モバP「まゆからお弁当を貰った」 (31)


P「しかも、手作りだぞ。手作り!」

渋谷凛「ふーん、良かったね。いつもはコンビニの出来合いだし」

P「ああ、これでお昼に冷えたメシを食べなくてすむ……」

凛「……お弁当も冷えてるんじゃない?」

P「人のぬくもりがあるんだよ!」

凛「言いたいことはわかるけど……」



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P「ところで、だ。手作りお弁当の差し入れ……これはあるんじゃないか」

凛「事件性?」

P「違う! 愛情、ラブ!」

凛「えー……それはちょっと、考え過ぎでしょ」

P「いやいや、親愛で差し入れるなら、手作りでもお菓子までだろう」

P「しかし、お弁当! これはもう、恋愛以外ありえない!」

凛「普段の感謝って線もあるよ。自分の分を作るついでなら、手間もないし」

P「さっきから水を差してくるな」

凛「客観的に意見を述べてるだけ」

P「ありすみたいなことを言って」



P「なら、中身を見てみよう。そうすればはっきりするはずだ」

凛「真犯人?」

P「どうしても警察を介入させたいようだな」

P「いいか、俺はまゆに自分の好物を話したことがある」

凛「……図々しい」

P「待て待て! 誤解だ。作ってもらおうと、俺から話したんじゃなくて、まゆから訊いてきたんだ」

P「ともかく、まゆは俺の好物を知ってる。それがこのお弁当に反映されていれば……」

凛「ついでじゃなくて、しっかり手間をかけて作ってある?」

P「その通り! つまりは愛情の証拠になるわけだ」



P「それでは、いざ、ご開帳!」

パカッ

P「から揚げ、ハンバーグ、きのこ炒め、煮玉子」

凛(茶色い)


P「――まさしく、俺の好物!」

凛「……ご飯にでんぶでハートマーク」

P「愛情だよなぁ!?」

凛「これは……そうかも」

P「ははは、いやぁ、照れるなぁ!」

凛「でも、浮かれてていいの?」

P「え?」

凛「アイドルとプロデューサーでしょ」

P「俺と凛?」

凛「まゆとプロデューサー」

P「……そうだった」


P「うわぁ、どうしよう……スキャンダルだよ」

凛「プロデューサーって、浮き沈みが激しいよね」

P「このお弁当、もはや告白だよな? 俺、なにかしら答えなきゃ駄目だよな?」

P「ええ……告白の断り方とか知らないよ……。いや、だからって付き合うのは」

凛「プロデューサー」

P「いや、別に嫌いじゃないよ。良い子だし。でも、歳とか、その前にアイドルだし」

凛「まだ告白って決まったわけじゃないから」

P「本当か!?」

凛「本当に、浮き沈みが激しいよね」



P「俺の気分じゃない。今は告白かどうかが大事だ」

凛「……お弁当の理由が、愛情かは分からないから」

P「え、いや、さっきはっきりしただろう」

凛「もしかしたら、まゆも同じ内容のお弁当を持ってるかも」

P「なるほど。まゆがお昼に食べたいものが、偶然俺の好物だったかもしれないのか!」

P「なんなら、まゆが気遣って、俺に合わせてくれたのかもしれないし」

P「ハートマークは、でんぶが余ったから使ったのかもしれない」

P「というか、そもそも渡すお弁当を間違えたのかもしれない」

P「本当は別に本命の相手がいたのかも――」

凛「きりがないからやめて」

P「はい」



凛「結局、お弁当の真意はまゆにしか分からないし、気にしなくていいんじゃないかな」

P「ううむ、それもそうか! ……実際、変に勘ぐったらまゆにも迷惑だしな」

凛「そうそう。気にせず、お昼に食べればいいよ」

P「よしよし、お昼が楽しみだなぁ!」

昼時

P「ふふふ、ようやく昼休憩だ。まゆの手作りお弁当を……」

「あれー、まゆちゃん。今日はお弁当じゃないの?」

P「ん?」もぐもぐ



佐久間まゆ「はい。今日はちょっと、時間がなかったから」

「寝坊した?」

まゆ「いえ、ちょっと……お弁当にこだわってしまって。うふ」

「えー、お弁当がないのに?」

まゆ「まゆの分じゃありませんからぁ」

「え、もしかして……まゆちゃんってば、大胆なんだ!」

まゆ「うふふ」



P「凛、凛はいるか!」

凛「……ご飯食べてる途中なんだけど」

P「すまん。だが、緊急事態だ!」

凛「とうとう捕まるの?」

P「凛は俺をどう認識してるんだ!?」

凛「十六歳のお弁当で騒ぐロリコン」

P「反論がしづらい……あ、そうだ。そのお弁当!」



P「あのお弁当、ついでじゃなかったんだよ!」

凛「どういうこと?」

P「まゆは自分のお弁当を作れないくらい、俺のお弁当に集中したらしいんだ」

P「こうなると、気にせずにはいらない。あのお弁当は愛情か?」

凛「それは……愛情かも」

P「だろう!? どうしよう、俺はもう、引退ライブの計画を立てた方がいいのか!?」

凛「プロデューサーって、意外と乗り気だよね」

P「できれば避けたいけど、まゆって可愛いし、良い子だし……」

凛「ふーん。プロデューサーはそれでいいの?」

P「え」



凛「軽い気持ちでまゆを受け入れていいの?」

P「それは――いや、駄目だ」

P「俺はまゆの傍にいたいんじゃない。裏で支えてやりたいだけだ」

P「それも一番近くじゃない。プロデューサーとして、一人のファンとして、アイドルのまゆを支えたい」

凛「……よかった。それじゃあ、すべきことは分かるよね?」

P「ああ、ありがとうな。凛」

まゆ「まゆがどうかしましたかぁ?」

P「あああああああ!」



まゆ「す、すみません。プロデューサーさんを驚かせるつもりはなかったんですよぉ……?」

まゆ「ただ、用事があって。その時、まゆを呼んでくれていたようでしたから……うふ」

P「い、いや、その、だな。あの、えっと」

凛「プロデューサー」

P「ん! まゆ、お弁当のことなんだが」

まゆ「はい。お口に合いましたかぁ?」

P「え、ああ、美味かったぞ。俺の好物ばかりだったし、嬉しかった」

まゆ「うふ、良かったです。プロデューサーさんのために作りましたから……」

P「そ、それはつまり」

まゆ「ええ、プロデューサーさんのことを想って」

P「――まゆ、そのことだが」



まゆ「そうだ、輝子ちゃんはいますかぁ?」

P「え……し、輝子?」

まゆ「はい。輝子ちゃんにもお弁当を作ってきたので、探してるんですけど」

P「ん、んん?」

凛「輝子なら、今はレッスン終わりでロッカールームにいると思うよ」

まゆ「あら、そうなんですか。ありがとう、凛ちゃん」

P「えーっと、まゆ。お弁当は、俺だけに作ったわけじゃ……?」

まゆ「そうですよぉ? 輝子ちゃんにはきのこを貰ったので、そのお礼」

P「あ、あー……そうなの。あは、あはは!」

P「二つも作れば、そりゃ時間がかかるよな。うん!」

まゆ「はい。まゆ、プロデューサーさんのために、しっかり作りましたからぁ……」

P「はっはっは、輝子のためでもあるだろう? まゆは良い子だなぁ」

まゆ「……はい。それでは、まゆはもう行きますね。休憩が終わるまでに、輝子ちゃんに渡さなきゃ」



凛「一件落着、だね」

P「……ああ」

凛「……なんで落ち込んでるの?」

P「いや、何もないなら、それはそれでがっかりというか」

凛「ロリコン」

P「いやいや、そうじゃなくて。そもそも、女子高生はロリじゃないって!」

凛「ふーん……じゃあ、恋愛対象なんだ?」

P「え、いや、あはは! お仕事しなくちゃ!」

凛「……まったく」



次の日

P「昨日のまゆのお弁当、美味かったなぁ」

P「今日はコンビニで買うか。はぁ……」

凛「プロデューサー」

P「おお、凛。おはよう」

凛「うん、おはよう。……これ」

P「おお? なんだかほのかに温かいな。なんだ?」

凛「お弁当」

P「え?」

凛「プロデューサーが好きな物、作ったから」

凛「あと、その……でんぶで、ハートマークも」

P「凛」

凛「感想……感想を、聞かせてね。それじゃ、レッスンあるから」

P「え、おい、ちょっと……」

P「……顔を真っ赤にして、手作りお弁当を渡す……これは、あるか?」

P「――誰か、誰かいるか!?」




                              おわり



おまけ

P「お、輝子。まゆのお弁当はどうだった?」

輝子「ああ、Pもまゆさんから貰ったんだよな……ふひひ」

輝子「美味しかった……きのこも、良い具合で」

P「だよな! 味もそうだが、見た目もでんぶでハートマークとか、なかなか凝ってたしな」

輝子「ハート……? なかったと思うけど……」

P「え?」

P「え!?」

           おわり

以上です。

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