翔太郎「リングだって?」フィリップ「興味深いねぇ」 (96)

仮面ライダーW×リングのクロスオーバーSSです

SSは素人ですがよろしくお願いします

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1457270822

以前スレを立てましたが、SSが未完に終わってしまいました。
スレを見れくれた人たちを裏切るようなことをして申し訳ないと思っています。

このスレで完結させますので
このSSを見てくれると幸いに思います。


7月23日~14:12

初夏の暑さが風都を焦がしていたこの日。

翔太郎は先ほど依頼を済ませてきたばかりだった。


バタン

翔太郎「亜樹子~今帰ったぞ」

亜樹子「ひっ……なんだ翔太郎くんかぁ…脅かさないでよ~」

翔太郎「ん?お前ら何観てんだよ?」

フィリップ「翔太郎!これは実に面白いものだよ!」

亜樹子とフィリップはホラー物らしきドラマを観ていたのだ。
机にはDVDのパッケージが置かれていて、翔太郎はそれに目をやった。

翔太郎「なになに?『3丁目の木枯らしさん』? こんなもん観てたのかよ」

フィリップ「この作品は実に興味深い。恐怖演出、シナリオ、
どれをとってもパーフェクトだ!」



女『だれ…?誰かいるの…?』

バタン!

幽霊『み~た~な~!!』

女『きゃあああああああ!!』


END


亜樹子「おお…すっごく怖い…でも面白いのよね木枯らしさん。
翔太郎くんも観てみなよ。本当によく出来てるよ。」

翔太郎「はぁっ…やな子ったよ。確かに夏の風物詩といえばホラーだけどよ。
俺はそんなものには興味ねえのさ。男は静かにコーヒーを嗜むものさ…」

亜樹子「おっ?もしかして、怖いから見れないんじゃないの~?翔太郎くん?」

翔太郎「んなわけあるか!!ったく…世辞がすぎるんだよ!」

亜樹子「ふふふ…いいのかな~もし見ないとこんな風に~!!」



ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!

亜樹子「ひぃい!?なに?なんなのー!?」



ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!



亜樹子「なんだお客さんかぁ…はぁーびっくりしたー」

翔太郎「なんだよ…ったくよぉ…待ってくれ、今開けるかr…」


バタン!



─「お願いだ!助けてくれ!」

翔太郎「うぉぉ!?な、なんだよおい!!」

─「ここの探偵事務所は訳ありの依頼でも引き受けてくれるって聞いたんです!!
お願いします!どうか…どうか助けてくれ……」

翔太郎「落ち着け!!まずは依頼内容を聞かせてくれ。話しくれねえと俺たちも何が何やら」

─「す、すいません…あまり時間がなかったものだったので…」

翔太郎「いや、気にしないでくれ。アンタが必死なのはよくわかった。
それじゃあ聞かせてくれねえか?」

─「はい。俺、こういう者でして。」

突如駆け込んだ依頼人はロクに寝てないのか目に隈があり、やたら血色が悪そうな男だった。
彼は名刺を差し出し、そこに書かれた肩書きは


翔太郎「『テレビ風都・ディレクター 吉野賢三』」

吉野「はい。依頼というのは…実は俺、呪われてしまったんです!!」

亜樹子「呪われている?」


吉野「『呪いのビデオ』って知ってますか。昔流行ってから知ってると思いますが…」

翔太郎「呪いのビデオ…ああ思い出した!そんなもんあったなー昔。」

亜樹子「うんうん!私が小学生の頃に流行ってな~」

フィリップ「ん?なんだい?その呪いのビデオというのは?」

亜樹子「一昔流行ってた都市伝説だよ。確か『ビデオを観た人間は1週間後に死ぬ』って噂。
よく流行ってたな~」

吉野「はい…それで俺見ちゃったんです……ビデオを…」

吉野がそういうと、1本のビデオテープを出した。
一見してなんら変わりないただのテープだ。


吉野「3日前に同僚がどこからか持ってきたんです。
『ダチからもらってきた。番組のタネになる』って俺にこのビデオを観せたんです。
そしたら…明日に死んだんです!ソイツがビデオを観た丁度1週間後に…
このビデオ…本物なんですよ!!」

フィリップ「ビデオを観た人間が噂通り1週間後に死ぬ…なかなか興味深いね。」

亜樹子「でも、そういうのは私たちじゃなくて霊媒師の人とかに相談したら…」

吉野「もちろんしましたよ…!でもお祓いしてくれる人がいないんですよ!!どの人も祓えないって…
お祓いしてもらっても、それが全部詐欺で…」

フィリップ「ん?どうしてそんなことがわかるんだい?」

吉野「わかるんですよ…なんでもいいので俺の写真を撮ってくれませんか?」

亜樹子「写真?あっはい」パシャ


亜樹子が1枚写真を撮ってみると
異様に歪んだ吉野の顔が写されていたのだ。
明らかにそれは異常であると伝わるのに十分なものだった。


亜樹子「うぉおお!?かかかかか顔がぁああああ!?」

フィリップ「すごい!一体どうなっているんだ?これは興味深い!!」

吉野「スタッフの仲間が最初に気づいたんです。ビデオを観る前はこんなこと起こらなかったのに…
お願いします!どうか俺に掛かった呪いを解いてくれませんか!?」

亜樹子「確かにこれは…でも、こういうオカルトは専門外だし…」

翔太郎「わかりました。この依頼、ハードボイルド探偵の左翔太郎が解決して見せましょう」

亜樹子「ちょっと!?翔太郎くん!?オカルトだよ!?私たちどうしたら!!」

翔太郎「吉野さんは俺たちを頼ってきているんだ。だったらその期待に応えるしかねえだろ」

フィリップ「亜樹ちゃん、これは是非見るべきだよ。こんなものは初めてだ!ゾクゾクするよぉ…」

亜樹子「……えええいもう!!無敵の鳴海探偵事務所はオカルトだって解決してやるんだから!!
私たちに任せてください!あなたの呪いを必ず解いてみせます!!」

吉野「ああ…ありがとうございます!!一刻も早く呪いを解いてください!!お願いします!!」



こうして俺たちは彼の依頼を引き受けた。
しかし、これが想像も絶する恐怖の始まりになるとは
俺たちはまだこの時は思いもしなかったんだ…

井戸の底よりS/増殖する呪い

吉野「あの…本当に観るんですか…ビデオ…」

フィリップ「当然さ!観ただけで人を[ピーーー]ビデオなんて、実に面白いじゃないか!
これは是非とも見なければならない。そう決まっているじゃないか!」

翔太郎「まあ、もしかしたらビデオに何かヒントがあるかもしれねえからな。観るだけ損はねえだろ。」

吉野「は…はあ…」


テレビ局前~

─「おっ?吉野じゃないか!こんなところでなにしてるんだ?」

吉野「あっ…早津か」

翔太郎「知り合いか?」

吉野「はい、同僚のカメラマンです」

早津「お前ここで何してんだよ?まさか…あのビデオのことか?」

吉野「ああ、岡崎が死んだんだ…。それに写真だっておかしくなっている…
あのビデオは本物なんだよ…」


早津「吉野…お前考えすぎだよ。そんなもんお祓いしてもらえば済む話だろ?
ほら!俺はピンピンしてるんだし。」

吉野「で…でも…早津だってヤバイだろ?今日が1週間後だぞ!?時間ねえよ!!」

フィリップ「なに?君もビデオを見たのかい?」

早津「えっ?まあな。でもお祓いもしてもらったし、大丈夫だよ。お前も早く戻って来いよ。
『木枯らしさん』の撮影いつまでしないつもりだよ」

亜樹子「えっ!?吉野さん木枯らしさんのスタッフだったの!?」

吉野「えっ?まあ…はい」

早津「とにかく待ってるぜ。気を取り戻せよ吉野」

吉野「あ、ああ…」


亜樹子「吉野さん、まさか木枯らしさんの制作スタッフだなんて思いもしなかったよ!
『木枯らしさん』すごく面白かったですよ!」

吉野「そ、そうですか…なんかそう言われると嬉しいな…
あっ、実は劇場版も製作中なんですよ!」

亜樹子「えっ!?そうなんですか!!はぁ~楽しみだな~」

フィリップ「ねえ?忘れてないかい?僕たちの目的」

亜樹子「あっ、そうだった。早く見に行きましょうよ。呪いのビデオを!」

吉野「え…ええ…」


視聴室~17:10

吉野「あの…本当に観るんですか?もし呪いを解く方法が見つからなかったたら…」

翔太郎「そんなこと言っててもわからねえことだらけだ。まあ1週間もありゃ見つけるのに十分だろ」

フィリップ「その通りさ。そんなことより早くビデオを観よう!どんなものなのかゾクゾクするよ…」

翔太郎「ああもう!さっきからはしゃぎ過ぎなんだよお前!それじゃあ再生するぞ」



そうしてしばらくして砂嵐が映し出されたが、画面が切り替わった。



夜空が映っている。しかし、その光景はなぜか丸いものだった。

着物を着た女性が鏡を見ながら髪を溶いている。
一瞬白い服を着ている髪で顔が覆われた女が鏡に写っていたが
すぐに消えていった。

文字がまるで地を這う虫のように動いている新聞記事。

何かに苦しみ、もがいている人々。

頭に白い布を被った男がどこかを指差している。

「貞」の文字が浮かび上がっている何者かの瞳が何度か瞬きしている。

最期に森が映し出された。中央には古井戸がありかなり古いようで、一部が欠けた状態だった。

そしてまた砂嵐になりビデオが終わる。


フィリップ「これが呪いのビデオなのか…まるで意味がわからない…」

フィリップは不気味だが不可解なビデオの内容に拍子抜けしていた。
しかし、翔太郎は…

翔太郎「このビデオ…何か感じる…憎しみみたいな黒い感情が…このビデオから感じる」

フィリップ「そうかい?確かに気味が悪くはあったが…
ん?亜樹ちゃん?具合でも悪いのかい?」

亜樹子「怖い…このビデオ…わからないけど怖い…
気持ち悪くて…とにかく嫌な感じ…」

フィリップ「とにかくわからないな。一体このビデオは何を意味しているのか…
まるで理解できない…」

翔太郎「…まあとりあえず、聞き込みするか。もしかすると何か別のことがあるかもしれねえ。
呪いのビデオの都市伝説のな」



その後俺たちは、呪いのビデオについて調べまわった。
しかし、大した情報は得られずじまい。俺たちは行き詰っていた。



翔太郎「ちくしょう…まるで手がかりなしか」

亜樹子「弱ったな~これじゃあお手上げだよ~」

翔太郎「でも何かあるはずだ。何か情報が…」


吉野宅~22:58


プルルルル…プルルルルル…

ガチャ

吉野「もしもし?早津?」

早津「吉野か?なんだよ?こんな時間に?」

吉野「なんだよじゃねえよ!もうすぐ1週間後の11時だぞ!なんともないのか!?」

早津「別に大丈夫だよ。まったくお前は心配性だな。」

吉野「でも…俺にはあのビデオがどうしても本物としか思えないんだ。」

早津「お前ビビリすぎなんだよ。あれは不幸な事故なんだ。ちょっと考えすぎなんだよ。」

吉野「……ああ。すまなかったな…やっぱりちょっと考えすぎだったかな。ごめんな…」

早津「別にいいよ。それじゃあ切るな。」

ピッ

早津「ったく…相変わらずだな。さてと」

早津は一段落するとテレビをつけた。
しかし、なぜかテレビにはノイズがかかっていて、とても見れるものではなかった。

早津「なんだよ……ったく…」

ノイズの違和感に恐怖を感じながらも、キッチンへ向かい飲み物を取ろうとした
その瞬間何かの気配を感じ後ろを振り帰った。そこには…

早津「ぁぁ……あああああああああああああ!!!」


翌日…早津宅~9:14

パシャパシャ

真倉「うぇぇ~やっぱりちょっときつい…ウォエ!!」

刃野「おい…ちっとは慣れとけよ。これはまだマシな方なんだからよ」

真倉「けどやっぱり死体はキツイです…うぇぇ…」

照井「これが今回の被害者か…」

刃野「あっ、照井課長!おはようございます!」

照井「ん?…この男の顔は…」

刃野「はい…この前の仏さんと同じですね」

照井「部屋は特に荒らされた形跡はなし。岡崎のときと同じか…」

刃野「ええ。しかし不気味ですね。一体何見たらこんな顔をして死ぬですかね?
まったく想像がつきませんな」

照井(不可解だ…これは何者かによる連続殺人ということも考えるべきか。)


早津宅・玄関前~


照井「ん?あれは…左か?」


照井「おい左、ここで何をしている?」

翔太郎「あっ、照井じゃねえか。なあここに住んでる早津って人は?」

吉野「同僚なんです!早津は…あいつがどうかしたんですか!?」

照井「彼は…残念だが死んでいる。心臓麻痺だそうだ。」

吉野「そんな…ああ…やっぱり…早津まで…ビデオの呪いからは逃げられないんだ…
次は俺の番なんだ…」

照井「おい?一体何を言っているんだ?」

吉野「いやだ…俺死にたくねえよ…岡崎みたいになりたくねえよ…」

照井「…詳しく話を聞かせてもらおうか」


風都署・特殊犯罪捜査課~9:45

照井「呪いのビデオ…にわかに信じがたい話だ。」

吉野「はい…あんなもの観たばっかりに早津と岡崎は…
次に死ぬのは俺なんだ…お願いします刑事さん!なんとかしてください!」

真倉「そんなこと信じられるか!!ビデオ観ただけ死ぬぅ!?
そんなオカルトこの世にあるわけねえだろ!」

吉野「そ…そんな…でも、あの二人は…」

刃野「いや、俺は信じるぜ。二人してビデオを観た人間が連続で死んでいるんだ。
その呪いのビデオって奴は本物なんだろう」

翔太郎「ああ、今日を含めてあと2日…なんとかするしかねえ」

真倉「おい、なんでお前までいんだよヘボ探偵!あんたはお呼びじゃねえんだよ!」

翔太郎「はっ…てめえこそ黙ってなへっぽこ刑事!こっちは依頼人の命が掛かってんだ。
なんとしてでも解決しなきゃいけねえんだよ」

真倉「あぁあん?なんだとこんやろぅ…」

刃野「まあまあよさないか二人共。こんな時はお茶でも飲んで落ち着くのが一番!
ってあれ?いつの間にか昆布茶切らしちゃってるよ…おい真倉!昆布茶買ってこい!」

真倉「ええ!!なんで俺が…」

刃野「しょうがないだろ~切らしちゃってるんだから。これは非常に重要なことだぞ。
ほら!わかったら早く買いにいけバロー!」

真倉「わ…わかりましたよ…ヘボ探偵!覚えてろよ!」


翔太郎「ったく…あんやろういつかガツンとしてやろうか…」

刃野「まあそう言ってやるなよ。それより翔太郎、さっき思い出したことがある…
実は過去にも同じような事件があったんだ」

翔太郎「えっ!?どういうことですか刃野さん!」

刃野「今から何年か前になるんだが、ある女子高生が変死した事件が発生した。
個室には鍵が掛けられていて、密室だったそうだ。家族も居たんだが誰かが家に入ってきた気配や形跡もない。
そして、その子の死因は心臓麻痺。顔がまるで恐ろしいものを見ながら死んでいったような感じだったそうなんだ。」

翔太郎「そ…そんなことが…もしかして、その子もビデオを…?」

刃野「かもしれねえ。それに死亡する何日も前に何やら焦っていたみたいだったそうだ。
『女が殺しにくる』とか言っていたらしい」

照井「女?それは何やら怪しいな。その被害者の名前は?」

刃野「えっと…名前は確か…『沢口早苗』だったな。
そのときは風都署の刑事みんな騒いでたからよく覚えてるよ。」

照井「なるほど…どうやら今回の事件と関係があるらしいな。
刃野刑事、その事件調べ直そう。この事件は何か裏がありそうだ。」

刃野「わかりました。当時の調査書持ってきます!」


翔太郎「どうなってんだ。この事件、思っていた以上にヤバイのかもしれねえ」

照井「今回の事件は不可解な点が多い。その呪いのビデオとやらも未だに信じられん。
後ほどそのビデオやらを見させてもらおうか。何か事件に関わることがあるかもしれん。」

吉野「そ…そんな…でも」

照井「もはやただの変死事件にはできない。後日観させてもらうぞ。」

吉野「は…はい…」


風都署・近辺~10:00

吉野「俺はどうしたらいいんだ…」

翔太郎「安心してくれ。俺たちがなんとしてでもあんたの呪いを解く方法を見つける。
岡崎さんや早津さんのような目には合わせねえ」

吉野「は…はい」


最早ただのオカルト事件ではないと考える翔太郎。
もしかすると呪いではないのか…
彼がそう思案しているあいだ、後ろで何やら轟音が響いている。

まもなくしてッ!!一台の車が翔太郎たちに向かって激走してきたのだ!!

ギュイイイイイイイイイイイ!!


翔太郎「あぶねえ!」

吉野「ひぃぃ!?」

翔太郎はなんとか吉野を押して車を回避した。

車は再び翔太郎たちに向かって発進した。
しかし狙われているのは…

ギュイイイイイイイイイイイ!!

吉野「ああ!来るな!来るなぁ!!」

翔太郎「吉野さん!!」

車が吉野を弾こうとした瞬間、なんとか翔太郎が守ってくれたのだ。
車は建物の壁にぶつかり、それ以降動く気配を見せなかった。


吉野「な…なんで…まだ6日目なのにどうして…」

翔太郎「この車…中に誰も乗っていない…!?
車は無人で俺たちを、いや…吉野さんをひき殺そうとしていた…」

吉野「ああ…そんな…もうダメだ…やっぱりこれは呪いなんだ!もうじき殺される!!」

翔太郎「吉野さん落ち着いてくれ!!今日はもう外へ出ない方がいい。
何が起こるかわからないからねえ。大人しく家で待ってたほうが…」

吉野「そ…そんな…あと1日しかないのに…じっと待つことしかできないのか…」

今日はここまでにします。
明日にまたすぐに書けると思います

m(_)m

久しぶりにWのssキター!続き楽しみに待ってます!
もしかして、牙狼とクロスを書いてたりします?違ってたらごめんなさい

鳴海探偵事務所~10:30

翔太郎「もうつべこべ言ってられねえ。一刻も早く吉野さんの呪いを解かねえと。
いつ何が起こるかわかったもんじゃねえ」

亜樹子「でもほとんど手がかりないよ?それじゃあどうにもならないじゃない!」

翔太郎「いやまだ手がかりはある…あのビデオだ。
あのビデオに何かヒントがあるかもしれねえ」

フィリップ「今僕たちができるのはそれしか方法がない。早速調べてみよう」



フィリップは地球の本棚へ入り検索を開始した。




フィリップ「あの新聞には大きく『噴火』の文字があった…男が被っていた大きな『布』」


フィリップ「髪を溶いていた『着物の女』そして『貞の文字』」



キーワードに当てはまる本探して次々と本が少なくなっていく
やがて一冊の本がフィリップの前に現れた。

フィリップ「これか…………!?!?」

翔太郎「フィリップ?どうしたんだ?何を見つけた?」

フィリップ「翔太郎…これはじつに興味深い…」





フィリップ「時は1955年まで遡る。その年に三原山とよばれる活火山が噴火を起こしている。
そのときの島の被害は尋常なものでなかったようだ。噴火後も毒ガスが島中に蔓延していて
島の住人は毒ガスに対処するべく、頭に布をかぶってやりすごしていたようだ」

亜樹子「ビデオのあの布ってそんな意味があったのね」

フィリップ「そして、それを予言していた人間がいた。
その人物の名は『山村志津子』彼女は生まれながら超能力を有してしたようだ。
念写、千里眼、透視…彼女の予言が新聞で取り上げられて、当時はかなり注目されていたようだ」


フィリップ「だが、事件が発生した。翌年に彼女は公開実験で能力を人々に見せている
実験はどれも成功。しかし新聞記者がそれをインチキだと批判した。
その直後、批判した記者は心臓麻痺を起こし、死亡している」

亜樹子「えっ!?心臓麻痺って…もしかしてその志津子って人が超能力で…?」

フィリップ「いや、殺したのは山村志津子ではない。新聞記者を殺したのは『山村貞子』山村志津子の実の娘だ」

亜樹子「えっ!?む、娘が殺したっていうの!?そんなこと…」

フィリップ「実の娘であるのなら、能力も遺伝していてもおかしくはない。
その後彼女はマスコミからバッシングを受けている。
それに耐えきれなかったのだろうね。山村志津子はその後、三原山の火口に飛び降り…自殺している」

翔太郎「…それじゃあ山村志津子は自分を批判した人たちを恨みながら死んだから
それで呪いのビデオが生まれたってことなのか…?」

フィリップ「そう考えるのが妥当だろう。少なくとも彼女がビデオに深く関係していることは間違いないはずだ」


翔太郎「山村志津子がビデオの鍵か…」

フィリップ「彼女の故郷は伊豆半島の大島だ。おそらくそこに何かヒントが」

翔太郎「ビデオの謎がわかるかもしれねえってわけだ。そうと決まれば早速出発だ。
亜樹子、行くぞ。あともう少しで呪いが解けるかもしれねえ」


一方、照井は沢口早苗とビデオの関連性を調べるため
沢口家へ来ていた。


ピンポーン

沢口「はい、どちら様でしょうか?」

照井「風都署の照井という者だ。娘の件について聞きたいことがある」

沢口「えっ…は、はい…」


沢口宅~10:29

沢口「あの…どうして娘の事件のことを調べ直しているんですか…?
もうあの事件は解決しているはずじゃ…」

照井「実はとある連続変死事件に娘さんの事件と何らかの関連がある可能性がある。
一体何が起こっていたか聞かせてもらおう…娘さんが亡くなる数日前の出来事を」


沢口「早苗は…とてもいい子でした。何の不自由もなく、健康に育ってきたのに…どうしてあんなことになったのか…
今思い出してみれば、あの子は死ぬ数日前からおかしい感じがしてました。
常に何かに怯えていて『あのビデオに呪われた』とか『髪の長い女が殺しに来る』と言っていたのを覚えています。」
でも警察は戯言なのだろうとそんなこと信じませんでした」

照井「女か…だが遺体が発見された部屋は内側から鍵が掛かっていて密室状態。
身体にはに特に気になる外傷・内傷もない。他殺の可能性は限りなく低い。」

沢口「……あなたは何も知らないからそんなことを言えるんです!
警察は病死だと言ってましたが、あの子がどんな顔をして死んでたと思いますか?
早苗はまるでこの世で一番恐ろしいものを見ていた顔をしていたんですよ!?
私にも何が何だかわからない…でも、思うんです。あの子の言う通りその女に殺されたんじゃないのかって…
どうして私はあの子のいうこと信じて…あげられなかったのだろうって…」


照井「すまない…確かに娘さんのいうことは信じられないようなことばかりだ。
そういうのも無理もないだろう。」

沢口「もう何なんですか…娘のことばかり聞きまわって…
この前もテレビ局の人が早苗のことを聞いて来たりして…もう本当に嫌…」

沢口「テレビ局?それはもしかしてこの男じゃないのか?」


照井は岡崎の顔写真を沢口に見せた。
しかし、彼女はその男のことはまるで知らないといった顔をしていたのだ。


沢口「いえ、この人ではありません。」

照井「一昨日亡くなった岡崎という男だ。心当たりは?」

沢口「ありません。その人は『小宮』と名乗っていました。娘のことを聞いたりしてきたんです。
他にも『娘は何かビデオを観たのか?』とか『ビデオはここにはあるのか?』なんて意味のわからないことを」

照井「ビデオを?その小宮という男はビデオを探していたのか…」

沢口「そんなこと私は知りません…もう帰ってください。
もう何も聞きたくないんです…お願いします…帰ってください…」

照井「…すまなかった。協力ありがとうございます」



照井(小宮という男がビデオを探していた。呪いのビデオを見つけ出し、岡崎に渡したのか?だとすれば…)


小宮宅~10:56

照井「ここが小宮の家か…」

ピンポーン

照井「風都署の者だ。話を聞きたい。
…………おい、いるのか?早く出てこい。」

ドアの向こうからは返事どころか人が来る気配もない。
照井は試しにドアノブを回してみた。
ドアの鍵は開いていた…

照井「……おい、誰かいるのか?」

中はまるでさっきまで人が住んでいた形跡ばかりだったが
1階には誰もいなかった。
照井は2階へ上がってみると、1つだけ扉の開いた部屋があった。
その部屋には…


照井「─っ!!この顔は…岡崎と同じか…」

その部屋には男が倒れていたのだ。
いや、その男の顔は岡崎や早津のような顔をしていて死んでいたのだった。

鳴海探偵事務所~10:35

フィリップ「超能力を持った人間が憎しみや怒りといったマイナスの感情を抱きながら死んでいくと
それが何らかの形で具現化する…なかなか恐ろしいものだ。
ということは山村貞子も或いは………彼女は今どうしているのか?」



フィリップは貞子が山村志津子について何か知っているのではないかと思い。
彼は山村貞子の本を見つけ出した。



フィリップ「これか…今彼女は何を……!?!?!?
どういうことだ…それじゃあ彼女は…山村貞子が……!?」
彼女がビデオを…山村貞子…なんてことを考えているんだ…!!」


吉野宅~11:01

ピンポーン

フィリップ「吉野賢三、開けてくれ君に聞きたいことがある」



(インターホンの音声にて)

吉野『探偵さんですか…すいません。今は外を出たくありません…』

フィリップ「そんなことはどうでもいい。ところで一つ聞きたい。君はあのビデオを…」


だがその直後だった。




ドッカーン!!






突然吉野の家が爆発したのだ。
凄まじい勢いで彼の家が燃え盛っているのだ!


バタン!!


吉野「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」


玄関から吉野が悲鳴を上げながら飛び出してきた。
彼の身体は炎で焼けただれており、かなりの重症だ。


フィリップ「酷いやけどだ。早く処置を施さなければ命の別状が…」

吉野の安否確認するフィリップ
彼はすぐに救急者を呼ぼうとガジェットを取り出している。

そして、その光景を物陰から何者かが静かに見ていたのだ。
フィリップは視線に気づき何者かは慌てるように身を潜めてしまった。


フィリップ「あれは…まさか…」


大島・フェリー乗り場~14:17

翔太郎「やっと着いたな。大島」

亜樹子「ふう~風都からだいぶ離れちゃったね。この島に呪いのビデオの手掛かりが…」

翔太郎「たぶんな。早速行ってみようぜ。山村志津子が生前住んでいた所へ」



遠山旅館~14:32


翔太郎「ここが山村志津子が住んでいたところか…」

亜樹子「思ってたよりいいところだね。立派な建物だな~」

翔太郎「あのー!すいませーん!!誰かいますかー!!」


少しして、置くから一人の女性が現れた。
どうやら、この旅館の女将のようだ。

山村和枝「いらっしゃいませ。ご予約された方でしょうか?」

翔太郎「いえ、俺たちここへ泊りに来たわけじゃないんです。俺たちは鳴海探偵事務所の探偵です。
山村志津子さんについて聞きたいのですが。少しいいですか?」

和枝「探偵の方ですか…?わかりました。こちらへどうぞ」


和枝「それで探偵の方がどうして志津子さんのことを?」

翔太郎「実は俺の街である事件が起こって、それに志津子さんが…何か関わっているかもしれないんです。
何かありませんでしたか?超常現象とか、幽霊を見たとか…」

和枝「いえ、そんなことは全然ありません。それに志津子さんのことは私ほとんど知りません。
山村家の人間で志津子さんのことを知ってる人間はほとんどいません。
私も数年前に初めて存在を知ったきりであまりよくわからないんです」

翔太郎「本当にないんですか?些細なとしたことでもいいです。最近何かおかしいことが起きたとか…」

和枝「いえ…そんなことを言われましても。
せめて叔父様がいたら何かわかるかもしれませんが」

翔太郎「叔父様?」

和枝「志津子さんのいとこになりますです。もう何年も前に亡くなってしまいまして…」

翔太郎「そうですか…もし何かわかったら連絡してください。それじゃあこれで」


~14:43

亜樹子「やっと何かつかめると思ったのに、これでまた振り出しかー…」

翔太郎「弱ったな…もう時間ねえのにどうすりゃ…」

亜樹子「竜くんも調べているけど見つかるのかな…こんなに手掛かりが見つからない事件初めてだよ…」

翔太郎「………」

>>47
創作はこれが初めてです。

WのSSってなぜ少ないのだろうか…

病院~14:45

照井は吉野の家へ訪ねてみたが、家は全焼していた。
入院していると聞き。病院へ駆けつけた。病室へ入ると、フィリップが眠っている吉野のそばに居たのだった。


照井「吉野のは…どうやら生きているようだな」

フィリップ「なんとか一命は取り留めた。しかし、いつ意識が戻るわからないそうだ」

照井「ビデオの詳細を聞くつもりだったのだが止む終えん…
家は全焼している。ないも残っていないだろうな」



フィリップ「…照井竜、君は呪いのビデオを信じていないようだね。
それも当然だろう。だが、呪いのビデオは確かに存在している。
呪いのビデオはある人物により作られた、呪いが具現化したものだといってもいいものだ」

照井「どういうことだ?」

フィリップ「呪いのビデオを作った人物は『山村貞子』
彼女は念じるだけで人を殺してしまうほどの力を持った超能力者だ。
そして、彼女はすでにこの世にいない…あまりの思念の強さによって呪いは膨大なエネルギーとなり
その結果呪いのビデオという形で具現化してしまった」


照井「何を言っている…そんな非科学的なことが…」

フィリップ「信じられないのはわかる。だが紛れもない事実だ。これまでも呪いのビデオで殺された人間はそう少なくない。
なんとしてでも止めなければ」



フィリップはスタッグガジェットを取り出しだ


ピロロロロ




ピロロロロ…ピロロロ…



翔太郎(ん?フィリップか…)

ピッ

翔太郎「フィリップ?何かわかったのか?」

フィリップ「翔太郎、ビデオの謎がわかった。
呪いのビデオを作ったのは山村志津子ではない。山村貞子が呪いのビデオを作った張本人だ」

翔太郎「何!?山村貞子が!?どういうことだフィリップ!!」

フィリップ「山村志津子の公開実験の事件で彼女も島にはいられなくなった。
本州へ引越し、その12年後に彼女はとある劇団に入団。
そこで主演を果たすがある人物の手により能力を暴走させてしまい、団員たちから命を狙われてしまった。
その後…彼女は団員たちを殺害している。」



フィリップ「そして彼女は…彼女の実の父親である伊熊平八郎に危険視され…
井戸に落とされてしまった。信じられないかもしれないが、彼女はその後も生きていたんだ。
それから30年間彼女はその井戸の中にいた。長い年月を経て
彼女の憎しみや怒りといった恨みの感情があまりにも強くなりすぎたせいで
呪いのビデオは生まれてしまった。そうやって彼女は人々を呪おうしていたんだ」

翔太郎「マジかよ…そんなことがあったなんて…」

フィリップ「ビデオの呪いを解く方法もわかった。だが、それはビデオがないとできないことだ。
さっき吉野賢三の家が炎上した。ビデオも焼けて、彼も意識がない状態だ」

翔太郎「そ、そんな!!それじゃあ…吉野さんは…」

フィリップ「こればかりは本人の生命力にかけるしかない。だけどまだ時間はある。
翔太郎、山村貞子の父親のところへ行くんだ。名は伊熊平八郎。
彼はかつて超常現象の研究をしていて貞子の力も把握している。
もしかすると彼からビデオの呪いを解く他の方法を見つけるヒントがあるかもしれない」

翔太郎「伊熊平八郎…わかった、俺たちはその人のところへ行く」



ピッ

照井「他に方法はないのか。ビデオの呪いを解く方法は?」

フィリップ「もう人間が手に負えるものでない。最善策は彼の意識があればなんとかなるんだが…」









亜樹子「そんなことがあったなんて…早くその伊熊って人の所へ行かないと!」

翔太郎「ああ、とにかく呪いを解くヒントがあるのなら善は急げだ」



ポチャ…ポチャ…

ザーザーザー

亜樹子「えっ…雨が…」

ピンポーンパンポーン

アナウンス「お客さまにお知らせです。現在、悪天候によりフェリーの運行に支障をきたす恐れがあるため
本日は出航できない状態になります。お客さまにはご迷惑をおかけしますが…ect」

亜樹子「嘘!?何よそれ!私聞いてない!?」

翔太郎「ああもうこんな時に!!ここで足止めかよ!」

亜樹子「どうしよう…日帰りのつもりだったのに…」

翔太郎「ごちゃごちゃ言ってても仕方ねえ…今日はこの島に泊まろう。
ったくなんだてんだ…」

その後翔太郎と亜樹子は遠野旅館で泊めてもらうことになった。
当然予約はしていなかったのだが、彼らはなんとか宿泊することができた。


亜樹子「すいません…予約もしてなかったのに泊めてもらって…」

和枝「気にしないでください。こんな天気じゃあ仕方ないことです。どうぞごゆっくりしていってください」



翔太郎「………
(山村貞子は30年も井戸の中で…確かに恨みたくもなるだろうな…
だと筋違いってもんだぜ。関係ねえ人間まで巻き込んでいいはずがねえ)」

翔太郎「ああもう!落ち着かねえな…ったく」

翔太郎は部屋を出た。とにかく気を紛らわすためどこかへ行こうと足を進めた。
少しして、ある部屋を見かけたのだが、そこには見覚えのあるものがあったのだった。

翔太郎「あれは…ビデオに映っていた鏡か…」

その部屋にはビデオで志津子が使っていた鏡があったのだ。
部屋に入り辺りを見渡すと古い写真が入った写真立てに気づいた。

翔太郎「この人は…着物の…彼女が山村志津子か…」



翔太郎(周りの人間から批判され、娘も人を殺めてしまった…相当辛かったはずだ…
山村貞子…彼女はどんな人物だったんだ…)


和枝「あれ?探偵さん、そこで何を…?」

翔太郎「えっ…あっ、すいません。この写真って志津子さんですよね」

和枝「はい、叔父さまが生きていた頃はいつも写真を見たりしてました。
主人に聞いたんですが、何十年か前に志津子さんに公開実験をしてみたらどうだって言ったそうです。
そのときに事故があったそうで…ずっとそのこと気にしているんじゃないかって」

翔太郎「…あの、山村貞子さんのことは何か知りませんか?」

和枝「ごめんなさい…貞子さんのこともよし知らないんです。
…でも、叔父さまが時々独り言でこんなことも言ってたと思います。
『貞子、どうしてお前は人を死なせるようなことを』とか…」

翔太郎「………そうですか。ありがとうございます」




翔太郎(人を死なせるような…ことか…小学生ぐらいの子供がそんなことするなんてな…)

翌日 7月25日 特殊犯罪捜査課~10:12

真倉「どれもこれも幽霊ものばっかですね~」

刃野「ああ、それにしても結構面白そうなもんとか書いてあるな。
この『女優霊の出る舞台』とかなかなかじゃないか?ハハハハ!」


照井たちは小宮の遺品を調べている最中だった。
小宮は番組に使えるタネを探していたらしく、オカルトな話題ばかりが書かれたノートがいくつか見つかったのだ。
その中には『呪いのビデオに関する』ものもあり…


照井「このノート…呪いのビデオについて調べていたのか。
沢口早苗…その他にも呪いのビデオに関わった人間もいるようだな…
ん?これは…」


照井が目をつけたのは一枚の新聞記事の一面だった。
『謎の失踪!?医者と患者はどこへ消えたのか?』と大きく書かれており
小宮が書いたのか、様々なことがメモされていた。


照井「『先日未明、川尻精神病院にいた患者と医師、総勢○十名が行方不明になったことが判明しました。
目撃情報もなく、警察は引き続き患者と医師の捜索を続行しています…』こんなことがあったのか」

刃野「あっ、その新聞…そんなこともあったなぁ。確かその事件のあと、病院が患者を使って人体実験してたってわかって
廃院になったんだけ。あのときは結構ニュースになってたな」

真倉「へえーそんなことがあったですね。でもひどいですよね。患者を使って実験だなんて!
人の命をなんだと思ってるんですかねソイツらは!」

照井「人体実験……刃野刑事、行く所がある、あとは任せた」

刃野「はい!お任せ下さい!いってらっしゃいませ!」

照井(まさか呪いのビデオを使って…もしそうだとすれば…)









(ノートのメモ)
『呪いのビデオを使った実験をしていた可能性がある。病院は一体何をしようとしたのか?』










川尻精神病院~10:31

照井「ここがそうか…小宮はここで何を見つけたんだ?」


廃院と化した病院は医療器具などがそのままにされており、かなり荒れ果てていた。
しばらく進むと診察室らしき所へ着いた。そこには…


照井「……なんだこれは?これは…日記か?」


そこに落ちていたのは日記だった。
その内容は呪いのビデオを使った実験の一部始終が記されていた。



○月×日
『この呪いのビデオは恐るべき力を秘めている…
観ただけで何の異常もない健康体の人間を殺すなどとても考えられない。
このビデオは実に研究する価値が高い。今日からこのビデオの研究を開始する。』

○月×日
『今日入院した倉橋という患者はどうやらビデオを観た人間の最期を目撃したらしい。
彼女の言っていたことは『髪の長い女がテレビから出てきて、睨みつけて殺した』そうだ。
その現場を見たせいで精神に異常をきたしてしまったようだが、彼女の証言はなかなか興味深い。』


○月×日
『昨日面白い少女に出会ったよ。彼女が言うには
『ビデオを観た日から夢で髪の長い女に殺されかけている』という。ものだ。
確か名前は…沢口早苗だったか。彼女が夢の中で名前を聞くとその女は『貞子』と名乗っていたそうだ。
どうやら、テレビから出てきた女は貞子というらしい。彼女を支配すれば、或いはビデオは協力な武器になるかもしれない。』



照井「彼女も目を付けられていたのか…どうやらビデオを殺人兵器にでも使うつもりだったようだな…」



○月×日
『ビデオを観て7日後も生きていた人間がいたらしい。
どうやったかは知らないが、彼女はビデオを観ても死なない方法を知っているようだ。
『浅川玲子』と言ったか?彼女を確保することができれば、ビデオの呪いから脱する方法も見つかるだろう』

○月×日
『呪いのビデオを観た人間には貞子の怨念が残されている。もし、放っておけばやがて貞子に殺されることだろう。
明日の実験はその怨念を取り除く実験を行う。これさえできれば、たとえ呪われようとも貞子を恐れることもないだろう。』



あとのページはすべて真っ白だ。
どうやらここで日記はここで終わっているようだ。




照井「そういうことか…これではっきりしたな。だが、その後彼らはどこへ消えたんだ?」




そのとき向こうから突然何かが落ちたような音がした。


ガタン!


どうやら医療器材が落ちたようだが、照井は考えた。
この病院に誰かいるのではないのかと。


照井(地下の方か…もしかすると…)

地下に降り、確認してみるが誰もいない。
地下に部屋はどれも手術室のようであり
怪しげな機械がいくつか設置されていたのだった。


照井「ここで実験していたというわけか…」

そのとき後ろから何者かの気配を感じた!
振り返ってみるとそこには、白い服を着た青年が険悪な表情で照井を見ていたのだ!


青年「…………」

照井「お前、こんなところで何をしている…?」

青年「………悪く思わないでくれ…強いて言うならあんたが悪い…」


その直後!照井の体を衝撃が襲った!
頭が割れるような痛みに襲われ、照井は壁に吹き飛ばされたのだ!!

照井「ぐあっ!!……ぐっ…お…お前は…」

青年は表情を変えない。
次の瞬間!医療器具が宙に浮き、照井に襲いかかってきたのだ!!

照井「ぐっ…くぅ……」

メスや注射器が照井の体を傷つけている。
更には、巨大な怪しげな機械すら宙に浮き、照井に降りかかってきた!!


ドンガラガッシャーン─ッ!!



照井は機械の下敷きになってしまった。
青年はさっきよりも険悪な表情となり、後ろめたいような様子でその場を去っていった…


青年「……………」

言い忘れていましたがVシネのネタバレを含んでいますのでご注意ください。

荒い…やはり荒すぎる…

とある病院~13:00

翔太郎と亜樹子は大島を離れ、伊熊平八郎のところへ向かっていた。
伊熊は病を患っているとのことで、現在とある街の病院にて入院しているのだ。



看護師「ここ最近になって容態がかなり悪化しています。
面会は手短でお願いします」

翔太郎「ありがとうございます。すぐに終わりますので…」


伊熊は重度の喘息を患い、酸素マスクをつけていなければまともに呼吸ができないほどであった。
彼は薄らと目を開けて虚ろな顔で天井を見てベットで寝ている。


翔太郎「伊熊さん、俺たちは鳴海探偵事務所の者です。少しだけお話を聞かせてください」

伊熊「(シュコー…シュコー…)」

翔太郎「今あなたの娘の山村貞子は多くの人たちを呪っています。
呪いを解く方法を知っているんですか?」

伊熊「───!?」


その言葉を聞き伊熊は目をバッチリ開けて、今にも飛びかかるような勢いで翔太郎に問いかけた。


伊熊「貞子が…あの子が外へ出たのか!?─ゴホッ!!ゴホッ!!」

亜樹子「だ、大丈夫ですか!?」


伊熊「貞子が…あの子が外へ出たのか!?─ゴホッ!!ゴホッ!!」

亜樹子「だ、大丈夫ですか!?」

伊熊「ゴホゥ!!ハァ…ハァ…そうか、貞子はまた人を殺めてしまったのだな」

翔太郎「教えてください。山村貞子の力を研究していたあなたなら、力を封じ込める方法を知っているんじゃないんですか」

伊熊「…その様子だともうなにもかも知っているようだな。
ああそうだ。私はあの子の力を抑えるためあらゆる手を尽くしてきたが…
結局は駄目だった。あの子は力を持つには心が弱すぎた…
あの公開実験の日以来、ますます力を抑えられなくなり、やがて多くの人たちを殺してしまう結果になってしまった」


伊熊「あの子を止める術はなかった。私はただ科学者として超能力の解明を成したかっただけだ。
それなのに私の子が、これ以上貞子が人を殺すのが耐えられなかった。それなのに…
またあの子は人の命を奪っている!私がこの手で殺してまで止めたのにあの子はまだ!!
また人を傷つけ、誰かの命を奪い去ってしまっている!!私が殺してまで止めたのに!!!
ゴホッ!!ゴホッ!!ゴホッ!!!」

翔太郎「伊熊さん!しっかりしてください!落ち着いたほうが!」


伊熊はひどく興奮してしまったせいで喘息が悪化してしまった。
彼は苦しみながらも酸素マスクを外して必死に何かを伝えようした。


伊熊「ゴホッ!!ゴホッ!!
……か…ん…じょ…う……感情を…取り…除け…
それであの子の力は弱まる…」

翔太郎「感情を取り除く?それで貞子の呪いが!」

伊熊「ゴホッ!!ゴホッ!!ゴホォ!!
貞子…すまなかった…許して…くれ…」

翔太郎「伊熊さん?伊熊さん!!大丈夫ですか!?」

看護師「下がってください!!伊熊さん!?伊熊さん聞こえますか!!」


伊熊の容体は命を脅かすほどひどくなった。
医者や看護師が手を尽くしたが
まもなくして彼の鼓動は徐々に弱まっていった。


トクン…トクン…トクン…ピーーーーー


看護師「先生…伊熊さんは…」

医師「残念だがもう寿命だ。仕方がない」

亜樹子「そんな…私、聞いてない翔太郎くん!」

翔太郎「…………」



病院~13:07

亜樹子「伊熊さん死んじゃったよ…翔太郎くん伊熊さんの言ってたことって」

翔太郎「『感情を取り除く』一体どうすればいいんだ?とにかく風都へ戻ろう。これ以上グズグズしてる暇はねえ」


一方風都では

病院~13:43


吉野は未だに意識を取り戻してない。
そんななか病室に1人の男が吉野の病室へ入ってきた

男は眠っている吉野の首に手を差し伸べた。
まるで彼の首を絞め殺そうとしているかのように
吉野の首に手が差し掛かったそのとき

シャー

隣のベットのカーテンが開いたのだ。
開けたのはフィリップだった。

フィリップ「無駄だよ。彼は殺らせない」

男「き、貴様!!」

男が気を取られている一瞬をついて
フィリップは近くにあった花瓶を手に持ち、花瓶の水を男の顔へぶちまけた!!

男「うぐっ!?」

男が水を掛けられて怯んだ瞬間に
フィリップは男を病室の外へ追い出した。

男「ぐっ!?このガキ!!」


男は手を差し出すと
フィリップの体は何らかの衝撃に襲われたのだ。
いま彼の頭は割れるような痛みに苦しんでいる。

フィリップ「ぐっ…あ…頭が……君はまさか…」

男「このやろう…悪く思うなよ。死んでもらうぞ!」



(その直後、翔太郎と亜樹子が病院に到着。病室前の光景を目撃した。)

翔太郎「フィリップ?おい!!何やってんだてめえ!!」

男「なっ!?」

翔太郎「オラァ!!」(男に向かって飛び蹴り)

ドガッ!!

男「ヌワー!!」


翔太郎「おいフィリップ!!大丈夫か!!」

フィリップ「ああ…。翔太郎、奴は吉野賢三の命を狙っていた。」

翔太郎「なに?こんやろう…なんで吉野さんの命を狙う?」

男「だまれ…お前ら全員あの世へ…うっ…!?」

(男が突然首元を抑えて苦しみだした)

男「ぐがあああああ!!」バタン

翔太郎「おい?大丈夫か!?おい!?」

男「……」

翔太郎「……死んでる。ん?これは」

男の首には黒い首輪が嵌められていた。
首輪はぎっちりと男の首を締め付けている。

翔太郎「もしかしてこれがこの男を?コイツは一体」



照井「くっ……お前達…何をしている…」

亜樹子「竜くん!どうしたのその怪我!?」

照井「さっき襲われた。何、大した怪我じゃない。」

亜樹子「そんなわけないじゃん!!今すぐ手当しないと!!」




病院14:13

照井「さっき妙な奴に襲われてな。随分手厚くやられてしまった。」

フィリップ「君がそれほどの怪我を負うなんて、相手は相当の力を持っているようだね」

照井「ただの人間じゃなかった。突然物を浮かせて、それにやられた。まだ若い青年だ」

翔太郎「物を浮かせる?そいつってまさか…」

照井「それだけじゃない。襲われた先でこんなものを見つけた」

(廃院で見つけた日記を取り出す)

翔太郎「……なんだよこれ。ビデオを兵器にしようとしてたのか」

照井「その日記を書いていた人間が所属していた病院は、現在は廃院になっている。
どうやらそこで何かあったらしい」

翔太郎「ビデオを殺人兵器にしようするなんて、とんでもねえこと考えてやがる」

フィリップ「なかなか理にかなっている。なんせビデオを見せるだけで人を殺してしまえるんだ。
時間の猶予こそあれど、見せさえすれば確実に相手を殺害することが可能だ」

翔太郎「フィリップ、伊熊は『感情を取り除く』ことが呪いを解く鍵になっていると言っていた。何かわからねえか?」

フィリップ「感情を取り除く?それだけじゃまだわからないな。もっと情報はないのか」

翔太郎「それが…伊熊さんはそのまま死んじまって何も聞き出せなくなっちまった。手掛かりはこれだけだ」


吉野「………こ、ここは」

亜樹子「吉野さん!よかった…このまま目が覚めなかったらだったらどうしようかと思ったよ~!!」

吉野「俺は…確か探偵が家にきて、それから家が爆発して…」
ああそうだ…なああれからいくつ経ったんだ!?」

フィリップ「爆発からもう一日経っている。今14時14分だ」

吉野「なんだって…そんな!もう1分もないじゃないか!?
いやだ!俺はまだ死にたくない!!」

フィリップ「吉野賢三、一つだけ確認したいことがある。
君が僕たちに見せたあのビデオはダビングしたものかい?」

吉野「えっ?ああそうだよ少ない手掛かりなんだから当然だろ!
それがどうしたんだよ!!」

フィリップ「ならよかった。吉野賢三、君の呪いはすでに解けている。」

翔太郎「えっ?おいフィリップ!どういうことだよ!もう吉野さんの呪いが解かれているって」

吉野「ああもうだめだ、あと5秒…4秒…ぁああ!!」

翔太郎「吉野さん?吉野さん!!」


吉野「………あれ?生きてる…?俺生きてる…!!」

翔太郎「どういうことだ?なんで吉野さんはビデオを観たのに無事なんだ」

フィリップ「彼は僕たちにビデオを見せた時点でビデオの死から逃れていたというわけさ」

亜樹子「えっ?どういうこと?全然わからないよフィリップくん!」

フィリップ「彼は他の被害者がしなくて、彼だけがしていたことをしていたのさ。
ビデオの死から逃れる方法はただ一つ。ビデオをダビングして、ダビングしたビデオを誰かに見せることだ」

亜樹子「えっ!?そんなことで呪いは解けるの?」

フィリップ「呪いを解くというよりはむしろ死を誰かに肩代わりさせる形になるけどね」

吉野「ああ、よかった。俺は助かったんだな…はは」

今更ですが、Vシネ(RETURNS)のネタバレを含みますのでご了承を
おのれ…もっと文才があれば…

何とか言葉は見つけられた。
ちょこちょこ投稿してきます。

某公園~17:15

翔太郎、フィリップ、亜樹子、照井の4人は海の見える公園で潮風に当たっていた。
彼らは今まで起きた出来事を整理していたのだ。
呪いのビデオ、廃病院の集団失踪、超能力を使う者たち…
それらの事件は彼ら4人の心を不穏な感情へと誘っていったのだった。

照井「病院で襲ってきた男の詳細がわかった。あの男は今から3年前に失踪していた、当時学生だった人間だ。
さっきは力を使っていたが、彼は至って普通の人間だったようだ。」

翔太郎「なんだって?失踪した人間が俺たちを襲ったてか?しかも失踪する前は普通って…」

照井「それだけじゃない。あの男が身に着けていた首輪だが、調べたがあれは髪の毛だったようだ」

亜樹子「えっ、髪の毛?」

照井「ああ、硬質化していた。人間の髪だそうだが、誰のものかわかってない。」

フィリップ「呪いのビデオに始まり、実験に失踪……謎は深まるばかりだ。それに加えて僕達を襲った超能力を使う人間も現れた。」

翔太郎「フィリップ、照井や病院で襲った奴らの力、もしかして……」

フィリップ「僕もそれを考えてた。彼らのあの力は、彼らは『クオークス』の可能性が高い。」

照井「クオークス…だと?」

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