衛宮士郎「セイバー?」湊斗景明「はい」(13)

絶対正義のセイバーが善悪相殺の悪鬼だったら。

絶対に合わないだろうなぁ、っていう。

士郎「たとえ如何な悪人であろうと、正義を語り殺しを正当化するなど言語道断。それこそが悪鬼の所業と存ずる。どう思われるか、一条ッ!」

一条「答えるまでもない。悪鬼の所業? 断じて否である。悪鬼とは人倫を踏みにじる畜生にも劣る存在。で、あるならば、説法に応ずるはずもなく、改心などを求めたところで致し方なきことである。それならば武威を以て知ろしめるしかあるまい。必要とあらば殺すことすら厭わず。さもなくば悪を駆逐すること叶わず。……おい、英雄気取り、お前の生半可な正義では誰も救えぬぞ」

景明「……違う。如何なる事由があろうとも、悪は悪、罪は罪、そこに韜晦や弁解が介在する余地なし。善なる結果を生み出す正義の戦いであったとしても、その過程で人を殺めたのならば、平和のための功績とは関わりなく罪を負うのだ。平和に貢献したところで罪が消えるわけではない。悪は悪。罪は罪。言葉を弄したところで人を殺めるが如きは悪鬼の所業。それは曲げることのできぬ事実なのだ」

アーチャー「ふん、何を世迷い言を。そのような考えで誰を救えるか。悪の誅殺なくして正義の道なし。悪の屍の上にこそ平和な朝が訪れる。誰も殺さず、誰もを幸せにするなどとは夢物語だ。正義に犠牲はつきもの。少なくとも悪の死は絶対でなければならぬ。それを人は平和への礎という。英雄などくだらん。この世の悪を弾劾するためとあらば冷酷な殺し屋と呼ばれようと俺は一顧だにせぬ」

光「愉快だぞ、お前たち。的外れな議論、実に愉快。いいだろう、おれの気を良くしてくれた礼だ、この湊斗光が殺しとは何かを教えてくれよう。いいか。殺しに善悪などないのだ。正義もなければ悪もない。そこにあるのは強いか弱いかの弱肉強食の原理のみ。実に分かり易かろう? が、単純明快ゆえに道理なのである。真理と言っても良い。神たるおれが言うのだ。間違いない。なあ、景明?」

景明「お前が言うんだ、間違っている」

ギルガメッシュ「いやいや、そこの銀ピカは雑種のわりに良いことを言うではないか。正鵠を射ている。然り。殺すも殺されるも全て弱肉強食の原理ゆえにであり、そこに善悪などありはすまい。王が民草を殺して何が悪い。神が人を滅ぼしたとて罪には問えまい。つまり、それだけのこと。英雄だ、悪鬼だ、と、論を別ける類いの難しい話ではないのだ」

正義について臨戦状態で語らうマスター&サーバント達。真剣十代喋り場的な様相を呈する。至極真面目なパートであり、彼ら彼女らの信念のぶつかり合いでもある。

が、ギャグ時空では、大河と茶々丸の虎コンビによる実況解説のオマケがつくのである。

的なのを、誰かほんとおなしゃす!

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