男「あなたが好きでした」(116)

男「・・・え?」

男友「知らなかったんですか?」

男「いや・・・聞いたことなかった」

男友「・・・二週間位前からですよ」

男「・・・」

男友「彼女、二つ上の先輩と付き合っているんです」

男「・・・あ、女ちゃん」


女「あ、ここで大丈夫です」

先輩「気を付けてね」

女「ありがとうございました」

先輩「敬語はいいって言ってるじゃん」

女「でも先輩ですし」

先輩「それ以前に君は俺の彼女だよ?」

女「・・・ありがとう」

先輩「ん、オッケー。じゃあまた明日」

女「では」


男「・・・え?」

男友「・・・本当に知らなかったんですか?」

男「うん・・・昨日初めて見たんだ」

男友「・・・彼女、テニスサークルに所属していたじゃないですか。そこで知り合ったらしいです」

男「・・・」

男友「・・・元々彼女、その先輩に気があったらしいですよ。優しいからって」

男「・・・そうなんだ」

男友「・・・」

男友「それにしても知らなかったと・・・一番先に貴方が知ると思っていました」

男「・・・」

男友「むしろそれが当たり前だと思っていましたよ?あんなにストーカー紛いの行動をとっていたのに」

男「・・・」

男友「・・・もしかして諦めていたんじゃないですか?」

男「・・・え?」

男友「最近、少し大人しかったじゃないですか?貴方」

男「・・・それは、女ちゃんに迷惑かなって」

ずっと前のssの続きのような物です。どちらかというとif的な
男「骨の髄まで愛してる」
男「骨の髄まで愛してる」 - SSまとめ速報
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男友「・・・その程度か」

男「え?」

男友「いえ、こちらの話です」

男「・・・」

男友「・・・彼女、いつも言っていました。『あいつが来ない』って」

男「・・・他のやつと付き合ってるくせに」

男友「・・・正直、見損ないました」

男「え?」

男友「・・・貴方だったらもっと必死になるんじゃないかって。散々迷惑なことしてたのに今更ですか?」

男「・・・それは」

男友「彼女の為なら死ぬような人だと思っていたのに・・・」

男「・・・」

男友「本当はもう諦めていたんじゃないですか?」

男「・・・!」

男友「だからそんなに冷めている。どうです?違いますか?」

男「そんなこと!」

男友「・・・」

男「・・・そんなこと無いよ・・・」

男「・・・落ち着いているだけだよ。そう言われても仕方ないくらい、冷静になっている」

男友「・・・それが冷めたって言うんじゃないですか?」

男「・・・ずっと女ちゃんが好きだったんだ。人生の半分以上の期間」

男友「・・・」

男「・・・だから、女ちゃんが好きじゃない自分を思い出せない。だから何とも言えない」

男友「だったら」

男「・・・でも、諦めているわけじゃないとは思う」

男友「・・・貴方、依存しているんですよ」

男友「女さんが好きな自分に依存している。少しおかしくなっているんですよ」

男「・・・」

男友「そりゃ前も変だったけど。少し落ち着いてみたらどうです?」

男「・・・うん、そうする」

男友「・・・まだ貴方は失恋して無いんですから」

男「そんなものかね」

男友「・・・じゃあ僕は帰ります」

男「うん」

男(・・・確かに前は異常なほど女ちゃんに執念していた)


『うぇ!まーたあんた来たの!?』

『女ちゃんに愛を捧ぐ運命なんだ!』

『きも!』


男(それが段々薄れていったこと、自覚はしていた)

男「・・・諦めたわけじゃない」

男(・・・やっぱり依存かな)

女「・・・あ」

男「あ」

女「・・・何しに来たの?」

男「・・・付き合ってるんだって?」

女「え?・・・うん」

男「・・・そっか」

女「・・・」

男「じゃあね」

女「あ・・・何よ」

女「・・・どうだった?」

男友「・・・まだわかりませんね」

女「このまま諦めてくれればいいのに」

男友「・・・いいんですか?」

女「・・・なによ」

男友「女さんは男さんのこと、好きなんじゃ・・・」

女「やめて」

男友「・・・」

女「・・・先輩には申し訳ないと思ってる。でも、それ以上にあいつに申し訳ないから」

男友「・・・これって彼への裏切りですよね」

女「・・・うん」

男友「彼のためって・・・結局自分の為なんじゃ無いですか?」

女「・・・」

男友「・・・一つ言っておくと今の彼は前よりも悪い状況だと思います」

女「・・・」

男友「僕はもうこれ以上何も言いません。では」

女「・・・」

女(・・・あいつは今まで私に着いてきた。小中高大と一緒だ)

女(あいつは頭がいい。この大学よりいいところにも行けたはずだ。でも)

『女ちゃんがいるところじゃなきゃ嫌だ!』

女(・・・そう言って一緒の大学を受けた。高校もそうだった)

女(・・・ここまで来て今更だと思う。でも、これ以上あいつの人生を潰して欲しくない)

女(・・・男にはもっと相応しい人がいるのよ)

男友(・・・あいつらにはイライラする。何でお互い好きなのにくっつかないのか)

男友(それぞれの考えだってあるだろう。でも、あいつらはくっついた方が幸せだろう)

男友(相手のため、相手のためって・・・どちらの為にもなっていない)

男友(それなのに自分の方法が一番正しいと思っている)

男友「・・・ばかじゃねーの」

女友「おっす」

男「女友」

女友「うわー何で変な顔してんの?」

男「いや、元々なんだけど」

女友「あ!分かった、女に捨てられた?」

男「・・・」

女友「え?何図星!?」

男「・・・知らないの?」

女友「知らないって・・・何がさ」

男「え?いやほら・・・先輩と付き合ってるんでしょ?」

女友「えっまじで?」

男「えっ・・・女ちゃんと友達だろ?」

女友「いや、そうだけどさ・・・あいつ、そんな相手いたっけ」

男「・・・?」

女友「私、女と話してみるから」

男「えっ?・・・うん」

女友「・・・いるわけ無いじゃない」

男「・・・」

女友「じゃあ」

男「・・・」

女友「なにそれ、おかしいよ」

女「何でよ」

女友「あんた、男が好きなんじゃないの?」

女「・・・」

女友「ねぇ、何でよ?何でこんなことするの?」

女「・・・」

女友「何かいいなよ」

女「・・・これはお互いの為」

女友「わけわかんない」

女「・・・私はこれから先輩を好きになる。で、あいつは誰かと幸せになればいい」

女友「絶対おかしいって!申し訳ないって思うならさ、今までの分まであんたが幸せにしてやればいいのに」

女「・・・」

女友「とりあえず私は協力しないから」

女「・・・うん」

女友「じゃあ」

女「・・・」

女「・・・あ、先輩」

先輩「ごめんね、待った?」

女「ううん、今きたとこ」

先輩「そっか・・・良かった」

女「・・・」

先輩「ねぇ、女」

女「うん?」

先輩「どこかに食べに行こうか」

女「うん・・・あ」

男「あ」

男「・・・どうも」

女「・・・」

先輩「君だっけ?女にちょっかいかけていたの」

男「・・・そうですかね」

先輩「・・・あのさ、こう言っちゃなんだけど女は俺のになったわけだ。だからさ・・・」

男「・・・知っています」

先輩「え?」

男「・・・だから、俺は女ちゃんにもうちょっかいは出しませんよ」

先輩「・・・そうか」

男「・・・では」

女「あ・・・」

先輩「だってよ。良かったじゃん」

女「・・・うん」

先輩「?・・・どうかした?」

女「ううん!・・・ほら、行こう?」

先輩「おう」


男「・・・」

男「・・・ちょっかい・・・」

女友「・・・365日24時間無休で愛してる愛してるって追いかけ回している奴が諦めると思う?」

男友「・・・でも彼、ずっと過去形だったんです。『好きだった』って・・・」

女友「・・・」

男友「・・・どこかで諦めてるんですよ」

女友「・・・わけわかんない」

男友「どうしようも無いんです」

女友「・・・」

男友「・・・」

男(出会いは小3だった。転校してきた俺に一番最初に優しくしてくれた。単純な理由だった)

男(それから年月を重ねるうちに『好きな理由』がどんどん出てきた。中学卒業の頃には女ちゃんは俺のすべてになっていた)

男(・・・いつからだろうか。俺は少しずつ女ちゃんへの気持ちが落ち着いた。・・・諦めてきたというのだろうか)

男(それが成長なのか劣化なのかは分からない。でも、少しずつ俺は変わっている)

男「・・・」

男(正直、何がなんだかわからない)

女「もしもし先輩?」

先輩『おー女ぁー!】

女「・・・飲み過ぎじゃない?」

先輩『いーいんだよ!・・・おい女ぁ・・・家来いよ・・・』

女(・・・これは)


女「・・・」

先輩『女ぁ?』

女「ごめん!今日はレポートがやばいから・・・」

先輩『・・・そっか。じゃあな』

女「・・・」

女(・・・何で断ったんだろ)

女(・・・普通なら喜ぶべきことなのに、嫌悪感しかない)

ピンポーン

女「!! まさか」

女「は、はーい!」

ガチャ

女友「・・・やぁ」

女「女友」

女「・・・紅茶でいい?」

女友「いいよ、すぐ帰る」

女「・・・で、どうかしたの?」

女友「・・・この前はごめん、言いすぎた」

女「・・・」

女友「やっぱり、変わらない?」

女「・・・」

女友「・・・」

女「・・・揺らいでるの」

女「決心したはずなのに。先輩のことを本気で好きになろうって」

女友「・・・」

女「でもまだダメなんだ・・・」

女友「やっぱり」

女「自分で決めたのに難しいよ」

女友「・・・決心でどうにかなるものではないと思うよ」

女「ん・・・」

女友「無理しなくていいと思う」

女「・・・」

女友「男にとっても女といる方が幸せなんだろうと思うし」

女「女友・・・」

女友「その計画にはたぶん協力出来ないけどさ・・・し、親友なんだからもっと話してよ」

女「・・・ありがとう」

女友「いいのいいの!んじゃ私は帰りますよ」

女「うん・・・じゃあね」

女友「じゃあね!」

男友「それで、用とは何でしょう」

男「・・・女ちゃんのことだよ」

男友「・・・」

男「この前、女ちゃんと先輩に偶然会ったんだ」

男友「あぁ」

男「・・・その先輩をみたときは『あぁこの人か。この人を女ちゃんは好きなんだ』って思ったんだ」

男友「・・・」

男「でも女ちゃんをみたときは何も思えなかった。悔しいとも、悲しいとも」

男友「・・・」

男「この前みたときは少し驚いたし悔しかったんだ。・・・なのに」

男友「・・・」

男「その先輩に言われたんだ。『ちょっかい出すな』ってさ」

男友「・・・」

男「俺にとっては本気だったのにさ、本気だったはずなのに」

男友「・・・」

男「でも今じゃそれが正しかったかどうかも分からないよ」

男友「・・・」

男「・・・男友くんの言うとおり、やっぱり少しずつ冷めてきているんだ」

男友「・・・それは本当ですか」

男「うん」

男友「・・・そうですか」

男「・・・うん」

男友「・・・」

男「俺はどうしたらいいんだろう」

男友「・・・どうしようも無いですよ」

『おはよう女ちゃん』

『・・・また来たの?』

『それが俺の使命さ!』

『きんも』

『そんなところも好きだよ!』

『・・・あんたは相変わらずね』

『まぁね』


『女ちゃんサークル入るの?』

『うん・・・テニス楽しそうだし』

『女ちゃんと一緒に入りたいけどなぁ』

『・・・そうしたらいいじゃない』

『うち親遅いから・・・妹にご飯作らなきゃ』

『そうなの・・・大変ね』

『女ちゃんのためなら頑張る!』

『妹ちゃんのために頑張りなさいよ!』

ピンポーン

『女ちゃんいないのかな?・・・帰ろう』


ガチャ

『ただいまー・・・疲れた』

『・・・あいつ、今日は来ないわね』

『静かでいいけど!』



『・・・やっぱりいないや』

『あ、そろそろ妹来ちゃう』


『今日も来ないのね』

『・・・私はあいつの彼女じゃないし当たり前よ!』

『・・・女ちゃん、今日はいるのかな』

『おい兄貴!』

『あーはいはい待ってて』


『・・・たまには私があいつの家に・・・』

『・・・用も無いし、行く意味無いじゃん』



『妹ー!ご飯だぞー!』

『へいよー』

『今日はシチューだよ』


『・・・先輩に告白されちゃった』

『考える時間もらったけど』

『・・・男』

『このままじゃダメじゃない』

『・・・女ちゃんに最近会ってないから行きづらいなぁ』

ピンポーン

『留守だ・・・休日なのに』

『あぁ、サークルかな』

『帰ろう』


『ごめんね・・・』

『大丈夫です』

『返事、貰えるかな』

『・・・』

『・・・』

『・・・よろしく、お願いします』

男「・・・」

妹「おい、焦げそうだぞ」

男「おぉ、ありがとう」

妹「最近女さんのところ行かないな」

男「・・・そうだね」

妹「やっと女さんの苦労を知ったか」

男「・・・」

妹「・・・でも女さんに会わないの寂しい」

男「・・・ごめんね」

妹「? なんで謝るんだ」

男「・・・ううん」

男友「・・・このまま続けるんですか?」

女「・・・」

男友「今だったら間に合いますよ」

女「・・・」

男友「・・・今じゃなきゃ間に合いませんよ」

女「え?」

男「・・・彼、あなたをもう諦めかけています」

女「!」

男「十年以上待ったところにあなたが他の人と付き合い始めた。・・・これで諦めないはずが無い」

女「・・・」

男「・・・どうしようとあんたらの勝手だけどね」

男「・・・」

妹「おい」

男「ん?」

妹「・・・最近変だぞ」

男「またお前は俺を変人扱いして」

妹「そういうのじゃなくて!・・・なぁ、女さんと何かあったの?」

男「・・・逆に何も無いんだよ」

妹「・・・?」

男「何もなさすぎて・・・何も分からないよ」

妹「・・・」

妹「・・・何があったか分からないけどさ、今のお前嫌い」

男「またお前に嫌われちゃったね」

妹「・・・違うんだって」

男「何だよ」

妹「・・・弄りがいないし、早く前みたいにアホになれよ」

男「弄られるのは嫌だなぁ」

妹「・・・元気だせよってことだよ・・・」

男「え?」

妹「うっせぇ!何でもねーよ!」

男「・・・そうだね。早く、割り切らないとね」

サークルメンバー「おっし!今日は飲みまくんぞー!」

女(・・・早く帰りたい)

サークル「おー女ちゃんもっと飲めよぉー!」

女「あ・・・はい」

先輩「こらあんま後輩に進めんなよ?」

サークル「おいおい彼氏さんよー!かっこつけてよぉ」

サークル「そういえばぁ先輩と女ってどこまでいったんですかぁ?」

先輩「どこまでって何だよ」

サークル「ほらあるじゃんか!aやらbやら」

サークル「それ死語じゃねーか!」

先輩「えぇー・・・特に、なぁ」

女「・・・はい」

サークル「はぁ!?マジで?」

先輩「何だよ」

サークル「一ヶ月だろ一ヶ月!そりゃねーって!」

サークル「えぇーとっくに済ませてるかと思ったぁ」

サークル「キスぐらいはしとけよ!」

先輩「は?」

サークル「チューだよチュー!」

サークル「おっしコール行くぞー!」

「キース!キース!」

女「えぇ・・・」

「キース!キース!」

先輩「しょうがない・・・い、いいか?」

女「・・・」

女(これで・・・)

先輩「・・・」

女「・・・!」

女「や、やめてください!!」

先輩「え?」

サークル「どうした?」

サークル「えーノリ悪ぅ」

先輩「・・・」

女「ぅ・・・わ、私帰ります!」

先輩「あっ!女!」


女(・・・ダメだ・・・男・・・)

女「私・・・やっぱり」

女友「ねぇ、サークルやめたの?」

女「うん・・・」

女友「・・・先輩とは?」

女「まだ・・・でも別れると思う」

女友「・・・何かあったの?」

女「私・・・ダメだった」

女友「・・・男?」

女「うん。今頃気付くなんてバカみたい」

女友「うん、バカだよあんたは」

女「・・・」

女友「・・・はやくしなよ?取られちゃうよ」

女「うん」

女友「頑張りなよ?」

女「うん」

男「・・・」

男友「彼女、別れたそうです」

男「どうして?」

男友「・・・彼女に聞いたらいいじゃないですか」

男「今更・・・」

男友「・・・会って話してみると、案外自分の本当の気持ちに気づくものですよ」

男「そうかな」

男友「はい」

男「・・・うん。ありがとう」

男友「いえ」

男「んじゃあ、またね!」

男友「・・・また今度」

プルルルル

女「誰かな・・・男!?」

ピ

女「も、もしもし?」

『・・・女ちゃん?』

女「うん・・・どうかした?」

『・・・明日、会えないかな?』

女「え、ええ。平気よ」

『よかった。・・・駅前の喫茶店に10時でいい?』

女「わかった」

『じゃあね』

女「じゃあ・・・」

寝ます

>>62
id変わった・・・?俺です

女(少し早く出ちゃった)

先輩「あれ?女?」

女「あ・・・先輩」

先輩「・・・よう」

女「・・・どうも」

先輩「・・・ごめんな」

女「え?」

先輩「無理に付き合ってもらって」

女「い、いえ」

先輩「サークルやめちゃったのも俺のせいだし・・・本当にごめん」

女「そんな・・・」

先輩「・・・好きなんだろ?この前の人」

女「え、なんで」

先輩「やっぱりか」

女「・・・ごめんなさい」

先輩「何で謝るんだよ!俺がいうのもなんだけどさ、頑張れよ」

女「ありがとうございます・・・!」

先輩「・・・じゃあな」

女「さようなら・・・」


女「ごめんなさい、先輩」

女「・・・」

男「女ちゃん」

女「あっ」

男「ごめんね、待った?」

女「ううん、今きたとこ」

男「よかった・・・ん、注文しててよかったのに」

女「いいのよ。決まったら言って」

男「・・・よし決まった」

女「そう?」

女「・・・久しぶりね」

男「一ヶ月くらいかな」

女「ん・・・」

男「・・・サークル、やめたって?」

女「いろいろあってね」

男「そっか・・・大変だったね」

女「まぁね。そっちはどう?妹ちゃん元気?」

男「うん。元気すぎる位。・・・でも女ちゃんに会いたがってた」

女「・・・そっか」

男「・・・先輩と別れたって?」

女「・・・ん」

男「どうしてさ?仲良さそうだったのに」

女「・・・ただのすれ違いよ。元々あまり合って無かったし」

男「そう?お似合いだと思ったのに」

女「・・・なによ、それ」

男「え?」

女「・・・ううん」

男「もしかしてサークルやめたのも・・・」

女「そうね」

男「サークル楽しそうだったのに」

女「・・・いいの。少し残念だったけど」

男「・・・」

女「・・・あんたさ」

男「ん?」

女「大人しくなったわね」

男「そうかな?最近よく言われる」

女「・・・うちにも来ないし」

男「付き合っている人いるし迷惑かなって」

女「・・・あんたそんなのだったっけ」

男「さぁ・・・成長でもしたんじゃない」

女「成長かしら」

男「・・・」

男「・・・ごめんね、前は追いかけたりして」

女「え?」

男「迷惑だったろ?・・・だから、ごめんなさい」

女「・・・」

男「・・・」

女「今更だと思うけどさ」

男「?」

女「私、あなたが好きなの」

男「・・・」

女「・・・ずっと素直になれなかった」

男「・・・」

男「でも先輩と付き合ってたじゃないか」

女「・・・思ったの。このままじゃあなたも私も・・・ダメだって」

男「・・・」

女「でも・・・自分で言っておいて失敗しちゃった」

男「・・・成功だけどね」

女「え?」

男「ううん」

女「・・・それで、返事を貰えると嬉しいのだけど」

男「・・・」

男「俺さ、気付いたんだ」

女「・・・」

男「俺はとっくの前に女ちゃんを諦めていたんだって」

女「・・・え」

男「気付かないフリして、女ちゃんが好きな自分にしがみついてたんだ」

女「・・・」

男「・・・女ちゃん」

女「・・・うん」

男「俺さ、女ちゃんを諦めたんだ」

女「・・・うん」

男「それでいいなら、いいよ」

女「・・・」

男友「おはようございます」

女「おはよう」

男友「・・・結局そうなったのですね」

女「・・・うん」

男友「よかったですね」

女「でもさ、偽物なんだ」

男友「え?」

女「ううん」

男友「・・・ほら待ってますよ」

女「うん、じゃあね」

男友「では」

女「おはよう」

男「おはよう女ちゃん」

女「今日は早いのね」

男「妹が早かったからね」

女「そうなの?今度妹ちゃんに会いに行っていい?」

男「うん、喜ぶよ」

女「何持って行こうかしら」

男「あいつ、女ちゃんからだったら何でも喜ぶと思う」

女「そう?」

女「お邪魔します」

妹「女さんいらっしゃい!待ってました!」

女「妹ちゃん久しぶり!あれ?また背伸びた?」

妹「成長期ですから!ささ、私の部屋にどうぞ!」

男「こら、困らせるな。女ちゃん、俺の部屋で待っててくれる?」

女「うん」

妹「あぁー!けち!」

女「後であそぼう?」

妹「はい!」

女「・・・」

男「女ちゃん、やめて」

女「・・・でも」

男「俺らは偽物だよ」

女「・・・だから」

男「ごめんね女ちゃん」

女「・・・」

男「・・・ごめんね」

女「・・・妹ちゃんも呼びましょう」

男「・・・そうだね」

男友「・・・あの人達は」

女友「え?」

男友「あの人達はあれで幸せなのでしょうか」

女友「・・・さぁ、あれでもう五年続いているから」

男友「・・・男さんはまだ女さんを・・・」

女友「十年の反動じゃないかな」

男友「・・・あれから考えたんです。何故男さんはあんなに愛した女さんを愛せないのか」

女友「うん」

男友「・・・憎愛と似ているんじゃないかって」

女友「・・・」

男友「・・・」

男「ただいま」

女「お帰りなさい」

男「さっきそこでお義母さんとすれ違ったよ」

女「ええ、さっきまで来ていたの」

男「そうなんだ。もう少し早く帰っていたらな」

女「また来るって言っていたわ」

男「そっか」

女「じゃあご飯にしましょう?」

男「うん」

女「・・・早く孫の顔が見たいって言われちゃった」

男「・・・そっか」

女「なんか申し訳ないわ」

男「だね」

女「・・・」

男「ほら食べちゃおうよ」

女「・・・うん」

女「妹ちゃん綺麗だったわね」

男「あいつも結婚出来たんだな・・・」

女「もう!今度新居見せてもらいに行きましょう」

男「そうだね。結構近いもんね」

女「うん・・・さて夕食にするわ」

男「手伝うよ」

女「ありがとう」

ここまdw

女「買い物にいってくるわ」

男「うん。いってらっしゃい」

女「・・・」

男「?」

女「・・・いってきます」バタン

男「・・・なんだ?」



男「・・・遅いな」

プルルル

男「はいはい」


男「・・・え?」

男「・・・」

女「・・・」

男「女ちゃん」

女「・・・ごめんなさい」

男「女ちゃんは悪くない」

女「・・・トラック運転手さんがね、心筋梗塞になって・・・それでなんだって。だから運転手さんは悪くないよ」

男「・・・」

女「・・・ごめんなさい」

男「・・・」

女「ごめんなさい」

『・・・事故による脊髄損傷、下半身麻で・・・』


男「・・・」 ガラッ

女「来てくれたの。ありがとう」

男「・・・うん」

女「・・・今日ね、お義母さん達が来たのよ」

男「そっか」

女「・・・良かったわね」

男「え?」

女「これで、孫に会いたいって・・・言われないわよ」

男「・・・ごめん」

女「何で謝るの?」

男「ごめん」

女「・・・」

女「・・・ねぇ、家にいなくていいの?」

男「いいよ」

女「・・・誰もいないんじゃ危ないわ」

男「・・・女ちゃんのほうが大切だ」

女「・・・ありがとう」

男「何でだよ」

女「ううん・・・それよりこれ食べる?」

男「それは女ちゃんが貰ったものじゃないか」

女「んじゃ、一緒に食べない?」

男「・・・うん」

女「ねぇ、今日は男友くんが来たのよ」

男「そうなんだ」

女「うん。あなたにもよろしくって」

男「・・・そっか」

女「懐かしいわね」

男「・・・うん」

女「・・・ねぇ、ちゃんと眠ってる?」

男「どうして?」

女「顔色、悪いわよ」

男「・・・女ちゃんが心配なんだよ」

女「・・・ごめんね」

男「ううん・・・」

女「今日は遅いのね」

男「うん・・・少し伸びたんだ」

女「ならすぐに家に帰ったらいいのに」

男「俺がくるのは不満?」

女「ううん、すごくうれしい。でも・・・すこし申し訳ないかな」

男「どうして?」

女「・・・他人だからよ」

男「・・・俺らは夫婦だよ」

女「・・・」

男「・・・それは本当だよ」

女「・・・そうかしら」

女「・・・こんな早くから来てくれたの」

男「今日は休日だから」

女「そっか・・・ごめんね」

男「ううん」

女「・・・ねぇ」

男「なに?」

女「これ」

男「・・・え?」

女「・・・」

男「離婚届・・・?」

女「もう遅いだろうけど気付いたの」

男「・・・え?」

女「・・・あなたが辛いと私も辛いから」

男「え?」

女「・・・今更だけどね」

男「・・・」

女「長くあなたと居たかったから・・・こんなに時間をかけちゃった」

男「・・・」

女「自己満足に付き合ってくれて・・・ありがとう」

男「ねえ」

女「・・・なに?」

男「本気なの?」

女「まだ夫婦ごっこに付き合ってくれるの?」

男「・・・」

『お隣だね!転校生くん!私、女っていうの!』

『男でいいよ』

『えへへ、そう?よろしく!男!』


男「あ・・・」


『女ちゃん・・・これ、隣のクラスの人から』

『えぇ・・・なんでいつも男に渡すんだろ?』

『・・・さぁ?』

『んじゃ一緒に帰ろう!』


男「あぁ」


『えぇ!?高校も一緒!?』

『女ちゃんに合わせたからね』

『何でよー』

『好きだからだよ』

『ねぇ、男』

女「・・・ねぇ」

『なに?』

男「・・・」

『これ、一緒に書いてやっていいよ』

女「これ、書いてくれる?」

『絵馬?』

男「・・・」

『私は後でいいから』

女「あなたが先でいいから」

『・・・』

男「・・・」



「いやだよ」

女「どうして?」

男「・・・女ちゃんとの約束、守れていなかったから」

女「・・・」

男「女ちゃんごめんなさい」

女「・・・」

男「ごめんなさい」

女「・・・やめて」

男「・・・ここから先はしっかり向かい合って話したいんだ」

女「・・・いやよ。見られる顔じゃないもの」

男「・・・女ちゃん」

女「・・・うん」

男「・・・やっと思い出せたんだ」

女「・・・」

男「女ちゃんへの気持ち」

女「・・・」

男「・・・今までたくさんひどいこと言ったり、ひどいことして女ちゃんを傷つけた。本当にごめんなさい」

女「・・・」

男「・・・これまでのこと、一生かけて償いたい」

女「・・・!」

男「だから、一緒にいて欲しい」

女「・・・」

男「・・・我儘だろうけど一生居て欲しい」

女「・・・」

男「俺は・・・女ちゃんが・・・」

女「・・・」

男「あなたが好きでした」

女「・・・」

男「そしてこれからはあなたを一生愛します」

女「・・・それでいいの?」

男「女ちゃんが嫌でも愛します」

女「・・・私、私」

男「・・・」

女「ずっと・・・待ってた」

男「・・・」

男「・・・女さん」

女「・・・?はい」

男「僕と、結婚してください」

女「・・・!!」

男「・・・」

女「・・・はい」

男「・・・」

女「一生、愛してください」

『何でよ!?』

『だって俺の願いはこれに書いて叶えたいものじゃないし』

『えぇ?なにそれ』

『自分で叶えるものなんだ!』

『どういうの?』

『オホン・・・女ちゃんと一生一緒にいる!です』

『!』

『女ちゃんと一生一緒にいることを約束するよ。もちろん心も共に・・・』

『ばか!!・・・それ、守りなさいよ』

『え?』

『ううん!!なんでも』

『・・・絶対守るよ』

『!! 聞いたな!!!!』

女「・・・ふふ、ひどい顔」

男「女ちゃんだって」

女「ほら、顔が台無し」ピタ

男「・・・女ちゃんの手、久しぶり」

女「そうね。冷え性だから冷たいでしょう?」

男「・・・暖かいよ。優しい手だ」

女「・・・ふふ」

男「ねぇ、外に出てみない?」

女「ええ・・・その前に顔を洗わなくちゃ」

男「うん」

女「・・・あ、こんなところに花壇があったのね」

男「うん・・・あ、見てよほら、芽が出てる」

女「本当・・・春ね」

男「春の花は咲くのが早いよね」

女「きっと退院する頃にはたくさん花が咲いているわね」

男「うん・・・それまで一緒に頑張ろうね」

女「うん」

男「早く、俺たちの家に帰ろうね」

女「・・・うん」

男「・・・ねぇ、退院したら一緒に指輪を買いに行こう」

女「うん。似合うものあるかしら」

男「女ちゃんは何でも似合うから。好きなものを買ってあげる」

女「ふふ、ありがとう」

男「・・・先生に相談してさ」

女「うん?」

男「・・・早く孫の顔、見せてあげよう」

女「・・・うん」

男「・・・」

女「ふふ、早く退院しなきゃ」

男「・・・女ちゃん」

女「ん?」

男「一緒に頑張ろうね」

女「・・・うん」

男「あ、女ちゃんから聞いてない」

女「え?」

男「・・・女ちゃんさん!」

女「なにそれ」

男「汝は男を一生愛すと誓いますか!」

女「・・・ええもちろん」

女「あなたを一生愛します」



終わり

ここまでありがとうございました

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