晶葉「出来たぞ助手!」 (48)

博士がよく分からない物を作る話です。

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晶葉「――輿水幸子が『カワイイ』と言う度に、何らかの数字が変動する装置だ!」

装置『0.323211』カチッ

P「おおっ! カッコイイなこれ! あれだろ? ニキシー管ってやつだろ?」

晶葉「ふっふっふ……そうかそうか。助手もこの美しさが分かるか」

P「詳しくは知らないけど、何かロマンを感じるよ」

P「――で、この装置が何だって?」

晶葉「輿水幸子が『カワイイ』と言う度に、何らかの数字が変動する装置だ」

装置『0.323210』カチッ

装置『0.323209』カチッ

P「……」

P「何らかの数字って?」

晶葉「それは分からん。ついでに言うと、何故私がこんな装置を作ったのか、自分でも分からない」

晶葉「まあ、よくあることだ。はっはっは」

装置『0.323208』カチッ

装置『0.323207』カチッ

P(特に意味もなくよく分からない装置を作る晶葉が怖い……)

P(そして何より恐ろしいのが、今も3秒に1回のペースで『カワイイ』と言ってる幸子だ)

P(今、夜中の3時なんですけど……)

晶葉「できたぞ助手!」

晶葉「市原仁奈専用拠点防衛戦用NG(ぬいぐるみ)――サイコぴにゃこら太だ!」



仁奈inぬいぐるみ「コウ・○ラキの気持ちになるですよ」ゴウンゴウン



P「でけえよ! そして狭いよ!」

P「ぬいぐるみで研究室が完全に埋まってるじゃねーか!?」ギュウギュウ

P「つーか晶葉はどこにいんだよ!?」

晶葉「ふふふ……私なら、ぬいぐるみの下敷きになっている……」

晶葉「……た、たすけて」

P「大体拠点防衛って、何から防衛するんだよ」

晶葉「それは……ライバル事務所の襲撃、とか?」

P「この業界そこまで修羅の国じゃねーよ」

晶葉「ちなみに反撃の為に強襲用のNG(ぬいぐるみ)ぴにゃこらファーも開発したが……どうする?」

P「破棄してくれ」

晶葉「できたぞ助手!」

晶葉「どんな衣装にでも取り付けることができる『猫しっぽ』だ!」

P「どんな衣装にでも……?」

晶葉「ああ、取り付け部分が特殊な構造で出来ていて、取り付け先の素材が何であろうと簡単に装着できる」

晶葉「例えば今助手が着ているスーツにも」スチャ

P「おお、簡単に付いた!」ピタッ

P「しかも動いても全然取れない!」フリフリ

晶葉「……」

P「ど、どうした晶葉? 真っ青な顔で口を押さえて……体調でも悪いのか?」

晶葉「い、いや、すまない。いい歳した男が猫耳を生やして嬉しそうに尻を振ってる光景が思っていた以上にグロテスクで……うっぷ」

P「お前失礼過ぎんだろ」

晶葉「だ、だがこれで一部アイドル――主に前川みくの悩みが解決できるぞ」

P「確かに。みくの奴、よく『猫耳は簡単に付けられるけど、猫しっぽは大変にゃ』って言ってるもんな」

晶葉「……」

P「で、何でまた口を押さえんの? また気分が悪いのか?」

晶葉「い、いや違う……。助手の物真似が思っていた以上に酷くて笑いを堪えてるんだ……くくっ」

P「どちらにしろ失礼だな」

P「ん。そういえば今更疑問に思ったんだけど」

P「みくの猫しっぽって、今まではどうやって装着してたんだ? みくに聞いても『乙女の秘密にゃ!』って言って答えてくれないんだよ」

晶葉「そ、それは……」

晶葉「……」

晶葉「……い、言えない」カァァ

P「気になるなオイ!」

間違えました。

晶葉「い、いや、すまない。いい歳した男が猫耳を生やして嬉しそうに尻を振ってる光景が思っていた以上にグロテスクで……うっぷ」×

晶葉「い、いや、すまない。いい歳した男が猫しっぽを生やして嬉しそうに尻を振ってる光景が思っていた以上にグロテスクで……うっぷ」

晶葉「出来たぞ助手!」

晶葉「ストーカー発見装置だ!」

P「マジか! そのどこからどう見ても○ラゴンレーダーにしか見えない装置が……」

晶葉「そうだ。前々から助手に頼まれていた装置だ」

晶葉「この装置は周囲に存在しているストーカー粒子を発する人間を探知し、レーダー上に表示させることができるのだ」

P「サラッと謎の粒子が出てきたが……まあいい」

P「これでストーカー――まゆの居場所が特定できるってわけだな」

P「ストーカーされるのは慣れたからいいんだけど、何もない所から急に現れるのはマジで勘弁して欲しかったんだよな。正直、心臓に悪い」

P「冷蔵庫の中に潜んでたり、クローゼットの中で服と一緒に吊られてたり、amazonの配達員のフリして部屋に入ってきたり……行動が読めないんだよ」

P「これでその憂いから開放される」

晶葉「では、スイッチを入れるぞ」ポチッ

晶葉「この黒いレーダーに白い点が表示されるからな。それがストーカー――まゆの現在位置だ」



レーダー『起動中』ブゥン

レーダー『表示シマス』

レーダー『白が七分で黒が三分、いいか白が七分に黒が三分だ』

レーダー『絶 望 す る が い い』


P「……」

晶葉「……」

P「これ、壊れてるな」

晶葉「ああ、そうだな。完膚なきまでに壊れてるな。よし、廃棄だ」

P「オッケー晶葉!」ポイッ ガシャン

晶葉「ははは、天才の私でも失敗することはある。すまないな助手よ」

P「いいよいいよ。その代わりと言ったらアレなんだけど……今日、ここに泊まってっていい?」

晶葉「無理だ。私も命が惜しいからな」

ガタン

晶葉P「ひぃ!?」ギュッ

晶葉「出来たぞ助手!」

晶葉「性格が反転する薬だ! 星輝子から提供して貰ったキノコを元に作った」

P「ほう。名前から察するに、飲むと性格が反転するのか」

晶葉「その通りだ。とりあえず、美味しいお茶を罠に仕掛けて引っ掛かった――日野茜に飲んでもらったら」


茜「ボン……ハァァァァァ……」グッタリ

茜「あ、プロデューサー……私、もう帰りたいので、おんぶして下さい……はぁ」


晶葉「こうなった」

P「な、なんてやる気のないボンバーだ。そして走るのが大好きな茜がおんぶだと……!」

P「性格反転薬……本物だ!」

晶葉「もう少し実験したいから、犠牲……いや、モルモ……もとい協力者を確保してきてくれ」

P「オッケー晶葉!」

P「というわけで乃々を捕まえてきた」

乃々「ど、どういうことですか? こ、ここ晶葉さんの研究室ですよね? も、もりくぼ、プロデューサーさんが2人っきりで大切な話があるからって、ついてきたんですけど……!?」

晶葉「なるほど、森久保乃々か。実験対象としては、中々のデータが期待できそうだ」

乃々「実験!? 今、実験って聞こえたんですけど!?」

乃々「あ、あわわ……もりくぼの本能が囁いています……このままだといぢめられると……」ガタガタ

乃々「に、逃げなきゃ……!」ダッ

P「まあ落ち着け乃々」ガシッ

P「喉渇いてないか? この薬……いや、お茶でもどうだ?」

乃々「どう見ても怪しい色のお薬にしか見えないんですけど!? な、何か泡立ってるし、えげつない色ですし……そ、そんなグロテスクな物をもりくぼに突きつけないで……ひぃぃ……!」ムググ

乃々「ぜ、絶対に飲んでたまるかなんですけど……!」グググ

P「中々口を開けないな……。こうなったら口移しで……」

乃々「へっ」カァァ

P「今だ!」ガポッ

乃々「むぐっ、んぐっ……ごくん」

晶葉「さあ、どうなる」ワクワク

乃々「……」

乃々「……」

乃々「……っ」カッ

乃々「――無理なんてことは世の中には存在しないんですけど!」ガバッ

乃々「どんな事でも、その気になれば何だってやれます!」クワッ

乃々「もりくぼ――アイドルになりたいんですけど!」

P「もうなってるけど」

乃々「私、家に帰りたくないんですけど!」

晶葉「いかがわしいセリフみたいだな……」

乃々「もりくぼ、手羽先の関係者なんですけど!」

P「何言ってんだコイツ」

乃々「そうです……ポエム! もりくぼがせっせと書き溜めたポエムを、もっと色んな人に見て欲しいんですけど! もりくぼの秘めたる想い――届け皆の元へ!」カタカタカタ

P「ああ……凄い勢いでアップロードしてるよ……。普段の乃々からは考えられない行動だな」

晶葉「ああ。効果は上々といったところか」

P(そうだ。この薬をちひろさんに使えば、逆にこちらに貢いでくれるウルトラ天使になるのではないだろうか!?)

P(そうと決まれば――)


ちひろ(――そうと決まればなんですか?)


P(ち、ちひろさん……! 直接脳内に……!)

ちひろ(今、何か不届きなことを考えているような気がしたんですけど)

P(なんでもないです!)

ちひろ(そうですか。だったらいいんですけど。あんまり遊んでないで、ガチャを回しに来てくださいね)

ちひろ(感謝の100回ガチャ、まだ今日の分が72回残ってますからね)

P(は、はい……)

P「……」

P「う、うぅぅ……チクショウ……」ポロポロ

晶葉「出来たぞ助手!」

晶葉「その……なんだ。差し入れ、というやつだ」スッ

>おにぎり、卵焼き

P「これ晶葉が作ったのか?」

晶葉「そうだ。以前、私が徹夜をしていた時に助手が作ってくれただろう? それを真似して作ってみたんだ」

P「へー、ありがとう。凄い美味そうだな! 晶葉は凄いな。発明だけじゃくて、料理も出来るなんて」

晶葉「はっはっは、そうだろうそうだろう。もっと褒めるといい」

晶葉「……」

晶葉(しかし、柄にもなく料理などしてみたが……まさかここまで大変だとは思わなかった)

晶葉(本当は他のアイドルのように、弁当を作るつもりだったんだが……)

晶葉(今の私にはこれが精一杯だ。もう少し練習せねばな)

晶葉(それにしても、アイドルといい料理といい、発明以外の物に私がここまで夢中になるとは……)

晶葉(それもこれも全て……)

P「ん? どうした晶葉? 俺の顔に何か付いてるか?」

晶葉「……い、いや何でもない」カァァ

晶葉「出来たぞ助手!」

晶葉「当たった相手の頭上に残りの寿命が現れる光線銃だ!」

P「……」

晶葉「……た、大変な物を作ってしまった」フルフル

P「晶葉、お前罪深すぎんだろ……流石にヒクわ」

晶葉「や、やめてくれ! そんな目で私を見ないでくれ! 助手、キミだけは私をそんな目で見ないでくれ!」ギュッ

P「す、すまんつい……。と、とりあえずその恐ろしい銃は破棄しよう」

晶葉「あ、ああ、そうする。頼む、P……手が震えて力が入らない。私の代わりに破壊してくれ」

P「分かった」

P(一見するとおもちゃの光線銃にしか見えないが……)スチャッ

P「ん? この銃、引き金がないな」カマエ

晶葉「うむ。何となくオミットした。ちなみにグリップを握るだけで光線が発射されるぞ」

ズビビビビビビ

晶葉「このようにな」ビビビビビ

晶葉「……」

晶葉「うわあああああ! 撃たれたああああ!? し、死にたくない!」ガタガタ

P「お、落ち着け晶葉! 自分で作った発明品の効果を忘れるなよ!」

晶葉「そ、そうか。光線銃で撃たれるのは初めてだったからつい……」

晶葉「って、寿命!? そうだ、頭の上に寿命が――み、見ないぞ! 見てたまるか!」メフサギ

晶葉「ど、どうだP? 私の頭の上に……数字が出てるか?」

P「……」

P「確かに文字が出てるけど、これは……」

晶葉「ああ、いい! 言わないでくれ! 自分の寿命なんて知りたくない!」

P「いや、何ていうか、これって……」

P(アレだよな)

P(晶葉の頭の上に表示されているのは――∞)

P(∞……どういうことだ?)

P(つまり寿命が……)


■■■


P(その後、他のアイドルでも試してみたが、結果は変わらず)

P(全員が全員∞だった)

P(薫のような子供も、志乃さんのような大人も、菜々さんも……全員が等しく∞だった)

P(装置の故障だろうか)

P(だが、もしこれが真実だとしたら……)

P(つまり、これは……)

P(まさか……)

P(可能性として考えるなら……)

P(この世界は現実じゃ――)

ポン

P「え?」

ちひろ「……」ニコニコ

・・・・
・・・
・・

P「……あれ?」

ちひろ「どうしたましたプロデューサーさん?」

P「えっと、俺達、さっきまで何の話してましたっけ?」

ちひろ「別に、ただの雑談ですけど……どうしました?」

P「いや、何か、凄いことを悟ったような……そんな気が……」

ちひろ「ふふっ、何言ってるんですか。プロデューサーさん、疲れてるんですよ。さ、仕事しましょ」

P「は、はい」

ちひろ「……」

ちひろ「……ふふふ」

晶葉「出来たぞ助手!」

晶葉「わ、私達の子供だ……」サスサス

P「えっ」

晶葉「2人の愛の結晶というやつだな」

晶葉「助手よ」

晶葉「これからも、ずっと側で私を支えていて欲しい」

晶葉「……よろしく頼む」モジモジ

P「お、おう」

P「……」

P(反射的に頷いてしまったが、これでいいんだろうか)

P(そもそも俺達、キスまでしかしてないんだけど……)

晶葉「よ、呼び方も変えた方がいいかもしれんな! いつまでも助手ではどうかと思うしな!」

晶葉「だ、だーりんとか……」

晶葉「ないな! さ、流石にだーりんはないな!」バンバン

P(ただまあ……)



P(可愛いからいいか)






おしまい。


途中で

晶葉「出来たぞ! 森久保クローン装置だ!」

ってネタを入れようとしたんですが、かなり長くなったのでそっちは別で書きます。

お付き合い頂き、ありがとうございました。

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