ゆずこ「大人って、何なんだろうね」唯「ん?」 (29)

縁「おとな?」

ゆずこ「そう、大人」

唯「そりゃまあ、子どもの反対じゃないのか?」

ゆずこ「じゃ、子どもって何?」

唯「えぇ……子どもは子どもだろ」

縁「じゃ、私達は大人?子ども?」

唯「んー、まあ、まだ高校生だし。子どもだろ、年齢的には」

ゆずこ「えー!だったら何で電車やバスの運賃は大人料金なの!不公平~!」

唯「ああ、それは思う」

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縁「高校生なんだから大人らしく振る舞いなさいって言われることあるよ」

唯「うーん、それも確かにあるな」

縁「でもね、私おじさん達から子ども扱いされてるんだよ~。もう高校生なのに~」

唯「ああー……」

ゆずこ「きっとおじさん達にとっては、縁ちゃんはいくつになっても可愛い子どもなんじゃない?」

縁「いくつになっても?」

唯「確かに。親子は何歳になっても親子なんだし、親戚でも同じような感じなのかも」

縁「成人しても可愛い?」

ゆずこ「就職しても可愛いよ」

縁「三十過ぎても?」

ゆずこ「厄年過ぎても」

縁「還暦迎えても?」

ゆずこ「年金貰っても!」

縁「もらえなかったら?」

ゆずこ「可愛い以前に可哀想」

唯「ああ……」

唯「でもそこまで年いったら可愛いとは……いや、可愛いのかなあ、親なら」

ゆずこ「唯ちゃんはずっと子どもでいたい?それとも早く大人になりたい?」

唯「えっ、……どうなんだろう」

縁「大人っていつなるの?」

ゆずこ「今でしょ!」

唯「それ古い!今でも古い!」

唯「ていうか、そんないきなりなれるものか?大人って」

ゆずこ「ん~。でもやっぱり、意識するかしないかで全然違うと思うよ。大人になろうと思わない人は一生大人になれないって」

縁「ほえー」

唯「なるだろ、みんな。二十歳になったら成人して大人だろ」

ゆずこ「法律的に大人になっても、精神的に大人になり切れない人はいるよ。『お前は子どもか!』って怒られるよ」

唯「あー、まあ、いそうだな……そういう大人も」

縁「えー。でも、『子どもみたいに目をキラキラさせてー』とか言うよ?これ褒め言葉じゃないの?」

唯「む、それはまあ褒めてるな。『子どもみたいに無邪気で素直』とか、いい意味で使われるし」

ゆずこ「でもぶっちゃけ子どもみたいに素直にズバッと言っちゃう人が近くにいたら……ちょっとアレじゃない?」

縁「ちょっとアレだね」

唯「アレだろうなあ」

ゆずこ「ま、そんなわけで、もうすぐ私の誕生日なんですけどね。大人の階段を一歩上っちゃうよ」


唯「知ってるよ。前フリ長いよ。あたしらその一歩もう上ってるし」

ゆずこ「え、唯ちゃん私の誕生日覚えててくれたの?」

唯「そりゃ覚えてるよ。毎年祝ってるんだし」

縁「確か23……じゃないや24だよね?」

ゆずこ「ドーモ、24歳、高校生デス」

唯「留年し過ぎ!」

縁「ゆずちゃん大人のひとだ~」

ゆずこ「見た目は子どもだけどね」

唯「……」

縁「……」

ゆずこ「え、なんすか」

唯「うん、子どもだな」

縁「成長途中だよね」

ゆずこ「何だろ……自分で言ったのに超悲しい」

唯「ていうか年齢じゃなくて日付だぞ」

ゆずこ「知ってるよ。3月24日だよ。縁ちゃん大正解!」

縁「わあい、当たったー」

ゆずこ「正解者には漏れなくプレゼントを贈呈します!」

縁「どーもどーもー」

唯「いや、お前がプレゼントもらう方だろ」

ゆずこ「私が貰っていいの?」

唯「そりゃ、ゆずこの誕生祝うんだから」

ゆずこ「私……祝われちゃっていいの?」

縁「おめでとう、ゆずちゃん」

ゆずこ「……わたし」

ゆずこ「ここにいていいの?」

唯「え、別にいいですけど?」

縁「いいよー、大丈夫だよー」

ゆずこ「……」

唯「ん、どした?」

ゆずこ「泣いていいかな」

唯「なぜに?」

縁「泣いちゃったら大人げないよ」

ゆずこ「そうだね。私、泣かない!」

唯「あー、うん」

ゆずこ「心のなかでそっと泣くよ。……大人しくね」

唯「面倒くさい大人だな……」

ゆずこ「そして、ありがとう」

縁「ぱちぱちぱちぱち」

唯「ん?」





【今日の部活のテーマ・大人】




~情報処理部・部室~


唯「戦国時代。武士の子は12、3歳で元服し、大人らしい立ち居振る舞いを求められた」

ゆずこ「中学生くらいで大人だったんだね」

縁「早いねー」

ゆずこ「中学生から大人料金の電車は戦国基準だね」

唯「基準古いなー、どんどん新しい電車出てるのに」

縁「新しいのはどんどん速くなるよね」

ゆずこ「このまま加速すると……そのうち小学生も大人料金に!」

縁「えぇ~それちょっと早すぎるよ」

唯「小ついてるのに大人はダメだろ」

ゆずこ「でも大は小を兼ねるしね」

縁「おぉ、なるほどぉ」

唯「なるほど、……あれ?」

ゆずこ「アダルトチルドレン。大人なのに大人になり切れない系の人たち」

唯「アダルトなのにチルドレンか」

縁「それって大人?子ども?どっち?」

ゆずこ「『あなたは18歳以上ですか?』って質問に『はい』って答えるか『いいえ』って答えるか迷ってる感じ?」

縁「迷っちゃうの?ド忘れ?」

唯「いや、普通は迷わないだろ。普通は。……てか、その例え分かりづらいわ」

ゆずこ「じゃ、アダルトサイトに写っちゃってるチルドレン?」

縁「ああー……」

唯「ストレート過ぎる!」

縁「じゃ、アダルトサイトを見たいけど見れない唯ちゃん?」

唯「アホ!ほんとアホ!」

ガラリ

頼子「みんなー、元気?」

ゆずこ「あ、おかーさん!」

縁「元気だよー」

唯(あ、いま大声出したの聞こえてた?)

頼子「今日は何の話してたの?」

縁「ちょっと大人な話してたよー」

ゆずこ「そうそう、大人っぽい話」

頼子「ふーん、そう」

唯「先生?」

頼子「さっき、アダルトが何とかーって、聞こえたんですけど」

唯(あ、やっぱ声聞こえてた。これ凄い恥ずかしい)

ゆずこ「ちょっとアダルトのこと調べてました!」

縁「アダルトのこともっと知りたくて!」

唯「おい」

頼子「……調べてたの?本当に?学校のパソコンで?」

唯「あ、先生違います。『大人』で検索掛けてたら『アダルトチルドレン』って言葉に行きついただけで」

頼子「そうなの?」

ゆずこ縁「「そーでーす」」

頼子「なあんだ。先生ちょっとびっくりしちゃいました」

ゆずこ「もし私達がそういうの見てたら、おかーさん怒ってた?」

頼子「怒ってましたよー、子どもは見ちゃいけませんから」

ゆずこ「じゃ、大人が仕事中に見てたら?」

頼子「んー、仕事中は駄目だから注意します」

縁「見てる人が上司だったら?」

頼子「んー……、……」

ゆずこ「……」

縁「……」

唯「……」

頼子「この話、まだ続くの?」

唯「あ、いえ。無理には」

縁「大人を怒るの難しい?」

頼子「難しいですね、大人は。でも子どもを叱るのも簡単じゃないのよ」

ゆずこ「先生って大変?」

頼子「大変ですよー、いろいろと。何かあったら責任取らなきゃだし」

頼子「でも。楽しいこともいっぱいありますよ。だから頑張れるの。皆も大人になったら分かりますよ」

ゆずこ「大人になったら」

縁「大人に……なったら」

唯「……」

唯(なるんだな、いつか。そう遠くない、いつか)


キーンコーンカーンコーン





【大人まとめ】

大人は子どもを兼ねる(アダチル)




―――――― 
――

ゆずこ「おかーさん、またね」

縁「ばいばーい」

唯「さようなら」

頼子「はい、さようなら。気を付けてね」

縁「何か今日はまじめな話したね」

唯「だな」

ゆずこ「ちょっぴり大人に近づいた感あるね」

縁「あー、あるある」

ゆずこ「唯ちゃんは帰ったらアダルトサイトにアクセスするのかな」

唯「するかっ!」

ゆずこ「ぎょへっ!」

ゆずこ「んもー、頭はやめてよ唯ちゃ~ん」

唯「お前が変なこというからだろ」

縁「まあまあまあ」

唯(大人になったら)

唯(こんなふうにバカやることもなくなって)

唯(だんだん……)

縁「唯ちゃん?」

ゆずこ「どしたの、唯ちゃん?」

唯「ん。いや、何でも」

唯「大人になっても三人集まったら、きっと子どもみたいにバカやるんだろうな」

ゆずこ「……」

縁「……」

唯「……て、思っただけ、ですけど」

ゆずこ「唯ちゃん」

縁「唯ちゃん」

ぎゅぅぅぅ

ゆずこ「唯ちゃ~~んっ」

縁「唯ちゃ~~んっ」

唯「わっ、こら……離れろバカっ!鬱陶しい!」





セツナイロの青春の記憶は

いつまでもずっと続くもの

今はそう信じたい




                                        (おしまい)

一日早いけど
ゆずこ誕生日おめでとさん

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