彡(゚)(゚)「ワイが勇者!?」(87)

____
薄暗いアパートの一室で、酒を飲み、飯を食い、テレビに向かい叫ぶ男。
一見、頭のおかしい男に見える
だが、彼には叫ぶ理由があった。


彡(^)(^)「よっしゃ、いけいけー!ドカンと打ったれや!!」ムシャムシャ

彡(^)(^)「ここで勝ち越せば首位や!いくんやゴメス!ぶちかませ!!」ゴクゴク

彡(^)(^)「おっしゃ、タイムリーや!イケる!イケるでこの流れ!!」

彡(゚)(゚)「.........って、酒がもうないやんけ!しゃあない、マッマから貰ったこの酒でも飲むか.........」トクトクトク

彡(^)(^)「お、うまそうな匂い!飲んだろ!」ゴクー

彡(^)(^)「あ、コリャうまい!いくらでも飲める!」ゴクゴクゴク

彡(^)(^)「あー.........うまい、うまい!マー、トン...も、繋げて......この回で2点....は...................?」

彡(゚)(゚)「.....あ.........?......ぐ.......!」ガクガク

┏━━━━━┓

┃   / \  ┃
┃ /     \┃
┃ (゚) (゚)ミ  ┃
┃ 丿     ミ ┃
┃ つ   (  ┃
┃   )  (   ┃
┗━━━━━┛

彡( )( )『おっ!死んでるゥーんだ!』フワフワ

彡( )( )『てかここ何処やねん!』キョロキョロ

気付けばそこは、辺り一面真っ白な景色
直感的にここが『あの世』なのだとわかった
どうすれば良いものかと考えていると、突然、空から声が響く


『南士衛やきう、22歳.........』

『幼少の頃から野球の才能に目覚め、リトルリーグで活躍するも』
『母親による過度な暴行によって肘と肩を壊す。彼の野球人生はここで終わる』

『中学に入り、類い稀なる才能で学問において首位を獲得するも』
『母親がありもしない噂を流し学校ぐるみのいじめにあう。彼の青春はここで終わる』

『高校に入り、治りかけた肩と肘、立ち直りかけた精神をまたも母親によって破壊される。彼の学校生活はここで終わる』

『就職し、恵まれた才能を発揮し3年で社長秘書まで登り詰めるも』
『母親によって会社を爆破される。ここで彼のエリート生活は終わる』

『22歳、再就職が決まり祝いの酒を飲みながら野球観戦をしているも』
『母親によって毒を盛られた酒を飲み死亡。彼の人生はここで終わる』

彡( )( )『ファッ!?誰やねん!?なんでワイの人生を知っとるねん!!』

空から聞こえる声に狼狽える。
ビクビクと周りを見回すと、またも声が聞こえた

『私は神だ』

『どうやらお前は、随分悲惨な人生を送っているようだな』

彡( )( )『お、そうだな』

『それに阪神ファンときた。』
『実は私も阪神ファンでな、その猛虎魂に免じて』

『汝を転生させてやろう』

その言葉と共に、身体が光に包まれる。
暖かい陽射しに包まれているような感覚に心を穏やかにさせるが、身体が末端からジワジワと消えている事にきづく

彡( )( )『ファッ!?なんやこれ!?ワイの身体が!!消えとる!消えとる!』アタフタ

『いい人生を送るのだぞ.........』

彡( )( )『アカン!アカン!誰か!誰かー!..................』フワァ



_____
_______
________

彡(-)(-)「ぐう、ぐう.........」

彡(゚)(゚)「ハッ!.........夢か」

ふわあ、と起き上がる。
妙な夢をみたもんだ.........と頭をかきながら、部屋の壁に掛けてある銅の剣を手に取る

・・・・・・・・
銅の剣を手に取る

彡(゚)(゚)「ファッ!?なんやこれ!?」ガシャン

彡(゚)(゚)「け、け、剣があるやんけ!?ワイはこんなもん買っとらんで!!」アタフタ

彡(゚)(゚)「よく見たら、部屋にテレビどころか殆ど何もないやんけ!壁も木で出来とる!ワイの家はこんなとこちゃうぞ!?」アタフタ

朝起きると、見知らぬ場所で眠っていたのだ。
慌てながらも、部屋を漁る。
すると、タンスの上に鏡があるのを見つける

彡(゚)(゚)「.........ふう、アカンアカン、取り乱したらアカン!これは明晰夢ってヤツや!たしか鏡を見たら起きるって聞いたことあるで!」チラー

鏡を覗きこむ。
そこに映っていたのは自分の顔だった。

・・・・・・・
10歳程の年齢の

彡(゚)(゚)「うわああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」ガシャン

彡(゚)(゚) 「あ、落としてもうたわ」

彡(゚)(゚)「てか、今の顔..........ワイが10歳くらいの時の顔やろ!なんで夢ん中で出てくんねん!」

彡(゚)(゚)「.........」

彡(^)(^)「ま、どうせ夢やしエエか!」

そう思い、ベッドに横になる。
腹へったなー、なんて思いながら天井を見上げていると、不意に声がした。

「やきうくーん!やきうくーん!早く起きてー!」

彡(-)(-)「ン?なんや?誰やねん.........」ムクッ

「もう!やきう君!まだ寝てるの!」ガチャ

そう言いながら扉を開けたのは、素朴な布の服を着た女の子だった。
栗色のボブヘアが、少し外にはねている。

彡(゚)(゚)「あ?お前誰やねん。眠いのに入ってくんなや」

幼馴染「もー、やきう君!忘れるなんてひどいよ!私は幼馴染!」プンスカ

彡(゚)(゚)「ワイ、こんな可愛い女の子とは知り合いじゃなかったと思うんやが」

幼馴染「か、かわ.........!!も、もう!やきう君ったら!」デレデレ

彡(゚)(゚)「んで、なんの用やねん.........ワイは眠いんや、はよしてくれ」

幼馴染「やきう君、忘れちゃったの?今日はやきう君が王様に謁見する日だよ!『王様がわざわざ村人を呼び出すなんて殆ど無い!』って、喜んでたじゃない!早く行かなきゃ!」

彡(゚)(゚)「はぁ?王様.........?」

幼馴染「もう!何時までとぼけてるつもり?早く行くわよ!」グイッ

手を引っ張られ、外に連れ出されるやきう。

その景色を見て、絶句した

外国の中世の村に来たような、のどかで古風な風景。
茶色い麻ぬので出来た服を、老若男女問わず着ている。
時々、剣を腰に携えた若者も歩いている。
少し遠くにはRPGでみたような大きなお城が見える

彡( )( )「なんや.........ここ.........」

幼馴染「もう!私たちの町でしょ?寝ぼけてないでさっさといくわよ!」グイッ

彡(゚)(゚)「お、おい待てや!引っ張るな!」

幼馴染「早く!早く!せっかく私も会って良いことになったんだから!はやく行きましょうよ!」ワクワク

彡(´)(`)「分かった!分かったから引っ張るなや.........」ハァ

彼女に付いていき、少し歩き続ける。
やがて広い道に出ると、目の前には巨大な門があった。
門の横には西洋の鉄の鎧で身を固めた兵士が立っている。

彡(゚)(゚)「ここが城か.........」

幼馴染「さ、やきう君!いこう!」グイッ

彡(゚)(゚)「はぁーい」ズルズル

幼馴染に半ば引き摺られるようにして城の中に入る。
石造りの壁にランプが等間隔で吊るされている。そのランプの装飾一つ一つにも気品を感じる。
幼馴染によれば、今から『謁見の間』とやらに行かなければならないらしい。

幼馴染「さ、謁見の間はこっちよ!」グイッ

彡(゚)(゚)「ほーん.........こんなでっかい城作るなんて、大層な王さまなんやろな」トテトテ

幼馴染「やきう君、王様の前でそんなこといっちゃダメだからね!」
彡(゚)(゚)「わぁーっとるわい、引っ張るなや」

そうこう喋っている内に、謁見の間へとついた。
巨大な絵が飾られた壁。
真ん中には玉座が置いてあり、そこに王冠を被った初老の男が座っていた。

王様「.........ふむ、遅かったな.........まあ、座るのじゃ」パチン

そう言い、男が指をならす。
すると鎧をきた男が椅子を二つ、王の玉座に向かい合うように置いた。

彡(゚)(゚)「んじゃ、失礼しますやで」ストッ
幼馴染「わ、わあ!本物の王様だ.........!」

王様「ふむ、時間がないので前置きはしないで単刀直入に言う。」

王様「ヤキウ・オンジェイ。君に我が国の『勇者』として、魔王討伐の旅に出て欲しいのだ」

幼馴染「え!やきう君が.........!?」
彡(゚)(゚)(ワイは南士衛やねんけどな.........)

彡(゚)(゚)「ま、待ってくださいや王様!ワイはまだ10歳なんやで?そんな小僧っ子のワイが勇者?」

彡(゚)(゚)(子供に旅させるとかアホやろ!それに大々、魔王ってなんやねん!)

王様「なあに、心配する事はない。酒場にいけば少なくとも君と同じ年齢か、それ以上の年齢の頼もしい冒険者が同行してくれる事であろう」

彡(゚)(゚)「ほんならその酒場のやつらで旅させたらええやん!なんでワイが行く必要があるんですか(正論)」

王様「.........勇者の素質があるのはお主だけなのじゃ。戦闘の経験をつめば勇者の素質がある者は自ずと力がつく。どうか、この世界を救う為に、旅に出てくれんかのう?」

彡(゚)(゚)「はあ、そうですか(大々、勇者の素質ってなんやねん。ワイより門番のが勇者の素質ありそうな顔しとったわボケ)」

王様「というわけで、頼んだぞ!ほれ、これは選別じゃ」チャリン

やきうは100Gを手にいれた!

彡(´)(`)(ま、エエか.........どうせ夢なんやし)

城を後にしたやきう。
とりあえず幼馴染を連れて家へと帰る。

幼馴染「スゴいよ!やきう君が勇者だなんて!明日からやきう君は冒険だね!」ニコニコ

彡(゚)(゚)「そんなん言われても、剣なんて触ったことないんやけどなあ.........」

幼馴染「大丈夫!やきう君ならできるよ!」ニコニコ

幼馴染「.........」

幼馴染「明日、いなくなっちゃうんだね」

彡(゚)(゚)「王様が決めたことやしなあ」

幼馴染「私、いつまでも応援してるから、やきう君がいなくなっても、ずっと応援してるから!」ニコニコ

幼馴染「.........だから、絶対に帰ってきてね!少しの間、お別れだけど.........私、やきう君の、こと...ヒック...おうえん...」ポロポロ

幼馴染「あれ、おかしいな、私、ヒック、笑顔で、見送ろうと、してたのに.........ひくっ.........ぐすっ」

彡(´)(`)「分かっとる、必ず魔王を倒して帰ってくるで」
彡(´)(`)(.........夢やのに)

幼馴染「う、うぅ.....うわぁぁぁぁぁぁぁん!やきう君、いっちゃやだよおおおおおお!」ポロポロ

彡(´)(`)「.........」
彡(´)(`)(夢やのに、こんな悲しいのは何でなんやろな)グスッ

______


チュンチュン......チチチ......

ムクッ

彡(-)(-)「......」ポチー

イキスギィ!イクゥイクイク......


彡(゚)(゚)「......はっ」ガバッ

彡(゚)(゚)「PCも淫夢も無い......まーだ夢か」

そういい、ベッドから部屋を見回す。
昨日と同じ、あの部屋だ
窓を見ると、ちょうど朝日が昇る頃。
4時位だろう。

彡(゚)(゚)「........そういや、淫夢ってなんや?」

何だか、何か大切なことを忘れていってる気がする。
まあ、思い出せないのならそれほど重要な事では無いのだろう。

彡(-)(-)「別れを言うのは辛い......ワイは君に会う前に旅立つんや」ガシッ

幼馴染の顔を思い浮かべ、決心をする。
壁に立て掛けられた銅の剣を掴むと、少量の金を持って家を飛び出した。

流石は酒場、と言った所だろうか。
まだ出歩く人も疎らなこの時間なのに、中からは声が聞こえる。
王様は言っていた。
『酒場に行けば頼もしい仲間が同行してくれる』、と

ゴクリ、と喉をならしながらも酒場の扉に手をかける。

そして、扉を開く────

店員「あら、いらっしゃい」

出迎えたのは、齢20代と思われる女性。
アニメで見たような葉巻をスパスパ吸いながら、カウンターから話しかけてきた。

店員「アンタ、勇者よねぇ?王様から話は聞いてるわ......」スパァ

カウンターに肘をつき、話を続ける女性。

店員「旅のお供でも探してるんでしょう?二階に冒険者達が集まってるから、自分で交渉してくるのね......」スパー

彡(゚)(゚)「あ、ああ......わかったやで」

二階への階段を上がろうと、通路を歩く。
不意に、肩を捕まれる。

ゴロツキ「なぁ、にいちゃん......?」

彡;;(゚)(゚)「......な、なんや............?」ガクブル

ゴロツキ「あんたにゃ、期待してるんだぜ!俺はな!」バシバシ

彡(`)(´)「イタァイ!」

背中を叩きながら、期待の声を投げ掛ける男。

ゴロツキ「俺の畑も魔物に荒らされちまってよ......魔王を倒せば、悪い魔物がいなくなるんだろう?俺はここで酒を飲むことしか出来ねえけど、いつでも応援してるからな!にいちゃん!」バシバシ

彡(゚)(゚)「さ、サンキューやで!」

激励の言葉を背中に受けながら、二階への階段を上がる。
先程の出来事で少し顔が綻ぶ。

彡(´)(`)(ああ、ホンマにこれが現実やとエエのに......)シミジミ

二階につくと、一気に人の声が多くなった。
所々テーブルに突っ伏して眠っている者もいるが、それでも大勢の人の活気に包まれている。

彡(^)(^)「さっそく仲間に誘ってみるで!!おーい、そこの兄ちゃん!」

ハゲ坊主「あん?おうおう、お前が俺を呼んだんか?」

彡(^)(^)「ワイの仲間になってや」

ハゲ坊主「あ?だーれがテメエみてえな子供と冒険するか!年を考えやがれちび坊主!」

彡(゚)(゚)「......そういや、ワイは見た目今10歳くらいか」

彡( )( )「......アカンやん、これ............」ガクッ

店の隅で項垂れていると、一人の男が近付いてきた。

男「キミ、仲間さがしてんの?」

男の割りには少し高めの声だが、その野獣のような眼光から、相当な手練れだと感じる。

彡(゚)(゚)「ん、せやで」

男「じゃあ、俺、仲間にしない?名前は田所、武道家だ......野獣先輩って呼んでくれよ」

彡(^)(^)「お、よろしく!野獣!」

野獣先輩「これもう(野獣なのか先輩なのか)わかんねえなコレ」

彡(゚)(゚)「んでも、もう一人くらい仲間欲しいよなあ」

野獣先輩「そうだね」

椅子に腰を掛けながら、野獣先輩と話す。
100Gしか無いことを告げると、『俺が出すよ』と、アイスティーを注文してくれた。
昇る朝日を窓から見ながら、もう一人の仲間を探す。

不意に、か細い声で背後から声をかけられた。

彡(゚)(゚)「ん......?」フリムキー

黄色いボディスーツに、青を基調に黄色で模様を描かれたエプロンと帽子。
どこかのゲームで見たような格好の少女が話しかけてきた。
年は14程......にしてはスタイルが良い。

彡(゚)(゚)「なんや?」

僧侶「あ、あの......私、僧侶って言います!一生懸命頑張るので、仲間にしてください!!」

深々とお辞儀をする僧侶。
やきうは、野獣先輩をちらりと見る

野獣先輩「......」コクッ

彡(^)(^)「......ああ、エエで!ワイも丁度仲間を探しとったんや!よろしくやで!!」

僧侶「はいっ!!」ニコッ

彡(゚)(゚)「もっと仲間を勧誘したい所やが、もう6時か......しゃあない、出発しよか!」

野獣先輩「まずは、こ↑こ↓から北に行った所にある村を目指すぞ」
僧侶「回復は任せてください!」

彡(^)(^)「頼もしいなあ......」
___

徐々に活気が出てきた城下町を離れ、地の果てまで続いていそうな草原に出る。

彡(゚)(゚)「はぇー、すっごい広い......」

野獣先輩「進んで、どうぞ」
僧侶「魔物がいるかも......」ビクビク

彡(゚)(゚)「こーんなのどかな所に、魔物なんておるんか?」
彡(^)(^)(まあ、おったとしてもどうせ夢やし怖く無いけど)

僧侶「魔物なんて案外どこにでもいるもんですよ、勇者様」

彡(゚)(゚)「ほーん」

野獣先輩「ここら辺の魔物でも油断できないからね、しょうがないね」

そよ風の吹く草原を歩く一行
空を飛ぶ鳥が朝焼けを切り裂いて行く
起き抜けの自然を叩き起こすように、草を踏み荒し、それは唐突に現れた。

スライム「ぴぎー!」

彡(゚)(゚)「お、スライムやんけ!」

僧侶「スライム!!」
野獣先輩「暴れんなよ、暴れるな......」

油断して抜けた声を上げているやきうとは対照的に、身構えて警戒をする二人
そんな二人を気にせずに、やきうは剣も抜かずに飛びかかる!!

彡(^)(^)「スライムって言えば雑魚の代名詞やんけ!殴って潰したろ!!」ブンッ

やきうの攻撃ッ!
右拳がスライムのゲル状の身体に振るわれる!

野獣先輩「あっ、おい待てい!」

野獣先輩「スライムはゲル状の生物!打撃は悪手だ!あたりまえだよなあ?」

彡(゚)(゚)「ファッ!?うせやろ」

時既に遅し、スライムは向かってくる拳に身体をうねらせまとわりつき、ものの数秒でやきうの顔に飛びかかるッ!

彡( )( )「がぼっ、ごぼぼ」ジタバタ

僧侶「スライムは生物の呼吸を迅速に止めようとしてくる獰猛な魔物です!!体内に進入されないように喉を締めて抵抗してください!!......遠距離魔法があれば、すぐに助けれるのに......!!」クッ

野獣先輩「出そうと思えば(遠距離魔法)」

野獣先輩「『武知波』!!」ブッチッパ

野獣先輩がそう叫ぶと同時に、野獣先輩の右腕から拳ほどの大きさの茶色い弾が発射されるッ!
それはスライムに当たると、そのまま炸裂ッ!
スライムは身を散り散りに吹き飛ばせながらも、茂みの中へと吹っ飛んでいった。

彡( )( )「げほっ、げほっ、なんやこれ!?まるで夢じゃないみたいやんけ!!」

後退りしながら、そう叫ぶ
この苦しさ、この恐怖......
こんなリアルな夢、見たくない
はやく朝になってくれ、はやく目覚めさせてくれ......!!

野獣先輩「これが現実なんだよ、当たり前だよなぁ?」

彡( )( )(こ、これが現実!?嘘言うなや!?ワイは昨日阪神戦を見て、祝い酒飲んで......アレ?)

彡( )( )(ワイ、寝てないのに何で夢見てるんや?)

彡( )( )(ワイ、たしか......)

      『マッマからもらった酒でも飲むか!』
         『おっ、死んでるゥーんだ!』
 『南士衛やきう、22歳......』    
           『祝いの酒を飲みながら野球観戦をしているも』
『死亡』
       『彼の人生はここで終わる』

彡( )( )「はぁ、はぁ、はぁ、う、嘘や......!嘘や、嘘や、嘘や嘘や嘘やああああああああああああああ」ガクガク

急に頭を抱えだすやきう
その様子を見て、まだ辛うじて動けるスライムが『一矢を報いる』と、やきうの方へ這いずり、移動する

僧侶「スライムがそっちに!!」
野獣先輩「剣で斬って、どうぞ」

彡( )( )「う、うわあああああ!怖いンゴぉぉぉぉぉぉ!!」ブンッ!ブンッ!

スライム「ぴぎゃっ」ザクー

錯乱しながら、出鱈目に剣を振るうやきう
運よくスライムの身体を切り裂き、やっとの事でスライムを倒した。
___

彡( )( )「あ、あああ!怖いンゴ!怖いンゴ!家に帰るンゴぉぉぉぉぉぉ!!」

草原の真ん中でみっともなく泣き叫ぶやきう。
見た目相応と言えばそうなのだが......野獣先輩はふう、と溜め息をついた

僧侶「勇者様、まだ10歳ですから......まだ怖いんでしょうか?」

彡(;)(;)「スライム怖いンゴ!お家で楽しく暮らしたいンゴ!」ガクガク

そんなやきうの様子に呆れかえり、野獣先輩は言葉を発した

野獣先輩「(魔物を舐めてたって)はっきりわかんだね」

野獣先輩「......勇者なら臆する事無く魔物に向かっていく。あたりまえだよなぁ?」

彡(゚)(゚)「で、でも!ワイはこんなこと知らんかったんや!!こんなん勝てへんわ!!」

野獣先輩「......」

野獣先輩「子供だからね、仕方無いね」

諦めたようにそう呟く野獣先輩。
彼は、やきうに背を向け言った。

野獣先輩「戦う覚悟がつくまでは、後ろに隠れておけよ......『勇者様』」

彡(゚)(゚)「......」

僧侶「......ほら、勇者様!行きますよ?」

彡(゚)(゚)「お、おう......」

彡( )( )(なーにが『勇者なら臆する事無く』や......こんなバケモノと、戦える方がおかしいんじゃ!!)

___

おおがらす「アホーアホーwww」

野獣先輩「(アホはお前だって)はっきりわかんだね」ボコー

おおがらす「ほげっ......」

僧侶「やりましたね!」


彡(゚)(゚)「......」

___

ぐんたいアリ「......!......!!」

野獣先輩「弱スギィ!」プチッ

ぐんたいアリ「...!.........」

野獣先輩「倒したゾ」

僧侶「怪我はありませんか......?」


彡(゚)(゚)「......」

歩けど歩けど同じような景色
まるで草の生えた砂漠を歩いているようだ
代わり映えしない景色と一向に見えない目的地に苛立ちを感じ、やきうが口を開いた

彡(゚)(゚)「......」トテトテ

彡(゚)(゚)「......なあ」

僧侶「はい?」トテトテ

彡(゚)(゚)「村ってまだか?」トテトテ

僧侶「まだ距離はあるので、今日は野宿して明日の朝方につく予定ですよ」

彡(゚)(゚)「ほーん......」



野獣先輩「......モンスターが怖いなら、別に夜に歩いても良いんだぞ」

彡(゚)(゚)「......ええわ、そんなん」

彡(゚)(゚)(なんや、アイツ......)

夜。
焚き火の炎が風に揺れ、辺りを照らす。
周囲の草や枝を引き抜き、拾い、焚き火の糧としている。

野獣先輩「じゃあ、俺はアイスティーを飲んだら寝るからな」

僧侶「はい......私も、もう寝ます......」

彡(゚)(゚)「......」

簡素な布で身を包み、木々に背中を委ね眠る。
おおよそ『よく眠れる』モノではないが、仕方無いだろう

彡(゚)(゚)「......」チラー


野獣先輩「......いいだろ......な?......」ムニャムニャ

僧侶「............」スヤスヤ


二人が眠りに落ちたのを見計らい、やきうは自身の『銅の剣』を手に、たちあがった。


彡(゚)(゚)「......ワイは、馬鹿にされっぱなしは嫌なんや」トテトテ

彡(゚)(゚)「......たしか、昔漫画でみたヤツはこんな感じで......」ブンッ

彡(゚)(゚)「ほっ、ふっ、ふんっ」ブンッブンッ

夜の草原で、剣を振り回す男
世界が違えば不審者扱いだ
正直、やきうもやりたくはなかった
夜は怖いし、魔物も怖い......
だがそれ以上に、『馬鹿にされっぱなし』は好きじゃなかった

彡(゚)(゚)「ワイは天才や、やから出来るはずや!!」ブンッブンッ

根拠のない自信を支えに、重い剣を精一杯振るう姿
彼はいつも、その根拠のない自信で這い上がってきた

彡(゚)(゚)「はぁ、はぁ、はぁ!」ブンッブンッ

彡(-)(-)(この『世界』のこの『境遇』で送られたって事は......それは、使命なんや)

彡(-)(-)(神様が最後のチャンスと一緒に与えた、『試練』なんや!!)

彡(゚)(゚)「......それやったら、その『試練』を乗り越えて......」ブンッブンッ

彡(゚)(゚)「今度こそ、幸せに暮らすんや!!」ブンッブンッ




野獣先輩「......」

翌日

野獣先輩「準備は?」

彡(゚)(゚)「いいで」
僧侶「大丈夫です」

まだ『夜中』と言うべき空の色。
3人は荷物を纏めて草原を歩く準備をしていた。

野獣先輩「よし、じゃあ行くゾ~」

地平線に日の光が射し込むと同時に、彼等はあるきだした。

野獣先輩「明け方と言えどもモンスターは活動してる。油断はしないほうが良いゾ」

僧侶「勇者様、私たちから離れないように付いてきて下さいね?」

彡(゚)(゚)「........」


草原を歩く三人。
じわじわと朝焼けが空に広がる。
草原は、そよ風に吹かれて草が靡いている。

野獣先輩「........ッ!魔物!」

不意に、野獣先輩が立ち止まり、叫ぶ。
それと同時に、草むらから魔物が数匹飛び出してくるッ!
灰色の毛に、鋭く剥き出された牙。赤く染まる眼光が三人を睨む。

僧侶「ウルフ!」サッ

彡(゚)(゚)(狼やんけ!かっこつけた名前つけんなや!)サッ

野獣先輩「ウルフは素早い動きで翻弄して獲物を鋭い爪や牙で仕留める!覚悟決めろ」スッ

野獣先輩「オラッ!」シュバッ
ウルフA「ギャン!」

野獣先輩が先陣をきって飛び出す!一瞬でウルフの懐まで潜り込み、正拳突きを打ち込んだッ!打ち込まれたウルフは衝撃で身体が浮くッ!

野獣先輩「『武知波』ッ!」ブッチッパ!

追い撃ちに遠距離攻撃を仕掛け、他のウルフ諸とも蹴散らすッ!

ウルフA「クゥーン........」ピクピク
ウルフB「グルルル........」
ウルフC「バウ!ワウ!」

野獣先輩「ピクピク動いてる........生きてる証拠だよ!」

僧侶「反撃が来ます!」

ウルフB「ギャウッ!」ガブゥ
野獣先輩「ぐっ........!ちょっと歯ぁ当たんよ........!」ググッ

腕に噛みつかれ、怯む野獣先輩!
その隙に、もう一匹がやきうの方へと飛び込んで行くッ!

僧侶「勇者様!」

彡(゚)(゚)「きた........!」ググッ

手足は震える。攻撃を受ければ、痛く苦しいのだろう........
しかしやきうは覚悟を決めた。
もう醜態は、晒さない。

彡(゚)(゚)「いいよ!来いよ!」スウッ

ウルフC「ヴオオオ!」ヒュバッ

ウルフが鋭い爪でやきうの首を狙うッ!
横凪ぎに出された爪がやきうを襲うッ!

彡(`)(´)「はや........っ!」ガギィッ!

襲いくる爪を銅の剣でなんとか受け止め、隙の出来たウルフの胴に蹴りを打ち込む!

彡(゚)(゚)「っらぁ!」ドムッ
ウルフC「グルルルッ!」ズサーッ

蹴りは浅く、ウルフに大きなダメージを与えるほどでは無い。ウルフは後ろに飛び受け身をとる。

彡(゚)(゚)「次はこっちからや........ッ!」タンッ

彡(゚)(゚)「喰らえやッ!」ブンッ

横凪ぎに振るう剣ッ!
ウルフは避けきれず、銅の剣に身を裂かれるッ!
傷口から血を流しながらも、『まだまだやれる』と言わんばかりに唸り声をあげるウルフッ!

彡(`)(゚)「浅かったか........ッ!」

ウルフC「グルルル........グオオオオッ!」タンッ

勢いをつけて、飛び出すウルフ!
切った体勢のまま隙だらけのやきうにウルフの爪が襲いくるッ!

彡(`)(゚)「ぐああッ........!」ザシュウッ

肩を裂かれ、体制を崩すやきう!
隙だらけの身にウルフが飛び掛かるッ!!

ウルフC「グオオオオッ!」ガバァッ!

彡(`)(´)「おあああッ........!!」ガキギィッ!

両肩に食い込むウルフの爪ッ!
幼い身体から深紅の血が流れるッ!!
やきうに食らい付こうと噛み付いた牙を、なんとか銅の剣で抑えるッ!

彡(`)(゚)「ぐぅ........あ、アカン........!」グググッ

ウルフC「ウグググ........ッ!」ガギギギッ

肩に爪が食い込む痛みで、力が抜けるやきうッ!
もうダメだと、諦めたその時ッ!!

「『武知波』ッ!」ブッチッパ!

後方から茶色い光弾がウルフを打つッ!
弾は炸裂し、ウルフが吹き飛ぶッ!

彡(`)(゚)「や、野獣.....先輩...!」ググッ

野獣先輩「よくやったな、やきう........もう大丈夫だって安心しろよ~!」スッ

傷だらけのやきうを守るようにウルフの前に立ちはだかり、言う。

野獣先輩「殺されてえかお前........死ぬ寸前まで痛めつけてやるからな」ゴォォォッ

ウルフC「ウグルルル........」ピクッ

凄まじい闘気に怯むウルフに、野獣先輩は容赦なく蹴りを打ち込むッ!

ウルフC「ウギャンッ!」

身体がくの字に折れ曲がり、1、2メートル先まで吹っ飛ぶウルフッ!
そしてウルフの身体が地面につく前に野獣先輩は回り込んだッ!

野獣先輩「蹴られただけで終わりと思った?そんなんじゃ甘いよ」グイッ

ウルフ「ウグッ........!」

野獣先輩「オラッ!」ブォンッ!

ウルフの首根っこを掴み、放り投げるッ!
その先には地面に突っ伏した二匹のウルフッ!

ウルフC「ウオオオン!」

放物線を描き飛んでいくウルフ!
そのウルフに狙いを定め、野獣先輩は叫ぶッ!

野獣先輩「最後の一発くれてやるよ!『武知波』ッ!」ブッチッパ!

茶色い光弾はウルフ達に直撃し、炸裂ッ!
散り散りになって吹き飛んでいったッ!!



野獣先輩「ふう........これで一件落着って所だな」

彡(-)(-)「うぐっ........いてて.....」ググッ

僧侶「ゆ、勇者様!」

野獣先輩「ヒール!ヒール!(迫真)」

( ・`ω・´)「今日はここまでだゾ」

( ・`ω・´)「更新遅くても許してね」

___北の村

ウルフを退け、戦闘の経験を1つ積んだやきう。
道中、スライムやおおがらすなどに襲われるも確実に倒し、着実に戦闘の経験を積んでいった。
太陽が頭上を照らす頃、やきう達は村に付いた。

ここ北の村は小さいながらもここら辺では珍しい学舎がある村として、子供を中心に何時も賑わっていた村だ。(田所談)

賑わっていた村のはずなのだ、が........

彡(´)(゚)「ぬわあああん疲れたもおおおおおおん」グターッ

野獣先輩「やめたくなりますよ~旅ぃ................」

僧侶「とりあえず、村には着きましたよ!宿を取って休憩しましょう?」

村に着いた安堵からか、旅馴れた田所でさえも弱音を吐く。
僧侶の言葉に、ゆっくりと歩みを進める。

野獣先輩「こ↑こ↓は学校があるから子供が多いはずなんだけどなぁ........なんか足んねえよなあ?(子供)」

彡(゚)(゚)「城下町じゃないんやしこんなもんじゃないんか?」

僧侶「北の村はここら辺では1つしかない学舎がありますからね........子供の数だけで言えば王都より多いはずなんですよ」

彡(゚)(゚)(嘔吐?)ポケー

三人がそうこう言いながら歩みを進めていると、年老いた男がやきうに話しかけてきた。

老人「もし、そこの........そこの旅人よ」

彡(゚)(゚)「なんじゃこの腐れジジイ、ワイは疲れとんじゃ(どうしたんや?ご老体)」

野獣先輩「どうしたんだ?」

老人「旅のお方........どうやら随分と戦いに慣れていると見える。どうか、この老いぼれの話を聞いてはくれないだろうか」

彡(゚)(゚)「........なんかあったんか?」

老人「........ワシの家に案内する、そこで話しましょう」

しゃがれた声の老人に招かれ、木で出来た家へと案内されるやきう。
家へと向かう途中にも、大人や老人は居たが子供は殆ど居なかった。
いったい、なにがあったというのか。

老人「入って、どうぞ」キィ...

彡(゚)(゚)「お邪魔するで」ズカズカ
野獣先輩「†悔い改めて†」スッ
僧侶(田所さんは僧侶の修行を........?)スッ

各々が入り、木で出来た椅子に腰かける。
老人は三人に向かい合うように座り、一息息をつくと、語りだした。

老人「ここ、北の村は........子供の多い場所でした」

老人「学舎は何時も活気に満ち溢れ、私たち大人も子供の笑顔を見るだけで力を貰えるようでした」

老人「ですが数年前........魔王が現れましたね」

老人「私たち北の村は、いくら魔王と言えども、王都に近いこの村は平気だろう........そう思っていました」

老人「半年前の、あの日までは」


彡(^)(^)「生理かな?」

野獣先輩「真面目に聴けよなあ~頼むよ~」
僧侶「え、あの........(ドン引き)」

老人「半年前................この北の村から西に歩いた所にある洞窟に、魔物が住み始めたのです」

老人「ただの魔物ならよかった、だが運が悪かった。住み着いたのは、『魔王直属の幹部』の一人のようなのです」

老人「強大な力と魔力に太刀打ちできず、討伐に向かった北の村の自警団はほぼ壊滅。魔物は村を滅ぼされたくなくば生け贄として『子供』を寄越せと言いました」

老人「私はそんなことは許されないと思い、王都に応援を求めました........しかし、王都は......応援要請には、答えてはくれませんでした................」

老人「さらに、王都に応援要請を出したのを魔物が知り........この村は魔物の襲撃により半壊しました。そして、半壊した村の真ん中で、魔物は言いました」

老人「『子供を寄越せば、もう村は壊さない』と」

老人「........................悔しくて涙が出ました。しかし、そうしなければ全員が殺されていた........」グッ

野獣先輩「道理でねぇ........」

彡(゚)(゚)「ガッキがおらんワケや」ウンウン

僧侶(勇者様も充分子供なんだけどなあ)

彡(-)(-)「........つまり、ワイらにその『幹部』を倒してきて欲しい、てワケやな?」

老人「もちろん、ただでとは申しません........この皮の鎧と皮のレギンス、そしてこの青銅の剣をお使い下さい。銅の剣より鋭く、美しく作られております........村の装備の、最高級品ですじゃ 」

そう言い、大きな木箱の中から装備を取りだし、机の上へと置いた。

彡(-)(-)(これが最高級品........?どうみてもお下がりやろ)

野獣先輩「ウーン........どうする?やきう」
僧侶「勇者様........!」

やきうは暫し悩む。
ただの魔物で苦戦している自分に、『幹部』なんて倒せるのだろうか?
倒せないのではないか?

彡(-)(-)(..............こんなん、やりたくはないわ........でも、ワイは........)

彡(゚)(゚)(........ワイは、腐っても勇者としてこの世界に飛ばされたんや........王都も見捨てる化物やって、ワイが倒さなきゃ勇者の意味がないじゃん(ないじゃん))

彡(゚)(゚)「........解った。ワイ達が、その魔物を倒したる」


彡(゚)(゚)「........勇者としてな」グッ

( ・`ω・´)「今日はここまで」

______


老人「西の洞窟には、10分程でつけますじゃ........どうか、お願いしますぞ」

彡(゚)(゚)「おう!ワイ達が幹部なんか倒したるで!」
野獣先輩「そうだよ(便乗)」

老人に別れを告げ、西の洞窟に歩いて行く一行。
太陽が少し傾く、昼下がり。
険しい顔をした三人が、草原を歩いている。

彡(゚)(゚)「魔王の幹部か........どんなんなんやろなあ」

僧侶「死霊の類いなら、私の『聖水』で弱体化を狙うことも出来ます!頑張りましょう!」

野獣先輩「あ、おい待てぃ(江戸っ子)問題は相手の強さなんだよなあ........たとえ聖水と言えども、強すぎる死霊の類いには効果は薄い。魔獣なんかならもっての他だ........」

野獣先輩「まあいざとなれば俺が盾になるし、多少はね?..............大丈夫だって安心しろよ~!」

そうこう話している内に、洞窟の入り口に着いた三人。
内部から漂う腐臭が鼻を刺激する。
かなり薄暗く深いようで、等間隔に立て掛けられた松明以外の灯りは見えず、まだ昼だと言うのに内部に闇を作り出していた。

彡(゚)(゚)「くっさ!........なんの臭いや?」

野獣先輩「生物の腐臭に、微かな血の匂い........糞便のあの独特な臭いも解る。これは死体の臭いですね、間違いない」

僧侶「死体........」ウッ

彡(゚)(゚)「なるほど........とりあえず、入ろうや」
野獣「入って、どうぞ」

ほの暗い洞窟を、固まって歩く。
腐敗した魔物や人間の残骸を足で踏むたび、嫌な音と共に死体に巣食っていた虫がわらわらと逃げ出す。
無数に倒れる死体の中には、もうほぼ骨だけの白骨体や、つい数十分前まで助けを求めていたのかもしれないというほど新しい死体も転がっている。

彡(`)(´)「オエッ........虫は嫌いやねん!いねや!」ペイッ

僧侶「これほどの罪のない命が........」グッ

野獣先輩「死体に冥福祈るより、自分の安全祈ってくれよなぁ~頼むよ~!」

不気味な死体がそこらじゅうに山になっている。
やきう達が気持ち悪がっていると、不意に死体の山の中の一人が動いた。

??「ん、ぐぅ........!」ググッ

僧侶「せ、生存者........!」
彡(゚)(゚)「し、死体のガッキが動いたああああ!?!?!?」ビクゥ

野獣先輩「落ち着け。どうやら生け贄の生存者みたいだゾ..............じゃあまず名前を教えてくれるかな?」

??「........ぼ、ぼく......................」

今日はここまで
急かしたら(休憩を)×2だからな!(おじさんルール)

ひで「ぼくひで」

死体の山から這い出て来たのは、小さな少年。(小さいとは言ってない)
死体の腐臭も気にせず潜り込んでいて、身体をカタカタと震わせながら話している所をみると、どうやら余程怖い思いをしたようだ。

僧侶「ひでくんですか........怪我はありませんか?」

野獣先輩「くっせぇなお前(直球)」

彡(゚)(゚)(こいつ見てるとなんかイラつくのは何でや........?)

彡(-)(-)(こっち来てからなんか忘れてる気がするけど........ま、エエか!)

彡(゚)(゚)「お前、こ↑こ↓で何があったか、話せるか?」

ひで「ま、魔物の、おじさん、が........」ガタガタガタ

野獣先輩「(これ以上を聞き出すのは)ダメみたいですね........」

僧侶「魔物のおじさん........恐らく、彼が襲われた魔物が幹部と考えて間違いないでしょう」フム

おっ、(更新)あいてんじゃーん!
すまんな

彡(゚)(゚)「ほ、ほな........その、魔物のおじさんがどこにおるか........教えてくれへんか?」

ひで「あっち........」

少年が指差す方向には、木で出来た大きな扉。
血飛沫がこびりつき、異様な雰囲気を漂わせている。

僧侶「あの扉の先に........」ゴクリ

身構える僧侶を他所に、やきうと野獣は扉へと向かっていく。

彡(゚)(゚)「おし、いこか、野獣........!」
野獣「オッスお願いしまーす!」バァンッ

野獣先輩が扉を蹴り倒す。
するとそこに待ち構えていたのは........

_____
information

彡(゚)(゚)

職業:勇者 レベル:7
筋力:15 体力:21
技量:9 敏捷:10
知識:15 知恵:263
魔力:10 
耐久:12 生命:25
反応:25 精神:35
幸運:165

_____
information

野獣先輩

職業:武道家 レベル:65
筋力:114 体力:514
技量:931 敏捷:810
知識:36 知恵:43
魔力:64 
耐久:893 生命:893
反応:364 精神:364
幸運:1145141919810931

_____
information

僧侶

職業:僧侶 レベル:13
筋力:19 体力:26
技量:15 敏捷:21
知識:21 知恵:40
魔力:51 
耐久:28 生命:32
反応:19 精神:45
幸運:34

_____
information

ひで

職業:小学生 レベル:5
筋力:50 体力:150
技量:1 敏捷:6
知識:2 知恵:4
魔力:3 
耐久:893 生命:931
反応:7 精神:5
幸運:0

「真ん中来いよ........」スウッ

闇に煌めくは真剣の。
幾多の命を刈り取った。
鬼とも言える妖刀の。

持ち主の眼であった。

幹部おじさん「えぇッ!!?真ん中来いよオラァァァァァァッ!!」ダンッ!
瞬間、妖刀使いが踏み込むッ!!
それと同時に前に出る野獣先輩!!

野獣「いいよ!こいよ!!」シュバババッ
幹部おじさん「っだあぁ!!?」ドムンッ
連続で襲い来る剣戟を拳でいなし、確実に相手の懐に拳を打ち込むッ!!
さらにっ!!

野獣「『武知波』ッ!!」ブッチッパ
茶色の光弾を零距離で撃ち出し、妖刀使いを吹き飛ばすッ!!

幹部おじさん「があああああああああっ!!」ドゴォンッ

勢いで岩壁にぶつかる妖刀使いッ!!
それと同時に僧侶が詠唱を始める!

僧侶「........っ!『エアカッター』っ!!」シュバッ
直後、僧侶の杖の先から空気の刃が飛び出る!!
それと同時に踏み込むやきうっ!!

彡(゚)(゚)「食らえやぁッ!!」ザシュッ!

やきうの剣と空気の刃に切り裂かれ、夥しい量の血が吹き出すッ!!

幹部おじさん「っ................」ピクッ

ひで「おじさんもう死んじゃったのぉ~?」

幹部おじさん「........ってえなオイオラァ!!!!」ズオオオオオオッ
ひで「........えっ」

不用意に前に出るひで。
それと同時に、妖刀使いから殺気が流れ出るッ!!

僧侶「ひでくん!!危ない!!」

幹部おじさん「 ア゛ア゛ーッ! ざけんじゃねぇよオイ! 誰が大技出していいっつったオイオラァ!(大技)」ズババババババババッ

僧侶が気付くも時既に遅くッ!!

ひで「っあああああああああああああ痛い痛い痛いぁあああああああッ!!!!!!!!」ブッシャアアアアッ

ひでは無数の斬撃に身体を切り刻まれるッ!!

彡(゚)(゚)「ひでっ........!!」

野獣「うっそだろお前........(戦慄)」

立ち上がる妖刀使い。
その身に傷は無く。


幹部おじさん「本気で怒らしちゃったねー、俺のことねー?........おじさんのこと................本気で怒らせちゃったねぇッ!!」ズオオオオオオッ

返り血にまみれたその姿は、まさに紅き鬼であった。

ひで「........」ピクピク

とりあえずここまで
随分空きましたねぇ!!本当に申し訳ナス!

彡(゚)(゚)「さっきは確かに斬ったのに........なんでや!」

野獣「これは魔力治癒ですね間違いない........とにかく攻め続ければ結局根をあげるんだよ........なぁ!!」ダンッ

言葉と共に野獣が飛び出す!
それと同時に妖刀使いも刀を構え飛び込むッ!!

野獣「ホラホラホラホラ!!」シュババババッ

幹部おじさん「あぁ痛ぇっ!!」ズガガガガッ

拳の連打を物ともせずに野獣先輩の懐に入り込む妖刀使いッ!!

野獣「ヌッ!?」
幹部おじさん 「真っ赤にしてやるよほら、これから........真っ赤っ赤にしてやるよッ!!」ギュオオオオッ


幹部おじさん 「........5回」ズバババババッ


野獣「ンアッーーーーーーー!!」ブシャアアアアッ

瞬間ッ!!
五つの閃光が走りッ!!
野獣の浅黒い肉体が深紅に染まるッ!!!!

幹部おじさん「おー、いい色に染まったなぁ?」

血に濡れ地面に崩れる野獣先輩を見下ろす妖刀使い。
野獣先輩は立ち上がる事も出来ずただただ傷口を腕で抑えている。

野獣「や........やりますねぇ................!!」ガクガク

彡(゚)(゚)「なんてことを........野獣ッ!!!!」タンッ

堪えきれず飛び出すやきう!!
そしてそのまま斬りかかる!

幹部おじさん「雑魚が........」キンッ

初撃を弾かれるっ!
しかし尚も攻め続けるッ!

彡#(゚)(゚)「このっ、この、この、このぉっ!!」ヒュバババッ

幹部おじさん「っちぃ、雑魚は黙ってろオイオラァ!!YO!」ドガァーッ!

彡()()「ほげっ........」ズザーッ
僧侶「ああっ........!!」
かすり傷を追わせるも大した傷にはならず、蹴り飛ばされてしまうッ!!

僧侶「ひ........『ヒール』!」パァァァーッ

野獣「ああいい風呂........」スゥゥゥッ

ひとまず野獣先輩の傷を塞いだ僧侶。
傷が塞がったのを確認すると、野獣は素早く立ち上がるっ!

野獣「これは本気出さないと駄目みたいですね........!!」ズバッ!
幹部おじさん「ぐぅっ!」ドゴッ

素早い蹴りッ!!
そしてそのままッ!!

野獣「ホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラァッ!!」ドガガガガガガッ

幹部おじさん「おっべェーッ!!」ズドドドムゥッ

野獣「『武知波』ッ!!」ブッチッパ!

幹部おじさん「ッウェー!ッウェー!」ドガァァァッ!!

突きの連打からの零距離武知波ッ!!
たまらず吹き飛ぶ妖刀使いッ!!
しかし野獣の攻撃はまだ終わらないッ!!

野獣「『神之身倣』........」カンノミホ...

その言葉と同時に、野獣の全身が光るッ!!
その輝きがその場に居る物全ての眼を魅了するッ!!
その輝きはまさに神の如くッ!!

そしてッ!!

野獣「『神之御法』........」カンノミホ........
彡(゚)(´)(名前が同じなのに........違う技や........!)

未だ動けずに居る妖刀使いに瞬時に近付き、無数の蹴りの連打ッ!!
血ヘドを吐く妖刀使いッ!!

幹部おじさん(どういうことだ........威力も速度もさっきに比べてダンチじゃねえか!!)ゴフッ

蹴りの連打を止めると同時に、妖刀使いの胸ぐらを掴む野獣ッ!!

幹部おじさん「つ、掴むんじゃねえ........スーツが........ッ!?」

妖刀使いを掴んだ野獣は、そのまま自分を中心にして回転ッ!!

2回ッ!!
3回ッ!!!
4回転ッ!!!!

そしてその勢いのまま投げ飛ばすッ!!
もの凄い勢いで壁へと飛んでいく妖刀使いッ!!!

野獣「俺の可愛い後輩を蹴り飛ばしやがって........覚悟は出来てるんだろうなぁ!?」ドッガァーッ

幹部おじさん「っがあああああッ!!!!!!!!!!」ドガシャアアアアンッ

妖刀使いを投げ飛ばしたと同時に一瞬で先回りした野獣先輩が、飛んでくる妖刀使いにカウンター気味のラリアットをぶちかますッ!!
見事顔面に命中し、反対方向に吹き飛ばすッ!!

野獣「ハア、ハア、ハア........」シュウウウウッ

身体の輝きが収まると同時に、地面に膝を付き肩で息をする野獣先輩。

野獣「チカレタ........(小声)」
僧侶「自己強化の魔術........でしょうか?なんて効力........」

彡(゚)(゚)「まあ、あれだけやればもう起きてこんは........ず................」

やきうが見つめるその先には、血を流しながらもこちらへと歩いてくる妖刀使い。

幹部おじさん 「興奮させてくれるねぇ........!好きだよ、こういう戦い!」

野獣「うっそだろお前........(絶句)」

彡(-)(゚)「........傷が回復してないのを見るに、ただ魔力で回復しているわけじゃない........?(名推理)」

幹部おじさん「そう........」タンッ

野獣「ッ!?」ピクッ
彡;(゚)(゚)「ッ!!?」タンッ

言葉と共に消える妖刀使いッ!!
即座に反応し、各々相手からの攻撃に備えるがッ!!

幹部おじさん「おじさんの刀はねぇ........斬れば斬るほど使用者の傷を癒してくれるんだよッ!!」ズバババババッ

僧侶「えっ........?」

反応に遅れた僧侶ッ!!

彡(゚)(゚)「そ、僧侶........!!」


僧侶「ゆう、しゃ...さ...............」ズルゥッ

僧侶「........っ!」ドチャッ

数秒、喋った。
その後、全身がバラバラの肉片になりまるで積み木ののように足元からバラバラに崩れ落ちていった。

彡;;(゚)(゚)「あっ........ああ........っ!!」
野獣「頭に来ますよ........(震え声)」

幹部おじさん「ふふっ、クッ........クハハハハッ!!」

幹部おじさん 「おじさんはねぇッ!!君達みたいな人間のねぇ、この絶望顔が大好きなんだよッッッ!!フハハハハァーッ!!」グシャッ

首から下を切り落とされた僧侶の頭に妖刀を突き刺し、心底楽しそうに笑う妖刀使い。
その身に先程の攻撃の傷は無く。
ただ僧侶の返り血に赤く染まっているのみだった。

今日はここまで

彡#(゚)(゚)「こ、の...糞がァーッ!!」タンッ

幹部おじさん「効かねぇってんだろクズが...!」キキキキィンッ!

がむしゃらに剣を振るうも、すべていなされる!
しかしその間に回り込んだ野獣が妖刀使いの襟元を掴むッ!!

野獣「頭行きますよ~(予告)」ゴシャアッ
幹部おじさん「ッ!!!!」グシャッ

妖刀使いの頭を地面にぶつけ、そのまま全体重をかけたストンピング!

なおも追撃を続ける野獣が、口を開く。

野獣「...やきう君、君は逃げろ」ドガッドガッ

彡(゚)(゚)「えっ?」

突然の言葉に、やきうは言葉を失う。

野獣「きっと、ここまでしてもコイツは...立ち上がる。そして、その時こそ.........俺達の敗けが確定する」

野獣「なら、せめて勇者...やきう君だけは、生き延びてほしい」
野獣「さあ、逃げろ」

彡;(゚)(゚)「なに、アホな事言うとんねん...!お前、ワイは...!」

野獣「入り口に積まれた亡骸を見たダルルォ!?そして無惨にも殺された僧侶をッ!!」

彡;;(゚)(゚)「で、でも...」

野獣「...お前が離れてくれれば、俺はコイツと相討ちにならなれるんだ」グイッ
妖刀使い「て、テメェ...」ヨロッ

彡;;(;)(゚)「...やめろや!何言ってるんや!!ワイらは...ワイらは生きて帰るんや!!!」

野獣「...やきう。お前が影でずっと努力してたのは知ってた」ドスッ

彡;;(>)(゚)「ぎゃああっ!!」ドシャーッ

野獣に蹴り飛ばされ、洞窟の端まで吹き飛ばされるやきう!


野獣「そんなお前の事が...好きだったんだよ」スゥゥゥ
妖刀使い「て、めぇ...放しやがれ、この.........!」グググ


野獣「イキスギィ!イクイクイク...」

「ンアッーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」


┣゛ゴォォォオォォォン......!!!!




野獣の叫び声が聞こえた刹那。
洞窟内を光が満たし、轟音が響いた。

光と煙が晴れた後、そこにあったのはどこまでも続く深い大穴と。
肉の焦げた嫌な臭いだけだった。

彡;;(;)(゚)「あ、ああ.........!!」

彡;;(;)(;)「あああぁあーーーーっ!!!!!!!!!!!」

少年の慟哭が、暗い洞窟に響いた。


───

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