咲「今日はハギヨシさんの誕生日かぁ…」 (44)

ハギ咲。短いです。

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龍門渕邸


衣「さきー!よく来たな!」

咲「こんにちは、衣ちゃん」

純「萩原さんなら庭にいるぜ、宮永」

何もかもお見通しな顔で、純さんにそう声をかけられる。

咲「あ、ありがとうございます…」

言われた通り庭に足を向けると、そこには既に人だかりが出来ていた。

紅潮した顔でプレゼントを手に騒ぎ立てるメイドさんたちの姿を見て、私はそっと溜息を吐いた。


今日はハギヨシさんの誕生日。

密かに恋情を抱いていた彼へのプレゼントを用意してきたのはいいのだが。

咲「はぁ…、失敗したなぁ…」

容姿端麗、何をやらせても完璧な彼は当然、女の子には絶大な人気で。

今も色とりどりの包み紙を四方から押し付けられ、困ったように笑うハギヨシの姿があった。

そんなハギヨシ自分が用意したプレゼントといえば。

咲「こんなお粗末な手作りのお菓子なんて、きっと貰っても嬉しくないよね…」


―――男ってのは「手作り」って単語に弱いものよ―――


なんて久先輩に言いくるめられた自分が情けない。

すっかり憂鬱な気分で悶々としていると。

人だかりの中心にいたハギヨシさんが、女の子たちをかき分けて私の方へと寄ってきた。

ハギヨシ「宮永さん。いらしていたのですね」

咲「こんにちは。ハギヨシさん」

ハギヨシ「どうかしたのですか?浮かない顔をしていますね」

咲「あ、いえ…」

とにかく、今はおめでとうの言葉だけでも伝えよう。

プレゼントは後で実用的なものを買ってきて渡すことにしよう。

そう決心してハギヨシさんを見上げ、出来るだけ笑顔を作りながら告げた。

咲「ハギヨシさん、今日お誕生日ですよね。おめでとうございます」

ハギヨシ「ありがとうございます」

満面の笑みで言葉を返すハギヨシさんが、スッとこちらに手を差し出してきた。

え、何?握手?

訳が分からずポカンと突っ立っていると。

ハギヨシ「その鞄の中に入ってるプレゼント、私に頂けるんですよね」

咲「え…」




咲「ええええええっ!?」



庭に響き渡る私の叫び声。

なに、何、何でっ??

思わず飛びずさってあたふたする私の背を、ハギヨシさんは落ち着かせるようにポンと叩いた。

ハギヨシ「ふふっ、そんなに驚くことですか?」

咲「いや普通驚きますよ!どうして分かったんですか!?」

ハギヨシ「貴方は分かりやすいですから」

咲「う…」

そんなに顔に出ていたかなぁ、と少々赤面する。

鞄を開け、一度は渡すまいと諦めたお菓子の袋を、おずおずとハギヨシさんへと差し出した。

咲「えと…味は自信ないですけど…」

ハギヨシ「…ありがとうございます」

袋を受け取ったハギヨシさんが、眩しそうに私を見て微笑むから。

何だか居た堪れない気持ちになって、私は咄嗟に俯いてしまった。

ハギヨシ「さっきの補足なんですが」

咲「…え?」

頭上でどこか楽しげなハギヨシさんの声が響き、そろりと視線をそちらに向ける。

少し屈んで私の耳元まで顔を近づけたハギヨシさんが、そっと囁いた。

ハギヨシ「誰よりも気にかけていた貴方のことなら、何だって分かるんですよ。…宮永さん」

咲「…っ!!」

衝撃的なハギヨシさんの台詞に、私は口をパクパクさせて硬直してしまった。

自分では見えないけれど、きっと顔はゆでダコのようになってることだろう。

ああもう全くもってこの人には敵わない。

でもそんな風にストレートに気持ちを伝えてくるハギヨシさんだからこそ。

咲「もう、どうしようもないほど好きなんだよね…」

ハギヨシ「?どうかしましたか?」

ぼそりと呟いた私の言葉にハギヨシさんが首を傾げて訊ねてくる。

何だか自分ばかりが振り回されてることが悔しくて。

ハギヨシさんの腕をくいと掴んで引き寄せ、その頬にすばやく口づけた。

咲「そ、それも私からのプレゼント…です」

ハギヨシ「…っ」

そんな私の行動に、ハギヨシさんは虚をつかれたようにぽかんとした後。

薄っすらとその頬を赤く染めた。

これまで余裕な態度を崩さなかったハギヨシさんの動揺する様が嬉しくて。

私は自然と笑みを浮かべて、そんな彼を暫く見つめつづけた。


カン!

純「やっとくっ付いたか…あいつら」

透華「二人とも幸せそうで何よりですわ」

衣「正直見ていてもどかしかったからな」

智紀「言えてる…」



咲「どう、ですか?ハギヨシさん」

ハギヨシ「ふふ。とても美味しいですよ。もう一口、貴方の手で食べさせてください」

咲「は、はい…口を開けてください、ハギヨシさん//」



一「でもいい加減庭でいちゃつくのは勘弁してほしいかな」

智紀「言えてる…」


もいっこカン!

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[ゴンベッサ・先原直樹]

ネット上でゴンベッサと呼ばれている、都道府県ssの後書き「で、無視...と。」の作者。
2013年に人気ss「涼宮ハルヒの微笑」の作者は自分であると自称し、物議を呼んだ。
詳しくは「ゴンベッサ」で検索

1990年3月30日生 岡山県津山市出身 血液型B型
実家の住所 岡山県津山市大田277-1 電話番号0868-27-1823

騒動から二年以上経った現在も自分のヲチスレに粘着し、監視を続けていることが判明。
【都道府県SS】ゴンベッサ総合★8【先原直樹】→ http://goo.gl/ER3pu5

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