酷すぎますよ!
男子なら女の子を目の前にしたらもっと夢のある妄想を膨らませてもいいと思います!」


あちゃー!ハチマンまさかの大外れ!

イイ線行ってると思ったのになぁ…


八幡「アンタに悪意がないのはわかったよ。それで俺に何の用があるんだ?」


少女A「それは…実は…私…その…困りましたね…こういうのは初めてで緊張して…」


少女A「でも思い切って言いますね。」


何これ…?

まるで告白される展開みたいな…



少女A「比企谷くん!私は…あなたのことが…!」


うわっ、マジで告白の展開だよ。

何で俺なんかに告白するのかわからんが…

やめてくれよ。今は生徒会の件で凹んでいるんだ。

それに今の俺なんかと一緒にいたらアンタもろくな目に合わないぞ。

勇気を出して言ってくれるのはアンタの気の迷いだ。

悪いがこの告白は断らせてもらうぞって…

うん…屋上の扉から誰か来る…?








「 「待って!あなたのことが好き!!」 」








雪乃「ハァ…ハァ…」


結衣「よかった…間に合ったんだ…」


八幡「雪ノ下…由比ヶ浜…お前ら…」


そこに現れたのは先ほど部室で修羅場を演じていた雪ノ下と由比ヶ浜の二人だった。

何でこいつらがここに…

それに何でこの子の告白を邪魔した…?

今の言葉通り俺のことが好きだと告白しに来たからなのか。

普通の男子ならこいつらの告白を受けたら即OKするのだろうが…俺はちがった…

何故なら俺の脳裏にある昔の光景が蘇ってきたからだ。



『こいつ信じてやんのー!』


『キモ谷マジキモい!』


『アハハ!!』


それは中学時代、俺に嘘告白した女子たちの陰湿なイジメだ。

ありったけの勇気を振り絞った挙句、笑われて無様に終わった人生初の告白。

それだけじゃない。

その後は教室の黒板にそのことを書かれて公開処刑された忌まわしき思い出だ。

これは…あの時と同じだ…

俺は改めて雪ノ下と由比ヶ浜を見た。

何故だ…?

この二人から伝わってくるのは純粋な想いなんかじゃない。

何か別の…ドス黒い感情が伝わってくる。



八幡「そ…そうか…」


八幡「そういう…ことか…」


八幡「ふひ…ひ…」


八幡「これって…つまり…あれだろ…」


八幡「俺がやらかした修学旅行での嘘告白…
あれをお前らが今こうして俺の前で再現したってことだよな…?」


俺は二人を試すようにこれが嘘告白ではないかと疑問を投げたけた。

正直、こいつらの前でこんな試すようなことはしたくない。

これが嘘ならあとで何度でも土下座してやる。

だから頼む…嘘であってくれ…



雪乃「そ…そうよ…その通りよ…あなたなんかに本当に告白するとでも思ったのかしら…」


結衣「ヒッキーったら…信じちゃって…本当にキモいんだから…」


現実は非情だ。

そんな淡い期待なんか叶うはずがなかった。

だが…落ち着け…冷静になれ比企谷八幡…

これは仕方ないんだ。

俺は修学旅行で雪ノ下と由比ヶ浜を裏切る行動に出てしまった。

こんなのは当然の報いなんだよ。

けど…俺はもう限界だ…



八幡「もう…いいや…」


それから俺はフラフラと歩き出した。

俺は雪ノ下と由比ヶ浜から本当に見捨てられちまった。

つまりこういうことだ。

もう俺は奉仕部へは戻れない。

あそこは俺の居場所ではなくなってしまった。

俺はようやく見つけられた唯一の憩いの場所を失った。

本物に成り得るだろうそれを自らの手で潰してしまったんだ。

もうおしまいだ。生きていくのが嫌になった。

そうだよな。俺が生きていてもしょうがない。

小町だってこんな兄貴が死ねば面倒事から解放されるだろう。

平塚先生もこんな問題児の世話をせずに済む。

俺を生徒会長にさせるために尽力してくれた雪ノ下さんに城廻先輩、

それと一色には悪いことをしちまったな。

でも俺が死ねばこの問題が明るみになって選挙はやり直しになるかも。

何だよ。俺が死んだら逆にいいこと尽くしじゃん。

葉山たち…はどうでもいいか。

最後に雪ノ下と由比ヶ浜…

今まで迷惑かけてすまなかったな。

けどこれでもう永遠にお別れだ。じゃあな…



少女A「待って…行かないで…!」


意外だった。

自殺しようとする俺を止めたのは雪ノ下でも由比ヶ浜でもない。

俺とろくに関わりのないヤツだなんて…

何で俺を助けてようとする?今の光景を見てなかったのか?

俺はこの通り無様に嘘告白されたんだぞ。



少女A「今のあなたは…人のために頑張ったのに…
誰からも理解されない…それをわかってあげられる人もいない…
身体も心も擦り切れてボロボロじゃない。」


少女A「もう我慢しないで…泣きたいなら思い切り泣いたらいい…
今のあなたをみっともないとか…惨めだなんて…誰も言わない…言わせない!」


少女A「比企谷くんは学校の嫌われ者でも最底辺の住人でもない。
あなたはこの学校で一番の心の優しい人です。
だから自分のことをこれ以上傷つけないで…」


少女A「あなたが傷つく姿を見るのは…私だってつらい…」


少女A「今あなたが自殺なんかしたら…
私だってあなたのあとを追って自殺しますよ…その自信があるから…グスッ…」


その子は涙ながらにそう語ってくれた。

何で俺のやったことを知っているんだよと疑問に思ったがまあそんなことどうでもいい。

おいおい…今そんな優しい言葉をかけられたら…

思わず信じちゃうぞ。そして惚れて…フラれるまである…



八幡「なぁ…何でアンタ…
俺なんかのために泣くんだよ…?俺は…アンタのことを何も知らないんだぞ…?」


少女A「あなたは…たぶん知らない…でも私はあなたを知っている…」


少女A「それはあなたにとってはほんのちっぽけな出来事だったのかもしれない。」


少女A「でもそのあなたの何気ない優しさに私は救われた。」


少女A「だから今度は私があなたを救いたい。」


少女A「お願い、私にあなたを救わせて。」


それは思いがけない言葉だった。

今の俺を救おうとする人がいるなんて…

それも俺とはろくに関わりのないヤツがだぞ。

目の前にいるこの子は俺と文実で一緒になっただけだ。

それなのにこんな俺を…

まだ信じていいのか…?

これだってひょっとしたらまた裏切られるだけかもしれないんだぞ。

それなら彼女が俺を掴んでいるこの左手を突き放したって…だがそれはできない。

彼女の手がそれを拒んでいる。

俺の手を離すまいと固く握り締めているからだ。


八幡「もう一度だけ…信じてみるか…」


俺は誰にも聞こえない声でそう呟きながら彼女の告白に応えた。



<6日目>


八幡「あぁ…恥ずかしい…何であんなこと言っちまったんだ…」


八幡「それも雪ノ下たちが見てる前で…」


八幡「うぅ…死にたい…今度はマジで…」


翌日、俺は一人きりの生徒会室で昨日の告白に応えたことを恥じていた。

あんな恥ずかしい真似よくやれたよなと…

もしもこれが嘘告白だったら…嫌だ何それ…ハチマンもう生きていけない…



八幡「つーかあいつ本当に来るのか…?」


八幡「もしも昨日の告白が嘘だったら…」


八幡「まあその時は仕方ないよな。」


あの告白を受けた後、俺はあの子にある返事を出した。


『もしも本当に俺のことが好きなら明日生徒会室へ来てくれ』


正直不安だ。

今度だけは本当に信じてみたかった。

これが嘘だったら俺は二度と人を信じることはできないはずだから…

だがその心配は杞憂に終わった。



少女A「失礼します…本当に一人なんだね…」


八幡「まあな、嫌われ者のぼっちが生徒会長になったんだから仕方ないだろ。」


まさか本当に来てくれるとは…


八幡「なぁ…今なら間に合うぞ…こんな面倒な男に付き合う必要はどこにもないしな…」


少女A「何を言ってるの?
昨日言ってくれましたよね。俺と付き合ってくれって。あれは嘘なんですか?」


八幡「あれは…嘘なんかじゃない…本心だ…けど本当に迷惑じゃないのか…?」


ここまで来てなんと疑り深いのかと我ながら嫌気が刺す。

これでこの子が諦めてくれるならそれもまた良しだが…

だがそれはちがった。



少女A「大丈夫だよ。昨日も言ったけど私はあなたの味方だから。」


少女A「私も比企谷くんのことが好き。」


少女A「だからお願い。あなたの隣に居させてください。」


八幡「オ…オゥ…わかった…」


八幡「いや、そうじゃないな。今日からよろしくな『 』。」


それが俺たちの出した答えだ。

一度は絶望した俺を救ってくれた『 』と互いに向き合いながら歩みだした。

こうして俺と『 』は付き合うことになった。



<1ヶ月後>


小町「zzz」


八幡「おい小町、頼むから起きてくれよ。」


少女A「このまま寝かせてあげようよ。起こしちゃ可哀想だよ。」


あれから1ヶ月が過ぎた。

今日は12月24日のクリスマスイブ。

海浜総合高校とのクリスマスイベントを終わらせた俺たち新生徒会は、

そのままサイゼで打ち上げパーティーを行った。

そして今は帰りの道中だ。

俺はいつの間にか寝てしまった小町をおんぶしながら『 』を家に送ろうとしていた。



八幡「あれからもう1ヶ月か。色々とあったよなぁ…」


少女A「そうだね…」


本当にこの1ヶ月は色々あった。

あの後、『 』が俺の居る生徒会入りをした後に三浦と海老名、

それに一色に相模までもが生徒会入りを果たした。

ついでになんか葉山が面倒事を起こしてたがそれはここでは語る必要はないな…



八幡「つーか優美子たちから聞いたが…
あの頃、俺が奉仕部を追い出されてから、
周りがやけに騒がしかったがまさか『 』が動いてたとはな…」


少女A「うん、でも全部うまくいったわけじゃないんだよ。
特に…修学旅行の件を話した後で葉山くんがまさか八幡を襲うなんて…
あの時はまだ周りからの葉山くんへの印象がよくて、
私が言ったことを先生たちが信じてくれなくて悔しかったんだから!」


八幡「まあ葉山にしてみりゃ俺を襲いたくなる気持ちもわからんでもないが…」


まさかあの時の呼び出しがそんなことだったとはな…

もし雪ノ下さんが一色の携帯に出なかったら、

俺はあの場を収拾するために何かしようとしたかも。

そしてさらに泥沼の深みに嵌っていたかもしれんな。

あの頃の俺ってまさに蚊帳の外だったからな。

主人公なのにこの扱いは酷い。ハチマン泣いちゃうよ…?



少女A「ねえ…もしかして…怒ってる…?」


八幡「はぁ?何でだよ?」


少女A「だって…私がやったことって…
八幡が頑張ってきたことを否定する行動だったかもしれないし…」


確かに『 』がやったことは俺が泥を被った行いを否定するものだ。

以前のぼっちをこじらせていた俺なら捻くれたことでも言ってたのかもしれない。

だが今はちがう。



八幡「いや、最初に間違えたのは俺の方だ…」


少女A「それは…どういうこと…?」


八幡「俺たち奉仕部はいつの頃か活動理念に反していた。
以前、雪ノ下さんにも言われたが
飢えた人に魚を取る方法を教えるはずがいつの間にか魚そのものを与えるようになっていた。」


少女A「でもそれには理由が…」


八幡「そうだな。
文化祭では雪ノ下の暴走から始まり、
修学旅行でもギリギリになって姫菜や葉山の意図に気づいた。
でも間違っていたんだ。あのやり方じゃ問題を解消できても解決はできないってな。」


そうだ。これは雪ノ下たちの責任だけじゃない。

俺は奉仕部の歪みに気づいていたはずだ。

それなのに俺はいつの間にかこの問題に目を背けていたんだ。

あの場所を…奉仕部を守るために…



八幡「いつまでも雪ノ下と由比ヶ浜から逃げているわけにもいかないよな。」


少女A「それ…どういうこと…?」


八幡「あの時、俺は逃げてしまった。
本当ならあいつらと向き合わなきゃいけないのに…
今じゃこうして道が違えてしまったしな。」


少女A「そのことを後悔してるの…?」


八幡「後悔は…してないといえば嘘になる…
けどそれでもこうして『 』とも出会えて俺自身も新たな居場所ができた。ありがとな。」


礼を言いながら俺は『 』の頭をポンッと撫でた。

甘えてくる小町にいつもやってることだがそれを『 』は気持ちいいのか受け入れている。

こんなこと雪ノ下たちにやったら間違いなく嫌がられるだろうな。

それだけは自信を持って言えるぞ。



少女A「でも向き合うのなら彼女たちから出向くべき。八幡はそこまですべきじゃないよ。」


八幡「何でそう言い切れるんだ?」


少女A「だって奉仕部は飢えた人に魚を与えるんじゃなくて魚の取り方を教えるんでしょ。
その理念ならこのまま八幡が雪ノ下さんたちのところへ行けば餌を与えるだけ。
まずはあの人たちから出向かないと、彼女たちと話し合うのはそれからだと思う。」


八幡「そうか、いやそうかもしれないな。」


確かに『 』の言う通りかもしれん。

あの日、1ヶ月前の嘘告白。

何であの二人があんなことをしたのか俺にはわからない。

けどあれのおかげで俺たち付き合うことになったからある意味結果オーライなんだが…

だがあれが俺と雪ノ下、由比ヶ浜の仲に決定的な亀裂が生じた。

もしもあいつらがそのことで俺に言いたいことがあるなら二人の方から出向くべきか。

その辺はもう少し落ち着いてから考えるか。



少女A「ところで八幡は本当にデリカシーがないですよね!
私だって女の子だよ!
彼女の前で他の女子の話をされたら怒りますからね!!」


八幡「あ、悪い。まだ彼氏としての振る舞いがわからなくて…」


気のせいか俺の背中で寝ている小町が、


『ムニャムニャ、お兄ちゃんポイント低いよzzz』


…と寝言を言っている気がする。

つーか小町これ実は起きてるだろ!



八幡「まあ…俺はこの通り節操のない男だ…けど…」


少女A「わかってる…そんな正直な八幡だから私は好きになったの…」


八幡「そっか…それじゃあ改めて…これからもよろしくな…」


俺は『 』の左手を掴むと再び歩き始めた。

その左手はかつて雪ノ下たちからの嘘告白の時に絶望した俺を掴んでくれた手だ。

そしてその左手には俺がクリスマスプレゼントに渡した指輪が輝いている。

確かに俺は奉仕部が好きだった。あそこは今でも俺の大切な居場所だ。

だがそれ以上に俺のことを大事に想ってくれる人ができた。

いつか雪ノ下と由比ヶ浜の二人と向き合わなければならない。

それでも今この時だけはこの幸せに浸っていたい。


end

これでこのssはおしまいです。
このssは八幡の視点から見たお話なので重要なことは前々作や前作と照らし合わせながら読んでみてください。
ちなみにいつに何があったかというと…

1日目:少女Aが奉仕部に依頼を持ち込む。

2日目:雪乃たちから事情を聞いた少女Aが2-Fに乗り込み文化祭での相模の怠慢を暴く

3日目:雪乃と結衣がサイゼではるのんたちと出会して八幡の近況を知る。

4日目:葉山グループを集めて少女Aが修学旅行の件を糾弾。葉山グループ解散。

5日目:八幡生徒会長就任。少女Aが雪乃と結衣を糾弾。
    その後雪乃たちによる八幡への嘘告白。そして少女Aと八幡が付き合うことに。

6日目:少女Aが生徒会にやってくる。ちなみにその後三浦と海老名も生徒会入り

1ヶ月後:クリスマスプレゼントで少女Aは八幡から指輪を受け取った。

以上が前々作や前作で起きていた出来事です。

それでは引き続き雪乃「比企谷くんを救うことになった。」finalの執筆に戻ります。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年03月31日 (木) 10:26:46   ID: n81V9CHQ

こうして見ると、改めて雪ノ下と由比ヶ浜がダメ人間であることが分かる
普通の人間なら、八幡が海老名に告白した後、「なぜ告白したのか」と八幡に質問するはずだからな
最近原作を読んでいないせいで、俺の中で原作のキャラが崩壊していってるな......

2 :  SS好きの774さん   2016年04月01日 (金) 04:08:04   ID: lNZjXHim

恋は盲目って言うからね、彼の人間性を考えればウラがあるなんてすぐ分かると思うがな。自覚があろうと無かろうと想い人のソレを見せつけられてカッとなったってとこかね。築いたものの崩壊は一瞬、虚しいね。

3 :  SS好きの774さん   2016年04月03日 (日) 02:57:09   ID: cq04NXbR

↑何言ってんの?
ゆきのんとがはまさんは気づいとるやろ、
「あなたの(やり方)嫌いだわ」
からの
「気持ち考えて」
だぞ?

4 :  SS好きの774さん   2016年04月03日 (日) 08:40:32   ID: MnFUViuX

※3
セリフの一部だけに触れないで、もう少し広い視野をもった方がいいよ
仮に、雪ノ下と由比ヶ浜が八幡の行動の目的について知っていたとしよう
戸部の気持ちを踏みにじったことと、中学校時代に告白して恥をかいた黒歴史があるため、嘘の告白だと分かっていてもやはり傷つく
その気分のときにそんなセリフを言われたら、言葉の裏まで読み取れる訳がない

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