そだちセオレム (52)

化物語のssです。

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いつかの冬はずっと1人ですごした。寒くても変わりなく

いつかの春はずっと1人ですごした。暖かくても変わりなく

いつかの夏はずっと1人ですごした。暑くても変わりなく

秋も大体1人で。変わったのかな

冬は大体1人で。その間に携帯を手に入れたのだけれど

春は?どうだろう

確率的には1人だ。いや確率に頼っても

これから指数関数的に増えたりするかな

現状は対数関数にでもね

どちらでも手に負えない

負けっぱなし

ごめんなさい

私の人生良いものでなくって

本当にごめんなさい。幸福でなくって

期待はかけられていないから少しは許してほしい

家族とか知人がいれば迷惑とか心配とかされるかもしれない

してくれちゃってるかもだけど

いないからね。誰にも迷惑かけてないよ

いや

なんで私が謝るんだ。くそ

変われないのは知ってるよ

疲れているのかな

この町に戻ってきたせいだろうか

楽しそうな人が多いな

疲れているときはみんな死なないかなって思うくらいには

駄目人間だ。私が死ねばいいのにね

駄目、死なないよ。負けるか

とにかく楽しそうな人は苦手だ

何がどれくらい楽しいのか問い詰めたくなる

私は大体のことが嫌いだと思う

口に出したら駄目だけど

やっぱり嫌いなのだろう

時間が経てば少し好きになるかなって

ならなかった

優しさが気持ち悪い

つらさが気持ち悪い

誰もかれも気持ち悪い

私が一番気持ち悪い

それを思うことを許して

強い気持ちじゃないから

だって無理だもの。行けない

どうあっても行けない

たどり着けない

そんな風にはなれない

ならば

私はどうなるというの

間違いを見つけていくことは一個一個可能性が無くなることで

前向きなことならいいのだけれど

最後まで間違えを見つけたら

その後は?


余接「あっ育お姉ちゃん」

扇「はっはー、今日も楽しそうな顔してますねえ」


何かには見つけられたみたい

扇「では会議を始めましょう」

余接「ねえ育お姉ちゃん」

育「なあに?」

余接「何の会議なの?」

育「なんだろうね?」

扇「おや?ご存知でない」

育「うん」

扇「愚か者ですね」

育「おい」

余接「育お姉ちゃんは愚か者なの?」

扇「そうなのです」

余接「そうなんだ。じゃあ仕方ないね」

育「ちょっと余接ちゃん」

余接「なんだい?愚か者。いや愚か姉ちゃん」

育「やめなさい」

余接「うん」

そだちコンジェクチャとそだちアクシアムの続きです。

会うのはすごく久しぶりのこの2人と

本当になんでこんなことになったのかな

なんでこんなことをしているのかな

教室にいる

余接ちゃんと机を並べて扇ちゃんが教壇に立っている

この町に来て、この子達と会って

少し話をしたのだけど

ここって

扇「ここは懐かしい場所でしょう?」

扇「かつては先輩がいた場所、今は私が通っている場所です」

扇「懐かしいですか?思い出はまだ壊れていませんか」

扇「不肖、この私が場所を用意させていただきました」

扇「あなたのために」

育「私のために」

余接「僕のために?」

扇「それはちょっと違うよ、余接ちゃん」

扇「どうです?扇さんって言ってくれても問題ありません」

育「扇ちゃん」

余接「扇お姉ちゃん・・・ちょっと言いづらいな」

扇「期待通りですね。期待通りに期待はずれです」

育「ねえ扇ちゃん」

扇「はい、愚か者なんですか?あと、発言の際には手を上げてください」

育「はい」

扇「どうぞ」

余接「色々と受け入れたんだ」

育「余接ちゃんのこと知ってるの?」

余接「いえーい」

扇「いえーい」

育「ちょっとついていけない」

扇「友人の友人は知り合いです」

扇「たまたま町で会いまして、共通の話題で談笑する仲です」

育「談笑?」

扇「あなたの友達は私と余接ちゃんだけですから」

扇「交友関係どうかしています」

育「言うなあ」

扇「ではでは、早速本題に入りましょう」

扇「ずばり阿良々木先輩についてです」

育「なんで!?」

余接「へー」

扇「加えて老倉先輩についてです」

育「私?」

余接「へー」

扇「このチキンはこの町に戻ってきているのに」

扇「いまだに愚か者の阿良々木先輩と会っておりません」

余接「チキンだね。きちんとチキンだね」

育「色々な悪口を言うのね」

育「そうじゃなくて、なんで会う必要がある?」

扇「だって会うために来たのでしょ」

そんなことはない

そんなことはないはずだ

いや、やっぱりそんなことない

会ってどうする

私は何か変わっているか

いつも鬱屈して

無様に足掻いているだけだし

かなり足掻いたんだけどな

あいつを見返せるような人間になっているはずだったのに

これじゃあ

・・・それよりも心配なのは


扇「御二人の過去には色々なことがあり、老倉先輩はそれを気にかけられているかもしれませんが」

扇「愚か者は気にしていますかね?」

扇「大丈夫ですよ、また忘れていらっしゃるのでは?」

育「死ね!阿良々木」

扇「ならば死んだつもりで会いに行きましょう」

育「私じゃなくてあいつがね」

扇「どちらでもいいじゃないですか」

育「どちらでもいいだなんて言わないで」

育「ねえ余接ちゃん」

余接「・・・」

育「余接ちゃん寝ないで」

余接「眠い会話しているから」

扇「あまりいい案がありませんね」

育「1人は寝てるしね」

余接「死ね?」

育「違うよ余接ちゃん。阿良々木は死ねばいいけど」

余接「おにいちゃんと一緒のお墓に入る?」

育「死んでも入らない」

余接「なんでそんなに嫌いなの?」

育「そりゃあ・・・」


一時間ほど語った

何を話したのかは憶えていないけど

それは素晴らしい演説だったに違いない


扇「愚か者、あなたが議長をやりなさい」

育「私が?」

扇「話が進みませんので」

扇「ちょっと余接ちゃん、死なれては困ります」

余接「ちょっと死なせて、あと5分くらい」

育「何なの」

育「それでは会議を始めます」

余接「はーい」

扇「はいはい」


すごいな、すごい嫌な記憶が甦る

でも、今は前を見ると

なんだかおかしい


余接「何か言えよ」


口悪くなったね余接ちゃん


扇「あれですよ、あれ。教師が教壇の前に立って黙るという手法です」

扇「不安を掻き立てる手法です。そんなことして楽しいですか?老倉先輩」

扇「趣味が悪いですね。素晴らしいです」


相変わらずうるさいね扇ちゃん

まったく


余接「何笑ってんだよ。怖いよ」


本当に口が悪くなったね

育「発言があるのなら挙手をお願いします」

余接「はい」

扇「はい」

育「じゃあ余接ちゃん」

扇「ひいきですね」

育「違う」

余接「僕に議長やらせて」

育「後でね」

余接「うん」

扇「はい」

育「扇ちゃん」

扇「何ですかその会話」

育「最初は何を言おうとしたの?」

扇「私をもう一度議長に」

育「駄目っていうか、余接ちゃんと言うこと一緒じゃない」

扇「またもやひいきですか」

育「静粛にお願いします」

扇「分かりました。老倉先生」

育「えーと、議題は・・・私があいつに会うためにはどうしたらいいかだっけ」

育「色々とおかしい」

扇「そうです。頭のおかしい同士、早く会っちゃってくださいよ」

育「いやいやいやいや、おかしいって」

育「それにさあ、私から会いにいったら、会いたいみたいじゃない」

扇「頭のおかしいは否定されないのですね」

余接「すげーどうでもいい」

育「あいつだって今日は近くにいないかもしれないし」

扇「それはご心配なく、呼んでいます」

育「本当!?」

扇「本当ですよ」

余接「みんな暇なんだね」

育「どっどこに?すぐそこいるの」

扇「あっ」

余接「どうしたの?」

扇「しまったー、失敗だー。お二人に詳細な待ち合わせ場所を言っていませんでした」

余接「それは大変だね」

扇「しかし、この校舎のどこかにいるはずです。探してみていただけませんか?」

余接「探さなきゃ」

扇「ええ、探さなければ会えません」


全て棒読みで交わされる会話だけれど

どうする?

育「ちょっちょっと待って」

扇「おや議論を進められませんか」

余接「じゃあ次、僕だ」

余接「育先生、早く退任して席に座って」

育「あっはいはい」

余接「返事は1回でいいぜ」

育「いいぜって」

余接「僕の言う事は少ないよ」

余接「じゃあみんな一緒に」

余接「いえーい」

扇「いえーい」

育「・・・」

余接「育お姉ちゃん、廊下に立ってる?それとも言う?」

育「もうこれいいでしょう」

余接「駄目出しかい?やらないくせに駄目出しするの?」

余接「駄目な大人だね。駄目な大人の見本だ、見本市だね。何年生きているの?」

余接「信じられない。そんなことではこれからの生活が円滑におくれないよ」


そんなことがいる生活ならこっちから願い下げだけど

余接「あともう一つだけ言うよ」

育「うん」

余接「先生って言ってよ、育お姉ちゃん」

育「先生」

余接「もっと言って」

育「先生」

余接「うるさいな」

育「ええっ?」

扇「はい」

育「何ですかその会話・・・でしょ?」

扇「その通りです」

余接「いい?」

育「どうぞ先生」

余接「とっとと会いに行けよ」

育「余接ちゃん?」

余接「育お姉ちゃんは言ったよね、僕に心があるかどうか」

余接「結論から言うと、いまだにわからない」

余接「うまく言えないんだ。僕」

余接「でも行ったほうがいいと思うんだ」

余接「あるって言ってくれて。僕は」

余接「ちょっとばかり嬉しかったりもしたりしなかったりで」

余接「だって」

余接「なぜかな」

余接「心を手にしたら僕は死んでしまうような気がして」

余接「怖いんだ。死んでいるのにね」

余接「それで僕は」

余接「聞きたいことがあって」

余接「同じ質問をしてしまうのだけれど」

余接「許してね」

余接「育お姉ちゃんの心はどこにあるの?」

育「ごめんね」


私に綺麗な形の心はなくて

歪んでくすんだものではと思う

それも不確か

私は私の証明ができない


余接「ううん。そんなことないよ」

余接「育お姉ちゃんくらい頭が良ければ、分かるのかなって思ったんだ」

余接「難しいよね、分からないことがあって」

余接「大事なことなんだけど」

育「そう・・・だね」

余接「もし分かったらさ」

余接「そっと教えて」

扇「老倉先輩」

扇「迷われているのなら、ここで行かれてしまうのも手ですよ」

扇「時には突っ込んでしまうことも必要です」

扇「何もせずに全部懐かしむのもいいですけどね」

扇「頭がおかしいとか言ってしまっても」

扇「ならば、もう後は余計な思いになります」

扇「それでもいいですが・・・」

扇「その時に、あなたを笑うのは誰でしょうね」

育「誰?」

扇「それは私です」

扇「おっと、ボールペンはしまって下さい」

扇「冗談ですよー、嫌だなー、老倉先輩」

扇「待って下さい。そして行って下さい」

扇「待っているのは愚か者です」

扇「会いに行くのも愚か者です」

扇「愚か者と愚か者ですね。戦争でもするのですか?そうではないでしょう」

扇「誰もかれも、いつか私達にした問いを持って待っています」

育「あのさ」

余接「なんだい」

扇「何でしょう」

育「どうして私にそこまでしてくれるの?」

扇「さて?何のことでしょう。分かりますか余接ちゃん」

余接「お姉ちゃんにそこまでの価値は無いよ。驕るなよ」

余接「価値がないから、友達なんだぜ」

育「なんだぜって変なの・・・いけるかな?」

余接「行けって」

育「忘れられてない?」

扇「聞いてみたらいいじゃないですか」

育「嫌われていたら?」

余接「・・・」

扇「・・・」

育「・・・」

余接「がんばろう」

扇「頑張りましょう」

育「何を?いやいいけど、行けばいいんでしょ」

育「後悔しても知らないよ」

余接「お前がな」

扇「してればいいです」

校舎の廊下を歩く

歩く私は滑稽だ

話す私は滑稽だ

生きる私は滑稽だ

大嫌いな人に会うためにいる私はどうだ

いいよ

いいよ

いいよ

いいよ

誰も知らないから

先に進め

それから考えろ

怖くない

怖くない

育「どっどう?」

扇「おかしいですね。先ほどこちらを通ったはず」

育「嘘」

余接「隠れてどうするんだよ」

扇「埒が明きませんねえ」

扇「では、手分けして探しましょうか」

余接「そうだね」

育「ええっ?」

扇「私はこちら、余接ちゃんはあちらに」

育「私は?」

扇「自分で決めなさい」

1人になったって

いつもと同じ

話す相手は自分で、一番話してきた

自分と向き合うのに飽き飽きだ

自分しか向き合う相手がいないから

でも向き合うのはとても魅力的ではない私

自分で無ければ見放してやりたいと何度思った私と

何年向き合っただろう。おかげで大人にはなれないまま

可哀相だと言われたくない、言っていいのは私だけ

私が頑張ればいい

全ては未来の私に丸投げ

つらいときに助けてくれる人はいない

これからは更にいないだろう

そういつもと同じなのだから

あせっちゃ駄目だ

どこにいるんだよ

手間をとらせるなよ

3年の教室は回った

他にどこにいるのだろう

私に恐れをなして逃げたのだろうか

なら来るなと言いたい

嘘を言うなと言いたい

私に

私は

知っているけど

私は知っている

どこにいるかを知っている

あいつは嫌な奴だから、どこにいるかなんて解りきっている

居るのは嫌なことがあった嫌いな場所

もしこの中に誰もいなかったら

嬉しいのか怖いのか

なんて言えばいいのかを

何通りでも考えて

何を言われてもいいから

何通りでも考えて

動揺するな

余裕を見せてやれ

取り乱したりせずに

普通に話せればいい

扉を開けて

いた


育「あっ・・・」

暦「おっ元気だったか老倉?」

暦「今度はもちろんお前のこと覚えているからな」

育「死ね!」

育「憶えているって・・・当たり前だろ」

育「的外れなこと言って」

育「この前からそんなに経ってないし」

育「忘れていたらひどいし」

育「常識で物を言えよ」

暦「いきなり死ねって言ってる奴に常識を諭された」


最悪の再会の回数を更新している

やったあ

でも駄目だ

育「元気だったか?だって」

育「全然大丈夫だったよ」

育「全部うまくいってたから」

育「まったく問題無いね。問題があるわけがない」

暦「おっおう。良かったじゃないか」

暦「心配だっ

育「心配なんかするな」


そんなことを言うな

育「それより何でここにいるの?」

暦「?それはお前に会うために」

暦「お前は」

育「会って何をする?」

暦「何って話でもしようぜ。久しぶりに会ったしな」

暦「お前は?」

育「何を話すの?」

暦「なんでもいいよ」

暦「老倉はなにかあるか?」

育「うん・・・」

おかしいなあ。まったく話す言葉が浮かばない

あんなに考えていたのに

扇ちゃんと余接ちゃんを呼ぼうかな

そうだ


育「心臓の形は解けた?」

暦「心臓?」

育「余接ちゃんから聞かなかった?」

暦「ああ、あれか。解けたよ、その大きさも」

育「定理を憶えていれば簡単だよね。無限の形は?」

暦「扇ちゃんが聞いてきたやつだな」

暦「うん。その長さも解るさ」

育「ほんとに解けたの?」

暦「ほんとだって」

育「じゃあ黒板に書いてみなよ」

暦「本気か?」

育「早く」

暦「うーん・・・だから極座標の長さの公式はこれで」

暦「もうひとつは第一象限の4倍で」

育「へえ」


解けると思った

本当に疑ったわけじゃない

綺麗な形が書かれている


育「やるじゃない」

暦「僕からもいいか?」

育「いいよ」

暦「星の形は?」

育「楽勝だよ」

育「・・・と縮閉線も同じようになります」

暦「さすがだな」

育「できて当たり前でしょ。えっ?もしかしてできないの」

育「もっと詳しく教えてほしい?」

暦「えっいいよ。自分で考えてみるからさ」

育「えっ・・・そう」

暦「結構びっくりしたけどな、あの2人がこんなことを聞いてくるなんて」

育「他に何か言ってた?」

暦「余接ちゃんは仲直りしなよって」

暦「扇ちゃんは覚悟しておいて下さいって」

暦「わけわかんねーよ」

育「それはそうだね」

育「あの子達すごい変わっているけど」

育「すごくいい子達だよね」

暦「そういう印象を受けたのか・・・そうか」

暦「あの2人も変わったのかな」

育「ふーん?」

私はどう?変わったかな・・・なんて聞いてみようかなあ


育「私は・・・」

暦「なんだ?」


・・・聞けるか。気持ち悪い

本当にやめて

3日後くらいに死を選びたくなるから

私が聞けるわけがない

どうしようね扇ちゃん

育「はぁ」

暦「なんだよ溜息なんてするなって」

育「もう帰ろうかな」

暦「えっ!?まだ話があるんじゃないか?」

育「うるさいなあ」

育「私が何か話があって話をしたらおかしいじゃない」

育「じゃあ」


きちんとさよならを言うのは初めてかもしれない

私が言いたかった言葉はこれになるのか

逃げるように言う言葉が

私はあなたのことが嫌いだってことは何回も言えたりしても

いやほんと、死なないかなあ

暦「老倉!」

育「っ大きな声で・・・何?」

暦「お前も解けるよな?僕がやった問題」

育「当たり前でしょ」

暦「だったら」

暦「心臓の形はお前にあるよ」

暦「永遠の形も同じくな」

暦「そこまで解けたならもうあとは一つしかないだろ?」

暦「お前は優秀だからな」

育「ああ・・・そう」

優秀だって

笑うね

そう思うのはお前しかいないんだ

嫌いなお前しかいないんだ

昔の私を知っているのはもうお前しかいない

あとは忘れ去っている

忘れ去られている

嫌だな

なんて皮肉なんだろう

私を証明できるのはお前しかいないのだもの

くそう。そんなことを言うなって

今を思うことは難しいことだ

嫌いじゃなくなったらどうするの

大丈夫だよ私は

そんなことないから

みんなどうしているの

みんなどうかしているの

それなら私と同じになるから

暦「今日はありがとうな」

暦「実は僕、お前に声をかけるのが怖かったんだぜ」

育「あっそう」

育「臆病者だ。情けない」

育「人に話しかけるのが怖いだなんて」

暦「そうだな。だって怖かったからな、お前」

育「ふーん・・・」

暦「ははっ」

育「なにが可笑しい?」

暦「悪い悪い」

暦「だって嬉しくてさ」

育「嬉しいって何が?」

暦「お前のことだ」

暦「なあ解るか?僕は嬉しいよ。お前にあの頃のお前は怖かったな、なんて言えるんだぜ」

暦「言わせて欲しいのだけれど」

暦「お前はなにも変わってない。なにもかもお前だよ」

暦「別にいい、僕はそれが嫌いではないのだから」

だから嫌なことを言うなよ

嫌いなやつに嫌いじゃないとか言われたりしたら

言われたら

そういうときは悲惨な過去に負けるわけがない

負けるわけにはいかない

嫌いなお前が勇気を出した

お前が解けた問題は

私も解ける

きっとそう

勇気を出そう

勇気を出して

頬をつねる

暦「いてっ!」

育「痛い?ごめんね」

暦「当たり前だろ!」

育「人に触るのって怖いものね」


泣きそうになってしまう

泣くわけじゃないよ

そんなのできない

でもそれを我慢して触れようとしたのだから


育「どう?私はまだ・・・あなたのことが嫌いでしょ?」

暦「老倉・・・」

育「帰ろうか」

暦「えっ?」

育「聞いてる?帰ろうって言っているのだけど」

暦「んっ?ああ」

育「余接ちゃん、扇ちゃんいるでしょ!?」

育「帰ろう」

余接「早く呼べよ」

扇「邪魔してはいけないと思いましたので」

余接「帰りになにか奢って育お姉ちゃん」

扇「私も奢られましょう」

暦「仲良いな」

育「お前よりね」

余接「そうしたら、おにいちゃんの家で食べよう」

扇「それは良い考えではありませんか。ねえ老倉先輩?」

育「えっええ?でも」

暦「僕は別にかまわないよ」

育「仕方ない。扇ちゃんと余接ちゃんが言うなら」

余接「よく言うよ」

扇「ああ、先輩はおもしろいなー」

全然うまくいかなくて

間違えを見つけるたびに嫌になったとしても

だって嫌だよ、お前にそんなこと言われたら

それでも、そんなことが私を証明し続けるものならば

まだ、なんとか動いていける

指が少しでも動けば星の軌跡だって描ける

それだったら

泣きそうになってもいいよ

替わりに頬をつねってやるから

先に泣くのはお前だ

暦「じゃあ行くぞ老倉」

育「うるさいなあ」

暦「やっぱりさっきの問題詳しく教えてくれないか?」

暦「僕1人じゃ解けそうにない」

育「じゃあ一緒に考えようか」


まだまだ問題は山積みになっている

どうやって解いていこう

校舎を出ながら考える

かつては1人で去った校舎を

これで終りです。ありがとうございました。

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