ビスケット「ここは……」アクア「このすば!」(53)




鉄血のオルフェンズ×このすば

勢いとノリで勝負!

※注
ビスケットの性格は若干違う感じだと思います。




ビスケット「…………」

ビスケット(なんか……暗い空間にコンクリートみたいな踏み心地の床)

ビスケット(あと、目の前にある……高価そうなイスはなんだ?)

ビスケット(…………)

ビスケット(あれに座ればいいのだろうか……?)

ビスケット(…………)

ビスケット(っていうか、僕はどうしてここに……)

ビスケット(確か……敵の攻撃を受けて……)

ビスケット(僕は……モビルワーカーの……)

ビスケット(…………)

ビスケット(まさか……僕は……)


     パッ!

ビスケット「!?」

???「はいはーい!」

???「お待たせぇ~」

ビスケット「…………」

     スチャ

ビスケット「…………」

???「ん? あ~いくら私が美人で綺麗だからって」

???「そんなに見つめないで。 何もでないからね~」

ビスケット「はあ……」

???「まず、私の名前はアクア」

アクア「あんたの世界を管理している超・イけてる女神様よ☆」


ビスケット「…………」

アクア「んふふ~」

アクア「あまりの美しさと神々しさに言葉も出ないみたいね♪」

ビスケット(呆れているだけです……)

アクア「んじゃ、本題に入るね」

アクア「あんた……え~っと……ビスケット?」

アクア「ぶふっ!! ビスケット! 超受ける名前なんですけどー!!」

アクア「ぶははははははははっ!!」

ビスケット「…………」 イラッ

アクア「はあ……あ~笑った笑った~」

アクア「で、ビスケットくん」

アクア「あんた、ついさっき死んじゃったのよね~」


ビスケット「…………」

ビスケット「はあ!?」

アクア「うんうん、納得は出来ないだろうけど」

アクア「そりゃもう見事にこれ以上は無いってくらい」

アクア「無様にミンチになって死んじゃってるからー」

ビスケット「…………」 ブチッ!

ビスケット「おい! あんた、さっきから黙って聞いてりゃ好き放題言ってくれて!」

ビスケット「何なんだよ! これは!?」

ビスケット「ちゃんと分かる様に説明しろ!」

アクア「はいはい、怒らなくてもちゃんと説明するから」


アクア「さっきも言ったけど、ビスケットくん」

アクア「あんたは死んじゃってここへ来たの」

アクア「ここへ来る前の最後の記憶はあるでしょ?」

ビスケット「……確かに……あるけど……」

アクア「でもね、あんたの生きてきた人生がちょっと残念だから」

ビスケット「おい」

アクア「さすがに可哀想かなーという事で、耳寄りな情報を教えてあげるね」

ビスケット「……嫌な予感しかしないんだけど」

アクア「君は天国に行けるんだけど、実は天国って、かーなーりー退屈なところなのよ」

ビスケット「…………」

アクア「そんなところに行きたい?行きたくないよねー」

アクア「モビルワーカーもMSもない世界だし」

ビスケット「いや、不当に扱われなければ無くてもいいけど……」


アクア「で!」

ビスケット「こっちの話も聞いてくれないか?」

アクア「そんな可哀想なブタミンチになって死んだビスケットくんに朗報!」

ビスケット「…………」 イラッ

アクア「実は私が管理している世界はもういくつかあって」

アクア「その一つが魔王に滅ぼされかけていて、頼りになるヒーローを求めているのです!」

ビスケット「お断りします」

アクア「まあまあ、話は最後まで聞きましょう」

アクア「いくらなんでも不幸なブタミンチになって死んだビスケットくんを」

アクア「着の身着のまま送り出したりしないから」

ビスケット「ケンカは売ってるけどな」 イライラ


アクア「特典として、何か一つだけビスケットくんが有利なれる『力』を授けてあげる」

アクア「いわゆるチートってやつね」

アクア「ここにあなたしか使う事のできない武器や防具、魔法や身体能力も用意したわ」

アクア「さ、どれか選んで、魔王を倒してヒーローになろう!」

ビスケット「待ってくれ」

ビスケット「あんた……アクアとか言ってたな?」

ビスケット「僕が望む事はただ一つだけだ」

ビスケット「もと居た世界で生き返らせてくれ! 頼む!」

アクア「そんなこと言われてもねー無理なものは無理なのよ」

アクア「あなたに選べる選択肢は」

アクア「クッソつまんなくて退屈で死ぬ事もできない天国へ行くか」

アクア「バラ色のヒーロー生活とモテモテ街道の待つ魔王退治が出来る世界へ生き返るか」

アクア「この二択しかないのよ」


ビスケット「だけど僕はまだ死ねないんだ!」

ビスケット「幼い妹達とか鉄華団のこれからとか……」

ビスケット「やり残した事がたくさんあるんだよ!」

アクア「たぶん大丈夫でしょ」

ビスケット「ずいぶん軽いな!?」

アクア「だってこれまで見てきたあなたの鉄華団への貢献って」

アクア「危ない事はやめろって言ってるだけじゃない」

アクア「実際に鉄華団がビスケットくんの言う通りにしてくれた事ってあるの?」

ビスケット「そ、それは……」

アクア「それにあんたの妹達の事だけど」

アクア「その鉄華団が面倒見るか、タービンズに引き取られるかして」

アクア「何とかなるんじゃないの?」

ビスケット「…………」


アクア「だから安心して、魔王を倒すヒーローになりなさいな♪」

ビスケット「け、けど……」

アクア「もー四の五の言わないでさっさと選びなさいよ」

ビスケット「…………」

アクア「…………」

アクア「しょうがない」

アクア「じぁあ女神権限で特別に報酬を出してあげるわ」

ビスケット「え……報酬?」

アクア「まあ本音を言うと、魔王が蹂躙し続けて」

アクア「この世界へ行きたがる人が極端に少ないのよ」

ビスケット(……そんな世界をバラ色とか言ったのか) イラッ


アクア「で、特別のさらに特別に魔王を倒した暁には!」

アクア「ビスケットくんのどんな願いも叶えちゃいます!」

ビスケット「!」

ビスケット「という事は……元の世界で生き返ることも!?」

アクア「もっちろん!」

アクア「ささっ! やる気が出た所で、一つだけ持ち出せるものを選んで♪」

ビスケット「よ、ようし……」

ビスケット「…………」

ビスケット(う~ん……とは言ってもなぁ)

ビスケット(何を選べばいいのか……さっぱり分からない)

ビスケット「…………」


アクア「……ねえ、まだぁ?」

アクア「まだ決まらないのー?」

ビスケット「…………」

ビスケット「あの」

アクア「ん?」

ビスケット「ちょっと聞きたいんだけど」

ビスケット「本当にどんなものでも一つだけ持って行けるの?」

アクア「ええ! それはもちろん!」

ビスケット「じゃあ人でも構いませんか?」

アクア「……は?」

ビスケット「さすがに生きてる人は迷惑だろうから遠慮するけど」

ビスケット「僕の世界で死んじゃってる人とかならいいかな、なんて……」

アクア「意外に鬼畜ね。 ビスケットくん」


アクア「まあいいわ。 それでなんて名前の人?」

ビスケット「フミタン・アドモスって女の人を……」

ビスケット「ああ、本人に打診して了解は取ってくれます?」

アクア(……めんどくさ)

―――――――――――

アクア「というわけで!」

アクア「地獄から連れて来ちゃいました~♪」

フミタン「な、なんですか!? ここは!?」

ビスケット「ちょ、ちょっと! 本人の了解は得てくれって……」

アクア「ささっ! 積もる話は向こうでしてね♪」

ビスケット・フミタン「おい!?」


アクア「ん、んんっ!」

アクア「さあ勇者よ!」

アクア「願わくば数多の冒険者たちの中から、貴方が魔王を倒す事を願っています」

アクア「さすれば、神々達からの贈り物として どんな願いも叶えて差し上げましょう」

アクア「いってらっしゃ~い!」


ビスケット「う、うわあああああああっ!」

フミタン「きゃ、きゃああああああっ!」


アクア「…………」

アクア「さて、今日のお仕事はこれでおしまい♪」

アクア「ご飯でも食べに行こうっと♪」



―――――――――――


     ドサドサッ!

ビスケット「うがっ!」

フミタン「ぐっ!」

ビスケット「痛たたた……」

フミタン「…………」

ビスケット「まったく……あの自称女神め」

ビスケット「どんな環境で育ったんだよ……」

フミタン「…………」

ビスケット「あ! す、すみません、フミタン……さん」

フミタン「……事情を説明してもらえますか?」

ビスケット(怖っ! 目が凄く怖い!)


ビスケット「……というわけでして」

フミタン「」

ビスケット「ちゃんと了解は取ってくれと言ったんですけど」

ビスケット「あの自称女神の奴……」

フミタン「…………」

フミタン「……ともかく」

フミタン「事情や状況は理解しました」

ビスケット「そうですか……」

フミタン「でも一つだけ聞かせてください」

ビスケット「はい?」


フミタン「なぜ私を?」

ビスケット「!」

フミタン「あなたのお仲間で亡くなった人も居たはずなのに」

フミタン「なぜ私を選んだのですか?」

ビスケット「…………」

ビスケット「……あなたが一番有能だったからです」

フミタン「…………」

ビスケット「おっしゃる通り、鉄華団で死んだ仲間の方が付き合いも長いし、気心も知れています」

ビスケット「でも……この訳の分からない状況下で」

ビスケット「目的を達成するには力不足だと思ったんです」

フミタン「……それをあなたのお仲間が聞いたらどう思うでしょうね?」


ビスケット「……どう思われようとも構いませんよ」

ビスケット「とにかく僕は、何としてもここでの目的を達成させなければならない」

フミタン「そうですか」

     スクッ…

ビスケット「あ……どこへ?」

フミタン「どこへ行こうが私の勝手です」

フミタン「あなたにどうこう言われる理由も義務も必要もありません」

ビスケット「待ってくれ!」

ビスケット「僕にはあなたが必要だ!」

     ザワッ…

     ナニアレー? コクハクー?

ビスケット「あ……」

フミタン「……場所を変えましょうか」


―――――――――――

フミタン「で?」

フミタン「あなたは私に気があるのですか?」

ビスケット「そ、そういう意味じゃないですよ……」

ビスケット「僕はあなたの冷静かつ的確な分析能力と」

ビスケット「スケジュール調整能力を高く評価しています」

フミタン「…………」

ビスケット「それは今後、必ず必要になってくるスキルなんです」

ビスケット「ぜひ、僕に協力してください」

ビスケット「お願いします!」

フミタン「…………」

フミタン「……そうですか」


フミタン「しかし……この世界」

フミタン「私達がいた世界より かなり文明が劣るように見えるのですが」

フミタン「そんな状況で、私の力が発揮できるのかどうか……」

ビスケット「う……」

フミタン「コンピューターという言葉すら無さそうですよね?」

ビスケット「と、とにかく」

ビスケット「まず状況確認をしませんか?」

フミタン「…………」

フミタン「……そうですね」



―――――――――――


酒場


     ガヤ ガヤ

ビスケット「…………」

フミタン「…………」


ビスケット(……集まった情報を整理すると)

ビスケット(魔王?という存在は確かに居て、それが世の中を悪くしているらしい……)

ビスケット(王様?とやらが勇者と冒険者を募集していて、それで色々と出きる様になり)

ビスケット(倒しに行く……というルール?みたいだ……)


フミタン(……この地は魔王?とやらの存在から最も遠く離れているらしく)

フミタン(あまり危機感が感じられないのはそのせい……か)


フミタン「…………」

ビスケット「…………」

フミタン「……それでビスケット」

ビスケット「は、はい」

フミタン「どうしますか?」

ビスケット「そうですね……とりあえず」

ビスケット「その冒険者?という奴に成らないと始まらないみたいなので」

ビスケット「試験を受けてみましょう」

フミタン「行き当たりばったりですね」

ビスケット「ははは……」


ビスケット「……え? 登録手数料?」

フミタン「お金が要るのですか?」

窓口嬢「はい」

ビスケット「……持ってますか?」

フミタン「あるわけ無いでしょう」

ビスケット「いきなり躓いた……」

フミタン「…………」

フミタン「この辺りで質屋はありますか?」

窓口嬢「しちや? ……道具を買い取るお店ならありますが」

フミタン「ではそのお店の場所を教えてください」



―――――――――――


ビスケット「……何とか服以外の持ち物を売って登録できましたね」

ビスケット「無一文なのは変わらないですけど……」

フミタン「そうですね」

ビスケット「僕は一応戦士という職業にしましたけど、フミタンさんは?」

フミタン「やたらとダンサーを進められましたけどアサシンという職業にしました」

ビスケット「アサシン?」

フミタン「暗殺をする職業らしいです」

ビスケット「……物騒な職業ですね」

フミタン「あと、私を呼ぶ時は呼び捨てでも構いませんよ」

ビスケット「え? で、でも……」


フミタン「この場において私達は 身分も立場も主従関係もありませんから」

フミタン「ビスケット」

ビスケット「…………」

ビスケット「……わかったよ」

ビスケット「フミタン」

―――――――――――



馬小屋


ビスケット「…………」///

フミタン「…………」


ビスケット「…………」///

フミタン「…………」

ビスケット「え、ええと……やっぱり僕は外で寝るよ」///

フミタン「私は気にしませんが?」

ビスケット「僕の方が落ち着けませんので……」

フミタン「……別に襲い掛かってもらってもいいですよ」

ビスケット「……は?」

フミタン「あまり体に自信はありませんが」

フミタン「抱きたいのならご自由になさって結構です」

ビスケット「…………」

フミタン「…………」

フミタン「では……明日から労働が待っていますので、お休みなさい」

ビスケット「あ……うん」



―――――――――――


翌日の朝

馬小屋


フミタン「…………」

フミタン「……ふあ」

フミタン「…………」

フミタン「…………」

フミタン(ビスケット……居ない)

フミタン(でも、隣で寝た形跡は有る)

フミタン(…………)


馬小屋の前


フミタン「…………」

フミタン「ビスケット?」

ビスケット「あ、フミタン。 起きたのか」

ビスケット「おはよう」

フミタン「……おはようございます」

ビスケット「朝ごはん食べるかい?」

     トン

フミタン「……私たちは無一文だったはず。 どうやってこれを?」

ビスケット「酒場の調理場の人に無理を言ってツケで貰ったんだ」

ビスケット「今日の日雇いで稼いだら、必ずここで食べるって約束もして」

フミタン「そういう事ですか……」


ビスケット「ははは。 いきなり借金生活ってわけだ」

ビスケット「鉄華団の始まりの事を思い出すよ……」

フミタン「…………」

ビスケット「さ、これから働かなくちゃいけない」

ビスケット「食べられる内にしっかり食べておこう」

フミタン「…………」

     イタダキマス



―――――――――――






     約一週間後











馬小屋


ビスケット「ふう……今日もいい汗をかいたな」

ビスケット「じゃ、おやすみ。 フミタン」

フミタン「……おやすみなさい」

     ドサッ…

ビスケット「…………」

フミタン「…………」

ビスケット「…………」

フミタン「…………」


フミタン「……もう一週間くらいになりますね」

ビスケット「……ん?」

フミタン「ここへ……この世界に来てから」

ビスケット「……そうだね」

ビスケット「…………」

フミタン「…………」

フミタン「何も……聞かないのですね」

フミタン「私の事」

ビスケット「……聞いた方がいい?」

フミタン「…………」

フミタン「あの変な女の子が言ってたでしょう?」

フミタン「私を『 地獄 』から連れて来たって」

ビスケット「……そうだね」


ビスケット「あの自称女神の基準なんて知らないけど」

ビスケット「僕は天国に行けたらしいですよ」

フミタン「自慢ですか?」

ビスケット「まさか」 クスッ…

ビスケット「僕は……僕自身が天国なんてところへ行ける筈が無いって思っていました」

フミタン「…………」

ビスケット「だからどうして行けるのかな?って自問自答してみたんです」

フミタン「答えは出ました?」

ビスケット「僕は……CGSの時代から人を殺した事がありません」

フミタン「……そういう事ですか」

ビスケット「でも……その手伝いや、指示はやっています」

ビスケット「そんな僕が天国へ、何て……神様って奴の基準は本当に分かりませんよ」

フミタン「…………」


フミタン「……私は考えるまでもありませんでした」

ビスケット「…………」

フミタン「私は、大勢の人を裏切り、スパイ活動をしてきましたから」

ビスケット「え……?」

ビスケット「!!」

     ガバッ!

ビスケット「まさかフミタン……あなたは」

フミタン「……ええ」

フミタン「鉄華団の情報もリークしていましたよ」

ビスケット「なんて事だ……」

フミタン「…………」


ビスケット「でも……フミタン」

ビスケット「あなたは確か、クーデリアさんを助けて……」

フミタン「…………」

フミタン「……もう疲れたんですよ」

フミタン「いろいろと」

ビスケット「…………」

     ゴロン…

ビスケット「…………」

フミタン「…………」


ビスケット「地獄ってどんなところでした?」

フミタン「!?」

ビスケット「興味本位です」

ビスケット「良かったら教えてください」

フミタン「…………」

フミタン「……私は人を騙していた、という事で」

フミタン「罰として舌を引っこ抜く、という刑を受ける予定でした」

ビスケット「けっこうえぐい罰ですね……」

ビスケット「でも予定だった?」

フミタン「ホ○ズキ、という地獄の管理官?をやっている……人?に」

フミタン「事務の仕事をやって欲しいと頼まれまして」

ビスケット「」

フミタン「その仕事をやっている時に あの変な女の子に連れ去られて……」

ビスケット「……いろいろと凄いですね」


フミタン「もう……本当に疲れましたよ」

ビスケット「あ……そうですね」

ビスケット「そろそろ寝ないと……」

フミタン「そういう意味ではなくて」

ビスケット「え?」

フミタン「いつもそう」

フミタン「私が必要とされる理由は、私の持つ『 能力 』だけ」

ビスケット「!」

フミタン「まさか死んでから、しかも地獄ででも連れ去られた先でも」

フミタン「そうなるとは思いませんでしたが……」

ビスケット「…………」

フミタン「…………」


ビスケット「…………」

ビスケット「……その、これが答えになるか分かりませんが」

フミタン「え?」

     ギュッ…

フミタン「!」

ビスケット「……み、三日月に聞いたんです」///

ビスケット「女の子が泣いていたら こうやるんだって……」///

フミタン「…………」

フミタン「私は……別に泣いてなど」

ビスケット「……そうですか」

ビスケット「なら……これは僕のわがままです」


ビスケット「僕は……僕にはフミタンが必要なんだ」

ビスケット「だから……」

ビスケット「フミタンも僕を必要として欲しい」

フミタン「っ!」

ビスケット「……って」

ビスケット「いきなり言われても困りますよね……」

フミタン「…………」

ビスケット「…………」

フミタン「……ビスケット」

ビスケット「!」

ビスケット「は、はい」


フミタン「…………」

フミタン「……もうしばらく」

フミタン「このままで」

ビスケット「!」

ビスケット「え、ええ……」

フミタン「…………」

ビスケット「…………」


     また、明日……




―――――――――――







     2年後









     ドサドサッ!

アクア「痛たた……」

カズマ「おおお……異世界だ。 本物の異世界だ!」

カズマ「これから俺は魔法とか使ったり、冒険しちゃったりするのか!」

アクア「ちょ、ちょっとあんた!」

カズマ「あん?」

アクア「なんて事してくれたのよ!?」

アクア「私は女神! 女神アクア様なのよ!?」

アクア「どうして私みたいな女神様がこんな危険な世界に放り出されないといけないのよ!?」

カズマ「うるさいなー。 そんなに嫌なら帰ってくれていいよ」

アクア「帰れないから困ってるのよ!」

アクア「ねえ、どうすんのよ? 私これからどうしたらいいのよ!?」

カズマ「ったく……しょうがねぇな。 何とかしてやるからついて来い」

アクア「うん!」


カズマ「さて……RPGの定番なら酒場へ行けば……ん?」

     冒険者募集!

     新人でも経験者でも構いません!

     一度足をお運びください!


     鉄華団

カズマ(てつはなだん? ……いや、てっかだん……か?)

カズマ(つーか、漢字があるの?)

窓口嬢「あら? 新人さん?」

カズマ「え……あ、はい。 そうですけど」

窓口嬢「そうですか」

カズマ「あ、その……ちょっと事情を聞かせてもらえます?」


―――――――――――

カズマ「」

アクア「?」

カズマ「この鉄華団が魔王と戦っている組織!?」

カズマ「しかも優勢だって!?」

窓口嬢「はい」

窓口嬢「もともと鉄華団は万屋みたいなものでしたのですけど」

窓口嬢「キャラバンの護衛をするという目的で冒険者を雇い始め」

窓口嬢「今では町と町を結ぶ街道は、彼らの活躍無しでは成り立たなくなっているほどです」

カズマ「」

アクア「どーしたの? カズマ」



―――――――――――


鉄華団総本部 執務室


ビスケット「隣国の国王から書状が届いた」

ビスケット「僕らの提案を受け入れるってさ」

フミタン「左様ですか」

ビスケット「……機嫌を直してくれよ、フミタン」

フミタン「ふんっ」 プイッ

ビスケット「悪かったって。 置いて行ったりして……」

ビスケット「どうしても急ぐ案件で僕が行くしかなかったんだ」

フミタン「…………」


ビスケット「第一、フミタン」

ビスケット「君は今、君だけの体って訳じゃないだろう?」

フミタン「……その言い方はずるいです、ビスケット」

フミタン「この子はあなたの責任でもあるのに」

ビスケット「ごめん……」

フミタン「もう……そうやってすぐ謝る」

フミタン「ともかく、今度は離れませんから」

ビスケット「ああ、分かったよ」

ビスケット「細心の注意を払って君達と一緒に隣国へ向かおう」

フミタン「…………」

ビスケット「フミタン?」


フミタン「もし……このまま上手く行って魔王を倒せたら」

フミタン「やっぱり元の世界へ帰りますか?」

ビスケット「…………」

ビスケット「……その事。 やはり気にしていたのか」

フミタン「…………」

ビスケット「もちろん帰るつもりでいる。 でも……君達と一緒に帰る事を望むよ」

フミタン「ビスケット……」

ビスケット「だけどもし……どうやっても僕一人でないと駄目なのなら――」

ビスケット「僕は、君達と一緒にいる事を選ぶ」

フミタン「……ビスケット」

     ギュッ…






フミタン「愛してます……ビスケット」

ビスケット「ああ。 僕も君を愛してる、フミタン」





     おしまい

フミタンがビスケットに惚れるなんてありえねぇとお思いの皆様。
妄想なのだから許してつかーさい……お粗末!

チョコレート仮面「妹さん達のことは安心したまえ」

>>50
ビスケット「急に悪寒がっ!?」

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