ザコ「勇者と旅に出ることになった」 (948)

俺はザコ。普段生まれた時に授かるはずの精霊の加護を受けていないので強さ的にザコ。現在ニートなので社会的にザコである。
なのでついたあだ名はザコ将軍。
ちなみに父は俺が幼い頃に女作って出て行ったらしいので母はシングルマザー。
どうしてこうなった。

ザコ(やばいぞ。やばいぞ・・このままじゃ確実に惨めな生活を送るだろうからなぁ・・・)

ザコ(酒場行ってみようかなぁ・・けど絶対DQNいるもん!DQN怖いもん!)

ザコ(けどチラ見くらいなら行けるよな・・・暇だし行ってみるか)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1458392974

ザコ(てことで酒場前にやってきたのですが・・・)

ザワザワ・・ザワザワ・・・

ザコ(なんかすごいザワザワしてます)

ザコ(けどよく聞こえないなぁ・・そうだ!ドアをちょびっとだけ開けて見てみるか)カチャ

DQN(血まみれ)「どいつもこいつも手応えねぇなぁ!!おい!」

ザコ(なるほど帰るか)

ザコ(普通主人公ならここでおいお前!なんて言うんだろうけど無理だよ。倒れてるメンツすごいもん!マッチョだらけだわ!!)

DQN(血まみれ)「ん?」

ザコ(あっやべぇ死んだわ)

DQN(血まみれ)「何見てんだてめぇコラァ!!!」

ザコ「スミマセン・・・」(なんで見ただけでキレるんだボケェ!!![ピーーー]ぞ!!!!)

DQN(血まみれ)「俺のことにらみつけやがって・・・」

ザコ(にらみつけてないからぁ!!にらみつけてないからぁ!!!)

DQN(血まみれ)「なんかイライラしてきたわ。一発殴らせろよ」

ザコ「は!?意味わかんねぇこと言ってんじゃねぇぞてめぇ!!!」(スミマセン・・・)

ザコ(しまった!逆ゥー!!!)

DQN「てめぇみたいな雑魚が調子乗ってんじゃねぇよ!!!!」ヒュッ

ザコ(お母さん・・ごめんなさい・・・俺多分死にます!!!)

「おいお前!!」

ザコ(おや?)

DQN「誰だ?お前」

勇者「俺の名前は勇者。光の加護を受けた勇者だ!!」

DQN「なに!?」

ザコ(勇者キター!!!!)

DQN「勇者?光の加護を受けたとか言って調子に乗ってるやつか」

勇者「酒場の人たちだけじゃなく弱い人間にまで手を出して・・恥ずかしくないのか!」

DQN「あ!?恥ずかしくなんてねぇよ!弱い奴なんてただのストレス解消の道具なんだよ!」

ザコ(おや?)

勇者「お前・・・!許せない!!」

ザコ(おやおや?)

DQN「そんなに許せないなら止めてみろよ!!」

ザコ(なんていうか・・)

勇者「言われなくてもそのつもりだ!」

ザコ(漫画の第1話みたいになってきましたねぇ・・・)

DQN「来いよ・・ぶち殺してやる」

勇者「・・・」ザッ

ザコ(まさか勇者のガチバトルを見られるとはなぁ)

勇者「お前なんて一撃で十分だ」

そう言うと勇者はDQNの方へと一気に近づく。

ザコ(速い!)

DQN「!」

あまりの速さにDQNの反応が遅れた。DQNはすぐにかわそうとするも時すでに遅し。勇者の一撃をくらい壁へと吹き飛ばされる。と同時に発生した小さな衝撃で俺は店の外へと吹き飛ばされてしまった。

ザコ(これがガチバトル・・・やっぱ俺って雑魚だなぁ・・)

ザコ「ん・・・?ここは・・」

吹き飛ばされた俺はそのまま気絶してしまったらしい。気づけば俺はベッドの上で寝ていた。

勇者「起きたのか!ここは酒場の近くの宿屋だよ。えっと・・さっきはごめん」

ザコ「いやいいよ。俺が雑魚すぎただけだし」

さすがに殴った衝撃で吹き飛ぶなんて想定外だったのだろう。勇者はなんだか微妙な顔をしている。

勇者「あれで吹き飛んだってことは君はいわゆる『無加護者』なの?」

ザコ「ああそうだよ」

この世界に生まれた時に必ず女神により加護を受けるのだが、まれに加護を受けることができない人間がいるらしい。女神によると

女神『やっぱ加護の授与の機械化は無理があったかー!メンゴメンゴ!!無加護者は自分で女神の泉に来てくれたら加護与えるんでガンバ!」

ということらしい。だが女神の泉はこの国からは遠く残念ながら国の周辺から遠くへは魔物の強さも上がるので行けないのだ。

勇者「なら俺と一緒に来る?」

ザコ「ファ!?」

ザコ「そんなの無理だ!勇者には国から指名された強者達が同行するんだろ!?足手まといになるし空気に耐えられない!!」

勇者「いや、同行は断ったよ」

ザコ「え?なんで?」

勇者「自分がいろんな人達を見て。この人となら旅ができるって人たちと旅をしたいんだ」

ザコ(これは主人公ですわ)

勇者「それに僕は足手まといだとか気にしないよ。だから・・・一緒に行こう」

ザコ「いや、すげぇ行きたいけどさ。なんでそこまで俺に良くしてくれるんだよ」

これで偽善めいたこと言うようなら蹴り飛ばしてやる!できないけど

勇者「それは・・ただの俺の自己満足だよ。無加護なんてかわいそうだと俺は思う。だからそれを解決してあげたい。それだけだよ」

勇者「まぁ加護を受けて強くなったら仲間になってもらおうとかいう欲もあるけどな・・・」

ザコ(何こいつ超イケメン・・・自分の思いをまったく隠してない・・!)

ザコ「わかったよ・・俺もこのままクソみたいな人生送るのもやだだからな」

勇者「よし決まった!これからよろしくな!」

ザコ「ああ。よろしく」

かくしてクソ雑魚の俺が勇者と旅をすることになりました。

とりあえずプロローグ?的なのは終わりです。見てくれてる人いるのかな?
とりあえず頑張っていきたいと思います。レスください!

ザコ(てことで勇者と冒険することになったのですが・・・)

スライムの攻撃!

ザコ「グハァ!!!」

勇者「ザコ!!」

ザコ「あー骨何本か逝きましたわコレ・・グフッ」

勇者「スライムの一撃で瀕死になるとは思わなかったよ」

ザコ「ちょ、感想いいから回復してくれない?マジ死にそうなんだけど」

勇者「ああ、そっか。ごめん」

勇者「呪文・ヒール!」

俺の周りを青白い光が包む

ザコ「はぁ〜癒される〜」

と、こんな感じでスライムにも勝てません
勇者「スライムってプニプニしてるから大したダメージ受けないはずなんだけど」

ザコ「ひねくれて自分の魔翌力まったく鍛えてなかったから・・・」

普通人間は二つの魔翌力を使うことができる。加護によって与えられた魔翌力と自分自身が持っている魔翌力だ。例え加護をもらえなくても自分の魔翌力を鍛えればさすがにスライムには勝てるのだが、俺はまったく鍛えなかった。ほぼ自業自得である。

勇者「お前・・・」

ザコ「なにその冷たい目!やめて!自己満足って言ってたじゃん!!」

勇者「ハァ・・・ちなみに君の魔翌力はなんなの?」

ザコ「木」

勇者「」

木の魔翌力。確かに大木を出現させたりと強そうに見えるが。防御に使うなら鉄の魔翌力があるし、大きなダメージを与えるには植物を成長させないといけないので冒険者よりも農家人気が高い。

勇者「まぁ加護を受ければもう少し使えると思うから・・・」

ザコ「その反応やめて!お願いだからやめて!!」

勇者「てかもう夕方になりかけてるんだけど・・・」

<ハナシカエルノヤメテ!ケッコウキヅツクカラ!!

王都から出発して現在8時間経過
未だ2の街に到着せず

勇者「これは野宿するしかないぞ」

ザコ「女顔の勇者と二人きり。なにも起きないはずはなく・・・」

勇者「!」ゾクッ

勇者「そういうのやめてよ!!」

ザコ「ハッハッハッハッハ!!!」

しかしさすがニート。テントの建て方を知らない。

勇者「えっと焚き火用の木を取ってきて・・・ていうか魔法で作れないの?」

ザコ「おいおいなめてもらっちゃ困るぜ?行くぞ!」

ザコ『生成・枝!』

しかしさすがザコの俺。でてきた枝は僅か3cm。

勇者「枝・・・?」

ザコ「うん、取ってくるわ」スタスタ

勇者「少し練習すれば長いの出せるようになるから気に病まないで!!」

ザコ「さすがに気にするわ!!」

勇者「!」ビクッ

ザコ「だって旅出てからなんかお前当たり強いし!!クソだと思ってるならはっきり言えよバーカ!バーカ!!」

勇者「・・・」

ザコ「あっ、いやその・・ごめん」

勇者「いやいいよ、俺も悪かったし」

勇者(はは、ちょっと強く当たって確かめようなんて、ガラにもないことするもんじゃないな)

勇者「けど思った通り悪い人ではないみたいだな。王様に言われたこの方法もやるべきじゃないよな」

王様『変な仲間に捕まらないか心配じゃなぁ・・・そうじゃ!少し強く当たってボロを出すか確かめるのだ!!」

勇者『えぇー!!』

<ワー!!ギャー!!!

勇者「ん?」

ザコ「勇者!勇者!!助けて!!!狼来てるから!!!」タッタッタッ

勇者「え!?」

狼型魔物「クオォン!!」

勇者「逃げてろよ!すぐ行くから!!」

とりあえず今はここまで

レス見て展開変えたわけじゃないよね

>>29
ち、違うから(焦り)

<朝>
ザコ(やべぇ、狼に噛まれてから記憶ねぇや)

勇者「あ、おはよう!」

ザコ「おはよう。てかまたおれ瀕死状態になってたのか」

勇者「俺が駆けつけたときにはすでにね」

ザコ「ごめん・・」

勇者「気にするなよ!その分加護をもらったら活躍してもらうけどな!」

ザコ「お前加護もらっても雑魚だった時が怖いからそういうのやめろよぉ!!」

勇者「ははっ。ごめんごめん」

勇者(今日中には二の町に着きたいな)

スライム「プルプル」

ザコ「出たなスライム!今度こそ勝つ!」

勇者「頑張れ!」

ザコ『呪文・つるのムチ!』

蔓「」シナッ

ザコ「何これシナッシナッ!!」

勇者(マクドナルドのポテトにたまにああいうのあるよね)

スライムの攻撃!

ザコ「おっと危ない」サッ

勇者(ザコもそれなりに要領がわかってきたみたいだ。3回に1回しかダメージを食らってない)

狼型魔物「クオォン!」ガブッ

ザコ「ああああぁぁぁ!!!」

勇者(スライム限定だけど)

ザコ「二の町着いたーー!!!!」

勇者「お疲れ様」

ザコ「ていうか俺ばっかりに戦わせて勇者はいいのか?」

勇者「俺はザコが戦ってた間に別の奴と戦ってたからね」

ザコ「マジかよ・・・」

勇者「マジマジ。それじゃあまず国営店に行こうか」

国営店は国や町が経営している店。私営店は個人で経営している店だ。国営店は良くも悪くも普通だ。だから強い冒険者は行きつけの私営店なんかがある。俺もそういう店を見つけたい!

ザコ「先に宿屋に行かないのか?」

勇者「剥ぎ取った魔物の毛皮とか売りに行きたいし」

ザコ「・ぎ取りもしてたのかよ!!」

冒険者がお金を稼ぐ方法は
・ギルドでクエストを受けて報酬をもらう。
・魔物から剥ぎ取った物を売る
この二つだ。
けど後者はそれなりにコツがいるし汚れるので皆毛嫌いしている。

勇者「2000ゴールド!」

ザコ「おお!!」

勇者「ザコがスライムとばっかり戦ってたからスライムの宝玉が手に入ったね」

ザコ「ここらへんにしては高いけど宝玉的には安いな」

勇者「よし!お金も貯まったし宿屋に行こう!」

>>36
・ぎ取りもしてたのかよです

剥ぎ取りもしてたのかよです!
何度もすみません

<宿屋>
勇者「ちょうど二人部屋が空いててよかったね」

ザコ「女顔の勇者と二人きり。何も起きないはずはなく・・・」

勇者「それいちいち言っていくの!?」

ザコ「ハッハッハ!!!」

勇者(うーん。デジャブ)

ザコ「あ〜フカフカのベッドで寝ることがこんなに幸せだとは」

勇者「毎日寝れるとは限らないからなぁ・・・」

ザコ「ああ。寝られるように強くなるさ」

勇者「そういうつもりではなかったんだけど」

ザコ「って風呂入ってねぇ!!」

勇者「あ!」

ザコ「勇者はそういうの気にしそうなのにな」

勇者「俺だって疲れたしな」

ザコ「一緒に入るか?」ハァハァ

勇者「そのテンションのお前と入る気はない!!!」

旅に出て2日経った。目的地の女神の泉があるのは四の町の近く。まだまだ旅は長そうだ。

今回はこれで終わり!

ザコ&勇者「鬼?」

老婆「えぇ・・人喰いの鬼によって若いもんは皆攫われて。わたしの子どもも鬼に食われてしまいました」

勇者「それは酷いな」

ザコ「その鬼はどこに?」

老婆「町はずれにある洞窟に住み着いています。数日ごとにやってきて攫っていくのです」

勇者「なるほど。行こうザコ!」

ザコ「もちろん!」

老人「行ってくださるのですか!?」

ザコ「ああ!鬼なんて退治してやるよ!」

勇者(ザコ・・・それなりに戦えるようになって自信がついたみたいだな)

ザコ「勇者が!」

勇者「えー」

クエスト:人喰いの鬼から町を救え!

ザコ「てことでやってまいりましたー!鬼の住む洞窟!!」

勇者「道中全カット!」

ザコ「やっぱり敵も強いな。4回死にかけた」

勇者「けど蔓もシナシナにならないようになってきたし成長してるよ」

ザコ「あっまじすか!?あざーすっ!」

ザコ「けど勇者には及ばないな」

勇者「そりゃあ無加護だもん。及ばないに決まってるじゃん」

ザコ「こいつの胸の抉り方超ストレート!」

青鬼「おい」

ザコ「」

勇者「しまった!」

青鬼「侵入者か。またあの町の骨のない奴か?」

勇者「違うさ。俺はあの町の人に依頼されたんだよ。お前らを倒してってな」

青鬼「自分たちじゃ無理だから他の奴らに頼もうってか?ははっ、雑魚が考えそうなことだ」

ザコ「俺そんなの考えないからぁ!!!」

勇者「待てザコお前じゃない」

青鬼「まあいい。どれほどの力を持っているのか、見せてみろやぁ!!」

そういって青鬼はこちらへと近づいてくる。

ザコ「お前を見てると某ホラーゲームの奴思い出して怖いから許せん!」

ザコ『呪文・つるのムチ!!』

青鬼足元から蔓が出現する。その蔓は青鬼の足の上を通りもう一度見地面に突き刺さる。そして青鬼はそれに足を引っ掛け転んでしまう。

勇者「おぉ!!」

ザコ「これぞ応用技。呪文・プラントラップ!!」

とりあえず今はここまで

勇者「すごいじゃんザコ!青鬼を転ばせるほどの強度をいつの間に!!」

ザコ「だって今ので魔力使い切ったからな」

勇者「えー」

青鬼「くそ・・・」

ザコ「勇者早く攻撃!!俺の魔力が無駄になるから!!」

勇者「そうだった」

勇者『呪文・ライト!!』

勇者の手のひらから勢いよく発せられた光弾が青鬼に直撃する。

青鬼「ぐっ・・ああああぁぁ!!」

ザコ「わかりやすい効き方してるな」

赤鬼「おいどうした!!」

黄鬼「何かあったのか!?」

青鬼「こいつら・・侵入者だ!」

勇者「しまった!」

ザコ「仲間きたぞ!!どうするんだよぉー!!!」

勇者「1体にダメージを与えているとはいえ3対1か・・・」

ザコ「勇者さん?俺も入れて?」

ザコ(やっぱこいつたまに悪くなるよな。初期のイケメンどこ行った!)

黄鬼「とにかく覚悟しろ?てめぇら生きて帰r痛て!!」

青鬼「どうした!?」

黄鬼「やべっなんか刺さったし!マジ痛てぇ!!」

赤鬼「あっ木の枝刺さってる」

黄鬼「まじ?抜いて抜いて!」

ザコ「ふっ、またもや俺のトラップにかかったのか」

赤鬼「なに!?」

ザコ「木で作った即席のまきびしだ。一個作ったら魔力使い切るけどな」

勇者「本当だ、すごい聖水減ってる・・・」

ザコ「しかも木で作ったからすぐ壊れる!恐るべき燃費の悪さ!」

勇者「それ自分で言っちゃ駄目でしょ!」

ザコ「さぁさぁ今のうちに攻撃!」

勇者「自分のペースで動きすぎだよ・・・」

黄鬼「地味に数多いぞこのまきびし!」

赤鬼「痛っ・・」

勇者『呪文・ライト!ライト!ライト!ライト!ライト!ライト!ライト!』

鬼達「ぐあああぁぁぁ!!!」

光魔法の連打の前に鬼達はなすすべもなくやられた。それはもう一方的に・・・

ザコ「なんだ、どれだけ強いのかと思ったらそんなにだったな」

勇者「いや、今回楽に勝てたのは運が良かっただけだよ。相手が末端の兵士で、俺が光魔法を使えたから下級魔法で勝てた。この勝負は本当に奇跡と言っていいよ」

ザコ(それに偶然鬼の弱点が足だったからまきびしが効いたし蔓で転ばせたのか・・・)

勇者「実際魔王軍の幹部となれば上級の光魔法でも簡単には倒せない」

ザコ「魔王軍・・・幹部・・・?」

勇者「そう。例えば「俺とかな」

ザコ「え?」

そこにはさっきの鬼よりもひとまわりもふたまわりも大きい鬼がいた。
勇者「嘘・・だろ・・・?」

??「そんなに驚くなよ。俺は今回は噂の勇者様がどんなやつか見に来ただけだからよ」

ザコ「魔王軍幹部なんて冗談だろ!?どうせ地方のボスとかそんなんだろ!?」

勇者「いや、こいつは本物だ。文献で見たことがある。魔王軍七幹部の一人、鬼王・・・」

鬼王「お、さすがにお勉強はしてるみたいだな」

ザコ(いきなり幹部戦ですか!?こんなの聞いてねぇぞ!!!!)

ザコ(俺はリア充人生送るために加護を受けるための旅をしてただけでこんな・・・)

ザコ(こんな奴と戦う気ねぇよ!!)

鬼王「へへっ、それじゃあどれくらい強いのか見せてもらおうか。まあまだ弱いのはわかってるから」

鬼王「死なない程度に手加減してやるよ」

勇者「ザコ!逃げ・・・」

俺にはその時何か起きたか全く分からなかった。気づけば鬼王の攻撃で勇者が吹き飛ばされていた。気づけば鬼王が勇者に致命傷を与えていた。気づけば俺は鬼王に爪で切り裂かれていた。気づけば俺たちは・・・完全敗北していた。

俺は今まで感じたことのない痛みを感じてただ怯えることしかできなかった。

鬼王「まさかここまで弱えとはな。特に勇者の仲間。さすがに雑魚すぎるだろ」

ザコ「あっ・・・あっ・・・」ジワッ

俺は恐怖と痛みのせいで失禁してしまっていた。

鬼王「さすがに敵の前で失禁するか?」

勇者のほうを見ると、血を流している。今までの人生で見たことないような・・・いや、ある?見たことのない景色を思い出して俺は混乱した。

??「鬼王!!!!」

突如現れた誰かが鬼王斬りかかる。鬼王が少し押されているようだ。

ザコ(くそ・・・やばい死にそう。手加減されてるとはいえ幹部クラスの攻撃受けて死んでないとか奇跡だろ)

鬼王「くそ!中央警備か。うっとおしい奴らが来たもんだぜ」

ザコ(中央警備・・・?なんだよそれ。誰でもいいから追い払ってくれよ・・・
もうダメだ。意識が持たない。)

俺がその時最後に見たのは鬼王とほぼ互角に戦う誰かたちの姿と血だらけの勇者だった。

ザコ(くそ・・勇者・・・)

ザコ()

今日はこれで終わり。
このスレ初のシリアス。苦手。

目が覚めると俺はベッドの上だった。
どうやら生きてはいるらしい

ザコ(これは奇跡だな。神に感謝!)

まあその神が加護を与えなかったせいで旅に出ることになったんだけどな。

??「目が覚めたようだね」

そこにいたのは一人の美少女。神は金色で俺に微笑みかけている。これはメインヒロインですわ。

ザコ「誰だ?」

騎士「私は武の国で中央警備隊に所属している騎士だ」

ザコ「なにそれ・・・」

神じゃなくて髪でした!

引きニートである俺はこの世界の地理を全く知らない。鬼王が中央警備と驚いてたくらいだから有名なのだろうが、俺は全く知らない。

ザコ「そうだ、勇者は!?」

騎士「それが傷は回復したのだがまだ目を覚まさないんだ。切り裂かれただけの君とは違い、鬼王の攻撃を二発ともまともに受けたからね」

ザコ「そんな・・・」

騎士「それにしても、旅を始めたばかりとはいえ無加護の君が生きてるくらいだからさすがに一撃目は防げるはずなのに、何があったんだろうか」

ザコ(無加護ってばれてますやん・・・)

俺は勇者がやられた理由を知っている。
なぜなら勇者は俺を気にしていたせいで攻撃をくらったのだから。

ザコ「ていうかここは?」

騎士「三の街の病院だよ」

知らないうちに少し得していたらしい。
やったぜ!

騎士「目覚めたのが確認できたしもう行くよ。さすがに勇者くんの目が覚めるまで待ってたら時間がかかりすぎると思うからね」

ザコ(マジかよ!行かないでくれメインヒロインー!!!」

騎士「そんなに言わなくても、君が武の国に来ればきっと会えるさ」

ザコ(声に出てた・・恥ずかしい!)

金髪の女騎士は去って行きました。くそ!!!!!

今はこれで終わり。

数日後、俺は動けるまでに回復しました。町が壊滅しかけた原因となった鬼達を倒した功績で報酬がザックザク!しかも勇者が目覚めるまで町にいていいという。太っ腹だぜ!!

ザコ(てことでね、この世界が今どうなってるのかというのを調べるために図書館にやってまいりましたー)

ザコ(あんま本とか読まないんでわかりやすいものが、お?これなんかどうだろうか)

『世界の常識大全集』

ザコ(恐ろしいほどにそのままじゃねぇーか)

ザコ(魔王軍についてはどこにあるのだろうか。あった!『p456魔王軍七幹部』厚いなこれ)

魔王軍七幹部とは魔王を除いた7匹の最強の魔物達のことを言い、それぞれが王の名を冠している。
強い順に騎士王、竜王、獣王、鬼王、腐王、闇王、智王がいる。
それぞれが恐ろしい力を持っており、あったら逃げるのが賢明だぞ!

ザコ(逃げれたら苦労しないんだけどな)

とりあえずこの本を読むことで知識を蓄えることができた。魔物と魔獣に分かれているとかいう情報も知った。学校で習うらしいけどイジメにびびってたから授業なんて聞いてないぞ!

<一週間経過>

ザコ(やっべぇどうしよ、超暇なんですけどぉー!図書館の本もニート時代に培った超高速読術で制覇してしまったしな)

ザコ(よし!クエストでも受けるか!)

町にあるギルドにやってまいりました

ザコ「なるほどなるほど、危険度3以上しかないのか・・・」

ザコ「俺だけじゃ死ぬし、帰るか!」

ザコ(ってダメだろ!頑張るって決めたんだ、目指せ脱雑魚!!)

ザコ(そうだ!仲間を探そう!募集したり!されたり!)

ザコ(俺のレベルがたぶん今10くらいにはなってるんじゃないだろうか。順調進んできたから補助でならいけるはずだ)

〔初心者歓迎!レベル15以上募集!〕
〔上級者募集、レベル30以上〕
〔ワイワイやりましょう!レベル12以上募集〕

ザコ「・・・」

その時俺は女騎士に言われたことを思い出した。

騎士『三の街の病院だよ』

騎士『三の町の病院』

騎士『三の町』

ザコ「ああああああぁぁぁぁ!!!!」

ザコ(二の町から三の町への旅路をすっ飛ばしたせいでその分の経験値が俺たちにはないんだ!!)

ザコ(やばいぞ、選択肢がすげぇ減るぞ・・・)

ザコ(DQNは嫌だ、DQNは嫌だ、DQNは嫌だ、DQNは嫌だ、DQNは嫌だ、DQNは嫌だ!)

〔レベル制限なし!周辺でレベル上げしましょう!〕

ザコ「これだー!!!!」

ザコ「これに!参加!したい!です!」

マスター「え?あぁ、待ってろよ、すぐに呼んでくるから」

炎勇者「無理だ」

ザコ「えええぇぇぇぇ!!!」

ザコ「なんで!レベル制限ないんじゃないの!?」

炎勇者「レベル制限はないが、それは加護があればの話だ。加護がなければ話にならん」

ザコ「ふざけんな!納得できるか!」

DQN戦士「言ってる意味わかんねぇのか!?雑魚に用はねぇんだよ!!」

ザコ「ワカリマシタ」(納得いかねぇ!俺と勝負しろ!!)

ザコ(DQNがいるならこっちから願い下げだわ!バーカ!!!)

今はこれで終わり!

ザコ(なんだあいつら!炎勇者って言ったか?勇者ならもっと聖人になれよ!うちの勇者を見習え!!)

ザコ「こりゃなんとかして俺だけで戦わなければならないのか・・・?」

ザコ「こうなりゃしかたない!レッツバトル!!」

<三の町周辺>
ザコ(と、意気込みつつ来たわけですが)

蜂型魔物「・・・」ブーン

ザコ「どうしよう、勝てない。ドヤ顔でプラントラップしてやるつもりが飛んでちゃ意味ないだろうが!」

ザコ『呪文・まきびし!』

蜂型魔物「・・・」ブーン

ザコ「飛んでるから意味がない!」

ザコ『呪文・つるのムチ!』

蜂型魔物「・・・」ブーン

ザコ「さすが俺!雑魚すぎて届かない!」

ザコ(ていうか俺の呪文のレパートリー少なすぎ?)

蜂型魔物は仲間を呼んだ!

蜂型魔物A、B「・・・」ブーン

ザコ「!?」

蜂型魔物A、Bは仲間を呼んだ!

蜂型魔物A、B、C、D「・・・」ブーンブーン

ザコ「着々と仲間増やしてるー!!」

ザコ(やばいどうしよこれ、やばいぞやばいぞ)

ブーンブーンブーン

ザコ(どうすれば勝てる・・・!?図書館で呼んだ魔術本に何か・・・)

ブーンブーンブーンブーン

ザコ(めんどくさかったから全然読んでねえー!!!)

ブーンブーンブーンブーンブーン

ザコ「てかさっきからうるさいぞ蜂野郎!!!」

蜂型魔物A〜Z「・・・」ブーンブーンブーンブーンブーンブーン

ザコ「」

ザコ「えっと・・・蜂って案外近くで見ると可愛いね」ニコッ

蜂型魔物A〜Z「・・・」ブーンブーンブーンブーンブーンブーン

蜂型魔物A〜Zの毒針攻撃!

ザコ「やっぱ可愛くないいぃぃ!!」

俺が諦めかけたその時だった、突如現れた少年が一瞬にして蜂型魔物の群れを倒したのだった。

武闘家「大丈夫か?」

ザコ「ヒャイ、ライジョウブレス」

武闘家「大丈夫じゃなさそうだな・・」

今日はここまで。
名前欄の個人証明みたいな奴ってどうやってるんですか?

俺は今酒場にいる。俺の命を助けてくれた武闘家に少しでもお礼がしたかったのだ。

武闘家「あの蜂に刺されると麻痺して動けなくなるから次から気をつけるといい」

ザコ「わかりました!」

武闘家「そういえばあの蜂からドロップした物を渡していなかったな」

ザコ「ドロップ?」

武闘家「知らないのか?」

もちろん知っている。何冊読んだと思ってるんだ。魔物は敵の区別の一つだ。闇の魔力で誕生したのが魔物。元から存在していた動物が魔力によって凶暴化したのが魔獣である。

ザコ(この町は大体の説明パートらしいな。って何思ってるんだ俺・・・)

魔獣の場合は・ぎ取る場合があるが、魔物の場合は死ぬと消滅する。その時にアイテムを落としたりする場合があるのだ。これがドロップアイテムである。

ザコ(蜂を倒したところでろくなものが無かった。毒針なんて何に使えばいいんだよ)

そう思っていると彼が口を開いた

武闘家「お前はなぜ一人でクエストを?」

ザコ「俺は無加護だから誰もパーティーに入れてくれなくて・・・」

武闘家「そうか」

そう言うと彼は一枚の紙を見せた
入門生募集と書いてある。道場の勧誘の張り紙らしい。

武闘家「もし迷惑じゃなければ、明日ここに来るといい」

ザコ「それはつまり?」

武闘家「俺がお前を鍛えてやる、ということだ」

ザコ「ほんとですか!?」

武闘家「ああ」

俺にとっては嬉しいことだ。体術を覚えれば魔力が少なくてもそれなりに戦える。

ザコ(この町で説明パートと修行パートを両立するのかって何思ってんだ俺)

勇者が目を覚ましたと聞き俺はすぐに病院へと駆けつけた。体に異常は無いそうだ。さすが勇者。

ザコ「その炎勇者って奴がよ、これがまた酷いんだよなぁ、勇者みたいな聖人じゃないんだなあいつ・・・」

勇者「そうなんだ」

ザコ「勇者なんだからもっと正義に生きろよなぁ」

俺は鬼王に殺されかけてからのことを勇者に説明した。

勇者「だけど実際光の加護を受けた人が全員いい人ってわけじゃないんだ。性格が悪い人だっているし、悪に染まる人だっているんだ」

ザコ「そうなのか。けどお前はいい奴じゃん」

俺がそう言うと、勇者は数秒の沈黙の後に言った。

勇者「僕は君が思うほど聖人じゃないよ」

ザコ(なんか意味深だな・・・てか僕?)

ザコ「お前の一人称って俺じゃなかったけ?」

勇者「あ!」

勇者は焦った表情をした。道中でのクソ下手な悪者演技といい案外嘘つくこと多いな。そういう点ではさっき勇者が言ったことに当てはまるのか・・・
いや悪者演技には騙されてないぞ俺は!本当だからな!

勇者「いやぁ、他の人に舐められないようにって強い勇者であろうとしてたけど、やっぱり苦手だなぁ」

ザコ「下手な演技はするなよ・・・」

勇者「そういえば武闘家って人にきたえてもらってるらしいね!」

ザコ「ああ、まあな」

勇者「ザコも僕に善戦できるくらいは強くなったのかな?」

ザコ「いや、その・・・」

勇者「三の町の武闘家ってそれなりに有名だからね」

ザコ「そ、そうなんだぁ・・・」

ザコ(ごめんな勇者、武闘家に会ったのは今日の朝やねん。修行パートなんて無かったんや・・・)

次の日には勇者は完全に回復していた。早すぎるわ。

勇者「さて、これからどうしようか」

ザコ「仲間でも増やすか?俺一人じゃ無理だったけど勇者の名前を使えばいけるだろ」

勇者「そっか、なら武闘家を仲間にしよう」

ザコ「は?」

ザコ「何言ってるんだよ!勝てるわけないだろ!!」ガシッ

俺が弱すぎたとはいえ蜂型魔物の大群を簡単に倒した時点で勇者でも彼には釣り合わないだろう。

勇者「そ、そんなに否定する?てか顔近いから離れてよ...///」

ザコ「あ、ああ。ごめん」

なんていうか、男の娘度が増しとる。一人称が変わったせいで増しとる。あとなんか弱気になって増しとる。グッジョブ鬼王!

勇者「でも彼がパーティーに入ればかなり楽だよ」

ザコ(さりげなく俺をけなしてくるその姿勢、嫌いじゃない)

勇者「話題になって注目も集まるしね」

ザコ「けどまともに戦っても絶対勝てないぞ?」

勇者「だからなんとかしてこっちが有利になる状況へ持ち込むしかないね」

ザコ「例えば?」

勇者「それが浮かんでたら言ってるよ」

ザコ「なるほど確かに」

ザコ(武闘家に勝つ方法か・・・正直浮かばんな)

勇者も必死に考えているようだ。だかあまりいい案が浮かばない模様だ。

ザコ「けどうまいこと会話を誘導すればいけるかもしれないな」

勇者「なるほど、じゃあ一か八かやってみようか」

ザコ「て言ってもまだノープランなんですけどね」

俺たちは作戦を考え続けた。けどその時の会話にかけるなんて勝率低すぎますよね。

俺たちは武闘家のいる道場の扉の前に来ていた。

ザコ「勝てるきしねぇよ・・・」

勇者「まあ負けて死ぬわけじゃないし、気楽にやろうよ。僕は二人旅でも問題ないしね」ニコッ

ザコ「あ、ああ」

ザコ(大事なのは最初だな。堂々としていよう!)

俺は扉を開く、俺に注目が集まる。俺は大きく息を吸い言った

ザコ「タ、タノモー!」

いきなり失敗した、マジ恥ずかしい。死にたい

武闘家「来たのか、って勇者様も一緒なのか」

ザコ「ああ」

武闘家「勇者様の方は十分強いと思うが?」

勇者「いや、今回は稽古を受けに来たんじゃないんだ」

武闘家「?」

ザコ「武闘家!俺たちと勝負しろ!!」

決まったぜ・・・!

武闘家「勝負?」

勇者「ああ、僕らが勝ったら僕たちの仲間になってほしい」

武闘家「俺が勝ったら?」

勇者「始まりの国から道場に支援金でも出してもらおう」

ザコ(さらっと母国の金賭けやがった!)

武闘家「なるほど」

武闘家は悩んでいる。武闘家は勇者の強さを知らない。もし負けた時の場合を考えているのだろう。けどこの道場は私営だったはず、支援金がもらえるのは大きい。そして考えが決まったのか、俺たちのほうを向き言った。

武闘家「その勝負、乗った」

今日はここまで。ガチ戦闘とか表現できる気しませんわ

ザコ「よし、まずは行ってこい勇者!」

勇者「ああ!」

ザコ(まずはとは言ってたけど勇者が負けたら終わりなんですけどね)

勇者と武闘家が向かい合う。すると武闘家は何故か顔をしかめた。

武闘家「武器は使わないのか?」

勇者「いや、僕は武器を使わないよ」

普通はこういうところには治癒魔術の魔法陣があるものだ。だけどここは私営だから魔法陣がない。だから勇者は剣を使えないのだ。もし剣を使ったところで武闘家に勝てるかはわからないが・・・

審判はこの道場の師範がするらしい。
明らかに厳しそうな顔をしているジジイだ。マジ怖い。

ザコ(そういえば勇者って武器無しだとどれくらいの強さなんだ?)

俺は勇者が剣を持っている時しか知らないのでよくわからない。まあ色々な人が一目置いてる時点でそれなりには強いんだろうが・・・

ザコ(この勝負、お前がどれだけ武闘家の意識を集中させられるかにかかってるんだからな)

道場の師範が勇者と武闘家それぞれを見る。どちらも準備は整っている。

師範「それでは、始め!」

戦いの火蓋がついに切られた

まず動き出したのは勇者だ。一気に武闘家に近づく。武闘家が思っていた以上に速かったのかかわすことができず顔面に一撃。

武闘家「くっ・・」

勇者は続けて攻撃を繰り出そうとするが、簡単に受け流されてしまう。

勇者「!」

お返しとでも言うように武闘家は勇者の腹部に蹴りを入れる。のけぞる勇者。
武闘家はそれを見逃さず勇者に追撃。
なんとか勇者はそれを受け止める。

ザコ(そういえばこれ勝ち負けってどう決めるんだろう。緊張しすぎてたからまったく聞いてねえよ・・・)

弟子みたいな奴に聞いてみたら降参と言ったら負けなんだと。外道なら痛ぶるルールだな。

気づけば勇者はかなり追い詰められていた、しかし武闘家はかなり余裕がある。

勇者「はぁ・・はぁ・・・」

そういえば俺って案外目が良いんだよな。勝負の内容も事細かに見えるし。

ザコ(って今関係ないだろ・・・ちゃんと見とかないとな)

俺が再び前を見ると武闘家が勝負を決めようと一気に近づくところだった。
しかし、武闘家は足を滑らせてしまう。

武闘家「何!?」

その好機を見逃さず勇者は武闘家の顔面をおもいっきり殴る。武闘家は踏ん張ることができず吹き飛ばされてしまった。

師範「あれは・・・!」

普通に武闘家と戦っても勝てないのはわかっている。だから言葉の裏をとる。
武闘家が先ほどいた場所の足元には謎の青い物体があった。

「スライムゼリー!?」

誰かがそう言った。当たりだ。
反則だという言葉が出る。ヤジが飛ぶ。
だけど勇者は表情を変えない。こうなるのは予想通りだからだ。

ザコ「あんたらは勇者が戦う前に言った言葉を覚えてないのか?」

ザコ「勇者は「僕は武器を使わない」と言ったしかし、道具を使わないとは言ってない!」

子供のしょうもない反抗のように聞こえるが関係ない。要は・・

ザコ(勝てればいいんだよ勝てれば!)

俺が自己満足に浸っていたその時、俺は殺気を感じた。多分というか絶対武闘家だろうな。
神聖な勝負を汚されたとか思ってるんだろうか・・・?

武闘家「神聖な勝負を・・・お前!」

当たってた。

ザコ「武闘家、俺を怒るのは勝手だけどよそ見してていいの?」

ハッとした表情になり、勇者の方を見た武闘家、すでに勇者は武闘家を攻撃する寸前だった。かわすことができず直撃。

武闘家「くそ!」

武闘家は反撃するも焦っていたのかその攻撃は荒かった。勇者に当たることなく空を切る。
だが作戦がうまくいった勇者の攻撃は冷静だ。立場逆転、武闘家が追い込まれる形になる。

武闘家「くそ!くそ!!」

どんどん焦って行く武闘家。すでにその攻撃は一度も勇者に届かなくなっていた。対して勇者の攻撃は着実に武闘家にダメージを与えていく。

ザコ(勝った!)

俺はその時には確信を得ていた。だけどその認識は甘かった。武闘家は殴るのをやめたかと思えば、体全体を使い無理やり勇者を押し倒したのだ

勇者「!?」

身体を使った攻撃は殴る蹴るだけじゃない。

ザコ(関節技!?)

またもや攻守逆転。しかも今回は簡単には覆せない。

武闘家は勝利を確信した。一度技を決めてしまえばこっちの物だ、そう思ったのだ。

勇者「くそ・・・!」

勇者は関節技をかけられたことがない。だから乱暴に身体を動かすことしかできないでいた。それを知った武闘家は一気に決めるため力を強める。

勇者「あああああぁぁぁぁ!!!」

外れるギリギリまで力を込めている。もはやこいつに勝ち目はない。そう思い、勝利を確信した武闘家はあることに気づく。ザコが先ほどいた場所にいないのだ。彼がどこに行ったかは、チクっとした痛みと共に判明した。

痛みを感じた数秒後、彼の体は突然動かなくなった。

武闘家「!?」

それが麻痺した時の感覚だということを武闘家は知っていた。
だが彼が驚いたのはなぜ自分が麻痺したかだ。
その時、勇者とは違うもう一人の人物が視界に入った。ザコだ。

武闘家「お前・・・!」

ザコ「やあやあ武闘家、気分はどうだ?」

武闘家「最悪に決まっているだろう!」

ザコ「この勝負は、始まった時点でほぼ勝ちは決まってたんだ」

武闘家「な・・・に・・・?」

ザコは周りのヤジを気にせず話し始める。

ザコ「まずなぜ俺が戦いに入ってきたのか、それは俺の最初の方の発言だ。俺は「武闘家!俺たちと勝負しろ!」そう言ったよな」

武闘家「まさか・・?」

ザコ「俺は一言も「俺と」とか「勇者と」なんて言ってないよな?」

この作戦、ただの屁理屈でしかないのだがそんなの気にしない。とにかく勝てればいいのだから。

ザコ「次に何でお前がしびれたのかというと」

武闘家「蜂・・型魔物の・・毒針・・・だろ?」

ザコ「当たりだ」

ザコ「しかもあんたが倒した26体分の毒を一つにした特別製だからな!」

ここまで屁理屈なら、武闘家はザコが毒針を使った理由もわかっていた。
勇者は自分と戦う前、「僕は武器を使わない」と言った。そう「僕は」だ。

武闘家「屁理屈だらけじゃないか・・・」

勇者「けど君はやられた。なら言うことがあるだろ?」

しばらくの沈黙の後彼は小さな声で言った。

武闘家「・・・降参だ」

今回はこれで終わり。
これが俺の限界です。いやぁガチバトルはキツイですね。指摘などは結構あると思いますがお許しを!

ザコ(はい皆さんどうもどうもー!!ザコです!えー今回ね、新しい仲間が加わりました!武闘家君です!やったね!)

武闘家「・・・」ジロッ

勇者「えっと・・・」オロオロ

ザコ(いやーやっぱ新しい仲間が増えるってのはいいですねー心強いね!)

武闘家「・・・」ジロッ

勇者「だから・・・」オロオロ

ザコ(それでね、一つ問題があるんですけどね)

武闘家「・・・」ジロッ

勇者「その・・・」オロオロ

ザコ(ゲスい勝ち方した結果、俺と武闘家の仲がヤバイ)

ザコ「勇者」

勇者「何?」

ザコ「どうしよ・・・」

勇者「誠心誠意謝るしかないんじゃない?」

ザコ「十分謝ったよ・・・」

<一時間前>

ザコ「すいませんでしたあああぁぁぁぁ!!!!」

ザコ「反省してます!!!」

武闘家「・・・」ムスッ

ザコ「えっと肩揉みましょうか武闘家さん!!」

武闘家「いや、いい」ムスッ

ザコ「そんなこと言わないでください!これでも肩揉みだけはザコじゃないって言われるほどなんで!!」

武闘家「いいと言ってるだろ!」

ザコ「!」ビクッ

ザコ(もう武闘家の視線が怖い、寝首かかれるんじゃないかと思うくらいですよ)

勇者(こ、このままじゃさすがにダメだよなぁ・・・)

武闘家「・・・」ギロッ

ザコ(あの目は殺しにきてる・・・ヤバイ、俺の命がヤバイ)

勇者(ここは僕がリーダーとしてなんとかしないと!)

武闘家「・・・」ギロッ

ザコ(けどどうしよう!どうしよう!!死亡ルートだけは避けなければ・・・)

勇者(武闘家をなんとかしないと!きっとザコに並々ならぬ怒りを覚えているはずだから)

武闘家「・・・」

武闘家(さっきは強く当たりすぎてしまった。どうやって謝るべきだろうか)

武闘家(今思えば敵の意図を見抜けなかった俺にだって非はある。言いすぎた部分は謝らなければ・・・)

ザコ(なんとかして解決方法を見つけなければ・・・)

武闘家&ザコ(しかしどうすれば・・・)

武闘家&ザコ(そうだ!)

武闘家&ザコ「勇者!」

勇者「!?」

ザコ「・・・先にそっち行け」

勇者「う、うん」

勇者「それで、どうしたの?」

武闘家「その・・・言いすぎたことを謝りたいんだがどうすればいいだろうか」

勇者「へ?」

武闘家「え?」

勇者「いや、怒ってたんじゃ・・・」

武闘家「最初は怒ってたが頭も冷えたさ」

勇者「そ、そっか」

武闘家「だからどうするべきだろうか」

勇者「す、素直に謝ればいいと思うよ?ザコも反省してるし」

武闘家「そ、そうか」

武闘家「・・・」チラッ

ザコ(殺気!?)ビクッ

武闘家「そうか、よし。行ってくる」

勇者「がんばれ」

武闘家「ああ」スタスタ

ザコ「な、なんだ?」

武闘家は俺の目の前で仁王立ちしている

勇者(なんとか解決しそうだね)

武闘家「ザコ」

ザコ「な、なんだよ・・・」

武闘家「表出ろ」

ザコ「!?」

勇者(あ、あれ?)

ザコ(公開処刑だと・・・!?)

ザコ「や、やだ!」

武闘家「な、なんでだ」

ザコ「やだったらやだ!!」

武闘家「少しでいいんだ、少し時間をくれれば」

ザコ「ここでいいじゃん!!」

武闘家「ここじゃあ宿屋に迷惑がかかる」

ザコ(やっぱり公開処刑か!!)

ザコ「絶対俺は出ないぞ!」

武闘家「い、いいから出ろ!!」

ザコ「うわああぁぁぁ!!やだあああぁぁぁぁ!!!」

勇者(ザコ・・・なんていうか、頑張って)

<宿屋前>

ザコ「な、何する気だよ」

武闘家「さっきはカッとなって強く当たってしまい悪かった」

ザコ「?」

武闘家「お詫びに俺のこと、好きなだけ殴れ!」

ザコ「!?」

ザコ「こ、公開処刑の口実でも増やす気か?」

武闘家「いや、そういうつもりではなくてだな」

ザコ「本当に?」

武闘家「ああ」

ザコ「絶対怒らない?」

武闘家「ああ」

ザコ「じゃあ遠慮なく!うおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!」ポコポコポコポコ

武闘家「・・・?」

勇者(これ武闘家は満足するのかな)

ザコ「うおおおぉぉ!!」ポコポコポコポコポコ

ザコがダメージを与えることは、ありませんでした。

今日はこれで終わり

ザコ(勇者も俺も完全回復、新しい仲間も増えて長い間過ごしたこの町ともついにおさらば!)

勇者「それじゃあ装備も整えたし出発しようか」

武闘家「え?」

勇者「どうしたの?」

武闘家「いや、ザコは武器買わないのか?」

ザコ「いや・・それは・・・」

ザコ(無加護の俺は武器を持ったところで戦力外なのである)

勇者「けどもしもの時もあるか・・・よし!買いに行こう!」

ザコ「てか武闘家が言うまでスルーされてたってことはお前今まで無意味だって思っt「買いに行こう!!」

ザコ(というわけで武器屋に来ましたー)

武闘家「まずは剣だな」

◎剣の場合

ザコ「うおおぉぉぉ」ガクブルガクブル

武闘家「!?」

ザコ(何これめっさ震える、めっさ震えとる!)ガクブルガクブル

勇者「えー」

◎ナイフの場合

ザコ「震えとる!震えとるよ!」ガクブルガクブル

勇者「斬れるとダメなのかな?」

◎槍の場合

ザコ「これもか!!」ガクブルガクブル

武闘家「ギリギリ斬れる・・・か?」

◎杖の場合

ザコ(明鏡止水・・・)

ザコ「てことで装備できるできないリストがこちら!」

◎装備できないもの
剣、ナイフ、槍、斧、爪、鎌

◎装備できるもの
ブーメラン、杖、ハンマー、ムチ、棍


ザコ「斬らせろよ!!」

武闘家「後はお前の職業に合わせて選べばいい」

勇者「なるほど、ザコの職業か」

ザコ「・・・」

勇者「・・・」

武闘家「・・・」

ザコ(俺の職業って何?)

短いですが今日はこれで終わります。
正直ザコの職業も武器もまったく考えてませんでした。助けて・・・

安価使っていいですかね・・・

ザコ「悩んだ末に買いました!弓!!」

勇者「へぇ・・・」

ザコ「なんか反応薄くない?」

勇者「いやだってさ、ザコってさ」

勇者「弓使えるの?」

ザコ「・・・練習するよ」

武闘家「まあ弓を使うには向いてるんじゃないか?ザコは目だけはいいからな」

ザコ「だけって何!?だけって!!」

勇者「確かに」

ザコ「同意してんじゃねえよ!勇者なんだから「そこまで言わなくていいだろ?」くらい言ってみろ馬鹿!」

安価は使わなかったよ!

勇者「よし、それじゃあ出発しようか」

ザコ(はい武器も手に入れてね頑張っていきたいと思います!)

ザコ「よっしゃ行くぜ!!」タッタッタ

勇者「走ったら危ないよ!」

ザコ「はっはっは、子供じゃないんだし当たるわけn」

ドンッ

ザコ「あっ、すいません」

エルフ「いえ、大丈夫です・・・って君は・・・」

エルフ「もしかして、ザコ将軍?」

ザコ「」

<酒場>
エルフ「まさか君に会うとは思わなかったよ」

ザコ「ソッスネ。ハハッ・・・」

彼女の名はエルフ。普通ならうっひょー!エルフかわいいよー!!ってなるとこなのですが、こいつだけは違う。

ザコ(こいつは俺の幼馴染でありながらザコ将軍というあだ名をつけた張本人。俺を裏切ったこいつの罪は重い!)

エルフ「勇者と旅をすることになったっておばさんに聞いたけど本当だったんだね」

ザコ「アッ、ソレハイロイロアッタンデ」

エルフ「へー、君みたいな雑魚でも勇者のパーティに入れるんだね」ニコッ

ザコ「ソッスネ」(この糞女〜!いちいちムカつくこと言いやがって!!)

ザコ(だが待て待て、落ち着くのよザコ。勇者のパーティに入ることが決まってからシミュレーションはしてきたわ!)

ザコ(ここでビシッと決めてやるのよ!)

ザコ「アノ、モウイッテイイスカネ」

ザコ(やってもうたー!!!)

エルフ「何?全然聞こえないんだけど」ニコッ

ザコ「ダカラ、オマエニカマッテルヒマナインダヨ」

エルフ「へー、勇者様のパーティに入って随分調子にのるようになったんだね」

ザコ(やばい、話題を変えよう!!)

ザコ「そ、そういえばエルフはなんでここに?」

エルフ「いや?ただ旅に出てみたいなって思っただけ」

ザコ(俺が旅に出てすぐ旅に出始めたってことは俺に気があったりするんですかねぇ・・・」

エルフ「は?」

ザコ(あ、やべぇ声に出てたよ。こいつすぐキレるからな、めんどいけど気をつけなければ」

エルフ「は?」

ザコ(あああぁぁぁぁぁぁ!!! )

エルフ「なんであんたが私にそんな口の聞き方できるわけ?」

ザコ(いかんいかん、話題を変えなければ)

ザコ「そ、そういえば彼氏さんはついて来てないの?」

エルフ「とっくに別れてるけど?てか話すり替えるなよ」

ザコ「oh...」

エルフ「聞いてるの?ねえ」

ザコ「それは・・・その・・・」

ザコ(しかし待て、これはチャンスだ!きっとここでトラウマを克服する展開なんだよ!)

ザコ「え?別れたの?あんなにイチャイチャしてたのに?」

エルフ「あ?」

ザコ「まあ仕方ないかな、所詮は胸だけの女なわけだお前は」

エルフ「なんで君がそんなこと言えるのかな?立場、わかってるの?」

ザコ「立場をわかってないのはお前の方だぜ?勇者のパーティに手を出したらどうなるかな?」

ザコ(これは、いける・・・!)

エルフ「君にそんな力あるわけないじゃん。さあ、表出ようか」ニコッ

ザコ(目が笑っていらっしゃらない・・・)

ボコボコにされました。弓まったくあたんねえよ・・・

今日はこれで終わりです。

ザコ「いてぇ・・・」

エルフ「二度と調子に乗らないでね?」

ザコ「わかったよ・・・」

エルフ「ん?」

ザコ「わ、わかりました」

エルフ「ははっ、君はやっぱり誰かにひれふしているほうが似合ってるよ」ニコッ

エルフ「それじゃあバイバイ」スタスタスタ

ザコ「・・・」

エルフ「勇者様も、さようなら」スタスタスタ

勇者「・・・っ!」

勇者「お前、ザコに謝「待て」

勇者「武闘家?」

武闘家「ザコが、正々堂々勝ちに来るわけないだろ」

勇者「あっ・・・」

ザコ『呪文・プラントラップ!!』

エルフ「ひゃっ・・!」ドテッ

エルフ「いたっ・・・」

ザコ「ハーハッハッハッハッ!!!馬鹿が!真剣勝負なんてするわけねぇだろ!」

エルフ「あんた何して」

ザコ「毒針ザクー」グサッ

エルフ「!」

エルフ(体が痺れて・・!)

ザコ「さあ!屈辱レイプのお時間だ!」

エルフ「ひっ・・・!」

ザコ(いや、まあ勃たないんですけどね)

エルフ「な、何する気・・?」

ザコ「知りたいか?公衆の面々で、何をされるか」ニタァ

エルフ「ひっ・・!」

勇者「うわぁ・・・」ドンビキ

ザコ「ヒッヒッヒ、ヒャハハハハハハ!!!」

エルフ「いや・・・いやああぁぁぁぁ!!!!」

ザコ「よし!じゃあ行くか!!」

エルフ「!?」

勇者「え?ああ、うん」

武闘家「そ、そうだな」

エルフ「ちょっと!置いていかないでよ!ねえ!!!待ちなさいよ!!」

エルフ「ねえ!ねえってば!!!」

勇者「えっと、ほっといてていいの?」

ザコ「いやぁ・・なんかしても報復が怖いしな」

<チョット!マチナサイヨ!!

武闘家「ああいう奴にはいい薬になると思うぞ?」

勇者「そういうものなのかな?」

ザコ「そういうもんだよ」

<ネェ!ワルカッタカラ!オイテイカナイデ!

勇者「けど彼女、もうすごい弱々しくなってるけど・・・」

ザコ「ああいう奴はまたすぐ調子に乗るからな!」

<ゼッタイユルサナイカラ!
<ツギアッタラコロスカラ!

勇者(ほんとだ・・・)

ザコ「よし!それじゃあ行こうぜ!!」

勇者「ほんとに置いてきちゃったよ」

武闘家「安心しろ。この町は治安がいい方だからな。町を出るときにどくけしそうをもらってるのが見えたし大丈夫だ」

ザコ「報復怖いし、はやく行こう」

武闘家「ああ」

勇者(ザコ・・・ごめんな)

ザコ「おい、どうしたんだよ、早く行こうぜ」

勇者「あ、ああ!行こう!!」

旅を始めてから一ヶ月ほど経ったが、未だ加護なし、俺はいつになったら加護をもらえるのでしょうか・・・?

多分今日はこれで終わり。
ザコをここまで外道にする気は無かった

ザコ「まだ着かないのか?」

三の町を出て2日が経過したが未だ次の目的地である壱の村に到着していない。

勇者「もうすぐだよ、もうすぐ」

ザコ(一時間前にも一回聞いたんですけどねぇ・・・ん?)

壱の村は橋を渡ってしまえばすぐそこなのだが、その橋の前に何かいる。

武闘家「あれは・・・?」

もう少し近づいてみるとそいつの姿が確認できた。あれはおそらく・・

ザコ「グ、グリズリー?」

勇者「いや、あれは普通のグリズリーよりも一回り大きいね」

武闘家「それに毛皮も普通のグリズリーと違い灰色だ」

ザコ「てことは?」

勇者「あれはグリズリーの上位種、ヒュージグリズリーだね。住処は山のもっと上のはずだけど・・・」

ザコ「降りてきたのか」

武闘家「くそ・・・面倒だな、ここは山と山の間の一本道、退けるのなら退きたいが、この辺りで野宿は危険だからな」

ザコ「マジかよ、あんな強そうな奴と戦わないといけないのかよ・・・」

ヒュージグリズリー「クマー!!」

ザコ「あ、でも鳴き声は可愛い」

ザコ「とにかくまずは遠くからの攻撃だな。まずは一発目!!」ヒュン

放った矢はヒュージグリズリーに向かって真っ直ぐに飛んでいき・・・
ドスッという音と共に右腕に突き刺さったが、浅い。ダメージは低いようだ。毒が効いてる様子もない。

ヒュージグリズリー「?」

武闘家「鉄製じゃ深くは刺さらないか」

勇者「僕の剣は鋼製だから問題ないけどね」

ザコ「おいおいおい、それってつまり?」

武闘家「下がってろ」

ザコ「」

武器に魔力を込めて強度をあげる、なんてこともできるらしいがもちろん俺にはできない、周囲を警戒しつつ戦いを眺めることしかできない。

ザコ(何かできないかな)

どうやら勇者と武闘家は苦戦しているようだ。もちろん俺も眺めるだけで終わる気はない。ので、魔法による援護を試みる。

ザコ(発動するのは中級魔法。時間はすげえかかるけど問題ない!遠くにいるんだし!いるんだし!!)セイスイゴクゴク

手のひらの先に球形の木の塊を作り出す。それを思いっきり回転させる。
狙うは頭、一瞬でもいいから怯ませる。

ザコ『呪文・ウッドキャノン!!』

木とはいえ中級魔法だ。弓よりも破壊力は高い。まあ、一回限りしか撃てないんだけど・・・
射出された木の塊はヒューグリの頭に直撃、ひるんでしまい体がぐらつく。

勇者「!?」

武闘家「!」

ザコ(おい勇者、驚いた顔で見るんじゃない!)

武闘家は間髪入れずヒューグリへ追撃。
続けて勇者が光魔法を纏った一撃でヒューグリを倒した。多分心臓部である魔石に攻撃したのだろう。

勇者「ザコ!倒したよ!!」ニッコリ

ザコ(血塗れで笑うなよ・・・怖いから)

ヒューグリを倒した俺たちは無事橋を渡りきった。

ザコ「それにしても武闘家が橋を渡る時あんなに怖が「言うな!!」

橋さえ渡ってしまえば壱の村に到着だ。ここまでくれば四の町までもうすぐ。俺が加護を手に入れて最強のアーチャーとなる(予定の)日は近い、はずだったが。

勇者「なんだよ・・・これ」

ザコ(破壊された家屋、まだ乾いていない血、泣き叫ぶ子供、傷を負った人たち。そこには平和な村の姿なんてなかった)

どうやらあのヒュージグリズリーは橋の下の激流を渡った直後だったらしい。
つまり、俺たちの戦ったヒュージグリズリーは、俺たちに会う前に・・・
壱の村を滅ぼしていたのだ。

はい今日は終わり。中級魔法使えるなんてザコ強くね?って思った?残念!
発動に5分かかりました!!

渡るんじゃなくて往復でした・・・
橋を渡ってないのは知能が高いだけだから・・・(震え声)

その日、僕たちはひたすらに怪我人の回復に努めた。だけど僕の初級回復魔法と薬草だけでは重傷を負った人たちを助けることはできなかった。

村の人達にに壊れなかった家の一つを使っていいと言われたけど僕は拒否して近くにテントを張ることにした。

ザコ「勇者」

勇者「何?」

ザコ「お前、あんまり重く受け止めるなよ?」

勇者「うん。けど僕がもっと早く目覚めてればこんなことにならなかったかもしれない」

ザコ「・・・ッ!」

ザコ「そ、それを言うならつまらない喧嘩をして出発を遅らせた俺を責めろよ!!」

勇者「けど僕が早く起きていれば会うこともなかっただろ?」

ザコ「それなら鬼王との戦いでお荷物だった俺が悪い!!」

勇者「違う!あれは僕の不注意で!」

その時、僕はザコに殴られた。
普段のザコのパンチは全然痛くないのに、その時はなんだかいつもより痛かった。

ザコ「なんで、なんで全部自分の責任にしようとするんだよ、俺のことだってもっと責めればいいだろ!?」

ザコ「それにこういうことはきっと他の場所で、何度でも起こる!いちいち抱え込んでても仕方ないだろ!?」

勇者「確かにそうだけど!頑張れば守れたかもしれなかったんだ!僕がもっと頑張っていれば良かったんだ!」

ザコ「なんでお前はそこまでしようと思えるんだよ・・・」

勇者「それは、僕が勇者だから。みんなの希望を背負ってるからだよ!」

ザコ「・・・」

ザコ「は?」

勇者「え?」

ザコ「さっきから俺が悪い俺が悪いって何抱え込む必要のないこと抱え込もうとしてんだよお前」

勇者「え?え?」

ザコ「何なの?僕が勇者だから!(キリッ)とか言いやがってよ。カッコつけてんの?」

ザコ「それにもしもの話をいくらしたって何も変わらねぇよ。もっと前見ろよネガティブ勇者!!」

勇者「だ、だけど・・・」

ザコ「だからもしもの話をしたって意味無いって言ってるだろ!?同じこと何度も言わせんな!ムカつくから!!」

勇者「う・・うん、そうだね。ここまでの惨状を見たのは初めてだったから・・・混乱してたよ」

ザコ「それから、お前は俺が加護をもらうまで同行してもらわないと困るんだ。
だからそんな落ち込むなよ?暗い旅なんてごめんだからな!」

勇者「うん。わかった!」

武闘家「どうやら問題無いみたいだな」

ザコ「武闘家、見てたのか」

武闘家「テント前であの声量の言い合いをされれば誰でも気づくだろう」

勇者「それは、ごめん」

武闘家「いや、気にするな」

武闘家「勇者、お前は重く受け止めすぎなんだ。さっきザコも言ってたとおりねが、ねが・・・なんだったか?」

ザコ「ネガティブ」

武闘家「そう、それすぎるんだ」

勇者「武闘家・・・うん、ごめん」

勇者(確かに今回は僕らしくなかったな。気が動転しちゃった。気をつけないと。それにしても・・・)

勇者「俺、やっぱりザコを仲間にして良かったよ」ニコッ

ザコ「や、やめろよ恥ずかしい!!」

これからはもっと強く生きよう。僕はこの日そう誓った。

今日はこれで終わり。
全然SS書いたことないのに結構壮大なの始めちゃったからやばい。

朝、俺たちは村長に呼び出されました。

村長「勇者様、今回は本当に、本当にありがとうございました...!」

勇者「いえ、助けられなかった人も多かったですし、感謝されるほどではありません」

村長「そんな!勇者様達がいなければ村の者はほとんどが死んでしまっていたでしょう!」

勇者「そう思ってくださるのなら良かったです」

ザコ(昨日の勇者ならここでネガティヴ化してたな)

村長「それで、何かお礼を・・・」

勇者「べ、別にそんなお礼目的でしたわけじゃないですし、村の状況も厳しいでしょうからお礼なんて・・・!」

武闘家「勇者、受け取っておけ」

勇者「え?」

武闘家「お前はそれだけのことをしたんだからな」

勇者「そ、そうかな?」

ザコ「ああ」

村長「では、どうぞ」

勇者「これは?」

村長「魔石でございます」

ザコ「魔石?」

勇者「簡単に説明すると魔力の結晶ってところかな」

勇者「身に付けると魔法の力を増幅させたりするんだ」

ザコ「へぇー便利なんだなぁ」

村長「この魔石の色は青。勇者様は水属性魔法を使うとお聞きしました。是非お使いください」

勇者「ありがとうございます」

ザコ(ということがありまして、なんと魔石を手に入れましたー!)

勇者「じゃあはい、ザコ」

ザコ「え?」

勇者「しばらくはザコが持ってていいよ」

武闘家「魔石は術式を書けば魔石の魔力を使って魔法を瞬時に発動することもできる。持ってて損はない」

ザコ「おお・・・ありがとう」

ザコ「でも青色なのに効果あるのか?」

勇者「そりゃ水属性魔法を使えば一番強化されるけど、他の属性でもそれなりには強化されるからね」

ザコ「へぇー」

ザコ(これで俺も、少しは役に立てるかな)

そして俺たちは壱の村を出発し、ついに目的地である四の町へと辿り着いた。

今日はこれで終わり。道中飛び飛びなのはすいません

ザコ「四の町キター!!!」

勇者「やっと、だね」

武闘家「三の町より広いな」

ザコ「おうおう、いつ行く?いつ行きます?今すぐ行っちゃいますか?」

勇者「嬉しいのはわかるけどまずは宿取ったりしないと・・・」

武闘家「情報収集もしておかなければな」

ザコ「そうか!さっそく行こう!」

勇者「ま、待って!速いよ!!」

<図書館>

ザコ(てことで宿取った後情報収集中。いろいろ見てみたが今あることが大きな話題を呼んでいる)

「飛龍王誕生!世界に危機迫る!」
「竜王死亡か?」

ザコ(新たな王が誕生し、同時に竜王の目撃証言とかがピタッと止まったらしい)

ザコ(どうやら竜王ほどの力はないらしいが、龍より弱い飛龍っていったい・・・)

ザコ(ちなみに勇者と武闘家は町に聞きに行ってます)

ザコ(他は特に無いな・・・お?冒険者狩りか、怖いな)

勇者「あ、ザコいた。こっちは終わったよ?」

ザコ「ああ。俺も終わったところだし行こう」

勇者「特にこの町が困ってることはないみたいだし、行こうか」

ザコ「けどあと3時間くらいで日が暮れるぞ?」

勇者「女神がいる迷いの森まで30分と少しだから十分帰ってこれるよ」

ザコ「そうか、なら今日中に加護を貰えるんだな!!」ワクワク

武闘家(露骨にわくわくしてるな。わかりやすい)

ザコ「へへへへへへっ」ワクワク

ザコ(てことでやって来ました。加護の女神がいる場所は四の町から西へ少し行った迷いの森の先にある。迷わせんなよ馬鹿)

勇者「嬉しいことに魔物がいないおかげで楽だけどね」

武闘家「迷いの森と言っても、魔物達を避けるために敵意を持った物を迷わせるだけだからな」

ザコ「へぇ〜」

ザコ(敵意持たないようにしよう・・・)

勇者「ほら、もうすぐ開けた場所に出るよ」

ザコ「本当だ。早いな」

そこには大きな神殿のような建物があった。

勇者「すごい・・・」

ザコ「でかいな」

驚いたのは湖の上に神殿が浮かんでいるところだ。橋を渡り神殿を目指す。

武闘家「まさかこんなところがあったとはな」

ザコ「おっ、魚!」

勇者「うあっ、噛まれた」

神殿の入り口に着くとその大きさがよくわかる。さすがに城よりは小さいが森の中にあるにしては大きい。精霊って贅沢!

今日は終わり。毎度5レスくらいが基本になってしまっている・・・

加護の女神「よく来ましたね、勇者、武闘家、ザコ...w」

ザコ(こいつ今ちょっと笑ったな?)

勇者「お久しぶりです女神様。それで、ここに来た理由は」

加護の女神「すでに知っています。そこの無加護の者の件でしょう?」

勇者「はい」

ザコ「なあ勇者、なんでお久しぶりなんだ?」

勇者「それは僕に光の加護を与えてくれたのが彼女だからさ」

ザコ「え?」

加護の女神「ええ、私が光の精霊ですよ」

ザコ「マジかよ。女神大変だな」

勇者「それで、ザコに加護を与えてくれる精霊はいたんですか?」

加護の女神「その件についてははっきりと言います」

ザコ「は、はい!」

勇者「・・・」ゴクリ

武闘家「・・・」ソワソワ

加護の女神「ありませーんwwwwww」

ザコ「は!?」

ザコ「はああぁぁぁ!?」

加護の女神「まあまあそういうことは客間で話しますからwwwこんな玄関前で話さなくてもいいでしょう!」

ザコ「ざけんなボケ!!キャラ維持しろよ!!!」

<客間>
ザコ「どういうことだよ!!!」

加護の女神「まあまあ、ちゃんと理由があるんですよ」

武闘家「理由?」

加護の女神「ええ」

加護の女神「いやだって?最近は人口が急速に増加したせいで精霊と人間の数の比率が合わなくなりましたからwww」

ザコ「笑いながら言うな!!」

加護の女神「なんとかして加護を与えてもらおうと私だって頼んだんですよ?

加護の女神「けど「これ以上加護与えたら過労死するんでパスっす」とか、「女神だからって調子のんなババア!!」とか、色々言われて無理だったんですよ」

ザコ(精霊口悪!!)

加護の女神「だからまあ、無加護なりに頑張ってくださいよ。最近は無加護だって増えてるし?なんとかなりますよ多分」

ザコ「適当なこと言うなよ!!!」

勇者「ザコ・・・」

ザコ「あぁ、俺なんのためにここまで頑張ってきたんだろ」

武闘家「援護に特化すれば加護無しでも戦えるはずだから、そう落ち込むな」

ザコ「良いよなー、強い奴は。人生イージーモードですか?俺は人生ハードモード。はは・・・」

加護の女神「プッ、あはははははははははははwwwww「は、はい!」とか言っちゃってwwww」

ザコ「もうやだ!!」

「力が・・欲しいか?」

ザコ「ん?」

「力が・・欲しいか?」

ザコ「幻聴が聞こえる・・・」

加護の女神「精神までイカれましたか?」

「来い、妾のところまで・・・」

ザコ「なるほど。こっちかあああぁぁぁぁ!!」ダッ

勇者「ザコ!?」

加護の女神「そっち立ち入り禁止!困らせないでください!!」

「早く・・・足遅い」

ザコ「だま・・れぇ・・・」ハァハァ

ザコ「ここ・・か?」ハァハァ

「ようやく来たか」

そこは結界に囲まれた質素な部屋だった。そこにいたのは黒髪ロングの、幼女。目は黄色で尻尾のようなものも生えている。

「時間がない、急いですませるしかないのう」

ザコ「あんたは誰だ?」

竜王「よくぞ聞いてくれた!妾は元魔王軍七幹部第二位!竜!王!!」

ザコ「いや、嘘はやめよ?お前みたいなロリが七幹部なわけないだろ?」

竜王「ロリとか言うでない!時間があまり無いのだ。おいお主、強くなりたいのだろう?」

ザコ「ああ」

竜王「なら妾と契約するのじゃ!さすれば貴様は大いなる力を手に入れられるであろう!」

ザコ「は?」

竜王「妾はこの結界の外に出たい。お主は力が欲しい。契約し、お主の中に入れば妾は外に出れて貴様は妾の力が使える。良い条件であろう?」

ザコ「確かに」

加護の女神「駄目です!」

竜王「くっ、もう来よったか」

加護の女神「自暴自棄になって魔王軍の者と契約などしてはなりません!!ましては幹部の一人!精神を蝕まれて乗っ取られるのがオチです!」

ザコ「確かに」

竜王「どっちなのじゃ!?」

竜王「ええい!早く妾と契約するのじゃ!」

加護の女神「そんなことしてはなりません!」

竜王「するのじゃ!」

加護の女神「なりません!」

竜王「するのじゃ!!!」

加護の女神「なりません!!!」

ザコ「えっと・・・」

勇者「ザコ!」

ザコ「勇者・・・」

加護の女神「勇者!これはあなたの責任です!」

勇者「ええ!?」

加護の女神「なんとしてでも止めなさい!!」

勇者「うーん・・・」

竜王「ず、ずるいぞ!」

加護の女神「時と場所を考えるべきでしたね!竜王!!」

竜王「わ、妾は別に魔王に忠誠を誓っていたわけでは無い!復讐をしたいとも考えておる!!」

加護の女神「嘘ですね!魔王軍の奴らはいつもそう言うのです!」

竜王「妾を信じるのじゃ!ザコ!」

加護の女神「いいえ!騙されてはなりません!!」

ザコ「ああ、くそ。どっちを信用するべきなんだ?」

勇者「ザコ!!」

ザコ「ん?」

勇者「僕は、君がどっちを選ぼうと構わない。竜王の言葉を演技と取るか真実と取るかは君しだいだ」

武闘家「俺も勇者と同じ意見だ」

ザコ「そうか」

ザコ(普通なら女神の方を信じるべきだと思う。だけど俺は竜王の言ってることが嘘だとは思えない。それに・・)

加護の女神「なんて曖昧なことを言うのです!馬鹿なのですか!?」

勇者「ご、ごめんなさい」

ザコ(この女神の言うことに従うのはムカつくから)

ザコ「俺は・・・俺は竜王と契約する!」

加護の女神「馬鹿なことを・・・」

竜王「よく言ったのう!ザコ!!」

ザコ「それで竜王、どうやったら契約できるんだ?」

竜王「お主はもう契約する意思を示したから、後は触れるだけでよい」

ザコ「なるほど」

加護の女神「触れさせ・・ませんよ・・・」

竜王「年をとると体力無いのう」

加護の女神「あなただって・・・見た目の割に年は取ってるでしょう・・・」

ザコ「マジかよ」

竜王「人間どもが言うごーほーろりという奴じゃな!」

ザコ「自分で言うものなのか?それ」

加護の女神「ふふ、しかし触れさせなければこっちのもの!」

ザコ「はい、タッチ」ポン

加護の女神「」

竜王「これで契約成立じゃ。宜しく頼むぞ、ザコ」

ザコ「ああ。よろしく」

加護の女神「はぁ・・・もう何があろうと知りませんよ!?」

ザコ「黒髪ロリに乗っ取られるなら本望だぜ」

勇者「うわぁ・・・」

ザコ「冗談に決まってるだろ。ひくな馬鹿」

加護は手に入らなかったけれど、ロリと契約することになりました。

ザコ「で、勢いで契約はしたけど。なんで竜王なんかがここにいるんだ?」

竜王「それは妾が自らの意思で魔王軍についていたわけではないからじゃ」

加護の女神「嘘ですね!」

竜王「事実じゃ。妾は本来魔物と人間の戦いなどに興味はない。だが仲間を人質に取られたのでな、仕方なく協力していたのじゃ」

加護の女神「嘘ですね!」

ザコ「黙っとけ!!」

加護の女神「なっ!無加護ごときが私に暴言を吐かないでください!帰るときに迷わせますよ!?」

勇者(こんな性格悪かったんだ・・・)

ザコ「でも人質がいるのになんで抜け出してきたんだ?」

竜王「仲間はすでに殺されていたのじゃ。妾を騙していたのじゃ、奴は!」

ザコ「奴?」

竜王「魔王七幹部、おそらく現在第三位。鬼王」

勇者「鬼王・・・」

ザコ「あいつそんなずる賢いことできたのか。もっと単細胞だと思ってたぜ」

竜王「獣王なんかは単細胞じゃぞ。基本戦うことしか考えておらん」

勇者(有力な情報、かな?)

竜王「とにかく奴だけは絶対に妾が殺す」

ザコ(ロリが殺すって言ってる。怖い)

武闘家「どうせ魔王と戦うならいつかは七幹部とも戦うことになるはずだ。やることは変わらないだろ」

勇者「うん。そうだね!」

ザコ「えぇー、俺あいつ怖いから戦いたくないんだけど」

竜王「何を言っておる。契約上協力するしかないのだぞ?」

ザコ「え!?お前の願いって結界の外に出ることなんじゃ」

竜王「契約すれば出れるのだからそれを願いにするはずないであろう」

ザコ「ええ!?」

勇者「じゃあこれからも旅についてくるしかないんだね!!」

ザコ「えええ!?」

加護の女神「というかまずそんな簡単に信じて良いのですか!?後悔しても知りませんよ?契約解除は今のうちですよ?」

ザコ「しないっていうかなんでそんな敵対心むきだしなんだよ」

加護の女神「決まってるでしょう!勇者には魔王を倒してもらわなければ困るのです!」

ザコ(おお・・・!やっぱ女神っぽいところあるんだな)

勇者「どうしてです?」

加護の女神「他の光の精霊達と賭けをしているのです。どの勇者が先に魔王を倒すか!」

ザコ(やっぱりクズじゃねーか)

ザコ「って、そんなにたくさん勇者っているのか?」

加護の女神「東西南北の大陸に一人ずつ光の精霊はいます。なので精霊の数は四人です」

ザコ「四人もいればもう少し与えることもできるんじゃないか?」

勇者「そう簡単にはいかないんだ。光の加護を受けられる人間はごく僅かしかいないらしいからね」

加護の女神「最近は一大陸に二人ほどいますね。ちなみにこの大陸は勇者と炎勇者の二人です」

ザコ「それじゃあ八人だろ?結構少なくないか?」

加護の女神「いえ!多すぎます!昔は四つの大陸合わせて一人しかいなかったのですよ!?多くて二、三人が普通でした」

竜王「魔王もさすがに焦っていたのじゃ。だからこそ妾達龍を仲間にしようとしたのじゃよ」

ザコ「なるほど」

ザコ「けどそういえば新しい王は飛龍王だったぞ?おかしくないか?」

竜王「飛龍達は妾達を裏切って妾が魔王軍に入る前から魔王側についていたからの。もちろん奴らもまとめて殺すつもりじゃ」

ザコ「怖い・・・」

勇者「そ、それじゃあ僕達はそろそろ帰りますね。長話しすぎたから急がないと」

加護の女神「そうですか。勇者、賭け事を無しにしても人類のために必ず勝ちなさい」

勇者「はい!」

かくして俺の加護を手に入れるための旅は終わった。加護は手に入らなかったけど、竜王の力を手に入れることができた。

竜王「そういえばお主、記憶にぷろてくとがかかっておるの」

ザコ「プロテクト?」

竜王「ああ。記憶の一部を無意識に封印しておる」

ザコ「まじかよなんか怖いな」

ザコ「ってここどこだ?勇者と武闘家はどこ行った?」

竜王「どうやら迷ったみたいじゃの」

ザコ「え?」

加護の女神『帰るときに迷わせますよ!?』

ザコ「あ・・・!」

竜王「本当に実行するとはのう」

ザコ「あの・・・糞女神いいいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

加護を手に入れるための旅は終わったけど、また新しい旅が始まった。
今度は魔王軍を倒すための旅だ。

とりあえず終わり。
個人証明みたいなのやってみました。
できてなかったら恥ずかしい。

現在俺たちは武の国に向かっている。四の町には特に大きな問題もなかったため、クエストを受けて金を稼いだらすぐに出発した。

竜王「さっきから何を言っているのじゃ?」

ザコ「うおっ!突然出てくるなよ」

竜王「しょうがないであろう!暇なのじゃから!」

勇者(現在ザコの首から黒い蛇みたいなのが生えてます)

ザコ「幼女化しないのか?」

竜王「この姿が一番楽なのじゃ」

ザコ「けど首から黒蛇生えてるとか嫌なんだけど。絶対変な目で見られるし」

竜王「安心せい、町ならともかく国になら契約者がいることは多いからあまり珍しくはないわい」

ザコ(違和感あるなぁ・・・)

こういう不便なところもあるが竜王の力というのは便利だ。竜王のブレス攻撃を応用して火属性呪文を再現できるから手数が増える。

ゴブリンA〜C「ギギィー!!」

武闘家「ん、ゴブリンか」

ザコ「ここは俺に任せろ」

武闘家「あ、ああ」

ザコ「くらえ。『火炎!』」

俺の手のひらから炎が放射される。それはゴブリンのところに届く前に広がっていき、三体まとめてダメージを与えた。

勇者「全体攻撃できるのは便利だね」

ザコ「まあまだ初級並の力しか出せないけどな」

勇者「けど木と火って場合によっては燃えそうだよね」

ザコ「やめろ」

竜王「安心せい!妾は氷属性のブレスも出せるからのう。これで三属性じゃ!」

ザコ「へぇー、思ったより凄いんだなぁ」

竜王「お主・・・絶対妾が竜王であることを忘れておるじゃろ」

ザコ「そそそんなこたぁねぇっすよ!!」

武闘家(わかりやすいな)

勇者「みんな、武の国が見えてきたよ」

ザコ「おお、外壁しか見えない」

武闘家「近そうに見えてまだまだ着くまでかかるからな」

ザコ「よし竜王、飛ぼうぜ!」

竜王「良いぞ。体が耐えきれなくなって死んでもよいのならな」

ザコ「え?死ぬの?」

竜王「まだ妾の全て力を受け止めきれるほどの器ができておらんからな。羽を生やせるほどではないわい」

ザコ「まじかよ」

その日は野宿をして過ごし、そして次の日。ついに武の国へと辿り着いた。
国の形は円形でドーム型の結界が覆っている。

ザコ「でっかいなぁ・・・」

俺と勇者の住んでいた始まりの国も大きかったがそれよりも大きい。
とりあえず宿屋に荷物を置いた後、別行動をすることになった。

勇者「とりあえず僕は国王様への謁見に行ってくるよ」

ザコ「ああ、わかった。武闘家はどうするんだ?」

武闘家「武器を見て回るに決まってるだろう!?」ワクワク

ザコ(露骨にワクワクしてるな)

ザコ「さて、何をするかな」

今はとりあえず終わり。
武の国で何をしよう・・・

ザコ「とりあえず武器を新調することにした」

竜王「私営店に来るとは、お主に目利きの才能があるとは思えんがな」

ザコ「おいおいおい、俺は目だけは良いんだぜ?」

竜王「ほうほう」

ザコ「弓とかクロスボウ、スリングショットとか色々あるな」

ザコ「ん?これは?」

「それは銃だね。西の大陸で広く流通している遠距離型の武器だよ」

ザコ「あっ・・・騎士さん!」

女騎士「やあザコ君。すっかり元気になったね」

ザコ「はい。三の町ではお世話になりました」

女騎士「君はここで何をしているんだい?」

ザコ「ぶ、武器を買いにきまして」

女騎士「なるほど、君は何を使っているんだい?」

ザコ「弓と魔法です」

女騎士「魔法はどういう系統の魔法を?」

ザコ「攻撃系とトラップ系です」

女騎士「・・・?弓を使うのに遠距離攻撃の魔法を使うのかい?」

ザコ「ええ、まあ」

ザコ「俺は斬ることのできる武器を持つと震えちゃって」

女騎士「なるほど、何かトラウマがあるんだね」

ザコ「俺の覚えている限りでは何も無いんですけど」

女騎士「なるほど・・・」

女騎士「とりあえず弓ならこれなんてどうかな?」

めっちゃ高いの渡された。やべぇよやべぇよ。

ザコ「お金そんなに無くて・・・」

女騎士「なら掘り出し物を探すしか無いね」

ザコ(ついに俺の『眼』を使うときが来たか)

ザコ(俺の無駄に良い目を使い掘り出し物を手に入れる!)

ザコ「・・・」

女騎士「・・・」

ザコ「・・・」

女騎士「・・・」

ザコ「駄目だ。まったくわからない」

女騎士「まあしょうがないか・・・」

結局良い感じのやつを選んでもらいました。俺の目はあくまでよく見えるだけでした。過度な期待は厳禁だな。

ザコ「ありがとうございました!」

女騎士「お礼は良いよ。ただ選んだだけだからね」

ザコ(選んでくれただけで充分なんだよなぁ・・・)

女騎士「それじゃあ私は行くよ」

ザコ「さようなら!」

ザコ(何のイベントも無かったぜ!)

竜王「ふー、やっと行きおったか」

ザコ「お前なんでずっと隠れてたんだよ」

竜王「中央警備はめんどくさい奴が多いからの、関わりたく無いのじゃ」

とりあえず終わり。あんましやること思いつかないね。

女騎士さんと別れた後、俺は適当に店を見て回っていた。途中で防具を買ったりして装備を整えた。さすが武の国、武具の質が段違いだ。

ザコ「ん?このでかい建物はなんだ?」

俺が見つけたのは巨大な円形の建物だ。中からは歓声が聞こえる。

竜王「おそらく闘技場じゃな。ほれ、そこのモニターで戦いの様子がわかるじゃろ」

ザコ「お、本当だ・・て、勇者!?」

勇者と女騎士さんが戦っている。
主人公っぽいことやってるなぁ・・・

ザコ「さて、俺は何しようかな」

「動くな」

ザコ「へ?」

背中に感じる手の感触。
怖い怖い怖い怖い怖い!

??「俺の質問に答えろ。変なそぶりを見せたら殺す」

ザコ(こ、殺す!?)

??「お前は勇者の仲間か?」

ザコ「だ、誰だ?」ガタガタ

??「お前は俺の質問に答えてればいいんだよ。もう一度聞く、勇者の仲間なのか?」

ザコ「そ、そそそそうだけど」ガタガタ

??「そうか、ならちょっと付き合って貰うぜ?」

ザコ「す、素直に行くわけ無いだろ?こここんなところで騒ぎを起こせばお前はすぐに捕まるはずだ」ガタガタ

??「そりゃそうか、まあ無理矢理来させるんだけどな」

そいつがポケットから何かを取り出した。危険を察知して離れようとするが遅かった。

??『転移』

そいつがそう言った瞬間。一瞬にして周りの景色が変わった。

ザコ「!?」

??「魔石に転移呪文の術式を書いてあるんだ。転移結晶って言うんだぜ、これ」

ザコ「は!?てかお前誰だよ!」

??「俺か?俺の名前は復讐者、巷で噂の冒険者狩りってやつだな」

ザコ(冒険者狩り・・・!)

ザコ「その冒険者狩りさんが俺に何の用だ?」

復讐者「ん?いや、ただ俺が勇者を殺したくてな、仲間のあんたを人質として出せば戦ってくれるかと思ったわけだ」

ザコ「勇者を!?」

復讐者「ああ。だからお前を無力化させて貰うぜ」

ザコ(くそ!どうする!?どっかの路地裏みたいだが、後ろの壁が高すぎる。それに武の国の建造物に魔法は効かない。だから壊すこともできない!)

竜王(さあザコ、お主の力を見せてみろ)

ザコ(ど、どうしよ・・・?)

復讐者「ククッ・・・諦めろ。お前じゃ逃げられねえよ」

そう言った途端、復讐者の腕がみるみる変化していく。あれは・・・

竜王「あれはおそらく魔物の腕じゃ。しかも、龍の一種・・・!」

ザコ「は!?どうなってんだよ!」

復讐者「まずは一発目だ」

復讐者の手のひらに炎が集中していく。

ザコ「くそ!!」

ザコ『火炎!!』

復讐者『炎火』

どちらも火属性、だけど復讐者の炎の方が大きい。中級か!?

ザコ「おされてるおされてる!!こんな狭いところじゃかわせないぞ!」

竜王「むぅ・・・しかたあるまい、体は熱くなるが我慢せい」

ザコ「へ!?」

竜王「体を借りるぞ」

ザコ(竜王)『灼熱!!』

竜王(相手が格上すぎるの・・・これでやっと互角とは)

ザコ(熱っ!熱っ!!これが竜王パワーかよ!中級のくせに威力が強すぎる!出してる俺が溶けそうだ!!)

ザコ(しかも魔力がぐんぐん減っていく!これ使いこなせるようにならないといけないのかよ!!)

復讐者「お?なんだ強いじゃねーか」

二つの炎がぶつかり合い爆発を起こす。

ザコ(反動と火傷で右腕動かねえ!!けど・・・)

ザコ「まだ左手が・・・ある!」

ザコ『ウッドキャノン!!』

復讐者「!」

俺の放った木の砲弾が復讐者へと迫る・・・が。

復讐者『ファイアウォール』

炎の壁で簡単に阻まれてしまう。
相性悪すぎません?

ザコ「もう一発!『ウッドキャ・・』って出ない!」

竜王「もう魔力切れじゃと!?早すぎるぞ!!」

ザコ「仕方ないだろ!!」

復讐者「二発目だ」

復讐者『炎・・』

ザコ(やばっ!)

『電撃!』

復讐者「ぐっ!」ビリビリビリ

復讐者「あぁくそ・・・誰だよ」

エルフ「なんとか間に合ったね」

ザコ「エルフ!」

8

ザコ「お前なんでいんの?」

エルフ「今それ関係ないから。一旦引くよ!」

エルフに抱えられ風魔法で壁を越える。

復讐者「ああ・・・ムカつくなぁ。せっかく良いところだったのに」

復讐者「もう頭さえ残ってればそれで良いか?殺しても、死体さえあれば殺りあってくれるよな・・・」

復讐者『マグマハンド』

地面から出現した巨大な溶岩の手が俺とエルフに迫る。

ザコ「どうすんだよ!来てるぞ!」

エルフ「安心して。後は勇者様がなんとかしてくれる」

途中で書き込んでしまったから書き溜め分の番号が・・・恥ずかしい

勇者『激流!!』

溶岩の手のさらに後方。そこから飛んできた水流が溶岩の手に当たり、溶岩の手を冷やし、固まらせる。

ザコ「勇者!」

復讐者「やっと来た・・・か」

勇者「よかった、間に合った。さて・・・お前が冒険者狩りか?」

復讐者「ああ、そうだぜ」

勇者「選手交代!僕が相手だ!」

復讐者「ククッ・・ハハハハハッ」

復讐者「ああ、やっとこの手で殺せるよ。人類の希望・・・勇者様」

はい終わり。番号はスルーしてください!書き溜めても急ピッチ感がでるのがなんだかなぁ・・・

番外編 <弱点>

ザコ「竜王の弱点は尻尾」ギュッ

竜王「ふにゃ!」ビクッ

ザコ「エルフの弱点は耳の尖った部分」サワッ

エルフ「ひゃっ!!」ビクッ

勇者「何してるの?ザコ」

ザコ(ちなみに勇者の反応は首)

ザコ「ほれ」ガシッ

勇者「ひゃっ!」ビクンッ

ザコ(こいつ本当に男なんだろうか・・・)

残念ながら武闘家の弱点はわかりませんでした。確かめようとしたら半殺しにされるしできねぇよ!!

勇者「お前、なんで僕を狙うんだ?」

復讐者「ククッ・・・別に・・お前には恨みはねえよ。ただ・・・勇者っていう存在が嫌いなんだよ」

勇者「そうか、なら躊躇はしないよ」

復讐者『炎・・・火!』

勇者『アクアウォール!』

復讐者の放った炎を勇者の作り出した水の壁が防ぐ。

復讐者「チッ・・・」

勇者(相手は壁側。こっちが有利だ)

勇者『激流!』

逃げる場所を作らないように巨大な水流で攻撃する。普通ならかわせないはずだが、奴は後ろの壁よりも高く跳んだ。その足はまるで魔物のようだった。

勇者「何!?」

復讐者「おらぁ!!」

復讐者の一撃が勇者の腹部に直撃する。
勇者がのけぞったところに復讐者は一気に近づく。勇者の顔の近くに手を近づけ・・・

復讐者『爆破』

復讐者の手のひらから出現した球体が勇者に当たった途端、爆発した。

勇者(爆発属性!?)

復讐者「ハァハァ・・・勇者ってのは・・その程度・・・なのか!?」

勇者「なら、これならどうだ!!」

勇者『シャイン!』

発動したのは光属性の中級魔法だ。初級の『ライト』よりも大きな光球を出現させ発射する。

復讐者(光魔法・・・!)

復讐者「やっと・・勇者らしく・・・なってきたじゃ・・・ねーか!!」ハァハァ

復讐者は発射された光球をギリギリで回避する。光球はそのまま飛んでいき壁にぶつかり爆発する。

勇者「まだまだ!!『激流!』」

勇者は両手で同時に魔法を発動させる。
しかし復讐者は壁をうまく使いそれを回避。

復讐者『爆・・・然・・!』ハァハァ

復讐者の発動した中級爆発魔法が勇者に直撃し、勇者は吹き飛ばされた。

復讐者「さすがに・・・直撃・・・は、堪えた・・・だろ?」ハァハァ

復讐者は不意にそう呟いた。爆発魔法の破壊力は凄まじいものだ。勇者も大怪我を負っているはず、そう思っていた。しかし・・・

復讐者「なっ・・・!」

煙が晴れたそこには床の濡れた路地が広がっているだけ。傷ついた勇者なんてどこにもいなかった。

復讐者「いっ・・たい、どこ・・・だよ」ハァハァ

勇者「こっち・・・だああぁぁぁぁ!!!」

声に気がつき咄嗟に上を見た、その直後。どうやったのか、上から落下してきた勇者に右肩から左脇腹にかけて剣で切り裂かれた。

復讐者「くそ・・・!」

復讐者「なん・・で、無傷・・・」ハァハァ

勇者「爆発する直前に、地面に思いっきり『激流』を発動させたんだ。煙が大きかったのと、君が焦っていたおかげで気づかれなかったよ」

復讐者「くそ!く・・・そ・・が!」ハァハァ

復讐者はすでに立てないほどまでに弱っていた。勝負はついた。

勇者「諦めるんだ、冒険者狩り。君の負けだ」

復讐者「誰が・・・いつ・・・負けを・・・認めた?」ハァハァ

復讐者が手を勇者の方へと向ける。

復讐者『熱線・パイロ・・・!』ハァハァ

呪文が発動しかけたその時、復讐者の腕が一瞬にして凍りついた。

勇者「!?」

??「駄目だろ復讐者、魔法を使いすぎだ。それを発動したらお前の体がもたない」

復讐者「くそ!殺らせろ!殺らせろよ!!あと少しで殺せるんだよ!くそが!!」

勇者「お前・・は?」

??「俺はこいつみたく馬鹿じゃねーんだ。名乗る真似はしねーよ」

復讐者「ハァ・・ハァ・・・」

??「まあ、一つ説明するとすれば、俺たちは勇者を全員殺すつもりだってことだ。てことで、とりあえず今回は撤退させて貰うぜ」

勇者「くっ・・・逃がすか!!」

??『フラッシュ』

そいつの手が光り輝き、咄嗟に目を閉じてしまう。目を開けた時、もうそこには誰もいなかった。

勇者「なんで・・・光属性・・・?」

今日はここまで。

勇者「ハァ・・ハァ・・・」

冒険者狩りの仲間は確かに光属性の魔法を使った。魔石を取り出した様子もなかったし、あいつは勇者の中の誰かで間違いないはず・・・いや、今は気にしても仕方ないか。

勇者「とりあえずザコ達のところに行くか」

水流で体を浮き上がれさせ壁を越える。

勇者「あれ、誰もいない・・・」

武闘家「勇者!」

勇者「ぶ、武闘家!?ザコ達は?」

武闘家「病院だ!竜王が倒れた!」

勇者「え!?」

時間は遡り、勇者と復讐者が戦い始めた直後。

エルフ「ふぅ・・・ここまで離れたら安心かな?」

俺たちはあの路地裏から少し離れたところへと走ってきた。

ザコ「なんでお前がいんの?」

エルフ「私もほぼ同じ道順で通ってるからね、君を見かけて話しかけようと思ったら突然消えたから。闘技場に行って勇者様に助けを求めたんだよ」

ザコ「ん?勇者って女騎士さんと戦ってなかったか?」

エルフ「急いでたから観客席から大声で叫んだんだよ。まったく・・・恥ずかしかったんだから」

ザコ「ご、ごめん」

ザコ(エルフってもっと血も涙もない奴だと思ってたぜ・・・)

ザコ「なにはともあれ、ありがとな!」

エルフ「いや、別にいいけど。首からなんか垂れてるよ?」

ザコ「え?」

竜王「」タラーン

ザコ「うわああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

エルフ「!」ビクッ

ザコ「ど、どうした!?」

竜王「魔力が・・・足りん・・・」

ザコ「え?」

ザコ「そんなに幼女化って体力使うのか・・・」

竜王「ち、違う・・・わい・・・」

エルフ「と、とにかく病院!急ごう!」

ザコ「あ、ああ!」

竜王「う・・・うぅ・・・」

幼女化した竜王をおんぶして全力で走った。エルフが。

ザコ「やっと・・・ついた・・・もう無理吐きそう・・・」ハァハァ

エルフ「ほんとに君はザコ将軍だね」

ザコ「りゅ、竜王は?」ハァハァ

エルフ「今は治療を受けてるよ。けど、だいぶ弱ってるみたい」

ザコ「そうか」

そのすぐ後に騒ぎを聞いた武闘家がやってきた。すぐに勇者に事情を知らせに行かせた。そういえばすげぇたくさん買ってたな、あいつ。

勇者が到着してからしばらく経った後、竜王の治療が終わった。いったいなにがあったのだろうか?

ザコ(竜王、無事だといいんだけどな)

その後勇者から戦った後のことを聞いた。冒険者狩りの目的と、仲間がいたこと。そしてその仲間が勇者のうちの一人だということ・・・

武闘家「冒険者狩りと勇者の中の誰かが、繋がっている?」

勇者「うん、おそらくそうだよ」

エルフ「けど冒険者狩りが勇者のことを嫌ってるのに、勇者を仲間にしてるっておかしくない?」

勇者「うん・・・」

ザコ(謎だらけだな)

その日は一旦宿屋に戻ることにした。
竜王も命に別状はなかったみたいだし、とりあえずは良かった。

今日は終わり。とりあえず300到達して嬉しい。

ザコ(やることが・・・ない)

ザコ「何しようかな、適当にぶらつくか」

ザコ(よし、あれをするか)

〈打倒鬼王!竜王考案、トレーニングプランなのじゃ!〉

ザコ(竜王が俺のために考えてくれたらしい。てか文字書く時もじゃをつけるんだな、こいつ)

ザコ(まあね、トレーニングプランを考える時にね、めっちゃ体触られたわけですよ。その結果、俺の息子はとっても元気になりました!)

ザコ「おっと話が逸れてしまったね、自慢じゃないからね?ほんとだよ?」

ザコ「めんどくせぇからやってなかったけど、竜王がああだとなんか申し訳ないしな、さあ!やるぜ!!!」

ザコ(トレーニングを始めてから二時間経過)

ザコ「きっつ!くそきっつ!!」ハァハァ

ザコ(もう死にそう・・・)ハァハァ

ザコ(あと3分の1もあるんだよなぁ・・・ちょっとくらいなら休んでいいよな)ハァハァ

近くにあったベンチに腰掛ける。
その隣に小さな道場を見つけた。
この辺りは大きな道場が多いのに、よく残ってるな。

老人「我が道場に何か用かのう?」

ザコ「!」

ザコ(こ、この人!絶対師匠系キャラだ!)

ザコ「え、いや、その、小さい道場なのによく残ってるなーって」

ザコ(しまった言っちまった!!)

老人「ふぉっふぉっふぉっ、最近までは潰れる寸前じゃったが、最近になって弟子入りを望む若者が増え始めたんじゃ」

ザコ「なんでですか?」

老人「そりゃあわしの戦い方に惹かれたんじゃろうなぁ」

ザコ「へぇー、そんなに強いんですか?」

老人「ある者にとっては強いがある者にとっては使えない。そんな技術じゃ」

ザコ「どんな技なんですか?」

老人「無加護の者を加護者と互角戦えるようにする技術を教えているのじゃ」

ザコ「タイムリイイイィィィィ!!!」

一旦終わり、完全にレス見て考えた。

老人「な、なんじゃ?突然叫び出して」

ザコ「それ、教えてくれよ!」

老人「それとはなんじゃ?」

ザコ「だから、無加護者が加護者と戦えるようになる技術!」

老人「なるほどのう。いいじゃろう、教えてやろう」

ザコ「やったぜ!」

老人「詳しいことは中で話すとしよう」

ザコ「ああ!」

道場に入るがやはり小さい。何を学ぶにせよこれじゃあ物好きしかやってこないだろう。

老人「小さいのは仕方ない。儂の技を覚えようとするものは少ないんじゃ」

ザコ(読まれてるだと・・・?)

ザコ「で、その技術ってのは何なんだ?」

老人「それは、暗殺術じゃ」

ザコ「えぇ・・・」

この世界は正々堂々と戦うのがデフォルトなので奇襲などはあまり使われない。無論、暗殺術も大抵の奴には毛嫌いされている。

老人「無加護者が加護者と戦っても、魔力の差もあって勝てる確率は低いからのう」

復讐者との戦闘を思い出す。竜王の力を使ったものの長くは持たなかった。まああいつは魔物の腕になったりよくわからない部分はあったが。

ザコ「いや、俺斬ることのできる武器は装備できなくて・・・」

老人「では治せば良いではないか」

ザコ「治せるんすか!?」

ザコ「震えの原因もわからなくて、困ってたんですけど」

老人「武器を持つと震えてしまう者は何度も見てきたが、ほとんどが心の問題じゃった。過去に何かトラウマがある者が多かったのう」

ザコ「心当たりは無いんですけど」

老人「その時のショックで忘れてしまっておる可能性もある。否定せずにまずはやってみることが肝心じゃ」

ザコ「なるほど、それで具体的にはどうすれば?」

老人「心を落ち着かせるのじゃ、明鏡止水の心を持てれば必ずや装備することができるじゃろう」

ザコ「明鏡止水・・・ねぇ」

老人「あとは何とかしてトラウマを克服するのが簡単じゃな。中にはトラウマをド忘れするという馬鹿みたいな技をする者もおった」

老人「それから一時的に持てる方法もある」

ザコ「それは?」

老人「何か強い感情で自分を覆い尽くすのじゃ、例えば怒りとか、復讐心などじゃな」

ザコ「なんか怖いしやめときます・・・」

老人「ふぉっふぉっふぉっ、それが良い」

老人「冷静さを手に入れるようにしつつ、まずは別の技を教えるとするかのう」

ザコ(修行パートっぽくなってきました!)

老人「もちろん暗殺できるとは限らん、敵から戦いを仕掛けられる可能性場合などもあるじゃろう」

老人「だからといって正面戦闘ではまず勝てないじゃろうな」

ザコ「じゃあどうするんすか?」

老人「相手の攻撃を受け止めようとすれば押し負けるのは目に見えておる。ならば、相手の攻撃を受け流せばいいのじゃ」

ザコ「受け流す・・・」

老人「受け流すだけならそこまでの力はいらないからのう」

ザコ(思ったよりそれっぽいな)

老人「わしの技術を何じゃと思ってたんじゃ?」

ザコ「やっぱり読まれてるぅー!」

老人「ただの予測じゃ」

今日は終わり。修行パート突入。
ザコじゃNEEEEEEE!!!までの道のりは遠い。

竜王が目を覚ましたのは俺が修行を始めてから二週間後のことだった。

ザコ「で、目を覚ましたのはいいけどさ」

竜王「・・・」モグモグ

ザコ「起きてすぐに食い過ぎじゃないか?これで5個目だぞ?ハンバーガー」

竜王「仕方ないであろう。食わないと魔力が補給できないのじゃから!」

ザコ(幼女が大量のハンバーガーに囲まれてる光景ってなかなか凄いな)

ザコ「それで?なんでお前はあの時倒れたんだよ」

竜王「それは妾が魔王軍から逃げ出した時のことが原因じゃ」

竜王「妾が魔王軍から逃げようとしたのが勘付かれていたようでな、鬼王に追われたんじゃよ」

ザコ「へぇー、けど竜王って鬼王より強いんじゃないのか?」モグモグ

竜王「だがその時は騎士王もおってな、さすがに奴には勝てなかったんじゃ」

ザコ「その時の七幹部一位と四位とかよく生きてたな」モグモグ

竜王「そりゃあ妾は強いからのう!」エッヘン!

ザコ(可愛い)モグモグ

竜王「というよりザコ!妾のはんばーがーを食べるでない!」

ザコ「俺が買ったのに・・・」

竜王「まあ死ぬことはなかったが重傷を負ってのう、妾は魔力の大半を失ってしまったのじゃ」

ザコ「へぇー、じゃあ言うほど強くないのか」

竜王「それでもお主を片手でひねりつぶせるほどの力はあるがのう」

ザコ(それは竜王が強いのか俺が弱いのか・・・)

竜王「それで弱っていたところをあの女神に見つかってのう」

ザコ「へぇー、保護してくれるとかあの女神も案外いい奴なんだな」

竜王「そうとも言えんな」

加護の女神「竜王じゃないですか!しかも弱ってる!これを他の奴らに見せれば私の株も上がる!より尊敬されて献上品も増える!最高じゃないですか!」

竜王「と言っていたからのう」

ザコ「女神ィ・・・」

ザコ「じゃあ俺はお前の力を取り戻させる必要があるんだな」

竜王「そうじゃ!お主は妾のことをロリロリ言っているが力さえ取り戻せばロリじゃなくなるんじゃ!」

ザコ「ハンバーガーははんばーがーなのにロリはロリなんだな」

竜王「今それは関係ないじゃろう!」

ザコ「とにかく力を取り戻させれば俺のストライクゾーンに近づいていくってことだろ?」

竜王「容姿の問題ではない!力の問題じゃ!」

ザコ「けど容姿の話を持ち出したのはお前だろ?」

竜王「うっ・・・も、もう知らん!とっとと帰れ!!」

ザコ(竜王は最低限の魔力を補給するまで病院にいるそうだ)

ザコ(ちなみに俺たちが武の国に残っているのは竜王のためだけじゃない。各々の戦力の強化ともう一つ、勇者がある約束をしたからだ)

<冒険者狩り騒動直後>
女騎士「勇者君!」

勇者「あ、女騎士さん」

女騎士「騒動が解決したのはいいが私との勝負は終わってないぞ!」

勇者「ご、ごめんなさい」

女騎士「だから君には一ヶ月後の武術大会に出て貰う!」

勇者「えぇ!!けどそんなに滞在するわけには・・・」

ザコ「竜王がいつ目を覚ますのかもわからないんだし、いいんじゃないか?」

勇者「うーん・・・そうだね。わかりました!」

ザコ(武術大会はちょうど今から二週間後。俺?観戦に決まってるだろバカタレ!!)

ザコ(勇者は王宮で中央警備の人達に鍛えられている、さすが主人公。武闘家はなんか凄い強い人に出会ったらしい。一回会ったけど汚ねぇし臭かった)

ザコ(そして俺は今日も師匠との修行だ。俺も頑張らないとな)

ザコ「師匠!おはようございます!」

老人「む?ちょうど良いところに来たのう、こやつが今話したザコじゃ」

ザコ「師匠、その人は?」

老人「こやつは弟子騎士。儂が昔技を教えた者にして、儂の息子。そして中央警備の一人じゃ」

ザコ「弟子で息子で中央警備!?てか騎士なのに暗殺?」

弟子騎士「あくまで学んだだけだ、使ってはいない」

ザコ(てことはこのおっさんも無加護なのかな。あれ?無加護ってだけじゃ案外弱くないの?俺がとてつもないほど弱いだけなの?え?マジ?)

弟子騎士「それで?俺を呼んだ理由はなんだ?」

老人「儂はこいつを武術大会に出そうと思っておる。だから、お前が技を教えて欲しいのだ」

ザコ「え?」

弟子騎士「こいつを武術大会に?やめとけ、こいつじゃ予選で終わりだ」

老人「だからこそお前に頼んでおる。こやつが大会に出て活躍すれば指導を受けたいという輩も増える。そうなれば金も手に入る。最高じゃ!」

弟子騎士「口を開けばすぐ金。だから俺はお前が嫌いなんだよジジイ」

ザコ(あれ?俺の意見は?)

弟子騎士「つまり俺があんたから学んだことを公表しないから金が稼げなくて困ってるってことだろ?」

老人「まあそういうことじゃな」

ザコ「待ってくれよ。俺以外にも弟子がいるんだろ?ならそいつらの方がいいんじゃないか?」

老人「まあいるのはいるが・・・」

弟子騎士「残りの弟子は全員こいつの孫で、俺の子供だ」

老人孫「おとーさん!!おじーちゃん!!」

ザコ「!?」

老人「おー来たか!孫よ!!」

ザコ「てことは実質・・・」

弟子騎士「今現在弟子はお前一人だ」

ザコ「えぇ・・・」

老人「こんな可愛い孫をあんな危ないところに行かせられるわけなかろう!!!」

ザコ「えぇ・・・」

書き溜め投下。俺の苦手なガチバトルがやってくる・・・

結局師匠がエロ本の隠し場所で脅してた。恐妻家らしい、弟子騎士チョレえええええぇぇぇぇ!!!

弟子騎士「気が変わった、仕方がないから教えてやる」

ザコ「ベッドの下はやめといたほうが・・・」

弟子騎士「う、うるさい!教えてもらうんだから感謝しろ!!」

弟子騎士「とにかく、二週間の訓練で本戦を勝ち抜くことはできないだろう。だが予選さえ勝てれば決勝トーナメントまで一週間の猶予ができる」

ザコ「なんで?」

弟子騎士「決勝トーナメントまでの準備と武器が壊れることもあるからそれへの配慮だな」

ザコ「なるほど」

弟子騎士「それでは、修行を始めるとするか」

弟子騎士と師匠に戦い方を学んだ。奇襲をするための技術、相手の攻撃を受け流す技術。剣を持てるようにはならなかったけど、確かに強くなったと実感できた。

俺は俺で呪文の修行を続け、竜王特別メニューもしっかりと行った。だけど、武術大会は俺に合わせてくれるわけじゃない、格上はもっといるだろう。でもせめて予選は勝ち抜きたい、勇者や武闘家と同じ舞台に立ちたい。そう思った。

そして、二週間が経過した。
ついに武の国主催、武術大会の幕開けだ。

ザコ「師匠や弟子騎士が言ってたとおり、これなら俺にもワンチャンあるな」

武術大会の予選は国の近くの大森林にて開催される。形式は参加者の約半分によるバトルロワイアル。残り半分は国の近くの町にて同じルールで戦う。

ザコ「勇者と武闘家はこっちじゃないのか」

ザコ(まあ味方に倒されるのは嫌だしな)

竜王「お主の修行の成果を見せてもらうぞ!」

ザコ「フッ、俺のあまりの成長ぶりに驚くだろうな」

この大会、こんな所で戦ったら勝手に殺されたりしちゃうんじゃないの?という心配は無い。

この森は武の国の地下にある巨大魔石による結界に覆われている。家一つ分くらいの巨大な魔石だ。通称千年魔石。

この結界の中では命に関わる攻撃が触れかけた瞬間、その人物の体を覆うように超強力なバリアが発生し自動的に武の国へと転移する。なんとも都合の良いシステム・・・!

ザコ「あと五分でスタートか、緊張するなぁ・・・」

竜王「タイムリミットは最大三時間じゃから、とにかく二時間は逃げ回ることにするのじゃ」

ザコ「了解!」

そしてついに大会がスタート、と共にけたたましいアナウンスが響き渡る。

『武術大会予選Aブロック!スタート!』

ザコ(教訓その1、常に物陰に隠れる)

老人『開けた場所に出るなど愚の骨頂じゃ、よほど強さに自信が無い限りしてはいかん』

ザコ(教訓その2、常に周りに気を配れ)

弟子騎士『特に後ろを意識しろ、予選会場ではどこから来るかわからないからな』

ザコ(とりあえずこの二つを守れば敵に会う確率はぐんと減るらしい)

ザコ(ん?あれ、誰かいる)

「マグナムパーンチ!!!」

ザコ「!?」

突然そいつが俺の方に近づいてきた。いや、狙いは俺が隠れている木のほうか!

奴の攻撃が木に直撃、もう一度攻撃し木をこちら側に倒す。

咄嗟にかわし、なんとか潰されるのは防ぐ。

拳士「さすがにかわされたかー」

ザコ「くっそ!こちとら戦う気はねえんだよ!!」

拳士「さあさあ!手に汗握る攻防を繰り広げよ『プラントラップ!』

拳士「何!?」

突然のことに戸惑ったのか盛大に転んだようだ。俺はその隙に全力ダッシュ。元よりまともに戦う気は無い。

拳士「くっそぉー!待てよ!!!」

ザコ(待つわけないだろ)

ていうかあんなに大きく叫んで・・・あいつ馬鹿だろ。

今日は終わり。
ついに大会開始!

ザコ「ここまで来れば大丈夫か?」

ザコ(あのパワフル拳士から逃げてすでに五分、追ってくる様子もないししばらくは安心か)

竜王「油断はするでないぞ?」

ザコ「わかってる」

老人『お前の目の良さは明らかにチートじゃ。周囲に警戒さえしていれば、どんな攻撃も捉えきれるじゃろう』

ザコ(って言ってたしな)

遠くの方で何かぶつかり合う音が聞こえるがこっちに来る様子は無い。

ザコ(今で8分か、長いなぁ・・・)

始まる前にもらった時計を見ながらそう思う。開始直前にさっそく会ったのでマジで怖い。

それから五分、十分と経過して予選開始から現在三十分。遠くで聞こえた戦いの音もすでに止み。静寂が続いている。

ザコ(このまま続いてください!)

しかし、どこからか足音が聞こえてくる。しかも近づいてきている。
数は二つ、どちらかが追われているようだ。

ザコ(戦いは避けたいし、木の上に隠れるか)

蔓を使って木を登り隠れる。見えてきたのは二人の男。追われているのは魔法使いで追いかけているのは戦士だ。

魔法使い「くそ!しつこいな!!」

戦士「悪いが逃すわけにはいかないんでな」

女なら助けた。

魔法使いはどうやら魔力が少ないらしい。魔法を使うのを渋っている。

魔法使い「仕方ねぇ!くらえ!『バレット!』」

魔法使いが使ったのは鋼属性の魔法だ。
名前の通り鉄で作った銃弾を発射する。が、簡単に剣で真っ二つにされてしまう。
そのまま一気に近づかれてしまい、なす術もなく倒されてしまった。

戦士「はぁ・・・はぁ・・・」

だいぶ走ったらしく疲れているご様子。
ただ、俺はチャンスは逃さない。

ザコ『ウッドバレット』

銃弾の形をした小さな木の塊を戦士に向かって放つ。すっかり油断していたらしく、木の弾は頭に直撃しかけ、バリアに包まれその直後に転移した。

ザコ「おぉーなんか今のスナイパー感あったな」

戦士を倒した俺はすぐに移動を開始する。あの二人を追ってきている奴がいたら面倒くさいからな。

しばらく走ると川が見えてきた。深そうなので左に曲がりしばらく進む。すると橋を発見、けど行ったら殺られそう。

ザコ(ここでしばらく様子見・・・)

突然視界の左端に人が映る。相手の攻撃を俺はギリギリで回避。

ザコ「危ね!」

ナイフ使い「くっそ、惜しかったな」

ザコ「俺は戦う気無いんだけど!」

ザコ(後ろは川、逃げるのは難しいな)

どうやら戦うしかないらしい。

今の俺の装備は鉄の棒。こういう刃物を使う奴に対処するために装備を変えたのだ。

ナイフ使い「そんな棒で俺のナイフを防げるか!?」

どこにそんなに持っているのか。次々とナイフを取り出し投げつけてくる。

ザコ【防御の型・水流】

俺は棒を使い次々とナイフの軌道を逸らしていく。

ザコ(おお!俺、戦えてる!)

ナイフ使い「くそ!調子に乗るなよ!」

ナイフ使いが一気に近づいてくるが。

ザコ【防御の型・火炎!】

相手の攻撃を受け流してから背中に一撃。カウンターが見事に決まった。

ザコ(おお!!!)

ナイフ使い「何!?」

ナイフ使い(こいつ!攻撃が当たらねぇ!)

ザコ「どうした?その程度か?」

ザコ(言ってみたかったランキング1位を言える日が来るとは・・・)

ナイフ使い「なら!【短剣乱舞!】」

いくつもの短剣が不規則に動きながら俺へと迫る。

ザコ『火炎!』

俺はそれを魔法で焼き尽くした。そして・・・

ザコ【攻撃の型・ハートブレイク】

反撃の一撃で勝負を決めた。

ザコ「俺、勝てた・・・!」

【防御の型・水流】は相手の攻撃を受け流し、【防御の型・火炎】は相手の攻撃を受け流した後攻撃。【攻撃の型・ハートブレイク】は相手の心臓に直接ダメージを与える技だ。

ザコ(どの技もこの二週間ひたすら練習したからな。一発で成功できた。これなら戦えれそうだ)

さきほどまでナイフ使いがいた場所を見てそう思う。

フツウ「今の俺は雑魚じゃないぜ!」

竜王「今のは相手のレベルが低かったおかげじゃな」

ザコ「か、勝ったからいいだろ!」

正直ハートブレイクの方はもう少し相手が強かったら決まらなかったはずだ。慢心はやっぱりやめておこう・・・

とりあえず終わり。
特技は【これ】、呪文は『これ』でいこうと思っています。

そして予選開始から一時間経過。今のところは順調だ。あの後何回か戦闘になったが足止めして逃げたりで大きな問題は無い。

ザコ(順調順調!この調子でいけば可能性あるよな)

「やっと!!!見つけた!!!」

ザコ「!?」

拳士「へへへっ、やられてなくて良かったぜ!」

ザコ(面倒くさい奴に会ったな・・・)

拳士「さあ!今度はちゃんと戦って貰うぜ?」

ザコ「俺はお前と戦う気はないぞ!あと二時間もあるんだしな」

拳士「お前の都合なんて関係ねぇ!俺が戦いたいだけだ!!」

ザコ(脳筋めぇ・・・)

拳士「とにかぁく!!勝負開始だぜ!!」

拳士がこっちに近づいてくる、凄い速度だ。やっぱりこいつ、言動のわりに強いな。

拳士【ダイナマイトパンチ!】

拳士の拳が黄色く輝く。

ザコ【防御の型・水流!】

拳士の攻撃を受け流す。うまくいった!

拳士「なぁ!?」

受け流した先には大木がある。拳士の拳は大木に直撃し、直後に爆発を引き起こした。

ザコ「!?」

ザコ「はぁ!?爆発!?声もでけぇし攻撃も派手!お前予選に向いてないだろ!」

拳士「俺は隠れるのが嫌いだからな!お前に会うまで54人も倒したぜ!」

ザコ「嘘だろ!?」

拳士「へへっ!まだまだ行くぜ!」

ザコ「くそ!『プラントラップ!』」

拳士「それはもう効かねえ!」

ブチッという音と共にプラントラップを突破される。

拳士「もう一回だ!【ダイナマイトパンチ!】」

ザコ「あぁ!もう!お前嫌い!!」

ザコ(成功確率は低いけど、やってやる!)

ザコ『ウッドキャノン!』

木の砲弾を勢い良く発射する。

拳士「そんなの効かねえよ!!」

拳士が木の砲弾を殴り爆発と共に破壊。そして爆風がこっちへと迫ってくる。

ザコ(ここまでは想定内、こっからだ!)

ザコ【防御の型・激流!!】

【水流】は相手の攻撃を逸らす技
【火炎】は相手の攻撃を逸らし、反撃する技。
そして【激流】は、相手の攻撃を相手に返す技だ!

爆風の衝撃をうまく動かし、拳士へと返す!

ザコ「自分の攻撃の衝撃!自分で受けろ!!」

拳士「なっ!」

返ってきた爆風によって視界を奪われ、衝撃によってその場を動けなくなる拳士。その隙は逃さない。

ザコ【攻撃の型・脳震!】

顎を攻撃し脳を揺らすことで相手を気絶させる攻撃だ。

拳士「くそ!」

脳震が直撃し気絶しそうになる拳士、しかし・・・

拳士「倒れ・・・・なっい!!!」

ザコ「面倒くさいな!倒れろよ!」

拳士「へへへっ!俺の根性をなめてもらっちゃ困るぜ!」

拳士「お返しにくらいやがれ!俺の必殺の一撃を!!」

拳士【爆裂け『束縛プラント!』

拳士の周りから出現した蔓が拳士の動きを制限する。

ザコ「これで動けないだろ?」

拳士「くっそがあ!!!」

ザコ「さあ、決めさせて貰うぜ?」

その時だった。突然殺気を感じて後ろを振り向くと、そこには一人の男がいた。
身長は2メートルはあるだろう。黒いロングコートを着ていて、目は青色、俺のことをジッと見ている。

大男「お前、勇者の仲間のザコだな?」

ザコ「お前、誰?」

ザコ「まあ・・・俺だけど」

大男「そうか、やっと見つけた」

ザコ「?」

拳士「俺をほったらかすなよ!!」

大男「勇者はこっちにはいないのか?」

ザコ「勇者は別ブロックだぜ?残念だったな」

拳士「おい!聞いてんのか!?」

大男「いや、そうでもない」

ザコ「なんでだ?」

拳士「おい!おい!!!」

大男「お前を見つけたからだ」

そう言った大男の肌は、赤く変色していた。

ザコ「!?」

もともと大きかった大男の体がみるみる大きくなっていく。と、同時に大男の体が変化していく。

ザコ「魔物の体・・・?」

拳士「どうなってやがんだ・・・?」

6、7メートルほどになったところで巨大化は止まった。赤い肌や巨大な甲殻、ところどころに毛皮が生えたり、頭にはツノが生えたりもしている。

ザコ「魔物化できるなんて・・・」

人が魔物化する。そんなこと、俺は一度も見たことが・・・いや、一度だけ見たことがある。

ザコ(俺が知る限りそんなことをできるのは復讐者しか知らない。ということはまさかこいつも)

ザコ「冒険者狩り・・・?」

9

<ある廃墟>

「本当にあいつを参加させて良かったんですか?」

一人の男がそう言った。彼の名は研究者、生物について研究している男だ。

「ああ、大丈夫だ」

彼の質問に答えたのは一ヶ月前、勇者やザコと戦った男。復讐者だ。

復讐者「あの大会には、絶対に勇者が参加してる」

研究者「何か確証でもあるんですか?」

復讐者「いや、勇者嫌いのただの勘だ」

研究者「ハハッ、まあ勇者と会うかはわかりませんが、きっとあいつなら沢山殺ってくれますよ」

復讐者「ああ、楽しみだなぁ・・・」

そう言うと彼は笑った。子供のように無邪気な笑顔で。

復讐者「殺って殺って殺りまくれ。俺のキメラ・・・」

書き溜めの途中送信二度目。
ああああああぁぁぁ!!

キメラ「ゴアアアァァァァァァ!!」

大男だったその魔物は大きな雄叫びをあげる。途端、何かがパリンッと割れる音がした。

ザコ「!」

上を見上げると割れたピンク色の破片が消滅していくところだった。あの破片はおそらくこの森を覆っていた結界の破片。ということは...

ザコ「殺られる時のバリアと転移が無くなったってことだよな?」

それはつまり、今ダメージを受ければ死ぬ可能性があるということ。命の保証はなくなったのだ。

キメラ「ゴアァ・・・アァ・・!」

ザコ(これは面倒くさいことになったな。とりあえず戦うことだけは回避したい)

人から変化したのだから意識はあるはずだ。交渉を試みる。

ザコ「えっと、オレ、ヘイワシュギ。ミンナ、トモダチ。アラソイ、シナイ。オーケー?」

キメラ「ゴアアァァァ!!」

お怒りのご様子。

ザコ「交渉失敗!!」

奴は今にも襲ってきそうな様子だ。最初から戦うつもりらしい。

拳士「おい!お前!」

蔓の束縛を平然と突破した拳士が話しかけてくる。本気で縛ったのに・・・

ザコ「なんだよ」

拳士「あいつ、何だ?」

ザコ「俺も詳しいことはわからないけど、とにかくこいつが暴れたら大会は中止だと思う」

拳士「とりあえず、共闘といこうじゃねーか!」

ザコ「は!?戦うのか!?」

拳士「せっかくこんな強敵がいるんだぜ?それに、大会中止は嫌だからな!やるに決まってんだろ!」

ザコ「じゃあ一人でやれよ!俺は関係ないだろ?」

拳士「逃げるのはお前の勝手だが、あいつの狙いはお前っぽいぞ?共闘したほうが身のためだと思うぜ?」

確かに奴はさっきからずっと俺の方しか見ていない。

ザコ「やるしかないか・・・!」

俺は生死を賭けた戦いに向け、覚悟を決めた。

キメラ「ゴアアアアアァァァァァァ!!!!!」

奴が雄叫びを上げる。戦闘開始だ!

書き溜め分投下。
シリアスな場面で失態を犯してしまうとは・・・前より恥ずかしい。

奴が上へと跳んだ。そして、落下の速度と共に俺を殴ろうとしてくる。

ザコ「竜王!!」

竜王「わかっておる!」

命がかかってるんだ、今まで力の補助にしか使っていなかった竜王の力も使えるだけ使う。

ザコ【防御の型・水流!!】

奴の攻撃を逸らしダメージを回避。そこに拳士が近づいて

拳士【ダイナマイトパンチ!!】

顔面に一撃。爆発の衝撃で奴は転んでしまう。だが、まだ攻撃は終わらない。

ザコ『炎火!!』

炎魔法で攻撃、ダメージを与える。
そして奴が立ち上がろうとしたところで拳士の二発目。またもや倒れてしまう。

キメラ「グアアァァァァ!!」

拳士「へへっ、なんだ?思ったより手応えねぇなぁ!」

ザコ(頼もしいなこいつ!)

キメラ「グアァァァァ!!」

奴は真正面から突進してくる。
これは非常にやりやすい。

ザコ『プラントラップ×3!』

拳士との戦いの反省を活かしてプラントラップを三つ重ねてみた。
三本重ねのプラントラップは流石に突破できなかったらしい。奴は足が引っかかり体勢を崩す。

拳士「ナイスだぜ!【ダイナマイトパンチ!!】」

拳士の攻撃が直撃。

ザコ(これは・・・いける!勝てる!)

拳士「もう一発!【ダイナマイトパンチ!!】」

キメラ『ゴアアアァァァァァァ!!!!』

拳士の攻撃が当たりかけた時、奴が突然叫び出した。が、もちろん意味はなく拳士の攻撃が直撃。しかし・・・

拳士「なっ!爆発しねぇ!?」

ザコ「!?」

油断した拳士に奴が攻撃。吹き飛ばされてしまう。

ザコ「拳士!」

立ち上がった奴と目があった。来る!

キメラ「ゴアァ!!」

奴が突撃してくるので俺は呪文で迎撃する。

ザコ「くそ!『ウッドキャノン!!』」

木の砲弾が奴に向かってまっすぐに進んで行くが・・・

キメラ『ゴアアアァァァァァァ!!!』

奴が叫んだ瞬間、木の砲弾が消滅した。

ザコ(まただ!)

竜王「っ!ザコ!避け・・・」

竜王の声を聞き、避けようと俺が動くよりも早く奴の攻撃が俺に直撃した。

ザコ「ぐあっ!」

体に激痛が走る。骨が折れたり内臓が破裂したりはしてないみたいだ。

ザコ(くそ!どうなってる!?)

俺は奴の手に握られてしまう。

キメラ「ゴアァァ・・・!」

ザコ「やっべ!何これどうしよう!」

奴の手に力が加わる。

ザコ「あああああぁぁぁぁぁ!!!!痛い痛い痛い!!」

どんどん痛みが増してくる。体が苦しくなってきて、そして・・・



拳士【爆裂拳!!!!】

奴の手の力が抜けた。俺は地面へと落下。奴は拳士の攻撃をくらい、遠くへと吹き飛ばされる。

拳士「よっしゃあ!!」

ザコ「サン・・・キュー・・・」

拳士「一緒に戦ってる仲間なんだから気にすんな!」

キメラ「アアァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」

拳士「あ?」

雄叫び、いや悲鳴か。どうやら今のが効いたらしい。

ザコ「あいつの雄叫び。どういうことかはわからないけど、魔法を打ち消す効果があるみたいだな」

拳士「面倒くせぇな、おい、さっきみたいにやられてくれよ」

ザコ「やだよ!!あんな痛いの二度とごめんだ!」

拳士「だよなぁ・・・」

キメラ「ゴアァ!アァ!!」

拳士「あいつはまだやる気みてぇだし、厄介だな」

あいつの力は確かに厄介だ。魔法を使おうとしても打ち消されこちらの魔力だけ消費してしまう。一度くらいなら雄叫びは防げそうだが・・・

ザコ「なら仕方ない。一気に終わらせにいこう」

拳士「?」

ザコ『生成・大木!!!』

小さな苗から徐々に大きくなり巨大な大木へと変化していく。

ザコ「よし、完成!」

拳士「何をするつもりなんだ?」

ザコ「フッ、教えてほしいか?」

拳士「ああ!」

ザコ「なら教えてやらなーい!」

拳士「うぜぇよ、殴るぞ?」

ザコ「真顔で言うなよ、嘘だよ嘘!俺がこの大木を作ったのは光合成をさせるためだ」

拳士「光合成?」

この世界の魔力というのはあらゆる物に存在している。空気、光、生き物、etc...
それらの魔力は空気なら吸う、生き物なら食べるなど、色々な方法で補給できる。

ザコ「木の場合は光合成をすることで太陽の光の中にある魔力、空気の中の魔力、土の中の水分にある魔力を補給できる!」

ザコ「そしてこの大木は俺が作ったから大木の魔力を好きに使えるってわけだ!」

拳士「それぐらいなら俺にもわかるぜ?けどそれをどうすんだ?」

ザコ「言ったろ?一気に決めるって。拳士、お前に光合成で貯めるだけ貯めた魔力を渡す。俺が何とかして雄叫びを防ぐからその魔力を使ってお前があいつを倒せ」

拳士「おいおい、必殺の一撃であいつを倒せだ?難しいこと言いやがんなお前。けどまあ・・・」

拳士「面白そうじゃん?」

ザコ「本当頼もしいよお前」

とりあえず終わり。
拳士はすぐ倒す予定だった。

キメラ「ゴアアアァァァァァァ!!!!」

拳士「さあ、行くぜ!!!」

奴は再びこっちへと突進してくる。

拳士「近づかせねぇよ!【飛拳!】」

【飛拳】は攻撃の力を空気に乗せて飛ばす特技だ。飛んでいった攻撃は奴に直撃し、怯む。

拳士「おらぁ!」

拳士の追撃が一発、二発と直撃し奴にダメージを蓄積していく。

キメラ「グアァ!アァ・・・!」

効いてはいるようだが、倒れる様子は全くない。まさに化け物だ。

拳士「へへっ!どうした!?その程度かよ!」

そんな奴に拳士は挑発する。なんて奴だよ・・・

拳士「まだまだ行くぜ!」

顔を狙おうと跳ぶ拳士。

キメラ「ゴアアァァァァ!」

奴は跳んできた拳士を叩き落そうとするが・・・

ザコ【防御の型・水流!】

俺が奴の攻撃を逸らし、拳士の攻撃が直撃。

キメラ「ゴアアアァァァァァァ!」

拳士「くそっ、効いてはいるんだけどなぁ」

ザコ「けど魔力は溜まってきてる。いい調子だぞ」

拳士「そうか!」

拳士「よし!これならどうだ?」

拳士は奴の周りを高速でまわり始める。

キメラ「ゴアァ?」

ザコ(スピードで攻めるのか)

奴は拳士がどこから攻撃してくるかわからず混乱する。

拳士「こっちだぜ!!」

後ろから拳士が攻撃しようとするが、ありえないような動きで後ろを向いた奴に攻撃を受け止められた。

拳士「なっ!そんなのありかよ!」

奴はそのまま攻撃しようとしてくるが、しっかりとガードしダメージを軽減、続いて攻撃を続ける。

拳士「スピードが無理ならパワーだ!
【気合!渾身!右ストレート!!】」

ザコ(特技名長え・・・)

奴は奇妙な動きで回避する。その結果、拳士の攻撃は掠っただけ。そのまま奴に叩き落とされる。

拳士「ぐはっ!巨体に似合わねえ変な動き方しやがるじゃねーか」

拳士「ならこれならどうだ?」

拳士【飛拳乱打!!!】

飛拳を使った攻撃の弾幕。前方を埋め尽くすように攻撃することで奴にかわす余地を与えない。

キメラ「ゴアァ!アァ!!!」

一撃一撃が奴に当たりダメージを蓄積させていく。が、奴の腕の甲殻が大きくなったかと思えば、盾の役割を果たし攻撃を防ぐ。

拳士「へへっ、なんでもありだなこいつ!」

ダメージを与えられないとわかると攻撃を止める。飛拳は通じにくいことがわかった。拳士と奴は互いに睨み合う。

拳士「まだまだこっからだ!」

キメラ「ゴアアァァァァ!!!」

再び攻防が開始。拳士が攻撃しつつ、危なくなったら俺が受け流す。そんな状況が五分、十分と続いていくと俺も拳士も集中力が無くなっていく。

ザコ「はぁ・・・はぁ・・・」

元々俺は前衛として戦う機会は少なかった。修行も二週間しかしていない。長く持つはずがなかった。

ザコ【防御の型・水・・・】

ついに逸らしきれず奴の攻撃が直撃する。

ザコ「しまっ・・・!」

拳士「ぐあああぁぁ!!」

キメラ「ゴアアアァァァァァ
ァ!!!」

奴の攻撃が拳士に直撃。吹き飛ばされる。そして俺も攻撃を受け木に叩きつけられる。

ザコ「ハァ・・・ハァ・・・」

ザコ(今まで成功してたから慢心してた。二週間の練習でこれまで成功してたのが奇跡だったんだ)

奴は拳士の方へ近づいていく。拳士はダメージが大きいようで動けないでいる。

ザコ「はぁ・・・はぁ・・・」

キメラ「グゥ・・・ゴアアァァァァ!!!」

拳士「!」

奴は拳士のところへ行くと拳士を攻撃し始めた。何度も、何度も、何度も、何度も、何度も。

拳士の体が血だらけになって、ピクリとも動かなくなった。まさか、死んだのか?遠いので確かめようがない。

奴が振り向いてこっちの方を見る。
嫌だ・・・死にたくない・・・

ザコ(くそっ、作戦も失敗した。今の俺じゃ多分逃げられない。負けた、負けたんだ)

ザコ(けど、どうせ死ぬなら頑張って一矢報いたいな)

まだ完全に集まりきってはいないものの、膨大な魔力を秘めた大木の方を見る。

ザコ「俺のせいで拳士が死んだかもしれないんだ。せめて相討ちじゃないとな」

俺は大木の中の魔力を自分の体に移し始めた。

キメラ「アァ?」

奴が大木の方を見る。拳士が倒され、俺が弱っていることで余裕ができたから気づいてしまったんだ。

ザコ(おい、待てよ・・・)

キメラ「ゴアァ・・・!」

奴が大きく息を吸い込む。

ザコ「待て、やめろ。それ潰されたらもう・・・」

キメラ「ゴアァァァ!!」ボワアアアァァ!!!

奴が口から火を吹いた。その火は真っ直ぐに進み大木を燃やした。

ザコ「あ・・・あぁ・・・」

大木が燃え尽きていき、同時に中の魔力も消えていく。もう勝つ手段は無い、俺は殺されるんだ。

キメラ「ゴアアアァァァァァァ!!!!」

奴が近づいてくる。俺は瞼を閉じて全てを諦めた。

目を閉じるとなんだか周りが静かになったように感じられた。なんだか心地いい、なんだか恐怖を感じない。
今ならビビらずに死ねるな。
ああ、けど死ぬ前に竜王に謝っておかないとな・・・

ザコ「ごめん、竜王。俺やっぱり駄目だったよ」

竜王「ザコ」

ザコ「お前の力も手に入れて、使える呪文も増えて、師匠のところで修行して、この大会で色んな奴と互角に戦えて、確かに強くなったって思った」

竜王「ザコ・・・!」

ザコ「けど俺はやっぱり弱かった。これだけ頑張ってやっと普通になれただけで、俺は強くはなかったんだ」

竜王「ザコ!!」

ザコ「な、なんだよ!」

竜王「もう終わっとる」

ザコ「え?」

俺はゆっくりと瞼を開く。最初に入ってきた光景は、真っ二つに切断された奴と、その前に立つ女騎士さんだった。

ザコ(°Д° )

ザコ(え?何これ、俺たちがすげぇ苦戦した敵だよ?なんでこんなあっさり死んでんの?え?)

女騎士「ふぅー、あんまり手応えなかったね」

ザコ(マジで?)

女騎士「ザコ君、よく頑張ったね。もう大丈夫だ」

ザコ「本当に?」

女騎士「ああ」

ザコ「良かったぁ・・・!」

あまりの安堵に涙が溢れてきた。良かった生きてる!

ザコ「って拳士は!?」

女騎士「私の仲間が転移結晶で国まで送ったよ。だけど助かるかはわからない」

ザコ「そうですか・・・」

それでも生きてる可能性があるだけ良かった。

ザコ「ていうか、この調子だと大会は・・・」

女騎士「中止だよ、他のところでも似たようなのが現れたからね」

ザコ「他のところにも!?」

女騎士「ああ、と言っても魔物化したのはこいつだけだけどね、他は乱入して来た奴らが手当たり次第に襲い始めたんだよ」

ザコ「えっと、勇者達は?」

女騎士「安心してくれ、無事だ」

みんなの生死を確認してやっと力が抜ける。抜きすぎたせいで涙を流し、鼻水を垂らし、失禁しているが気にしない気にしない。

ザコ「良かった・・・頑張って良かったよ俺」ナミダハナミズシッキン

かくして武の国での武術大会は幕を閉じた。中止という残念な結果に終わったが、それでもこの大会は俺にとって大きな経験になった。

武術大会編一応終了!
え?あっけない?これでも頑張った方!

勇者「そっちも大変だったんだね」

ザコ「ああ。死ぬかと思ったぜ」

武術大会が終わって三日が経過した。
俺は今久しぶりに勇者と武闘家と宿屋で会った。

ザコ「けどそっちはそっちでやばかったんだろ?」

勇者「うん、けど魔物化しなかった分楽だったかな」

武闘家「そこまでの手応えは感じられなかったな、俺もそっちに行きたかったぞ」

ザコ「変われるなら変わって欲しかったよ!」

勇者も武闘家も、かなり強くなったことがわかる。修行を受けたからかはわからないけど、相手の力というのがなんとなくわかるようになった。

武闘家「勇者、お前は見違えるほど強くなったな」

勇者「そ、そうかな?へへっ、嬉しいな」

ザコ(同じへへっなのに拳士のと全然違う・・・)

ちなみに拳士はなんとか一命を取り留めた。骨はバッキバキに折れてたらしいがな。

ザコ「それで?いつここを出るんだ?」

勇者「うん、僕たちもだいぶ強くなったしそろそろ出発する時期だと思う」

武闘家「俺は後三日居られれば充分だ」

勇者「僕はもう全然大丈夫だよ」

ザコ「俺は四日欲しいな、用事があるんだ」

その用事とは、武術大会が終わったその日に遡る。

老人「ありがとう!ありがとう!」

ザコ「師匠!?土下座やめてください!」

老人「お主のおかげで入門者が増えたんじゃよ!これも無加護ながらも必死に戦った勇気ある男だと女騎士様が言ってくださったおかげじゃ!」

そう、女騎士さんが言ってくれたおかげで俺は一躍有名人。新聞にもちょこっと取り上げられたりもした。

ザコ(じゃあ女騎士さんに言ったらいいんじゃ・・・というツッコミは、もうちょっと感謝されることの優越感に浸りたいのでやめておく)

ザコ「てことは道場は残るんですか?」

老人「ああそうじゃ!」

ザコ「良かった良かった」

老人「それでザコ、ここに残らんか?
お主は充分に才能がある。ここでもっと鍛えればもっと伸びるぞ?」

老人孫「え?お兄ちゃん、どっか行っちゃうの?」

ザコ「ああ、俺は勇者の仲間だからね。勇者が旅立つというなら俺もついていくよ」

老人孫「竜王ちゃんも?」

竜王「妾は憎き魔王軍へ復讐せねばならんからな!それとちゃんをつけるでない!様をつけろと言っておるじゃろう!」

竜王と老人孫ちゃんは見た目の大きさは一緒くらいなので仲良くなっていく。どっちも10歳くらいだからなぁ・・・可愛いよぉロリ!

弟子騎士「おい、俺の子供をなんて目で見てるんだ?」

老人「殺すぞ」

ザコ「わっ!びっくりした、親戚の子を見る目ですよ、それ以上でもそれ以下でもありません」

ザコ(てか師匠超怖え・・・)

老人「それで弟子騎士よ、何の用じゃ?」

弟子騎士「ああ、お前も急ぐのだろ?結局二週間しか鍛えられなかったからな、一つ技を教えてやろうと思ってな」

ザコ「技?」

弟子騎士「ああ、そうだ。今日は時間がないから、一週間後ここに来い。その時に教えてやる」

弟子騎士「俺の必殺技をな」

ザコ(必殺技!いい響きじゃねーか!)

老人「お前がそこまでするのは初めてではないか?」

弟子騎士「ここまで本気で鍛えたのが初めてなだけだ。それ以外の理由はない」

ザコ「・・・」ニヤニヤ

弟子騎士「ニヤニヤ笑うな気持ち悪い!教えないぞ!?」

ザコ「すいませんでした!」ドゲザッ!

ザコ「それじゃあ一週間後、また来ます!」

俺は道場から立ち去る。必殺技、楽しみだな・・・

弟子騎士「おいジジイ。なんであんな嘘を言った?」

弟子騎士は、ザコが道場から立ち去るとそう言った。

老人「ふぉっふぉっふぉっ、実際早く覚えていたではないか」

老人孫「?」

弟子騎士「ああ、確かにあいつは技をすぐ使えるようになった」

弟子騎士「けどあれは少し違う。きっとあいつは、かつて似たような戦い方をしていて、なんらかの原因で忘れたんだ。それを俺たちの修行によって思い出した。俺にはそんな風に見えたぞ」

老人「ふぉっふぉっふぉっ、それは別にわしらが気にすることでは無いじゃろう?わしらの道場に残らないなら、あやつの事情はわしらにとっては関係無いのじゃからのう」

弟子騎士「はぁ・・・お前のそういうところが嫌いだ」

そして時は現在に戻る。

旅に出るのは五日後。そう決めた後、俺は勇者達と別れた。そして、国の外壁の近くで俺はそいつを見つけた。

ザコ「せめて挨拶くらいして行けよ」

俺が話しかけたのは、俺の幼馴染にしていじめっ子、エルフだ。

エルフ「なんだ、ばれてたんだ」

エルフ「それで、なんで追いかけてきたの?私は君をいじめた張本人、普通関わらないようにすると思うんだけど。Mなの?」

ザコ「違えよ。一つ聞きたいことがあってな」

エルフ「聞きたいこと?」

ザコ「ああ。俺は今まで無加護だからいじめられてたんだって思ってた、けど違った。無加護でも中央警備になる人だっていたし、道場を開いて家族と幸せに暮らしている人もいた」

ザコ「国の中や今までの町でも、無加護でも普通に暮らしている人もいた。
けど俺はいじめられていた。だから他に理由があるんじゃないのかって、そう思ったんだ」

エルフ「普通に思い出せばいいと思うんだけど・・・」

ザコ「俺もそう思ったさ。けど小さい時の記憶がすごく曖昧で、正直なんでいじめられて、なんて言われてたかは靄がかかったみたいに全然思い出せないんだ」

エルフ「やっぱりまだ思い出せていないんだね」

ザコ「え?」

エルフ「ううん、何でもない。続けて?」

ザコ「あ、ああ。それで実際にいじめてたご本人なら知ってるんじゃないかって思ってな」

エルフ「うん、そっか」

ザコ「それで実際どうなんだ?」

エルフ「確かに君がいじめられてたのは無加護だからじゃないよ」

エルフ「・・・私が君をいじめたのは、君の才能に嫉妬したからだよ」

ザコ(俺の、才・・・能・・・?)

その時の俺は、エルフの言った意味がわからなかった。俺がその言葉の真意を知るのは、まだ先の話だ。

投下終わり。
ザコの過去についてはいろいろ考えていましたが、改めて文にするとん?ってなって困ってます。後必殺技とかまったく思いついてない、なぜ書いた俺!

武の国出発まで後四日

<病院>

ザコ「よお、来たぜ」

拳士「お前!一緒に戦った戦友なのに来るのが遅いぞ!」

ザコ「お前よりも優先度の高い事情があったんでな」

拳士「おまっ・・・!まあいいや、まさかお前が勇者の仲間だったとはな、驚いたぜ!」

ザコ「フッ、まあな」

拳士「なあ!勇者ってどれくらい強えんだ!?」

ザコ「どうだろうな、お前よりおそらく強い・・・かな」

拳士「案外微妙なんだな、けど戦ってみてえな!!」

ザコ「あ、四日後にはここ出るんで」

拳士「は!?」

拳士「せめて俺の体が治るまで待ってくれよ!」

ザコ「やだよ!全治一ヶ月だろ!?待てるか!」

拳士「くっそー!戦えると思ったのによー!!!」

ザコ「ちょっとうるさいぞ」

拳士「ああ悪い。そういやお前聖剣広場には言ったのか?」

ザコ「なんだそれ」

拳士「その名の通り聖剣が刺さってる広場だよ。先代勇者が突き刺したらしいんだが資格が無いと抜けないらしいぜ?」

ザコ「へぇー」

ザコ(勇者は行ったのか?聞いてみるか)

勇者「ああ、それなら炎勇者さんが抜いたらしいよ」

ザコ「え!?あんな野郎が!?」

勇者「あんな野郎って・・・聖剣に認められた人なのに」

ザコ「でも嫌い!まずその聖剣ってのが何かわからないし!」

勇者「え?」

ザコ「いや、正直面倒臭いし覚えなくて良いかなって・・・」

勇者「普通聞くと思う」

ザコ「す、すみません!」

勇者「ふふっ、仕方ないなぁ。勇者先生が教えてあげよう」

ザコ(・・・ん?)

〈勇者先生が教える、聖剣講座!〉

ザコ(何!?なんか始まったよ!?)

勇者先生「この世界にはたくさんの精霊がいて、僕たちに加護を与えてくれる。けど精霊が加護を与えられるのは人だけじゃない」

ザコ(表記まで!?)

勇者先生「人が作った武器なんかにも加護は与えられるんだ。そういうのをまとめて魔導具と言うんだ」

ザコ「な、なるほど」

勇者先生「魔導具の中でも剣の場合は魔剣、弓の場合は魔弓というように武器の種類によって呼び方は変わるんだ」

ザコ「へ、へー」

勇者先生「ちゃんと聞いてる?」

ザコ「戸惑ってる」

勇者先生「で、その中でも光の加護を受けた魔剣、それが聖剣なんだ」

ザコ「ん?光の加護?」

勇者先生「人に与えられるのが少ないってだけで武器にならもうちょっと与えられるよ」

ザコ「ふーん」

勇者先生「ちなみに加護無しで魔導具レベルの力を持つのが宝具、呪いの力で魔導具レベルの力を持つのが妖具だよ」

ザコ「なるほど」

勇者先生「で、宝具が加護を受けたのが神具だよ」

ザコ「神具っていう割には結構ありそうだけど」

勇者先生「加護を受けられる武具なんて少ないのにさらに元々魔導具並みの力を持ってるなんてほとんど無いよ」

勇者先生「僕が知ってるので言うと炎勇者さんが引き抜いたのと騎士王が持ってるっていう物くらいかな」

ザコ(騎士王!?敵にそんなの持たせていいんすか精霊さん・・・)

勇者先生「それで、わかった?」

ザコ「うーん、まぎわらしい・・・」

〈勇者先生のまとめ〉
・加護を受けた武具は魔導具
・光の加護を受けた魔導具は聖具
・加護無しで加護並みの力を持つ武具は宝具
・呪いの力で加護並みの力を持つ武具は妖具
・宝具が加護を受けたのが神具
・神具は凄い少ない

ザコ(具がゲシュタルト崩壊してきた)

勇者「まあ覚えれば簡単だよ」

ザコ(あ、戻った)

ザコ「まあ、ゆっくりと覚えます」

武の国出発まで後三日

老人孫「お兄ちゃん!おじいちゃん、お弁当持ってきたよ!」

老人「ふぉっふぉっふぉっ、そろそろ昼休憩としようかのう」

門下生「「「うっす!」」」

老人に弟子入りしたいという人も少し増えた。相変わらず無加護者限定だから大幅には増えないけど・・・

ザコ「老人孫ちゃんのお弁当はおいしいなぁ・・・」

老人孫「えへへ」

ザコ(超可愛い)

老人「それで雑魚よ、旅に出る日は決まったのか?」

ザコ「ええ、三日後に出発します」

老人孫「お兄ちゃん行っちゃダメ!」

ザコ「いやぁ、前も言ったけど俺は勇者の仲間だからね」

老人孫「やだ!私お兄ちゃんと結婚するもん!」

ザコ「よし残ろう」

老人「今すぐ出ろ」

ザコ「すいませんでした!」ドゲザッ!

ザコ「てか10歳にしては幼すぎません?将来心配なんですけど」

老人「ふぉっふぉっふぉっ、いじめる輩がいれば殺すから問題ないわい」

ザコ(マジで殺りかねないからなこの人・・・)

老人「話は変わるがお主、確か魔石を持っていたじゃろう?」

ザコ「ええ、まあ」

俺はポケットから青色の石を取り出す。壱の村で貰ったビー玉サイズの魔石だ。

老人「これを少し貸してはくれんか?」

ザコ「なんでです?」

老人「それはお楽しみじゃ」

ザコ「うーん、まあわかりました。どうぞ」

恐る恐る師匠に魔石を渡す。

老人「ふぉっふぉっふぉっ、そんなに心配しなくても二日後には返すわい」

武の国出発まで後二日

<ある廃墟>
復讐者「キメラが一人も殺せなかった?」

研究者「ええ、みたいですよ?他の奴らも重傷は負わせられましたが死なせてはいません」

復讐者「チッ、見せろ!」

研究者の持っていた新聞を半ば強引に奪う。

復讐者「はぁ・・・なんだ失敗かよ。ん?」

新聞の端、そこにはザコの写真があった。「無加護ながらも敵と戦った勇気ある男だ」などと書かれている。

復讐者「あの雑魚がキメラと戦って生きてる?」

新聞を見ると、どうやら中央警備の女騎士も認める存在らしい。

復讐者「なるほどなぁ・・・」

復讐者「ああそうだ、良いこと思いついたぜ」

新聞のザコの写真を指で撫でながら彼は言った。

研究者「良いことってなんですか?」

復讐者「俺はこいつに試練を与え続ける。たくさん追い詰めて、強くさせる。そして誰もが認める存在になったその時に・・・俺がこの手で殺す」

研究者「うわぁ・・・敵育てるなんて相変わらずエグいこと考えますねぇ」

復讐者「ククッ、きっと楽しいだろうなぁ。そしてこいつを倒したら、メインディッシュの勇者をいただく。ああ、考えただけでワクワクしてきた」

研究者「あははははっ、本当あんたって面白いや」




ザコ「うおっ、今ゾクっとした!可愛い女の子が俺の噂を!?」

竜王(おったとしても男じゃろうなぁ・・・それも性格がおかしい奴)

書き溜め分投下!
日常回的な。必殺技のアイデアは出てきたんで大丈夫。皆さんの出してくれた例ほぼ無視です・・・

<中央大陸>

「騎士王様」

赤色の鎧を着た一人の男が騎士王に話しかける。

騎士王「どうした?赤騎士」

赤騎士「竜王が見つかったそうです」

騎士王「何?」

赤騎士「ええ、勇者の仲間の一人と契約し行動しているようです」

騎士王「ふむ、そうか」

赤騎士「黒騎士でも派遣しますか?」

騎士王「いや、いい。俺が行く」

赤騎士「なっ!騎士王様が直々にですか!?」

騎士王「・・・?なぜ驚く?」

赤騎士「いえ、騎士王様が直々に出向くなんて珍しいことですから」

騎士王「あいつとは旧知の仲だからな。それに、他の奴なら乱暴に扱うだろう?そういうのは好きじゃない」

赤騎士「なるほど、さすがは騎士王様」

騎士王「それで?その勇者の仲間というのは誰なんだ?」

赤騎士「確かザコという名前でしたね、この新聞に写真が」

騎士王「・・・っ!見せろ!」

赤騎士から強引に新聞を奪い取る。

騎士王(ザコ・・・何故お前が・・・)

騎士王「なおさら俺が行くしか無くなった」

赤騎士「このザコという者がどうしたのですか?」

騎士王「こいつは、俺にとって大切な人間だ」

赤騎士「なるほど、それなら我々がついていくのは余計なことですね」

騎士王「すまないな」

赤騎士「いえ、私情ならば仕方ありません」

騎士王「ありがとう」

騎士王「それじゃあ、行くか」

俺の載った小さな小さな記事で、様々な人間が動き出そうとしていた。

武の国出発まで後一日

弟子騎士「お、来たようだな」

ザコ「あれ、誰もいないんですね」

今は朝早いが、この時間でも一人や二人くらいなら居てもいいのだが・・・

弟子騎士「他の奴らには悪いが、今日は昼からにさせてもらった」

ザコ「・・・」ワクワク

弟子騎士「フッ、それでは教えるか。必殺技を」

ザコ「う、うっす!!」

弟子騎士「と言っても俺が教えるのはお前が期待してるような必ず殺す技では無い」

ザコ「え?」

弟子騎士「これはむしろその逆、俺が圧倒的攻撃力を持つ中央警備の奴らと互角に戦えるように考えた、必ず殺されない技だ」

ザコ「必ず殺されない技?」

弟子騎士「その名も絶対防御、俺の使える一番の防御技だ」

ザコ「絶対防御・・・!」

弟子騎士「ああ、この技はどんな攻撃も防げる」

ザコ「それなら水流でいいんじゃないんですか?」

弟子騎士「あまりに力が強すぎるとそらすことが出来なくなる。そこで防御してダメージを軽減することが大切なんだ」

ザコ「なるほど」

弟子騎士「よし、始めるか」

弟子騎士「まあ物は試しだな。今から十分間、好きなだけ攻撃してこい。特技も魔法も好きなだけ使っていい」

ザコ「へっへっへ、俺だって強くなったんですよ?」

弟子騎士「いいから来い、時間がないんだ」

ザコ「よし、【攻撃の型・ハートブレイク!!】」

弟子騎士【絶対防御】

弟子騎士の周りを青色の何かが包みバリアのような形になった。

俺は十分間、持てる力を全て使って弟子騎士を攻撃した。だけどその攻撃は一度もそのバリアを突破することは無かった。

ザコ「これが絶対防御・・・すげぇ」

弟子騎士「どんな感じかはわかっただろ?さあ、練習開始だ」

弟子騎士「まあ、妥協点と言ったところか?」

練習を開始してから6時間ほど経過した。12時を少し過ぎてしまったが、なんとか習得することが出来た。

弟子騎士「絶対防御習得・・いや、絶対ではなく完全レベルか?【完全防御】習得おめでとう」

ザコ「あざっす・・・」

老人「ふぉっふぉっふぉっ、終わったようじゃのう」

ザコ「あ・・・師匠!」

老人「ほれザコよ、受け取るんじゃ」

師匠が投げた何かを咄嗟にキャッチする。

ザコ「おっとっと、これは・・・」

老人「お主の魔石をペンダントにしたんじゃよ、ポケットに入れたままだと無くしそうだしのう」

ザコ「ありがとうございます!」

老人「ふぉっふぉっふぉっ、それではザコよ。勇者の仲間として活躍し、この道場をもっともっと大きくさせておくれ」

ザコ「もっとマシなこと言えないんですか?」

老人「仕方ないじゃろう!お主に言うことなんてそれくらいしか無いんじゃから!」

ザコ「酷い!」

弟子騎士「もう黙ってろジジイ。ザコ、お前はおそらくもっと強くなれる。自信を持て、少なくともすでにお前は最弱じゃない」

ザコ「あ、ありがとうございます!」

俺は道場を見渡す。約一ヶ月ここにはお世話になった。感謝しか無い。

ザコ「本当にありがとう・・・」

俺は道場に別れを告げた。

武の国出発当日

勇者「ザコ、準備はできた?」

ザコ「ああ、大丈夫」

武闘家「では行くか」

ザコ「え!?武闘家に清潔感がある!」

武闘家「な、なんでそんなに驚くんだ?」

ザコ「お前昨日まで生ゴミを汚水に漬けたみたいな匂いしてたから心配だったんだよ!」

武闘家「修行する場所がゴミ溜めみたいなところだったからな」

ザコ「ガチでゴミの匂いだったんだ」

勇者「そういうザコは珍しく汗臭かったよね」

ザコ「珍しくってなんだよ!そういうお前は無駄に良い匂いだったじゃん」

勇者「ああ、花の香りのするシャンプーを使ってたからね」

ザコ(女子・・・!?)

勇者「花と言えば庭園は花がいっぱい咲いてて綺麗だったよ」

ザコ(女子・・・!?)

武闘家「おい、そろそろ行くぞ」

勇者「あ、うん!」

ザコ(こいつ本当に男・・・?)

ザコ「で、次はどこに行くんだ?」

武闘家「武の国から行くとすれば二つルートがあるな」

武闘家「五の町、六の町までは同じ道順だが、西の大陸に行くなら七の町に、この大陸の冒険を続けるなら九の町に進むんだ」

ザコ「へー、で?どっちなんだ?」

勇者「もう少し強くなりたいなら九の町の方だけど、もう充分強くなったから、七の町方面を進んで港町を目指すよ」

ザコ「なるほど」

竜王「西の大陸か・・・」

ザコ「そこがどうかしたのか?」

竜王「西の大陸には飛龍の里がある。つまり、飛龍達と戦うことになる可能性が高いのじゃ」

ザコ「は!?」

ついに俺達は武の国を出発した。だけどまだ俺達の旅は始まったばかりだ。

投下終了。
絶対防御は簡単に説明するとポケモンのまもるみたいな感じです。

才能があるかもしれない。特別な力を授かった。なんかラノベ主人公のテンプレをザコは進んでる気が・・・

ザコ「えっと・・・もう着いちゃったよ。五の町」

武の国を出て三時間。俺たちは五の町に到着した。思ったよりも早く着いたので拍子抜けしてしまっている。

勇者「じゃあとりあえずクエストでも受ける?久しぶりに」

ザコ「そういえば俺らって全然クエスト受けてないよな」

武闘家「まあ冒険者狩りに襲われたり武術大会に出ろと言われたりしたからな」

ザコ「対人ばっかの勇者っていったい・・・」

勇者「こ、これから頑張るんだよ!」

ザコ「そう言う奴ってだいたいやらないよね」

勇者「と、とにかく行こう!」

<冒険者ギルド>

勇者「さあ受けよう!すごく強いところ行っちゃおう!!」

ザコ「えぇ・・・」

武闘家「まあ久しぶりに三人で戦うんだ。強すぎるのも駄目だぞ、勇者」

勇者「もちろんわかってるよ」

勇者「うーん、そうだな。よし!」

勇者&炎勇者「「これにしよう!」」

武闘家「!?」

勇者&炎勇者「「ん?」」

ザコ「oh・・・」

炎勇者「君は・・・」

ザコ(なんでいんだよこいつ、本当やだー!DQN嫌い!!)

戦士「よお!お前、あの時の奴だろ?」

ザコ(あれ?)

戦士「あの時は悪かったな、勇者のパーティに入ったことで舞い上っちまった」

ザコ「あ、大丈夫です」

戦士「いや、納得いかねぇ!一発殴ってくれ!」

ザコ「大丈夫です!」

戦士「殴ってくれよ!」

ザコ「大丈夫です!!」

<ナグレヨ!!
<イヤホントダイジョウブナンデ!!

勇者「えっと、炎勇者さんはどうしてここに?」

炎勇者「ああ、仲間に入ってくれないか説得している人がいてな。つい先ほど仲間にしたばかりだ」

賢者「ど、どうも勇者様!お、俺!賢者って言います!よ、よろしくお願いいたします!」

勇者「うん、よろしく!」

賢者「///」

ザコ「!?」

<スキナダケナグレ!!!

ザコ「本当もう大丈夫なんで!」

賢者「あ、あの!」

炎勇者「どうした?賢者」

賢者「俺!その、勇者様たちとたたた戦ってみたいです!」

ザコ(すごい緊張してるよ・・・)

勇者「ああ、良いよ!やろう!」

ザコ「勇者!?人と戦いすぎって話になったばかりだよな!?何言ってんの!?」

勇者「あ、ごめん。つい流れで」

武闘家「では移動するか」

勇者「ここを使わせてもらっても大丈夫ですか?」

町の師範「いえいえ、勇者様にならいくら使ってもらっても構いませんよ!」

ザコ(勇者二人に貸せって言われて貸せない奴なんていねぇよ)

そこらの道場を借りることになった。
回復魔法陣があるタイプ。やっぱり武の国での戦いほど安心感ないなぁ・・・

炎勇者「それでは先に2勝した方の勝ちということでいいか?」

勇者「うん、大丈夫だよ」

ザコ「おいおいおい、なんで俺らも戦うことになってるんだよ。お前もそう思うだろ?武闘家」

武闘家「よし戦士。俺と勝負だ」

戦士「良いぜ!俺の力見せてやるよ!」

ザコ(やる気満々じゃないですかやだー)

賢者「じゃあ必然的に俺の相手はあなたですね!」

ザコ(賢者って!明らかに上級職感溢れる奴と戦えだと・・・?)

大将:勇者
中堅:武闘家
先鋒:ザコ
VS
大将:炎勇者
中堅:戦士
先鋒:賢者

ザコ(なんだろう、俺の名前から感じる違和感。明らかに場違い)

炎勇者「ふむ、そうだな。勝ち抜き戦といこうか」

勇者「ザコ、頑張って!」

賢者「!」

賢者「ぜ、絶対負けないからな!」

ザコ「えぇ・・・」

賢者(頑張ります!見ててください、勇者様!)

ザコ(なんでヒロインを巡る戦いみたいになってるの?てかヒロインじゃねぇ、プリンスだわ)

ザコ「えっと、始める前に一つ聞きたいんだけどさ」

賢者「な、なんだよ」

ザコ「勇者が男だってことはわかってるんだよな?」

賢者「わ、わかってるに決まってるだろ!」

ザコ(えぇ・・・軽く引くわ)

勝ち抜き戦
第一勝負:ザコ対賢者

ザコ(よし、とりあえずこのホモ賢は倒したいな)

賢者「容赦はしない・・・行くぞ!」

今日は終わり。
ルールはまあ、参ったって言わせたら勝ちってところですね。500で一大陸終わらないのは予想外ぃ・・・

町の師範「そ、そそそれでは始め!」

ザコ(まずは先手必勝!)

ザコ『ウッドキャノン!』

勢いをつけて木の砲弾を発射。賢者の方へとまっすぐに向かっていく。

賢者『スプラッシュソード!』

が、木の砲弾は賢者の作り出した水の剣によって真っ二つにされてしまう。

ザコ「!」

賢者「ゆ、勇者様!お、俺!勇者様と同じ属性なんです!!」

勇者「そ、そうなんだ。う、嬉しい・・・よ?」

賢者「喜んでもらえるなんて!か、感激です...///」

ザコ(うへぇ・・・相当気持ち悪いなこいつ)

賢者(勇者様勇者様勇者様!)

賢者『激流!!』

良いところを見せたいからなのだろうか、無駄に魔力を使って大きな激流を作り出した。

ザコ『冷凍の風!』

氷の力で激流を凍らす。

賢者「!」

ザコ「くらえホモ賢!【攻撃の型・ハートブレイク!】」

賢者「くっ!」

俺の攻撃をギリギリでかわす賢者。

賢者『スプラッシュソード!』

ザコ【完全防御!】

別スレに送信してしまった・・・
一応そのスレでも伝えましたがごめんなさい。

俺の周りを包む緑色のバリアが水の剣の攻撃を防ぐ。

賢者「何!?」

ザコ「そのままタックル!」

賢者「グハッ!」

完全防御を纏ったまま突撃してやった。ダメージはでかいはずだ。
と言っても回復魔法陣の上なので回復するのだが・・・

ザコ(参ったって言わせるの面倒臭すぎるだろ!)

正直このままじゃ終わりそうにない。

ザコ(そうだ!良い事思いついた)ニタァ

ザコ「竜王、今から言うことを勇者に伝えに行ってほしい」

竜王「むぅ・・・この竜王を雑用に使うとは」

ザコ「頼むよ」

竜王「仕方ない、行ってやろう」

俺は竜王に要件を伝えた。俺の首から少し角の生え始めた黒色の蛇が分離。
勇者の方へと進んでいく。

賢者「フッ、馬鹿なのか?自ら弱くなるなんてな」

ザコ「黙って来いよ!」

賢者「ああ、良いだろう!『スプラッシュソード!』」

ザコ【完ww全ww防ww御ww】

賢者「ああああぁぁぁ!鬱陶しいな!このバリア!!」

ザコ「ヘイヘーイ!勇者に良いとこ見せんだろ?ガンバガンバ!」

賢者「ならバリアを解除しろ!」

ザコ「ならしてやるよ。一部だけだけどな」

バリアに小さな穴を開ける。

ザコ『ウッドバレット!』

賢者「うわっ!」

突然放たれた木の弾丸に戸惑う賢者。
しかし途中で冷静さを取り戻し呪文で防いだ。

賢者「くそ、厄介だな」

ザコ(てか勇者まだー?このままじゃ終わらないんですけど)

ザコ「もう一回『ウッドバレッ...』」

俺が木の弾丸を発射しようと小さな穴を開けたそのときだった。

賢者「はい『毒ガス!』」

ザコ「うわ何これヤバイ!解除解除!」

まさか攻撃の隙を突かれるなんて!

賢者『スプラッシュソード!』

ザコ「うわっ!」

水の剣をギリギリでかわす。

賢者「くっ、もう少しだったのに」

ザコ「まさか毒が使えるなんてな」

拮抗状態だったそこへ竜王が戻ってくる。

竜王「伝えてきてやったぞ」

ザコ「ありがとう。これで多分勝てる」

賢者「何をしたかはわからないけど。これで終わりだ。『スプラッシュソー...』

勇者「が、頑張れダーリン!」

賢者「ファ!?」

賢者「だ、ダーリン!?」

ザコ「ああ、頑張るぜ。ハニー」

賢者「ハニー!?」

武闘家(・・・?)

そう、これが俺の考えた作戦。あいつがホモなのを利用した、「付き合ってる体でいっちゃおうよ作戦!」

ザコ「悪いな。ハニーは俺のもんなんで」

賢者「う、嘘・・・だろ?」

勇者「か、勝ったらご褒美あげるから頑張れ...///」

武闘家「!?」

賢者「本当なのか・・・!?」

ザコ「ああ、事実だ!」

賢者「嘘だ嘘だ嘘だ!」

ザコ「嘘じゃねぇ!俺と勇者は愛し合ってるんだ!!」

武闘家(そうだったのか!)

勇者「その、本当なんだ。ごめんね?」

賢者「!」ガーン

ザコ「で?どうするんだ?」

賢者「俺の負けです・・・!降参します」

勝ち抜き戦
第一勝負:ザコ対賢者
ザコWIN!

武闘家(まさかザコと勇者がそんな仲だったとはな・・・)

投下終わり。
タグを出しまくっていた結果別スレ投下という元スレ作者と読者に申し訳ないことをしてしまいました。申し訳ございません。

二度と同じ事は繰り返さないようにします!更新開始です!

勇者「えっと、なんか複雑だけど一勝おめでとう」

ザコ「ありがとう。だけど正直もう勝てる気がしないんだけど」

勇者「けど0じゃない。だから頑張って」

ザコ「ああ」

武闘家「おいザコ、なんで言ってくれなかったんだ?」

ザコ「何が?」

武闘家「お前と勇者がそういう関係だったことだよ」

ザコ「いやあれは賢者をだま...」

武闘家「安心してくれ。俺はそういうことに偏見は無い!」

ザコ「えぇ・・・」

勇者「武闘家。あれは演...」

武闘家「お前もだぞ勇者!俺がそんな酷い奴だと思ったのか!?」

勇者「いや武闘家は良い奴だよ?だけどさっきのは演...」

武闘家「なら信用してくれ!俺達はお前達の関係を悪い事だとは思わない」

勇者「いやだから演...」

武闘家「さあ行って来いザコ!」

ザコ「は、はい!勇者、説明頼んだ」

勇者「うん、任せて!」

勝ち抜き戦
第二勝負:ザコ対戦士

戦士「お前達の愛、感動した!良い勝負にしようぜ!」

賢者「殺れえぇぇぇ!戦士さん!!」

ザコ(え?何これ?)

町の師範「それでは始め!」

戦士「愛の力、見せてみろや!」

ザコ「もうやだこいつら!」

戦士の武器は巨大な斧だ。腕とかならまだしも、さすがにアレで首を切断でもされたら死んでしまう。

ザコ「ふえぇ、こわいよぉ」

戦士「行くぜ!【兜割り!】」

戦士が発動したのは斧の代表技、兜割り。斧って言えばこれだよね。

ザコ【防御の型・水流!】

戦士の攻撃を受け流そうとするが、攻撃が重い。ギリギリで受け流す。

戦士「お?なるほど、やるじゃねえか!」

ザコ「何こいつクソ強い!」

賢者「良いぞおぉ!戦士さん!!」

ザコ「くそ!【攻撃の型・ハートブレイク!】」

戦士【レジスト!】

レジストは反撃技の一つだ。相手の攻撃を無理矢理中断させ攻撃する。パワー系だからこそできる技だ。

戦士の攻撃が俺に直撃。体が真っ二つとまではいかなかったものの、大きなダメージを受ける。

ここが回復魔法陣の上で良かった。
もしこれが殺し合いなら、きっと戦士の追撃で死んでいただろうから。

ザコ「えっと・・・降参します」

賢者「フォォォォォォォォォ!!!」

体を真っ二つにされたのに生きているということに妙な感覚を覚えながら俺は負けを認めた。

戦士「なかなか面白かったぜ!」

そう言って彼は笑った。

勝ち抜き戦
第二勝負:ザコ対戦士
戦士WIN!

ザコ「いやぁ、手も足も出なかった」

武闘家「健闘したほうだ、あとは任せろ」

ザコ「ああ、そうするよ」

武闘家「お前は勇者と仲良く見ていれば良い」

ザコ「説明できてないの!?」

勇者「じ、時間も無かったし」

ザコ「さりげなく俺の事disったな」

勇者「あ、始まるよ!」

ザコ「話変えるの無しだろ!」

勇者「説明は僕が戦ってる時にお願い!」

ザコ「おい!」

戦士「お、次はお前か!このまま全員倒してやるぜ!」

武闘家「悪いが、俺は負けるわけにはいかない。俺が全員倒せば、勇者とザコは二人で居られるからな」

ザコ(武闘家、気持ちは嬉しいけど。勘違いなんやで)

武闘家「行くぞ!」

戦士「来いや!!」

賢者「殺ってやれえええぇぇぇ!」

ザコ「賢者黙れ!!」

勝ち抜き戦
第三勝負:武闘家対戦士

ザコ(勝てよ、武闘家!)

町の師範「それでは、始め!」

投下終了。
全然気づかなかったけど500達成してたんですね。今までのがエタる?であっているのでしょうか。途中で諦めてしまったので嬉しいです。

戦士が追撃した描写を入れるのを忘れてましたね。
正しくはこっち↓

ザコ「くそ!【攻撃の型・ハートブレイク!】」

戦士【レジスト!】

レジストは反撃技の一つだ。相手の攻撃を無理矢理中断させ攻撃する。パワー系だからこそできる技だ。

戦士の攻撃が俺に直撃。体が真っ二つとまではいかなかったものの、大きなダメージを受ける。

戦士【兜割り!】

ここが回復魔法陣の上で良かった。
もしこれが殺し合いなら、きっと死んでいただろうから。

ザコ「えっと・・・降参します」

賢者「フォォォォォォォォォ!!!」

体を真っ二つにされたのに生きているということに妙な感覚を覚えながら俺は負けを認めた。

戦士「なかなか面白かったぜ!」

そう言って彼は笑った。

勝ち抜き戦
第二勝負:ザコ対戦士
戦士WIN!

戦士【兜割り!】

まず動き出したのは戦士。武闘家の方へ一気に近づき攻撃する。

その攻撃を武闘家はかわし、そして反撃する。

戦士「ぐあっ!」

のけぞる戦士に武闘家は追撃する。

武闘家【旋風脚!】

しかし戦士はその攻撃をかわした。

武闘家「!」

戦士【十字切断!】

戦士の一撃目、武闘家の腹部を掠める。しかし・・・

武闘家【レジスト!】

戦士の二撃目を無理矢理中断させ反撃した。

ザコ(俺の時と全然違う・・・)

そのまま武闘家は戦士と距離を取る。

武闘家【飛拳連撃!】

戦士【アックスシールド!】

武闘家の飛拳が何発も何発も戦士に迫る。が、戦士はその攻撃を斧をうまく使い防ぐ。

武闘家は飛拳で戦士の攻撃を制限しつつ次の攻撃に移行。

武闘家【突風脚!】

空いていた距離を一瞬で詰めるほどすさまじい速度で、武闘家は戦士に飛び蹴りする。

その攻撃で戦士のガードが崩れた。

戦士「ぐおおぉぉ!?」

武闘家(もう一発・・・!)

武闘家【突風脚!!】

二回目の突風脚は戦士に直撃し、吹き飛ばされる。

戦士「はぁ・・・はぁ・・・やるじゃねえか」

武闘家「ふぅ、どうする?降参するか?」

戦士「しねえに決まってるだろ?」

そう言って斧を構えた。

戦士「くらえよ【闘魂切断!】」

兜割りの同じように、上から斧を振り下ろそうとする。少し違うのは斧がオーラを纏っていることだ。

斧が振り下ろされた、武闘家はその攻撃をかわした。しかし、振り下ろした時に発生した衝撃波が武闘家を吹き飛ばした。

武闘家「ぐあぁ!!」

賢者「決まったああああぁぁぁぁぁ!!!!」

ザコ「うるせぇ!!」

武闘家「ぐっ、くそ・・・」

ダメージが大きいのか一瞬動けなくなった。その隙を戦士は逃さない。

戦士【十字切断!】

一撃目はギリギリかわせなかった。横一文字に切り裂かれる。
その後の二撃目は何とか回避。

戦士「へへっ、今絶対勝ったと思ったんだけどなぁ」

武闘家「ハァ・・・ハァ・・・次はこっちの番だ」

武闘家【奥義・疾風怒濤】

武闘家の高速の連撃が戦士に直撃する。その攻撃の嵐に耐えきれず、戦士は最後の一撃を受け気を失った。

勝ち抜き戦
第三勝負:武闘家対戦士
武闘家WIN!

<勇者side>

武闘家「はぁ・・・はぁ・・・」

ザコ「すげぇじゃん武闘家!」

武闘家「試合に勝って勝負に負けた感じだな。回復魔法陣の回復が無かったらあの攻撃で動けず負けていた」

勇者「次は戦える?」

武闘家「任せろ、まだやれる」

ザコ「そうか。それでだな、さっきのは演技だったんだ!」

武闘家「・・・」セイシントウイツチュウ

勇者「全然聞いてないね」

武闘家「よし、行くか」

<炎勇者side>

戦士「」

賢者「何やってんだよおぉぉ!!」

炎勇者「まさか戦士が負けるとは、思っていなかった」

賢者「もう!どうするんですか!?負けたら俺許しませんからね!」

炎勇者「任せてくれ、おれが残り全員倒す」

賢者「絶対!絶対ですよ!」

炎勇者「わ、わかったから揺らさないでくれ!」

賢者「よし!頑張ってくださいよ!!」

炎勇者「ウプッ、ちょっと気持ち悪いが行ってくる」

炎勇者「まさか追い詰められるとは思わなかったよ」

武闘家「おれも勝てたのは予想外だ。けどこの調子でお前にも勝たせてもらう」

炎勇者「俺だって勇者なんだ、そう簡単には負けないよ」

賢者「炎勇者様!絶対!勝って!ください!ね!!」

炎勇者「わ、わかった」

勇者「無理はしないでね!」

ザコ「ほどほどに頑張れ!」

武闘家「任せろ」

勝ち抜き戦
第四勝負:武闘家対炎勇者

町の師範「それでは、始め!」

武闘家【突風起こし!】

炎勇者『炎火!!』

二人が発動したのは同時だった。
武闘家の出現させた突風と炎勇者の発動した炎の呪文がぶつかり合い、相殺する。

炎勇者が剣を抜き一気に近づく。
刃には大量の術式が書かれていた。聖剣だ。

炎勇者【シャイニングスラッシュ!】

発動したのは光属性中級魔法である『シャイン』を剣に纏わせ攻撃する剣技だ。

しかし距離がありすぎたか、武闘家はその攻撃を難なくかわす。

炎勇者「さすがに無理があったか」

武闘家【旋風脚!】

武闘家の攻撃が炎勇者に直撃した。

炎勇者「ぐあっ・・・!」

のけぞる炎勇者、だがまだ武闘家の攻勢は終わらない。

武闘家【突風脚!】

武闘家【飛拳!】

武闘家【旋風脚!】

ザコ(あれ・・・?)

おかしい、何故ここまで一方的なのだろうか。

賢者「何やってんだよ!頭だ!頭狙え!」

ザコ(仮にも賢者である男の発言じゃないぞ!)

けど、ここまで防戦一方なのもおかしい。

ザコ(どうしてだ!?)

武闘家「くらえ!!」

炎勇者「ぐはっ!ウプッ」

ザコ(あいつ・・・酔ってる!酔ってるよ!)

賢者(やっちまったー!!!)

炎勇者(吐きかけてるせいで動けない・・・)

賢者「た、タイム!」

ザコ「なー!しー!でー!すー!」

賢者「くっそー!!!」

武闘家(何故攻撃してこない?まあ良い、これで終わりだ!)

武闘家「はあ!!!」

炎勇者「ぐはっ!」

さすがに回復していたとしても体には少しずつダメージが蓄積していっている。ついに炎勇者が膝をついた。

武闘家「これで・・・終わりだ!」

炎勇者に攻撃が当たりかけたその時、ついに彼は動き出した。
やっと武闘家の攻撃を防いだのだ。

武闘家「!」

炎勇者「やっとマシになった・・・」

武闘家「今更何ができる?」

武闘家がそう聞くと炎勇者は笑った

炎勇者「なあ、俺がただダメージを受けていただけだと思ったか?」

炎勇者「くらえ『カウンターフレイム!』」

これで終わりだって二回言っちゃってますね。さっさととどめさせよ!って感じになってる・・・

炎勇者の手から放たれた炎が、武闘家を包んだ。

武闘家「ぐっ・・あああぁぁぁぁ!」

炎勇者「はぁ・・はぁ・・・カウンターフレイムは、自分が受けたダメージを炎に変える呪文だ。受けたダメージが大きいほどより熱く燃える」

武闘家「く・・・そ・・・」

炎勇者「殺し合いならここまでの炎が出せなかった。さあ、早く降参してくれ。そうすれば仲間が炎を消せるだろう?」

武闘家(俺は・・・まだ負けられない!)

武闘家は立ち上がった、仲間の愛を守るために。

ザコ(なんで嘘なのに信じこんでそんなに戦うんだよ・・・)

武闘家「回復魔法陣のおかげでまだ少しは持つ、今度こそ決めさせてもらう」

炎勇者「あの炎を耐えるなんて・・・!」

ザコ「違うよ!」

武闘家「この炎、利用させてもらおう」

炎勇者「!?」

武闘家「自分の炎を自分でくらえ!【熱風拳!!】」

炎勇者「っ!しまっ・・・!」

高熱の炎を纏った一撃が、炎勇者に直撃した。その衝撃で炎勇者は気絶してしまった。

勝ち抜き戦
第四勝負:武闘家対炎勇者
武闘家WIN!

戦士「」

炎勇者「」

ザコ(W気絶・・・!!)

武闘家「ハァ・・・ハァ・・・」

賢者「あぁ!負けたー!!」

ザコ「お前、凄い敵視してるけど俺とザコが愛し合ってるって嘘だからな?」

賢者「え!?」

武闘家「?!!!?!?!!?!」バタッ

ザコ「武闘家!?」

勇者「この勝ち抜き戦の間、ずっと信じてたからね」

炎勇者達との勝ち抜き戦は、俺達の勝利で終了した。

勇者(僕だけ戦ってない・・・)

勝ち抜き戦終わり。
愛を信じる武闘家最強説。

勝ち抜き戦をした次の日、俺達は炎勇者達からある提案を受けていた。

勇者「同行・・・ですか?」

炎勇者「ああ、お前達はこのまま六の町を目指すんだろう?なら一緒に行ってはどうかと思ってな」

勇者「六の町に行くための道は一つですから別に構いませんけど」

炎勇者「そうか、良かった」

勇者「まあこれは僕の意見で問題は・・・」

そう言うと勇者はチラリと隣を見た。そこにいるのは賢者とザコだ。

賢者「お前、勇者様の彼氏を演じるとはマジうらやまけしからん!」

ザコ「そんなの知るか!なら勝手に演じてこいよ!!」

賢者「そ、そんなの恐れ多くてできるわけないだろ...///」

ザコ「これだからホモは・・・」

賢者「なんだその呆れたみたいな言い方!」

ザコ「実際呆れてるんだよホモ賢!」

昨日からずっとこの調子。このまま殴り合いに発展しそうな勢いだ。

武闘家「まあ旅の間に解決するんじゃないか?」

勇者「そうかな?」

戦士「助け合えば友情もできるだろう!今は見守っておこうじゃねえか」

勇者「うん、そうだね」

勇者「ザコ!賢者!そろそろ出るよ!」

賢者「わっっっかりました!」

ザコ(もうやだこいつ)

そうして五の町を出発して一時間。竜王が目を覚ました。

竜王「ふわぁ・・・もう出発していたのか?」

ザコ「ああ、炎勇者達と一緒にな」

賢者「おい!様をつけろ様を!!」

ザコ「さっきから何なのお前!」

今のところはまったく解決していない。

勇者「えっと、本当に解決するよね?」

炎勇者「・・・」

戦士「・・・」

武闘家「・・・」

勇者(駄目かもしれない)

猿型魔物「キキッー!」

そんな時、喧嘩していることを知ってか知らずか、突然魔物が現れた。

勇者「っ!危...」

ザコ【完全防御!】

賢者『スプラッシュソード!』

猿型魔物「キ・・・キ・・・」

が、見事なコンビネーションで一瞬で倒されてしまった。やっぱり仲は良くなっているのだろうか?

ザコ「お前、結構強いんだな」

賢者「ああ。お・ま・え・よ・り・も」

ザコ「!」イラッ

戦士「おいおい仲良くしようぜ?」

ザコ「黙れM戦士!」

炎勇者(賢者をどうにかすれば解決しそうなんだがな・・・)

その後も喧嘩しつつも順調に進み、一日でかなり進むことができた。明日には着くことができそうだ。

勇者「今日はここで野宿するしかないね」

ザコ「ああ、そうだな」

炎勇者「よし、テントを張ろう」

テントを建て、晩飯を食べてすぐ寝ることにした。炎勇者達が見張りをすると言ってくれたのでゆっくり眠ることにした。

<テント内>

武闘家「・・・」...zzz

勇者「・・・」...zzz

ザコ「・・・」...zzz

賢者「・・・」ドキドキ

ザコ「・・・」...!?

ザコ「なんで居るんだよ!」

ザコ「炎勇者達の建てたほうで寝ろよ!狭いわ!!」

賢者「ばれたか」

ザコ「さすがに分かるわ!てかお前も見張りしてこいよ!」

ザコ(しかもちゃっかり勇者の隣に居るのが怖い)

勇者「ふわぁ・・・ん?なんで賢者がここに?」

ザコ「ああ、ごめん。起こしちゃったか。勝手に入ってきたんだよ」

勇者「そう・・・なんだ」

勇者は起こされたせいで眠そうにしている。

賢者「す、すいません。勇者様と一緒にいたくて」

ザコ(うわぁ・・・)ドンビキ

勇者「えっと賢者、邪魔」

賢者「」

テーレーレーレーレッテッテー

ザコ(それ宿屋じゃ・・・)

勇者「おはようザコ」

ザコ「おはよう。ん?」

賢者「俺は邪魔、俺は邪魔、俺は邪魔、俺は邪魔、俺は邪魔」

炎勇者「昨日俺達のテントに戻ってからずっとこの調子なんだ」

ザコ(うわぁ・・・)

ザコ「おい賢者、邪魔」

賢者「うわあああぁぁぁ!!」

ザコ「邪魔」

賢者「うわあああぁぁぁ!!」

ザコ(ちょっと楽しいかもしれない)

ザコ(とまあお遊びはここまでにして)

ザコ「勇者、なんか言え」

勇者「えぇ・・・」

賢者「俺は邪魔、俺は邪魔、俺は邪魔・・・」

勇者「えっと、そんなことない、君が必要なんだ!」

賢者(必要?ひつよう?ヒツヨウ?need?necessary?俺は勇者様に必要とされている?)

賢者「Foooooooooo!!!!!!」

ザコ「こいつ復活の仕方まで気持ち悪いな!」

炎勇者「な、なあ戦士、賢者って俺達の仲間だよな?」

戦士「そうだぜ。・・・多分」

炎勇者「どっちなんだ!?」

そのまま俺達は進み続けついに六の町へと辿り着いた。

ザコ(はい、まあね。特にイベントもなくついてしまいましたよ。六の町)

ザコ(普通ならこう、友情を深めるイベント的なのがあってもいいと思うんですがね。そんな展開ここには無い)

賢者「ここが六の町・・・!」

ザコ(ここ六の町は他の町より少しデカイ。まあ他の大陸から来たり九の町の方から来たりで人が多いからね)

勇者「ここは病院や教会が多いね」

炎勇者「ああ。だからここ六の町は癒しの町とも呼ばれているんだ」

ザコ(癒し!なんて良い響き!)

勇者「さあ、まずは宿を取ろう!」

ザコ(てことで宿に荷物を置いた後自由行動になりました)

竜王「ザコ!次はあいすじゃ!あいすを食べるぞ!」

俺は今現在竜王に連れ回されています。

ザコ「お前・・・ちょっと食い過ぎじゃないか?」

竜王「魔力を蓄えるためじゃ!仕方無かろう!」

ザコ(それっぽいこと言ってるけど、食いたいだけなんだよなぁ)

と、はしゃぐ竜王を見ていると人とぶつかってしまった。いかんいかん、絡まれないように前を見なければ。

ザコ「ご、ごめんなさい!」

???「こちらこそごめんなさい!」

ザコ「ん?」

ぶつかってしまった彼女は、耳が長いという点で言えばエルフという種族に似ている。ただエルフと違うのは髪が水色だということだ。その種族の名はウンディーネ。水を愛し、水と共に生きる種族である。

ザコ(モノホンのウンディーネってこんなに美しかったんだ・・・どっかのエルフと大違いだぜ!)

投稿終わり。
さあ、どっかのエルフって誰でしょう?

???「あの、大丈夫ですか?」

ザコ「あ、はいぃ!大丈夫ですぅ!」

ザコ(あ、変になった。やべえ恥ずかしい)

???「そうですか。なら良かった」ニコッ

竜王「むぅ、ザコ!何をしておる!早く行こうぞ!」

???「待たせてしまっていたのですね。では私はこれで、またお会いしましょう」

ザコ「あ!はいぃ!」

ザコ(また変になっちゃったよ。恥ずかしい)

彼女はどこかへと歩いて行った。一目惚れで好きになっちゃったんです的な展開は無かった。くそぉ!!

竜王「早く!あいす!早く!」

ザコ「ああ、わかったって!」

ザコ(・・・なんで、また?)

復讐者「やっと着いたぜ、六の町」

研究者「だいぶかかっちゃいましたけどまだいますかね?」

復讐者「いるさ。感じるんだよ、光の魔力ってやつを」

研究者「へぇー、俺は一切そんなの感じませんけどねえ」

復讐者「それで、あいつらはもうここに来てるのか?」

研究者「ええ、既にこの町に来ています。合図さえ送ればすぐに」

復讐者「そうか。ククッ・・・さて、今回はどうやって切り抜ける?ザコ」





ザコ「寒気!まさかあのウンディーネか!?」

竜王「さっき会ったばかりじゃろう?自惚れすぎじゃ」アイスペロペロ

ザコ「おいおいおい、今頃超イケメンに会ったなんて言っててもおかしくないぜ?」

竜王「・・・」アイスペロペロ

ザコ「なんだその目!やめろよ!」

勇者「えっと、さっきから何言ってるの?」

ザコ「うわぁ!突然出てくんなよ!」

勇者「あ、ごめん」

ザコ「いやごめん、俺の方が悪かった。それでどうしたんだ?」

勇者「これからみんなで大教会に行くことになったんだ。だから呼びに来たんだよ」

ザコ「なるほど、じゃあ行くか」

勇者「うん!」

と行こうとしたところであるものが目に入った。小さな武具屋に置いてある銀色のブレスレットだ。

勇者「ザコがアクセサリーに興味を持つなんて・・・」

ザコ「酷くない!?魔石のペンダントだって着けてるんですけど!それで、これってなんか効果あんの?」

武具屋店主「ああ、催眠などの精神が対象の魔法の効果を打ち消すぜ!便利だろ!」

ザコ「へぇー、じゃあ買うよ。なんかかっこいいじゃん?モテる男って感じするじゃん?」

勇者「あ、良いな」

ザコ「フッ、仕方ねーな。お前の分も買ってやんよ!」

勇者「え、良いの?高いけど」

ザコ「うわ本当だクソ高え!やっぱり・・・その」

勇者「・・・」ジー

ザコ「二個ください!」

武具屋店主「まいどあり!」

ザコ「よし、受け取れ勇者」

ザコが投げたそれを咄嗟にキャッチ

勇者「おっとっと、あれ?銅色?」

ザコ「だ、だって銀色の奴高いし」

勇者「・・・」ジー

ザコ「か、買ってやったことには変わらないだろ!?」

勇者「そっか、そうだよね。へへっ、ありがとう」

ザコ(ふぅー良かった。あんな高いの二個も買ったら死ぬからな)

武具屋店主「彼女とお揃いたぁやるなぁ兄ちゃん!」

ザコ「色んな意味で違えよ!」

勇者「ねえザコ」

ザコ「ん?なんだよ」

勇者「これは精神魔法を打ち消す効果はあるのかな?」

ザコ「あ・・・あるよ、だろ?」

武具屋店主「ああ、あるぜ。時間はかかるがな」

武具屋店主「・・・時間はかかるがな」

ザコ「なんで二回言った!?」

すごい短いけどとりあえずここまで
正直復讐者の言動を改めて見直すと恥ずかしくなります。なんだよククッって

乙、って奴だ……。

>>580
え? 最初から女の子設定で読んでたけど、違うの?

雑魚は銀の奴持ってるの?

>>584
勇者は男設定です。ただ急に性格が悪くなったり、一人称が変わったりで設定が驚くほどガバガバなので突然女化したりするかもしれません。

>>588
二個買ったのでわかると思ったのですが、勇者もザコも銅の方を買っています。高いんで。

ザコ「お、少し遅れちゃったか?」

宿屋の前に着くと炎勇者と賢者がいた。武闘家と戦士は来ないらしい。

賢者「ああ!結構待っ・・・た・・・」

賢者(同じやつ着けてるー!!!)

ザコ「おい、どうした?」

賢者「どういうことだ!?何故同じやつを!?」

ザコ「ああこれか?俺が買ったら勇者も欲しいって言うから買ったんだ」

賢者「くそがああぁぁぁ!!!」

ザコ「悪いな、お・そ・ろ・い・で」

賢者「ああああああぁぁぁぁ!!」

勇者「?」

炎勇者「そ、そろそろ行くか。大教会」

大教会。この町で一番大きい教会である。西の大陸にある聖の国からやってきた人たちが建てたんだとか。
だから大教会には聖の国の神聖騎士団がいたりする。

ザコ「でっか!!」

大教会なんて言うくらいだから大きいとは思っていたが、天井が遠い・・・

勇者「造りは女神様の神殿と似てる部分があるね」

西の大陸では光の精霊を精霊ではなく神というらしい。正直あれを見た後だと違和感がある。

神聖騎士「・・・」

入り口の前には神聖騎士が何人かいた。青色の鎧を着ていてこれがなかなかかっこいい。ってこっち見てんじゃん!恥ずかしいなぁもう!

中に入ると祈りを捧げているたくさんの人たちがいた。その横を通りこちらへとやって来る人影。

大司教「よくぞ来てくださいました、私は大司教と申します」

大司教「勇者様が二人も来てくださるなんて、光栄です」

大司教はこちらへと頭を下げた。

勇者「そんな、頭を下げる必要なんてありませんよ。僕達も同じ人間なんだから」

大司教「ありがとうございます、それでは勇者様、炎勇者様、どうぞこちらへ」

賢者「待ってください、俺達は?」

大司教「これから行くのはこの大教会の中でもごくわずかしか立ち入れない神聖な場所。すみませんが勇者様達以外はお連れできません」

賢者「え!?」

ザコ「なら仕方ないな、適当に見ていこう」

賢者「・・・俺は帰るよ」

ザコ(えぇ・・・まあけどあんまり宗教的なのに興味ないしな)

ザコ「俺も少し回ってから帰るよ」

炎勇者「そうか。では行ってくる」

勇者と炎勇者は地下への階段を降りて行った。

ザコ「さて、これからどうしようかな」

回るとは言ったものの、別に気になることは特に無い。このまま帰ろうか?

???「あ、またお会いできましたね」

振り返るとそこには見たことのある人がいた。忘れるわけが無い、ついさっき会ったばかりなのだから。

ザコ「あの時のウンディーネ!」

僧侶「僧侶といいます、この教会で働いているんです」

そしてその横にはもう一人、見知らぬ女の子がいた。

僧侶「この子は私の妹です。僧侶妹と言います」

僧侶妹「僧侶妹です!よろしくお願いします!」

ザコ「妹超元気!好きだぜそういうの!」

こちらもなかなかの美人。よく似ているが妹の方は髪が短いのでわかりやすいか。

ザコ「ん?てかなんで俺の名前を?」

僧侶妹「それはザコ様が新聞に載っていたからです!」

僧侶「勇者様の仲間ならここにも来るかと思いまして」

ザコ「なるほど、納得した」

あの小さな記事をどうやら見ていたらしい。おいおい、ついに俺も有名人か?

僧侶「それで、ザコ様はこれからどうなさるのですか?」

ザコ「それを今考えていたところで・・・とりあえず一旦宿屋に戻ろうかと」

僧侶「そうですか、ではまたお会いしましょう」

僧侶さんが手を握ろうとしてきたが途中で動きを止めた。やめろよ、傷つくぞ俺。

ザコ「は、はい!」

そう言って俺は大教会を出た。

「ザコ様、どうかご無事で」

最後にそう聞こえた気がした。

短いけど終わり。このスレ全部使って北の大陸冒険するので一つ一つを伸ばさねば。

ザコ「てことで宿屋に戻ってきたけど、やることねぇー!!」

武闘家「!?」

ザコ「あ、ごめん」

武闘家「暇なら外の景色でも見てみたらどうだ?少しくらいなら暇つぶしになると思うぞ?」

ザコ「なるほど」

とりあえず窓の外を見ているが変わらない町並み。お、鳥が近づいてきてるぞ?でっかい鳥だなぁ・・・いや、屋根の上を跳んできてるしあれは人だな、うん人だ。

ザコ(人が屋根を使ってこっちに近づいて来てるんだ。手前の屋根で飛んで俺に向かって跳び蹴りを・・・)

ザコ「ってうわぁ!!」

跳び蹴りをギリギリのところでかわした。窓を突き破り誰かが部屋の中に。

ザコ「は!?は!?」

武闘家「!?」

ザコ「何もんだよこいつ!」

???「あら、避けられちゃった」

ザコ(女!?なら蹴られてもよかっ...)

オカマ「もぅ〜避けないで欲しいわぁ、あら!案外いい男じゃない!」

ザコ(良くねえ!全然良くねえ!)

武闘家「お前、何者だ?」

オカマ「勿論あなたもクールでカッコいいわよぉ、嫉妬はしなくていいんだ・か・ら・」

武闘家「!?」ゾクッ

ザコ(言葉のキャッチボールが成立してないな。なんだこのオカマ)

武闘家「い、一旦逃げるぞ!」ダッ

ザコ(怖いんだな武闘家。わかるよその気持ち、俺もマジで怖い。貞操的な意味で)ダッ

オカマ「あらぁ、逃がさないわよぉ!」ダダダダダダダッ

ザコ「何あのオカマ!クソ速え!!」タッタッタッ

ザコ「武闘家!どうする!?っていねえ!逃げ足速すぎるぞあいつ!」タッタッタッ

オカマ「待ちなさぁ〜い!!」ダダダダダダダッ

ザコ「くそ、誰か一人くらい助けてくれてもいいんじゃ・・・」タッタッタッ

ザコ(ほとんどの人が驚いてない、というか気づいてないみたいな・・・なんだよこいつらマジ無慈悲!)タッタッタッ

ザコ「はぁ・・・はぁ・・・てかなんだよあのオカマ、体力ありすぎだろ」タッタッタッ

オカマ「安心して、殺したりしないわ!ただちょっと可愛がるだけよ!」ダダダダダダダッ

ザコ「それが嫌なんだろうが!」タッタッタッ

ザコ(くそ、埒があかねえ!)タッタッタッ

振り返り狙いを定めて・・・

ザコ『プラントラップ!』

オカマ「うお!!!なんだ!?」

すぐそこまで迫っていたオカマは恐ろしく低い声を出しながら転倒した。

ザコ(逃げるなら今の内!)ダッ

オカマ「ぜってえ逃がさ...逃がさないんだからぁ!!」

ザコ(素が出てるんだよなぁ・・・)タッタッタッ

うまいこと路地裏を利用し逃げ切ることができた。

ザコ「はぁ・・・はぁ・・・ここまで来れば大丈夫か?」

<ンッ...ソコ...ダメ...

ザコ「ファ!?」

ザコ(今明らかにアダルトゥーな声聞こえたよ!?なんか怖いしここから離れるか)

ザコ(・・・いやけどまあ?俺も男ですし?チラッと見るくらいならセーフっすよね)

ザコ「竜王、お前はここにいろ」

竜王「何故じゃ?」

ザコ「ちょっとアダルトゥーの階段登ってくる」

竜王「?」

俺は路地の奥へと進んでいく。

ザコ(よし、見えた!)

男[ザコ「チ◯コ破裂するっ!」]

女[ザコ「チ◯コ破裂するっ!」]

ザコ(イッチにはアダルトは早かったよ)

ザコ(けどまあ俺は他人の行為を見ながら一人でするほど悲しい人間じゃない。考えてみれば他人の行為を見るなんて最低だからな。よし!そうと決まれば早く戻ろう!)

ザコ「やあやあすまないね竜王」ケンジャー

竜王「!?」

ザコ「少々、二人のアダルトゥー行為が長かったのでね。いやはや、途中から見たはずなのに30分も続けるとは」ケンジャー

竜王(なんじゃ?何かが違う・・・)

ザコ「それでは行こうか、あのオカマが何者なのか、確かめなければならないからね」ケンジャー

竜王「わ、わかったわい」

ザコ「さて、調査開始といきましょうか」ケンジャー

竜王(さっきの数十分の間にザコに一体何が!?)

ザコ「どうしたんだい?竜王」ケンジャー

竜王「お主、今凄く気持ち悪いぞ」

このスレにしては珍しいアダルト?なイベント。>>1も30分には驚きっす。

ザコ(ちゃんと元に戻ったよ!)

ザコ(さっきのはどっちも見たことのある顔だった。男の方は確か神聖騎士、女の方は大教会で働いてる人だ。聖職者なのにヤっていいのか?)

ザコ(とりあえずはあのオカマについて聞かないとな)

ザコ「すいません、この辺りでオカマを見かけませんでしたか?筋肉質で、すげえ威圧感がある・・・若干引いちゃうような」

老人「オカマ?見かけませんでしたなぁ」

ザコ(あれ?おかしい、この道は逃げるときに通ったはずだ。いや、さっきいた人が別の場所に行ってしまった可能性もあるな、店に聞いたほうが効果あるか)

その後、手当たり次第に聞いて行ったが誰もオカマのことを知らなかった。

ザコ(何でだ?逃げてるときに見た奴も知らない顔をしていた。どうなってる?)

<勇者side>

勇者(あれ?僕、何してたんだっけ?)

大司教「勇者様?どうかされましたか?」

勇者「あ、いえ。何でもありませんよ」

勇者(ザコ達と別れて、階段を降りて、それからの記憶が・・・)

勇者「あの、炎勇者は?」

大司教「もうお帰りになられましたよ」

勇者「そうですか、それでは僕も失礼します」

大司教「ええ、本日はありがとうございました」

この時の大司教さんの笑顔は、何だか不気味に思えた。

勇者(とりあえず宿屋に戻ろう)

<ヤメロ!ハナセ!

勇者「ん?」

賢者「あ、勇者様!助けて!助けてください!」

勇者(いや、気のせいか)

賢者「勇者様!?勇者様!?テントに潜り込んだのはすみませんでした!だから助け...」

男1「黙れよお前!」ドゴッ

賢者「あ、痛っ!」

声が聞こえる・・・気がする

勇者(なんだろう、このモヤモヤした気分)

勇者がその場を立ち去ろうとした時、ブレスレットが淡い光を放った。

勇者「!」

勇者「賢者!」

賢者「あ、勇者様!」

勇者「って終わってる」

男1「」

賢者「ええ、勇者様が俺を見捨てようとした間に」

勇者「そ、それは・・・」

賢者「嘘ですよ。何か事情があったってことはわかってます」

勇者「そっか・・・ほんとごめんね」

勇者「それで、この人は何者なの?」

賢者「それはこれから聞き出すところです」

賢者「勇者様、ブレスレットを貸していただけませんか?」

勇者「はい、どうぞ。それでブレスレットを使う意味ってあるの?」

賢者「それはですね、毒魔法を応用して情報を聞き出そうとしたんですが、すでに催眠魔法が掛けられているみたいなんです」

勇者「なるほど」

勇者(ってことは僕はさっきまで催眠魔法を掛けられていたってこと?一体いつ、どこで?)

正直思いつくところといえば一つしかない、だけどそれを認めたくない自分がいた。

賢者「とりあえずロープで縛っておきますか」

勇者「うん、そうだね。逃げられないために毒針の準備とそれから・・・」

賢者「!?」

<宿屋>
とりあえず僕たちは宿屋へと戻ってきた。いつまでも路地裏にいるわけにもいかないから。だけど・・・

勇者「!?」

部屋にはガラスが散乱していた。

賢者「どうやら襲撃に遭ったみたいですね」

賢者「俺が襲われたことを考えると、これは明らかに勇者一行を狙った犯行です」

勇者「そんな、いったい誰が?」

賢者「それを、今から聞き出しましょう。こいつから」

勇者「うん、そうだね」

男1「うっ・・・?ここはどこだ?」

賢者「あ、起きたみたいですね」

男1「てめえさっきの!」

賢者「君は、何故僕を狙ったんだ?」

男1「そんなの言うわけねえだろ!?」

賢者「じゃあ誰の命令だ?」

男1「それも言わねえ」

賢者「ではなんで従っている?」

男1「だからそれも言わねえって言って...っ!」

賢者「どうやらブレスレットの効果が出たみたいですね。着けておいて良かった」

男1「俺は・・・俺は・・・今まで・・・」

賢者(この調子だと魔法を使う必要はなさそうだな)

勇者「えっと、大丈夫ですか?」

男1「ああ。まだ混乱してるが全部思い出したぜ」

男1「大司教!あいつは絶対許さねえ!」

今日は終わり。引き延ばすはずだったのに終わり始めてる感が・・・

<ザコside>

ザコ(調査を重ねた結果、ほとんどが誰も知らなかった。知っていたのはほんの少し、そいつらに共通していることは大教会に行かなかったということだ)

ザコ(いやそんな行かねえだろ、と思う人もいるかもしれないが。この町の大教会で祈るはめちゃくちゃ多い。旅の祈願だとか、恋愛の事とか。祈ると願いが叶うと信じられてるらしい)

ザコ(けど俺はなんともないぞ?どうなってんだ?)

戦士「それで、どうすんだ?」

現在、さっきの襲撃に遅れて気づいた戦士と合流。今後の対策を練っている。

ザコ「とりあえず教会に何かあるのは確かだ。今はその「何か」を探りたい」

戦士「なら教会の人間に聞くのが一番じゃねーか?」

ザコ「いや今日来たばっかなのに都合良く教会の人間と知り合ってるわけ・・・あるな」

戦士「あるのかよ」

ザコ「と言っても敵の懐に乗り込むわけにも行かねえし、この広い町の中から探すしかねえ」

戦士「さすがにきつくねえか?広すぎんだろ」

ザコ「いや、お前が思ってるよりも簡単だぜ。だって姉妹じゃ無い方は向こうから来てくれるからな」ニヤッ

戦士「?」

「見つけたわよー!!!!」

ザコ「来た!取っ捕まえるぞ!」

戦士「は!?」

オカマ「今度は逃がさないんだからぁー!」ダダダダダダダッ

戦士「よくわかんねえがやってやるぜ!」

オカマ「あら!あなたもいい男じゃない!まとめて可愛がってあ・げ・る・」

戦士「あ?悪いが俺は賢者みたいに、そっちの方に興味はねえ!!」

オカマ「くらいなさい!【オカマキック!】」

ザコ「ただのキックじゃねーか!」

が、その威力は凄まじい。地面が凹むほどの威力だ。これでもまったく気にしていない町の奴らはどうなんだ?こういうことが日常茶飯事なのか?

ザコ(いやさすがにそれはないか)

戦士「くっ、こいつ・・・なんて力だ!」グググッ

戦士はオカマの攻撃を手で受け止めるが押されている。

オカマ「あらあらー、男が女より弱くてどうするのよ・」グググッ

ザコ(戦士が押し負けるとかあいつオカマに向いてねえだろ。っとこのままじゃやべえな)

ザコ『ウッドキャノン!』

発射された木の砲弾はオカマに直撃。が、ダメージを受けた様子はあまり無い。

オカマ「おいてめぇコラァ!不意打ちとかざけんなよお前!」

ザコ「ひいぃ!こいつ超怖え!」

ザコ「く、来んなよぉ!『束縛プラント!!』」

オカマ「効かねえよ!」ブチッ

ザコ「ひいぃ!」

オカマ「てめえ一回痛い目見ねえとわからねえだ...」

戦士「よそ見してんじゃねーよ!オカマ野郎!」ドゴッ

オカマ「痛えなぁ!何すんだボケェ!ぶっ殺すぞ!」

戦士「やれるもんならやってみろやぁ!!」

オカマ「ぐっ・・・何!?」グググッ

戦士「うおおおおぉぉ!」グググッ

ザコ(どうする?狙うなら今しかない!けど俺の力じゃ・・・)

ザコ「竜王!なんか方法ないか?お手軽パワーアップ機能みたいなの」

竜王「簡単な話、お主が竜化すればいい」

ザコ「ふぁ!?どゆこと!?」

竜王「妾の力を使い竜化することによって人の姿よりも強くなれるというわけじゃ」

ザコ「な、なるほど。それで俺はどのくらい竜化できるの?」

竜王「15%」

ザコ「お、結構多い。か?」

竜王「仮に勇者達が使えば20%は行くぞ」

ザコ「お、おう。微妙だな、%を引き上げたりとかできないのか?」

竜王「やろうと思えばできる。だが竜化は負担は大きい、それに竜化は無理にやりすぎると意識が凶暴化してしまうからのう」

ザコ「なるほど、それは怖いしやめておくよ」

ザコ「よし行くぞ!【竜化・15%!】」

体から少し角が生え、少し尻尾が生え、少し爪が鋭くなり、体に少しだけ黒い鱗っぽいのが現れた。

ザコ「なんていうか、思ってたのよりショボいな」

竜王「まあ妾も魔力が弱まっておるからのう」

ザコ「けど贅沢は言ってられないよな。これでも充分なくらいのパワーアップだし。さあ行くぜ!戦闘再開だ!」

ザコ「ってやってる間に戦士がイナバウアー状態になってる!!」

戦士「せ・・・背中がもたねぇ・・・」グググッ

オカマ「早く倒れちゃいなさいよ!」グググッ

ザコ《15%》「戦士の背骨が折れない内に行くぜ!」

ザコ《15%》【攻撃の型・バーストスマッシュ!】

バーストスマッシュは相手を吹き飛ばす技だ。相手との距離をよく取れる。

オカマ「あら?」

攻撃はオカマに直撃。オカマは吹き飛ばされ壁へと激突した。

戦士「ふぅー、助かったぜ。ってなんかトゲトゲしくなったなお前」

ザコ「そうか?生えたり変わったりしたのはわかるけど。・・・鏡見てえ」

オカマが吹き飛んだ方を見る。どうやらまだやる気らしい。俺TUEEEEEには程遠いな。

オカマ「まだ・・・まだ・・・これからよ?」

ザコ「ふっ、いいぜ?もう一度吹き飛ばして・・・ってあれ?」

戦士「戻った・・・なぁ」

竜王「・・・」...zzz

ザコ「寝てる!?確かにもう暗くなっちまったけど!」

オカマ「もう終わりなのかしら?」

ザコ「ああくそ!やってやるぞ!主に戦士が!」

戦士「はぁ!?俺だって押し負けるんだぜ!?」

ザコ「気合だ気合!」

オカマ「さあ、可愛がってあげるわ・」

戦士「まあここまで来たらやるしかねえわな」

ザコ「俺が微力だけど援護するから。頑張ってくれ」

戦士「他力本願前提なのはどうかと思うぜ?」

オカマ「くらいなさい!【オカマキッ...】っ!?」

オカマが光魔法で吹き飛ばされた。と、いうことは・・・

勇者「倒される前に間に合ったね」

賢者「殺られてなかったか」

僧侶妹「良かった・・・」

ザコ(一人だけおかしい気がするのは気のせいかな?)

勇者「ザコ!戦士!無事で良かった」

賢者「ザコは殺られれば良かったんだけどな」

ザコ「なんかお前酷くない?」

僧侶妹「ザコ様!」

ザコ「お、おお・・・また会えて嬉しいけど、やっぱり様付けは慣れないな」

今日は終わり。完全に空気な炎勇者と武闘家。次は出てくるから・・・多分。

オカマ「あらやだ、勇者一行が集まってきちゃってるじゃない」

ザコ「僧侶妹ちゃんを抜いても四対一、かわいそうになってくるな」

勇者「けど同情なんてしてる暇はないよ」

ザコ「わ、わかってるよ」

オカマ「話は終わったかしら?ふふっ、残念だけどお姉さんはあなた達と戦う気はないの」

賢者「けど俺達にはあるんだ。悪いけど捕まってもらう」

オカマ「怖いわねえ。あら?そういえば、何で妹ちゃんがいるのかしら?」

僧侶妹「え?あっ、私は・・・」

オカマ「なるほどね。あんたの姉、裏切っちゃったのね?」

僧侶妹「!」

ザコ(何このシリアス)

オカマ「ふふっ、さあ!私を捕まえてごらんなさ...」

勇者『シャイン!!』

ザコ『ウッドキャノン!』

賢者『激流!』

オカマ「あっ、やだ!さすがに同時攻撃は卑怯じゃ・・・やあん!」

同時魔法攻撃を受けたオカマは効いてるのか効いてないのかよくわからない悲鳴をあげる。さすがにこれで効いてないのなら化け物だが・・・

オカマ「てめえら、そんなにお望みなら血祭りに上げてやるよ!!」

ザコ(お怒りの様子。効いてる・・・よな?)

オカマ「妹!てめえの姉に裏切ったことを後悔させてやるよ!できるだけ、酷く!醜く!殺してやる!」

ザコ(このオカマァ!情緒不安定すぎるだろ!!)

勇者「させない」

オカマ「あ!?」

勇者「誰かを傷つかせるようなこと、絶対にさせない!」

オカマ「そうかそうか、なら口だけじゃないってとこ見せてみろよ!」ダッ

オカマは一直線にこちらへと向かってくる。怒りは最高潮のようだ。

勇者「ザコ!」

ザコ「りょ、りょりょ了解!『プラントラップ×4!』」

オカマ「おわ!てめえ!つまらねえことしやがって!!」

ザコ「ひぃ!!」

奴は足を引っ掛け転倒した。が、すぐに体制を立て直そうとする。

賢者「させないよ。『毒ガス:麻痺!』」

賢者の杖から出現した紫色の煙がオカマを包む。

オカマ「っ!?何だこれ、体が・・・」

賢者「・・・やったか?」

ザコ「おまっ!馬鹿!!!」

オカマ「やられて・・・ねぇよ!麻痺毒なんかで俺がやられるか!」

勇者「そうだね、けど止めの攻撃の援護にはなった」

立ち上がり勇者を狙おうとするオカマの前に戦士が立ちふさがった。

戦士「終わり・・・だ!!」

戦士の全力の一撃をくらいオカマは地面へと倒れた。起き上がる様子はない。

ザコ「はぁ・・・はぁ・・・もう立たないよな?」

勇者「さすがに、これで立たれたらだいぶ困っちゃうよ」

賢者「さて、今の内に情報を聞き出すとしましょうか」

賢者『精神侵食』

オカマ「!」ビクンッ

ザコ(今更だけど、毒魔法の汎用性って凄いな)

勇者「主犯が誰かとどんな事をしているかは僧侶妹さんに聞いてわかった。だから今知りたいのはどうやって町の人達を洗脳したかだ」

オカマ「それは・・・」

話を聞くに大教会の特定の床の下に魔法陣が仕込んであり、その上に乗った人をまとめて洗脳していたらしい。
さらに祈らなかった人には教会の人間が個別に近づいて洗脳魔法をかける。そうすることで今の状況を作り出していたみたいだ。

ザコ(僧侶さんが俺の手を握らなかったのはそういうことか。救ってくれる事を期待して、触れるギリギリで触れなかったんだな。洗脳したと見せかけるために)

別に僧侶さんは俺が嫌いで触れなかったわけじゃなかったんだ!!!!

ザコ(やったぜ!!!!)

ザコ「で、どうするんだ?」

勇者「そりゃあ一つしかないよ。このまま攻め込む!大教会の魔法陣さえ確認できれば悪事の証拠になるからね」

賢者「俺、町一つ相手にするなんて初めてです」

勇者「ぼ、僕も初めてなんだけどね」

戦士「へっへっへ、ワクワクしてきたぜ」

僧侶妹「皆さん・・・」

勇者「僧侶妹さん、絶対助けるから。君のお姉さんも、町の人達も」

ザコ(勇者ぁ!僧侶妹ちゃんは渡さねえかんな!!!)

勇者「・・・?」

賢者「ならとりあえず炎勇者様と武闘家を呼びに行きましょう」

勇者「うん。そうだね」

勇者「・・・?待って、何かこっちに来てる」

ザコ「え?まさか敵の援軍か何かか?」

賢者「いや、周りに変化は無...」

戦士「っ!上だ!!」

僧侶妹「!?」

復讐者「勇・・・者ぁ!!」

ザコ「は!?」

早めに気づいたことで、突然の奇襲を
無事に回避できた。

勇者「僧侶妹さん、下がってて!」

僧侶妹「は、はい!」

着地した時に発生した煙が晴れ、奴が姿を現す。

復讐者「ククッ、お前たちが戦ってくれたおかげで、探す手間が省けたぜ」

勇者「復讐者・・・!」

テストが終わったんで久しぶりの投稿です!さあ、ここからはククッ・・・タイムの時間。何回言うのだろう。

復讐者「さあ、今度こそ殺らせてもらうぜ、勇者ぁ!!!」

勇者「!」

復讐者の体は、前回のような魔物らしいものではなく、まるで岩のようだ。
その腕で勇者を攻撃しようとする。

戦士【アックスシールド!】

が、その攻撃を勇者と復讐者の間に割り込んだ戦士が防いだ。

復讐者「あ?」

賢者『激流!』

復讐者「ぐおっ!」

賢者の発動した魔法によって遠くへ吹き飛ばされる。確かにあいつは強いけど、今回は数の差でこっちが有利だ。

復讐者「チッ、めんどくせーな」

復讐者がチラリと僧侶妹ちゃんの方を見る。まさか・・・

復讐者『ストーンキャノン!』

復讐者の放った岩の砲弾が僧侶妹ちゃんの方へ飛んでいく。突然のことで驚いたけど、この距離なら間に合う!

ザコ【防御の型・水流!】

岩の砲弾の軌道をそらし、無事に攻撃を防いだ。

復讐者「不意打ちも効かねえか」

勇者「お前・・・!」

復讐者「ククッ、いいぜ?好きだけキレてくれても、その方が楽しいからなぁ!」

復讐者の攻撃が勇者に直撃し、吹き飛ばされる。

賢者「っ!お前!『スプラッシュソード!』」

杖から発生した水の刃が復讐者を切り裂く、が・・・

復讐者「ククッ、その程度か?」

賢者「そんなっ!」

復讐者『ストーンキャノン』

賢者が吹き飛ばされた。

復讐者「おいおいどうした!?その程度かよ!!」

勇者(駄目だ、硬すぎる。狙えるとしたら顔くらいしかない・・・)

賢者「はぁ・・・はぁ・・・痛っ」

僧侶妹「だ、大丈夫ですか?『リカバリー!』」

賢者「中級回復魔法か、ありがとう」

戦士「下がってろ賢者!俺がやる!」

戦士【闘魂切断!!!】

復讐者(攻撃力だけで言えばこいつが一番か。さすがにきついな)

復讐者『ストーンピラー』

地面から出現した岩の柱が戦士を突き上げる。かなりの勢いで吹き飛ばされた。

戦士「ぐおっ!マジかよ!」

勇者(まともに受けなかった。てことは戦士の攻撃ならダメージを与えられるのか)

賢者(なら戦士の攻撃を援護する!)

ザコ(やばい俺何したらいいんだろ。何もしなかったら後でお前何やってたんだよ的なことになっちゃうわけで(ry

勇者(けど自分からダメージを与えるのを諦めたわけじゃない)

勇者『シャイン・レーザー!』

レーザーは球体として発射していた光魔法を光線として発射する魔法だ。
形を変えてしまうことで威力が落ちるがその分利点がある。

復讐者(光は厄介だが、防御に特化すれば!)

勇者(顔を防ぎにきた!読み通り!曲がって!)

復讐者「!?」

その利点とは軌道をある程度変えられるということだ。そのおかげで相手の防御をかわして攻撃できる。

勇者の放った光線が復讐者の顔面に直撃した。

復讐者「ぐっ、あ!?」

ザコ(これは活躍のチャンス!)

ザコ『束縛プラント!!』

復讐者「!」

復讐者がつるによって動けなくなったところで戦士が落下してきた。

戦士「落下速度も加えてくらえ!!」

戦士【闘魂切だ...】

復讐者「研究者ぁ!!!」

勇者「!?」

研究者「はいはい、わかってますよ。一体目、あの戦士を狙え」

キメラ1「ガアアァァァァァァ!!」

突如現れた謎の生物が、落下中だった戦士を吹き飛ばした。

戦士「なんだ!?こいつ!」

ザコ「キメラ!?」

研究者「さあ、お前は残りの奴らを
全員殺せ」

キメラ2「ゴアアァァァァ!!!」

勇者「二体目!?」

研究者「さてさて、今回は騎士の援軍は無し、しかも二体。武術大会のようにはいきませんよ?」

今日は終わりです。
このスレの戦闘はだいたい始まったと思ったら終わってる気が・・・
いやぁ、文才が欲しいですね。

痛々しい

>>655
否定できない・・・

ザコ(敵の援軍・・・!一人とキメラ二体か)

戦士を吹き飛ばした方は鳥のような大きな羽根が生えている。体の色は白色で、手足は異様に長い。顔はワニのようで牙は鋭い。

対して俺達の前に立っている方の体の色は黒色で、体は鬼のようだ。顔は馬のような形をしていて、右腕が肥大化している。

キメラ1「グアアァァァァ!!」

戦士「気持ち悪い体しやがって、叩き潰してやるよ」

キメラ2「ゴアアァァァァ!!」

ザコ「なんだこの馬男、武術大会で出会った奴はまだかっこよさがあったぞ!」

勇者「個々の戦力的にほぼ逆転されたって言ってもいいよね」

賢者「はい、なかなかに厄介ですね。冒険者狩り、ここまでだとは」

僧侶妹「きゃああ!」

勇者「!?」

オカマ「うふふっ、捕まえたわよ!」

賢者「しまった!」

オカマ「勇者達!こうなったらこの女も姉も!両方共たっぷり可愛がってあ・げ・る・」

勇者「そんなことはさせない!」

オカマ「なら、私をつかまえてみなさ〜い!!」ダッ

ザコ「っ!待っ...!」ダッ

研究者『氷壁』

突如現れた氷の壁が行くてを阻む。

ザコ「!?」

研究者「行かせませんよ?こっちは勇者の絶望する顔が拝みたいのでね」

ザコ「お前・・・!」

<勇者side>
復讐者「ククッ、俺一人で苦戦してたのに+一体だ。さあどうする?」

勇者(くそ!早く追いかけないと!)

賢者「勇者様!まずはあいつらを倒すことを考えましょう」

勇者「あ、ああ・・・そうだね」

キメラ2「ゴアァ・・・!」

<戦士side>
戦士「さて、こっちはタイマンか。来いや!!白鳥ワニ野郎!!」

キメラ1「グアアアァァァァ!!」

<ザコside>
ザコ「どけよ、お前!!」

研究者「ハハッ、そう言われてどくやつがいると思います?」

ザコ「いや思わないけどさ。とりあえず言っておこうみたいな感じでですね」

戦士「さあ、行くぜ!」

キメラ1「ガアアァァ!!」

戦士「これだけ頭がでかけりゃ、狙いやすいな。まずは一発!【兜割り!】」

キメラ1は戦士の攻撃を急上昇することでかわす。

戦士「そんなこともできんのか。ならまずはその翼からだ!」

戦士はキメラ1に向かって跳んだ。そして斧を翼に向かって振り下ろした。しかしキメラ1はそれを簡単にかわす。

キメラ1「ガアアァァ!!!」

そしてキメラ1は戦士を地面へと叩き落とした。

戦士「ぐおっ・・・!」

地面へと激突し、ダメージを負ってしまう。その隙を奴は逃さない、戦士へ向かって急降下する。

戦士「チッ、【アックスシールド!】」

キメラ1の攻撃が戦士へ直撃した。斧で防いだことで軽減したはずなのだが、それでもダメージは多い。

戦士「ぐっ!これ・・・は、中々の・・・パワーじゃ・・・ねえか・・・」

キメラ1「ガアアァァァァァァ!!」

キメラ1は戦士へ何度も何度も攻撃する。戦士はその猛攻をただ耐えることしかできないでいた。

戦士(チッ、リーチが長すぎる。中距離じゃ分が悪い・・・)

そう判断した戦士は後ろへと跳んだ。
遠距離なら奴は攻撃できない。体勢を立て直す十分なチャンスができる。

が、その考えは甘かった。キメラの力は色々な魔物が混ざっている分未知数だ。たとえ外見に現れていなくても他の魔物の力が混ざっていたりする。それはキメラ1も例外じゃない。

キメラ1「ガアァァァァ!!」

キメラ1が吐き出した何かが戦士の右腕に触れた。

途端、右腕に激痛が走った。

戦士「ぐっ、あああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

ザコ「!?」

キメラ1が吐き出したのは溶解液だ。すでに戦士の肌の表面は溶けてしまっている。

戦士(痛みで右腕が動かねえ・・・)

キメラ1が動けない戦士の元へ近づいていく。

戦士「チッ、俺が右腕を使えないだけで負ける男だと思うなよ!?」

戦士がキメラ1目掛けて跳んだ。

そして時を同じくして、勇者達もまた、キメラ達によって追い込まれていた。

復讐者「おいおい、さすがに差が開きすぎてねえか?」

勇者「ハァ・・・ハァ・・・」

復讐者「つまんねえなぁ、そろそろ終わらせるか」

勇者(くそ、このままじゃ負ける・・・!僕は強くなってきたんだ!中央警備の人たちに鍛えてもらったんだ!こんなところで、負けられない!)

キメラ2「ゴアァ?」

復讐者「お、まだやる気か。まだまだ闘りたりねえからな!楽しませてみろよ!」

勇者「うおおおぉぉぉぉぉ!!」

勇者【シャイニングスラッシュ!】

復讐者「!」

復讐者は身構えるが、勇者は復讐者を素通りした。

復讐者「!?」

勇者の狙いは最初からキメラ2の方だった。

突然のことにキメラ2は対応できず、左腕を切断された。

キメラ2「ゴアアァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」

勇者はキメラ2の反撃により吹き飛ばされた。

復讐者(やられた!)

復讐者「くそが!『ストーンキャ...』」

賢者「水属性 毒属性・・・!『毒沼!』」

足がハマった影響で狙いがズレ、復讐者の放った魔法は勇者には当たらなかった。

復讐者「チッ!あの野郎・・・!」

復讐者「まずはてめえからだ。死ね」

賢者「!」

賢者は復讐者の攻撃をまともに受けてしまい、気絶してしまった。

勇者「賢者・・・!」

復讐者「人の心配してる場合か!?」

勇者の目の前にキメラ2が現れた。

勇者「しまっ...!」

キメラ2「ゴアアアァァァァァァ!!!」

勇者は防御の構えをとったところでキメラ2の攻撃が直撃する。

勇者(くっ、なんてパワーだ!重すぎる!)

キメラ2の攻撃を防ぎきれずかなりのダメージを受けてしまった。
そこに復讐者が追撃しようと近づく。

復讐者「死ね!!」

勇者「!」

復讐者の攻撃が勇者の顔面へ直撃した。

勇者「ガハッ・・・!」

復讐者「はぁ・・・はぁ・・・終わった、な」

復讐者「さて、あの戦士の方はもう死にかけか・・・ならザコの方に行かせるか」

ザコ「は!?」

研究者「どうやら勝負あったみたいですね?」

ザコ「マジかよ・・・」

復讐者「ククッ、さあ行ってこい」

勇者(体が・・・動かない・・・)

勇者(守るって約束したのに、僕は大教会にたどり着くこともできないなんて・・・)

キメラ2「ゴアアアァァァァァァ!」

勇者(このままじゃザコが・・・!)

勇者「復讐者!やめろ!」

復讐者「あ?やめるわけないだろ?お前は仲間が死ぬところを黙って見てろ!」

キメラ2「ゴアアアァァァァァァ!!」

ザコ「くそ!【完全防御!】」

キメラ2の攻撃を防ごうとする。が、完全防御はキメラ2の攻撃を受け、粉々に砕けた。

ザコ「は・・・?」

攻撃を受け吹き飛ばされるも、ダメージは軽減できた。

ザコ(痛え・・・さすがに次は耐えられないぞ!?)

復讐者「チッ、防がれたか。だがそれも無駄な足掻きだ、やれ!」

キメラ2「ゴアアアァァァァァァ!」

キメラ2がザコに攻撃しようとしたその時、二人の間に勇者が割って入った。

ザコ「勇者・・・!」

勇者は回復魔法である程度回復したものの、初級ではそこまでの回復はできない。動くのがやっと、そんな状態で勇者はキメラの前に立ち塞がった。

勇者「まだ・・・まだ何も守れてないんだ!助けられてないんだ!救えてないんだ!だから僕は、負けるわけにはいかないんだ!!!」

キメラ2の攻撃が勇者に当たる直前。突然キメラ2が吹き飛ばされた。

復讐者「!?」

炎勇者「よく言ったな」

武闘家「それでこそ勇者だ」

勇者「炎勇者・・・!武闘家・・・!」

今日はこれで終わり。
ここからシリアスなルートか今までのテンションのルートか二通りあるのですがどうしましょうか・・・

復讐者「チッ、前と似たような展開になってきたな」

研究者「どうします?」

復讐者「あ?このまま殺るに決まってるだろ」

キメラ2「ゴアアアァァァァァ!!」

炎勇者「あれがキメラか、初めて見たな」

武闘家「俺もだ」

ザコ「お前ら!ほんとギリッギリに来たな!」

炎勇者「それはすまない・・・」

勇者「でも来てくれてありがとう。もう少しでやられてたよ」

武闘家「いや、礼はいいさ。仲間だろ?」

勇者「・・・!うん!」

武闘家「よし勇者、ここは俺たちが引き受ける。お前は大教会へ向かえ」

勇者「え?けど・・・」

武闘家「今の体力の消耗してしまっているお前じゃ迷惑だ。回復しつつ大教会に向かった方が効率がいいだろ?」

勇者「けど・・・」

勇者はそう言いながらチラリと炎勇者の方を見た。勇者が心配しているのは強さの問題じゃない。

武の国での出来事を勇者は思い出していた。光魔法を使う復讐者の仲間。奴が炎勇者である可能性が無いわけではないからだ。

武闘家「勇者」

勇者「武闘家、何・・・?」

武闘家「お前、炎勇者が向こうの仲間かどうか気にしてるだろ」

勇者「!」

武闘家「その反応だと当たってるみたいだな」

勇者「だって・・・」

武闘家「考えてみろ、戦闘の影響で結構大きな音が立ってるんだ。もうすぐ町の人たちが集まってくると考えていい、ならそこで炎勇者が裏切るメリットはないだろう?」

勇者(確かに、「勇者」っていう肩書きはかなり便利だ。今ここでその肩書きを手放すなんて考えにくい・・・)

武闘家「それに、今のお前に何ができるんだ?」

勇者「っ!それは・・・」

武闘家「大教会への道のりを回復しながら進んで万全に戦えるレベルなんだ、今ここに残ったところで高が知れてる」

勇者「・・・そうだね。わかった、大教会に向かうよ。任せたよ、武闘家、炎勇者」

炎勇者「任された。が、本人の前でそういうことを言うなよ・・・」

武闘家「フッ、もしもの為に釘を刺しておいたのさ」

ザコ(え?何この俺の空気感)

勇者「行こう!ザコ!」ダッ

ザコ「え?あ?え?りょ、了解!」ダッ

武闘家「と、いうことだ。お前たちの相手は俺達が引き受ける」

復讐者「あ?行かせると思ってんのかよ!!!」

復讐者が走り出したと同時に研究者が魔法を放ち、キメラ2も同時に走り出す。

キメラ2の攻撃を武闘家が防ぎ、研究者の魔法を炎勇者が防ぐ、そうなると復讐者を止める者は誰もいない。

復讐者(馬鹿が、敵に背を向けることが自殺行為だってわかってないのか!?)

勇者「違うさ」

復讐者「!?」

勇者「僕が君に背を向けてるのは、仲間を信じているからだ」

勇者がそう言った瞬間、復讐者は横から飛んできた何かにぶつかり吹き飛ばされた。

復讐者「こいつは、キメラ1・・・!まさか・・・」

戦士「そのまさかだ」

復讐者「!」

戦士「俺がそう簡単に負けるとでも思ったか?冒険者狩りぃ・・・」

復讐者「ハハッ、嘘だろ?お前、右腕使えねえはずだろ?」

戦士「ああそうだぜ。つまりそれは失敗作ってことだな、そいつは俺には弱すぎた」ニヤッ

復讐者「おいおいマジかよ。ここまで強いのは計算外だぜ。本命の勇者とザコにも行かれるし・・・こりゃあ撤た...」

武闘家「そう簡単に逃がすと思うか?」

すでに復讐者の目の前には武闘家が迫っていた。

復讐者「だよなぁ・・・」

武闘家の攻撃が復讐者に直撃した。

復讐者「ククッ、面白いじゃねえか」

立ち上がりながら復讐者はそう言った。

復讐者「仲間思いで、正義感があって、優しくて、本当に尊敬するよ」

炎勇者「そう思うのなら、君だって変われ...」

復讐者「普通なら・・・な」

武闘家「?」

復讐者「俺はそういうの見てると虫唾が走るんだよ。お仲間同士の友情ごっこなんて俺にはどうでもいい、本性をさらけ出せよ。なんか裏でもあるんだろ?」

武闘家「いや、俺は心から勇者達を助けたいと思っている」

復讐者「チッ、なんだそりゃ。イライラしてくるぜ」

復讐者「おい研究者、切り替えだ」

研究者「はぁ・・・逃げるの面倒なんですけど」

復讐者「あ?うるせぇ早くしろ」

研究者「はいはい、わかりましたよ」

研究者はポケットから注射器を取り出し、中の液体を復讐者に注入した。

武闘家「?」

炎勇者(あのキメラが守ってるから迂闊に近寄れないな・・・)

研究者「さあ、切り替え完了です。死なない程度に殺ってください」

復讐者「ああ」

復讐者「お前らがその甘ったれた思考で来るならそれでいいや。俺が真正面からねじ伏せてやるよ」

戦士「いいぜ」

武闘家「やれるものならやってみろ」

復讐者「ククッ、全員殺して、勇者に見せつけてやるよ!お前らの死体を・・・な!!」

そう言った復讐者の体は、武の国でのように魔物のような肌へと変化していた。

キメラ2「ゴアアアァァァァァ!」

キメラ2の咆哮が合図となり、戦闘が始まった。

復讐者『灼熱!』
研究者『氷結弾』

戦士『飛斬!』
武闘家『突風起こし!』
炎勇者『シャイン!』

今日はこれで終わり。
これからはやりたいようにやらせてもらいます!ただ、何分得意ではないので、たまにザコの武器購入の時みたいにアドバイスしていただくとありがたいです。

後ろから轟音が響く。
どうやら戦闘が再開されたらしい。

ザコ「はぁ・・・はぁ・・・あいつら大丈夫か・・・?」

勇者「あの三人が負けるとは思えないよ」

ザコ「まあ、そりゃそうか。それで?
今この町で何が起こってんだ?断片的にしか把握できてないんだけど」

勇者「そ、そういえば説明してなかったね」

ザコ(おい)

勇者「何が起こっているかというと・・・」

今から数時間前の事だよ。僕達は宿屋で情報を聞き出していたんだ。

男1「大司教!あいつは絶対許さねえ!」

賢者「!?」

勇者「それって・・・?」

男1「待て、まだ整理してる途中だ」

男1は少しの間黙り込んだ。そして数分後、顔を上げた。

男1「さっきは悪かったな。俺は神聖騎士Aだ。まあ、今じゃ騎士としての誇りは欠片もないがな」

彼は悲しそうにそう言った。

勇者「あの、さっきの言葉っていったいどういうことなんですか?」

神聖騎士A「そのままの意味だよ。俺があいつを許せない理由は・・・」

彼は言った。今の状況を作り出したのは大司教を含めた教会の幹部達と神聖騎士の一部の者だと。

彼は言った。自分は教会の操り人形にされたと。

彼は言った。神聖騎士達によって妻と娘を犯されたと。

勇者「・・・っ!」

賢者「そんなことが・・・起きていたとは・・・!」

こんなことがあって良いわけがない。
人を導く立場の人間が、その立場を利用して自分の欲を満たしているなんて・・・!

神聖騎士A「なあ勇者様、一つ頼みがあるんだが、いいか?」

勇者「うん。いいよ」

神聖騎士A「頼む、この町の偽りの平和を、ぶち壊してくれ!」

彼は泣きながらそう言った。溜まりに溜まった感情が、爆発したようだった。勇者として、助けを求めている人を放ってはおけない。

勇者「わかった。僕たちに任せて!」

神聖騎士A「ありがとう・・・!」

その後、ザコ達を探そうと思って宿屋を出たら、僧侶妹さんに会ったんだ。

僧侶妹「やっと・・・見つけられた・・・!」

勇者「え!?」

それで僧侶妹さんから話を聞いたんだ。もっと詳しいメンバーとか、それぞれの目的とかね。
全員がただ人の上に立って優越感を得たいとかの私欲だったよ。

僧侶妹「お願い!お姉ちゃんを・・・町の皆を助けて!」

勇者「わかったよ。君も、君のお姉さんも、この町の人たちも、全員僕たちが守るから」

僧侶妹「ありがとう・・・!ございます・・・!」

そう言った彼女も、先ほどの彼と同じように泣いていた。

勇者(みんな泣いているじゃないか・・・!誰も幸せじゃないじゃないか・・・!許せない。あいつらだけは絶対に!)

勇者「ってことがあったんだよ」

ザコ「元凶は教会の幹部達と神聖騎士の一部で、教会の僧侶達や他の神聖騎士を操って好き勝手していたわけか・・・」

勇者「そういうことだよ。人を操って自分に都合のいいようにするなんて許せない!」

ザコ(あの時ヤってたのも操った結果ってわけか・・・正直ちょっと羨ましいし、僧侶妹ちゃんを泣かせたっていうなら!)

ザコ「絶対許さねえ・・・!!!」

勇者「う、うん。戦う気がでてくれて良かった・・・のかな?」

ザコ「勇者!回復できたか!?」

勇者「まあ、回復魔法をかけ続けたからね。もうすぐ充分に回復できるよ」

ザコ「よし、竜王!いつまで寝てんだ起きろ!」ガブッ

竜王「い、痛っ!なんじゃ!?」

ザコ《15%》「よし!行くぞおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

勇者「ちょ、ちょっと速いよ!」

竜王「!!?!?!!!?」

今日は終わりです。六の町編的なのも終わり向かってきています。
そういえばSSwikiなんてあったんですね。全然知りませんでした。

ザコ《15%》「よし!到着!」

勇者「うん、やっと・・・!」

ザコ《15%》「このまま乗りこむぞ!って思ったけど・・・」

勇者「やっぱりいるんだね」

大教会の前で仁王立ちする男?が一人。やっぱりあいつはオカマに向いてない。

オカマ「ウフッ?追いかけてきてくれたなんて嬉しいわ!」

ザコ《15%》「いやお前じゃねーよ!」

オカマ「もうっ!照れ隠しなんてしちゃって!」

ザコ《15%》(うぜぇ・・・)

勇者「ザコ、どうする?」

ザコ《15%》「そうだな、とりあえずお前は先に行けよ」

勇者「え!?」

ザコ《15%》「いやだってここで足止めくらってる暇はないだろ?」

勇者「けど・・・」

ザコ《15%》「心配すんなって、今は竜王の力もあるから」

ザコ《15%》「それにこういう展開ってだいたいは仲間に任せるだろ?」

勇者「そう・・・なのかな・・・?」

勇者は少しの間悩んだが、仲間を信頼することに決めた。

勇者「じゃあ任せたよ!」

オカマ「あら?行かせると思ってるのかしら?」

オカマは大教会へ向かって走り出した勇者を攻撃しようとする。が・・・

ザコ《15%》【防御の型・水流!】

その攻撃を俺は逸らした。

ザコ《15%》「思ってないから俺が残ったんだろうが!」キメポーズ!!

ザコ《15%》(あっ、多分今の俺超かっこいい!!)

オカマ「ウフッ?それもそうね」

ザコ《15%》「来いよオカマ野郎!俺と竜王の愛の力を見せてやる」

竜王「やめんか!気持ち悪い!」

ザコ《15%》「ええ!酷い!!」

オカマ「あら、仲良しなのね。お姉さん嫉妬しちゃうわ」マッスルポーズ

ザコ《15%》(お姉さんって・・・何だっけ・・・?)

ザコ《15%》「と、とにかく!行くぜオカマ野郎!!!」

オカマ「ウフッ?さあ、来なさい!!」

ザコ《15%》「・・・」

オカマ「・・・」

ザコ《15%》「・・・」

オカマ「・・・?」

ハートの記号が?になってるせいで、オカマがいちいち同意を求めるキャラみたいになってる・・・

オカマ「来ないのかしら?」

ザコ《15%》「ま、まずはお前の力を見定めようってだけだよ」

ザコ《15%》(俺の戦い方は、防御主体で隙をついて攻撃する感じなので、相手依存なのだ)

オカマ「そうなのね。なら行くわよ!【オカマキック!】」

ザコ《15%》「その糞みたいな特技名、どうにかしたほうがいいぜ【防御の型・水流!】」

確かにオカマの攻撃は重いが、竜化による補正があれば楽に逸らせる。

オカマ「あら、案外強いのね」

逸らされたことで体制を立て直そうとするオカマに俺は追撃する。

ザコ《15%》【攻撃の型・ブレインシェイク!】

ブレインシェイクは攻撃によって脳を揺らす技だ。
俺の攻撃は見事にオカマに直撃した。

#9825;
#9829;
↑これの前に&を入れたらハートになるよ

俺は勝ちを確信した。

ザコ《15%》「イェーイ!オニス...これは俺の勝ち!」

オカマ「・・・悪いけど、そこまで大きなダメージは受けてないわよ?」

俺の確信は見事に外れた。オカマはピンピンしている。

ザコ《15%》「え、演技に決まってるだろうがい!!!」

オカマ「お返しよ。【オカマパンチ!】」

オカマの攻撃が俺に直撃する。

ザコ《15%》「あっ!これ糞痛え!」

竜王「接近戦じゃ不利じゃ!魔法で攻撃せい!」

ザコ《15%》「了解!」

俺は一度オカマから距離をとろうとするが・・・

オカマ「そう簡単に離れさせると思ってるのかしら?」

気づけば後ろに回り込まれていた。

ザコ《15%》「!」

頭を掴まれ、地面へと押し付けられる。

ザコ《15%》「なんて力だよ!こりゃ勝てないな!諦めます!」

オカマ「本当に諦めてくれると私も楽なのだけれど」

ザコ「そう簡単に諦められないのが俺のメンタル!竜化解除で2対1!」

俺から離れた竜王がオカマの後ろへと回り込んだ。

竜王「女男よ、妾が相手なのは誤算じゃったなぁ」

オカマ「あら、薄々思ってたけどかなり上位の存在なのねぇ」

竜王「ほれ、【竜の刻印】」

オカマ「ぐおっ!」

たった一撃でオカマは吹き飛ばされた。

ザコ「oh・・・」

竜王「ザコ、これ以上妾に魔力を使わせるでないぞ?」

ザコ《15%》「多分無理!」

ザコ《15%》「てかなんだよ今の技」

竜王「ただの発勁じゃよ。当てたところが凹むから周りが勝手に付けたんじゃ」

ザコ《15%》(言ってるってことは気に入ってんじゃねえか)

オカマ「ふふっ、今のは・・・効いたわよ?」

吹き飛ばされたオカマが戻ってきた。なんというリカバリー能力。

ザコ《15%》(こいつ、今までの戦いのダメージも蓄積されてるはずなんだけどな・・・なんて体力だよ)

ザコ《15%》「こうなったら、そろそろ勝ちにいかせてもらうぜ。『炎火!』」

オカマ「っ!」

ザコ《15%》(おっ!効いてる効いてるぅ!!」

オカマ「そろそろ私も本気で行かせてもらうわ」ムキッ

ザコ《15%》「」

オカマ「さあ、どうするのかしら?」ムキッ

ザコ《20%》「お前がそうくるなら、ちょっと無理をさせてもらう!」

ザコ《20%》(あれ?表記的に弱くなった気がする・・・)

今日はここまで。ザコの名前がザコである限り、強さが名前から出ることはないでしょう。

>>709
ありがとうございます

ザコ《20%》「っ!痛っ!痛たたたたた!!」

竜王「15%でギリギリじゃぞ?馬鹿なのかお主は」

ザコ《20%》「だって・・・5%ならいけるかと・・・痛っ!」

オカマ「あら?大丈夫なの?」ムキッ

ザコ《20%》「敵の・・・心配・・・してんじゃ・・・ねえ・・・よ!」

オカマ「それもそうね!行くわよ!【オカマパンチ!】」ムキッ

オカマは攻撃しようとこちらへと近づいてくる。正直ガチムチの男が近づいてくるのはマジで怖い。

ザコ《20%》「やっぱりタンマ!【完全防御!】」

俺は完全防御を使うことでオカマの攻撃を防いだ。

ザコ《20%》「キメラ・・・ほどの・・・強さじゃ・・・ないんだな・・・」

オカマ「まあ確かにあれほどの力はないわ。けど、連撃ならどうかしら?」ムキッ

ザコ《20%》「え?」

そう言った次の瞬間。オカマは凄まじい速度で完全防御を攻撃し始めた。

ザコ《20%》「まじかよ・・・」

オカマ「思ったより硬いわねぇ」ムキッ

ザコ《20%》「おいマジでやめろって!あっ!」

オカマの攻撃により完全防御に亀裂が走った。それは徐々に広がっていく。

ザコ《20%》「おい!やめろ!おい!おいって!」

オカマ「ラストスパートよぉ!!!」ムキムキッ

オカマの攻撃は一層速度を増し、遂に完全防御を破壊した。

ザコ《20%》「!」

オカマ【Homosexual...smash!!】ムキッ

オカマの攻撃が俺に直撃した。

ザコ《20%》(こいつ・・・!)

ザコ《20%》(特技名がダサいこと、気にしてたのか・・・!!!)

ザコ《20%》「おいオカマ野郎・・・!結局糞だぞ」

ザコ《20%》(homosexual smash。同性愛の粉砕。良いのかオカマ)

オカマ「あら、マシになったと思ったのだけれど」ムキッ

ザコ《20%》(あいつに勝つためには20%じゃなきゃダメだけど、このままじゃ俺の体がもたない。だから)

ザコ《20%》「おいオカマ野郎」

オカマ「何かしら?」ムキッ

ザコ《20%》「次の攻撃でお前を、倒してやる」

オカマ「へぇ~、面白いじゃない」ムキッ

オカマ「いいじゃない。その勝負、受けて立つわ」ムキッ

ザコ《20%》「はぁ・・・はぁ・・・あんた性格だけはいいな」

オカマ「それが私の自慢なの」ムキッ

ザコ《20%》「フッ、それじゃあ行くぜ!」

俺とオカマは同時に走り出した。竜王の力があっても、正直勝てるとは思えない。けど・・・

ザコ《20%》(なんか主人公の仲間補正とかで勝てそうな気がするから!全力でぶつかりに行く!!!)

ザコ《20%》(さっそくだけどパクらせてもらうぜ!竜王!)

ザコ《20%》【竜の刻印!!!】

オカマ【Queer...smash!!!】ムキムキッ

俺とオカマの攻撃がぶつかりあった。

オカマ「・・・!?」

確かに俺とオカマの攻撃はぶつかりあったが。

ザコ《20%》(あくまで俺がぶつけたのは完全防御を纏った弱めの竜の刻印!)

完全防御はヒビが入っているものの、衝撃を防ぎきった。まあオカマの攻撃に押し出されて肩は脱臼してしまったが・・・

ザコ《20%》(本命は二発目だ!!)

半泣き状態で俺はオカマに全力で攻撃する。

オカマ(これは・・・かわせないわねぇ・・・)

ザコ《20%》【竜の刻印!!!!!】

俺の攻撃がオカマへと直撃した。
オカマは吹き飛ばされ、大教会の壁へと激突した。

ザコ「はぁ・・・はぁ・・・」

満身創痍の状態で俺はオカマが吹き飛ばされた方を見る。これで倒せてなければ負けが確定したと言っていい。

ザコ(補正来い補正来い補正来い補正来い補正来い補正来い補正来い補正来い補正来い補正来い補正来い補正来い!!!!)

だが俺の願いむなしく、煙が晴れた時に一人の男が立っていた。

オカマ「今のは危なかったわぁ」

ザコ「まじ・・・かよ・・・」

オカマ「あなたにしては良くやったわ。後でお姉さんとたっぷり楽しみましょうね?」

ザコ「悪いけど、それはごめんだ」

このまま負ければ、オカマは勇者のところへ向かうだろう。疲労した勇者じゃオカマには勝てない。

ザコ(だから俺は、あいつの仲間として、こいつを行かせるわけにはいかないんだ)

<ウオオオオォォォォォ!!!!!

オカマ「あら、勇者ちゃんの声ね。あの感じだと大司教様を倒しちゃったみたいねぇ。勝った後の相手を倒さないといけないのは心が痛むわぁ」

ザコ「大司教を倒された割には怒りとかないんだな」

オカマ「まあ私は半分傭兵みたいな感じだから、そこまで怒ってはないわ」

ザコ「なら諦めてくれたりしないか?」

オカマ「それは無理ね。男なら力で証明してみなさい?」

ザコ「それが無理だったから困ってるんだけどな・・・」

オカマ「うふっ、安心して。あなたは頑張ったから責任を感じる必要はないわ。それじゃあ、もう終わりにしましょう」

オカマ【homosexual...smash!】

俺はオカマの攻撃によって吹き飛ばされた。

ザコ(くそ・・・勝てなかった・・・)

ザコ(補正なんてなかったんだな。このまま壁にぶつかって終わり。だけど・・・)

ザコ(そんなのは嫌だ!!)

ザコ(考えろ!どうやったら勝てる?どうすれば今の状況から脱出できる?)

ザコ(思い出せ、教えてもらったことを・・・!)

ザコ(っ!そうだ、あの技なら!)

ザコ【防御の型・旋風!!!】

旋風は水流の応用版で、風の流れを逸らす技だ。これを使うことで俺は吹き飛ばされる軌道を変えた。俺は上へと飛んで行く。

ザコ(上手くいった!上手くいった!!)

ザコ(けどこっからだ!もう一回!)

ザコ【防御の型・旋風!!!】

もう一度軌道を変えて大教会に入ろうとしているオカマに向かって一直線に飛んで行く。

オカマ「!」

ザコ(気づかれた!けど今更止まれるか!!!)

オカマ「うふふっ、やっぱりあなた面白いわよ!!!【queer...smash!】」ムキムキッ

オカマは俺に向かって全力で攻撃しようとしてくる。あれを受けたらさすがに終わりだ。

ザコ(だからさらにもう一回!!!)

ザコ【防御の型・旋風!!!】

オカマ「!」ムキッ

俺はオカマの攻撃を上手く回避した。
オカマに隙ができた。攻撃のチャンスだ!俺の力だけじゃ勝てないから、オカマの攻撃の威力を利用する!
旋風からの応用技・・・

ザコ【攻撃の型・突風!!!】

俺の起死回生の一撃がオカマに直撃した。

ザコ「はぁ・・・はぁ・・・もう立たないよな?」

オカマ「立てないわよ?喋れはするけど」

ザコ「うお!びっくりさせんなよ!」

オカマ「あらごめんなさい。安心していいわ、あなたの勝ちよ」

ザコ「それはわかってるよ。俺の完全勝利、お前は完敗、つまり俺の方が格上、お前は俺以下」

オカマ「そこまで言われるとイラッとするけど、まあその通りね」

ザコ「さて、勇者の前に新たなる敵とか出てこられても困るし、俺は行くぜ?」

オカマ「あら、動けるの?」

ザコ「いや死にかけだよ、意識朦朧としてるよ、両腕動かねえよ。どっちかというと回復目的だよ」

そう言うと俺は立ち上がり、大教会の中へと入っていった。

大教会の中は不自然なほど静かだった。魔法陣の上を避けて奥の階段へ向かう。

ザコ「ここか」

俺は階段を降りていった。正直もう死にそう、苦しい、早く回復したい。

ザコ(長えよこの階段。なんなの?俺を殺したいの?)

階段を降りると一本道真っ直ぐにが続いていた。これがまた長い。

ザコ(もうやだこの教会)

真っ直ぐに進んでいくと開けた場所に出た。

ザコ(やっと・・・見つけた・・・)

そこにはいた、満身創痍の勇者が、倒れている大司教や神聖騎士達が、頬を赤らめ勇者を見る僧侶さんと僧侶妹ちゃんが・・・

ザコ「あっ・・・」

俺は今日が勇者のハーレム創設記念日であることを察し、涙しながら意識を失った。

今日はこれで終わり。
ハート関連ばっかりだけどレスが多くて嬉しい。
ザコにメインヒロインなんてなかった。

病室で目覚めた俺の視界に最初に入ってきたのは僧侶さんだった。

どうやら俺は五日も寝ていたらしい。
その間に体の傷はほとんど回復していた。さすがは教会だらけの町だ。

僧侶「本当にありがとうございました。私達のために迷惑をおかけして」

ザコ「良いって良いって!頼まれたんなら断れないし!(勇者が)」

あの後、大司教達教会の幹部と神聖騎士団の一部の人間達は騎士団によって捕まった。
復讐者とその仲間にも、キメラは倒せたものの逃げられてしまったらしい。

ただ納得がいかないのは、大司教は復讐者にそそのかされた事になることだ。大陸同士の仲を保つためだと言われたが、悪人だからといってそういうことをして良いとは思えない。

勇者もそれには怒っていたようだが、それが変えられることはなかった。

次に聞かされたのは新しい仲間についてだった。

ザコ「え!?僧侶妹ちゃんが仲間に!?」

僧侶「そうです。私も誘われたのですが、この町を元の良い町へと戻さなくてはならないので」

ザコ「なるほど・・・」

勇者の奴め、幻の「両手に花」を実現させようとしていたのか・・・なんて奴だ!

ザコ(けど男三人のパーティに女の子が入って大丈夫なのだろうか。勇者パーティの姫、略して勇パーの姫とかになったりしないだろうか・・・)

その後、僧侶さんは俺にもう一度お礼を言うと病室から立ち去った。
俺は彼女の後ろ姿を見て思った。

ザコ(やっぱりハーレム反対!!!!!)

そしてそれから数十分後のことだった。勇者が駆け足でやって来た。

勇者「ザコ!!」

ザコ「っ!びっくりしたぞおい。病院なんだから静かにしろよ・・・」

勇者「あっごめん。それで、怪我は大丈夫なの?」

ザコ「ああ。二日後には退院できるってよ。さすが六の町なだけあるよな」

勇者「なら良かった・・・それで、話は聞いた?」

ザコ「おう。大司教達と復讐者達のその後と、僧侶妹ちゃんの話をな」

勇者「そっか。なら後は炎勇者さん達のことは?」

ザコ「あ、それは聞いてなかったな」

勇者「まず戦士は右腕が大変な状況だったけどなんとか治療できたみたいだよ。後遺症が残る可能性も奇跡的にないんだって」

ザコ(良かった。けどなんで戦士には仲間補正がかかってるの・・・?)

勇者「炎勇者さんと武闘家は軽傷、賢者は体の骨がバッキバキだったみたいでしばらくは入院するらしいよ」

ザコ(うわぁ・・・それはやだな)

勇者「それから、これからの予定なんだけど。とりあえずザコが退院した次の日には出ようと思うんだ」

ザコ「え?早くない?俺にスパルタすぎない?」

勇者「僕達としてはもう少しゆっくりしたいんだけど、今港町に向かってクラーケンが近づいてきているみたいなんだ」

ザコ「・・・え?」

クラーケン。巨大なタコのような姿をしていて、船を次々に沈めてきたため、人々から恐れられている。

クラーケンが近づいた港では、船を出さない決まりになっているため、勇者はクラーケンが港町の近くに着く前に船を出したいのだ。

ザコ「なるほどな。それなら納得だ」

勇者「ってことだから、それじゃあ僕は行くね」

ザコ「ああ。またな」

そう言って勇者は病室から出て行った。

竜王「ふむ、この時期にクラーケンが近づいてくるとは・・・勇者は中々の悪運の持ち主のようじゃのう」

ザコ「時期とかあんのか?」

竜王「そりゃあもちろんあるぞ。だいたいこの大陸にクラーケンが来るのは冬じゃからな」

ザコ「マジかよ、クラーケンと戦いたくなんてないぞ俺」

竜王「お主、全然知識がないくせになぜクラーケンの知識はあるのか?」

ザコ「おいおい知らないのかよ『船乗りタンゴと海の悪魔』を」

竜王「何じゃそれ」

ザコ「始まりの町じゃ有名なんだぞ!俺はこの話を何回も読んでるからクラーケンの怖さはわかってるつもりだ」

竜王「言っておくが、本のクラーケンと実物のクラーケンは比べものにならんからな?」

ザコ「わかってるよ。タンゴ率いる船乗り達を全滅させるほどだからな・・・」

竜王「ちょっと待て、死ぬのかタンゴ」

ザコ「ああ。手も足も出ずにな。初めて読んで以来、海が怖くて小さい頃は海が嫌いだったなぁ・・・」

竜王(最近の人間達の教育はどうなっているんじゃ・・・)

ザコ「まあクラーケンがどんなに恐ろしくてもお前がいるし大丈夫だろ」

竜王「お主、妾にばかり頼っていては強くなれんぞ」

ザコ「おいおい、魔王軍との戦いが終わるまでは一緒なんだし大丈夫だろ」

竜王「む、むぅ・・・」

ザコ(あ、困った顔をしてらっしゃる)

ザコ「まあ俺だって強くなれる機会がやってきたんだ。お前にできるだけ頼らないようにやれるだけのことはやるよ」

竜王「それならいいのじゃが・・・」

正直、この時の俺は魔王軍と戦うということを、軽く見ていたと思う。
だから、この時の俺は思ってもいなかった。









竜王との別れの日が、すぐそこまで迫っているということを・・・







クラーケン・・・
イカ固定ではないんですよね。タコのものもあるし。

ってことで今日はここまでです。
すぐそこまで迫っていると書いてあるものの、だいたいその場その場で書いてるのでどうなるかはわかりません・・・
まあ、長めのすぐだと思ってください・・・

俺が退院し、ついに町を出ることになった。

勇者「それじゃあ、僕達は行くよ」

賢者「勇者様!また会えますよね!?ね!?」

ザコ(ホモ必死すぎ)

勇者「ああ。旅をしてればきっと会えるよ」

戦士「今度会う時は必ずお前より強くなるからな!」

武闘家「ああ。望むところだ」

僧侶妹「炎勇者様、本当にありがとうございました」

炎勇者「礼はもう散々聞いたさ。君も旅を楽しんでくれ」

僧侶妹「はい!」

戦士と賢者の傷の治療のため、炎勇者達はこの町に残ることになった。なので炎勇者達とはここでお別れだ。

炎勇者「では、またな」

戦士「またな!」

賢者「また会いましょうね!!!また!!!また!!!」

ザコ(ホモ必死すぎ)

勇者「うん!またね」

こうして俺達は炎勇者達と別れた。短い間とはいえ、共に戦った仲間だ。寂しくないといえば嘘になる。

ザコ(また会おうぜ。炎勇者、戦士、ホモ賢)

勇者「それじゃあ、僕達はもう行こうか」

ザコ「おう」

この時、俺はあいつの歪んだ感情を理解できていなかった。もし理解できていれば、ああはならなかったのだろうか・・・

俺たちが六の町を出る時には、たくさんの人達が集まっていた。

仲間である俺たちもそれなりの人気が出てきたようで、武闘家にも黄色い声援が飛んでいる。

<ユウシャサマー!

<ブトウカサマ!コッチムイテー!

<ソウリョイモウトー!ガンバレヨー!

<ユウシャサマ!アリガトウゴザイマシタ!

<ウオーン!ソウリョイモウトチャーン!!

ザコ(あれ・・・?)

声援を聞いていると、俺はある違和感を覚えた。

ザコ「俺のファンは・・・?」

勇者「き、きっとシャイな人達ばかりなんだよ。うん、そう、きっとそう」

ザコ「良いよ・・・結局俺のファンなんていないんだよ!」

「ザコくーん!!!」

ザコ「俺のファ...いや待てこの声は・・・」

オカマ「もう行ってしまうのね?」

ザコ「なんでてめえがいるんだよ!」

オカマ「私はあくまで大司教達に洗脳された人間の一人。しばらくはこの町から出れないけれど、牢獄に入れられることはなかったわ」

ザコ「えぇ・・・この際捕まれよ」

オカマ「うふっ、私を捕まえられるのは、あ・な・た・だ・け」

ザコ「・・・」ゾクッ

ザコ「お、俺行くからぁ!!」

勇者「えっと・・・良かったね」

ザコ「良くねえよ!!!」

武闘家「お前のことをわかってくれる奴がいつかは現れるさ」

ザコ「武闘家・・・」

なんだか武闘家のおかげで元気が出てきた気がする。

勇者「好きになってくれる人か・・・僕にもできるかな?」

ザコ「は?」

勇者「え?」

ザコ「お前、鈍感系なのかよ・・・」

勇者「???」

ザコ「お前のことを好きな奴はいるんじゃないか!?案外身近に」

勇者「うーん、僧侶妹は別に僕のこと好きじゃないよね?」

僧侶妹「は、はい...///」

勇者「ほら、ね?」

ザコ【雑魚の刻印!!!!!!!!】

勇者「ぐあっ」

俺は最近流行りの鈍感系主人公に一撃お見舞いしてやった。

勇者「うぐっ、地味に痛い」

ザコ「天然たらしが!!!」

勇者「ええ!?」

そうして俺達は六の町を出発した。
何回かの魔物との戦闘を終え、進んでいくとすぐ分かれ道へとたどり着く。

ここから真っ直ぐ行くと九の町、右左に曲がると七の町だ。
クラーケンが近づいているらしいから、少し急がないといけないな。

勇者「よし、じゃあ行こう!」

ザコ「おう!」

武闘家「ああ」

僧侶妹「行きましょう!」

俺達は進み始めた。未来への淡い期待を持ちながら、ただ前へ前へ。
この先起こることなんて、何も知らずに。

とりあえず六の町編終了ですね。見返してみるとそれなりに長い。スレの残りも少ないので駆け足気味になるかと・・・
そういえば、旅立ってからどれくらい経ったのか把握してない。やばい・・・今何月だよ・・・

六の町を出て二日経過。女の子が仲間に加わってドッキドキっス。

虎型魔獣「ニャー」

ザコ「おお・・・見た目とのギャップ凄えなおい」

武闘家「まあ、油断しないでいこう」

現在の戦い方は、前衛が武闘家、中衛が勇者、後衛が俺と僧侶妹といった感じ。

武闘家が率先して攻撃し、勇者は呪文で攻撃しつつ前衛に出たりする。そして後ろから僧侶妹が回復し、それを俺が護衛する。

俺暇じゃないんですかね、とか思うんだが、案外来るので焦る・・・

そうこうしているうちに武闘家が虎型魔獣を倒した。魔獣なので剥ぎ取らなければならない。

そこで俺様参上!華麗に剥ぎ取っていく。

正直これくらいしないと役に立ってる気がしない。マジで。

俺はナイフを取り出し、ギルドで換金できる部分を慎重にとっていく。

ザコ「よし、終わったぞ」

今回は特に収穫なし、残念。

勇者「そろそろ日が暮れるね」

すでに太陽が落ちかけ、暗くなり始めている。少し準備を始めるのが遅れたけど、これくらいなら問題無い。
すぐにテントの準備を終えた。

さすがに男三人のテントに女の子が入ったらいろんな意味でやばいのでテントは二つご用意。

夕食を食べたら特にやることは無い、
風呂?水魔法使えば脱がなくてもあら不思議!溢れ出る清潔感!

ザコ(何だよ、水場行けよ、あっ!見ちゃった!みたいな展開こいよ。マジで)

俺の願いむなしく無事夜は明けた。
そして、七の町に到着だ。

ザコ(正直七の町には何もありません。挙げるなら酒場が多いくらい。なので各々装備を直してそれで終わり)

それじゃあ暇なので町をぶらぶらと回ることにする。

僧侶妹「ザコ君!」

ザコ(お?お?)

僧侶妹「私もついていっていいかな?」

ザコ(はい、このSS恒例の口調変化。みんなはもう慣れたかな?いやまあ今回の場合は、僧侶としてではなく仲間として的な感じで理由はあるんですけどね、ええ、はい)

ザコ「いいけど、別に目的なんか無いぞ?」

僧侶妹「うん、それはわかってるんだけど。初めての旅だから、いろいろ見ておきたくて」

ザコ「そっか、ならちゃんと周りに注意しとけよ?ククッとか変な笑い方する奴に捕まったりしたら助けられないし」

ザコ(もうね、最高っすよ。これはメインヒロインっすよ。まあ僧侶妹が好きなのは勇者なんですけどね!!)

と、二人で町を歩いていると酒場が目に入った。俺みたいな奴にはまだはやいね。

ザコ(・・・?)

その時俺は、異変に気付いた。得体の知れない恐怖を感じ、俺は僧侶妹と物陰に隠れる。

僧侶妹「ざ、ザコ君!?」

ザコ「静かに」

そう俺が促すと僧侶妹も口を閉じて酒場の様子を伺う。
そして数秒後、あられる人影。ニタニタ笑いながら酒場から出てきたそいつは、男の生首を両手で抱えていた。

ザコ「!」

そのままそいつは闇の中へと消えていった。俺も僧侶妹も、数秒の間呆然としてしまった。

僧侶妹「ザコ君!」

僧侶妹に声をかけられ、我に返った俺は、今しなければいけないことは何かを考えた。

ザコ(正直あれ見た後だと可能性は薄いけど・・・)

ザコ「僧侶妹ちゃんは酒場に行って、助けられそうな奴がいるか見てきてくれ。中は酷いことになってると思うけど、やれるなら回復を。俺はあいつが戻ってこないか見張ってるから」

僧侶妹「う、うん」

俺の説明を聞いた僧侶妹はすぐに酒場の中へと入っていった。想像はつく、恐らく酷い惨状になっていることだろう。

だが彼女はすぐに出てこなかった。助けられそうな人に回復魔法をかけているのか・・・ちょっと凄いな。俺ならきっと失禁するから。

感心していると、遠くから足音が聞こえてきた。さっきのやつの音と似ている。早く逃げて、警備隊でも呼ばないと。

俺は僧侶妹にそのことを伝えるため、すぐに酒場へと入った。
まず視界に入ってきたのは、一面赤に染まった床。そしてテーブルの上に乗せられた生首。

ザコ「え・・・あ・・・ぎゃああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

失禁はしなかったが、失態はおかしてしまった。

今日はここまで。見返すと少しは文章力も上がった・・・のでしょうか?
全て終わったら後付けのところを整理して、自己満の完全版でも書きたいですね。

ザコ(やべぇやっちまった!)

ザコ「僧侶妹!は、早く逃げよう!」

僧侶妹「けどまだこの人が・・・」

男「いや、俺はいいから・・・早く逃げるんだ・・・」

男の傷はまだ治りきっていない。ここで俺達が逃げれば確実に助からないだろう。ただ、俺達が残ったところであいつに勝てる保証も無い。

ザコ(勇者なら、勇者ならどうする?見捨てるか?いや、あいつなら・・・)

あいつならきっと、見捨てるようなことはしない。

ザコ「僧侶妹は回復を続けろ!」

僧侶妹「は、はい!それで、ザコ君は?」

ザコ「俺はあいつと戦ってくる。僧侶妹は、回復が終わり次第すぐにここから離れて警備隊を呼んでくれ!」

僧侶妹「はい!」

僧侶妹にそう指示した俺は酒場の外へと出る。奴もちょうど到着したらしい。それにしても、死というものを間近で見たからか、今までより恐怖心が強い。

ザコ(マジで怖え。けど、勇者の仲間として、やらなきゃダメなんだよな)

ザコ《15%》「さあ来いよ!」

俺は恐怖心を押し殺してそう言った。

???「・・・?魔物の匂い」

ザコ《15%》「へ?」

???「アハッ、なるほど。契約者なんだ」

ザコ《15%》「だ、だったらなんだよ」

???「だったら・・・面白いし、僕のコレクションに加えようかな」

ザコ《15%》(コ、コレクション?って嫌な予感が・・・)

???「だからその首、掻っ切っちゃうことにするよ」ニコッ

ザコ《15%》「ほらやっぱり!!!思った通りだ!!」

奴は二本のナイフを取り出した。そのナイフは、血で濡れている。

ザコ《15%》「ひっ・・・」

竜王「臆するな、来るぞ!」

ザコ《15%》「りょ、了か...」

恐怖心に負けないように、気持ちを切り替えようと前を見た時、奴はすでに俺の目の前にいた。

???「良い首。斬りがいがありそう」

ザコ《15%》「!!!」

ザコ《15%》【バーストswavrmp!!!】

バーストスマッシュを発動したのだが、驚きすぎて変な声になってしまった。後あいつ・・・

ザコ《15%》(女だったのかよ!)

ちょっと内心ドキドキしてる自分がいる。

???「あぁ!凄くドキドキするしワクワクする!君は首を斬られた時どんな顔をするのか、凄く気になるよ!」

ザコ《15%》「そんなことに興味を持って欲しくないんだけどな!『炎火!!!』」

???「炎呪文か・・・面白いから嫌いじゃないよ」

そう言った奴は炎を簡単にかわし、真正面からこちらへと向かってきた。

ザコ《15%》「さすがに舐め過ぎてるぞ!【防御の型・火炎!】」

奴の攻撃をそらしてから、一撃を加える。

???「ぐっ・・・!アハッ、その技面白いね!」

ザコ《15%》「そりゃどうも!」

奴は一度俺から離れ、体勢を調える。

???「なら、これならどう?」

そう言ってまた奴はこちらへと向かってきた。正面からの攻撃は効かないとわかったはずなのに・・・

ザコ《15%》「来い!!」

俺にある程度近づいた奴は、俺に向かって思いっきり跳んだ。もちろん、真正面からなら充分逸らすことができる。

ザコ《15%》【防御の型・火え...】

が、そう甘くはなかった。奴の跳ぶ方向が、空中で突然変わったのだ。

ザコ《15%》「!?」

奴は俺の真横を通り、すれ違いざまに俺の横腹を切り裂いた。

ザコ《15%》「痛っ・・・!」

???「んー、ちょっと浅かったかな?」

ザコ《15%》「うっ、はぁ・・・はぁ・・・」

斬られたことがきっかけで、押さえ込んでいた恐怖心が一気に押し寄せてきた。

???「あ・・・良いよその顔!もっと、もっと見せて?」ゾクゾク

今日はこれで終わり。
展開早くしすぎた問題発生中。

ザコ《15%》「うぅ……」

ザコ《15%》(怖い怖い怖い怖い怖い!!!)

???「アハッ、安心して?すぐに終わらせてあげるから!!!」ダッ

ザコ《15%》(動かなきゃ、動かなきゃ死ぬ。けど……)

???「首、頂き」

奴の持つナイフが、俺の首へと近づいてくる。俺は、奴に首を切り落とされた。と、思ったのだが。

ザコ(生きてる……?)

俺の目の前では、黒髪の少女が奴の攻撃を防いでいる。

ザコ「竜王……」

竜王「ザコ!怯えるのは勝手じゃが、それで死ぬのは許さんぞ!!」

???「何……こいつ……!」グググッ

奴は竜王の力に押されている。なんとか姿勢を維持するのに必死な状態だ。竜王はそこから一歩下がり、奴の重心が前に偏ったところで……

竜王【竜の刻印】

一撃を叩き込んだ。

???「っ!かはっ……!」

奴は悶え、後ずさりする。

ザコ「ごめん、それからありがとう。竜王」

竜王「ふんっ!お主にはまだまだ戦ってもらわんと困るからのう」

ザコ「なんだかちょっと酷いな……」

けど、気づけば俺の中の恐怖心は消えてしまっていた。

ザコ(よし、落ち着いてる。もうビビらねえ)

ザコ《15%》「さあ、再開しようぜ!」

???「怯えたと思ったらすぐ元気出して、せっかくいい顔してたのに。イライラする」

ザコ《15%》「へへっ!ムカつきたきゃムカついとけよ!この首刈り女!!!」

???「何そのあだ名……まあいいや。どれだけ希望を持ったって、全部潰せばまた見られるよね」

ザコ《15%》(怖いこと言うけど、集中だ集中!)

ザコ《15%》(まずはあの、空中移動の謎を解かないとな)

ザコ《15%》「さあ来いや!!」

???「なら遠慮なく!」ダッ

奴は、真正面から俺の方に向かってきた。が、油断はできない。

???【~~~~~】

奴が何かを言った瞬間。突然進む方向が変わった。

ザコ《15%》「!」

だが、動きが変わるのは予想済み。

ザコ《15%》「そこだ!【防御の型・水流!!】」

首を狙いに来た奴の攻撃を、ギリギリのところで逸らした。予測済みでギリギリ。実力の差を痛感する。

???「!」

ザコ《15%》【攻撃の型・ボーンクラッシュ!】

ボーンクラッシュは、相手の骨を一撃で粉砕する特技だ。相手の行動を制限することができる。
その一撃を、足めがけて振り下ろした。のだが……

???「まだまだ甘いね」

また、空中で突如別方向に移動し、俺の攻撃をかわした。

ザコ《15%》「!」

そのまま腹部に蹴りを入れられ、痛みで膝を着く。この時点で、俺は既に理解していた。

???「アハッ、首がガラ空き……」

ザコ《15%》「空けてんだよ!【プラントラップⅡ!!】」

???「!?」

空中移動のからくりを。

???「なっ……!」

壁と壁の間に張ったツルが腕に引っかかり、奴は俺に攻撃できないでいた。

ザコ《15%》「へへっ、俺は目だけは良いんだ。だからお前の空中移動のタネも、全てわかった!」

奴が空中で移動する方向を変えられた理由。それは……

ザコ《15%》「糸だ。お前は糸を使うことで移動する方向を変えたんだ」

???「…………!」

ザコ《15%》「暗さと細さでわかりにくいけど。壁と壁の間に糸を張ってそれを足場にしたんだ」

ザコ《15%》「正直、あんな細いのを足場にできるのは凄いよ」

???「……アハッ、アハハハハッ!まさか初見でからくりがわかるなんて。凄いよ」

???「……あっ、褒めても刈るのをやめたりしないからね?」

ザコ《15%》「やっぱりか……」

ザコ《15%》「で、俺もツルを使ってお前の技を再現させてもらったぜ」

ザコ《15%》「まあ、足場として使うなんてキチガイじみた技は使えないけど、トラップとしては十分に使えるよ」

???「へぇ……アハッ!面白いや、ほんと」

ザコ《15%》「フッ、俺が相手なのが悪かったな。これに懲りたらもう殺しなんてやめろ」ドヤァ!!

俺がそう言うと、少し間を置いて奴は言った。

???「それは無理だよ!僕は今凄くワクワクしてるんだ。だから、もっともっと楽しませ...」

<アノムコウデス!

<アッチカ!イソゲ!

???「!」

ザコ《15%》「へへっ、どうやら時間切れみたいだな」

ザコ《15%》「さすがに警備隊に囲まれたらお前も勝てないだろ?」

???「確かにそうだけど……不完全燃焼のままじゃ終われない」

ザコ《15%》「え?」

???「君の首、刈りたいの。刈りとらずにはいられないの!!」ダッ

ザコ《15%》「っ!しまっ……」

完全に油断していた。
かわすことも、完全防御を発動することも間に合わなくて……どんどん首にナイフが近づいてきて……俺は死を覚悟した。

僧侶妹「だ、駄目!」ヴンッ!

???「!?」

のだが……
気付けば、奴は僧侶妹によって吹き飛ばされてしまっていた。

ザコ「へ?」

僧侶妹は、自分の体の二倍はありそうな巨大なハンマーで奴を吹き飛ばしたのだ。

ザコ(°Д° )

僧侶妹「あ、あの、これは違うの!ハンマーの力で、見た目ほど重くなくて……」

僧侶妹「それに、精霊の加護の力だし、竜化したザコ君ほどの力も出ないから!」

ザコ(そういう問題なのだろうか)

と、僧侶妹の見た目からは想像もできない力に驚愕しつつも、奴が吹き飛ばされた方を見る。

???「アハッ、無駄に目の良い契約者に、無駄に力の強い僧侶……面白い、面白いよ!!!その首、すごく欲しい!!」

結構なダメージをくらったはずなのに、倒れる様子はなかった。

???「けど、今回は重傷だから断念するしか無いか……」

???「次は刈るからね、その首。仲間のと一緒に」

ザコ「あ、待て!」

そう言って奴はその場から逃げ去った。
一見すれば俺たちの勝ち。しかし、逃げられたことと、標的だと認識されたことに、俺は一抹の不安を感じていた。

今日はこれで終わり。
凄くザコが雑魚じゃないけど、あくまで竜化したザコだからセーフだよね。

トリップの微妙な違いを忘れてしまっている……
合ってるかな?

その後、簡単な事情聴取を受け、騒動は終わった。

ザコ「首狩りか……」

どうやら奴は、かなり有名な犯罪者の一人らしい。実力のある奴を襲っては首を切断し持ち去っていくんだそうだ。

ザコ「それにしても」チラッ

僧侶妹「!」

ザコ「まさか僧侶妹があんなに強かったとはなぁ」

僧侶妹「あ、あれは見た目よりも軽いから...///」

ザコ「そんなに恥ずかしがらなくても……」

僧侶妹は顔を赤くさせている。あのハンマーが見た目よりも軽いのは自分で持ってみたし、説明もされたからわかっているのだが……

僧侶妹「……」

騒動が終わってからずっとこの調子。だけどこのままなのはごめんだ。

ちなみに、あのハンマーは魔鎚ビモールと言うらしい。THE・安易なネーミング。

鋼属性の加護を受けているので、大きさを自由に変えられる。最小で小指くらいの大きさ。最大は家一つ分。

重さは確かに変化するものの、首狩りを吹き飛ばしたあのサイズは僧侶妹でも持てる重さだ。
と言っても、女の子がハンマーを持てる時点でおかしいのだが……

ザコ「加護のおかげで力が上がってるのも、魔鎚が軽いのもわかってるから、恥ずかしがる必要はないぞ?」

僧侶妹「ほ、本当?」

ザコ「本当本当。マジで本当」

これで気まずくなることは無い、と思う。けど、俺には一つ不安がある。
僧侶妹にこれだけ力があるなら俺いらなくね?という不安が……

勇者「ザコ!僧侶妹!」

僧侶妹「ゆ、勇者様!」

騒動を聞きつけた勇者達がやってきた。

武闘家「首狩りに襲われたと聞いたが、大丈夫だったのか?」

ザコ「ああ、まあなんとか」

勇者「良かった。本当に心配したんだよ?」

ザコ「そこまで心配するほどなのか?」

ザコ(確かに首狩りは強かったが、俺でもそれなりに良い勝負ができたくらいだ。勇者がそこまで心配するほどとは思えない)

勇者「そりゃあ心配するよ。だって首狩りは、魔眼持ちだから」

ザコ「……魔眼?」

俺たちは宿屋に戻り、俺は勇者から魔眼なるものの説明を受けることになった。

〈勇者先生が教える、魔眼講座!〉

ザコ(くそ、ちょっと慣れてる自分がいる……)

勇者先生「魔眼っていうのは魔力を注ぎ込むことで効果を発揮する特殊な目のことなんだ」

ザコ「何それかっこいい!!!」

勇者先生「す、凄い食いつくね……魔眼はごく一部の人間しか持っていないんだけど、魔眼の手に入れ方は先天性と後天性の二種類が確認されてる」

ザコ(じゃあ俺にもチャンスがあるわけか)

勇者先生「生まれた時から持ってるか、何らかの原因で手に入れるかだね」

勇者先生「後天性の人は、全員強い感情に包まれた結果魔眼を手に入れたらしいよ」

ザコ「強い感情……か」

勇者先生「次に魔眼の種類だけど。大きく分けると三種類あるんだ」

ザコ「たった三つ?魔眼って言うくらいだから属性分あるわけじゃ無いのか」

勇者先生「魔力を注ぎ込むことで発動するから魔眼って呼ばれてるだけだからね」

ザコ(なるほど)

勇者先生「それで種類だけど、魔力を見ることができる青の魔眼、力を見ることができる赤の魔眼」

勇者先生「見えざるものが見えるようになる緑の魔眼、この三つだよ」

ザコ「それだけ聞くと緑がよくわからないな」

勇者先生「緑はえーっと……そうだ。例えば透視だったり、千里眼とか!」

ザコ(透視!?千里眼!?)ガタッ

勇者先生「ど、どうかした?」

ザコ「いや、なんでもない」

ザコ「そういえば、勇者は魔眼持ってたりすんの?」

勇者先生「いや、僕は持ってないよ」

ザコ「またまた~!そんなこと言って実は持ってるみたいな感じなんでしょう?」

勇者先生「だから持ってないよ!」

ザコ「おおぅ、そうか」

勇者先生「話を戻すよ。最初に大きく分けてって言ったけど、それは稀に複合型がいるからなんだ」

ザコ「ほほう、複合型……」

勇者先生「つまり、赤と青の力を併せ持ってたりするんだよ」

ザコ「うわ何そのチート。嫌い!嫌いだわそれ!」

勇者先生「赤と青を合わせた紫の魔眼、青と緑を合わせた空色の魔眼、そして緑と赤を合わせた黄色の魔眼。この三つだね」

ザコ「あれ、三つ合わせたのは無いのか?」

勇者先生「それは無いよ。確認されてるのは2つの複合型のみ」

ザコ「へぇ、なるほど。そういや首狩りの魔眼は何色なんだ?」

勇者先生「首狩りは紫だよ。ザコとの戦いのときに使わなかったのは、恐らくすでに大量の魔力を消費していたからだと思う」

勇者先生「複合型はそれだけ魔力の消費が激しいらしいからね」

ザコ(そう考えると、俺って運が良いんだなぁ……)

今日もまた、俺の世間知らずさを痛感することになった。急いでいるので明日にはこの町を出る。はたして間に合うのだろうか……

こんなに間が空いたのは初めてじゃないだろうか。
間が空いたからって、量が多いわけではないのです……
はい言い訳です。本当にすみません。

ザコ「はぁ……ワタモン……」

村長「そうでございます。この村の近くの森に繁殖しておりまして」

俺達は弐の村へやってきて早々、森の魔物を討伐してくれと言われた。

どんな恐ろしい魔物なのかと身構えたが、名前から見て強そうには聞こえない。

勇者「ワタモンは綿毛みたいな形をした魔物だよ。触れるとあまりの触り心地の良さにずっと触りたくなっちゃうんだ」

ザコ「それはちょっと触ってみたいな」

勇者「けど、触ることに集中して他のことをやらなくなっていって、誰かの助けがなきゃ死んじゃうとか」

ザコ「や、やっぱりいいや」

勇者「よし!僕たちに任せてください!」

村長「ありがとうございます……!」

僧侶妹「ワタモンは一度触ると触ったワタモンを倒さないと治らないから気をつけないと……」

武闘家「常に周りを気にしないといけないのは精神的に来るものがあるだろう。勇者、覚悟しておいたほうが良い」

勇者「わかってるよ。さあ、行こう!」

そうして俺達は森へと入っていく。
でもまあ、大丈夫だろ。

しばらく奥へ進むと、魔物の気配を感じるようになった。

武闘家「近くにいるな」

勇者「実際見るのは初めてだからなんだかわくわくするね」

ザコ「お前さっきわかってるって言ってたじゃねえか!」

勇者「そりゃあそうだけど……可愛いって聞くし、どんなのかなって思っちゃうじゃん」

ザコ「気持ちはわかる」

その時、近くの茂みがガサゴソと動き出した。

ザコ「!」

勇者「皆下がって!」

勇者の指示に従い、茂みから離れた。

勇者(いつでも来い!)

茂みの潜む何かは、少しずつ、少しずつこちらへと近づいてくる。

ザコ(いったいどんな姿なんだ?)

そしてついに、姿を現わした!!!

勇者「!」

ザコ「!」

武闘家「!」

僧侶妹「!」

ワタモン「モフゥ!」

現れたそいつは、話に聞いていた通り綿のような姿をしていて、ギュッと抱きしめるのに適した丁度良い大きさをしていた。

ザコ「……」

ザコ「めっちゃかわええ!!!」

まーた長いわりに短かったりする。
てか保守とかキターとか初めて書かれた。嬉しい。

ザコ「あぁ……触り心地良さそうな見た目してるなぁ。防護服さえ無けりゃ触れるのに……」

防護服とは言ったが、別に魔法に対する耐性があるとか、そんな特殊な物ってわけじゃない。ただ直接触らないための簡素な物だ。

勇者「着てなくても触っちゃダメでしょ」

ザコ「いやまあ、そうだけど」

ワタモンは先程からずっと俺に擦り寄っている。こんなに可愛いのに直接触れないなんて……

ワタモン「モフゥ……」

ザコ(そんな悲しそうな顔はやめてくれ!)

心の中でそう叫ぶが、意味は無い。どれだけ可愛くても、この魔物が敵なのは事実で、この魔物は人を殺したことだってあるのだ。倒すしか無い。

ザコ「仕方ないか……よし!やるぞ!」

俺がそう決心したのと同じ時。いくら触れても効果が無いと判断したワタモンは、『口』を大きく開き、鋭い『牙』で俺へと噛み付いた。

あくまで触れないための防護服は、その牙にはなんの意味もなさなかった。右腕にその牙が突き刺さり、激痛が走った。

ザコ「いって!!!痛え!!!」

その痛みから逃れようと、右腕を振り回すが、ワタモンは噛み付いたままだ。

勇者「ザコ!腕を動かさないで!」

ザコ「りょ、了解!」

剣を鞘から抜き、俺の腕の少し上を一閃。右腕に噛み付いていた魔物を真っ二つにした。

ワタモン「モフ...」

最後に悲しそうな声を出し、ワタモンは消滅した。が、今は痛みのせいで感情移入はしていられない。

僧侶妹『ヒール!』

回復魔法により、右腕の傷が塞がっていき、流れた血も止まっていく。
付いていた血を拭き取れば、すっかり傷は治っていた。この世に回復魔法があって良かったと、心から思った。

ザコ(やっぱり油断は禁物……)

右腕を見ると噛まれた部分の防護服が破かれている。場合によっては毛が触れていただろう。今回は運が良かっただけだ。俺は二度と油断しないと誓った。

武闘家「まさかあんな風に攻撃してくるとはな」

勇者「あれは予想外だったね」

ザコ「凄く痛かった……」

さっきの痛みを思い出すとちょっと泣きそうになる。キメラにぶん殴られたりするのとは別の痛さだ、耐えられない系の痛さだ、そして俺が嫌いなタイプだ。

武闘家「回復魔法で治せるレベルだから大丈夫か……だが、防護服を破かれるのは面倒だな」

俺の右腕を見ながら武闘家はそう言った。ワタモンが噛み付くのは最終手段のようだった。触れることができるなら、そっちを優先してくるだろう。

ザコ「けど、そんなに数も多くなさそうだな。わざわざ一体で出てくるくらいだし」

勇者「まだそう判断するのは早いよ……って、僧侶妹?どうかしたの?」

僧侶妹「あの……勇者様……あれ……」

勇者「え?」

僧侶妹が指を指す方向を見た。

一瞬、あんなに白い木なんてあったっけ?と思った。あれだけ他と色が違うなら、気づいているはずだからだ。
けど、目を凝らして見ると、あれがただの木ではないことがわかった。

ザコ「あ、あれって……」

ワタモンA「モフゥ!」

ワタモンB「モフゥ!」

ワタモンC「モフゥ!」

ワタモンD「モフゥ!」

ワタモンE~Z「「「「「モフゥ!!!!!」」」」」

白い木があるのではない、木を覆い尽くすほどのワタモンがいたのだ。

ザコ「ぎ……ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

あまりの恐ろしさに、俺は大声で叫んでしまった。そして、その声に反応したかのように、大量のワタモンが一斉にこちらへと進み出した。

勇者「敵の数は多いけど、離れたら危険だ!ここは固まって……」

そう言って振り返るが、後ろには武闘家と僧侶妹しかいない。

勇者「あれ!?ザコ!?」

武闘家「今はザコは気にするな!そ前を見ろ!」

武闘家にそう言われ前を見る。ザコに気を取られて接近を許してしまった。これはまずい。触れられるのは問題無いが、この数に噛まれるのは危険だ。

勇者「武闘家!」

武闘家「わかってるさ……」

武闘家【突風起こし!】

相手は綿だ、だからそれだけ軽い。風さえ起こせば簡単に飛んでいく。

ワタモン「モフゥ……!」

本当なら森の外まで飛ぶことを期待したが、木をうまく使い風を凌ぎきられた。だが、時間は稼げた。

勇者「一旦引こう!ザコを探さないと!」

あまりの恐ろしさに走って逃げてしまった。そのせいで完全にはぐれてしまった。腕のところが破れているので、そこを狙われるから噛まれることはない。それはわかっていても、それでも怖いものは怖い。

ザコ「あー、ほんと刺されたり噛まれたり斬られたりはやだなぁ」

竜王「……別のことを考えて逃げるでない」

ザコ「竜王、起きてたのか」

竜王「ついさっきじゃがな」

竜王を見て思い出した。炎魔法で一気に燃やしてやれば良いんじゃないだろうか。いかにも燃えそうな見た目してるし。

竜王「炎魔法は使えないぞ。ここは森じゃ、使えば大惨事になるのはわかるじゃろう?武術大会の時のように、武の国がなんとかしてくれるわけではないしのう」

ザコ「さりげなく心を読むのやめてくれよ……」

竜王「読んだのではない。お主の考えそうなことを言っただけじゃ」

それはそれだけ理解して貰っていると喜ぶべきなのか、簡単に考えることを予測される馬鹿さを嘆くべきなのか……

ザコ「まあ、はぐれたなら仕方ねえか。合流目指しつつ、親玉を探そう」

ワタモンについての説明は事前に受けてある。本来ワタモンは、一匹の巨大なワタモンだ。それが小さなワタモンを作ることで、群れを作っている。小さなワタモンを倒したところでイタチごっこだが、逆に生み出している方を倒せばそれで終わりだ。

ザコ「って言っても、そう簡単に見つかるとは思えないよなぁ」

わざわざ自分が出向かなくても、小さいワタモンに戦わせていればいつかは勝てる。こんなに簡単な仕事は無いだろう。

竜王「だが、見つけるためのコツはあるぞ」

ザコ「え!?」

竜王「自分が倒されれば終わり、なら、自分の周りのガードは固いはずじゃ」

なんとも単純なことを言われた。けど、その単純なことが俺には思い浮かばなかった。悔しい、言われた相手がロリだから尚更悔しい。

ザコ「ならワタモンの多いところを攻めれば良いってことか」

どうやら、なんの危険もなく倒すってことはできないらしい。

もうちょっと待ってと言っときながら、お久しぶりと言える期間空いてしまった……ポケモンの魔力は凄い。

ワタモンA「モフゥ!」

ワタモンB「モフゥ……」

ザコ「いた……!」

群れを見つけるのは案外簡単だった。
はぐれた時に一度群れを見つけていたからだ。あとはその近くを探せば良いだけだった。

ザコ「この群れの向こうに本体がいるかもしれないってわけか」

竜王「ふむ……これはやはり合流を目指す方が先じゃな。お主の力では突破できんじゃろう」

酷いけど言ってることは合ってる。
たとえ竜化しても、あの数には無力だ。

ザコ「そうだな。あいつらにバレないように……慎重に……」

ワタモン「モフゥ!」スリスリ

竜王「あっ」

ザコ「えっ」

勇者「ザコ……どこまで行ったんだろ……」

あれから一時間、探しているが見つからない。できるだけ群れから離れるように行動してるため、今のところ危険はない。

武闘家「時間に余裕があるが、日が暮れる前に見つけなければな」

僧侶妹「ザコ君、右腕のところが破かれてるから、一番危険なのに……」

勇者(早く見つけないと……)

もしかして群れに近い方にいるのでは?一度森の外に出てるのでは?そんな考えが浮かぶが、その答えを知っている者はいない。

僧侶妹「一度戻ってみますか?」

一応印を付けながら歩いてきたため、戻ることはできる。だが、戻れば群れが近い。確証が無いのに危険なところへ行くのは、良い判断とは言えない。

勇者(けど、仮にザコが群れに近い方にいるなら。このままじゃ絶対会えないな……)

決断する必要がある。このまま進むか、一度戻るか。

結局戻るほうを選んだ。万が一のことがあっても、武闘家の力があれば大丈夫だと判断したからだ。そして……

勇者「いた!!!」

ザコ「もふもふ!」

結果として、戻ってきたのは正解だった。群れから少し離れたところでザコを発見することができた。だが、様子がおかしい。

ザコ「もふもふ!」

防護服を脱ぎ捨て、複数のワタモンに囲まれている。 どうやら触られてしまったらしい。だがザコは催眠魔法を解除する腕輪を付けている。お揃いのやつだ。しばらくワタモンに触れさせなければ、催眠が解かれるはずだ。

武闘家「とりあえず、ここにいるワタモンを全部倒してしまおう」

おそらく、ザコに触れたワタモンは、ここにいるのが全てではないだろう。これは長期戦になりそうだ。

今日はここまで。
このSSは……!早さが命……!書くのが下手なのを早さで補う……!

正直、長期戦は避けたかった。今は油断さえしなければ大丈夫だが、戦いが長引くほど疲労していき、隙が生まれる。それに、何日も留まるわけにもいかない。僕達には時間がない。

勇者(今までみたいに一匹一匹を狙ってちゃ、いつまでたってもザコにかかった洗脳は解けない……だったら危険を承知で群れを狙うしかない)

ザコ「もふぅ……」

勇者(確かに危険を冒さなくても、時間が経てば治ることには治る。けど、それだけ時間がかかる。一度なら良いかもしれないけど、この先また触れないと決まったわけじゃない)

勇者(もう一つは、できるだけ避けたい。そして勇者として、一度引き受けた依頼をやめることなんてできない。時間も無い。だったら決まってる)

武闘家「勇者、やる気だな?」

勇者「うん」

ザコ「もふ……もふ……?」

ワタモン達をもふもふしてたら、気づけば勇者達がいた。もふもふ。なんか話してるみたいだけど、正直今の俺にはワタモン以外どうでも良い。もふもふ。

竜王「もふ……もふなのじゃ……」

そういえば竜王もワタモンをもふもふしている。もふもふ。契約により繋がっているからだろうか。もふもふ。

勇者達が動き出した。もふもふ。風によって誘導し、水の壁で動きを阻み、最後に巨大化させたハンマーで……

ザコ「もふ……もふ……!」

ワタモン達は、迫り来る死に抵抗することもできず、泣いているだけだ。もふもふ。いや、実際には泣いてるわけじゃないが、俺にはわかる、ワタモンは泣いている。もふもふ。許せないもふ……ワタモンに害を与える者は、たとえ仲間であっても許せない!もふもふ!!!

竜王「もふもふじゃ!」

ザコ「もふっ!」コクッ

俺は勇者達の方へ向かい走り出した。もふもふ。竜化し、全力でワタモンを守る!!!もふもふ!!!

ザコ≪20%≫「もっふううううぅぅぅぅぅ!!!!!」

勇者「!?」

僕の建てた作戦はほぼ上手くいった。武闘家が風を起こすことで、ワタモン達を一箇所に集め、僕の水魔法で壁を作ることで、逃げられなくし、巨大化させた魔鎚で一気に倒す。

どこかで失敗することもなく、僕が壁を作り、魔鎚で倒す直前までは上手くいっていたのだ。だが、最後の最後で失敗してしまった。まさかザコが襲ってくるなんて、思いもしなかった。

ザコ≪20%≫「もっふううううぅぅぅぅぅ!!!!!」

勇者「!?」

ザコ≪20%≫【もふもっふ・もふもふぅ!】

ザコが使ったのは、攻撃の型・バーストスマッシュ。確か攻撃の力を一気に相手に押し付けることで、相手を吹き飛ばす技だったはずだ。受けるのは危険だと判断し、しゃがむことでかわす。それと同時に水の壁が無くなり、ワタモン達は四方八方に逃げ出した。

勇者「僧侶妹は周りを警戒!武闘家、行くぞ!」

武闘家「ああ!」

竜王まで催眠にかかっているのは、予想外だった。竜化さえしていなければ、簡単に無力化できたんだけど。それにワタモンもいる。

勇者(流石にこれは……簡単には勝てそうにないや)

今日は終わり。これどうやって終わらそう……

ザコ「勇者ぁ……これで何日目だ?」

勇者「えっと、もう一週間以上は経ったかな」

ザコ「じゃあ、クラーケンはもう来ちゃってるわけか……」

勇者「うん、そうなる……ね」

難しいという言葉で言い表せられるレベルじゃなかった。最初にワタモンに触れてしまったザコを倒して、助けたかと思えば僧侶妹が触れてしまい、僧侶妹を助けたと思えば僕が触れてしまい、僕が助けられたかと思ったらザコがもう一度触れてしまい……というのを何度も繰り返した。

よって睡眠もままならず、水は魔法で出せばなんとかなるものの食事は充分に摂ることができず、ストレスが溜まっていっているのが現状だ。

僧侶妹「そうだー、ザコ君は何モッフした?私は6モッフだけど」

ザコ「ん?」

僧侶妹が突然そんなことを聞き出した。普通ならと、突然どうした?となるところだが、そこはもうどうでも良い。

ザコ「俺は……3モッフだなぁ。最初は竜王が油断してただけだし」

僧侶妹「あー、じゃあ私の負けかぁ」

ザコ「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

僧侶妹「うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」

勇者「ぶ、武闘家……」

武闘家「ああ、これは早く終わらせないと色々とまずい」

僧侶妹「じゃあ勇者様は何モッフしましたか?」

ザコ「勇者は何モッフだっけなぁ……」

勇者「あーえっと、僕は2モッフだよ」

僧侶妹「おぉー!さすが勇者様です!」

ザコ「一回違いでそこまで反応が変わるのは気になるけど、やっぱ凄えぜ!!!さす勇!」

勇者「あ、ありがとう」

僧侶妹「じゃあ武闘家さんは何モッフしましたか?」

ザコ「あれちょっと僧侶妹。そういやなんで俺だけ敬語じゃないのよ」

武闘家「お、俺は一回だ」

僧侶妹「1モッフですね!凄いです!」

ザコ「ねえ聞いてる?」

武闘家「一回」

僧侶妹「1モッフ」

武闘家「……///」

ザコ「おーい!聞こえてますかー!?」

竜王「その辺りでやめておくんじゃザコ……」

ザコ(´・ω・`)

ザコ「まあそうだな。そこもどうでも良いか……で?これまで散々歩き回ったけど、まだ親玉は見つからないのか?」

勇者「いや、もうすぐ見つかるよ」

ザコ「なんでわかるんだよ……」

勇者「ほら足元、そして周り」

ザコ「え?」

そういえばこの辺りの木は全て倒れていて、何かが通ったような跡がある。こんなにわかりやすいのに全く気づかなかった。これって俺の精神状態結構やばいんじゃ……

勇者「こういうのは他にもあったけど、これは足跡も小さなワタモンが通った跡も無いし、つい最近のものだね」

勇者「しかもワタモンの親玉はすっごくでかいから、そこまで速い移動はあまりしない。だからこのまま進んでいけばいずれ……」

ザコ「親玉に会えるってわけかぁ」

もうすぐこの長い戦いが終わると思えば嬉しいが、今の状態で勝てるのだろうか……

今日は終わり。
三月から頑張ると言ったな、あれは嘘だ。
というのは冗談で全然先が思いつかなかった……

勇者「ここからはスピード勝負!長期戦で魔力も体力も少ないからね、一気に親玉を仕留めるよ」

ザコ「一気にってなぁ、いけるのか?」

勇者「うん、皆の力を合わせれば……ね」

ザコ「皆の力を合わせる……」

武闘家「なら、いけるな」

僧侶妹「やりましょう!」

武闘家も、僧侶妹も、勇者を信じている。もちろんそれは俺も同じだ。

ザコ「あぁ、やろうぜ!」

勇者「うん!」

さあ、ここからが俺達の反撃だ!

勇者「それで作戦なんだけど、うーん、やっぱり……」

ザコ「どうしたんだ?」

勇者「僧侶妹のハンマーを使って叩き潰そうと思ったんだけど」

ザコ「物騒!!!」

勇者「女の子に力仕事を任せるのは……なんというか……」

ザコ(おい!さっき皆の力合わせるって言ったじゃん!気持ちはわかるけど、内心かっこつけたばっかだから恥ずかしいんですけど!!!)

僧侶妹「……」ムスッ

勇者「あれ?僧侶妹、怒ってる?」

僧侶妹「怒ってます」

勇者「ど、どうして?」

僧侶妹「勇者様が私を全然頼ってくれないからです!」

勇者「!」

ザコ「やれやれ、勇者も女の扱いはまだまだだな……」

武闘家「あ、あぁ。そ、そうだな」

ザコ「ちょっとは付き合ってくれよ恥ずかしい!」

僧侶妹「私は!そんなやわな女じゃありません!力仕事だって出来ます!」

僧侶妹「回復だけが私の仕事じゃありません!もっと戦えます!皆頑張ってるのに、守られるだけじゃいられません!」

勇者「僧侶妹……」

ザコ(俺に惚れないかな僧侶妹)

僧侶妹「最初、隠していた私にも非はあると思います。けど、力があるって教えたからには、もっと私のことを頼ってください……」

勇者「分かった」

勇者「皆の力を合わせるなんて言い出しておいて、僕が一番信じてなかったね、ごめん」

僧侶妹「……」

勇者「改めて、皆の力を合わせよう!」

ザコ「……」

さあ、ここからが俺達の反撃だ!

勇者「よし!じゃあ手筈通りに」

武闘家「あぁ」

ワタモンA「モフゥ!?」

まずは、親玉の周りを守っているだろう小さなワタモン達。これは武闘家の起こす風で無理矢理道を作って突破する。

ワタモンB「モフゥ!!!」

ワタモンC「モフゥ!!!」

ザコ「あっ、ちょっと抜けてきてる!!!武闘家風を!風を強めて!!!ひゃっ!」

多少抜けてきたところで、少ない数なら倒すのは簡単。楽に突破できた。そして問題は……

僧侶妹「凄い大きさ……」

キングワタモン「モフゥ!!!!!」

ザコ「あれが親玉!?」

普通のワタモンの50倍以上はある、圧倒的な巨大さ。あんなのが襲ってきたらひとたまりも……あっ、ちょっと気持ち良さそう。

勇者「ザコ!頼むよ!」

ザコ「お、おう!やったるで!」

俺の仕事は親玉を倒すまでの時間を稼ぐこと。だけど、無数にいるワタモンと戦うなんて事は無い。親玉を隔離出来れば充分。

ザコ(集中しろ……!でかいの……とにかくでかいやつ……!)

ザコ【完全防御!!!!】

俺が作り出したのは、完全防御による巨大なドーム。それだけに集中しただけあって、完璧に……

ザコ「やべっ、上に穴空いてるよ……」

勇者「大丈夫!上に登ってくるまでの時間は稼げる!僧侶妹!!!」

僧侶妹「はい!」

僧侶妹が、巨大化させた魔鎚で親玉を叩き潰した。ヤバイ。

キングワタモン「モ……フ……!」

ザコ「半分叩き潰した!あと一発!!!」

僧侶妹「はぁ……はぁ……」

ザコ(やっぱり今の状態であのデカさはきつかったか……エロい)

ザコ(あっ、アカン!ちょっと力緩めただけでやばいわアカン!完全防御消えちゃう!堪えろ!堪えろ俺!!!)

勇者「後は僕がやる。僧侶妹は休んでて」

僧侶妹「はい……」

さて、ここまで追い込まれた親玉はどう動く?普通に攻撃したところで無駄。このままじゃ確実に殺される。
ん?この閉鎖された環境、使えそうだな。

勇者(なんて、考えてるんじゃない?)

キングワタモン「モッフウウゥゥゥゥ!!!!!!!!」

親玉はその体を一気に分裂させ、大量のワタモンを生み出した。完全防御によるドームを逆に利用して、数で攻めようという魂胆のようだ。

今増やした数で無理でも、大量のワタモンに紛れれば外のワタモンが入ってくるまでの時間が稼げる。けど、それも読んでる。

勇者「これで終わりだ」

ザコ「なんだあの数……」

俺が驚いているのは、親玉が出現させたワタモンの数……ではなく、空中に浮かぶ光球の数だ。

ザコ(ほんとにあれ、長期戦で弱ってるんだよな?)

俺には、なんだかこの森に入る前よりも強くなっているように思える。
差が広がっていく。

勇者(これだけあれば充分か……?)

勇者『ライトシャワー!』

無数に浮かぶ光球が一斉に降り注ぐ。

ザコ(あれこれ俺も当たる!?)

そう思った時には俺は武闘家に抱えられていた。僧侶妹も一緒だ。光球の位置よりも高く飛び、当たるのを回避した。

キングワタモン「モフ……」

ワタモンの親玉がなんだか可哀想だ。増やしたワタモンもすぐに倒され、その光は少しずつ自分へと迫ってくる。

ザコ(だけどまあ、俺達の勝ちだ)

光球の内の一つが、一匹のワタモンに当たった時。完全防御の外も中も含め無数にいたワタモン達は、一斉に消滅した。

無理矢理終わらした感が拭えない……
けど、これからも頑張ります!モチベ上げます!

ワタモンとの戦いを終えた俺達は、弐の村でしばらくの療養中。
一週間以上戦い続けて無くなった体力や魔力を、食べ物をいっぱい食べてお日様の光をいっぱい浴びて回復している途中だ。

弐の村の人達は村を救ってくださった救世主だー!なんて言って凄い色々してくれる。なんか申し訳ないなぁとも思うけど、ここで一生暮らしたいとも思う。元ニートの悪い癖だね。

ザコ「それで、ここにはどれくらい居るんだ?」

勇者「まあ完全に回復して、万全な状態になったらすぐ出るし。一週間も無いね」

ザコ「えー!なんでー!もちょっとお世話になろうぜー!」

勇者「なんでそんな子供みたいなの……ほんの少し前までワタモンに森が支配されてて、ただでさえ食料とかが少ないのに、それを優先的に回してもらってるんだ。申し訳無くて長居なんて出来ないし、するべきじゃない」

ザコ「ふぇぇ……正論だよぉ……」

俺は泣いた

ザコ(そんなこんなで数日経ちました)

かなり体力も回復して、そろそろこの村出ようか?なんて状態です。早い、早すぎる。

武闘家なんかは普通に体鍛えだした。もう準備万端らしい。俺は俺で元が少なすぎるのですぐに回復した。ほとんど竜王頼りだったし……

ザコ「けどもう少し居たいなぁ」

数日過ごして分かったけど、この村のきのこ料理は旨い。これからも毎日三食食べ続けたいくらいに旨い。しかしそんなきのこ料理ともお別れなのだ。俺はとても悲しい。食べるのが好きな竜王もきっと悲しいだろう。いや、長く生き続けたらそんな執着とか無いのだろうか?

そういえば、一緒に旅しているのに、俺は竜王のことをあまり知らない。勇者や武闘家や僧侶妹の昔の話もあんま聞いたことないなぁ。

ザコ「よし、アレをやるか!!!」

竜王「アレ?」

ザコ「パジャマパーティー」イケボォ……

竜王「……」

ザコ「ノーコメントって、悲しいね」

ザコ「てことで勇者!!!パジャマパーティやろうぜ!!!」ガチャ!!!

勇者「え!?あっ、うん。良いけど」

ザコ「後で俺の部屋来いよ!!!」ガチャ!!!

勇者(なんかいつもより凄い騒がしいな……)

ザコ「僧侶妹!!!パジャマパーティやろうぜ!!!」ガチャ!!!

僧侶妹「ごめんね。まだやる事が……」

ザコ「勇者も来るぜ」

僧侶妹「行きます」

ザコ「後で俺の部屋来いよ!!!」ガチャ!!!

ザコ「武闘家!!!パジャマパーティやろうぜ!!!」ガチャ!!!

武闘家「( ?ω? ) スヤァ…」

ザコ「……」

ザコ「^^」カチャリ...

かくして第一回、勇者達のドキドキパジャマパーティが始まろうとしていた……!

今日は終わり。記号どれ使えるか調べてから書き込めば良かった。今回はネタネタのネタ。

勇者「急にどうしたの?」

ザコ「いやぁ、皆の事もっと良く知りたいなぁと」

僧侶妹「私も知りたいです!」

武闘家「……」...zzz

ザコ「話したく無いなら話さなくていい!けど俺は話す!武闘家起きろ!」

武闘家「俺は……寝てな……い」

ザコ(眠そう、なんかごめんよ)

ザコ「よし!話すぞ!俺が産まれたのは勿論北の大陸、の始まりの町だ」

正直昔の事はあんまり覚えてないんだけど。まず俺の父さんは俺が小さい頃に女作って出て行ったらしい。それからは母さんが女手一つで育ててくれた。だから母さんには凄く感謝してる。

勇者「あれ、けどザコ……ニート……」

ザコ「お願いだからその目やめて俺泣くから」

それで、金が足りねえから俺は普通の学校じゃなく教会で色々なことを教わった。だいたい訳ありだったりは教会とかで教わるんだ。エルフとはそこで会ったんだ。

僧侶妹「エルフ?」

ザコ「いじめっ子でな……それはもう恐ろしい事を色々されたさ」

武闘家(駄目だ寝るな……堪えろ……)

エルフとその他にさんざん虐められて当時は辛かったなぁ。それを引きずって16越えて一年ニートしてたってわけだ。

ザコ「けど母さんにいつまでも迷惑かけられないからな!ちょうど勇者が旅立つ日だっていうからワンチャン狙って酒場行ったんだ」

ザコ(まあ惨めなのが嫌だったってのもあるけど)

勇者「そこで僕と出会ったのか」

ザコ「ああ。そういやあの時は勇者俺口調だったな」

僧侶妹「!」ガタッ

ザコ(最近主張激しいなぁおい!)

勇者「勢いで始めたからね。仕方ない……」

武闘家「勇者!」

勇者「な、何?そこ追及されると結構恥ずかしいんだけど」

武闘家「俺を殴ってくれ」

勇者「突然何!?」

武闘家「眠たくて……仕方ないんだ」

ザコ「だったら俺に任せろ」

ザコ「おりゃあ!!!!」ドンッ!

武闘家「ハッ!」

勇者「!?」

ザコ「寝てやり過ごそうとしたらこうやって叩き起こされたもんだ。虐められた経験はこういう時に役立つ」ドヤァ

僧侶妹「ス、スゴーイ!」

ザコ「さあ俺は話したぞ!やっぱり聞きたいからトラウマでも何でも話しちゃえよコノヤロー!」

竜王「突然始めて何が狙いかと思ったが、やはりそういう事じゃったか」

ザコ「勿論お前も対象だぞ竜王!契約してんだからちょっとくらい話せよ!」

竜王「むぅ……」

勇者「よし!じゃあ次は僕が話そう!」

僧侶妹「!」ガタッ

勇者の過去はあまり想像つかないな。
何か壮絶な過去があったりするのか、それとも平凡なのか。小さい頃から聖人っぷりを発揮してたりとか。

勇者「僕が産まれたのは北の大陸の始まりの町!じゃないんだよね」

ザコ「え、マジ?」

僧侶妹「!」ガタッ

勇者「大マジだよ!僕が産まれたのは東の大陸の魔法の国なんだ」

今日はここまで。
まずい、月一が当たり前になってしまっている。
次こそはペースを……

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年08月02日 (火) 22:00:55   ID: EElr2hf-

更新待ってました!

2 :  SS好きの774さん   2017年04月12日 (水) 01:30:00   ID: X4hUdAp6

ザコくん味方の死で開眼するんやろなぁ。

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