【R18】結城晴「…何だこれ」 (32)


「…ん?」

彼女に起きた変化に前兆はなかった
普段通りの行動を、普段通りに感じなかった
それだけである

「…何だこれ」

全身を泡で覆った後、シャワーを浴びて汗を洗い流すただの入浴
彼女はそこに、僅かな違和感を覚えたのだ

「…うあ…あっ…」
その違和感は、瞬く間に快感に変わっていく
まだ膨らみかけの胸部
その先端に一回、もう一回触れる
強烈な刺激を知ってしまったならば、その前に戻ることは極めて難しい



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「…ヤバ…気持ち…い…」

最初の数分ほどは手の動きは緩やかで、恐る恐る触れている程度だった
その行為が卑猥なものだと、おぼろげには知っていたからだ
しかし恐怖や羞恥は膨れ上がる好奇心に飲み込まれていく
胸以外の快楽のありかを求める指先が、それを示していた

「…っっあああっ!!!」

求めていたものを、あっさりと彼女は見つけてしまった
それは下半身にある、誰にも見られたくない場所
まだ茂みが揃っていない、すぐ下の部分

「はーっ、はーっ、はーっ…いっ…いや…だっ…」

息の荒さは指の動きに比例して激しくなり
一方で先程の絶叫を境に声は小さくなっていく
目を強く閉じ、唇を噛み締めても
襲いかかる激流には抗いきれない


「あうっ…これ、すげ…ぇっ…」

彼女の想像力は、異なる刺激を生み出した
このシャワーを当てたらどうなるのか…
期待を上回る結果によって、自らを弄ぶ勢いは増していく
それに連動して未知の感覚が絶え間なくやってくる
殆ど無防備な状態で飲み込まれた彼女の体は悦びに震えていた

「あ…ひんっ!…え?」

戸惑いの声と共に、指先がピタリと止まる
隠されていた桃色の突起を剥き出しにして
強く触れた際に痛みが伴ったからだ
しかしそれも数十秒程度の休憩に過ぎない

「ダメだ…ダメっ、うあうううっ!?」

二度目の接触で、彼女は完全に虜になってしまっていた
抑えられなくなった甘い声が、浴室に広がっていく

一旦ここまで
こういう書き方は久々で違った気分を感じられる


「あっ、あっ、あっ…ああ…」

床を流れる液体がほんの少しだけ色付く
その色の元は、彼女から放たれた細長く鋭い水流

「や、やっちまった…んんんっ…」

その痕跡はシャワーによって瞬く間にかき消されていく
しかし彼女の体には排泄の快楽がまだ居座っている
背筋に走る寒気を心地よく感じていたのだ

「あ…洗わないとな…へへ…っ」

彼女は自らに言い訳をし、再びその場所へ触れる理由を作り上げ
未熟な性器をそっと左右に広げていく
洗うべき場所の下を、中指がゆっくりと刺激する

「…あひっ…ぷ…プロ…デューサー…あっ…」

誰かに対して見せつけるような格好になっていることを
彼女が自覚するまでさほど時間はかからなかった
…自分以外の誰かに触られたら、もっと気持ちいいのではないか
彼女の関心は新たな快楽を求め始める
そして彼女は、家族ではない特別な異性の存在を意識したのだ

次は夜に投げます


「はあ、はあ、オ…オレ…っ、なんで…!」

自分よりも大きな手
自分に何度も触れてきた男の手を思い浮かべながら
強く、強く、胸の先を捻る
その感情の正体に気づかないまま、ひたすらに

「なんでっ…アイツのこと…あうっ…!…はう…」

小刻みに繰り返される絶頂に彼女は悶え続けていた
狂ったように快楽を貪り、ついに小さな体は悲鳴をあげる
彼女は力なく、その場に座り込んだ


「…なんだってんだよ…」

脱力感が指先にまで広がっていく
急激な変化に、体の対応が追いついていない
彼女は肩を上下させて空気を取り込み、鼓動を落ち着かせようと試みている

「…はあ…ワケわかんねぇ…」

とんでもないことをしたという認識
快楽の代償とも言うべきものが残る

「アイツに…言…えるわけないっ…」

行き場のない様々な思いを、彼女は心の奥に押し込めようとする
誤魔化していた羞恥心が一気に湧き上がってきたのだ


「どうした晴」

「別に。なんでもねーよ」

人前では流石に直接触れはしないものの
態度の所々には異変が現れていた
彼女は、あの時脳裏に浮かんだ男を直視出来なくなっていた

「疲れてんなら、無理はするなよ?」

「だから、ちげーって言ってるだろ…」

彼女は不満げな声を漏らしつつも、髪を撫でる男の手を退けることはしなかった
その手の動きを、より強いイメージ…より強い欲望に置き換えて
こんな風に触るのだと、記憶に刻み込む

ちょっとツアー殴って来ます


「……」

その少し後
部屋から誰もいなくなったのを確かめて、男の椅子に座る
温もりは既に残っていないが
まるで抱きしめられているような錯覚に陥っていた

「…ぁっ…!」

彼女はくすぶる感情の正体を暴こうとする
…これが恋なのか、まだ確信が持てていない
もしも、この前よりも夢中になってしまったならば
…認めなければならないと


「…っ!これ…これっ…!あはっ…」

男の存在を傍らに感じながら慰めると
腹部の疼きが、弾けるような刺激に変わっていった
吐息に合わせて、だらしなく口が開く

「くる…なんか、くるっ…」

椅子を軋ませながら体が大きく揺れている
不安定なバランスすらも、彼女は快感として捉えていく
男に弄ばれているイメージにちょうど良かったのだ


「あっ、いっ…いっ…ひいいっ…!」

爪で淫核を引っ掛けた瞬間、男の机に顔を押し付ける
支えきれなくなった唇から、唾液がたらたらと溢れてくる
大きく息を吸って、吐いて
男に抱いた欲望を噛み締める

「…ふう……うわああっ?!」

「…何やってんだ?…おい晴っ!?」

物音と聞き慣れた声に気づき、彼女は飛び起きようとしたが
体勢を整える間もなく無理に動いたせいで椅子から振り落とれてしまう
それは致命的な状態に他ならない

「あ…ああっ…」

「…は…?」

男は転倒した彼女のフォローのために距離を詰める
その視界に入ってきたのは、欲情にまみれた彼女の姿
一瞬とも永遠とも感じられる時間が、二人の間に流れていた

今日はここまで

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