サシャ「壁に穴のある街で」 (64)

・進撃のssです。

・昔書いた アニ「壁に穴のある街で」 の続きの設定です。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1459170193

私はうまく喋ることができません

故郷の訛りが強いこともありますが

元々がそうなんです

でもそれではいけません。もっと頑張らないと

世界は大変なんです

まあ、私が頑張ったところでなんてとは思いますが

それで少しでもみんなが良くなればいいです

サシャ「ちょっと教えてもらませんか?」

アニ「はっ?」

彼女はアニと言います

とてもとても優しいです

強くて優しいです

そういえば私達は何度も何度も間違えを確かめました

これが正解だと勘違いするほどです

サシャ「このワイヤー」

アニ「立体機動のワイヤーのこと?」

サシャ「ええ、なんで錆びないんですか?」

サシャ「鉄でできてますよね?」

アニ「違うよ」

最近は解らないことが増えてきて

アニ「知らないの?」

サシャ「はい」

どんどん聞いてます。なので

どんどん頭が良くなったらいいです

実はもうすごくいいかもしれないですが

アニ「前に習ったでしょ」

サシャ「はぁ?」

アニ「はぁ・・・」

サシャ「教えてくださいよー」

アニ「まったくなんで憶えてないの」

ミカサ「サシャを責めては駄目」

アニ「ミカサ」

ミカサはとても優秀です。優しくて強いです。

そうです。強さを持っています

ミカサ「解らないことは分からない。仕方ない」

サシャ「そうです」

アニ「そうです、じゃない」

ミカサ「なにが分からないの?」

私は説明をします。分からないことを

知らないことを、そればっかりです

ミカサ「まったくなんで憶えてないの」

アニ「それ私も言った」

サシャ「仲良しですね」

アニ「あっ」

ミカサ「うーん」

なぜか声に詰まっています

私は説明できませんが分かります

でもいろんな事がありましたから

仕方ないのかも知れません

どの位置に私と私達はいるのでしょう

始まりですか

真ん中くらいですか

それとも終りでしょうか

できれば

そのどれでもなくいられることはできるでしょうか

そう思えばそうなりますか?

ずっと知らないことは

もしかしたら知っていることと同じ気持ちになるかもです

どれも無理なことは知っていますが

アニ「錆びないといっても多少の手入れが必要なんだけどね」

アニ「このワイヤーには特殊な油が染み込んでいるんだ」

サシャ「えっそうなんですか」

アニ「そうなんだよ」

サシャ「そんなベトベトしませんし」

アニ「それは」

ミカサ「私が言う」

アニ「えっ?」

ミカサ「結構複雑な構造をしているから」

アニ「結構って?」

ミカサ「ちゃんと知ってる」

ミカサ「芯線という中心に束ねれた糸の束があり」

ミカサ「それを中心にしていくつもの糸が縒られている」

アニ「そして油があるのは芯線だね」

ミカサ「本来は潤滑と防錆の役割をする」

サシャ「へー初耳です」

アニ「だから」

ミカサ「初耳じゃない」

サシャ「すみません」

思い出せなかったことです

いつ私達は会いましたでしょうか

それは、私は思い出すことができます。

私には

私達には懐かしい場所でした

とても楽しい時間を思い出します

今も実はそうですよ

とても口に出しては言えませんが

だって

今この世界はどうでしょうか

壊れていますか?

壁に穴がたくさん開いていますから

そうはもうです

進行中です。侵攻中です

どんどん攻め込まれていってます

この街にも穴が開いていて

それは巨人にとっては

充分な大きさではありませんが

人類を追い詰めるには問題ありません

アニに聞きました

内地ではまだ頑張っているところもあるみたいです

ミカサにも聞きました

私達は頑張っていますが追い詰められているって

けど問題ないです。大丈夫って言ってくれます

前にも言ってくれた気がします

私とアニは兵団を脱走してここにいます

ミカサもここにいてくれます。それで充分じゃないですか

終る街の話です

アニがここに来た理由

ミカサがここに来た理由

私がここにいるのは

どうでしょうか。うまく答えられる自信が今はありません

私達がここにいる理由は答えられそうです

言いませんがきっと同じでしょう

サシャ「アニは星に願いをしてますか?」

以前聞いたことがあります

アニ「するわけないよ」

そう答えられたことがあります

ミカサにも聞いて

同じ答えをしていました

アニ「まずいね」

サシャ「ご飯ですか?あれっ今日アニが作ったのでは?」

アニ「ご飯のことしか言わないの?」

ミカサ「アニがご飯失敗した?」

アニ「乗ってくるな」

アニ「違うんだ。立体機動に使うガスがもう少なくなってきてる」

いままでは節約して使っていたことに加え

周囲にガスが落ちていてそれを使っていました

・・・落ちているというのはだから亡くなった兵団の方からもらいました

たくさんあったのです

そうすることでしか私達は生きていけませんから

それにも限界がきたようです。分かっていたことです

ミカサ「なら」

アニ「うん。立体機動が使えなくなる」

その結果が意味することは当然分かっているのでそれは誰も言いませんでした

冷静になって考えればもっと慌てなければいけないのでしょうけど

それよりも

サシャ「アニ!火が大変です!」

アニ「えっ?」

アニ「失敗した」

サシャ「ご飯が!ご飯が!」

ミカサ「これは大変なこと」

アニ「まだ食べれるよ」

サシャ「どうしましょうか?」

ミカサ「どのくらい残りがある?」

サシャ「何回かは持ちます」

アニ「いや早く食べないと」

サシャ「えっ?」

ミカサ「えっ?」

アニ「ご飯・・・じゃないね」

この食いしん坊って言ったら蹴られました

アニ「ミカサなにか知ってない?」

ミカサ「兵団に戻る?」

微笑むミカサが

アニ「まさか」

苦笑いのアニを見ます

サシャ「それはちょっと・・・」

アニと私はもう戻るところなんてありません

ここしかないんです

そんな人ばかりなんです

ミカサ「サシャ、お尻を掻いてないで」

サシャ「アニが蹴ったところを撫でているのですよ」

アニ「そんなに強く蹴ってない」

ミカサが溜息をつきました

ミカサ「補給所」

アニ「やっぱり」

サシャ「補給所があるんですか?」

ミカサ「ある」

アニ「確かあったよ。まあまあ近くにね」

サシャ「じゃっそこに行きましょう。すぐに」

アニ「行くしかないものね」

ミカサ「行くしかない」

サシャ「お弁当を持ちましょう」

アニ「持つよ。でも私がいままでそこに行かなかった理由も考えて」

サシャ「巨人がたくさんですか」

アニ「たっくさんだね」

サシャ「たっくさんですか」

山盛りの巨人をイメージします

ミカサ「楽しそうに言わない」

移動するのは夜で

夜は巨人の動きが鈍くなりますから

残酷な思いがいつも空中にありました

誰かがいなくなったら

私はここにいることを喜ぶことができました

そしてよく考えたら

どちらがいなくなったんでしょう

寝ながら考えたら夜になって

その破片がお腹のなかにあるみたいになってました

ボーっとしていると

アニ「起き立てのなんかの動物みたい」

ミカサ「ほんと」

サシャ「動物ですかー・・・なんかの」

アニ「寝るな」

今のほうが全然眠くて

目が覚めるときがいつも眠いんです

移動するのは夜で

アニ「眠そうにしない」

私も鈍くなります

私は弓を手にしていて

アニ「弓って要る?」

ミカサ「巨人には効果がない」

サシャ「だってもうブレードが少ないですから」

効かないでしょうけど、昔、もっと昔を思い出しますので

お守りです

サシャ「なぜ補給所にはたくさん巨人がいるのですかね」

アニ「・・・なんでだろうね」

アニ「いや違うね」

ミカサ「・・・かつてそこに多くの人がいたということ」

いまも、それを求めて巨人達がさまよっている

人が守りたかった、すがったところに

とミカサは言い。私は何も言えませんでした

アニも何も言いません

静かに移動します。いつもの夜のように

違うのは

ガチャガチャと矢が音を立てていることです

補給所です。この兵団の施設は

まだ、灯りが点けれるようです、点します

そしたら、散らかっています。ここは散らかっています

よく思い出す光景です。よく見た光景だからです

それはすごく憶えているんですが

簡単に破片が散らかります。どうしてですか

集めるのは難しいですし、治すことはできません

サシャ「どれを持っていきますか?」

立体機動用のガス容器のことです

ミカサ「今日はここにどれくらい残っているか確認するだけ」

ミカサ「でも邪魔にならないくらいならいい」

サシャ「そうですね?」

アニ「疑問で肯定するな」

アニ「一片に持って帰れないし、ここにあいつらがどれだけいるか把握しなきゃいけない」

アニ「それだけの理由だよ」

そのとき

アニのブレードが光って

ミカサが視界から消えます

私はなぜか笑います

巨人が現れました

勇気を私に下さい

なんて言うと力が湧いてきます

私が

出せなかったものでもありますが

怖くなんてないです。恐れないで下さい

なんて言葉を言うときに

嘘をいっています。だって怖いですから

それが悪いでしょうか?

怖いって思ってない人にそんなこと言われるより

怖いって思っている人が言ってしまったときの

勇気の強さを信じます

ですが怖いって思ってない人なんていないので

それのほうがより信じています

サシャ「どのくらい倒しました?」

アニ「たくさんだよ」

ミカサ「たっくさん、たっくさん」

アニ「あんたそれ言いたかったの?」

ミカサ「言いたかった」

アニ「うん」

サシャ「私はあまり・・・」

アニ「別に・・・怪我は無かった?」

サシャ「ありません」

ミカサ「少し休憩する。ねえサシャ」

サシャ「あっご飯ですね」

アニとミカサが私に気を使ってくれたのが分かってしまいます

サシャ「お弁当を食べて元気を出しましょう!」

アニ「・・・まあそうだね」

サシャ「遠慮しないでくださいよ。どうぞミカサ、アニ」

ミカサ「ありがとう」

サシャ「さあ食べてください」

ミカサ「あっ」

アニ「やっぱり」

サシャ「どうしたんです?」

アニ「立体機動を使うときにお弁当なんて」

ミカサ「持っているべきではない」

サシャ「おおぅ・・・」

胃の中にある状態でしょうか。これは

アニ「あとにしようか」

サシャ「たっ食べれますよお」

ミカサ「アニ・・・食べて」

アニ「理由を聞こうか、その冷たい目の理由も」

ミカサ「冷たい目とは失礼」

サシャ「はは・・・では私は2人が休憩なさっている間、別の場所を調べてみますね」

アニ「サシャちょっと!?」

サシャ「疲れていませんし」

サシャ「私、全然大丈夫ですよ」

私は2人に言いました

大きく手と足をふって歩きます

サシャ「ぜーんぜん大丈夫です」

私は1人になってから言いました

私は2人の足手まといなので

私が大丈夫でも、とくになにも変わらないのですが

きっとここはもう安全なはずです

だから1人でも大丈夫です

でも気をつけないと

私達これからどうなるんでしょうと

一人になると考えてしまいます

夢を見る前に見たものです

願った通りに夢を見られたらいいのにと思います

2人もそうならいいのにと思います

見たかった夢はどこに行ったのでしょう

届かなかったものはどこに行き着くのでしょう

届かなかった手は

届かなかった声と

怖いものに向かって

手も足も出なくなるような

気になってしまうのです

そんな夢を今日見ました

サシャ「ありました」

大きなガス容器と携帯用の容器もいくつかあって

手に触れる金属の冷たさを確かめました

これがあれば少しは楽ができますね

最近、みんなが疲れてきているのが分かります

それを見せないようにしているから尚更です

バレバレです

無理に笑っていて

私達が心からの笑顔になれなくても

もう少し、もう少しでいいんです

強くいたいんです

一緒にいたいんです

駄目になってしまったら変わることもできないなんて

そうではないと思いたいためにです

アニ「サシャいるの?」

サシャ「アニ!やりましたよ!」

アニ「バカ!」

サシャ「えっ?」

ミカサ「1人で勝手に行くなって言ってる」

アニ「そう」

ミカサ「心配したんだからともアニは言ってる」

アニ「ちょっと静かにしてくれる?」

サシャ「私達ずっと戦えます」

サシャ「どんどん戦っていきましょうよ」

サシャ「私もたくさん戦います」

アニ「私は・・・サシャにあんまり戦ってほしくない」

サシャ「でっでもミカサはどうなんです!?」

アニ「ミカサは別にいいの」

ミカサ(ひどいと思う)

サシャ「それは私が駄目だから弱いから足手まといで駄目で」

私の足が震えていて

アニ「違うよ」

なんでです?アニの声が震えています

私、ごめんなさいって言うんです

こんなことを言ってしまうことに、ごめんなさいって

ミカサ「何も言わないでいい」

サシャ「ミカサ」

みんながみんな心の中で

ごめんなさいって言っているときに

何を言えばいいでしょう

勇敢であれば

もう少し丈夫ならよかったです

もう少し勇敢ならよかったです

私もこの街も

こんな風にならなかったと思ってしまいます

こんなときに

静けさが保たれています

誰も話しません

どうしたら心が強くなりますか

怖さ、つらさに慣れたら強いってことですか

アニとミカサが言ったことがわかるようになったら答えがでますか

考えることは

どのくらいの気持ちでそれを言いましたか

どのくらいの気持ちの強さで言う事があったのでしょう

私は、はるか昔を思い出します

置いてきぼりになりました

したほうもされたほうも

何時なったかわからなくて

自然に

1人になっていました

悲しかったです。悲しいと思えなかったので

そのことほど1人になってしまったことを

感じずにはいられなくて

誰か嘘を言って下さい

信じますから

正しいことは信じられません

誰かが願って行動すればこの世界は変わったかもしれません

私がするべきことは何だったのでしょうか

誰も何もしなかったからでしょうか

誰か何かしてもこうだったのでしょうか

誰か何かしたからこうなのでしょうか

私なんかに分かるわけがありません

その3つの中からひとつ選べるとしたら

最初ですね。直感でそうです

その後に嫌な気持ちになるのです

私が選んだことはそうでした

誰かに助けを求めて、でも助けてはくれなくて

ずっと助からなくて

どうしたらいいのでしょう

そのままずっとだったら、強くなっちゃいます

かなしい強さを授かります

どんな言葉だって話します。聞いてください

バカにしてもいいです

いっそ全てを知ってしまったらいいと思います

その間際をためらいます

ミカサ「ここにあることは分かった」

ミカサ「邪魔にならない分だけ持ち帰ってまた、こよう」

アニ「そうしたほうがいいね」

アニ「サシャもいいよね」

サシャ「あっいいですよ」

私は言いたくて手が動いて

指で形を作りなんとか説明したいと思っていますが

掴めなくて

アニ「なにそれ」

全然伝えることができません

サシャ「でも、違うんです」

アニ「違うって?」

サシャ「違うんです」

アニ「だから何!?」

サシャ「違い・・・ます」

サシャ「アニ、私がこの街に来たのは」

アニ「それは前に聞いたよ。今話すこと?」

サシャ「目的は言ってません」

サシャ「最初の目的は」

サシャ「アニ、あなたを捕まえるためでした」

サシャ「でもご存知の通り、全然駄目でしたね」

サシャ「全然気付かなかったですよね?」

サシャ「その素振りさえ分からなかったはずです」

サシャ「だって初めからそんなことしてませんもん」

言い終わって直ぐに

巨人です

補給所の壁が壊されました

今度は誰もすぐには反応できませんでした

建物の壁を壊してくるなんて思わなかったからでしょうか?

それとも私の話のせいでしょうか

だったらこれは報いですかね

蹴破られた壁の破片が当たって

サシャ「いったいです」

そんな呑気な声を出している場合ではなくて

ちょっと足がやられたみたいで

とても痛いです

どうでもいいです

埃やらなにやらが舞い上がってよく見えませんが

アニとミカサはどこでしょう

どこですか

巨人がうっすら見えます

私はあなたなんて探していません

どこかに行って下さい

前が見えないんです

声に出して文句を言いたくなるのに

声を出したら気付かれてしまいますから出せないです

さっきまであんなに声を出したくなかったのに

土埃が収まってしまえば互いに見ることができます

巨人にとっても同じですから

それまでに全てを決めないと

2人なら私より全然平気かもしれませんし

でしたらどのくらい平気?

・・・考えても無駄です

私は頭が悪いです

ですから

思ったことをやります

会ったときから決めていたことです

トリガーを探ります

点けた灯りが落ちています

埃が星みたいに落ちています

その中で2人が見えました

まだ、立ち上がったばかりに見えます

怪我をしているのですか?

ああ・・・巨人も2人に反応しています

いつもこうなのです

勇気を出すのが全然遅くて情けなくなります

誰にも聞こえない声で


サシャ「私に勇気を下さい」

これからすることが最後になるかもです

震える中で放つ最後の一撃です

誰もかも震えていました

これが終ったら

手を掴んでもいいですか?

震えないために

または

一緒に震えるために

だってみんないつも震えていたじゃないですか

そんなの見たら何もできないですよ

それだけの理由です。充分です

私は言いたいです。勇気の出る言葉を

また会えたら

今度は

手負いの獣のように

最後の声を出すみたいに

サシャ「心配しないで!恐れないで!下さい!」

巨人が私を見ました

サシャ「くそったれです!私は負けません!」

サシャ「アニ!ミカサ!」

私は立体機動のアンカーを巨人に向かって打ちました

すごく邪魔です。だから巨人がこれを噛み切ろうとしているのはわかりますが

サシャ「このワイヤーが切れると思っているのですか?」

やってみろってはなしです

でもこれで私は飛べません

2人を少し助けることができたかもしれませんが

2人が駆けつけるより早く、私は

ミカサ「サシャ!」

サシャ「立体機動は使えますか!?」

ミカサ「使える!」

サシャ「それならここからでましょう!」

このまま私を見ないでただ、飛んでください

私、もう動かせません

ご飯を食べたいなと思いました。ねえ?

アニ「サシャ!」

サシャ「絶対に!大丈夫です!」

咄嗟に言ってしまって、これでは心配させるわけにはいきません

私は考えもせずに故郷の弓矢に火をつけて放ち

巨人の後ろにあるガス容器を打ち抜きます

サシャ「その光の方向を!」

サシャ「見て!」

サシャ「逃げてください!」

アンカーの音がして・・・逃げれたのですか?

やった。最後に2人の顔が見れました

サシャ「私達」

死んでしまいますか?

サシャ「きっと大丈夫ですよ」

爆発が起こって

私の体が引っ張られて

私の勇気とは関係なく

どこかへ行ってしまいます

それは立体機動のようでした

私が今日したことはなんでしょうか

意味はあったのでしょうかね

同じことだったのでしょう

言っても良かったんです

言わなくても良かったんでしょう

そういうのってわかってたんです

でも怖いのとかつらいのってずっとなくなりませんから

そういうときって

いつも言ってくれたんです

どんな言葉でしたっけ

思い出せないです

アニ「がんばってよ」

アニ「がんばって」

アニ「がんばらないと」

やっぱり私は馬鹿ですね

思い出せないくらい

いろんなことを言ってくれていたのです

サシャ「私を救ってくれてありがとうございます」

アニ「バカ」

サシャ「私達ボロボロですね」

アニ「知ってる」

サシャ「ええ」

アニ「動ける?」

サシャ「はいっ」

ミカサ「私が背負う」

アニ「うん。お願い」

サシャ「悪いです」

ミカサ「問題ない。アニより軽い」

アニ「ミカサよりずっと軽い」

アニ「あっサシャ」

サシャ「はい?」

アニ「火の矢から逃げろってちゃんと言ってよ」

サシャ「えっ?」

アニ「えっ?って」

ミカサ「アニの動き、遅かった」

アニ「だってさ・・・」

アニ「いや、またなんとかしないといけないね」

サシャ「すみません」

アニ「全然いいよ。ガスなんてどこかにあるよ」

ミカサ「今日私達がしたことは吹っ飛んだことだけ」

アニ「確かに」

サシャ「ははは」

アニ「笑うなって、いやいいけど」

笑ったせいか、お腹が痛いです

サシャ「いたた」

アニ「大丈夫?」

サシャ「ええ、でも手をつないで下さい」

アニ「いいけどさあ」

サシャ「ミカサも」

ミカサ「うん」

歩きにくくてすみません

私達全然、丈夫でも勇敢でもないですから

勇気をもらうんです

または

勇気を与えましょう

とれなくて

外れることもないでしょうから

好きにもらって与えて

私達の中に何があるのでしょう

綺麗なものや楽しいものでなくても

目の前にはあなたもいます

なんですか全部あるじゃないですか

アニ「他には何かある?」

サシャ「家に帰りましょう」

サシャ「私ゆっくりしたいです」

サシャ「私達友達になりましょう」

サシャ「今度こそなれますよね」

サシャ「私達が一緒にいればそれだけで」

サシャ「この世界に反抗したように思えるんです」

ミカサ「なにを」

アニ「・・・そう」

アニ「サシャ、私は今日星を見たよ。流れ星を」

ミカサ「私も、私も見た」

サシャ「えっ?いつですか」

アニ「教えない」

サシャ「ずるいですよ。私も見たかったです」

アニ「それはあんたの手から放たれたんだよ」

サシャ「えっ?」

アニ「2度と言わない」

サシャ「ミカサ、後で教えてください」

ミカサ「うん。でも大したこと言ってない」

アニ「おい」

張り詰めたワイヤーが切れる瞬間

ブレードが歪み破断してしまう瞬間

それは

私と

みんなが

見ていない瞬間に起こります

見てることが

2度と私達の目の前に

星が見えなくても

還ってこないものがあったとしても

いやそんなものはたくさんありますね

もう無くなったものの方がずっと多く

これからも増え続けていくことでしょう

それでも

ワイヤーの芯線のなかにある油のように

錆びることも消え去ることもなく残るはずです

遠くの昔に思ったことを

誰にも届かなかったことが

自分にさえも届かなかったことも

数え切れないほどに束ねられた絡まる糸が

柔らかく私の元にありますから

そうでしたら

こんな街だって全然いいです

そこには見えない星だってありますよ

ねえ、そうですよね

これで終りです。ありがとうございました。

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