李衣菜「ジプシー・デンジャー」みく「発進にゃ!」 (306)


――子供の頃、私は…

――自分がちっぽけに思えたり孤独を感じたとき、空を見上げたものだった。

――エイリアンはいるんだろうか…って。


――私は間違った方向を見ていた。


――地球外生命体はある日突然やって来た。

――太平洋プレートに崩落が生じて、異次元への扉が開いたんだ。

――時空の裂け目だ。


――そして怪獣は私達の町を蹂躙し始め、多くの人の命を奪った。



――次々と現れる『KAIJU』を前に、私達は悟った。

――「これは終わらない。まだ始まったばかりなんだ」と。


――世界中の人たちが手を組んで、対抗策を作り出した。

――最新の技術と最高の資金を持ち出して、もう一つのモンスターが生まれた。

――ロボットは強力で、KAIJUにやられ続けていた人類は奴等を討ち倒すことに成功した。


――ロボットの名前は『イェーガー』。

――パイロットは『アイドル』。

――優れたアイドルに操られるイェーガーは、まるでヒーローのようにKAIJUを倒し続け…

――アイドルは、それこそトップアイドルのように歓声を浴び続けた。

――地球の危機はイベントに変わり、KAIJUはおもちゃになった。


――地球の危機は去った。私達はみんな、そう思っていた。

――でも……





――あの日、全てが覆った。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1457259044


シンデレラガールズとパシフィック・リムのクロスです。

細かいところはちょくちょく変えていくつもりですが、大体本編のなぞりになります。

キャスティングだけでも楽しんでいただければ幸いです。


--------------------


『KAIJU出現。"ジプシー・デンジャー"チームは8番ドックへと集合してください』


李衣菜「!?」ガバッ

李衣菜「起きて! 起きてなつきち! KAIJUが出た! 出動だよなつきち!!」ペシペシ

夏樹「んあ……? 嘘だろ今何時だ?」

李衣菜「午前二時! カテゴリーは3! コードネームは『ナイフヘッド』だって! 早く起きて!」パタパタ

夏樹「おー、分かったって…」ムクリ

李衣菜「これまでで最大のKAIJUだってさ。なつきち!」

夏樹「ん?」ポリポリ



李衣菜「一緒に倒しちゃおう!」グッ

夏樹「……ははっ、だりー」ニヤ


夏樹「調子に乗るなよ?」トン


https://www.youtube.com/watch?v=tMTr2rbqSBM


「おはようございます!」


李衣菜(――なつきちはともかく)

李衣菜(――数年前なら、私が英雄になるなんて考えられなかった)


夏樹「スーツに着替えてひと暴れするか!」


李衣菜(――私は運動部のスターなんかじゃなかったし、成績も良くなかった)

李衣菜(――でも、ロックが好きだって気持ちは誰にも負けなかった)

李衣菜(――そして、私には特別な才能があるってことが分かった)

李衣菜(――『ドリフト』への適合だ)


『ヘルメットから、データリンクジェルをドリフトスーツへ充填します』



ちひろ『おはようございます、夏樹ちゃん、李衣菜ちゃん』

李衣菜「おはようございますちひろさん!」

夏樹「ゆうべのデートはどうだった?」

ちひろ『期待外れでしたね。もう少し搾り取れる相手だと思ってたのですが』クスクス

夏樹「怖いこと言うなよ。いつか手痛いしっぺ返しくらうぜ?」

李衣菜「でもちひろさんらしいや! 金に汚…」

ちひろ『なにか?』ニッコリ

李衣菜「いえ! 何でもないです!」


ちひろ「それは良かった。では……」

P「千川さん。ドロップをお願いします」

ちひろ「おっと、無駄話が過ぎましたね。司令官から許可をいただいたので、これよりドロップを開始します」カチッ


ギュン


夏樹「おっと」フラッ

李衣菜「うわっ!」グラッ


ガチン

ガキン


ちひろ「ドロップ完了」

P「パイロットのシンクロナイズをお願いします」

ちひろ「了解、シンクロ開始!」


『パイロットのシンクロナイズを開始します』


夏樹「出動準備よし。いつでも行けるぜ」ピッピッ

P『司令官より、機体の着水を確認しました。ブレイン・ハンドシェイクを行ってください』

ちひろ「はい! 15秒後にブレイン・ハンドシェイクが開始されます!」


『ブレイン・ハンドシェイクまで残り15秒。14、13、12、11……』


夏樹「さあ、アタシの頭に入ってきな」

李衣菜「いいや、お先にどうぞ? 年寄りを優先しなくっちゃ」ニッ


『5、4、3、2、1……開始』



ゴオッ



李衣菜(――『イェーガー』のパイロットは、2人もしくはそれ以上の人数で分担される)

李衣菜(――ひとりで操縦するには脳の負担が大きすぎるから、基本的には2人で右脳と左脳をそれぞれ担当する)

李衣菜(――そのために開発された技術が『ドリフト』)

李衣菜(――パイロット2人の意識をつないで、よりスムーズなイェーガーの操作を実現させる)

李衣菜(――パイロットたちの繋がりが深いほどドリフトは強く作用し、イェーガーは強くなる)

李衣菜(――記憶や感覚を隅々まで共有するから、お互いに自分のことが筒抜けになる。それは恥ずかしいけど…)

李衣菜(――でも、なつきちとのドリフトはあんまり嫌じゃない)


夏樹「右脳、調整中」グッ

李衣菜「左脳、調整中!」グッ


ガッシャン!


『ブレイン・ハンドシェイク、成功しました。リンクは両者ともに安定しています』


夏樹「だりー。こうしてお前とドリフトするたびにさ」

李衣菜「どしたのなつきち?」

夏樹「……言わなくてもわかってんだろ? 脳が繋がってんだからよ」

李衣菜「なんだよなつきちー、教えてよー?」

夏樹「わかったわかった。だりーってば、アタシと一緒に戦うためにすっげぇ頑張ってたんだって思わされるんだよ」

夏樹「アタシも愛されたもんだな……ってさ」

李衣菜「へへっ。だってなつきち、すっごくカッコいいんだもん! なつきちと肩を並べて戦うの、ずっと夢だったんだよ!」

夏樹「……だから、言わなくてもわかるっての」ポリポリ



P『司令官より。KAIJUの撃退を第一に、迅速な行動を心がけて下さい』

夏樹「船はいいのか? 人の乗ってる漁船があるみたいだぜ」

P『何百万人もの命がかかっているのに対し、そちらは十数人ほどです。より多くの人命を救うことを考えてください』

李衣菜「むっ……」


李衣菜「……なつきち」

夏樹「だりー、何回も言ってんだろ? 脳が繋がってるんだから言いたい事くらい分かるって」

李衣菜「じゃ、いいよね?」

夏樹「ああ。だりーのそういうとこ、本当にロックだよ」

李衣菜「えへへっ。じゃあ、そう言うことで!」


夏樹「ああ。釣りに行こうぜ!」



だりなつ「「……」」スウッ





「「 行くぞおおおおおおおおおおおおおっ!!! 」」





李衣菜(――自然の猛威と戦うことはできない)

李衣菜(――ハリケーンが襲ってきたら、逃げなくちゃいけない)

李衣菜(――でもイェーガーに乗っている時はハリケーンと戦うことも出来るし)

李衣菜(――勝つことも出来る)


李衣菜(――そして私は、ずっと追いつきたかった憧れの人でもあり、最高の相棒でもあるなつきちと)

李衣菜(――お腹の底から思いっきり叫びながら、荒れ狂う海を駆けていった)




李衣菜(――それが)


李衣菜(――どうして、こうなってしまったんだろう)



----------


夏樹「嘘だろ!? ナイフヘッドの野郎、まだ生きていやがるのか!」

李衣菜「プラズマ砲を押さえられた!? なんでここからプラズマ砲を出すって知って――」


ベキリ


李衣菜「――アアアアアアあああッ!! 腕があっ!」

夏樹「だりー!」



李衣菜(――KAIJUは、これまでの奴等よりずっとずっと強くなっていた)

李衣菜(――いや、違う。『賢くなっていた』)

李衣菜(――まるで私達の武器について熟知してるみたいに、プラズマ砲を避け、イェーガーの拳をすり抜けて)

李衣菜(――私達の乗っているコックピットの位置を完全に理解して、そこばかり執拗に噛みついてきた)


李衣菜(――そして――)


ガシャン


夏樹「っ!」

李衣菜「コックピットが……!」

夏樹「くそっ! だりー、聞け! アタシ達は――」


ドスッ

ベリィッ


夏樹「―――あアアアアああっ!?」

李衣菜「なつきちいいいっ!!?」



李衣菜(――KAIJUに引きずり出されて、なつきちは『めちゃくちゃ』になった)

李衣菜(――ドリフトは『最期まで』続いていた)

李衣菜(――なつきちの感じた痛み、恐怖、そして……『終わり』)

李衣菜(――それが全部、私の脳内に飛び込んできたんだ)


李衣菜(――残った私はガタガタ震えた体でひとり、なんとかKAIJUにとどめを刺して……)

李衣菜(――あとはもう、覚えてない)


李衣菜(――それからも)


李衣菜(――KAIJUは賢くなって、イェーガーを次々と破壊していった)

李衣菜(――KAIJUはおもちゃじゃ無くなった)

李衣菜(――イベントは再び世界の危機へと戻ってしまった)



李衣菜(――人類は再び、恐怖のどん底に落とされてしまった)



一旦ここまで。

チェルノの殴るしか能のない戦闘スタイルが大好きです。


――――――――――――――――――――


李衣菜(――あれから、どれくらいの時が過ぎたんだろう)


ピッ


『次のニュースです』

『国際連合は"命の壁"の建設が最終段階に入ったことを告げ、イェーガー計画への資金援助の終了を正式に宣言しました』

『現在イェーガーの製造はすべて打ち切られており、未だ残っている機体は全て命の壁が完成するまでの防衛のため香港に移送されます』

『また、イェーガー計画に用いられるパイロット…通称『アイドル』は未成年の女性が多くを占めていたことから人権上の問題を含んでいるとされ、現在も直ちにイェーガー運用を中止しろとの声が多数上がっています』


李衣菜「……」


ピッ


李衣菜「…学校いこ」


李衣菜(――イェーガーを使ったKAIJU退治が確立されてから、『アイドル』を選ぶ基準はものすごく単純になっていた)


李衣菜(――『ドリフトの才能』、あと『戦闘技術』)


李衣菜(――ただそれだけ)


李衣菜(――最初はケガしたり被爆したりすることが多かったから、アイドル…いや、この頃は単に『パイロット』だっけ…はほとんど大人の男の人の仕事だったけど…)

李衣菜(――技術が進んでいくにつれて、パイロットはだんだん安全な仕事になっていって)

李衣菜(――あとは『男だけがパイロットを行うなんておかしい』なんて声もあって)

李衣菜(――段々ドリフトの才能が男の人より優れていた女の人が、より多く『アイドル』として戦うようになった)


李衣菜(――そして、ドリフトの才能は年が若いほど発揮されやすいみたいで)

李衣菜(――最盛期には私みたいな思春期の女の子が小遣い稼ぎ、もしくは遊び半分、もしくはかっこつけで)

李衣菜(――才能さえあれば、そんなふざけた理由でもアイドルになれて、世界中を飛び回れて、イェーガーを操縦できて)

李衣菜(――大した覚悟もなくKAIJUと戦うことが出来た)


「おはよー」

「おはよう李衣菜ちゃん」

李衣菜「ん…おはよ」

「イェーガー計画……中止されちゃったね」

「李衣菜ちゃんはもう乗らないの?」

李衣菜「……」

「おいよせよ! 多田は相棒を亡くしてるって言ってただろ!?」

「あっ…ご、ごめん李衣菜ちゃん!」

李衣菜「……別に。気にしてないよ」



李衣菜(――少し前まで、私は学校のスターだった)

李衣菜(――ドリフトの才能があって……なつきちと一緒に戦いたいって気持ちだけでがむしゃらに努力して)

李衣菜(――ただそれだけの、普通の女の子だったのに)


~昼休み~


「…ん? おい! 見ろよあれ!」

「嘘…命の壁が?」

李衣菜「……?」


『――緊急速報です! オーストラリアにKAIJUが出現しました!』

『――KAIJUはシドニーに建設された"命の壁"を短時間で破壊!』

『――香港に出発する直前だった"ストライカー・エウレカ"およびアイドル2名によって撃退されるまで街を破壊しつくしました!』


李衣菜「!?」

李衣菜(嘘でしょ!? "命の壁"じゃいつまでも持ちこたえられないって思ってはいたけど……こんなに早く!?)


『"ストライカー・エウレカ"を担当したアイドルは日本人の少女2名』

『"渋谷凛"さんと"本田未央"さんです』

『渋谷さん! 本田さん! 今日の敵は強力でしたか!?』

『命の壁およびイェーガー計画の中止についてどう思いますか!?』

『"アイドル"の多くを未成年の女の子が務めていたことについて何かコメントを!』

『御二方がアイドルを志願した理由は御友人の仇を討つためと聞きましたが!』


未央『ちょ、ちょっと待った待った! そんなにたくさん質問されても答えきれないって! 落ち着いて!?』

未央『あとしぶりんには聞かないで! 質問なら未央ちゃんが答えるから! だからインタビュアーさんそっち行かないでって!?』


『渋谷さん、少しでもいいのでコメントをお願いします!』


凛『……』スッ


パシッ


未央『待ってしぶ―――』


凛『…イェーガー計画がKAIJUとの戦いに有効じゃないのは、弱くて情けないアイドルのせいだ』

凛『優秀なアイドルさえいれば、イェーガーはこれまで通りKAIJUに対して強力な兵器になれる』

凛『雑魚を一掃してくれて、私はむしろスッキリしてるよ』


凛『KAIJUは私達が全部倒すから。甘ったれの元アイドルたちはそこで指をくわえて見てなよ』ポイ


未央『あー……うん! 以上! チームエウレカでした!』

未央『あとは私達が頑張るから、今まで頑張ってくれたアイドルの皆さんはゆっくり休んでてね!? 本当にお疲れさま! それじゃ!』フリフリ


『えっと……スタジオにお返しします!』


李衣菜「……」

李衣菜(『弱くて情けないアイドル』、か……)


「おいおいマジかよ……」

「命の壁なんて本当に信用できるのか……?」

「やっぱりイェーガーに戦ってもらう方が良かったんじゃ……」


「「「…………」」」チラリ


李衣菜「っ!」ビクッ



李衣菜「……ごめん。私、帰るね」ガタッ



李衣菜(――そうだ。私は渋谷凛の言う、まさに『弱くて情けないアイドル』だ)

李衣菜(――全然ロックじゃない。特別な才能があると分かって、浮かれてただけの)

李衣菜(――覚悟も何もなかった、ただの女の子……)


李衣菜(――戦えるわけがないよ……!)


李衣菜「……」


ガヤガヤ

フシンシャ…?

キミ、イッタイココデナニシテタ?

イエ、ワタシハ…


李衣菜「……?」


李衣菜(何だろ……? 校門前で誰かがお巡りさんに捕まってる……)

李衣菜(……)

李衣菜「!?」


李衣菜「な、なんでここに……!?」



P「……」

李衣菜(なんでここに司令官が!?)


一旦ここまで。

しまむーPの皆さんごめんなさい


~喫茶店~


P「……助けていただきありがとうございました」

李衣菜「すごく懐かしい風景でしたよ……久しぶりですね、司令官」ペコリ

P「こちらこそ。お久しぶりです、多田さん」ペコリ

李衣菜「……それで? 司令官はどうして私に会いに来たんですか?」

P「はい。本日は多田さんに、頼み事をしに来ました」

李衣菜「……」





P「もう一度、アイドルになっていただけませんか?」


李衣菜「……やっぱり」


李衣菜(――そのあと司令官は、最近のイェーガーやその周りについて簡単に話してくれた)

李衣菜(――ニュースでやっていた通り、イェーガーがいらないと言う声によって製造が中止されたこと)

李衣菜(――私となつきちが負けた後もイェーガーはKAIJUに破壊され続け、今は4体しか残っていないということ)


李衣菜(――そして、司令官たちは国連からの支援を断りレジスタンスとして活動していること)

李衣菜(――近いうちに、残ったイェーガーを使った大きな作戦が行われる予定だということ)



P「―――多田さんには、その4体のうち1体の操縦を依頼したいのです」

李衣菜「……あの。その話、何で私に持ちかけたんですか? 元アイドルは他にもいっぱいいますよね?」

P「現在生存している元アイドルの中で、貴女が一番適していると判断したためです」

李衣菜「……ええ……?」


李衣菜「……」ガタッ

P「…多田さん」


李衣菜「……ごめんなさい、プロデューサー」

李衣菜「私…まだ覚えてるんです。なつきちが死んだときのこと」

李衣菜「最期まで意識が繋がったままだったから、なつきちの感じた痛みや恐怖を……私も知ってるんです」

李衣菜「……もう誰かを頭の中に入れるのは嫌なんです」


李衣菜「それに……」


李衣菜「私、司令官が思うようなすごい人間じゃないですから。ただなつきちに付いていくだけで精いっぱいで、今はそれすらできない……」

李衣菜「……ただの臆病な女です」


P「……」

李衣菜「声をかけてくれてありがとうございました。私に期待してくれて嬉しかったです」

李衣菜「応えられなくてごめんなさい……それじゃ」ガチャ


P「待ってください」


李衣菜「……」ピタ

P「多田さんのお話は理解しました。多田さんがアイドルに復帰することを望まないのなら、無理強いはしません。次の候補の方に話をしに向かいます」

P「ですが……最後に一つだけ質問をさせて下さい」

李衣菜「……何ですか?」


P「KAIJU達は日々進化し、次々と街を襲っています。いずれこの国も奴等の手にかかり、世界は破滅するでしょう」

P「…多田さん。貴女は……」



P「貴女はどこで死にたいですか」



P「ここでですか」

P「それとも、イェーガーの中でですか」



李衣菜「!!」


李衣菜「……ずるいですよ。そんな言い方……!」


――――――――――――――――――――


P「――ここが香港のシャッタードームになります」


P「話を受けて下さり本当にありがとうございます、多田さん」


一旦ここまで。

【1:40】 李衣菜「ジプシー・デンジャー」みく「発進にゃ!」

↑うんこ○周子ネキの

ダンジョン×プリンセス【終了】課金厨←

ハーレムカンパニー【何】空気【知名度死】例のSS死【人知れず】終了

ひつじ×クロニクル【婦女子シネ】←何本来の罰ゲーム?

【0:42】 李衣菜「ジプシー・デンジャー」みく「発進にゃ!」

inや枠のBBA化夢落ちは犯罪ナノデスよと

二次コラア屁にゃんだ

煽りとかじゃなくて純粋な疑問なんだけど自分で考えた要素が一つも無いものって書いてて楽しい?

>>45
書く側としては書いててというよりカッコいいシーンを好きなキャラで置き換えて頭の中で再生するのが楽しいって感じですかね?
パシフィックリムの場合「この二組ならドリフト出来るな」とか「このアイドル達ならクリムゾンタイフーンを使ってどんな風に戦うだろうか」とか、
そんな感じでアイドルと機体の組み合わせとか戦闘シーンとかあとアイドル2人で協力して一つの機体を動かしてる様を考えるのがすごく楽しいです。

これだけなら一人で妄想してればすむ話だけど、個人的にはやっぱりクロス妄想は共有できた方が楽しいし
断片的に単発のシーンだけ妄想して話すより形はどうあれストーリー形式にまとめた方が細かいところまで映像が浮かんでくるから実際に書いて投稿してみることにしました。
あとはコメントでコメントした人なりの戦闘シーン妄想とか聞ければ最高ですね。


ただパシリムの場合実際に映像がついてこそのシーンってものが多いだろうし、キャスティング妄想自体本来は絵がついてこそだろうし、
だから文章のみで一言一句完全コピーは確かに見ててつまらないだろうな…とは思うので、少しは工夫を入れようと思っています。
キャラごとに言いそうなセリフやありそうなキャラ背景を合間に挟むとかチェルノやクリムゾンの出番を増やすとかりんみお描写を入れるとか。

冒頭のだりなつ出撃は後から考えてみてあまりにもあんまりな出来だったので、ここから先はもう少しマシな描写が出来るように気を配ろうと思います。


回答としてはこんな感じでしょうか? 答えになってなかったり上手く説明できてなかったりだったらごめんね。


投下します。

クリムゾンタイフーンは作者の好みで少しだけ改造していますので、それが苦手な方はごめんなさい。


~シャッタードーム内~


李衣菜「それで……私はこれから何をすればいいんですか?」

P「多田さんのコーパイロットの紹介を行う予定ですが……その前に、施設を一通り見て回っていただきます」

P「まずは私について来て下さ……」


「待ってくれ、私も入る!」


P「……どうぞ」


「ふー……すまないが、エレベーターにはKAIJUのパーツも入れたい。君達、少し端によってはくれないか」

P「分かりました」スッ

李衣菜「ど、どうぞ」スッ

「よし! それじゃあ運び入れてくれ!」


「本当にすまないな。私の都合で窮屈な思いをさせてしまって……」

李衣菜「え? い、いいよ別に! これぐらい気にしないって」

李衣菜(結構しっかりした子だなあ…背はすごく小さいのに)

李衣菜(眼鏡に白衣? もしかして何かの研究者? いやでも、こんなに小さい子が?)


「……ところで、そっちの女子は見ない顔……いや、どこかで見たことがあるな。新しい職員か?」

P「多田李衣菜さんです。木村さんと共にジプシー・デンジャーの担当としてアイドルを行っていた……」

「おお、そうだ夏樹の相方か! それじゃあ彼女が新しいパイロットと言うわけだな!」

李衣菜「う、うん。あの司令官、この子は……?」

「『この子』とは少し失礼な言い方だな! 齢14の身ではあるがれっきとした研究者だぞ!」

李衣菜「ええっ!?」

P「……コホン」


P「紹介します、多田さん。こちらの方はイェーガー開発に携わる研究者の一人―――」

P「―――池袋晶葉さんです」


晶葉「よろしくな、李衣菜」

李衣菜「よ、よろしく……お願いします?」


晶葉「そうだ司令官! 君、もしかしてこれから李衣菜にドームの案内を行うのか?」

P「ええ、その通りですが……」

晶葉「なら私にやらせてくれ! 紹介したいものがたくさんあるんだ! 特に私が開発に協力したイェーガーとかな!」

P「……」フム


P「…多田さん。私は貴女のコーパイロットを迎えに行きますので、その間池袋さんに付いて施設を回ってもらってもよろしいですか?」

李衣菜「別にいいですけど……」

P「ありがとうございます。では池袋さん、多田さんをよろしくお願いします」ペコリ

晶葉「うむ、任された!」


ガシッ


李衣菜「ちょっ!?」ビクッ

晶葉「さあ行くぞアイドル李衣菜よ! まずはイェーガーの格納庫だ! 担当アイドルも集まっているはずだ! ほら急げ!」ワクワク

李衣菜「え、ちょ、ま、あああああああああああ」ズルズル


P「……」



P「……無事に戻ってくるといいのですが」

「すんませーん、このパーツどうすればいいっすか?」

P「ああ、それは―――」


――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――


李衣菜(――池袋晶葉って言う14歳の研究者は、そのまま私の手を引いてどこかに引っ張っていった)

李衣菜(――いまいちテンションが上がらなくて戸惑ってばかりだった私は、気付けば大きな扉の前に立っていて)

李衣菜(――それが開くと、ものすごく広くて大きい空間と)

李衣菜(――あと、目立つ色のロボット……イェーガーが私の目に飛び込んできた)


李衣菜(――それはやっぱり凄くて、上手く言葉にできないけどとにかくすごくて……)

李衣菜(――それまで抱えていたもやもやした思いや、まだ捨てきれてなかった迷いが)

李衣菜(――一瞬だけ、私の頭の中から完全に消え去ってた)



晶葉「さあ、懐かしい景色だろう? 李衣菜よ」

晶葉「これこそがロボット、鉄の巨人、正義のモンスター!」

            イェーガー
晶葉「―――ロマン溢れる狩人達だ!!」


晶葉「君の乗るイェーガーは現在調整中だ、だからここにはない」

晶葉「代わりに残り三機と自慢したい特徴、そして共にKAIJUと殴り合った歴戦のアイドルたちを紹介しよう!」

晶葉「そうだ、歴戦のアイドルだ! 君も聞いただろう? イェーガーは30機もあったのが、現在ではたった4機だ」

晶葉「だがな! その4機は生き残ったのだ! 進化していくKAIJU共とまともに渡り合い、そして勝利をおさめた!」

晶葉「そして各々がとてつもなく個性的! ああ素晴らしい! これ以上は私が耐えられん、さっさと紹介しよう!」


晶葉「正面を見ろ!」


晶葉「あそこにあるバケツ頭が見えるか!? ゴツいだろう!? 余計な武装は一切なしの第一世代、まさにプロトタイプの量産型!」

晶葉「それでいてシベリアの防護壁を守り続けた圧倒的強者!」


晶葉「―――『チェルノ・アルファ』!!」


チェルノ・アルファ


全高:85メートル

重量:2,412トン

武装:高出力テスラ・コイル(両腕)、火炎放射器(両肩のタービンより噴射)x2、握力強化グリップ、スプリング機構(両腕)

装備:固定用アンカー(両足)、高熱核タービンx2(両肩)、空気スキャン装置他


アイドル:新田美波

Coアイドル:アナスタシア


李衣菜「おおおっ! でかい! ごつい! ロックだ!!」

晶葉「そうだろうそうだろう!? 小細工ナシの超重量タイプだ!」

晶葉「そして、前を歩いている2人! あいつらがチェルノ・アルファを操るアイドル、新田美波とアナスタシアだ!」

晶葉「美しく麗しいことでも有名な2人だが、戦闘となれば奴等はたちまち百戦錬磨の戦士と化す!」

晶葉「見た目からは想像も出来ない豪快な攻めの姿勢がいくつものKAIJUを叩き潰してきたんだ!」

李衣菜「すっっっごい……! ね、ねえ! 他には!? 他には何が残ってるの!?」


晶葉「フフフ……そうだな……エウレカとクリムゾン、どちらを先に紹介するか……」

李衣菜「クリムゾン……クリムゾンタイフーン!? あの三本腕の赤いイェーガーだよね!?」

晶葉「その通りだ! 右2本左1本の左右非対称が美しい紅き暴風……だがな、私はこれに新たなギミックを加えた」

李衣菜「?」


晶葉「君も知っていると思うが……クリムゾンタイフーンは3人乗りのイェーガーだ」

晶葉「基本2人乗りのイェーガーにしては邪道も邪道、まさにゲテモノ機。まあトリオでドリフトを行えるアイドルは割といたから、パイロットにはそこまで困らなかったがな」

李衣菜「ふんふん……」コクコク

晶葉「だが……こういう話を知っているか?『クリムゾンタイフーンは、元々4人乗りを想定したものだった』と」

李衣菜「4人?」

晶葉「ああ。本来は4本腕の4人乗りを作るつもりだったらしい。だが、流石に4人でドリフトを行える者は……まあ、いることにはいたんだが」

晶葉「それでもイェーガーの力を発揮しきれる組み合わせだったかと言うと微妙なものだったんだ。だから、かつてのクリムゾンタイフーンは3人乗りになった」

李衣菜「それって……今は4人で操れるってこと?」

晶葉「ああ!」


晶葉「4人ユニットの発見と同時に腕をもう一本『右に』追加した!」

晶葉「基本は右3:左1の構成だが……おっと、この先はまだ内緒にしておこう!」

晶葉「メタな事を言わせてもらうとクリムゾンタイフーンの奇数腕の構成を変えたら『二次のオリジナル改造とかいらん』みたいな感じでファンにメチャクチャ叩かれそうでちょっと怖かったがアイマスじゃトリオなんて珍しくもないしどうしてもこの4人ユニットに操縦させたかった! あと原作の三つ子に一番雰囲気が似てると思ったのがこの4人だった!!」


晶葉「そして生まれたゲテモノ中のゲテモノ、そして多数のアイドル達による『サンダークラウドフォーメーション』ほか様々なギミック・技巧を駆使しトリッキーに攻める中国機!」



晶葉「―――『クリムゾン・タイフーン』!!」



クリムゾン・タイフーン(暴風赤紅)


全高:76メートル

重量:1,722トン

武装:回転式ソーサー×『3』(右腕2本、『第四の腕』)、大型回転式ソーサー(左腕)、高出力プラズマ・キャノン(左腕)、液体窒素砲(左腕)

装備:モノアイ型頭部カメラ(テレソコープ兼用)、防御用アーマー(左胸&左肩)、液体型ソフトウェア・システム他


センターアイドル:工藤忍(左腕担当)

Coアイドル:綾瀬穂乃香(右腕1担当)、桃井あずき(右腕2担当)、喜多見柚(第四の腕担当)



李衣菜「……なんで右に3本もつけたの? 普通に2:2で良くない?」

晶葉「バカを言え! クリムゾン・タイフーンはあの左右非対称なところが最高にカッコいいんだ!」

晶葉「小さい代わりに複数に分かれた右腕! 一本が大きく堂々と携えられたトドメ用の左腕!」

晶葉「たった一本の太く力強い腕を敵の巨体に突っ込んでプラズマキャノンをぶっぱなすんだ! これこそロマンだろう!?」

李衣菜「アッハイ」


晶葉「……そして、オーストラリアの『ストライカー・エウレカ』。唯一の最新マーク5であり、最新式の装備を多数揃えている」

晶葉「見た目はかなりスマートだな」


ストライカー・エウレカ


全高:76メートル

重量:1,750トン

武装:チャージ式(イオン)・メリケンサック(両拳)、高熱スティング・ブレード(両腕)、対怪獣用6連ミサイル(胸部)、速射性プラズマライフル(ブレード部)

装備:姿勢制御用連装”エンジェル”・ウィング(背部)、背面ジェット(ウィング後部)、脱出用ポッド(右肩)他


アイドル:本田未央

Coアイドル:渋谷凛



李衣菜「……大丈夫? テンションが前二つと全然違うけど……」

晶葉「……メタ発言を多用するのは自分でもどうかとは思うしこの場限りだと思うから堪忍してくれ」


晶葉「作者がチェルノとクリムゾン大好きなんだ。ドバドバ溢れ出る脳汁を抑えられなかった」


今日はここまで。メタ発言はもうやらないと思うので、今回ばかりは許してください。

あとクリムゾンはどうしてもフリスクに操縦させたかったんです。

よくもなつきちを殺したな

>>67
ゴメン。注意が遅いとは思うけど、まだ死人が出ます。

では投下します。


晶葉「さてと。君のチームメイトを紹介し終えたところで、最後に君のイェーガーを紹介しよう」

晶葉「……いや、『紹介』ではないかな?」ニヤリ


――――――――――――――――――――


晶葉「こっちだ。あそこで最終調整を受けている機体……見えるだろう?」

李衣菜「……!」


李衣菜(――火花を上げて溶接されていた第4のイェーガー)

李衣菜(――紹介も何も、私が一番良く知ってる機体だった)


李衣菜「ジプシー・デンジャー!?」

李衣菜「メチャクチャに壊れてた筈なのに! まるで新品みたいじゃん!?」

晶葉「ハッハッハ、新品よりいいぞ! コアはダブルニュークリアリアクター、これただ一つさ!」

李衣菜「ウッヒョー! こんなにロックになって……なって……」


李衣菜「……あれ?」


晶葉「ん? どうした李衣菜」

李衣菜「いやあの……気のせいかな? ジプシーの頭のところ……」

李衣菜「多分後ろの機材が重なってるとか……そんな感じだと思うんだけど……」

晶葉「……ああ!」





晶葉「あのネコミミのことか」





李衣菜「」


李衣菜「えっ……ちょ、待って!?」

晶葉「動揺する気持ちはわかるぞ。私も正直付けるべきかどうか迷った」

李衣菜「ままま待って!? ほんとに言ってる!? あれ本当に猫耳なの!?」

晶葉「ああ、間違いなく猫耳だ。頭部にしっかりと溶接されているぞ」

李衣菜「誰だよあんなデザインにしたやつは!? 全っ然カッコよくないじゃん!」


「どう? 新しく生まれ変わったジプシー・デンジャー……とってもカワイイでしょ!」


李衣菜「!?」クルッ

晶葉「おっと……噂をすれば、だな」

「晶葉チャン、この子は?」

晶葉「君の相方だよ。彼女が今日この基地にやって来た多田李衣菜」

晶葉「そして李衣菜、彼女が君のコーパイを務める……」



みく「前川みくにゃ! よろしくにゃんっ♪」



李衣菜「よ、よろしく……?」


みく「へー、あなたがジプシーデンジャーの元アイドル? この人がみくの……」ジー

李衣菜「……?」

みく「……」ムスリ

李衣菜「な、なに?」

みく「……ふんっ。気の抜けた顔にゃ」

李衣菜「…はあ!?」


みく「他のパイロットはみーんな、緊張感や使命に燃えた顔をしてるにゃ」

みく「それなのに……李衣菜チャン、だっけ? 素人同然の に わ か く さ い 顔してるにゃ」

みく「本当に元アイドルなの?」

李衣菜「ちょっ……いきなりなんなのさ人の事気の抜けたとかにわかとか!」

李衣菜「そう言うそっちだってさっきから『にゃ』とか……その頭の猫耳とかふざけたもの使ってるじゃん!!」

みく「んにゃあ!? みくのネコは遊びじゃないにゃ!」

李衣菜「どこが!? そんな猫耳……猫耳!? まさかジプシーに猫耳をつけたのって!?」

みく「ふふん、バッチリなデザインでしょ!」

李衣菜「お前か!! お前か!? ジプシーに あ ん な も の くっつけたのは!?」

みく「にゃ!? 何にゃ『あんなもの』って!? ふぬけ面でそんなこと良くいえるにゃ! アイドルをなめないで!」

李衣菜「こっちのセリフだよ! アイドルをなめないでよ全然ロックじゃないじゃん!」

みく「なーにがロックにゃ李衣菜チャンからはロックなんてもの全然感じないにゃ!」

李衣菜「なにをおおおっ!?」


ワーワーギャーギャー


晶葉「驚いたな……資料を見た時は合わないと思っていたが……」


P「前川さん! 多田さん! 何があったのですか!?」

みく「あっ! Pチャン!」

李衣菜「司令官!」

P「ああ、既に顔合わせは済んでいるのですね……なぜ口論を?」

みく「それにゃ! Pチャンにお願いしたいことがあるにゃ!」

李衣菜「私もです司令官!」

P「え……な、何でしょうか?」



みくりーな「「こんなのが私(みく)の相棒だなんて信じられない(にゃ)!!」」

みくりーな「「こんなもの!!」」

みくりーな「「即刻!!」」



みくりーな「「解散だ!」にゃ!!」



晶葉「こんなにも息がぴったりだとは……」


一旦ここまで。

前川さんはこれでも大マジメです。


~ランチタイム~


李衣菜「……全く! なんなんだよあの前川みくって子!」プンスカ

李衣菜「ネコが好きだからって自分が猫になるだけならまだしも、ジプシーにまで猫耳をつけるなんてありえないよ!」

李衣菜「色はボディーに合わせてたからまだマシなものの……あれじゃ青いまま耳の生えたドラえもんだよ!?」

李衣菜「あ~~~ありえないありえないあんなの本当信じられない~~~っ!!」ガシガシ

李衣菜「挙句の果てには私をにわかとか~~~!!」


『他のパイロットはみーんな、緊張感や使命に燃えた顔をしてるにゃ。それなのに……』


李衣菜「……」ピタ



李衣菜(……仕方ないでしょ。アイドルなんて、カッコいいからやってただけだったし)

李衣菜(今みたいに命がけの仕事なんかじゃなかったし……)

李衣菜(今日司令官の誘いを受けたのだって、どっちにしろ死んじゃうんだから仕方なく来ただけで……)

李衣菜「……」イライラ


「おーい! りーいなーっ!」

李衣菜「!」

李衣菜(この声は……!)


未央「ひっさしぶりー♪ 元気してた?」ガシッ

李衣菜「未央ちゃん! そっか、今エウレカのアイドルやってるんだっけ?」

未央「そーそー。この間の襲撃の時さ、あれお払い箱になって香港に行く前日だったんだよね! もーびっくりしちゃったよー」アハハ

李衣菜「テレビで見てたよー。すごくカッコよかった!」

未央「そう? ありがとっ!」ナデナデ


李衣菜「……」

李衣菜「……あのさ」

未央「ん? どしたのりーな?」

李衣菜「未央ちゃんはあの時……命がけで戦ってたんだよね? 昔と違って、死ぬかもしれないのに……」

未央「……あー」


未央「まあ、ね? でも相方が止まってくれなくてさー……ほっといたら無茶して死にそうだったから、私もやめるにやめられなくて」

李衣菜「そっか……」

未央「もう大事な友達を亡くしたくはないからね。腹決めて……あ」

李衣菜「……」シュン

未央「……ごめん、りーな。なつきのこと、ちょっと軽率だったね。ほんとごめん」

李衣菜「……ううん、大丈夫だよ未央ちゃん。未央ちゃんは悪くないよ」

未央「……」ウーン


未央「……よし! りーな、ちょっとこっち来て!」


――――――――――――――――――――


未央「ほいっ、これりーなの分のお昼ご飯ね! 味はこの未央ちゃんが保障しよう!」

李衣菜「あ、ありがとう。どのテーブルに座る?」

未央「ふふん、実は私達アイドルには特等席が用意されているのだよ多田君!」

李衣菜「特等席? って言うか、今どこか決まった席に向かってる?」

未央「うん!」

未央「……おっ! あれだよあれ! あそこの席!」

李衣菜「! あれって……!」



ラブライカ「――、――」ワイワイ

フリルドスクエア「――っ!」ガヤガヤ

晶葉「――」ペラペラ

凛「……」モグモグ



李衣菜「あれって……チェルノにクリムゾンに……未央ちゃんの相方?」

未央「うん! チームワークを強めるために、私がアイドルみんなでの食事会を提案したんだ」

李衣菜「なるほど……私も混じっていいの?」

未央「もっちろん! 私達、仲間なんだからさ!」


李衣菜「仲間……」

未央「うん!」



未央「ここにいる皆が、りーなの新しい仲間だよっ!」


今日…今日?はここまで。

パシリム本編だとローリーがやたら中国の三つ子にガン飛ばされてたよね。ドリフト失敗後はともかく最初の食事シーンでもやられてたよね。


李衣菜「未央ちゃん……!」

未央「ささっ、こちらの席へどうぞ李衣菜お嬢様? みんなー、新しい仲間を連れてきたよー!」


忍「未央ちゃん! 新しい子連れてきたの?」

美波「その子は確か、ジプシー・デンジャーの子かな?」

アーニャ「ズドラーストヴィチェ、ミオ。とっても、仲良しそうですね?」

未央「うん! りーなとは前に一緒に戦ったことがあるんだー」イタダキマース

柚「古くからの戦友ってわけですなー?」

未央「そーそー! 即席でコンビ組んでドリフトだってやったことあるんだよ?」

あずき「即興大作戦!? すごいねそれ!」

穂乃香「相性もいいんですね」

未央「えへへー、ズッ友ってやつ?」

晶葉「へえ、それは知らなかったな。2人のドリフトもいつか見てみたいものだ」


未央「それじゃあ改めて……この子は多田李衣菜! 今も昔もジプシー・デンジャーのご主人様なんだよ!」

李衣菜「よ、よろしくお願いします」


未央「んでこっちの美人2人がチェルノ・アルファのアイドル、みなみんとアーニャだよ!」

美波「新田美波です。メンバーの中じゃ一番お姉さんになるのかな?」

アーニャ「ミーニャ ザヴート アナスタシア……アナスタシアです。アーニャと呼んでください」


未央「そしてこの4人がクリムゾン・タイフーン担当! 四人一組でのドリフトを成功させた奇跡のアイドル!」

忍「工藤忍です。頼りにしてるよ李衣菜ちゃん」

穂乃香「綾瀬穂乃香です。一緒にKAIJUを退治しましょうね」

柚「喜多見柚だよ! おかえり!でいいのかなー?」

あずき「桃井あずき! KAIJU撃退大作戦、大成功させちゃおう!」


未央「そして博士……はもう会ってるんだっけ」

晶葉「ああ。施設を一通り紹介したぞ」


未央「最後に私の……最高の、パートナー。しぶりんだよっ♪」

凛「……渋谷凛」

未央「もーしぶりんったら不愛想なんだからー! もうちょっとカワイイ所見せてよう!」グリグリ

凛「いいよ別に。馴れ合うための食事会じゃないでしょ」

未央「いいじゃん仲良くしたってー!」


凛「……」ズイ

李衣菜「うおっ……!?」

李衣菜(なんかデジャヴ……?)


凛「ふーん。アンタがジプシー・デンジャーのパイロット?」

李衣菜「う、うん」

凛「話は聞いてるよ」



凛「この場で唯一『逃げた』奴だって?」



李衣菜「っ……」

未央「しぶりん! そーゆーこと言わないの!」

凛「なんで? 『サボってる間』に『腕が鈍った』アイドルに釘刺して悪い?」

未央「そ、そりゃそうかもしれな……いけど……」

凛「とにかく」


凛「李衣菜だっけ? ただでさえブランク抱えてるんだから、それ以上私の足引っ張らないようにしてね」ギロ

李衣菜「う……うん」シュン


美波「そこまでにしない、凛ちゃん?」

凛「……美波」

美波「凛ちゃんの言う事もわかるけど、李衣菜ちゃんも辛いことがあったんだから」

美波「私達だって李衣菜ちゃんと同じ事を経験したら、今まで通りアイドルを続けられるか分からないと思うの」

凛「……」


美波「それに、一度抜けたとはいえこうしてここに戻ってきてくれたんだよ」

美波「それってきっと、李衣菜ちゃんが必要とされてるってことなんだろうし……」


美波「李衣菜ちゃんがここに来る決意をしてくれたこと……私はそれ、とっても偉いことだって思うな」

美波「……ねっ?」ニコ


李衣菜「美波さん……!」

未央「おお、さすが最年長……!」

凛「……分かったよ」ハァ


凛「これから李衣菜に作戦の説明するんでしょ? ……さっさとやっちゃうよ」フイ

美波「うんっ♪」


李衣菜(――重くなった空気を、美波さんがなんとかしてくれた後)


李衣菜(――ここで皆が何をするか、KAIJUと戦うために司令官たちがどんな作戦を立てたのか)

李衣菜(――私やジプシー・デンジャーが何をするべきなのか、皆が簡単に説明してくれた)


美波「一言でいえば、私達がするのは『裂け目の爆破』。KAIJU達が出てくる次元の裂け目に爆弾を投下して、この世界に出現できないようにするの」

未央「私としぶりん……つまりエウレカね。エウレカが核弾頭を持ってポータルまで運んで放り込む仕事をするんだよ」

忍「そして私達クリムゾンとチェルノ、ジプシーはその護衛をするの。核を背負ったままじゃ満足に戦えないしね」


李衣菜「核? 司令官はここのこと『抵抗軍』って言ってたけど……用意できるものなの?」

美波「アーニャちゃんが調達できちゃうの。……詳しくは聞かないで」フイ

アーニャ「ダー! アーニャにお任せ、ですね?」ニコニコ

李衣菜(……ロシアこわい……)


晶葉「今説明したのが主な作戦だ。あとは作戦開始前にKAIJUが現れた場合、それと交戦して本部を守る仕事もあるな」

晶葉「説明し忘れていたが、格納庫入口のタイマーは見たか? 黄色いデジタルタイマーだ」

李衣菜「うん。確か14時間くらい経ってるって表示だったよね?」

晶葉「あれはKAIJUが最後に現れてから14時間経っているという意味だ。襲撃があるごとにリセットされる」

穂乃香「時間が進むたびに襲撃の可能性が高まりますから、緊張感を高めるために設置されているそうです」

李衣菜「なるほど……」

晶葉「そして、襲撃の頻度は最近ますます多くなっている。正直、気分のいいものではないな」


李衣菜「……次はいつ来るの?」

晶葉「……よく聞いておけ李衣菜。一応、次の襲撃までの時間が研究チームによって予測されているが……今から言うのは『遅くとも』の話だ」



晶葉「一週間後」



晶葉「それまでには次のKAIJUがやってくるぞ」

晶葉「それも、昔とは比べ物にならない強さのな」


今日はここまで。

まさかのなつきち曲だったね


やっぱりフジテレビの放送を受けてかな。
小説版だと、三兄弟の末っ子は生きてるんだよね確か。
怪獣はどうなるか…?

>>92
数か月前に一度DVDを借りてみて「*でいけるな」と思いたったんですが、
ハマるのが遅かったかなー…と思って一度断念したんです。
でも先日の土曜プレミアムでもう一度見て再び火をつけられてスレ立てに踏み切りました。

あと最初DVDで見た時は話の淡々とした感じが気になってあまり面白く観ることが出来なかったんですが、
ストーリーを知ったうえでテレビ放送を見た時に「アクションSUGEEEEEEE!!」と言った感じで心を揺さぶられてしまったんですよねぇ…


李衣菜「一週間……!?」

晶葉「そうだ。だから、それまでに李衣菜とみくには戦力になってもらわなければ困る」

晶葉「……急な話なのは分かっているがな」


晶葉「ご馳走様、私はこれで失礼する。これから研究室でやることがあるからな」ガタ

凛「私もトレーニングに行ってくるよ。未央もちゃんと来なよ」ガタ

未央「はーい」


凛「それと、もう一度言うけど……私達の足を引っ張ったら許さないから」キッ

李衣菜「う、うん」

凛「……行こ、ハナコ。ご馳走様」クイ

ハナコ「クーン」トテトテ


柚「相変わらず、凛チャンは新人サンに厳しいよねー」アハハ

未央「ごめんよりーな。しぶりんも悪い子じゃないんだよ、頑張りすぎちゃうだけで」

未央「ただうちのチームも色々あってさ……いやホントごめん」

李衣菜「分かってるよ。迷惑かけちゃいけないってのは確かだしね」

李衣菜「……よしっ!」パン


李衣菜「クヨクヨしたり怯えたりするのはやめだっ! やめっ!! 時間は限られてるんだから、まずは遅れを取り戻さなきゃね!」グッ


柚「おおっ! いいね李衣菜チャン頼りになるぅ~!」

あずき「ふふっ、美波さんのフォロー大作戦がきいたね♪」

美波「そ、そんなに大したこと言ったかな?」アセッ

アーニャ「ダー、ミナミのおかげですね!」


~同時刻~


みく(もー…Pチャンも頭が固いにゃあ。いくら解散させてって言っても『駄目です』の一点張りだし……)スタスタ

みく(ああもう! 李衣菜チャン、ほんっと信じられないにゃ! みくのネコミミをバカにするなんて!)プンプン

みく(軽い気持ちでイェーガーに乗ってた李衣菜チャンなんかにバカにされたくないにゃ!)


みく「……あれはみくの決意なのに」



「――、――!!」ワイワイ

みく(あっ……もう皆集まってるにゃ。凛チャンはいないけど、もう食べ終わったのかな)

みく(うげえ、李衣菜チャンもいるにゃ。なんか気まずそうな顔してるのは……ははーん、凛チャンに何か言われたんだにゃ)

みく(ざまあみろにゃ。このままアイドルを辞退してくれればもっとみくに相応しいアイドルが……)


李衣菜「よしっ! クヨクヨしたり怯えたりするのはやめだっ! やめっ!!」


みく「……えっ?」


美波「ほ、本当に私は大したことなんて何も言ってないよ?」

李衣菜「ううん、美波さんのおかげだよ。私、どうすればいいか判断できないまま司令官に付いて来ちゃって……」

李衣菜「何もしないまま世界が滅ぶのはやだって、それくらいしか考えられなくて……死ぬ覚悟も出来てないのに、何とかしなきゃって……それしか考えてなくて」


李衣菜「だから、私が必要とされてるって言われてすごく嬉しかった!」

李衣菜「私がどれくらい戦えるか分かんないけど……なつきちみたいに戦えるかわかんないけど!」

李衣菜「少しでも皆の力になれるように頑張るから! 出来る限りだけど……みんなの足を引っ張らないようにするから!」


美波「李衣菜ちゃん……!」

未央「……さっすがりーな! 本調子に戻ったね!」

忍「昔からこんな子だったの?」

未央「うんっ! なつきが認めただけはあるでしょ?」

穂乃香「なるほど。伊達にアイドルを務めていなかったんですね」



みく「……」


みく「…ふーん。ただの金魚のフンだと思ってたけど、啖呵だけは立派なのにゃ」スッ

未央「おっ。みくにゃん遅かったじゃん」

アーニャ「みく! ズドラーストヴィチェ!」

李衣菜「げっ……」ウヘェ


みく「そのいかにも『うへぇ』って顔をやめるにゃ、李衣菜チャン」

李衣菜「パートナーの問題をすっかり忘れてたんだよ……この空気読まないセンスもない猫耳と一緒に戦うってさあ」

みく「だ! か! ら! ネコミミをバカにしないで! ネコミミはみくの決意が詰まったデザインなのにゃ!」

李衣菜「どこが!? あんなの付けられたらKAIJUだってどう反応したらいいか分かんないよ!」

みく「にゃにい!?」


柚「ま、まあまあ! みくチャンだってカラーリングは妥協したらしいし!」

あずき「本当はピンク色にしたかったみたいだけど、『目立ちすぎて危ない』って却下されたみたいだよ?」

穂乃香「それに、私はいいデザインだと思いますよ。ぴにゃこら太みたいで……」

忍「話がややこしくなるから穂乃香ちゃんは黙ってよう?」


みく「そもそも! 李衣菜チャンがみくに意見するなんて100年早いにゃ! ここではみくの方がベテランなのにゃ!」

李衣菜「は、はあ!? 私だってなつきちとずっと戦ってきたし! ベテランはこっちでしょ!?」

みく「今日復帰したばかりの子が偉そうににゃー。みくは今日までずっと鍛えてたもん!」

李衣菜「うぐっ……そ、そうだ実戦は!? 戦闘経験はどうなのさ!? KAIJUを倒した数は勝てないよね!?」

みく「…………」

李衣菜「……あれ?」

未央「りーな、みくは戦闘未経験者だよ。ずっと相方いなかったし」

李衣菜「えっ……ぶふっ! 戦ったことないの!? 実戦経験ないのにあんな偉そうな態度取ってたの!?」

みく「う、うるさいうるさいうるさいにゃー! 夏樹チャンの金魚のフンで、しかも今の今までサボってた子よりましにゃ!」

李衣菜「違うもんね! 訓練なんて実戦にはずーーっと及ばないもん! 絶対私の方が強いよ!」

みく「みくにゃ!」

李衣菜「私だよ!」

みく「みく!!」

李衣菜「わたし!!」


「「ぐぬぬぬぬぬぬぬ!!!」」


忍「……大丈夫なのこの二人? 相性悪そうに見えるけど……」

アーニャ「アーニャ知ってます。喧嘩するほど仲良し、ですね?」

柚「司令官サンもすごい人選するよねー。仲が良いのか悪いのか分かんないや」

美波「どっちにしても、このまま喧嘩させちゃ不味いよね……?」


あずき「んー……そうだ!」

未央「おっ? あずきち、何かいいアイデアあるのかい?」

あずき「うん! この大作戦なら、2人のケンカを有効利用できると思ったの♪」


あずき「ほら、イェーガーのアイドルは皆するでしょ? KAIJUとの戦い方を覚えたり、アイドル同士の相性を見るためにも使ったり……」

穂乃香「ああ。『あれ』の事ですね」

あずき「うんっ!」






あずき「名付けて―――『イェーガー武士道対決大作戦』!!」





今日はここまで。

イェーガー武士道ってイェーガーの動きに沿ってないように思えるけどカッコいいよね。


~イェーガー武士道とは~


アイドルに課せられるトレーニングの一つで、一対一で組み合って行う棒術であり、
アイドルの精神研磨、肉体強化、戦闘技術の確立を兼ねた優れたトレーニングのことである。
五十二もの型があり、これらの型をマスターしてイェーガーで披露すると、鬼の様な攻撃力を体現する。
また棒術の実力が拮抗する者同士=相手の行動が予測できる者同士と言う理由で「ドリフト」が上手くいくと言われている。

ちなみにトレーニング場では主に棒術を使った試合形式のトレーニングが行われているが、棒術の他フェンシングやボクシング、さらには相撲まであるという。


――――――――――――――――――――


P「それで……前川さんと多田さんとで、イェーガー武士道の対決を?」

あずき「そうだよっ♪ イェーガー武士道が相性診断にどれくらい役立つか、2人とも知ってるはずだし……」チラッ



アーニャ「いい調子です、みく!」スッスッ

みく「オラアアアアアニャアアァアアアッ!!!」ビシュッ


美波「そうよ李衣菜ちゃん! 昔のカンを取り戻して!」カンッカンッ

李衣菜「せいッ! セイヤアアアァッ!!」ブンッ



あずき「それにケンカは思いっきりやらせてあげた方がスッキリするよ♪」

P「……それは、私も思います」

>>105ですね。確かチェルノ以外は全員持ってたかと。


美波「――よし! ウォーミングアップはこんなところかな?」ピタッ

アーニャ「Пойдите для него……ガンバって、みく!」ビッ

みく「うん! 李衣菜チャンをボコボコにして来るにゃあ!」フシャーッ

李衣菜「ありがとうございます美波さん! とっちめてきます!」ビシッ

美波「……ちゃんと寸止めするんだよ?」アハハ…


未央「お。そろそろ試合開始かな? 人も結構集まってきてるねえ」

凛「みんな何やってるんだか……」ハァ

未央「そう言うしぶりんだって見に来てるんじゃーん。……ま、見てなって」

未央「みくにゃんは知っての通りだけど……李衣菜も実は、けっこう出来る子だよ?」



あずき「では司令官、審判をお願いします!!」

P「分かりました。……では前川さん、多田さん。構えて下さい」


李衣菜「はいっ! ……みくちゃん。余裕ぶった面してられるのも今のうちだよ?」ニヤ

みく「その得意顔をぶちのめしてやるにゃあ…」スッ


P「では4ポイント先取した方を勝利とします。……決してやりすぎる事の無いようにお願いします……」



P「――始めッ!!」







 MIKU MAEKAWA VS RINA TADA





未央「さあ遂に始まりましたジプシー・デンジャーを操る相棒同士でのくだらないケンカから発展したイェーガー対決!」


未央「赤コーナーはイェーガー武士道やシミュレーションを始め様々な分野においてアイドル候補生でダントツの優秀な成績を修めイェーガーのアイドルの座を勝ち取った優等生『前川みく』!!」

未央「青コーナーは戦う目的こそ曖昧なもののかつての相棒と幾多の戦場を渡り歩き勝利を収め続けた百戦錬磨の戦士にして『憧れ』だけを胸にかの木村夏樹の隣に居座り続けたまさにロック・ガール『多田李衣菜』!!」

未央「見た目は共にタンクトップ姿のちょっとエロい食べごろ少女2人に過ぎない、しかし甘く見れば痛い目を見るのは必須!」

未央「果たして2人に秘められた実力は如何程の物なのか! そして司令官の見出した通り相性は良いのか!」

未央「その答えが今!! この場の全員に知れ渡ることになるでs」

凛「未央うるさい。静かにして」

未央「アッハイ」


李衣菜「……」ニジリ

みく「……」スゥ


「「……」」


李衣菜「フッ!!」ピタッ

みく「っ!」ビク


未央「(おっと李衣菜選手いきなりワンポイント! 初手を取られた前川選手、これは痛いか!?)」ヒソヒソ

未央「(今のをどう思いますかチェルノ・アルファ操縦士にして機体の圧倒的ハンデを己の実力でねじ伏せてきた新田美波さん?)」ヒソヒソ

美波「(戦闘の最初で集中力の差が出たことは、やっぱり実戦経験の有る無しが大きいわ。最初の最初であっても気を抜けば格好の的になることは変わらない……李衣菜ちゃんは、それをちゃんと理解しているのね)」

未央「(多田李衣菜選手、やはり腐っても戦士! 出鼻をくじかれた前川選手、次はどう動くのか!?)」


みく「ヤアッ!!」ブンッ

李衣菜「!!」カン

みく「フッ!」ビシッ

李衣菜「……!!」


未央「(と思いきや前川選手取り返した! 的確に相手の武器を叩き抑え込んでからの一本!)」

未央「(ここは技術の差でしょうか!? 暴風赤紅にて4人と言う通常の倍の人数をまとめるリーダー工藤忍さん、コメントをお願いします!)」

忍「(え、私も言わなきゃ駄目なの? それにリーダーって言うほどのことはしてないんだけど……)」

忍「(…でも、そうかも。みくちゃんはマジメだから五十二の型を片っ端から研究していって……どのタイミングでどの位置にどの型で打ち込めば相手を無力化できるか熟知してる。穂乃香ちゃんと似たような戦い方だね)」

未央「(お。ここで仲間の話をしますか……ちょっと話ずらすけど、4人での戦闘って実際どうなの? 大変?)」

忍「(仲間内でトラブルがあった時はドリフトの乱れも大きくて苦労するけど、万全状態ならいい事の方が多いよ)」

忍「(むしろ頭が多い分戦闘時の視野や手数、戦略も広がっていって……私ひとりだったら突かれてたような隙も防げて、それで命拾いをしたことも少なくないね)」

未央「(ほうほう、やはり脳ミソが4つある子は違いますなあ。作戦じゃ頼りにしてるからね)」

忍「(はいはい……あと脳ミソ4つって言い方はやめて、何か気持ち悪い)」


李衣菜「はあっ!」

1-2

みく「にゃっ!」

2-2


李衣菜「せいっ、はっ、とうっ!」

みく「ぐぐっ……うにゃあ!」

李衣菜「そこっ!!」グルンッ

李衣菜「……フッ!」ピッ

みく「くっ……」

2-3


みく「やあっ! はいっはいっはいっ!!」

李衣菜「とっ……!」

みく「とった! オニャアッ!!」ビシッ

3-3


未央「(おおっ! 静かな初戦とは打って変わって両者攻める攻める! 取って取られての繰り返しだあ!)」

未央「(火照った体でも全身が戦闘を覚えているようだスムーズな棒さばきの多田選手! 前川選手は連撃の中でも冷静な分析・戦術思考を忘れていない!)」

凛「……ふーん」

未央「(ね? ブランクこそ見えるけど李衣菜も結構やるでしょ?)」

凛「……そうだね」

未央「(『なつきちと一緒に戦いたい』一心できついトレーニングをこなしまくったんだってさ)」

未央「(一見うじうじしてたり見得ばっか張ってたり迷ってばっかだったりしてるけど、いざ『こう』と決めたら一直線でさ)」

未央「(ほんと、李衣菜はいい意味でバカ正直で真っ直ぐな子なんだって)」

未央「(なつきも気に入るわけだよ)」

凛「……」


李衣菜「やっ! はっ! くらえっ!!」ビシビシッ

みく「なんの! そこにゃっ! 組んで、からのっ……」

李衣菜「くっ!?」


みく「にゃああああああああっっっ!!!」ブンッ


ズダァンッ


未央「決まった! みくにゃんの背負い投げ!」

P「……そこまで! 4-3で前川さんの勝利です!」


李衣菜「っ……」ペコリ

みく「はぁっ……はぁ……」ペコリ


未央「みくにゃんが勝ったとはいえ、差は僅か……。2人とも分かったでしょ?」ニッ

P「今の組手で証明できた筈です。多田さんにとっても前川さんにとっても、自身の実力を高めてくれるのはお互いしかいないという事に」

みく「はっ……李衣菜チャンがやる子だってことは分かったにゃ。でも……」ゼエゼエ

李衣菜「それでも……っ、相性がいいなんて思えませんって……ぜぇ……」ハアハア

未央「意地っ張りだなあもう。どーする司令官?」

P「……では……」





李衣菜「――はぁ?」

みく「――共同生活?」



李衣菜(――こうして、お互いの意地をかけたケンカの末……)

李衣菜(――なんでこうなるのか、私とみくちゃんで同じ部屋を使わされることになった)

李衣菜(――元々別々の部屋をもらえてたのに、いつの間にか荷物も移されてるし!)

李衣菜(――『とりあえずドリフトテストまで様子を見る』って言われて、渋々従ったものの……)



『にゃああっ!? こんなにたくさんのヘッドホン持ってこなくていいでしょ!』

『李衣菜チャンは床で寝るにゃー』

『なんで煮魚なんて作るのにゃ!? みくはお魚苦手なの!!』

『はぁ!? 李衣菜チャン、ミント味だめなの!? どこがロックにゃ!』



李衣菜(――全っ然! 仲良くなれる気がしない!!)

李衣菜(――誰でもいいから代わってくれないかなぁ!?)


――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――


晶葉「――なるほど。そう言う経緯があって、今2人を共同生活させているのか」

P「はい。少し強引ですが、お互い歩み寄っていただければと思い……」

晶葉「ふむ……」


晶葉「……なあ、司令官よ。そこまでして推すようなコンビかあいつらは?」

P「……と、申しますと」

晶葉「言っている意味は分かるだろう?」

晶葉「確かに前川みくは優秀だ。そして優秀ながらも性格にクセのあるみくのコンビを選ぶにあたって、コーパイが絞られてしまうのも分かる。今現在において彼女と最も相性のいいアイドルは多田李衣菜だろう。日本から引っ張ってくるだけのことはある。それは認めよう」

晶葉「だが、そもそも何故君は前川みくをジプシーに乗せたがる? ケンカばかりする2人をなだめるより揃ってすげ替える方が早いのではないか?」

晶葉「時間がないのは君もわかっているはずだ。なのに、なぜこんな非効率的なことをする?」


P「……それは……」



ドオオオオオオン


P「ッ!?」ビクッ

晶葉「…あっ」


「オーッホッホッホ!! 後ろがガラ空きよ司令官! 次はその命、このレイナサマがもらってやるんだから!」

「こら麗奈! 司令官と博士の邪魔して、一体何を企んでいるんだ!?」


P「……この御二方は?」

晶葉「……すまない司令官。うちじゃいつもの事なんだ」


晶葉「小関麗奈と南条光。共に私の助手をやってもらっている。ほら、挨拶したまえ」


光「初めまして司令官! イェーガーに乗るような活躍は出来ないけど、アタシに出来ることなら何でも力になるよ!!」

麗奈「ちょっと、助手じゃないって言ってんでしょ!? いつかKAIJUもイェーガーも技術を横取りして、このレイナサマが世界征服してやるのよ!!」


P「よ、よろしくお願いします……」

晶葉「(こんなことを言っているが、麗奈も実によく私の手伝いをしてくれる。光の意志は気に入っているが、ぶっちゃけ助手としては麗奈の方が有能だ)」ヒソ

麗奈「今余計な事言ったでしょ!?」


晶葉「……君の話を遮ってしまったな。君には君の考えがあるだろうことだけは分かったし、やはり聞くのは後にしよう」


晶葉「君に来てもらったのは、私の『計画』を聞いてもらうためだ。……研究チームの予測については聞いているな?」

P「はい、KAIJU出現の周期ですね。……一週間後には、KAIJUが2体同時に現れると」

晶葉「そうだ。あとは、2体出現する際に穴が広がり、開いたまま固定されて爆弾を投下しやすくなるのではないかとな」

晶葉「だが、本当にそうなのか確信が持てん。出現したKAIJUすべてがDNAの一致したクローンだという話もあり、向こうの技術は非常に不可解だ」

晶葉「そこで……」パチン


光「麗奈、押すぞ!」ガラガラ

麗奈「指図してんじゃないわよ!」ガラガラ


『……』ペタコ


晶葉「そこで、このKAIJUの脳だ。弱ってはいるが生きている。……ここから情報を得られるとは思わないか?」

P「! まさか、KAIJUとドリフトを!?」

晶葉「御名答」


P「待ってください、それは危険すぎます! 脳に負担が大きすぎる!」

晶葉「分かっている、だが得られる物も多い筈だ!」

P「それも確証はありません! 損傷がひどくろくに情報を覚えていないという可能性も……!」

晶葉「だがKAIJUについては知らないことが多すぎる! 少しでも奴等について分かれば道は開けるはずだ!」

P「っ……」



P「それでも……許可は出来ません。貴女自身を大事にしてください」

晶葉「……思春期の少女を戦場に向かわせておいて、今更何を言う」


P「……また来ます」



晶葉「……」


麗奈「……アンタねえ。流石に自分を粗末にするんじゃないわよ」

光「アタシもそう思う……博士が死んだら、すごく悲しいんだからな……!」ジワ

晶葉「そうか、それはすまなかったな。……だが」


晶葉「私は諦めるつもりはない。それに―――」



晶葉「―――勇気は幸運を生む」



今日はここまで。

3月9日の忍の誕生日に忍SRを引き当てた。
同じ日に夏樹ソロが追加された。
昨日、初期SRで唯一取れてなかった李衣菜SRを引き当てた。
あとは晶葉あたりで何かあれば完璧だな。

おねシンりーなソロめっちゃ可愛いわあ……


このssでは、イェーガーは大人より子供が乗った方が力を発揮できるというオリジナル設定を足しています。
理由もなく子供が命がけの戦闘をしてるのは流石に話に矛盾が出るかなあと思ったので…
アメリカでは日本みたいに子供を戦わせるのはタブーらしいですね。

では投下します。


~ドリフトテスト当日~

『シドニー襲撃をうけ、政府の防護壁による対策に疑問の声が―――』

『内陸に市民を避難させ、十分な物資を提供します!』

『金持ちや政治家だけですか! 私達はどうなるのですか!?』


P「……」

晶葉『―――思春期の少女を戦場に向かわせておいて、今更何を言う』

P「……分かっています。それでも―――」



P「―――必要な事なのです。彼女たちが前に進むために」


――――――――――――――――――――


『ドリフトテストを20分後に行います』

『ジプシー・デンジャーのアイドルである多田李衣菜さんおよび前川みくさんは、直ちにドックへと向かってください』


李衣菜「じゃ、先行ってるから」

みく「……うん」

李衣菜「結局…司令官が正しいのかなんて分かんなかったよ。これでドリフトテストも失敗したら、流石に司令官もあきらめるよね?」

みく「……うん」

李衣菜「……ああもうっ! みくちゃんだって合わない合わない解散解散言ってたでしょ!? 私とみくちゃんは今日っきり! それでお互いすっきりするんだから!」

みく「……」

李衣菜「……もういい。先に行ってる」プイ


スタスタスタ……


みく「……」


李衣菜(―――イェーガー武士道対決から今日のドリフトテストまで)

李衣菜(―――結局、私とみくちゃんは最後までそりが合わなかった)

李衣菜(―――毎日言い争ってばかりだったし趣味なんて全然一致しないし)

李衣菜(―――お互いをバカにしあったことなんて数え切れないほどだった)


李衣菜(―――すごく嫌な気分だった)


みく「……着替えなきゃ」スッ

「―――あの」

みく「!? 誰っ!?」

「私です」

みく「!」



みく「Pチャン……!」

P「入ってもよろしいですか、前川さん」


みく「ど、どうしたのPチャン? みく、もう行かなきゃいけないのに……」オロオロ

P「……すみません。少しで良いので、話に付き合っていただけますか」

みく「話…?」

P「はい」


P「政府によってイェーガー計画が打ち切りになった理由について……前川さんは御存じですね」

みく「う、うん。確か……『お金がかかりすぎる』、『KAIJUが強くなって勝てなくなった』、それと……」


みく「……『ドリフト適性の高い女の子を戦わせることが批判された』……だよね」

P「その通りです」


P「それにも関わらず……今現在、私は新田さん達や工藤さん達を何度も戦地に向かわせています」

P「昔とは違い、死の危険があることを知っていながら……」

みく「で、でも! Pチャンは悪くないにゃ! みく知ってるよ! 最初は大人の人に任せてたって! それで力が足りなくて、何人も死なせちゃったって!」


P「……」フルフル

P「それでも、私達大人が不甲斐ない存在という事は変わりません。弱い大人のせいで、子供に負担を強いているのです」

みく「そ、それだけじゃないにゃ! 子供に戦わせることが悪い事でも、みくに戦わせてくれるのはみくのためって分かってるもん!」

みく「みくにケジメをつけるチャンスをくれたこと、みくは感謝してるのにゃ! ありがとうって思ってる! 恨んでなんかない!」

P「……ありがとうございます。その言葉だけで、気が楽になります」

みく「Pチャン……」


P「……そして。子供を戦地に送らざるを得ないのならば、せめて何としてでも生きて帰らせるよう手を尽くすのが大人の役目……私はそう思っています」

P「前川さんと多田さんに組んでいただいたのも、その一環です」

P「前川さんは多田さんと共に戦うことで、最大の力を発揮し、より敵を倒す確率を上げ……そして、生還する。そう考えて、私は多田さんをあなたのコーパイロットに指定しました」



P「どうか、私の判断を信じてはいただけませんか」


みく「……!」

P「……」ジッ

みく「それは……」


みく「……」グッ


みく「―――分かったにゃ! みく、Pチャンのこと信じるにゃ!」

みく「李衣菜チャンとは仲良くなれないと思うけど……ううん、仲良くなってみせるにゃ! 相性ばっちしで戦って見せるにゃ!」

みく「見ててPチャン! みく、頑張るから!」


P「……ありがとうございます、前川さん」


P「成功を祈ります」


――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――


『パイロット一名搭乗しました』


李衣菜「コーパイロットを待ちます」

李衣菜「……」


李衣菜(――今までずっとケンカばかりで、相性なんて全然見出せなくて)

李衣菜(――当然今日のドリフトテストも失敗して、司令官も諦めて解散して)

李衣菜(――私は別の子と組んで、KAIJUと戦うことになって……)

李衣菜(――なんでだろう。成功する気が、まったくしないや)

李衣菜(――世界を救える気がしない。KAIJUに勝てるビジョンすら浮かんでこない)


李衣菜(――分かってる。そう思っちゃうのは、私にも悪いところがあるからなんだってこと)

李衣菜(――戦う覚悟とか意識が全然甘い私が、それをごまかしちゃう私が悪いんだってこと)

李衣菜(――みくちゃんに責任をなすりつけていい話じゃないんだってこと……)


李衣菜(――何で、司令官の話に乗ったんだろ)

李衣菜(――私、何のためにここに来たんだろ)


李衣菜(――全然ロックじゃないなあ……)


『パイロット二名搭乗しました』


李衣菜「……ねえ、みくちゃん」

李衣菜「このドリフトテストが駄目だったらさ。私がアイドルやめるから、みくちゃんはジプシーに乗りなよ」

李衣菜「みくちゃん、アイドルになって戦いたいって言うの、すごく伝わったから。カッコつけてるだけで空っぽのまま進んでない私がダメなんだと思うから」

李衣菜「真面目に戦おうとしてるみくちゃんが戦った方がいいよ。私は応援するから」

李衣菜「だから―――」


みく「ちっ、違うにゃ!」


李衣菜「……みくちゃん?」


李衣菜「違うって……どういうこと?」

みく「違うって、えっと、その……なんていうか……とにかく違うの!」

みく「えっと……えっと! みくは李衣菜チャンとは趣味も性格も合わないけど……それでも、失敗したくないの!」

みく「李衣菜チャンとのドリフトテスト、成功したいの! みく達を信じてくれる人たちのためにも、みくのためにも!」

みく「今まで李衣菜チャンとそりが合わなかったのは、みくが李衣菜チャンを突っぱねてたからで……みく、これからはちゃんと李衣菜チャンに合わせるから!」

みく「だからお願い! みくと李衣菜チャンのドリフト……成功させてほしいの!」


李衣菜「みくちゃん……」

李衣菜「……~~~~~っ!」ワシャワシャ


李衣菜「分かった! ……ゴメン、私もみくちゃんのこと突っぱねてた! 私も今からちゃんと、みくちゃんに合わせる!」


みく「李衣菜チャン……!」


李衣菜「……」スゥ


李衣菜「みくちゃん。このテスト、絶対に成功させよう」

李衣菜「そうやって誰よりもいいコンビになって、KAIJUを倒して、作戦を成功させて―――」


李衣菜「―――一緒に世界を救おう」

みく「うんっ!」


『ドリフトテスト、開始まであと1分』

『アイドルのお二人は準備してください』


李衣菜「……ああ、そうだみくちゃん」

みく「? なあに李衣菜チャン?」

李衣菜「ドリフト経験のある私から、一つだけ言っておきたいんだけど……ウサギを追っちゃだめだよ」

みく「……兎?」

李衣菜「ウサギは記憶。今から私とみくちゃん両方の記憶が頭の中に流れてくるから」


李衣菜「私と感覚を共有することだけ考えて。それがドリフト成功のコツだよ」





『シンクロナイズ開始』

『右脳調整完了』

『左脳調整完了』

『同調完了。コードグリーンです』



ジプシー・デンジャー《―――――ッ!!》グワッ



ガシャン!!



ちひろ「シンクロナイズは成功です。李衣菜ちゃんもみくちゃんも安定しています!」

未央「よっしゃあ!」

柚「イエッス!」グッ

アーニャ「ハラショー!」パチパチパチ


凛「まだスイッチ入れただけでしょ。喜ぶには早いんじゃないの?」ハァ

未央「もー、しぶりんったらお堅いー! これは小さな一歩だけど人類にとっては大きな一歩なのだよ渋谷君!」

凛「はいはい」


美波「良かったですね司令官。まずは成功、ですね」

P「ええ。新田さん達にも感謝します。貴女達のご協力のおかげで、前川さんと多田さんの仲を取り持つことが出来ました」

美波「大したことじゃないですよ。どうあっても、みくちゃん達なら最後には仲良くできたと思います」

美波「……司令官が見出した通りに、ですね」ニコッ

P「……そう、でしょうか?」ポリ


P「……仮に、そうだとしても。これで終わりではありません」

P「勝てるために、今度はドリフトを成功させた上で……来たる日に備えて、更に実力をつけてもらわなければ―――」





「司令官ッ! 大変だ!」





一同「「「!?」」」


P「な……南条さん!? 一体どうしたのですか!?」

光「大変だっ、大変なんだ司令官! 博士が、博士があっ!」


P「池袋さんですか!? 落ち着いてください、彼女がどうかしたのですか!?」

光「アタシ達も止めたんだ! でも、少しの間アタシも麗奈も目を離しちゃって!」

光「……博士はドリフト技術に詳しくて、アタシ達も知らないところに機材を隠し持ってて!」

光「それで、それでっ……!」





光「博士がKAIJUとドリフトしたんだ!」



光「それで今、博士が倒れてるんだ!!」



今日はここまで。

…なぞりとか言うわりにちょっと余計なもん足しちゃったかなあ…


途中コパイか逆転してないか?

そして晶葉の脳が筒抜けに(絶望)


P「っ……千川さん! 私は一時ここを離れます! 皆さんはここで待機していてください!」ダッ

ちひろ「分かりました」

美波「わっ、分かりました!」


――――――――――――――――――――


P「―――池袋さんっ!!」タッ

晶葉「ハハ……まま、ま、待っていたぞし、司令官……」ガクガク

P「…小関さん、ここに至るまでの経緯は分かりますか」

麗奈「多分、光が言ってたまんまよ。……このレイナサマが少し目を離してる間に、こんなもん被ってて」パコ

P「くっ…危険すぎると言ったでしょう……!」

晶葉「たし、たしかに、な……はは、いくら天才とい、言えども、14歳の脳味噌には刺激がが、つ強すぎたみたいだ」

晶葉「だ、だが……収穫はあったぞ」ニヤリ

P「……!」


P「……説明を、お願いできますか」

晶葉「ハハハ……実益を、考慮して、賢明な判断を下すのはいいこと、だ……だが、私がやった、ことだから……責任、は感じ、なくていい」フッ

晶葉「まあ待て……一呼吸おいて、ち、ちゃんと話すさ」



晶葉「……」スゥ

晶葉「……結論から言って、あれは確かに『クローン』だった」

晶葉「そして……地球を侵略しようとしているのは『奴等』ではない。奴等は猟犬に過ぎん」


P「猟犬……!?」

光「じゃ、じゃあ! ご主人様がいるって事か!?」


晶葉「ああ。KAIJUはあくまで侵略兵器。ここではない宇宙の奴が、地球を我が物にしようとして送って来た生物兵器だ」

晶葉「奴等は前にもこの地球にやって来ている。恐竜時代にだ。だが当時の空気は綺麗すぎて奴等には適さなかった!」

晶葉「だから奴等は待った! オゾン層の破壊、大気汚染……地球が汚くなり奴等にとって住みやすくなった今になって、再びゲートは開いた!」

晶葉「奴等の体液……『KAIJU BLUE』も開拓のためのものだ! BLUEで地球が汚れれば汚れるほど奴等にとって快適な環境となる!」


晶葉「……合点がいった。奴等が年々強くなりイェーガーに対抗できなくなった理由が分かった」

晶葉「あれはただの兵器なのだ! 兵器を用いて開拓と敵戦力把握の両方を行っている! このままでは我々の技術はすべて奴等に学ばれ! 越えられる!」


P「つまり……時間がない、と」

晶葉「ああそうだ司令官よ。こうしてはいられない、この傷みきった脳では足りない! すぐに行かねば!」ググ


フラッ


麗奈「ちょっと!?」ガシ

P「無理をしないでください池袋さん! それに、何処に行くと言うのですか!?」

晶葉「新鮮な脳を調達する。もっと情報がいるのだ」グググ

P「脳……。……まさか!?」

晶葉「フフフ……隠しきれていると思っていたのか司令官。知っているぞ、君は『彼女のルート』を利用している!」

光「…彼女?」

晶葉「ああそうだ。確か名前は、~~~だったな。KAIJUの臓器や骨を回収し金にしている業者だ」

晶葉「目印はブラックライトに反応する、この絵柄だ! そうだろう!?」バッ

光「この絵が目印……」

麗奈「待ちなさいってば! アンタただでさえフラフラなのに、もう一回ドリフトなんかやったら今度こそ廃人になるわよ!?」

P「小関さんの言う通りです、もう無理をしないでください! 代わりのメンバーを選出します、あなたが苦しむ必要などないのです!」

P「私が何とかします! ですから、もう……!」


晶葉「…フフ、だから言っているだろうに。今更何を言う、と……」


「司令官! 司令官、大変だよっ!」


P「!?」

あずき「ドリフトが……みくちゃんが大変なの! お願い来て!」

P「なっ……!」

P「……!」チラ

P「すみません南条さん小関さん! 池袋さんをお願いします!」ダッ



晶葉「……ほら見ろ、自分たちのことで精一杯だ。君の誠実さは買うが、私達子供を想いすぎて、身に余るものを背負ってしまっているではないか」

晶葉「君も知っているはずだ。私も見て確かめてしまった。……時間は刻一刻と迫っているのだ」ギシ

麗奈「あっ、ちょ、だから! だからアンタが犠牲になる必要ないでしょ!?」グイ

晶葉「いいんだよ私で。私は真実をこの目で見られればそれでいいし、それが我々人類の役に立って死ねるのなら……もはや本望だ」

麗奈「アンタっ、ねえ……! 自分勝手もいい加減に……!」ビキキ


光「……」


麗奈「ちょっと光! なに突っ立ってんのよアンタも博士を抑えてなさい!」


光「…なあ、博士」

晶葉「どうした…? 何を聞きたい?」

光「…あの、さ。KAIJUと二度目のドリフトをするのは、博士じゃなきゃダメなのか? 他の人が代わりに見るとかじゃダメなのか?」

麗奈「……光?」

晶葉「…いや、ドリフト適性のある者なら誰でもいい。だがドリフト適性の高い者だ。そして若い方がより鮮明な記憶を共有できる」

光「なら代われるよな? ……博士と同じくらいの子供が、今この場にいるなら! 博士の代わりに奴等の情報を伝えられるよな?」

晶葉「君は、まさか……」


光「博士はここで待っててくれ。麗奈は博士を見ていてくれ」

麗奈「光…アンタまで……なに考えて……」


光「…大丈夫だ。博士もさっき言ってただろ?」フッ



光「―――『勇気は幸運を生む』!」


今日はここまで。

>>137 恥ずかしながら、ちょっとコーパイの意味を勘違いしていました。相棒じゃなくて副操縦士って意味でしたね…


――――――――――――――――――――


麗奈「……」ムスッ

晶葉「すまない、麗奈。君の友人を危険にさらすような真似をして……」

麗奈「……別に。あんな正義バカ、友達でもなんでもないわよ。むしろ邪魔者が目の前から消えてくれてせいせいしたわ」フン

晶葉「……」


麗奈「……何でよ。なんでアンタといい光といい、自分から危険に突っ込んでいくわけ? ほんとワケ分かんない」

麗奈「司令官に言われた通り大人しくしてればいいじゃない! KAIJUを倒して世界を平和にして!」

麗奈「でもそこにアンタたちはいないの! だって死んじゃってるんでしょ!? 自分の脳ミソ犠牲にしちゃったから!」

麗奈「……そんなの、何の意味もないじゃない。自分が生きてなきゃ……!」

晶葉「麗奈……」



晶葉「……やはり、君たちを助手に選んで正解だった」ボソ

麗奈「…はあ?」

晶葉「独り言だ。……まあ、見ていろ」


晶葉「案外、上手くいくものだぞ」


――――――――――――――――――――


~香港 骸骨街~


晶葉『―――KAIJUの臓器を取り扱ってる「彼女」の居場所だが』

晶葉『骸骨街の道案内の看板をブラックライトで照らせば、位置を示してくれるよう工夫されている』

晶葉『どうやら司令官は、「彼女」に倒したKAIJUを横流しすることで活動資金を得ていたようだ。あのなりで彼もやることはやっているわけだな』ククッ

晶葉『……まあ「彼女」も余程気を損ねない限り君に害を加えるような人間じゃあないし、客であるなら「子供だから」と見下す人間でもないようだ』

晶葉『だから落ち着いて行け。……幸運を祈る』



光「看板……これか?」サッ

光「! 同じマークだ! この矢印の示す方向だな!」ダッ


光(博士は重傷、司令官は試験のトラブルで手が離せない……)

光(ここでアタシが出ないで、誰が出るんだ!)

光(アタシだって世界の平和を守るために戦ってやるんだ!)


光「この建物……マークがある! よし、ここだ!」


光「たっ……たのもー!」ギイッ


光(――博士に教えてもらった『彼女』の居場所)

光(――ものすごく広い場所を想定してたけど……実際は思ってたより狭かった)

光(――っていうかこれ、装飾が大体金ピカなことを除いたら……)

光(――ただの薬屋さんにしか見えないんだけど……?)


光「……あれ?」

「アレー? 珍しいお客さんダネー! KAIJUの骨の粉末をお探しかナー?」

光「えっ? い、いや違うけど……」

光「……店員さん? あとKAIJUの骨の粉末って何に使うの?」

菲菲「ふぇいふぇいダヨー! KAIJUの骨の粉末、ダンセーキノーのコージョー?に使うネ!」

菲菲「ふぇいふぇい女だから使わないケド、他の店員みんな使ってるッテ! ボーン!だッテ!」

菲菲「お客さん女の子だカラ、恋人さんに使うのカナ? 毎日楽しいって男の人みーんな言ってたヨー!」

光「ち、違います……」カアア


光「……こほん。アタシがここに来たのは、ある人に会うためなんだ!」

菲菲「……ヘー。誰に会いに来たノ? お名前はナニ?」ピク

光「えっと……確か……」



光「―――『桐生つかさ』」



菲菲「……アイヤー。ちょっと待っててヨー」スッ


カチッ

バタッ


光(隠し扉!)

光(そっか、やけに狭いと思ったら……!)


菲菲「どゾー♪」

光「すごい……博士の手伝いでたまに見るけど、こんなに多くのKAIJUのパーツが!?」

光「KAIJUの表皮!? ほとんど無傷!? なんで!?」

光「うっ……か、KAIJUの寄生虫!? 博士の話じゃKAIJUが死ぬとすぐに死んじゃうんじゃないの!?」

「アンモニアにつけときゃいいんだよ。そんぐらい常識」

光「!」クルッ


「中学生か? 何か買うなら止めないけど、遊びで来ていい場所じゃないからな? ま、ここに連れてこられたんだからクライアントっぽいけど」


光「あ、あの! アタシは『桐生つかさ』って女の人に会いに来たんだ……来たんです!」


「ああ、それアタシ。……ほんとに珍しいな。けど、子供だからって甘くするつもりはないんで。クライアントにはフラットな立場目指してるから、アタシ」



つかさ「―――で、何買いに来たわけ?」


ここまで。

せっかく舞台が香港(中国として扱っていいのかな)なんだし菲菲出したかった。
そしてどうしても菲菲に「男性機能」という単語を言わせたかった。


――――――――――――――――――――


李衣菜(――イェーガーの起動に成功して、気が緩んでしまってたのかもしれない)

李衣菜(――みくちゃんと上手く繋がることが出来て、ほっとして)

李衣菜(――そして、ふと隣を見た時)


李衣菜(――私の目に映ってたのは、みくちゃんじゃなくて私自身だった)


李衣菜(――今とは違うコーパイの操縦席に、今とは違う白いドリフトスーツ)

李衣菜(――なつきちと一緒に戦ってた頃の私だった)

李衣菜(――私はそれを『なつきちの目から』見てたんだ)


李衣菜(――それから流れ込んできたのは、なつきちの最期の記憶)

李衣菜(――ずっと憧れてたなつきち。強くて優しくて頭の中までカッコよくて、私もこんな風になりたいって思ってた人)

李衣菜(――そのなつきちが、本当に怖がっていて。最後の最後で嫌だ嫌だ死にたくないって叫びが私の頭の中にも響いて)

李衣菜(――そんな私のトラウマが、一気に頭の中から掘り起こされてちゃったんだ)


李衣菜(――そしてそれが、みくちゃんを乱してしまった)



ドズン



李衣菜「かっ……!」

みく「っ!?」


『神経同調が乱れました』


「「「!?」」」


未央「嘘っ……!?」

ちひろ「ジプシー! ジプシー・デンジャー! 脳波が2人とも乱れています! 応答してください!」

李衣菜「はっ、はい! 私は大丈夫です!」

ちひろ「このままだと危険です! テストを終了してください!」

李衣菜「大丈夫だからっ! 私に任せて!」


ちひろ「李衣菜ちゃんはよくてもみくちゃんがダメなんです! ウサギを追い始めてます!」

李衣菜「! みくちゃん!?」バッ

みく「……」ボー


李衣菜「みくちゃん! みくちゃんっ! 記憶を深追いしちゃ駄目!」

みく「……はぁー、はぁーっ」

李衣菜「私の声を聞いて! 現実に戻って! みくちゃんっ!!」

みく「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」


李衣菜(――必死になって声をかけても、もうとっくに手遅れで)

李衣菜(――私の頭にも、みくちゃんの見てる映像が映し出されるようになってしまった)

李衣菜(――みくちゃんの記憶の中の場所には崩れたビルや料理店みたいな建物があって)

李衣菜(――そのガレキの中にはつくりもののタコもあったから、たぶんそこは大阪なんだと分かった)

李衣菜(――そして、KAIJUに破壊されたんだって一目でわかる大阪の街の中を)

李衣菜(――猫耳をつけてる小さな女の子が、死んだお母さんを探して泣いてたんだ)


李衣菜(――そして街を破壊したKAIJUはまだ生きていて)

李衣菜(――小さい頃のみくちゃんを殺そうと襲い掛かって来た)



みく「―――いやああああああああああああっ!!!」



ガチリ


『ウェポンシステム起動。プラズマキャノン充填中』

凛「……はあ!?」

未央「ちひろさん! 今どうなってんの!?」

ちひろ「みくちゃんがプラズマキャノンを使用しようとしています! ……おそらく、トラウマと現実を混同してしまっているのかと!」


ジプシー・デンジャー《―――ッ!》ガキン


バチッ

バチバチバチバチバチッ


アーニャ「ミナミっ……!」

美波「……みんな離れて! ここは危ない、みんな避難してください!」

忍「っ…行くよ皆! あずきちゃんは司令官呼んできて!」

あずき「わっ……わかった!」ダッ


ちひろ「ドリフトテストを強制終了してください!」

「できません! 神経接続が強すぎます!」

ちひろ「何ですって……!?」

未央「ちひろさん……!」

凛「どうするの……!?」

ちひろ「……電源を直接切断します! 2人とも手伝って!」

未央「分かった! しぶりんっ!」

凛「っ!」コクン



みく「ああああああっ! 来ないでえええっ!!」ガクガク

李衣菜「みくちゃん落ち着いて! それはただの記憶なんだよ、現実じゃない! そのKAIJUはいないんだよっ!?」

みく「ふぐっ……お父さんっ、お母さんっ……嫌やぁっ……!」ガタガタ

李衣菜「みくちゃん! みくちゃ……」ズキッ


李衣菜(――なんだ今の……)

李衣菜(――今、みくちゃんの真上を何かが通って……)



李衣菜(――イェーガー?)


P「千川さんっ!」

ちひろ「司令官! 電源を切って強制終了にします、手伝ってください!」

P「分かりました、このケーブルを抜けば供給を止められるはずです! 渋谷さん!」

凛「うん、分かった……! …せーのっ!」


ガコン


P「……抜けました。これでプラズマキャノンを止められれば……!」チラ

「「「……!」」」ゴクリ



ジプシー・デンジャー《……》バチッ

ジプシー・デンジャー《……》ブスブスッ

ジプシー・デンジャー《……》シュウン…



『ウェポンシステム停止。神経ブリッジは無効化されました』


未央「よ、よかった……!」

美波「ほっ……」

凛「……」ムスッ



みく「はっ、はあっ……」フラッ

李衣菜「みくちゃん……!」ガシッ



『―――ドリフトシークエンスを終了しました』

『―――もう一度実行しますか?』


P「……っ」


――――――――――――――――――――


今日はここまで。

映画見てて思ったんだけど、
エンジニア避難させて最重要なはずのパイロットにプラズマキャノンの被害受ける場所で電源処理手伝わせるとかどう考えてもトチ狂った判断だよね。


いったいPは何歳の時から何年戦ってるんだ……?
ジプシー大破から復活まではそんなに経ってなさそうだけども


――――――――――――――――――――


李衣菜(――ドリフトテストは大失敗に終わり)

李衣菜(――私とみくちゃんは、司令官に呼び出された)


李衣菜「……大丈夫、みくちゃん?」

みく「ごめん……ごめんなさい……!」グスッ

李衣菜「私は大丈夫だよ。それに、先に同調から外れちゃったのは私だし……」

みく「でもっ! みくが記憶を追わなきゃ立て直せたの! みくが足を引っ張ったから……!」

李衣菜「っ! それを言うなら……!」



「全くだよ」



みく「!」


李衣菜「……凛ちゃん」

凛「さっきの体たらくは何なの。勝手にケンカして勝手に暴走して基地の皆を危険にさらしてさ」

李衣菜「……っ」


みく「ご、ごめ…」

凛「私言ったよね、足を引っ張ったら許さないって。引っ張るどころか殺そうとしてたよね。違う?」

李衣菜「で、でも……」


凛「―――あんた達みたいなッ!」ガンッ


李衣菜「」ビクッ


凛「あんた達みたいな役立たずが仲間にいるせいで! 死んでいく人がどんどん増えていくんだよ!」

凛「美波達も、忍達も、未央も! きっとあんた達みたいな役立たずをかばって死んでいくんだ!」

凛「あんた達のせいで死ななくて済んだ人たちがどんどん死んでく! その人たちのこと考えたことある!? 死なれる側の気持ち考えたことある!?」

凛「仲間が死ぬのなんてもう見たくないのに! 卯月と同じ目に遭わせたくないのに!」


凛「―――役立たずのせいで! 何も悪くないはずの人たちが巻き込まれて死んでいくんだっ!!」


李衣菜「……」

みく「凛チャン……」

凛「…はぁっ、はぁっ……」

凛「……っ……」ジワ

李衣菜「……」


李衣菜「……卯月、って……?」


凛「!」ハッ

凛「……あんたには関係ない」プイッ


凛「そんなのどうでもいいから。あんた達はとっととアイドルを辞退してくれないかな」

凛「……自分が役立たずなせいで仲間が死ぬ辛さとかさ。あんた達ならわかるでしょ」



「「!」」

李衣菜(なつ、きち……)

みく(……)


未央「あっ……しぶりん!」

凛「……未央」

未央「やっと見つけた! いきなりフラッといなくなるから心配したんだよ!」

凛「……あっそ。別に良かったのに、すぐ戻るつもりだったし……」

未央「もー……」チラ


李衣菜「……」

みく「……」グス


未央「……しぶりん。何か言ったの?」

凛「うん。勝手に仲間を巻き込むような奴はアイドルやめてって言った」ギロ

凛「……未央は? 未央はあいつらをかばうの?」


未央「……」チラ

未央「……ううん。ごめんよりーな、みくにゃん。私も今日の事はフォローできない」

李衣菜「未央ちゃん……」

未央「原因が原因だから、2人を責めることはできないけどさ。それでも、りーな達を作戦に組み込んでいいかって考えたら……」

未央「私は反対するよ。私だって、皆を死なせたくない」

李衣菜「……そっか」


未央「ごめんよ、フォローできなくて。行こっか、しぶりん」クイ

凛「……」キッ


スタスタスタ……


みく「……凛チャン……未央チャン……」

李衣菜「……行こう。司令官のところに」


――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――


李衣菜(――部屋に入って、司令官から私達2人に向けられた最初のものは)

李衣菜(――叱りの声でもビンタでもなかった)

李衣菜(――ただ、頭を下げて謝られてしまった)



P「…申し訳ありませんでした。責任は、ドリフトでお二人の記憶を掘り起こしてしまう可能性を考慮しなかった私にあります」

みく「っ! Pチャンのせいじゃないにゃ! みくの心が弱かったせいにゃ……!」

李衣菜「それを言うなら私だって……! 私が最初に同調から外れなきゃ、テストは成功してたんです!」

P「……お二人は悪くありません。お二人の過去を考えれば、この結果は当然のものです」

みく「当然って……!」

みく「……」

みく「……そうだよね。当然、なんだよね……!」グス


P「前川さん……」


李衣菜「……すみません、司令官。私達はこれからどうなるんですか」

P「これから……」

P「……」キュ


P「今回の失敗は、前川さんを外すことで解決できると判断しました」

P「よって前川みくさんにはジプシー・デンジャーのアイドルを辞退していただき」

P「多田さんには、引き続きセンターとして新しいコーパイロットと組んでいただく事になります」


李衣菜「なっ……!」


李衣菜「待ってください! 最初に失敗したのは私だって言いましたよね!?」

李衣菜「外すなら私を外してください! みくちゃんには戦わせてあげてください!」

P「それは出来ません。確かにきっかけは多田さんですが、あのような乱れが今後起こらないとは限らないのです」

P「多田さんはすぐに立ち直れました。ですが、前川さんはそのまま兎を追ってしまいました」

P「……前川さんを残してしまうと、次は別のきっかけで、同じ失敗を起こしてしまうかもしれないのです」


李衣菜「それでも! みくちゃんはアイドルをやるべきです!」

李衣菜「だって、みくちゃんの決意は―――!!」


みく「もういいよ、李衣菜チャン」


李衣菜「……」ピタ

みく「もういいの、かばってくれなくても」

みく「みくのせいでテストが失敗したの。みくが全部悪いの。アイドルは、李衣菜チャンがやるべきだよ」


みく「Pチャン。もう、みくは出てもいい?」


P「はい、時間を取らせてしまい申し訳ありません。…お疲れ様でした」

みく「うん。お疲れさま……」


みく「……っ!」タタッ



李衣菜「みくちゃん……」


今日はここまで。

コヨーテの相方は次の更新で判明すると思います。

ヒントになるかどうかは分かりませんが、みくにゃんが助けられたのは10年前であり
それ以降Pの相方に母親のように懐いていたという設定を作っています。


…ちょっと詳しい人に聞きたいんだけどさ。

パシリムの抵抗軍の名前がPPDCなのは知ってるんだけど、それが何の略称なのか判明してましたっけ?


ピクシブ百科に記載されていたのか……! ごめんなさい、基本ニコ百で設定を確認しているのもあってちゃんと情報収集できていませんでした。
自分が未熟でした。

教えて下さり本当にありがとうございますm(__)m


呼び方はゼノから取ったけど、ぶっちゃけパイロットをアイドルって呼ばせるのは無理やりすぎたかなあと思ってる。

投下します。


李衣菜「……どういうことですか」キッ

P「…どういうこと、とは?」

李衣菜「とぼけないでください。みくちゃんはすごく優秀だって知ってるでしょう!? 代わりのアイドルなんて見つかるんですか!?」

P「…見つけてみせます。確かに能力は落ちますが、前川さんをこのまま登用するよりは効果的かと」

P「……いざとなれば……」


李衣菜「そんな事言って……! 私、みくちゃんの記憶を見て知ってるんですよ!? 本当は代わりなんて用意できないって!」

李衣菜「美波ちゃん達に戦わせてるのだって私を呼び戻したのだって、他に頼れる人がいなかったからだって!」

李衣菜「それに……っ」


李衣菜「みくちゃんがどうしてイェーガーに乗りたがっているのか、司令官は知ってるはずですよね!?」


P「…それが何か」

李衣菜「分からないんですか!? みくちゃんは司令官に憧れて、あなたの相方に憧れて! 10年間ずっと努力してきたんです!」



李衣菜「10年前にKAIJUに襲われて家族を亡くしたみくちゃんを助けてくれた司令官に! それからずっと育ててくれて愛してくれた司令官にです!」



P「……」



李衣菜(――そうだ。単になつきちに憧れてアイドルを始めた私と違って、みくちゃんには強い意志と理由があった)

李衣菜(――それはドリフトテストの時みくちゃんの中から飛び出してきた、みくちゃんが5歳の時の記憶)

李衣菜(――10年前の、KAIJUに襲われてみくちゃんの家族が死んでしまった時の記憶)


李衣菜(――みくちゃん自身もKAIJUに殺されそうになった)

李衣菜(――だけどその時、一体のイェーガーがみくちゃんを救ったんだ)


李衣菜(――イェーガーの名前は『コヨーテ・タンゴ』)


李衣菜(――当時のアイドルは、まだ単に『パイロット』と呼ばれていて。そして男の人がパイロットになることも少なくなかった)

李衣菜(――タンゴも同じだった。みくちゃんを救ったパイロットは、男の人と女の人の組み合わせだったんだ)


李衣菜(――そのパイロット達は、その時両方とも17歳だった)


李衣菜(――コーパイロットだった女の人の名前は『安部菜々』)

李衣菜(――そしてタンゴのメインパイロットだった男の人は……)


李衣菜(――いま、私の目の前にいる人だったんだ)


李衣菜(――KAIJUを倒してタンゴから出てきた司令官の姿は、みくちゃんの記憶に、特に強く焼き付けられてた)

李衣菜(――そんな姿に憧れて。司令官や菜々さんみたいに戦いたくて。自分を助けてくれた人たちの力になりたくて)

李衣菜(――だから、みくちゃんは10年間ずっと頑張って来たんだ)


P「……」

李衣菜「みくちゃんは司令官の力になりたいんです! 生きる希望をくれた人だから、本当に大切な人だから!」

李衣菜「なのに、司令官はみくちゃんを遠ざけようとしてるんです! この10年を簡単に切り捨てようとしてるんですっ!」

李衣菜「それがどれだけ辛い事か、司令官には分からないんですか!? 司令官はみくちゃんを大切に思ってるはずなのに!」

李衣菜「今の司令官は、みくちゃんの事を考えてない! 私は外してくれていいんです、でもみくちゃんは―――!!」



P「―――前川さんに死ねと言いたいのですか」



李衣菜「っ!?」ゾワ


P「多田さん。貴女にはっきりと言います」

P「今の貴女の言う事は、『前川みくを私への恩返しのために死なせろ』と言っているようなものです」

P「前川さんの記憶を覗いたのなら、私が彼女にこう言ったことも知っているはずです」

P「『子供を戦地に送らざるを得ないのならば、せめて何としてでも生きて帰らせるよう手を尽くすのが大人の役目』…と」

P「もし今のまま前川さんを実戦に投入すれば、彼女が戦死する可能性は非常に高い。だから前川さんを外しました」


李衣菜「そ、そんなの分からないじゃないですか。それに、みくちゃんは司令官の役に立てない自分が嫌だって思ってるんです!」

李衣菜「みくちゃんにとって司令官は本当に大切な人なんです! だから、みくちゃんの気持ちを汲んであげても―――」



P「 そ ん な く だ ら な い 理 由 で 散 ら せ て い い 命 じ ゃ な い ッッッ!!!」



李衣菜「っ!」ビクッ


P「貴女こそ、なぜ分からないのですか!? 前川さんはまだ15歳の少女です! 人生の4分の1も生きられていない子供です!」

P「前川さんだけじゃない! 新田さんもアナスタシアさんも工藤さんも綾瀬さんも喜多見さんも桃井さんも渋谷さんも本田さんも池袋さんも、そして多田さん貴女でさえも!」

P「誰もかれも成人すらしていない! 本当なら戦場など縁のない少女に過ぎないんです! 当たり前に生き当たり前に笑うべき存在なんです!」

P「本当なら こ ん な と こ ろ で子供を戦わせる事すら私は反対だった! 我々大人だけで守ってあげたかった!」

P「しかしそれは叶わなかった! 大人では力不足だった!! 年端もいかない子供に頼るしかなかった!!」


P「挙句の果てには『恩返しのために戦わせろ』ですか!? そんなものに命をかけることこそ恩どころか最悪の仇にしかならない!」

P「恩返しなどいらない! 前川さんには生きていただければそれでいいのです! KAIJUを倒し、世界が平和になり!」

P「しかしそこに前川さんが! あなた達が生きていられなければ何の意味も無いんです!」


P「私などのためにわざわざ危険を冒さないで下さい!!」


李衣菜「……司令官……」

P「…はっ……はっ……」


P「……私が一時的にでも、前川さんに戦闘への参加を許可したのは」

P「彼女を不幸に陥れた存在を彼女自身の手で討つことで、平和になった世界を、過去のしがらみに囚われず前を向いて生きられるようにするためでした」

P「今までは前川さんの能力を信頼していたため、彼女と多田さんならけじめをつけ且つ生きて帰ることが出来ると判断していたために、前川さんを戦闘に組み込むことを許可していたのです」


P「…しかし。生きて帰れないのなら、その敵討ちに意味がなくなってしまいます」

P「生きて平和な世界で暮らすことが最も重要なことです。それが叶わないのなら、あらゆる感情は無視されるべきだ」



P「……たとえ、それが原因で笑顔を曇らせることになっても」



P「……怒鳴ってしまい、申し訳ありません」ペコリ

P「今後も、多田さんを引き続き登用すると宣言しましたが……もし多田さんと相性のいいアイドルを見つけられなかった場合は」

P「多田さんも、最悪の場合ジプシー・デンジャーそのものも作戦から外すことになるでしょう。その時は戦力になる3機体だけでのみ、作戦を行うことになります」

P「……それを頭の中に入れておいてください。話はこれで終わりです。…お疲れ様でした」


――――――――――――――――――――


今日はここまで。正解は永遠の17歳でした。

>>162
マコが司令官に助けられたのが何年前の話なのか記述を見つけられなかったので、とりあえず10年前に設定しました。ウサミンも10年くらい17歳やってるみたいですしね。ここでのPの年齢はとりあえず27歳に設定しています。

李衣菜が一度パイロットをやめてから復帰するまでの期間は大体数ヶ月くらい……と考えてはいるのですが、ジプシーの修復とかKAIJU襲撃のペースがすごいことになるのであんまり厳密には決めてません。


~食堂~


「……」ジロリ

「あの女、ジプシーのテストで……」

「うわ、マジかよ……」

「大丈夫なのか……?」

「あいつも外した方がいいんじゃ……」


李衣菜「……」

李衣菜(――そりゃ、こうなるよね……)


美波「李衣菜ちゃんっ!」

李衣菜「! 美波さん……」

美波「一緒に食べましょう? 大丈夫だよ、李衣菜ちゃん達は悪くないから……!」

李衣菜「……」


李衣菜「……ううん、いいよ気を遣ってくれなくても。私と一緒じゃ、美波さん達まで白い目で見られちゃうでしょ」

美波「っ! そんなことどうでもいいの! それより―――」

李衣菜「大丈夫」


美波「……李衣菜ちゃん……」

李衣菜「私はみくちゃんと2人で食べるよ」チラ


みく「……」



李衣菜「ちょっとだけ、2人きりで話したいことがあるんだ」

――――――――――――――――――――


~イェーガー格納庫~


李衣菜「ここで食べない?」

みく「…いいよ」ストン


「「…………」」モグモグ


李衣菜「……ごめんね、みくちゃん。先に警告しておけば良かった」

みく「…夏樹チャンのこと?」

李衣菜「うん。みくちゃんにとっては初めてのドリフトだったからさ」

李衣菜「なつきちの記憶が、私を通してみくちゃんに伝わってしまうことを予想しなきゃいけなかった」

李衣菜「……きつかったでしょ?」

みく「……うん」


「オーライ、オーライ!」

「溶接たのむ! 耳は傷つけるなよ!」


李衣菜「……あのネコミミだけどさ。ちゃんと意味あったんだね」

みく「うん。……李衣菜チャンも『観た』でしょ。みくにも憧れた人がいるんだよ」

みく「Pチャンと菜々チャンは、死にそうだったみくを助けてくれた」

みく「そしてお父さんとお母さんを亡くしたみくを、2人は大切に育ててくれたの」


みく「菜々チャンはイェーガーの乗りすぎで、本当に死にかけで」

みく「結局、出会ってから一年ももたなくて……18歳の誕生日を迎える前に、菜々チャンは病気で死んじゃったけど」

みく「それでも、病院のベッドでみくに毎日絵本を読んでくれたんだよ」

みく「特に、みくが大好きだった猫の話をたくさん読んでくれた。菜々チャンの優しい声で聴く物語が大好きだった」


みく「……ネコミミをつけてるのも、それを思い出すためなの。みくをたくさん愛して育ててくれた2人への気持ち、それを絶対に忘れないために……」


李衣菜「分かるなあ……みくちゃんにも、『こうなりたい』って人がいたんだね。……私と同じでさ」

みく「夏樹チャンのことだよね」

李衣菜「そうだよ。みくちゃんみたいに危険な目に遭ったわけじゃないんだけど……なつきちの乗ったジプシーが戦ってるの、見た事あって」

李衣菜「それがすっごくカッコよかったからさ、飛び込むようにアイドル候補生になっちゃって」

李衣菜「ドリフト適性だけはあったし実際に会って話したなつきちはますますカッコよかったし、ジプシーに乗って一緒に戦いたいって気持ちがどんどん膨らんで止まらなくなって」

李衣菜「それでがむしゃらに頑張ってたら……いつの間にかエースになっちゃってた」


李衣菜「……そりゃ、覚悟なんて出来るわけないよね。経験ばっかりついて、心はなつきちに甘えたままだったし」

李衣菜「司令官に発破かけられた時も『何かしなきゃ』って、それだけで……それ以外は戦う理由も見つからなくて、覚悟も決まらないままPPDCに来ちゃって」

李衣菜「だから凛ちゃんにもみくちゃんにも甘ちゃん扱いされてさ。……しょうがないよね、こんな心構えじゃさ」


みく「……そうだね。ドリフトして改めて確信したけど、李衣菜チャンはやっぱりバカだったにゃ」

李衣菜「えっ」

みく「計画性がなくて、かっこつけばっかりで全然中身が伴ってなくて。戦い方だって作戦の判断だって夏樹チャンに任せっきりで」

李衣菜「」グサッ

みく「そのくせその場のノリで実力差をまるで考えないような無茶して毎回イェーガーぶっ壊して色んな人に迷惑かけて。ぶっちゃけ最低な子にゃ」

李衣菜「ぐっ……わ、分かってるよ! 私のわがままになつきちや色んな人を巻き込んでたってことくらい!」


みく「…それでも」

李衣菜「!」ピタ


みく「……」スゥ

みく「それでも、夏樹チャンは李衣菜チャンを選んだ。嫌がることもしないで、最期まで李衣菜チャンと一緒に戦った」

みく「ずっと疑問だったの。どうして夏樹チャンは、李衣菜チャンなんか選んだんだって」


みく「……ドリフトしてやっと分かったにゃ。すっごく簡単なことだった」

みく「李衣菜チャンが心の底から『こうなりたい』って思って、KAIJUと戦ってた。何も考えないで『夏樹チャンみたいに皆を守りたい』って気持ちだけで戦ってた」

みく「そんな李衣菜チャンは、どこまでもヒーローだった。……だから夏樹チャンは、李衣菜チャンを相棒に選んだんだよ」


李衣菜「……」

みく「みくも同じだよ。Pチャンと菜々チャンみたいになりたかった。Pチャンと菜々ちゃんがみくの理想だったの」

みく「それだけじゃなくて……あんまり長い付き合いじゃなかったけど、いつもみくを心配して支えてくれた美波チャン。一緒に訓練を頑張って、辛い時も隣で笑ってくれたあーにゃん」

みく「気難しいみくの事も受け入れてくれて、たくさん遊んでくれた忍チャン、穂乃香チャン、柚チャン、あずきチャン」

みく「皆の力になりたくて。みくも守られるばっかりは嫌で、皆に何か恩返ししたくて、だから世界を救いたくて」

みく「だからみく、ずっとずっと、すっごく頑張ったの。候補生の中で一番の成績をとって、ここまで上り詰めたの」


みく「……でも、肝心なところでみくは弱虫のままだった」

みく「昔のトラウマに捕らわれたままだった。それが原因でみんなに迷惑をかけた。みんなの足を引っ張っちゃった」


みく「……みく、結局みんなに迷惑をかけただけだった……!」


李衣菜「……みくちゃん」

みく「悔しいよ……みく、自分が情けないよ……!」

みく「みんなと一緒に戦いたいのに、みくにはそれが出来ないの……みんなのために諦めるしかないの……!!」

みく「みく、最低だよ……!」


李衣菜「……あのさ」

みく「……なに?」

李衣菜「もう一度司令官に頼み込んでみない? 皆にもちゃんと頭を下げてさ」

みく「……えっ?」

李衣菜「さっき司令官に言われたんだ。『生きて平和な世界で暮らしてくれ。恩返しなどという下らない理由で命を粗末にするな』って」

李衣菜「あれでわかったよ。司令官は本当にみくちゃんが大事なんだって。生きていて欲しい、それだけを考えてるんだって」

みく「……」


李衣菜「それでも、みくちゃんの想いは間違ってない。否定されちゃいけない」


みく「!」

李衣菜「このままみくちゃんを蚊帳の外に追いやって、それで本当に世界を平和にできたとしてもさ」

李衣菜「きっとみくちゃんは笑えないよ。幸せに生きる事なんてできないよ」


李衣菜「だから、みくちゃんはKAIJUと戦うべきだ。私達の手で勝利を勝ち取らなきゃいけないんだ」

李衣菜「私も、みくちゃんと一緒に戦いたい。隣にいるのはみくちゃんじゃなきゃ嫌だ!」



李衣菜「一緒に戦おう! もう一度……何度でも、司令官に伝えるんだ!」

李衣菜「能力が足りないなら何度でも訓練しなおせばいい! 生きて帰るために! 私もいくらでも付き合うから!」


李衣菜「みくちゃん! 一緒に世界を救うんだ!」


みく「―――!!」ハッ

みく「……うん、わかったにゃ。みく、諦めないにゃ!」

みく「今よりもっともっと頑張って、皆に、Pチャンや菜々チャンに追いつくにゃ! 隣に立ってみせるにゃ!」


みく「みくは自分を曲げないよ!」


李衣菜「……最高にロックだよ、みくちゃん」

李衣菜「改めて…これからよろしくね!」スッ

みく「うんっ!」ガシッ


――――――――――――――――――――


李衣菜(――司令官が、どうして私達2人をアイドルに選んだのか)

李衣菜(――その訳が今ようやく分かった)

李衣菜(――そして私達は、2人で戦い抜くことを決めた)

李衣菜(――どんな壁も、2人で乗り越えることを決めた)


李衣菜(――ただ……)

李衣菜(――乗り越えるべき『壁』は、結局来なかった)


――――――――――――――――――――


つかさ「……今回の客はPan Pacific Defence Corps……略してPPDC。意味は環太平洋防衛軍」

つかさ「目的のシロモノはKAIJUの第二の脳。んでドリフトして敵の情報をゲット」

つかさ「PPDCの14歳の博士は一回ドリフトやってて、で次は同じく14歳のお前が……と」

光「ああ!」



つかさ「……バカじゃねえの? いやマジで」

光「えっ!?」


つかさ「……ま、いいけどよ。脳ミソは売りようがなかったし売っちまえば客がどうしようと口出しするモンじゃねーし」

つかさ「それに襲撃情報教えてくれたっつー前金があるからな。……おい、リスケだリスケ! 今のうちに回収スタンバっとけ!」

光「しゅ、襲撃!? そんなの今の話で分かるのか!?」

つかさ「考えりゃ分かんだろ。誰かさんがドリフトやった、それで敵の情報を掴んじまった」

つかさ「そしてドリフトは脳ミソの中身が流れ込む。『双方向』にだ」

光「双方向……まさか!?」

つかさ「そうだよ。どっかのバカがドリフトしやがった事は向こうに伝わってる。あたしがKAIJUなら、そんなスパイ野郎放っておかねーわ」


つかさ「……そのチビ博士は今どこにいる?」

光「ぴ、PPDCの本部だけど……」

つかさ「確かだな? よし、客はアンタだから特別にシェルターに入れてやる。珍しいクライアントだからな」


つかさ「あんまりグズグズすんなよ?」



つかさ「KAIJUがそのチビ喰い殺しにくんぞ」



――――――――――――――――――――


李衣菜(――その前に、『壁』なんかよりも先に―――)


李衣菜(――『奴ら』がやって来た)




『―――裂け目で動きを感知』



『―――KAIJUが二体同時に出現』



『―――シグナルを感知』



『―――両方ともカテゴリー4です』



今日はここまで。つかさ社長の口調が変かもしんない。違和感を感じたら申し訳ない。


やっとここまでかけた! 次回めちゃくちゃ書きたかった戦闘シーンです!

チェルノとクリムゾンと例のアイツの出番を大幅に増やして活躍させる予定です!


クリムゾンのコックピットの並びは左右対称の台形をイメージしています。



     後

  あずき  柚

穂乃香      忍

     前



こんな感じですね。

では投下します。


ちひろ『KAIJUの襲撃情報を確認! PPDC全職員は直ちに管制室に集合してください!』

ちひろ『繰り返します! KAIJUの襲撃情報を確認! PPDC全職員は直ちに管制室に集合してください!』


李衣菜「えっ……!?」

みく「KAIJUが!?」

李衣菜「……とにかく、管制室に向かおう!」


――――――――――――――――――――


~管制室~


ちひろ「全員揃いましたね。……フタサンマルマル時にKAIJUが出現、シグナルは2つ、コードネームは『オオタチ』と『レザーバック』」

ちひろ「共に現在最高クラスのカテゴリー4であり、一時間後香港に到達すると見られています」


P「市民を安全な場所に避難させ街を封鎖してください。海上防衛線にて奴等を迎え撃ちます」


P「今回の敵は2体、想定したパターンのうち一つに当たります。よってプランBに従い3体のイェーガーを配置することにします」


P「主戦闘はクリムゾン・タイフーン及びチェルノ・アルファに任せます。現場指揮については新田さんに従ってください」

美波「はい!」

アーニャ「ダー!」

忍「分かりました」

穂乃香「承知しました」

柚「オッケー!」

あずき「了解!」


P「ストライカー・エウレカは『作戦通り』後方港上で『合図があるまで』待機願います」

未央「了解っ!」

凛「分かりました」


P「各機体への指示は以上です。では―――」


みく「待ってPチャン! みく達にも戦わせて! このまま何もできないのは嫌なの!」

李衣菜「そうです! 次こそはうまくやりますから! 私達も戦力に加えてください!」


P「……許可できません。貴女達を戦闘に参加させるには不確定要素が多すぎます」


李衣菜「で、でも! せっかくもう一つ戦えるイェーガーがあるのに……!」

凛「やめときなよ。仲間の足引っ張って後悔したくないでしょ」

アーニャ「アーニャ、李衣菜にもみくにも死んでほしくないです。任せて、くれませんか?」

李衣菜「ぐっ……!」


ポン


李衣菜「!」

美波「大丈夫だよ。李衣菜ちゃん、みくちゃん」

みく「美波チャン…」

美波「心配してくれてありがとう。戦力はひとつでも多い方がいいって思ってくれたんだよね」

美波「確かにKAIJUが強くなって、33体いたイェーガーは4体まで減っちゃって……本当なら猫の手も借りたいくらい、今の状況は切羽詰まってる」

みく「…うん。だから、戦力が足りないって……」

美波「そう。…でも、大事なことを忘れてないかな? そんな厳しい戦況で生き残ってる4体は、とても強いから生き残れたって事」クス


美波「そして、生き残ってるイェーガーっていうのはね―――」





美波「私達のことなんだよ」


――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――


『―――チェルノ・アルファ、クリムゾン・タイフーン、およびストライカー・エウレカの最終メンテナンスを全て終了しました』

『―――アイドルの皆さんは直ちに搭乗、出撃してください』


李衣菜「……」

晶葉「心配か? 多田李衣菜に前川みくよ」

みく「……」コクリ


晶葉「無力感に苛まれる気持ちは分かる。だが……実際に彼女らは強いんだ」

晶葉「そして、その強さは決して機体の性能に依存したものではない。操縦するアイドルが彼女たちだったからこそ、激戦の中で彼女たちが生き残った」


晶葉「今出撃する者達は……間違いなく、1人1人が歴戦の猛者だ」


――――――――――――――――――――


美波「『チェルノ・アルファ』センターパイロット・新田美波。コックピットに搭乗しました」

アーニャ「同じく『チェルノ・アルファ』コーパイロット・アナスタシア。搭乗しました」




晶葉「―――『古兵』新田美波。現在、齢19にしてイェーガー操縦歴6年。このPPDCにおいて、かつての司令官を除き最年長かつ最古参のアイドルだ」

晶葉「チェルノ以外にもあらゆる機体を乗りこなし6年戦い続け身体に染み付いた経験はカテゴリー4に対しても通用し、戦況がひっくり返った後でさえもKAIJU相手に全戦全勝の成績を修め」

晶葉「そして『シベリアの守護神』と呼ばれるほどの活躍を見せた、まさに大ベテランだ」


晶葉「―――『神兵』アナスタシア。イェーガー操縦歴は1年と短い新参者ではあるが、ロシアと日本の協力により行われたアイドル育成プログラム『ヴォールク』を首席でクリアした天才中の天才」

晶葉「チェルノ・アルファを操縦するために新田美波のバディとして選出されて以降、その才能を遺憾なく発揮し」

晶葉「センターアイドルとの相性の良さも手伝って、単なる量産機に過ぎなかったチェルノ・アルファを無敗の神機に仕立てあげる活躍を見せている」


忍「『クリムゾン・タイフーン』、ドロップ完了。ブレイン・ハンドシェイクを行ってください」



晶葉「―――工藤忍、綾瀬穂乃香、喜多見柚、桃井あずき。『チーム・クリムゾン』…別名『チーム・フリルドスクエア』の4名は元々アイドル補欠候補生だった」

晶葉「ドリフト適性は決して他に劣らなかったものの、戦闘技術に関しては凡庸そのものであり人類が優勢だったころ実戦に出る必要は無かった」

晶葉「……しかし、チーム・フリルドスクエアに突出した価値がないのは『2人で戦闘を行う場合』だ」

晶葉「1年前に人類が劣勢に追い込まれ、クリムゾン・タイフーン前担当のアイドル3人が殉職してから彼女達の価値は一変」

晶葉「『4人でのドリフトが可能』という世界中を探しても発見できなかったイレギュラー中のイレギュラー共は改造したクリムゾン・タイフーンでその固有の才能をふんだんに活用」

晶葉「多人数ゆえの隙の無さと器用かつ手数の多い戦術を駆使し、全イェーガー中最も多く無傷で生還したバケモノかつゲテモノだ。……褒め言葉だぞ?」


未央「ブレイン・ハンドシェイク成功! 調子は完璧、いつでもいけるよ!」

凛「……」コキリ



晶葉「―――本田未央。イェーガー操縦歴は2年の中堅アイドルだ」

晶葉「ドリフト適性および戦闘技術は共に水準以上の実力を持ち、優勢時代にメイン戦力の一つとして数えられていた優秀なパイロット」

晶葉「また、バディに関係なく常に安定したドリフトを行える能力がある。その能力を買われ緊急時には李衣菜を含む様々なアイドルと即席コンビを組み人類に貢献した」


晶葉「―――渋谷凛。優勢時代はアイドルとして戦うことに興味がなかったため潜在能力に注目されることもなく一般人として過ごしていた」

晶葉「しかし人類が劣勢に追い込まれた後、当時の補欠候補生であり渋谷凛・本田未央共通の友人だった島村卯月がKAIJUの被害に遭い死亡。それが凛を戦いの道に引きずり込むことになる」

晶葉「以降戦況が劣勢に傾くにつれ多くのアイドルが辞退した中、凛は未央と共にKAIJUに抗い殺し続けた」

晶葉「その激戦の中で、元々持っていた高い潜在能力を徐々に発揮し……望まぬ形で強力な戦士と化した」


みく「……凛チャン……」

晶葉「…すまない。途中から要らない昔話に比重を置きすぎたな」


晶葉「とにかくだ。今ここに残っているアイドル達は全て優秀な戦士でありたくさんの戦場を生き延びているんだ」

晶葉「更には想定できる限りのKAIJUの強さ、そして数に対する作戦も十分に用意してある」

晶葉「油断は大敵だが……対策は張れるだけ張った。万全のジプシーを参加させることを最高のものとして、それに次ぐ至高の布陣だ」


晶葉「見ていろ侵略者共。―――人類をなめるな!!」



『―――チェルノ・アルファ、クリムゾン・タイフーン、ストライカー・エウレカ。すべて出撃準備を終了しています』




P「……フタサンサンマルより、全機体出撃してください」


P「……カウントダウン5秒前。3、2、1―――――」











―――作戦開始










今日はここまで。

ごめんよ、経歴盛るのが予想以上に楽しくて戦闘まで行かなかったよ。特にラブライカの経歴考えるのが楽しかったです。

遅くても今週末までには続きを書けると思う。
もうちょっと待ってね


――――――――――――――――――――


晶葉(――PPDCの研究チームによる発表の中に、こういったものがあった)

晶葉(――『KAIJUが二体同時にやってくる』という計算結果が)

晶葉(――よって、その予測も視野に入れた上で複数の計画を入念に練った)

晶葉(――それがこのプランBだ)


晶葉(――そして、プランBには直接戦闘を行うアイドルからの提案も取り込まれている)

晶葉(――それは『複数のイェーガーによる集団戦闘』であることを念頭に置いた作戦、およびそのためのトレーニングやレクリエーションの導入だ)


晶葉(――発案者は『ストライカー・エウレカ』センターアイドル、本田未央。多様なパートナーを持った経験のある彼女だからこそ思いついたものだ)

晶葉(――プラン作成リーダーは『チェルノ・アルファ』センターアイドル、新田美波。作戦の構想には彼女の意見も多く取り込まれている)


晶葉(――このプランBでは、従来の『一対一で戦い』『一機体で戦闘の全ての手順を担い』『早期決着を目指す』戦闘方法を根っこから否定している)

晶葉(――複数の敵を相手にすると言う、今までになく、また死の危険性がより高まると予想できる状況で)

晶葉(――より生還の可能性を上げるため、各機体の長所を生かし、短所を補い)

晶葉(――偵察から始まり牽制、果てはとどめに至るまで)

晶葉(――ストライカー・エウレカ、チェルノ・アルファ、クリムゾン・タイフーンそれぞれが各々作戦に貢献できる箇所を担うのだ)


晶葉(――今までとは違い、『1つの機体』が『1つのチームのパーツ』として動くことが求められるプランB)

晶葉(――作戦を万全に進めるため、パートナーでないアイドル同士のコミュニケーションが必須となった)

晶葉(――よってアイドル達は、食事会から始まり合同訓練・アイドル全員参加のプラン審査・あるいは親睦会を兼ねるレクリエーションの数々)

晶葉(――それらのイベントを経ることで互いの息を合わせ、作戦を潤滑に進められるように努め、そして達成した)



晶葉(――さあ、その成果を存分に拝見させてもらうぞ)


――――――――――――――――――――


未央『―――こちらストライカー・エウレカ、今のところ異常なし。海岸線にて命令をまつ! どーぞ!』ブツッ

美波『チェルノ・アルファ、了解。輸送機から離脱します』ブツッ

忍「クリムゾン・タイフーン同じく了解。同様に離脱し、作戦通り先鋒を務めます」ブツッ


忍「ふう……」

柚「緊張してる?忍チャン」

忍「…そうかも。今までも『仲間の命を背負ってる』ことは同じだった筈なんだけどね」

柚「ほうほう」

忍「今までは運命共同体だったから、って妙な安心感があったっていうか……いや、それは今の皆とも同じなんだけどさ」

あずき「その気持ち、あずきも分かるよっ♪」

柚「うんうん! もっと『失敗できないなー』って感じがするよね」

忍「ん…確かにそんな感じかも」


穂乃香「大丈夫ですよ、忍ちゃん。これから背負う責任だって、私達みんなで背負うことに変わりはありません」

柚「そうそう! 今まで通り4人で分けちゃお! そのためのクリムゾンなんだよネ!」

あずき「4等分作戦、ばっちり成功させちゃうよっ!」


忍「……」

忍「あははっ、そうだよね。……やっぱりいいなあ、このチーム」

柚「ええ…そんな死亡フラグ満々のセリフやめてよう」

忍「えっ? あ、ごめん」


忍「―――よし! それじゃ一番槍いくよ!」

忍「皆手を抜かないように、特に柚ちゃんとあずきちゃんは作戦全体で私達より大事な役目があるんだからね!」

あずき「オッケー!」

柚「忍チャンと穂乃香チャンも手を抜いちゃダメだよ? アタシ達だって生き残らなくちゃ!」

穂乃香「ふふっ、こっちは任せてください」

忍「うん! それじゃあ、改めて……」



忍「クリムゾン・タイフーン。『索敵』および『敵戦力の把握のための交戦』を始めます」


――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――



暴風赤紅≪―――――≫ザッ


あずき「んー……今のところ対象の目視確認なし……管制、KAIJU反応はありますか?」

ちひろ『現在、クリムゾンから半径100m以内に接近しています。決して油断しないでください』

あずき「了解しました。……」

あずき「…………!!!」


あずき「いた! 三時の方向で何か動いたよ!」

忍「オーケー、いくよ穂乃香ちゃん、構えて!」

穂乃香「了解です!」グッ


暴風赤紅≪―――――!!≫ガキンッ





あずき「襲ってくるよ! 3、2、1―――!」





ザバアッ









〔 ――――― ギャアアアアアアアアアアアア !!!!! 〕





ENCOUNTER



凶悪翼獣オオタチ Otachi



穂乃香「―――はああああああアアアアアアアアッ!!!」


暴風赤紅《―――――!!》ゴオッ



ガシリ


忍「いくよ穂乃香ちゃん! 柚ちゃん!」

柚「よっし! …―――せーーーーーえーーーーー」


「「「ーーーーーのッッッ!!!」」」



暴風赤紅《ッ!!!!》ヒュッ



ブンッ




オオタチ〔 ギアアアアアアアアアアアアアア !!! 〕ゴッ




バシャンッ


忍「……ふうっ! あずきちゃん、今ので分かった!?」

あずき「バッチリ! 今の背負い投げで、あずきにはあの子の武器がしっかり見えたよ!」


あずき「オオタチだっけ? 細くて泳ぎやすそうな体してたから、多分パワータイプじゃなくてスピードタイプ! 水中だとちょっと厄介かも」

あずき「流線形って感じの身体で、頭から尻尾まで、特に尻尾がすごく長いよ。尻尾の先は物を掴めそうな三又になってるから、ここの攻撃も注意!」

あずき「あとは……喉元が周りと比べてよく光ってる。それで前足も長いわりに細いんだよね。何かあると思うから、前足二つと尻尾、それと口から吐くものに気を付けて戦った方がいいかも!」



穂乃香「…こちらクリムゾン・タイフーン。エウレカ、チェルノ、今の報告は聞こえましたか?」

未央『こちらエウレカ、バッチシ聞こえたよ。ありがとあずきっち!』

美波『こちらチェルノ、オオタチの特徴について把握、敵方第二戦力の索敵のサポートに回ります。ありがとうあずきちゃん!』


あずき「えへへっ、ぶん投げ観察作戦大成功っ♪」


忍「……よし。それではクリムゾン・タイフーン。予定通り、第二戦力『レザーバック』が出現するまで『オオタチ』と交戦します」

P『司令本部、了解。レザーバックが出現するまで深入りしないよう注意してください』

忍「了解!」ブツッ




忍「……」


暴風赤紅《……》ギッ


オオタチ〔 グウウウウウウウウウ …… 〕



忍「……さてと」

柚「まずは第一関門クリア、ってとこカナ?」

あずき「次はレザーバック釣り上げ大作戦、だね!」

穂乃香「まだまだ気は抜けませんね……!」


忍「うん。……レザーバックが出てくるまでこいつには何もさせない!」


忍「―――行くよ!」




        サンダークラウドフォーメーション
「「「「――― 雷 雲 旋 風 拳 !!!!」」」」





一旦ここまで。

夜にまた来ます。


――――――――――――――――――――


晶葉(――クリムゾン・タイフーンは、言うまでもなく操縦アイドルの多さが長所に繋がる)

晶葉(――そんな暴風赤紅に課された役割は『索敵』、そしてレザーバックが出てくるまでの『時間稼ぎ』だ)


晶葉(――そしてクリムゾン内では更に役分けが為される……工藤忍と綾瀬穂乃香が主戦闘、桃井あずきが周辺の監視といった具合にな)

晶葉(――よって周辺への注意を頭一つ分割くことができるクリムゾンなら、奇襲にも素早く対応できる。これで、まずはオオタチに一発ぶちかましてやれたわけだ)


晶葉(――あとは決してオオタチを見失うことなく、ただし深追いもせず)

晶葉(――ヒット&アウェイを繰り返して状況を膠着させる。これが先鋒クリムゾン・タイフーンの役目なのだ)


晶葉(――ただ、目の前のオオタチが自分たちを攻略しないとは言い切れない)

晶葉(――今のあずきの報告なら……例えば尻尾を叩きつけられ体勢を崩した隙に、中距離から尻尾で頭をもがれる……とかな)

晶葉(――3人乗りのクリムゾン・タイフーンなら対応できなかっただろうが……)





晶葉(――ここで初めて活躍するものがある)

晶葉(――それは喜多見柚と―――――)フッ





ニヤリ





晶葉(――4人乗りに合わせて私が開発した、『第4の腕』に搭載された新機能だ)


――――――――――――――――――――



忍「やあっ!!」


暴風赤紅《ッ!!!》ザンッ


穂乃香「はああっ!!」


暴風赤紅≪―――!!!≫ギインッ



オオタチ〔 ――――― ギイイイイイ !!! 〕



ヌラリ



あずき「! 右から尻尾攻撃来るよ! こっちからはリーチが足りない!!」

忍「っし……柚ちゃんっ!!」

柚「よっしゃあっ!!」ガキン





柚「―――――モードチェンジっ!!」






クリムゾン・タイフーン 第4の腕





MODE CHANGE





MODE:





≪ コヨーテ・タンゴ ≫





第4の腕≪―――≫ガキン

第4の腕≪―――≫メキメキメキメキッ





第4の腕 → 連装モーター・キャノン『改』





柚「行くよッ!!」ガチン

暴風赤紅≪―――!!!≫ジャキン



ドガガガガガガガガガガガガガガガッ



オオタチ〔 ギアアアアアアアアア ッ!!!? 〕グラリ



バシャアンッ



柚「どんなもんだいッ!」ドヤァ

あずき「ナイスキャノン砲!」b

柚「イエーイっ!」b


忍「…これさ、確か司令官が乗ってた機体の武器だっけ」

穂乃香「廃棄場から持ち出して改造したようですね……流石第一機体、侮れません」


――――――――――――――――――――


~PPDC司令本部~


みく「わあ……!」

李衣菜「あれって確か、みくちゃんの記憶に出てきた……!」



P「……」

晶葉「…不満か? 自分の乗っていたイェーガーを使われるのは」

P「……あまり、いい気はしませんね。安部さんを病に沈め、私を戦えなくした元凶ですから」


P「……しかし、それとは別に……」

晶葉「?」



P「…私も、一人の男です」



晶葉「!」


晶葉(…フフ、珍しいな。僅かではあるが、司令官の口元がにやつく様は……)


晶葉(さて、と)



オオタチ〔 ギアアアアアアア !!! ギシャアアアアアアア !!! 〕



晶葉(――近距離戦闘はまさに暴風赤紅の領域。得意の尻尾もコヨーテの砲弾には敵わない)

晶葉(――喉のなんたらは……使う気配すらない。おそらく、このゲテモノには相性の悪い武器だ)

晶葉(――さあいよいよ詰みか? 詰みに入っただろう?)


晶葉(――もう状況は動かないぞ。さっさと助けに来たらどうだ)


忍(――もうオオタチの攻撃は見切った)

穂乃香(――接近戦ならこちらが有利)

柚(――逃げてもムダムダ、背を向けた瞬間に撃ち殺しちゃうからね)

あずき(――隙をつけるなんて考えない方がいいよ。元々決着をつける気なんてない)


美波(――私達チェルノ・アルファはオオタチに近づかない)

アナスタシア(――ダー。無理に近づいたら、シノブ達の邪魔になります)


凛(――オオタチ一匹に出来ることはない)

未央(――じゃあ、潜って隙を伺う余裕なんてないよね)



クリムゾン(――来い)


チェルノ(――来い)


エウレカ(――来い)



(((―――――来い!!!)))





――――――――――レザーバック!!!








ザブン






ザバアッ










〔 ガアアアアアアアアアア ッ!!!!! 〕





ENCOUNTER



電磁波暴獣レザーバック Leatherback



柚「来たああああああッ!!」


あずき「こっち来るよ! 忍ちゃん!」

忍「任せてっ!」ガキン


暴風赤紅≪―――!≫ガシャン



 液 体 窒 素 砲 



ブシュウウウウウウウウウ



レザーバック〔 グギャアアアアア !!? 〕バシャンッ


レザーバック〔 ……? 〕フルフル


忍「よし怯んだ! ……あんまり効いてる気はしないけど」

穂乃香「あずきちゃん!」

あずき「うん! レザーバックはどう見てもパワータイプ、拳が分厚い上に身体も太くて防御力もすごそう!」

穂乃香「……という事は……」

柚「……うん」



レザーバック〔 …… 〕グッパグッパ


レザーバック〔 ……ガアッ!! 〕ムクリ


フッ



レザーバック〔 ? 〕



「―――アーニャちゃん」

「―――ダー。Роль……私達の出番、ですね?」

「―――行くわよ」



美波「―――こちらチェルノ・アルファ。コードネーム『レザーバック』、視認しました」

アーニャ「―――作戦通り、プランB第二段階に入ります」

「「……っ」」スゥ




「「―――ハンマーパワアアアアアアアアッ!!!」」



ゴドン


メシャアアッ




レザーバック〔 ガアアアアアアアアアア ッ !!! 〕



ズウウウウン……


未央「さっすが不屈のチェルノアルファ! 気持ちいいくらいヘヴィな拳じゃないかっ!」

凛「はしゃいでないで準備しなよ。そろそろ『来る』よ」

未央「うんうん、分かってる分かってる!」ウキウキ


――――――――――――――――――――


晶葉(――プランBは三段階に分かれている)


晶葉(――第一段階はクリムゾン・タイフーンによる索敵・および二体目が現れるまでの時間稼ぎ)

晶葉(――そして第二段階は二体目が現れた後だ)


晶葉(――一体目を囮に隙を伺っていた二体目のKAIJU、レザーバック)

晶葉(――そいつが出なければ状況を変えられないようにオオタチを追い詰め)

晶葉(――そして、奴等にとって『最悪のパターン』で出ざるをえないようにした)


晶葉(――レザーバックはオオタチの戦況を立て直させようとして、クリムゾン・タイフーンに襲い掛かったようだが……)

晶葉(――残念だったな。この赤ゲテモノは武装のバリエーションがすごいのだ)

晶葉(――ま、今の状況じゃチェルノに行こうがエウレカに行こうが不意打ちにならず返り討ちになるだけだろうがな!)


晶葉(――隠れている敵がすべて目前に出たとなれば、いよいよ奴の出番だ)

晶葉(――チェルノ・アルファ。シベリアの古兵が拳をうならせる!)

晶葉(――ハンマー・パワーも成功し、主導権はもはやこちらのものだ!)


――――――――――――――――――――


美波「アーニャちゃん、次はこいつを焼くよっ!!」

アーニャ「ハラショー! Выпекать……丸焼きですね?」


チェルノ・アルファ≪―――――!≫ガシャン



 火 炎 放 射 



ゴオオオオオオオオオオッ



レザーバック〔 ガ グガ ……!! 〕ジュウウウウウウ


レザーバック〔 グググア …… 〕モゾモゾ


柚「おおっとお……核ですら平気だというKAIJUの皮膚ですら、あの焼けザマ……すっかり頭抱えてうずくまっちゃったねえ」

忍「柚ちゃん、油断しないっ!」

柚「おっとゴメンゴメン。じゃーもういっちょ喰らいなー」ジャキ



ドガガガガガガガガガガ



オオタチ〔 ギシャアアア ッ ギギャアアアアアア !! 〕


柚「……これでしばらくは動けないカナ?」

穂乃香「このままとどめを刺せそうな気もしますが……油断は禁物ですね。やはり確実に仕留められる人に頼まないと」

美波『こちらチェルノ・アルファ、レザーバックの無力化に成功しました!』

忍「あ……了解。こちらクリムゾン・タイフーン。オオタチもしばらく動けないと思います」


――――――――――――――――――――


未央「―――お。二匹とも無力化されてるっぽいよ」

凛「そろそろだね。……卯月、仇は取るよ」

未央「……そうだね。やっちまおうか、しぶりん!」



未央「もう待機のフリはいいよね、司令官!」


P「……ええ、許可します」

P「PPDC司令本部、オオタチおよびレザーバック両名の無力化を確認」


P「PPDC総司令の名の下に、クリムゾン・タイフーン、チェルノ・アルファ、そしてストライカー・エウレカすべてに命令します」


P「プランBの最終段階に入ってください」


P「目標は対象の完全駆逐―――――」







P「―――――総員 かかれ」



未央「いよっしゃあああああああっ!!」ガッ

凛「このまま決めてやるッ!!」


ストライカー・エウレカ≪―――――ッッッ!!≫ブオッ


――――――――――――――――――――


李衣菜「ウッヒョオオオオおおおっ!! 行けえええええっ!! やっちまえええっ!!」

晶葉「李衣菜、さっきまで落ち込んでたのはどこに行った?」


晶葉「…まあ、興奮するのも仕方ないか。みくの方は……」

みく「……」

晶葉「……」


晶葉「……オオタチおよびレザーバック両名の無力化を達成すれば、プランBは最終段階に入る」

晶葉「それは、敵の手が及ばないように隔離していたストライカー・エウレカの参戦」

晶葉「そして3機体全員が戦闘に参加、敵二体を火力でゴリ押しした末の最新機のエウレカによる『とどめ』」


晶葉「決定打を喰らわせようと近付いたところを逆手に取られ、奴らのペースに乗せられることのないよう」

晶葉「慎重に、しかし確実に敵の戦力を削り、そして圧倒する。それがプランBの目的だ」


晶葉「このまま行けば作戦は成功、その勢いで太平洋プレートまで赴き、裂け目を爆破……」

晶葉「もはやジプシー・デンジャー……君の出る幕はどこにもないのだろう」



晶葉「……すまない。悔しいだろうな」


みく「……ううん。いいの、みくはここで見てるよ」

みく「みく、いっぱい頑張ってきたつもりだったけど……もう敵わないなって思っちゃったにゃ」

みく「みんな、すっごく強いにゃ。みんな、すっごく偉いにゃ」

みく「……みくの入る隙なんて、最初から無かったんだね」


晶葉「みく……」



晶葉(――すまない、みく)

晶葉(――あれだけの希望を秘めて育った子だ。出来る事なら、何か達成感をくれてやりたかった)

晶葉(――あそこで阿呆らしく騒いでいる李衣菜はともかく、『何の役にも立てなかった』気持ちを引きずって勝利の日を迎えるみくは、このままずっと捕らわれ続けるだろう)

晶葉(――だが……何かを成し遂げて死ぬならまだしも、何も出来ずに死ぬよりはマシなはずだ)

晶葉(――せめて、KAIJUのいなくなった世界で……新たな生きがいを見つけてくれることを祈ろう)


晶葉(…………)


晶葉(――しかし、思ったよりも順調に作戦が進んだな)

晶葉(――奴等、全く反撃してこないじゃないか。喉元か背中を押さえてうずくまったまま、なすがまま……)



晶葉(――いくらなんでも上手くいきすぎじゃないか?)


晶葉(――いや、おかしい。なぜ奴等は反撃しない?)


晶葉(――特にレザーバックだ。あの図体のデカさ、まだ反撃する余力は残っていそうなものだが)


晶葉(――その証拠に頭を全く守っていない。せめて首じゃないか?)


晶葉(――その硬い拳で守っている部位はなんだ? 背中に何がある? 頭よりも大事なのか?)


晶葉(――違う。レザーバックのあれは、うずくまっているわけではない)





晶葉(――――― 奴 は 力 を た め て い る )



未央『ストライカー・エウレカ! まずはレザーバックを仕留めるよ!』



晶葉「っ!」ハッ


晶葉「おいやめろ! とどめを刺そうとするな! 一瞬でも攻撃の手を緩めるなっ!!」


未央『……『刺そうと』するな? それってどういう……』




レザーバック〔 ――――― ギャアアアアアアアアアアアア !!!!! 〕ブンッ



未央『ッ!! あぶなっ!』

凛『最後の抵抗のつもり……? なんとか避けられたけど……』


晶葉「違うッ! レザーバックから飛び退くなッ! そいつに一瞬でも時間を与えるなッ!」


美波『時間……? もう、こんなに傷ついてるのに……』


晶葉「関係ないっ! そいつは恐らく逆転の武器を持っている! 多分オオタチもだっ!!」

晶葉「背中と喉元、そこを狙え! 無理やりにでも引きずり出せ! きっと奴等の武器はそこに―――――」



レザーバック〔 ………… 〕ジジッ


バチッ


バチバチッ






レザーバック エネルギー充填完了





 E M P 展 開





晶葉(――もはや、奴らは手も足もボロボロだった)

晶葉(――動くことはできたかもしれないが、三体も相手に逃げられるような様ではなかった)

晶葉(――だから、私達は皆油断した)



晶葉(――レザーバックの背中にあったものは『撃鉄』だった)

晶葉(――それはまるで銃のように、レザーバックの肉体に振り下ろされ―――――)



晶葉(――奴の身体を中心にエネルギー波が展開)

晶葉(――近くの機械を全て巻き込み、PPDCの精密機械がすべて破壊された)



晶葉(――管制室も例外ではない。そして―――――)





晶葉(―――――イェーガーそのものさえも)


今日はここまで。

例のアイツとはコヨーテ・タンゴのことでした。


……テンション上げて書いてたせいで読者を置いてけぼりにしてる気がする。

何が起こってるかちゃんと描写できていますか?


バチッ


バチバチ


ブツン



~司令本部~


李衣菜「えっ……? て、停電?」

ちひろ「システムダウン……電磁波攻撃です!」

みく「電磁波? KAIJUだって生き物だよね!?」

ちひろ「……そういう武器を組み込んでいたのでしょう」

P「……イェーガーに繋いでください」

ちひろ「不可能です! クリムゾン・タイフーンおよびストライカー・エウレカは機能停止、チェルノ・アルファさえも通信回路がダウンしています!」

P「くっ……オペレーター各位、システムの復旧に就き一刻も早くイェーガーとの通信を復活させてください! 手の空いている方は本部屋上にてイェーガーおよび戦況の目視確認をお願いします!」

「分かりました!」


晶葉「くそっ…やられた!」

李衣菜「どういうこと!? あいつは一体何をしたんですか!?」

晶葉「KAIJUを進化させ、私達の痛いところを突いてきたと言う事だ」

晶葉「李衣菜も知ってると思うが、マーク4以降のイェーガーはバッテリー式の機体だ。クリムゾンはマーク4、最新機体のエウレカはマーク5……」

晶葉「……やってくれたな。最低限動けさえすれば、どれだけダメージを負おうが関係ない」

晶葉「奴らはやられるフリをして隙を作り、一気に3体中2体を潰すすことに成功したんだ!」


李衣菜「で、でも! その理屈ならチェルノは無事なんだよね!?」

晶葉「ああ。チェルノ・アルファは原子力稼働のマーク1……通信機を除けば、EMPにあてられても問題なく動ける……」


晶葉「……だが、考えてみろ」



晶葉「状況は『3対2』から『1対2』に変わった! それも相手は過去最高のカテゴリー4二体だ! どう考えてもまずい!」



李衣菜「っ……!」



「本部屋上にてイェーガー三機を目視確認! 次いで戦況報告を行います!」


一同「!」


「クリムゾン・タイフーンおよびストライカー・エウレカは両名ともにダウン!」

「チェルノ・アルファは照明の点灯および正常な動作を確認しています!」

「ですが……」






「オオタチの体液によりコックピットを含む機体前部が溶解!」





「オオタチ、レザーバックによりチェルノ・アルファは一方的な攻撃を受けています!」





――――――――――――――――――――


~十数秒前 海上防衛線~


未央「いつつ……」ガチャ

凛「どう言う事? システムが全部使えなくなってる……」


穂乃香「司令本部! こちらクリムゾン・タイフーン、応答願います!」

忍「駄目、つながらない……!」

柚「レザーバックが何かやったと思ったら、頭にすごい衝撃を喰らって……こんなこと、今までになかったよね!?」

あずき「通信もつながらない、イェーガーも動かせない……あずき達、ちょっとやばいかも……」



アーニャ「боже! ミオ達、何かおかしいです。司令官とも話せません!」

美波「……多分、電磁波か何かで回路をやられたんだと思うの。だから私達だけ動ける……」

アーニャ「……戦えるのはミナミとアーニャだけ、ですか?」

美波「そうね。二体相手は厳しいけど、やるしか―――――」



オオタチ〔 ギシャアアアアアアアア ッ!!! 〕グパァ



ビシュッ


美波・アーニャ「!!!」



ジュウウウウウウウウウ



未央「ええっ!? ウソ、何あれ!?」


あずき「オオタチの喉から……あれは……KAIJU BLUE?」


柚「……あれ、やばい。ブルーを掛けられたところがなんかだんだん……!」


凛「チェルノ・アルファの分厚い装甲が……!」




「「「 オオタチに溶かされてるっ!!! 」」」




ジュワッ


チェルノ・アルファ≪!!!≫ジュウジュウ


アーニャ「アアッ!!」

美波「アーニャちゃんっ!」

アーニャ「……大丈夫、です。ミナミ。アーニャには、ブルーがかかってません……!」

美波「良かった……司令本部、司令本部! 応答願います! 酸性の液体をかけられました! 機体が溶け始めて―――」



レザーバック〔 ガアアアアアア ッ!! 〕ガシッ



メギッ



美波「きゃあああああっ!!」


アーニャ「ミナミ!」

美波「ごめんアーニャちゃん! 大丈夫、すこしビックリしただけ、だけど……!」

美波「このままじゃやられる! アーニャちゃん、体勢を立て直すわよ!」

アーニャ「ダー!」



チェルノ・アルファ≪―――!!≫ブンッ



ゴッ



レザーバック〔 グアア ッ! 〕フラッ



バシャンッ


オオタチ〔 ………… 〕



未央「みなみんとアーニャ、あんなになっても戦ってる……! 私達も何かしないと……!」ガチャ

凛「!!! 待って未央、今外しちゃダメ!」



オオタチ〔 ギシャアアアア ッ!!! 〕ブンッ



ドカッ



エウレカ≪!!!≫グラッ



未央「えっ……」グラッ



バキッ


メキイ



未央「あっ……あああああああああっ!!! 腕があああっ!!」

凛「未央! 未央っ!!」


忍「チェルノが戦ってるんだ、私達も何かしないと!」

柚「待って忍チャン! ヘルメットを外したらオオタチにやられる!」

忍「えっ?」ピタ

穂乃香「レザーバックがチェルノの相手をしている間、オオタチは私達を見ているようです!」

あずき「多分、本当に動けないか確かめてるんだと思うけど……それ以外にも……!」



アーニャ「! ミオ! リン!!」

美波「アーニャちゃん! よそ見しちゃダメ!」

アーニャ「はっ……!」



レザーバック〔 ガガアアアアア !! 〕ブンッ



ゴシャア



アーニャ「アアアアアアアッ!!」



レザーバック〔 グアアアアアアア ッ!! 〕ガシリ



ザブンッ



チェルノ・アルファ≪―――! ―――――ッ!!!≫ゴボッ



美波「チェルノを沈めてきたっ……! 水が……!」



ザバアッ


美波「嫌っ……が、ばっ……!」

アーニャ「ミナミッ!! ……ゴボッ……!!」


柚「……げえっ!! チェルノが頭掴まれて海中に押し倒されてる! ほんとにまずいよこれ!」

穂乃香「……! しかし、私達には何もできません……!」

あずき「これ……まずあずき達の中で、唯一動けるチェルノを潰しにかかってる……」

忍「ってことは、それが終わったら……」



(―――次は、私達の番―――――!!)




レザーバック〔 グガガ 〕バシャバシャ


オオタチ〔 …… 〕ジイイ


レザーバック〔 ガウ ? 〕チラ


オオタチ〔 ギシャア 〕コクリ


レザーバック〔 …… ガア ッ! 〕ヒラヒラ


オオタチ〔 ギシャ ッ!! 〕クルリ



ザブンッ



オオタチ〔 ギシャアアアアアア !! 〕バシャバシャ


凛(……オオタチが去った……?)

凛(……私達をほとんど片づけてしまったから、片方が上陸に向かったんだ……!)


凛(……いや、そんな事はどうでもいいっ!)


凛「未央っ! 大丈夫!? 返事してっ!」



未央「な、なんとか……」

未央「……いや、ゴメン。大丈夫じゃないかも……右腕骨折しちゃったかも……」ゼエゼエ

凛「未央……!」


凛(すごい脂汗……とても戦える状態じゃない……!)


未央「ご、めん……しぶりん……」ゼエゼエ

凛「未央っ! 無理にしゃべらないで!」

未央「みなみんもアーニャも助けられなくて……私達も、逃げられなくて……」

未央「せっかく、皆で生きて帰ろうって、思ったのに……!」ジワ

凛「……」


未央「ごめん、ごめんねしぶりん……!」

未央「しぶりんの力になるって、決めたのに……絶対にしぶりんを守るって、決めたのに……!」ハァハァ

未央「しぶりんの、大事な友達……しまむーのこと、守れなかったから……」ゼエゼエ

未央「しぶりんの大事な人、奪っちゃったから……」


凛「……!」


未央「なのにっ……」グズ

未央「足引っ張って……ヒック……迷惑かけて……!」ポロッ

未央「結局、皆を死なそうとしてる……!!」ポロポロ


凛「未央……!」

凛(どうしよう……このままじゃ、みんな死ぬ……!)

凛(美波達も、忍達も、未央も……!)

凛(でも、エウレカは動かせなくて……!)

凛(あるものと言えば、照明弾くらいしか……)





凛(……照明弾……?)


凛「……未央。ここで待ってて」ガシャン

未央「……しぶりん?」


凛「誰も死なせない。美波達も、忍達も、未央も」

凛「効果があるなんてわからないけど、出来ることがあるならやるしかない」


凛「これがどれだけバカな事でも―――」ガチン




凛「私はそのバカな事をやってみせる」




あずき「! ちょっと、皆見て!」

忍「? 何かあったの……?」

あずき「エウレカの方! 肩に誰か乗って……あれ、凛ちゃん!?」

柚「ええっ!? 凛チャンなにやってんの!?」

穂乃香「何か持っています! あれは……」



「「「「……照明弾?」」」」



忍「……まさか!?」


チェルノ・アルファ≪……≫


レザーバック〔 ガア ッ! 〕メキッ


チェルノ・アルファ≪……≫グシャ


レザーバック〔 ――ガアアアアアア ッ!!! 〕ブンッ



「―――こっちを向けええっ!!」



レザーバック〔 …… ウガ ? 〕クルリ



凛「……」チャキ



レザーバック〔 …… ? 〕ハテナ



凛「……照明弾だよ。目に当たったら、流石に痛いでしょ」グッ


バシュッ


レザーバック〔 !? 〕ジュッ

レザーバック〔 ―――グアアアアアア ッ!!! 〕ジュウウウウ


未央「よっ……と! …あいててて」ヒョコ

未央「何をするかと思えば、照明弾で目潰しって……しぶりんってたまに、予想もつかない事するよね」

凛「……未央。待っててって言ったはずだけど」

未央「いやいや……」ゴシゴシ


未央「渋谷くん、人間には215本も骨があるのだよ。1本くらい何だと言うのかね!」ニッ

未央「……それに、さっきはらしくないとこ見せちゃったけどさ。しぶりんが何かしてくれるんだったら、未央ちゃんが何もしないわけにはいかないでしょ」ジャキ


バシュッ


レザーバック〔 ギャアアアアアアア ッ!! 〕ジュウウウウ


凛「……もう。ケガがひどくなっても知らないからね」フフッ


レザーバック〔 ギギギギ ……!! 〕ゴシゴシ


レザーバック〔 ―――ガアアアアアアアアアアアアッ !!! 〕バッ


バシュンッ


バシュンバシュンバシュンッ


レザーバック〔 グガガアアアアアアアアアアアアア ッ!!!!! 〕ジュアアアアアアア



未央「……あれ? 今のはなに?」

凛「私は撃ってないけど……方向も違うし……」

未央「……あっ! あっちだよしぶりん!」

凛「……!!」



凛「忍っ! 穂乃香、柚、あずき!」



フリルドスクエア「……!」ジャキ



忍「……もう。照明弾持って何をするかと思ったら……」

柚「でも、ナイスガッツだよ凛チャン!」

あずき「みんなで一緒に目くらまし大作戦だね!」

穂乃香「レザーバック……これ以上、あなたの好きにはさせません!」


レザーバック〔 グウウウウウウ ……ッ!! 〕ギロリ



忍「……」

穂乃香「……」

柚「……」

あずき「……」

凛「……」

未央「……それでさ。照明弾で攻撃したのはいいけど……」



未央「―――ぶっちゃけ効果ないよね!? 怒らせただけじゃない!?」



凛「ご、ごめん……気が付いたら体が勝手に動いてて……」

未央「うん分かる! それは分かる! ありがとうしぶりん!」


未央「でもヤバいのは変わってなくない!? このままじゃ私達が先にやられる!」

未央「どうしたらっ……!」



レザーバック〔 ウウウウウウウウ …… 〕グッ


レザーバック〔 ―――ガアアアアアアアアアアアア ッ!!!!! 〕ブンッ


未央「やばいっ! 来るっ!!」



レザーバック〔 アアアアアアアアアアアアアアア ッ!!!!! 〕ゴオッ



凛「くっ……!」ギュッ





凛(――今度こそ、終わりだと思った)


凛(――最後に頼った照明弾も、目の前のKAIJUにはほとんど効かなくて)

凛(――このまま、逆上したレザーバックに、未央と一緒に叩き潰されてしまうんだと確信してた)



凛(――でも、違った)




ヒュッ




ゴシャアッ




レザーバック〔 アガ ……? 〕グラリ



ドシャッ


凛「……えっ?」


凛(――目を開けると、レザーバックは吹き飛んでいて)

凛(――私の目の前には、一本の太い腕がたくましく伸びていたんだ)

凛(――すぐに分かった)


凛(――イェーガーがレザーバックを殴り飛ばしたんだ)


凛(――最初は、新しいイェーガーが助けに来てくれたんだと思った)

凛(――でも、それも違った)

凛(――明らかに見覚えのある腕だった)

凛(――その武骨な腕は、海中から伸びているように見えた)


凛(――まるで、たった今まで海に潜っていたかのように)


凛(――今、やっと分かった)

凛(――あの腕の主は……あのイェーガーは……!)










凛(―――チェルノ・アルファだ!!)





今日はここまで。

今まで伏せてたけど、ここからチェルノアルファVSレザーバックの満身創痍ステゴロ鉄拳ガチバトル限界ギリギリ耐久デスマッチ入ります。

このカードずっとやりたかった!


何だか凄い事になってきた。
…そういえばまだテスラフィスト(高圧電流パンチ)使ってないな。

ジプシーはオオタチ戦からかな?

>>298

…すみません。テスラ・コイルについてちょっと誤解してたかもしれません
アレはハンマーパワーの時に使うものだと思っていました。描写が足りませんでしたがあの時使わせました。

改めて記述するつもりですが、この時点でチェルノの火炎放射器とテスラコイルは二つとも御釈迦になってます。なのでもう出てこないと思います……

ごめん、散々引っ張っといてなんだけど
このスレ一回落とします。

話を進めるごとに前半の粗が気になって続きが書きづらくなってきたので一旦書き直して投稿し直そうと思います。
楽しみにしてくれてる方がいたら本当に申し訳ありません

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