小鳥「ぶらり旅」 (44)


─── 箱根 ───



小鳥「私は今、ひとり、箱根に来ています」

小鳥「765プロの大きなライブが無事に終わり、全員にまとまった休暇が与えられたからです」

小鳥「せっかくの機会なので、温泉にでも浸かりながら、ゆっくりしたいと思います」

小鳥「箱根は小学生の時以来なので、とても楽しみです!」



子供「ねえママ! なんであのお姉ちゃんはひとりで喋ってるの?」

母親「しー! 見ちゃいけません!」





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小鳥「そして、私の前に広がるのは大きな湖!」

小鳥「そう! 芦ノ湖です!」

小鳥「今日は天気も良くて、富士山がはっきり見えますよ!」




小鳥「芦ノ湖といえばラミエルが進入してきた場所で有名ですね!」

小鳥「そしてシンジ君とカヲル君が運命的な出会いをしたところ!」

小鳥「まあ、正確にはクレーターに芦ノ湖の水が流れたところですが……」

小鳥「ですが、今にも、交響曲第9番が聞こえてくるようです!」




「ふんふんふーんふーん♪」



小鳥「あら、綺麗な歌声♪」

小鳥「そうそう。こんな風に歌が聞こえて──」

小鳥「ちょっと待って……どこかで聞いたことのある声のような気が……」




あずさ「あらあら~?」



小鳥「あ、あ、あずささん!!!!」

あずさ「あら~、音無さん。奇遇ですね♪」

小鳥「いやいや、どうしてここに!?」

あずさ「お散歩をしてたんですけど、気づいたらここにいまして」

小鳥「また迷子になったんですね……」





あずさ「えっと、ここは何処なんでしょうか?」

小鳥「箱根ですよ!」

あずさ「では今回は近場ですね~」

小鳥「確かに都内からだと隣の県ですけれども!」

あずさ「それにしても、いい景色ですね♪」

小鳥「そ、そうですね……」




あずさ「あっ、遊覧船がありますよ! せっかくなので乗りましょう!」

小鳥「ち、ちょっとあずささん!」

あずさ「ふふっ、楽しみだわ~」

小鳥「テンション高い! というか、なんでこんなことに!」




あずさ「まあ、海賊船があるんですね~」

小鳥「遊覧船とは別の会社みたいですね」

あずさ「せっかくなので、海賊船にしましょう!」

小鳥「そうですね!」




─── 海賊船 ───



あずさ「そういえば、音無さんはご旅行なんですか?」

小鳥「はい。温泉でゆっくりしようかとなぁと。 寂しい一人旅ですけど……」

あずさ「なら、今からは二人旅ですね♪」

小鳥「そうですね。って、ええ!?」

あずさ「ふふっ、旅は道連れって言うじゃないですか?」

小鳥「若干使いどころが違う気がしますが……そうですね! 楽しみましょう!」




あずさ「この船はどこに向かっているんですか?」

小鳥「ゆっくり一周するんですが、途中で降りて、神社にお参りしましょうか!」

あずさ「あらぁ~。いいですね~」

小鳥「あと、丁度お昼時なので、ご飯でも!」

あずさ「は~い」




http://i.imgur.com/puTpT1J.jpg


─── 元箱根港 ───



あずさ「綺麗なところですね~」

小鳥「先にお昼ご飯にしましょうか。何か食べたいものあります?」

あずさ「有名なものとかあるんですか?」

小鳥「え~と、あっ! 湯葉丼というのがありますよ!」

あずさ「ヘルシーで良さそうですね」

小鳥「では、湯葉丼にしましょう!」




http://i.imgur.com/C2SjW6c.jpg



小鳥「それでは」

あずさ「いただきま~す」

小鳥「いただきます!」



あずさ「う~ん!」

小鳥「美味しい!」

あずさ「本当ですね~」

小鳥「地元の名水『姫の水』で作られているそうですよ」

あずさ「あらぁ~。若返りそうな名前ですね~」



小鳥「…………」

あずさ「…………」





小鳥「さて、腹ごしらえもしたし、いざ箱根神社へ!」

あずさ「なんだか気合いが入ってますね」

小鳥「なんでもパワースポットらしいので!」

あずさ「あらあら。それは期待大ですね~」





─── 箱根神社 ───



http://i.imgur.com/qDY01zc.jpg




小鳥「ここは近辺を全て周ると、出世運・金運・願望実現・縁結び・恋愛運・健康運など、バランスよく全体運をアップ出来るそうですよ!」

あずさ「凄いですね~!」

小鳥「では早速参拝しましょう! むむむ~!」

あずさ「むむむ~!」





あずさ「音無さんは何をお祈りしたんですか?」

小鳥「もちろん、みんなの更なる躍進ですよ!」

あずさ「ふふっ、ありがとうございます~」

小鳥「あと、縁結びも少々……」

あずさ「きっと、すぐに御利益がありますよ」

小鳥「ですよね! あずささんは何を?」

あずさ「ふふっ、私も音無さんと同じです。運命の人は神様に頼らず、自分の手でと思いましたが……少しだけお願いしちゃいました」

小鳥「大丈夫です! 神様もきっと理解してくれてますよ!」

あずさ「はい♪」




小鳥「では最初の桃源台に戻ってから、ロープウェイで移動しましょうか」

あずさ「は~い!」




─── 箱根ロープウェイ ───



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小鳥「わ~! 綺麗!」

あずさ「本当ですね~」

小鳥「でもやよいちゃんが見たら、卒倒しちゃうかも……」

あずさ「高所恐怖症ですからね……」





小鳥「そういえば、あずささんは帰りはどうするんですか?」

あずさ「?」

小鳥「あれ? まさか泊まるんですか?」

あずさ「……ご迷惑でしたか?」

小鳥「いやいや! 迷惑だなんてそんな!」

あずさ「女二人、語り明かしましょう♪」

小鳥「宿はオフシーズンだから、なんとかなりそうですし……そうですね! パーッといきましょう!」

あずさ「あっ、でも下着とかは買わないと……」

小鳥「サイズあるかしら……」





─── 強羅 ───



小鳥「さて、なんやかんやで強羅にやって参りました!」

小鳥「かの有名な、強羅絶対防衛線ですよ! 強羅絶対防衛線!」

あずさ「なんだか強そうですね~」

小鳥「守りの要ですからね!ここを突破されると第3新東京市の危機ですよ!」

あずさ「あらあら~。大変だわ~」

小鳥「…………」

あずさ「?」

小鳥「絶対わかってませんよね?」

あずさ「ふふっ」





小鳥「冗談はさておき、泊まる宿がこの辺なんですよ」

あずさ「なんだか高そうな……」

小鳥「私たちの宿も高いですよ? 一泊数万円の……」

あずさ「あらあら~」

小鳥「ふふっ……独り身ですから……お金はありますしね……ふふっ」

あずさ「お、音無さ~ん! 気を確かに~!」




─── 旅館 ───



あずさ「ほ、本当に豪華な場所だわ~」

小鳥「部屋に露天風呂も付いてるんですよ!」

あずさ「それは楽しみですね~」

小鳥「正直、実際に来てみて、ひとりじゃなくて良かったとホッとしてます……」



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※イメージ図


─────
───




小鳥「はぁ……料理も凄かったわ……」

あずさ「お肉もA5の和牛って言ってましたね」

小鳥「恐るべし……一泊数万円……」


http://i.imgur.com/XlCwILa.jpg

※イメージ図




あずさ「さて、せっかく部屋にお風呂があるんですから、入りましょう!」

小鳥「いってらっしゃいませ~」

あずさ「何を言ってるんですか?」

小鳥「へ?」

あずさ「音無さんも一緒に入るんですよ♪」

小鳥「ええっ!?」




あずさ「合宿の時とかも、みんなで一緒に入ったんですよ?」

小鳥「それとこれとでは話が……」

あずさ「問答無用ですよ? え~い!」

小鳥「ち、ちょっと! あずささん! 無理矢理脱がさないでください!」

あずさ「うふふっ」




小鳥「シクシク……汚された……」

あずさ「そのままだと風邪を引いちゃいますよ~?」

小鳥「もう! わかりましたよ! 覚悟を決めます!」




小鳥「うわ~! お風呂からの景色も素敵!」

あずさ「本当ですね~」



小鳥(うわぁ! あずささんのお肌スベスベだわ! スタイルもやっぱり抜群だし……)

あずさ(音無さん……スタイル良いし、お肌もスベスベだわ~)



小鳥・あずさ(う、羨ましい……)




ちゃぽん……



小鳥「はぁ……良いお湯だわ……」

あずさ「それでは、駆け付け一杯ということで」

小鳥「あっ! いつの間に!」

あずさ「うふふっ、律子さんに怒られることもありませんし……ね?」

小鳥「そうですね!」




小鳥「ふぅ……本当に極楽だわ……」

あずさ「そうですねぇ……疲れも吹き飛びます……」






小鳥「あずささん。ライブの疲れとか大丈夫ですか?」

あずさ「う~ん、身体の疲れは特に感じませんけど……それに温泉パワーで吹き飛んじゃいます!」

小鳥「身体のことでは無くてですね」

あずさ「?」




小鳥「まあ、ライブだけでは無いんですが。あずささんはアイドルの中でも一番年上なので、普段から頑張り過ぎてるんじゃないかと」



あずさ「え? 私なんてそんな……」



小鳥「……たまには甘えても良いんですよ? 私からすれば、あずささんも、まだまだ可愛い妹みたいなものなんですから♪」



あずさ「お、音無さ~ん!」ギュッ



小鳥「きゃっ!」




あずさ「もう、ずるいですよ~! そんなこと言われたら私!」

小鳥「ふふふっ、よしよし♪」

あずさ「あの~?」

小鳥「はい?」

あずさ「……私も“小鳥さん”って呼んでもいいですか?」

小鳥「ふふっ、もちろんですよ!」




あずさ「それじゃあ、小鳥さん」

小鳥「なんですか?」



あずさ「小鳥さんも、それこそ、みんなのお姉さんとして頑張り過ぎていませんか?」



小鳥「え?」



あずさ「やっぱり、私たちも小鳥さんに頼りすぎているのかもしれません……」



小鳥「そ、そんなことは……」



あずさ「だから……私じゃ頼りないかもしれませんが、いっぱい甘えてくださいねっ!」



小鳥「……あずささんもずるいですよ~!」



あずさ「うふふっ」






あずさ「なんだか、しんみりしちゃいましたね~」

小鳥「それじゃあ、パーッといきましょう!」

あずさ「そうですね~!」

小鳥「そして、明日も箱根巡りが待ってますよ! 美術館に、星の王子さまミュージアム! 美味しいものも、たーくさんありますから!」

あずさ「うふふっ、楽しみですね~!」

小鳥「まあ、その前に景気付けに!」



小鳥・あずさ「かんぱ~い!」



終わり



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