【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ9】 (1000)


このスレは安価で

結城友奈は勇者である
鷲尾須美は勇者である

を遊ぶゲーム形式なスレです


目的


・子供を作る
・生き抜く


安価

・コンマと選択肢を組み合わせた選択肢制
・選択肢に関しては、単発・連取(選択肢安価を2連続)は禁止
・投下開始から30分ほどは単発云々は気にせず進行
・判定に関しては、常に単発云々は気にしない
・イベント判定の場合は、当たったキャラからの交流
・交流キャラを選択した場合は、自分からの交流となります


日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2


能力
HP MP SP 防御 素早 射撃 格闘 回避 命中 
この9個の能力でステータスを設定

HP:体力。0になると死亡。1/10以下で瀕死状態になり、全ステータスが1/3減少
MP:満開するために必要なポイント。HP以外のステータスが倍になる
防御:防御力。攻撃を受けた際の被ダメージ計算に用いる
素早:素早さ。行動優先順位に用いる
射撃:射撃技量。射撃技のダメージ底上げ
格闘:格闘技量。格闘技のダメージ底上げ
回避:回避力。回避力計算に用いる
命中:命中率。技の命中精度に用いる

※HPに関しては鷲尾ストーリーでは0=死になります


戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%


wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/】  不定期更新 ※前周はこちらに


前スレ
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ1】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ1】 - SSまとめ速報
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ2】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ2】 - SSまとめ速報
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ3】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ4】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ4】 - SSまとめ速報
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ5】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ5】 - SSまとめ速報
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ6】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ6】 - SSまとめ速報
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ7】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ7】 - SSまとめ速報
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ8】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ8】 - SSまとめ速報
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1457248757


http://i.imgur.com/n7FskWO.png


天乃「さすが夏凜ね」

圧倒的な力量差がある

それでも立ち向かうその姿勢を、

天乃は嬉しそうに見つめる

夏凜だけじゃない

樹たちも頑張ってる

けれど

今のままではまだ……きっと、勝てない

天乃「さて。みんなへの命令を考えなくちゃね」


1、移動 ※移動先指定 赤は神速使用  
2、待機 ※勇者部が先に行動
3、隠密 ※SP30消費 3ターン狙われなくなる
4、信念 ※SP32消費 状態異常が効かなくなる
5、予測 ※SP14消費 自分に対する相手の命中・回避半減
6、魂   ※SP48消費  ダメージ2.5倍
7、覚醒  ※SP70消費  二回行動
8、勇気  ※SP60消費  熱血、必中、不屈、加速、直撃、気合


↓2

直感使用中







夏凜に攻撃

1、する
2、しない
3、攻撃よりも挑発する

↓2


夏凜「っ」

球子一人にでさえ苦戦する

その弱さを認めても戦況は変わらない

3回当たれば離脱という条件も変わらない

けれど5対4と人数的ハンデを貰っている

なのに、勇者部は前衛三人が1回攻撃を受けているのに対し、

相手側は球子が一回受けただけ

銀達は1対1で向かってきてくれた

けれどもし、一人に集中攻撃だったら……

夏凜「ひとりやられたのと変わらない……ッ」

天乃「そうね。友奈か風。もしかしたら貴女がもう離脱してたかも」

夏凜「!?」

声を聞いて初めて、

天乃が真横にいることに気づき、慌てて飛び退く

夏凜「あ、天乃!」

天乃「私が攻撃してたら貴女は2回。みんなで計4回。回数的には、貴女達のハンデが消えてたわね」


夏凜「くっ」

天乃の接近に気づけなかった自分に苛立ち、

馬鹿にするような天乃の笑い声に、苛立つ

けれど言ってることは何一つ間違っていないということがそれを押しとどめ、

自分の無力さだけを、強調する

だから拳を握り締め、黙るしかなかった

天乃「ねぇ夏凜。私はまだまだ本気を出せてないのよ」

夏凜「勝手に出せばいいじゃない」

天乃「出したらつまらないじゃない。ただでさえ……余裕なのに」

夏凜「っ……あま」

天乃「私、嘘はついてないわよ」

そうだ。嘘をついてなんかいない

天乃は強くて自分たちは弱い

5対4はただの譲歩

本当は5対1でも良かったはずだ

けれどそれでは敗北しかしない

だから、頑張れば渡り合えるかも知れない精霊組が居る

少しでも頑張る気力が沸くように

夏凜はそんな気がして、首を振った


天乃「私の本気というか、全力は球子達とは比べ物にならないと思う」

自負しているわけではない

けれどきっとそうなのだろう。と

天乃は夏凜を見つめ、悲しそうに笑みを浮かべた

天乃「だから私は本気が出せない。全力になれないからつまらない。全力になれない私にすら届かないから……悲しい」

夏凜「っ……私は」

天乃「未完成」

夏凜「っ」

天乃「正直言ってがっかりよ」

奮闘している姿を喜ばしく思った

頑張って欲しいと思った

まだまだ届くことがないのは当たり前だ

だから悲しいなんてうそだ。がっかりなんてしていない

けれど、それを伝えて満足させるわけには行かない

天乃「貴女と練習試合するくらいなら、にぼしを食べたほうがいいわ」

夏凜「なっ」

天乃「というわけで、おめでとう。にぼっしーはにぼしイカに進化したわ。生臭さレベルアップね」

パチパチパチと、癇に障る音が響く

あははははっと、馬鹿にした笑い声が響く

言われっぱなしでいいのか?

このままでい――

夏凜「言い訳も、良いわけもあるかぁッ!」


夏凜→天乃 01~20で命中 ただし、01~10でカウンター 11~20で斬り払いのためゾロ目で命中


判定↓1


勝てる、勝てない

そんなことは考えず

ただ一心に【見返したい】それだけを胸に――駆け出す

天乃「ん」

夏凜「天乃ッ!」

肉薄してもなお、足の力を緩めることなく、

駆け出す力をそのまま刀に乗せ、切り上げる――が

天乃「ていっ!」

天乃の左足が風を切り、近づいた刀を蹴り砕く

横でも縦でも斜めでもきっと初撃はそうなっただろう

夏凜「わかってんのよ!」

天乃「わっ」

左手の横一閃

それすらも天乃は容易く回避する

夏凜「私が弱いなんてことも、あんたが強いってことも!」

けれどそれでも

夏凜「諦められるわけ――ないでしょうがッ!」

夏凜はもう一度右手に刀を発現させると、

つま先だけを着地させ、跳躍

着地の時間を短縮し、天乃へと詰め寄って刀を突き通す

そして、死神を引き出した

死神「……クオンサン。ヤリスギ」

夏凜「はぁっ……はぁ……私は、あんたの本気を引き出してみせるッ!」

天乃「いいじゃない。少しは楽しめそうだわ」

間違えました。


若葉→風 命中判定↓1 ゾロ目 または61~80で回避

銀→友奈 命中判定↓2 ゾロ目 または61~80で回避

球子→夏凜 命中判定↓3 ゾロ目 または61~85で回避


友奈「夏凜ちゃんも頑張ってる」

私にとっては夏凜ちゃんは遠い

その先に居るタマちゃん達はもっと遠くて

それよりも先にいる久遠さんはもっとずっと遠い

でも

友奈「私も頑張るって決めたから!」

銀「!」

左から迫る銀の斧を蹴り弾く

破壊する程の力はない

回避するほどの速さを今はまだ持っていない

けれど、それでも

友奈「私は負けない。負けられない!」

銀「……なら、あたしに攻撃を当てなきゃな」

そういった銀は嬉しそうに、笑っていた


風→若葉 命中判定↓1 ゾロ目で命中

友奈→銀 命中判定↓2 ゾロ目で命中

東郷→銀 命中判定↓4 01~55で命中 ゾロ目CRI

樹→球子 命中判定↓5 ゾロ目で命中


東郷「目標を中心に入れて引き金を引く……」

けれどそれでは遅い

狙撃は確かに動いているまとも狙うことが出来る

でも、変則的な軌道

弾丸と同等の素早さを併せ持っている相手には当たらない

東郷「動きをよく見て、どう動くかを予測する」

照準装置を覗き、銀を見つめ、

ここだというタイミングで何度も引き金を引く動作を繰り返す

数秒間に何度もそれを繰り返し、

友奈の反撃を受け流した瞬間を狙って――放つ

銀「っ!?」

友奈「あっ」

東郷「……一回目」

銀はそれを回避できずに直撃

もちろん、精霊ゆえにダメージはさほどではないが

それでも命中は命中だった

銀「須……やるじゃん。東郷」

次から次へと……勇者部は成長していく

http://i.imgur.com/KVVSeYd.png


天乃「ふむ……」

友奈も夏凜も東郷も

みんな変わってきている

絶対に勝てない

そんなことはありえないんだと……見せてくれている

天乃「頑張れ。もっと……頑張りなさい」

もっと強い敵が出てくるかも知れない

バーテックスのさらに強化版がぞろぞろと出てくる可能性だってある

その時

多少の無茶はしても

誰も欠けることがないように……いまよりももっと強く!



1、攻撃 ※対象はもう一度安価で選択
2、待機 ※勇者部が先に行動
3、隠密 ※SP30消費 3ターン狙われなくなる
4、信念 ※SP32消費 状態異常が効かなくなる
5、予測 ※SP14消費 自分に対する相手の命中・回避半減
6、直感 ※SP10消費  絶対命中、絶対回避
7、魂   ※SP48消費  ダメージ2.5倍
8、覚醒  ※SP70消費  二回行動
9、勇気  ※SP60消費  熱血、必中、不屈、加速、直撃、気合


↓2


1、風
2、夏凜
3、樹
4、東郷


↓2


※友奈は近づけないため攻撃できません


樹に攻撃

1、本気(第三式格闘術)
2、手抜(第一式格闘術)
3、悪戯

選択↓2

そのまま該当レスにて命中判定  ゾロ目で回避


天乃「樹……」

樹「っ」

球子と競り合う夏凜を躱し、樹と対峙する

大切な子

大事な子

守りたい子

大好きな子

でも、だからこそ本気で叩く

天乃「シッ」

樹「!」

地を踏みしめ抉るのではなく

滑るように地を駆け、勢いのままに拳を振るう

樹「く、久遠さん……」

天乃「あと二回よ樹。それまでに見つけなさい。自分に出来ることを」


樹「久遠さん……」

出来ることを見つける

それは……きっともう見つかってる

でもまだできるか分からない

自信がない

だからできない

樹「………………」

この戦いは死ぬことがない

この戦いは傷つくことがない

そんな安心がある

けど、でも……

これが本当の戦いだったら

夏凜「また来る!」

風「1対1を心がけてくれるなんて……ありがたくて涙が出そう」

友奈「風先輩、夏凜ちゃん。まだ……まだわからないよ。まだ、終わってない!」


若葉→風 命中判定↓1 ゾロ目 または61~80で回避

銀→友奈 命中判定↓2 ゾロ目 または61~80で回避

球子→夏凜 命中判定↓3 ゾロ目 または61~85で回避


友奈→銀 命中判定↓1 ゾロ目で命中


球子「残念ながら」

若葉「チェックメイトだ」

風「っ!」

夏凜「くっ」

若葉の正確無比で最速の斬撃は容易く防ぐことなどできず、

球子の不規則な動きに翻弄され、夏凜も敗北

けれど

直線的な両者の激突は――まだ続く

友奈「私はそう簡単には負けないっ!」

銀「あと2回だからな!」

風、夏凜が離脱したのを確認し、銀はまっすぐ突っ込む

体を限りなく低く構え、風の抵抗を削り

斧を翼のように横に構える

単純な一撃、されど最速

銀「もら――」

友奈「!」

銀のその手に弾かれる感触はなかった


銀「なっ」

銀の斧は空気を切断し、

思いっきり振りかぶった反動を抑えるために銀は一回転して、止まる

友奈「わわわっ!」

銀「ん?」

友奈の驚く声に目を向けると

友奈の体は緑色の光に包まれていて、

それをさらに目で追うと、樹へとたどり着いた

樹「……私に出来ること。まだ。これができることなのかはわからない」

天乃「……………」

樹「私のこの力が戦うためじゃなくて、守るためにある力だって確証もない」

でも、だけど

樹「私は……そうであってほしいと思う」

今はそれが自分のできることだと信じて

樹は――前を向く


東郷→天乃 命中判定↓1 01~60で命中 ただし 21~40で撃ち落とし


東郷「風先輩と夏凜ちゃんが負けた……」

勝ち目のない戦いだと分かってはいた

けれど、

多少の抵抗ができたとは言え

こんなに早く優位性を失うとは思っていなかったのだ

東郷「せめて、久遠さんを詰められれば!」

樹のすぐそばで佇み、

樹のことを優しく見つめているその姿を狙うのは忍びない

そう思いながらも

戦闘中だから。と、一言謝罪して、狙い撃つ

――しかし

東郷「!」

天乃は東郷のことを見定めることすらせずに弾を避け、

天乃「ふふっ、残念」

目を向けたかと思えば、怪しく笑う

東郷「……化け物ですか。貴女は」

頬を伝う冷や汗をぬぐい、東郷も思わず……笑った

http://i.imgur.com/7FGREd7.png


1、攻撃 ※対象はもう一度安価で選択
2、待機 ※勇者部が先に行動
3、隠密 ※SP30消費 3ターン狙われなくなる
4、信念 ※SP32消費 状態異常が効かなくなる
5、予測 ※SP14消費 自分に対する相手の命中・回避半減
6、直感 ※SP10消費  絶対命中、絶対回避
7、魂   ※SP48消費  ダメージ2.5倍
8、覚醒  ※SP70消費  二回行動
9、勇気  ※SP60消費  熱血、必中、不屈、加速、直撃、気合


↓2


1、樹
2、東郷
3、友奈

↓2



天乃→東郷 ↓1 ゾロ目のみ回避

東郷→天乃 ↓2 01~60で命中 ただし 21~40で撃ち落とし 01~20でカウンター


天乃「さっきの仕返しよ東郷」

東郷「っ」

天乃が

化物じみた仲間が迫ってくる

自分の足で逃げられる可能性は皆無

ならば迎え撃つしかない

その判断は素早かった

しかし

天乃「せあぁっ!」

東郷「!」

その判断を下すよりも天乃は早く

東郷の銃を蹴り砕き、その腹部めがけて拳を放つ

その一撃は精霊の加護があろうと凄まじさを損なわず、

東郷は耐え切れずに後退って、膝をつく

東郷「けほっ……っ」

天乃「ごめんなさい……大丈夫?」

東郷「平気です。この程度、戦いなら……当たり前ですから」



若葉→友奈 命中判定↓1 ゾロ目 または61~80で回避

銀→東郷 命中判定↓2 ゾロ目 または61~80で回避

球子→樹 命中判定↓3 ゾロ目 または61~80で回避


友奈→銀 命中判定↓1 ゾロ目

東郷→天乃 命中判定↓2 ゾロ目 01~20カウンター 21~40斬り払い

樹→天乃 命中判定↓3 ゾロ目 01~20カウンター 21~40斬り払い


樹「東郷先輩!」

東郷「樹ちゃ――」

全員一回もらっている上に、

相手は人数的に+1

ほぼ絶望的な状況だ

けれど、それでも樹は諦めるわけにはいかない。と

球子の攻撃を甘んじて受け、東郷を援護する

樹「行きますっ、久遠さん!」

天乃「樹」

東郷を天乃の死角に回し、

天乃へと光の蔦を伸ばす

けれど

天乃「甘いわよ」

樹「!」

天乃はあえて蔓を掴むと、樹を勢いよく引き寄せ――

天乃「もう少し――頑張りなさい」

容赦なく穿つ


――犬吠埼樹、リタイア


東郷「……樹ちゃん」

一つ一つの動作を素早く、けれど正確に行い、

トリガーへと指を掛ける

樹ちゃんが作ってくれた一撃のための一瞬

それを逃すわけにはいかない

東郷「っ」

早鐘を打つ心臓を落ち着けるために息を止め、

天乃めがけて弾丸を放つ

死神「ザンネン」

天乃「死が……っ、東郷」

東郷「これで二回目です。久遠さん」

天乃「いよいよ、後がなくなっちゃったってわけね」

ピンチであるはずなのに

天乃は嬉しそうに笑うと、樹を見つめる

天乃「なるほど……樹らしいといえば、らしい戦い方だわ」

若葉「主様が慢心してるのもあるかもしれないが」

天乃「そんなことないわよ。みんな頑張ってるわ」


では、今日はここまでとなります

できれば今日中に終わらせたかったですが、予想以上に長い戦いに……
一応、5ターン目で決着がつかなければ強制終了の予定です



友奈「まだ、まだ終わってない!」

友奈(命令する権利を諦めるなんてできない!)

風「とか思ってるに違いない」

友奈「お、思ってませんっ!」


今から5ターン目になります
http://i.imgur.com/YeKwbam.png

では、進めていきます


1、東郷に攻撃
2、友奈に攻撃
3、待機 ※勇者部が先に行動
4、隠密 ※SP30消費 3ターン狙われなくなる
5、信念 ※SP32消費 状態異常が効かなくなる
6、予測 ※SP14消費 自分に対する相手の命中・回避半減
7、直感 ※SP10消費  絶対命中、絶対回避
8、魂   ※SP48消費  ダメージ2.5倍
9、覚醒  ※SP70消費  二回行動
0、勇気  ※SP60消費  熱血、必中、不屈、加速、直撃、気合
11、本気出す

↓2

天乃→東郷 ↓1 ゾロ目のみ回避

東郷→天乃 ↓2 01~60で命中 ただし 41~60で撃ち落とし 01~20でカウンター



若葉→友奈 命中判定↓1 ゾロ目で回避

銀→東郷 命中判定↓2 ゾロ目で回避

球子→東郷 命中判定↓3 ゾロ目で回避


天乃「さて……決着をつけましょうか」

東郷「っ!」

天乃がそう言ったかと思えば風が巻き起こり、視界から天乃が消え、砂塵が舞う

東郷はすぐさま長距離狙撃銃を手放し、

中距離銃へと持ち替え、身構える

狙撃なんてできるわけがない

狙い定めるなんてできない

それなら、とにかく乱射するしかないっ!

東郷「見えてからじゃ遅い……っ!」

天乃の初期位置、自分の位置

どこが最短であるかを考え、どこが最長であるかを考え

東郷は武器の持ち替えからコンマ1秒単位で振り返る

天乃「!」

東郷「やはり……久遠さんは回り込んでくると思ってました」

最も近い前面は敵を見失った際にまず見てしまう場所

ゆえに見失わせても直進しては意味がない

だから後ろから攻めてくると東郷は考えたのだ」


東郷「終わりです!」

叫び、

天乃の胸元めがけて――放つ

普通なら回避できるはずがない

普通なら防御できるはずがない

普通なら――

キィィンっと、音がした

東郷「なっ」

それが金属の衝突音だと気づいたとき

天乃はもう目の前で

天乃「残念」

東郷「っ……」

青坊主によって、東郷は守られていた

東郷「私の弾……見えたんですか?」

天乃「ええ。あの速度なら弾くのは簡単よ」

満面の笑みを浮かべる天乃の後ろで凄まじい爆裂音が響き桃色の光が瞬く

天乃「あっちも決着がついたみたいだけど。どうする?」

東郷「…………」

銀「選択権はないぞ。もう、東郷の負けだ」

銀の斧と球子の旋刃盤が東郷の首元にあてがわれると、

東郷は銃を消し、両手を挙げる

東郷「私達の負けです」



※天乃陣営の勝利


九尾「主様が本当の力を使わなかったとは言え、なかなかの戦いじゃったのう」

夏凜「でも、その力を使わせられなかった以上。私達はまだ、そこには届いてないってことでしょ?」

天乃「まぁ、本当に危険だからね。そもそも、貴女達に対して使うような力じゃないし」

そう笑いながらも、

天乃は夏凜や樹達の予想以上の健闘に

内心、すごく嬉しく思っていた

もちろん、ただただ褒める。なんていうのは天乃の性分ではなく

素直にその気持ちは伝えなかった

友奈「いたた……」

若葉「すまない。最後は加減できなかった」

友奈「ううん。加減したのにって言われるよりずっといいよ。ありがとう」

銀「今度は天乃の本気対8人でリターンマッチといくか」

球子「おっ」

天乃「しないわよ。流石に8人相手じゃ大変だもの」

もちろん、勝てないとは……言わないが


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば通常時間となります

なお、先の話ですが
23日、24日、25日の三日間はできない可能性があります



銀「じゃぁ、八対一やるかどうか。多数決。勇者部は挙手すること」

球子「これ今回の命令権だからみんなあげタマえ」

天乃「意地悪言わないでっ!」

若葉「ふっ……勝つ自信がないのか」

天乃「なんなのよっ、もうっ!」


では、本日も少しだけすすめていきます


東郷「……樹ちゃん?」

九尾「む?」

天乃「九……?」

東郷の声に九尾が振り返り、

連鎖して天乃が振り返る

樹「…………」

視線の先、

樹は足を止めると、振り返って笑う

樹「もう結構な時間です。帰りましょう」

天乃「それはそうなんだけど……どうかした?」

樹「いえ。ただ……負けちゃったなぁって」

若葉「それだけではないと思うが」

樹「……ううん。それだけです」

樹はまた笑って言うと、

そのままひとり砂浜を歩いていく

ほうっておくわけにも行かず、ひとまず帰ることになった


√ 8月9日目 夜(某所) ※月曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定
↓2


※この交流後、あの件で樹と交流予定になります


風「……………」

心ここにあらず

そんな様子の風の傍らで、

少女は小さくため息をつく

帰り、樹が一人そそくさと帰ろうとしているのが際立っていたけれど

思えば、風は戦いが終わっても一言も発していなかった

天乃「風」

風「……天乃」

名前を呼べば、反応する

けれど

その表情はとても……大丈夫。の一言を信じられるものじゃない

天乃「どうしたのよ。あなたまで」

風「アタシだって、悩む時は悩むのよ」

天乃「悩んでるのは分かってる。だからどうしたのって聞いたのよ」


風「アタシ、何も出来てないなって思って」

天乃「………………」

風「樹達がどんどん成長して、変わっていって。なのにアタシはさ……何も変われず模擬戦では役立たずで」

嗤う

嘲笑する

自分自身を苦しめるように、苦笑する

そして風は握りしめた拳を、ただただ固くしていく

風「何のためにいるんだろうって……思っちゃってさ」

天乃「……難しい話ね」

風「何言ってんのよ。天乃の子供云々の話よりは簡単で、くだらない話でしょうに」

天乃「そう。あまり自分のことを笑うものじゃないわ」

風「…………………」

天乃「自分で自分の事を笑うのは、心が弱り始めてる兆候なんだって。知ってる?」

風「別に間違ってな――」

天乃「まぁ、嘘だけど」

風「信じたアタシの信頼を返せ」


短いですが、ここまで
あすもできれば通常時間
そして可能なら今日よりも多く




九尾「同年代の主様がおるしのう」

若葉「それに主様は一代前でもある」

銀「さらに無駄に達観してるというか、大人びてるからなぁ……天乃は」

球子「それ以上の先輩になるのはまず……難しいだろうな」

風「うぐっ」


では、少しずつ再開していきます


天乃「ふふふっ、怒らない怒らない」

ムッとする風とは対照的に、天乃は笑う

ちょっとした冗談

それでも本気で反発するか否か

心の余裕を確かめたとは、流石に言えないからだ

風「……天乃はさ」

天乃「うん?」

風「天乃から見てさ。アタシはどう?」

天乃「どうって?」

風「だからその……まぁ、人としてというか。なんというか……」



1、なにそれ、口説いてるの?
2、貴女は自分の出来ることをしているの?
3、大丈夫よ。ダメな義姉ちゃんでも需要はあるわ
4、私は友奈達とは違うからあれだけど、私の視点から言えば貴女達は一緒よ。何も変わらない


↓2


天乃「私が貴女をどう思ってるか……の前に」

風「?」

天乃「義姉ちゃんは、自分が出来ることをしているの?」

さっきまで笑っていた人とは思えないほど、張り詰めた声だった

耳が聞こえない

動かせるのは右腕だけ

それなのに、今ここで手を出しても勝ち目がないかもしれない

そんな緊張感を感じ、冷や汗を流す風に、天乃は問う

天乃「それとも、誰かの為になることをしようとしているの?」

風「それは」

天乃「自分が出来る事。誰かの為になること。それは決してイコールとは限らないのに」


風「っ」

天乃「前の樹達なら、貴女の出来る事のほとんどがあの子達の為になることだったんだと思う」

けれどもう、違う

樹は変わった

友奈達だって、変わった

だからもう、風の出来ることの大半は

為にならないとは言わないけれど、役に立てるかどうか

定かではなくなってきているのは確実だ

天乃「手を貸してあげるのは大事だと思う。でも。もうそろそろ、自転車の後ろを押すのを止めて一緒に走ってあげても良いんじゃない?」

風「アタシは……」

天乃「振り返ったり、後押ししたりするだけじゃなく、隣に並んであげるのだって、立派な先輩だと私は思うわよ」

これは冗談では言ってないからね? と、

苦笑する天乃を風は見下ろす……いや、風は俯いていた


風「っ」

姉として

先輩として

部長として

知っていた者として風は頑張ってきた

樹の為に、友奈の為に、東郷の為に

それだけじゃない

夏凜や天乃の為にだって、頑張ってきた

そこにあるのはなんだろう

楽しさ、嬉しさに混じって、だんだんと積み重なってきていたのは

風「……責任」

そうだ。責任だ

姉、先輩、部長という責任

それがあったから。そうあらなければならないという、重圧があって

だから

風「……アタシはずっと周りのことだけを気にして。自分自身を変えようとはしなかった。並ぶことなんて考えもしてなかった」

天乃「それを悪いとは言わないけど。あまり自分をおろそかにしたらダメってことよ。わかった?」


風「……わかった」

前にいなくちゃいけない

後押ししてあげなくちゃいけない

そう考え続けて、責任を感じ、重圧を感じて

自分自身を省みることができなくなって

気づけば

後押ししてた背中はいつの間にか指先しか届かなくなって

振り向いて見ていた姿は振り向いたら後ろ髪くらいしか見えなくなっていて

焦って、焦って、焦って……

風「自分でも気づかないうちに、アタシ、相当焦ってたのね」

天乃「ふふっ、気づけたならよし」

嬉しそうに言う先人を見つめて、風は――


01~10 抱きしめた
11~20 お礼を言った
21~30 頭を撫でた
31~40 天乃も疎かにしないで。と言った
41~50 お礼を言った
51~60 抱きしめた
61~70 天乃も疎かにしないで。と言った
71~80 やらかしてしまった
81~90 頭を撫でた
91~00 お礼を言った

↓1のコンマ  


では、此処までとさせて頂きます
明日もできれば通常時間。可能ならもう少し早く
明後日に関しては早めに出来る予定です



風(これは抱きしめても許される流――)

樹「……………」ジーッ

風(ヒィッ!?)

風「ア、アリガトウ」

なんて流れではありません


遅くなりましたが、少しだけ進めていきます


風「ありがとね」

天乃「………ん」

風の気恥ずかしそうなお礼

それを茶化すようなこともなく。ただ、天乃は頷く

自分を疎かにするな。なんて

どの口が言えたものなのだろう

少なくとも私が言えたものじゃ……ないかもしれない

それが分かっていても

今のやり方は、多分変えられない

天乃「義姉ちゃん」

風「なに?」

天乃「頑張れっ」

ニコッと笑って天乃は風から離れていく

いつか

避けようのない別れが来たとしても

その先に進んでいくことができるように

そう、天乃は願った


そして天乃は風に続き、樹と会う

樹が申し出た三日間

その期限が切れる日で

大切な答えを出さなければいけない日だからだ

天乃「……樹」

樹「…………」

模擬戦後から口数が極端に減った樹は異常がないとは言えない

けれど

だからといって約束をすっぽかすわけにも行かない

言えない、行かないのダメっぷりに呆れつつも、

天乃は平静を装って、口を開く


1、それで……どうする?
2、今日はどうしたの?
3、もう寝ましょう
4、何も言わない


↓2


天乃「それで……どうする?」

樹がどうして模擬戦以降黙り込むようになったのか

それを聴くべきだったかもしれないが、

余計な所をつつくのは好ましくない。と

あえて聞かずに問うと、樹はぴくりと体をはねさせ、首を振る

樹「ずっと考えてました」

天乃「……………」

樹「女の子同士はどうしたらいいのか。インターネットで調べたりもしました」

けれど、

不純だとして規制されているのだろう

詳細なことはほとんど分からなかった

樹「……一番最初は、痛い思いをするそうです」

天乃「……うん」

樹「下手で、何も知らない人がしたら、もっとずっと。痛い思いをするかもしれません」

樹は俯き、

拳を強く握り締めていて

天乃はその遠まわしな言い方

言い換えるのならば逃避するような言い方に違和感を覚え、目を見開く


樹「模擬戦で勝てたらお願いを聞くという話になって」

冷静を装っていたけれど

内心、心臓が破裂するくらいに緊張していた

どんな手があるのかどうか

何一つわからないままで迎えた今日

どうするべきか悩んだままの樹にとって

それは一筋の光明だったのかもしれない

樹「勝って………私は久遠さんにお願いをしようかと思いました」

でも負けた

お願いはできなくなった

だから、そう

天乃「お願いって?」

樹「言えません」

その願いは心の内側にしまい込む

言えば天乃が考えてくれるということを

樹は苦しいほどに、熟知しているからだ


では、此処までとさせて頂きます
明日は早めの再開予定で16-17時ころの再開を見込んでおります




九尾「妾のチンチラと同等の尻尾。使う時が来たようじゃな」

天乃「来てない」

九尾「両手を含めれば11人の相手だってできるのじゃぞっ」

天乃「11人?」

九尾「勇者部、主様、若葉、球子、銀、園子……そして、沙織じゃ」


では、少しずつ初めて行こうかと思います


天乃「……そっか」

性行為を行うか否か

それに関してのお願いか。それとも……いや

黙り込むわけでもなく明確に言えないと口にした

それなら執拗に問うのは誤りだと、天乃は口を閉じる

樹「私は久遠さんに痛い思いをさせたくない」

天乃「うん」

樹「でも……っ」

でも、天乃の最初を

一番初めという大切なものを樹は譲り渡すなんてしたくはなくて

でも、天乃がとても痛い思いをするからと

少しでも知識を得ることのできる人に任せるべきじゃないかと考えてしまう

頭の中は同じことの繰り返しだった


樹「……っ」

天乃「………………」

どちらにせよ、初めてなのなら痛みは伴うと思う

春信さんは春信さんで風俗のお店に行って勉強してくれているらしいけれど

それでもきっと、痛いと思う

こんな時、どう答えればいいのかなんて、私の人生経験の中に答えはない

そもそも、その答えがあったとしたら

私はもうすでに、エッチなことを経験済みだと思うし

天乃「…………………」

共に願いがある

けれどそれは互を思い合うがゆえに口にはし難く

思い合うがゆえに、心に強い苦しみを与えてしまう

どちらかが一言

たった一言、我が儘を突き通せば

それで何もかもが上手く行くというのに

愛するがゆえに、その氷山がただの薄氷だとは……気付けなかった


樹「久遠、さん」

天乃「……なに?」

樹「私には、答えが、出せません」

考えると言ったのに

自分で答えを出すと決めたのに

決められなかった自分の不甲斐なさを、樹は恨む

けれどそれは優しさゆえの弊害

故にそれは、犬吠埼樹にはどうしようもないことだった

樹「だから、その……この前の質問に答えて欲しいんです」

天乃「このまえって……貴女が私を春信さんに譲ったらっていう……」

樹「はい」

失望するかどうか……

天乃「っ……」

胸が痛い

頭も痛いような気がする

吐き気も、感じるような気がする

どうしてこうも

断られた可能性を考えるのが、嫌なのか



1、あ、貴女が決めてくれるって話だったはずよ
2、わからない
3、失望は、しないと思う……でも
4、そんなこと、私に考えさせないで
5、わからない。わからない……っ、私っ、今、すごく……痛いっ


↓2


天乃「わからない……っ」

痛い

苦しい

辛い

頭が痛くて吐き気がする

このまま倒れてしまうそうな、不快感がある

天乃「わからない……っ、なのにっ私っ、今、すごく……痛いっ」

樹「久遠さん?」

天乃の言葉は途切れ途切れで荒々しく

樹には夏場ということを踏まえても、心なしか汗をかきすぎているように見えた

両手を合わせ、自分の胸元にあてがって、蹲るような姿勢になっていく天乃を前に、

樹は……思う

天乃が痛い思いをしないようにしたい

それはつまり

天乃の体の心配をしていただけで

天乃の心の心配をしていなかったのではないか。と


だから今

最初を春信に譲ると言っているのに近い状況になって

天乃はこんなにも、苦しんでいるんじゃないか。と

樹は思い至って、握りこぶしをさらに強く、

激痛が走るようにと願って形作る

そして

樹「久遠さ――」

天乃「痛い、痛いの……苦しいの……っ」

樹「っ」

天乃が顔を上げ、樹はその顔を目にした時

初めてに対する悩み

それもまた初めてで、不慣れなのは当たり前で

樹「久遠さん……」

自分はもちろん、夏凜や東郷、友奈

そして姉までもが頼りにできるこの人は

まだ、たった2年しか変わらない同じ中学生であり

どれだけ大人びていようと、女の子であって大人ではないのだと

さんざん悩んでおきながら考えつかなかったその点に、気づいた


樹「…………」

天乃の立場を自分で考えれば簡単なことだった

春信と行為を行う

それが必要なことだと諦めることですら、辛いのに

一番最初までも自分が心から好きな人ではなく

行為をしなければならない相手に差し出さなければいけないなんて

そんなのは……

樹「ごめんなさい」

天乃「!」

樹「ごめんなさい……そんなこと。考えさせること自体が間違ってたんです」

譲ってもいいかどうかなんて最低の問いだ

考えたくもない事を考えろ

覚悟をした方が良いというような、酷いことだ

天乃「樹……」

樹「本当に、ごめんなさい」

天乃の体に覆いかぶさるようにして、樹は抱き、謝罪する

久遠さんがどれだけ我慢をしてきたか、わかってたはずなのに……っ


樹「……下さい」

天乃「え?」

樹「久遠さんを、私に下さい」

誰かに渡すのなんて嫌だ

それは久遠さんも同じだと信じて、私は言う

これはお願いじゃない

これは希望でもなくて

ただの、私の勝手な考えに連れてこられた私の、我儘

樹「っ」

唾を飲み込んで、

こういう時はなんて言うんだっけ。と

浅い知識の中から言葉を漁って

樹「大丈夫です。優しくします。痛くならないように努力します。だから、一番最初を。私にください」


天乃「っ……」

応える代わりに、右腕で樹を抱きしめ返すと、

支えられていただけの左手が足に落ちる

天乃「……しばらくこのままでいて」

樹の肩に顔を乗せた今

彼女が何を思い、何を言っているのか天乃にはわからない

でも、それでよかった

それしかなかった

自分のみっともない顔なんて、これ以上見られたくないから

樹「…………………」

女の子だ

どれだけ大人びていても

久遠さんはやっぱり……女の子なんだ

それを忘れたりしたらいけない

どんなに久遠さんが頼れる存在だったとしても。それを忘れちゃいけない

大丈夫。心配ない。仕方がないことだから

そう言っている裏で、すごく傷ついているってことを忘れたりしたら、ダメなんだ

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  乃木若葉:交流有(模擬戦)
・  土居球子:交流有(模擬戦)
・  三ノ輪銀 :交流有(模擬戦、焦り)
・  犬吠埼風:交流有(模擬戦、樹エッチ)
・  犬吠埼樹:交流有(模擬戦、エッチについて)
・  結城友奈:交流有(模擬戦)
・  東郷美森:交流有(模擬戦)
・  三好夏凜:交流有(模擬戦)
・  三好春信:交流無()
・     九尾:交流有(模擬戦)

・      死神:交流有(模擬戦)
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()



8月9日目終了後の結果

  乃木園子との絆 19(中々良い)
  乃木若葉との絆 28(中々良い)
  土居球子との絆 24(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 45(少し高い)
  犬吠埼風との絆 63(高い)
  犬吠埼樹との絆 120(かなり高い)
  結城友奈との絆 59(高い)
  東郷三森との絆 58(高い)
  三好夏凜との絆 84(高い)
  三好春信との絆 36(中々良い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 46(少し高い)
      死神との絆 34(中々良い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度***%


√ 8月10日目 朝(某所) ※火曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定
↓2

01~10 風
11~20 夏凜
21~30 東郷
31~40 樹海化
41~50 犬吠埼姉妹
51~60 死神
61~70 樹
71~80 樹海化
81~90 友奈
91~00 樹(襲撃)

↓1のコンマ  


天乃「ぅ……」

身動きが取れない

それは元々体が動かせない関係上仕方がないことだったのだが

風「ん……」

樹「えへへ」

天乃「なんでよ」

夜寝るときは何も問題なかったはずなのに、

朝起きたら樹と風に囲まれているという状況に

天乃は困惑する頭を振ろうとして、息をつく

暑苦しい

でも、起こすのは忍びない

かと言って、二度寝はできない

天乃「人の布団に忍び込んでくるなんて」

もっとも、そのことよりも

忍び込んできた時点で気づけなかったことのほうが

天乃としては驚きだった


天乃「………………」

姉の弱さを聞いておきながら

妹に弱さを見せてしまうとは

上下関係はとてもじゃないけれど保てていない

元々、築いてない上下関係なんて

保つことができないのは当たり前だが

樹「なん……ね……く……」

細々と動く樹の口は凝視してても言葉を完全に読み取ることはできない

けれど表情を見る限りでは

悪夢に魘されているというわけでもないらしい

天乃「まぁ、人の布団に潜り込んで魘されてたら流石の私も怒るけ――っ」

風「にが……な……ぬふふ……」

天乃「っ、な、にが……っ」

不意に右腕を引かれ、抱きしめられた天乃は呻きながら、目を向ける

両手でしっかりと捕縛され、しがみつく小動物のように足にまで絡まれた右腕はどう頑張っても抜け出せない

天乃「人の気も知らず……嬉しそうにっ、笑うなんて……っ」


1、風に悪戯
2、樹に悪戯
3、助けを呼ぶ
4、風を起こす
5、樹を起こす
6、おとなしくしておく
7、樹を見る
8、風を見る

↓2


※1、2は内容を最安価
※3はコンマの判定


1、天乃って呼び捨てでもいいのよ。と、囁く
2、ごめんね。私、春信さんと……と、囁く
3、悪いわね。樹。風の胸の方が、心地いいのと、囁く
4、キスをする
5、耳にふーってする
6、実は私……風に弱みを……と、囁く


↓2

※この安価は>>198を取っていても取れる安価です


天乃「………………」

風や銀達は天乃と呼ぶけれど、

友奈達年下勇者部はみんな久遠さんと呼ぶ

しかも

年下だと勘違いしている頃からずっとだ

年上だと分かってからはともかく

年下だと勘違いしている頃ならば、呼んでもおかしくはないはずなのに

天乃「まぁ、別に。良いけど」

樹「すぅ……ん……」

天乃「別に、名前で呼んで欲しいとか、そういうのはないけど……ちょっとだけ」

風に拘束されたまま、

樹の耳元へと口を近づけて

天乃「ねぇ樹、天乃って。呼んでもいいのよ?」

と、囁く

これは悪戯だ。他意はない


01~10 
11~20 起きる

21~30 
31~40 
41~50 返答

51~60 
61~70 
71~80 起きる

81~90 
91~00 いつきはひだりうでをつかまえた!

↓1のコンマ  


樹「ん………」

天乃「………………」

寝ているのだから

当たり前と言えば当たり前なのだが、返答はない

ただちょっぷり不快そうに唸っただけ

天乃「なによ……嫌なの?」

思わずそう聞くと、

閉じていた瞼が開き、翡翠の瞳が天乃を捉えた

樹「ん……ぅ? な、にが……ですか?」

天乃「っ」

寝ぼけ眼で間の抜けた声

対する天乃は起きたことに驚いていた表情を薄く染めて、

慌てて動かした右腕は風の何かに触れるだけで止まり、

逃すまいと、若干汗ばんだ風の体がさらに密着する

天乃「な、なんでもない……それより、起こしちゃってごめんね」

樹「いえ、早く起きるのはもう。別に辛くないです。けど……」

天乃「?」

樹「久遠さん顔赤いですよ? 大丈夫ですか?」

天乃「夏場に巻き寿司の具にされて平気か考えてから、もう一度質問してちょうだい」

樹「……あはは。ごめんなさい」


樹「あ、でも」

天乃「なに?」

樹「久遠さんとなら、別に平気です」

樹は天乃とそうなることを考えたのだろう

その上で、笑みを浮かべてそう言った

心なしか嬉しそうに、楽しそうに

ちょっぴり赤色のスパイスが入った表情

天乃「……私は、ちょっと困るんだけど」

樹「お風呂、作らないとですね」

天乃「う、うん」

でも、怒ろうという気には、なれない

樹「そういえば……お姉ちゃんもいるんですね」

天乃「今気づいたの? 右腕にしがみつかれちゃって。今動けないのよ」

樹「私が来た時は、いなかったと思うんですけど」

天乃「貴女はいつ来たのよ」

樹「寝てからすぐです。本当は久遠さんの寝顔を見るだけのつもりだったんですけど……寝ちゃいました」


天乃「貴女ね……」

この際、気にしても仕方がないことだと、天乃は思う

色々あった

だからそばにいたいと思うだろうし、

できるだけ近くにいたいとも。きっと思うからだ

もちろん、風もだ

彼女としては特に邪念のない

子供としての行動だったのだろう

本来頼りたい年代で親がいないのならば

今もなおそうしてしまうのも、不可解じゃない

天乃「撫でてあげられるのなら。撫でてあげたいものね」

樹「お姉ちゃんをですか?」

天乃「ううん。貴女達を。よ」

二人共頑張ってる

その頑張っている中で、自分が甘えられる存在だというのなら

形を問わず、褒めて、認めてあげるのがその存在の役目であると、天乃は思っているからだ


樹「髪は少し乱れちゃいますけど、久遠さんになら。撫でて欲しいです」

天乃「寝起きの貴女達は充分乱れてるから大丈夫よ」

樹のふわふわになった髪を見つめ、

天乃はくすくすと笑う

樹「久遠さんの髪は全然爆発しないですよね」

天乃「貴女達が拘って手入れしてくれるからよ」

天乃は何もしていない

正確には何もできない

体を清潔に保てているのですら、樹達のおかげなのだ

天乃「ちょっと手を抜けば貴女と同じになると思うわ」

樹「私が手を抜いても意味なんてないですよ」

だって、みんなが久遠さんを大切にしてるから

誰か一人が何もできなくなっても

問題なんてないんだから

樹「えへへっ」

天乃「っ」

樹「お姉ちゃんが右側なら私左手にします」

天乃「何言って――あっ、東郷ちょっと」

東郷「えっと……私、右足に行くべきでしょうか」

天乃「違う、そうじゃないっ」


その後、騒がしさに風が目を覚まして、天乃は事なきを得た


では、此処までとさせて頂きます
明日は可能であれば通常時間の開始となります


久遠さんはみんなに愛されています
だから、

樹「この先、誰かが欠けても……久遠さんのことは安心できる」


では、遅くなりましたが少しだけ



√ 8月10日目 昼(某所) ※火曜日

九尾、死神、銀、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、晴海
5、大地
6、球子
7、若葉
8、春信
9、イベント判定
↓2

01~10 風
11~20 友奈
21~30 東郷
31~40 樹海化
41~50 夏凜
51~60 死神
61~70 樹
71~80 大赦
81~90 九尾
91~00 春信

↓1のコンマ  


天乃「ん……メール?」

携帯電話でありながら

電話という機能を全く使用されていない端末の震えを感じて、スリープモードを解除する

新着メール一件。差出人はマイハニー

天乃「……銀か、九尾か風。九尾はカタカナ使うの好きじゃないから風かしらね」

それはもちろん、マイハニーに当てはまる人物ではなく

樹の名前を勝手にマイハニーにした犯人の名前だ

内容はいたってシンプルで

やりました! という副題に添付ファイルで小テスト満点で喜ぶ樹の写真がついているだけだった

その奥で夏凜と友奈が互いにテスト結果を見せ合ったのか、

頭を抱えている夏凜がいるけれど、目をつむってあげるのが優しさかも知れない

天乃「小テストとは言え、満点は凄いんじゃないかしら」

10点満点、20点満点ではなく、50点満点のテスト

解答用紙を見る限り、問題数は本テストの約半分程度だろうか


天乃「頑張ってるのね」

その証拠を見せられなくても

天乃は樹が頑張っている事を知っている

樹だけじゃない

みんなが頑張っていることも知っている

けれど、写真がいらなかったかと言われればそうでもない

天乃「ふふっ」

端末を胸元に宛てがって、抱きしめるようにして、笑みを浮かべる

貴女が嬉しいと、私も嬉しい

だから、嬉しそうなこの写真はとても……大切だ

せっかくメールをくれたのだから

何かを返すべきだろう



1、おめでとう。よく頑張ったわね。でも、まだまだ気を抜いたらダメよ
2、寝顔を送ろう。と、九尾に提案
3、そういえば、命令権。まだ使ってなかったわね
4、5科目全部満点なら、貴女がして欲しいこと。できる限りのことならしてあげるわよ
5、さすが樹ね。私も恋人として鼻が高いわ

↓2


天乃「九尾、ちょっとお願いがあるの」

頑張っているのだから

何か樹が喜ぶことをしてあげるべきだ

料理は、難しい

物作りも残念ながら難しい

ならなんなのかと天乃は考え、九尾を呼ぶ

九尾「なんじゃ」

天乃「私の……その、寝顔を撮って欲しいの」

九尾「ふむ……犬妹にやるのかえ?」

天乃「う、うん」

問われ、恥ずかしそうに頷く天乃を見つめ、

九尾は小さく息をつく

九尾「樹が夜這いしてこなくなるやも知れぬが、良いのか?」

天乃「そっ……それは、ほら。誘えば、良いだけだし」


もじもじとしたくても出来ない少女

それを見つめる妖狐は嬉しそうに、笑みを浮かべた

笑い声のないその笑みはとても穏やかで、暖かい

けれど

天乃がそれに気づくよりも早く、九尾はいつも通りの表情に戻って端末を手に取る

九尾「涎を垂らしてるとなお良いという噂じゃぞ」

天乃「騙されないわよ」

九尾「親指咥えるとか」

天乃「いいから早く。樹のお昼休み終わっちゃうでしょ」

真面目に受け答えするような内容じゃない

ゆえに、主様が早々に話を途絶えさせてしまうのも致し方ないこと

しかし……主様のなんと愛らしいことか。と

九尾は写真のための寝顔を見せる天乃の頬に手を伸ばすと

横髪をあえて口元へと垂らさせる

天乃「っ……九尾?」

九尾「寝顔にしては髪が整いすぎておる。少し崩れた髪型というものが、良いのじゃ」

天乃「そのポイント制? なんなの?」

九尾「くふふっ、戯れじゃ。他意はない」


天乃「……変なふうにはしないでね? 分かってるとは思うけど」

九尾「わかっておる。そもそも、主様は気配に敏感じゃからな。下手な真似はできぬ」

しかし

勇者部に囲まれているときは安心しきっているのか

その感覚はひどく鈍い

よく言えば、勇者部を頼りにしているということなのだろうが……

九尾「主様、撮るぞ。目を瞑るが良い」

天乃「うん」

素直にぎゅっと目を瞑った天乃を、

九尾は今度こそはと、撮影する

九尾「……………」

それは九尾には懐かしく

天乃の撮った? という問いかけにハッして、呆然としていたことに気づく

九尾「上手く撮れておるはずじゃ。これでも、撮影は得意な方だと自負しているからのう」

そう言って天乃に見せてきた写真は

その言葉が嘘ではないというかのように、しっかりと撮れていた


では、此処までとさせて頂きます
明日はまたお昼頃からの再開を予定しています


では、初めて行こうかと思います


天乃「あら、流石ね」

九尾「くふふっ、誇り高き九尾様じゃからな」

バーテックスの現れない日常

それはとても優しい

そして、薄いガラスのように、儚い

端末を受け取り、自分の写真を確認して

樹へとメールを作っていく天乃を横目に、九尾は微笑む

九尾「よきものじゃな」

天乃「?」

九尾「いや、なに。勇者というものがなければ、バーテックスというものがいなければ」

それがありえないことであるとわかってはいるが

九尾「主様がただの五体不満足の少女で、勇者部は主様の世話を手伝う奉仕部。そんな関係もありえたのかも知れぬと思うてな」

九尾は何気ない一言として、言う

その世界を壊したのはバーテックスだ

けれど、バーテックスが出てき始めたのはすべて……そう。だから、ある意味では自業自得だ


天乃「どうしたの? 襲来が近いの?」

九尾「それどころか嫌な感じに静かじゃ」

天乃「力を蓄えてるってこと?」

九尾「否定はできぬ」

神樹への接触を目的としてきたバーテックスは、

食い殺すことに特化した亜種を作り出してきた

つまり、勇者を道端の蟻ではなく害虫と判断したということに他ならない

九尾「主様」

天乃「うん?」

九尾「勇者部の小娘どもの満開も――」

天乃「させないわ」

いうことが分かっていたかのような素早い拒絶

驚かない。当然だ

天乃ならそう言うだろうと分かっていた

天乃はそれを絶対に望まないということも分かっていた

しかし

九尾「覚悟はしておくべきじゃ。主様が泣くか小娘を泣かせるか。主様も、後者は望まぬであろう?」


天乃「どうしてもというのなら、貴女と死神の力を使った上で満開を使うだけよ」

九尾「それは最終手段とすべきじゃ」

天乃「あの子達が満開をする必要があるくらい追い込まれてるなら、必要な時でしょう?」

九尾「……あの力を行使した上で満開をすれば最悪死に至るぞ」

それでもよ

そう言いたげな天乃の瞳を見つめ、九尾は口を閉ざす

久遠天乃は久遠陽乃と大差のない愚か者

それはわかっていたことなのに。と、九尾は俯く

九尾「愚か者じゃな。主様は」

天乃「それはわかってたことじゃないの?」

九尾「……そうじゃな。少し、妾も疲れているのやも知れぬ。しばし、眠らせてもらおう」

そう言い残して、九尾は姿を消す

精霊、九尾は眠るのだろうかという疑問もなく、

天乃は九尾がいた場所から目をそらして、外を見る

天乃「……雨。降りそうね」

どんよりとした灰色の空は、時々閃光を瞬かせながらゆっくりと動いていた


√ 8月10日目 夕(某所) ※火曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定
↓2


天乃「今日の補習はどうだった?」

夏凜「も、もちろん。完璧だったわよ」

天乃「……………」

目をそらしての言葉なのに

どう信じろというのか

天乃はしばらく夏凜を見つめて、息をつく

天乃「雨降ってきてたけど、大丈夫?」

夏凜「ええ。カバンの中に折りたたみ傘入れてたし」

天乃「ちゃんと用意してるのね」

夏凜「風が煩いからよ。普通の傘は邪魔だからってことで折りたたみ傘を常備する羽目になったわけ」

邪険にするような言い方ながらも、

その表情には、どこか嬉しさが混じっている

風も夏凜も言い争うようなことはまだあるとは言え、かなり減ったし、

なんだかんだで、とても中がいいのだ

天乃「ふふっ」

夏凜「な、何笑ってんのよ」

天乃「ううん、別に。ただ、妹みたいだなって」

夏凜「んなっ……違うわよっ! 全然っ!」


顔を赤くして、怒鳴っているのか大口で

そんな照れ隠しな姿を見つめ、天乃はくすくすと笑う

九尾が言っていたような日常ではないけれど

でも、勇者なんていなくて、バーテックスなんていなくて

ただのボランティア部と自分

そんな世界を、そんな夢を。天乃は思う

夏凜「っ、天乃っ!」

天乃「なに? 嫌なの? 犬吠埼夏凜ちゃん」

夏凜「~~~ッ!」

両手をわなわなと震わせながら

嬉しそうに笑う天乃の姿に幸福感を感じて、ため息をつく

夏凜「なら、髪色的にはあんたと友奈が姉妹ね」

天乃「……友奈が妹ね」

夏凜「あんたが妹よ。このちびっこ」

天乃「ぅなっ」


1、貴女だって小さいくせに。サプリが泣いてるわよ?
2、年齢的に私が姉でしょ
3、でも。友奈がおねえちゃんっていうのも。なんだか面白そうね
4、でも。それはそれでいいかもね……ねぇ、夏凜。貴女満開する覚悟、してたりしないわよね?
5、けど。小さくてよかったって思ってるわ。そのほうが貴女達の負担にならないし


↓2


天乃「でも、それはそれでいいかもね」

夏凜「なによ……張り合いないわね」

友奈が姉だったとしたら、

きっと、間違いなく優しくて面倒見の良いお姉ちゃんだろう

今だって、そうなのだから

でも、そんな友奈だから

そんな友奈といるみんなもまた、そんな人たちだから

天乃「…………………」

夏凜「天乃?」

天乃「ねぇ、夏凜。貴女満開する覚悟、してたりしないわよね?」

きっと

誰かの為に無茶ができてしまう

きっと

無茶以上に無理することが、できてしまう

夏凜「……あんた」

天乃「どうなの? 夏凜」


夏凜「……そうね。覚悟できてる」

天乃「やっぱり」

夏凜「もちろん、私だけじゃなく、樹含めた全員が覚悟決めてるわ」

天乃「決めるのはサプリだけにしてよ」

夏凜「茶化すなっ、真面目な話がしたいんじゃないの?」

困った時の癖で髪に触れた夏凜は、

あからさまに気落ちした天乃を見つめ、言う

夏凜「あんたがだって、そうなんじゃないの?」

天乃「それは」

夏凜「あんたがみんなを失いたくないのと同じように、みんなもあんたを失いたくなんかないのよ」

天乃「………でも」

夏凜「あんたの満開は戦局を逆転させることができる。そんな最終兵器、多少のピンチで使わせられるかっての」

満開は何かを失う

それを分かっていながら覚悟のできた夏凜は恐れることなく笑みを浮かべる

夏凜「だから私たちは満開する。大丈夫よ。樹だけは最後まで残しておくから。安心しなさい」


天乃「私はっ」

私が言いたいのはそうじゃない

樹も大切だ。とても大事だ

けれど、それだけじゃない

樹だけが居てくれればいいんじゃない

みんながいる、この世界が好きなんだ

普通に話して、普通に歩いて、食事して

普通を謳歌しているその非日常の間にある日常が

堪らなく、愛おしいんだ

天乃「私は貴女達にだって満開――」

ぽんっと頭に衝撃を感じて、目を見開くと

夏凜の困り果てた表情が目に入った

夏凜「わかってるわよ。だから今も、強くなろうって努力してんのよ」

まだまだ天乃に追いつくことさえできていない

けれども多少なりと近づくことができたとは思っている

それは

夏凜「誰も満開しなくても生き残れるように。するために」

みんなが共通の願いを持っているからこそ、紡がれた集団による一つの願い

夏凜「だから安心しろ。泣くな。笑ってろ……私は幸せそうな天乃の笑顔が好きなんだから」

夏凜はそう言ってすぐ、

恥ずかしさに負け、逃げていった


√ 8月10日目 夜(某所) ※火曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定

↓1~↓3 (コンマ真ん中のやつ)


※10分以内に出揃わなければあるやつで進行

01~10 風
11~20 友奈
21~30 東郷
31~40 樹海化
41~50 夏凜
51~60 死神
61~70 樹
71~80 犬吠埼姉妹
81~90 若葉
91~00 銀

↓1のコンマ  


風「朝はごめん」

天乃「朝、それで始めて夜はそれで終わるつもりなの?」

風「そういうわけじゃ、ないんだけど」

誰かと一緒にいたかった

精神的にも、肉体的にも

誰かと寄り添う温もりが欲しかった

けれど、だからといって恋人持ちの天乃の布団に潜り込むのは

流石に間違いだったと、風は今もなお、思っていたのだ

風「なんていうか、樹にも、天乃にもあたし……悪いことしたな。と」

天乃「あのくらい別にいいじゃない。樹だって怒ってなかったんだし」

風「それはそうかもしれないけど……」

女の子同士だから別に一緒に寝てもいい

天乃にとってはそんな軽い話なのかもしれない


天乃「けど?」

風「いや、その……」

樹と付き合い始めてからというもの

それ以前まで感じていた酷い衝動は無くなった

けれど

天乃は女の子との恋愛もできる女の子というのが発覚してしまったからか、

妙に意識してしまう

もちろん、樹と天乃の関係が壊れるようなことをするつもりは全くないけれど

でも

自分を見つめ直し、自分もそうだったんだな。と、改めて実感する

風「……なんていうか」

一言一言がドキドキする

月明かりに照らされた幻想的な場面でも何でもないのに

天乃の香りは自分と大差ないものなはずなのに

意識しだすと、もう。どうしようもなくなってくる

風「あ、あたし……天乃にその。前の話だけど酷い事しちゃったわけだしさ」

天乃「またするかもしれないってこと?」

風「そんな強い衝動はもうないから大丈夫なんだけど。前科あるし……」


風「それに……」

あたしは天乃が好き

そんなこじれるような事を言うわけにも行かず、

風は言葉を飲み込む

風「天乃はすごく、温かいのよ」

天乃「夏場だし」

風「いや、そうじゃなくて」

夏の暑さによるものではなく、精神面での温もり

言うなれば、今はもう懐かしく

もう二度と感じることのできない、親の温かさ

年齢は違う。体格だって全く違う。けれど、心はすごく、癒される

でも

風「もしかしたら、また。勝手に布団行くかもしれない」

天乃「そんな宣言されても……」

風「それはわかってる。だから、もう二度としないって。天乃に誓おうと思ったのよ」

天乃達に迷惑をかけてしまう可能性がある以上。我侭は無しだ

誓いを立てれば、もう、夜這いなんてすることもないだろう

そう考えて、風は天乃に、告げた



1、別に良いわよ添い寝くらい。減るのは水分くらいだし。朝お風呂に入れて綺麗にしてくれるなら。だけど
2、そう……貴女がそれで平気なら。良いけれど
3、不純じゃない理由があるんでしょう? だったら、我慢なんかしないで良いのよ
4、なにか、思うところでもあるわけ?
5、何か隠してる?

↓1~↓3 (コンマ最高値)


※10分以内に出揃わなければあるやつで進行


天乃「何か隠してる?」

風「………………」

後ろめたい事が有るのか無いのか

そう聞かれれば迷わず無いと答えたい。けれど、本当のところは有る

伝えるべきではないとした気持ち

夏凜は伝えたらしいけれど

それは樹と付き合う前の話だったはずで

そのあとに話されたって、迷惑でしかないはずで

でも

ここまで来たら隠し通せはしないだろう。と、口を開く

風「……天乃のこと、好きなのよ。あたし」

天乃「風……」

風「樹が変わり始めて、それが天乃のおかげだと知って。樹の気持ちを知って。振り払ったつもりだったんだけど」

けれどそれは、文字通りつもりでしかなかった

どこかで燻って、肥大化して、今もまだ。それは強くて

風「樹に良かったねって思う反面、心のどこかできっと嫉妬してるんだと思う」

天乃「……………………」

風「じゃなきゃ、樹が布団にいるのに、入れるわけ無い」


風「こんなこと言われたって、迷惑よね。ごめん」

天乃「……聞いたのは、私だから」

むしろ謝るべきはこっちだ

風の表情は浮かないもので、とても悲しそうに見える

けれどそれは当たり前だ

絶対に叶うはずのないものを、言わされたのだから

誰だって、そうなってしまうだろう

風「…………………」

天乃「………………」

風「……もういっそ。全部言うけど」

一度言い出したら、気持ちは止まらない

言葉だって、止められない

風「樹が天乃とエッチしないって言ったら、あたしがしようかと。思ってたのよ」

天乃「それは」

風「そう。最低。でも、なんていうか、樹は諦めがつくけどなんで第三者が……あたしでも良くない? って思っちゃって」


別に最低だとは言っていない

樹が相手ではない以上

恋人とではないという点においては、春信も風も。差は無いからだ

風「あたしがさ」

天乃「うん」

風「樹と付き合う前に好きだって言ってたら、また。違ってた?」

天乃「多分。変わらない。この会話が後か先か。それだけだと思う」

天乃は申し訳なさそうな感情を出すことなく、

平常通りの声色で答える

ここで変に同情したような答えなど、絶対にありえない

風「……そっか」

天乃「うん」

振られた

けど、不思議とさっきまでよりも気分がいい

辛くない、苦しくない、嫌じゃない。悲しくもない、不快じゃない

風「ありがと。答えてくれて」

天乃「ううん、有耶無耶にしてはいけないことだもの。当然よ」



1、また。添い寝くらいならしてもいいから
2、ねぇ……一緒に寝る?
3、ありがとね。私を好きになってくれて
4、おやすみ。風



↓1~↓3 (コンマ一桁+二桁が最高値)


※10分以内に出揃わなければあるやつで進行


天乃「それと」

椅子から立ち、踵を返した風を呼び止める

これだけは伝えておくべきだと、思ったから

天乃「また。添い寝くらいならしてもいいよ。義姉ちゃん」

風「……………妹も、義妹も。なんでこうも。お姉ちゃんを喜ばせてくれるのかねぇ」

冗談っぽく、風は言う

けれど内心は言葉通り嬉しくて、幸せだった

天乃「姉孝行も、大切だもの」

風「抱きしめたいなぁっ」

天乃「きゃー」

風「がおーっ」

親を失って、年長者になって

何もかもを自分がすべきとして、疲れてきた心と体に必要なその温もりを、

天乃は絶やしてしまうことのない日々を――

夏凜「あんたらうっさいっ、部屋まで声聞こえてんのよ!」

風「あっ」

夏凜「ったく……さっさと寝なさいよ。明日も補習。あるんだから」

温かさのある日常を続けていくことを、選択した

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  乃木若葉:交流無()
・  土居球子:交流無()
・  三ノ輪銀 :交流無()
・  犬吠埼風:交流有(添い寝、好き、添い寝OK)
・  犬吠埼樹:交流有(添い寝、悪戯、メール+寝顔)
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流有(満開について)
・  三好春信:交流無()
・     九尾:交流有(写真、満開について)

・      死神:交流無()
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()



8月日10目終了後の結果

  乃木園子との絆 19(中々良い)
  乃木若葉との絆 28(中々良い)
  土居球子との絆 24(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 45(少し高い)
  犬吠埼風との絆 67(高い)
  犬吠埼樹との絆 124(かなり高い)
  結城友奈との絆 59(高い)
  東郷三森との絆 58(高い)
  三好夏凜との絆 86(高い)
  三好春信との絆 36(中々良い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 48(少し高い)
      死神との絆 34(中々良い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度***%


では、少し休憩を挟みます
再開は19:30頃からできればなと



複数扱ってるというのは疑いだしたらキリがありません
正直、二機なのか定かではありませんし、その対策は難しいので
安価に関してはテスト運用のベータ版です

場合によっては、
どこの安価スレも基本は↓1だと思いますので、戻す場合もあります


では、再開します


√ 8月11日目 朝(某所) ※水曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定

↓1~↓3 (コンマ最低値)


※10分以内に出揃わなければあるやつで進行

01~10 風
11~20 友奈
21~30 東郷
31~40 樹海化
41~50 夏凜
51~60 死神
61~70 樹
71~80 犬吠埼姉妹
81~90 若葉
91~00 勇者部

↓1のコンマ  


友奈「久遠さんっ」

天乃「あら、どうしたの?」

声自体を聞くことはできないが、

表情からにじみ出る明るさに、天乃も思わず笑みを浮かべる

何かいい事でもあったのだろうか

友奈「久遠さん今日、一緒に寝てもいいですか?」

天乃「ん、風からなにか聞いた?」

友奈「えっと。久遠さんと寝るとすごく気持ちよく眠れるって」

天乃「気持ちよくって……」

どう考えても暑いだけだし

そもそも、

友奈はいつも気持ちよさそうに寝てるはずだ

天乃「デマよ。暑いだけ」

友奈「でも風先輩、肌が艶々してますし。快眠だったわ~って」

天乃「何言ってるのよ。風は」


友奈「ダメ、ですか……?」

天乃「っ」

無意識なのだろう

けれど、そこまで残念そうな顔をされてしまうとどうにも断りにくい

とはいえ、ただ一緒に寝るだけだ

夏凜達と同じように事件は起きたが

それは力のせいであって友奈の意志じゃないし

承諾しても、問題はないと思うけれど……



1、良いわよ
2、樹には言った?
3、この真夏に二人で寝て快眠できると思う?
4、貴女も物好きね
5、そうだったわ。命令権。忘れてた


↓1~↓3 (コンマ中心)


※10分以内に出揃わなければあるやつで進行


天乃「わかった。良いわよ」

友奈「やったーっ」

天乃「っ」

嬉しそうに言った友奈は天乃の手を掴み、

勝利を祝うかのように、振る

友奈「風先輩が言うにはすごくいい夢も見られるそうなんですっ」

天乃「その素晴らしい快眠グッズ、私の分はないの?」

友奈「樹ちゃんも一緒のほうがいいですか?」

天乃「?」

快眠グッズと言って樹の名前が出てくるのか

本気でわからなかった天乃は首をかしげる

友奈「えへへっ、じゃぁ、今日の夜はよろしくお願いしますっ」

天乃「え、ええ……よろしく?」


ただ寝るだけのはずなのに、どうしてそこまで嬉しいのか

そもそも、なぜ

この真夏の暑い時期に一緒に寝たがるのか

天乃「……わからないんだけど」

友奈「はい?」

天乃「そんなに、私と寝たいの?」

友奈「はいっ」

天乃「ちなみに、貴女の後ろに誰か順番待ちしてるとか、ある?」

友奈「いえ、そんな話は……」

次は誰が一緒に寝る。だとかそんな話はしていなかったが、

夏凜はそんなに良いなら頼んでみようかしら。と乗り気で

東郷はそこまで言われると、気になりますね。と興味津々だった

友奈「順番待ちは、多分してないと思います」

天乃「ならいいんだけど」

流石に連日連夜、一緒に寝るという我慢大会じみたことをする気はなかった


友奈「あっ忘、すぐ行くよーっ!」

天乃「忘れてたって、言いかけたでしょ」

友奈「えへへ……登校時間ギリギリになっちゃいました」

天乃「まったく」

声は聞こえなかったけれど

友奈の反応的に風ではなく、東郷か夏凜から呼ばれたのだろう

多分、夏凜あたりがしびれを切らしたに違いない

天乃「ちょっと、いつまで待たせんのよ。友奈ーっってところかしらね」

友奈「あははっ大正解です」

楽しそうに笑った友奈は、行ってきます。と、手を振って部屋を出ていく

夏休みの補習

誰もが嫌がりそうなそれを、友奈たちはみんな楽しんでいる

天乃「ふふっ、このまま……ずっとこのままなら。嬉しい」

雨のあとの晴れた青空

それはとても美しく、優しく、温かいものだった


√ 8月11日目 昼(某所) ※水曜日

九尾、死神、銀、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、晴海
5、大地
6、球子
7、若葉
8、春信
9、イベント判定


↓1~↓3 (コンマ一桁+二桁 最高値 ゾロ目優先)


※10分以内に出揃わなければあるやつで進行


天乃「球子はどう思う?」

球子「タマ的にはだなー、みんな天乃と一緒にいたいだけだと思うぞ」

天乃「私と?」

球子「ほら、補習のせいで昼間は会えなくなっちゃっただろ? その分、一緒にいたいんじゃないか?」

それは適当な言葉ではなく、

精霊ゆえに盗み聞きしてしまった答えだ

一日の内のほんの数時間でしかない

だから、寂しいわけじゃない

けれど、その数時間分をどこかで埋め合わせたいのだ

球子「みんな、天乃のことが好きだからな」

天乃「だからって、皆が皆夜の添い寝じゃなくてもいいと思うのよ」

球子「寝るならちょうどうまい具合に六時間くらいだし、触れてても問題ないからな」

天乃「そういうものなのね」

球子「天乃ももしあれなら、樹に頼めば良いじゃないか。タマには、いいと思うぞ」


天乃「樹に、ね。考えておくことにするわ」

球子「まぁ、この前みたいにいつの間にかいることもあるかも知れないけどな」

もっとも、

天乃がそのくらいなら別に。と、風に言ったおかげで

頼めば一緒に寝てくれるだろう。ということになり、

勇者部の中で流行りかけていた夜這いは廃れつつあるし

いつの間にか一緒に寝ている。ということは多分おこらないはずだ

球子「それで、聞きたいのはそれだけか?」

天乃「ん?」

球子「いや、ないならいいけど。あるのかと思ったんだ」



1、300年前の終わりに関して
2、久遠陽乃について
3、300年前の仲間について
4、九尾について
5、勇者部への命令について

↓1~↓3 (コンマ 最低値 ゾロ目優先)


※10分以内に出揃わなければあるやつで進行

1


ゾロ目優先なので>>342で行きます


天乃「300年前。西暦の終わり、。何があったのか貴女知ってる?」

球子「一応、九尾に少し聞いた」

天乃「少し?」

球子「知らないんだ。その最期。タマはその時、いなかったからな」

球子は少し残念そうに言うと、ごめんな。と言って、笑う

謝る必要なんて、どこにもない

球子「ただ、聞いたといっても、詳しく聞いたわけじゃないんだ」

天乃「というと?」

球子「九尾が言いたがらなかったんだ。ただ」

九尾が何故言いたがらなかったのか

そう考えるよりも先に、球子は言う

球子「神樹自身が満開したらしい」

天乃「……それはおかしいわ。満開なんてしたら、散華して」

球子「代わりに散ったものがあるってことだ。いや、この場合は居たって言うべきなんだろうな」

天乃「それって」

球子「人身御供って、あいつは言ってた。300年くらいの安寧のために、捧げられたんだ」


球子は拳を握り締めると、悲しげな雰囲気のまま、俯く

それでもベッドに横になっている天乃から表情は見える

けれどそれは、とても言葉にしがたいものだった

球子「だから、大社じゃなく大赦になったんだ」

あれはバーテックス側に許しを請うものではなく、

捧げざるを得なかった者たちへの、言葉

それでもなお、こうして守りに徹する他ない未熟さ故の、言葉

球子はここからは憶測なんだけど。と

前置きをした上で、言う

球子「端末の説明を見せてもらったけど、神樹様が結界を最大にしたら人が生きられなくなる。みたいなことがあっただろ?」

天乃「ええ」

球子「そういうことなんだ。普通の人間じゃ、その本気の結界の維持はどれだけ居ようが足りない。だから、できない」

天乃「それは……でも」

球子「けど、それなら九尾が天乃に大事なことを話したがらない理由には十分だと思うんだ」


天乃「私に……? どうして?」

球子「天乃の力は今の勇者が束になっても。多分、初代の勇者が束になっても並べるかどうかだ」

つまり、

それだけの力があれば、あと数百年ほど平和を保つことができるかも知れないのである

しかし

もちろん、それには天乃を人身御供として捧げる必要がある

球子「天乃はそんな手があるなら。と、絶対人身御供として立候補するだろ」

否定はできない

いや、むしろその考えは的確かもしれない

久遠天乃とは、そういう人間にほかならないからだ

天乃「………………」

球子「だからだ。天乃を犠牲にしたくないから、九尾は言わないんだ」


球子「……そういうことだ」

球子は呆然とする天乃にそう言うと、

でもその辺はまだ仮説の段階だから。と言い直して、息をつく

球子「天乃」

天乃「……なに?」

球子「タマがこれを話したのは、天乃が樹たちのことを思って、生きる道を選択すると信じてるからだ」

天乃「…………………」

球子「昨日、九尾はタマに天乃は何も変わってない。今もまだ自己犠牲の擬人化だと言ってた」

でも、タマはそうは思わない

すべてを知らない以上、九尾が正しいのかもしれない

けれど

この世界に来てから見てきたものをまとめて考えたとき

球子「でも。タマはみんなが生きたい世界がどんな世界なのか。どんな日常なのか。天乃が解ってるって信じてる」

天乃「みんなが望む世界。望む日常……」

球子「……信じてるからな」

球子はそう言い残して、姿を消す

ひとり残された天乃は誰もいない椅子を見つめ、

そこに座って、嬉しそうに話すみんなのことを、思い出していた


では、此処までとさせて頂きます
明日はできれば通常時間となります


300年前の話は完結してないので推測・考察の元作り上げたこの物語上の設定です
なので。のわゆが完結する前に終わらせないと凄く痛い目を見ることになります


では、本日も少しだけ。進めていきます


√ 8月11日目 夕(某所) ※木曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定


↓1~↓3 (コンマ一桁-二桁の最低値)


※10分以内に出揃わなければあるやつで進行


晴海「わざわざ呼び出すなんて珍しいわね。どうしたの?」

天乃「………………」

晴海「樹ちゃんなら大丈夫よ。年齢制限は私が名前貸すから」

椅子に座って、楽しそうに話す姉を見つめ、天乃は息をつく

いつもそうだ

みんなそうだ

この部屋に、この椅子に

座ったみんなは大体、楽しそうに話をする

もちろん、嫌な話とかをわざわざしに来ることはないからかもしれないけれど……

晴海「…………天乃ちゃん」

天乃「ん?」

晴海「ごめんね」

天乃「なんで謝るの?」

晴海「だって、私と春くんがそういう関係になれれば、貴女に辛い決断をさせる必要なんてなかったじゃない」


天乃「どうせ、代わりになろうとはしてくれたんでしょう?」

晴海「まぁね。貴女では無意味ですって、一蹴されちゃったけども」

あはははっと、

楽しさのない乾いた笑い声を上げ、晴海は口を閉ざす

勇者という重責

後継者という重責

それを妹に背負わせているのを見ているしかない現実なんて、

笑ってなければやっていられる世界じゃない

ましてや、まだ15歳なのに子供を作る作らないの話をさせられているのなら、なおさらだ

晴海「理不尽よね」

天乃「否定はできない。けど、だからこそみんなを守れるって考えれば。割り切れないことでもない」

晴海「……そこで文句の一つでも言ってくれないと、お姉ちゃん。反応に困っちゃうよ」

悲しそうに、言う

年齢の割に精神だけが飛び抜けて成長してしまっている

耳年増だのなんだのあるけれど、そんな馬鹿に出来るようなものじゃない


天乃「文句を言ったところで何かが変わるわけでもないし」

晴海「お姉ちゃんが反乱を起こして新しい組織を作るとか」

天乃「作っても、バーテックスが居ることも勇者が戦うことも。未来のために力のある子供が必要なことも。何も変わらない」

ぐさりと、音がした。ように錯覚して、

晴海は自分の胸をなで下ろす

当然、何も刺さってなどいないが、痛かった

晴海「……そうなのよね」

天乃「大丈夫?」

晴海「平気。現実を思い知らされただけだもの」

苦し紛れの笑みを浮かべ、息をつく

晴海「それで? 天乃ちゃんの用事は?」



1、あの子達、鍛えてあげられないかな
2、あの子達の生きていたい日常ってどんな日常?
3、春くんって。お姉ちゃん年上だっけ?
4、お姉ちゃんは300年前についてどれくらい知ってるの?
5、作るの? 組織
6、ちょっと。軽く運動しない?
7、エッチのしかた。姉妹編
8、春信さんと連絡してたりする?


↓1~↓3 (コンマ最高値)

※10分以内に出揃わなければあるやつで進行


では、此処までとさせて頂きます
明日はできれば通常時間または似たような時間から



天乃「あの子達、鍛えてあげられないかな」

晴海「お姉ちゃんに、任せなさいっ」


三日後、車椅子が5台。我が家に増えました


では、初めて行きます


天乃「あの子達、鍛えてあげられないかな?」

晴海「んー……」

あの子達とは勇者部のことだろう

近接格闘の友奈

中距離剣術の夏凜、風

遠距離射撃の東郷

中距離支援の樹

晴海「無理とは言わないけど」

天乃「けど?」

晴海「全員は無理かな。夏凜ちゃんや風ちゃんならできなくもないけど」

天乃「友奈もできるんじゃないの?」

晴海「どちらかといえば剣術タイプだからね。もっとも、教えるのは剣術にせよ格闘術にせよ。お兄ちゃんの方が上手なんだけどね」


天乃「お兄ちゃん……」

意外と不思議には思わなかった

晴海はかなり強いが、同格かそれ以上の力を大地は持っているのではないか

というのは、前から思ってきたことだし

確かに、変質者で変態でシスコンではあるが

そういった点で長けていそうな気はしなくもないからだ

晴海「まず、友奈ちゃんに関してはお兄ちゃんの方が絶対に強くできると思う」

天乃「東郷と樹は?」

晴海「私そっち系は不得手だから、それもお兄ちゃんかな」

天乃「………だよね」

体つきと、今までの戦い方からしてその点は納得だ

天乃「でも、お兄ちゃん狙撃とかできるの?」

晴海「まぁ……できないことはないんじゃないかな。単眼鏡は覗き慣れてると思うし」

天乃「単眼鏡?」

晴海「こっちの話」


晴海「で、そんなこと貴女が頼むなんて。どうしたのよ」

天乃「それは、その」

晴海「今の美森ちゃん達では不満?」

晴海の問いに、天乃は答えずに目を伏せた

性格等に関して言えば不満なんてない

今だって、ゆっくりとではあれ変化・成長してる

その点にも不満はない

けれど

天乃「あの子達を信じてないわけじゃないの。でもね。敵も強くなっていってるから」

不安なんだ。みんなの強さではなく、敵の強さ故に不安がある

自分ひとりで守り切れる今までの規模なら問題はない

けれど、以前突破されかけた時のような戦法を行使されたとき

どうしようもなく、戦力は分断される

そうなったとき、ギリギリの戦いになんてなって欲しくない

晴海「そうね……うん。理解った。じゃぁお兄ちゃんには私から言ってあげる」


天乃「でも……お兄ちゃん東郷達に変なことしないかな」

晴海「その辺は絶対に大丈夫って安心していいと思う」

あの人は私達にしか興味ないから。と

晴海はそれがさも当然で、常識であるかのように言う

もっとも、久遠大地に関して言えば、

それが常識と言えるのかもしれないが

天乃「それはそれで困るかな……」

晴海「もっとも、お兄ちゃんだって生涯シスコンでは居られないだろうから誰かに恋すると思う」

けれど

それは少なくとも、全てが終わってからだろう

天乃達が戦わなくなって、普通の生活が可能になって

天乃や晴海が結婚して……。そのくらいになってからになるだろう

晴海「だから大丈夫」

天乃「……うん」

晴海「じゃぁ、その話。一応みんなに話してからだけど……貴女の依頼として。引き受けてあげる」

晴海はそう言って、嬉しそうに笑った


√ 8月11日目 夜(某所) ※木曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定


↓1~↓3 (コンマ最低値)


※10分以内に出揃わなければあるやつで進行

01~10 風
11~20 友奈
21~30 東郷
31~40 樹海化
41~50 夏凜
51~60 死神
61~70 樹
71~80 銀
81~90 若葉
91~00 九尾

↓1のコンマ  


友奈「久遠さんっ」

天乃「あら……貴女が寝るにはまだ早いんじゃない?」

今日、友奈と一緒に寝る約束をしているが、

今はまだ

おじいちゃんおばあちゃんですら起きていそうな時間だ

友奈が寝るには確実に早すぎる

友奈「寝る前に、少しお話がしたいなぁ。と、思って」

天乃「話?」

友奈「はい」

友奈はいつも通りの明るい口調に表情で頷く

補習の出来栄えに関してか

もしくは、晴海との特訓の話か

どちらなのかと待機する天乃に、友奈は問う

友奈「久遠さん、私への命令はしないんですか?」

天乃「えーっと……模擬戦の報酬のやつよね?」

友奈「そうです。それです」


友奈「久遠さんは何もお願いしてないのに、私は……私のお願いを、しちゃって」

天乃「私がお願いしてないからって、貴女がしちゃいけない理由にはならないわよ」

友奈「違うんです。そうじゃないんです」

天乃「?」

少し身を乗り出しての否定をした友奈は天乃の困惑した表情に気づき、

ごめんなさい。と、身を引いて首を振る

その表情は、少し寂しそうにも見えた

友奈「命令権があるってことは、自分の我儘を言っていいってことなんです」

天乃「…………………」

友奈「なのに、久遠さんはまだ。誰にもお願いをしてなくて」

だから、どうだ。なんて考えはない

何か悪いところがあるわけじゃない

でも、なんだかもやもやする

そのまま何もなしは、嫌だと思った

友奈「久遠さん、優しいから……そういうのないのかなって。思って」


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば似たような時間から


久遠さんと遊びたい盛りの友奈ちゃん
構ってくれなくて、わんわんわん


では本日も初めて行きます


天乃「別にそういうわけでも、ないんだけどね」

友奈たちには悪いが、元々ほぼ勝利確定のようなものだった

だから。と、いうわけではないけれど

元々多岐に渡って手伝ってもらってることもあって、

特別、命令する。というのは天乃からしてみればあまり必要のないことだったのだ

友奈「別に……ゲームとかの罰ゲームみたいな内容でもいいんですよ?」

天乃「……………」

ゲームとかの罰ゲーム

まぁ確かに、あまり過激なことは要求できないけれど……

天乃「それはいいんだけど……友奈」

友奈「?」

天乃「貴女、命令されたい子なの? M奈ちゃんなの?」

友奈「ち、違いますっ違いますけど……でも」

天乃「でも?」

言い淀む友奈は俯きがちな顔を上げることなく、

照れくさそうな表情で、言う

友奈「たまには、その。樹ちゃんがいるって言うのは分かってますけど。でも……」

天乃「なに?」

友奈「お友達みたいなこと、したいなぁって」


天乃「貴女……」

友奈「なーんて……あはは」

冗談だとごまかすように友奈は笑うけれど、残念ながらごまかせていない

けれど

その誤魔化しきれていない笑みはとても愛らしかった

天乃「………………」

樹のことはともかく

みんなまんべんなく接してきたつもりだった

あの子が嫌い、あの子が好き

そんな区別も差別もなく、分け隔てなくしてきたつもりだったんだけれど

でも、そんなことはなかったのかな




1、じゃぁ、敬語禁止で
2、なら、友奈は今日一日喋るの禁止
3、なら、友奈は私をどう思ってるのか教えて? これが命令
4、分かったわ。でも、考えさせて? ね?
5、ならもう、私に関わらないで  ※もちろん冗談です
6、なら、今日は友奈。私の抱き枕になって
7、ポッキーゲーム
8、友奈ちゃんのエッチ講座受講


↓1~↓3 (コンマ中央)
※10分以内に出揃わなければあるやつで進行


天乃「なら、友奈は私をどう思ってるのか教えて」

友奈「久遠さんを……ですか」

天乃「ええ」

言いたくないわけではないけれど、言いにくい

そんな雰囲気を醸し出しながら、

恐る恐るといった様子で、友奈は天乃へと目を向ける

友奈「私は」

私は久遠さんをどう思っているんだろう

なんて

そんなこと考えなくたって分かってる

悩まなくたっていい

友奈「私は久遠さんが好きです。大好きです」

そのたった一言が、私の気持ちの全てなんだから


天乃「友人として?」

友奈「言って良いかどうか分からないけど。でも、きっと……」

そうじゃない

ううん、それだけじゃないって言うべきなんだと思う

友達として、人として、先輩として

きっと、本当は男の子に対して抱く気持ちとして

私はきっと、久遠さんが好きなんだと思う

友奈「久遠さんは優しくて、強くて、格好良くて」

でも

友奈「それと同じくらい、弱くて、可愛くて……とても素敵な、先輩だって私は思ってます。だから、好きです」

天乃「………………」

天乃はどう思っているのか聞いただけだ

だから、最後の方の言葉だけで良かったはずだ

けれど、その全てを語ってしまうのが、友奈という少女なのだろう

天乃「……私、別に弱くないし」

嬉しくて、恥ずかしくて

天乃はそっぽを向きながら、そう言った


短いですが、此処までとさせて頂きます
明日はできればもう少し早く初めて長めにできればなと思っています



友奈「好きです」

天乃「え? なんだって?」

友奈「大好きです」

天乃「ん? なんだって?」


では、通常時間ですが、初めて行こうかと思います


風も友奈もそうだってことは

天乃は言葉にされなくても分かっているし

それだけじゃなくて夏凜達もそうであると、分かっているはずだ

数ヶ月前の勇者部との接触

あれは全て、好意がなければ起こりえないものであると

天乃はその時から分かっていたのだから

友奈「そうやって、恥ずかしそうな久遠さんも、好きです」

天乃「……………」

友奈は天乃が出会った頃からもうすでに、そういう子だ

その人の全てを好きになってくれる。そういう子だ

天乃「恥ずかしいことばっかり……言ってくれちゃって」

そんな子が望む世界は

そんな子が望む日常は

その答えはもう、分かりきっているはずなのに


別に分からないふりをしてるわけじゃない

球子が信じているように、

久遠天乃という少女は樹達の日常を知っている

けれど、以前どこかで誰かは言った

【貴女は本来、いるべきではない勇者。あの輪の中にいてはならないのです】、と

友奈「久遠さん……?」

天乃「…………」

事実だと思う

勇者部の輪の中に、本来久遠天乃なんていなかったはずだ

勇者部の世界に、日常に

その存在なんて不必要だったはずだ

いなければいないで、問題なく進めていたはずだ

いや、むしろ

いなければもっと、平穏な生活を送れていたのかもしれない



1、私も好きよ。友達として、人として
2、ありがとう
3、貴女の本命は東郷じゃないの?
4、あら。貴女がどうしてもって言うなら……不倫してあげるけど? ※しません
5、ごめんね


↓2

5


やり方間違えましたが、初回なのでこのまま>>444で進めます
失礼しました


天乃「ごめんね」

友奈「どうして謝るんですか?」

思わず口をついて出た謝罪

友奈が聞き逃すはずもなく、理由を取り繕う天乃は思い出したように、人差し指を立てた

天乃「……だってほら。私のせいで貴女達が補習必須になったようなものだから」

友奈「それは仕方がないことですよ。久遠さんのせいじゃないです」

そんなことかと安堵したような友奈の表情に

天乃は少しばかりの罪悪感を抱きながら、そうね。と、笑みを返す

でも本当はそれは理由のごくわずかな一部でしかない

本当は【日常を壊してごめんね】だ

天乃「私関係なしに、友奈は勉強苦手だしね」

友奈「そうで――はないですっ」

天乃「あら、残念。肯定してくれると思ったのに」

空気が壊れないように冗談を言う

ちょっぴりむくれた友奈はとても女の子で明るくて

けれどだからこそ、天乃は申し訳ないと。思った


√ 8月11日目 夜(某所) ※曜日変わり目


天乃「………………」

友奈はそんな気はなかったから平気かもしれないが、

天乃としてはそう簡単に眠れる訳もなく

嘘の寝息を立てながら、

友奈の平熱は36~6.5度くらいだろうか。と

目をつむったまま、すぐ横に感じる人肌の温かさを感じる

天乃「……………………」

勇者としての戦いがあるとは言え

自分がいなければ勇者にしてはもっと

少なくとも、今よりは穏やかな生活ができていたのではないか。と、

考えるべきではないと思いつつも、考えてしまう中

友奈「             」

友奈がもぞもぞと動き、少し躊躇う手つきで指先を腕に当てると

そうっと腕を抱きしめ、体を更に寄せてきた



1、じっとしておく
2、声をかける   ※続けて安価
3、寝ぼけたふりして引き寄せる
4、目をつむったまま手を動かす  ※コンマ判定



↓1~↓3 (コンマ最高値)

※10分以内に出揃わなければあるやつで進行


友奈「!」

寄せてきたその体を抱き寄せる

友奈からの抵抗はなく、むしろその流れに乗るかのように

友奈は体をさらに密着させた

友奈「           」

天乃は耳が聞こえない

そうでなくても、今は寝てるから分からないと思う

だから、それがずるいことだと分かってる

いけないことだって分かってる

でも、相手が寝ているからこそ普段は言えないことだって言える

友奈「                         」

天乃「…………………」

友奈「              」

耳が聞こえていたら良いのに

寝たふりしてて実は聞いています。だったらいいのに

だって、そうしたらきっと

久遠さんはごめんなさいなんて言わないから


寝ているから言える。なのに起きていて欲しい

そんな矛盾に気づいてなお、友奈は天乃に体を寄せていく

今は真冬じゃない

それどころか、真夏の暑い日

夜だなんて関係なく、温かい日

でも、それでも、友奈は決して離れようとは思わない

友奈「           」

友奈は言う

友奈「                  」

天乃の腕を、体を抱きしめて

友奈「っ」

友奈は思う

せっかく一緒に寝れたのに、このままでいいのか。と


01~10 行動を起こす
11~20 
21~30 行動を起こす
31~40 九尾に言う
41~50 
51~60 行動を起こす
61~70 
71~80 九尾に言う
81~90 
91~00 行動を起こす

↓1のコンマ  


友奈「          」

友奈は何も言わなかった

友奈は何もしなかった

球子のように信じているというのがあるのかもしれない

けれど、一番の理由はここで何をしても、

天乃を起こさない限り意味がないと思ったからだ

友奈「          」

次の戦いが小さく済むとは限らず、誰かが死ぬ可能性がある

そんな状況下で天乃がどうするかを考えたとき

みんなが口を揃えていったのは【     】だ

友奈「           」

自分が言えた立場ではないのかもしれない

けれど、だからこそ

結城友奈はその行動のメリットとデメリットに気づくことができた

だから………

友奈「                 」

友奈は考えるのをやめると、

せめて朝になっても離れていることがないようにと、天乃の腕に、しがみついた


1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  乃木若葉:交流無()
・  土居球子:交流有(300年前について)
・  三ノ輪銀 :交流無()
・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流有()
・  結城友奈:交流有(添い寝許可、どう思っているか、抱き寄せる)
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流無()
・  三好春信:交流無()
・     九尾:交流無()

・      死神:交流無()
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()



8月11日目終了後の結果

  乃木園子との絆 19(中々良い)
  乃木若葉との絆 28(中々良い)
  土居球子との絆 25(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 45(少し高い)
  犬吠埼風との絆 67(高い)
  犬吠埼樹との絆 124(かなり高い)
  結城友奈との絆 62(高い)
  東郷三森との絆 58(高い)
  三好夏凜との絆 86(高い)
  三好春信との絆 36(中々良い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 48(少し高い)
      死神との絆 34(中々良い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度***%


では、此処までとさせて頂きます
あすも可能であれば似たような時間から



大赦が余計なこと言うから……


九尾「過去に失ったものがあるから、犠牲になっても守りたいという意思がある」

九尾「それは理解できよう。じゃがのう主様よ」

九尾「主様のために変わった者がいる、なればこそ、主様はその者達の為に変わらねばなるまい」


では、本日も進めていきます
開幕安価予定


√ 8月12日目 朝(某所) ※金曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定


↓1~↓3 (コンマ最小  ゾロメ優先)

※10分以内に出揃わなければあるやつで進行

01~10 風
11~20 友奈
21~30 東郷
31~40 樹海化
41~50 夏凜
51~60 死神
61~70 樹
71~80 九尾
81~90 友奈
91~00 九尾

↓1のコンマ  


戦闘難易度↓1


1→0(最小→最大)


http://i.imgur.com/uEGae1T.png

初期位置、及びバーテックスはこうなっています
撃退はHP30%以下



天乃は現在、死神及び九尾の力を使った修羅モードです



天乃「……バーテックス」

今は来ないで欲しい

そう思っている時に限って、彼らはやってくる

新しいバーテックスもどきを従えて

あるいは、それに従って攻め入った五体ものバーテックスと

樹海へと姿を変えた世界の中で天乃達は対峙する

友奈「久遠さん」

天乃「なに?」

友奈「ひとりでやろうだなんて思わないで下さい。みんなでちゃんと。無事に帰りましょう」

樹「………友奈さんの言うとおりです。ひとりで無茶したりしたら。お仕置きですっ」

天乃「………………」

真面目な表情にも関わらず、友奈と樹のせいかその迫力は不十分で

怒られている云々という感覚以前に愛らしさが湧いてくる

けれど、だからこそ

天乃「お仕置きは……嫌かな」

困ってしまった


http://i.imgur.com/56o8l9t.png



1、移動 ※移動先指定 黄色は神速使用  
2、待機 ※バーテックスが先に行動
3、隠密 ※SP30消費 3ターン狙われなくなる
4、信念 ※SP32消費 状態異常が効かなくなる
5、予測 ※SP14消費 自分に対する相手の命中・回避半減
6、直感 ※SP10消費  絶対命中、絶対回避
7、魂   ※SP48消費  ダメージ2.5倍
8、覚醒  ※SP70消費  二回行動
9、勇気  ※SP60消費  熱血、必中、不屈、加速、直撃、気合


↓1~↓3 (コンマ真中  ゾロメ優先)

※10分以内に出揃わなければあるやつで進行

では、2で進行させます


取り敢えず今回はここまでとなります
あすも可能であれば似たような時間から

この戦闘は誰かが満開する可能性があります


では、本日も初めて行きます


天乃「相手の目的は本来、神樹到達なんだけど……」

無駄に固まらず、無駄に散開せず

あくまでチームプレーをしようとしているかのような陣形

それを考えつくこと自体に不思議はない

バーテックスが多少なりと知能を持っているのは分かっているし

そもそも、固まったり散開しての陣形は既に試行済みだからだ

けれど

天乃「あれはどう見ても、神樹の前の勇者を狙った陣形なのよね」

以前、あの新種が現れた際、

九尾は「勇者を屠るため」というようなことを言っていた

つまり、

九尾の推測は外れることなく的中したのかもしれない

天乃「取り敢えず、私が先行して様子を見るわ」

いつまでも考えていても仕方がない

そう判断して、私は一歩踏み出した


銀「ちょ、ま、待てって!」

天乃「銀?」

踏み出した瞬間だけ、銀が横に並ぶ

けれどそれは本当に瞬間だけ

あっという間に置き去りで、振り返ると、

三人が頑張ってあとを追ってきているのが視界に入った

天乃「………………」

普通なら戻るべきだ

けれど、これは命がけの戦いだ

何をしてくるか分からない場合、誰かが行かなければならない

それは、全てが後手に回らないための、犠牲

必要な、生贄

天乃「……大丈夫よ。私は、強いもの」

頑張ってもまだ距離の遠い三人から目を離し、天乃は前を

集うバーテックスの一団を見つめた


うお座→天乃  命中判定↓1ゾロ目で命中  01~20カウンター(斬り払いで上乗せ)

いて座→天乃  命中判定↓2ゾロ目で命中  01~10カウンター

牡羊座→天乃  命中判定↓3ゾロ目で命中  01~20カウンター(斬り払いで上乗せ)

乙女座→若葉  命中判定↓4 01~45命中  01~10で精霊化


何がまず攻めて来るのか

それを見極めるために動きを止めた天乃に向かって、

魚座のバーテックスが樹海の木々をへし折り、かき分け、猛進する

天乃「まずはあなたってわけ?」

問に意味はない。確認の意味もない

敵は向かってきている。答えは目の前だ

天乃「ならま――っ」

軽くいなして切り込もう

そう即断した背後、血の気が引くのを感じた

天乃「っ」

目で見えているわけでも、耳に聞こえているわけでもない

けれども拭うことのできないその警笛に、天乃はあえて跳躍する

――刹那

天乃が居た位置を牡羊座の尾のような部分が地上をなぎ払う


――回避した

そう安堵する暇など、彼らは与えない

天乃「ん」

一番初めに動きを見せていたうお座は地面を力強く叩くと

天乃めがけて跳躍する

弾き飛ばすか、押しつぶすか

どちらでもいい、当たればいい

そんな捨て身の行動――けれど、虚を突かず

天乃「貴方のことは見えていたわ」

天乃は【予定通り】魚座のバーテックスを足蹴にして、回避

しかし

天乃「!」

トスッ……っと、軽い衝撃を感じて左肩を見つめると

射手座によって射出されたであろう矢が、突き刺さっていた


痛みに叫ぶことはなく、驚くこともなく、

ただ、自分を打ち貫いたその矢を見つめ、

滴り落ちる自分の赤い血を見つめ、天乃は射手座・魚座・牡羊座のバーテックスを見つめる

天乃「……久しぶりだわ」

精霊が出てきて以降、味わうことのなかった痛み

それを受けて歓喜するような性格ではないが、

銀が受け続けたであろう痛みの一片であるのならば。と、その矢を躊躇なく引き抜き、投げ捨てた

天乃「っ……」

銀「な、何やってんだ! だから待てって――」

天乃「平気よ、このくらいなら」

銀「何が平気なんだ。血が出てるんだぞ。矢が刺さったんだぞ!」

天乃「でも、敵の大半の攻撃はこれで凌ぎ切ったわ」

銀「っ………」

みんなを守るため

そのために体を張ろうとしているのはわかる

けど、それじゃダメだ

ダメなんだ……なんで、急にそんな無茶し出すんだッ


天乃に290ダメージ

若葉に95ダメージ

※訂正
天乃は190ダメージです


夏凜→牡羊座  命中判定↓1 01~65命中  ゾロ目CRI

友奈→牡羊座  命中判定↓2 01~50命中  ぞろ目CRI

  樹→牡羊座  命中判定↓3 01~63命中  ぞろ目CRI




では、本日はここまでとさせていただきます

牡羊に436+534=970ダメージ
ただし、30%回復(牡羊座はHP2000なので600回復)で実質370ダメージ


明日は可能であればお昼、14時頃からとさせていただきます


では、予定通り一四時頃から初めて行きます


夏凜「あの馬鹿っ」

友奈「夏凜ちゃんっ、行こう!」

夏凜「了解!」

天乃の独断専行

それによる戦闘開始を遠くから見ているしかなかった勇者部

その中でもスピードのある二人が、飛び出す

夏凜「っ」

今から行って初撃の妨げにはなれない

けれど、完全包囲の妨害くらいならできるはず

いや、そうなれなくても行かなければいけない

夏凜「何考えてんのよ。あんたは」

友奈「……久遠さんにもきっと考えがあるんだよ」

夏凜「いくら友奈の言葉でも。それがもし事実でも――」

木々を飛び移って移動する二人

その会話に割り込める人など、いるはずがなかったのに

樹「認められる話じゃないです」

犬吠埼樹は、二人に追いついていた


友奈「い、樹ちゃん!?」

樹「……………」

樹は移動しながら端末のマップを確認すると、

若葉達精霊組

自分達勇者組

そして、バーテックスの位置を見て、頷く

樹「友奈さん、夏凜さんはまず、牡羊座のいる右側面に展開してください」

夏凜「何言って……まずは天乃に」

樹「左側面は若葉さん達が展開してくれると思うので、そこから――」

樹は両手をパンッと強く叩き合わせる

樹「挟み撃ちで殲滅します」

夏凜「樹、あんた」

友奈「樹ちゃん、怒ってる?」

夏凜と友奈

その視界に映る樹の表情には

いつものような優しさも、明るさもなく

ただただ、無感情を装おうとする怒りが現れているだけだった


樹「……………」

お仕置きするって言った

あれは少し冗談だったと思う

でも、本当に、本気で、本心で

無茶はしないで欲しいと思ったのに

一人で勝手に突っ走って……

樹「許しません」

強く握りこぶしを作って、樹は前を向く

話をするためにはバーテックスが邪魔だ

だから、話をしたい

その気持ちを全て、戦うために振るう

友奈「……樹ちゃ」

樹「平気です」

夏凜「平気って、いつ」

樹「話は後にしたほうがいいです。それからで、いいです」

心配する二人の言葉を、樹は聞こうとしなかった

http://i.imgur.com/2DG2foh.png


1、攻撃 ※対象選択のため、もう一度安価
2、待機 ※勇者部・精霊が先に行動
3、隠密 ※SP30消費 3ターン狙われなくなる
4、信念 ※SP32消費 状態異常が効かなくなる
5、予測 ※SP14消費 自分に対する相手の命中・回避半減
6、直感 ※SP10消費  絶対命中、絶対回避
7、魂   ※SP48消費  ダメージ2.5倍
8、覚醒  ※SP70消費  二回行動
9、勇気  ※SP60消費  熱血、必中、不屈、加速、直撃、気合


↓1~↓3 (コンマ真中  ゾロメ優先)

※10分以内に出揃わなければあるやつで進行


1、球A
2、球B(L6に移動)
3、牡羊座
4、うお座
5、蟹座(K5に移動)
6、いて座(K4に移動)
7、乙女座(I8に移動)


↓1~↓3 (コンマ最大  ゾロメ優先)

※10分以内に出揃わなければあるやつで進行


天乃→球A  命中255%  CRI判定↓1  ぞろ目または 21~30  51~60

天乃→球B  命中255%  CRI判定↓1  ぞろ目または 21~30  51~60


球BへのダメージはATKコンボのため、0.8倍


球Aに2600ダメージ
球Bに2080ダメージ

球A球B 討伐完了


若葉→乙女座  命中判定↓1  126%  ぞろ目CRI
  銀→乙女座  命中判定↓2  161%  ぞろ目CRI
球子→乙女座  命中判定↓3  91%  01~91で命中  ぞろ目CRI
 


810+540+615ダメージ

1965ダメージ 乙女座討伐


天乃「……銀」

銀「今の天乃の指示を聞く気にはなれないな」

天乃「…………」

銀は天乃を拒絶し

若葉「主様のそれは蛮勇だ。誰のためにもならない。愚行だ」

若葉は否定し

球子「余計なこと、言わなければ良かったな」

球子はそう落胆して

天乃の下から遠ざかり、乙女座へと向かっていく

天乃「……っ」

置き去りにした少女は置き去りにされ

ただひとり、一三番目のバーテックスと対峙する

天乃「貴方達がいなかったら……そんな世界を、見てみたい」

死神の力が込められた漆黒の刃を手に、少女は駆ける

迷わぬように、ためらわぬように、

思考さえも置き去りにするような速さで、バーテックスの巨躯を切り裂いた


牡羊座封印

夏凜→牡羊座  命中判定↓1 必中  ゾロ目CRI
友奈→牡羊座  命中判定↓2 必中  ゾロ目CRI

  樹→牡羊座  命中判定↓3 必中  ゾロ目CRI
  風→牡羊座  命中判定↓4 必中  ゾロ目CRI


432+664+478+566=2140ダメージ

牡羊座討伐完了


うお座→球子  命中判定 ↓1  01~55で命中

いて座→天乃  命中判定↓ 2  ゾロ目で命中 ぞろ目奇数でCRI  44で斬り払い  01~10カウンター


球子に90ダメージ

天乃→回避

http://i.imgur.com/7oZB4cl.png

1、攻撃 ※対象選択のため、もう一度安価
2、待機 ※勇者部・精霊が先に行動
3、隠密 ※SP30消費 3ターン狙われなくなる
4、信念 ※SP32消費 状態異常が効かなくなる
5、予測 ※SP14消費 自分に対する相手の命中・回避半減
6、直感 ※SP10消費  絶対命中、絶対回避
7、魂   ※SP48消費  ダメージ2.5倍
8、覚醒  ※SP70消費  二回行動
9、勇気  ※SP60消費  熱血、必中、不屈、加速、直撃、気合


↓1~↓3 (コンマ最小  ゾロメ優先)

※10分以内に出揃わなければあるやつで進行


時間かかりそうなので、取り敢えず戦闘安価優先


蟹座封印

夏凜→カニ座  命中判定↓1 必中  ゾロ目CRI
東郷→カニ座  命中判定↓2 必中  ゾロ目CRI

  樹→カニ座  命中判定↓3 必中  ゾロ目CRI
  風→カニ座  命中判定↓4 必中  ゾロ目CRI

566+590+956+592=2704ダメージ

蟹座討伐


若葉→魚座  命中判定↓1  110%  ぞろ目CRI
  銀→魚座  命中判定↓2  145%  ぞろ目CRI
球子→魚座  命中判定↓3   75%  01~75で命中  ぞろ目CRI


コンマ判定なので、連取可です


850+770+1150=2770ダメージ

うお座討伐完了


友奈→射手座  命中判定↓1  01~44 で命中 ぞろ目CRI


戦闘は樹の予定通り。あるいは、筋書き通りだった

精霊組が左側からバーテックスを討伐し、

自分たちが左側からバーテックスを討伐していく

けれど

想定外だったのは天乃の力の限度だ

勇者部で一体、天乃で一体

そのくらいの予想は出来ていたが、正体不明の球体を

天乃は【たった一撃】で二体屠った

樹「確かに、久遠さんは強いです。すごく強いです……」

だから無茶をしているのかもしれない

だから大丈夫だと思っているのかもしれない

でも、被弾しないわけじゃない。傷つかないわけじゃない

自分たちと違って、精霊による守りのない今の状態じゃ、尚更

その危険性は高くなっていく

樹「……だから、私は久遠さんを、許しません」


天乃→射手座 CRI判定 ↓1  ぞろ目 または  30~39


いて座に3900ダメージ

→射手座討伐完了
 →バーテックス殲滅完了
  →戦闘終了


天乃「………………」

友奈が射手座へ特攻を仕掛け、

軽々しく回避されたのを確認してから、踏み出す

友奈による一撃が当たっていようと、いなかろうと

天乃にはもはや関係ない

踏み出すだけで、爆発のような粉塵が舞う

それに視界を覆われた時には、彼女の姿はもう遥かに遠く

天乃「………っ」

だれよりも、なによりも、少女は早く

だれよりも、なによりも、少女は強く

その一撃にして二撃の二刀流剣術は

なにものにも妨げることを、許可せず

ただ、目の前の敵を――討ち滅ぼす

銀「……力があればいいって、もんじゃないだろ。天乃」

初動の土煙が消えた時にはもう、敵の姿は跡形もなく、消えていた


戦闘が終了して間もなく、樹海がだんだんと光に包まれ、揺らいでいく

現実の世界への回帰、その兆候だ

けれど

その勝利の余韻を感じさせることなく、

天乃以外の耳には弾けるような音が響き

天乃の頬には、叩かれた痛みがじんわりと……広がっていく

樹「私が、私がどうしてこんなことしたか分かりますか?」

天乃「………………」

樹「久遠さんっ!」

叩いた右手を抱きしめて

その痛み、その辛さにこぼれそうな涙を振り払って、樹は天乃を見つめる


天乃「………………」

樹は怒ってる

それは考えるまでもないし、

その理由に関しても、きっと考えるまでもないはずだ

無茶をしないでと言われたにも関わらず、無茶をした

お仕置きすると言っていたのだから、そのお仕置きなのかもしれない

友奈「樹ちゃ」

東郷「友奈ちゃん。ダメ」

友奈「で、でもっ」

東郷「ダメよ。気持ちは分かるけど。でも、今は樹ちゃんの邪魔をしちゃいけない」

傍らで視界に映る東郷たちの不安げな表情から目をそらし、

天乃は樹へと、目を向けた


1、無茶したから……よね
2、みんな無事だったんだから……それでいいじゃない
3、……ごめんね。でも、必要だと思ったから
4、私がいなければ、みんな監視されたり窮屈な思いをしなかった。そう思うと、みんなの分までやらなくちゃって……
5、黙り込む


↓1~↓3 (コンマ最大  ゾロメ優先)

※10分以内に出揃わなければあるやつで進行


天乃「……ごめんね。でも。必要だと思ったから」

樹「っ」

必要?

なにが? 久遠さんの無茶が?

どうして? なんで?

それは

樹「私達が……弱いからですか?」

天乃「………………」

樹「私達の力が信じられないからですか?」

我慢、しきれなかった

拭う意味を失わせるくらいに、それは溢れ出てきて

同じくらい、強い悲しさがあって

でも

自分と、みんなと

久遠さんの力の差を考えたとき

それは仕方がないのかもしれないと思わせる圧倒的な力量の差があって

だから

樹「……ごめんなさい」

樹が最初に言えたのは、謝罪だった


樹「東郷先輩達までとは言いません。でも、私が弱いのは事実です……」

自分が出来ること

自分に向いていること

それを知ったとは言え、いきなりベストな働きができるわけじゃない

だから、役に立てなかったのは事実だし

そんな未熟な段階で信じてとか、任せて欲しいとか

命がけの戦いである以上言えるわけない

でも、だけど、それでも

樹「久遠さんが一人で頑張る理由にはならないはずですっ」

天乃「っ」

樹「私たちは一般人じゃありませんっ! 勇者なんですっ戦えるんですっ!」

一人火地理じゃ役に立てない程度の非力な勇者かも知れない

久遠さんから見たら、全然ダメな存在なのかもしれない

でも

樹「勇者部で、みんなで、協力して頑張るからっ、5人でも久遠さんと同じ働きができるとは言えません……だけどっ」

それでも

樹「頑張るからっ、努力するからっ、だからっ……そんな、こんな……っ」

天乃の服を掴み、赤黒く汚れた左肩を見つめる

樹「無茶しないでください……っ! 私を……おいていかないでください……っ」


天乃「………………」

大変だった、辛かった、悲しかった、怖かった、恥ずかしかった

でも、それでも大切だった思い出を天乃が全部忘れてしまったとき、

樹は形容しがたいほどに、辛かった

記憶はない。けれど、生きている

その状態でさえ、耐え難かったというのに……

樹「私たちが弱いから。だから守ろうとしてくれているのは嬉しいです」

天乃「……うん」

樹「でも、私達の誰かが犠牲になる可能性を考えるなら。久遠さんが犠牲になったときのことも。考えて欲しいです」

天乃「それは」

樹「久遠さんの考えてるそれは、勘違いです。みんな生き残る。戦いも終わる。ハッピーエンド。そんなはず、ないじゃないですか」

確かに天乃が頑張ればバーテックスを壊滅することができるだろう

そうすれば、こんな戦いも終わる

その点に関して言えば間違いじゃない。けれど

樹「私達が守りたいのは久遠さんも、友奈さん達も。ここにいる全員含めたみんながいる日常と、世界です」

久遠天乃の失われた世界に――樹達の幸せはなく

当然、それがハッピーエンドな訳もないのだ


九尾「要するに、主様のいなかった世界なんぞどうでも良いから、主様のいなくなった世界を気にしろ。ということじゃ」

天乃「……九尾」

夏凜「まぁ、確かにあんたのせいで厄介事が増えたのは事実で、巻き込まれたのも事実だけど」

照れくさい

そんな邪魔な羞恥心を蹴飛ばして、夏凜は天乃を見る

ここで言わないで、いつ言えばいい

夏凜「でも。あんたがいなきゃ。あたし達は何も知らないままだった」

東郷「そして。変わろうという努力も。怠っていたかもしれません」

風「……アタシなんか。それ以前に責任に押しつぶされてたかもしれない」

でも、

重責を負う天乃の気楽さ、お茶目さ、子供っぽさに

風は自分がどれだけ軽いものを重く感じていたのかと、見つめ直すことができた

友奈「嫌なこと。辛いこと、苦しいこと、悲しいこと。一杯ありました。でもそれ以上に、私達は楽しくて、嬉しくて、幸せでした!」

天乃「なんなのよ……みんな、なんで」

樹「ずっと言ってるじゃないですか」

天乃「樹……」

樹「みんな、久遠さんが好きなんです。大好きなんです。だから……私達の世界には。久遠さんが必要不可欠なんです」


樹海を光が完全に包み込み、

世界は姿を変えて、讃州中学校の屋上へと全員を戻す

天乃「っ!」

樹「!」

樹海化が解けて、変身が解けて

天乃が力を失い崩れ落ちると、樹も重なるように倒れこむ

けれど

樹達を襲ったのはコンクリートにぶつけた痛みではなく

柔らかく、モフモフとしたくなるような心地よさだった

九尾「犬妹とその仲間の優しき忠告に免じて。主様も守ってやろう」

天乃「……ありがとうと言うべき? ふざけないでと言うべき?」

九尾「主様に委ねよう」

天乃「なら……ありがとう」

九尾「ふむ」

樹を抱く天乃の言葉に、珍しく妖狐の姿を保ち続ける九尾は小さく笑った


√ 8月12日目 昼(某所) ※金曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定


↓1~↓3 (コンマ最小)
※10分以内に出揃わなければあるやつで進行
※勇者部は戦闘後のため、補習なし


球子「独断専行した時は後ろから盾を投げつけようかと思った」

天乃「されたら私、真っ二つになってたと思うんだけど」

球子「されても仕方がないことをしたんだ」

球子は呆れたように呟くと、

自分の座る椅子をカタンっと鳴らす

分かっていると信じていった

その気持ちを裏切られた。とは思わない

あれは信頼の押しつけでしかないと、九尾に言われたからだ

でも、悲しく思ったのは、変えられない

球子「樹を泣かせたろ」

天乃「うん」

球子「あそこまで言わせたんだ。もう二度としたらダメだからな」

天乃「うん、分かってる」

球子「ならよし。タマから言うことはもう、ないぞ」


球子は満足そうにそう言って、笑みを浮かべる

終わりよければ全て良し

そう単純に考えるわけではないが、

球子はこのことをしつこく追求する気はなかった

それも信頼の押しつけかも知れない

けれど、もう二度としないという約束を、球子はやっぱり。信じたいからだ

球子「それ以外で、タマに何かあるか?」

天乃「えっと……」

正直、優先して話したかったのはこのことだ

けれど、それはもう終わらされてしまったわけで……



1、特に……ないかも
2、今回の戦闘について
3、久遠陽乃に関して
4、300年前の九尾について
5、300年前の仲間について
6、勇者部への命令について


↓1~↓3 (コンマ最大)
※10分以内に出揃わなければあるやつで進行


天乃「球子の昔の仲間について、知りたいなって」

球子「昔の仲間か……」

本当に300年前のこと

けれど、球子にとって彼女たちの記憶はまだまだ新しく

つい最近のことのように、覚えていた

球子「タマの仲間には、乃木若葉、伊予島杏、郡千景、上里ひなた、タマ。そして……高嶋友奈がいる」

天乃「高嶋友奈……?」

友奈と同じ名前であることに引っかかったのだろう

聞き返す天乃に、球子は頷く

球子「友奈に似てるんだ。すごく、まるで同一人物みたいに」

天乃「……理由はわかるの?」

球子「天乃と同じように、友奈が精霊化してるか。あるいは」

天乃「あるいは?」

球子「九尾のように、300年生き続けてるか。だな」


どちらもありえないと言いたくなるようなことだが、

九尾は実在している上に、天乃によって銀や球子、若葉は精霊となってここにいることができている

それゆえに、

一概にありえないと切り捨てることはできなかった

天乃「……そういえば、前に私を見間違えてたわよね?」

球子「陽乃だな。陽乃は胸が小さい分、天乃より背が高かった」

天乃が立っていたのなら見間違えることはなかったかもしれないが、

ベッドに横たわっていたせいで、見間違えたのだ

球子「凄く良いやつだった。決してリーダーにはならなかったけど。影のリーダーとして。みんなを上手く纏めてくれてたんだ」

悪戯好きで、ひなたと手を組んで若葉の写真集を作ったり、

その裏でこっそりひなたの写真を集めてたり

暗い雰囲気も、一蹴するような。名前の通り太陽のような人だった

球子「陽乃……そういえば、一度だけ満開っぽいのを使ったんだ」

天乃「満開っぽいの?」

球子「その時の戦闘……たしか、丸亀城の戦いって言ってた気がする。そこで使ったんだ」


では、一旦中断とさせていただきます
再開は22時ころになるかと思います


では、初めて行きます


球子「陽乃の満開は性格とは真逆に……なんて言えばいいのか。気味悪かった」

天乃「気味悪い? なんで?」

球子「余りにも毒々しかったんだ。樹海はカラフルだけど、それを反転させたかのような……悪寒のするやつ」

球子は自分の体を抱きしめる

本当に、心の底から悍ましいと思った

全身の力が抜けるのではなく、強引に引き抜かれているような感覚

あれほど、恐怖を覚えたものはない

天乃「球子……?」

球子「九尾はあれを、禁忌の力だって言ってた」

天乃「……禁忌」

球子「神樹様はタマ達を守り、タマ達は神樹様を守る。それはフェアな話だ」

天乃「うん? うん、そうね」

球子「でも、タマ達は守るために力を借りてるから借金1だ」

天乃「何が言いたいの?」

球子「だとしたら、満開の力は借金2になる。なら、勇者はなにで返済しているんだろうなって、九尾は言ったんだ」


天乃「興味深い話だわ」

正直、そんなことを考えたことなんてなかった

守るために力を借りている

ただそれだけだと思っていた……けれど

よくよく考えてみれば、確かに

守るという貸しは守られるという等価の支払いがされている

なら、守るために力を借りている。というのはどうなっているのだろうか

オプション。ただのサービス

その可能性も無きにしも非ずではあるが

果たして。神がそのような不等価な行いをするのだろうか

するのであればなぜ。満開にのみ、代償を欲するのだろうか

天乃「九尾はその理由、教えてくれた?」

球子「知識の提供。とだけ」

天乃「知識の提供……? 人間ってなぁに? 的なものを知りたい。みたいなものなの?」

それは要するに

人間は神樹にとって実験動物のようなものということではないのか。と

天乃は小さく唸った


球子「そこまでは。ただ……気になるのは九尾は妾と同じように。って言ってたことだ」

天乃「九尾と同じ?」

神樹と九尾

似ているのは神的存在というものくらいで

それ以上に似ていることなんてあるのだろうか

思いっきり毛嫌いしている感じなのが、【同族嫌悪】というものであれば……また変わるのだが

球子「詳しいことは本人に聞くしかないな。まぁ、答えてくれないだろうけど」

球子の呆れた言い方に、天乃は苦笑する

きっとそのとおりだ

九尾は大切なところを話さない

まるで、自分で気づけ、自分でたどり着け

そう言わんばかりに、答えまでは、教えようとしない

天乃「……そう。ありがと」

球子「気にするな。タマには、昔話もいい」

昔話

そう言った球子は少し、寂しそうだった

√ 8月12日目 夕(某所) ※金曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定

↓1~↓3 (コンマ中央)

※10分以内に出揃わなければあるやつで進行


次回から最大化最小で。
今回は14で勧めます


01~10 風
11~20 友奈
21~30 東郷
31~40 銀
41~50 夏凜
51~60 死神
61~70 樹
71~80 若葉
81~90 瞳
91~00 九尾

↓1のコンマ  


東郷「怪我の具合はいかがですか?」

天乃「ん……もう平気よ。傷も塞がったし」

東郷「そうですか……」

傷が塞がったことに安堵するべきか

それとも、怪我が短時間で塞がる人間ではない何かのような現象を悲しむべきか

迷った東郷は中途半端な感情で呟くと、

良かったです。と、切り替える

東郷「久遠さん、あの状態になった分、疲労が増すと伺いましたが」

天乃「動きたくないというか。気だるさは強いわね」

もっとも、

動きたくとも動けない以上、

疲労が溜まることに関しては、別段。問題はないようにも思えたが

そう言うと、絶対に怒られるだろう

察した天乃は「動けないけどね」と、苦笑した


東郷「……では」

天乃「どうかした?」

東郷「……いえ、その。友奈ちゃんがとても心地いいと絶賛していたので」

その言葉で、東郷がここに来た本当の目的に気づいた

友奈が心地良いと絶賛した

しかも昨日の今日でそう来るということは、つまり

一緒に寝たい。ということだろう

天乃「みんなしてどうしたのよ。本当。今、8月なのよ?」

東郷「だからこそ、気になってしまって……」

天乃「何を?」

東郷「暑くても心地いい・熟睡できる。そう言える久遠さんの添い寝です」

美味しい美味しい、綺麗、綺麗

そう言われると気になって食べたくなる、見たくなる

そういう感じのものだろうか……


1、この時間なら。いいけど
2、夜で良い?
3、悪いけど……また今度にして?
4、貴女は友奈と寝たいんじゃないの?


↓1~↓3 (コンマ最大)

※10分以内に出揃わなければあるやつで進行


では、本日はここまでとなります
明日は通常時間の開始予定となります

また、23-25日に関してはできないかと思いますが
出来たとしても、25日となります



天乃「夜でいい?」

東郷「よ、よる……」

東郷(い、樹ちゃんには悪いけれど……今夜、私たちは)

樹「………」ジーッ

東郷「!?」


では、本日も初めて行きます


天乃「なら、夜でいい?」

東郷「久遠さんが良ければ、是非」

風も友奈も揃って夜に一緒に寝た

なら、東郷もそうあってしかるべきだろう。と、天乃は公平性を考えて、言う

夏の夜という暑い時間

それでも東郷が気にしないのは、きっと

添い寝に対する期待ゆえだろう

だが、友奈はもちろん、確実に風とも違っている部分が東郷にはある

天乃「……ねぇ東郷」

東郷「はい?」

天乃「パウダー持ってない?」

東郷「持っていますよ」

天乃「良かったじゃぁ、寝る前でいいから、お願いしていい?」

東郷「はいっ、まかせてくだ――えっ」

勇者による恩恵で、そういった症状が出ない可能性も無きにしも非ずだが、

対策しておくに越したことはない

そう、軽い気持ちでいったのだと分かっていても、

東郷は返事をためらってしまった


東郷「ぬ、塗るんですか? 私が?」

天乃「私、自分じゃできないもの」

東郷「………………」

恋人以外の人に体を触られることに関して、抵抗がないんだな。と、思いつつも

恋人がいる人に添い寝希望している時点で、

自分達の方がダメであるのだと気づいて、東郷は苦笑する

そして、なにより

久遠さんが私たちを本当に信頼してくれていて、愛してくれているというのが、わかって

だからこそ

自分だけなら犠牲になってもいい。久遠さんがそんな行動していたということが、

私の腸を圧力鍋にかけようとして……

東郷「いいですよ。でも」

天乃「でも?」

東郷「樹ちゃんが良いって言ってくれたらです」

天乃「なんで樹に?」

東郷「そこは聞かないで欲しかったです……」

本当に

ただの医療行為というか、介護? 補助行為としか思ってないのだと、改めて。思った


√ 8月12日目 夜(某所) ※金曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定

↓1~↓3 (コンマ最大)

※10分以内に出揃わなければあるやつで進行
※東郷さんはこのあと


銀「あたしは認めないぞ」

天乃「……うん、ごめん」

銀「待てって言ったのに止まらない。挙句、怪我したのに……まるで他人事みたいに」

ほんと、許せない。と、銀は天乃を見つめて、呟く

本当はもう、勇者部に免じて許しているのだろう

そんな、優しさの感じるお怒りの言葉

そしてなによりも。心配していたからこその安堵を感じる

天乃「……他人事だって思ってたわけじゃないの」

でも、

だけど

天乃「みんなが無事ならそれでいいって。思ってたから」

誰かが傷つくよりはいいと、思っていたから

天乃「でも……私が傷ついた分。ううん、それ以上に、みんなの心に傷を負わせてた」

銀「本当にそうだ。守ったからって、守れてるとは限らないんだ。気を付けろよな」

天乃「貴女にだけは。そんなこと、言われたくないんだけど」

銀「どっちもどっち。あたしも、天乃も。自分を犠牲にしたって点で否定する気はないよ」


では、此処までとさせて頂きます
10分はながそうですね。5分程度
もしくは、↓1でガンガン行こうぜにしてもいいのかもしれません
3だと遠いみたいなので


では、少ししたら。少しずつ進めていきます


銀「けど、あの時、あたしがそうしなかったらみんな死んでた」

大切な弟が日常に居て

大切な仲間、親友が目の前にいて

生きていたいという気持ちがないわけがなかった

でも

銀「誰かがやらなきゃいけなかったんだ。あの時は」

天乃「………………」

銀「けど、今は違う。そうだろ? 天乃?」

真面目な話だ

ふざける理由なんてないのだろう

銀は珍しく真剣な雰囲気で言うと、すぐに笑みを浮かべて天乃の手を握った

銀「天乃には守る力がある。自分も。みんなも」

天乃「そうかしら」

銀「そんなこと聞くなよ。当たり前なんだから」


天乃「今のところ、敵は私からすれば弱いわ。でも、多勢に無勢になったら負けるかも知れない」

銀「ひとりじゃない。なら、それだけでもう、無勢にはならない」

銀、若葉、球子……と、精霊組がいて

友奈、風、夏凜、東郷そして、樹の勇者組がいる

天乃には、仲間という力があった

銀「みんなを信じて自分を信じろ。まさか、誰にも背中を預けられないとは言わないだろ?」

天乃「ええ、まぁね」

まだまだ力量不足なところがないとは言えない

でも、確実に変わって、確実に成長している勇者部

みんな、信頼できる子達だもの

銀「だったらもう、無茶するなよな」

天乃「さっきも言ったけど、あなたには言われたくないわ」

取り敢えず、突っ込む

そんな戦闘法だった銀にだけは、言われたくない

さっきと同じ言葉

でも、ちょっぴりと違う意味を持つ言葉を交わした二人は、笑みを浮かべていた


銀「ん……あ、そういえば」

天乃「?」

銀「なんであたしを呼んだんだ?」

そういえば呼ばれてきたんだった。と

今更ながらに気づいて、銀は問う

気づくのが遅い

でも、一番話したかったことに関しては話せたし

ほかに何か……あったかな



1、昨夜の友奈について
2、今夜の東郷について
3、勇者部内で、私と寝るのって流行ってるの?
4、ねぇ、銀。あのバーテックスの球体。どう思う?


↓1


天乃「ねぇ、銀。あのバーテックスの球体。どう思う?」

勇者を食い殺すことに特化していると考えられてる球体型バーテックス

形状は星屑とほぼ変わらないのに、大きさは全く違う

にも関わらず

天乃「私が思うに、あれ、中は空っぽよ」

銀「……つまり?」

天乃「耐久力は限界まで膨らませた風船レベルってこと」

最初、それは天乃から見てだろ? と、思ったが

考えてみれば確かに、容易く撃退出来すぎているような気がして

銀は頷く

銀「案外、あれ自体がトラップなのかもな」

天乃「トラップ?」

銀「あの中に星屑を溜め込んで、勇者が撃破した瞬間――」

銀は両手で天乃の手を挟み込んで、もにゅもにゅと、揉みしだく

銀「こんなふうに包み込んで食い殺す。的なやつ」


天乃「でも、勇者には精霊による壁役が……」

いや、だからこそのあの巨体なのかもしれない

あの中に隠せる星屑の量は決して少なくない

守る隙間さえ与えないほどの広範囲から群がられたら確実に、一部は食いつかれる

そして、一部食いつかれた時点で、壁は崩壊する

銀「それに、あいつらはその罠にはめる美味しい敵を見つけた」

天乃「美味しい敵……?」

銀「一撃で粉砕できる火力を持ちながら、精霊に守られていない最強の邪魔者」

天乃「っ」

銀「そうだ。天乃だ」

いくら天乃とて全方位を瞬時に囲まれたら対応し切ることは難しいだろう

精霊の守りのない、生身に食いつかれたらきっと……

銀「正直、天乃を食い殺せればバーテックス側は勝鬨を上げてもいいし、取り敢えず撤退して再戦を挑んできてもいい」

天乃「…………………」

銀「天乃が死んだ時点で、この勇者チームから人数的には約半分、戦力的には7割近くが消えるんだからな」


銀「もちろん、中をなくしてコスト削減だっけ? 前話したような量産仕様の可能性もある」

とにかく、警戒をしておくしかない

いや、むしろ。それくらいしかできない

下手に怯えて攻撃できなくなれば、

それだけでもバーテックス側には有利になってしまう

天乃「……厄介ね」

銀「厄介なのは、あれと獅子座合体版が同時に攻めてきた時だ。今回、いなかったし」

天乃「………………」

どちらも天乃であれば対処可能ではある

けれど、誰にも何の被害もなく。というわけにはいかないし、

そんな無傷の勝利を収めるには相応のリスクが必要になってくる

でも、それはやったら確実に樹に怒られるだろう

天乃「しばらく息を潜めて、私達が死ぬの待てばいいのに」

銀「天乃がいう分には、期待できそうだよな。それ」

天乃「もちろん、引くわけ無いでしょうけど」

向こうの戦力はほぼ無限

総力戦になりでもしたら……敗北は確実なのよね


天乃「けど、少なくとも数年は攻めてこれないくらいに壊滅することはできるわよ。私」

球子が言っていたような人柱になる

それ以外の方法で。だ

もちろん、それに代償がないわけがない

というより、満開なんだから絶対に何かを失う

それは変えることのできない理……なんだと思う

銀「満開は使うな。また、記憶なくすかも知れないんだぞ」

天乃「……そうね」

今の天乃の記憶は、本来の記憶ではなく、

九尾によって消されて白紙になった記憶に同じ記憶を植え付けたに過ぎない

ようするに、思い出したというより、教えてもらった。が、正しい

そもそも、九尾が記憶の共有を出来ること自体が謎なんだよな……

普通できないだろ。そんなこと

天乃「でも、みんないざとなったら使うつもりだろうし……」

銀「何も失ってないみんなと、失った天乃や須美……東郷とはその重さが違うだろ」


だからって、失っていい理由にはならない

けれど、どうしようもない時だって、いつか来るかもしれない

誰かがその力を使い、何かを失うことでしか守ることができない時が来るかもしれない

その時、

天乃は、あたしは

一体、どうするべきなんだろうな

それを考えながらも、思いつくことのできない銀は、握りこぶしを作って首を振る

銀「違わないか?」

天乃「……違わない。どっちも何かを失うという点では何も変わらないんだから。って、いつもなら言うべきなんでしょうけど」

きっと違う

失うに連れて、一番大切なものを失ってしまう可能性が高くなっているし

現にそれで一度失って、勇者部が崩壊の危機に陥ったのは記憶に新しいことだ

天乃「分かったわ。善処する。できる限り、死神と九尾の超勇者で頑張ってみるわ」

銀「ああ、それが正しい」

天乃の考えた末の返事に、銀は大きく、頷いた


では、本日はここまでとなります
また、予定していましたとおり、明日、明後日は投下なしとなります

25日に関しては可能であれば、やる予定です
その場合は事前に一レスいれます

本日は出来そうなのでやっていきます。
再開予定、19時ころになります


銀「そういえば」

天乃「?」

銀「今日は須美……じゃなくて東郷だっけ?」

銀の言い方に首をかしげつつ、

添い寝の件だろうとすぐに気づいて、苦笑する

天乃「ええ、そう。東郷よ」

銀「何かあったら呼んでくれ。必ず手を貸すから」

天乃に比べたら、両足程度。と、思ってしまいそうではあるが、

東郷も天乃と同じく車椅子生活だ

友奈達と比べてしまうと、どうも頼りないし危なっかしい

天乃「うん。ありがと」

銀「気にするなよな。アタシは二人の親友で。天乃の……精霊なんだから」

天乃「ええ」

あの頃と変わることのない銀の笑み

あの頃と二度と変わらない友の姿

けれど

姿を見て、話すことができるその奇跡に、天乃は笑顔を向けた



√ 8月12-13日目 夜(某所) ※金-土曜日



東郷「少し……狭いですね」

天乃「本来一人の場所に二人いるんだから、諦めなさい」

むしろ、その点を譲歩しているのは天乃だ

天乃のベッドに入り込んでいる東郷は、言っちゃダメなんじゃないのか。と

そんな皮肉をほんのり込めて、天乃は東郷を見つめた

東郷「……………」

天乃「……ねぇ」

東郷「っ……なんですか?」

天乃「ん。東郷ってさ。肌白じゃない?」

東郷「久遠さんも、似たようなものだと思いますが……」

それはそうなのだが

天乃の言葉には

だから顔が赤くなっているのがくっきりとわかる。という続きがあった

しかし、どうにも。言いづらい

天乃「暑くない?」

東郷「少し、蒸れますね。でも、ぱ、パウダーは樹ちゃんがしてくれましたし。汗疹の心配はそこまでないかと」

天乃「うん」

言いたいのは、それじゃないんだけれど


天乃「それで、どう?」

東郷「どう。とは……?」

天乃「私と一緒に寝るのに興味があったんでしょ? その感想」

友奈や樹にはちょっぴり乏しく

風には控えめであるソレを、東郷は大きく持っている

それが、向かい合っているがゆえにぶつかって

あと一人分頑張れば入れそうな空間があって

その分、東郷は天乃と離れていて

東郷「まだ、わかりません」

天乃「ん、そう」

暑い。とでも言ってもらえるかと、ちょっぴり期待していたが

残念ながら、そんなことはないらしい

汗、かいてるんだけど……

天乃「………………」


1、ねぇ。本当に暑くない?
2、じゃぁ、現時点でわかってる限りの感想は?
3、もう少し、こっち寄る?
4、東郷。顔、赤いけれど。本当に平気?
5、向かい合うと変に場所とるし。背中向けていい?


↓1


天乃「もう少し、こっち寄る?」

東郷「……そうしたいのは山々ですが」

天乃「?」

東郷「色々と、その、遮蔽物が」

天乃「あぁ……」

一人分の空間を確保する遮蔽物は

東郷が頑張って身を寄せようとしても、

一旦は許しておきながら、あざ笑うように押し返そうとする

しかも、無理をすれば圧迫されて呼吸が少しとはいえ。辛くなる

ただ

東郷「2つほど、方法があるといえば、ありますが」

天乃「というと?」

東郷「身長的に久遠さんがその、私に顔を埋める形をとるか、私の……を。久遠さんのを支えるような位置にはめ込むか。です」

もちろん、

せなか合わせになれば問題は解決するものの

残念ながら、それでは会話ができない

だから、取り敢えず今は却下だ


天乃「私は動けないし、前者なら東郷に抱き寄せて貰うしかないんだけど……」

後者でも結局、

東郷に動いて貰わなければいけない

ただ、向き合いつつ、

下手に圧迫することがないようにするのならそれくらいしか方法はない

もちろん

向かい合うことなく仰向けでいる。という手もあるのだが

それでは互いに体がはみ出て

最悪、どちらかが布団から完全に出てしまうまである

夏とは言え、それは夏風邪を引き起こしかねない

けれど。最終手段として、それはありかも知れない

天乃「貴女的にはどっちが楽?」

東郷「………………」

どちらが楽かと言われれば、圧倒的に抱き寄せる方だ

足が動かない現状

布団の中で位置を下げるのは中々に力が要る

けれど……

東郷「く、久遠さんを抱き寄せ――ない方です」

しまった。と、思った

けれど、久遠先輩は微塵も疑ってはいなくて

天乃「それなら――」

東郷「で、ですが!」

慌てて、割り込む

天乃「っ」

東郷「ですが。久遠さん的には、私が抱き寄せる方が楽かと思います」

天乃「そ、そう……?」

東郷「我儘を聞いて頂いているのは私です。久遠さんが、決めてください」


1、抱き寄せてもらう
2、抱き寄せてもらわない


↓1


天乃「うーん……なら、抱き寄せてもらっていい?」

東郷「は、はい」

天乃「貴女のことも考えると、共に無理に動かないほうがいいと思うし」

久遠さんは、笑う

私が体をすり動かす必要がないようにと、考えて

なのに私は邪な考えで、嘘をつこうとして

東郷「少し、失礼します」

天乃「うん」

東郷「……あっ」

天乃「えっ?」

久遠さんを抱き寄せるには

久遠さんの両脇に手を入れて、少し体を浮かせてから背中に触れて引き込む

というのが、久遠さんにもっとも負担をかけず、抱き寄せる手段だと思う

けれど、それはつまり久遠さんの体に、胸に、触ってしまうということで

案の定、久遠さんはそのあたりに関して全くの無頓着で

東郷「……少し、触っていいですか?」

天乃「触らなきゃ抱き寄せられないと思うんだけど……」

東郷「いえ、胸のことです」

私は、そう聞いた

普通なら女の子同士であっても、多少は恥ずかしがったりするはず

でも

天乃「ダメな理由、あるの?」

久遠さんはきょとんとした表情で、そう言った

東郷「……そうですね」

パウダー塗ってという時点で、はい。分かってました


東郷「…………」

改めて意識してしまうと、本当に恥ずかしくて、心臓が弾けそうになってくる

久遠さんの瞳が私を見つめているし

私の視線の先、久遠さんの胸はゆっくりと、呼吸に合わせて動いている

樹ちゃんたちなら、

久遠さんのお世話ということで

お風呂に入れてあげているし、当然すみずみまで洗っているだろうから

耐性はあると思う。でも、私はない

私には皆無だ

だけど、そう考えて。思う

だから久遠さんは触られることに関して

樹ちゃんでなくても気にすることはないんだ。と

介護して貰うから。その時に、デリケートなところも全部

見られて、触られてるから

久遠さんにはその点に関しての羞恥心がないんだ。と


なのに情欲を感じかけている自分に苛立って

私は無心を心がけて、久遠さんの両脇に手を通す

あっ、柔らか……こほんっ

東郷「ゆっくりと、少しだけ持ち上げます」

天乃「うん、ごめんね」

東郷「いえ、力には自信があるので」

横になった状態

だから、多少力は入らないかもしれないけれど……でも

東郷「っ!」

久遠さんの体を少しだけ持ち上げて、自分の方へと引き寄せる

動いて舞った久遠さんの匂いが鼻腔を擽る

全員共通しているはずの、フローラルな優しい香り

けれど、なぜだろう

天乃「ん……ありがと」

東郷「は、はいっ」

全然違う、もっと特別ないい匂いを感じた


東郷「っ……」

天乃「東郷?」

東郷「わた、私……」

その特別を感じた瞬間、どうしてか懐かしくて

悲しいのか、嬉しいのか

喜怒哀楽の何かも分からないままに、涙が溢れ出てきた

東郷「すみませ……」

天乃「ううん」

東郷「っ」

心のどこかには、特別だと感じ、懐かしいと思う何かがあるのかもしれない

でも、それを私は分からない

でも、だからきっと。私は……

天乃「右手だけだけど。抱きしめてあげる。私と貴女だけの秘密。だから好きなだけ、泣いちゃいなさい」

久遠さんの優しさ

久遠さんの温かさ

それに包まれ、私は泣き、眠る

みんながいいと絶賛する理由が、理解った気がした

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  乃木若葉:交流有(戦闘)
・  土居球子:交流有(戦闘、昔の仲間)
・  三ノ輪銀 :交流有(戦闘、球体について)
・  犬吠埼風:交流有(戦闘)
・  犬吠埼樹:交流有(戦闘)
・  結城友奈:交流有(戦闘)
・  東郷美森:交流有(戦闘、添い寝、抱き寄せる)
・  三好夏凜:交流有(戦闘)
・  三好春信:交流無()
・     九尾:交流有(戦闘)

・      死神:交流有(戦闘)
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()



8月12日目終了後の結果

  乃木園子との絆 19(中々良い)
  乃木若葉との絆 30(中々良い)
  土居球子との絆 27(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 48(少し高い)
  犬吠埼風との絆 69(高い)
  犬吠埼樹との絆 126(かなり高い)
  結城友奈との絆 64(高い)
  東郷三森との絆 63(高い)
  三好夏凜との絆 88(高い)
  三好春信との絆 36(中々良い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 50(少し高い)
      死神との絆 37(中々良い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度***%


須美→久遠さん
東郷→友奈ちゃん


少し中断します
再開は21時または21時30分


では、再開します


√ 8月13日目 朝(某所) ※土曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定

↓1


夏凜「なによ」

天乃「なによって……冷たくない?」

夏凜「別に」

九尾「勇者部の中で私だけまだ一緒に寝てないとかじゃないんだからっ」

天乃「あら……」

夏凜「あらじゃないッ」

怒鳴った夏凜に睨みつけられた九尾は、

失敬失敬と楽しげに笑って、姿を消す

残ったのは真っ赤凜と天乃だけ

当然のように、沈黙し

天乃「……まぁ、うん」

夏凜「うっさい」

天乃「かり」

夏凜「なんにも言うなっ」

夏凜は会話を、拒んだ


夏凜「あれは九尾が勝手に言っただけで」

天乃「うん」

夏凜「私が思ってた言葉じゃ、ない」

天乃「うん」

天乃の単調な返事に、

夏凜は鋭い目を向け、息をつく

夏凜「嘘だと思ってるでしょ。あんた」

天乃「うんっ」

夏凜「おいこら」

天乃の浮かべる満面の笑み

それに対して本気で怒ることはできず、

夏凜は頬を掻いて、目を逸らす

夏凜「みんな良い、良いうっさいから……」

天乃「気になっちゃった?」

夏凜「……ふんっ」

ぷいっと顔を背けはしたものの

きっと、夏凜なりの「うん」という肯定だったのだろう

夏凜は少し、笑みを浮かべていた


夏凜「東郷が、すごい幸せそうな顔してたのよ」

友奈にそう言われるまで、気づかない、無意識な状態で

しかも、

友奈の良かったでしょ。という言葉に

何のためらいもなく頷く姿は、それをお世辞とか嘘とか

そういう風に捉えさせたりしなくて

夏凜「夏なのよ。真夏! なのに……気持ちがいいとかどうとか。意味わかんないじゃない」

天乃「うん」

夏凜「でも、友奈も風も。暑さなんて関係ないって言うし。東郷も……寝れば分かるとしか。言わなくて」

気になる

気になって仕方がない

迷惑だって思うのに、寝てみたいと。思う

天乃「………………」


1、じゃぁ。夜。寝てみる?
2、私も良く分からないわ。でも、みんながいいと言うんだから。いいんじゃないの?
3、夏凜はどうしたいの?
4、でも、貴女は別にそういう気持ちはないんでしょ?
5、ところで、復学は大丈夫? もう、9月まであまりないけど


↓1


天乃「じゃぁ、夜。寝てみる?」

夏凜「い、良いの?」

天乃「貴女が望むなら」

夏凜の素直な答えに笑みを返して、

天乃はそう答える

夏凜が踏み出せるように

夏凜が我慢してしまわないように

夏凜「でも、あんたは平気なの?」

天乃「連日寝てるし、慣れてきたわ」

夏凜「……そう」

天乃は幸せそうにも、嫌そうにも言わず

ただ、私が良いのならと、言う

夏凜「なら、ごめん。悪いけど……今日だけ」

天乃「ん」

夏凜「……ねぇ」

天乃「なに?」

夏凜「あんたから言わないなら、樹に。私から言うけど。どうする?」


天乃「なんのこと?」

夏凜「なんのって……」

きっと、天乃は誰と一緒でも嬉しいはずだ

みんなが仲良くしていて

みんなが楽しそうで

それを見ているのが好きなんだと、私は思うし、みんなは思うし、

九尾は「主様はそういう人間じゃからな」と、言った

でも、きっと

その中でも一番、ふれあいたい相手が居るはずで

それはもちろん

いや、当たり前のように、樹で

けど……天乃はそこらへん強引さが足りないから

樹から行かない限り、だめで

でも……いや、そうか

夏凜「あんたも樹も、大好物は最後まで取っておく主義なのか」

天乃「……そういうわけじゃないけど。樹が良いって言ってるんだもの。私から言うことじゃないと思ってるだけよ」


思わぬ否定に面食らった夏凜だったが、

そこまでしつこく言えば理解できるのか。と、息をついて苦笑する

夏凜「そっ。まぁいいけど」

天乃「うん」

夏凜「ほんと、あんたは樹が好きなのね」

九尾「寝床の隙はあるくせに、隣は空いてないとか。なんなのよ」

夏凜「それはさすがに思ってないわよ!」

九尾「ふむ。それは失敬」

くふふっと笑う九尾に

ちょっと怒りながらも嫌そうじゃない夏凜

非日常でありながらも、

日常と相違ない景色を瞳に映し、天乃は嬉しそうに。笑う

ずっと続いて欲しい世界

でもきっと。いつか、終わる時が――来る


では、此処までとさせて頂きます
明日はできれば通常時間
あすできなくても、明後日は可能であればお昼頃から




九尾「……ふむ。時は、近い」


では、遅くなりましたが少しだけ進めていきます


√ 8月13日目 昼(某所) ※土曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定

↓1

※勇者部および、春信はメールでのやりとりです


樹へのメール内容


1、明日日曜日だけど……予定ある?
2、明日、デートとか。する?
3、ねぇ……私。今日夏凜と寝れば、勇者部コンプリートしちゃうんだけど
4、ねぇ。いつに、する?


↓1


天乃「………………」

別に淋しいとかではなく

別に、構って欲しいとかではなく

恋人だから、付き合ってるから

休日くらいはと、思わないこともないわけで


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

明日、日曜日だし……デートとか。する?

せっかく夏休みなんだし

このまえ行ったから、別にいいやとか

車椅子面倒だって、思

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


天乃「なんか、卑屈だな……私のメール」

最初から、疑問形

しよう。なんてものは無理にしても

しない? と、誘うようにすればいいのに

する? なんて、伺うような。言葉

天乃「…………………」

天乃は削除を押して、文章を全てかき消した


天乃「……うん」

夏凜にはああ言ったけれど

天乃は少し、物足りないと思っていたのだ

樹に見捨てられたとは思ってないし

樹が明確に不倫? 二股?

そういうのをしない限りは疑うつもりなど微塵もない

そもそも、天乃はそれが発覚した時点で疑う以前に、

樹との交際の続行を諦める―正確には身を引く―のだが

それはともかくとして、

普通に食事して、普通に話してはいるが

やはり、どこか物足りない

改めてそう思った天乃は本文を空欄に、

副題に【明日、デートする?】とだけ入力して、メールを送った

本文まで書くと

絶対に余計なことまで書くと思ったからだ


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

明日……

実はですね。明日と明後日の二日間

一泊二日で旅館に止まらないかーっていう計画が立ち上がっているんです

急な話ですけど

お姉ちゃんが夏休みはこのままでいいのかー? いや、良くないって。張り切っちゃって

もちろん、私たちだけじゃなくて、

久遠さんも一緒です

せっかくデートの話してもらったのに、アレなんですけど

ダメ、ですか?

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

天乃「そっか、もうすぐ夏休みが終わっちゃうのよね」

自分には関係のない話だと、皮肉を思いながら

天乃は返信を選んで、息をつく

風にとって、中学生最後の夏休み

みんなにとっては、讃州中学勇者部全員揃っての、最後の夏休みだ



1、私もいて平気なの?
2、面白そうな話ね。迷惑じゃなければ、うん。参加したいわ
3、勇者部として。楽しんできなさい


↓1


天乃が学校には関係ないからと辞退をすれば

樹もその宿泊を辞退するだろうし

そうなれば、みんなも辞退してこの話は流れるだろう

天乃「……じゃ、なくて」

自分がこうしたら、どうなるかを考えるのではなく、

自分がどうしたいのかを、考える

そして


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

あら。それは面白そうな話ね

迷惑じゃなければ、そうね。参加したいわ

旅館なら温泉があるし、

場所によっては海も近いだろうし

夏だし、花火とか

ふふっ。勇者部の合宿ってところかしらね

風の言うとおり、せっかくの夏休みなんだもの

最後の思い出が補習のテストだなんて、つまらないわよね

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


天乃は我儘の一歩を踏み出す


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

えへへっ

お姉ちゃんと同じこと言ってますね

花火はまだないですが、海も温泉もある旅館だそうです

久遠さん、ス水着ありますか?

成長していると思うので、今日。お姉ちゃんたちといくつか選んで買って帰ろうと思います

サイズに関して不安があるかと思いますが

安心してください。お姉ちゃんがそのあたりは抜かりないそうです

行きは東郷先輩が利用している専用の車二台になるそうです



……なので

いえ、車は関係ないですが

明日、時間があったら。二人で、温泉、海、花火

なにか、楽しいことができたらいいですね

じゃなくて。

しましょう

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


天乃「……もうっ」

まるで目の前にいるかのような、樹の言葉

それは打ち出された音も表情もない文章でしかないはずなのに

樹の感情と、思いを感じて

天乃は端末を抱いて、笑みをこぼす

天乃「うんっ」

返事は一言。それに対する樹からの返信はない

けれど、それでいい。それで何も問題はない

ここでメールが返って来ていたら

ずっとずっと、メールが続いてしまっていたに違いないからだ


では、ここまでとなります
明日は可能ならお昼頃からのスタートとなります



九尾「……ふむ」チラッ

【久遠さん、ス水着ありますか?】

ピピッ

【久遠さん、スクール水着ありますか?】

九尾「……こんなところかのう」


では、本日も再開していきます


√ 8月13日目 夕(某所) ※土曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定

↓1


晴海「みんなで旅館、行くんだって?」

天乃「聞いてたんだ」

晴海「ええ。お姉さんたちもどうですかって、誘われたんだけど。用事があっていけないの」

天乃「用事? お兄ちゃんも?」

晴海「そうなの。だから、露天風呂も安心して入っていいからね」

晴美は冗談でもなく、本気で言って、笑う

兄がいないから安心していい

常識的にはおかしいが

久遠家的にはそれが常識で

だから、天乃も笑う

天乃「うん」

晴海「めいいっぱい、楽しんできなさい。貴女と、みんなで」


そういった晴海は、天乃の頭を撫でる

可愛い妹

大事な妹

大切な妹

ほんの一瞬後には、ボロボロになっているかもしれない

瞬きした瞬間に、息絶えてしまっているかもしれない

先日出会った少女の言葉が気がかりで

知っているが故の、恐怖を感じ、けれどもそれを押し殺す

天乃「どうしたの?」

晴海「ううん、最近。撫でてないなって」

天乃「そっか……お兄ちゃんも触ってすらないんだけど……平気?」

晴海「下着盗もうとして、美森ちゃんに貼り付けにされてた。かな」

つまり、平気じゃないらしい

もちろん、

彼に関しては平気でも同じことをしかねないのだが


晴海「そういえば、車の運転手。片方春くんがやるみたいよ」

天乃「春信さんが?」

晴海「うん。なんか、無理にでも接触の機会を作りたいみたいなの」

当人の天乃達がすることを決めたのだから、

時期などは任せるべきだとする穏健?側と

一刻も早く、久遠天乃から力を失わせるべきだとする強硬側で今、大赦はほぼ二分しているといってもいい

穏健派とされる側の

戦力が大幅に削られるという問題には、乃木園子を代用するという話まで持ち出している始末だ

天乃の有無によって勇者部が暴動を起こしかけた

いや、起こしたことがその強硬手段に拍車をかけてしまったに違いない

晴海「でもね。春くんはまだ女性について良く分かっていないってする気がないみたいで」

天乃「風俗に通ってるんじゃなかった?」

晴海「知ってたの!?」

天乃「? うん、勉強のために通いたいって言うから。どうぞって」

さも当たり前のような天乃の言葉に

晴海は困った表情のまま首を振る

晴海「彼氏じゃないとは言え。自分とエッチする相手に風俗許可はしないと思うんだけど……」

天乃「春信さんは本気だった。真面目だった。遊びに行くなんて雰囲気は微塵もなかった。必要だって、本気で考えてた」

それを、

無知な自分の勝手な思い、考えで否定など、天乃ができるはずはなく

天乃「だからいいよって言った。それは間違ってないって。私は思ってる」


晴海「……そっか」

妹なのに、

自分よりもきっと、大人な考え方ができるのだろう。と

晴海は少しばかり寂しさを感じて、天乃の頬を撫でる

天乃「……お姉ちゃん?」

ここでキスしたらどんな反応するのかな

嫌われちゃうのかな。なんて考えて

樹ちゃんがいるから。しないけどねと、心の中で笑う

晴海「天乃ちゃんがそう決めたなら。お姉ちゃんには何も言えないわね」

天乃「それに、もう今更だし」

晴海「ふふっ。ほんとにそうね……そういえば。どうして私を呼んだの?」



1、春くんとの関係
2、明日のお泊り。誘おうと思ったの
3、エッチについて。(姉妹篇)
4、私も。男の子について知らないわ


↓1


天乃「それなんだけど……エッチについて教えて欲しくて」

晴海「……何を言ってるのか、わからないんだけど」

嘘だ。分かってる

天乃は普通の人が経験しないようなことを経験している代わりに

普通の人が経験しているようなことを経験していない

だから相手が春信にせよ、樹にせよ

何をどうしていたらいいのかが全く分かっていない

晴海「い、樹ちゃんに教えてもらうべきじゃない?」

天乃「その樹とエッチなことする前に少しは。知っておきたいのっ」

顔を赤くミルクがいちごオレになったような天乃の顔を見つめ、

晴海は思う

合意の上なら近親というものはありなのではないだろうか。と

晴海「お姉ちゃんに頼むのは、その。女の子同士で、知ってそうな年上だからってこと?」

天乃「うん。それに、他人には頼めないもの」

それはそうだ


晴海「うーん」

天乃「ダメ?」

ダメではない

いや、むしろ即断OKしたいのだが

晴海にはそうすることができない理由があった

晴海は仲のいい同性・異性はいる



付き合ったことは一度もなく

それは当然、エッチの経験など頭の中でしかないわけで

けれど

無下にするわけにも行かない

晴海「ほんの少しだけよ? どういうことするのか。くらいだけだからね」

天乃「うん」

晴海「……………………」

片腕しか動かすことのできない天乃ちゃん

私とエッチするときにどんなことをするのか。してもらうのか

頭の中で構成し出して、気づく

……現実の天乃ちゃんひとりエッチすら知らないんだった


01~10 樹
11~20 
21~30 風
31~40 
41~50 友奈
51~60 
61~70 東郷
71~80 
81~90 夏凜
91~00 

↓1のコンマ 

ぞろ目九尾 


一夜どころか、ほんの数分

調教、教育

どちらにも届かない程度の短い時間

けれど

晴海「っ」

晴海はごくっと喉を鳴らし

瞬きしないように目を見開き、一瞬さえ逃すことなく記憶する

前戯やひとりエッチ

教えることはいくつかあるがそれよりもまず、教えなければならない

情欲による、身体の火照り

何をどうするのか、

それらよりもまず、それを教えなければ

天乃はただ勘違いしたまま、流されていくに違いない

だからまずは、それを。心地よさというものを体に教え込む


天乃「っ」

服を脱がすのが主流

けれど、あえて脱がすことなく天乃の寝巻きの裾から、手を忍ばせる

一瞬触れた手

温められた皮膚との差に驚いた体が、びくっと震える

けれど、手は休めない

忍ばせた左手で胸を撫で、先端を抓り、

残した右手で下腹部をラインに添って下る

つきたてのお餅のようなぬくもりと、白さ。そして。浮かぶ水滴が妖艶な輝きを見せる太ももまで手を流し

中指の腹で舐めるように、肌をなぞる

天乃「……っ」

手の平の方が幅は広い。けれどその分感覚は分散する

ゆえに、中指のみ

そこに天乃の神経を集中させ、結果的に感度を強めていく


天乃「ぁ……っ」

晴海「…………」

天乃の反応がほんの一瞬だけ、変わった

それを見逃さなかった晴海は下腹部の手を止め、

天乃の胸元

その先端を指で押し込む

天乃「ゃっ」

晴海「っ」

さっきよりも、少し質感が増し抵抗が強くなっているのを確認し

もう一度押して

天乃「ん」

天乃の体の動き

天乃の表情

天乃の声

天乃の呼吸

すべてを余すところなく観察する


熱を持ち始めた天乃の体は、白さを損なって朱に染まり

瞳にはだんだんと熱から逃げ出す水分が蓄積する

天乃「はぁっ……はっ……」

何も知らなかった無垢なる少女を

快楽と名付けられた海に、浸していく

溺れないように、ゆっくりと

驚かないように、慎重に

晴海「んくっ」

頼まれたとは言え、実の妹に手を出している背徳感を覚えながらも

その心地よさに、晴海は生唾を飲む

……教えるだけ。教えるだけよ。晴海

晴海は言い聞かせ、天乃の唇を指でなぞると

天乃「ぅ……ゃ……」

人差し指を天乃の口の中に挿入して、唾液を掬う

まだ粘性の足りないそれがすぐに滴り、口元を汚すのを見送って晴海は天乃の下腹部を指で押す

天乃「んっ」

体温を上げかねた熱が天乃の下腹部に集っていくまで、チュートリアルは続く


天乃「はぁっはぁ……あぅ……う……」

天乃の瞳に溜まっていた雫が滴り、

唇がパクパクと動くたびに透明の糸が伸び縮みし始め

頃合だと判断した晴海が、天乃の蒸れた下腹部を顕にしようとした瞬間

コンコンッとノックが聞こえ

東郷「晴海さん、いらっしゃいますか? 開けても平気ですか?」

と、東郷の声が割り込んできた

晴海「っち、ちょっと待って!」

天乃「はぁっ……ぁ……お姉ちゃ……ん?」

ベッドに投げ出された四肢、乱れた寝巻き

上気した頬に、荒れて熱っぽい呼吸

今の天乃の姿を見られるわけには行かない

それだけじゃなく、女の子の匂いが強くするこの部屋に入られたらダメだ

01~10 現実は非情。見られる

11~20 
21~30 
31~40 中断っ

41~50 
51~60 現実は非情。見られる

61~70 
71~80 中断っ 
81~90 
91~00 

↓1のコンマ  


東郷「どうかしたのですか?」

晴海「今、チョット大事な話があって……後にしてくれない?」

ドアを開ければ匂いでバレる

それゆえのドア越し会話

けれど、東郷は晴海を信頼し、「分かりました」と、去っていく

ホッと胸をなでおろす晴海に対し、

何も聞こえなかった天乃は困惑した表情で、言う

天乃「どうしたの? お姉ちゃん」

晴海「ううん、なんでもない。美森ちゃんが用事があるってきただけ」

そのあとに、重要そうでもなかったから、あとにしてもらったの。と

自分の言葉があながち嘘ではないものだと確認しつつ、付け加える

晴海「それより天乃ちゃん。体はどう?」

天乃「ん……変な感じ」


下腹部の不自然な熱

あるいは、疼きと呼ぶべきその感覚に

天乃は思わず手を伸ばし、晴海が止める

天乃「触っちゃ、ダメ?」

晴海「……………」

本来、ひとりエッチは誰かから教わるものではないし

そもそもこの心地よさだって、何らかの偶然で知るか

自分から興味を持って、進んでいくもの

けれど……

天乃「お姉、ちゃ……」

晴海「っ」

思考を遮る、天乃の震え声

放置されている下腹部が余計に疼き始めているに違いない

本当に、悪いタイミングで邪魔が入ってしまったのだ

晴海「私がするから」

調節を間違えれば高波に飲まれて、

それだけしか考えられなくなってしまう危険性もある

晴海は天乃に優しく声をかけると

天乃「っひぁっ!」

寝巻きのズボンを引き下げ、ほんのりと水ジミが見える白いクロッチ部分を、なぞった


√ 8月13日目 夜(某所) ※土曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定


↓1

※事後。行為省略
※夏凜との添い寝は交流後


東郷「………なんだか、いつもと違う匂いがしますね」

天乃「そ、そう?」

東郷「私の気のせいかもしれませんが。別に変な匂いじゃないですよ。むしろ好きです」

何も知らない東郷の笑み

好きという言葉に、天乃は顔を真っ赤にして、俯く

思いっきりはしたない真似をした

晴海はこれがそういうことだからと言ってはいたが

天乃には粗相をしてしまったようにしか思えなくて

それを、晴海が後処理してくれたとは言え

良い匂い、好きと言われたことが堪らなく恥ずかしかったのだ

東郷「久遠さん?」

天乃「っ……ぅ」

東郷「どうかし………ぁ」

朝見たときと布団が変わっていることに気づいて、東郷は思う

久遠さん、我慢できなくて失敗しちゃったのね。と

東郷「りょ、旅行の話。受けてくださって、ありがとうございます」

とにかく話題をそらそうと、東郷は話を切り出した


天乃「ぅ、うん……」

東郷「旅行の時は必ず誰かがそばにいるので、大丈夫です。安心してください」

天乃「うん」

天乃に恥ずかしい思いはさせない

そう意気込み、東郷は天乃の手を握り、瞳を覗く

日常生活では守る

何が何でも、守る

その強い意思を宿し、東郷の思考はから回っていく

東郷「ところで、久遠さん」

天乃「な、なに……?」

東郷「あ、いえ。久遠さんに呼ばれてきているので、何かあったのかと思いまして」

不自由な点は比較にならないが

自分も車椅子生活の身

乗れる相談は乗り、解決するべきだと、東郷は考えていた



1、東郷は一人エッチのとき、その……もらしちゃったりする?
2、東郷。ひとりエッチを見せて欲しいの
3、明日の旅館って、みんな同室?
4、ねぇ、水着は?
5、東郷。お願い、エッチを教えて(不自由編)

↓1


天乃「凄く、聞きづらいというか。無理に答えなくてもいいんだけど……」

東郷「いえ、そんな。久遠さんのためになるなら答えます」

いつも戦闘で無理をさせてきた

なのに、なぜ会話での返答ごときを無理だと拒むことができるのか。と

天乃の下手に出た姿勢に困惑しながら、東郷は首を振り手を強く握る

天乃が好きだ

天乃が大切だ

天乃の助けになりたい

だからこその言葉だった――けれど

天乃「えっと。東郷がひとりエッチするって前提なんだけど」

東郷「えっ」

天乃「その時にね? おもらしとか、しないのかなーって」

東郷「え……っ?」

簡単に答えられることでは、確かになかった


東郷「………っ!」

東郷は白い肌を一瞬にして真っ赤に染め上げると

両手で顔を覆い、激しく首を振る

部屋に入ってきたとき、自分は何といったのか


   【いつもと違う匂いがしますね。でも、好きです】


東郷「ッ――――――!」

なんて馬鹿な事を言ってしまったのか

いや、もし仮にそれがひとりエッチの匂いではなく、

おもらしの匂いだったとしても


   【変な匂いじゃないですよ。好きです】


東郷「あぁぁぁぁぁ……あぁぁ……っ」

どちらにせよ、自分は変態なのではないか

ついこの前に磔にした兄の肩書きを持った変態と同類なのではないか。と

東郷は涙をこらえて呻き、天を仰いだ


天乃「東郷、無理に答えなくていいのよ?」

東郷「……いえ、平気です」

おもらし

あるいはエッチな匂いを好きだと言う以上に言いにくいことがあるだろうか

いや、ない

諦念に支配された東郷は光のかすれた瞳で天乃を見ると

薄く笑って、首を振る

東郷「ありません。でも、最初は私もそうなんじゃないかと、思いました」

天乃「そう、なの?」

東郷「はい。私も気になって調べたのですが、それは膣分泌液と呼ばれるものでエッチな気分になっている時などにでてくるものだそうです」

自分の過去を赤裸々に語っている間

東郷は不思議と恥ずかしさを感じなかった

それは多分、既に最大限にやらかしたという絶望に浸っているからに違いない

東郷「ただ、その。本当にそっち側からの吹き出しだった場合、おもらしの可能性もありますが学術的な言葉で言うと射精を行った可能性もあります」

東郷は長い説明になってしまったからか

分かりやすくするためにと端末を手に取ってネット検索し、自分が見たサイトの説明を天乃に見せた


天乃「……な、なるほど」

サイトの文字を端まで見終えた天乃は

どうやってそういうのを調査したのか激しく気になったが

体を提供した人がいるからだ。と、すぐに解決させて、息をつく――が

東郷「少なくとも、今は刺激臭が感じられないので前者ではなかったのではないか。と思われます」

天乃「と、東郷?」

東郷はまだまだ、続ける気らしい

東郷「もし、自慰をした際に出たものが黄色であれば可能性はありますが………」

天乃「東郷ってば」

東郷「久遠さん、その時に見たのは何色でしたか?」

東郷の瞳に、光は――なかった


1、し、知らないっ
2、しっかりして!
3、ありがとう。もういい、もういいからっ
4、どうしたの?


↓1


天乃「ありがとう。もういい、もういいからっ」

東郷「っ…………」

天乃の感謝

そして、許しのような言葉と、表情に

東郷はハッとして言葉を止める

その瞬間、涙が頬を伝って……滴り落ちた

東郷「ちが、うんです……」

天乃「?」

東郷「私、変態なんかではっ。お兄さんと同類なんかでは――」

九尾「先輩と呼べばよかろう。 こ・う・は・い 」

東郷「ち、違うわ!」

勢い良く振られた右手

九尾はそれを姿を消すことで躱し、そのまま消える

残った天乃と、落ち込んだ東郷は見つめ合って……

東郷「違うんです……本当に……」

天乃「うん。お姉ちゃんが掃除してくれたんだもの。清潔な匂いに決まってるでしょ」

天乃の笑みと優しい言葉に

東郷は「……はい」と、最後のひとしずくを零した


√ 8月13-14日目 夜(某所) ※土-日曜日


夏凜「なんか、色々あったみたいね」

天乃「うん。風に関しては、私は知らないけど」

夏凜「ああ、あれはね」

夕方、予定通りみんなで天乃の水着を買いに行った時

サイズがわからないんじゃないか。という樹の疑問に、

天乃の下着を持ち出してきた。と、風が下着を出したからだ

今日一日口をきかない。と、宣告していたような気がする。と

夏凜は思い出して、笑った

天乃「なに?」

夏凜「いや、あんたの下着を風が勝手に持ち出してたらしいのよ」

天乃「なんだ。そんなことなら別に」

夏凜「あんたは良くても樹的にはNGだったのよ」

あの時の「お姉ちゃん、それ。久遠さんのじゃないよね?」と、

分かっているのに聞いた樹の怖さは言葉にできなかった


夏凜「てっきり、あんたの体に触り慣れてサイズ把握してるんだと思ってたけど」

天乃「私はお兄ちゃんでも連れて行ったのかと思った」

夏凜「……あぁ、うん」

確かにあの兄だ

妹のスリーサイズなら常に脳裏に表示されていてもおかしくはなく

春信がそんな兄ではなくてよかった。と、安堵して、息をついた

天乃「納得しちゃったんだ」

夏凜「逆に聞くけど、否定できる?」

天乃「できない」

夏凜「でしょうね」

当たり前のことを言い合って、沈黙し

どちらからともわからず、部屋には笑い声が小さく響いた


そんな穏やかで、日常と胸を張れるような空気の中

夏凜と天乃は互いに頭だけを動かして、見つめ合う

夏凜「ねぇ」

天乃「うん?」

夏凜「普通は暑苦しいって思うのに。なんだか、丁度いい感じがするわ」

一人の布団に二人で入る、真夏の夜

朝は絶対暑いに決まってる

そう思っていたはずなのに

いざ、入ってみれば……心地よくて

夏凜「変なこと、言うわ」

天乃「変なこと?」

夏凜「……良い匂いがするのよ。二人とも同じやつ使ってるはずなのに。なんか、違って感じる」

自分で言って「ね? 変でしょ?」と、夏凜は苦笑する

恋人だったら、手をつなごう。って、言えたのに

そんな気持ちを、かき消すために


天乃「……そっか」

夏凜「何照れてんのよ」

天乃「ほら私、匂い。分からないから」

自分が良い匂いなのか臭いのか、天乃自身では全く分からないのだ

毎朝、毎夜

風達がローテーションでお風呂に入れてくれてる

だから清潔な匂いだと、思っているだけ

天乃「だから考え方によっては、私はすぐ臭くなるから、一日二回も必要なんじゃないかなって思――」

夏凜「ふざけんな」

天乃「……うん。ごめんね。そんなこと思ってない」

夏凜「なら言うな。あんたの裸が見たいだけの可能性もあるし」

天乃「えっ?」

夏凜「冗談よ……バカっ」


ぽりぽりと、頬を掻いて、夏凜は天井へと、顔を向ける

天乃「………」

夏凜が何を言っても、もう。言葉は見れない

もちろん、今のが嘘だってことはわかってる

けれど……

ううん、それで、充分だと思う

それに、もし本当にそうでも

お風呂に入れてくれるお礼になるのなら……良いのかもしれない

天乃「……………………」

夏凜の呼吸が周期的になって、静かになっていく

寝てしまったのだろうか



1、ねぇ、もう寝ちゃった?
2、頑張って体を寄せる
3、手を繋ぐ
4、私も、実は、暑くないわ
5、寝る
6、ありがとう。夏凜。裸が見たいなら。見せてあげるから言ってね


↓1



01~10 
11~20 夏凜 
21~30 
31~40 
41~50 夏凜

51~60 
61~70 
71~80 夏凜

81~90 
91~00 九尾

↓1のコンマ  


九尾「眠れぬのか?」

夏凜「……なによ。あんた」

天乃の寝息が静かになって

ちらっと目を向けようとした瞬間、九尾が現れた

九尾「手を出したければ出せばよかろう」

夏凜「……嫌よ。私は幸せそうな天乃を好きになったの。襲ったら。好きな天乃じゃなくなる」

九尾「お主……隠さぬのか」

夏凜「お生憎様。あんたの遊びに付き合うような、下手な嘘はやめたのよ」

九尾の知っていたというような表情から出てくる驚きの言葉に

夏凜はため息をついて、九尾を睨む

夏凜「あんた、襲わせるために出てきたの?」

九尾「お主が煮え切らぬ様子じゃったから、出てきただけじゃ」

天乃「すー……すー……」

夏凜「……余計なお世話よ」

九尾「別に手を握るくらい、主様も樹も。何も思うことはあるまい」

夏凜「いいのよ。隣で普通に寝てくれてるだけで。私は、それだけで満足してんだから」


布団の中で、開いた手

それを押さえるように左手で右手を握り締めると

夏凜は目を瞑って息を整える

夏凜「もう寝――」

九尾「お主は、それを。主様の幸福を守りたいと思うか?」

夏凜「当たり前でしょ」

九尾「なれば、満開は妾の指示に従え」

夏凜「何言ってるのか、意味わからないんだけど」

再び開かれた瞳には威圧感があって

それを感じながらも、

九尾は首を横に振って、言う

九尾「正しい満開の形を、妾が示す。じゃから……委ねよ。三好夏凜」

夏凜「……考えておくわ」

九尾の悪戯心の感じない瞳に、夏凜は総答えて、目を瞑る

その姿を見守っていた九尾は、自分の胸元に手を当て、息をつく

九尾「お主達の満開は、満開にあらず。種を残すための散華を。今こそ成し遂げてみせよう。陽乃」

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  乃木若葉:交流無()
・  土居球子:交流無()
・  三ノ輪銀 :交流無()
・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流有(デートしたい、旅行)
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流有(一人エッチについて、羞恥プレイ)
・  三好夏凜:交流有(添い寝申請、添い寝)
・  三好春信:交流無()
・     九尾:交流無()

・      死神:交流無()
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()



8月13日目終了後の結果

  乃木園子との絆 19(中々良い)
  乃木若葉との絆 30(中々良い)
  土居球子との絆 27(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 48(少し高い)
  犬吠埼風との絆 69(かなり高い)
  犬吠埼樹との絆 129(かなり高い)
  結城友奈との絆 64(かなり高い)
  東郷三森との絆 66(かなり高い)
  三好夏凜との絆 91(かなり高い)
  三好春信との絆 36(少し高い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 50(高い)
      死神との絆 37(少し高い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度***%



√ 8月14日目 朝(某所) ※日曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定

↓1

※晴海、大地以外はお出かけ道中の交流


天乃「久しぶりね、春信さん」

春信「ああ。すまない。シゴトもあったが、風俗通いで君を疎かにしてしまっていた」

天乃「まっさきにそう言われると、怒るつもりだったとしても、反応しにくいんだけど……」

もちろん、怒るつもりは毛頭ない

春信は恋人ではなく、

ただ、子供を作る手伝いをしてもらうだけの相手

非人道的な言葉を使うなら、道具に過ぎない

そして、天乃もまた……子供を産ませる道具に過ぎないだろう

それが分かっているからこそ、そこに踏み込むことはなく

天乃「勉強になった?」

春信「十人十色、人によって接し方を変える必要があると、学んだ」

天乃「ふふっ、なによそれ。体に関しては?」

春信「その点についても、少しは学ばせてもらったつもりだ」


天乃「……そう。じゃぁ、するときは痛くないのね?」

春信「誠心誠意、君が満足できるように努める所存だ」

天乃「……ふふっ、あはははっ」

面白くて、笑う

エッチについてなのに

別に、恋人でもない行為なのに

春信は本気で、真面目で、堅実で

それが少し、嬉しくて

天乃「……貴方が最初、ベッドを断らなかったら」

春信「?」

天乃「ううん。ふふっなんでもない」

樹とは恋人にならず

貴方と本当に恋人になっていたかもしれない

天乃はその言葉を、思うだけに止めた



1、春信さんも泊まるの?
2、樹としてからでいいわよね?
3、ねぇ、もしかしてだけど。春信さんが来させられた理由って……
4、園子はどう。元気にしてる?
5、私の立場で聴くのもアレだけど。春信さんは好きな人。いるの?
6、お姉ちゃんとはどういう関係なの?


↓1


天乃「ところで、気になっていたんだけど」

春信「なにをだ?」

天乃「お姉ちゃんと春信さんとの関係って、どうなってるのかなって」

赤信号で車を止めると、

春信は困った顔で、息をつく

天乃「お姉ちゃん、春くんって呼んでるから」

年齢は天乃と比べれば近いのかもしれない

けれど、それでも差があることには変わらない

それでも、そんな風に呼び、呼ばれるのは……

そう考える天乃の体を車の振動が襲って、背もたれに背中がぶつかった

春信「ただの、古い友人というべきか。私が大地と知り合った時からの仲なのだ」

天乃「……でも、春信さんって、女の人苦手だったわよね?」

春信「彼女に関して言えば、彼女のおかげというべきか。特別親しみやすくはあった。もちろん、友人として」

晴海は春信でも接しやすい接し方を心がけていたのだ

十人十色に対し、千変万化で返すように、相手の負担にはならないように。と


天乃「………………」

そう考える中で、私は一つの疑問を抱いた

でも言うべきじゃないと、言葉を飲み込む

どうして 「もちろん、友人として」 という言葉を付け加えたのか

そんな禁句

もちろん、それはただの思い過ごし

あるいは考えすぎの可能性も大いにあり得る話

けれど、もしもの可能性も、そこにはある

運転する春信さんを見ていると

春信さんも私を見て、困った顔をする

天乃「春信さん」

春信「?」

天乃「……よそ見は、だめよ?」

春信「……分かっている。安全運転を心がけているよ」

春信は当たり前のようにそう返すと

助手席に座る子供の頭をポンポンっと、優しく叩く

天乃「普通に触れるのね」

春信「頭に触れなければ、行為など、到底できないからね」

それはそうだと、苦笑した


では、此処までとさせて頂きます
明日はできれば通常時間から


本来14日で終了ですが、今回は延長戦で15日があります
最期の晩餐


夏凜との会話が一番しやすい。赦せ樹


では、本日も初めて行きたいと思います


√ 8月14日目 朝(旅館) ※日曜日


友奈「着いたーっ!」

樹「着きましたーっ!」

目的地にたどり着き、

車から降りた二人は嬉しそうに声を上げて、ぱんっとハイタッチ

晴れた空の下、光弾き揺れる水面と

鉄板のように熱されているであろう砂浜を見つめ、すぐに樹は振り返る

春信「少し揺れるぞ」

天乃「うん」

車椅子に乗り換えて、

車からゆっくりと降ろされる天乃と、春信

傍から見れば、あっちのほうが恋人らしいかも知れない

そう思うと、なんか。嫌で

樹「……春信さん、ありがとうございますっ。変わりますっ」

そう言って、久遠さんの後ろを奪い取った


天乃「ん………」

風が吹き、天乃が髪を抑えて小さく呻く

普通なら感じる塩の匂いを感じず

夏らしさというべきか、海らしさというべきか

そんな風物詩の香りも感じることのできない天乃は、

音の消えたテレビを眺めるように、砂浜の喧騒を眺める

樹「……………」

その姿をみて、

寂しそうだ。悲しそうだ。物足りなそうだ

そう感じながらも口に出すことなく、樹はストローハットを天乃の頭にかぶせる

天乃「樹?」

樹「夏に白いワンピース。そして、この帽子。完璧ですっ」

車椅子の横にしゃがみこんで、天乃と見つめ合って、笑う

天乃「……ん。似合う?」

樹「はいっ」

照れた仕草は可愛くて

どこかを見つめる姿は儚くて

なのに、横顔はとても、綺麗な人

樹「おねえちゃんの女子力が見事に影の中に消えてます」

天乃「あららっ、それは大変ね」

立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花

なら、笑う姿は……向日葵だ


友奈「風が気持ちいいね~っ」

東郷「そうね。それに、海に来たって感じがする」

友奈「うんっ」

もうひと組の、車椅子組

それを眺めていると、樹は不意に袖を引かれて視線を下げる

天乃と、目が合った

樹「久遠さん?」

天乃「このあとはどうするとか決めてるの?」

樹「そうですね……」

夏凜と話す風へと目を向けると

視線に気付いた夏凜に指さされ、風がそれを追って樹に手を振った

風「このまま海行かないかーって」

友奈達の様子や、夏凜と話して決めた風の提案を聞き、

天乃へと視線を戻して、聞く

樹「……海、久遠さんどうですか?」



1、うん。良いわよ
2、……私、入らなくても平気?
3、日焼けはしたくないかな……
4、樹はどう?
5、任せるわ


↓1


天乃「うん、良いわよ」

断る理由ならたくさんあるが、断る意味はひとつもない

樹の問に頷いて答えると、

きっと楽しんでいるであろう砂浜の子供たちを見下ろす

砂粒の熱さに慌てながら、楽しんで

片や全然熱くないしと意地を張って、仁王立ち

表情も何もわからない

けれど、眼下に見える子供たちの母親らしき人の背中はとても、幸せそうに見え――

天乃「きゃぁっ」

ガタンッと急に車椅子が揺れて、思わず声を上げると

すぐに樹が横に顔を出して、ごめんなさい。と、口を動かす

樹「コンクリートがでこぼこしてたみたいで……」

天乃「そ、それはいいんだけど」

驚きにたかなった胸元に手をあてがって、息をつく

車椅子から落ちるかと、少し焦った


天乃「そういえば、水着は?」

樹「私が持ってます。着替えますか?」

天乃「うーん……」

階段から降りれる訳もなく、

スロープをゆっくりと下りながら、樹と話す

樹「もし、日焼けしたくないとかあるなら、そのままでもいいと思いますが……」

手元の鏡に映る樹を見つめて、苦笑する

箱入り娘のように

あるいは引きこもりのように部屋から出ていない天乃の肌は白く

当然、通学等行ってきた樹たちよりも太陽の光に弱く

それは、近い肌を持つ東郷にも劣る

天乃「樹は日焼けした私は嫌?」

樹「どんな久遠さんでも、自己犠牲さえしなければ大好きです」

率直に答えて、樹は笑う

日焼けしていようがしていまいが

天乃であることには変わりないからだ


樹「日焼け止めも一応あります」

ただ、それが有効かどうかはまた別の話だ

足元の感触が少し柔らかくなった分熱を感じ、じゃりじゃりと音が鳴り出す

斜め下に下っていた道は、いつの間にか平らだった

風「更衣室は向こうだって。どうする?」

樹「久遠さんも入るスペースあるの?」

風「友奈と東郷が我先にって、向かっていっちゃったけど。戻らないあたりあるんじゃない?」

夏凜「友奈と東郷っていうより、友奈が東郷を連れて。だけどね」

言葉を細かく訂正する夏凜に、風がどっちも一緒でしょー。と、少し不満げに漏らすと

春信「その辺は既に調べてある。問題ない」

少し遅れて荷物を持ってきた春信がそう言った

さすが大赦。と、言うべきだろうか

樹「大丈夫みたいです。着替えは任せてください」

天乃「うん……」


1、水着に着替えさせてもらう
2、着替えず、荷物番のようにパラソル下待機



↓1


天乃「じゃぁ、お願いしていい?」

樹「任せてください」

泳げない

水遊びもできない

歩けない

水着なんて、何の意味もないかもしれない

でも、泳げなくても海に入るための方法はある

天乃「海では春信さんに任せていいからね」

樹「というより、資格がないので春信さんしかダメです」

水陸両用の車椅子

介助資格のある人がいないと、借りられない

悔しいですけど。と

樹は付け足しそうになった言葉を飲み込んで、首を振る

今はまだ、ダメなだけ

勉強して、ちゃんと資格取るまで……仕方ないんだ

友奈も同じ気持ちなのだろうか。と

東郷の世話を焼く友奈のことを考えながら、女子更衣室の中に入っていった


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば似たような時間から


終盤日常回。ゆっくりじっくり



「っし。あの巨乳ちゃん狙うか」

大地「おーっ」

「!?」

大地「どうした。あの子ナンパするんだろ? なっ?」パキッポキッ


では、本日も進めていこうかと思います


天乃「ちょっと、派手じゃない?」

樹「久遠さんはちょっと派手な方がいいんです」

とはいえ、派手さというか

鮮やかさを柄に求めるのではなく色に求めたビキニタイプの水着は、オレンジ色

明るいオレンジ色はまるで果物だと、思って

ピンクだったら桃だけど今はデカポンなのかな。と

二つの実りから、目を逸らす

天乃が露にするのは抵抗があるだろうからと、しっかりとパレオも買ってきたが

ワンピースタイプではなく、腰元に纏うだけのモノのせいか、

スリットになった側面からチラリと見える足が、魅力を上乗せする

樹「……………」

ナンパされはしないだろうか

そう思うと、持ち手を握る手に、力が篭る

天乃がなびかないという揺るぎない信頼があっても

強引に奪われそうになった経験があるからこそ、不安ではなく。恐怖があった


更衣室を出て、天乃の姿が世界にさらされると、

一番初めに襲ったのは、真夏の太陽。熱い日差しだった

天乃「あつっ」

樹「春信さんがパラソル立ててくれてると思いますので、まずはそこに避難しましょう」

天乃「うん、ごめんね樹」

樹「大丈夫です」

車椅子に座っている天乃は直射日光の熱さが主だ

けれど、砂浜を歩き、車椅子を押すために踏み込む樹は

サンダルあれど、凄く熱いはずだ

けれど樹は、笑みを浮かべる

天乃と一緒だから

天乃の背後という特等席だから

天乃のことを、好きだから

樹「久遠さん」

天乃「うん?」

樹「素敵です」

俗に言う麦わら帽子のつばから見え隠れする桃色の髪

それが風に揺られて初めて見える、白い項

天乃「あ、ありがと」

樹「えへへっ」

見えるのは、私だけだ


通りすがりの男達は、

天乃が一瞬、目に入っただけで二度見する

そして、友人に声をかけ「見ろよ」、「すげぇ」、「車椅子かぁ」と、

口々に天乃のことを話し出す

樹「………………」

天乃「今日は晴れて良かったわ」

樹「そうですね。少し暑いですけど。夏はこうじゃないと。ってやつですね」

天乃の手鏡に映る自分が笑みを浮かべているのを確認して、前を見る

友奈達勇者部がいて、たった一人の異性。春信がいて

そこから離れた男たちの視線がある

天乃「みんな、樹の事見てるんじゃない?」

樹「面白い冗談ですね」

天乃「えっ?」

樹「久遠さんのこと見てるに決まってるじゃないですか」

私なんて輝きのあまり色飛びして消えてます。と、苦笑する

そう言われ、頬を染める天乃は帽子を少しだけ深くかぶった


友奈「ごめんね、先行っちゃって」

樹「いえ、全然気にしなくていいです」

風「樹はねー? 天乃の裸を見ていいのは私だけって言ってるのよ」

東郷「すごい翻訳機能です」

樹「もーお姉ちゃんっ!」

冗談冗談

そう言って笑う風を囲むみんなも、楽しそうに笑っていて

それを見つめる春信も

夏凜の笑顔があるからか、家族として

あるいは、兄として。嬉しそうな笑みを浮かべていた

風「まずどーする?」

夏凜「普通に自由行動でいいんじゃない? あんた、下手に気遣ってるとすぐ申し訳なさそうにするし」

東郷「先に帰る。と言われても困りますからね」

天乃「そんなことは、ない。と、思うけど」

強くは否定できず、天乃は尻すぼみな声で、呟いた


√ 8月14日目 昼(砂浜) ※日曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、球子
0、若葉
11、春信
12、イベント判定

↓2


樹「久遠さん、なにかしたいこと。ありますか?」

天乃「ん……」

天乃が目を向けただけで、樹は笑みを向け、言う

少し離れたところで友奈が東郷と一緒に砂浜を駆けていて

勝負すると言っていた風と夏凜は準備体操をしていて

樹は、せっかく海に来たというのに。隣にいる

天乃「……………」

東郷がさっき言われて困ると言った言葉が頭に浮かんで、首を振る

樹「私は久遠さんと一緒がいいだけです。久遠さんと離れる方が。我慢が必要です」

堪え性がないって、最近夏凜さんに言われちゃうんです。と

樹は楽しそうに笑う

せっかく海に来て、でも入らず。ただの会話だけ

けれどとても。楽しそうだった


樹「久遠さんは友奈さん達が楽しそうにしてるのを見て、嬉しそうです」

天乃「……まぁ、幸せであってほしいもの」

勇者として頑張っている友奈達が

辛い思いをして、悲しい思いをして

苦難を乗り越えて得たこの時間を大切に

そしてなにより幸せそうに過ごしている

その姿を見ることが出来るのは、純粋に嬉しいのだ

そして

樹「私はそんな久遠さんの横顔が好きです」

天乃「っな」

樹「大好きです」

姉、大人、先輩

色々と年上であることをあらわすことができる言葉はあるが、

きっと、それで表すことなんて出来はしない

その横顔に見える儚さや、喜び、嬉しさや、幸福感に

ただ年上であるだけでは持ち得ない美しさを感じている樹は、目を奪われ、心奪われていた

天乃「私だって……」

樹「人の喜びに幸せを感じてる久遠さんの優しさが。大好きです」

身を寄せ、肩が触れるのはリクライニングベッド

けれどそれでも樹は天乃の体温を感じて、目を瞑る

天乃「……ずるい」

言うだけ言った、樹の表情に、ぼそっとつぶやいて

天乃「私だって、貴女の全てが好きなのに」

室内ならキスでもしてたかもしれない

けれど外だからと、

二人は目を合わせることすらせずに、ぎゅっと手を繋ぐ


では、此処までとさせて頂きます
あすも可能であれば通常時間から


少年ルートはバッドエンドの物語ですので心苦しいだけかと思います
それに、えっちぃのは苦手です
ので、今のところ予定はありませんが、余裕があればバッドエンドとしてwikiにあげるかもしれません


では、本日も進めていきます


天乃「?」

繋いだ手に力が込められたのを感じた天乃が

近くのミニテーブルに乗せた鏡に映る樹に目を向けると、

ちょうど振り返った樹と目が合った

そこには退屈そうな感情は一切なく

むしろ、はしゃいでいる友奈達と同様の幸せを感じ、天乃は微笑む

天乃「どうしたの?」

樹「私はずっとこのままでもいいですけど、久遠さんも。このままでいいですか?」

手を繋いだまま。という意味ではなく

このまま横になっているだけでいいのか。という質問であることは天乃にもすぐ理解った

すでに、同じく車椅子である東郷は介護の人に車椅子を押してもらいながら、海に入っている

それを見た樹は天乃も入ってみたいのでは。と、思ったのだろう



1、樹が一緒なら。なんでもいいかな
2、樹も一緒なら。海に行く
3、砂風呂でもする?
4、海の家にでも行く?


↓2


天乃「樹が一緒なら、それで充分」

樹「そんなこと言われたら、何も言えないです」

言い換えればなんでも良いという対応に困るような言葉なのに、

一緒にいてくれればそれで十分だと言われて嬉しくないわけはなく

それじゃ困ります。と言えない樹は照れくさそうにつぶやく

その反応に対して、天乃は繋いだままの手に力を入れ返す

樹「……そんなわけ、ないじゃないですか」

天乃の言葉なき言葉

その意味が貴女は嫌なの? という問いであると見抜いた樹はそう答えて天乃を見つめる

強く握り合う手は

力強さに比例した優しさと温もりがあって

見つめ合う二人の距離は少しだけ近づく

けれど

その手以外が繋がることも接触することも。今はない

いや、ここでは、ない


樹「せっかくです。海に入りましょう」

天乃「うん」

何もかもお世話にならないといけない

だから。と、断ることはせずに樹の誘いを受け、待機していた春信へと目を向ける

春信は少し考える素振りを見せ、

樹にだけ分かるように何かを言うと、

面白いことだったのか、樹は笑って首を振る

樹「そんなことないです」

天乃「?」

樹の返事に春信は困ったという感情を隠しきれていない苦笑をすると

天乃へと目を向け、肩をすくめる

春信「私は二人の邪魔ではないか。と、思ったのだが……」

樹「そんなことないですよね?」

天乃「ええ。春信さんがいてくれないと。私、入れないから」

春信「海に入る代わりに、水入らず。とはできないな」

春信のその言葉に、天乃は一瞬驚きつつも

どこか申し訳なさそうな表情で、頷く

天乃「……うん。20点」

春信「なっ……いや、今のは違うっ」

樹「面白かったです」

春信「っ、本当にそう思っただけなんだが……っ」

思ったことを口にしただけ

それがつまらないジョークになってしまったことに気付かされ、

春信は恥ずかしそうに顔を背ける

うっ夏凜の兄だ。と、樹と天乃は改めて実感し

顔を見合わせて、笑った


天乃「んっ!」

ゆっくりと入っていくつもりだったが

運悪く波に襲われた天乃はその冷たさにビクッと体を震わせ、呻く

春信「すまない、不注意で」

天乃「ううん。びっくりしただけだから」

潮風であろうと、匂いがなければただの風

海水であろうと、匂いと味がなければただの冷水

水風呂に浸かっているような感覚を覚えながら、

天乃は右手で海水を掬う

天乃「ねぇ、春信さん」

春信「ん?」

天乃「この状態で釣りとかしたら何か釣れると思う?」

春信「所々に魚はいる。断言はできないが、根気強くやれば釣れるだろう」

天乃「そこは潜ってる人が釣れる。くらい言わないと」

春信「! そういうものなのか。すまない」

天乃「ふふっ、冗談」

堅苦しくて、会話しにくい

そんな印象も受けそうな春信の返答に天乃はくすくすと笑う

からかい甲斐がある。というのはいささか語弊があるかも知れない

けれど天乃はそんな敬遠されかねない春信の姿勢は好きだった


樹「…………」

海に潜り、海面から頭だけを出す樹は、

春信と親しげに話す天乃を見つめ、顔を赤くする

雫の滴る桃色の髪は直射日光の輝きを受けてより美しく

白い肌がそれを際立たせて、神々しさを感じさせつつ

髪が貼り付いたせいで常時露出される形となった項が

異質ではない魅惑を放っているように感じたからだ

樹「っ」

いつも綺麗だと思っている

いつも可愛いと思っている

けれど今は、そう。えっちだと言うべきか、とても魅力的で

樹はそれを眺めているだけで、満足だった

その付近で

春信がいることで男除けとなっているのか

チラチラと見てくる男性達は「なんだ、いるのか」、「ずりぃ」などと言って目を逸していく

樹「恋人は、私です」

聞こえないと分かっていながら、

樹はちょっぴり対抗心を燃やして、そう呟く

けれど

誰も知らなくてもいい

自分たちだけが知ってればいい。と、樹は天乃に近づいて

樹「久遠さん、ヤドカリさんですっ」

捕まえたヤドカリを、天乃の手のひらに乗せた


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば通常時間から


樹「えへへっ」

天乃「ふふっ」

春信「……………」

春信「………私はいないほうがいいのではないだろうか」


では本日も、初めて行きます


「鬼さんこっちらー! てーのなーるほーおーえーっ!」

「ずるいよぉっ!」

海に逃げ込んだ男の子と

波打ち際で困った顔をする女の子

鬼ごっこか何かをしているのだろう

男の子は女の子を挑発していて

それを見守る天乃は「泳げないのかしら」と、つぶやく

樹「そうかもしれないです」

天乃「……水が怖いのかしら」

まだ小学校低学年くらいの女の子は足を海水に浸しながらも、進まない

それを見つめる天乃や樹

逃げ込んだ男の子も、じっと待っていて

天乃はなるほど。と、微笑んだ

樹「何かわかったんですか?」

天乃「あの子を泳げるようにしたいんじゃないかなって、思ったの」

樹「……あの子がですか?」

男の子は浮かぼうとしているより、ただ立っているように見えるし

それなら確かに、男の子がいる位置までは小学生の女の子とはいえ、

ギリギリ足が付くレベルの深さかもしれない


樹「でも、それでも危ないです」

春信「余りにも危険そうなら、私が行こう」

天乃「うん、お願いします」

春信の言葉に天乃は答え、少年と、少女を見つめる

天乃は勇者の力を使えば泳ぐことなんて造作もないことだが

通常の時は絶対に泳げない

この場で車椅子から降りたりすれば、ただの自殺にしかなりえないほどに

それは、天乃が右手しか動かないがゆえの、不可能だった

だから、

元気に泳ぐことが出来る少年が羨ましくて

一歩踏み出せば泳ぐことのできる女の子を見ていたかった

そして

その天乃を見つめる樹は、そこに羨望と期待があるのを感じ取って天乃の手に触れると

樹「久遠さん」

天乃「うん?」

樹「私だけじゃ無理ですけど。ほかの人に手伝ってもらって。少しだけ。入ってみますか?」

その期待に答えようと、訊ねた


天乃「でも」

樹「浅瀬でなら、きっと大丈夫です」

天乃は立つことすらままならない

それゆえに、男の子がいる位置でも一人でいれば確実に溺死してしまうだろう

けれど、

小学生が立てる場所なら樹は立つことが出来るし

春信ではなく友奈達でもふたりがかりなら抱っこしたりなんだりで支えることができる

だから、樹はどうですか? と、天乃に訊ねた

天乃「………………」

車椅子で浮かんでいるだけでも天乃は悪くない気分だった

けれど、

全身で海水を感じるというのも少し、憧れているのは事実で……


1、少しだけなら
2、迷惑じゃなければ
3、春信さん。良い?
4、ううん、大丈夫。ありがとう

↓2


天乃「春信さん、良い?」

春信「私は構わないが……私でいいのか?」

風俗通い数日の春信は

異性を抱き抱えるくらいならできるまでに成長はしている

しかし、問題はここが海で、天乃が水着だという点だ

その分、肌と肌の接触面積は大きく

天乃が女の子としてそれが許せるのか。ということが問題になってくるわけだが……

天乃「今、私春信さんに頼んだ気がする」

春信「それはそうだが……」

天乃にその点を考えろ。というのは無理な話だった

樹は樹で、春信さんなら変なことはしないと思うので。と

少し不満そうな顔で言う

それは単純に、春信が嫌いかどうかではなく

自分一人では支えられないという不甲斐なさへの不満

樹「お願いできますか?」

春信「……私で良ければ」


聞く必要のないことをもう一度聞き、春信は天乃を見上げる

自分で良いから言ったのは分かっていても

やはり、もう一度聞くべきだと思ったのだ

そして、天乃は頷く

天乃「ええ。お願い」

春信「承知した。浅瀬まで移動しよう」

背負うか、お姫様抱っこか

どちらにすべきかと悩む春信の心を知らず、

傍らを游ぐ樹を天乃は見つめ、笑みを浮かべる

頭だけが出ている状況の樹は犬かきしている犬のような愛らしさがあって

自分が泳げないという寂しさなんて、どうでもいいことだと、思える

だって、この場所だから。車椅子の上にいるから

樹「久遠さん?」

天乃「ふふっ、可愛い」

樹の不思議そうに見上げる顔を、見られるのだから


樹「このあたりですね」

樹が普通に足の付く場所まで移動すると

春信は車椅子を押すのをやめて、立ち止まる

天乃「なんか、ちょっと緊張する」

海自体は初めてじゃないし

正常な頃はプールでも海で泳いだ経験がある

でも

こうなってからは初めてで

匂いも味もなにも感じないとしても

水の底に見える砂や小魚が海であることを表していて

樹「大丈夫です。私たちがいます」

天乃「う、うん」

樹の頼りになりそうな表情

それに反した表情。ではないけれど

春信「その前に確認しておきたいのだが」

天乃「え?」

春信「肩を貸す形、背負う形あるいは、俗に言うお姫様抱っこという形。どうしたらいい?」

生真面目な春信はそう聞いてきた



1、肩を貸す形
2、背負う形
3、お姫様抱っこ
4、肩車とか?
5、普通の抱っこはなし?


↓2


天乃「肩を貸してもらえると、助かるわ」

それはお姫様抱っこは流石に恥ずかしいからしたくないし

背負うのは多分、春信が辛い思いをする

だからこその形だ

春信「助かる」

どの形であろうと、天乃のために頑張るつもりではいたが

やはり、一番無難なものであることに救われたのは事実で

春信は一言言うと、天乃に手を差し出す

春信「手を握ってくれ」

天乃「うん」

春信「……犬吠埼さん。反対側を」

その指示に樹は従って、春信を見ると

春信もまた樹を見て、頷く

下手をすれば海に投げ込むことになりかねない

そんな危うさの中で見合うふたりは言葉なく、会話して、息を合わせる

そして

樹「ッ!」

春信「!」

天乃の体を少しだけ浮かせて車椅子をずらし、ゆっくりと海水に浸し

そして、その流れにのって、二人でタイミングを見計らって肩に手を回す

天乃「ん……っ、冷たいっ」

海水の冷たさを感じる天乃はそう言って身を震わせたが

春信と樹は天乃の体の温かさと柔らかさに赤面して、目を逸らす

冷たいはずなのに、とても熱く感じた


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば通常時間から


天乃「二人とも、息ピッタリね」

樹「思いが重なってるので。必然です」

春信「……かもしれないな」


では、少しだけ初めて行きます


決して游ぐことはできないけれど、

自然に揺れる波が普通の水風呂とは、違っていて

本当に、海の中にいるのだと感じられて

天乃「気持ちいい」

天乃は思わずそう言った

嬉しかったから

泳げなくても、楽しかったから

そして

樹「良かったです」

樹も嬉しくて、笑みを浮かべた

泳ぐことができなくても、

ただ、入れてあげることしか出来ていなくても

楽しいと。思ってくれているから

だから、春信はただ息を殺し

隣の二人を見守る

その立ち位置こそが、春信にとってもっとも望む。自分の立場だったからだ


樹「久遠さんっ、お魚!」

天乃「え?」

樹「そこ、した、下です」

樹の口と、指先に従って足元を見ると

確かに、小魚が泳いでいた

力なく垂れているだけの足を餌かなにかだとでも思っているのか

つんつんっと、つついて様子を見る

そんな姿を見つめながら、天乃はくすくすと、笑った

天乃「あらあら。私で釣れそう」

樹「久遠さんなら、もっと大きい魚が釣れますよ」

天乃「サメとか?」

樹「っ……冗談にならないですっ!」

確かに、人に喰いつくのならそういう生き物かも知れない

天乃はただの冗談のつもりだったのかもしれない

けれどそんなのは絶対に嫌で、つい。声を上げて

春信「君がいるんだ。ほかの何ものも。釣れることはない」

天乃には聞こえない春信の言葉に驚いて、足元を見る

すると、もう。魚の姿はなくなっていた


樹「っ」

天乃「樹……?」

冗談でも悪いことを言っちゃったかもしれない

そう思った天乃に対して樹は強く、しがみつく

天乃「っ!」

春信「っと」

春信が言った言葉を借りるわけじゃない

そう思いながら、樹は天乃と目を合わせる

樹「私ですっ」

天乃「?」

樹「私が、釣れましたっ!」

魚にも、異性にも。同性にも。誰も横取りすることができない

そんな、大きな魚じゃないけれど

樹「私が」

天乃「……私が貴女に。引っかかったのかもしれないんだけどね」

抱き返すことのできない物足りなさを埋めるため

天乃は肌に感じる樹の体温と感触に集中する

天乃「釣って釣られて。糸が絡まっちゃったみたい」

恥ずかしさをごまかすように、笑った


短くなってしまいましたがここまでとさせていただきます
あすもできれば似たような時間から


流石にゆっくりしすぎている気がしますので、
余裕がなければ少し飛ばしていくかもしれません


時間も時間なので、少しだけ進めていこうかと思います


天乃「ありがとう」

春信と樹に車椅子へと戻して貰った天乃は、

陽の暖かさを感じながら、二人へと呟く

二人がかりとは言え、少女一人を波に揺られながら支える疲労感は

相当なものだったはずだ

なのに、二人はそのお礼に笑みを浮かべて、首を振る

樹「お礼は平気です」

春信「気にすることはない。したくてしたことだ」

むしろ、手を離されたり、一瞬の不注意で危険な目に遭うこの場で

体を預ける判断をしてくれたその信頼に自分たちが礼を言うべきではないか。と、春信は思い

けれど、口にはせず飲み込む

樹「久遠さんが喜んでくれたなら。それで十分ですから」

天乃「うん。あり――」

樹「久遠さーん?」

天乃「……もうっ。いいじゃない言ったって」

ちょっぴり膨れて言うと、樹は「ダメです。私も言い続ける事になるので」と、苦笑を返した


夏凜「はぁ~……焼ける……」

風「上手に焼けましたーって?」

夏凜「この微かにチリチリとした感覚。嫌いじゃない」

砂浜に戻ると、勝者と敗者が横たわっていた

どちらが勝者なのかは聞かなければわからないが

少なくとも、勝敗の結果で言い合うような醜いことにはなっていないらしい

樹「そのちりちり、あとで痛い思いしますよ?」

夏凜「なっ、えっ!?」

風「アタシの日焼けビンタ仕返し計画が妹のせいで台無しにーっ!」

わざとらしくそういった風を睨むように見つめた夏凜は

思い出したようにハッとして、笑う

夏凜「ひ、日焼け止めは塗ったわ!」

天乃「顔にも?」

夏凜「…………………」

春信「そもそも。あそこまで無防備に陽に晒していては日焼け止めも効果の限界だと思うが……」

夏凜「や、焼けてる?」

天乃「多分、まだセーフ」

そう言うと、夏凜は「った!」と、嬉しそうに握りこぶしを作った


天乃「というより、風は負けたのね」

風「うぅ……周りの視線が気になっちゃって」

よよよ……と、

弱々しい女性風の演技を見せる姿に夏凜はため息をつき

呆れたように両手を広げて首を振る

夏凜「誰も見てなかったって言ってんのに」

樹「そうなんですか?」

風「そりゃ、まぁ……あんな美人がいればそうでしょ」

そう言い、「ほらあれ」と、風が指さした先

そこに全員の目が向き、美人の正体に気付いた天乃は大きくため息をつく

無理もない。それは天乃やみんながよく知る人物だったからだ

天乃と同様の真っ白な体に、黄金の長髪に赤い瞳

普段と違うのは、和服などではなく、黒一色のビキニを着用している。という点だけ

樹「九尾さん……?」

天乃「なんで妖狐が海を満喫してるのよ」

夏凜「遊びたいんでしょ。九尾も」

春信「性別関係なく注目を集めているが……平気なのか?」


今はまだ人間離れした容姿ゆえに、

誰しもが近づきたくても近づけない。そんな様子ではあるが

それに近づく勇気ある人間も、世の中にはいるだろう

遊んじゃダメと言えば、

少し不満を漏らすかもしれないが、指示に従って姿を隠してくれるだろう

しかし、それ以降に九尾からの悪戯への警戒が必要になるかもしれない

とはいえ、

あのまま放置は危険だ

九尾――に言い寄った人が

下手な手出しはしないように。とだけ言うべきだろうか


1、戻って。九尾
2、変なこと。悪いこと。傷つけることとかはしたらダメよ?
3、放置
4、春信さん。ちょっと行って来て欲しいの
5、夏凜、お願い
6、樹、お願い
7、風、お願い


↓2


では、短いですがここまでとさせていただきます。
明日は普段より遅くなるかもしれませんが、できる限り早めの再開を予定しています



九尾「どうじゃ?」

「じゃ……? おばちゃんかよ」

九尾「ほう?」



「あれー? あいつどこいったんだ? 迷子か? なにやってんだか。あのバカは」


では、遅くなりましたが、少しずつ進めていきます


天乃「まったくもう……」

九尾が自分たちに気づいたのを見計らって手招きすると、

九尾はなんの抵抗をすることもなく近づいてきた

九尾「なんじゃ。戻っておったのか」

天乃「何してるのよ」

九尾「見て分からぬか? 海に来てじゃれておる目障りな雌と雄の関係破綻の下準備に決まっておろう」

天乃「本気で言ってるなら戻ってもらうわよ?」

九尾が本気で言っているわけじゃないと知っているからこそ

天乃は本気でそう脅す

冗談半分でやられでもしたら溜まったものではない

だから、冗談でもそれは許されないと示すためだ

九尾「くふふっ、冗談じゃ。妾も時には尻尾を伸ばし、耳を立てたい時がある。というだけのこと」

幻惑のちからか何かで隠しているからか、尻尾も耳も見えないが……

言葉に嘘は感じない

天乃「良いわ。けど、変なこと。悪いこと。傷つけることとかはしたらダメよ?」

九尾「無論じゃ。それにもう。必要ない」

九尾はそう言うと、自分の唇に触れて――笑った


九尾「風。妾と共に男漁りにいかぬか?」

風「なんですとっ!?」

夏凜「反応すんなっ」

風「でもあたし……そういうの苦手だし……」

夏凜「キャラ保ちなさいよッ!」

食い気味に行っておきながら引き腰な風に怒鳴り、

夏凜は九尾を見つめて手を突き出す

夏凜「そういうの、悪い事の部類だと思うけど?」

九尾「うむ。体に悪い食物が美味なように。悪しきことこそ。愉悦」

夏凜「ふざけんなっ」

にやりと笑う九尾に夏凜が叫び、九尾はくすくすと笑ってすまぬ。と、呟く

からかいたかった。楽しみたかった。ただそれだけ

本気でそんなことするつもりはもちろん、ない

九尾「じゃが、雌を求める雄はいる。風……は問題ないじゃろうが」

風「えっ」

九尾「あまり一人にしてやるでない。雄がきたと思えば友達の紹介させられるだけの残念な海になりかねぬからな。くふふふふっ」

風「なにおうーっ! やるかーっ! 表出ろーっ!」

いきり立った風に対し、九尾は悠然と立ったまま見下す瞳で笑う。否、嘲笑う

九尾「今ので女子力とやらが、3割減じゃな。残念」

風「くーっ!」

言い返したくても言い返せず、風は

風「夏凜。海の家いくっ!」

夏凜「はぁ? あんたさっき行かないって」

風「今行きたくなったのよっ」

みんなのそばから立ち去っていき、夏凜が後を追う

天乃「九尾。貴女ねぇ……」

九尾「ほんの冗談のつもりじゃったのにのう……ふむ。しかし、非は認めよう。以後気を付けるとしよう」


樹「でも、夏凜さんがいるなら大丈夫だと思います」

天乃「どうして?」

樹「お姉ちゃん。夏凜さんといるときいつも楽しそうなんです。波長? が、合うんじゃないかーって。思ってます」

風の性格と夏凜の性格

もちろん、それが同じだから波長が合うとかではなく

風のおふざけや、真剣さに

何に対しても真摯に付き合おうとする夏凜は上手く噛み合う。という所だろう

九尾「大方、これからヤケうどんでもするのじゃろうな」

春信「焼きうどんとは違うのか?」

九尾「……似て非なるものじゃ。勉強が足りんぞ。小僧」

春信「それは失礼した。すまない」

天乃「そんな真面目に謝らなくてもいいのに」

樹「そういえばお昼ですね。旅館の方は夕食からですし。どうしますか?」

春信「必要なら、私が購入してくるが……」


1、春信にお願いする
2、みんなで海の家へ
3、みんなで買いに行く


↓2


天乃「それなら……ごめんなさい。お願いしていい?」

もちろん、天乃を連れて行くことが不可能なわけではないが、

流石に、

海の家にまでバリアフリーな設備が整っているわけもなく、

海同様に余計な労力と言っては問題があるが疲れてしまう

そう判断した天乃の答えとするかのように、春信は頷く

春信「謝罪の言葉は必要ない」

九尾「ただ、妹が心配だから見に行きたいだけなんだ。おr……私はシスコンでね」

樹「九尾さん、全然気をつける気が無いですね」

九尾「くふふっ」

楽しそうな九尾に反論しない春信は、困ったように眉間に指を押し当てて、息をつく

風がいるからそこまで心配はしていない

が、そう言われて反論しないと認めているようで

反論したらしたで認めてるようにも取られそうで

春信は悩んだ末に、もう一度ため息をついた

春信「九尾は何か必要なのか?」

九尾「ふむ……妾も行く。流石に3人分は主一人には荷が重かろう」


天乃「九尾も行くの? 邪魔しない?」

九尾「いつも不真面目なわけあるまい。純粋な気遣いじゃ」

そもそも、九尾に純粋な部分があるのかどうか疑問ではあったが

確かに、飲み物や軽食ならともかく普通の食事類を一人で持ってくるのは大変だ

九尾の言い分も間違ってはない

樹「それならわた――」

九尾「お主は主様といてやるが良い。無意味に離れる必要もあるまいよ。案ずるな。人目があるところでは手は出さぬ」

九尾はそう言って笑みを浮かべると、

春信の腕をぎゅっと抱きしめて、引っ張っていく

天乃「……不安しかない」

樹「あれ、春信さんは大丈夫なんでしょうか?」

九尾の容姿は出るところは出ているのに

でなくていいところは出ていない人としては理想の体型だ

それが、強く腕を組み、身を寄せてきているのだ。相当無理を強いられているに違いない

天乃「九尾、春信さんをからかうつもりはあったのね」

樹「そう。ですね」

でも多分

本当の目的は二人きりに【する】事だと、樹はなんとなく。思った


樹「ずっと。聞くのを避けてたんですけど」

天乃「うん?」

樹「久遠さんが好きな食べ物って。なんですか?」

誰しもが、出会った時に聞きそうなこと

自己紹介で自分から言ってしまうようなこと

そんな当たり前で、簡単で、些細な情報を、樹はずっと聞かずにいた

天乃には味覚がない

何を食べても何を飲んでも全部一緒で無味無臭

最高級のディナーもシュールストレミングも

天乃にとっては何一つ変わらないものだったからだ

でも

ずっと避けて通るのは、治らないと諦めているように思えた

どうせ治らないから聞いても無駄

どうせ治らないから傷つけるだけ

そんな風に思ってしまっているようで。それが、樹は嫌で。だから

樹「いつかの日のために、私。練習しておきたいので。教えてくれませんか?」

天乃に、そう言った


天乃「いつかの日……樹の日?」

樹「そうじゃないです。それでも、いいですけど」

そのいつかの日を自分たちの大切な日にして

毎年、毎月、その日が来たらぱーっと、お祝いする

それも悪くないと樹は考えて、笑う

とても、楽しそうだ

樹「絶対に美味しく作ってみせますから」

天乃「……樹」

元気よく。そしてなにより力強くそう言う樹の姿に

天乃はからかう言葉を押しのける感情に流されかけて、首を振る

こんな場所で涙を見せるのは

それが、たとえ嬉しいからであっても恥ずかしいからだ

だから、天乃はその代わりの笑顔を浮かべて樹の手を握る

天乃「私、辛いものが好きなの。麻婆類なら茄子も豆腐もうどんも好き。好きだったの。だから、美味しいの、食べたい」

樹「……任せてください」

辛いものは味覚がなければ痛いだけ。ただただ、痛覚を刺激するだけ。だから、

二度と求めず、二度と食さず、敬遠し続けた料理

天乃はそれを樹に求めて、樹は答えるように握り返す

いつかきっと、必ずその日が来る

そう信じて、そう願って、そう祈って。二人は求め合う

それはなにものにも代え難い――強さになる


√ 8月14日目 夕方(旅館) ※日曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、球子
0、若葉
11、春信
12、イベント判定
13、みんなで遊ぶ
14、行くべきはお風呂

↓2


九尾「残念じゃったのう。混浴じゃなくて」

春信「君は一体、私をなんだと思っている」

九尾「雄じゃな。それ以外には思うてはおらぬ。お主とて。混浴も悪いとは思うておらぬであろう?」

むしろ性別として考えるのであれば

混浴の露天風呂があれば、可愛い人、綺麗な人がいないかと、求める

それが普通としていてもおかしくはない

しかし、春信はその辺りが普通ではなく……

春信「悪いと思っている」

九尾「ふむ……そうか」

天乃「九尾、春信さんにあまり迷惑かけちゃダメよ」

九尾「わかっておる。男としての欲があるのかどうか。聞いただけじゃ」

夏凜「混浴がどうとか聞こえたんだけど?」

九尾「おっと。急用が」

そう言って姿を隠した九尾に、夏凜はため息をつくと春信を見る

夏凜「兄貴は間違ってなかったわ」

春信「……………」

夏凜「あの時は、私が悪かっただけ。別に……嫌いじゃない」

一方的に気持ちを告げた夏凜は一足先にのれんを潜って

そのあとを追って風たちも居なくなり、残された春信を天乃と樹はしばらく見つめていたが

何も言う必要はなさそうだ。と、みんなの後を追っていった


東郷は服を脱がせてもらっている。なんてことはなく

両腕が動く東郷はほぼほぼ自分で脱いでいる

その一方で、天乃は全部手伝ってもらわなければいけない

天乃は脱がせるのが多少なりと楽になるように。と

背もたれに寄りかかるのを止め、倒れない限界まで前かがみになっていく

それに釣られるようにして、重力に押し付けられる圧迫感から解放され、

逆に引っ張られる形となったバストが下を向き、服を押してシワを寄せる

樹「………………」

いつもはボタン式の寝巻きを着ているため、

脱がすのはものすごく簡単だった。だから、天乃に体を動かしてもらうことなんて基本的にはなかったし

動かしてもらったとしても、胸が強調されそうな姿勢にはならなかった

ゴクリと息を呑む

このまま裾を持って引き上げたら、胸に引っかかてしまうんじゃないだろうか

触っちゃうんじゃないだろうか。と、樹は考え、首を振る

自分は恋人なのに、そんな事故に怯えてどうするのか。と

天乃「樹?」

樹「間違って、胸に触ってもいいですか?」

でも一応は必要かも知れない。と、樹は律儀に聞いた

天乃は唐突な質問に戸惑いながらも

そこに何か問題があるのかと考えを巡らせて、首を振る

問題なんてない

恋人云々を抜きにしても、何回も体を洗って貰っていて、見られて触られているからだ

天乃「良いわよ。別に」

樹「あ、ありがとうございます」


何に対してのありがとうだったのか。樹には分からなかったが

とにかく、それが口をついて出て行った

もう一度ゴクリと唾を飲み込み、

まだ浴場に入ってもいないのに、汗が出始めている額を拭う

息を呑むと心臓の音が余計にうるさく聞こえる

樹「っ」

最近、自分と天乃の行うえっちな行為について考えることが多いからか

今、この時の脱衣がその入口のように思えてならなかった

樹「………………」

ただ羽織っているだけの浴衣を脱がし、下着を顕にさせると

よりくっくりと、胸の大きさが見えるようになって、樹は赤くなる顔に手を当てて頷く

樹「脱がします」

天乃「うん」

樹がそう宣言し、天乃のインナーの裾を掴んで引き上げていくと

ゆっくりと、白い柔肌が衆目に晒され始め、周りの女性客の目がチラチラと、向き始めて

羨む白い肌に、どこかから「綺麗……」と、感嘆の声が聞こえてくる

当たり前です。と、樹は思った

そして、私の自慢の彼女です。お触りは許しません。と、周りを見渡す


天乃「んっ」

樹「っ」

天乃「んぐ――っは」

インナーを完全に脱がし終えた天乃の晒された上半身に、

すぐさまハンドタオルを押し付けて、隠す

天乃「そんな慌てなくても」

樹「ダメです。見られちゃいます」

タオルを押し付けた後の柔らかい感触を右手にじんわりと記憶させながら、

樹は次です。とショーツを見つめ、思い出す

樹「お風呂入るのに、おむつ外したままで良かったですね」

天乃「あ、うん。そうね。完全にいつも通りにしてたわ」

樹「慣れって怖いですね」

話しながら難なくショーツを脱がし、おむつのマジックテープをビリっと剥がす

いつかこれも必要なくなる時が来る

そう思うと、嬉しさ9割寂しさ1割を感じて、苦笑する

必要ないほうがいい。こんなことをしなくて良くなった方が良い

全部自分でできるようになれば、介護は必要なくなるけど。でも。そうすれば

樹「もっと、二人で色々と出かけたいです」

天乃「唐突ね」

樹「えへへっ、つい」

何かに縛られることなく、どこへでも自由に遊びに行ける。そんな未来を考えて

樹は天乃の座る車椅子を押して、浴場へと入っていった


浴場に行くと、さっきの脱衣所にいた人たちだけだったのか、

浴場は常に注がれる温泉の溢れ出す音だけが響いていて、樹は貸切ですね。と、天乃に笑いかけた

天乃「ほんとね。お夕飯だったり、遊び疲れてたりですぐ上がっちゃったのかもしれないわね」

樹「でもそのほうが、ゆっくりできます」

天乃「そうね」

この温泉は下調べがしっかりとされているためか、露天風呂の方にも車椅子用の入口がしっかりと作られていて

ほかの一般的な風呂にもしっかりと車椅子用に道ができている

けれど、流石に、底の方からお湯が吹き出しているものや、サウナには車椅子の方はご遠慮下さい。と、注意書きが書かれていた

車椅子でサウナに入れば金属部分が大変なことになるし、

抱えて連れて行ってもらっても、危険性があるからだ

風「こっちこっちー」

樹「お姉ちゃん?」

風「露天風呂。すごいのよ。早く早く」

樹「もーお姉ちゃんはしゃぎすぎだよーっ」

天乃「……ふふっ」

どちらが姉で妹か。逆転しそうな状況に、天乃は思わず笑みを浮かべる

天乃の件があってから、樹は少しずつ大人っぽくなっていき、

一つ一つに落ち着きが出てきていて、

最初は他人と接するのが苦手だったらしいが、今ではもう。そんな様子は殆どなくなっている

その成長を嬉しく思う風は、同時に少し……自分のできなかった子供っぽさが出てき始めているのかもしれない


友奈「わぁー久遠さんきれーっ!」

東郷「本当。彫刻……いえ。芸術です」

夏凜「なんで言い直したのよ。否定はしないけど」

天乃「そ、そんなにジロジロと見ないで」

見られなれている天乃も、

流石にまじまじと見つめられるのは恥ずかしくて、タオルで隠す

風「ぬふふ……タオルで隠して入浴とは、いけませんなぁ」

天乃「っ」

樹「お姉ちゃん。怒るよ」

にっこりと笑った表情で、その言葉

明らかに一致していない二つに風は目を見開いて、首を振る

風「冗談よ。流石に、妹の恋人に手を出すような真似はしないって」

天乃「出したら、あなたの後ろにいる狐が大変なことするわよ」

風「!?」

九尾「くふふっ、妾はしっぽ含め11の手がある。足を含めば13。触れて欲しいのかや?」

風「か、勘弁してください。ほんと、すいません」

くすぐり地獄を想像した風は体を震わせ、温泉に沈んでいく

樹「でも、久遠さん。タオルは取っておいたほうがいいです」

水着で学んだことだが、

天乃は濡れた物を体に貼り付けている妖艶さが増すのだ

タオルを貼り付けたりなんかすれば、余計にまずいと樹は考え、

渋々といつた表情の天乃に「仕方ないんです」と言い、タオルを受け取った


天乃「ん―――っ」

体中を包み込んでいく温泉の暖かさに、

天乃は感激の声を上げかけて、押し殺しながらも体を震わせる

布団の中とは違う、包み込んでくれる温もりに加え、

見上げる空には天井ではなく。広い空がある

その心地よさは、格別だった

樹「気持ちいいですね」

天乃「うん、溶けそう」

九尾「溶ける……か。ふむ。主様。温泉の噂を知っておるか?」

天乃「えっ?」

夏凜「……なんか、聞くべきじゃなさそうな気がするんだけど」

突然の問に驚く天乃の横で、夏凜は訝しげな表情で呟く

けれど、友奈や風は「なになに?」と、聞きたそうだ


1、聞く
2、やめておく


↓2


天乃「んー……なに?」

夏凜「え、聞くの?」

天乃「ただの噂でしょう?」

天乃がまったりとした表情で言うと

九尾は満面の笑みで、「もちろんじゃ」と言ったが

夏凜はあいかわらずな視線で、本当なのかと問う

九尾「噂は噂じゃ。温泉というのは、そこの看板にある通り、様々な成分がある」

風「そうねぇ……」

九尾「実は、その成分は採掘作業をしていた作業員から煮出されている。という話じゃ」

樹「!?」

九尾「旧世紀には赤い温泉もあったが、それは人間の血がぶふぁ――」

夏凜「やめろっ!」

九尾「なにを――ぼっ」

夏凜「なんつー噂ばら撒いてんのよっ!」

夏凜は怒鳴りながら九尾の頭を鷲掴みにすると、温泉へと叩き込む

風「っ、つ……」

友奈「と、東郷さぁん……」

東郷「よしよし。大丈夫。大丈夫よ」

風は浴槽から逃げ出し、友奈は東郷にすがりつき

天乃「大丈夫よ。私がいるから」

驚愕し、呆然とする樹を天乃は抱き寄せた


九尾「ほんの冗談じゃろう……」

夏凜「冗談はね、限度ってもんがあんのよ」

九尾「うむぅ」

九尾は夏凜に正座させられ、ションボリと呻く

夏凜は比較的怖い話に弱い。というのも

以前、お化け屋敷でわけわからない怪奇現象―九尾達の仕業―によって

そういうのがあってもおかしくないとどこかで思ってしまっているからだ

しかし、それ以前に今の話は恐ろしい話すぎた

温泉は人が煮出されている。つまり、温泉の源には――というのだから、最悪だ

九尾「本当の噂を教えよう」

夏凜「ダメ。しゃべるな」

九尾「むぅ……」

つまらなそうにそっぽを向いた九尾は、そのまま正座を続けることなく、姿を消す

それに注意も何もなく、夏凜はため息をつき、風へと近づく


夏凜「あんた。苦手なの?」

風「ば、ばばばか言うんじゃないわよ。平気だし。全然平気だしっ」

それは明らかな強がりだった。けれど、夏凜はそこに下手な追求をすることなく

風の手を取って、立ち上がらせると、照れくさそうに頬を掻いて、目を逸らす

夏凜「あっそ。ならいいけど。でもまぁ……一人だと変なこと考えるだろうし。一緒にいてやるわよ」

風「し、しょうがないわねー。怖いからって素直じゃないんだから」

夏凜「は、はぁっ!? 意味わかんない。もういい。出る」

手を離し、一人先に歩いていく夏凜

その一瞬だけは呆然としていたが、風はすぐに気がついて、夏凜の手を握り返す

風「に、逃げるな。あたしも連れてけ!」

夏凜「怖いんじゃない」

風「……悪い?」

夏凜「いや……別に」

勝手に喧嘩して、勝手に仲直りして、勝手に出て行くふたりを、4人は見送って息を吐く

天乃「ふぅ……気持ちいい。のぼせたい……」

東郷「それはダメですよ。久遠さん」

樹「のぼせちゃったら大変です」

天乃「私、温泉大好きかも……」

4人はのぼせない程度にゆっくりと浸かった


√ 8月14日目 夜(旅館) ※日曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、球子
0、若葉
11、春信
12、イベント判定
13、みんなで遊ぶ

↓2


遊ぶ内容


1、トランプ
2、コイバナ
3、怪談
4、王様ゲーム
5、誰が、なにを、どうするか、ゲーム



↓2


※久遠さんができない遊びは全て省かれています

※内容と一緒に、春信の参加不参加を決めてください。
  参加させる場合は、安価で選択した数字をダブらせてください


  例: 【1→11】  【5→55】


風「ということでー春信さんも参加でーす」

夏凜「王様ゲームやるのに? 大丈夫なの? 色々と」

樹「少し不安です」

誰とどんなことをするのか

春信が決めることに関しては、

樹も夏凜も何も問題ないと考えている。けれど、

今回は九尾や若葉、球子達もいる。問題があるのは九尾だ

どんな過激な内容を出してくるか、理解ったものではない

銀「そこはもう、一人ずつ内容をいくつか書いて、箱に入れればいいんじゃないか?」

球子「参加者全員がそれぞれの箱を作って、王様は誰の箱を引くかくじを引く。で、その人の箱から内容を引く。と」

天乃「それ、もはや王様の命令じゃない気がするんだけど……」

風「九尾の超過激な内容を自由に行使させるのは問題でしょ?」

そう言う風の視線の先で、九尾はニヤニヤと笑う

そのくせ、ゲームから外すと告げると拗ねるのだから質が悪い


若葉「平等さかつ健全さを重視したルール変更ならば、仕方があるまい」

九尾「うむ。それならば問題ないぞ。妾のくじを引かせれば良いだけじゃからな」

天乃「そもそも、王様ゲームじゃなければいいんじゃ……」

友奈「それは、そうなんですけど。せっかくです」

ゲームの内容はいくつか考え、これもまたクジで決定した

それもまた、公平性を期すためで、円滑に進めていくためだったのだが

そうはせず、なにをやるか話し合うべきだった。と

今更ながら後悔するが、もう遅いらしい

東郷「いずれにせよ、罰ゲームをやるのなら変わりません。なければないで寂しいですし、もし過激な内容であれば寸前で止めましょう」

銀「賛成」

球子「それなら、タマも賛成」

そうして、各々の判断で内容が過激ならば止める。ということになった




※ルール説明※

前回のを流用すると、コンマ判定がいきなり10回必要になるので、


今回は王様をコンマ一回で決め、こちらでキャラに数字を割り振るので
二回目のコンマ一桁目と二桁目で命令を受けるキャラと誰の箱から引くかを同時に決めます

例:

  □数字
  1、九尾  2、春信 3、夏凜 4、球子  5、樹
  6、友奈  7、東郷  8、銀  9、風 0、若葉

  コンマが38の時は夏凜と銀  00などぞろ目は王様と、数字を持つ人となります


全員「王様だーれだ」


01~10 風
11~20 友奈
21~30 樹
31~40 東郷
41~50 銀
51~60 夏凜
61~70 若葉
71~80 九尾
81~90 天乃
91~00 春信
00以外のぞろ目 球子

↓1のコンマ

※風先輩10% 他、9%



春信「私か……なら。命令を受けるのは……」




1:天乃 2:風 3:夏凜 4:若葉 5:東郷 6:友奈 7:樹 8:銀 9:球子 0:九尾


↓1のコンマ

※ぞろ目なら春信と
※誰の箱から引くのかは前回の王様決めコンマ表を再利用

※銀

01~10 互いに好きな所を言う
11~20 抱きしめる
21~30 腕相撲
31~40 胸枕
41~50 次のゲーム開始まで見つめ合う
51~60 次のゲーム開始まで語尾に「にゃ」をつける
61~70 手を繋ぐ
71~80 相手を口説く
81~90 敬語を使わずに話す
91~00 恥ずかしいセリフ【沈まれ……私の右手。まだお前が出るときではない】と、格好つけて言う

↓1のコンマ  


春信「5番、0番が敬語を使わずに話す……ということのようだが」

銀「あたしの箱だからな。良心的だろう?」

自分の命令が発動したからか、嬉しそうな銀を尻目に、

東郷は困った顔で自分の取った棒を見つめる

どうあがいても、5と書かれている

つまり、敬語で話してはいけないらしい

九尾「観念せよ。胸肉」

東郷「っそれ、私のことですか?」

九尾「ほう?」

東郷「っ……それ、私のこと?」

九尾「主が喋らないという手段を講じようとしたからじゃ」

くすくすと笑う九尾に対し、東郷は言葉にしにくそうに首を振る

東郷はしっかりとした性格のため、

そういった話し方は正直、苦手なのだ


天乃「私とか、風。夏凜みたいに話してみればいいのよ」

東郷「久遠さ……くおn……天乃みたいに?」

天乃「わぁっ」

東郷「きらきらし……輝いてるわね」

嬉しそうな天乃に苦笑を返し、

いつも通りにしそうな口調を無理矢理に正し

頭の中で天乃の言う三人の言葉遣いを思い出す

まず、3人はみんなを基本的に呼び捨てにしている

そして、ですます口調にはならない

少なくともこのあたりを押さえればいいのだろう。と

東郷は気づいて、頷く

友奈「東郷さん。東郷さん」

東郷「なぁに? 友奈ちゃ……じゃなかった。なによ。友奈」

友奈「っ」

東郷の呼び捨てに、友奈は満足気な笑みを浮かべて頷く

ドキッとした

嬉しかった

友奈ちゃんと呼ばれるのが好きで嬉しいのは変わらない。けれど

その新鮮さが、とても。心躍らせた


風「あたしはあたしは!」

東郷「っ……風。早く次の進行しなさいよ」

風「おぉぅ」

樹「なんだか、真に迫ってる感じがします」

普段の東郷からは想像できない言い方に怯んだ風は、

取り繕うように咳払いをして「えーっと」と、間を潰す

風「つ、次行きましょ。次」

夏凜「そうね。東郷がこの話し方だとなんか落ち着かな――」

東郷「夏凜。言いたいことがあるならはっきり言いなさいよ」

夏凜「なっ」

東郷「何よその目。私が怖いの?」

夏凜「っ~~~~~! 次よつぎぃ!」

東郷は夏凜の反応に満足して、クジに手を伸ばした


01~10 東郷
11~20 友奈
21~30 樹
31~40 風
41~50 銀
51~60 夏凜
61~70 若葉
71~80 九尾
81~90 天乃
91~00 春信
00以外のぞろ目 球子

↓1のコンマ

※東郷10% 他、9%


1:東郷 2:友奈 3:球子 4:九尾 5:銀 6:天乃 7:若葉 8:夏凜 9:銀 0:春信


↓1のコンマ

※ぞろ目なら風と
※誰の箱から引くのかは前回の王様決めコンマ表を再利用


失礼。失敗しました

↓1コンマ奇数で樹  偶数で銀


※若葉

01~10 抱擁
11~20 耳かき
21~30 膝枕
31~40 互いの長所を言う
41~50 互いの好きな所を言う
51~60 敬語を使って話す
61~70 二人称を自分の名前にする
71~80 手を繋ぐ
81~90 次のゲーム開始まで見つめ合う
91~00 互いの好きな所を言う

↓1のコンマ  


では、此処までとさせて頂きます
明日は早めの再開が可能かと思いますので。本日と似たような時間になるかもしれません



天乃「……えっと。樹ちゃん」

樹「っ」キュン

天乃「私、樹ちゃんが好きです。大好きです。樹ちゃんは、どうですか?」

樹「っ――――久遠さーんっ」ガバッ


では、そろそろ始めていきたいかと思います


風「王様はあたしーっいえーい! じゃぁ、番号は~6番5番で~」

天乃「っ」

銀「げっ、あたしだ!」

風は嬉しそうに言うが、問題はここからだった

誰の作った命令を引く事になるのか。そして、

その人のどんな命令が待っているのか

少なくとも九尾はやめてほしい。と、息を呑む

そして――

風「おっ。命令作成は若葉ね~」

若葉「私のか……うむ。問題はないと思う。引いてくれ」

風「ん~……」

ニヤニヤと笑いながら、焦らすためだけに時間をかけて、風は一枚の紙を引く

若葉の命令だ。きっと、変なものではないだろう。という安堵に対し

風「さっきの逆ね。6番5番は敬語で話す! さぁて? 誰かな~?」

銀「5番はあたし。6番は……天乃だな」

友奈「銀ちゃん。口調口調」

銀「おっと……5番はあたしで、6番は、久遠さんです」

少し戸惑い、言いづらそうにしながら

銀はそう言って番号を見せた


東郷「久遠さん、話さないのはなしですよ」

天乃「う……わかってます」

普段使わない言葉遣い

意識して使おうとすると、なぜだかとても。気恥ずかしくて

天乃は照れくさそうに頬を染めて、東郷を見つめる

天乃「分かってますから。その、あまり、話しかけないで欲しいです」

東郷「!? けほっぁっけほっ、っ……」

ドキッと。した

そして、心臓が跳ね上がったせいで呼吸が一瞬止まって咳き込んだ東郷は、

視線を戻した瞬間、ほぼ目の前にまで近づいてきていた天乃の右手と視線を感じ、目を見開いた

天乃「大丈夫……ですか? 調子、悪いんですか?」

東郷「っ、っ!」

天乃「東郷先輩、なんだか。顔、赤いですよ? 熱でもあるのかもしれません。少しいいですか?」

そう言いながら、天乃は右手を東郷の額に近づけていく

ドキドキする。唾が無限に湧き出してきて、飲んでも飲んでも溜まって

余剰分が、冷や汗となって、流れていく

そんな東郷は天乃の右手が触れるか否かの寸前で。首を振った


東郷「だ、だだ大丈夫よ。大丈夫。私はもともと顔が赤くなりやすいのっ!」

天乃「わぁっ、そうなんですね。東郷先輩。白い肌が赤くなってて桃みたい。可愛いですっ」

東郷「っ―――!」

友奈「わあーっ! 東郷さんが倒れたぁっ!」

【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ10】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ10】 - SSまとめ速報
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