男「捨て艦娘」 不知火「ぬいぬい」 (55)

やったぞ!駅まで行ったものの大雨と強風で電車はストップ!

会社に電話したら「あ、じゃあ別に君はもう来なくて良いよ」なんてお許しも出た。

きっと日頃の行いと実績から有給の許しが出たに違いない!

帰ったらパソコンに保存している艦娘フォルダが火を噴くぜ!ひゃっはぁー!!

ああ!艦娘艦娘艦娘艦娘!可愛いよ艦娘!一度で良いから生で見てみたい!


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男「大雨で人はいない街中サイコー!待っててくれよ~!俺の艦娘たち!ひゅうう!」

不知火「……」ポケ~

男「……えっ?」

あ、あれ?あの子確か……間違いない、艦娘だ!艦娘マニアの俺が言うんだから間違いない!

確か携帯のフォルダにも……あった!写真は小さいけど

え?どうして艦娘がこんな所に?艦娘と言えば超極秘裏に造られて出撃以外は鎮守府から絶対に出てこない筈。

ましてや街中に1人でいるなんてありえないのに。

鎮守府の周辺も立ち入り禁止で出撃の時は戦闘に備え付近の海域も空域立ち入り禁止。

ごく稀にネット上でどこから撮ったのか小さい写真が上がるくらいなのに……

男「……」ごくり

不知火「…………」

どうする?話しかけるか?こんなチャンス滅多に無いぞ。

でも大丈夫かな。国家機密みたいな艦娘に一般人の俺が話し掛けたりして……

不知火「そこの方、先ほどからジロジロと……不知火に何かご用ですか……?」

男「ほひょふっ!?」

男「あ、ああ、あの、いいいう、いや、こんな大雨なのに傘もささないでどうしたのかなってデュフフwww」

不知火「……」

男「き、きみ、艦娘だよね?」

不知火「はい。もう捨てられてしまいましたが」

捨てられた?艦娘が!?

艦娘と言えば見た目は普通の女の子でも、建造に必要な資源や資材は莫大な量になるって聞いたことがある。

あくまで噂話程度だけど、出来た戦艦や駆逐艦に妖精が命を吹き込んで艦娘になるとか、最初から最後まで全て妖精が艦娘を作るとか……

そんな貴重な艦娘を捨てるなんてあり得るんだろうか?

いや、待てよ。そう言えば潤沢な資源がある鎮守府では面倒だからと解体して資源にする事もせず

近代化改修に使ったと大本営に偽ってその辺に捨てる事もあるとかなんとかセンテンススプリングに書かれてたな……

でも知ってる人間や同じ艦娘オタクの仲間内でも艦娘を拾ったなんて聞いたことないし……

不知火「……っくしゅ」

男「ああっ!か、かか、傘かそうか?」

不知火「大丈夫です」

男「捨てられたんだよね……雨強いし良かったらうち来る?」

不知火「はい」

なんて事だ、上手くいってしまった。

これは凄い事だ。道端で艦娘を拾うなんて、婆さんが川で洗濯してたらイージス艦や原子力空母を拾ったようなもんだぞ。

あれ?でもよく考えたら艦娘ってあくまでも兵器なんだよな。

それを持ち歩くって事は……銃刀法違反!?しかも拳銃なんてやわなもんじゃないぞ!

もし家出で捜索願いとか出されてたら駆逐艦を誘拐?少女誘拐?銃刀法違反の男が少女誘拐!?これヤバイやつだ

艦娘を拾った人間がいないのは捨てられた艦娘がいないんじゃなくて、拾った人間が組織に消されたから!?

やっぱり手放した方が……

不知火「不知火です。ご指導ご鞭撻、よろしくです」

うん、この子と少しでも過ごせるなら犯罪だって構わないか

不知火「手袋までビショビショですね」ヌギィヌギィ

くっ、女の子がビショビショって言うだけで興奮してしまう!

男「もっとこっちに寄りなよ。濡れちゃうからあああいややましい気持ちは無くてね!」

不知火「けっこうです」

おうふ……

不知火「ビショビショに濡れた不知火があまりそちらによるとあなたが濡れてしまいますから」

ビショビショに濡れた不知火ちゃん……!!

不知火「はぁ……」フラフラ

男「だ、大丈夫?」

不知火「すみません。命を授かってから何も食べていなくて……空腹から上手く体が動かないようです」

不知火「どうぞ不知火には気を使わず先に行ってください」

俺の家を知らないのに俺が先に行ったら不知火ちゃんは絶対たどり着けないじゃないか……と言うのは野暮なのだろうか。

もしかしてこの子、意外とおっちょこちょいと言うか、抜けた所あるのかな。

不知火「なんですか?不知火に落ち度でも?」

その事に気付いていないなんて不知火ちゃんは落ち度かわいいな。

男「じゃあ引っ張ってあげるから手を繋ごうか」

不知火「よろしくお願いします」

キタ!本当は抱っことかおんぶしたかったけど手を繋ぐにして大正解!抱っことかは俺の服が濡れるって気を遣って断りそうだし!

不知火「ですが殿方ならば男らしく抱き抱えるくらいの器量と体力が必要ですよ」

ちくしょう!しくじった!!

不知火「ではエスコートをお願いします」スッ

男「よーし、任せてくれ!」

モミモミ…スリスリモミモミムニムニクニクニ……

不知火ちゃんの手は濡れていたけどすべすべで柔らかくて気持ち良かった。

しかしそれ以上に気になったのは手の冷たさ。まるで冷えた鉄を触ってるみたいに冷たい。

艦娘と言うのは鉄とか出来てるみたいだし、冷たい生き物?なのか。

艦娘は好きだけどまだまだ謎だらけの所が多い。少しづつでも色々知れたらいいな。

男「そうだ、不知火ちゃんは好きなものとかあるの?」

不知火「武道一般水羊羹です」

30レス程で終わる予定です

男「ここだよ。さぁ遠慮せず上がって」

不知火「失礼します」

案外すんなり家までこれたな。艦娘マニアにでも見つかったらどうしようと思ったけど

とりあえずタオルを貸してあげないと。その前にシャワーか?でも艦娘ってお風呂に入るのかな?

防水的な意味では艦な訳だし大丈夫だろうけど、お湯が入っちゃまずい所とかあっ

不知火「あの、シャワーをお借りしても宜しいでしょうか」

男「シャワー?艦娘ってシャワーとか大丈夫?お湯だけど」

不知火「艦娘はお風呂が大好きですから」

そうなのか。それは新しい発見だ。艦娘はお風呂が大好き、と。

不知火「ちなみに食べるのも大好きです」グギュルルルル…

男「そういえばお腹ぺこぺこだったね。お風呂入ってる間に何か探しておくよ」

不知火「よろしくお願いします」パタン

カップ麺が確か棚にあったな。ラーメンとか食べれば良いけど。

そうだ、服がビショビショだったし着替え貸してあげないと。

適当なトレーナーと、下着は……下着はさすがに無いな。くそっ、何故俺は女児用の縞パンを持っていないんだ!

不知火「すみません。服が乾くまでの着替えとタオルを貸していただきたいのですが」ヌイッ

男「」

不知火「あの、不知火の顔に何か付いていますか……?」

何も付いてない……いや、何も着てない。ありがたやありがたや……

俺は今猛烈にワクワクしている。

何故ならこれからノーブラで俺のトレーナーを着て不知火ちゃんが出てくるからだ。

お湯を入れるだけのラーメンは準備した。使用済みトレーナーを入れる宝物入れも用意した。

下着はとりあえずトランクスを置いといたけど……まぁジャージ置いといたし許してくれるだろう

不知火「お風呂お先にいただきました」ホクホク

出てきた出てきた!ああああ!髪を下ろした不知火ちゃんも可愛い!トレーナーとジャージとか言うダラけたファッションも最高!

不知火「では食事にしましょうか。あとコレはゴワゴワして落ち着かなかったのでお返ししておきます」

ト、トト、トランクス。という事は、ジャージの下は!いやいや、その前にゴワゴワして落ち着かなかったって

一度穿いてる!?た、たた、宝物入れに!早く!!

フフフ、家宝にしなくちゃ。

バリバリバリバリ

不知火「これはなかなか歯ごたえがありますね」

男「ちょちょちょちょ!ダメダメ!それはお湯をかけないと!」

不知火「……」カァァ…

さすがに照れてる。可愛い

男「こうやってお湯を注いで、3分待つ」

不知火「さ、3分ですか……」

不知火「……」ギュルルルルルル…

男「……」

不知火「そろそろでしょうか」

男「うん、まだ30秒経ってないからね」

不知火「フゥー……フゥー……」ギュルルルルル

凄い眼光だ。この子は本当に駆逐艦なんだろうか?今なら何でも食べてしまいそうな気がする。ん?何でも?

男「不知火ちゃん、口さみしいなら俺の……指でも咥えてる?」

不知火「はい、いただきます」チュパチュパチュパペロペロペロ

想像以上の吸引力……!というか躊躇なくしゃぶり始めたな!

男「よーし、3分たったよ」

不知火「んっ……」チュパッ…

なんかもう指先がシワシワにふやけてしまった。気持ちよかった

不知火「これが完成したカップ麺……なるほど。素晴らしい香り、味ですね」ズルズル

男「気に入ったみたいで良かったよ。俺も食べようかな」

不知火「そちらはスープが白いのですね。ごちそうさまでした」

男「こっちは豚骨スープだからね。え?もう食べたの?」

不知火「とんこつ?ですか……」ヌイヌイ…

すっごいピッタリ引っ付いてきた……めちゃくちゃカップ麺に鼻を近づけてる……

不知火「すんすん……、なるほど……」

あああ、もう鼻がスープに付く寸前じゃ無いか。これではとても食えないな。

男「これも食べたいのかな……?」

不知火「ぜひ」

男「じゃあ一口だけね」

不知火「ありがとうございます」

ズルルルルルルル…ズルルッ…ズルルルッッ…ゴクン!

不知火「ごちそうさまでした」

しまった!この子の吸引力を侮っていた……!全部いかれた!

触られるだけで絶頂する全身性感帯の長波

不知火「…………」無

艦娘は無表情がデフォなんだろうか?

不知火ちゃんが艦娘はお風呂や食事が好きって言ってたあたり、そういう感情は持ち合わせてるみたいだけど。

いかんせん表情がかたいと言うか、まったくの無表情なんだよな。

今は真剣にお笑い番組を見てるみたいだけど無表情だし……

男「この番組面白い?」

不知火「ユニーク」

本当に感情はあるんだろうか

男「不知火ちゃん、喜怒哀楽って知ってる?」

不知火「知っています。喜び、怒り、悲しみ、楽しみですね」

男「そうそう。不知火ちゃんも喜怒哀楽ってあるの?」

不知火「あると思いますが」

やっぱりあるんだ。にしてもクスリとも笑わないな……

男「ちょっと喜怒哀楽ゲームやってみようか!」

不知火「喜怒哀楽ゲーム……ですか?」

男「難しい事じゃないよ。喜怒哀楽を順に想像してみるだけだから」

不知火「別にかまいませんが」





男「じゃあまずは喜怒哀楽の喜!」

不知火「…………」無

な、なんだ……まったく楽しそうじゃ無いぞ……?これが喜なのか?

男「変化は見られないけど……ちなみに何を想像してるのかな……?」

不知火「あなたに拾われた時の事を思い出していました。私の生きてきた中ではそれが一番の喜びでしたから」

不知火ちゃん……!なんて良い子!

男「じゃあ次は喜怒哀楽の怒!」

不知火「…………」無

これが怒ってる顔か……まったく違いがわからんが

男「ちなみに今は何を?」

不知火「あなたが何者かに攻撃されたのを想像しました」

ああ、俺が殴られたりしたのを想像しと怒ってくれてたのか。やっぱり良い子だな。

男「では続きまして喜怒哀楽の哀!」

不知火「……」無

まぁもう驚かないけどね。やっぱり変わりなしだ。

男「何を考えてるのかな?」

不知火「攻撃を受けたあなたが死んだので埋めています」

思いのほか重症だった。

しかし最後の楽でメイクミラクルな結末が待ってるに違いない。

男「最後は喜怒哀楽の楽!」

不知火「…………フフッ」ニャッ

笑った!なんかニヒルな笑顔だったけど確かに笑った!

男「いったいどんな事を考えてたのかな!?」

不知火「ラーメンが出来上がるまでの3分間は悲しみや苦しみもありますが楽しみが一番大きいですからね」

俺関連は喜怒哀楽の哀で終わりか……

不知火「……」ウトウト…

なんだか眠そうだな。きっと長い事雨の中1人で立ち尽くしてたんだろう。

お風呂であったまってお腹もいっぱいになれば眠くもなるか。

コトッ…

男「ほあっ!?」

こ、これは、あの有名な女の子が肩に寄り掛かってくるアレか!

男「ね、ねね、眠くなっちゃった?」

不知火「不知火……休憩はいります……」

男「ベッドあるから使って良いよ」

不知火「はい。ありがとうございます」

まさか俺のベッドに女の子が寝る日が来るなんて!でも……

不知火「…………zzz」

何故だろう。何となく予感がするだけの筈なのに、言い切れる程に確信している事がある。

俺が寝て次に目が覚めた時、不知火ちゃんはここにはもう居なくて……ベッドには畳まれた服だけが残っているだろう。

直感?第六感?何て言うのか分からないけどハッキリとそう言い切れる。

まだ昼前だ。寝なければ良い。なのにどうして

まるで何か変な力でそうなるように仕向けられているのか急激な眠気が俺を襲ってきた。

俺が知った事なんて、艦娘は冷えた鉄の様に冷たい身体をしている事くらいで……いや待てよ。そう言えばさっき寄り添ってきた時……

俺「……」ピト…

不知火「んっ……」

やっぱり暖かい。最初に冷たく感じたのは雨で身体が冷えていただけなんだな。

艦娘の身体は人間と同じ様に暖かいなんて事を知ってる一般人なんてそうそう居ないぞ。

あと艦娘はお風呂と食べる事が好きでカップ麺は二個食べる。艦娘にも喜怒哀楽はある。

そう思うと一緒にいた時間は短かったけどそれなりには艦娘の事、知れたかな?

ああ、でもやっぱりもっと知りたかったな。艦娘の事……

もう限界だ。眠い……

短い間だったけど楽しかったよ。ありがとう不知火ちゃん

男「おやすみ……」パタン…

…………

……

数時間後、目が覚めた俺は分かっていた筈なのに飛び起きてベッドの上を確認した。

不知火「スヤァ……」

そこには普通にスヤスヤ眠っている不知火ちゃんがいた。

嬉しさよりも、予感がする、確信、第六感が!なんて思ってた自分が恥ずかしくて俺は顔を隠したままうずくまった。

不知火「おはようございます。……何をしているんですか?」

男「今恥ずかしさのあまりうずくまってる所……」

目が覚めたら不知火ちゃんは居なくなっているとか、俺は自分が思ってた事を全て不知火ちゃんに話した。

不知火「そんな事ですか。大丈夫ですよ。不知火はあなたを見捨てて何処かに行ったりなんてしませんから」

男「ほんとに?ずっと一緒にいてくれる?」

不知火「はい。もうあなたを1人にしたりしませんよ」

男「不知火ちゃん……!」

なんかいつの間にか立場が逆転していた。

男「よし!じゃあ昼飯にしようか!」

不知火「はい」

男「不知火ちゃんは何を食べたい?」

不知火「その前に、その不知火ちゃんと言うのは止めていただけませんか?」

ああ、そうか。不知火ちゃんもお年頃のレディ。ちゃん付けなんて子供扱いされてるみたいで嫌なんだろう。

不知火「これからもずっと一緒に暮らして行くんです。遠慮はいりません」

男「わかったよ。よろしくな、不知」

不知火「不知火の事は気軽にぬいぬいと呼んでください」

男「よろしく!ぬいぬい!」



終わり

数年後、人間と艦娘でも受精して出産できる事を知る男であった。

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