津島善子「あ! リリー!」桜内梨子「へ?」 (33)

梨子「えーっと?」キョロキョロ

善子「あなたよあなた。ヨハネがデーモンネームを付けてあげたんだから感謝しなさい」フフン

梨子「で、デーモンネーム……?」

善子「ほら、ヨハネはヨハネでしょ? だからあなたはリリー!」

善子「折角同じユニットで活動することになったんだから仲良くしておこうと思って」

梨子「善子ちゃん……!」パアアアアアアア

善子「善子じゃなくてヨハネよ!」

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梨子「でもヨハネって呼ぶのはなんだか抵抗があるなぁ……」

善子「何も恥ずかしいことなんてないじゃない。ヨハネはヨハネなんだから」

梨子「うーん……。あ、じゃあこうしましょ」

梨子「よっちゃん、これならいいでしょ?」

善子「よ、よよ、よっちゃん!?」

梨子「ダメ、かな?」

善子「…………」

梨子「や、やっぱり嫌だった!?」

善子「そんな風に呼ばれたの初めてだから、少し恥ずかしくて」カアアアアアア

善子「いいわ、特別にヨハネのことをよっちゃんって呼ぶことを許可してあげる!」ニヤニヤ

梨子(かわいい)

善子「それでリリーはこんなところで何をしてたの?」

梨子「画材を買いに来てこれからお昼にしようかなって思って、よし――よっちゃんは?」

善子「むぅ」プクーッ

梨子「ど、どうしたの?」

善子「今善子って言いかけた」ムスッ

梨子「あ、ごめんね。気をつけるから!」

善子「堕天使のヨハネが善い子の善子ーだなんて有り得ないんだから!」

梨子「あはは……」

善子「ヨハネはただ当てもなくブラブラしてたの」

梨子「当てもなく、一人で?」

善子「そ。なんかイベントとかやってないかなーとか、不思議なこととかないかなーとか」

善子「あ、それで。午後に駅前でアイドルのイベントがあるみたいなんだけど、一緒にどう?」

梨子「アイドルの、イベント……?」

善子「えぇ、ヨハネたちもアイドルなわけだし見学!」

梨子「うーん……。アイドルかー……」

善子「ユニットの方向性の参考になるかも! 決まりね!」

梨子「え、私は行くって言ってな――」

善子「そうと決まれば早速腹ごしらえね! 行くわよ!」グイッ

梨子「ちょ、ちょっと! よっちゃん!」

――

梨子「はあ、はあ……」

善子「ついたわ!」

梨子「え、海……?」

善子「千本浜よ、ヨハネはいつも休日はここでお昼を食べるの」

梨子「綺麗」ポーッ

善子「でしょ? ヨハネの特等席なんだから!」

善子「はい、サンドウィッチ」

梨子「へ? これよっちゃんが作ったの?」

善子「そうよ。ヨハネにかかればこんなものよ」フフン

梨子「……。変なもの入ってない?」

善子「どういう意味よ!」

梨子「よっちゃんだったら何か入れそうかなって」

善子「食べ物で遊ぶようなことはしないわよ!」

梨子「よっちゃんってそういうところはきっちりしてるんだね」ニコニコ

善子「食べ物で遊ぶなんて堕天使の名が廃るわ!」

善子「いいから食べてみてよ」

梨子「うん。じゃあいただきます。はむっ」

善子「ど、どう?」ソワソワ

梨子「……。おいしい!」

善子「! でしょ?」フフン

梨子「私ね、実はサンドイッチが好きなんだ」

梨子「よっちゃんのサンドイッチすっごくおいしい!」

善子「それはそうよ。ヨハネの愛がたーっぷり詰まってるんだから!」

梨子「そ、そうなんだ」カアアアアアアア

善子「? 何を顔赤くしてるのよ」

善子「あっ! ヨハネの魅力に気付いちゃったのね? 同性でさえ魅了しちゃうなんて! ヨハネったらなんて罪な女なの?」

梨子「あ、ううん。別に深い意味はないの!」

梨子「ただね、なんだかよっちゃんのさっきの言い方って、恋人みたいだなって思ったらなんだか照れちゃって」アハハ

善子「恋人!?」カアアアアアアアア

善子「べ、べべ、別にヨハネはそんなつもりで言ったんじゃなくて! カンパニーはカンパニーなんだから!」アセアセ

梨子「…………」ニコニコ

善子「……。何よその微笑ましいものをみるような目!」

梨子(かわいい)

善子「い、いいから食べるわよ! 余ったらもったいないんだから! はむっ!」

梨子「あ、そういえばよっちゃん」

善子「ふぇ?」モグモグ

梨子「善子って名前あんまり好きじゃないの?」

梨子「なんだか善子って呼ばれるの嫌がってるみたいだし」

善子「んくっ。それはそうよ、堕天使なのに善い子の善子だなんて恰好つかないじゃない」

善子「ヨハネは生まれながらにしてヨハネだけど!」

梨子「そっか。実は私もね、あんまりこの名前好きじゃないんだ」エヘヘ

善子「なんで?」

梨子「梨子の梨ってなしって読むでしょ? だから小学校の頃なしこなしこってからかわれて」

梨子「それが結構嫌だったんだ」アハハ

梨子「あれって、とんび?」

善子「そうよ! あぁっ! もう神様に妬まれた美貌の堕天使はつらいわー」クネクネ

梨子「あ、あはは」

梨子「あ、よっちゃんの分なくなっちゃったね。私の食べかけでよければ……」

善子「! いいの?」

梨子「元々よっちゃんが作ってきてくれたものだし」

善子「ど、どうしてもっていうならもらってあげてもいいわよ?」

梨子「じゃあ、あーん」スッ

善子「あーん、もぐもぐ」

梨子「ふふっ」

善子「なによ?」

梨子「よっちゃんって普段はあれだけどよく話してみるといい子だなって思って」

善子「い、いい子じゃないわよ! ヨハネは堕天使なんだから!」

梨子「あ、そっか」クスクス

善子「で、でもありがとう」プイッ

――――
――


善子「なるほど、あれが無名とはいえ本物のアイドルなのね」

善子「ダンスも歌も相当練習してる様子だし」ブツブツ

梨子「……。すごいね」

善子「そうね、やっぱり本物は――」

梨子「そうじゃなくてよっちゃん。アイドルに対する気持ちが私とは全然違うな、って」

善子「まあね。アイドルは好きだから」

善子「そういえばリリーって音ノ木坂から転校してきたのよね?」

梨子「? うん、そうだけど」

善子「音ノ木坂といえば、あれよね? μ's」

梨子「あぁ、うん。私とは直接接点はないけど」

善子「やっぱり音ノ木坂ってスクールアイドル活動はすごいの?」

梨子「うん、μ'sに憧れて入ってくる子も多いから」

善子「リリーはそうじゃなかったの?」

梨子「ここにくるまであんまりスクールアイドルとか興味なかったし」

梨子「それに地味な私がスクールアイドルなんて絶対ないと思ってたけど、千歌ちゃんにどうしてもって言われちゃって断りきれなくて」アハハ

善子「ふーん」ジロジロ

梨子「な、なに?」

善子「リリーって素材はいいのに自分で地味とか決めつけるのよね」

善子「アイドルに必要なものは自信よ。自信を持ちなさい、リリーは可愛いんだから!」

善子「まあ、ヨハネの次に、だけど」フフン

梨子「自信を持てって言われても――」

善子「この神が嫉妬する美少女、ヨハネが認めてるんだから!」

梨子「うーん……」

善子「……。いいわ、教えてあげる」

善子「あなたがいかに魅力的な女の子なのか、直接教えてあげる!」グイッ

梨子「ちょ、ちょっとよっちゃん!?」

――――
――


梨子「あ、あのよっちゃん?」

善子「あ、着替え終わった?」

梨子「一応着替えたけど……」

善子「それじゃあ出てきなさいよ」

梨子「で、でもこれ恥ずかしい――」

善子「何よ、ヨハネが見繕った服が嫌だっていうの?」ムスッ

梨子「そ、そうじゃなくて! こんな服今まで着たことなかったから……」

善子「いいから! 出てきなさい!」グイッ

梨子「きゃっ!」

梨子「う、うぅ……」モジモジ

善子「…………」ポケーッ

梨子「やっぱり、変、だよね……?」

善子「ううん! 予想以上よ!」

梨子「予想以上に変ってこと?」

善子「逆よ、ゴシック系が似合うとは思ったけどこんなに似合うなんて!」

梨子「え?」

善子「こっちの服も着てみて!あ、こっちも!」

梨子「え? え?」

――――
――


梨子「はぁ……」

善子「? 大きなため息ついてどうしたの?」

梨子「あんなにいろんな服着たの初めてだから疲れちゃって……」

善子「そうなの?」

梨子「よっちゃんはお洒落好きなの?」

善子「当然! ヨハネだって堕天使である以前に女の子だし!」

善子「リリーだって磨けばいくらでも綺麗になるってわかったでしょ?」

梨子「うーん……。でもやっぱりあぁいう服はよっちゃんの方が似合いそうだと思うな」

善子「ま、まあ? ヨハネに似合わないものなんてないけど?」ニコニコ

善子「そうだ、リリー。次はカラオケ行きましょう!」

梨子「カラオケ?」

善子「そう、アイドルたるものやっぱり歌も大事だし!」

梨子「うーん、私は遠慮――」

善子「いくわよ、リリー!」グイッ

梨子「あぁっ! ちょっと!」

善子「割引券あるから、ね?」

梨子「ちょっと! よっちゃん!」

――――
――


梨子(よっちゃんに強引に連れてこられたけど――)

善子「愛してるばんざーい♪」

梨子(よっちゃん、すごく歌上手だな)

善子「昨日に手をふって♪ ほら前向いてー♪」

善子「どう? どうだった!?」

梨子「聴き入っちゃった、よっちゃん上手だね!」

善子「まあ堕天使たるもの歌で全国のリトルデーモンたちを魅了しないとだからね!」

善子「はい、リリーの番!」

梨子「え、わ、私はまだいいよ」

善子「いいから歌うの!」

梨子「で、でも私下手だよ?」

善子「それはヨハネが聞いて判断するわ」

梨子「じゃ、じゃあ恥ずかしいけど……」

梨子「――ち、近づいた足音、君ならいいのに」

善子「……」

梨子「違うって、違うって知ってるけどー」

善子「…………」スッ

梨子「寄り添って――え?」
善子「寄り添って歩いて♪」

善子「歌って」

梨子「う、うん」

間奏中

善子「ねえ、リリー」

梨子「な、なに?」

善子「リリーって歌うことは嫌い?」

梨子「え? 嫌いじゃないけど――」

善子「じゃあ自信をもって。綺麗な声してるし全然音ははずれてないわ」

善子「楽しんで歌うことが大切なの。音を楽しむって書いて音楽」

善子「目一杯楽しまなきゃ損よ」ニコッ

梨子「っ!」ドキッ

梨子「窓にきらめく♪」

善子「……っ!」ニコッ

――

梨子「同じ気持ちで駆けてくるー♪」

梨子「……ふぅ」

善子「リリー! よかったわ!」

梨子「よっちゃん! ありがとう!」

梨子「よっちゃんに言われて、歌ってみたらすっごく楽しかった!」

善子「それが音楽なんだから! これからは自信をもって、ね?」

善子「さて、次の曲は――」

梨子「あ、ねえよっちゃん」

善子「へ?」

梨子「次、よっちゃんと一緒に歌いたいんだけど」

善子「っ! いいわ、特別に、このヨハネが一緒に歌ってあげる」

梨子「うん、ありがとう。よっちゃん」


――
――――

翌日

善子「それでね、その時ヨハネが――」

ルビィ「えー!? 善子ちゃんすごい!」

花丸「すごいずら!」

善子「善子じゃなくてヨハネね」

梨子「あ、よっちゃん!」フリフリ

まるびぃ「よっちゃん?」

善子「リリー、昨日は色々付き合わせて悪かったわね」

梨子「ううん、私も楽しかったから」

花丸「2人とも仲がいいんだね」

善子「ヨハネとリリーは切っても切れない仲なのよ!」フフン

梨子「ちょ、ちょっとよっちゃん!」

ルビィ「き、切っても切れない仲……?」カアアアアアア

花丸「2人はそういう関係ずら……?」

梨子「違うの! ただ昨日一緒に遊んだだけで――」

花丸「隠さなくてもいいずら。マルはそういうのに偏見とかないから」

梨子「隠してるわけじゃなくって!」

善子「はぁ……。カラオケで、気持ちよかったわー」

善子「また一緒に行きましょ、リリー」

ルビィ「か、カラオケで!?」ドキドキ

花丸「進んでるずら」ドキドキ

梨子「よっちゃんはなんでそう紛らわしいこと言うの!?」

善子「?」キョトン

おわり

読み返してて気づいたけど>>7>>8の間抜けてた

善子「愛は最高のスパイスなんだから!」

梨子「ふふ」クスッ

善子「な、なによ?」

梨子「ううん、よっちゃんって普段堕天使だとか悪魔だとか言ってるけどそういうことも言うんだなって」ニコニコ

善子「だ、堕天使だからこそ愛は必要なの!」

善子「それを食べた以上リリーもヨハネのカンパニーなんだから!」

梨子「それってお友達っていうこと?」

善子「友達なんて生易しいものじゃないわ。いわば運命共同体、ヨハネとリリーは切っても切れない仲になったってことよ」

ヨハりこはお互いをあだ名で呼んでるし可能性感じるよね!
ヨハネ様本当にかわいい!

>>9>>11の間も抜けてた、申し訳ない

善子「……」

善子「リリーはリリーじゃない」

梨子「へ?」

善子「ヨハネにとってあなたはリリーなのよ」

善子「リリーはリリーであってなしこじゃないわ」

善子「どう間違ってもなしこなんて趣味の悪い名前じゃないわ」

梨子「よっちゃん……」ウルウル

善子「な、何潤んだ目で見てるのよ! ふんっ!」プイッ

梨子「あっ、よっちゃん! 危ない!」

とんび「」シュバッ

善子「何――あぁっ! ちょっと! ヨハネのサンドウィッチ返しなさいよ!」

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