女「弱いな」男「なんだ?」(43)

女(手ごたえない、つまらん)

男(10人か……一撃もくらわず全員倒すとか人なのか?)

女「そこの奴、出てこないのか?」

男(俺?)

男「いや、出てくるも何もあんたの後ろに立ってるだけだが」

女「そうか、で?」

男「やらないから。コンビニ帰りの学生まで襲おうとするな」

女「すまん」


書き溜めとかないオナニー小説なので閲覧注意


男「謝られてもな……」

女「でもお前強そうだな」

男「いや、かなわないから。ほんとにそこで伸びてるの一人でやったならな」

女「なるほど、かなわないのか。つまらん」

男「挑発、だったんだけどな」

女「では、帰るかな」

男「おい、こいつらどうすんだ?」

女「……まだ生きてるなら構う必要もない」

男「……」

女「ではな」

男「ちょっと待て」

女「なぜ? これから飯を作る予定があるんだが」

男「一つ応えてくれ、なんでこんなことをする?」

女「向こうから来るから払う。毎度毎度面倒だ。もう少し骨があるやつならいい物を」

女「たとえばお前みたいのが千人ほどいたらな、楽しいだろう」

男「千人いないと勝てないって言いたいのか?」

女「千人いないと勝つ見込みもないって言った」

男「その制服、中学のだろ? さすがに高校生にそれはないだろ」

女「年功序列?」

男「好きじゃないが教育させてもらう」

男「年長者として。あとまぁ興味があるから」

女「興味とな」

女「私もあるぞ」

女「だから簡単に沈まんでくれ」

男「はいはい、お願いしますよ!」

女「……上段回し蹴り、コンビネーションで後3回。顔腹顔顔」

男「3回は無理。2回だって」

男(全部かわすか。一発くらい入ってくれてもよかったんだけど)

男「やる気あんの?」

女「いや、遅すぎてな。しかし、場馴れしてるのか?」

男「不幸な星の下に生まれたもんでな」

女「一対一が苦手のようで。大振りな攻撃してると体力尽きるぞ」

男(……)

男(なにからなにまでご存知ですか)

男「ぜってー一発入れる!」

女「いや、倒せよ」

男「そこまで過信してないっての!」

女「いやいや、右左って殴るだけじゃ当たらないよ」

男「ら!」

女「!」

男「!?」

女「っと」

女「ショルダータックルですか」

女「まぁ足掛けて転がされるよね」

女「せめて掛ける足を踏み砕くぐらいしなさい」

男「踏み砕かれていいのか」

女「弱い私が悪い」

男「スパルタだな。親の顔が見てみたい」

女「仏壇に飾ってある」

男「……」

女「みたいならうちに来るか?」

男「いや、流せ」

女「ん、でいつまで寝てるつもりだ?」

男「……」

男「一応言っておく。勝てる気がしない」

女「ふむ」

男「でだ、殴るのはしのびないと思ってた」

女「紳士だな」

男「よく言われる。でもその考えは捨てる」

男「当たっても謝らん」

男「勝つ気で行く」

女「いいぞ、全力で潰す」

男(はやっ! とストレート!?)

男(反らせない!)

女「腕、もらう」

男(いてぇし掴まれ――)

男(引――)

男「……」

女「まだ一撃だぞ。目を開けろ」

男「!」

女「ふん!」

男「いって!」

男(いてぇ……)

男(けど!)

男「一発!」 スカ

女「頭突きに頭突きは予想済みだろ」

女「首、もらい」

男「……」

男「」

女「……生きてるか」

男「あ、あぁ」

女「一応うちに連れてきといた」

男「……」

男(いてぇ……)

女「加減したからな、死んでない」

男「……」

男「最後……何した?」

女「首に手刀」

男「……その前から詳しく」

女「右で殴って、カバーした左手を掴んで、足踏んで、掴んだ手を下に引っ張って姿勢をかがませて左で顎抜いた」

男「……で頭突きして、し返したのが外れて空いた首に一発、か」

女「いや、頭突きはよかったぞうん」

男「予想通り、だろ」

女「ガッツはあった」

男「ありがと」

女「しかし、やはり男は頑丈だな」

男「そうか……」

女「折る気でいったのにまだ首つながってるしな」

男「……」

女「いや、すごいな」

男「……」

男「折る気、かよ」

女「?」

女「不服か?」

男「……」

男「殺そうとするなよ」

地の文ないと描写が……


女「?」

女「……そうか、首取れたら死ぬのか」

男「死ぬだろ」

女「いや、喧嘩で死ぬとか想像つかない」

男「……」

女「生きてたしいいだろ、うん。それだけ本気ださせたということだ」

男「適当な……」

女「まだ文句言うのか」

女「仕方ない」

女「飯をやろう!」

男「……いや、いらん」

女「何故?」


男「帰らせてもらう」

女「な、もう立ち上がれるのか?」

男「あ、あぁ。いけるだ……ろ?」 ドタ

女「……埃立った」

男「すまない」

女「はい、飯」

男「すまない」

男「……」

女「どうした?」

男(なんだ、これ)

女「……肉を凝視して変な奴」

女「いただきます」

男「……」

男(間違いなく肉だな)

男(しかし、肉の塊?)

女「ふーんふん」

男(なんて言えばいいのか……キャベツ型の肉だな) チラッ

女「ふーんふーんにくにく」 ザクザク

男(包丁ってああ使うのか……)

男「」 ザクザク

男「」 ザクザク

男(この音何?)

男(中は……)

男「」

女「どうした?」 ムチャムチャ

男「一つ聴こう。何だこれは?」

女「飯だ」

男「……どうやって作った?」

女「自分でも作ってみたくなったか? だが無理だな!」

男「とりあえず作り方を教えろ」

女「簡単だ。豆腐と野菜と挽肉と卵とつなぎを練ってボール状にしてまわりにバラ肉を貼って外の鍋で煮込む。今日はコンソメ味だ」

男「だからか」

女「なにが?」

男「見た目、特に断面の色が酷い」

女「なに!? 今日はもやしと大根とキャベツとパプリカだぞ!」

男「パプリカいらないだろ……」

女「安かった」

男「そうか……」 パク

男「味は、いいな」

女「大した行程踏んでないし、いつもこれだしな」

男「いつもこれか……」

女「三食な」

男「……飽きないのか?」

女「コンソメ、和風だし、照り焼き風、焼き肉のたれ、中華だし、チゲ風、塩、おでん風、チーズ、カレー――」

男「わかった、わかった」

男「確かに栄養は取れてるんだろう」

女「きのこがあればなおよし」

男「……」 パクパク

男「ふぅ……」

女「ごちそうさま」

男「ん、ごちそうさまでした」

女「やはり肉玉はうまいな」

男「あれ肉玉っていうのか」

女「ほかに名前のつけようがないしな」

男「もうアレで伝わりそうだけどな」

女「しかし」

女「ひとりで4合も飯食べるとは遠慮というものはしらんのな」

男「いや、それは」

女「いいいい。男だからな、それくらい食うのは知ってる」

男(肉玉が大きすぎるんだよ)

男「でも食い過ぎた」

女「そうか、私はまだいけるがな」

男「……」

男(こいつも4合食ってたのに)

男「その栄養はあんまり体につかないのな」

女「ほぼ燃えてなくなるからな」

女「筋肉付かなくてやってられんよ」

男「あ、あぁ……」

男(馬鹿、なのか?)

男(いや、馬鹿なんだな)

女「さて私はこれから風呂だがどうする?」

男「どうするも何も帰らせてもらう。ほんとに体調も回復したしな」

女「なんだ泊まっていかないのか」

男「……なんでだ?」

女「お前が強いからだ」

女「私よりは弱いけどな」

男「ごめん、意味わからない」

女「強い奴だからダチで家族だ」

男「……うーん。うんと、つまり俺が強いと認められたからダチに、家族になる権利があって、泊まっていってもいいってことか?」

女「おう、強いからな」

男「そうか、そうなのか」

女「ちなみにお前で4人目だ!」

男「お前みたいなのがあと3人もいるのか……」

女「いや簡単にくたばらなさそうないい奴らが3人だ。まぁどいつもお前より強いんじゃないのか?」

男「あぁ、俺格闘技とかやってないしな」

女「ん? 誰もやってないぞ?」

男「……なにもやってなくてそれだけかよ」

女「あぁ、あえて言うなら経験だな。負けると思えなければ勝てるしな」

男「それで勝てたら苦労しないだろ」

女「だが私は勝つ」

男「はぁ、お前ならいけるよ」

女「あぁ」

男「さて話を戻して風呂なんだが」

女「ん? 一緒に入るか?」

男「……冗談?」

女「うーん、本気? 冗談とかよくわからんが別に普通だろ?」

男「中学生ならもう一人で入れるだろ」

女「背中が届かん」

男「うそ」

女「まぁ嘘だけど」

女「楽しいほうがいいだろ? ダチは皆一緒に入るぞ?」

男「……一ついいか? そのダチって女だよな?」

女「いや二人は男」

男「よし通報する。その人らの住所と名前教えてくれ」

女「いや、知らん」

男「……」

女「変な顔すんな。仕方ないだろ、興味無いんだから」

男「興味ないって、そんなにほいほい他人を家にあげ――」

男「――られてる本人がいってもしょうがない、か」

女「あ、でも二人とも何してるかは知ってるぞ? 長官は警察で、禿げはまだ山に籠ってると思う」

女「長官には警察署行けば簡単に会えるが、禿げは無理だな。修行中だし、邪魔できん」

女「あと、昼間は長官忙しいから駄目って言ってたな。まぁこっちも学校だから行かないが」

男「……色々言いたいところはあるが無視するぞ」

女「はっはっは。気さくな奴しかいないから退屈せんよ。もし会ったら喧嘩してみるといいんじゃないか?」

男「喧嘩しないで生きていけないのか?」

女「面白いからな」

女「と、まぁ風呂行くか」

男「俺は行かないぞ?」

女「……あれか。恥ずかしいのか?」

男「……お前は恥ずかしくないのか?」

女「愚問だな」

男「愚問だったな」

女「まあいい、じゃあ私の後な。一番風呂は譲らんから」

男「ああ、いってこい」

男「……ふむ、なんとなしに風呂までいることになったが、これからどうするか」

男(本当の家族、はいないっていってたな)

男(一人暮らしにしてはでかい家だし)

男(……)

男「あっ」

男「明日、学校どうするか……」

男(その前にここどこだ?)

男「ふぅ」

女「お、上がったな」

女「ほれ」

男「牛乳……ありがとな」

女「あぁ」

男「」ポン

男「」ゴクゴク

女「あっ」

男「ん?」

女「なんでお前服そのまんまなんだ?」

男「あ、あぁもう帰るからな」

女「なんだ帰るのか。じゃあな」

男「あぁ、だけどここどこだ?」

女「どこって市内だ」

男「いや、市内って言われてもな」

男「あの喧嘩してたところまでの地図書けるか?」

女「地図? んなもんいらねぇよ」

女「家の前の道下って行けば県道に出るからそしたら右で進んで国道に出る」

男「ん? じゃあかなり近いな」

女「あぁ、5分だ」

男「わかった。風呂と飯ありがとな」

女「いやいい。またこいな」

男「おう」

男「……」

男「……」

男「……」

男「……」 ダダッ

男「……」 ダッダッ

男「? あれが県道か?」

男「……」

男「ここか。はぁ……」

キーンコーン

男「……」

?「おう」

男「……ん」

?「どうした?」

男「あぁ友か。いや、なんでもない」

友「ふーん、そんな感じにゃ見えんけど」

男「……2キロって5分で走れるか?」

友「……えっとキロ150秒だろ? 100メートル15秒か。まぁいけるんじゃないか?」

男「だよな」

男(中学生女子が人一人担いでってことは加味しないでおくとなんだけどな)

男「まぁなんだ。終わり」

友「ふーん」

友「しかし今日も握り飯3つですか? 肉くえよー肉」

男「……昨日さんざん食った」

友「あら、貧乏学生気分にはもう飽きたのですか、そうですか」

男「いや昨日は晩飯余所で食ったんだ」

友「……親父さんとこ?」

男「いや、あいつはあんなもんくわねぇな」

友「牛丼とかっすか?」

男「いや肉玉」

友「? お好み焼きかなんか?」

男「煮込み料理、らしいぞ。本人いわく」

友「って誰かと一緒なんだ! 珍しいな、おい」

男「……確かに」

友「女か、女なのか?」

男「ああ」

友「うわーなにそれ。朴念仁のくせしてやることやってますな。でどこの女社長?」

男「いや、中学生」

友「え……」

男「ん、そうだ。ここらへんでやばい奴って誰か知らないか?」

友「お前」

男「ではなく、そうだな、やたら喧嘩が強いとかそんな感じで」

友「えーっといることにはいるけど、どうした? 今度は自分から吹っかけたくなったのか?」

男「んな野蛮な人間じゃない」

友「よく言うよ。御曹司ってだけで寄ってきた奴ら全員ぼこぼこにしてるくせに」

男「金目的で近づく奴らなんかアイツより最低だよ。それに一応忠告はしてる」

友「いや、そんなだから目、つけられるんでしょうに」

男「……」

友「まぁいいや。で、喧嘩強い奴ね。……ここらへんだとやっぱりt商の3年の奴らだろうな」

男「……t商?」

友「いや、知らんの? 隣町にある商業高校だけど」

男「……いや」

友「受験、ってあったよな?」

男「そりゃ高校入ってるしな」

友「だったら知ってろよ。ここらへんじゃそことここと、もういっこt工しかないぞ?」

男「いや、先生に近場でいいとこって言って紹介してもらったのがここだったから」

友「飲み屋じゃねぇよ!」

男「学校だな」

友「……で、話戻すとそのt商の奴らはまぁ馬鹿だからな。やーさんとの繋がりもあるみたいだし何するかわかんねぇよ」

男「ふーん」

友「興味なさそうだな」

男「所詮は学生だしな。それに一人だけ名前が立ってるなら別として集まりだろ? ただのチンピラと何が違う?」

友「……ま、まぁただのチンピラなんだけど」

友「学生抜きでもいいならさっき言ったヤクザだろ。最近来たばっかだけど派手にやってるらしい」

男「聴いたことない」

友「……実は最近メンバーがめっきり減ったらしくてあんまり活動してないんだと」

男「? 最近来たんだろ? なんで最近人数減ったんだ?」

友「さぁな。噂だと変な2人組にやられたとか」

男「誰だ? それ」

友「いや、噂だしな。なんか禿げとスーツきた男って話がぽっと出て消えた」

男「……へぇ」

友「ん? 噂だぞ? 異色すぎんだろ、だいたい」

男「そんなもんかもしれないけどな。他には?」

友「うーん……ない」

友「もともとくわしくないんだよ、そういうの。人づてにちょっと聞くぐらいだし」

男「そうか……」

友「まぁ別方面でやばいのならいるけどな」

男「?」

友「あれだよ、体売ってるとかいう中学生。どこだか忘れたけどいるらしいぜ? 学校にも行かず、たまに来たと思ったら制服ぼろぼろだったり生傷あったり。親もいないで山奥に一人住んでるらしいし、相当アブノーマルなことまでさせられてんだろうなぁ」

男「……本当か?」

友「知らん、噂だっての。だけどいろんな奴に追っかけられてるって目撃が多数あるってことは知ってる」

男「そうか……」

友「あら、こういう話題は嫌いだった?」

男「いや、噂は噂だ」

友「ま、そうだな。もともとそういう精神も肉体も逝っちゃってるやつが多い土地柄なんだよ」

男「?」

友「中学で越してきたお前は知らないだろうけど毎年結構行方不明者多いんだぜ? 神隠しだなんだ言われてるけど。未だに山のほうはそういう祀りやってるしな」

男「そう、なのか」

友「信心深くないなら関わらんことだな」

男「……」

キーンコーン

男「……」 ザワザワザワザワ

男「……」 ザワザワ……

男「……」 ザワ…

男「……?」

男「帰るか」



男「ただいま」 ……

男「さて、今日は何するか……」

男「家事するのもあれだしな」

男「……弱い、かぁ」

男「まぁ弱いよな。知ってる」

男「強く……」

男「……そういう意味で強くなりたいってわけじゃなかったんだが」

男「……」

男「あー!」

男(全身に電流が走ってるかのようだ)

男(むずかゆい。歯がゆい)

男(ただ座っている事ですらもどかしく感じる)

男「楽しい、んだな」

男「あんな化け物じみた、底の知れない生き物と会えた事がとてつもない快感なんだ」

男「アホだな」 コンコン

男「? だれか、来たな」

男「はい、ちょっと待ってください」

?「いや、入らせてもらう」

男「!?」

?「すまないな。とりあえず何も言わずについてこい」

?「面倒は嫌いだ。君のお父さんも同じことを言うだろ?」

男「……」

男(……やるか?)

?「あぁ、決して私に牙をむこうなどと考えないことだ」

?「不躾なのは理解している。だがそれが許されるほど君と私の差はあるということだよ」

?「例えるなら、君と師匠、いや多分また自分の名前を言ってないだろうな、昨日負けたあの少女程の埋め尽くせない差は開いているよ」

男「!?」

男(あの子の事を知っている……スーツ姿の男ってことは)

男「あんた、長官か?」

?「ん? ほう、珍しい。師匠が人の名前を言うとは」

長官「御名答。仮に私のことをあの禿げと言ったら迷わず射殺していたところだ」

長官「運がいい。そこは誇っていいぞ」

男「……」

男「……ふぅ」

長官「ふむ。ちょうどよく気も抜けたところで結論を聴こう」

長官「ついてきてくれるかね?」

ブーン

長官「しかし急にすまないね」

男「いえ、別に。暇でしたし」

長官「それはもったいない」

男「?」

長官「まだ若いんだ。暇という言葉を紡ぐくらいならもっと生産的な行動に出るべきだと思うがね」

男「はぁ」

長官「まだ大人になってないからわからんと思うが社会というのは暇を見つけるのが酷く難しい。かくいう私も自分の興味を優先したいがためにこのような行動に出ているわけだが」

男「?」

長官「まぁすぐにわかるさ」

長官「と、そう言えば聞いていなかったな」

長官「君は師匠に何人集まれば勝てると言われた?」

男「……」

長官「……おぉ、師匠というのは昨日あった少女の事だよ。彼女に家族と認められた奴はそう呼ぶ。決まりはないから好きに呼ぶといい」

男「……千人です」

長官「ほう……これはまずいな」

男「? なにがですか?」

長官「なに、私は五千人いれば勝てるだろうと言われたよ。それも3年前だ。当時としては小学生に歯が立たなかったというだけでショックだったけどね」

男「あーいえ、千人いれば勝つ見込みすらないと言われたので勝てる確証はないです」

長官「いや、師匠は嘘は言わない。今は弱くともそれなりに見込みがあるという意味だろう」

男「はぁ」

長官「さてそろそろ着くか」

男「……どこに向かっているんですか?」

長官「まぁ気にするな」

長官「ただ一つだけ言うなら覚悟だけはしておけ」

男「……」

キュ……

長官「ついたぞ」

男「……ここは?」

長官「ふむ。旧中央病院。もっというなら廃病院だな」

長官「もともと国立病院だけあって土地は政府の物だが競売に出しても買い手が無く放置されている」

男「そんなところにどうして?」

長官「なに、こんな広い無人の建物というのは総じてはきだめとなるのさ」

長官「ガキがさかるだけならこちらとしても手を下す必要はないんだが、最近外からきたクズどもが集まるようでな」

長官「あれほど遊んでやったというのにまだ足りないらしいからな、灸でも据えてやろうと思っただけさ」

男「何者ですか?」

長官「私か? なに、しがない地方警察の署長だよ。何故か師匠からは長官と呼ばれているがね」

男「そう、ですか」

長官「そうだ、そんなことはどうでもいいんだ。とりあえずはただ新人の力量を見に来たついでだからな」

男「ついではそっちですか」

長官「所詮は残党だ、気分なんぞ盛り上がらんよ」

長官「さて話はここまで。早くしないと増援がくるかもしれん」

男「増援ですか……」

長官「あぁ」

長官「熊、のようなやつがな」

長官『とりあえず左から制圧していってくれ』

男(頼まれたはいいが一人か)

男(一体何をしているんだか)

長官『そうそう。ないと思うが負けたら逃げてくれよ? もし万が一にも死んで師匠を悲しませるようなことがあったらすべてが消えると思え』

男「……」

男「脅しとしては微妙だな」

男(しかし暗いし汚いしで最悪だな。臭いもひどい)

男(適当にパイプだけ拾っておいたが、人数によっては邪魔になるか……)

男「……」

男(一階に物音無し)

男(二階に行くか)

パンパン……

男「!?」

男(発砲音?)

男(敵……よりは長官の可能性が高いか)

長官『とりあえず左から制圧していってくれ』

男(頼まれたはいいが一人か)

男(一体何をしているんだか)

長官『そうそう。ないと思うが負けたら逃げてくれよ? もし万が一にも死んで師匠を悲しませるようなことがあったらすべてが消えると思え』

男「……」

男「脅しとしては微妙だな」

男(しかし暗いし汚いしで最悪だな。臭いもひどい)

男(適当にパイプだけ拾っておいたが、人数によっては邪魔になるか……)

男「……」

男(一階に物音無し)

男(二階に行くか)

パンパン……

男「!?」

男(発砲音?)

男(敵……よりは長官の可能性が高いか)

男(敵……よりは長官の可能性が高いか)

男(それよりなんで発砲してるんだ? いくら署長でも駄目だろ)

男(それにあの音……)

ドタドタ

下っ端1「あいつだ! またあいつが来たぞ!」

下っ端2「全員でいけ!」

男「……」

下っ端3「あ? ガキが、何してんだk――」 ガンッ

男「すまない、気持ち悪くてつい反射的に殴ってしまった」

下っ端2「い、いきなりなにしやがんだてめぇ!」 チャキ

男(ナイフか……)

下っ端2「なんとか言え! っておぶっ!」 ボキ

男「腕でかばってよかったな。頭蓋骨は折れてないだろ」

下っ端1「な、なんなんだよこいつは……」

男「ただの高校生だ、それ以上でもそれ以下でもない」 ジリジリ

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