比奈「アニメ見るッスよー」文香「…楽しみ、です」 (15)

※めっさ短いです

※デレマスアイドルが実在作品を見る関係上、該当回のネタバレを含みます

※オチで一名ほど静かにエラいことになるので「ただほのぼのが見たかっただけなのに…!」という方には
 ちょっと危険かもしれません

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-荒木比奈の自宅-

杏 「いやー、やっぱり比奈の家はなにも気にしないでいいから楽でいいわー」

比奈「自分もオフはだらけ気味ッスからねー。

   面白いッスか、『うめぼしの謎・完全版』?」

杏 「面白いよー。たしかに比奈が掘り出し物って言うだけあるね。

   比奈の家は面白いマンガとかアニメ山ほどあって飽きないぞっと」

比奈「ウチはネカフェじゃないッスよ…まぁ、色々あるのはその通りッスけど」


ピーンポーン


比奈「はいはい、今行くッスよー」

杏 「佐川?にしちゃ随分落ち着いた呼び鈴の押し方だけど」

比奈「ハズレー。今日はお客人が来るんでス!」

杏 「おおう!?そういうことを隠すなんて…に、逃げよう!」

比奈「ダイジョーブ、杏ちゃんをどうこうする類の人じゃないッス」

ガチャ



文香「…お邪魔します」

比奈「待ってたッス!今日は杏ちゃんも一緒でスよ!」

文香「…はい、大丈夫です。今日もよろしくお願いします」

比奈「とりあえず飲み物の追加出しまスねー」



文香「…あの、杏さん…あまり気にしないとはいえ、入って来てからずっと凝視されるのはさすがに…」

杏 「あー、ごめんごめん。ずいぶんと珍しい並びだなって」

比奈「たしかに接点自体、偶然がなかったら多分なかったッスからね。

   ま、その話はおいおいするとして…早速コレ流すッスよー」

杏 「目的はそれかー。最近ゲームで知ったけど、古い作品だからアニメ本編は見たことないなぁ」

比奈「最近って言うと、やっぱりスパロボ?」

杏 「うん、二次Z。アクションばっかりだと疲れちゃうから、まぁその合間にと。

   スパロボはあんまりやったことないんだけど、携帯機でも派手に動くもんだね。ちょっと驚いたよ」

比奈「あそこまで見栄えがするようになったのはDSやPSPに来てからでスけどね。

   マンガでもゲームでも、やっぱりハードの性能向上ってのは表現力と無関係じゃないッス。

   まぁ、今回のは派手に動くという意味では例外でスけど」



文香「あの、そろそろ見ませんか…?」

比奈「うわぁ、手が止まってたッス!!せっかく来たところで待たせて申し訳ない…!」

文香「いえ、急かしたつもりでは…ゲームの話題も気になるのですが、今は追い付けない部分が多くて…」

杏 「ま、ゲームは向き不向きもあるし。せっかくだし、私も一緒に見ようっと」

文香「…楽しみ、です」



『六神合体ゴッドマーズ』

杏 「なんというか、主題歌からしてすんごい昭和チックだね」

比奈「そりゃあ実際に昭和なんで…」

文香「歌詞も…曲調も…とても、ストレートです…」

杏 「いかにもシンセサイザーっぽい音のせいもあるかもねー」

比奈「あー、ポゥンポゥン鳴ってるアレッスか」

文香「珍しい音ですよね…」



杏 「ん?独身万歳?」

比奈「お約束の空耳ありがとうッス!」

文香「私も…何度聞いても、そう聞こえます」

比奈「何百回聞いても『合体』はホントにバンザイにしか聞こえないので、2人とも耳は正常ッスよー」

杏 「で、OP終わって今回のタイトルは…」



『マーグ・地球に死す!』



杏 「うわぁ…」

比奈「ド直球ッスね…」

文香「いよいよ、なんですね…前回の予告で、わかってはいましたが」

杏 「盛り上がってからだと聞きにくいから今の内聞くけど、なんで今更ゴッドマーズ?」

文香「…ある方の葬式に出席した帰り道、母が…『マーグの葬式に出たことがある』と言ったんです。

   外国人の知り合いかと思ったら、なんとかマーズの登場人物だ、と…それで、興味が湧いて…」

比奈「私は本屋でマンガ探してる文香ちゃんを、偶然見つけたんでスよ。

   古い作品とはいえ、ビブリオマニアがマンガに自分から手を伸ばすのは珍しいなと思って…

   思わずアタシから声をかけて、マンガ版じゃマーズ出ないから『ゴッドマーズ』観賞会に至る…と。

   これまでは曜日を杏ちゃんと変えてたけど、たまには一緒でもいいなってことで今日のこんな感じです」

杏 「うん?『ゴッドマーズ』ってマンガの方と内容違うの?」

文香「…あの、ほとんど別物です…横山光輝氏の『マーズ』と、『ゴッドマーズ』は…」

比奈「正直、世が世なら原作レなんとかだの言われるレベルで違いまスから…

   ただ、『六神合体ゴッドマーズ』の場合は確固たる人気をきちんと得ているので、

   もう原案が同じだけの完全な別作品として見た方がいいッスね」

杏 「その人気の一端がマーグ、ってことかー」

比奈「相変わらず杏ちゃんは冴えてるッスね。

   マーグはアニメオリジナルキャラにして超が付くほどの人気キャラ、でスよね文香ちゃ…」

文香「………」

杏 「あ、こりゃもう見入ってるね」

比奈「文香ちゃん、小説読む時も没入するタイプなんで。

   アタシ達も見るッスよ。そろそろマーグ出てくるあたりじゃないかと」

杏 「よーし、こっちも見るかー」

文香「……」

比奈「スパロボやったなら大体知ってると思うッスけど、マーグは主人公・マーズこと明神タケルの兄で、

   最初は敵陣営の中に留まりつつ影ながらタケルを支援していたんでスよ。

   でもそれがバレて、ズール皇帝に洗脳されて本当に敵対してしまうという…」

杏 「人気の出そうな流れだなー、明確な美形にされてるし」

文香「ああっ、マーグが…!」

杏 「うわぁ、南極のクレバスに落ちて頭から出血…痛そうだなぁ」

比奈「美形キャラのおかげで後頭部出血だけッスけどね」

杏 「カッコ良くても鼻血じゃ…って洗脳解けてる?」

比奈「頭部にショック受けて正気に戻るってのはベタでも、こう思いきり落ちてると納得行くッスね」

文香「…よかった…マーズと、わかりあえた…」




杏 「あ、さっき出てたマーグの部下だ」

比奈「マーグにとってはマーズは弟だし、洗脳されてたとはいえロゼは自分を慕う部下だったから、

   そりゃ双方が戦うってのは避けたいものでスよ」

杏 「タイトルがアレだし、正直嫌な予感しかしないぞ。

   って、やっぱりロゼが撃ったビームの盾になって―」




文香「マーグ!!死なないで!!」




杏 「…文香のハッキリした大声、はじめて聞いたぞ…」

比奈「奇遇ッスね、これまで一緒に見てるアタシも初めてッスよ」

杏 「あ、マーズが瀕死のマーグを回収してる」



『マーグ、もう誰にも渡さない。兄さんは俺のものだ。地球のものだ…!』



文香「……!」

杏 (ガチ泣きだ…)

比奈(ガチ泣きッスね…)

杏 (こりゃあ茶化せるような状態じゃないね…泣きやむまで静かに見てよう。

   あ、こんな状況でアレだけど、スパロボでゴッドマーズが動かないの原作再現だったんだね)

比奈(なにせ不動明王ッスから…特にこのギシン星編は止め絵率ホントに高いんで)

杏 (杏もゴッドマーズみたいな働き方が理想だなぁ…)

文香「…本当に、ありがとうございました」

比奈「いやぁ、一緒にアニメ見てるだけッスから」

文香「特に今日は、実際に見て…母が思い入れる気持ちも、わかった気がします。

   …それではまた明日、事務所で…」




杏 「なんというか、凄かったね。ああいうアニメの見方は最近してないなー」

比奈「アタシも日常系とかパロが多いんで、本気で見入るってのはあんまないッス」

杏 「にしても、マーグの葬式なんてホントにあったの?」

比奈「本当ッスよー。ネタじゃなくてガチもガチ、『明日のジョー』の力石並に本気の葬式だったらしいッス。

   マーグが死ぬとわかった時には製作会社に助命嘆願書やカミソリレターまで届いたらしいッスからね」

杏 「すんごい人気キャラだったってことかー。架空の人物にそこまで入れこめるってのはよっぽどのことだよ」

比奈「そうッスよねー。ただ、マーグの場合は力石と違って、その…あのー…うん…」

杏 「…なんで言い淀むの?比奈セ・ン・パ・イ♪」

比奈「うわぁ、やめるッス!年齢が上とはいえ杏ちゃんから先輩呼びは違和感MAXッス!」

杏 「私だって鳥肌立ちかけてるけど、こうでもしないと比奈ってふんぎり付かないじゃん」

比奈「あー…もう!ぶっちゃけて言っちゃうと、硬派な男性ファン主体の力石と違って、

   マーグのファンって女性がほとんどだったんスよ。それも普通と違って―」

-後日・事務所-

文香「…あの、比奈さん。いつもゴッドマーズ見せていただいて、ありがとうございます」

比奈「いつも言ってることッスけど、アタシはただアニメ一緒に見てるだけなんで。わざわざ改まってお礼言わずとも…」

文香「…マーグ死亡回のお礼になるかわかりませんが、こういうものをお持ちしました」

比奈「そんな気にすることなんてないのに…って、そ、それは…!!!」

文香「…ゴッドマーズ放送当時に書かれた本、です。

   どれもマーグを好いている方が書いたもので、母が沢山持っていたんです。

   …母の好意もあって、少しだけ借りてきてこれました」

比奈「あ、うん…じゃあ、せっかくだから次に見に来るまでの間まで借りようかな…」

文香「…そうしていただけると、私も嬉しいです。私も時間が過ぎるのを忘れるほど読みましたから。

   …あの、これからもよろしくお願いします!」




比奈「まいったなぁ、やっぱり文香ちゃんのお母様はバリバリの貴腐人だったッスか…まさか当時のBL同人誌を持ってくるとは」

杏 「大変だねえ、人付き合いって。そういうのを受け取らざるを得ないんだから」

比奈「見てたんスか、杏ちゃん…歴史資料としては貴重だしマンガの参考にもなるとはいえ、

   誤解を招きやすいものを事務所で持ってるのは正直キツイッス」

杏 「沢山あるってことは今後毎回持ってくる予感もするしね。

   それにそういう本を嬉々として読めるあたり、母だけじゃなくて本人も相当でしょコレ」

比奈「タケルのあの台詞で泣いてたのも、ただ悲しみに浸ってる以上にBLに目覚めた可能性大アリと。

   これまではいたってノーマルな叔父さんの元にいたから大丈夫だっただけで、腐る素質はあったんスねえ…」

杏 「というか比奈が開花させたことになるんじゃないの?堕としたというか、引き込んだというか」

比奈「それだとお母様はともかく、叔父さんにアタシが鉄拳制裁されても仕方ない大問題っすよ!

   ああっ、その本はユリユリのじゃないッス!ふみ…じゃなくてアタシのものッス!

   え?いや、アタシは借りただけでまだ腐っては…!」





杏 「ああ、比奈が由里子に拉致られてく…これは帰ってこないね、今日は。

   にしてもなんというか、ガマガエルからアマガエルにクラスチェンジしても、結局はカエルなんだなぁ…」

[END]

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