グリP「これ茜ちゃんが着ていたサンバカーニバルTシャツだよね」 (32)

※要注意:プロちゃん変態&感動クラッシュ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1457970720

ここにプロちゃんが見逃せないダイヤの原石がいるよ
茜ちゃんがアイドル活動を初めて早3年が経過した。
その契機に茜ちゃんのライブ出演が決定、長年の念願が実現した。

彼女の晴れ舞台をひと目見ようと大阪に駆けつける大勢の人々。
高鳴る期待、揺れる鼓動。茜ちゃんの登場に皆が息を呑んだ。

果たして、その立ち振舞の堂々たることか。
他メンバーとは遅れてのライブ参加だった、しかしそれを感じさせない連携力。劇場に響き渡る力強い歌声に律動を覚え、華麗なダンスには目を奪われる。いっぽう挨拶で茜ちゃんは3年の歴史と劇場の熱気に感が極まり、勝ち気に輝いた双眼がキラリと潤ませた。その瞬間、プロちゃんの視界には白い靄がかかり、茜ちゃん人形がプリントされたタオルを目元に運んだ、全プロちゃんが泣いた。

そこはね、笑うとこだよ。
劇場は歓声に吹き上がった。
最高のパフォーマンスだった。

今日ほどプロちゃん冥利に尽きた日はなく、
今日ほどプロちゃんであったことに感謝した日はなく、
今日ほどプロちゃんである自分を誇りに思った日はない。

俺もサンバTシャツに身を包み、
茜色のサイリウムを高らかに掲げた。
ありがとうミリオンライブ、ありがとう茜。

グリP「プリにゃん最高やん……」

茜「プロちゃん、関西弁残ってるよ」

グリP「関西圏の方々がなんJ民に見えて、色々と自分が重症だって気づいたで」

茜「なんじぇえみん?」

グリP「しかしラストの奈緒のエピソードは反則やったな、あんなの誰でも泣くやん」

茜「茜ちゃんの時も泣いてたし、もうどうしようもないね」

グリP「3rdも終盤戦、気合入れていくか」

茜「茜ちゃんの出番はもうないけれどね」

グリP「次はいつになるんだろうな……」

茜「ところで茜ちゃんのライブは超絶に可愛くて大活躍だったけれどプロちゃんは茜ちゃんのギランギランに輝いている姿をちゃんと見ててくれたかな、見ててくれたよね、茜ちゃんには分かるよ、プロちゃんの格好を見れば」

グリP「茜ちゃんのサンバTシャツと茜ちゃんタオルな、これ考えたやつ天才だろ」

茜「茜ちゃんショップの目玉商品がまた一つ増えてしまった……、ふふっ、茜ちゃんは来年の確定申告が今からたのしみだよ」

グリP「ちなみに今年の確定申告書は? え、見せてくれる? ……あ、やっぱいいです。なんか落ち込む予感がするから」

茜「可愛い茜ちゃんのルックスと灰色の脳細胞をもってすれば当然の結果だけれど、儲けるって楽しくてしょうがないね」

グリP「その利益の結果がジャイアント茜ちゃん人形だよ」

茜「そうだ! 今度のライブではアレ使っちゃおうか、プロちゃんに預けっぱなしなのも勿体無いもんねっ。もう2,3体ぐらい生産して、後ろで踊らせちゃおう。うわー、茜ちゃん天才的」

グリP「アレに俺の生活スペースの半分ぐらい持っていかれてんだけど。なんか時々、夜中に目玉が動くし」

グリP「はー、しっかしガチで神ライブだったな。茜ちゃんのサンバTシャツに包まれて茜ちゃんを応援できるなんて、プロちゃん幸せだ」

茜「おやおや、プロちゃん幸せを噛みしめるのもいいけれど、何かすることが残っているんじゃないかな?」

グリP「おっ、そうだな」

茜「たくさんのご褒美となでなd」

グリP「クンカクンカだ!」

茜「で、ええええええええええ?!」

グリP「サンバTシャツクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカ」

茜「プロちゃんがTシャツに顔を埋めている……」

グリP「茜ちゃんがサンバカーニバルのレッスン中に着ていたTシャツを、いま俺は着ているわけだ、クンカクンカ以外に、むしろ俺は何をすればいい?!」

茜「着れないよ、茜ちゃんのサイズのTシャツをプロちゃんは着れない……」

グリP「すん……この芳醇な甘酸っぱいフレーヴァー、茜ちゃんの努力の結晶が俺の体内に取り込まれていく」

茜「ソレさっきプロちゃんがライブで茜ちゃんを応援した汗だよ、茜ちゃん優しいから努力の結晶の部分は否定しないけれど、ソレが茜ちゃんの汗じゃないことは断言させてね」

グリP「ちょっと待って、茜ちゃんの着ていたサンバTシャツを着用するって、つまり俺いま茜ちゃんに抱きしめられてるのと変わんなくね?!」

茜「だから違う、それ茜ちゃんの着てたシャツ違う」

グリP「よしっ、俺もいま茜ちゃんを抱きしめるぞォー! くぎゅううううううううう!」

茜「うわっ、自分の身体に自分の腕を巻きつけ始めた! すごい変質者みたいだよプロちゃん! 現時点で変質者だけど!」

グリP「やばい、女子に抱きついたのは初めてだ。……女子に身体って、こんなに気持ちいいんだな、茜」

茜「茜ちゃんの初ライブで自律神経がおかしくなってるんだよね、気持ちは分かるよ、気持ち悪いけど」

グリP「俺、生まれて初めてだ、女子に抱きついたの」

茜「悲しいから現実に戻ってきてとも言えないなコレ。童貞って、なんてみじめであわれな生物……」

グリP「しまった、ついうっかり意識が飛んでいた」

茜「ああ、良かった。ついに正気に戻ったんだね、おかえりプロちゃん」

グリP「茜ちゃんの汗をダイレクトに吸っているのはTシャツだけじゃない、タオルもだ! よーしっ、プロちゃんペロペロしちゃうぞー!」

茜「グッバイ、プロちゃん」

グリP「レロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロ」

茜「うわー、まじでやってるよ、成人の男が」

グリP「スペシャルにうまい! おかわりー!」

茜「茜ちゃんはいいけど、このSSで他のアイドルを汚すのは許さないよ」

グリP「ああ、茜ちゃんの体温と体液と体臭を感じる、甘い、甘すぎる、これでツラい明日を生き抜けるぜ……」

茜「だから、そのTシャツとタオルに茜ちゃんの老廃物や体臭は付着してないし、ゆえに決してプロちゃんが茜ちゃんの芳醇な香りを体内に取り込むことはできないよ、早く気づいてプロちゃん」

グリP「はっ、俺としたことが忘れていた。頑張った茜ちゃんへのご褒美がまだじゃないか!」

茜「プロちゃん……やっと思い出してくれたんだね、さあ茜ちゃんにでっかいご褒美を!」

グリP「ご褒美のモミモミだ。モミモミモミモミモミモミモミモミ」

茜「プロちゃんが自分の胸をもみ始めた、コレはやばい」

グリP「どうだ茜、気持ち良いか」

茜「16年生きてきた中で最高に気持ち悪い」

グリP「モミモミ定期券貰っちゃったからな、モミモミするしかないじゃん」

茜「プロちゃんにあげたの、なでなで定期券だよ」

グリP「茜ちゃんをモミモミできて、俺も気持ちいいよ」

茜「そらそうだろうね、揉んでんだもん自分の胸を」

グリP「そして、この茜色のサイリウム……はっ!」

茜「サイリウムの輝きでプロちゃんの精神が浄化された……だと?」

グリP「Tシャツの下からサイリウム入れたら、……ほら、なんていうか、卑猥じゃないですか? ……ハァハァ、茜ちゃんの、Tシャツに……ハァハァ」

茜「とうにプロちゃんの精神は輝きの向こう側へ逝ってしまったか……」

グリP「まさか……、おい、スゲーこと思いついた! このTシャツを着て、タオルを巻き付けることによって……、どうだ! 俺は茜ちゃんと一体化しているゥー! もうこれってアレだよなアレ! セクロ」

茜「どりゃああああああああああ!」ドカッドカッ

グリP「ぐぶっ、ごぼっ、ごっ、おおっ、がっ……」

茜「これはクンカクンカの分! これはペロペロの分! これはモミモミの分!」ドコッバコッ

グリP「……はぁはぁ……、はっ! 俺は、俺はいったい今まで何をしていた?!」

茜「あ、今度こそ瞳が戻った。最初っから殴っときゃ良かったんだね」

茜「茜ちゃんはがっかりだよ、茜ちゃんの記念すべき初舞台に、そんな邪念を抱いていたんだね!」

グリP「いや、……その、ライブに、興奮しちゃって、つい。すいませんでした……」

茜「超感動的なライブの直後だよ! どうしてくれるの、このSS! 史上最低だよ! エレファントのコメント欄に一つ星評価が並ぶのが茜ちゃんの目には浮かぶよ!」

グリP「で、でも……最初に感動クラッシュ注意って断ってるからセーフ」

茜「断っておけば何やっても許されると思ったら大間違いだよプロちゃん! そういうの大人だから分かるでしょ?!」

グリP「はい……すいませんでした」

茜「このSSはプロちゃんの感動を奪っただけじゃなく、プロちゃん達の信用も下げたよ?! 世界中のプロちゃんが変態だと世間に思われたら、プロちゃんはどう責任を取ってくれるの?!」

グリP「ど、どうって……どうしよう、ははっ」

茜「なに笑ってんの?! 多分プロちゃんは、他のプロちゃんに袋叩きにされて、ドラム缶にコンクリート詰めされて、東京湾に沈められちゃうよ?!」

グリP「…………うっ、うう……ぐすっ」

茜「…………しょうがないな」

グリP「え?」

茜「ここから茜ちゃんがシリアスに持って行こう」

グリP「まじっすか」

茜「大丈夫、状況は絶望的だけれど、天才の茜ちゃんならきっとできる! プロちゃん、エレファントの星を増やすぞォー!」

グリP「にゃんにゃん、うーにゃんにゃーん!!」

「yes yes I'm near near you~ フンフーンフンフーン……」

音が聞こえた、儚くも透き通った鼻歌とカツ・カツと地を鳴らすジューズ。
そのサウンドがうららかなのは劇場の音響効果が故か、否、彼女の心情が関係しているのであろう。言葉では言い表せない温かいもので心が満たされて、それでもって寂しい。小さな鼻歌は美しく響いたが、畳まれた観客シートには到底届かなかった。
彼女は何かを確かめるように左から右へとステージをゆったりと歩み、顔を上げ空席を見回していた。あの席にはオレンジ色のTシャツがあった。あっちの席のお客さんは片手に五本のサイリウムを持っていた、その全てが茜色だった。しっかりと自身のファンをこの目で確認した、全てだ。もちろんそれだけじゃない、本日一緒に出演した他のアイドルたちの熱狂的なファンも、いっぱい見ることができた。……でも、茜ちゃんのソロでは全観客が一様に私のことを応援してくれた。

「茜ちゃんが、この劇場を茜色に染めたんだよね」

視界は自然とまぶたの裏側に貼り付けられた眩しい光景を反芻する、かと思えば白くぼやけて何も見えなくなるのだ。彼女は目をこすり、笑顔で言った。

「今までの歴史が、みんなの努力が続いて茜ちゃんをこのステージに上げてくれた。同じように次のライブに茜ちゃんがバトンをつなげることができたのかな。……そして、また茜ちゃんにバトンが渡ってくればいいなぁ」

「当然、渡ってくるさ。それが絶世の天才美少女茜ちゃんの宿命だよ」

彼女は舞台袖に振り向いた、そこに一つの影があった。薄暗い先にある姿を確認できないが、聴き馴染んだ声でその男がプロデューサーであることを瞬時に理解した。

「プロちゃん……どうしてここにいるの?」

「茜ちゃんこそ、もうライブは終わったぞ」

ステージ中央に立つ彼女に向かって男が歩を進めた。おおよその役目を終えたステージの明かりは、男の風貌を控えめに照らした。くしゃくしゃの笑顔で、右手を振っている。

「……っぷ、くくく、あはははっ」

茜は吹き出した、男がその理由を訊ねると彼女は答えた。

「だってね、プロちゃんいつもはスーツなのに、今日はGパンにTシャツですっごいラフだから、そのギャップがね。あははっ、それに汗だくで、まだ顔が真っ赤なんだもん」

男は照れくさそうに鼻を人差し指で掻いた。それから「っべー超シリアスじゃん、っべー」と、小声で呟いたが、ここでは言及しない。

男が彼女に近づき終える、と矢先さらに彼女はスキップで男に接近した。男の目の先に茜色の髪が揺れる、彼女は男の手を掴んだ。男の肩が「ビクゥ!」と揺れた。

「それだけ茜ちゃんを必死で応援してくれたんだね! さっすがプロちゃん、やる時はやってくれるよ! そういう所、茜ちゃんは大好きだよ!」

「……えっ、あっ、その……うん、すいません……」

男が謝罪した、礼のつもりらしい。さすが童貞である。

「ど、どうだった茜ちゃんのステージ……、茜ちゃん、ちゃんとアイドルできた……かな、えへへ」

彼女が不安げに訊ねた。平素は不敵な発言や態度の多い彼女には珍しい姿だが、それだけ初めてのライブはプレッシャーだったようだ。男は声を張り上げた。

「そんなの聞くまでもない! さいっ、こうだった! 完璧だ、会場を熱気の渦で巻き込んだ! 茜ちゃんのプロデュースができて俺は幸せだ! プリティーにゃんにゃーん!」

「ぷ、プロちゃん……あ、ありがと」

ある程度の答えを予測はしていた彼女だったが、それを上回る男の気迫に尻込みし、思わずうつむいてしまった。唐突に彼女の目頭が熱を帯び始めた。

「うっ、……うう、にゃはは……」

弱々しく笑い、震えだす彼女の頭を男が撫でた。何度も何度でも。

「……ぐすっ、もうっ、こんなときに頭ナデナデしないでよ」

「なんでだよ、いつも撫でてってうるさい癖に」

「だ、だって、いま撫でられたら茜ちゃん、ぐすっ、もう、……う、うぇえ」

それから、男は彼女の涙が落ち着くまで頭を撫で続けた。しばらく、彼女は赤くなった目元を細めて言った、すっかりいつものトーンに戻った、元気な声で。

「プロちゃん、茜ちゃんご褒美が欲しいな! チラッ、チラッ!」

男は頷いた。

「おう、いいぞ、なんでも言ってみろ、絶対に叶えてやるから」

果たして、彼女は言い放った。

「抱きしめて」

男の表情が固まった。

「……………………いま?」

「うん、いまここで」

「……………」

コミュニケーション選択

X: 笑ってごまかし、プリンを買いに行く

Y: 茜ちゃんの腕を引っぱり打ち上げへ

B: 裸になって土下座

茜「…………はあっ?!」

グリP「…………………」

茜「ちょっとカメラさん止めてー!」

グリP「………………」

茜「なんで選択肢が全て逃亡系なの?!」

グリP「いや、……だって俺プロデューサーで茜ちゃんアイドルじゃん」

茜「そんな陳腐な、量産されるSSでお馴染みのセリフ吐かないでよ!」

グリP「お馴染みでも、つまんなくても、マズいものはマズいわけで」

茜「いまこの状況で逃げるほうがマズいよ! ここは抱くとこだよプロちゃん! これからの返答によってはホテル行きもありえるよ?!」

グリP「ホテルで大富豪でもやるのか?」

茜「それでもナニ付いてるのプロちゃん、マジで子孫残せないよ?! 親に申し訳ないと思わないの?!」

グリP「やめてくれ、その術は俺に効く」

茜「ああああああ、せっかく茜ちゃんがロマンチックな構成を考えたのに台無しだよ! プロちゃんシリアスブレイク東京湾に沈められるコースだよ!」

グリP「で、でも、……もし誰かに見られたら、俺クビになっちゃうじゃん」

茜「この劇場にはカメラさん以外は誰もいないよ、そういう風に茜ちゃんが手配しました!」

グリP「カメラって、記録する気満々じゃん……」

茜「このカメラの映像はSSをご覧になっている方にしか放送しません! このカメラさんは信用できる人なので流出も一切なし!」

グリP「す、すごいな……」

茜「プロちゃんは茜ちゃんを抱きたいの? 抱きたくないの? どっち!」

グリP「り、理性の勝利です」

茜「…………………ッチ」

グリP「ビクッゥ!」

茜「考えてみれば、ちょいとおかしくありませんか、プロちゃん」

グリP「え、何が?」

茜「なんでTシャツに欲情できて、本体である茜ちゃんに欲情できないのかなぁ」

グリP「……………………」

茜「あぁ?!」

グリP「ひっ、わ、分かった! 正直に言う! じつは女性に抱きつくのが怖いんだ! だって生身の女性に触れるのって犯罪じゃん! 俺犯罪者になりたくない!」

茜「はぁ……、ねぇプロちゃん、哀れなプロちゃんに茜ちゃんが教えてあげる。相手の了承を得られれば、別に抱きついても犯罪じゃないんだよ」

グリP「な、なんだってー!」

茜「うん」

グリP「じゃ、じゃあ、相手が良いって言ったら俺のこと縛ってくれたり、首輪付けてくれたり、蹴ってくれたりしちゃうの?」

茜「ごめんなさい、茜ちゃんにはプロちゃんの性癖を受け止める度量はないです」

グリP「えええええええー!」

茜「なるほどね、これまで生身の女性に相手にされてこなかったあまりに、劣情のぶつけ先がズレていって、妄想力だけが膨れ上がっていって、どんどんと性癖が倒錯していったんだ」

グリP「申し訳ございません」

茜「記念」

グリP「え?」

茜「記念だからさ、ちょっとだけ勇気出してみない? ね、プロちゃん」

グリP「記念、か」

茜「思い出残したくない? 茜ちゃんの初めて、プロちゃんと共有したいな」

グリP「そ、そうか……」

茜「お互い3年間頑張ってきたじゃん、けっこうすごいことだと思うよ」

グリP「そ、そうだよな。この時代、3年続いただけでも大金星だ」

茜「もっと気楽に考えよ、スポーツで勝ったような感覚。抱きしめ合って今日の喜びを分かち合うんだよ、プロちゃん。ほら、ご褒美ちょうだーい!」バッ

グリP「よし、そうだな! 今日に乾杯だ茜ちゃーん!」ダキッ

男が彼女を抱き寄せた、小柄な彼女の身体はすっかり腕の中に収まってしまう。彼女も目一杯腕を回し、全身で男の体温を感じた。ライブの熱が冷めない二つの身体が、お互いに熱情を主張しあう。そのぶつかり合いは蕩けそうなほどの快感で、ゾクゾクと彼女の心を満たし始めた。

プロちゃんの体温で身体が溶けそう。

Tシャツの生地越しの広い胸板が良い。背中に回された彼の指先がジンジンと神経を震わせる。太い腕に拘束された腰元がこそばゆい。彼の方に乗せた顔の、その目がみるみるとまどろんでいく。それを彼女自身も感じている。

「長かったようで短かったね」

「…………だな」

すっと目を閉じ、彼女は快楽に身を委ねた。やっぱり彼は大きくて逞しくて、共に歩んできたパートナーに違いはなかった。これからもずっと一緒にいたい。そして、今日みたいに嬉しいことがあったら、今みたいに抱きしめ合いたい。

「ねぇ、プロちゃん」

「なんだ?」

「良かったね、ライブ」

「ああ」

「あのね、茜ちゃんね」

「うん」

「もしかして、一生出られないのかなって。だって、他に歌やダンスが上手な子がいっぱいいるから。茜ちゃんが出る必要はないのかなって、ちょっとだけ思ってたんだ」

「そうか」

「茜ちゃんは必要ないのかなって、……ぐすっ、不安で……壊れそうで……」

彼女の腕が彼の背中から首筋に這って、肩に乗せた顔を離して、彼と見つめ合って、泣き出した彼女の顔を、彼は笑顔で受け止めてくれて、その証拠に彼は腕に力を込めて、限界まで身体を密着させて。

「……ぜったぃ、茜ちゃんのこと、……トップアイドルにしてね、もう茜ちゃんを不安にさせないで」

「こんなに可愛い茜ちゃんをトップアイドルにできなかったら、俺は地獄行きだ。絶対に、伸し上げる!」

「プロちゃん、大好き……」

「俺も、好きだよ、茜」

二人の顔が近づき、自然と顔の傾きに角度を付けて、互いとなく唇を差し出し。
あと数ミリとないだろう、そんな時だった。

奈緒「やぁやぁお二人さーん、こないとこにおったんやね、探しとったでー!」

茜「………………」

グリP「あばばばばばばばばばばばば」

奈緒「なんや、二人とも、まだライブの余韻が抜け切れていないみたいやなー。ま、私もそうなんだけれど」

茜「茜ちゃんのライブ完璧だったからねーっ、プロちゃんとそれを確認しあってたのだよ! 奈緒ちゃんのプロちゃんはどんな感じだった?」

奈緒「大の大人がみっともなくボロボロ泣いとったわ、夢が叶ってよかったなーって、人前で抱きしめてきて、あんまりめそめそするもんやから、私もつられてホロッときてもうたわ」

茜「大体そんなもんだよねー、茜ちゃんのところもそんな感じ、ね、プロちゃん!」

グリP「あばばばばばばばばばばばばば」

奈緒「風花さんのとこもすごかったで、お涙頂戴の熱い抱擁やわ。一瞬、風花さんのプロデューサーの目が血走ったのを私は見たけれど、まあ、……感動的に収まったで」

茜「ふふーん、まあそんなもんだよね。ね、プロちゃん!」

グリP「あばばばばばばばばばばばば」

奈緒「余韻に浸るのもええけど、そろそろ打ち上げの時間やで、たこ焼きパーティーでいっちょ盛り上がりましょうー! ほら、みんな待っとるで!」

茜「ありがとう奈緒ちゃん、さっ、プロちゃんも行こうか!」

グリP「ああ、そうだな。茜、これからもよろしくな」

茜「よろしくね、プロちゃん!」

おわり

大阪ライブお疲れ様でいた。
サンバTシャツのプロちゃんがいっぱいいて、本当に嬉しかったです。

青春18きっぷで大阪から東京で帰る電車の中で書き始めたSSです。
色々と失礼いたしました。
そして、こんなプロちゃんで本当にごめんなさい。

サイリウムと茜ちゃんで茜色に染まった劇場の光景、私は一生忘れません。
ご拝読ありがとうございました。

あと良かったら他にも書いてるのでどうぞ。
全部似たようなモノになってしまうと今回書いていて気づいたので、
もし次があれば別のキャラで頑張ってみます。まあ、私は一生プロちゃんなんですがね。

グリP「……キス友?」
グリP「……キス友?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1440256908/)

グリP「なでなで中毒」
グリP「なでなで中毒」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1447847661/)

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