鎧騎士「……他愛無し」 (18)


村娘「嫌ぁあ!! 誰か、誰か助けて!」

山賊「大人しくしてりゃ殺しはしねぇんだ、こっち来い女ァ!!」

村娘「母さん! 母さん!!」


村娘母「やめとくれ……っ、うちの娘は病気なんだ! アタシなら好きにして構わないから…!」

山賊B「黙ってろ、この村の連中は皆売るんだよ!」

山賊C「向こうの教会みてーな建物に若い男共が立て籠もってやがる、行くぞ」

山賊B「おう」

村娘「やだぁぁ……!! 誰かたすけてよぉ! 嫌ぁ……!」



鎧騎士「……」ガシャッ



山賊「…あん?」




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鎧騎士「……」スラァ…ッ


山賊B「な、騎士だとっ!? なんでこんな小せえ村にいやがる!」

山賊「動くんじゃねぇ!! この親娘がどうなってもいいのか!!」チャキッ

村娘「ひぃ……っ」


鎧騎士「……」

鎧騎士「戦わぬ者」

鎧騎士「死合う資格、無し」ギシッ

< ビュバンッ!!


山賊「」

ゴシャッッ……ブシュゥッ!

山賊B「!??」

山賊C「……!?」


山賊B「野郎ッ!!」

山賊C「ひぃいっ……!!」


鎧騎士「……」

鎧騎士「剣をこちらへ向けたな」ギシッ

< バッ!

< ガシン ガシン ガシィンッッ


山賊B「馬鹿な、重鎧で速……!?
    < ザシュンッ!!

山賊B「」ブシャァアッ…!

山賊C「うわぁああああ!!? 助けてくれぇえ!!」ダッ!


鎧騎士「……他愛無し」



村娘「わぁあんっ! お母さん! お母さん!」ぎゅっ

村娘母「ああ、無事で良かった……!」

村娘母「騎士様もありがとうございます! ありがとうございます!」ぺこぺこっ


鎧騎士「……」ギシッ…

< ガシャッ・・・ガシャッ・・・


村娘「……?」

村娘母「きっとウチの男衆がいる教会へ向かうのね、私も手伝ってくるわ!」タッ

村娘「お母さん! 危ないよ逃げようよー!」

村娘母「お父さんも助けないといけないの、それに大丈夫よ 騎士様もいるんだから!」チャキッ

村娘母「くっ……けっこう重いわねこの山賊達の剣……」フラフラ



鎧騎士「……」ピタッ

鎧騎士「剣をこちらへ向けたな」ギシッ



村娘母「え?」

< ザシュンッ!!


< ブシャァアッ…!

< ドサッ!


村娘「……おかぁ…さん…?」


鎧騎士「他愛無し」ギシッ…

< ガシャッ・・・ガシャッ・・・


< 「お母さん……起きて……」

< 「やだよ起きて……おきて……」


< 「お母さん……」


【森】


鎧騎士「……」

< ガシャッ・・・ガシャッ・・・


狼「……!」

狼「グルル……ッ」バッ

鎧騎士「……」ギシッ

狼「ガルルゥッ!」

鎧騎士「……」

鎧騎士「お前は違う」ギシッ…


< ガシャッ・・・ガシャッ・・・


狼「グルル……」ゥゥッ…

ええ…

人間じゃなくて知性のないモンスターなんだろ
武器を持ってる相手に襲いかかる性質のある

【霧の森】


鎧騎士「……」ギシッ…

< ガシャッ・・・ガシャッ・・・


< 「くそ……霧が深くなってきたな……」


鎧騎士「……」ピタッ


< 「どうしたもんかな……」


鎧騎士「……」ギシッ…

< ガシャッ・・・ガシャッ・・・



負傷した剣士「……っ?」


< ガシャッ・・・ガシャッ・・・

鎧騎士「……」ギシッ…


負傷した剣士「……」

負傷した剣士「アンタ、一人かい?」


鎧騎士「……」


負傷した剣士「……」

負傷した剣士「微かだが吐息が聴こえてくる、人間だよな」

負傷した剣士「すまないがこの森を出られる方法があるなら教えてくれ」


鎧騎士「汝は剣を振るう者か否か」


負傷した剣士「……」

負傷した剣士「我はかつて振るっていた者なり」スラァ……

< チャキッ…

負傷した剣士「数日前の戦で身体も剣も駄目になった、折れちまったのさ」


鎧騎士「……」

鎧騎士「……」スッ

鎧騎士「来るべき時を剣戟の最中に待つ」


負傷した剣士「?」



────────── サァアアア・・・



剣士「な、なんだぁ? 霧が晴れていきやがる……」

剣士「って……ん?」

剣士「腕が治ってる……!」バッ

剣士「……剣も、柄から折れてたのに…まるで新兵の頃みたいだ」チャキッ


剣士「……」

剣士「……いない、さっきの騎士がやったのか?」



【森2】


鎧騎士「……」

< ガシャッ・・・ガシャッ・・・


ゴブリン「げひゃひゃひゃひゃっ!」バッ!

ゴブリンB「人間だぁ! 甘くて切ない人間だぁ!」バッ!

ゴブリンC「鋼を纏う人間だぁ!」バッ!

ゴブリン「ひゃっはぁ! おい人間、お前の鋼寄越せ! お前の鋼寄越せ!」

ゴブリンD「肉も置いていけ! 置いていかないなら人間の肉を貰う! ひゃひゃっ!」チャキッ


鎧騎士「……」

鎧騎士「剣をこちらへ向けたな」スラァ…ッ

< ガシン ガシン ガシィンッッ


ゴブリンD「ひゃひっ!?」バッ!

< ビュォンッ!!


鎧騎士「……」ギシッ…


ゴブリンB「この人間ヤル気だぁ!」バッ!

ゴブリン「囲め! 殺せェ!!」バッ!


鎧騎士「……」ズザッ…!

ゴブリンD「ひゃっはぁ! 当たるかよ人間んんッ!」バッ!

鎧騎士「……」ヒュガッッ

ゴブリンD「ぐぇえっ!? く、首をつかん…

< ドシュッッ

ゴブリンD「」ビクッ…ビクンッ……


ゴブリンC「ひゃっはぁ!」ズバッ!

< スカッ

ゴブリンC「えひゃ?」ドシンッ

ゴブリンB「す、透けたぞこの人間……」

ゴブリン「触れないっ! この人間触れないっ!」ブンブンッ!



鎧騎士「……他愛無し」ズルンッ

< ドシャッ

鎧騎士「次なる剣の担い手は汝か」ギシッ…

ゴブリンC「ひっ……!?」

< ザシュンッ!!



ゴブリンC「ぐぎゃあぁああぁあっ!!?」ブシャァアッ!

ゴブリンB「ひぁああ!? ば、化け物だぁ!」

ゴブリン「Cを連れて逃げる! 逃げる!」バッ


< スカッ

ゴブリン「……ッ!??」


ゴブリンC「な、なにしてるんだよぉ!! だずげでぐれよぉお!!」ドクドク……

ゴブリン「さ、さわれないんだよぉ!」

ゴブリンB「ひぃいっ! 来たぁ!!」


鎧騎士「……」ガシンガシンガシィンッッ

< ブォンッ!!

< ザシュンッ!!

鎧騎士「……一度剣を向け担い手である事を証明した者、逃げる事叶うと思うな」ギシッ…

鎧騎士「次は、汝か」


ゴブリン「うわぁああああ!!」


【花畑】


女騎士「はぁ……こんな所に綺麗な川があるとはな」ザバッ

女騎士「水や土が良いのか、花もこれだけ咲いているし」

女騎士「美しいな」


< ガシャッ・・・ガシャッ・・・


女騎士「……!」ピクッ

女騎士(……重鎧、腰に両手剣か)

女騎士(敵意は感じないが何だこの圧迫感は……!)


鎧騎士「……」ギシッ…



女騎士「問おう、貴公は何者か!」

女騎士「私は女騎士、西の国の騎士団の一人だ!」


鎧騎士「……」

鎧騎士「?」ギシッ…


女騎士(首を傾げた……?)


鎧騎士「……」

鎧騎士「……俺に名はない」

鎧騎士「……汝は剣を振るう者か否か……」スラァ…ッ


女騎士(何だこの男、戦うのか!?)

女騎士(意味がわからない……! く、体格差を考えれば圧倒的に不利か…)

女騎士(……逃げよう、向こうの木陰に馬は止めてある)ガバッ!


鎧騎士「……」

鎧騎士「否、か」スラァ……チャキンッ

鎧騎士「……」ギシッ…

< ガシャッ・・・ガシャッ・・・






女騎士(追って来ないと思ったら、去っていく……?)ガサッ

女騎士(一体何なのだあの重鎧の騎士は)

女騎士(野盗にしては構えも威圧感も只者ではない、やはり頭のおかしい騎士か?)

女騎士(国に帰ったら調べてみよう)

女騎士(流石に名の通った者では無いだろうが)



【町】


門番「勇者様が帰ってきたぞー!!」

門番B「皆、道を開けろー! 勇者様が帰ってきたー!」


< 「勇者様……!」     「勇者様が森の魔物を退治してきてくれた…!」
       「勇者万歳!」

   「流石は精霊の御加護を受けた勇者様だ……」
「見てあの勇ましい姿、惚れてしまいそう……」



勇者「ふー、やっと帰ってこれたな」

拳闘士「あの深い霧の中でも狼を討伐完了、まー流石は俺達だよな」

盗賊「よく言う、あの狼を倒せたのはたまたま霧が晴れたからだ」

勇者「結構危なかったぜありゃ……」


< 「ゆ、勇者様!」

勇者「!」


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