男「ん、来客か?」(52)


 コッ コンッ

男「はいはい今開けますよーて」ガチャ

??「……」

男「ふむ。あんた旅人か?」

??「」コクリ

男「そうか。まぁ立ち話もアレだ、中に入ってくれ。
  なぁに、宿代を取ろうなんざ思ってない。話を聞かせてくれればな」

旅人「…お邪魔する」スッ

男「ん? 後ろのちっこいのは、あんたの子どもか?
  ほら、入った入った。夜は危険で溢れてるから」

子供「」ペコリ トタタタ

初ssデス。ガンバルデス

酉とか、ss以外のアピールレスとかいらない

男「外は寒かったろうに。はいよ、ホットミルクでも」コト コト

旅人「すまない、ありがたく頂く…」

子供「」フー フー

男「腹は減ってないか? 減ってるようなら持ってくるが」

旅人「あいや、大丈夫。大丈夫だ」

子供「」フー…コクコク

男「ん、そうかい。遠慮はいらんぞ? 何でも言ってくれ」

>>2 了解。自重する

旅人「それじゃ、早速で申し訳ないが身体を拭きたい。だから、布を2枚と場所が欲しい」

子供「」フー…

男「布と場所って……まさかお前さん方、この寒いのにただ身体を拭いて済ませるつもりか?」

旅人「暖かい季節なら、川を使うのだが…」

子供「ごちそーさま」ペコリ

男「んー……よし。ちょっと付いてきてくれ」

旅人「……コレは?」

子供「おぉー…」パチャパチャ

男「風呂と言ってな。水と火さえあれば季節を問わず温かい湯に入れる物だ」

男「この場所が浴室。扉を挟んだこちらは脱衣室で、その籠の中に脱いだ衣類を入れておく」
旅人「なるほど…」

子供「温かいよー」ホワッ

男「その外套以外に着る物はあるか? 無いなら貸すが」

旅人「あぁ、一応はある。ありがとう。その辺の心配は無用だ」

子供「大ー丈夫」ピース

旅人「…っく! はあぁ~…」チャプン

子供「んー!」ノビー

旅人「…凄い気持ちが良いな、風呂というものは」

子供「うんー……なんか、疲れが溶け出すみたいー…」

旅人「水しか知らなかったからな、私たちは」ノビー

子供「みんなにも、教えてあげたいねー」

旅人「…あぁ、そうだな。必ず、教えてあげような」

「お気に召したかー? 気持ち良さそーうな声がするぞー」

旅人「っ!?」ビクッ

子供「お姉ちゃ……」

旅人「しっ! ……家主、まさか見たのか?」

「んなことしません! 仮にも紳士、覗きなんて汚いことしない!」

旅人「じゃあ、何故そこに…!」

「あぁ、火をいじってんだー。じゃないと、折角の風呂が水風呂になっちまう」

「お前さん方、湯加減はどうだー?」

旅人「(そうだったのか…)あ、あぁ……大丈夫だ。とても心地良い」

「ん、良かった良かった。すまんね、誤解させて」

旅人「いや、こちらにも非はあった。謝らないで欲しい」

旅人「……見られたわけではないのか。良かった」ホッ

子供「さっぱりしたね!」ホカホカ

旅人「あぁ、とても気持ち良かったな……ん?」

『布は使い終えたら籠の中へ入れるように! 家主:男より
 p.s.何も見てません!』

旅人「……あぁ、そういえば下着が無造作だったか」

子供「えっ、何かやっちゃった?」

旅人「少なくとも、私たちが女性であることはバレたようだよ」

子供「……私たちが、エルフだっていうのは」

旅人「大丈夫だよ、見られてないから」ナデナデ

子供「うー……」


男「お、済ませたか」

旅人「とても、とても心地良い物だった。重ねて感謝する」フカブカ

子供「」ペコリ

男「いいよいいよ、好きでやってんだ」

旅人「何かお返しがしたいのだが…」

男「じゃ、あんた方の旅の話を聞かせてくれないか。国の外の話なんて、滅多に聞けないし」ワクワク

旅人「お安いご用だ」

子供「んー……」ウツラウツラ


 ──

旅人「次に、砂の国での話だが」

男「いや、ちょっと待った!」

男「ふぅー……すげぇなぁ。色んな国があるんだ」

旅人「あぁ、世界は広い。行けども行けども終わりが見えん」

男「俺も、旅人になってみるかなぁ」

旅人「ふふっ、なかなか厳しいぞ? 毎日屋内で眠れるとも限らんし、食糧だって考えなければな」

男「じゃあ無理だわ!」ケラケラ

子供「ぁー……」グラン グラン

男「おー、どした? 眠いか?」

子供「ぁぃー……」ガクッ ガクンッ


旅人「相当の距離を歩いたからな。無理もない」

子供「ぁ…ぇあっ!?」ガクンッ パサッ

男「あん?」

旅人「!!? しまっ…!」バッ

子供「ぷぉっ!?」

旅人「…貴様、見たな?」ギロリ

男「…あー、そうか。あんた方エルフだったか。なるほど、そりゃ外套が脱げんわけだよな」

旅人「くっ……申し訳ないが家主、口を封じさせてもらう!」

男「まぁそんなことより、喋り続けて喉が渇いたろ」

旅人「話を逸らすな!」

男「あーあーうるさーい。子どもが起きるぞ。起きてるけどさ」

男「警備隊に密告とか、奴隷市場に売るだとか、そういう心配ですかい?」

旅人「そうされる前に貴様を…」

男「んー、それは困るなぁ。まだ死にたくないんだけど」

子供「姉ちゃ…」オロオロ

旅人「大丈夫だ、心配するな」

男「んー、どうしたら俺は死なないで済む?」

旅人「…私たちは故郷を襲われ、失った。仲間は捕まり、散り散りに」

男「ほうほう」コポポポ

旅人「どうにか逃げた者もいたが……恐らくは捕まってしまっただろう」

男「うんうん。ちっこいの、飲んでみるか?」ズズー

子供「ちっこいのじゃないよ。でも飲むー」

旅人「…私たちを追う賞金稼ぎや役人から逃げ続ける毎日だった。ところがある日、この国でエルフの一斉売買が行われると聞いた」

男「あー、なんかそんな話があったような。どうだ?」

子供「……にーがーいー!」ウエェ

旅人「ちゃんと聞いてるのか!?」

男「コーヒーって飲み物だ。苦かろう、苦かろう」ハッハッハッ

子供「い゙がー…」

旅人「妹に何を飲ませてる! 毒じゃあるまいな!」

男「オトナの飲み物よ。これに白い液体と白い粉を入れてー……ほら」

子供「ん……飲める!」

旅人「別の理由で口封じをしたくなったよ」

男「で、話の続きは?」

旅人「あ、あぁ。そこで貴様にしてもらいたいのが、この売買で集められた仲間達の──」

男「無理」ズズー

旅人「──解放をって、なんだと!!」

男「うん、無理無理」ズズズー

ちょっち世界樹に挑んでくる。
必ず完結はさせる。

男「まず会場に入れない。こんな姿じゃ門前払いが目に見えてる」

男「次に内部。中に入れたとして、お仲間さんが全て同じ場所に集められてるかも分からない上に、警備体制も分からん」

男「あとは人手か? 俺だけで何人いるかも分からないエルフを1人で全員助けろと?」

旅人「なら私も手伝う!」

男「足手まといだろうなーって思うの(へぇ、そりゃ心強いね)」

旅人「ぐぬぬ…!」

男「おっと失礼」

男「でもまぁ、やるだけやってみる。殺されるのは勘弁だし」

旅人「!!」

男「とりあえず明日から本気出すよ。今日はもう寝ます」

男「あぁ、お前さん方の寝床は自由に。空いてる部屋がいくつかあるから」フワワ

旅人「あ、あぁ。ありが、とう…」

 トットットッ パタンッ

子供「…お姉ちゃん、寝よ?」

旅人「うん……。一応、いつでも迎撃出来るように備えておくんだぞ?」

子供「んー…はーい……」ウトウト


 ……

旅人「…一睡も出来なかった」

子供「」スヤスヤ

旅人「……まぁ、妹の無事を確保出来たと思えば」

 コンッ コンッ

「起きてるかー? 入るぞー?」ガチャ

男「よく眠れ……たのと、そうでないのと」

旅人「当然だ。いつ襲撃されるか分からんからずっと起きていた」

男「すげぇな。まぁそれは別として、朝飯の時間だ」

男「無理しなくていいから、食えるようだったら昨日の広間に来い」

男「しかし……エルフ全員助けろって言われてもなぁ」

 ドンドンッ

男「壊す気かよ……はーい、開けますよー」ガチャ

役人「ちっ……さっさと開けろ!」

男「あ、はいスイマセン(ぶっころ)」

役人「突然だが、家の中を捜索させてもらうぞ」

男「えっ、いや、困ります(ちょ、マズいぞ今は)」

役人「口答えするな! すぐに済む!」

男「あ、じゃあこの布を口に当てながらでお願いします。俺、薬とか創ってるんで、匂いとかが……ね?」

役人「うむ」


男「あ、その部屋は……」

役人「なんだ、何かやましい事でもあるのか!」

男「(うっさい!)いえ、妻が寝ているんで、静かにお願いします」

役人「……ふんっ、最初からそう言えばいい」

 バンッ!

男(こーのーやーろーうー!!)イラッ


 ─ほんの少し前─

『──!』

旅人「…なんだ? 急に騒がしく……」

『──するな! ──済む!』

旅人「……穏やかじゃないな」

『なんだ、何かやましい事でもあるのか!』

旅人「この声……まさか…」

子供「んー……? あさ…?」

旅人「しっ! 起きちゃダメ!」ギュッ

子供「むぇふっ」

 バンッ!

役人「……ふむ」ジロジロ

男「(うわぁ、うざい)特に何も無いでしょう?」

役人「……」ツカツカ

男「あっ、ちょっと、妻と子に何を」

役人「んー…ふん」ババッ

旅人「っ!!」ビクッ

役人「……起きているだろう。その被り物を取れ」

男(ちゃんと効いていれば…)

旅人「……」スッ

男(あばばばばば)ドクン ドクン


旅人(万事休す……か)

役人「うむ、変わっているところは何も無いな」

役人「まったく、紛らわしい真似をするな!」

男「いやぁ~、申し訳ないっす~」

役人「他の部屋も見せてもらうぞ」ツカツカ

男「あいどうぞどうぞ。ご自由に」ヘラヘラ

旅人「な……何故だ? いや、何が起きた?」

男「後で説明する。だからまた寝てろ」ヒソヒソ

役人「おい、早く案内しろ!」

男「はいはい、ただいまー」


 バタンッ!

男「やーっと帰ったか……何だあの無礼者は!」プンスカ

子供「あの人は多分、役人さんって人」

男「お? もう片方は?」

子供「ぐっすり」

男「あーはぁん。で、役人ってのは?」

子供「私たちをいじめる、悪い人。私たち、何もしてないのに……」

男「ふーん……あ、そうだ。あっちが寝てる間に色々聞きたいことがあるんだ。色々聞いてもいいか、ちっこいの」

子供「ちっこいのじゃない! ちゃんと『少女』って名前があるの!」プンスカ

男「そりゃ悪かったな少女。じゃ、朝飯でも食いながら話を聞かせてもらうかな」ワシワシ

少女「ひゃっ! なーでーるーなー!」


 ──

男「えっ、じゃあちょっと前に森の方がやかましかったのは」

少女「私たちを捕まえに来た人たちが、いっぱいいたからだよ」モキュモキュ

男「ていうか外の国どころかご近所さんだったのかお前たちは」

少女「お前じゃないー! なーまーえー!」

 ──

男「なんでエルフを捕まえたのかね」

少女「さぁ?」

男「何か特殊なことでも出来るの?」

少女「んー……?」

男「ほら、クズ鉄を金にしたり」

少女「そういうのは誰も出来ないよー」

男「ちょっと残念」

少女「せいぜい、こうやって火を出したり風を起こしたり」ボッ  ヒュゴゥ

男「うん、十分だよそれで」


 ──

男「そもそもソレで役人とか追っ払えば良かったんじゃないか?」

少女「賞金が掛かってるんだよ? それ以外の人たちにも追いかけられちゃうよ……」

男「そりゃ仕方ないな……俺も火とか出せないかな」

少女「こうね、手に火の玉を乗っけるような感じでね」

男「ふぬぬぬ……!」

 ──

男「ん? そういえば、少女たちってここに辿り着くまではどうしてたん?」

少女「んー、誰もいないお家に隠れたり、建物の陰に隠れたりー」

男「…苦労したなぁ」ナデナデ

少女「あ、これくらいの強さなら……んふー」

男「よーしよしよし」ナデナデ

少女「んー♪」


 ……  バンッ

旅人「少女!?」ガチャ

少女「んいー?」

男「おーう。よく眠れたか? ま、聞くまでもないか」

旅人「貴様っ! 私の妹に何をしている!」

男「何って言われても……膝の上に乗っけてるだけだが。なー?」

少女「ねー♪」ニコニコ

男「色々と話は聞かせてもらったぞー? 姉ちゃんよ」

旅人「なん……だと?」


男「まぁ、嘘を吐いていたのは許さんにしてもお前さんの仲間は助けてやろう」

男「こんな小さい子に、おっかない思いをさせるなんて正気の沙汰じゃねぇ。国に反旗を翻してやるよ」

少女「本当にいいの?」

男「おー。任せておきなさい! それなりに人脈はあるからな!」

少女「おー! ありがとお兄ちゃん!」

男「……もう一回お願い」

少女「お兄ちゃん!」

男「絶好調である!」

旅人「やめろ変態!」

男「よし、ちょっと出てくる。その間の留守番は頼んだ」ヒョイッ

少女「あーぅー…」

旅人「いやダメだ。まだ私はお前を信用していない」

男「そんじゃ、付いてくるか? 深めに被ってればバレないだろ」ナデナデ

少女「行くー!」

旅人「うっ……ぐ……仕方、ない。そうしよう」

男「あ、待て。そういえば新しい外套あったからそっち使ってくれ」

男「今の汚れたやつじゃ、分かる奴には分かるだろうしな」


 ──

男「あの力があって、どうしてエルフは捕まったんだ?」ギュッ

少女「ぶらーんこー♪」プラプラ

旅人「分からない。力を使おうと思ったが、使えなかったんだ」ギュッ

男「気が動転して上手く出せなかったんじゃ?」

旅人「いや、例え気が狂ったとしても力が使えないというのは有り得ない。絶対にだ」

男「……なるほど、分からねぇや!」

旅人「……火よ」ボウッ

男「あっちぃ! 前髪が香ばしい!」


旅人「そういえば、だ」

男「ん? 何か?」

旅人「あの役人が私のコレを見ても何も気付かなかったのは何故だ? 聞きそびれたが」

男「あ、はいはい。まぁ、アレだよ。ちょっとした幻覚みたいな? あの布に前もって薬を少し染み込ませておいたんさ」

男「いやー、効いてくれてよかったわー。どうなることかと」ヘラヘラ

旅人「お前っ! 笑ってる場合か!」

少女「結果オーライだよ、お姉ちゃん!」

旅人「もうっ! 少女も少しは危機感を持ちなさい!」

男「結果オーライだよ、お姉ちゃん!」

旅人「お前がお姉ちゃんと呼ぶな!」


男「少女、これから人間が溢れる所に行くが、はぐれないようにな」

少女「うんっ」

旅人「深く被ってなさい」

少女「んっ!」グッ

男「旅人、お前さんもだ。よく見えないとは言え覗き込まれたら危ないぞ」

旅人「う……ち、注意はする」

少女「何しに行くの?」

男「ちょっと、信用・信頼のおける友達を訪ねに」


 ─市場─

商人「買わんかねー! お、そこの人、どうすか!? 新鮮っすよ!
   あ、いらない? そりゃどーもっしたー……」

男「今日はそんなに売れてないみたいだな、商人」

商人「あーん? 余計なお世話だっての……お? そちらのお二人は、どちら様?」

男「俺んとこの宿泊客だよ。とりあえず酒と水、あと適当な食材と果物」

商人「おっほぅ! 毎度すまんなぁ!」ホクホク

少女(わぁー! 色んなのがある!)ウズウズ

旅人「へぇ、珍しい物が置いてある…」

男「で、今回の聞きたいことだが」

商人「あぁ、城で行われる売買のことか?」

男「……よく分かったな」

商人「今、裏で一番でかい情報と言えばそれだからな。で、何が聞きたいんだ? 入城の紙か? 抜け道? 出品物?」

男「出品物は分かるから、その数かな。あと抜け道と開催日、警備体制とか兵士の人数。それと、買いに来る人とか」

商人「おーけー任しておけ。仕入れたらお前の家に行くわ」

男「あぁ、頼んだ」

少女「……」ジッ

商人「ん? どうした?」

少女「……」ジィィィ

商人「え、えっ? 何もしてないよね?」

少女「商人のお兄ちゃん、コレ、いくら?」

商人(えっ、今なんて呼ばれました? えっ、お兄ちゃん? オニイチャン……だと?)

少女「お兄ちゃん?」

商人「……ね、ねっ! 『にぃに?』って呼んでみて?」

少女「にぃに?」

商人「よーし! にぃには君にたっくさんおまけするぞー!」

旅人「お前もか!」

男「家に到着ー」

旅人「しかし、お前もそうだがあの人間も、ちょっと変なやつだな」

男「自覚してる」フフン

男「ところで旅人、剣は使える?」

旅人「は? なんだ突然……まぁ、一応は使えるが」

男「ん、よかよか。広間に飾ってあるやつ持って、少女と隠れてて」

少女「なんでー?」

男「いやぁ、どうやら標的にされたそうで」

旅人「どうしてだ? 何もしていないだろう」

男「俺、見た目貧弱。君ら、若い女性。襲撃者、ゴツい男3人。俺が消えたら、襲撃者はどうすると思う?」

旅人「……そういうことか」

男「理解が早くて助かる。じゃ、留守番よろしく」


 ─庭─

男「あ、どうも」

ゴロツキ1「にいちゃん、怪我したくなかったらソコ退くんだな」

ゴ2「ひひっ、しばらくしたら出てくよぉ。なぁに、俺らぁ盗人じゃねぇ」

ゴ3「ちょっと血気盛んな若者さぁ…」

男「じゃ、コレどうぞ。『元気になる』飲み物です」ニヤニヤ

ゴ1「なぁんだ、分かってんじゃねぇか」ゴクゴク

ゴ2「ひひっ、長生きはしてぇもんな!」ゴクゴク

ゴ3「賢い選択だ」ゴクゴク

男「くくっ…」ニンマリ


男「ただいまー」

少女「お兄ちゃーん!」ドスンッ

男「おう、いい体当たりだ」ナデナデ

旅人「あの人間どもは?」

男「ん? 急に裸になって森の中へ走ってった」

旅人「……あの薬か?」

男「正解! 役人に嗅がせたやつの、原液をくれてやったわ」ケラケラ

旅人「恐ろしいやつだ」

男「お前と少女を守るためだ。非道なことだってやってやるさ」ナデナデ

少女「んにー♪」

旅人「そ、そうか。間違っても私たちにそんな物を飲ませるなよ?」

男「当たり前だろうが。少しは少女のように俺を信じろ」

旅人「会ってまだ1日と経ってないんだぞ。無理に決まってる」

男「ですよね」


 ─数日後─

商人「おっす!」

男「お、待ってました!」

少女「にぃにだ!」

商人「ハーイ、にぃにですよー!」

旅人「で、例の話は?」

商人「あ、はい。えーとね、開催日は今日から数えて……2週間後の夜だ。で、出品物……って言っていいのか分からないが、数は50~60だ。警備体制と兵士の数は、尋常じゃないっていうとこまでしか調べられなかった」

男「抜け道と買いに来る人は?」

商人「抜け道はこの地図渡しておくわ。買いに来る人は流石に無理。色んな国から来るってことしか分からないですっ!」

男「いや、これでも十分過ぎるほどだ。ありがとう」

商人「いやいや」

旅人「私からも、礼を言う。ありがとう」

商人「いやいやぁ」

少女「にぃに、ありがと!」

商人「いやぁ~。うへへへ」

眠い寝ますサヨナラヘヴン


 ……

男「どうしよっかな…」

男「撹乱してその隙に……いや強行突破……んー」

男「はぁー……あっ、そうだ」ティン

男「……おっし、行くか」

 ガチャ

少女「お兄ちゃーん、お姉ちゃんが呼んで……わぁお」

男「おっとっと着替え中だ、閉めてくれ」

少女「はーい」パタン

男「よーし、頑張るぞー」

旅人「あ、来たか……え? 誰?」

男「俺だよ俺、家主の男だよ」

少女「別人みたい!」

旅人「あぁ、なんだ……本当に誰かと思った」

男「で、呼んでたみたいだけど、用事か?」

旅人「あ、その事なんだが、あの部屋を借りてもいいか? 調合部屋みたいなあの部屋」

男「どうぞどうぞ。今ちょっと煮沸してるのがあるから、それだけ注意してくれ」

旅人「あぁ、分かった。では、ありがたく使わせてもらう」


 ─城門─

男「門番さん門番さん、入れて下さい」

門番「誰だお前は。何の用だ」

男「これはこれは、貴方とは初めましてですね。私、王様のお薬を創っております、男と申します」ペコリ

門番「本当にか? 俄に信じられんが……」

男「では、私はここでお待ちしていますから、どなたかお呼びしていただけますか?」

門番「いや、それは出来ん。確認を取る故、また後日改めて来られよ」

男(参ったなぁ……)

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