モバP「それいけ!ぱっつんプロダクション!」 (68)


世はまさにぱっつん時代!
街を歩く女性たちはみな、さまざまな趣向を凝らしたぱっつんをまゆ上に掲げ、誇らしげに風を切る!
颯爽と並ぶぱっつん!
その似て非なる個性の輝きが、今日も世界を明るく照らすのだ!


柚「ってのはどうカナ?」

泰葉「いや、どうかな?なんていわれても……」

朋「さすがにちょっと無理がない?」

柚「そんなことないって!」

朋「そうかなぁ?」

泰葉「というより、気になる点が一つ」

柚「なになに!」

泰葉「まゆ下のぱっつんも認められるべきかと」

柚「そこ!?」


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柚「うーん、いい案だと思ったんだけどなぁ」

泰葉「いつのまにかこんな話に……」

朋「あたしたちのPRの話だったのにね」

柚「もしこれでぱっつんが流行ったら、アタシ達がファッションリーダーだよ!」

朋「まぁ確かに、このプロダクションのみんなはぱっつんばっかりよねぇ」

泰葉「なら丸型ぱっつんの元祖は私でいいですよね」

朋「ならあたしはポニテぱっつん!」

柚「あ、ずるい! それなら柚は、柚は……」

朋「普通ぱっつん?」

柚「ひどい!」

泰葉「柚ちゃんは一番スタンダードなぱっつんだよね」

柚「そうだけど、アタシもなんかカッコイイのほしい!」

朋「ポニテぱっつんはかっこいいかなぁ?」

柚「かっこいいよ!」

朋「ありがとう! 柚ちゃんももちろんかっこいいわ!」

柚「ありがとう! ……あれ?」

泰葉「それじゃあ、ポニテ丸普通ぱっつんトリオ、ここに結成ですね」

朋「よし! それでいきましょう!」

柚「……あれ? あれ? ……あー!!」

泰葉「ふふふ♪」


奈緒「って話を小耳にはさんだんだが」

智絵里「うん」

奈緒「さすがにあの命名センスはどうなんだ?」

智絵里「え、いいと思う、けど……」

奈緒「マジかー」

智絵里「うん」

奈緒「でもポニテ丸普通だぞ?ポニテ上普通」

智絵里「そしたら私たちはもさもさツインテールぱっつんだね」

奈緒「え?」


智絵里「え? もさもさツインテール……」

奈緒「いや聞こえなかったわけじゃなくて」

智絵里「そうなの?」

奈緒「うん」

智絵里「あ、おだんごツインテールぱっつんがよかった?」

奈緒「いやそうじゃなくて」

智絵里「うん」

奈緒「あたしたちも組むのか? ぱっつんユニット」

智絵里「組まないの?」

奈緒「組むの?」


奈緒「そもそも智絵里の髪型それ、ぱっつんなのか?」

智絵里「ぱっつんじゃないの?」

奈緒「結構隙間空いてるじゃん」

智絵里「でも切る時は最後にぱっつん! ってするよ?」パッツン!

奈緒「ぱっつん! ってするのか」パッツン......

智絵里「うん、ぱっつん」

奈緒「ぱっつん」

智絵里「…………」

奈緒「…………」

智絵里「…………」

奈緒「ならぱっつんだな」

智絵里「うん♪」


晶葉「はっはっはっは! ぱっつん力を数値化する機械をつくったぞ!」

晶葉「その名も、ぱっつん力測定くん!」

晶葉「ぱっつん力はまさに魅力を端的に表す指数である!」

晶葉「これを正しく利用すれば、トップアイドルへの道筋も見えてくる……はず!」

晶葉「さっそく私でテストしてみよう!」

晶葉「…100…200……500…… ふはは、どんどん上がっていくぞ!」

晶葉「この調子なら2000は固いな! さすが私だ!」

柚「あ、晶葉チャン! ちょっといいかな?」

晶葉「53万、だと……?」

柚「?」


チョキン......チョキン......

千秋「佐城さん、仕上げね。 少し顔を上げて」

雪美「……ん」

千秋「そんなにギュッと目をつぶらなくても大丈夫よ」

雪美「……でも、髪の毛、目に入ったら…… 痛い……」

千秋「眉間にしわが寄っちゃって…… ほら、力を抜いて?」

雪美「……んー…… おでこ、ぐりぐり…… しないで……」

千秋「でも少し気持ちいでしょう?」

雪美「……うん」

千秋「はい、ちょっきん」

雪美「あ……」

千秋「これでおしまい。 少し整えただけだけど、目元がはっきりしてなんだか明るくなったわね。 かわいいわ」

雪美「……ありがとう」

千秋「どういたしまして」

雪美「次は私が…… 千秋の髪、切ってあげる……」

千秋「え?」

雪美「……いや?」

千秋「……ううん、そんなことないわ。 お願いしようかしら」

雪美「……ん♪」


泰葉「つーん」

モバP「なあ泰葉、機嫌なおしてくれよ」

泰葉「つーーん」

P「泰葉ってば……はぁ」

奈緒「Pさん、なにしたんだ?」

P「あぁいやぁ……」

奈緒「あんな泰葉そう見ないぞ? よっぽどのことしたんだろ」

P「それがなぁ…… 泰葉の前髪を整えてたんだが……」

奈緒「ほう?」

P「仕上げたら、角度が足りないって……」

奈緒「角度」

P「角度」


P「こう、こめかみのところがな? 真ん丸じゃダメなんだと」

奈緒「ああ」

P「こう、ちょっとだけクイっとなってないと、はずかしいって……」

奈緒「なるほど」

P「俺にはそのこだわりはわかんねぇよ……」

奈緒「え?」

P「え?」

奈緒「わかんないの?」

P「わかるの?」

奈緒「…………」

P「…………」

奈緒「……Pさん最低だな」

P「!?」


奈緒「女の子がだ」

P「…………」

奈緒「髪を触らせるってさ、相当なことなんだぞ?」

P「おう……」

奈緒「しかも、ぱっつんの仕上げを頼むとかそれもう愛だから」

泰葉「!?」

P「確かに…… うすうすそうじゃないかなぁとは思ってたけど……」

泰葉「!!?」

奈緒「泰葉は…… 泰葉がどれだけの想いで、どれだけの勇気をこめて……! そのはさみを手渡したのか……!」

奈緒「今日にいたるまで、どれだけの信頼を積み重ねてきたのか……!」

奈緒「Pさんはそれを踏みにじったんだよ! これが最低じゃなくてなんだっていうんだ!」

P「っく……!」


奈緒「もし、Pさんにまだ欠片でも泰葉を想う気持ちがあるなら……」

P「あるにきまってる!」

奈緒「なら、わかるだろ?」

P「おう…… おう! 泰葉!」

泰葉「は、はい!」

P「…………」

泰葉「…………」ドキドキ......!

P「…………」

泰葉「…………」ドキドキ......?

P「……やっぱわかんねぇ」

泰葉「最低!」

書き溜めがここまでです
もう1つ2つ書いたら今日は打ち止め


朋「いれて! いれてよ!」

警備ロボ「関係者以外立ち入り禁止! 関係者以外立ち入り禁止!」

朋「あたし! あたしだってば! 所属アイドルの藤居朋!」

警備ロボ「照合不可! 照合不可!」

朋「あーもう! なんでー!? ……あ、晶葉ちゃん!」

晶葉「ん?」

朋「これ! このロボット壊れてるよ! 入れてくれない!」

晶葉「…………?」

朋「……晶葉ちゃん?」
 
晶葉「あ、あぁ! 朋か! 髪を上げてるから気がづかなかったぞ!」

朋「あ、今日の占いでおでこだした方がいいって言ってたのよね……」

晶葉「なるほど」



晶葉「ふむ一度、髪をもとに戻してみるといい」

朋「え? あ、うん……」

警備ロボ「照合完了! 照合完了! どうぞお通りください!」

朋「あ、通れる」

晶葉「そうだそうだ! このロボは個人のぱっつん紋を読み取っているからな!」

朋「ぱっつん…… 紋……?」
 
晶葉「ぱっつんの形、隙間、さらさら感! 世界で同じぱっつん紋を持つものはいないから個人の照合に最適でな。特許も出願中だ!」

朋「へ、へぇ……」

晶葉「うむ、今日も誤作動はないな! では、私は先にいくぞ! はっはっは!」

朋「…………」

朋「…………」

朋「……まぁ、そういうのもありよね!」


むつみ「ここです! どうぞお入りください! 」

文香「……いえ、その ……私は……」

むつみ「ほら、遠慮せずに!」

P「ん?」

むつみ「あ、Pさん! この方、文香さんです! アイドルになってくれます! きっと!」

文香「……それは、だから……」

P「まぁおちつけってむつみ。 この、文香さん? とはどういう関係なんだ?」

むつみ「本を教えてくれました! すっごい! 冒険小説!」

むつみ「ものすごく、語ってくれました! きっとこの方、冒険、わくわく、大好きです!」

むつみ「わくわくなアイドル! 絶対に楽しんでくれます!」

P「ふむ……」

文香「…………」


文香「私に、アイドルというものは、そのきらびやかで……私には……」

P「文香さん、でしたか」

文香「…………」ビクッ!

P「…………」

文香「…………」ビクビク......?

P「むつみ」

むつみ「はい?」

P「はさみを!」

むつみ「はい!」

文香「……!?」ッダ!

P「にげたー!」

むつみ「おえー♪」

文香(私は…… 私は、なんと恐ろしいところに、迷い込んでしまったのでしょうか……!)

P「おえー!」

むつみ「おー♪」


P「文香さんは俺の伝手で、他の事務所に所属することになりました……」

むつみ「ざんねんです……」

P「ぱっつんではないからね……」

むつみ「それは…… 仕方ないですね……」


テレビ『このような、世界があるとは…… 世界が、輝いています……!』


P「楽しんでくれてるみたいだな」

むつみ「はい。よかったです……!」

P「髪を分けてるの、似合うんよなぁ」

むつみ「目がきれい…… 宝物みたい……」

P「これでぱっつんならなぁ……」

むつみ「ぱっつんでしたらねぇ……」


テレビ『私に、この世界を授けてくれたあの子に、感謝を……』


むつみ「♪」


今日はこれでおわり!
続きはまた明日か明後日にかきますー
ではでは、おやすみなさいー


千佳「変身! プリツインテール!」

奈緒「変身! プリお団子!」

千佳「あたし達!」

奈緒「ふたりそろって!」

千佳奈緒『プリヘヤ!』

千佳「たのしー!!」

奈緒「……お、おう、そうだな、えへへ。 アタシも楽しいよ…… まぁちょっとだけだけどな!」

千佳「え、ちょっとだけなの……?」

奈緒「い、いやうそうそ! すごく楽しい!」

千佳「うん! そうだよね!」


奈緒「いやぁそれもこれも、プリヘヤのあの完成度があってこそだよなぁ……」

奈緒「アクションの作画、ストーリ、キャラクター、何をとっても完璧だ!」
 
千佳「なおちゃんわかってる! そうだよ! ほんっと面白いんだから! もっとみんな見るべきだもん!」

千佳「……あ、でもいっこだけ……じゃあくな敵のライバルが……」

奈緒「……あ、うん……」


千佳奈緒『ぱっつんなんだよね……』


千佳「…………」

奈緒「…………」



千佳「……あたし、ぱっつんやめよっかな……」

奈緒「そ、それだけはだめだ!」

千佳「でも、でもぉ…… ぐすっ……」

奈緒「…………あーどうにもなんない ……こればっかりはなぁ」

千佳「ぐすっ……」

奈緒「ほら、予告では明日でぱっつんとは決着みたいだからさ! きっとあの子も、最期は優しくなるって」

千佳「そうかなぁ……」

奈緒「だから、な? 泣くなって。 プリヘヤなんだろ?」

千佳「……うん! あたし、プリヘヤだから、泣かないよ!」

奈緒「おお、えらいえらい!」

千佳「えへへ……」


――――翌日


千佳「プリぱっつんやるのはあたしだよ!」

奈緒「いーやアタシがプリぱっつんやる! 千佳はプリツインテールでいいだろ! ほらリーダーだぞ! プリツインテール!」

千佳「なおちゃんだってプリお団子やってよ! このまえはクールでかっこいいって言ってたじゃん! プリお団子!」

奈緒「アタシが!」

千佳「あたしが!」


千佳奈緒『ぐぬぬ……』


泰葉「あれは……?」

忍「魔法少女アニメでさ、ぱっつんキャラが敵から味方になって大活躍してるんだって」

泰葉「はぁー、なるほどー……」

忍「まったく奈緒ちゃんも大人げないんだから…… もう! そろそろ止めてあげないと……」
 
泰葉「奈緒ちゃん!千佳ちゃん!」

忍「あ、泰葉ちゃんかわりに言ってくれ―――」

泰葉「私もそのキャラやりたいです!」

忍「え!?」

千佳奈緒『だめ!』

泰葉「しゅん……」

忍「えー……」


雪美「変身……! プリ、ぱっつん……ふふ……」

千佳「……プリツインテール」

奈緒「……プリお団子」

雪美「…………じゃんけんは ……つよい ……ぶい」



忍「……雪美ちゃんがかっさらったー!?」

忍「あ、ちなみに泰葉ちゃんは?」

泰葉「ヘヤー妖精のヤスハです……」

忍「マスコット…… もはや魔法少女ですらない……」

泰葉「しゅん……」

忍「どんまい」

泰葉「はい……」


ってな具合に、今日はあと3エピソードくらい書き溜め投げていきます
あと前回付け忘れてたトリップもつけますね

飛鳥「やあ、おはよう。 ボクはcoolプロの二宮飛鳥。 キミが佐城雪美で間違いないかな?」

雪美「……うん、私が……雪美……」

飛鳥「そうか、やはりそうなんだね。 フフ、この一度しかない今日という日が、キミという存在のおかげでより一層素晴らしくなりそうだ。 よろしく頼むよ」

雪美「……私も、今日の撮影……楽しみ……」

雪美「よろしくおねがい……します……」ペコ......


パサッ……


飛鳥「ふむ、なにか落としたね」

飛鳥「……ん? これは……?」

雪美「……あ」

雪美「……それ、私の……」

雪美「……つけ……ぱっつん」

飛鳥「え?」

飛鳥「……あ、いや、すまないが今、なんと?」

雪美「つけ……ぱっつん……」

飛鳥「付け、ぱっつん……?」

雪美「つけ、ぱっつん……」

飛鳥「…………」

雪美「…………」


飛鳥(付けぱっつん? いやまてなんだこれは、確かに髪の毛のようだが)

飛鳥(別段彼女の額が広がったわけではない…… いや、多少正面のボリュームが減ったか?)

飛鳥(印象が、変わった……? そうだ、先ほどまでの彼女からは、静かだがどこか暖かく、ゆったりとした幼さを感じた)

飛鳥(だが今はどうだ。 鋭く、そして美しい…… まるで月夜に輝く黒猫のように……)

飛鳥(まさか、このわずか数十グラムの髪束ひとつで、こうも、こうまでも……)

雪美「……うぅ……」

雪美「……それ、ないと…… 恥ずかしい…… 返して……」

飛鳥「あ、あぁ! そうだねすぐに返そう」

雪美「ん……」

スタッフ「そろそろリハはじまりまーす! 出演者の皆様はお集まりくださーい!」

飛鳥「おっと、もうそんな時間か。 ボクとしたことが…… 少し呆けていたようだ」

雪美「飛鳥…… 今日は、がんばろ……?」

飛鳥「ああ! もちろん!」

雪美「ん……♪」


飛鳥(それにしても、つけぱっつん……)

飛鳥(これも一種のエクステのようなもの、しかし今までのボクの意識ではまるで埒外のような代物だ)

飛鳥(やはり世界はいつだって、ボクの理解の外側にある、ということだろうか……)


飛鳥「ふふふ、興味深いね」

雪美「……?」

―――Coolプロダクション


文香「…………」ペラ......

飛鳥「おや、おはよう文香。 昼下がりの読書はきっとここ心地よいのだろうね」

文香「はい、おはようございま………… そ、それは……!」

飛鳥「ああ、これかい?」

飛鳥「付けぱっつんといってね、恥ずかしながらボクも先日初めて知った口で――」


文香「…………っ!」ッダ!


飛鳥「ふ、文香!? ……は、走って……? 逃げられた、のか……? 」

飛鳥「…………」

飛鳥「なぜ……?」


ピンポーン……
ピンポーン……
ピンポピンポピンポピンポーン……


柚「忍チャン!忍チャーン! レッスンおくれちゃうよー」ドンドンドン!

柚「忍チャンってばー! ……むー、でてこないなぁ……」

『帰って……』

柚「忍チャン! そこにいるの? もうすぐ時間だよ? 早くいかないと!」

『帰って!』

柚「ひゃあ! ……し、忍チャン……?」

『今日は、……今日はいかない』

柚「え!? な、なんで!?」

『今日だけじゃない、しばらくアタシお休みする。 大丈夫、自主レッスンはちゃんとしておくから』

柚「そ、そんな……!」

『だから、帰って……お願い』

柚「…………」

柚「…………」

『…………』

柚「……ね、忍チャン」

『…………』

柚「アタシには、忍チャンがどうしてそんなこと言ってるのか、わかんない……けど……」

柚「けど、仲間だから……友達だから……!」

柚「心配だから……」

『…………』

柚「ね、行きたくないなら、無理につれてったりしないよ? ……でも……でも理由だけ、ちゃんと教えてほしいな…… ダメ?」


『…………』

柚「…………」

『…………昨日ね』

柚「……っ!……うん!」

『……美容院でね……前髪、失敗しちゃった』

柚「え!?」

『自慢の前髪だったのに……アタシだけの、ぱっつんだったのに……』

柚「…………」

『……ぽけっとしてたら、ぱさって』

柚「ひ、ひどい……」

『でね、鏡見て思ったんだ。 あーこれはしばらく人前にでられないなぁ、って』

『……だから、ね…… ちょっとだけそっとしておいてほしいなってさ…… えへへ……』

『ね? へへ……』

『…………』

柚「……大丈夫! 大丈夫だよ!」

『…………』

柚「確かに、切られちゃって、変わっちゃったかもしれない。 悔しいかもしれない」

柚「でも……でも! アタシの知ってる忍チャンは、こんなことでくじけたりしない! 閉じこもったりしない!」

柚「もっと頑固で、意地っ張りで、こんなのナニクソってけっとばせるのが忍チャンでしょ!」

柚「忍チャンは忍チャンだよ! アイドルの、忍チャンだよ!」

『…………っ!』

柚「だからお願い! 忍チャン! 一緒に、いこ……?」
 
柚「…………忍チャン……」


『…………』


ガチャ......


忍「…………」

柚「忍チャン! 」

忍「……柚ちゃんの言うとおりだよね。 そうだよ……そう、こんなのでくじけるようじゃあ、アタシじゃないよね!」

柚「……うん! ほら、そんな頭からお布団なんかかぶってないで! いこ!」

忍「うん!」


バサーッ!


柚「あ、おでこ」

忍「…………」

柚「…………」


バタン! ガチャッ!


柚「あ、閉めないで! 忍チャン! 忍チャンごめん! 忍チャンってばー!」

『アタシ今日はお休みする!』

柚「忍チャーン!」


晶葉「むー……わからん」

泰葉「あれ、晶葉ちゃん、どうしました難しい顔して」

晶葉「ぬ、泰葉か…… いや、今度のドラマでもらった役柄がな、どうにもうまく演じられないんだ……」

泰葉「それ、台本? ちょっと見せてね…… ふむふむ……」

泰葉「うーん、性格も晶葉ちゃんに近いし、そこまで難しそうには思えませんけど……」

晶葉「ああ、セリフ回しやしぐさなどはあまり問題ではない…… ただ……」

泰葉「ただ?」

晶葉「ぱっつんでは、ないんだ」

泰葉「あー」


晶葉「な? ……なぁそれでも泰葉、泰葉ならなにかアドバイスは……」

泰葉「ないです」

晶葉「ないかぁ」

泰葉「ないです」

晶葉「だよなぁ」

泰葉「はい」

晶葉「…………」

泰葉「…………」

晶葉「やっぱりちょっとくらい」

泰葉「ないです」

晶葉「ないかぁ」

泰葉「はい」

晶葉「そうかぁ」


泰葉「ですが、私やほかの皆からはなにも言えませんがもしかしたら……」

晶葉「?」

泰葉「プロデューサーなら……」

晶葉「……! そうか! 助手はもともとぱっつんではない……!」

泰葉「ええ、ですから、私たちにはつかめない心の動きもプロデューサーなら……」

P「ん? 呼んだか?」

晶葉「おお、助手よ! いいとこ、ろ、に……? んん?」

泰葉「……プロデューサー、髪型が……」

P「おお、そうそう! 俺だけ違うってのもなんかさびしかったからな!」




P「ぱっつんにしてみたんだ!どうだ?」



晶葉「…………」

泰葉「…………」

P「…………?」

晶葉「……助手に対して、こいつ使えない、などと、私は…… 私は、思いたくなんてなかった……!」

P「え!?」

泰葉「プロデューサー」

P「お、おう、なんだ泰葉! 感想ならウェルカモウェルカム!」

泰葉「似合ってないです」

P「……え?」

晶葉「くそう…… くそう……」

泰葉「ドン引きです」

P「え……?」

P「え……?」

P「…………」

P「ひどくない?」


今日はここまでー
続きはまた明日か明後日くらいに!
ではでは、おやすみです!


前回からの明日明後日なんて思い切りぶっちしてますが始めます!
今日で〆!


晶葉「……ふむなら次は……」チョキンチョキン......

智絵里「……晶葉ちゃん?」

晶葉「……よしこれも画像に残して……」カシャ!

智絵里「あ、晶葉ちゃん……!」

晶葉「ん、智絵里か?どうした?」

智絵里「えっと、どうした、は私のセリフで…… 今、なにしてるの?」

晶葉「ああ! 実はな! 新しくぱっつんロボを作ろうかと思っているんだが」

智絵里「うんうん」

晶葉「もっともバランスのいいぱっつんの位置はどこか、実験してるんだ!」

智絵里「実験?」

晶葉「ああ! こう、私の前髪を少しずつ切って行ってな?」チョキン!

晶葉「画像に残して」カシャ!

晶葉「あとで並べて比較して、設計図に落とし込む!」

智絵里「わー、大変そう……」

晶葉「ふふふ」


晶葉「最初はCGモデルにしようかと思ったんだが、どうにもしっくりこなくてな! やはり、実地でデータを取るのがなによりも確実だ!」

晶葉「こういった地道な作業が、新しい発明の礎となるからな! ……さて次はまゆから上に約―――」

智絵里「そ、そうなんだ、すごいな…… でも、いいの?」

晶葉「―――8cm ……ん?」チョキン!

智絵里「前髪、もう、なくなっちゃうよ?」

晶葉「……え?」

智絵里「え?」

晶葉「…………あ」

智絵里「あ」

晶葉「あー……」

智絵里「あー……」

晶葉「…………あー……」


ポンポン……

晶葉「ん?」

忍「…………」ニッコリ

晶葉「あ、あ…、わ、私の肩を慈悲深いほほえみを浮かべながら叩くあなたは!」

晶葉「まるで一度すべてを失ってから世界の素晴らしさに気が付いたような笑みを浮かべながら私の肩を叩くあなたは!」

ポンポン……

忍「…………」ニッコリ

晶葉「前髪がなくなったのを付けぱっつんでごまかしていたのがばれてスキャンダルになりかけた工藤忍じゃないか!」

忍「…………」ピキィ......ッ!

晶葉「前髪が! なくなったのを! 付けぱっつんでごまかしていたのがばれて! スキャンダルになりかけた! 工藤忍じゃないか!!!!」

ギリギリギリ!

忍「…………」ニッコリ......ッ!

晶葉「いたいいたいいたい肩いたい、ごめんなさいごめんなさい」

忍「…………」ニッコリ


あやめ「P殿!P殿!」

P「おー、どーしたー?」

あやめ「わたくし、近ごろ新しい術を開発したのです!」

あやめ「見ててください、ニンニン!忍法“ぱっつん隠れの術”!」

あやめ「どろん!」

泰葉「どろん」

仁奈「どろん!でごぜーます!」

奈緒「ど、どろん……!」

柚「どろーん♪」

あやめ「さぁ、これだけのぱっつん!もはやP殿に本物のあやめを見つけることなどできますまい!」

P「うーん……」


あやめ「ふふふ、迷ってる迷ってる…… ああ……! あやめは自分の才能が恐いです……」

P「うん、君、だな」ポン!

あやめ「ひゃあ! あ、あやめの忍術は完璧だったはず! ……どうして、見破ることができたのですか!?」

P「いや、だってなぁ……」

あやめ「だって?」

P「もうどれだけ一緒にいたと思ってるんだ。 どれだけ一緒に頑張ってきたと思ってるんだ」

P「その俺が、あやめのぱっつんくらい、見分けられないわけがない」

P「そうだろう?」

あやめ「きゅん……」

P「ほら、仕事行くぞ! 準備しろあやめ!」

あやめ「は、はい!」

あやめ「ぴ、P殿!」

P「ん?」

あやめ「これからもずっとずっと、よろしくお願いいたします!」

P「おう!」


イチャイチャ……イチャイチャ……
キャッキャ……!

あやめ「P殿ー」

P「あやめー」


イチャイチャ......イチャイチャ......
キャッキャ......!



奈緒「なんだこれ」

奈緒「なんだこれ」


泰葉「むすーっ」

奈緒「なんだこれーーー!!!」


メアリー「チアキはきれいネ」

千秋「あら、ありがとう」

メアリー「だから、すこしだけ、マネしてみたの。ドウ?」

千秋「髪を下したのね。 ……なかなか似合ってるわよ?」

メアリー「フフ、アリガト」

メアリー「…………」

メアリー「そ、それでネ? チアキ……」

千秋「……なにかしら?」

メアリー「そ、その……」

千秋「…………」


メアリー「そ、そろそろ膝から降ろしテくれな―――」

千秋「だめよ」

メアリー「おろし―――」

千秋「だめよ」

メアリー「…………」

千秋「だめよ」ギュー!

メアリー「ほめゴロシもダメなのネ……」

千秋「…………♪」


ワイワイガヤガヤ......


P「みんなに今から大切な話がある。 聞いてくれ……」

忍「どうしたのいきなり」

P「それがな、最近台頭してきた、おさげプロダクション…… みなも何度か共演やライブバトルでかかわったことがあると思う」

P「川島瑞樹や十時愛梨、北条加蓮なんかが有名だな」

P「俺たちにとってライバルと言ってもいい、そんなおさげプロダクションなんだが……」

P「……調査の結果、このぱっつんプロダクションにスパイを送り込んでいるという情報をつかんだ」

奈緒「マジかよ……!?」

朋「ソースはアタシの占いね♪」

P「ありがとう朋」

朋「うふふ」


P「そしてその容疑者が…… 緒方智絵里! 氏家むつみ! この二人だ」

智絵里「!? そ、そんな私、スパイだなんて…… 違います……!」

むつみ「わ、私も! 私も……」

P「大丈夫だ。 スパイじゃないと証明する方法がある」

仁奈「い、いったいどーするでごぜーますか!」

P「3秒以内にぱっつんと10回言ってみろ!」

智絵里「え……? ぱ、ぱっつんぱっつんぱっちゅ……!」

むつみ「ぱ、ぱっつんぱっつんぱっつんぱっつんぱちゅんぱっちゅん、ぱつぱつん……」

P「時間切れだー! みなのもの! 連行しろ!」

柚「さぁいけぱっつんロボー! みんな運べー♪」

晶葉「あ、アタシのセリフを!」

むつみ「あ、あ!」

智絵里「きゃっ!! きゃー!」

P「尋問だー! 尋問にかけろー!」


『おーー♪』


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泰葉「……首尾はどうですか?」

柚「完璧! さっき、ゆきちあコンビが部屋に連れてってた!」

泰葉「ふふふ、あの二人ならすぐに吐かせるでしょう…… Pさんは?」

朋「大丈夫。 ちゃんとただのおふざけだって思ってくれてるみたいよ」

柚「Pさんがね、なんか驚いてたからあとで謝らなきゃなぁ、だってさ」

泰葉「上出来です」

泰葉「ふふふ、ふふふふふ……! もうすぐです」

泰葉「もうすぐ、私たちぱっつんが、世界を覆うための第一歩が開かれる!」

柚「なんだかんだ長かった! なんだかんだ! なんだかんだ!」

朋「気にいったの? なんだかんだ」

柚「なんだかんだ!」


泰葉「ゆくゆくはポニテプロや、パツキンプロなども私たちぱっつんの威光でおおってあげます!」

泰葉「……ですが、まずは手近なところからですね」

朋「おさげプロって実際まだ新興だものね。 準備運動にはちょうどいいでしょ」

柚「代表はどんなひとだっけ?」

朋「千川ちひろって人だって。 前は事務員やってたみたい」


オーーイ!
ヤスハー! ユズー! トモー!
ドコダー!


泰葉「あ、Pさんが呼んでますね。 ……それじゃあ、今回のぱっつん会議はここまでです」

柚「えへへ、明日から楽しみだな!」

朋「うん、とうとう始まるんだもんね! アタシたちの時代が!」

泰葉「この日のために、陰に日向に力を蓄えてきました」

泰葉「それがとうとう、花開く……」

泰葉「そう、私たちは上り始めたばかり」




泰葉 柚 朋 『この長い長いぱっつん道を!』



おわり!


こいつらぱっつんの話しかしねぇ。そんな話
でもぱっつんっていいよね

過去作もいくつかおいてきますので、よければどうぞ


ほのぼの
工藤忍「ここにあるのはクラッカー」
沙理奈「ここにおっぱいがあるでしょう?」千枝「はい!」

真面目なの
関裕美「その言葉を、胸にしまって」
工藤忍「まっくろこげのハート」 etcetc...


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