艦隊これくしょん story of memory 第一章 暴竜と呼ばれた男 (207)

初めまして。SS初投稿者です。
このSSはあるお方の作品をオマージュさせて頂いております。
なので、大まかな流れや設定が被っていますm(_ _)m
その他、
・何かしらの都合で更新が遅れる場合があります。
・艦これをプレイした事が無いので、キャラ崩壊など、独自設定が入る事も。
・時間軸を利用して様々な作品をパクったりします。
・説明の為、地の文を入れる場合もあります。
・艦娘以外の登場人物に名前が出て来ます。
・かなり直接的、グロテスクな描写を入れる事があります。
・文章&語彙力が壊滅的な上、伏線の張り方もすぐ分かるぐらい下手くそです。
・・・・・長々とした前置き失礼しました。他にも至らない点がありますが、以上の事を踏まえて尚、大丈夫と言って下さる優しい方々は、どうか温かい目で見守ってください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1457964135

提督「初めまして。これより鎮守府に着任し、艦隊の指揮をとる者だ」

電「は、はい。駆逐艦の電なのです。よろしくお願いします、司令官さん」

電(とても長身でほっそりした若い男性なのです。でも、目から生気を感じないのです。そして何よりm・・・)

提督「電」

電「は、はいぃ!何でしょうか、司令官さん」

提督「他には誰もいないのか?」

電「はい。ここには初期艦の電だけなのです」

提督「・・・・そうか。お前からは何か質問はあるか?」

電「では・・・・司令官さんは何で軍服を着てないのですか?」

提督「昔着たことがあるのだが、動きづらくてな。無理を言って許可を貰った」

電(それでも、その服装はどうかと・・・)

彼女がそう思うのも無理は無い。青年の服装はお世辞にも軍人のそれとは言い難いものだった。無地の黒いVネックの上に赤いチェック柄の長袖シャツを羽織っている。赤い袖に通している両手の親指を青い長ズボンのジーンズのサイドポケットに入れていて、ズボンの裾からは黒いスニーカーのような靴が覗いている。だが、それよりも彼の身に付けたある三つの物が、電の注意をひいた。

電(司令官さんのネックレスと指輪、とっても綺麗なのです)

うち二つは、銀色の細かなチェーンの先に美しい七色の珠がついたネックレスと左人差し指に嵌めた金色の指輪だった。そして、


電「司令官さん、その・・・どうして刀を持っているのですか?」

もう一つの物、それは彼の左腰に携えられた一振りの日本刀だった。ただの刀ではない。黒い鞘の周囲を金色の龍が巻きついており、鯉口を横から咥えるかのように頭部が付いていた。まるでゲームの世界の刀の様で、電は正直気味が悪かった。

提督「父の形見だ。昔折れて新しく鍛え直して貰ったがね。さて、ではそろそろ仕事を始めるとしよう。最初に頂いた資源で建造でもするか。工廠に連れて行ってくれ、電」

電「はいなのです。でも、どうして先に建造なのですか?」

提督「・・・・」

電「ご、ごめんなさい!!司令官さんに意見するなんて・・・」


提督「ふむ、では電。少しおかしな質問だが、お前がナイフ片手に大の男を相手するとしよう。一人で戦うのと、同じ装備の仲間と二人で戦うのとどちらが戦いやすい?」

電「それは・・・二人の方が楽だと思うのです」

提督「そういう事だ。仲間が何人かいた方が、お前への負担も軽くなるだろう。理由としてはそんなところだ。理解できたか?」

電「はいなのです!」

提督「そうか。だが、俺一人の考えでは至らぬ点もある。これからも遠慮せず意見を言ってくれると有り難い」

電「(まだ若いのに自分なりの考えをしっかり言える人なのです。)工廠はこちらなのです」スタスタ

―――鎮守府近海

??「ココカ・・・」

ポイッ バシャン!! プカプカ・・・

??「アノ方ノ遺言ハコレデ果タシタ・・・。イツカ・・・時ガクルマデ・・・」

スゥー・・・


鎮守府
執務室のある建物と工廠とは少し離れており、提督と電はその道中の海上演習場の側を歩いていた。
ピクッ
提督「・・・ん?」クル

電「?どうしたのですか?」

提督「電、この辺りには商船の航路でもあるのか?」

電「無いのです。それにこのご時世だからあっても滅多に通らないと思うのですが」

提督「では大型の海流は?」

電「それも無いのです」

提督「・・・・そうか」

電「あの、それがどうかしたのですか?」

提督はスッと海の方を指指した。それを追った電は漸く海上に漂う何かを発見した。

電「あれは・・・」

トンッ パチャン!

電「へ!?」

何と青年が海に飛び降りたのだ。そしてあろう事か彼はアイススケートでもするかのように海上を滑って行き、その漂流物を拾って来た


電「し、司令官さん!?どうして水に浮いているのですか!?」

提督「あぁ、この靴の裏には高浮翌力の物質が敷き詰められていてな。一立方センチメートルにつき、50キロまでの重量を水面に浮かせる事が可能な代物だ」スタッ

電「き、聞いた事も無いのです・・・」

提督「近年開発された人工物だ。無理も無い。さて・・・」

バキッ 持って来た小さな箱を提督が壊す。尚、両手で掴んで力任せに引きちぎって開けていたが、水に青年が浮いた時点で、電は既に考える事を諦めていた。
・・・・二人は中を確認する。

提督「これは・・・」

電「手紙にナイフ、鍵と手帳・・・なのです」

パサッ 電が手帳を確認している間、提督は(とりあえず危ないので)ナイフを片手に手紙を黙読していた。

提督「(・・・・相分かった)電、手帳には何が?」

電「す、凄いのです!色々なレシピなどが細かく記入してあるのです」


二人は箱の中身を持って工廠に行った。

提督「妖精さん達はいるか?」

工廠妖精ズ「はいはーい」「何ですか〜?」「何造りますか〜?」

提督が声を出すと同時に四方八方から小さな何かがテテテテと集まって来た。彼女達こそが妖精である。23世紀現在の人類の科学力を凌駕するそれを持つ存在である。彼女達は人類に対して基本友好的で、人類文明の発展に大きく貢献しているが、それは閑話休題。
ワラワラと集まって来た妖精達の先頭にいる三人に

提督「これを」つ鍵
妖精a「これは・・・」受け取り
妖精b「こっちへ来な」テテテテ
妖精c「まさかね・・・」テテテテ

妖精達は工廠の一角に二人を連れて行き、壁の穴に鍵を差し、開けた。すると急に壁が開き、隠し部屋が出てきた。中に入った二人は・・・

提督「な・・・・!?」

電「え、えぇ〜〜!?」

(燃料・弾薬・鋼材・ボーキ)×9999、開発資材×1000、バケツ×200

電「はわわわわ・・・・」グルグル


妖精a「これが預かり物さ」
妖精b「皆、貴方の所有物だよ、提督」
妖精c「運がいい・・・では片付かないね」

提督「・・・最初だから最低値で、と思っていたが気が変わった。このレシピを一回頼む、バーナーも使ってくれ」手帳見せ

妖精a・b・c「あいよ〜」


暫くして・・・・

提督「・・・・ほぉ」

金剛「英国で生まれた、帰国子女の金剛デース!ヨロシクオネガイシマース!」

提督「よろしく頼む。彼女は電だ。電、いつまで白目で突っ立っている」ツンツン

電「はわっ!?い、電なのです!よろしくお願いしますのです」ペコッ

金剛「Nice to meet you,too、デース」

提督「さて、早速で悪いが二人とも出撃準備をしてくれ。五分後に出発だ。旗艦は金剛に任せる」スタスタ

金剛「Yes!ってwhat's!?二人だけデスカ!?」

電「あ、あの、金剛さん、実は・・・」

電は金剛に今までの事を全て説明した。そして・・・


金剛「ただのluckとは思えないネー」ポカン

電「電も同感なのです」苦笑

妖精a「お二人ともあと少しで五分経つけどいいのかい?」

金・電「!?い、行ってきマース(ますなのです)!!」タッタッタッ

海上ーーー

電「あの、司令官さん?どうして一緒に来たのですか!?」

金剛「Very dangerデスヨ!?」

提督「・・・・前線でしか生きることができないから、さ」ボソッ

金・電「?」

提督「いや、何でもない。現場にいた方が的確な指示が出せる。無線等は当てにならんのでな」

金剛(言ってる事は分かるけど、テートクが死んでしまったら元も子も無いネー)

提督「ほれ、敵が来たぞ」

金・電「!?」

提督「総員戦闘準備。敵影からして駆逐一体だが、慢心するなよ。・・・ふむ」スッ

提督は右手を前に出し、親指を何度か動かした後・・・


提督「金剛、右側の砲門を左に15°調整。左側は右の着弾地点から向かって左手前に10mの地点に合わせろ。合図したら右、左の順に撃て」

金剛「?りょ、了解デース!」

提督「電はそのままでいい。万一外したら撃つから用意だけしておけ」

電「はいなのです!」

提督「・・・3、2、1 今だ、放て!」

金剛「ファ、Fire!!」ドン ドン

イ級「あらよっと」ヒョイ

イ級「ハッ、甘いwバゴォォン!!」撃沈


金剛「オォッ」

電「さ、避け方も計算してたのですか!?す、凄いのです!!」パァァ

提督「油断するなと言ったぞ。沈みたいのか電?」ギロッ

電「ひぃぃ!?ご、ごめんなさい!」ビクッ

提督「分かればよろしい」ナデナデ

電「あっ」ナデナデ

電(司令官さん、怒ると怖いけど優しい人なのです)


提督「ん?何だあの青白い光の玉は」

電「あれは、艦娘のデータなのです!」

金剛「持ち帰って実体化させる事で新しく自分の仲間にできマース!」

提督「俺が回収してくる。二人は索敵を頼む」スィー

提督(・・・・とはいえ、何故倒した深海棲艦から艦娘のデータが? まるで艦娘が沈んだ物が深海棲艦かのようだな・・・・)


金剛「!テートク、2時の方角から敵デス!!」

提督「・・・・数と艦種は?」

金剛「三隻ネー!駆逐二と軽巡一デース!」

提督「連戦だが、いけるか?」

金・電「Of course(大丈夫なのです)!」

提督「よし、いい返事だ。では金剛、さっきは指示したが、次は自分で撃てるな?」

金剛「ハイ!」


提督「よし、金剛、放て!」

金剛「Fire!」ドン

イ級1「ぐふっ」中破

金剛「Shit!」

提督「相手が避ける場合等も考えて時間差で撃つんだ、金剛。電は突進してくる中破した駆逐イ級を、金剛は奥の軽巡を撃て」

金剛「てー!」ドン

電「電の本気を見るのです!」ドン

ホ級「へっへ〜ん」miss

イ級1「アダッ」大破

提督(金剛のが逸れたか・・・・)


提督「敵からの砲撃が来たぞ。総員衝撃に備えよ!」

電「はわわわわ!!」miss

金剛「Shit!至近弾が」3ダメージ

提督(様子がおかしい・・・。3体の筈だが何故、!?まさか)クル

提督「チッ!電は6時の方向に、金剛は敵旗艦に何としても当てろ!挟撃された!」

金・電「!?」

イ級2「バカめが」ガシャッ

電「な、なのです!」ドン

イ級2「ぐはっ」中破

金剛「(全く気付かなかったネー)Fire!」ドン

ホ級「ぐわァァ」大破


提督「・・・・よし、止めだ。金剛は軽巡と大破した駆逐に砲撃。電は中破した駆逐に雷撃せよ」

金剛「バーニング・ファイアー!」ドン

電「砲雷撃戦始めるのです!」ボンッ

ホ・イ1・イ2「お、おのれぇぇぇ」撃沈

提督「・・・・戦闘終了。周囲に敵は?」

金・電「無いのです(Noデース)」


提督「さて、データも拾ったしk・・・」

金剛「テートク、ごめんなさい」

提督「・・・は?どういう事だ?」

電「?」

金剛「私は最初テートクの同行をmistakeだと思ってまシタ。でもテートクがいなかったら・・・・下手したらlostしてたかも知れまセン」

提督「・・・・お前達が無事ならそれでいい」

金剛「テートク!!But・・・・!」

提督「・・・・分かった。その件は帰ってから決める。先ずは帰ることが先だ。二人とも索敵を怠るなよ」スーッ

金剛「・・・・ハイ」スーッ

電「金剛さん・・・・」スーッ


鎮守府に帰還―――

提督「各自、燃料と弾薬を補給して自由行動とする。金剛は風呂に入った後、俺のところに来るように」スタスタ

金・電「了解デース(なのです)!」

金剛「ってテートク?何で入渠デスカ?」

提督「至近弾食らっただろう。資源は足りる」クル

金剛「か、かすり傷だから大丈b・・・」

提督「金剛」ギロッ

金剛「ヒィ!?ハ、ハハハ、ハイィ!」ビクッ

提督「命令が聞けんのか?それとも負傷したまま出撃して沈みたいというのか?」

金剛「ノ、No!わ、私はただ・・・」

提督「異論は認めん。かすり傷でも必ず治せ。その傷のせいで沈もうものなら、後悔してもしきれんぞ」スタスタ


一時間後 執務室

コンコン

提督「どうぞ」カリカリ

ガチャ

金剛「失礼しマス」

提督「金剛か、少し待っていてくれ」カリカリ

金剛「エーッと・・・それは・・・」

提督「今日の出撃報告書とデータについてだ。進水式は明日だが」カリッ

提督「さて、終わりだ。では金剛。本題に入るぞ」チラッ


提督「あの時、お前は自分が間違っていたと言ったな」

金剛「ハイ」

提督「その時も言ったが、俺は特に気にするなと言ったぞ?」

金剛「デモ・・・!それではいつかテートクが軽視されてしまいマス!ダカラ、ケジメは大事デス!」

提督「ケジメ・・・・か・・・・」スクッ

提督「・・・・処罰を決めた。金剛、お前を俺の私欲に使わせてもらう」スタスタ

金剛「っ!?・・・・ハ・・・イ・・・」


金剛(そうデス。テートクも年頃ね男性。本当はdislikeデスガ)ギシッ

提督「ベッドじゃない、そこのソファーに座れ」ガチャガチャ

金剛「What's?(何で見てないのに)」

提督「分かったのか、てか?」ガチャ

金剛「!?」

提督「五感が良いんだ。さて、座ったか?」スタスタ

ドンッ コトッ コトッ

金剛「・・・・?」

パシュッ トクトク

提督「ほら、一杯飲むといい」スッ

金剛「・・・・これは?」

提督「みかん100%のジュースだ。着色料も水割りもしていない、みかんの果汁を濾過しただけのジュースだ。」トクトク

金剛「・・・・イタダキマス」ゴクゴク

金剛「!?っっっ!!」キューッ


金剛「ヴェ、Very sour デース!」ハァ、ハァ

提督「あぁ、みかんだけである分好みかどうかがはっきりする」ゴクゴク

金剛「!・・・・Sourデスガ、後からsweetyになりマシタ。美味しいデース!」ゴクゴク

金剛「But、これのどこが罰なんデース?」

提督「これは立派な罰だ、昔からの友人のみかん農家がよくこのジュースを箱で送ってくれるんだが、如何せん俺の周りにはこれが好きな人が少なくてな」

提督「強制的にだが、お前の好みに足してもらう」

金剛「・・・」ポカン

提督「・・・とはいえ、今回のこれは俺への助言を入れて±0としたつもりだが」

金剛「プッ、アハハハハ!テートク、全然罰になってマセンヨー?」

金剛「テートクのお陰で紅茶の他に好きなdrinkが増えマシタ!」

提督「そうか。ではたまに付き合ってくれるか?」ゴクゴク

金剛「Of course!」ゴクゴク


コンコン

提督「どうぞ」

ガチャ

電「失礼するのです。司令官さん、金剛さん」

提督「電、どうした?」

電「お二人が来ないので食堂が閉まる前に電が夕食を持って来たのです」テクテク

提督「ん?もうこんな時間だったか。悪いな電」

金剛「Thank youネー、電」

電「三人で一緒に食べるのです!」

提督「分かった。金剛の隣に座るといい。コップをもう一つ取ってくる」スタスタ

コンゴウサン、ナニノンデルノデス?
コレハデスネー・・・


2時間後―――

電「うぅ・・・・やっぱり酸っぱいのです」ゴクゴク

金剛「すぐに慣れマスヨ」ゴク

金剛「そういえばテートク、秘書はどうするノー?」

提督「そうだな・・・どうするかな・・・。」

金剛「お手伝いしたいデース!」

電「い、電も・・・するの・・・で・・・す」コクッコクッ

金剛(まだ幼い電にはこれ以上起きてworkするのは少しhardネ)

提督「(それに加え、初日にあれだけ頑張ったのだ。疲れも酷いだろう)電、明日に備えて休め。ゼロロクサンマルにここで朝礼をする」

電「うぅっ、はいなのです」トボトボ

提督「・・・・電」

電「はい?」クル

提督「今日一日ありがとう。また明日も俺に力を貸してくれ」ナデナデ

電「!」

金剛「!!」

電「は、はいなのです!司令官さん、金剛さん、お先に失礼します」ペコッ

ガチャーーパタン


提督「さて、金剛。正式に任命する。秘書として俺をサポートしてくれ」

金剛「あのぅ、私も撫でてくれマスカ?」オズオズ

提督「・・・・引き受けてくれるなら・・・な」

金剛「ハイ!よろこんで秘書艦を務めさせていただきマス!」

提督「うむ、よろしく頼む」ナデナデ

金剛「はうぅ///」

提督「とはいえ、もう今日の仕事は終わっているから、秘書の仕事は明日からだ」

金剛「残念デース・・・・」シュン

提督「(何故残念そうにする)・・・今日はもう上がっていい。片付けは俺がしておく」

金剛「テートクゥ、一緒に寝ても・・・」


提督「・・・・」ジッ

金剛「ジョ、Jokeデスヨ、Joke」アセアセ

提督「まったく、お前は」

金剛「デハ、テートク、good night!」

提督「おやすみ」

ガチャーーパタン

提督「・・・・ハァ・・・・」

提督「初日にしては、それなりの結果は出せた・・・・方だろうな」カチャカチャ

提督「だが、・・・・一つ大きな誤算があったな」カチャ

提督「・・・・金剛に必要以上に気にいられてしまった・・・・か」

提督「これが他の子との軋轢にならねばよいが・・・・。・・・・やりづらくなりそうだ」


翌日 ゼロゴーゴーロク 鎮守府運動場

提督「・・・2997・・・2998・・・2999・・」ブンッ、ブンッ、ブンッ

提督「・・・3000っと・・・・」ブンッ

・・・・まだ朝日が登り始めた時間帯、提督は日課であった朝練をしていた。彼がどの様なメニューを行っていたかは、また別の機会に。ただ一つ言える事は、十種近くある超ハードトレーニングを約一時間半行う。これが彼の軍に籍を置いてからの"毎朝の"日課だということである。

提督「・・・・あと少しでゼロロクマルマル・・・・。シャワーを浴びて終わりだな」スタスタ

提督は近くに置いてあった衣服を取ると、上半身を晒したまま、部屋へと戻っていった。大量の鉄製の錘を付けた木刀を"片手に"持って・・・


ゼロロクサンマル 執務室

提督「今日より着任する二人を紹介する」

響「響だよ。その活躍ぶりから不死鳥の通り名もあるよ」

雷「雷よ。カミナリじゃないわ。そこのところもよろしく頼むわね!」

電「響ちゃん!雷ちゃん!」

金剛「知り合いデスカ?」

電「はい!お姉ちゃん達なのです!」

雷「電!元気そうで良かったわ!」

響「見たところ、暁はいないみたいだね。早く会いたいな」

提督「なるべく早く会えるよう善処する」

響「спасибо、司令官」

提督(スパシーバ?あぁ、ロシア語か。
確か史実では、彼女は生存艦の一人で、戦後ロシアに引き渡されVerunui(ヴェールヌイ)となったそうだが、なるほど、その名残か。随分と落ち着いた雰囲気の少女だ)

提督(雷は随分面倒見が良さそうな子だ。電が懐いているのも頷ける)

提督(姉妹・・・・か・・・・)

金剛「?(テートク、何だかとても悲しそうなexpressionネー)」


提督「さて、早速だが、駆逐艦の三人には遠征に行ってもらいたい」

雷「遠征?」

響「遠征はとても大事な仕事だよ。遠征で資源を確保しないと鎮守府が上手く機能しないんだ」

電「司令官さん、あの・・・・うちはまだ暫く大丈夫なのでは・・・・?」

提督「いつまでもあれに頼るわけにはいかん。今のうちに増やした方が後に楽だ」

響・雷「?"あれ"?」

金剛「二人はまだ知らないんでシタネ。実はーーー」


雷「う、嘘でしょ!?」

響「・・・・неимоверный(信じられない)」

提督「まぁ、虫のいい話だと思うのも無理はない。だが、そのお陰で早期に金剛がここに来てくれた」

金剛「ヨロシクね!」

響「・・・・それに、金剛さんの分を引いてもまだ資源は豊富だ。今度こそ、私達は勝つことができるんだね。」

提督「気が早いな。だが前向きなのは良い事だ。まだこの鎮守府は弱小だが、この国の勝利の為、皆の力を貸してほしい」

雷「当然よ!もっと私に頼ってもいいのよ!」

電「任せてほしいのです!」


提督「・・・・まぁ、それはただの建前だが」

金・雷・電「!!?」ズッコケ

電「た、建前なのですか!?」

提督「当たり前だ。国の事なんざ二の次。一番はお前達を誰一人欠く事なく、この戦争を切り抜ける事しか考えておらんよ」

響「そ、それは司令官としてどうなんだい?」

提督「知った事か。人は人、俺は俺だ。ここが俺の管轄である以上は、俺のやりたいようにする。」

提督「だから、俺はお前達の誰かを欠いて勝利できる状況でも撤退させる」

提督「どうせ上も俺には期待しておらん。適当に尻尾を振っておけば悪いようにはせんだろう」

響「・・・・エゴだよ、そんなの」

提督「あぁ、エゴの塊でできているのがこの俺だ」

響「司令官としては、最底辺だね」

電「ひ、響ちゃん!?」

響「・・・・でも嫌いじゃない、むしろ好ましい」

響「命令を、司令官。私は貴方のために働きたい」


提督「そうだな。だがその前に・・・・」

パキッ

艦娘「!!??」ビクッ

金剛(親指で人差し指を折って鳴らした!?)

提督「・・・・」ゴソゴソ

提督はポケットから黒い指抜きのグローブを取り出し左手に付けた。そして響に向けて左掌を見せ、中指と小指を曲げた。すると・・・・

響「!?」グイッ

何と彼女の小さな体が急に宙に浮いたのだ。床から1m半程離れた所で響の体は床と水平に停止し、両足と白銀色の長髪だけが重力に従い下に垂れていた。


響「な、ななな何で!?何で私は宙吊りにされているんだ!?」

提督「上官への暴言は重罪だ。むしろ、この程度で良かったと思え」

電「ひ、響ちゃぁぁぁぁん!!!」

金剛「ホ、What's happened!?」

雷「何で響は浮いてるの!?」

提督「浮いてなどおらん。響の服を見てみろ」

三人と宙吊りにされている本人は服を確認した。響の服には何百本もの細い溝が走っていた。よく見るとそれはロープだった。つまり彼女は白く細長いロープでぐるぐる巻きにされていたのだ。グローブを嵌めた左手の五本の指を不規則に動かしながら提督が説明する。

提督「これはロープや縄を射出し、ある程度自由に扱えるグローブだ。そして、それなりの技術と筋力が必要だが、この様に不規則に指を動かす事で、吊るした物体の重量も多少は緩和する事が可能だ」

実際少女とはいえ人を片手で持ち上げるには無理がある。提督曰く妖精の技術によって開発された代物で、指を絶妙な動きで動かす事で重量のエネルギー等の負荷を指先から逃がせるそうだ。

雷「よく見たら響を縛ってる縄が真上の天井、そして司令官のグローブと繋がっているわ」


金剛「つまり、テートクのglove→天井→響といった順にロープが伸びたんデスネ」

提督「そういう事だ」

響「こ、これはとても恥ずかしい・・・な」

雷「あ、下着が見えそうよ」

金剛「Pretty pink」

響「っ!?」ビクッ

提督「反省したか?」

響「・・・・してないと言ったら?」

提督「そうか・・・・」クイッ

クルクルクル

響「あ、あぁあ、また高く・・・・!」

雷「完全に見えちゃってるわね」

電「はわわわわ!!!」

提督「あと一分間吊るしておく」


一分後ーーー

響「た、たった一分なのに一時間に感じた」

電「だ、大丈夫なのですか?」オロオロ

響「う、うん大丈夫。どこも痛くないよ。心はかなり傷ついたけど・・・・」

提督「・・・・」ジッ

響「!?し、司令官!先程の暴言、申し訳ございませんでした!」ピシッ

提督「本当に体は痛くないか?」

響「え?はい。・・・・どこも痛くないですけど」

金剛「But、どうして痛くないんデスカ?あんなに食いこんでタノニ・・・・」

響「多分、あのロープじゃないかな」

提督「そうだ。あのロープは蜘蛛の糸を元にして作られた繊維でできている。蜘蛛の糸は獲物に絡み付いて拘束するための物で、痛めつけたりする物ではない」

電「で、でもどうして響ちゃんをあんなに細い縄で吊るせたのですか?」

提督「蜘蛛の糸は生物が生成する物質の中では最も頑丈で柔軟性にも富んでいる。同質量の鉄よりも強靭でな。大きさや質量等の条件を満たした蜘蛛の巣は、最高速度で飛んでいるジャンボジェット機をも絡めとれると言われているぐらいだ」

艦娘「!?」

提督「その糸の繊維構造を科学者達が分析し、可能な限り天然物と同じように開発したのが、対象を傷付けず且つ強固に固定できるあの人工繊維だ。その上、あの繊維の限界張力は一本で約300キロ。それを何百本も絡め、捻って一本のロープにしてある」

電「科学技術って凄いのです・・・」

提督「この様に、生物の能力を真似て生活に役立てる事をバイオミメティクス(生物模倣)といってな。新幹線や競泳水着等と、21世紀前半から既に取り入れられてはいたがね」


提督「さて、俺のせいとはいえ、少し時間を食ってしまった。ではこれより、遠征についての説明を簡潔に行う。しっかり頭に叩き込むように」

艦娘「はい(なのです)!」

提督「遠征とはその名の通り遠方に出て一般商船等の護衛、物資の輸送といった仕事を行う事だ」

提督「その道中の補給地点及び任務完了の際に依頼主からお礼の駄賃として頂いてくる分。そして任務完了を総司令部に伝え、報酬として受け取る分。その二つでどれだけの資源を集めるか。これが遠征の成功、失敗を分ける」

金剛「そこまでは私にもワカリマース」

電「あと、他には軽巡一隻、駆逐三隻が標準的な成功する編成条件だと言われているのです。」

提督「そのようだ。うちにはまだ軽巡が一人もいないから今回そこは俺が賄う」

響「それに、遠征の航路や補給地点には当然、深海凄艦も出現する。それらへの対処も必要だ」

雷「普段は威嚇射撃で牽制してやり過ごすんだけど、時々いる好戦的な個体や、戦艦・空母型の敵は、平気で突っ込んでくるから、その時は資源を死んでも持ち帰らないと行けないわ」


提督「そのためにも索敵を怠らずに行動すべきだ。そして雷。その場合は資源を第一に考える必要はない」

提督「海に出る以上、一番大切なのはお前達だ」

提督「はっきり言っておく。これがこの鎮守府での遠征時の唯一のルールだ。
・もし資源を持ち帰れないと判断したら、資源を捨てて帰って来い
どんな場合でもこのルールだけは守れ。資源なんざ時間をかければいくらでも集められる。だが、お前達の命はたった一つだけだ。仮に同じ艦娘がいてもそれはその子達であって、お前達ではない」

艦娘「はい(なのです)っ!!!」

提督「よし、俺からの説明はこのような感じだ。後はお前達自身でやり方等を見つけ、それを今後着任し、遠征任務に着く子達に教えるように。これにて解散」

提督「最初の遠征任務はこれだ。十分後に出撃するので駆逐艦達は、第二艦隊船着き場へ集合するように」

響・雷・電「はい(なのです)!」タッタッタッ

提督「二時間程の遠征だ。では金剛。一人にして申しわけないが、留守番を頼む」スタスタ

金剛「ハイ!」


その夜ーーー執務室

ザアアァ・・・ ピシャァアン ゴロゴロ・・・

提督「・・・・凄い雨だな」カリカリ

金剛「昼から全然止みませんネ」ペタッペタッ

提督「そういえば、最初にした遠征は、いわば練習みたいなものだそうだ」カリカリ

金剛「つまり、これからもっと長期の遠征もあるって事デスカ?」ペタッペタッ

提督「あぁ、聞いた話では80時間遠征という物があるらしい」カリカリ

金剛「は、80時間!?」ペタッ

提督「まあ、特殊な任務だから滅多にないそうだ。よし、終わりだ」カリッ

金剛「お疲れ様デス、テートク」

提督「時間は・・・・ゼロイチサンニーか」ノビーッ

提督「悪いな、金剛。なかなかお前の紅茶をのんびり味わえない」ズズッ

金剛「テートクは忙しいから仕方アリマセンヨ」ズズッ

提督「紅茶ご馳走様。片付けておくから、今日はもう上がれ。明日も早い」

金剛「か、片付けは私がしマス!だ、だから、その・・・・テートク・・・」モジモジ

提督「ん?」




金剛「い、一緒に、そ・・・・その・・・・sleepしてほしいデス」モジモジ

提督「・・・・は?」

提督「どういうk・・・・」
ピカッ
ピシャァァアン ゴロゴロ・・・

金剛「っ!!?」ビクッ

提督「!(あぁ、そういう事か)分かった。一緒に寝るか」

金剛「!ハイ!」キラキラ

提督「ただし、シャワーだけ浴びさせてくれ。その間にお前も着替えてこい」スタスタ

金剛(こっそり雷達に教わった"雷が怖いから一緒に寝てクダサイ"作戦、成功デース!!)ガッツポ


二十分後ーーー
コンコン

提督「どうぞ」ポンポン

ガチャ

金剛「失礼しマスって、テートク?何してるんデスカ?」トコトコ

提督「あぁ、刀の手入れだ」ポンポン

金剛「電から聞きマシタ。Fatherの形見だそうデスネ」ジーッ

提督「昔折れてしまったがね」
チャキッ キィィィィ キンッ
手入れを終えて提督が刀を鞘に収める間、金剛は彼の刀に違和感を感じていた。

金剛(あの刀、何だかbladeがギザギザしていた気がしマス。それに変な匂いもしまシタ。何なんでショウ)

金剛「(考えても仕方ないネー!それよりも・・・)さ、テートク!!Hurry up!」
グイグイ

提督「お、おいこら、引っ張るな」

金剛「Hey、テートク!!Come here~♪」テマネキ

提督「(・・・・これ俺のベッドだよな)失礼する」モゾモゾ

金剛「ンフフフ〜♪」ギューッ スリスリ

提督(もう・・・・・どうにでもなれ)ギュッ

金剛(テートク、とてもいい匂いネー。落ち着きマース)ホッコリ




金剛「テートク、一つquestionがありマス」

提督「・・・・何だ?」

金剛「テートクは、私達の事を"一隻、二隻"ではなく"一人、二人"とcountしマス。今朝だって私達にあんな事を言いましたネ」

提督「何が言いたい」

金剛「何でテートクは私達艦娘をそんなに大事にするのデスカ?」

提督「・・・・」

金剛「私達艦娘は、テートクの駒や道具デス。本当なら気遣う必要なんて無いんですヨ?」

提督「・・・・道具はこんなに可愛らしくないだろ」

金剛「っ!!??////」ボンッ

金剛「て、てててテートク?!、いいい今、何て言いまシタ!?///」

提督「・・・・いい加減もう寝ろ」

金剛「One more , please!テートク!」

提督「寝ろ」

金剛「(うぅ〜・・・。もう一度聞きたいケド仕方ないネー。今度こそattackしマース!)オヤスミナサイ、テートク」

提督「あぁ、おやすみ」

提督(・・・何でこんなに懐かれたんだ)

以上で書き溜めていた分が終わりました。
また、ある程度溜めてから投稿したいと思います。
・・・・・なるべく早くオリジナル部分入れるように努力しますので、どうか気長に待っていて下さい。

>48 アドバイスありがとうございます。
言い訳にしかなりませんが、何せつい最近まで受験生でして書き留める暇や余裕が無かったんです。なるべく早く更新していくつもりですので、どうか見守ってください。

>49 ありがとうございます。


翌日

提督と金剛は軽巡及び電達の姉である暁に着任してもらうため、工廠に足を運んでいた。だが・・・・

提督「なぁ金剛」

金剛「ハイ」

提督「俺達、昨日今日と建造依頼してないよな?」

金剛「してなかったデース」

提督「なら何で妖精達は建造を行っているんだ?」

金剛「I don't know」

妖精a「あぁ、提督さん達おはようさん」

金剛「お、おはようございマスって、何で建造してるんデスカ、あなた達」

妖精b「沈んでた艦娘を引き揚げて再利用してるんだよ」

提督「何でもありか・・・」

妖精c「あたし達だって神様じゃないんだ、出来ないことだって・・・・極たまにあるけど、この程度の事なら朝飯前さ」

提督「だが、何故こんな事を?」

妖精a「昨日の話をね、聞いてたんだよ」

提・金「!?」

妖精b「いやぁ、あのルール。本当に感動したよ。あんな事言える同業者はそうはいないね」

提督「人として当然だろ、あんなの」

妖精c「あのね、誰しもが"当然"を守り切れるなら社会問題なんて起きないよ」

提督「・・・・」

妖精a「あなたならきっとその"当然"を貫き通すとあたし達は信じているよ」

妖精b「ま、そういう事であたし達の惚れ込んだ提督さんへのプレゼント」

妖精c「おっ、丁度完成したみたいだね」


加賀「航空母艦、加賀です」

提・金「・・・・」

加賀「?」

妖精a「あ、あれ?お気に召さなかった?」

提督「いや、そんな事はない。とても感謝している・・・・」

金剛(軽巡か暁が欲しかったから残念ダナンテ、言ったら爆撃されてしまいマス)

提督(まさか正規空母が着任して素直に喜べない状況があったとは・・・・)アタマカカエ

加賀「・・・・・」ツカツカツカツカ ピタッ

提督「?」

加賀「貴方が私の提督?」ジロジロ

提督「あぁ、よろしくたn・・・・」

加賀「まぁ、"それなりに"期待してるわ」ハァッ


提督「・・・」

金剛・a・b・c「!?」ビクッ

加賀「それで?この鎮守府に着任してまだ日も浅いみたいね」キョロキョロ

加賀「他には何人の艦娘が所属しているのかしら」

金剛「く、駆逐艦三人と、私達だけデスガ」

加賀「・・・・どうやら来る鎮守府を間違えたみたいね」

加賀「まさか、軽巡すらいない鎮守府に着任するなんて・・・・」ハァッ

加賀「貴方、本当に提督としての自覚があるのかしら?」

提督「・・・・・」ピクッ

金剛・a・b・c「アワワワ・・・!」

加賀「そもそもの話が・・・・・」ガミガミクドクドイビイビ・・・

・・・・プッツン

提督「・・・・・そうかそうか・・・・」ゴゴゴゴ

加賀「えっ?」ビクッ


工廠近く

響「司令官と金剛さんはどこだろうか?」テクテク

電「執務室にいなかったのです」トテトテ

雷「食堂にもいなかったし、あと探してないのは工廠ぐらいよね?」スタスタ

電「昨日できなかった遠征の許可を貰いt・・・・」

イヤァアアアアアアア!!

響・雷・電「!?」ビクッ

雷「こ、工廠の方からだわ!!」タッタッタッ

電「い、行ってみるのです!」タッタッタッ

響「何だか同情したくなる声だ」タッタッタッ


加賀は、自分に起きた事が信じられなかった。目の前の青年が左手にグローブを嵌めて、指を曲げたかと思ったら、急に体に白く細長いロープが巻き付き、自分の体が宙に浮いたのだ。あまりに理解不可能な出来事、そして青年は見ていないものの、他に居合わせた者達にスカートの中の下着を見られた事。その二つの要素が誇り高き一航戦の加賀の口にその佇まいからは想像も出来ない声を出させた。

加賀「イヤァアアアアアアアア!!」

金剛(じ、自業自得とはいえ、同情しマス)

提督「・・・・・」クイッ クイッ

シレイカーン!!

加賀「!?」ビクッ

雷「叫び声が聞こえ・・・・たんだけど・・・って」ポカン

電「はわわわわ!!また吊るされてるのです」アワアワ

響「(あ、そういう事か)司令官、その人は・・・・」

提督「8分に渡る上官への暴言、不敬、一方的な言い掛かり、その他諸々の罪で吊るし上げた」

響・雷・電(そうなって当然(だね)(だわ)(なのです)・・・・・)


響「それにしても、よくそんなに言えたね。普通なら独房行きじゃないかな」

加賀「!?」

響「いや、下手したらその場で銃殺されてもおかしくないよ」

加賀「!!?」

提督「知った事か、軍の判断基準など」

加賀「それはそれでどうなのかしら」

提督「2分追加だ」クイッ クルクル

加賀「ひっ!?」ビクッ

加賀「う、嘘です、嘘ですからぁ!」アタフタ

提督「嘘をつく必要があったのか?」ジッ

加賀「う、うぅぅ」ジワッ

金剛(何だか可哀想デース)

提督「で、響達は何の用事だ?」チラッ

電「はっ!?そ、その・・・昨日の遠征任務の続きをしたいのですが・・・・」

提督「今日は遠征はない。執務室で待機しているように」

響・雷・電「は、はい(なのです)!」タッタッタッ

提督「金剛、お前もだ」

金剛「ハ、ハイ!!あ、あのあまり厳しくしないであげてクダサイネ」タッタッタッ


加賀「ひっ・・・・ヒグッ、ウェェ・・・」ポロポロ

提督「・・・・」クイッ クルクル

スタッ

加賀「ふぇ・・・・・?」ポロポロ

提督「・・・・」クイッ

シュルルルル・・・・・

提督「どこか、痛いところはあるか?」ゴソゴソ ズボッ

加賀「・・・・」フルフル

提督「そうか。すまなかった。まさか泣かれるとは思わなかった」ナデナデ

加賀「うぅ」ジワッ

加賀「うぅぅぅ」ガバッ ギューッ

提督「おわっ!何だ急に」フラッ

加賀「こ、心に来ました」グスグス

妖精a「あ、あれ加賀だよね?」

妖精b「間違いなく加賀だよ、誇り高き一航戦の」

妖精c「あれだけの事されたからね。さっきまでの毅然とした態度が嘘みたいだ」


加賀「何で、こんなに罰が甘いの?」

提督「どんな事があれ、お前は既に俺達の家族だ。誰が牢に容れたり殺したりするものか」

提督「それに・・・・・」

加賀「それに?」

提督「(この子からは、何だか親近感が感じられる)・・・・いや、何でもない」

加賀「そう・・・・さっきは言い過ぎたわ、ごめんなさい」

加賀「改めて、正規空母加賀よ。よろしくお願いするわ」

提督「あぁ、よろしく頼む。だが、そのような挨拶は、離れてから言おうか」

加賀「えっ?」ギューッ

加賀「も、申し訳ありませんっ!////」バッ

提督「いや、気にしてない。顔を洗ってこい。酷いことになっている」

加賀「は、はい」スタスタ

>58 そう言って頂き光栄です。
これからも頑張ります


数分後 執務室

提督「改めて紹介する。空母の加賀だ」

加賀「よろしくお願いするわ」ペコッ

提督「向かって左から 響、雷、電。そして秘書艦の金剛だ」

響「С наилучшими пожеланиями(よろしく)」

雷「よろしくね!加賀さん」

電「よろしくお願いしますのです」

金剛「ヨロシクデース!」

提督「では、今日の出撃について説明する。今日の編成は加賀を旗艦とし、雷、電で組む。金剛と響は、すまないが留守番だ。空母の索敵能力の把握と共に軽巡及び暁の着任が目的だ。以上、何か質問はあるか?」

シーン・・・・

提督「ないな。では、5分後に出撃とする」


海上

加・雷「・・・・何で司令官(提督)までついて来たの(んですか)?」

提督「電には説明したが、その場に適した指示を出すためには、現場にいるのが一番だ。非常時に限って無線は当てにならない」

加賀「貴方がいなくなれば元も子も無いわ」

提督「まあ、人並みの運動神経はあるから自分の身ぐらい自分で守るさ。それよりも加賀、そろそろ敵海域だ。艦載機を10時の方角に飛ばせ」

加賀「?・・・・分かったわ」ギリギリッ ヒュンッ

バシュゥゥゥッ キィィィィィン

提督「(放った矢が艦載機に変わる・・・・か・・・・不思議なものだ)雷と電は待機だ。この海域内では、いつでも動けるように準備しておけ」

雷・電「はい(なのです)!」






暫くして、加賀に艦載機からの入電が入った。トンとツーで構成されたモールス信号である。

加賀「索敵機から入電。敵艦隊見ユ。艦種は、軽巡ホ級二体、駆逐イ級二体。陣形は単縦陣よ。」

提督「(やはり、上空から見た方が分かりやすい)加賀、第一次攻撃隊を発艦。敵四体に爆撃。雷と電は砲撃翌用意。うち漏らした敵を殲滅せよ」

加賀「了解。第一次攻撃隊、発艦!」ギリギリッ ヒュンッ

バシュゥゥゥッ キィィィィィン

・・・・・・キィィィィィン ズ┣¨┣¨┣¨┣¨ッ ボゴォンバガァァン

加賀「攻撃隊より入電。敵艦隊殲滅、残敵無シ。ドロップ反応ありよ。」

提督「分かった。ご苦労、加賀達」

加賀「皆優秀な子達ですから(褒められたわ。流石に気分が高翌揚します)」

雷「凄いわね、加賀さん!」キョロキョロ

電「これが、加賀さんを先に出した理由なのですか、司令官さん?」キョロキョロ

提督「(索敵は怠っていないな)そうだ。相手の射程外からの攻撃は大きな強みだ。相手に何もさせずに倒す事が可能だからな」

提督「まだまだ、これからだ。気を引き締めろ」

加・雷・電「了解(なのです)」


鎮守府

金剛「!テートク達が帰って来たネー」

響「どうやら皆大怪我はしてないみたいだね」

金剛「おかえりナサイ!戦果resultはどうでシタ?」

提督「上々だな、データを4つも持ち帰れるとは」

響「問題はそのデータの内容だね」

提督「あぁ、こればかりは何ともしようがない」


提督「・・・・・・確認する。お前達の名は」

提督「川内、神通、那珂、暁。これで間違いないな?」

川内「そうだよー。ねぇねぇ今日ってさ、夜戦ある?」キョロキョロ

神通「はい、よろしくお願いします」ペコッ

那珂「那珂ちゃん有名だー」キャッキャッ

暁「ええ、そうよ。一人前のレディーとして扱ってよね」フンス

暁「って皆!?」

雷・電「暁(ちゃん)!」

響「Удивленный я(驚いたな)。まさか一度で連れてきてくれるなんて」

提督「あぁ、俺も良い意味で驚いた」

提督「そして金剛、何で鳩が豆鉄砲喰らったような顔している」チラッ

金剛「て、テートク・・・・・これって・・・・第三艦隊の保有許可が降りるネー!!」ダキッ

提督「お、おい」ビクッ

金剛「ヤッタヨー、嬉しいネー!!」ギューッ スリスリ

海軍総司令部は、川内型三名を揃える事によって該当する鎮守府に初期からの第一,第二艦隊に加え、第三艦隊の保有を許可するよう定めている。これは上層部が定めた鎮守府の功績の基準の一つであり、艦隊を増やす事で遠征等を増やし、より効率よく資源を集めたり出来るのだ。


提督「金剛、嬉しいのは分かるがじかんと場を弁えろ」チラッ

金剛「あっ」ハッ

艦娘「」ジトーッ

金剛「あ、アハハ・・・そ、sorry」バッ

提督「さて、出撃した三人は補給を済ませたら自由行動とする。金剛達は川内達に鎮守府を案内して上げるように」

艦娘「はい(了解)!」


提督「あぁ、後加賀は、補給を済ませたら工廠に来るように」スタスタ

加賀「?分かったわ」

金剛「・・・・・」


数時間後

加賀「金剛さん」スタスタ

金剛「オゥ、加賀。どうしまシタ?」

加賀「いえ、提督からの伝言を」キラキラ

金剛「?何で加賀そんなにキラキラしてるデスカ?」

加賀「先程提督から工廠で艦載機を頂きまして」スッ

つ烈風・紫電改二・流星改・彩雲

金剛「」ポカン

加賀「他にも、彗星や、零式、震電改等も頂きました」キラキラ

金剛「ど、どうしてこんな艦載機ガ?」

加賀「提督は帰って来てからずっと開発を行っていたのよ」

金剛(テートクは今朝から加賀を贔屓してる気がしマース)ムーッ

金剛「テートクからのmessageは何デスカ?」

加賀「工廠に来てくれ、と言っていたわ」

金剛「・・・・・分かりマシタ。Thank youネー、加賀」スタスタ


工廠

金剛「テートクゥ、来ましたヨー」スタスタ

提督「あぁ、金剛。急に呼び出してすまないな」

金剛「さっき、加賀から聞きマシタ。加賀に新しい艦載機を作ってたそうデスネ」

提督「そうだ、それでだな・・・・」

金剛(やっぱりテートクは加賀のコトが・・・・。加賀は美人デスシ、落ち着いてマス。私みたいな落ち着きの無いイギリス被れなんかより・・・・ズット・・・・)ジワッ

提督「・・・・う。こ・・・ご・・・。金剛!」

金剛「は、ハイ!」ビクッ

提督「・・・・泣いているのか?」

金剛「な、泣いてないヨー」グシグシ

提督「そうか。話は聴いていたか?」

金剛「え・・・・エット・・・」

提督「・・・・次の出撃、敵艦隊も強力なヤツが出てくると聞いてな。対抗策を建てるために、是非お前の意見を聴かせてほしい」

金剛「・・・・・What's!?」

提督「最初期からの付き合いもあってお前にまず相談したいと思ってな」

提督「他にも、主戦力のお前の装備も強化したいので、その許可ももらいたいのだが」


金剛「(テートク・・・私の事、こんなに信頼してくれてマス・・・・!嬉しいデス・・・)ふ、ふぇぇぇえん・・・・」ポロポロ

提督「な、何だ急に」ビクッ

金剛「デードグぅぅぅっ!!」ダキッ ギューッ

提督「・・・・どうしたのだ」

金剛「ふぇぇぇん」ポロポロ ギューッ

提督「・・・・・」ナデナデ


5分後ーーー

提督「・・・落ち着いたか?」ナデナデ

金剛「ハイ・・・」

提督「そうか。それで・・・」

金剛「ハイッ!Countermeasures考えマスッ!相談してクダサイッ!装備も強化してクダサイッ!」クワッ

提督「う、うむ。では策については後で執務室で相談する。今から俺は装備強化をするから、預けてくれるか?」

金剛「ハイ!」ガチャガチャ ドサッ

提督「ありがとう、数時間後に取りに来てくれ」

金剛「分かりマシタ!テートク、頑張ってクダサイネー!!」スタスタ

提督「あぁ」ガチャガチャ

金剛「ふふふ♪」スタスタ

金剛(I'm sorry、テートク。疑ってしまいました)ピタッ

金剛(この鎮守府に着任した日から私は貴方に惹かれ始めたのかもしれません)クスッ

金剛(私は何もかもが偽りでも構いません。私が貴方を愛する限り、永遠に傍に寄り添い、慕い続けます。だから・・・・)クル

金剛「I love you、テートク」ボソッ

タッタッタッタッ・・・・

提督「・・・・・」






執務室

提督「・・・・・なるほど、練度を高めるという策か」

金剛「ハイ、今の私達の練度では、このareaの攻略は少しdifficultデス。だから、私達、そしてnew faceは演習を行って練度を上げる事がbestかと思いマス」

提督「ふむ・・・・・俺も経験は積んだ方がいいとは思う。だが、この周辺に他の鎮守府はない。となると、自分達で演習をするしかないな」

演習とは、別々の鎮守府同士の艦隊による模擬戦の事である。轟沈の恐れなく安全に練度を高め合う事が出来るが、他所の鎮守府とする場合の他に、自分達で独自にトレーニングをするパターンもある。

金剛「ちょうど、テートクから貰った装備も試したいネ!」

提督「妖精達に頼んで演習用のペイント弾でも作ってもらうか。あと、加賀にも協力してもらいたいから、演習用の艦載機もだな」

金剛「加賀にも?」

提督「あぁ、空母との戦いに備え、お前達には、対空の能力も身に付けてほしい」

提督「加賀にも艦載機の練度を上げてもらいたいからな」

提督「構わんだろ、加賀?」チラッ

金剛「!?」クル

ガチャ

加賀「・・・・いつから気づいていたのかしら?」スタスタ

提督「お前がそこで盗み聞きを始めた時からだ。何分耳が良いのでな」

金剛「全く気づかなかったデース」

加賀「ごめんなさい、金剛さんがキラキラして執務室に入って行くのを見て。」

加賀「入ろうと思ったのだけど、なかなか入れなくて」

提督「・・・・・何も遠慮する事はないだろう」

加賀「そういう訳にはいかないわ」チラッ

金剛「?」

加賀「金剛さんと提督は仲がいいのね」

提督「仲が良いというより懐かれている」

金剛「懐いてるんじゃナクテ、惚れてるんデス」

加賀「!?」

提督「ストレートな奴だな、お前」

金剛「まどろっこしいのは苦手デース!」


加賀「・・・私も立候補してもいいかしら?」

提督「?」

金剛「What's!?」

金剛「どういう事デスカ!?あなたまだ今日来たばかりじゃないデスカ!」

提督「・・・・それ、一昨日来たお前が言うか」

金剛「あっ」ハッ

提督「だろ?で、何だって急にそんな事を?」

加賀「分からないわ、ただ貴方を好きかと言われたら、どうなのか分からないの。かと言って金剛さんと提督が恋仲だと、まるで胸が締め付けられるかのような気分なのよ」

加賀「だから、私もこの疑問を何とk・・・・」

提督「話を途中で折ってすまないが、一つだけ言っておくぞ」


提督「俺は金剛と恋仲ではないし、告白も受けた覚えが無い」

金剛(言いましたヨー・・・)

提督「そもそもの話、二人は俺にとって会って間もない。いきなり誰かを選ぶ程、俺は色恋沙汰には飢えてないのでね」

提督「金剛がそこについてどう思っているか、だ」

金剛「Appealするだけデース!私は食らいついたら離さないんダカラ!」

金剛「But、嫌がられたら流石に諦めマース」

金剛「テートクが振り向いてくれるまでささやかに想い続けマス」

提督「分かった、憶えておく。加賀もそれでいいか?」

加賀「ええ。それと演習の件も承知したわ」

提督「分かった。今日は解散だ。明日から演習の練度向上に励んでもらうぞ」

金・加「了解(デース)」スタスタ

ガチャーーーパタン

提督「色恋沙汰・・・か・・・。考えた事も無かったな」



艦娘寮 金剛、加賀の部屋

この鎮守府の艦娘達の部屋はかなり広めに造ってある。この部屋はかなり広めの畳張りの部屋の両側に三段ベッドが取り付けられており、それとは別に床に敷布団を敷いても、戦艦・空母型の艦娘が十二人は寝る事が可能である。

金剛「スー・・・・スー・・・」zzz…

加賀「・・・・・」

加賀(どうも釈然としないわ)

加賀(提督への感情は恋・・・・なのかしら)

加賀(・・・・考え過ぎね。そろそろ寝ましょう)


川内、神通、那珂の部屋

部屋の設計や広さは金剛達と同じだが、軽巡クラスになると、余計に広々としてみえる。駆逐艦達の部屋はもっと広く感じるだろう。同型の姉妹ということもあり、川内達は敷布団を敷いて、川の字に寝ていた。

川内「夜戦・・・・や・・・・せ・・・・ん」グカーッ

神通「スー・・・・スー・・・・」

那珂「艦隊の・・・・アイ・・・ドル・・・那珂・・・・ちゃ・・・んでー・・・・くー・・・」ムニャ

川内「真横に駆逐艦がぁ!!?」ガバッ

神・那「!?」ビクッ

川内「ムニャムニャ・・・・・くー・・・」ドサッ

神・那「・・・・」つハリセン

スパァン スパァン

川内「アダァッ!?」


暁型の部屋

消灯時間をとうに過ぎている現在、彼女達は部屋の電気を付けていた。

響「さて、では次は司令官の事についてだ」

雷「凄くいい人だと思うわ!私達の事をいつも優先してくれるもの」

電「怒ると怖いけど、とても優しい人なのです」

暁「」ウトウト

響「・・・・暁はどうやら眠いみたいだね」

雷「レディーはちょっとやそっとじゃ寝ないものよ」

暁「レディー!?」ピクッ

電「あっ、起きたのです」

暁「レディー!?ねぇ、今私の事呼んだかしら!?」

響「いや、暁がレディーとは、一言も言ってないよ」

暁「にゃにおぅ!!?」ウガァァ

電「雷ちゃんも、間違った事を言ってはだめなのです」

雷「分かったわよ。で、暁は司令官の事どう思ってるの?」

暁「今日来たばっかりだから何とも言えないわね。でも、お洒落な人だと思うわ」

響・雷・電「お洒落?」

暁「だって、人差し指に指輪してたもん。」フンス

電「・・・実はネックレスもしてるのです」

暁「えっ?」

響「それは初めて知ったな」

雷「どんなネックレスなの?」

電「とっても綺麗な七色の珠が付いていたのです。でも見たのは着任初日だけなのです」

実は提督、ネックレスをかけてはいるが、着任後に直ぐVネックの中に仕舞ってあるため、ネックレスを見たことがあるのは電だけであった。


翌日 執務室

金・加「・・・・・」

提督「・・・・川内」

川内「何?」ボロッ

提督「何故そんなにボロボロなのだ。夜に勝手に出撃を許可した覚えはないぞ」

川内「いやぁ、あははは・・・・」ボロッ

提督「それは、神通と那珂の目の下の隅と何か関係があるのか?」

神・那「・・・・はい」ボーッ

神通「じ、実は・・・・・」

神通曰く、一晩中続いた川内の寝言にたたき起こされ、その度に二人はハリセンで制裁していたとの事。

提督「・・・・・全く、お前達は・・・・」アタマカカエ

川内「ねーねー提督、今日夜戦はないの?」

提督「夜戦はしない、敵駆逐艦が戦艦をも沈めるような戦いだ。余程の事が無い限り許可しない」

那珂「じゃあじゃあ、ライブは?」

提督「・・・・ライブ?」

神通「じ、実戦の事です」ハァーッ

那珂「そうそう、那珂ちゃんはアイドルだから〜ライブで皆を笑顔にしないと!!」キャピキャピ

提督「川内、那珂。お前達は戦場を舐め過ぎだ。そんな事では、すぐn・・・・」ハァーッ

ガチャ


暁・響・雷・電「お、遅れてごめんなさい(なのです)・・・・」

提督「・・・・」チラッ

ゼロロクサンハチ

提督「・・・・ゼロロクサンマルから朝礼をするから遅れないように、と前から言っていたはずだが」ジッ

電「夜更かししてたら遅れてしまったのです、ごめんなさいなのです」

暁・響・雷「ごめんなさい」

提督「・・・・・」

パキッ

数分後

執務室で、川内、那珂、暁、響、雷、電は揃って吊るされていた。

神通「て、提督!?一体何を・・・」アワアワ

金剛「これがこの鎮守府でのPunishmentデース」

加賀「大丈夫よ、恥ずかしいだけで痛くはないわ」

神通「・・・・加賀さんも・・・・?」

加賀「・・・・ええ」

提督「まず、第六駆逐隊」

暁・響・雷・電「はい・・・・」

提督「好奇心を咎めはしない。だが、夜更かしは駄目だ。それで先程の様に遅刻したり、最悪戦闘中に集中が途切れて沈められるかもしれんのだぞ。しっかりと寝て体を休めるように」

暁・響・雷・電「はい、ごめんなさい」

提督「・・・・今回は最初だからこれですますが、次は無いぞ」

スタッ シュルルルル・・・・

提督「さて、次はお前達だ」

川・那「はい・・・・」




数分後

提督「では、今日の予定を説明する」

提督「昨日金剛の提案により、練度向上の演習を行う事に決まった。この後、工廠にて妖精から演習用ペイント弾を、加賀は演習用の艦載機を受け取り、演習を行う事」

提督「質問はあるか?では、10分後に海上演習場に集g・・・・」フラッ

金剛「テートク!?」ガシッ

加賀「大丈夫!?」

提督「いや、眩暈がしただけだ。問題ない」

金剛「問題大アリデース!」

電「司令官さんが体調を悪くしては大変なのです!」

金剛「演習は私達がしマス。テートクはrestしてくだサイ!」

提督「すまないな、金剛。では、これを。演習のルール等を書き留めた説明書だ」スッ

提督「金剛を中心として演習を進めてくれ。だが、他の皆も金剛に頼りきりにするな。皆でサポートしあって演習してくれ」

艦娘「はい!」


提督「ふむ、皆練度こそ低いが伸びしろは充分だ。戦い方次第ではいくらでも強くなれるな」

提督が執務室の窓から演習場を眺めていると、執務室にブザーが鳴った。任務を伝えたりしてくれる任務嬢からの通信である。

ピーッ、ピーッ カチッ

提督「はい、こちら執務室」

任務嬢「提督、元帥殿がお見えになりました」

提督「・・・・お通ししろ」


暫くして、執務室に一人の男性が入って来た。彼こそが海軍のトップとして総司令部を取り仕切り、全提督に指示を出す海軍元帥であった。提督と変わらない高身長、白い軍服の胸には幾つもの勲章が輝き、彼の軍人としての功績を物語っていた。深い皺の刻まれたその顔は、正に酸いも甘いも噛み分けた壮年の顔であった。

元帥「数日ぶりかの、変わりはないかね」

提督「何も変わりはありません」

元帥「ハッハッハ。うぬのその慇懃無礼な態度は変わらんな、いや結構」

提督「どうぞ、お座りください。元帥が来ると分かっていたなら、もう少しまともな茶葉を用意できたのですが」スッ

コトッ

元帥「いやいや、儂は高級な品よりも程々の茶が好きでな」ズズッ

提督「・・・・・それで、元帥ともあろう御方が、何故こんな前線に?」

元帥「報告書を拝見した。うぬは、なかなか興味深い戦果を挙げておるのぅ」

元帥「着任初日に高速戦艦の建造、二日目には総司令部の定めたものよりずっと効率の良い遠征方法の設定。三日目に正規空母加賀の建造、四日目にして総司令部の定めた川内型三隻の保有」

元帥「これらについては二つ質問がある。まずは、高速戦艦についてじゃ」

元帥「戦艦を建造するためのレシピは着任時の資源量では回せない筈。どうやって建造したのじゃ?」

提督「着任時に同業者の知り合いから、着任祝いとして資源を頂きまして、それを用いました。微々たる量しか貰っていなかったので、もう残っておりません」

元帥「ふむ、着任祝い・・・か。なるほど、余程の仲なのじゃな」

提督「はい。殉職なされ、今は故人ではありますが」

元帥「分かった。して次の質問じゃが、空母の加賀の事じゃ。あれはどのように手に入れたのかね?」

提督「工廠妖精達が港に沈んでいた艦娘を引き揚げて建造してくれました」

元帥「ふむ、なるほど。では単刀直入に言う」


元帥「その無駄のない合理的な方法は称賛に値する。それ故、儂自ら出向き頼みたいと思ってな」

元帥「加賀を総司令部に引き渡して貰おうかの」

提督「・・・・理由を伺ってもよろしいでしょうか?」

元帥「ほう、理由か」

提督「彼女はまだ弱小であるこの鎮守府の最大戦力が一人です。何より艦娘はたった一人の提督にしか、従いません。こう言うのは少々気が引けますが、俺以外の他人の下では完全な役立たずとなるでしょう」

元帥「・・・・」ジーッ

提督「?・・・何か?」

元帥「いや、うぬの処遇を考えておるのじゃが・・・・」

元帥「うむ、素質は十分じゃ」

元帥「少将、うぬは深海棲艦に興味はあるかの?」

提督「はい、大変興味深く考えておりますが・・・・」

元帥「では、うぬは深海棲艦についてどう思っておるかの?」

提督「・・・・・それは一体どういう意味でしょうか?」

元帥「いや、そのままの意味だ。思った通りの事を率直に話したまえ」

提督(・・・・まさか、調べていた事がバレたと言うのか!?・・・・いや、その可能性は低い。倒した敵からデータを回収しているようにしか見えていないはずだ)

提督「(何だ、何がしたいんだ?何を考えている、このクソジジイは)・・・・そうですね、何と言えば良いのやら」

提督「(仕方ない、冗談でも言ってで有耶無耶にするか)俺としては、その性能の高さに驚かされます。ヤツらを元にした艦娘を着任させることが出来れば、我が鎮守府もすぐさま強力な艦隊を保有出来ましょう」

元帥「宜しい、二階級特進じゃ。少将、うぬは今から大将じゃ」

提督「なんて・・・・ハァッ!!?ど、どういう事ですか、元帥!?」

元帥「どうも何も、そのままじゃ。おめでとう」パチパチ

提督「・・・・・・俺はこれから死ぬのでしょうか?」

元帥「殉職による特進ではない、安心したまえ」



元帥「何、我々の計画を話すに値する男じゃと確信しての。大将以上の方が色々と融通が利くのでな」

元帥「深海棲艦から艦娘を建造したという実績もある。何より、今は使える駒が圧倒的に少ない故、多少強引にでも使えそうな駒を引き込まねばならんのじゃ。そして・・・・・」

元帥「・・・・もう、逃げる事は出来んぞい、"大将殿"?」ニヤリ

提督(・・・・元から軍など信用してなかったが、元帥が交代してから一層真っ黒になったな、"日本海軍"・・・・)

元帥「何もかもをとはいかんが、話そうじゃないか。我々の計画を・・・・」


元帥「始まりは、忘れもせん・・・・四年前に突如現れた正体不明の怪物、深海棲艦によって我々海軍は、いや人類は己が如何に思い上がった、非力な存在かを思い知らされた」

元帥「その時は軍の手練が撤退に追い込んだが、頭の命をとるまでは出来なかったと聞くがの」

提督「・・・・・」

元帥「その一年後、世界各地で奴等の大規模侵攻が始まっての」

元帥「人類の英知の結晶である近代兵器を物ともせずに、進撃する奴等に対抗するため、艦娘建造計画が立案されたのじゃ」

元帥「そして艦娘は今や深海棲艦を倒しうる唯一の存在となった。今でこそ安定しておるが、当時の艦娘は不安定でのぅ」

元帥「正にそれは地獄絵図・・・・苦痛の叫びと共に苦しみ、壊れていく被検体が何人もいた。人としての原形を留めないもの、体から触手や棘のような異物の生えたもの、腕や脚が肥大化したもの・・・・それらの成れの果てが深海棲艦じゃ」

提督「!?」

元帥「その様子を見るに、薄々気づいておったかの?」

提督「はい・・・・倒した深海棲艦から艦娘のデータが回収出来ることから・・・・」

元帥「結構、結構。話を続けようかの」


元帥「深海棲艦は、最初の頃の装備は艦娘と大差は無かった。じゃが、次第に強力な兵器を扱いだしたのじゃ」

提督「奴等が成長、もっと言えば進化して来たと?」

元帥「左様。更には奴等、燃料や弾薬を必要としておらん」

提督「そんな馬鹿な・・・・・。だとしたら、どうやって深海棲艦は動いているのですか?」

元帥「そこについては未だ解明されておらんのじゃよ。一説によると、奴等は負の感情のエネルギーが動力源と言われておってな」

提督「負の・・・・感情・・・」

元帥「うむ。約二百年前にあった第二次世界大戦・・・・在りし日の軍艦に乗っておった兵士達。国の為にと海上で戦死した者達の負の感情・・・・それらが水底の船に憑依した存在。乗組員の負の"記憶"を宿した船。それが深海棲艦の正体という説じゃ」

提督「ならば、艦娘達は乗組員達の真逆の感情・・・・例えば勇気等の"記憶"を宿した者達という事ですね」

元帥「うむ、そうともとれるのぅ。さて、その負の感情じゃが、戦争をしておる間は消える事はまず無いじゃろう。殺し、殺され、沈んでゆくのじゃ、無くなるはずがない」

元帥「この説が有力となる実験結果も出ておる。深海棲艦を解剖して調べたが、動力源らしきものは見当たらなかったそうじゃ」

元帥「今までにも深海棲艦を素材とした艦娘の建造は、幾度と無く行われたが一度たりとも成功しなかった。うぬを除いてな」


元帥「うぬの加賀、他の艦娘より性能が良いのではないかね?」

提督「うちの鎮守府には空母は彼女一人なので、分かりかねます」

元帥「そうじゃったな、では後に資料を送っておくとしようかの。さて、本題に入ろうか」

元帥「現在、我々人類は深海棲艦との戦争にて、劣勢に立たされておる。じゃが、勝たねばならん。勝たねば人類に未来は無い」

元帥「ところで大将よ、士官学校にて習った戦闘の数理モデルであるランチェスターの第二法則は何か言えるかね?」

提督「戦闘力=質×量の二乗、です」

元帥「左様。今現在、この世界に存在する深海棲艦の数は人類の保有する艦娘の数千倍は下らんと言われておる」

提督「数千倍・・・・」

元帥「総合的な質でこそ勝っておるが、圧倒的な数の暴力にはかなわん。量でかなわないならば、圧倒的な質で対抗するしかないのじゃ」

元帥「数年前・・・軍の英雄、戦場の暴君として前線を駆け巡ったうぬのようにな。大将、いや"暴竜"殿」

提督「っ!?」ギリッ

元帥「その為にも、深海棲艦を素材とした艦娘を建造してほしいのじゃ」

提督「偶然かもしれませんよ?」

元帥「ただの偶然ではないかもしれんぞい?何にせよ、我々に残された選択肢は少ない。もしうぬが協力してくれなかったら、加賀を強奪し、研究の為華々しく散ってもらったじゃろう」

提督「っ!!?」ガッ

チャキッ

元帥が言うが早いか、提督は刀に手を伸ばすと同時に鯉口を切っていた。

元帥「落ち着きたまえ、だったらの話じゃ。じゃが、我々はそれ程切羽詰まっておる。例え元艦娘を・・・・いや、回りくどく言うのはよそうかの」

元帥「艦娘の死体を利用してでも勝たねばならんのじゃ」

提督「・・・・」

元帥「やってくれると言うのならば、礼として通常配給の資源を上乗せしよう。もちろん、任務報酬の分も今まで通りじゃ」


提督「拒否すると言ったらどうするのですか?」

元帥「うぬを反乱分子とみなし、艦娘共々始末する。情報漏洩を防ぐため、うぬの関係者もみな行方不明となるじゃろう」

元帥「言ったではないか、既に逃げる事は出来んと。特にうぬは艦娘に慕われておる。何なら見せてやろうかの、彼女達の生身が解体される場面を」

提督「くっ・・・・・」ギリィ

提督「・・・・・分かりました。協力します・・・・・」

元帥「そうか、良かった」ニッコリ

元帥「さて、では儂はそろそろ帰らせてもらうとしよう。後日、うぬには特殊任務を幾つか送らせてもらう」スクッ

提督「分かりました・・・・」

元帥「この件については内密にの。うぬと深海棲艦からできた艦娘とだけじゃ」

提督「(話したらどうなるか、分かっているなと言いたげな目だな)分かっています、話はしません」

元帥「うむ、頼むぞい」ゴソッ

元帥「これは、大将のバッジじゃ。うぬ専用に作ってある。付けておきたまえ」スッ

元帥「では失礼する。うぬの目に光が宿っているのを初めて見たよ」

ガチャーーーパタン

提督「俺の目に光・・・・か・・・・。久々に聞いたな、あの異名」


数時間後

ガチャ

金剛「テートク、演習終わったヨー」

加賀「あら、起きていたの?休んでいるかと思ったわ」

金剛「って、これは?大将バッジデース」

提督「あぁ、さっき元帥が来られてな。尋常じゃない戦果、そして新たな資源の活用法発見、その他諸々の功績から二階級特進となった」

加賀「はあ、そのような事が」

提督「元帥が来られるのに休んでいるわけにもいくまい。それと加賀、さっきの演習について話があるから、今夜は起きているように」

加賀「ひっ!?」ビクッ

提督「さて金剛、秘書仕事はまだ出来るか?」

金剛「Don't worryデース!」

加賀「で、では私はこれで」ガタガタ

ガチャーーーパタン


金剛「・・・・さて、テートク。私が何が言いたいか分かっていマスネ?」

提督「あぁ・・・・」

金剛「本当はここで何があったのデスカ?」

提督「・・・・・すまない。これは誰にも言うわけにはいかないのだ」

金剛「・・・・・秘書艦の私にも・・・・・デスカ?」

提督「・・・・・あぁ」

金剛「・・・・・ワカリマシタ。But、いつかちゃんと話してクダサイネ?」

提督「無論だ」

金剛「では、この話はこれでfinish!書類を片付けマショー!」

提督「あぁ、頼むぞ」


数時間後

提督「よし、これで終わりだ」カリッ

金剛「お疲れ様デース」

提督「ゼロゼロサンゼロ・・・・かなり早く終わったな。助かったよ、金剛」

金剛「Thank youデース、テートク。ご褒美はキスがほしいデース!」

提督「調子にのるな」デコピン

金剛「アウッ、ムー・・・・・残念デース」

提督「明日も早い、今日は上がれ」

金剛「テートクも、ちゃんとrestしてクダサイネ?」

提督「善処するよ」

金剛「ふふっ。テートク、good night」

提督「おやすみ」

ガチャーーーパタン

提督「さて、加賀と話さないとな」


提督「さて、加賀」

加賀「は、はい・・・・」ビクビク

提督「昼間、この執務室で非常に問題のある発言が挙がった」

提督「加賀、お前は上層部に目を付けられた」

提督「深海棲艦から建造されたお前が・・・・」

加賀「・・・・え?」

提督は加賀に昼間、元帥から聞いた話を全て話した。話し終わった時には加賀は呆然としていた。

加賀「そんな・・・・。嘘、嘘よ・・・・」

提督「嘘ではない、残念ながら」

加賀「で、でも私は補給が必要よ!さっきの話しただと深海棲艦には必要無いって。そんな事・・・あるわけないわ!」

提督「さっき資料を見た。加賀、お前の補給に必要な資源は圧倒的に少ない。駆逐艦並だ」

加賀「!?」

提督「本来、空母は燃費が悪く大量の資源を消費する。特にお前と赤城は最強クラスの空母なだけあって、大量の資材を必要とするそうだ」

提督「他にも、いくら空母とはいえ、最低練度のお前が初出撃で敵を一撃で沈めるには、無理があるそうだ。例え強力な艦載機を扱っていたとしてもな」

加賀「・・・・提督、私は居ても良かったのでしょうか」

提督「・・・・・」

加賀「私は・・・・とても幸せでした。皆の役に立てて。貴方に褒めて頂いて・・・・。提督に頭を撫でて頂いた時には気分がとても高揚しました・・・・」


加賀「それでも今は・・・・ここに居ない方が・・・・建造されなかった方が良かったと・・・」

提督「それは俺が困る」

加賀「ですが私は、私の体は」

ーーー同族の死体ーーー

加賀「それで出来ているのよ。気持ち悪いわ」ジワッ

提督「・・・・」

加賀「許されないの?私も皆と同じように幸せを感じては、駄目なの?」ポロポロ

提督「立て、加賀」

加賀「?」キョトン

提督「ほう、命令を無視するか・・・。ならば吊るs・・・・・」

加賀「は、はいぃっ!!」ビクッ

提督「そうだ、それでいい」


提督は立ち上がった加賀にそっと手を伸ばし、彼女の頭を優しく撫でた

提督「見ろ、このように触れる事が出来る。どこが気持ち悪い」ナデナデ

加賀(温かい・・・・凄く落ち着く・・・・)ポロポロ

提督「俺はお前が必要だ。二度と自分の体を無下にするな」

加賀「はい・・・!・・・・はいっ!!」ポロポロ

加賀はひたすら泣いた。普段の言動から誤解されがちだが、感情表現が下手なだけであって、彼女はかなりの激情家であり、彼女を印象づけていたきつい言動は彼女なりの愛情表現、照れ隠しだった。

提督「・・・・・落ち着いたか?」

加賀「ええ、もう大丈夫よ。ねぇ、提督。私は言い方を変えたら、低コストで動けるお得な空母よね?」

提督「そうともとれるな。だが、自分を物みたいに言うのは感心しないな」

加賀「ごめんなさい。でも、そうだとしたら私は誰よりも貴方の役に立てるわ」

提督「ほう、それならば金剛に秘書仕事で勝ってもらおうか?」ニヤッ

加賀「・・・・それは無理ね。昼間聞いたけど、私はあまり事務作業は得意じゃないわ」キッパリ

提督「まぁ、俺はそんな事気にはしないがな。話は終わりだ、もう寝ろ」

加賀「分かったわ、この件の話が来たら知らせて頂戴」

提督「分かっている、おやすみ」

加賀「おやすみなさい」

ガチャーーーパタン


翌日 執務室

提督「では朝礼を始める。楽にして聞いてくれ」

艦娘「はい!」

提督「まず、この鎮守府に今日から配属された二名を紹介しよう。給料艦の間宮と伊良湖だ」

間宮「間宮です。皆さんよろしくお願いいたします」ペコッ

伊良湖「伊良湖です。よろしくお願いします」ペコ

艦娘「よろしくお願いします」ペコン

提督「彼女達は新しく喫茶店を営業してくださる。お前達にも是非そこで英気を養ってもらいたい」

電「間宮さんのアイスクリームが食べたいのです!」

暁「私は伊良湖さんの最中が食べたいわ!」

加賀「・・・・ここは譲れません」

神通「えっと、加賀さん?何の事でしょうか?」

金剛「ンーっ!紅茶が飲みたいネー」

提督「落ち着け、お前達。まだ朝礼は終わっていないぞ」ジッ

艦娘「ご、ごめんなさい」ビクッ

提督「喫茶店については、店長を務める間宮に後で説明してもらう。では、もう一つの報告だ」

提督「先日、上層部の意向でこの鎮守府への配給資源が上乗せされた。だが、俺はこんなものに頼る気はない」

提督「現在計画されている遠征は知っての通り、軽巡を旗艦とした水雷戦隊が基本とされている。よって今後は旗艦をローテーションで回していきながら進めることとする。以上、何か質問はあるか?」

提督「ないな、では解散とする。間宮、説明を頼む」スッ

間宮「はい、では喫茶"間宮"について説明させて頂きます。当店は・・・・」


その夜、執務室

提督「・・・・・・そうか。やはり、間宮達に着任してもらって正解だったか」カリカリ

金剛「皆遠征から帰ってきたらすぐに足を運んでマシタ」ペタッペタッ

金剛「まさか、drinkにテートクのジュースがあるとは思いませんデシタヨ」トントン

提督「俺が半分程提供した。流石にアレを全部飲み切るには骨が折れる」カリカリ

金剛「皆に大好評デシタヨ、あのジュース」

提督「なら良かった。料理のプロならアレを役立ててくれると思ってな」カリッ

提督「さて、終わりだ」ノビーッ

金剛「今日の書類は随分と少ないデース」

提督「まあな、実は他は俺以外見てはいけない機密書類でな。お前にも見せることが出来んのだ」

金剛「・・・・・残念デース。大変デスネ、テートクも」

提督「あぁ。ご苦労、金剛。今日はもう上がれ」

金剛「ワカリマシタ。テートク、good night」

提督「あぁ、おやすみ」

ガチャーーーパタン

提督「さて、加賀と話すか」


提督「さて、加賀。覚悟はいいな?」

加賀「・・・・ええ」

提督「知っての通り、俺とお前達の生死は上層部が握っている。故に下手すれば明日の命は保証されん」

提督「俺としては進展無しではぐらかす気だったが、そうもいかなくなった」バサッ

提督「奴等俺が逃げられない様にこんな物を送ってきやがった」

加賀「これは・・・・"極秘任務"?」

提督「あぁ、その癖して通常書類と一緒に送ってきたものだから金剛を誤魔化すのに苦労した」

提督「この項目を俺達二人でクリアして報告書を作成しろって事だ」

加賀「色んな種類があるのね。あら、この三枚の建造についての書類は何かしら?」

提督「大量建造と大型建造は、所謂鎮守府の弱体化が目的だろう。参勤交代みたいなものだ」

加賀「参勤交代?」

提督「江戸時代、将軍が諸国の大名に定期的に江戸を訪れさせた制度だ。旅行費を浪費させる事で余分な財力を持つことを防いでいたそうだ」

加賀「なるほど・・・・・えっ!?薬物投与の項目もあるわ」

提督「あぁ、それらの項目は最もな理由をつけて論外だと突っぱねておく」

加賀「良かった・・・・・。他には・・・・・っ!?」ギョッ

提督「何だ今度は」

加賀「」ピラッ

提督「ん?『性行為における通常艦娘との違いを報告せよ』?」

加賀「・・・・」


提督「・・・・シュレッダーはどこだったかな」フラッ

加賀「ちょっと、何考えているの!?落ち着いて提督!!」ガシッ

提督「離せ加賀!!あのクソジジイ供こんな物送りつけてきやがって!」

加賀「だからってそんな事したら私達殺されてしまうわ!」ググッ

提督「問題無い、返り討ちにしてくれる!」

加賀「落ち着いてって・・・・言ってるでしょう!!」ググッ

ドサッ

加賀は提督の腕と肩を捕まえたまま、椅子に無理矢理座らせた。

加賀「ハアッ、ハアッ・・・・・大丈夫、方法はあるわ」

提督「何、本当か!?」

加賀「実際にしてしまえばいいのよ」


提督「・・・・・よし、加賀の心の準備がまだだから延期を希望と書こう」スッ

加賀「私、貴方ならいいわよ」

提督「・・・・・あ"?」ビキィ

加賀「ヒイッ!?万年筆にヒビが!?どんな指の力してるの!?」ビクッ

提督「加賀・・・・お前が、明るくなった上に冗談まで言えるようになって、俺は大変嬉しいよ・・・・」ニッッッコリ ミシミシ バキッ

加賀「(目が笑ってない・・・・)万年筆が折れちゃってるわよ・・・」ビクビク

加賀「本心よ、貴方にならいいわ。どちらにせよ、しないと私達は殺されてしまう。なら、私は・・・・」

提督「時間が必要と書いておく。万が一の事があっては仕事に支障が出る」

加賀「え?ちょっと待って提督、私は」

提督「話は終わりだ。今日はもう寝ろ」

加賀「・・・・それでいいの?」

提督「構わん、そこまで急ぎでもあるまい」

加賀「分かったわ、おやすみなさい」

提督「おやすみ」

ガチャーーーパタン

提督「・・・・にしても、何故加賀に拘る?深海棲艦を捕まえて実験をすれば・・・」

提督「?・・・・何故敵艦で実験しない?確かに加賀は深海棲艦から建造出来た唯一の艦娘。だが、それにしては明らかに関係無い内容も含まれていた・・・・」

提督「何だ、この違和感は・・・・?」

リスペクトというよりほんとそのままなぞってるだけだが大丈夫か? 変化いつくるんだw


翌日 工廠

提督(さて、最初の任務は大量建造か)

加賀「大量といっても何回建造するの?」

提督「書類には12回と書かれている。その上、丁寧に『尚、全て同レシピで行う事を禁ずる』と、釘を刺してやがる」

金剛「12回もデスカ!?」

加賀「ちょっ、金剛さん!?何故ここに!?」ビクッ

提督(建造の件は大量と大型は知られても大丈夫、隠れ蓑のような物だ)ヒソヒソ

加賀「良かった・・・」ホッ

金剛「But、何で12回も建造するデース?」

加賀「この鎮守府が下手に財力を持ったりしないようによ」

金剛「・・・・・ソレデモ、この任務はおかしいネー」ジトッ

提督「(相変わらず察しがいい子だ)士官学校に居た頃は平気で上官にたてつく問題児でな、軍としては俺が忠実かどうか試したいのだろう」

金剛「ナーンダ、そうだったのデスネ!」

加賀「そんな事してよく士官学校を卒業出来たわね。下手したら射殺されたかも知れないのよ」

提督「まあ、やる事はきっちり完璧にこなす問題児だったからな。上も切り捨てる事が出来なかったのだろう」

>>100 もうそろそろオリジナル要素を入れて行きます。駄作かも知れませんが、どうか温かく見守って下さい。


妖精a「それで、どうするの?」

提督「ああ、最低値で11回、1回はこのレシピで頼む」スッ

金剛(ナルホド、"全部"がbadなだけデスネ)

加賀「・・・・考えたわね」

提督「まあな。バーナーも使って構わん。全部終わったら教えてくれ」スタスタ

妖精ズ「あいよ〜」ガチャガチャ


数分後

妖精a「提督さん、終わったよ」テテテテ

提督「ありがとう。結果は?」

妖精b「軽巡5隻と、駆逐7隻。軽巡と駆逐4隻が姉妹艦で、駆逐の1隻は、レア艦だよ」

妖精c「あの面子を揃えるなんて、運がいいのか悪いのか・・・・」

提督「そんなに個性的なのか?」

妖精a・b・c「特に軽巡がね」

提督「口を揃えて言うか、上等」スタスタ

ーーーーーーーーーーー

提督「さて、では向かって左から順番に確認していくぞ」


提督「軽巡。球磨、多磨、北上、大井、木曾。間違いないな?」

球磨「そうだクマー。よろしくクマー」クマー

多磨「よろしくニャ」ニャー

北上「まあ、よろしく〜」ダルーン

大井「そうです、北上さん共々よろしくお願いします」キタカミノウデガシッ

木曾「あぁ、よろしくお願いする」キリッ

提督(・・・・・うん、濃いな)

提督(球磨と多磨は謎の語尾が気になる。北上は言動が気だるそうだな。大井は北上の腕に組みついて離れないか。木曾は軍人気質で男みたいだが、この中では一番まともか)

提督「よろしく頼む」

提督「さて、次に駆逐の方だ。左から順に・・・・・」


提督「吹雪、夕立、睦月、如月、弥生、文月、雪風で間違いないな?」

吹雪「はいっ、よろしくお願いします、司令官!」ピシッ

夕立「当たってるっぽい〜」

睦月「はい。提督、よろしくなのです」

如月「えぇ、そうよ」

弥生「はい・・・・。その・・・・気にしなくて・・・・・いいです」

文月「そぉだよぉ、司令官」

雪風「はいっ!よろしくお願いします、しれぇ!!」

提督(こっちもなかなかだな)

この作者の妄想を具現化してる感じ



大好きだよ


提督「よろしく頼む。では皆、この鎮守府でn・・・・・って、北上と大井は何処だ?」

球磨「二人なら、さっき・・・・」チラッ

吹雪「食事に行くってあっちに・・・」チラッ

カッテニヌケデテキテヨカッタノ?オオイッチ
カマイマセンヨ、キタカミサン。オトコノハナシハナガインデス

金・加「・・・・・」オワタ

提督「・・・・あいつら・・・・」パキッ

シュンッ

艦娘「えっ!?」ビクッ

タタタタタタタタッ、タタタタタタタタタッ

提督が一言話すと共にその姿を消した。少ししてから謎の音が工廠に響いた。先に話しておくと、目に写っていないだけであって、彼が瞬間移動したわけではない。

>>107 ありがとうございます。そう言っていただき光栄です。駄作かも知れませんが、どうか見守って下さい。m(_ _)m


シュンッ スタッ


北上「うわっ!?」ビクッ

大井「キャッ!?」ビクッ

提督「何をしている、お前達」

吹雪「え、えぇぇ!?」

球磨「何が起きたクマ!?」

睦月「提督が消えて・・・・」

如月「変な音がしたかと思ったら・・・・」

弥生「一瞬で・・・・あんな所に・・・・」

文月「ほわぁ、何が起きたのぉ?」

多磨「瞬間移動・・・じゃないみたいニャ」

夕立「よく分からないっぽい」

木曾「おぉぉお、スゲー提督!!」キラキラ

雪風「すごいです、しれぇ!!」キラキラ

金・加(無邪気(デスネ)(ね)、この二人)

大井「い、いきなり何するんですか!?」

提督「それはこっちが言いたい。話も終わっていないのに勝手にほっつき歩きおって・・・・」グッ

北上「?(あれ?提督、さっきあんなグローブ付けてたっけ?)」

提督「お前達二人共、覚悟しろ」クイッ

ギュルルルルル・・・・・

北上「う、うわぁっ!?」グイッ

大井「キャアアッ!?」グイッ

球・多・木・吹・夕・睦・如・弥・文・雪「えぇぇ!?」ポカーン

金剛「皆同じ反応しマース」

加賀「大丈夫、痛くないから」

吹雪「アワワワ・・・・」

夕立「下着が見えるっぽい!」

文月「え〜?どれどれ〜?」ノゾキ

多磨「幼い故の残酷さだニャ・・・・」

北上「ちょ、見るなチミっ子ぉ!」ジタバタ

大井「な、何するんですか!?」


提督「人の話は長くても最後まで聞くのが筋だろう?」

大井「・・・・」

北上「・・・・」

提督「大事な連絡をしていて、それを聞き逃して作戦失敗しては話にならん。自重するように」

北上「分かりました・・・・」

大井「ごめんなさい・・・・」

提督「分かればよろしい」クイッ

スタッ ギュルルルルル・・・・

提督「列に戻るように」スタスタ

北・大「はい・・・・」スタスタ

数分後

提督「・・・・以上で説明を終わる。何か質問はあるか?」

提督「ないな、では解散だ。金剛、加賀、皆を案内してあげてくれ」

金剛「ワカリマシタ」

加賀「分かったわ」


提督「それと、球磨、多磨、北上、大井、木曾は神通に頼んで訓練を受けるように。水雷戦隊の旗艦を任せる時があるからな」

球・多・木「はいっ!」ビクッ

提督「あぁ、そんなに怖がる必要はない。礼儀さえ弁えていたら口調などは素で構わん」スタスタ


正午 執務室

提督「そろそろ昼か・・・・。早めに切付けるか」カリカリ

コンコン

提督「どうぞ」

ガチャ

神通「失礼します、提督」スタスタ

提督「神通か、何だ?」

神通「先程、球磨さん達の演習を行ったのですが、駆逐艦の子達も合わせ、12人全員が皆大幅に練度を上げました」

提督「ほう、それは一体どのような訓練を行ったのだ?」

神通「私が昨晩考えたメニューが何かしらの理由で効率よく練度を上げる要因だったらしく・・・・」

提督「ふむ、では神通、お前を正式に訓練監督に任命したい。新人の指導及び育成、他にも訓練の際は付き添いとして指示を出したりしてほしい。引き受けてくれるかね?」

神通「は、はい!私なんかでよければ、その大任、喜んで引き受けさせて頂きます!」パァァァ

提督「よろしく頼む。そして、後ろにいる北上と大井はどうしたのだ?心なしか二人とも白い光を放っているが・・・・」


北上「まあね、あたし達は改造の許可を貰いに来たんだよ」

提督「改造?」

大井「私達艦娘は一定の練度に達すると改造を受けて能力やステータスを底上げ出来るんです」

北上「まあ、某ゲームで一定のレベルでモンスターが進化するようなもんだと思って」

金剛「改造した艦娘は装備等、殆どがrenewalされる事から"改"と呼ばれマース!」

加賀「因みに更に改造を施した艦娘は"改二"と呼ばれるわ」

提督「・・・・・要するに、強化されるという事だろう?」

北上「んでね、あたし達は改になる事で艦種も変わるよん」

提督「何?本当か?」

大井「はい、軽巡から重雷装巡洋艦、つまり雷巡になります」

提督「雷撃特化か・・・・いいだろう、許可する。工廠に行って妖精達に頼むといい」

北上「はぁい」

大井「失礼します」

ガチャーーーパタン


提督「さて、神通。他には何か?」

神通「はい、球磨さん達を次の出撃の編成に組み込んでみてはどうでしょうか?」

提督「お前が言うぐらいだ、かなりの上達ぶりなのだな」

神通「はい、球磨さん達からは既に許可は頂いております」

金剛「ちょうど次のareaは水雷戦隊でしか出撃できないareaデシタネ」

加賀「どうするの?」

提督「分かった、責任は俺がとる。神通、お前の意見を採用しよう。編成は球磨を旗艦とし、多磨、木曾、如月、弥生、文月とする。加賀、該当艦娘に伝達、『イチサンサンマルに執務室に集まるように』と」バッ

加賀「了解」スタスタ

神通「あ、ありがとうございます!」ペコ


イチサンサンマル 執務室

提督「そろっているな、では次の出撃について説明する」

提督「次の出撃は、総司令部の意向で水雷戦隊でのみ、出撃が許可された海域だ。敵も水雷戦隊が基本だが、時たま戦艦や空母が出現する事がある」

球磨「どうするつもりクマ?」

提督「それは、現場で指揮する。今作戦の最大の難関は敵主力艦隊の旗艦だ。空母ヲ級・・・・だが、ただの空母ではない。赤いオーラを発した個体だ」

加賀「通常の個体とは明らかに違う強さを持っています」

金剛「ダカラ、軍は赤いauraの個体を"elite"と呼んでいマス」ペラッ

多磨「エリート・・・・」

木曾「俺達は確かに強くなった。でも・・・・」

如月「所詮、着任仕立ての新人」

球磨「対して相手は普通の奴よりよっぽど強いクマ」

弥生「今の・・・実力・・・・で」

文月「勝てるかなぁ?」

提督「・・・・あぁ、勝てんよ」

艦娘「!?」

金剛「テートク!?」

提督「精神論は大して分からんが、"今の後ろ向きな"お前達では、通常の駆逐艦すら倒せないだろう」

提督「例外こそあれ、始めから勝利や敗北など分からんよ。高練度の子も、慢心して格下に倒されるかもしれん。逆に低練度でも、工夫次第で格上を倒す事ができるかもしれん」

提督「俺は決して、お前達を死地に追いやる為に鼓舞している訳ではない。お前達を生きて帰らせる為に叱咤している」

艦娘「・・・・はいっ!!」


提督「では、これにて説明は終わりだ。10分後に出撃する、各自準備を整え、集合するように」

ーーーーーーーー

海上

提督「球磨は右の軽巡に、木曾は左、多磨はその横にいる駆逐にそれぞれ砲撃」

球磨「舐めるな、クマー!!」ドォン

多磨「そこニャ!」ドォン

木曾「オラぁ!」ドォン

ホ級「あべふっ!?」大破

ロ級「ごふぁ!?」中破

イ級「べひぃっ!?」中破

提督「如月は大破した軽巡を、弥生と文月は駆逐を砲撃、止めをさせ」

如月「えいっ」ドォン

弥生「え・・・・い・・・・」ドォン

文月「とぉう」ドォン

ホ級「うぎゃあ!?」撃沈

ロ級「どわぁぁあ!?」撃沈

イ級「ぎゃふん!?」撃沈

提督「よし、残り二体だ」

ワ級「くっ・・・・こうなったら・・・・」

イ級「逃げるが勝ちだぁ!!」スタコラ

ワ級「よっしゃあ!」スタコラ

提督「・・・・撤退したか」

文月「ねぇねぇ司令官、あいつら殺っちゃってもい〜い〜?」

提督「駄目だ、深追いは禁物だ。誰も被弾してないな?」

艦娘「はい!」

提督「よし、後少しだ。気を引き締めろ」


キィィィィン・・・・

提督「艦載機が来たか・・・・全艦砲撃用意、対空射撃で応戦せよ」

球磨「ヴォー!?」中破

多磨「ニ"ャ!?」小破

木曾「このっ」ドォン

如月「えいっ」ドォン

弥生「きゃ・・・・」小破

文月「やぁあ」ドォン

ーーーーーーーーーーーーー

提督「あらかた撃ち落としたな」

艦載機からの爆撃によって艦隊は殆どが負傷していた。しかもこれから本格的な砲撃、雷撃が行われる・・・・・つまりこれは、まだ始まりに過ぎないのだ。そうこうしているうちに、赤いオーラを纏った影が現れた。空母ヲ級elite率いる敵主力艦隊であった。

ヲ級「ふん、雑魚どもが・・・・。沈めてしまえ」カンサイキハッカン

チ級「ヒャッハー」ドォン

ホ級「オラオラオラァ」ドォン

ロ級「汚物は消毒だ!!」ドォン

ドォン、ドォン、ドォン

提督「・・・・作戦を決行。皆、準備はいいな?」

艦娘「はい!」

提督「手筈通りに動け・・・・・今だ!!」


ヲ級「もうすぐだ、息の根をt・・・・・!?」

シュゴォォォォォ・・・・・

ヲ級「な、何だこの音は!?」

ドゴォォォン

ヲ級「ぐわぁぁぁ!?」大破

ヲ級「ら、雷撃だと!?一体どこから・・・?」

ホ級「ボス!うぎゃあ!?」撃沈

チ級「どわぁぁあ!?」撃沈

ロ級「アイエエエエ!?」撃沈

ヲ級「随伴艦達が・・・・貴様ら、一体何をした!?」

提督「お前達の集中砲火を利用しただけだ」

曰く、開幕後の集中砲火によって、広範囲に出来た水柱や弾幕に隠れて、彼らの艦隊を挟撃したとの事。ヲ級を大破させた魚雷は如月、弥生、文月が放ったものだった。とはいえ、負傷した艦にこれだけの指示はリスクが高く、いくら強い艦隊でも、指揮系統の乱れによって一気に弱体化する事にかけた博打であった。

ヲ級「く、痴れ者がぁ、恐れ畏怖すべきこの私に、これ程の無礼を働くか・・・!」

提督「案外下も見てみるものだぞ。木曾、多磨、止めだ。放て」

木曾「この箱入り娘が、くたばれぇ!」ドォン

多磨「ニャ」ドォン

ヲ級「くっ、まだだ、タダでは終わらん・・・・ぞ・・・・」撃沈

提督「戦闘終了、周囲に敵影は?」

艦娘「ありません!」

提督「よし、鎮守府に帰還する」

・・・・・・・キラッ


提督「負傷した者が多い。索敵を怠らず、迅速に帰還する」

球磨「了解だクマ」スィーッ

キィィィィィ・・・・・

ビュォォォォォ・・・・

如月「っ!?・・・・・もう、髪が傷んじゃう・・・・・・」サワサワ

突如吹いた潮風。髪を心配する如月の頭上に黒い物体が一つ・・・・・。それは爆破寸前の敵艦載機であった。艦載機は最後の力を振り絞って爆雷を投下、直後に爆発した。

提督「っ!?」ピクッ

球磨「どうしたクマ!?」ビクッ

提督「この音、まさか・・・・っ!?」クル

提督「如月ぃぃぃい、直上だっ、避けろぉぉお!!」

如月「っ!?」ビクッ

如月「・・・・・え?」クル


ボゴォォォォンッッ


艦娘「如月(ちゃん)!!」

ゴボゴボ・・・・・

提督「・・・・・あの・・・・・馬鹿・・・・・!」ワナワナ

提督「球磨っ、上着持ってろ」バサッ

球磨「ク、クマッ!?」キャッチ

提督「全員周囲を警戒しつつ待機、多磨と木曾は弥生達を頼む」タンッ

ドボォン・・・・

球磨に上に着ていたシャツを渡すが早いか、提督は海に飛び込んだ。

球磨「と、とりあえず言う通りにするクマ!」

木曾「お、おう!」

弥生「そんな・・・」ポロポロ

文月「如月ちゃぁん」ポロポロ

多磨「大丈夫だニャ。提督を信じるんだニャ」ナデナデ


如月(こ、ここは・・・・・、どこ?)

如月(そうか・・・・私・・・・轟沈しちゃったんだ)

如月(睦月ちゃん、弥生ちゃん、文月ちゃん、皆・・・・・)

如月(そして、司令官・・・・)

如月(また、沈んじゃうけど、いつまでも如月の事、忘れないで・・・・ね・・・・)


ゴボゴボ・・・・・・














ガシッ


提督「・・・・・」ゴボゴボ

提督「悪いが、お前の期待には添えんよ・・・・・如月・・・・・」グイッ

提督「帰ったら、ミッチリ絞ってやる、覚悟しろ・・・・」ダキッ

ドン、ドン、ドン・・・・・

ーーーーーー
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーー


如月「・・・・んっ」ピクッ

如月「こ、ここは・・・・・?」パチッ

「っ!如月(ちゃん)!!」

睦・文「良かった、良かったよ〜」ガバッ

弥生「・・・・」グスッ ギューッ

如月「皆・・・・・ここは?」

「医務室だよ」

そう言って出てきたのは白衣姿の妖精だった。彼女こそが、この鎮守府の医者、さしずめ、救護妖精といったところである。

救護妖精「あんた、轟沈したんだよ」

如月「っ!?やっぱり・・・・でも、そうならどうしてここに?」

救護妖精「それはね・・・・・」

ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
ーーーーーー


海上

ザバァァァン

提督「プハァっ!」ハァッハァッ

バシャッ

海上から飛び出し、海面に着地した提督の腕にはグッタリした如月が抱えられていた。

艦娘「提督(司令官)!!」

提督「球磨、鎮守府に連絡!『如月が轟沈した、引き揚げたから救護班を手配させろ』と伝えろ!」グッグッ

如月の意識の有無、心拍等を確かめ、中に入った海水を吐き出させながら提督が球磨に指示を出す。

球磨「任せるクマ!」

提督「ここは、不味いな・・・仕方ない・・・・」

バリバリッ

木曾「ちょ、提督!?何してんだよ!」ナッ!?

多磨「木曾、黙ってろニャ」

提督は如月の服を破り捨てた。濡れた服を来たままでいると、その衣服が体温を奪い、低体温症等に陥ってしまう。彼とて羞恥心が全くない訳では無いが、人命がかかっている以上、とやかく言っている暇は無かった。

提督「球磨、俺の上着を」

球磨から上着を受け取ると、それで裸の如月を包み、肩に担いだ。

提督「よし、事態は一刻を争う。索敵をしつつ、全速力で帰還する」シャーッ

艦娘「はいっ!!」シャーッ

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーー


救護妖精「・・・・それで帰還後、あんたをすぐさま集中治療室に入れて今に至るって訳さ」

如月「そうでしたか・・・・」

吹雪「本当に心配したんだよ、如月ちゃん」ウルッ

夕立「慢心したらダメっぽい!」

雪風「無事で良かったです!」

暁「もう、心配させないでよね!」

響「でも、本当に良かったよ」

雷「無事なだけでも儲けよ!」

電「仲間が沈むのは悲しいのです」ジワッ

如月「分かっているわ。?・・・・司令官は?」


「・・・・・・目が覚めたか、馬鹿たれ・・・・」


駆逐艦「っっっ!?!?」ビッッックゥゥ

今までに聞いたことの無いような低い声が静かに、だがハッキリと部屋に響く。ビックリした駆逐艦達が声のした方を見ると、部屋の隅の壁に凭れながら提督が立っていた。その右手は初日に手に入れたナイフをペン回しの要領でクルクルと回転させていた。こちらを睨むその目は普段にもましてハイライトを失い、今にも引き込まれそうだった。

駆逐艦(こ、怖すぎる・・・・・!!)ガタガタ

提督「・・・・・・」スタスタ

駆逐艦「っっっ・・・・・」ビクビク

ザッ・・・・・・

提督「・・・・・如月、俺が何を言いたいか分かっているな?」

如月「・・・・・はい」

提督「・・・・索敵が甘かったのは俺のミスだ。だが、何故お前はあそこで立ち止まっていた?」

如月「それは・・・・・・その・・・・・」

提督「理由を話せ」ジッ

如月「・・・・その・・・・・」

提督「話せと言っているのが分からんか?」ギロッ

駆逐艦「・・・・」ガタガタ

如月は理由を震えながら話した。それを目の前の提督は静かに聞いていた。


提督「・・・・・そうか。・・・・如月、お前達が着任した今朝、俺が言った事を憶えているか?」

如月「・・・・はい」

それは今朝、提督が彼女達に話した鎮守府でのルールの一つ。いわば鉄の掟だった。
『海上にいる間はいつ沈んでもおかしくないと、常に考え周囲に気を配れ』

『万が一轟沈しようものなら、提督が直々に海に潜って引き揚げた後、轟沈していた方がマシだったと思える程の仕置を与える』

・・・・・・普段、特に制限も無く自由にさせている分、これらに関しては厳罰に対処するという内容だった。

提督「今朝言った通りだ。如月、お前に罰を与える」スッ

提督は手に持っていたナイフを振り上げた。

睦月「提督!?止めてぇぇ!!」


ズババッ・・ザシュッ・・・・・


ハラリ・・・・・

如月「・・・・え?」

堕ちたのは赤い鮮血ではなく、紫色の綺麗な髪だった。提督はナイフで如月の長髪を切断したのだ。その為、今の如月は姉の睦月と同じぐらいの長さのショートヘアだった。

提督「これが罰だ。如月、お前は二日間その髪型でいてもらう。三日目の朝に髪を元に戻しつあげてくれ」スタスタ

救護妖精「あいよ」クスッ

提督「・・・・・如月」ピタッ

部屋を出て行こうとし、ドアの前で足を止めると提督は徐に口を開いた。

如月「・・・・・はい?」

振り返ること無く、ぶっきらぼうに言い放つ

提督「お前が死んで悲しいのは姉妹や同年代のそいつらだけではない。それを忘れるな」

如月「!・・・・はいっ」ポロポロ

ガチャーーーパタン

睦月どこ行ったしw
場面的には睦月が庇おうとしてナイフに刺さる展開しか見えない


ヨカッタネ、キサラギチャン!!
ウン・・・!

提督「・・・・・」スタスタ

金・加「・・・・」ニマニマ

提督「・・・・・何だ」

金剛「イイエ~、別にぃ」ニマニマ

加賀「"厳しいお仕置き"ねぇ〜」ニコニコ

提督「充分厳しいだろう。女の命を切ったのだぞ」

金剛「Corporal punishmentよりは断然betterデース」ニマニマ

加賀「何だかんだで優しいわね」ニコニコ

提督「・・・・・あまりしつこいと吊るすぞ」

金・加「ハイ、モウシワケアリマセンデシタ」ビクッ

提督「よろしい、書類を片付けるぞ」スタスタ

>>133 い、言われてみたら・・・・
て、提督が怖くて全員ベッドから少し離れて、恐怖で動けなかったという解釈でお願いします。提督はナイフは所持しているだけで人を刺したりはしません(震え声)。


翌日 工廠

提督「あぁ、眠たい」アクビ

加賀「寝てないの?」

提督「轟沈した艦娘を救助したから、詳しい報告書を作成しろと大量に送り付けて来たのでな。まぁ、如月が生きているから丸儲けだがな」

加賀「えぇ、本当に良かったわ」

妖精a「あぁ提督さん達、今日も建造?」

提督「あぁ。大本営から資源が送られてきた筈だ。それを使ってくれ」

妖精b「もしかして、あれ?」

妖精bが指差した資源は所々に錆やカビの生えた古い物だった

提督「・・・・あぁ。ただ、それと全く同じ配分でもう一人建造してくれ。資源は混ぜないように頼む」

妖精c「あいよ」

加賀「提督、あれは?」

提督「・・・・・知らなくてもいい」

提督(あの匂い、鋼材の色や光沢具合、燃料の色・・・・・・忌々しい、忘れる筈も無い。あれは深海棲艦の体だ)


数分後

提督「どうだった?」

妖精a「うちの資源では出来たけど、総司令部から送られてきた方は無理だった。ありゃ船何かじゃないよ、ただの鉄くずさ」

提督「(見ろ、元帥。マグレではないか)そうか。すまないな、出来なかったら解体して返せと言われている。本当に迷惑をかける」

提督「詫びと言ってはなんだが、間宮アイスクリーム券だ」スッ

妖精ズ「えっ、いいの!?やったー!!」

妖精a「あ、そうだ提督。出来た艦娘だけど、また個性的な子なんだ」

提督「それって、この子の事か?」ツカミ

島風「はーなーしーてーよー!!」ジタバタ

妖精a「そうそう。その子ってエエェェエエェェ!?!?」ビックリ

提督(昔あった新喜劇の座長か?)

妖精c「何で!?何でもう捕まえてるの!?」

提督「いや、俺の隣で突っ立ってたから、つい・・・・」

島風「止まってるように見えたの!?」ガーン

提督「速さで俺に勝つには百年早いわ」

妖精a(艦娘って人より身体能力たかいよね?)ヒソ

妖精b(り、理論上はね)ヒソ

妖精c(先輩には勝てないって事か)



島風「改めまして、駆逐艦島風です。スピードなら(提督以外)誰にも負けません。早きこと島風の如しです!」ピシッ

提督「あぁ、よろしく頼む。さて、早速で悪いが島風、お前は今から出撃だ。加賀、金剛と北上と大井と吹雪を呼んできてくれ」

加賀「分かったわ」スタスタ

島風「ねーねー提督、加賀さんが秘書艦なの?」

提督「いや、秘書は金剛だ。加賀は秘書の補助係といったところか」

島風「ふーん・・・・」


数時間後、帰還した艦隊は殆ど全員が負傷していた。その理由は・・・・・

川内「どうしたの、皆!?」

島風「わ、私がヘマしちゃったんだ」中破

北上「いや、あたしにも責任があるよ」小破

大井「そ、そんな。北上さんは悪くありませんわ」大破

吹雪「初出撃で大破か、トホホ・・・」大破

加賀「仕方ないわ、あんな事があるなんて」中破

金剛「その通りネー」中破

提督「いや、あれは俺に全責任がある。皆、補給を済ませて入渠するように」

艦娘「はい」スタスタ


神通「・・・・それで、提督。何があったのですか?」

提督「敵主力艦隊に戦艦ル級が二体いたのだが、そいつらが俺を狙って砲撃をしてきてな。何とか撃沈したが、俺を守ろうとして皆負傷してしまったのだ」

川内「何で深海棲艦が人間を!?」

提督「分からん。ただ、これはかなり特殊な例だ。滅多にある事ではない」

那珂「それで、何かデータは?」

提督「その戦艦ル級から一つ回収出来た。今から実体化する」


電「司令官さん、さっき金剛さん達から聞いたのです」タッタッタッ

雷「深海棲艦に狙われたって」タッタッタッ

響「大丈夫かい?」タッタッタッ

暁「ところで誰、その人?」タッタッタッ

提督「新しく着地した子だ」

長門「戦艦長門だ・・・・・。殴り合いなら任せておけ・・・・」ギロッ

提督「!」

川内(な、何か怖そうな人だなぁ)

提督「・・・・あぁ、よろしく頼む。暁達、長門に鎮守府を案内してあげるように」

電「は、はいなのです」ナガトノテヲツカム

雷「こっちよ、ついてきて」スタスタ

長門「・・・あぁ、頼む・・・・」スタスタ

提督「・・・・・」

川内「ねぇ、提督。あの人なんか怖いんだけど」

那珂「笑わないと人生損だよ〜」

神通「でも、何だか寂しそうな目の人でした」

提督(何にせよあの長門、恐らく訳ありだな)


医務室

電「ここが医務室なのです」

如月「いらっしゃい」

睦月「暁ちゃん達・・・と、どちら様ですか?」

暁「睦月、如月。紹介するわ、新しく着地した長門さんよ」

長門「長門だ、よろしくお願いする」

睦月「よろしくお願いします」ペコッ

如月「初めまして」ペコッ

長門「?・・・・如月、その髪はどうした?」

如月「あぁこれですか?司令官に切られちゃったのよ」サワサワ

長門「っ!?アイツ何て事を・・・・・」ギリッ

睦月「ち、違うんです長門さん!!」アセアセ

如月「じ、実は・・・・・」


ーーーーーーーーーーー

如月「って事なの」

長門「・・・・そうか」

如月「だから、司令官は悪くないの。寧ろ、こんな私を助けてくれた凄くいい人よ」

睦月「怒ると凄く怖いけどね」

電「でも、とても温かいのです」

暁「礼儀さえ弁えていたら、敬語も使わなくていいって言ってたのよ」

雷「他人とはどこか違う考えも持ってるわ」

響「お仕置きも全然痛くないしね」

長門「・・・・・お前達は、あの男が好きか?」

睦・如・暁・響・雷・電「大好き(なのです)!!」

長門「・・・・・」


夜 執務室横、提督寝室

ガチャ・・・・・

???「・・・・・」ソロソロ

突如部屋に入った謎の影は音もなくベッドに近付き、枕元で止まった。

???「・・・・・」スッ

その右手には小さなナイフが握られていた。影は右手を躊躇いなく振り下ろした。


「こんな夜中に暗殺者(アサシン)の真似か?長門」


長門「っ!?」バッ

パッ

声と共に部屋の灯りが付く。影の正体、長門が振り向くと、入口の横で提督が壁に凭れながら立っていた。その左手には、例のジュースの瓶を持っていた。 ジュースを喇叭飲みしながら提督は長門に近づいた

提督「全く、枕に穴が空いたらどうするのだ」グビッ

長門「・・・・・いつからそこにいた?」

提督「ついさっきだ。喉が渇いてな」

長門「・・・・・」

提督「上官への反逆罪で本当ならこの場で処されてもおかしくないぞ」グビグビ

長門「この鎮守府については暁達に聞いた。随分と甘い事を言っているようだ」

提督「甘い戯言であの子達が助かるならそれに越した事は無い」スタスタ

長門「・・・・奇襲には失敗か。せめて道連れに・・・・・」スッ

ガッ

長門の構えたナイフを提督は右手で掴んだ。そして・・・・・

提督「・・・・・・」グググッ

長門「!?」

バキッ

ナイフをへし折ってしまった。

提督「・・・・・刃物と熱では俺は殺せんよ。分かったらもう寝ろ」

長門「・・・・」タッタッタッ

提督「・・・・・」


翌日 海上

提督「・・・・加賀、艦載機を出せ。2時の方角だ」

加賀「分かったわ」ギリギリッ ピュンッ

北上「さて、何が出てくるかね〜」

大井「北上さんは、私が守ります!」

北上「ありがとう、大井っち」

島風「昨日みたいな事無いよね?」

雪風「どんな事があっても、雪風は沈みません!!」

島風「何の根拠も無いよ!?」

長門「・・・・・」

長門(あの男、何を考えているのだ?昨日あんな事をした私を旗艦にするなど・・・・)

長門(どうしたらいい、どうしたらそっちに戻れるのだ・・・・陸奥・・・・)

加賀「入電だわ。敵艦隊は軽空母ヌ級二体、雷巡チ級二体、駆逐ロ級二体。単横陣よ。」

長門「!(これだ・・・・)」

提督「よし、ではn・・・・・」

長門「うぉぉぉぉおっ」シャーッ

提督「!?」

島風「おぅっ!?」

北上「ちょ・・・何やってんのさ!?」

提督「(不味いな)総員全速前進、旗艦長門を援護せよ」シャーッ

艦娘「は、はい!」シャーッ


長門「!」シャーッ

キィィィィィン・・・・・ ダダダダダダ・・・・

長門「くっ・・・・」小破

チ級「ヒャッハァァァ」ドォン

長門「う"あっ」中破

イ級「いぃぃぃっはぁぁぁ」ドォン

長門「うぐっ・・・・」大破

長門(やっと・・・・お前の元に帰れる・・・・待っていろ、陸奥・・・・)

チ級「介錯してやるよ」ジャキン

ドォォン・・・・


キィィィィン

私は迫り来る砲弾に対し、ゆっくり目を閉じ、立ち尽くした。やっと死ぬ事が出来る・・・・沈む事にこんなに高揚するとはな・・・・・。


提督「・・・・・」シャーッ

長門「!?」

提督「・・・・・・」チャキッ

ズバァァン ドゴォォン

・・・・・何をするのだ、この男は。目の前に躍り出たアイツがその刀で砲弾を切ったのだ。

提督「・・・・・まだ沈んでいないな?」

加賀「提督!」シャーッ

提督「加賀、皆に伝令。今回の出撃は中止だ。旗艦が大破した。加賀は艦載機で上空を援護しろ」

加賀「はい」

長門「ま、待て、私は・・・・」

北上「はいはい、いいから帰ろうか」ガシッ

大井「沈める訳にはいきません」ガシッ

北上「チミっ子達、援護頼む!」

島・雪「了解!」

長門「は、離せっ」ジタバタ

ドォォン

島風「撃ってきたよ!」

北上「不味いね、直撃しそう・・・・」

キィィィィィン


ガキィィン スルルルル・・・・・

私は目の前で起きた事が信じられなかった。私達と砲弾の間に割り込んだアイツが刀を前に突き出した。砲弾が刀の側面を掠めたかと思ったら砲弾が上に上昇した。つまりあの男は刀の切っ先で砲弾の弾道を逸らしたのだ。しかも逸らされた砲弾を目で追った私は更に自分の目を疑った。

長門「なっ!?」

ドォォン

砲弾が私達に向かって急降下して来ていた敵艦載機に直撃したのだ。

提督「・・・・・」チャキッ

ガンッ ギンッ

その後も敵の砲弾を刀で弾いて敵艦載機や別の砲弾に当てている。あの男、何者だ?

チ級「くっ・・・」シャーッ

ヌ級「おのれぇ」シャーッ

イ級「ちっ・・・」シャーッ

提督「・・・・・(撤退したか)」


鎮守府

響「・・・・帰ってきたよ」

金剛「What's!?早すぎるデース」

提督「今帰った」スタッ

響「何があったんだい?」


鎮守府

響「・・・・帰ってきたよ」

金剛「What's!?早すぎるデース」

提督「今帰った」スタッ

響「何があったんだい?」


すみません、連投してしまいました。


球磨「提督、第三艦隊遠征かr・・・」

長門「何故だっ!?何故私を沈ませなかった!?」

提督「何故家族をむざむざ死なせる必要がある。お前を失う訳にはいかん」

長門「くそっ」ダッ

金剛「長門!」

提督「・・・・・」

加賀「提督・・・・」

北上「何であんなに荒れてるのさ?」

提督「丁度全員いるな。分かった、話そう」

提督「これは俺の推測だが・・・・・」


鎮守府 工廠裏

タッタッタッタッタッタッ・・・・・

長門「くそっ!くそっ!!」タッタッタッ

長門「ハァッ、ハァッ・・・・」

提督「何をしている」

長門「っ!?」バッ

長門「・・・・何故ここと分かったのだ?」

提督「ここは俺の城だ。来て二日のお前よりはずっと立地を把握している」

長門「近道か・・・・・。それで?私をどうするつもりだ?」

提督「入渠場にぶち込む。補給も欠かさずな」

長門「巫山戯るな!!」ムナグラガッ

提督「大真面目だ。俺としてはお前を楽にしてやりたい」


長門「・・・・・お前に・・・・・」プルプル

長門「何が分かる!!」

バキィッ

提督「っ!」

長門「何も・・・・知らない癖に!」

バキィッ

提督「っ!(流石戦艦の力を持つだけはある、凄く重い)」

長門「知ったような口でっ!!」

バキィッ

提督(・・・・・だが、何だ?この拳から伝わってくる悲しさや辛さは・・・・・)

長門「お前に・・・・私の・・・何が分かる!!」

バキィッ

提督「・・・・・」

バキィッ

バキィッ

バキィッ


バキッ

提督「!(拳が軽くなった?)」

長門「お前に・・・・何が・・・・・」

バキッ

バシッ

長門「何が・・・・何が・・・・・」

パシッ

ペチッ

長門「ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・・」

提督「・・・・・」

長門「・・・・・っ!」ズキズキ


長門「貴様・・・・本当に人間か?戦艦クラスの拳を喰らってもよろめくどころか鬱血すらしていない・・・・・」

提督「犬や猫にでも見えるか?人間、鍛えようではいくらでも頑丈になるものだ」

長門「・・・・敵戦艦を殴ってもこんなに硬くは無かったぞ。両手が動かん」

提督「・・・・・何故、敵戦艦の感触を知っている?」

長門「!?」ビクッ

提督「お前はさっきが初出撃。砲撃すらしていないお前が、何故そのような事を知っている?」

長門「・・・・・」

提督「俺の推測だが長門、お前・・・・」


「沈む前・・・・前の鎮守府での記憶があるのではないか?」


長門「・・・・・・あぁ、その通りだ」

提督「それが俺に殺意を抱いてた理由か?」

長門「・・・・」コク

提督「差し支えなければ、話してくれるか?・・・・・・無論、無理強いはせんが」

長門「だが・・・・・」チラッ

提督「ん?」クル

提督「今この場所には俺達の二人だけだ、誰もおらんよ」

長門「・・・・・分かった。・・・・・話そう」

暫し躊躇した後、決意したかのように一息ついて長門は語り出した。


お前の推測通り、私は前の鎮守府にいた頃の記憶がある。そこでは私達艦娘は、ただの道具として扱われていてな。
何度も何度もヤツらの性欲の捌け口等に利用されていた。逆らったり、ヤツらの機嫌を損ねたりしたら、すぐに暴力を振るわれた。次第に幼い駆逐艦達からも笑顔が消えていって、私達年長組も心を病んでいったのだろうな。気が付けば生きる気力すら消えていた。そして散々私達を苦しめた後、そこの提督は私達にこう言った。

『大破しようが構わずに進軍せよ。貴様ら使い捨ての代わり等いくらでもいる』


長門「・・・・・そして私と陸奥は、あの海域で沈んだ・・・・・。私達の随伴艦として連れていた皆もな」ウツムキ

提督「・・・・・」

長門「分かっている・・・・・。お前がアイツらと違う事は・・・。分かってはいるが、それでm・・・・・」

ガバッ

長門「なっ!?」

辛い自分の記憶を話す長門を、提督は思わず抱きしめていた。

長門「離せっ、何の真似だ」ジタバタ

提督「すまなかった、長門」

長門「あ・・・・・」ピタッ


提督「俺は不器用だし、口が上手いわけでもないから、このくらいしかお前にしてあげることができない」

長門「・・・・・」

提督「俺自身も辛い過去があってな。今でもそれに苦しむ事がある」

提督「過去を無かった事には出来ない。だが、未来はいくらでも・・・・無限に可能性が広がっている。俺や鎮守府の皆を頼り、甘えてくれて構わない、だから前を向いて歩き続けろ、長門。前を向いていれば、いつかきっと幸せが訪れる」

長門「(温かい・・・・何でこの男は、こんなにも温かい。何でこんなにも私の心の中に入ってくるのだ・・・・・)うっ・・・・うぅっ」ジワッ

提督「我慢しなくていいんだ。泣けばいいさ、長門。泣いて強くなるのが・・・」


「"人"の特権なんだからな」


限界だ・・・・。

長門「う、うぁぁ・・・・・うわぁぁぁぁん
あぁっ、うぁぁぁぁぁ・・・・」ポロポロ

今まで溜めていた感情がダムが崩壊したかのように溢れ出てくる。長門は自分を抱きしめる青年に抱きつき、大声を上げて泣いた。提督は何も言わず、ただ長門を抱きしめ、その頭を優しく撫でていた。

提督(やれ戦艦だ、世界のビッグセブンだと言われていても、中身は何の変哲もない、ただの年頃の女の子なんだな。これは軍の膿を絞りきれなかった俺の落ち度だ。許してくれ、長門)ナデナデ

提督(さて・・・・・)チラッ


工廠裏の曲がり角

提督達から少し離れた角を曲がったところで、金剛達は二人の会話を聞いていた。

電「うぅ、長門さぁん・・・・」ポロポロ

雷「・・・・・」グスッ

球磨「う"ぉぉぉ、辛い話だクマー!」ブワッ

神通「はい・・・・・」ツーッ

加賀「提督には敵わないわ」ウルッ

金剛「そうデスネ」グシグシ

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーーー

提督「アイツは恐らく前の鎮守府での記憶があるのだろう」

艦娘「記憶がある?」

提督「あぁ。そこで恐らく、不当な扱いを受けていたのだろう。だから俺にあんなに攻撃的な態度を取っているのかもしれん」

島風「そんな・・・・」

吹雪「長門さん・・・・」

睦月「そ、そんなの酷すぎます!」

提督「事実、お前達を道具や駒として扱っている人間は多い。寧ろ俺みたいな人間が少ないぐらいだ」

夕立「夕立達はどうすればいいっぽい?」

雪風「雪風は長門さんにもっと笑ってほしいです」

川内「私もさ。協力させて、提督」

提督「分かった。俺も長門に打ち解けてもらいたい。俺はこれからアイツに真意を聞いてみるつもりだ。」

提督「聞きに来るのは構わないが、どちらにせよ皆は長門に優しく接してやってほしい」タッタッタッ

金剛「私達も聞きに行きまショー!」タッタッタッ

艦娘「ええ(はい)」タッタッタッ


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ーーーーーーー
ーーーーーーーーー

多磨「そろそろ多磨達は解散するニャ」グシグシ

北上「今から長門っちを支えてあげないとね」スタスタ

大井「はい、北上さん」スタスタ

如月「そうねぇ」スタスタ

弥生「う・・・ん・・・」スタスタ

文月「頑張らなきゃね〜」スタスタ

暁「暁はレディーだから簡単よ!」スタスタ

響「はいはい、そうだね。それじゃ、金剛さん、加賀さん。後は任せるよ」スタスタ

金剛「Yes!任せてクダサイ」

金剛「・・・・加賀、今の長門を見てて私、一つ決めた事がありマス」

加賀「?」


数分後

提督「溜まっていた分は出したか?」

長門「すまなかった、みっともない姿を晒した」グシグシ

提督「そんな事はない」

長門「ふふ・・・・(あの子達が慕っている理由が分かった。慕うはずだ)」ピシッ

提督「?」

長門「提督。今までの無礼の数々、申し訳ありませんでした!戦艦長門、ビッグセブンの一人としてこの力、改めて貴方の為に振るわせていただきます!」

提督「よろしく頼む。だが長門、礼儀さえ弁えておれば、口調は素で構わん。無理に敬語を使わなくてもいい。特に、俺の中では今までの方が、お前らしいと思っている」

長門「う。そうか・・・では」

提督「にしても、顔を洗った方がいい。綺麗な顔が大変な事になっているぞ」

長門「なっ!?(き、綺麗!?今、私の顔を綺麗と言ったのか、この男は!?///)///」ボンッ


長門(よ、よく見てみるとこの男、結構整った顔立ちだ・・・・。私よりも高身長で、身体も引き締まってるし・・・・・。性格はさっきの通り・・・・・)ポーッ

提督「長門?」

長門「ひゃ、ひゃい!?」ビクッ

提督「早く入渠して来い。バケツを使って構わんから、夕食までに間に合わせろ。あぁ、それと・・・・・」

長門「?」

提督「今まではお前の事情を考慮して、色々許容してきたが、次からは吊るす」

長門「ひっ!?」ビクッ

提督「そう身構えなくてもいい。では、早く入渠するように」

長門「わ、分かった」タッタッタッ

提督「・・・・・」

提督(これで解決・・・・かな。長門が早く皆と打ち解けてくれるといいのだが)

提督「・・・・・久々にガッツリ肉が食いたいなぁ」


ヒーッ ヒーンッ

提督「ん?あれは・・・・!」

提督(そういえばこの時期・・・・。よし、今夜は長門の歓迎会の意味も込めて肉料理パーティーでもするか・・・・・)グッグッ

提督「さて・・・・・一狩り行くか」

シュンッ


長門「アイツらにも謝らんとな」スタスタ

金剛「Hey!長門!」

長門「!・・・・金剛、加賀・・・」

長門「・・・・・お前達には迷惑をかけた。本当にすまなかった」ペコッ

加賀「いえ、別に気にしてないわ」

金剛「Yes!長門の方こそ今まで辛かったネ」

長門「聞いてたのか!?」

加賀「はい、全員で」

金剛「お陰で長門の事が分かって良かったデース。改めて、これからヨロシクネ!」

加賀「よろしくお願いします」ペコッ

長門「あぁ、よろしくお願いする」

金剛「ところで長門、テートクの事どう思ってるノー?」

長門「なっ!?い、いきなり何を///」カァッ

加賀「私達も提督に恋心を抱いていますので」

長門「・・・・・あぁ、私はアイツが好きだ。初めて人に優しくされた。提督のあの温もりに私は救われた」


金剛「それを聞いて安心したネー!」

長門「え?」

金剛「私は今までテートクが私を選んでくれたらって、ずっと思ってマシタ」

金剛「But、テートクの誰にでもequalityに優しく接する姿を見て決めマシタ、私達で・・・・ハーレムを作るネ!!」

加・長「ハーレム?」

金剛「Yes!!私達でテートクを支え合うハーレムデース!!」

長門(金剛ってハーレム賛成派だったか?)ヒソヒソ

加賀(いえ、提督love勢筆頭だったかと・・・・・。うちの金剛さんが特殊なのかと)ヒソヒソ

金剛「二人はどうデスカ?」

長門「構わんぞ。誰が一番かなどに興味はない」

加賀「私も構いません」

金剛「デハ、ここに『テートク親衛(love)隊』を結成するネー!!」


提督「何を結成するのだ?」ヒョコ

金剛「テートク、今ちょう・・・・ド!?」

長門「提督、何を担いでいるのだ?」

提督「何って見て分からんか、鹿だ」

加賀「何で鹿を!?」

提督「いや、さっき仕留めて来た。今日は鹿肉パーティーだ、楽しみにしていろ」

金剛「テ、テートク。どうやって仕留めたのデスカ?」

提督「?走って追いかけて首を峰打ちで折っただけだが」キョトン

加賀(別に普通だろって顔していますけど・・・・)

長門(人間って鹿に走って追いつけたか?)

提督「俺はコイツを厨房で解体している。早く風呂入って食堂来い」スタスタ

金・加・長「は、はーい」ボーゼン


厨房

提督は鹿をナイフで解体していた。その後ろでは、間宮がその様をじっくりと見物していた。

提督「すまないな、間宮。厨房を一気に血なまぐさくしてしまって」ガッガッ

間宮「いえ、構いません。気にしないで下さい」

提督「そういえば伊良湖はどうしたのだ?」ガッガッ

間宮「流石に伊良湖ちゃんには刺激が強過ぎるかと思って・・・・」ニガワライ

提督「間宮は平気なのか?」ガッガッ

間宮「はい。料理人なのでこのような事も経験を積ませていただこうと」

提督「喫茶店の店主が動物を解体する事など、滅多にあるまい」ガッ

提督「さて、終わりだ。後は間宮、よろしく頼む」

間宮「はい!最高の肉料理を提供させていただきます」ウデマクリ


提督「俺は皮などの不可食部位を処理してくる。もう伊良湖を呼び戻して大丈夫だ。あと、重ねてすまないが、ナイフを洗っておいてくれないか?」

間宮「それは構いませんが提督、一つ質問しても?」

提督「何だ?」

間宮「このナイフ、着任してからずっと持っている様ですが、一体何なのですか?骨を切ったのに刃こぼれしてませんよ?」

提督「兵士は、色々使い道があるから短刀やナイフを携帯する事が多い。そして、そのナイフの刃はアルケメタルで出来ている」

間宮「錬金金属(アルケメタル)?」

提督「あぁ。妖精の技術によって産み出された人工金属だ。どんな原理か未だに解明されていないが、妖精の技術だと、人類には出来ない化学反応や金属合成が行える。そうやって出来た金属はまるで錬金術で産み出されたように思える事からアルケメタルと呼ばれている」

間宮「はぁ・・・・」

提督「アルケメタルは殆どが破壊困難な硬質金属。刃こぼれしないのはそういう事だ」スタスタ


数時間後 執務室

提督「やはり偶にはガッツリ食うのも悪くない」カリカリ

金剛「お腹いっぱいだヨー!」ペタッペタッ

加賀「久しぶりに気分が高揚しました」テキパキ

長門「その上私の歓迎会まで、何だか申し訳ないな」キュッキュッ

提督(ふむ、秘書一人と秘書補佐二人か・・・・。金剛が判子押し、加賀が書類整理、長門が間違った箇所の点検・・・・見事に役割分担が出来ているな)

長門「それと提督、一つお願いがあるのだが」

提督「何だ?」カリカリ

長門「明日の出撃、今日と同じ編成にしてほしい。今日の分の埋め合わせをさせてくれ、頼む」

提督「元からそのつもりだ。埋め合わせ等ではなく、ビッグセブンとしてのお前の力、見せてもらうぞ」カリカリ

長門「あぁ、任せてくれ!!」

金剛「だったら長門にこれをあげマース!」つ三式弾

長門「いいのか、金剛?」

金剛「Of course!今日は敵艦載機が多かったと聞きマシタ。きっと役に立つはずデース!」

長門「・・・・・分かった、大事に使わせてもらうぞ」

提督「まぁ、明日またあの艦隊に遭遇したら、の話だがな」カリッ

提督「よし、終わりだ」ノビーッ

提督「ニーサンサンマル、四人でやる分捗ったな。三人とも、今日はもう上がれ」

金剛「テートク、good night」

加賀「おやすみなさい」

長門「また明日」

提督「おやすみ」

ガチャーーーパタン

提督「・・・・・シャワー浴びて寝るか」

東方不敗と勝負させたい


シャワー室

シャァァァァァァ・・・・・

提督「・・・・・辛い過去、か」ガシガシ

提督(シャワーを浴びていると、まるで雨に当たっているようだ。確かこんな事が昔あった気が・・・・・)メヲトジ

シャァァァァァァ・・・・・

ーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーーー

ザァァァァァァァ・・・・・・

・ウ・・・・アアアアッ・・・・・

提督(幼)「ウワァァァァァァァ」ポロポロ

ザァァァァァァ・・・・・・・

ーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー

提督「・・・・・・はっ!?」カッ

シャァァァァァァ・・・・・・

提督「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・・・」カベニリョウテドン

提督(何だ、あの記憶は・・・・・?
クソッ、思い出せん・・・・!)ズキズキ

>>178 コメントありがとうございます。
恐らく、東方不敗の圧勝で終わるかと(笑)

絶対に破壊できない金属ならどうやって研いだんだろうか?(真顔
てかそれを盾にすれば無敵だなw


翌日 海上

提督「よし、昨日の海域に出撃する」

長門「艦隊、この長門に続け!!」

艦娘「はいっ!」

ーーーーーーーーーーー

キィィィィィン・・・・・

提督「・・・・来たか、長門」

長門「任せろ」

長門「(早速使わせてもらうぞ、金剛)三式弾装填・・・・・」

長門「全砲門斉射、てー!!」ドォン

ドパパパパァァァン

三式弾の拡散によって敵艦載機は一つ残らず撃沈された。

提督「よし、長門に続け。北上、大井は魚雷で牽制。加賀、艦載機で爆撃。上下から攻めたてろ」

大井「海の藻屑と・・・・」バラッ

北上「なりなよ〜」バラッ

加賀「攻撃隊、発艦」ギリギリ ピュンッ

ドガガガガガガン ボゴゴゴゴン

加賀「敵艦隊全滅、敵影無しよ」

提督「よし、このまま進軍する」

艦娘「はい!」

>>181 人間や自然界では破壊がほぼ不可能であるだけで、妖精の技術で初めて加工が出来るという設定です。
実際作れたら確かに絶対防御かも知れませんね(笑)。ただやはりアルケメタルにも硬度等の上下関係はありますので。


数時間後 鎮守府

提督「皆、ご苦労。各自補給の後、入渠するように」

提督「さて、データの実体化をしてみるか」

金剛「New faceデスネ」

長門「誰だろうな」

ーーーーーーーーー

天龍「俺の名は天龍。ふふふ、怖いか?」

龍田「初めまして、龍田だよ〜。天龍ちゃんが迷惑かけてないかなぁ」

金・加・長(また濃いのが来た(ネー)(わ)(な)・・・・・)

提督「よろしく頼む。d・・・・」

天龍「おっ、刀持ってんじゃねぇか。なぁ、俺と勝負しようぜ!」シャキン

龍田「あらぁ、じゃあ私も混ぜてもらおうかしら〜」チャキッ

艦娘(あ、死んだ・・・・)

提督「・・・・・いいだろう」ビキッ


鎮守府 グラウンド

天龍「おい、何で違う刀なんだよ」

提督「コイツと打ち合おう等自殺行為だ」

龍田「舐められたものね〜」

刀を構える天龍と薙刀を構える龍田。それに対し、提督は腰に下げたものとは別の刀を構えていた。周りでは鎮守府中の艦娘と妖精がその様子を見守っていた。

妖精a「いきなり何かと思ったら・・・」

間宮「あの刀もアルケメタルなんですか?」

妖精b「三人ともごく普通の刀だよ」

妖精c「提督の刀はほぼチートだからね」

艦娘「!?」

提督「いつでもかかって来い」クイクイ

右手に刀を握り、仁王立ちした提督が手招きする。その瞬間・・・・

天龍「もう来てるぜ」バッ

龍田「隙ありです〜」バッ

天龍が向かって右上段から、龍田が左下段から攻撃してきた。それに対し、提督は・・・・・


提督「話しながら攻撃とは、随分余裕だな」

ガッ ギィィン

天龍・龍田「!?」

何と龍田の薙刀を足で、天龍の剣を刀でそれぞれ迎撃。完全に攻撃を防いだ。そのまま・・・・・

バキィィィン ズバンッ

天龍「なっ!?」

龍田「えっ!?」

天龍の刀を鍔迫り合いの状態から破壊、そのままの円運動で龍田の薙刀も一刀両断。剣術を齧る人間に取って、刀の打ち合いの末に己の武器を破壊される。例外こそあれ、これが意味するのは、ただ一つ。
己の未熟さ。
二人にとって相手との実力をつきつけられた瞬間だった。

提督「それで、まだするつもりか?」

天龍・龍田「ま、参りました」

周囲(デスヨネー)


提督「二人とも筋はいい。それと二人とも、次からは勝手にこんな事したら吊るすぞ?」ギロッ

天龍・龍田「は、はいぃっ!」ビクッ

提督「礼儀を弁えていたら口調等は素で構わん。では皆、二人に鎮守府を案内してあげてくれ」スタスタ

艦娘「はーい」

天龍「アイツすげぇ強かったぜ」

龍田「まさか足で止められるなんて思ってもいなかったわぁ」

妖精a「良かったね〜、あの程度で」

木曾「?どういう事だ?」

妖精b「いや、提督が少しでもその気になったら・・・・・」

艦娘「?」


翌日 執務室

提督「さて、今後はどうした事か・・・」

コンコン

提督「どうぞ」

ガチャ

??「よぉ、久しぶり」

提督「!?・・・・お前か」

ーーーーーーーーーーー

金剛「さぁ。今日も頑張ると・・・・・ってWhat's?誰かいますネ」スタスタ

ゴブサタダナ、リョウジ。
ソッチコソナ、トウジ。

ガチャ

金剛「提督?誰デスカ、その人?」

執務室には、提督の他にもう一人の男性がいた。提督と同じくらいの身長で、白衣を羽織っている。ボサボサの髪と無精髭でかなり老けて見えるが、その目は少年のように生き生きと輝いていた。

提督「あぁ、金剛」

??「お、なんだよ龍二、めっちゃ美人の秘書艦じゃねぇか」バシバシ

金剛「え?龍二?」

??「んだよ、お前。名前教えてなかったのかよ」

提督「教える必要があるか?」

金剛「提督の名前・・・・・」

提督「今更かもしれんが、俺の名前は穂村(ほむら)龍二(りょうじ)だ。別に名前で呼ばなくていい。そして、コイツは総司令部の科学研究所所長、猪原(いのばら)統次郎(とうじろう)だ」

研長「そういうわけでよろしく。長い名前だからよく研究所所長って事で研長と呼ばれてんだわ」

救護妖精「入るよって、研長!?アンタ来てたのかい!?」

研長「お、救護妖精か。久しぶり」

金剛「知ってるのデスカ?」

救護妖精「まあね。特に提督と研長は5年来の親友だからね。名前も似てるから渾名で呼んだりと、提督が軍で信用している数少ない人間さ」

提督「金剛、スマンが少し外してくれるか?」

金剛「は、ハイ」

ガチャーーーパタン


提督「それで、何の用だ?」

研長「分かってんだろ?総司令部の動きを知らせにだよ」

救護妖精「何かあったのかい?」

研長「あぁ。あのジジイども、何が何でもお前から、深海棲艦から出来た艦娘を奪うつもりだぜ」

提督「やはりか・・・・」

研長「総司令部の奴らが警戒してる南方の大艦隊。アイツらにお前達をぶつけるって腹だ」

救護妖精「そんなの、今の艦隊じゃ勝てるわけないよ」

提督「だからこそか・・・・」


研長「そういや、龍二。お前の過去は話すつもりか?」

提督「聞かれたら話す。お前達も聞かれたら話してくれ」

救護妖精「いいのかい、本当に」

提督「いつかは話す事だ。だが今はその時ではない」

研長「早いとこ話しときゃ楽になれんだろ?」

提督「まさか。言えるわけがないだろう、上官が大量殺人鬼だなんて」

研長「ものは言いようだろ。何でそんな・・・・・」

ピーッ、ピーッ

提督「すまん」カチッ

提督「・・・・・!?」


提督「ジジイどもが催促してきたか」

研長「何て催促してきたんだ?」

提督「大型建造と、艦娘との実験報告書をな」

救護妖精「お、大型建造!?」

研長「マジかよ」

提督「レシピはある。何とかしてみるさ」スタスタ

ガチャーーーパタン

救護妖精「・・・・何にせよ、あたし達の目的は変わんないよね?」

研長「あぁ、アイツを支えてやる事だ」


工廠

金剛「大型建造デスカ!?」

提督「あぁ、二つレシピを回した」

長門「資源は大丈夫なのか?」

加賀「遠征が軌道に乗っているから大丈夫だと思います」

電「あ、完成したみたいなのです」

オリジナル入れるとは言うから待ってるけど流石にそのまんますぎないか?
結末だけ変えるとかいうオチなの?


大和「大和、押して参ります!」

蒼龍「空母蒼龍です。よろしくお願いします」

提督「あぁ、よろしく頼む。金剛達、二人を案内してくれ」

提督「その後で大和と蒼龍は演習を行ってもらう。長門が大和を、加賀が蒼龍を指導してくれ。金剛は神通とともに全体的な指導を頼む」

艦娘「はい!」

>>195 この回では提督の過去を描くつもりです。オチも最終的には違う形にしようと思っていますので、どうか見守ってください。


その夜 執務室

提督「さて、少し喉が渇いたな」

提督「ん?・・・・・あれは」チラッ

ーーーーーーーーー

海上演習場

ザザァーン・・・・

大和「・・・・・」

提督「こんな夜中に何をしている?」スタスタ

大和「!提督」

提督「飲むか?」スッ

大和「・・・・いただきます」ウケトリ

大和「・・・・」ゴクゴク

大和「美味しいです・・・」

提督「そうか」グビグビ

大和「酒・・・・では無いですよね?」

提督「当然だ、俺はこう見えて未成年だからな」

提督「それで?こんな夜中に外で何を考えていた?」

大和「・・・・存じている通り、私達大和型は大量の資源を消費します。それ故私は、過去の戦争で満足に戦う事も出来ず、そしてあっけなく沈められました」

大和「私はこの鎮守府の皆の、提督の役に立てるのでしょうか?それを考えていたのです」

提督「・・・・・」グビグビ

提督「確かにお前の資源消費は激しい。だがその分、お前はこの鎮守府で最強クラスの火力を発揮している。着任初日でだぞ?」

提督「強大な力ほど、そのリスクも高い。これは当たり前の事だ」

提督(俺みたいにな)

提督「だから気にするな、お前達のサポートは俺達提督の仕事だ」

大和「・・・・分かりました。提督おやすみなさい」スタスタ

提督「・・・・・リスクか・・・・」

提督(二年・・・・持つかどうかだな)

オリジナルって言うけどオリジナルってなんなんだ
あるとかなんとか言葉を濁さずにはっきり言ってほしい


翌日 海上 敵主力艦隊海域

提督「蒼龍、艦載機を放て」

蒼龍「はい」ギリギリ ピュンッ

提督「・・・・・大和、対空射撃だ。三式弾を装填s・・・・・」

キィィィィィン

大和「あ、あぁあ」ガクガク

提督「どうした、大和!?」

大和「こ、怖い・・・・・。やだ・・・沈みたくない・・・・。助けて・・・・」

提督「っ!?(しまった。大和は艦載機による集中爆撃で撃沈された。ならばそれに対する恐怖が無いわけではない)」

キィィィィィン

ズガガガガガ・・・・・

大和「きゃぁぁぁあ!!」小破

ドゴォォォン

提督「チッ、大和が中破、蒼龍が小破。木曾、吹雪、睦月、夕立。対空射撃に移れ、二人を援護せよ」

木・吹・睦・夕「はい!」

ドォン ドォン ドォン・・・・

大和「う・・・・・うぅ」ガタガタ

提督(・・・・これ以上は大和が精神的に不味い、潮時か)

提督「総員撤退、鎮守府に帰還する」

ハイ!

ーーーーーーーーー

>>199 200 どうも申し訳ありません。本当の事を言うと、何せSS自体を呼んだ事自体が少なく、オリジナルと言ってももしかしたらそれも、何かしらのパクリなのかもしれません。ただ、あの方のSSが本当に素晴らしくて、このようなSSを自分も作りたいと思っていたん一度建てたからには、最後までやり通します。ですから初心者が世間の荒波に揉まれているんだという感覚で見守ってください。m(_ _)m

何か勘違いしてるようだけど怒ってるわけじゃなくて変化なくてマズイよーて話だからね

ちなみに元ネタのSSは委託販売されてらっしゃるから普通に商用扱いで(しないとは思うけど)訴えられたら負けるからね

キャラ設定運用はともかくシナリオは序盤から大幅に変えないと

で、元ネタはなんなん


鎮守府

大和「提督、申し訳ありませんでした」

提督「何の事だ?」

大和「私は過去に囚われ、恐怖に負けました。超弩級戦艦が聞いて呆れます」

提督「お前にとって、恐怖する事は悪い事なのか?」

大和「違うのですか?」

提督「あぁ。恐怖は全ての生物が持つ、
いわば生理現象だ。皆も覚えておけ」

提督「恐怖は悪ではない。それは己の弱さを知るという事だ。弱さを知れば、人は強くも優しくもなれる。・・・・昔あった漫画の名言だ」

提督「恐怖したなら、次に勝って乗り越えたらいい」

提督「各自補給した後、入渠するように」スタスタ

艦娘「はい」

>>203 何だか急に怖くなってきました。
あと、もう少し元ネタを使わせていただいた後、自称ですが、オリジナルのネタを入れていきたいと思います。

>>204 金剛「テートクのハートを掴むのは私デース!」瑞鶴「!?」です。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年03月15日 (火) 14:50:36   ID: 6ILooSP2

ゴミSSをさらにゴミにしたのか、

2 :  SS好きの774さん   2016年05月23日 (月) 15:32:59   ID: PThRQhIH

こんなに良いSSを侮辱しているゴミがいるぞ☝︎

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