凰鈴音「いちかー、いちかー」 (31)

一夏と鈴ちゃんがだらだらするだけの話です

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鈴「いちかー、いちかー」

一夏「どうした?」

鈴「この漫画、読み終わったから次の巻とってー」

一夏「人様の部屋で人様の漫画読んでおいて、その上俺をこき使うか」

鈴「だってアンタのほうが本棚に近いし」

一夏「はいはい。しょうがないな」

一夏「ほら」

鈴「サンキュ」ニコニコ

一夏「女の子は笑ったら許されるからずるいよなあ」

一夏「こればっかりは、女尊男卑の世の中になる前から変わらないらしいし」

鈴「ただの女の子じゃないわ。かわいい女の子だから許されるのよ」

一夏「自分で言うか」

鈴「下手な謙遜なんて必要ないでしょ」

一夏「昔から、鈴はそういうタイプだよな」ハハ

鈴「いちかー、いちかー」

鈴「肩揉んであげよっか」

一夏「ん? 急になんだよ」

鈴「素直な幼なじみの働きに応えて、たまにはアタシがサービスしてあげるって言ってるのよ♪」

一夏「偉そうに……」

鈴「ほらほら、いいから背中向けなさいよ」

一夏「ったく、しょうがないな。鈴は」

鈴「よし。それじゃ、揉むわよ」

鈴「ふんふんふんっ」モミモミ

一夏「おお……いいな」コリコリ

鈴「アンタ相当肩凝ってるわね」

一夏「周りに元気なやつが多いからなあ。あっちこっち引っ張りまわされるし」

鈴「一夏の都合も考えてほしいわね!」

一夏「お前もだろ」

鈴「あれ、そうだっけ?」タハハ


一夏「それにしても、鈴は肩もみうまいな。かなり気持ちいいぞ」

鈴「ふふん、でしょ?」

一夏「こんな特技があるとは知らなかった」

鈴「アタシは大抵のことは器用にこなすから」

鈴「……それに、昔はこうして、お父さんの肩をよく揉んであげてたしね」

一夏「……鈴」

一夏「えっと、あれだ。こんなこと言うのは変だけど」

一夏「俺の肩なら、いつでも貸してやるから」

鈴「………ありがと」フフッ


鈴「でも今日はもう飽きたからいいや」

一夏「おいっ、もう終わりかよ!」

鈴「冗談よ、冗談! 今日のアタシは機嫌がいいの」

鈴「………」モミモミ

一夏「あー、もうちょっと下」

鈴「ここ?」

一夏「あ、そこそこ。はあ~、生き返る~」

鈴「ぷっ、アンタ相変わらずジジくさいわね」

一夏「そうか?」

鈴「そうよ」

鈴「………」

鈴「一夏ってさ。あんまり大きいほうじゃないけど……やっぱり、男の人の背中してるんだ」

鈴「昔とは、違うっていうか」

一夏「男の背中ってやつか?」

鈴「かもね」

一夏「そうか。俺もちょっとはかっこよくなってきたかな」ハハ

鈴「……もう十分かっこいいわよ」ボソッ

一夏「え?」

鈴「なんでもない」

鈴「もっとかっこよくなりなさいって言ったのよ」パンッ

一夏「はは、そうだな。頑張るよ」

別の日

鈴「いちかー、いちかー」ニッコリ

一夏「なんだその笑顔は気持ち悪い」

鈴「アンタお腹空いてない? てか空いてるわよね。お菓子食べたい気分よねっ」

鈴「しょうがないわねーアタシがキャンディーを恵んであげるわ!」

一夏「なにひとつ俺の意思が尊重されていないぞ」

鈴「はいどうぞ! ビターな味の一風変わったキャンディーよ」ドサッ

一夏「しかも袋ごとかよ……お前、また変なお菓子買って口に合わなかったな?」

一夏「いっつも気まぐれでテキトーに買って、まずかったら俺に押しつけるんだからなあ」

鈴「い、いいじゃないのっ。一夏は多分こういう味好きだし!」

一夏「そうなのか? とりあえず一個食べてみるけど」パクッ

一夏「……お、確かにイケる」

鈴「でしょ? 結果オーライよ、結果オーライ」

一夏「鈴は俺の味の好み、わりと当ててくるよな」

鈴「どーよ」←満足げ

一夏「とはいえ、いい加減こういう癖は直したほうがいいと思うけどな」

一夏「いつまでも俺が、すぐ押しつけられる近い場所にいるわけじゃないんだから」

鈴「………」

鈴「そうとは、限らないんじゃない?」

鈴「ひょっとしたら、大人になってもすっごい近くにいるかもしれないし……うん」

一夏「………」

一夏「そうだな。昔みたいにご近所さんってのも悪くないか」

鈴「………」

鈴「にぶちん」ハァ

また別の日


鈴「いちかーいちかー」グッタリ

一夏「なんだー」グッタリ

鈴「あつううううい」

鈴「なんでこんなに暑いのよおおお」

一夏「真夏日に寮の冷房設備がぶっ壊れてるから」

鈴「天下のIS学園がなにやってんのよー」

一夏「んなこと言っても、何度も侵入者を許すような学園だぞ」

鈴「む、それもそうか……って、そこはどうでもいいのよ」

鈴「問題はこの暑さよ。なんとかしなさいよー」

一夏「そうだな……じゃあ」





弾「で、俺の家に涼みに来たと」

一夏「生き返るー」

鈴「弾、お茶ー」

一夏「俺も」

弾「へーへー。すっかりだらけきってやがるな……」

ガチャ

弾「ほら、持ってきてやったぞ」


一夏「ぐー」

鈴「すぴー」


弾「………」

弾「仲良くくつろぎすぎだお前らっ!」

またまた別の日


鈴「いちかー、いちかー」ムスッ

一夏「どうした、機嫌悪そうだけど」

鈴「アンタにとって箒はなに」

一夏「ファースト幼なじみ」

鈴「じゃあアタシは?」

一夏「セカンド幼なじみ」

鈴「それっ!」

一夏「うわっ」

鈴「それが気に食わない! なに、セカンドって! なんか最初から負けてるみたいじゃないのよ!」

一夏「負けるって?」

鈴「それは、その……とにかく、もっと他の呼び方にしなさいよね!」

一夏「そうか。まあ、鈴がいやだって言うなら他のを考えた方がいいな」

鈴「うんうん」

一夏「でもどんなのがいいんだろう」

鈴「バディとか」

一夏「いつから俺達は相棒になったんだ」

鈴「い、いいじゃない別に」

一夏「シンプルに友達っていうのは」

鈴「なんでランクダウンしてるのよ! スペシャル感を出しなさいよね!」

一夏「注文が多いな……」

一夏「じゃあ、順番付けずに普通に幼なじみって言えばいいか」

鈴「えー、なんか手抜きしてる感じがするー」

一夏「めんどくさいなお前」

一夏「うーん……じゃあとりあえず、オンリーワン的なアレでどうだ」

一夏「オンリーワン鈴音(ワンと凰をかけている)、なんちゃって」

鈴「………」

一夏(しまった、滑ったか)

鈴「オンリーワン……えへへ、許す!」ニコニコ

一夏「いいのか……」

鈴「うふふふ。オンリーワン、オンリーワン♪」ニヘラ

一夏(女の子の気持ちって難しいな)

眠いので寝ます
そんなに長くするつもりはないので明日には終わらせられると思います

またまたまた別の日


鈴「いちかー、いちかー」ウキウキ

一夏「どうした、目をキラキラさせて」

鈴「………」ニコニコ

一夏「?」

鈴「今日のアタシ、どこか違うと思わない?」

一夏「……機嫌がよさそう」

鈴「そういうんじゃなくて、見た目の問題よ。ほらっ」

一夏「見た目?」

一夏「………」

一夏「髪切った?」

鈴「切ってない」

一夏「だよな……うーん」

一夏「確かに、言われてみればどこか違うような……」

鈴「お化粧してるのよ、お化粧。クラスの子に教えてもらったの」

一夏「化粧……ああ、なるほど。でもあんまり変わってないような」

鈴「まあ、お試しってことで薄いメイクにしたから。でも気づかないのはさすがに鈍いわよ」

鈴「よく見れば絶対わかるわ」

一夏「そうか?」

鈴「そうよ! ほら、もっとよく見て!」

一夏「わかった」

一夏「うーむ」ジーーー

鈴「………」

一夏「………」ジーーー

鈴「………」


鈴「み、見すぎよバカ……は、恥ずかしいじゃない」カアァ

一夏「えぇ……」

またまたまたまた別の日


鈴「いちかー、いちかー」

鈴「遊びに来たわ。ゲームでもやろ?」

一夏「ゲームか。なににする?」

鈴「そうね………ん?」

一夏「?」

鈴「この匂い……」クンクン

鈴「一夏。ラーメン食べてきた?」

一夏「ああ……すごいなお前。犬みたいな鼻だ」

鈴「ふふん、どーよ」フンス!

鈴「ついでに言えば、アンタが昨日からシャンプー変えたこともわかるわ」

一夏「おお、すげえ。当たりだ」

一夏「鈴って実は匂いフェチだったりするのか」

鈴「ち、違うわよ! 別に、誰の匂いもよくわかるとかじゃないし……」

一夏「でも俺の匂いはよくわかるんだな」

鈴「そうよ。だって……いつも気にしてるし……ごにょごにょ」

一夏「え?」

鈴「だ、だから。一夏のことが……す、す」

一夏「す?」

鈴「す………すき屋の牛丼食べたい気分」

一夏「ん? じゃあ今度食べに行こうぜ」

鈴「うん……約束」

鈴「はあ。アタシ自分の部屋に帰るわ」

一夏「あれ、ゲームは?」

鈴「そういう気分じゃなくなったー……」

一夏「そうか……」

廊下


鈴「はあ……なんで素直に言えないのかな」

鈴「いちかー、いちかー。好きー……って、これだけのことなのに」

鈴「他のことならいくらでも図々しくできるのになあ」


一夏「図々しいって自覚はあったんだな」

鈴「そりゃ、結構わがままも言ってるし………って、一夏!?」

鈴「ア、アンタなんでここに」

一夏「暗い顔で急に帰られたら、こっちも気にするだろ」

鈴「ど、どこから聞いてた!?」

一夏「図々しいってところだけ」

鈴「ほっ……」

一夏「なにかあったのなら、話してくれないか? 俺でよければ力になる……というか、なりたい」

鈴「……どうして?」

一夏「俺の幼なじみが元気ないと、こっちまで調子悪くなるからだ」

一夏「鈴はやかましくて図々しいくらいがちょうどいい」

鈴「な、なによその言い方………ふんっ」

一夏「悪い悪い、怒らせたか」

鈴「べ、べつに怒ってなんて……むしろ逆というか」

鈴「………」

鈴「ほんとに、図々しくしていいの?」

一夏「あんまりひどくなければな」

鈴「えへへ……アタシ、アンタのそういうとこ……ううん」

鈴(言うなら、もっとはっきり言わないと)

鈴「いちかー、いちかー」

鈴「アタシの声、聞こえてる?」

一夏「どうした急に」

鈴「ちゃんと確認しておかないと、いつもみたいに聞き流されると思って」

一夏「はあ……? そんなに大事なことなのか」

鈴「うん、すっごくすっごく大事」

鈴「でもその前に、ひとつ聞きたいことがあるんだけど」



鈴「……アンタ、ウォーアイニーって言葉くらいは知ってるわよね?」

………

……


鈴「いちかー、いちかー」

一夏「………」

鈴「ちょっと、聞いてる?」

一夏「ああ、ごめん。懐かしい呼び方だったから、ちょっと昔を思い出してた」

鈴「ふふっ、たまにはいいでしょ?」

鈴「それとも、いつもみたいに『アナタ』って呼ぶほうが好み?」

一夏「……いや。どっちもどっちで良さがあるな」

鈴「そう。なら、今後は名前で呼ぶときも増やしてみようかな」

鈴「……べ、ベッドの時とか、ね?」テレテレ

一夏「自分で言っておいて恥ずかしくなるなよ」

鈴「う、うるさいっ」

鈴「ほら、そろそろ店開ける時間! しゃきしゃき準備する!」

一夏「はいはい、わかってるよ」

鈴「………」

一夏「鈴?」

鈴「やっと、自分のお店を持てたなぁって思って。これで少しは、お父さんとお母さんに近づけたかな」

一夏「……ああ。あとは、商売繁盛させれば完璧だ」

鈴「そうね」

鈴「じゃあ、今日も一日頑張るわよ!」

一夏「おうっ」


酢豚一皿500円END

おわりです。お付き合いいただきありがとうございます

ゲームを複数出しているにもかかわらず、鈴ちゃんがバージンロード歩いて一夏と二人で中華料理屋開くエンディングが収録されていなかったので書きました
昔は他のサイトで鈴とかラウラとかセシリアの話を書いていましたが、ここでISのSSを投稿するのははじめてです
普段はモバマス書いてます

一夏は鈴ちゃんの酢豚を毎日食べ続ければいいと思う

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